JP2010056240A - 半導体結晶微粒子薄膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】励起子発光を実現し、整流特性に優れた半導体結晶微粒子薄膜、およびその成膜方法、および上記薄膜を含有する電界発光素子を提供する。
【解決手段】基板温度を250℃以下とした基板上に、ヘキサ−μ−アセタト−μ4−オキソ−四亜鉛粉末を原料に使用した反応性CVD法により成膜してなる酸化亜鉛からなる半導体結晶微粒子薄膜であって、該結晶微粒子の数平均粒径が0.3〜20.0nmであり、かつ一定量のカルボン酸が亜鉛に配位している。
【選択図】図3

Description

本発明は、半導体結晶微粒子薄膜、およびその成膜方法、および上記薄膜を含有する電界発光素子に係り、さらに詳しくは、ナノサイズの半導体結晶微粒子が、非晶質マトリックス中に分散している半導体結晶微粒子薄膜、およびその成膜方法、および上記薄膜を含有する電界発光素子に関する。
半導体結晶微粒子は、ナノメートルオーダーの大きさで結晶構造を有する物質であり、約数百〜数千個の原子から構成されている。サイズが小さいために結晶欠陥などが起きにくく、高い結晶性が得られ、物質固有の性質を発現しやすい。一方、このような小さいサイズの物質は単位体積あたりの表面積が広く、大部分の原子が表面に存在する。そのために量子閉じ込め効果などを示し、物質固有な特性とは異なる独特な電気的、磁気的、光学的特性を発現することがある。これらの理由から、半導体微粒子は新しい発光材料として注目されている。
一般的に半導体ナノ粒子を塗布、乾燥させた半導体結晶微粒子薄膜では、塗布乾燥という過程が半導体微粒子の自然配列に任せているために、微粒子間の結晶粒界の状態に大きな分布があり、有効に働く微粒子が限られて十分な発光を得られないと言う問題があった。また、塗布面の平坦性に欠けるために、電極などの異なる層を積層する際に、それらの成分が粒子間に入り込み短絡が生じる、不均一な界面のために発光むらが生じる等の課題があった。
これに対し、金属微粒子または半導体微粒子が非晶質材料中に分散されてなる非線形光学素子の製造方法として、プラズマCVD法を用いた薄膜の製造方法が提案されている(特許文献1)。この方法は、プラズマCVD法を用いて、基板上に金属または半導体を含有する非晶質材料からなる非晶質薄膜を形成し、この薄膜に位相マスクを介してレーザーを照射するという方法で、熱分布がほぼ周期的となるような局所加熱をすることによって、半導体の核生成を促し、その後、非晶質薄膜全体を炉に入れて加熱することにより核を成長させるというものである。この方法を使用すると、金属微粒子または半導体微粒子が非晶質材料中に多量かつ均一に分散し、粒径分布および組成ずれも少ない薄膜を形成することができる。
また、非晶質中にZnO1xxの数nmの微結晶が分散した薄膜の報告がある(非特許文献1)。フォトルミネッセンスからナノ粒子化に起因すると考えられるブルーシフトが観測されており、量子効果が確認されている。
特開2004−191831号公報 APPLIED PHISICS LETEERS 89,071922−1−3
特許文献1に記載された方法では、量子閉じ込め効果などの特性は期待できず、強い励起子発光が得られないという課題がある。また、非特許文献1に記載された方法では、励起子発光強度が低下し、発光輝度が不十分であるという課題がある。そこで、本発明では、強い励起子発光を得ることができ、かつ良好な整流特性をもつ半導体結晶微粒子薄膜および、それを使用した蛍光体薄膜及び電界発光素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために半導体結晶微粒子とそれを含有するマトリックス構成に注目し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の半導体薄膜は、非晶質の酸化亜鉛からなるマトリックス中に数平均粒径0.3〜20.0nmの酸化亜鉛の結晶微粒子が分散しており、且つ、前記酸化亜鉛の結晶微粒子中の亜鉛にカルボン酸が配位していることを特徴とする。
