JP2010047585A - MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン及びその利用方法 - Google Patents

MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン及びその利用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】薬剤耐性の媒介に不可欠なMarAのドメインを解明することによる、薬剤耐性への優れた対抗策を提供する。
【解決手段】抗感染剤として有用な化合物を特定するためのスクリーニングアッセイ及び抗菌剤耐性の媒介に関与する遺伝子座を特定するためのスクリーニングアッセイにおける、MarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン、変異体MarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン及びこれらの使用法。
【選択図】なし

Description

発明の背景
細菌の多薬剤耐性は、一般に、様々に異なる耐性の機序に対応する遺伝的決定基をもつ多くのトランスポゾンやプラスミドの獲得に起因する(Gold et al. 1996. N. Engl. J. Med. 335:1445)。しかし、多薬剤耐性を付与する内性機序の説明がなされ始めている。その第一は、大腸菌における多抗菌剤耐性(mar)遺伝子座について、染色体をコードしたものであった(George and Levy. 1983. J. Bacteriol. 155:531; George and Levy 1983. J. Bacteriol. 155:541)。大腸菌のMar突然変異体は、10−から10−の頻度で出現し、テトラサイクリンまたはクロラムフェニコールの二次抑制レベルでの増加により選択された(George and Levy, 前記)。これらの突然変異体は、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ペニシリン、セファロスポリン類、ピューロマイシン、ナリジクス酸、及びリファンピンに対する耐性を発揮した(George and Levy, 前記)。その後、耐性表現型は、フルオロキノロン(Cohen et al. 1989. Antimicrob. Agents Chemother. 33:1318)、酸化刺激剤(Ariza et al. 1994. J. Bacteriol. 176:143; Greenberg et al. 1991. J. Bacteriol. 173:4433)、さらに最近では有機溶剤(White et al. 1997. J. of Bacteriology 179:6122; Asako, et al. 1997. J. Bacteriol. 176:143)、パイン油及び/又はTriclosan登録商標などの家庭用殺菌剤( McMurry et al. 1998. FEMS Microbiology Letters 166:305; Moken et al. 1997. Antimicrobial Agents and Chemotherapy 41:2770)でも見られるようになった。
Mar表現型は、37℃よりも30℃でより多く発現する(Seoane and Levy. 1995. J. Bacteriol. 177:3414)。同じ濃度またはより高い濃度での抗菌剤中での継続的な増殖により、耐性レベルが上昇し、その結果、多数の抗菌剤耐性表現型が出現し、その数がさらに増加する可能性があった(George and Levy, 前記)。大腸菌染色体の、mar遺伝子座と呼ばれる遺伝子座にTn5を34分間(1,636.7kb)挿入することにより、高レベル耐性と低レベル耐性の双方が低下し、あるいは完全に消滅した。高レベル耐性は、遺伝子面では部分的にmar遺伝子座に起因するのみである。なぜならば、高レベルまたは低レベルのmar突然変異体からの形質導入からは、低レベルの多薬剤耐性しか生じないからである。
mar遺伝子座は、大腸菌及びサルモネラチフィムリウムの共通のプロモータ/オペレータ領域の側面に位置する2つの離間した転写単位からなる(Alekshun and Levy. 1997. Antimicrobial Agents and Chemother. 41: 2067)。あるオペロンは、機能は未だに明らかになっていないが、複数の菌種でMar表現型に貢献すると推定される膜内在性蛋白質であるMarCをコードする。別のオペロンは、marRABを有し、marOと結合してmarRABの発現に対し負の調節を行うMarリプレッサー(MarR)(Cohen et al. 1994. J. Bacteriol. 175:1484; Martin and Rosner. 1995. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:5456; Seoane and Levy. 1995. J. Bacteriol. 177:530)、染色体上で他の遺伝子の発現を支配する、marレギュロンなどのアクチベータ(MarA)(Cohen et al. 1994. J. Bacteriol. 175:1484; Gambino et. al. 1993. J. Bacteriol. 175:2888; Seoane and Levy. 1995. J. Bacteriol. 177:530)、及び、機能を知られていない、推定小蛋白質(MarB)をコードする。
