JP2010054955A - 平版印刷版原版の自動現像装置及び平版印刷版原版の処理方法 - Google Patents

平版印刷版原版の自動現像装置及び平版印刷版原版の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高品質の平版印刷版を作製することが可能な平版印刷版原版の自動現像装置と平版印刷版原版の処理方法を提供する。
【解決手段】支持体上に形成された画像記録層に画像露光された平版印刷版原版を現像する平版印刷版原版の自動現像装置であって、平版印刷版原版の画像記録層を現像処理する現像液に、波長200nmから450nmの光を照射して、現像液中に凝集物を発生させる光照射部と、凝集物を捕集するフィルタ部とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、平版印刷版原版の自動現像装置及び処理方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷とは、水と印刷インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(感光層、画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
このように従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液などによって溶解除去する工程が必要であるが、環境および安全上、より中性域に近い現像液での処理や少ない廃液が課題として挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっており、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
一方、近年、画像情報をコンピュータで電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が注目されてきている。従って、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
上述のように、現像液の低アルカリ化、処理工程の簡素化は、地球環境への配慮と省スペース、低ランニングコストへの適合化との両面から、従来にも増して強く望まれるようになってきている。しかし前述のように、現像処理工程は一般にpH10以上のアルカリ水溶液で現像した後、水洗浴にてアルカリ剤を流し、その後、親水性樹脂を主とするガム液で処理するという3つの工程からなっており、そのため自動現像機自体も大きくスペースを取ってしまい、さらに現像廃液、水洗廃液、ガム廃液処理の問題等、環境およびランニングコスト面での課題を残している。
これに対して、例えば、下記特許文献1には、pH10〜12.5の水溶液で処理する現像方法が提案されているが、水洗及びガム液処理工程を必要としており、環境およびランニングコスト面の課題解決には至らない。
また、下記特許文献2の実施例にはpH11.9〜12.1の水溶性高分子化合物を含有する処理液による1浴処理が記載されている。しかしながら、pH12のアルカリが版面に付着したままの原版は、作業者に対する安全面で問題がある上に、原版作成後に印刷までの経時が長くなると画像部が次第に溶解して耐刷性や着肉性の低下を招く。また、下記特許文献3にはpH3〜9の水溶性高分子化合物を含有する処理液による1浴処理が記載されている。下記特許文献4には、アルカリ金属の炭酸塩及び炭酸水素塩を有するpH8.5〜11.5の現像処理が記載されている。
特開2002−91016号公報 欧州特許第1868036号明細書 特表2007−538279号公報 特開平11−65126号公報
ところが、低アルカリ化、工程の簡素化は現像処理工程に大きな負荷を与える。例えば、アルカリ現像液では、感光層を容易に溶解除去できていたが、低アルカリ現像液では、容易に感光層を除去することはできない。このため、必然的に溶解できずに残存した感光層が再び、版に付着し、版上カスとなり、外観不良、ひいては印刷時の汚れを引き起こしていた。また、時には、残像した感光層により、処理機内が汚染され、メンテナンスに時間や労力を要する度合いが大きくなった。
一方で、低アルカリ化、工程の簡素化に伴い、処理機の方も、現像液に浸漬する構成ではなく、水平に搬送し、スプレーにより現像液を供給するタイプの物が使用されていた。しかしながら、この水平搬送式の構成は、液はねにより液が飛散しやすく、飛散した液が乾燥し、カス化する問題があった。
本発明は、上記カス発生の欠点を解決するためになされたものであり、高品質の平版印刷版を作製することが可能な平版印刷版原版の自動現像装置と平版印刷版原版の処理方法を提供することにある。
上記目的を達成する平版印刷版原版の自動現像装置は、支持体上に形成された画像記録層に画像露光された平版印刷版原版を現像する平版印刷版原版の自動現像装置であって、前記平版印刷版原版の前記画像記録層を現像処理する現像液に、波長200nmから450nmの光を照射して、前記現像液中に凝集物を発生させる光照射部と、前記凝集物を捕集するフィルタ部とを備えている。
この自動現像装置によれば、現像液に所定の波長の光を照射することで、現像液に含まれる現像時に溶解した画像記録層等の成分のカスを積極的に凝集させることができ、現像液中の凝集化したカスを沈殿させ、沈殿した凝集物以外の現像液をフィルタ部によってフィルタリングすることで、効率良くカスを捕集することができる。このため、現像処理される平版印刷版原版にカスが付着することを防止でき、高品質の平版印刷版を作製できる。
上記平版印刷版原版の自動現像装置であって、現像時に、搬送される前記平版印刷版原版が浸漬される前記現像液を収容する現像槽と、前記現像槽に収容される前記現像液の液面レベルが一定となるように、該現像槽との間で前記現像液を循環させる外部タンクとを備え、前記光照射部が、前記外部タンク内に収容されている前記現像液に光を照射する構成が好ましい。こうすれば、外部タンクに収容された現像液に光を照射してカスの凝集物を発生させるため、現像槽に凝集物が発生することを回避することができる。
上記平版印刷版原版の自動現像装置であって、現像時に、搬送される前記平版印刷版原版に前記現像液を噴射する現像液供給部と、前記現像液供給部から噴射された前記現像液を回収する現像槽と、前記現像槽に回収された前記現像液を収容して該現像液を前記現像液供給部に供給する外部タンクとを備え、前記光照射部が、前記外部タンク内に収容されている前記現像液に光を照射する構成が好ましい。こうすれば、外部タンクに収容された現像液に光を照射してカスの凝集物を発生させるため、現像槽に凝集物が発生することを回避することができる。
上記平版印刷版原版の自動現像装置であって、前記光照射部が照射する光が紫外線であることが好ましい。こうすれば、紫外線を現像液に照射し、カスの凝集物の発生を促し、現像液を凝集物の沈殿物とそれ以外の上澄みとに分別が行ないやすくなる。
上記平版印刷版原版の自動現像装置であって、前記現像液は、界面活性剤及び水溶性高分子化合物のうち少なくとも1つを含有する水溶液であることが好ましい。
上記平版印刷版原版の自動現像装置であって、前記現像液は、pHが8.5〜10.8であることが好ましい。
上記平版印刷版原版の自動現像装置であって、現像時以外のときに駆動し、前記現像液を冷却させる現像液冷却手段を備えていることが好ましい。こうすれば、自動現像装置を駆動させていないときに、現像槽に貯留する現像液中にカスが発生することを抑制することができる。
上記平版印刷版原版の自動現像装置であって、現像液がさらに低分子カルボン酸イオンを含有することが好ましい。
上記平版印刷版原版の自動現像装置であって、現像液によって前記平版印刷版原版の非画像部の除去と不感脂化処理を同時に行うことが好ましい。
上記平版印刷版原版の自動現像装置であって、画像記録層が光重合性であることが好ましい。
上記目的を達成する平版印刷版原版の処理方法は、支持体上に形成された画像記録層に画像露光された平版印刷版原版を現像する処理方法であって、前記平版印刷版原版の前記画像記録層を現像処理する現像液に、波長200nmから450nmの光を照射して、前記現像液中に凝集物を発生させ、前記凝集物をフィルタ部で捕集する。
この平版印刷版原版の処理方法によれば、現像液に所定の波長の光を照射することで、現像液に含まれる現像時に溶解した画像記録層等の成分のカスを積極的に凝集させることができ、現像液中の凝集化したカスを沈殿させ、沈殿した凝集物以外の現像液をフィルタ部によってフィルタリングすることで、効率良くカスを捕集することができる。このため、現像処理される平版印刷版原版にカスが付着することを防止でき、高品質の平版印刷版を作製できる。
上記平版印刷版原版の処理方法であって、現像時に、搬送される前記平版印刷版原版が浸漬される前記現像液を収容し、前記現像槽に収容される前記現像液の液面レベルが一定となるように、該現像槽と外部タンクとの間で前記現像液を循環させ、前記光照射部が、前記外部タンク内に収容されている前記現像液に光を照射することが好ましい。こうすれば、現像槽に貯留する現像液の液面レベルを一定に維持できるように外部タンクと現像槽との間で現像液を循環させることができる。また、外部タンクに収容された現像液に光を照射してカスの凝集物を発生させるため、現像槽に凝集物が発生することを回避することができる。
上記平版印刷版原版の処理方法であって、現像時に、搬送される前記平版印刷版原版に前記現像液を現像液供給部から噴射し、前記現像液供給部から噴射された前記現像液を現像槽で回収し、前記現像槽に回収された前記現像液を外部タンクに収容して該現像液を前記現像液供給部に供給し、前記光照射部が、前記外部タンク内に収容されている前記現像液に光を照射することが好ましい。こうすれば、外部タンクに収容された現像液に光を照射してカスの凝集物を発生させるため、現像槽に凝集物が発生することを回避することができる。
上記平版印刷版原版の処理方法であって、前記光照射部が照射する光が紫外線であることが好ましい。こうすれば、紫外線を現像液に照射し、カスの凝集物の発生を促し、現像液を凝集物の沈殿物とそれ以外の上澄みとに分別が行ないやすくなる。
上記平版印刷版原版の処理方法であって、前記現像液は、界面活性剤及び水溶性高分子化合物のうち少なくとも1つを含有する水溶液であることが好ましい。
上記平版印刷版原版の処理方法であって、前記現像液は、pHが8.5〜10.8であることが好ましい。
上記平版印刷版原版の処理方法であって、現像時以外のときに駆動し、前記現像液を現像液冷却手段によって冷却することが好ましい。こうすれば、自動現像装置を駆動させていないときに、現像槽に貯留する現像液中にカスが発生することを抑制することができる。
上記平版印刷版原版の処理方法であって、現像液がさらに低分子カルボン酸イオンを含有することが好ましい。
上記平版印刷版原版の処理方法であって、現像液によって前記平版印刷版原版の非画像部の除去と不感脂化処理を同時に行うことが好ましい。
上記平版印刷版原版の処理方法であって、画像記録層が光重合性であることが好ましい。
本発明によれば、カスが平版印刷版原版に付着することを防止でき、高品質の平版印刷版を作製することが可能な平版印刷版原版の自動現像装置と平版印刷版原版の処理方法を提供できる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。図1は、本発明の一実施形態を説明するための自動現像装置の構成図、図2は感光性平版印刷版原版の構成を示す断面図である。
この自動現像装置は、図示しない露光装置によって画像露光された感光性平版印刷版原版の現像処理に適用される。図1に示すように、この自動現像装置100は、感光性平版印刷版原版(以下「PS版」とも称する)10を加熱する前処理部200と、現像処理とガム処理を同時に行なう現像処理部300と、乾燥部400とを備えている。
本実施形態の自動現像装置100で現像されるPS版10は、図2に示されるように、アルミニウム等を用いた薄板の支持体2の一方の面に、下塗り層3を介して感光層(画像記録層)4を形成し、その上にオーバーコート層5を設けた版である。なお、このPS版10は、原稿画像が形成された原稿フィルムを感光面に密着させて画像露光が施されたり、デジタルデータによりレーザー走査露光により直接露光が施される。PS版10は、自動現像装置100に図1中の矢印Aで示す方向から挿入され、自動現像装置100において一点鎖線11で示される経路に沿って搬送される。以下、この搬送の経路に対してPS版10を挿入する側を上流とし、その反対側を下流とする。
前処理部200では、このPS版10に対し、現像処理に先立って前加熱処理を施す。前処理部200によって前処理(前加熱処理)されたPS版10は、現像処理部300によって現像処理されるが、この現像処理部300は、PS版10に対する現像処理が可能な任意の構成を用いることができる。また、前処理部200は、現像処理部300と別に単独で使用されるものであってもよく、この現像処理部300に連結して使用してもよい。
前処理部200には、機枠202内に、前加熱部204がPS版10の搬送方向上流側に設けられている。前加熱部204には、加熱室208内に複数本の串型ローラ210が配置されている。また、加熱室208内には、入口212側にヒータ214が設けられ、ヒータ214の下流側に循環ファン216が設けられている。
前加熱部204では、PS版10が加熱室208内を通過するときに、所定の温度及び所定の加熱時間となるようにして、PS版10の感光層を的確に硬化させて、PS版10の耐刷力の増加を図っている。
現像処理部300の挿入部302内に搬送ローラ対304が設けられている。
現像処理部300内には、処理タンク306が設けられている。この処理タンク306には、処理槽として現像槽308が形成されている。また、処理タンク306には、現像槽308の上流側(PS版10の搬送方向の上流側)に挿入部302のスペースが設けられ、下流側に乾燥部400が形成されている。
処理タンク306の周囲を覆う外板パネル310には、現像処理部300へのPS版10の挿入側にスリット状の挿入口312が形成され、処理タンク306には、現像処理部300の挿入口312側に挿入部302が形成されている。
挿入部302には、ゴム製の搬送ローラ対304が配設されている。図示しない露光装置によって画像が露光され、前加熱部204で前加熱処理されたPS版10は、挿入口312から矢印A方向に沿って挿入されることにより、搬送ローラ対304の間に送り込まれる。
搬送ローラ対304は、回転駆動されることにより、このPS版10を挿入口312から引き入れながら、水平方向に対して約15°から31°の範囲の角度で現像処理部300へ送り込む。なお、片面タイプのPS版10の処理に用いる現像処理部300では、感光層(感光面)が上方へ向けられた状態で挿入口312から挿入される。すなわち、PS版10は、感光面を上方へ向けられた状態で現像処理部300によって処理される。
処理タンク306に形成されている現像槽308は、底部中央が下方へ向けて突出された略山形状となっており、PS版10の現像処理と不感脂化処理を同時に行う処理液(以下、現像液と称する)を貯留する。
この現像槽308内には、PS版10の搬送路11の上流部となる挿入部302側に搬送ローラ314が配置されている。また、現像槽308内には、PS版10の搬送路11の中央部に搬送ローラ対316が配置され、下流部となる乾燥部400側に搬送ローラ対318が配置されている。また、搬送ローラ314の下流側には、液温センサ336が配置されており、前加熱処理されたPS版10が現像液中に投入される近傍における現像液の温度が検出される。
現像処理部300の現像槽308には、搬送ローラ314と搬送ローラ対316の間にガイド板320が設けられる。このガイド板320は、一端部が搬送ローラ314に対向し、他端部が搬送ローラ対316の間へ向けられている。
これにより、搬送ローラ対304によって現像処理部300内に引き入れられたPS版10は、搬送ローラ314とガイド板320の間に送り込まれ、ガイド板320上を搬送ローラ対316の間へ案内搬送される。
また、現像槽308内には、搬送ローラ対316の近傍に、ガイド板320に対向してブラシローラ322が配置される。ブラシローラ322は、所定回転方向及び所定の回転速度で回転駆動して、ガイド板320上を搬送されるPS版10の表面に接触することにより、PS版10の上面をブラッシングする。なお、ガイド板320は、ブラシローラ322が所定のブラシ圧でPS版10の上面に接触するように配置される。
また、ブラシローラ322は、現像液の液面から突出するようになっており、遮蔽蓋324の凹部には、搬送ローラ対316と共に、ブラシローラ322の液面から突出した上部が入り込むようになっている。
一方、現像槽308内には、搬送ローラ対316、318の間に、ブラシローラ326と搬送ローラ328が配置されている。ブラシローラ326及び搬送ローラ328は、搬送ローラ対316、318の間を搬送されるPS版10の上面側に対向するように取り付けられている。ブラシローラ326は、所定方向及び所定の回転方向に回転しながらPS版10の上面に接触することにより、PS版10の上面側の感光層をブラッシングして、現像液によって不要な感光層の除去を促進するようになっている。
搬送ローラ対304によって挿入口312から引き入れられたPS版10は、搬送ローラ314の下方を通過してブラシローラ322によってブラッシングされた後に搬送ローラ対316の間へ送り込まれ、さらに、搬送ローラ対316によって現像槽308の底面に沿うように搬送ローラ対318へ向けて斜め上方へ案内する。このとき、PS版10の上面側がブラシローラ326によってブラッシングされる。
また、搬送ローラ対318は、例えば外周部がゴム製のローラによって形成されており、PS版10を挟持して現像槽308から引き出しながら、乾燥部400へ送り込む。
現像槽308内には、搬送ローラ対316と搬送ローラ対318の間の底面近傍にスプレーパイプ330が設けられている。このスプレーパイプ330には、図示しないポンプによって吸引した現像槽308内の現像液が供給されるようになっており、スプレーパイプ330からこの現像液を噴出する。これにより、現像槽308内の現像液が攪拌されて、PS版10の均一な処理が可能となるようにしている。
搬送ローラ対318によって現像槽308から引き出されたPS版10は、この搬送ローラ対318によって表面に付着している現像液が絞り落とされながら乾燥部400へ送り込まれる。現像処理部300で現像、不感脂化処理されたPS版10は、表裏面に現像液が若干残った状態(現像液(ガム液)が薄膜として残った状態)で乾燥部400へ送られる。
現像処理部300には、乾燥部400との間に、仕切り板332が設けられている。この仕切り板332は、PS版10の搬送路11の上方に、処理タンク306の上端と対向するように配置されており、これにより、現像処理部300と乾燥部400の間にスリット状の挿通口334が形成されている。なお、仕切り板332は、二重構造となっており、これにより、挿通口334の乾燥部400側に溝状の通気路が形成され、乾燥部400内の空気がこの通気路内に入り込むことにより、乾燥部400内の空気が挿通口334から現像処理部300内に入り込んでしまうのを防止している。
乾燥部400内には、挿通口334の近傍に、PS版10を支持する支持ローラ402が配設され、また、PS版10の搬送方向の中央部及び、排出口404の近傍には、搬送ローラ対406及び搬送ローラ対408が配設されている。PS版10は、支持ローラ402及び搬送ローラ対406、408によって乾燥部400内を搬送される。
支持ローラ402と搬送ローラ対406との間、及び搬送ローラ対406と搬送ローラ対408との間には、PS版10の搬送路11を挟んで対でダクト410、412が配設されている。ダクト410、412は、長手方向がPS版10の幅方向に沿って配設されており、PS版10の搬送路11に対向する面にスリット孔414が設けられている。
ダクト410、412は、図示しない乾燥風発生手段によって発生された乾燥風が、長手方向の一端側から供給されると、この乾燥風をスリット孔414からPS版10の搬送路11へ向けて吐出し、PS版10に吹き付ける。これにより、PS版10は、表裏面に塗布されている現像液(ガム液)が乾燥され、保護膜が形成される。
現像処理部300では、現像槽308内に遮蔽蓋324を配置することにより、現像槽308内の現像液中の水分蒸発を防止するようにしている。なお、遮蔽蓋324及び処理タンク306と搬送ローラ314や搬送ローラ対318等の間にシリコンゴム等によって形成したブレード状の遮蔽部材(図示省略)を設けて、現像槽308内の現像液が新鮮な外気と接触したり、現像液中の水分が蒸発してしまうのを防止してもよく、より好ましい。また、水蒸発量分だけ水が補充されても良い。水補充は停止時間を積算してスタート時に積算補充する方法と、稼動時間中に一定時間毎に補充する方法が一般的である。
現像槽308には、該現像槽308の液面レベルと略等しい位置に設けられ、現像液の流入を許容するオーバーフロー口51が設けられている。自動現像装置は100は、オーバーフロー口51に連通する第1循環用配管C1と、第1循環用配管C1に接続され、現像液を収容可能な外部タンク50(例えば、容量20リットル)と、外部タンク50に収容された現像液を現像槽308側へ循環させる第2循環用配管C2と、第2循環用配管C2に沿って現像液を循環させるための現像液供給ポンプ55と、循環する現像液中に含まれる凝集物を捕集するためのフィルタ部54が設けられている。現像時に、現像槽308からオーバーフローした現像液は循環用配管C1を介して外部タンク50に送り込まれ、後述するように外部タンク内で凝集物を発生させた後、外部タンク50に収容された現像液のうち底部に沈殿した凝集物を除く現像液を、第2循環用配管C2によって現像槽308に戻すことで、現像液の循環が行なわれる。
現像液供給ポンプ55は、現像液を外部タンク50から現像槽308に計量して供給する。第1循環用配管C1、第2循環用配管C2、現像液供給ポンプ55、外部タンク50によって現像液循環手段が構成されている。