また、本発明の半導体薄膜の成膜方法は、基板温度を250℃以下とした基板上に、ヘキサ−μ−アセタト−μ4−オキソ−四亜鉛粉末を原料に使用した反応性CVD法により成膜して半導体薄膜を得る方法であって、前記半導体薄膜が非晶質の酸化亜鉛からなるマトリックス中に数平均粒径0.3〜20.0nmの酸化亜鉛の結晶微粒子が分散しており、且つ、該酸化亜鉛の結晶微粒子中の亜鉛にカルボン酸が配位していることを特徴とする。
また、本発明の電界発光素子は、基板上に、陽極、発光層、陰極がこの順序で積層されてなる電界発光素子であって、該発光層が、非晶質の酸化亜鉛からなるマトリックス中に数平均粒径0.3〜20.0nmの酸化亜鉛の結晶微粒子が分散しており、且つ、該酸化亜鉛の結晶微粒子中の亜鉛にカルボン酸が配位している半導体薄膜を含有することを特徴とする。
以上のように本発明の半導体結晶微粒子薄膜では、ナノ結晶が薄膜中に分散していることから、量子閉じ込め効果と考えられる励起子からの強い発光を得ることができ、さらに、この半導体結晶微粒子薄膜を使用した電界発光素子は、良好な整流特性が得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[半導体結晶微粒子薄膜]
本発明の半導体結晶微粒子薄膜は、半導体結晶微粒子が、非晶質マトリックス中に分散していることが大きな特徴である。半導体結晶微粒子の粒径は、発光性能の観点から、数平均粒径として、好ましく0.3〜20nm、より好ましくは0.5〜15nm、さらに好ましくは1.5〜10nmである。微粒子の粒径が0.3nm未満の場合、結晶が小さすぎるために独立した結晶としての機能を発現せず、20nmより大きいと欠陥が生じやすくなり発光性能が低下する。半導体結晶微粒子の粒径は、通常透過型電子顕微鏡による観察で測定するが、半導体結晶に含有される元素の原子番号が小さいために電子線によるコントラストが得にくい場合には、原子間力顕微鏡(AFM)による観察なども組み合わせて測定する。
半導体結晶微粒子の粒径分布は、特に限定されないが、発光波長幅を狭くしたい場合には、標準偏差として±40%以内、好ましくは±30%以内、更に好ましくは±20%以内である。
半導体結晶および非晶質マトリックスの組成は、材料の安定性や発光波長の観点を踏まえ酸化亜鉛が好ましく使用される。
本発明の半導体結晶微粒子薄膜においては、一定量のカルボン酸が亜鉛に配位していることが好ましい。カルボン酸が亜鉛に配位することにより、蛍光体もしくは電界発光体の発光輝度が向上する。現時点では、カルボン酸の役割については必ずしも明確ではないが、半導体結晶微粒子と外場とのキャリアに関する障壁が減少し、外場の励起エネルギーが半導体結晶微粒子内部に効率よく移動する、半導体結晶微粒子の凝縮を抑制し、半導体結晶微粒子を安定化させている等の効果が考えられる。薄膜中のカルボン酸の含有量は、特に限定されるものではないが、少なすぎるとその効果が発現せず、多すぎると本発明の半導体結晶微粒子膜に含有する有機物が多すぎて耐久性を低下させるため、半導体結晶微粒子膜中の含有量で、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは2〜20重量%、更に好ましくは、3〜15%重量である。薄膜中の亜鉛へのカルボン酸の配位は、赤外線吸収(FTIR)によるZn−OCO構造の存在により確認できる。また、その含有量は、酸化亜鉛粉体と酢酸亜鉛の混合物、および該薄膜の赤外吸収スペクトルを比較することにより推定される。
本発明の半導体結晶微粒子薄膜においては酸化亜鉛の結晶微粒子が、同じ組成の酸化亜鉛の非晶質マトリックス中に分散していることが重要である。結晶微粒子間が非晶質マトリックスで構成されているために、表面が平滑でかつ耐久性の高い蛍光体、もしくは電界発光素子が得られる。また、マトリックスと結晶微粒子が同じ組成物であるために、界面のエネルギー伝達が有効に行われる。