MarAは、転写アクチベータのXylS/AraC群の1要素である(Gallegos et al. 1993. Nucleic Acids Res. 21:807)。この群の蛋白質は、多くの様々な遺伝子を活性化させ、そのような遺伝子の一部は、抗菌剤耐性及び酸化刺激抵抗性を生み、または微生代謝及び菌力を抑制する(Gallegos et al. 前記)。
発明の概要
本発明は、MarAの機能の媒介に不可欠なドメインを解明することにより、薬剤耐性の克服に向けた重要な進歩を示す。従って、本発明は、特に、MarA蛋白質類のヘリックス−ターン−ヘリックス(HTH)ドメイン、突然変異体MarA蛋白質類のヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン、およびその利用方法を提供するものである。MarA蛋白質類が遺伝子転写を活性化させる働きをこのように解明したことは、多薬剤耐性の理解、ひいては抑制において貴重な意味を持つであろう。
本発明の一実施例は、MarA類蛋白質から誘導されたMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを有するポリペプチドを、化合物と前記ポリペプチドが相互に作用して錯体を生成可能であるような条件下で前記化合物と接触させることにより、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインに影響を与える抗感染性化合物を特定するための方法と、前記化合物が抗感染性化合物であるか否かの指標として、前記化合物がMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性に影響を与える能力を測定することとに関する。
本発明の別の実施例は、MarA類蛋白質から誘導されたMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインポリペプチドを発現している細胞を、化合物と前記ポリペプチドとの相互作用を可能にするような条件下で前記化合物と接触させることにより、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性に影響を与える抗感染性化合物を特定する方法と、前記化合物が抗感染性化合物であるか否かの指標として、前記化合物がMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインポリペプチドの活性に影響を与える能力を測定することとに関する。
本発明の一実施例においては、化合物がMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性に影響を与える能力を測定する過程が、錯体がMarA類反応プロモータからの転写を活性化させる能力を測定することを含む。好適な実施例においては、MarA反応プロモータが、marO, micF, 及びfumCからなる群より選択される。
本発明の一実施例においては、MarA反応プロモータが、レポータ遺伝子に結合する。好適な一実施例においては、レポータ遺伝子は、lacZ, phoAまたは緑色蛍光蛋白質からなる群より選択される。
本発明の一実施例においては、測定過程が、レポータ遺伝子産生物質の量を測定することを含む。別の一実施例においては、測定過程が、細胞が産生したRNAの量を測定することを含む。さらに別の一実施例においては、測定過程は、細胞が産生した蛋白質の量を測定することを含む。さらに他の一実施例においては、測定過程は、細胞が産生した蛋白質の抗体を使用することを含む。
本発明の別の一実施例は、MarA類蛋白質から誘導されたMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを有するポリペプチドを、無細胞系内で、化合物と前記ポリペプチドとが錯体を形成することを可能にするような条件下で、前記化合物と接触させることにより、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性に影響を与える抗感染性化合物を特定する方法と、、前記化合物が抗感染性化合物であるか否かの指標として、前記化合物がMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性に影響を与える能力を測定することとに関する。