上記現像液供給ポンプ55は、図示しない版検出センサ及び時間計測部に基づいて、現像液の補充条件等が記憶された制御ROM及びRAM及び時間計測部を備えた制御装置によって制御される構成としてもよい。即ち、制御装置は、版が搬送されてきたかどうかの有無及びその搬送された版の版面積等を測定可能な版検出センサから信号に基づいて、現像液供給ポンプ55を制御し、自動現像装置100の実際の運転条件に合わせて設定された現像液の制御ROM及びRAMによって記憶された補充条件に基づいて補充を行う。これにより制御装置は、補充条件に見合う量の現像液を外部タンク50から例えば版1枚毎の処理毎に補充する。ここで、処理補充としては、版1枚毎とせず、複数の版が通過した後に補充する等して構成してもよい。
更に、外部タンク50と現像槽308との間で現像液を常時循環していても良い。たとえば100ml/分〜1000ml/分の量で常時循環していても良い。
自動現像装置100は、現像液に、波長200nmから450nmの光Lを照射して、現像液中に凝集物を発生させる光照射部60を備えている。図1に示す自動現像装置100の構成では、光照射部60を、外部タンク50の近傍に設けている。外部タンク50に収容された現像液に光照射部60から光を照射することで、該現像液においてカスの凝集物の発生が促進され、発生した凝集物が自重によって外部タンク50の底部に沈殿する。外部タンク50に収容された現像液のうち凝集物以外の現像液は上澄み部分にも凝集物が含まれているため、第2循環用配管C2に設けられたフィルタ部54によって捕集する。
現像槽308に含まれる水が蒸発による減少を補充するため、補充用の水タンク71を備えている。水タンク71に 貯留する水は、補充用配管C3と水補充ポンプ72とを介して現像槽308に供給される。水補充は運転中でも停止中に行っても良い。
補充用の水としては、軟水化装置でカルシウムやマグシウムなどの所謂硬水成分を除去した水が好ましい。軟水化装置としては、イオン交換樹脂方式軟水化装置や逆浸透膜方式軟水化装置を使用できる。軟水化装置としてはイオン交換樹脂方式であるInoxdep(イノックスデップ)社製で日本販売名ソフナー・ディ・アクアM(こみち書房代理店)が、性能、価格、メンテナンス性から好ましい。
外部タンク50には、上限液レベル計52と、下限液レベル計53とが設けられている。上限液レベル計52は、外部タンク50に収容された現像液がオーバーフローしないように液面の上限位置を検出する。下限液レベル計53は、外部タンク50に収容された現像液が、蒸発などによって不足又は枯渇してしまうことを回避するため、該現像液の下限位置を検出して液面未検出の場合に水タンク71から新たに水を補充する。
また、現像槽308には、現像液の液面レベルを検出するための現像液レベル計338が設けられ、現像液の不足又は枯渇による現像槽の空炊きを防止し、現像液の液面レベルを常に適正な範囲に維持し、現像時間を安定化させる。
波長200nmから450nmの光としては、例えば、紫外線を用いることができる。外部タンク50内に収容された現像液に紫外線を照射し、低アルカリ現像液で溶解できずに残存した感光層微粒子又は半溶解の感光層成分を凝集させることで、通常のフィルタ部54でカスの凝集物を容易に捕捉できる。これによって、簡単な工程でPS版10の表面にカスが付着するのを防止することができる。
紫外線は通常のUV塗料などの硬化に用いられて200〜450nmの波長を発するメタルハライドランプ・低圧水銀・高圧水銀ランプ・蛍光灯などを使用することができる。
短波側は外部タンク50を構成する材料などの劣化を早め、又危険なため実用性がない。長波側はカスの凝集を促進する効果がない。
紫外線の照射は外部タンクに組み込み、常時照射しても良く、自動現像機が停止中のみ行うこともできる。外部タンクは紫外線が外部に漏れるのを防ぐため遮光されている。
フィルタ部54は、メンブランタイプ、デプスタイプ、吸着タイプ、バッグタイプ、サーフェイスタイプなどいかなる物も使用できるが、安価で汎用性のあるデプスタイプの糸巻きタイプが好ましい。材質は現像液に腐食されないも物であればいかなる物でも使用できるが、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、コットンが好ましい。
フィルタ部54の濾過精度は0.5μm〜250μmが使用できるが、好ましくは5μm〜150μm、より好ましくは10μm〜100μmである。この理由としては、細かいとフィルタ交換頻度が多くなりコストがかかる。粗いと、カスが捕集されずに版上カスとなるためである。
フィルタ部54は外部タンク50から現像槽308に現像液をもどす途中の配管に設置する。
フィルタ部54は1個でも良いが複数個設置することができる。初め粗いフィルタで濾過し、次に目の細かいフィルタで濾過すること望ましい。
更に、第2循環用配管C2の途中に図示しない流量計を設置し、フィルタ部54の交換時期を使用者に知らせるようにいても良い。
光照射部60と、フィルタ部54とを備えた構成とすれば、現像液が時間経過等によって疲労した場合にカスが付着しやすい状況になってくが、外部タンク50で紫外線を照射しカスをフィルタ部54で捕集しているためカス付着汚れのないPS版10を得ることができる。
自動現像装置100のように、現像槽308のみの1浴だけで処理を行なった後に、乾燥部400が設けられ、1浴目で現像と同時に不感脂化処理されたPS版10が、乾燥部400にて乾燥される。現像槽308のみの1浴だけで、処理を完結させる場合、装置コストを下げられると同時に、省スペース化が可能になる。しかも、外部タンク50をおいて現像液を循環させているので、常時現像液の液面を一定レベルに維持することが出来、現像処理が安定する。
さらに、外部タンク50において紫外線を現像液に照射し、カスを積極的に凝集させた後、循環する現像液に含まれる凝集物についてはフィルタ部54で捕集しているため、現像槽308でPS版10にカスが付着することを防止することができ、カス汚れのないPS版10を得ることができる。
自動現像装置100は、現像時以外のとき、つまり、自動現像装置100を起動していない状態で、現像液の冷却を行なう現像液冷却手段として機能する冷却装置(チラー)80を備えている。冷却装置80の構成としては、例えば、冷却水を流通させるための冷却パイプを外部タンク50の底部に配管し、現像時以外のときに、外部タンク50に現像槽308の現像液を一旦全部回収し、冷却パイプに冷却水を流通させることで、外部タンク50に収容された現像液を0℃〜10℃に冷却する機構である。こうすることで、現像時以外のときは現像液中にカスの凝集物が生成されることを防止することができる。なお、冷却装置は、現像槽308に貯留している現像液を現像時以外のときに冷却する機構であってもよい。こうすれば、外部タンク50に現像液を一旦回収する作業を行なう必要がない。
また、従来装置ではまだ現像能力がある現像液でも一部廃液として捨てられる構成となっていたが、上記自動現像装置では現像液を循環させることで、現像液の現像能力を100%利用することができ、現像液の寿命をコントロールできる。
しかも、オーバーフローにより簡易に液面の高さをコントロールできる。
さらに、現像液には水溶性樹脂が含まれているため、既存の自動現像装置の持つ構成部品を有効利用でき、小規模な改良で大きな効果を得ることができる。
このように、自動現像装置100によれば、現像槽308内で現像と同時に不感脂化処理されたPS版10が乾燥部400にて乾燥されるようにしたので、処理を完結させる場合、装置コストを下げられると同時に、省スペース化が可能になり、しかも現像液内で現像・擦り処理を行なうので、同じ低アルカリ化処理を行なう水平搬送式自動現像装置と比べて、液はねによる液飛散がなくなり、飛散した液が乾燥することでカス化してしまう問題も解消する。しかも、現像液を循環させているので、常時現像液の液面を一定レベルに維持することができ、現像処理が安定する。
次に、上記自動現像装置を用いてPS版10に現像処理を行なう手順を説明する。
PS版10には、自動現像装置による現像処理を行なう前に、予め、図示しない露光装置によって予め画像露光処理が施されている。露光装置による露光処理において、PS版10は、線画像や網点画像等を有する透明原画を通して露光するか、デジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光される。露光に好適な光源としては、カーボンアーク灯、水銀灯、キセノランプ、メタルハイラドランプ、ストロボ、紫外線、赤外線、レーザー光線などが挙げられる。特にレーザー光線が好ましく、波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザー、波長250〜420nmの光を放射する紫外線半導体レーザー、可視光を放射するアルゴンイオンレーザー、FD−YAGレーザーなどが挙げられる。なかでも、製版の簡易化の点からは、赤外線または紫外線を放射するレーザーが好ましい。紫外線の露光光源の波長は350nmから450nmである。
波長350nm〜450nmの光を発する入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。ガスレーザとして、Arイオンレーザ(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザ(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、半導体レーザー系として、KNbO3リング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザとしてN2レーザー(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)。この中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
走査露光方式の平版印刷版原版露光装置に関しては、露光機構としては内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式のいずれでもよく、光源としては上記光源の中で連続発振可能なものが好ましく利用できる。
次に、挿入口から挿入されたPS版10が、機枠202内に引き入れられると共に、加熱室208内へ送り込まれる。前加熱部204では、加熱室208内に送り込まれたPS版10をヒータ214によって加熱しながら搬送する。これにより、PS版10は、予め設定されている加熱温度及び加熱時間で加熱され、画像部の光重合層の重合度を増加させて耐刷力が増加されて送り出される。
PS版10は、加熱室208の出口218から搬出された側の端部が現像処理部300の搬送ローラ対304に挟持されることで、前処理部200から現像処理部300へと送り出される。
現像処理部300では、図示しない焼付装置等の画像露光装置によって露光されることにより画像が記録されたPS版10が、挿入口312から挿入されると、搬送ローラ対304を回転駆動させる。これにより、PS版10は、搬送ローラ対304によって挟持されて、現像処理部300内に引き入れられる。
挿入口312から引き入れたPS版10が現像槽308へ送り込まれ、ガイド板320によって案内されながら搬送ローラ314及び搬送ローラ対316、318によって現像槽308内を搬送されて、現像槽308内に貯留されている現像液(処理液)に浸漬される。そして、搬送ローラ対318によって17°〜31°の範囲の排出角度で、現像液中から送り出される。
PS版10は、現像槽308内で現像液に浸漬されることにより、露光画像に応じて不要な感光層4が支持体2から除去される。このとき、現像処理部300では、現像槽308内に配置しているブラシローラ322、326によってPS版10の表面(感光層側の面)がブラッシングされることにより、PS版10の表面からの不要な感光層4の除去を促進するようにしている。また、処理液(現像液)に浸漬されることにより、現像処理と同時に、該処理液に含まれるガム液がPS版10の表裏面に均一に塗布される。
現像処理及び不感脂化処理が行われて、現像槽308から送り出されるPS版10は、搬送ローラ対318によって乾燥部400へ送られる。このとき、搬送ローラ対318は、現像絞りローラとして機能し、PS版10に付着している現像液(処理液)をPS版10の表裏面から絞り落とすことにより、PS版10の表裏面にガム液の均一な薄膜を形成する。
現像処理部300で現像処理及び不感脂化処理(ガム液塗布)が行われたPS版10は、挿通口334から乾燥部400へ送り込まれる。なお、挿通口334にシャッタを設けているときには、PS版10の処理開始のタイミングないしPS版10が現像処理部300から送り出されるタイミングで、シャッタを作動させて、挿通口334を開放する。これにより、PS版10の非通過時に乾燥部400の乾燥風が不必要に現像処理部300へ入り込んで、搬送ローラ対318にガム液が固着してしまうのを防止すると共に、挿通口334から空気が入り込み、現像液中の水分が蒸発して挿通口334から出てしまうのを防止している。また、搬送ローラは乾燥防止のため停止中に間欠運転を行っても良い。運転スタンバイ中は20分おきに1分程度搬送ローラ、現像ブラシローラを回転する。設定時間は任意に変更できる。更に、運転開始時は5分から60分程度搬送ローラを回転し固着した現像液成分を除去することができる。設定時間は任意に変更できる。
乾燥部400では、支持ローラ402及び搬送ローラ対406、408によってPS版10を搬送しながら、ダクト410、412からこのPS版10の表裏面に乾燥風を吹き付ける。これにより、PS版10は、表面に塗布されているガム液による保護膜が形成されて排出口404から排出される。
現像処理部300では、現像槽308内に配置しているブラシローラ322、326によってPS版10の表面(感光層側の面)がブラッシング(擦り処理)されることにより、PS版10の表面からの不要な感光層4の除去が促進されるが、ブラシローラ322、326による擦り処理は、現像液に浸漬して、ある時間経過してから行われた際に効果が大きい。
自動現像装置100の現像処理は、先ず、現像液がPS版10の感光層4内に浸透し、その後非画像部の感光層除去が簡便に行えるようになる。従って、擦り動作を行うまでに予め、現像液に浸した状態とする方が、効率的に感光層4を除去することが可能となる。その経過時間は実験によれば2sec以上であり、より好ましくは、5sec以上、更に好ましくは10sec以上である。現像処理は、通常60sec以内で行われるため、経過時間も必然的に50secよりも短くなる。
ここで、現像液に浸漬する前に、スプレー管(図示せず)等を用いて、PS版10の感光層4を現像液と接触させることができる。この場合、感光層4を現像液に接触させてから、現像が現像液中で行われる擦りまでの時間が長くとれるため、より効率的に現像を行うことができる。また、現像液に接触させることにより、適宜、現像液中に浸漬させてから、擦り取るまでの時間を適宜短縮することができる。また、現像液の浸透を促進させるために、現像液に接触させた状態でPS版10を振動させる手法も適宜用いることができる。
よって、現像液中に浸漬した後、PS版10が現像液から出るまでの間をtsecとれば、ブラシローラ322、326による擦り処理は、t/2sec後、もしくはそれ以降に行われることが好ましい。従って、現像槽308の中間もしくは後半部で現像を行うことが望ましい。勿論、現像槽308を長くしたり、搬送速度を遅くしたりして、現像液中に浸漬する時間を長くすれば、擦り処理を現像槽308の前半部で行うことも可能であるが、常に安定した現像処理を付与するために、ブラシローラ322、326による擦り処理を、現像槽308の中間、もしくは後半で行うのがよい。
ブラシローラは、PS版10の画像記録面を擦ることができる部材であれば何でも良いが、特に、回転軸を中心に回転することで画像記録面を擦ることが可能な部材(例えば、公知のチャンネルブラシ、ねじりブラシ、植え込みブラシ、絨毯ブラシ、およびモルトンローラなど)を使用することが好ましい。
チャンネルブラシとしては、実開昭62-167253号、実開平4-63447号、実開平4-64128号、特開平6−186751号の各公報に開示されているような、長尺のいわゆるチャンネルブラシ(帯状ブラシ)を、ローラ本体表面に螺旋状に巻付けたものが用いられる。
ねじりブラシとしては、特開平3−87832号の各公報に開示されているようなシャフトに設けられた螺旋状の溝内にねじりブラシを挿入してシャフトへ螺旋状に巻き付けたものが用いられる。
植え込みブラシとしては、シャフトローラに小穴をあけ、ブラシ材料を植え込む方法で作成されるものが用いられる。
絨毯ブラシとしては、特開2001−5193号、特開2001−66788号の各公報に開示されているようなシャフトローラの周面に織物に毛材が織り込まれた細長の帯体を巻き付けたものが用いられる。
モルトンローラとしては、特開平10−198044号の公報に開示されているようなローラ部に繊維製の編成物からなる筒状の摺接材を被せて装着側の端部を緊締したものが使用できる。
ブラシローラの回転数は、PS版10の非露光部の画像記録層の除去性を向上させるために、なるべく速いことが好ましいが、自動現像装置100の耐久性、製造コスト、現像液の飛散及びPS版10の露光部の損傷等の観点から、30〜1000rpm、より好ましくは50〜500rpmが好ましい。
ブラシローラの本数は、一本以上有ればよく、複数本有していても良い。2本以上の場合は、一本以上を、PS版10の処理方向と逆の方向に回転させても良い。さらに、回転軸方向に揺動させながら現像処理を行っても良い。ブラシローラを回転軸方向に揺動させることで、PS版10の非画像部の除去をより効率的に行うことができ、より高品質の平板印刷版を作製することが可能となる。
ブラシローラに用いるブラシの材質は、馬の毛、豚の毛等の天然繊維、人造繊維、金属繊維などが知られているが、耐薬品性より人造繊維が好ましい。人造繊維としては、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン12等のポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル類、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリオレフィン類、アセチルセルロース等のセルロース類、ポリウレタン等のポリウレタン類、ポリフェニレンサルファイト、エチレン・4弗化エチレン共重合体、ポリ弗化ビニリデン等の弗素樹脂類が用いられるが、弾性、剛性、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性、給水性、吸湿性等を考慮すると、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン12、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートが好ましく、より好ましくはナイロン6・6、ナイロン6・10、6・12、ナイロン12、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンが用いられる。ポリエステル類ではとくにポリブチレンテレフタレート(PBT)が好ましい。ポリオレフィン類では特にポリプロピレンが好ましい。
ブラシの毛の太さは特に限定はされないが、0.01mmから1.0mmが好ましく、より好ましくは、0.1mmから0.5mmが好ましい。ブラシの太さが0.01mmより細いと擦り性が劣り、1.0mmより太いと、版面に擦り傷を付けやすくなるためである。また、ブラシの毛の長さは特に限定されないが、通常3mmから50mmの範囲で用いられる。3mmより短くするとPS版10へのあたりが不均一になって版面に擦り傷を付けやすくなるためである。また、50mmより長い場合には、長くすることによる現像処理上のメリットが見出されなくなり、経済的にも不利である。モルトンローラの場合は、編成物からなる筒状の摺接材を被せるため、毛材の太さや長さの規定は不要である。
上記自動現像装置によれば、現像槽308内で現像と同時に不感脂化処理されたPS版10が乾燥部400にて乾燥されるようにしたので、処理を完結させる場合、装置コストを下げられると同時に、省スペース化が可能になり、しかも前処理部(前加熱部)200を設けているので耐刷性に優れたPS版10の製作が可能となる。
ここで、通常の現像処理における現像液温度は、20℃〜40℃、好ましくは25℃〜35℃の範囲とされている。仮にこの温度範囲を越えた場合、5℃高くなるとPS版10の耐刷性が低減し、2℃高くなると感光膜の膜減りが生じる。また、2℃低くなるとPS版10の一部に現像不足による残膜が生じ、5℃低くなると全面に残膜が発生する。このように、現像液は僅か数度の温度変化であっても現像結果に大きな影響を及ぼす。そのため、現像に先立って前加熱されたPS版10の版面10aの温度を下げておくことは、高品位な印刷版を得る上で重要となる。
なお、通常の平版印刷版原版の現像処理では、現像液のpHは12以上であるため、現像液を放置すると空気中の二酸化炭素によりpH低下が激しくなり、現像液の劣化が急速に進行する。これに対して、平版印刷版原版の処理方法によれば、現像液のpHが8.5〜10.8とされるため、二酸化炭素によるpH低下が抑制される。これにより現像液の寿命を長くすることができる。また、現像液のpHを8.5〜10.5にすると平版印刷版の現像性が低下するので、現像性を向上させるために界面活性剤の添加量を1〜30重量%にする。これにより、低いpHとすることに起因する現像性低下分を補完することができ、現像性を良好に維持することができる。
次に、自動現像装置の別の構成を説明する。図3は、自動現像装置の別の構成例を示す図である。図1では、現像時に、現像槽308に貯留した現像液に、搬送されるPS版を浸漬させて現像処理を行なう、所謂、浸漬型の自動現像装置を例に説明したが、これに限定されない。図3に示す自動現像装置は、現像処理部12と、乾燥部20とを備える一方で現像処理部12の上流側に前処理部を備えていない点で、浸漬型の自動現像装置と相違する。
図3に示す自動現像装置は、矢印A方向に予め画像露光が行なわれたPS版が搬入され、図中一点鎖線で示される搬送経路に沿って搬送される。