本発明の半導体結晶微粒子薄膜中における半導体結晶微粒子と非晶質マトリックスの分率は、特に限定されるものではないが、結晶微粒子の全薄膜中の割合で、5〜95vol%、好ましくは10〜90vol%、さらに好ましくは15〜90vol%である。結晶微粒子の割合が少ないと十分な発光強度が得られず、また多すぎることは非晶質マトリックスが少ないことになり、平滑な薄膜表面が得られなくなる。半導体結晶微粒子と非晶質マトリックスの分率は、半導体結晶微粒子薄膜の上面、断面のTEM写真を各々三枚ずつ撮影し、その面積存在割合から算出する。
本発明の半導体結晶微粒子薄膜は、透過型電子顕微鏡観察において半導体微結晶の存在が確認でき、かつ、X線回折においては結晶性ピークが確認されないことが大きな特徴である。X線回折にて結晶性ピークが得られないような微結晶が分散している薄膜を実現することで、本発明における優れた効果が期待できる。
本発明の半導体結晶微粒子薄膜は基板上に製膜されるが、使用する基板は特に限定されるものではない。ガラス、Si、ZnO、Ga23、SiC、GaAs等、通常半導体の製膜に使用される無機系基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック基板等が使用される。
[蛍光体]
本発明の半導体結晶微粒子薄膜は、無機材料である酸化亜鉛からなるために、耐久性が高い蛍光体として好適である。蛍光体として使用する場合の形態や構造は、特に限定されるものではなく、基板上に製膜された半導体結晶微粒子薄膜をそのまま蛍光体として使用しても良く、発光する波長を妨げない透明膜を積層する等して使用しても構わない。
[電界発光素子]
本発明の半導体結晶微粒子薄膜は、無機材料である酸化亜鉛からなるために耐久性が高く、薄膜表面が平滑であるために、電極等を積層して電界発光素子を作製するにも適している。電界発光素子を作製する際の素子構造は特に限定されるものではないが、例えば、基板上に、少なくとも陽極、発光層としての半導体結晶微粒子薄膜、陰極をこの順序で積層して電界発光素子を作製することも好ましく行われる。一例として、ガラスもしくはPET上にn型透明電極としてIn−Zn−O/In−Ga−Zn−O透明電極を形成し、その上に半導体結晶微粒子薄膜、さらに、p型電極としてNドープのZnO、あるいはNiO−Ni薄膜を積層する構造が挙げられるが、これに限定されるものではない。
[製造方法]
本発明の半導体結晶微粒子薄膜を製造する方法としては反応性CVD法が好ましく使用される。その際、本発明では、基板温度を250℃以下の低温で成膜することを特徴としている。好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下の温度で成膜する。基板温度が高いと結晶成長が促進されて結晶粒径が大きくなるため不適である。また、90℃未満の温度では、反応性が低下し、前駆体比率が増大してしまうため、90℃以上の温度で成膜することが好ましい。
本発明による方法であれば、低温で成膜できることから、基板として、ガラスやプラスック等を使用することができる。なお、この他の製造方法としては、例えば共沈法、逆ミセル法等で合成した酸化亜鉛結晶微粒子を亜鉛の酢酸塩、アセチルアセトナト等の錯体を混合、溶媒に分散して塗布、その後、所定の雰囲気下で加熱して酢酸塩や錯体を無機化する方法などを挙げることができる。
[[実施例]]
以下に製造方法の一例として反応性CVD法により本発明の半導体結晶微粒子薄膜を製膜する実施例を挙げて、本発明の実施形態を、より具体的に説明する。尚、本実施形態は以下に記載する実施例に限定されるものではない。本発明に使用される各種の測定方法は以下の通りである。
[TEM観察]
日立製(HF−2000)を使用し、加速電圧200kVにて観察を実施した。検鏡試料は、微粒子薄膜を基板から剥離しエタノールに分散、当該分散液をマイクログリッド貼付けメッシュに滴下し、風乾したものを使用した。
[赤外吸収(IR)スペクトル]
単結晶KBrの上に薄膜を堆積させ、透過法を使用してスペクトルを測定した。
[X線回折]