本発明の一実施例においては、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインが、遊離したポリぺプチドであり、化合物がMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性に影響を与える能力を測定する過程が、錯体がDNAを結合する能力を測定することを含む。
本発明の別の一実施例においては、前記方法は、表面上にMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインポリペプチドを表出しているバクテリオファージのライブラリを、前記ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインとの親和性を持つ化合物との結合力についてスクリーニングすることを含み、前記ポリペプチドの配列が前記バクテリオファージ内に含まれる核酸によりコードされ、前記方法が、前記ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを表出しているファージを、前記ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインが前記ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインとの親和性を持つ化合物と相互に作用して錯体を形成可能であるように、前記化合物のライブラリの試料と接触させることと、前記ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと前記結合された化合物との錯体を、前記バクテリオファージを前記化合物から解離させる薬剤と接触させることと、前記ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインに結合した前記化合物を同定することとを含む。
本発明の別の一実施例は、表面上に多数のポリペプチド配列を表出しているバクテリオファージのライブラリを、固定化されたMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインとの結合力についてスクリーニングする方法に関し、各ポリペプチド配列は前記バクテリオファージ内に含まれる核酸によりコードされ、前記方法は、前記固定化されたヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを、前記ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインが複数の異なるポリペプチド配列と相互に作用して、前記ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインとの親和性を持つ前記配列と結合することにより、固定化されたヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと、結合されたバクテリオファージとからなる複数の錯体を形成可能であるように、前記バクテリオファージのライブラリの試料と接触させることと、錯体を形成しなかったバクテリオファージから前記錯体を分離することと、前記ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと前記結合されたバクテリオファージとの前記錯体を、前記結合されたバクテリオファージを前記錯体から解離する薬剤と接触させることと、前記解離されたバクテリオファージを、ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインとの親和性を持つ表出されたポリペプチドのアミノ酸配列を得ることが可能であるように分離して、前記表出されたポリペプチドをコードする核酸の配列を得ることとを含む。
本発明の複数の実施例においては、ポリペプチドが、その誘導元であるMarA類蛋白質のカルボキシ末端に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを有する。別の複数の実施例においては、ポリペプチドが、その誘導元であるMarA類蛋白質のアミノ末端に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを有する。好適な複数の実施例においては、ポリペプチドが、その誘導元であるMarA類蛋白質のカルボキシ末端に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインからなる。別の好適な複数の実施例においては、ポリペプチドが、その誘導元であるMarA類蛋白質のアミノ末端に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインからなる。
本発明の好適な複数の実施例においては、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインが、MarA, RamA, AarP, Rob, SoxS, 及びPqrAからなる群から選択される蛋白質から誘導される。