現像処理部12は、搬送されるPS版10の下面側を支持する搬送支持部17と、搬送されるPS版10の上面に現像液を噴射する現像液供給部16と、PS版10の現像液が付着している表面をブラッシングし、不要な感光層4を除去するブラシローラ18とを備えている。ブラシローラ18は上述したものを用いることができる。
乾燥部20は、支持ローラ及び搬送ローラ対(図1参照)によってPS版10を搬送しながら、ダクトからこのPS版10の表裏面に乾燥風を吹き付ける。これにより、PS版10は、表面に塗布されているガム液による保護膜が形成されて排出口から排出される。
この構成の自動現像装置では、PS版10を水平方向に搬送しつつ、現像液を噴射し、余剰な現像液が現像槽14の底部に回収され、回収口15から回収される。図3に示す自動現像装置は、図1の自動現像装置にようにPS版10を現像槽308に潜り込むように湾曲して搬送させ、現像液に浸漬させて現像処理を行なう構成に対して、水平搬送型の自動現像装置ともいう。
水平搬送型の自動現像装置においても、図1に示す自動現像装置と同様に、外部タンク50、フィルタ部54とを備えた構成である。つまり、回収口15に連通する第1循環用配管C1と、第1循環用配管C1に接続され、現像液を収容可能な外部タンク50(例えば、容量20リットル)と、外部タンク50に収容された現像液を現像槽14側へ再び供給する第2循環用配管C2と、第2循環用配管C2に沿って現像液を循環させるための現像液供給ポンプ55と、循環する現像液中に含まれる凝集物を捕集するためのフィルタ部54が設けられている。現像時に、現像槽14から回収された現像液は循環用配管C1を介して外部タンク50に送り込まれ、後述するように外部タンク50内で凝集物を発生させた後、外部タンク50に収容された現像液のうち底部に沈殿した凝集物を除く現像液を、第2循環用配管C2によって現像槽14に戻すことで、現像液の循環が行なわれる。
また、外部タンク50の近傍には、現像液に、波長200nmから450nmの光Lを照射して、現像液中に凝集物を発生させる光照射部60が設けられている。光照射部60は、上述した構成のものを用いることができる。
さらに、現像時以外のとき、つまり、自動現像装置100を起動していない状態で、現像液の冷却を行なう現像液冷却手段として機能する冷却装置(チラー)80を備えている。冷却装置80の構成としては、上記自動現像装置100に設けられたものと同様とすることができる。
[平版印刷版の作製方法]
次に、平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法について詳細に説明する。平版印刷版の作製方法は、平版印刷版原版を画像露光(露光工程)した後、水溶性高分子化合物及び界面活性剤の少なくとも一方、場合により低分子ヒドロキシカルボン酸イオンを含有する水溶液で処理(現像工程)することを特徴とする。また、現像工程の後に水洗工程とフィニッシング工程を設けても良い。さらに、必要により、上記露光工程と現像工程の間及び/又は現像工程の後に、平版印刷版原版を全面露光及び/又は加熱する工程を設けてもよい。
次に、現像工程について詳述する。通常の処理工程においては、前水洗工程により保護層を除去し、次いでアルカリ現像を行い、後水洗工程でアルカリを除去し、ガム引き工程でガム処理を行い、乾燥工程で乾燥するのに対して、本発明においては、水溶性高分子化合物及び界面活性剤の少なくとも一方を含有する水溶液を用いることにより、現像とガム引きを同時に行うことを特徴としている。よって後水洗工程は特に必要とせず、一液で現像とガム引きを行ったのち、乾燥工程を行うことができる。さらに、保護層の除去も現像及びガム引きと同時に行うことができるので、前水洗工程も必要としない。現像及びガム引きの後、スクイズローラー等を用いて余剰の処理液を除去してから乾燥を行うことが好ましい。
現像工程のあと、連続的又は不連続的に乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥は熱風、赤外線、遠赤外線等によって行う。
[ネガ型平版印刷版原版]
本発明における平版印刷版原版について、その構成を順次説明する。
〔支持体〕
最初に、本発明で使用する平版印刷版原版の支持体について説明する。
支持体は、表面が親水性であれば如何なるものでも使用され得るが、寸度的に安定な板状物が好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、また、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む。)、亜鉛、銅等のような金属またはその合金(例えばケイ素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルとの合金)の板、更に、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等のようなプラスチックのフィルム、上記の如き金属または合金がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。これらの支持体のうち、アルミニウム板は寸度的に著しく安定であり、しかも安価であるので特に好ましい。更に、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。通常その厚さは0.05mm〜1mm程度である。
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、後述する砂目立て処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理等の表面処理がなされていることが好ましい。
[砂目立て処理]
砂目立て処理方法は、塩酸または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て方法、およびアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法のような機械的砂目立て法を用いることができ、上記砂目立て方法を単独あるいは組み合わせて用いることもできる。例えば、特開昭56−28893号公報には、機械的砂目立て、化学的エッチングおよび電解グレインを行う方法が記載されている。 具体的には、有用な表面粗さを作る方法は、塩酸または硝酸電解液中で化学的に砂目立てする電気化学的方法であり、適する電流密度は100C/dm〜400C/dmの範囲である。さらに具体的には、0.1〜50%の塩酸または硝酸を含む電解液中、温度20〜100℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm〜400C/dmの条件で電解を行うことが好ましい。
このように砂目立て処理されたアルミニウム支持体は、酸またはアルカリにより化学的にエッチングされる。酸をエッチング剤として用いる場合は、微細構造を破壊するのに時間がかかる。この問題は、アルカリをエッチング剤として用いることにより改善できる。
好適に用いられるアルカリ剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられ、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃であり、アルミニウムの溶解量が5〜20g/mとなるような条件が好ましい。
エッチングの後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸としては、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が挙げられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度で15〜65質量%の硫酸と接触させる方法、および、特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が好ましく挙げられる。
好ましいアルミニウム支持体の表面粗さ(Ra)は、0.3〜0.7μmである。
[陽極酸化処理]
以上のようにして砂目立て処理されたアルミニウム支持体は、さらに陽極酸化処理を施してもよい。陽極酸化処理は、当該技術分野において従来から行われている方法で行うことができる。
具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフォン酸等あるいはこれらの二種以上を組み合わせて、水溶液または非水溶液中でアルミニウムに直流または交流を流すと、アルミニウム支持体表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液の濃度が1〜80%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60アンペア/dm、電圧1〜100V、電解時間10〜100秒の範囲が適当である。
これらの陽極酸化処理のうちでも特に英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸中、高電流密度で陽極酸化する方法、および、米国特許第3,511,661号明細書に記載されているリン酸を電解浴として陽極酸化する方法が好ましい。
陽極酸化皮膜は1〜10g/mであることが好ましい。1g/m未満であると版に傷が入りやすく、10g/mを超えると製造に多大な電力が必要となり経済的に不利である。好ましくは、1.5〜7g/mであり、更に好ましくは、2〜5g/mである。
更に、支持体は、砂目立て処理および陽極酸化処理後に、封孔処理を施されてもよい。封孔処理は、熱水および無機塩または有機塩を含む熱水溶液への支持体の浸漬並びに水蒸気浴などによって行われる。また支持体には、アルカリ金属珪酸塩によるシリケート処理や、たとえば弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理などの表面処理が施されてもよい。
支持体(アルミニウム板の場合には、上記の如く適宜表面処理を施されたアルミニウム板が好ましい)上に、例えば、光重合性の感光性組成物からなる画像記録層を塗工し、次いで必要により保護層を塗工することで、平版印刷版原版が形成されるが、画像記録層を塗工する前に必要に応じて有機または無機の下塗り層を設けてもよいし、特開平7−159983号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を支持体表面に共有結合させるゾル−ゲル処理を施してもよい。
有機下塗層を形成する物質としては、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、黄色染料、アミン塩等が挙げられる。
具体的には、有機下塗層に用いられる有機化合物としては例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、ポリビニルホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸等の有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニン等のアミノ酸類、およびトリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれる。これらは二種以上混合して用いてもよい。
有機下塗層は次のような方法で設けることが出来る。即ち、水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液を支持体上に塗布、乾燥して設ける方法と、水またはメタノール、タノール、メチルエチルケトン等の有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、支持体を浸漬して上記有機化合物を吸着させ、しかる後、水等によって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、有機化合物の0.005〜10質量%の溶液を種々の方法で塗布できる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布等いずれの方法を用いてもよい。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。
これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウム等の塩基性物質や、塩酸、リン酸等の酸性物質によりpHを調節することにより、pH1〜12の範囲で使用することもできる。また、平版印刷版原版の調子再現性改良のために、黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/mが適当であり、好ましくは5〜100mg/mである。被覆量が2mg/mより少ないと十分な耐刷性が得られない場合がある。また、200mg/mより大きくても同様である。
無機下塗り層に用いられる物質としては、酢酸コバルト、酢酸ニッケル、フッ化チタン酸カリウム等の無機塩等が挙げられる。無機下塗り層の設け方は、上記した有機下塗り層と同様である。
下塗り層としては、ホスホン酸基、リン酸基又はスルホン酸基のいずれか1種を側鎖に有する重合体または共重合体を有することが耐刷性向上の観点から好ましい。共重合体の場合、これらの基を有する重合成分を10〜90モル%有することが好ましく、20〜50モル%有することがより好ましい。さらに、共重合体が側鎖にエチレン性不飽和結合を有することが好ましい。側鎖にエチレン性不飽和結合を有する重合成分を10〜90モル%有することが好ましく、15〜40モル%有することがより好ましい。
〔画像記録層〕
本発明で使用するネガ型平版印刷版原版の画像記録層(以下、感光層とも云う)は、基本成分として、(i)増感色素、(ii)光重合開始剤、(iii)エチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物及び(iv)バインダーポリマーを含有する。
〔増感色素〕
本発明で使用される増感色素は、吸収したレーザー光のエネルギーを光重合開始剤へエネルギー移動又は電子移動により伝達することが可能な色素である。
上記機能を有する増感色素であれば特に吸収波長は限定されず、露光に用いるレーザーの波長により適宜選択されるが、本発明では、特に、350nmから450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素が好ましく用いられる。この様な増感色素としては、例えば、下記一般式(2)に示されるメロシアニン色素類、下記一般式(3)で示されるベンゾピラン類、クマリン類、下記一般式(4)で表される芳香族ケトン類、下記一般式(5)で表されるアントラセン類、等を挙げることができる。
Figure 2010054955
上記式(2)中、AはS原子もしくは、NR6を表し、R6は一価の非金属原子団を表し、Yは隣接するAおよび隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、X1、X2はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、X1、X2は互いに結合して色素の酸性核を形成してもよい。
Figure 2010054955
式(3)中、=Zは、オキソ基、チオキソ基、イミノ基または上記部分構造式(1′)で表されるアルキリデン基を表し、X1、X2は一般式(2)と同義であり、R7〜R12はそれぞれ独立に一価の非金属原子団を表す。
Figure 2010054955
式(4)中Ar3は、置換基を有していてもよい芳香族基またはヘテロ芳香族基を表し、R13は一価の非金属原子団を表す。好ましいR13は、芳香族基またはヘテロ芳香族基であって、Ar3とR13が互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2010054955
式(5)中、X3、X4、R14〜R21はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、好ましいX3、X4はハメットの置換基定数が負の電子供与性基である。
一般式(2)から(5)における、X1からX4、R6からR21で表される一価の非金属原子団の好ましい例としては、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジン等のヘテロアリール環から誘導される基)、アルケニル基(例えばビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(−PO32)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−PO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−PO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO32)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられ、以上の一価の非金属原子団のうち、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基が特に好ましい。
一般式(2)に於けるYが隣接するAおよび隣接炭素原子と共同して形成する色素の塩基性核としては、5、6、7員の含窒素あるいは含硫黄複素環が挙げられ、好ましくは5、6員の複素環である。
含窒素複素環の例としては例えば、L.G.Brooker et al., J. Am. Chem. Soc., 73, 5326-5358(1951)および参考文献に記載されるメロシアニン色素類における塩基性核を構成するものとして知られるものをいずれも好適に用いることができる。具体例としては、チアゾール類(例えば、チアゾール、4−メチルチアゾール、4−フェニルチアゾール、5−メチルチアゾール、5−フェニルチアゾール、4,5−ジメチルチアゾール、4,5−ジフェニルチアゾール、4,5−ジ(p−メトキシフェニルチアゾール)、4−(2−チエニル)チアゾール等)、ベンゾチアゾール類(例えば、ベンゾチアゾール、4−クロロベンゾチアゾール、5−クロロベンゾチアゾール、6−クロロベンゾチアゾール、7−クロロベンゾチアゾール、4−メチルベンゾチアゾール、5−メチルベンゾチアゾール、6−メチルベンゾチアゾール、5−ブロモベンゾチアゾール、4−フェニルベンゾチアゾール、5−フェニルベンゾチアゾール、4−メトキシベンゾチアゾール、5−メトキシベンゾチアゾール、6−メトキシベンゾチアゾール、5−ヨードベンゾチアゾール、6−ヨードベンゾチアゾール、4−エトキシベンゾチアゾール、5−エトキシベンゾチアゾール、テトラヒドロベンゾチアゾール、5,6−ジメトキシベンゾチアゾール、5,6−ジオキシメチレンベンゾチアゾール、5−ヒドロキシベンゾチアゾール、6−ヒドロキシベンゾチアゾール、6−ジメチルアミノベンゾチアゾール、5−エトキシカルボニルベンゾチアゾール等)、ナフトチアゾール類(例えば、ナフト[1,2]チアゾール、ナフト[2,1]チアゾール、5−メトキシナフト[2,1]チアゾール、5−エトキシナフト[2,1]チアゾール、8−メトキシナフト[1,2]チアゾール、7−メトキシナフト[1,2]チアゾール等)、チアナフテノ−7’,6’,4,5−チアゾール類(例えば、4’−メトキシチアナフテノ−7’,6’,4,5−チアゾール等)、オキサゾール類(例えば、4−メチルオキサゾール、5−メチルオキサゾール、4−フェニルオキサゾール、4,5−ジフェニルオキサゾール、4−エチルオキサゾール、4,5−ジメチルオキサゾール、5−フェニルオキサゾール等)、ベンゾオキサゾール類(ベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、5−メチルベンゾオキサゾール、5−フェニルベンゾオキサゾール、6−メチルベンゾオキサゾール、5,6−ジメチルベンゾオキサゾール、4,6−ジメチルベンゾオキサゾール、6−メトキシベンゾオキサゾール、5−メトキシベンゾオキサゾール、4−エトキシベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、6−メトキシベンゾオキサゾール、5−ヒドロキシベンゾオキサゾール、6−ヒドロキシベンゾオキサゾール等)、ナフトオキサゾール類(例えば、ナフト[1,2]オキサゾール、ナフト[2,1]オキサゾール等)、セレナゾール類(例えば、4−メチルセレナゾール、4−フェニルセレナゾール等)、ベンゾセレナゾール類(例えば、ベンゾセレナゾール、5−クロロベンゾセレナゾール、5−メトキシベンゾセレナゾール、5−ヒドロキシベンゾセレナゾール、テトラヒドロベンゾセレナゾール等)、ナフトセレナゾール類(例えば、ナフト[1,2]セレナゾール、ナフト[2,1]セレナゾール等)、チアゾリン類(例えば、チアゾリン、4−メチルチアゾリン等)、キノリン類(例えば、キノリン、3−メチルキノリン、5−メチルキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、6−クロロキノリン、8−クロロキノリン、6−メトキシキノリン、6−エトキシキノリン、6−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン等)、イソキノリン類(例えば、イソキノリン、3,4−ジヒドロイソキノリン等)、ベンズイミダゾール類(例えば、1,3−ジエチルベンズイミダゾール、1−エチル−3−フェニルベンズイミダゾール等)、3,3−ジアルキルインドレニン類(例えば、3,3−ジメチルインドレニン、3,3,5,−トリメチルインドレニン、3,3,7,−トリメチルインドレニン等)、ピリジン類(例えば、ピリジン、5−メチルピリジン等)等を挙げることができる。
また、含硫黄複素環の例としては、例えば、特開平3−296759号記載の色素類におけるジチオール部分構造をあげることができる。