島津製作所(XD−3AE)において、CuのKα線を使用して測定した。測定条件は、加速電圧40kV、加速電流200mA、受光スリット幅0.15mm、走査速度4゜/分、サンプリング0.02゜である。回折線は、グラファイトのモノクロメーターにより単色化されてカウントする。
[小角X線回折]
基板から微粒子薄膜を剥離し、透過型小角X線散乱(SAXS)測定装置を使用し、入射X線波長:0.154nm、カメラ長:515mm、検出器:イメージングプレート、測定時間1800秒にて、散乱測定を実施した。
[フォトルミネッセンススペクトル]
励起光源としてHe−Cdレーザー (325nm, 50mW)を使用して強励起し、CCDを検出器として室温でスペクトルを測定した。
[吸光度測定]
日本分光(V530)において、透過法を使用して300−800nmの波長範囲で測定を実施した。
[I−V特性]
石英ガラス基板上にIn−Zn−Oターゲットを使用し、スパッタ法にてRFパワー20W、Arガス中でスパッタ圧力0.27Pa、基板加熱なしにて2時間堆積し、得られたIn−Zn−O薄膜の厚みは300nm、抵抗率は8×10−4Ωcmであった。続いてIn−Ga−Zn−Oターゲットを使用し、同じくスパッタ法にてRFパワー50W、Arガス中でスパッタ圧力0.27Pa、基板加熱なしにて1時間堆積し、得られたIn−Ga−Zn−O薄膜の厚みは50nmであった。このように、n型電極としてIn−Zn−O/In−Ga−Zn−Oを積層形成した。その上にZnO半導体結晶微粒子薄膜を堆積させた。別途、石英基板上に、Auターゲットを使用しスパッタ法にてRFパワー20W、Arガス中でスパッタ圧力1.3Pa、基板温度300℃にて2時間堆積し、100nmの金薄膜を得た。その上にCVD法にて、酢酸亜鉛を原料とし、Arガスを流量200cm3/min、NH3ガスを流量300cm3/minにて真空槽内に導入し、全圧360Pa、基板温度300℃にて、ZnO:N薄膜をp型電極として積層した。得られたZnO:N薄膜の厚みは880nm、抵抗率は160Ωcmであった。この2枚の基板を重ねて物理接触をさせた状態で、I−V特性を測定した。
[実施形態1]
酢酸亜鉛の2水和物Zn(CH3COO)2・2H2Oを80℃で30分間加熱して結晶水を除去し、酢酸亜鉛粉末を得た。得られた酢酸亜鉛粉末を真空中、180℃で加熱することにより、揮発性を有するヘキサ−μ−アセタト−μ4−オキソ−四亜鉛粉末を得た。得られたヘキサ−μ−アセタト−μ4−オキソ−四亜鉛粉末を原料に使用し、CVD法を使用して半導体結晶微粒子薄膜を形成した。Arをキャリアガスとして、流量100cm3/minにて真空糟内に導入した。真空糟内には、同時に100RH%の水蒸気、純度99.99%の酸素ガスを導入し、ヘキサ−μ−アセタト−μ4−オキソ−四亜鉛蒸気、水蒸気、酸素を反応させて、基板温度150℃にて石英ガラス上に薄膜を堆積させた。この際の酸素分圧は、0.1Torr、水蒸気分圧は0.4Torrであった。
得られた薄膜のX線回折測定を実施したところ、ブロードな構造を含め回折ピークは観測されなかった(図1参照)。また、薄膜の上面、断面のTEM写真を各々三枚ずつ撮影したところ、約2〜3nmの微粒子が観測され、その面積存在割合から算出した微粒子含有割合は55%であった。さらに、薄膜を基板から剥離させて小角X線散乱を測定したところ、約2〜3nmの微粒子が存在することが示唆された。微粒子の組成分析、TEMで観測される格子像から、微粒子はZnO結晶微粒子であることが判定され、同時にマトリックス部はZn−Oのアモルファス状物質で形成されていることが判明した。
さらに、得られた薄膜の赤外吸収スペクトルを測定した(図2参照)。その結果、ZnO格子に特徴的な690cm-1以下の大きな吸収が認められ、TEM観察の結果と一致してZnOの結晶微粒子が存在することが示された。また、1558、1456cm-1にカルボン酸のCOO結合の振動が、弱いながらも観察される。このCOO結合は前駆体であるヘキサ−μ−アセタト−μ4−オキソ−四亜鉛の吸収ピークに比較して低波数にピークがシフトしており、このピーク位置は酢酸亜鉛や酢酸亜鉛二水和物に近い値を示している。