本発明の複数の実施例においては、化合物が抗菌剤感受性を強化させる。別の実施例においては、化合物が感染力または菌力を低下させる。
本発明の複数の実施例においては、化合物がグラム陰性微生物に対して有効である。別の複数の実施例においては、化合物がグラム陽性微生物に対して有効である。好適な複数の実施例においては、グラム陽性微生物が、腸球菌、ブドウ球菌、クロストリジウム、連鎖球菌からなる群から選択された属の微生物である。別の好適な複数の実施例においては、化合物が腸内細菌科の微生物に対して有効である。さらに別の好適な複数の実施例においては、化合物が、大腸菌、プロテウス、クレブシェラ、プロビデンシア、腸内菌、ブルクホルデリア、シュードモナス、エロモナス、アシネトバクター、ミコバクテリアからなる群から選択された属の微生物である。
本発明の別の一実施例は、MarA 類蛋白質のヘリックス−ターン−ヘリックスモチーフをコードするヌクレオチド配列を微生物内に導入し、前記微生物の抗菌剤耐性プロフィールの変化をアッセイすることを含む、前記微生物の遺伝子座を特定するための、細胞を利用した方法に関する。複数の実施例においては、本発明は、微生物の遺伝子座の転写の変化をアッセイすることをさらに含む。別の複数の実施例においては、本発明は、耐性のかつ感受性の微生物中に様々な量で存在する蛋白質を特定することをさらに含む。別の複数の実施例においては、本発明は、蛋白質をコードする遺伝子を特定することをさらに含む。
本発明の複数の実施例においては、抗菌剤が、テトラサイクリン、フルオロキノロン、クロラモフェニコール、ペニシリン、セファロスポリン、ピューロマイシン、ナリジクス酸及びリファンピンからなる群から選択される。別の複数の実施例においては、抗菌剤が消毒剤、防腐剤または表面に使用される抗菌性の化合物である。さらに別の複数の実施例においては、抗菌剤が抗真菌性である。さらに他の複数の実施例においては、抗菌剤が駆虫性である。
本発明の別の一実施例は、微生物の核酸分子を、MarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと接触させることと、錯体を形成することと、ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインとの錯体を形成した前記核酸分子を、前記ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインから分離することと、MarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと結合可能なこれらの核酸分子の配列を特定することとを含む、抗菌剤への耐性に影響を与える微生物中の遺伝子座を特定するための、細胞を利用しない方法に関する。
本発明の複数の実施例においては、化合物が小分子のライブラリから誘導される。別の複数の実施例においては、化合物が核酸分子である。さらに別の複数の実施例においては、化合物がアンチセンスまたはセンスのオリゴヌクレオチドである。さらに他の複数の実施例においては、化合物が自然に発生する小有機分子である。
本発明の別の一実施例は、MarA類蛋白質の自然に発生するヘリックス−ターン−ヘリックスドメインとMarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの突然変異不活性型とをコードするヌクレオチド配列を含む、化合物への耐性に影響を与える微生物遺伝子座を特定するためのキットに関する。
発明の詳細な説明
本発明は、耐性を媒介するMarA蛋白質類のドメインを特定することにより薬剤耐性に対抗する優れた方法を開示するものであり、薬剤スクリーニングアッセイにおいて、これらのドメインを利用して、これらのドメインの活動機序を妨害する化合物を特定する方法と、様々な関連しない細菌の抗菌剤耐性の媒介に重要な役割を果たす遺伝子座を特定する方法を提供するものである。
本発明のさらなる開示の前に、本明細書、例及び請求項で使用される用語を、参考のために下記に集めた。
1.定義
本発明で使用される「抗感染性化合物」という言葉は、微生物が宿主に感染を起こさせる能力を低下させる化合物を含む。抗感染性化合物は、微生物の増殖及び/又は生存力を阻害するような抗菌化合物などの、微生物を抑制または殺滅する化合物を含む。
好適な抗感染性化合物は、微生物の抗菌剤に対する感受性を増加させ、または微生物の感染性あるいは菌力を減少させる。「微生物」という言葉は、細菌、真菌、原生動物などの単細胞微生物を含む。従って、真菌や原生動物の増殖及び/又は生存力を阻害する薬剤もまた、この言葉に含まれる。好適な実施例においては、微生物はヒト、動物または植物に対して病原性であるが、別の実施例においては、微生物は腐敗または汚損などに関与する。