具体例としては、ベンゾジチオール類(例えば、ベンゾジチオール、5−t−ブチルベンゾジチオール、5−メチルベンゾジチオール等)、ナフトジチオール類(例えば、ナフト[1,2]ジチオール、ナフト[2,1]ジチオール等)、ジチオール類(例えば、4,5−ジメチルジチオール類、4−フェニルジチオール類、4−メトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジメトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジトリフルオロメチルジチオール、4,5−ジシアノジチオール、4−メトキシカルボニルメチルジチオール、4−カルボキシメチルジチオール等)を挙げることができる。
以上、述べた複素環に関する説明に用いた記述は、便宜上、慣例上、複素環母骨格の名称を用いたが、増感色素の塩基性骨格部分構造をなす場合、例えばベンゾチアゾール骨格の場合は3-置換-2(3H)-benzothiazolylidene基のように、不飽和度を一つ下げたアルキリデン型の置換基形で導入される。
350nmから450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素のうち、高感度の観点からより好ましい色素は下記一般式(1)で表される色素である。
Figure 2010054955
一般式(1)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、Xは酸素原子、硫黄原子またはN−(R3)をあらわす。R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、AとR1またはR2とR3はそれぞれ互いに結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
一般式(1)について更に詳しく説明する。R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、一価の非金属原子団であり、好ましくは、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の芳香族複素環残基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子を表す。
1、R2およびR3の好ましい例について具体的に述べる。好ましいアルキル基の例としては、炭素数が1から20までの直鎖状、分岐状、および環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素数1から12までの直鎖状、炭素数3から12までの分岐状、ならびに炭素数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、
N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、アシル基、カルボキシル基、
アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(−PO32)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、
ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−PO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−PO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO32)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。
ヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環もしくは多環芳香族環基が用いられ、特に好ましいヘテロアリール基の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジン等のヘテロアリール環から誘導される基があげられ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。これら置換基の内、更により好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素数1から12までの直鎖状、炭素数3から12までの分岐状ならびに炭素数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
前記置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR1、R2およびR3として好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、
スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等を挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましいアリール基の具体例としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
1、R2およびR3として好ましい置換アリール基の具体例としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。この様な、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、
アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノフェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等を挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましい置換もしくは非置換のアルケニル基及び置換もしくは非置換の芳香族複素環残基の具体例としては、前述のアルケニル基及びヘテロアリール基に関して記載したものと同様のものを挙げることができる。
次に、一般式(1)におけるAについて説明する。Aは置換基を有してもよい芳香族環基またはヘテロ環基を表し、置換基を有してもよい芳香族環基またはヘテロ環基の具体例としては、一般式(1)中のR1、R2およびR3で記載したアリール基及びヘテロアリール基と同様のものが挙げられる。
一般式(1)で表される増感色素は、上に示したような酸性核や活性メチレン基を有する酸性核と、置換もしくは非置換の芳香族環またはヘテロ環との縮合反応によって得られる。具体的には特公昭59−28329号公報の記載を参照して合成することができる。
以下に一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例(D1)〜(D42)を示す。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合による異性体については、どちらかの異性体に限定されるものではない。
Figure 2010054955
Figure 2010054955

Figure 2010054955

Figure 2010054955
Figure 2010054955

Figure 2010054955

さらに、特開2007−316582号公報に示されるような、下記一般式で表される構造の増感色素も好ましく用いられる。
Figure 2010054955
Figure 2010054955
上記式中、R1〜R14は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。但し、R1〜R10の少なくとも一つは、炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
15〜R32は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。但し、R15〜R24の少なくとも一つは、炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
また、特開2007−171406号公報に示される、以下の式で表される増感色素も好ましく用いられる。
Figure 2010054955
ここで、R1、R2およびR3は、各々独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、−NR45基または−OR6基を表し、R4、R5およびR6は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいアラルキル基を表し、k、mおよびnは、0または1〜5の整数を表す。
増感色素は、構造により吸光係数がことなるため、添加量は使用する増感色素の構造により異なる。添加量は、感光性層のレーザー発光波長に対する吸光度が、0.6以下になる量が適当である。好ましくは、吸光度が0.05から0.55の範囲であり、より好ましくは、0.1から0.3の範囲であり、さらに好ましくは0.1から0.45の範囲になるような添加量である。
〔重合開始剤〕
本発明で使用される重合開始剤としては、特許、文献等で公知である種々の光重合開始剤、あるいは2種以上の光重合開始剤の併用系(光重合開始系)を適宜選択して使用することができる。本発明においては単独で用いる光重合開始剤、2種以上の光重合開始剤を併用した系を総括して単に光重合開始剤という。
例えば400nm付近の光を光源として用いる場合、ベンジル、ベンゾイルエーテル、ミヒラーズケトン、アントラキノン、チオキサントン、アクリジン、フェナジン、ベンゾフェノン、ヘキサアリールビスイミダゾール化合物等が広く使用されている。
また、400nm以上の可視光線を光源とする場合にも、種々の光重合開始剤が提案されており、例えば、米国特許第2,850,445号に記載の、ある種の光還元性染料、例えばローズベンガル、エオシン、エリスロシン等、あるいは、染料と光重合開始剤との組み合わせによる系、例えば、染料とアミンの複合開始系(特公昭44−20189号)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377号)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528号、特開昭54−155292号)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭48−84183号)、環状トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54−151024号)、3−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681号、特開昭58−15503号)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59−1504号、特開昭59−140203号、特開昭59−189340号、特開昭62−174203号、特公昭62−1641号、米国特許第4,766,055号)、染料と活性ハロゲン化合物の系(特開昭63−178105号、特開昭63−258903号、特開平2−63054号)、染料とボレート化合物の系(特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開昭64−13140号、特開昭64−13141号、特開昭64−13142号、特開昭64−13143号、特開昭64−13144号、特開昭64−17048号、特開平1−229003号、特開平1−298348号、特開平1−138204号)、ローダニン環を有する色素とラジカル発生剤の系(特開平2−179643号、特開平2−244050号)等を挙げることができる。好ましい光重合開始剤としては、ヘキサアリールビスイミダゾール化合物が挙げられる。
ヘキサアリールビスイミダゾール化合物としては、EP24629号、EP107792号、US4410621号、EP215453号およびDE3211312号等に記載の種々の化合物を使用することが可能である。好ましいものとしては、例えば、2,4,5,2’,4’,5’−ヘキサフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラキス(3−メトキシフェニル)−ビスイミダゾール、2,5,2’,5’−テトラキス(2−クロロフェニル)−4,4’−ビス(3,4−ジメトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−ニトロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ジ−o−トリル−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−エトキシフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、および2,2’−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール等を挙げることができる。
ヘキサアリールビスイミダゾール化合物は2種以上併用してもよい。
ヘキサアリールビスイミダゾール化合物の使用量は下記の付加重合性化合物の総量100質量部に対し、0.05〜50質量部、好ましくは0.2〜30質量部である。ヘキサアリールビスイミダゾール化合物とともに、他の光重合開始剤を併用してもよい。
光重合開始剤は、必要に応じ、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール等のチオール化合物、N−フェニルグリシン、N,N−ジアルキルアミノ芳香族アルキルエステル等のアミン化合物等の水素供与性化合物と併用することにより更に光開始能力が高められることが知られている。特に光開始能力が高く本発明に好適な水素供与性化合物としてはメルカプト基含有化合物が上げられる。特にヘキサアリールビスイミダゾールとの組合せが効果的である。
さらに好適な例としては、下記一般式(2)または(3)で表される含硫黄化合物(メルカプト基含有ヘテロ環化合物)である。一般式(2)および(3)では、各々互変異性体の構造を示した。
Figure 2010054955

上記式(2)及び(3)中、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは未置換の炭素数1から18の直鎖または分岐アルキル基、置換もしくは未置換の炭素数5から20の脂環式アルキル基または芳香族基を表す。置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、チオール基、アセチル基、カルボキシル基などが挙げられる。
以下に一般式(2)または(3)で表される化合物の好ましい具体例(SH1)から(SH20)を示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。以下の構造は、上記互変異性体の-SH基含有構造で示す。
一般式(2)の具体例
Figure 2010054955
一般式(3)の具体例
Figure 2010054955
メルカプト基含有ヘテロ環化合物は、ヘキサアリールビスイミダゾール化合物1molに対して、0.2〜10.0molの比率で使用するのが好ましく、より好ましくは、0.5〜6.0molの比率、さらに好ましくは、0.5〜4.0molの比率である。
〔エチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物〕
本発明使用されるエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができる。例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはこれらの共重合体ならびにこれらの混合物等の化学的形態をもつものである。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
また、特開昭51−37193号に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。更に日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁(1984年)に記載の光硬化性モノマーおよびオリゴマーも使用することができる。
ウレタン(メタ)アクリレート類としては、具体的には、NKオリゴ U−4HA、U−4H、U−6HA、U−6ELH、U−108A、U−1084A、U−200AX、U−122A、U−340A、U−324A、UA−100(新中村化学工業製)、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306I(共栄社油脂製)、アートレジン UN−9200A、UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、SH−380G、SH−500、SH−9832(根上工業製)、PLEX6661−O(独・Degussa社製)等を挙げることができる。
エチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物の使用量は、感光層の全固形分に対して5〜90質量%の範囲が好ましく、より好ましくは20〜75質量%の範囲である。
〔バインダーポリマー〕
本発明で使用するバインダーポリマーは、特に限定されることは無いが、弱アルカリ水溶液への溶解性・現像性の観点から酸基を有する有機重合体が好ましく、特にカルボン酸含有の有機重合体がさらに好ましい。この様な有機重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられる。
また、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシル基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが挙げられる。
さらに、特公平7−120040号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開平11−352691号に記載のポリウレタン樹脂も弱アルカリ水可溶または膨潤性バインダーとして有用である。
バインダーポリマーとしては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂が好ましく用いられる。
本発明で使用するバインダーポリマーの好適な一例は、(a)カルボン酸を含有する繰り返し単位及び(b)ラジカル架橋性を付与する繰り返し単位を有する共重合体である。(a)カルボン酸を含有する繰り返し単位(以下、繰り返し単位(a)とも云う)の具体例としては以下の(a−1)から(a−13)に示す構造が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010054955
繰り返し単位(a)の含有量は、総繰り返し単位数を100とした場合、そのうちの5〜50、好ましくは5〜25、より好ましくは5〜15である。
(b)ラジカル架橋性を付与する繰り返し単位(以下、繰り返し単位(b)とも云う)の具体例としては以下の(b−1)から(b−11)に示す構造が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010054955
繰り返し単位(b)の含有量は、総繰り返し単位数を100とした場合、そのうちの5〜90、好ましくは20〜85、より好ましくは40〜80である。
本発明におけるバインダーポリマーは、下記式(1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位(1)とも云う)を有しても良い。
Figure 2010054955
式(1)中、Xは酸素原子、硫黄原子または−NH−基を表し、Yは水素原子、炭素数1から12のアルキル基、炭素数5から12の脂環式アルキル基、炭素数6から20の芳香環を有する基を表す。Zは酸素原子、硫黄原子または−NH−基を表し、R1は炭素数1から18のアルキル基、炭素数5から20の脂環構造を有するアルキル基または炭素数6から20の芳香環を有する基を表す。
繰り返し単位(1)の具体例としては、以下の(1-1)〜(1−9)に示す構造が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010054955
繰り返し単位(1)の含有量は、総繰り返し単位数を100とした場合、そのうちの1〜40、好ましくは3〜25、より好ましくは、5〜15である
繰り返し単位(a)、(b)、(1)の好適な組み合わせの具体例としては、下記表1に示す(PP-1)〜(PP−10)が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。これらのアクリル樹脂の酸価としては、カルボキシル基を0.2〜4.0meq/g、好ましくは0.3〜3.0meq/g、さらに好ましくは0.4〜2.0meq/g、特に好ましくは0.5〜1.5meq/g、最も好ましくは0.6〜1.2meq/gの範囲で有するものが好ましい。
Figure 2010054955
(例えば(a)、(b)、(1)の共重合モル比は14:76:10である)
本発明におけるバインダーポリマーとして用いるウレタン樹脂は架橋性基を有することが好ましい。ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に画像記録層中で起こるラジカル重合反応の過程でバインダーポリマーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基、オニウム塩構造等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和結合基が好ましく、下記一般式(1A)〜(3A)で表される官能基が特に好ましい。
Figure 2010054955