このことから、膜内に酢酸亜鉛に似たZn−OCO構造の物質が存在していると推察される。ZnO粉体と酢酸亜鉛の混合物、および薄膜の赤外吸収スペクトルの比較から、薄膜中に存在するカルボン酸量は、13%であると見積もられた。
図3は、得られた薄膜のフォトルミネッセンススペクトルである。欠陥に起因する可視領域での発光は殆ど観測されず、379nmの非常に強い紫外線発光が観測された。ZnOのバンドギャップ、励起子準位、及び励起強度を変化させても、発光のピークシフトは観測できないことから、この発光はZnOの励起子によるものと考えられる。TEM観察でZnO結晶微粒子が観測されていることから、観測された強い励起子発光は、励起子の微小領域への閉じ込め効果と推定される。
図4に、石英ガラス基板上に堆積した膜の吸光度測定結果を示す。吸収の立ち上がりは、380nmでありフォトルミネッセンス測定の結果と良い一致を示した。
また、本実施例の半導体結晶微粒子薄膜を発光層に使用して発光素子を作成し、電流−電圧測定を行い、良好な整流特性を確認した。I−Vカーブを図5に示す。
[実施形態2]
実施形態1と同様の手法にて、基板温度のみを100℃に変化させて石英ガラス上に薄膜を作成した。得られた薄膜について、実施形態1と同様にして、X線回折、赤外吸収スペクトル、フォトルミネッセンス測定を実施した。その結果、ほぼ実施形態1と同様の結果が得られたが、フォトルミネッセンス測定では、基板温度を低下させると、発光ピーク波長が373nmとなり、短波長側へのシフトが確認された。この発光波長のシフトは、量子サイズ効果によると考えられる。また、赤外吸収スペクトルから見積もった薄膜中に存在するカルボン酸量は、33%であった。
[参考例]
実施形態1と同様の手法にて、基板温度のみを300℃に変化させて石英ガラス上に薄膜を作成した。得られた薄膜について、実施形態1と同様にして、X線回折、赤外吸収スペクトル、フォトルミネッセンス測定を実施した。その結果、X線回折測定から、2θが34.4度付近にZnO(002)の回折ピークが認められ、ZnOの結晶成長が一部認められる。また、フォトルミネッセンス測定における発光は、ほとんど認められない。
本発明は、ナノ結晶が薄膜中に分散していることから、量子閉じ込め効果と考えられる励起子からの強い発光を示し、整流特性が得られ、高効率の発光デバイスとして有用である。
本発明の一実施形態による半導体薄膜のXRD回折スペクトル図である。 本発明の一実施形態による半導体薄膜の赤外吸収スペクトル図である。 本発明の一実施形態による半導体薄膜のフォトルミネッセンススペクトルを示す図である。 本発明の一実施形態による半導体薄膜の吸収スペクトルを示す図である。 本発明の一実施形態による半導体薄膜のI−Vカーブを示す図である。

Claims (3)

  1. 非晶質の酸化亜鉛からなるマトリックス中に数平均粒径0.3〜20.0nmの酸化亜鉛の結晶微粒子が分散しており、且つ、前記酸化亜鉛の結晶微粒子中の亜鉛にカルボン酸が配位していることを特徴とする半導体薄膜。
  2. 基板温度を250℃以下とした基板上に、ヘキサ−μ−アセタト−μ4−オキソ−四亜鉛粉末を原料に使用した反応性CVD法により成膜して半導体薄膜を得る方法であって、前記半導体薄膜が非晶質の酸化亜鉛からなるマトリックス中に数平均粒径0.3〜20.0nmの酸化亜鉛の結晶微粒子が分散しており、且つ、該酸化亜鉛の結晶微粒子中の亜鉛にカルボン酸が配位していることを特徴とする半導体薄膜の成膜方法。
  3. 基板上に、陽極、発光層、陰極がこの順序で積層されてなる電界発光素子であって、該発光層が、非晶質の酸化亜鉛からなるマトリックス中に数平均粒径0.3〜20.0nmの酸化亜鉛の結晶微粒子が分散しており、且つ、該酸化亜鉛の結晶微粒子中の亜鉛にカルボン酸が配位している半導体薄膜を含有することを特徴とする電界発光素子。
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