本発明で使用される「抗菌剤」という術語は、自然界から抽出した、または人工的に合成した抗菌物質を含む。「抗菌剤」という術語は、Mar表現型が耐性を媒介することが示されている抗菌物質を含み、殺菌剤、防腐剤及び表面に使用される化合物を含む。例えば、酸化刺激剤を誘導する抗菌性、殺生物性、またはほかの種類の抗細菌性化合物や、有機溶剤もこの術語に含まれる。好適な抗菌剤は、テトラサイクリン、フルオロキノロン、クロラムフェニコール、ペニシリン、セファロスポリン、ピューロマイシン、ナリジクス酸、リファンピンを含む。
本発明で使用される「MarA類蛋白質」という言葉は、多くの自然発生する転写を抑制する蛋白質であり、MarAに類似した配列を有し、XylS/AraCシグネチャーパターンと呼んでもよいMarA類のシグネチャーパターンを含む。MarA類蛋白質を定義するシグネチャーパターンの一例がPROSITEで示され、配列: [KRQ]−[LIVMA]−X(2)−[GSTALIV]−{FYWPGDN}X(2)−[LIVMSA]−X(4,9)−[LIVMF]−X(2)−[LIVMSTA]−X(2)−[GSTACIL]−X(3)−[GANQRF]−[LIVMFY]−X(4,5)−[LFY]−X(3)−[FYIVA]−{FYWHCM}−X(3)−[GSADENQKR]−X−[NSTAPKL]−[PARL]で表される。配列上、Xはアミノ酸である。MarA類蛋白質は、2つの「ヘリックス−ターン−ヘリックス」ドメインを有する。このシグネチャーパターンは、第1のアミノ末端に続くドメインであるヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン(HTH1)から発生され、第2のカルボキシ末端であるヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン(HTH2)全体を含む(PROSITE PS00041参照)。
MarA類ポリペプチド配列は、1つまたはそれ以上の周知のMarA類、好適にはMarAに「構造的に関連して」いる。この構造的な関連性は、2つのMarA類ポリペプチド配列間の類似により示すことが可能であり、また、2つのMarA類ヌクレオチド配列間の類似により示すことも可能である。配列の類似は、例えば、MarA類の配列を、アライメントプログラムを用いて最適化し、対応する位置を比較するすることなどにより示すことが可能である。配列間の類似の程度を測定するためには、配列をアライメントして最適比較を行ってもよい(例えば、1つの蛋白質または核酸分子の配列中に間隙を設けて、他の蛋白質または核酸分子との最適アライメントを行ってもよい)。次に、アミノ酸残基または塩基と、対応するアミノ酸位置または塩基とを比較する。一配列における位置が、他方の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基または同じ塩基で占められている場合は、その位置における分子は同一である。アミノ酸残基が同一でない場合は、その位置における分子は類似しているのかもしれない。本発明では、2つのアミノ酸残基が、類似した側鎖をもつ残基の同じ類に属する場合、これらのアミノ酸残基は「類似している」と呼ぶ。類似した側鎖をもつ、アミノ酸残基類は、従来の技術(Altschul et al. 1990. J. Mol. Biol. 215:403参照)において定義されており、塩基性側鎖(例:リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例:アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例:グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例:アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖)例:トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例:チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン)を含む。類似の程度(パーセンテージ)は、従って、2つの配列に共通する同一のまたは類似の位置の数の関数である(即ち、相同性%=同一のまたは類似の位置の数/位置の総数x100)。アライメント法は、当該技術において周知である。最適配列アライメントについては、前記のAltschul et al. などを参照されたい。
MarA類ポリペプチドは、複数のアミノ酸配列がMarAと類似している。MarAのヌクレオチド酸及びアミノ酸配列、及び他のMarA類ポリペプチド配列は、当該技術分野で周知である。例えば、MarAのヌクレオチド酸及びアミノ酸の配列は、GeneBankなどで入手可能である。(受入れ番号M96235またはCohen et al. 1993. J. Bacteriol. 175:1484またはSEQ ID NO:1 及びSEQ ID NO:2)。