一般式(1A)において、Rl〜R3はそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。R1としては、好ましくは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性の高いことから好ましい。R2、R3としては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性の高いことから好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表し、R12は、水素原子または1価の有機基を表す。R12の1価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。なかでも、R12としては水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
Figure 2010054955
一般式(2A)において、R4〜R8は、それぞれ独立に水素原子または1価の有機基を表す。R4〜R8としては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
導入し得る置換基としては、一般式(1A)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表す。R12は、一般式(1A)のR12と同義であり、好ましい例も同様である。
Figure 2010054955
一般式(3A)において、R9〜R11は、それぞれ独立に水素原子または1価の有機基を表す。R9としては、好ましくは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性の高いことから好ましい。R10、R11としては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性の高いことから好ましい。
導入し得る置換基としては、一般式(1A)と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−、または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R12は、一般式(1A)のR12と同義であり、好ましい例も同様である。
本発明に用いられるポリウレタン樹脂は、側鎖に架橋性基の他に弱アルカリ水可溶性基、例えばカルボキシル基などを有することが好ましい。ポリウレタン樹脂は、画像記録層の酸価が低くとも未露光部の現像性を低下させることなく、露光部の現像ダメージを抑制することができ、良好な汚れ性と高い耐刷性を兼ね備えることができる点で好ましい。
本発明で好ましく用いられるポリウレタン樹脂は、(i)ジイソシアネート化合物、(ii)カルボキシル基を有するジオール化合物、(iii)架橋性基を有するジイソシアネート化合物および必要であれば(iv)カルボキシル基を有さないジオール化合物を重付加反応させることにより得られる樹脂である。
以下にポリウレタン樹脂の原料であるジイソシアネート化合物およびジオール化合物について説明する。
(i)ジイソシアネート化合物
ジイソシアネート化合物としては、式(4)で表されるジイソシアネート化合物が挙げられる。
OCN−L−NCO (4)
式(4)中、Lは置換基を有していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。必要に応じ、Lはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド基を有していてもよい。より具体的にはLは、単結合、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリレン基、さらに好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を示す。また必要に応じ、L中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、エーテル基を有していてもよい。
具体的には以下に示すものが挙げられる。すなわち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(または2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環式ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
ジイソシアネート化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。耐刷性と汚れ性のバランスの点で、2種以上を組み合わせて用いるのが好ましく、芳香族ジイソシアネート化合物(Lが芳香族基)と脂肪族ジイソシアネート化合物(Lが脂肪族基)をそれぞれ少なくとも1種ずつ用いることが特に好ましい。
ジイソシアネートの使用量は、ジオール化合物に対してモル比で好ましくは0.8〜1.2、より好ましくは0.9〜1.1である。ジイソシアネート化合物をジオール化合物に対して過剰に用い、ポリマー末端にイソシアネート基が残存するような場合には、ウレタン化反応終了後にアルコール類またはアミン類等で処理することにより、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成されることが好ましい。
(ii)少なくとも一つのカルボキシル基を有するジオール化合物
Figure 2010054955
少なくとも一つのカルボキシル基を有するジオール化合物としては、式(5)、(6)、(7)のジオール化合物および/または、テトラカルボン酸2無水物をジオール化合物で開環させた化合物が挙げられる。カルボン酸2無水物を開環させるために使用されるジオール化合物を使用することができる。
1は水素原子、置換基(例えば、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、−CONH2、−COOR113、−OR113、−NHCONHR113、−NHCOOR113、−NHCOR113、−OCONHR113(ここで、R113は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアラルキル基を示す。)などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ基を示し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール基を示す。L10、L11、L12はそれぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリレン基、さらに好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を示す。また必要に応じ、L10、L11、L12中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、エーテル基を有していてもよい。なおR1、L10、L11、L12のうちの2または3個で環を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。
式(5)、(6)または(7)で示されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等が挙げられる。
Figure 2010054955
また、少なくとも一つのカルボキシル基を有する少なくとも1種のジオール化合物の生成において用いられる好ましいテトラカルボン酸2無水物としては、式(8)、(9)、(10)で示されるものが挙げられる。
式中、L21は単結合、置換基(例えばアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノ、エステル、アミドの各基が好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族または芳香族炭化水素基、−CO−、−SO−、−SO−、−O−または−S−を示す。好ましくは単結合、炭素数1〜15個の二価の脂肪族炭化水素基、−CO−、−SO−、−O−または−S−を示す。R、Rは同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、またはハロゲノ基を示す。好ましくは、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール、炭素数1〜8個のアルコキシ、またはハロゲノ基を示す。またL21、R、Rのうちの二つが結合して環を形成してもよい。R、Rは同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル、アラルキル、アリールまたはハロゲノ基を示す。好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、または炭素数6〜15個のアリール基を示す。またL21、R、Rのうちの二つが結合して環を形成してもよい。L22、L23は同一でも相違していてもよく、単結合、二重結合、または二価の脂肪族炭化水素基を示す。好ましくは単結合、二重結合、またはメチレン基を示す。Aは単核または多核の芳香環を示す。好ましくは炭素数6〜18個の芳香環を示す。
上記式(8)、(9)または(10)で示される化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−スルホニルジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4'−[3,3'−(アルキルホスホリルジフェニレン)−ビス(イミノカルボニル)]ジフタル酸二無水物、ヒドロキノンジアセテートとトリメット酸無水物の付加体、ジアセチルジアミンとトリメット酸無水物の付加体などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンB−4400)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物などの脂環族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらのテトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環することにより、(ii)少なくとも一つのカルボキシル基を有するジオール化合物を合成することができる。ただし、ジオール化合物と(i)ジイソシアネート化合物との反応を初めに行い、この反応物と上記テトラカルボン酸二無水物とを反応させることにより本発明のポリウレタン樹脂を合成することも可能であり、この方法も本発明の観点に包含される。すなわち、テトラカルボン酸二無水物とジオール化合物から由来する構造単位をポリウレタン樹脂中に導入する方法としては、以下の方法がある。
a)テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させて得られたアルコール末端の化合物と、ジイソシアネート化合物とを反応させる方法。
b)ジイソシアネート化合物をジオール化合物過剰の条件下で反応させ得られたアルコール末端のウレタン化合物と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させる方法。
少なくとも一つのカルボキシル基を有するジオール化合物のうち、一般式(5)で表される化合物は、溶剤溶解性が高く、合成が容易であるためより好ましい。また、少なくとも一つのカルボキシル基を有するジオール化合物は、ポリウレタン樹脂バインダーがカルボキシル基を0.2〜4.0meq/g、好ましくは0.3〜3.0meq/g、さらに好ましくは0.4〜2.0meq/g、特に好ましくは0.5〜1.5meq/g、最も好ましくは0.6〜1.2meq/gの範囲で有するような量においてポリウレタン樹脂バインダーに導入される。従って、少なくとも一つのカルボキシル基を有するジオール化合物由来の構造のポリウレタン樹脂バインダー中における含有量は、カルボキシル基の数、他のジオール成分として何を用いるか、得られるポリウレタン樹脂バインダーの酸価や分子量、現像液の組成やpH等によって適宜選択されるが、例えば、5〜45モル%、好ましくは10〜40モル%、より好ましくは15〜35モル%である。
(iii)架橋性基を有するジイソシアネート化合物
架橋性基を有するジイソシアネート化合物としては、例えば、トリイソシアネート化合物と、架橋性基を有する単官能のアルコールまたは単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させて得られる生成物がある。
トリイソシアネート化合物としては、例えば下記に示すものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2010054955
架橋性基を有する単官能のアルコールまたは単官能のアミン化合物としては、例えば下記に示すものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2010054955

Figure 2010054955

Figure 2010054955
ここで、ポリウレタン樹脂の側鎖に架橋性基を導入する方法としては、ポリウレタン樹脂製造の原料として、側鎖に架橋性基を含有するジイソシアネート化合物を用いる方法が好適である。トリイソシアネート化合物と架橋性基を有する単官能のアルコールまたは単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させることにより得ることできるジイソシアネート化合物であって、側鎖に架橋性基を有するものとしては、例えば、下記に示すものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2010054955
Figure 2010054955
Figure 2010054955
(iv)その他のジオール化合物
ポリウレタン樹脂の側鎖に不飽和基を導入する方法としては、前述の方法の他に、ポリウレタン樹脂製造の原料として、側鎖に不飽和基を含有するジオール化合物を用いる方法も好適である。そのようなジオール化合物は、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルのように市販されているものでもよいし、ハロゲン化ジオール化合物、トリオール化合物、アミノジオール化合物と、不飽和基を含有するカルボン酸、酸塩化物、イソシアネート、アルコール、アミン、チオール、ハロゲン化アルキル化合物との反応により容易に製造される化合物であってもよい。これら化合物の具体的な例として、下記に示す化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2010054955
Figure 2010054955
さらに別のその他のジオール化合物としては下記一般式(A’)で表されるエチレングリコール化合物を挙げることができる。
HO−(CH2CH2O)n−H (A’)
(式中、nは1以上の整数を表す。)
また、末端にヒドロキシル基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム共重合体やブロック共重合体も挙げられる。
さらに、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が27以上100以下)、ビスフェノールFのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が22以上100以下)、水添ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が23以上100以下)、水添ビスフェノールFのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が18以上100以下)も用いることができる。より具体的には、一般式(A’)で表されるエチレングリコール化合物が汚れ性の点で好ましく、nが2〜50のエチレングリコール化合物がより好ましく、nが3〜30のエチレングリコール化合物がさらに好ましく、nが4〜10のエチレングリコール化合物が特に好ましい。
具体的には、1,2−プロピレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、平均分子量400のポリプロピレングリコール、平均分子量700のポリプロピレングリコール、平均分子量1000のポリプロピレングリコール、平均分子量2000のポリプロピレングリコール、平均分子量3000のポリプロピレングリコール、平均分子量4000のポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が26以下)、ビスフェノールFのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が21以下)、水添ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が22以下)、水添ビスフェノールFのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が17以下)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。
また、式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)で表される化合物のポリエーテルジオール化合物も好適に用いることができる。
Figure 2010054955
式(a)および(b)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。ただし、式(a)においては、Rはメチル基を表す。また、Xは、以下の基を表す。
Figure 2010054955
a,b,c,d,e,f,gはそれぞれ2以上の整数を示す。好ましくは2〜100の整数である。
さらに、式(11)、(12)で表されるポリエステルジオール化合物も具体例として挙げることができる。
Figure 2010054955
式中、L、LおよびLはそれぞれ同一でも相違してもよく2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、Lは2価の脂肪族炭化水素基を示す。好ましくは、L、L、Lはそれぞれアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリレン基を示し、Lはアルキレン基を示す。またL、L、L、L中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基またはハロゲン原子等が存在していてもよい。n1、n2はそれぞれ2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を示す。
さらに、式(13)で表されるポリカーボネートジオール化合物も具体例として挙げることができる。
Figure 2010054955
式(13)中、Lはそれぞれ同一でも相違してもよく2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。好ましくは、Lはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリレン基を示す。またL中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基またはハロゲン原子等が存在していてもよい。n3はそれぞれ2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を示す。
式(11)、(12)または(13)で示されるジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。具体例中のnは2以上の整数である。
Figure 2010054955
さらに、以下に示すジオールも好ましく用いられる。
Figure 2010054955
Figure 2010054955
また、下記に示すジオール化合物も好適に使用できる。
Figure 2010054955
式(16)中、R、Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよいアルキル基、好ましくは、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、−CONH、−COOR、−OR、(ここで、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアリ−ル基、アラルキル基を示す。)などの各基を置換基として有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。
式(16)で示されるジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
Figure 2010054955
式(17)としては、2−ブチン−1,4−ジオール、式(18)としては、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、trans−2−ブテン−1,4−ジオール等が挙げられる。
また、下記式(19)、(20)に示すジオール化合物も好適に使用できる。
HO−L−NH−CO−L−CO−NH−L−OH (19)
HO−L−CO−NH−L−OH (20)
式中、L、Lはそれぞれ同一でも相違していてもよく、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、などの各基が含まれる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を示す。必要に応じ、L、L中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド基などを有していてもよい。なおL、Lで環を形成してもよい。
式(19)または(20)で示される化合物の具体例としては以下に示すものが含まれる。
Figure 2010054955
さらに、下記式(21)、(22)に示すジオール化合物も好適に使用できる。
HO−Ar−(L16−Ar)n−OH (21)
HO−Ar−L16−OH (22)
式中、L16は置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を示す。必要に応じ、L16中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエステル、ウレタン、アミド、ウレイド基を有していてもよい。
Ar2、Ar3は同一でも相違していてもよく、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。nは0〜10の整数を示す。
式(21)または(22)で示されるジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、4−メチルカテコール、4−t−ブチルカテコール、4−アセチルカテコール、3−メトキシカテコール、4−フェニルカテコール、4−メチルレゾルシン、4−エチルレゾルシン、4−t−ブチルレゾルシン、4−ヘキシルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、4−ベンジルレゾルシン、4−アセチルレゾルシン、4−カルボメトキシレゾルシン、2−メチルレゾルシン、5−メチルレゾルシン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノン、テトラクロロハイドロキノン、メチルカルボアミノハイドロキノン、メチルウレイドハイドロキノン、メチルチオハイドロキノン、ベンゾノルボルネン−3,6−ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、3,3'−ジクロロビスフェノールS、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−チオジフェノール、2,2'−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,4−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,4−ビス(2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルアミン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシアントラキノン、2−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシフェネチルアルコール、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、レゾルシンモノ−2−ヒドロキシエチルエーテル等が挙げられる。下記に示すジオール化合物も好適に使用できる。
(v)その他のアミノ基含有化合物
本発明におけるポリウレタン樹脂バインダーにおいて、さらに下記式(31)、(32)に示すアミノ基含有化合物を組み合わせてジイソシアネート化合物と反応させ、ウレア構造を形成してポリウレタン樹脂の構造に組み込んでもよい。
Figure 2010054955
式中、R106、R106'はそれぞれ同一でも相違していてもよく、水素原子、置換基(例えばアルコキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、エステル、カルボキシル基などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリール基を示し、好ましくは水素原子、置換基としてカルボキシル基を有していてもよい炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール基を示す。L17は置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、カルボキシル基などの各基が含まれる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を示す。必要に応じ、L17中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド基などを有していてもよい。なおR106、L17、R106'のうちの2個で環を形成してもよい。
式(31)、(32)で示される化合物の具体例としては以下に示すものが含まれる。
すなわち、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、プロパン−1,2−ジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、4−アミノ−2,2−6,6−テトラメチルピペリジン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、リジン、L−シスチン、イソホロンジアミン等のような脂肪族ジアミン化合物;o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、ベンジジン、o−ジトルイジン、o−ジアニシジン、4−ニトロ−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメトキシ−p−フェニレンジアミン、ビス−(4−アミノフェニル)スルホン、4−カルボキシ−o−フェニレンジアミン、3−カルボキシ−m−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノフェニルエーテル、1,8−ナフタレンジアミン等のような芳香族ジアミン化合物;2−アミノイミダゾール、3−アミノトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、4−アミノピラゾール、2−アミノベンズイミダゾール、2−アミノ−5−カルボキシ−トリアゾール、2,4−ジアミノ−6−メチル−S−トリアジン、2,6−ジアミノピリジン、L−ヒスチジン、DL−トリプトファン、アデニン等のような複素環アミン化合物;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−3−プロパノール、2−アミノエトキシエタノール、2−アミノチオエトキシエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−アミノフェノール、4−メチル−2−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−メトキシ−3−アミノフェノール、4−ヒドロキシベンジルアミン、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノサリチル酸、4−ヒドロキシ−N−フェニルグリシン、2−アミノベンジルアルコール、4−アミノフェネチルアルコール、2−カルボキシ−5−アミノ−1−ナフトール、L−チロシン等のようなアミノアルコールまたはアミノフェノール化合物。
本発明におけるバインダーポリマーとしては、ポリウレタン合成時に側鎖に架橋性基を導入して得られる上記のポリウレタン樹脂のほかに、特開2003−270775号に記載されるようなカルボキシル基を有するポリウレタンに高分子反応で架橋性基を導入して得られるポリウレタン樹脂を用いることもできる。
本発明では、融点が45℃以上のモノマーと上記架橋性基を有するウレタン樹脂との組み合わせが特に好ましく用いられる。かかるウレタン樹脂の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2010054955
感光層の現像性を維持するためには、使用されるバインダーポリマーは適当な分子量を有することが好ましく、質量平均分子量は5000〜300000であるのが好ましい。より好ましい範囲は、20000〜150000である。
バインダーポリマーは、感光性層中に任意な量で含有させることができるが、90質量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない場合があるので、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。
本発明で使用される感光層においては、以上の基本成分の他に、必要により、他の成分を含有させることができる。例えば、画像露光に使用するレーザー発光波長±50nmの光を吸収可能な染料または顔料を含有してもよい。但し、これらの染料または顔料は、増感色素とは異なり、光重合開始剤へのエネルギーの伝達を行う機能は有さない。
上記染料または顔料は、レーザー発光波長±50nm間の波長の光を吸収できる染料または顔料であればとくに制限されないが、レーザー発光波長±50nm間に吸収極大を有する染料または顔料が好ましく、より好ましくは、レーザー発行波長±20nm間に吸収極大を有する染料または顔料が好ましく、さらには、レーザー発光波長と同じ波長に吸収極大を有する染料または顔料が好ましい。
本発明では、特に350nmから450nmの光を発する青ないし紫外領域のレーザーによる露光が望ましく、このレーザーに対応した染料または顔料としては、黄色の染料または顔料が望ましい。
黄色の染料の例としては、黄色酸性染料が挙げられる。具体的な例としては、染料便覧に掲載されている酸性染料、C.I. Acid Yellowの一群が挙げられる。特に有効な染料としては、C.I. Acid Yellow 17、C.I. Acid Yellow 19、C.I. Acid Yellow 23、C.I. Acid Yellow 38、C.I. Acid Yellow 42、C.I. Acid Yellow 61、C.I. Acid Yellow 72、C.I. Acid Yellow 141が挙げられる。
また、以下に示す染料も好ましく用いられる。
Figure 2010054955
黄色顔料の例としては、Novoperm Yellow H2G、Seikafast Yellow 2200、Seikafast Yellow 2300、Seikafast Yellow、HOSTACOPY Y501、イエローマスターバッチ、PV Fast Yellow HG、Novoperm Yellow P-HG、Novoperm Yellow M2R等が挙げられる。
このような染料または顔料を使用することにより、レーザの反射光や散乱光の影響によるシャドー部のつまり・つぶれの抑止効果が発現し、高精細AMスクリーン印刷やFMスクリーン印刷、特にFMスクリーンを使用した露光時にも中間調の平網ムラのない良好な印刷物を与える印刷版を提供することができる。
前記染料または顔料の感光層への添加量は、感光層の質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上である。また、感光層までの到達光量を保ち、感度を良好な範囲に保つという観点から、10質量%以下の添加量が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
また、本発明で使用される感光層においては、感光層を形成するための組成物(光重合型感光性組成物)の製造中あるいは保存中においてエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、前記組成物の全成分の約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、光重合型感光性組成物の全成分の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
感光層の着色を目的として、着色剤を添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料(C.I.Pigment Blue 15:3、15:4、15:6等)、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料がある。着色剤の添加量は、光重合型感光性組成物の全成分の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加剤の添加量は、光重合型感光性組成物の全成分の10質量%以下が好ましい。
感光層を形成するための組成物には、塗布面質を向上するために界面活性剤を添加することができる。好適な界面活性剤としては、たとえばフッ素系ノニオン界面活性剤を挙げることができる。
本発明において、感光層用組成物は、後に詳述する支持体上に、塗工され感光層を形成する。感光層用組成物を支持体上に塗工する際には有機溶剤に溶かして塗布液が作製される。使用し得る溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメーチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル等がある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。塗布溶液中の固形分濃度は、1〜50質量%が適当である。
本発明の平版印刷版原版において感光層の被覆量は、塗布乾燥後の質量で約0.1g/m〜約10g/mの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜5g/mであり、更に好ましくは0.5〜3g/mである。
〔保護層〕
前記感光層の上には、酸素の重合禁止作用を防止するために酸素遮断性の保護層(オーバーコート層)を設けることが好ましい。
保護層の塗布質量は0.5〜3.0g/mの範囲が好ましい。0.5g/m未満では感度が低下することがあり、3.0g/mを超えると処理プロセスの負担が増大することがある。好ましくは、0.7〜2.5g/mの範囲、より好ましくは1.0〜2.0g/mの範囲である。
保護層は水溶性重合体を含有することが好ましく、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、およびその部分エステル、エーテルおよびアセタール、またはそれらに必要な水溶性を有せしめるような実質的量の未置換ビニルアルコール単位を含有する共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールとしては、加水分解度が71〜100%、重合度が300〜2400の範囲のものが好適である。具体的には株式会社クラレ製PVA−105, PVA−110, PVA−117, PVA−117H, PVA−120, PVA−124, PVA−124H, PVA−CS, PVA−CST, PVA−HC, PVA−203,PVA−204, PVA−205, PVA−210, PVA−217, PVA−220, PVA−224, PVA−217EE, PVA−217E, PVA−220E, PVA−224E, PVA−405, PVA−420, PVA−613, L−8,等が挙げられる。また、加水分解度が88〜100%未満のポリビニルアセテートクロロアセテートまたはプロピオネート、ポリビニルホルマールおよびポリビニルアセタール等が挙げられる。その他有用な水溶性重合体としてはポリビニルピロリドン、ゼラチンおよびアラビアゴム等が挙げられ、水溶性重合体は単独または併用して用いてもよい。
本発明において、特に好適な結果を得るためには、ポリビニルアルコールの加水分解度が95%以上のものを使用することが望ましい。
保護層には、変性ポリビニルアルコールも用いることができる。特に酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。本発明の処理液中でのカスの発生が抑制される。
(酸変性ポリビニルアルコール)
酸変性ポリビニルアルコールとしては、酸基を適当量含有するビニルアルコール系重合体であれば特に制限は無い。特にスルホン酸基又はカルボキシル基を適当量含有するビニルアルコール系重合体が好ましく用いられ、前者をスルホン酸変性ポリビニルアルコール、後者をカルボン酸変性ポリビニルアルコールという。
酸変性ポリビニルアルコールは、酸基を有する単量体を酢酸ビニルと共に重合した後、酢酸ビニルの一部又は全てをケン化してビニルアルコールとする方法により合成することが好ましいが、ポリビニルアルコールのヒドロキシル基に酸基を有する化合物を結合させて合成することも可能である。
スルホン酸基を有する単量体としては、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそれらの塩等があげられる。スルホン酸基を有する化合物としては、P−スルホン酸ベンズアルデヒド及びそれら塩等のスルホン酸基を有するアルデヒド誘導体があげられ、従来公知のアセタール化反応による導入が可能である。
カルボキシル基を有する単量体としては、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、アクリル酸及びそれらの塩、並びにアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル類等があげられる。カルボキシル基を有する化合物としては、アクリル酸等の単量体があげられ、従来公知のマイケル付加反応による導入が可能である。
酸変性ポリビニルアルコールは適宜合成したものであっても良く、市販品であっても良い。
酸変性ポリビニルアルコールは、感光層の現像除去性の低下を抑制することができる。なかでも、ケン化度が91モル%以上のものが好ましい。
このような高ケン化度の酸変性ポリビニルアルコールの具体例としては、カルボキシ変性ポリビニルアルコールとして、例えば、株式会社クラレ製KL−118(ケン化度97モル%、平均重合度1800)、KM−618(ケン化度94モル%、平均重合度1800)、KM−118(ケン化度97モル%、平均重合度1800)、KM−106(ケン化度98.5モル%、平均重合度600)、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセナールT−330H(ケン化度99モル%、平均重合度1700)、ゴーセナールT−330(ケン化度96.5モル%、平均重合度1700)、ゴーセナールT−350(ケン化度94モル%、平均重合度1700)、ゴーセナールT−230(ケン化度96.5モル%、平均重合度1500)、ゴーセナールT−215(ケン化度96.5モル%、平均重合度1300)、ゴーセナールT−HS−1(ケン化度99モル%、平均重合度1300)、日本酢ビ・ポバール株式会社製の、AF−17(ケン化度96.5モル%、平均重合度1700)、AT−17(ケン化度93.5モル%、平均重合度1700)が挙げられる。
また、スルホン酸変性ポリビニルアルコールとして、例えば、株式会社クラレ製の、SK−5102(ケン化度98モル%、平均重合度200)、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセランCKS−50(ケン化度99モル%、平均重合度300)が挙げられる。
また、感光層の現像除去性の低下をより効果的に抑制するという観点から、ビニルアルコール単位の平均重合度が100〜800の酸変性ポリビニアルコールを使用することが特に好ましい。このような低重合度、且つ、高ケン化度の酸変性ポリビニルアルコールを用いることで、酸素遮断性の優れた特徴を保持しつつ、感光層の現像除去性の低下を効果的に抑制し得る保護層を得ることができる。
上記のような低重合度、且つ、高ケン化度の酸変性ポリビニルアルコールとしては、ケン化度が91モル%以上、且つ、ビニルアルコール単位の平均重合度が100〜800の、イタコン酸やマレイン酸により変性されたカルボキシ変性ポリビニルアルコールや、スルホン酸変性ポリビニルアルコールが好ましい。
酸変性ポリビニルアルコールの変性度とは、酸変性ポリビニルアルコールの共重合体中に含まれる酸基を有するユニットのモル比を表す。酸変性ポリビニルアルコールの変性度は、0.1〜20モル%が好ましく、0.2〜5モル%がより好ましい。
また保護層には層状化合物を含有することが好ましい。層状化合物とは薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記一般式:
A(B,C)2−5D10(OH,F,O)
〔ただし、AはLi,K,Na,Ca,Mg,有機カチオンの何れか、B及びCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSi又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・HOで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、リン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母及び鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg(AlSi10)F、カリ四ケイ素雲母KMg2.5Si10)F等の非膨潤性雲母、及びNaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si10)F、Na又はLiテニオライト(Na,Li)MgLi(Si10)F、モンモリロナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg/5Li/8(Si10)F等の膨潤性雲母等が挙げられる。また合成スメクタイトも有用である。
上記の層状化合物の中でも、合成の層状化合物であるフッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。すなわち、雲母、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト等の膨潤性粘土鉱物類等は、10〜15Åの厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にLi、Na、Ca2+、Mg2+、アミン塩、第4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩及びスルホニウム塩等の有機カチオンの陽イオンを吸着している。これらの層状化合物は水により膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイト及び膨潤性合成雲母はこの傾向が強い。