MarAのヌクレオチド酸及び/又はアミノ酸配列を、(公共のまたは民間の)データベースで検索を行って、例えば関連する配列を持つ他のMarA類を特定するための「照会配列」として利用してもよい。そのような検索を、例えばAltschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403−10のNBLAST及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて実行してもよい。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラムで、スコア=100、単語長さ=12で実行し、MarA類核酸分子と同一のヌクレオチド配列を得てもよい。BLAST蛋白質検索は、XBLASTプログラムで、スコア=50、単語長さ=3で実行し、本発明のMarA蛋白質分子と同一のアミノ酸配列を得てもよい。比較の目的で間隙を設けたアライメントを得るために、Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389−3402.に記載されたようにGapped BLASTを利用してもよい。BLAST及びGapped BLASTプログラムの利用に当たっては、各プログラム(例:XBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータを使用してもよい。http://www.ncbi.nlm.nih.gov. を参照のこと。
MarA類を、MarAを規定するヌクレオチド酸配列に特異的にハイブリッドを作る能力に基づき、構造的に類似しているとして特定してもよい。そのようなストリンジェントな条件は、当業者に周知であり、例えばCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1−6.3.6にも記載されている。ストリンジェントハイブリダイゼーションの条件の好適な、制限のない例として、45℃の6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でハイブリダイゼーションを行った後、50−65℃の0.2XSSC、0.1%SDSで1回またはそれ以上洗浄する例が挙げられる。ハイブリダイゼーションの条件は、二重鎖ヌクレオチド酸のほとんど純粋な構成要素である分子の半数に観察される融解の温度Tmに大きく依存する。Tmは、所定の配列の分子の半数が融解するかあるいは一本鎖となる摂氏温度である。11から23個の塩基をもつ配列のヌクレオチド酸では、Tmは2(A+T残基の数)+4(C+G残基の数)℃と推定される。核酸のハイブリダイゼーションまたはアニーリングは、例えば15℃、20℃、25℃あるいは30℃などの、Tmよりも低い温度で行われべきである。塩濃度(NaClのモル濃度)の効果も、Brown, A., ”Hybridization” pp. 503−506, in The Encyclopedia of Molec. Biol., J. Kendrew, Ed., Blackwell, Oxford (1994)の例に参照されるように算出可能である。
好適には、この方法で特定されるMar類のヌクレオチド酸配列は、少なくとも約10%、20%、より好適には約30%、さらに好適には約40%、最も好適には少なくとも約50%、または60%またはそれ以上、MarAヌクレオチド配列と同一である。好適には、MarA類のアミノ酸配列は、少なくとも約20%、より好適には約30%、さらに好適には約40%、最も好適には少なくとも約50%、または60%またはそれ以上、MarAアミノ酸配列と同一である。しかし、遺伝子転写の微生物レギュレータ間の配列の類似レベルは、それらが同類に属する場合であっても、必ずしも高くなくてもよいことが理解されるであろう。このことは特に、配列の同一性が例えば20%未満(例えば、バシラス‐サチリスとバシラス−ブルグドルフェリとの比較)など、低くてもよい互いに離間したゲノムの場合に言える。従って、MarA類内での構造的類似性を、アミノ酸残基の「3次元相対」に基づいて測定してもよい。ここで用いられる「3次元相対」という言葉は、X線結晶法などにより、同じ関数位置にあると測定され、しかしながら、直線アライメントプログラムを用いてアライメントさせた時には相対しないかもしれない、互いに離間して相対する残基を含む。「3次元相対」という言葉はまた、突然変異分析などにより、DNAとの結合または同一のコファクターとの結合などの同じ関数を実行するとして測定された残基を含む。
MarA蛋白質類の例が、表1、図2及び図3、Prosite(PS00041)に示されており、以下を含む:AarP, Ada, AdaA, AdiY, AfrR, AggR, AppY, AraC, CafR, CelD, CfaD, CsvR, D90812, EnvY, ExsA, FapR, HrpB, InF, InvF, LcrF, LumQ, MarA, MelR, MixE, MmsR, MsmR, OrfR, Orf_f375, PchR, PerA, PocR, PqrA, RafR, RamA, RhaR, RhaS, Rns, Rob, SoxS, S52856, TetD, TcpN, ThcR, TmbS, U73857, U34257, U21191, UreR, VirF, XylR, XylS, Xys1, 2, 3, 4, Ya52, YbbB, YfiF, YisR, YzbC及びYijO。
好適な実施例においては、MarA蛋白質類は、1つかそれ以上のXylS、AraC、MelRを含まない。別の好適な実施例においては、MarA蛋白質類は、抗菌剤耐性に関与する。特に好適な実施例においては、MarA蛋白質類は、MarA, RamA, AarP, Rob, SoxS, 及びPqrAからなる群から選択される。
好適なMarA類ポリペプチドは、「自然に発生する」。ここで用いられる「自然に発生する」分子とは、(自然のMarA蛋白質類をコードするなど)自然に発生するヌクレオチド配列を有するMarA類分子を指す。さらに、これらのポリペプチド及び核酸分子の自然に発生するまたは非自然的に発生する突然変異体は、DNAとの結合能力や転写調節能力など、同じ機能活動を行う。このような突然変異体は、当該技術で周知の技術を用いた突然変異などによって生成してもよい。または、突然変異体を化学的に合成してもよい。例えば、本発明に記載したMarA類ポリペプチドは、その等価物も含むことを意味することが理解されるであろう。そのような突然変異体は、例えば、当該技術において周知の技術を用いた突然変異により生成されてもよい。または、突然変異体を化学的に合成してもよい。例えば、(DNAとの結合及びオペロンからの転写を調節する能力を有するなど)機能的に等価であるMarA類ペプチドの突然変異体を、当該技術で周知の技術を用いて生成してもよい。突然変異は、置換を増加させるかもしれない少なくとも1つの不連続点突然変異や、または少なくとも1つの欠失または挿入などを含んでもよい。例えば、無差別突然変異生成を行ってもよい。突然変異の生成には、無差別突然変異生成を行ってもよいし、カセット突然変異生成を行ってもよい。前者では、分子のコード領域全体を、多数の方法(化学、PCR、ドープ処理オリゴヌクレオチド合成)のうちの一つを用いて突然変異させ、前記無差別に突然変異した分子の集合について選択又はスクリーニング処理を行う。後者では、(ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの第1または第2のドメインなどの)定義された構造的または機能的決定基のいずれかに対応する蛋白質の不連続領域を飽和または準無差別突然変異させた後に、これらの突然変異したカセットを、その他の点では野生型であるアレルの中に最導入する。一実施例においては、PCR突然変異生成を行ってもよい。例えば、Megaprimer PCRを行ってもよい(O.H. Landt, Gene 96:125−128)。
一実施例においては、そのような突然変異体の少なくとも60%のアミノ酸が、自然に発生したMarA蛋白質類と同一である。好適な実施例においては、そのような突然変異体の少なくとも70%のアミノ酸が、自然に発生したMarA蛋白質類と同一である。さらに好適な実施例においては、そのような突然変異体の少なくとも80%のアミノ酸が、自然に発生したMarA蛋白質類と同一である。特に好適な実施例においては、そのような突然変異体の少なくとも90%のアミノ酸が、自然に発生したMarA蛋白質類と同一であり、好適には少なくとも約95%のアミノ酸が、自然に発生したMarA蛋白質類と同一である。さらに別の実施例においては、MarA蛋白質類の突然変異体をコードする核酸分子は、ストリンジェント条件下で、自然発生するMarA蛋白質類をコードする核酸分子へのハイブリダイゼーションが可能である。
「MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの突然変異型」という言葉は、自然発生する型と同じ生物学的活性を保持しないMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの突然変異型を含む。例えば、そのような突然変異体は、MarA類プロモータに結合しなくてもよく、または、MarA類反応プロモータからの転写を開始しなくてもよく、または、自然に発生するMarA類よりも低いレベルで転写を開始してもよい。
本発明で用いられる「Mar類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性」という言葉は、ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインが、MarA蛋白質類反応プロモータとの結合や、そのようなプロモータからの転写の開始などの、DNAとの相互作用を行う能力を含む。