層状化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、たとえば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
層状化合物の粒子径は、その平均径が1〜20μm、好ましくは1〜10μm、特に好ましくは2〜5μmである。粒子径が1μmよりも小さいと酸素や水分の透過の抑制が不十分であり、効果を十分に発揮できない。また20μmよりも大きいと塗布液中での分散安定性が不十分であり、安定的な塗布を行うことができない問題が生じる。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μmである。
このようにアスペクト比が大きい無機質の層状化合物の粒子を保護層に含有させると、塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止しうるため、変形などによる保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による平版印刷版原版における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる。
保護層中の無機質層状化合物の含有量は、保護層に使用されるバインダーの量に対し、質量比で5/1〜1/100であることが好ましい。より好ましくは2/1〜1/5である。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これら無機質の層状化合物の合計量が上記の質量比であることが好ましい。
保護層塗布液を作製する際に用いる溶媒としては、純水が好ましいが、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類を純水と混合して用いてもよい。塗布液中の固形分の濃度は1〜20質量%が適当である。保護層には、さらに塗布性を向上させるための界面活性剤、皮膜の物性を改良するための水溶性の可塑剤等の公知の添加剤を加えてもよい。水溶性の可塑剤としては、たとえばプロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等がある。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーなどを添加してもよい。
次に、現像工程について詳述する。通常の処理工程においては、前水洗工程により保護層を除去し、次いでアルカリ現像を行い、後水洗工程でアルカリを除去し、ガム引き工程でガム処理を行い、乾燥工程で乾燥するのに対して、本発明においては、現像液が界面活性剤及び水溶性高分子化合物のうち少なくとも1つを含有することが好ましい。
さらに好ましくは、低分子ヒドロキシカルボン酸イオン、pH緩衝剤、及び界面活性剤を含有するpH8.5〜10.8の水溶液を用いることにより、現像とガム引きを同時に行うことを特徴としている。さらにpH緩衝剤が炭酸イオンおよび炭酸水素イオンであることが特に好ましい。よって後の水洗工程及びガム引き工程は特に必要とせず、現像浴一浴において、一液で現像とガム引きを行ったのち、乾燥工程を行うことができる。さらに、保護層の除去も現像及びガム引きと同時に行うことができるので、前水洗工程も必要としない。現像及びガム引きの後、スクイズローラー等を用いて余剰の処理液を除去してから乾燥を行うことが好ましい。
〔現像液〕
本発明で使用する該水溶液を以下、処理液あるいは現像液とも云う。
本発明で現像液に用いてもよい低分子ヒドロキシカルボン酸イオンは、分子量500以下の低分子化合物であって、低分子ヒドロキシカルボン酸イオンを現像液中に存在させるには、低分子ヒドロキシカルボン酸を現像液に加えて、その後pHを調整してもよいし、低分子ヒドロキシカルボン酸塩を現像液に加えてもよい。また、カルボン酸を二つ以上有する低分子ヒドロキシカルボン酸は、該水溶液中においては少なくとも1つがイオンになっていればよい。
低分子ヒドロキシカルボン酸イオンの源となる低分子ヒドロキシカルボン酸として、具体的に、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、γ-ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸、モノヒドロキシ安息香酸誘導体、サリチル酸、クレオソート酸(ホモサリチル酸、ヒドロキシ(メチル)安息香酸)、バニリン酸、シリング酸、ジヒドロキシ安息香酸誘導体、ピロカテク酸、レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、トリヒドロキシ安息香酸誘導体、没食子酸、フェニル酢酸誘導体、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、ケイヒ酸、ヒドロケイヒ酸誘導体、メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸等が挙げられる。これらの中でも、カルボン酸基を2つ以上有する低分子ヒドロキシカルボン酸が好ましく、さらに好ましくは、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸であり、最も好ましくはクエン酸である。
低分子ヒドロキシカルボン酸塩は、特に限定されないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。これらは単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
現像液における低分子ヒドロキシカルボン酸イオンの添加量は、0.05mol/L〜5mol/Lが適当であり、さらに0.2mol/L〜2mol/Lが好ましく、最も好ましくは0.25mol/L〜0.75mol/Lである。この添加量が0.05mol/L以上であれば、充分な指紋跡汚れの抑制効果が得られ、一方5mol/L以下であれば、沈殿や結晶を生成し難くなり、さらに現像液の廃液処理時、中和の際にゲル化し難くなり、廃液処理に支障をきたさない。
本発明で用いてもよいpH緩衝剤とは、アルカリ性の緩衝剤であり、例えば(a)炭酸イオン及び炭酸水素イオン、(b)ホウ酸イオン、(c)水溶性のアミン化合物及びそのアミン化合物のイオン、及びそれらの併用などが挙げられる。すなわち、例えば(a)炭酸イオン-炭酸水素イオンの組み合わせ、(b)ホウ酸イオン、又は(c)水溶性のアミン化合物-そのアミン化合物のイオンの組み合わせなどが、現像液においてpH緩衝作用を発揮し、現像液を長期間使用してもpHの変動を抑制でき、pHの変動による現像性低下、現像カス発生等を抑制できる。特に好ましくは、炭酸イオン及び炭酸水素イオンの組み合わせである。
(a)炭酸イオン、炭酸水素イオンを現像液中に存在させるには、炭酸塩と炭酸水素塩を現像液に加えてもよいし、炭酸塩又は炭酸水素塩を加えた後にpHを調整することで、炭酸イオンと炭酸水素イオンを発生させてもよい。炭酸塩及び炭酸水素塩は、特に限定されないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。これらは単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)ホウ酸イオンを現像液中に存在させるには、ホウ酸あるいはホウ酸塩を現像液に加えた後、アルカリを用いて、あるいはアルカリと酸とを用いて、pHを調整することで、適量のホウ酸イオンを発生させる。
ここで用いるホウ酸あるいはホウ酸塩は、特に限定されないが、ホウ酸としてオルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、中でもオルトホウ酸及び四ホウ酸が好ましい。また、ホウ酸塩としてアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が挙げられ、オルトホウ酸塩、二ホウ酸塩、メタホウ酸塩、四ホウ酸塩、五ホウ酸塩、八ホウ酸塩などが挙げられ、中でもオルトホウ酸塩、四ホウ酸塩、特にアルカリ金属の四ホウ酸塩が好ましい。好ましい四ホウ酸塩として、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム及び四ホウ酸リチウムなどが挙げられ、中でも四ホウ酸ナトリウムが好ましい。ホウ酸塩を2種以上併用してもよい。
本発明で使用するホウ酸あるいはホウ酸塩として、特に好ましいのは、オルトホウ酸、四ホウ酸あるいは四ホウ酸ナトリウムである。現像液にホウ酸及びホウ酸塩を併用してもよい。
(c)水溶性のアミン化合物のイオンは、水溶性アミン化合物の水溶液において発生させることができ、水溶性アミン化合物の水溶液にさらにアルカリ又は酸を加えてもよく、また、もともとアミン化合物の塩になっている化合物を添加することにより水溶液中に含有させることができる。
水溶性のアミン化合物は、特に限定されないが、水溶性を促進する基を有している水溶性アミン化合物が好ましい。該水溶性を促進する基としてカルボン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、水酸基などが挙げられる。水溶性のアミン化合物は、これらの基を複数合わせ持っていても良い。
アミン化合物の水溶性をカルボン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基により促進する場合は、アミノ酸に該当する。アミノ酸は水溶液中で平衡状態にあり、酸基が例えばカルボン酸基であるとき、平衡状態は下記のように表される。本発明におけるアミノ酸とは、下記のBの状態をいい、アミノ酸のイオンとは、Cの状態を意味する。Cの状態におけるカウンターイオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオンが好ましい。
[アミノ酸の平衡状態(酸基がカルボン酸の場合)]
Figure 2010054955
(状態A) (状態B) (状態C)
(たとえば、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基などを表し、Rは連結基を表わす)
カルボン酸基やスルホン酸基、スルフィン酸基を持つ水溶性のアミン化合物の具体例として、グリシン、イミノ二酢酸、リシン、スレオニン、セリン、アスパラギン酸、パラヒドロキシフェニルグリシン、ジヒドロキシエチルグリシン、アラニン、アントラニル酸、トリプトフアン等のアミノ酸、スルファミン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、タウリン等の脂肪酸アミンスルホン酸、アミノエタンスルフィン酸等の脂肪酸アミンスルフィン酸などがある。これらの中で、グリシン及びイミノ二酢酸が好ましい。
ホスホン酸基(ホスフィン酸基も含む)を持つ水溶性のアミン化合物の具体例として、2−アミノエチルホスホン酸、1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、1−アミノ−1−フエニルメタン−1,1−ジホスホン酸、1−ジメチルアミノエタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミノペンタメチレンホスホン酸などがある。特に2−アミノエチルホスホン酸が好ましい。
水溶性を促進する基として水酸基を持つ水溶性のアミン化合物は、アルキル基に水酸基を有するアルキルアミンを意味し(下記状態B)、これらのイオンとは、アミノ基のアンモニウムイオンを意味する(下記状態A)。
Figure 2010054955
(状態A) (状態B)
(たとえば、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基などを表わし、その少なくとも1つは水酸基を有するアルキル基である。)
水酸基を持つ水溶性のアミン化合物の具体例として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどがある。これらの中で、トリエタノールアミン及びジエタノールアミンが好ましい。アンモニウムイオンのカウンターイオンとしてはクロルイオンが好ましい。
上述のpHの調整に用いることができるアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、有機アルカリ剤、及びそれらの組み合わせなどを用いることができる。また、酸として、無機酸、例えば塩酸、硫酸、硝酸などを用いることができる。このようなアルカリ又は酸を添加することにより、pHを微調整することができる。
本発明で使用する現像液のpHは、pH8.5〜10.8の範囲にあり、pHが8.5以上であると非画像部の現像性を良好することができ、一方pHが10.8以下であれば、空気中の炭酸ガスの影響を受けにくく、炭酸ガスの影響による処理能力の低下を抑制できる。より好ましくはpH8.8〜10.2の範囲、特に好ましくはpH9.0〜10.0の範囲である。
pH緩衝剤として(a)炭酸イオンと炭酸水素イオンの組み合わせを採用するとき、炭酸イオン及び炭酸水素イオンの総量は、水溶液の全質量に対して0.05〜5mol/Lが好ましく、0.1〜2mol/Lがより好ましく、0.2〜1mol/Lが特に好ましい。総量が0.05mol/L以上であると現像性、処理能力が低下せず、5mol/L以下であると沈殿や結晶を生成し難くなり、さらに現像液の廃液処理時、中和の際にゲル化し難くなり、廃液処理に支障をきたさない。
また、アルカリ濃度の微少な調整、非画像部感光層の溶解を補助する目的で、補足的にアルカリ剤、例えば有機アルカリ剤を併用してもよい。有機アルカリ剤としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。これらの他のアルカリ剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。
pH緩衝剤として(b)ホウ酸イオンを採用するとき、ホウ酸イオンの総量は、水溶液の全質量に対して0.05〜5mol/Lが好ましく、0.1〜2mol/Lがより好ましく、0.2〜1mol/Lが特に好ましい。ホウ酸塩の総量が0.05mol/L以上であると現像性、処理能力が低下せず、一方5mol/L以下であると沈殿や結晶を生成し難くなり、さらに現像液の廃液処理時の中和の際にゲル化し難くなり、廃液処理に支障をきたさない。
pH緩衝剤として(c)水溶性のアミン化合物及びそのアミン化合物のイオンを採用するとき、水溶性のアミン化合物とそのアミン化合物のイオンの総量は、水溶液の全質量に対して0.01〜1mol/Lが好ましく、pHがこの範囲にあると現像性、処理能力が低下せず、一方廃液処理が容易である。より好ましくは0.03〜0.7mol/Lの範囲であり、0.05〜0.5mol/Lの範囲が特に好ましい。
本発明の現像液には界面活性剤及び水溶性樹脂の少なくとも1つが必要である。用いられる界面活性剤は、アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性のいずれを含有してもよい。
アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、アルキルジフェノキシジスルホン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類、芳香族スルホン酸塩類、芳香族置換ポリオキシエチレンスルホン酸塩類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルジフェノキシジスルホン酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類およびアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
カチオン系界面活性剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、芳香族化合物のポリエチレングリコール付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等や、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
本発明においては、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、芳香族化合物のポリエチレングリコール付加物、ソルビトールおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステルがより好ましい。
また、水に対する安定な溶解性あるいは混濁性の観点から、ノニオン系界面活性剤としては、HLB(Hydorophile−Lipophile Balance)値が、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。また、アセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコン系等の界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は単独もしくは組み合わせて使用することができる。界面活性剤の現像液中における含有量は0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。
両性界面活性剤は、界面活性剤の分野においてよく知られているように、アニオン性部位とカチオン性部位を同一分子内に持つ化合物であり、アミノ酸系、ベタイン系、アミンオキシド系等の両性界面活性剤が含まれる。本発明で使用する現像液に用いられる両性界面活性剤としては、下記式<1>で表される化合物及び下記式<2>で表される化合物が好ましい。
Figure 2010054955
式<1>中、R8はアルキル基を表し、R9及びR10は各々水素原子又はアルキル基を表し、R11はアルキレン基を表し、Aはカルボン酸イオン又はスルホン酸イオンを表す。
式<2>中、R18、R19およびR20は、各々水素原子またはアルキル基を表す。但し、R18、R19およびR20のすべてが、水素原子であることはない。
上記式<1>において、R8、R9又はR10で表されるアルキル基及びR11で表されるアルキレン基は、直鎖でも分枝鎖でもよく、また、鎖中に連結基を有していてもよく、更に、置換基を有していてもよい。連結基としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含むものが好ましい。また、置換基としては、ヒドロキシル基、エチレンオキサイド基、フェニル基、アミド基、ハロゲン原子などが好ましい。
式<1>で示される化合物において、総炭素数値が大きくなると疎水部分が大きくなり、水系の現像液への溶解が困難となる。この場合、有機溶剤、例えば、アルコール等の溶解助剤を添加することにより、良化はするが、総炭素数値が大きくなりすぎた場合、適正混合範囲内で界面活性剤を溶解することはできない場合がある。従って、R8〜R11の炭素数の総和は好ましくは、8〜25であり、より好ましくは11〜21である。
上記式<2>において、R18、R19又はR20で表されるアルキル基は、直鎖でも分枝鎖でもよく、また、鎖中に連結基を有していてもよく、更に、置換基を有していてもよい。連結基としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含むものが好ましい。また、置換基としては、ヒドロキシル基、エチレンオキサイド基、フェニル基、アミド基、ハロゲン原子などが好ましい。
式<2>で示される化合物において、総炭素数値が大きくなると疎水部分が大きくなり、水系の現像液への溶解が困難となる。この場合、有機溶剤、例えば、アルコール等の溶解助剤を添加することにより、良化はするが、総炭素数値が大きくなりすぎた場合、適正混合範囲内で界面活性剤を溶解することはできない場合がある。従って、R18〜R20の炭素数の総和は好ましくは、8〜22であり、より好ましくは10〜20である。
両性界面活性剤の総炭素数は、感光層に用いる材料、とりわけバインダーの性質により影響をうけることがある。親水度の高いバインダーの場合、総炭素数は比較的小さいものが好ましく、用いるバインダーの親水度の低い場合には、総炭素数が大きいものが好ましい傾向にある。
現像液に用いられる両性界面活性剤の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010054955
Figure 2010054955

Figure 2010054955
本発明で使用する現像液に含ませることができる水溶性樹脂としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。水溶性樹脂の好ましい酸価は、0〜3.0meq/gである。
大豆多糖類としては、従来知られているものが使用でき、例えば市販品としてソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
変性澱粉としては、例えば下記一般式(III)で示されるものがある。一般式(III)で示される澱粉としては、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等のいずれの澱粉も使用できる。これらの澱粉の変性は、酸または酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
Figure 2010054955
式(III)中、エーテル化度(置換度)はグルコース単位当たり0.05〜1.2の範囲で、nは3〜30の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。
変成澱粉及びその誘導体の例として、ブリティッシュガム等の焙焼澱粉、酵素デキストリンおよびシャーディンガーデキストリン等の酵素変成デキストリン、可溶化澱粉に示される酸化澱粉、変成アルファー化澱粉および無変成アルファー化澱粉等のアルファー化澱粉、燐酸澱粉、脂肪澱粉、硫酸澱粉、硝酸澱粉、キサントゲン酸澱粉およびカルバミン酸澱粉等のエステル化澱粉、カルボキシアルキル澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、スルフォアルキル澱粉、シアノエチル澱粉、アリル澱粉、ベンジル澱粉、カルバミルエチル澱粉、ジアルキルアミノ澱粉等のエーテル化澱粉、メチロール架橋澱粉、ヒドロキシアルキル架橋澱粉、燐酸架橋澱粉、ジカルボン酸架橋澱粉等の架橋澱粉、澱粉ポリアクリロアミド共重合体、澱粉ポリアクリル酸共重合体、澱粉ポリ酢酸ビニル共重合体、澱粉ポリアクリロニトリル共重合体、カオチン性澱粉ポリアクリル酸エステル共重合体、カオチン性澱粉ビニルポリマー共重合体、澱粉ポリスチレンマレイン酸共重合体、澱粉ポリエチレンオキサイド共重合体、澱粉ポリプロピレン共重合体等の澱粉グラフト重合体などがある。
水溶性樹脂の中でも好ましいものとして、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
水溶性樹脂は2種以上を併用することもできる。水溶性樹脂の処理液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明で使用する現像液には上記の他に、湿潤剤、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機溶剤、無機酸、無機塩などを含有させることができる。
湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等が好適に用いられる。湿潤剤は単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。一般に、湿潤剤は現像液の全質量に基づいて0.1〜5質量%の量で使用される。
防腐剤としては、フェノールまたはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく使用できる。種々のカビ、殺菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。防腐剤の添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、現像液に対して0.01〜4質量%の範囲が好ましい。
キレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。キレート剤は処理液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。添加量は現像液に対して0.001〜1、0質量%が好適である。
消泡剤としては一般的なシリコン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、ノニオン系のHLBの5以下等の化合物を使用することができる。シリコン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型および可溶化等がいずれも使用できる。消泡剤の含有量は、現像液に対して0.001〜1.0質量%の範囲が好適である。
有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、”アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)あるいはガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能である。現像液が有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。
無機酸および無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。無機塩の含有量は現像液の全質量に基づいて0.01〜0.5質量%の量が好ましい。
現像の温度は、通常60℃以下、好ましくは15〜40℃程度である。自動現像機を用いる現像処理においては、処理量に応じて現像液が疲労してくることがあるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。
本発明の平版印刷版の作製方法においては、必要に応じ、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。この様な加熱により、画像記録層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化といった利点が生じ得る。
加熱の条件はこれら効果のある範囲で適宜設定することができる。加熱手段としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。例えば、版面到達温度が70〜150℃の範囲で、1秒〜5分間の間で保持することにより行なうことができる。好ましくは80℃〜140℃で5〜1分間、より好ましくは90℃〜130℃で10〜30秒間である。この範囲であると上記の効果を効率よく得られ、また熱による印刷版の変形などの悪影響が無い点で好ましい。
加熱処理に用いられる加熱処理手段は、露光工程に用いられるプレートセッタおよび現像処理工程に使用される現像装置とお互いに接続されて、自動的に連続処理されることが好ましい。具体的にはプレートセッタと、現像装置がコンベアなどの運搬手段によって結合されている製版ラインが挙げられる。プレートセッタと現像装置の間に加熱処理手段が入っていても良く、加熱手段と現像装置は一体の装置となっていてもよい。
使用する平版印刷版原版が作業環境における周囲の光の影響を受け易い場合は、上記の製版ラインがフィルタまたはカバーなどで遮光されていることが好ましい。
また、現像後の印刷版に対して、紫外線光などの活性光線で全面露光を行い、画像部の硬化促進を行ってもよい。全面露光時の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀灯、ガリウム灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、各種レーザー光などが挙げられる。十分な耐刷性を得るためには露光量としては少なくとも10mJ/cm以上が好ましく、より好ましくは100mJ/cm以上である。
全面露光時に同時に加熱を行ってもよく、加熱を行うことによりさらに耐刷性の向上が認められる。加熱装置としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。このとき版面温度は30℃〜150℃であることが好ましく、より好ましくは、35〜130℃であり、さらに好ましくは、40〜120℃である。具体的には、特開2000−89478号公報に記載の方法を利用することができる。
また、耐刷性等の向上を目的として、現像後の印刷版を非常に強い条件で加熱することもできる。加熱温度は、通常200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる恐れがある。
このようにして得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[支持体例1]
(a)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(b)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(c)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dmであった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(d)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.50g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(f)陽極酸化処理
二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電極部長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一および第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
(g)10秒間にわたり4g/lのポリビニルホスホン酸を含有する40℃の溶液を用いて後処理し、20℃の脱塩水で2秒間にわたりすすぎそして乾燥した。
〔感光層+保護層〕
この支持体上に、下記組成の感光層塗布液をバー塗布した後、100℃、44秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/mの感光層を形成し、この上に下記組成の保護層塗布液(1)をバー塗布した後、125℃、70秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.25g/mの保護層を形成し感光性平版印刷版原版3を作製した。
<感光層塗布液>
・下記のバインダーポリマーPU-A 0.45g
・重合性化合物(1) 0.52g
(PLEX 6661−O、デグサジャパン(株)製)
・下記増感色素(1) 0.04g
・下記重合開始剤(1) 0.08g
・下記共増感剤(1) 0.05g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 下記ポリマー(1):10質量部、
溶剤: シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.006g
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
・下記フッ素系界面活性剤(1) 0.002g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
・メチルエチルケトン 8.0g
Figure 2010054955
Figure 2010054955
Figure 2010054955
Figure 2010054955
<保護層塗布液>
・下記雲母分散液 0.6g
・スルホン酸変性ポリビニルアルコール 0.8g
(ゴーセランCKS−50、日本合成化学(株)製(ケン化度:99モル%、平均重合度:300、変性度:約0.4モル%))
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))(分子量:7万)
0.001g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
0.002g
・水 13g
(雲母分散液の調製)
水368gに合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル社製、アスペクト比:1000以上)32gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)0.5μmになる迄分散し、雲母分散液を得た。
<現像液>
以下に示す現像液(pH9.8)を作製した。(単位はg)
・純水 799.3
・炭酸ナトリウム 12.0
・炭酸水素ナトリウム 5.0
・ヒドロキシアルキル化澱粉(日澱化学:ペノンJE66) 50.0
・クエン酸三ナトリウム 1.00
・エレミノールMON(47%水溶液) 105.0
(三洋化成:芳香族スルホン酸塩類のアニオン界面活性剤)
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(50%溶液) 20.0
(竹本油脂:パイオニンA41S)
・EDDS(30%水溶液)(オクタクエストE30) 6.0
・2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール(防腐剤) 0.1
・2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(防腐剤) 0.1
・TSA739(15%溶液)(東芝シリコーン:消泡剤) 1.5
<自現機>
図1に示す構造の自動現像処理機にて現像処理を実施した。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有し、ナイロン6.12製の繊維(毛の直径75μm、毛の長さ8.5mm)を植え込んだ外径54mmのブラシロールを用いた、1本目のブラシロールは、搬送方向と反対方向に毎分150回転させ、2本目のブラシロールは、搬送方向と同一方向に毎分150回転させた。平版印刷版原版の搬送速度160cm/minで19秒間現像を行った。現像温度は28℃とした。前加熱は版面温度100℃で15秒間行った
現像液タンク容量は83リットルで外置きタンクの容量は17リットル、合計100リットルにした。外置きタンクと本体現像タンクとの液循環用ポンプ容量は毎分300ccに設定し、外置きタンクと本体現像タンクとの液循環の間に3M社製CUNOフィルタ、マイクロ・ワインドのポリプロピレン製糸巻きフィルタを2連で設置した。1本目は濾過精度100μmのフィルタを投入し、2本目は濾過精度10μmのフィルタを投入した。
現像槽への水の補充は、蒸発で減量した水をイオン交換水で補充した。軟水化装置としてはイオン交換樹脂方式であるInoxdep(イノックスデップ)社製で日本販売名ソフナー・ディ・アクアM(こみち書房代理店)を使用した。
カスを凝集させるための紫外線照射は、外部タンクに装着した株式会社 栗原工業社製紫外線装置HDUV−400を使用した。紫外線照射は外部タンクを遮光し常時行った。
現像処理は、総面積2000m2を10日間かけて行った。
〔露光〕
上記平版印刷版原版を、FFEI製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー 405nm±10nm発光/出力30mWを搭載)により画像露光した。画像は、解像度2438dpiで、富士フイルム(株)製FMスクリーン(TAFFETA 20)を用い、版面露光量0.05mJ/cmで描画した。
〔評価〕
得られた平版印刷版原版を用いて、版上のカス付着数を評価した。
上記の通り各々の平版印刷版原版を10日間かけて2000m現像処理した際に、自動現像機の漕壁に付着したカスの発生状況を目視観察した。発生したカスは、主として感光層のバインダーとモノマーに起因するものである。カスの発生がない場合:○、カスの発生あるが許容レベルの場合:△、カス発生が顕著な場合:×と評価した。実施例と比較例を表2に示す。
Figure 2010054955
紫外線で処理液を照射後フィルタリングした実施例は、2000m処理してもカス付着の発生もなく安定して処理できた。一方、紫外線の処理がなくフィルタリングした比較例は、微細なカスが1500mから発生した。
本発明の一実施形態を説明するための自動現像装置の構成図である。 感光性平版印刷版原版の構成を示す断面図である。 本発明の別の実施形態を説明するための自動現像装置の構成図である。
符号の説明
10 平版印刷版原版(PS版)
50 外部タンク
54 フィルタ部
60 光照射部
71 水タンク
80 冷却装置
100 自動現像装置
300 現像処理部
308 現像槽
L 光

Claims (20)

  1. 支持体上に形成された画像記録層に画像露光された平版印刷版原版を現像する平版印刷版原版の自動現像装置であって、
    前記平版印刷版原版の前記画像記録層を現像処理する現像液に、波長200nmから450nmの光を照射して、前記現像液中に凝集物を発生させる光照射部と、
    前記凝集物を捕集するフィルタ部とを備えている平版印刷版原版の自動現像装置。
  2. 上記請求項1に記載の平版印刷版原版の自動現像装置であって、
    現像時に、搬送される前記平版印刷版原版が浸漬される前記現像液を収容する現像槽と、
    前記現像槽に収容される前記現像液の液面レベルが一定となるように、該現像槽との間で前記現像液を循環させる外部タンクとを備え、
    前記光照射部が、前記外部タンク内に収容されている前記現像液に光を照射する平版印刷版原版の自動現像装置。
  3. 上記請求項1に記載の平版印刷版原版の自動現像装置であって、
    現像時に、搬送される前記平版印刷版原版に前記現像液を噴射する現像液供給部と、
    前記現像液供給部から噴射された前記現像液を回収する現像槽と、
    前記現像槽に回収された前記現像液を収容して該現像液を前記現像液供給部に供給する外部タンクとを備え、
    前記光照射部が、前記外部タンク内に収容されている前記現像液に光を照射する平版印刷版原版の自動現像装置
  4. 上記請求項1から3のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の自動現像装置であって、
    前記光照射部が照射する光が紫外線である平版印刷版原版の自動現像装置。
  5. 上記請求項1から4のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の自動現像装置であって、
    前記現像液は、界面活性剤及び水溶性高分子化合物のうち少なくとも1つを含有する水溶液である平版印刷版原版の自動現像装置。
  6. 上記請求項1から5のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の自動現像装置であって、
    前記現像液は、pHが8.5〜10.8である平版印刷版原版の自動現像装置。
  7. 上記請求項1から6のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の自動現像装置であって、
    現像時以外のときに駆動し、前記現像液を冷却させる現像液冷却手段を備えている平版印刷版原版の自動現像装置。
  8. 上記請求項1から7のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の自動現像装置であって、
    前記現像液がさらに低分子カルボン酸イオンを含有する平版印刷版原版の自動現像装置。
  9. 上記請求項1から8のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の自動現像装置であって、前記現像液によって前記平版印刷版原版の非画像部の除去と不感脂化処理を同時に行う平版印刷版原版の自動現像装置。
  10. 上記請求項1から9のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の自動現像装置であって、前記画像記録層が光重合性である平版印刷版原版の自動現像装置。
  11. 支持体上に形成された画像記録層に画像露光された平版印刷版原版を現像する処理方法であって、
    前記平版印刷版原版の前記画像記録層を現像処理する現像液に、波長200nmから450nmの光を照射して、前記現像液中に凝集物を発生させ、前記凝集物をフィルタ部で捕集する平版印刷版原版の処理方法。
  12. 上記請求項11に記載の平版印刷版原版の処理方法であって、
    現像時に、搬送される前記平版印刷版原版が浸漬される前記現像液を収容し、
    前記現像槽に収容される前記現像液の液面レベルが一定となるように、該現像槽と外部タンクとの間で前記現像液を循環させ、
    前記光照射部が、前記外部タンク内に収容されている前記現像液に光を照射する平版印刷版原版の処理方法。
  13. 上記請求項11に記載の平版印刷版原版の処理方法であって、
    現像時に、搬送される前記平版印刷版原版に前記現像液を現像液供給部から噴射し、
    前記現像液供給部から噴射された前記現像液を現像槽で回収し、
    前記現像槽に回収された前記現像液を外部タンクに収容して該現像液を前記現像液供給部に供給し、
    前記光照射部が、前記外部タンク内に収容されている前記現像液に光を照射する平版印刷版原版の処理方法。
  14. 上記請求項11から13のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の処理方法であって、
    前記光照射部が照射する光が紫外線である平版印刷版原版の処理方法。
  15. 上記請求項11から14のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の処理方法であって、
    前記現像液は、界面活性剤及び水溶性高分子化合物のうち少なくとも1つを含有する水溶液である平版印刷版原版の処理方法。
  16. 上記請求項11から15のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の処理方法であって、
    前記現像液は、pHが8.5〜10.8である平版印刷版原版の処理方法。
  17. 上記請求項11から16のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の処理方法であって、
    現像時以外のときに駆動し、前記現像液を現像液冷却手段によって冷却する平版印刷版原版の処理方法。
  18. 上記請求項11から17のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の処理方法であって、
    前記現像液がさらに低分子カルボン酸イオンを含有する平版印刷版原版の処理方法。
  19. 上記請求項11から18のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の処理方法であって、
    前記現像液によって前記平版印刷版原版の非画像部の除去と不感脂化処理を同時に行う平版印刷版原版の処理方法。
  20. 上記請求項11から19のいずれか1つに記載の平版印刷版原版の処理方法であって、
    前記画像記録層が光重合性である平版印刷版原版の処理方法。
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