本発明で用いられる「marA蛋白質類反応プロモータ」という言葉は、微生物のオペロンの転写を開始するプロモータを含み、例えばMarA又はMarAに関連する蛋白質により結合されたmarAプロモータに構造的または機能的に関連している。好適には、marA蛋白質類反応プロモータは、marRABプロモータであるである。例えば、marオペロンでは、多くのオペロンが、ここに述べるようなmarA蛋白質類反応プロモータであり、例えばmarO領域からの405−bp ThaIフラグメントは、marA類反応プロモータである (Cohen et al. 1993. J. Bact. 175:7856)。さらに、MarAは、MarO内「marbox」と呼ばれる16 bp MarA結合部位に結合することが示されている (Martin et al. 1996. J. Bacteriol. 178:2216)。MarOはまた、acrAB; micF; mlr 1,2,3; slp; nfo; inaA; fpr; sodA; soi−17,19; zwf; fumCまたはrpsF プロモータからの転写を開始する(Alekshun and Levy. 1997. Antimicrobial Agents and Chemother. 41:2067)。他のmarA類反応蛋白質は、当業において周知であり、AraCにより活性化するaraBAD, araE, araFGH及びaraC; XylSにより活性化するPm; MelRにより活性化するmelAB; Robにより結合するoriCを含む。
「MarA蛋白質類反応プロモータ」という言葉は、MarA蛋白質類との相互作用の際に転写を活性化させるのに十分な、上述のプロモータの部分も含む。活性化に最低限必要なMarA蛋白質類反応プロモータの部分は、例えば突然変異生成などにより、当業者に容易に理解される。そのような技術の一例がGallegos et al. (1996. J. Bacteriol. 178:6427)に述べられている。「MarA蛋白質類反応プロモータ」は、自然に発生するMarA蛋白質類プロモータと同様の機能を持つ、MarA蛋白質類反応プロモータの非自然発生同族体も含んでいる。好適には、そのような突然変異体の少なくとも60%のヌクレオチド配列が、自然に発生したMarA蛋白質類反応プロモータの配列と同一である。好適な実施例においては、そのような突然変異体の少なくとも70%のヌクレオチド配列が、自然に発生したMarA蛋白質類反応プロモータの配列と同一である。さらに好適な実施例においては、そのような突然変異体の少なくとも80%のヌクレオチド配列が、自然に発生したMarA蛋白質類反応プロモータの配列と同一である。特に好適な実施例においては、そのような突然変異体の少なくとも90%のヌクレオチド配列が、自然に発生したMarA蛋白質類反応プロモータの配列と同一であり、好適には少なくとも約95%のヌクレオチド配列が、自然に発生したMarA蛋白質類反応プロモータの配列と同一である。さらに別の実施例においては、MarA蛋白質類反応プロモータの突然変異体をコードする核酸分子は、ストリンジェント条件下で、自然発生するMarA蛋白質類反応プロモータをコードする核酸分子へのハイブリダイゼーションを行ってもよい。
「相互作用」という言葉は、一つの分子ともう一つの分子との結合などの、測定可能な結果をもたらす分子同士の緊密な接触を含む。例えば、MarA類ポリペプチドが、MarA蛋白質類反応プロモータと相互作用し、DNAの転写のレベルを変化させてもよい。同様に、化合物がMarA類ポリペプチドと相互作用して、MarA類ポリペプチドの活性を変化さてもよい。
本発明で使用される「多薬剤耐性(MDR)」という術語は、抗菌性及び非抗菌性化合物への耐性を含む。MDRは、例えば外向きフラックスや、微生物の異化または代謝プロセスを刺激することなどにより、有機体中の染色体またはmarRAB遺伝子座などのプラスミドコード化遺伝子座の転写が増加し、その結果、有機体が曝露される化合物や、他の関連しない化合物が前記有機体に及ぼす毒性を最小化する能力を、前記有機体が獲得することにより生じる。
本発明で使用される「レポータ遺伝子」は、例えばMarA蛋白質類反応プロモータなどの調節配列に操作可能に結合している、容易に検出可能な産物をコードするあらゆる遺伝子を含む。操作可能な結合とは、適切な条件下で、RNAポリメラーゼが調節領域のプロモータに結合し、次にヌクレオチドを転写することにより、レポータ遺伝子を転写することが可能であることを意味する。好適な実施例においては、レポータ遺伝子はレポータ遺伝子のフレームに結合したMarA蛋白質類反応プロモータよりなる。しかし、ある実施例においては、好適には、レポータ遺伝子構造内に、転写調節配列などの他の配列が含まれてもよい。例えば、プロモータの活性の調節を、プロモータ領域に結合しているRNAポリメラーゼを変化させることにより行ってもよく、又は、mRNAの転写または延長の開始を妨害することにより行ってもよい。従って、本発明で包括的に転写調節要素または配列と呼ばれている配列が、レポータ遺伝子構造に含まれてもよい。さらに、前記構造が、mRNAの翻訳を変化させ、その結果レポータ遺伝子産物の量を変化させるるヌクレオチド配列を含んでもよい。
レポータ遺伝子の例は、CAT (クロラモフェニコールアセチルトランスフェラーゼ) (Alton and Vapnek (1979), Nature 282: 864−869) ルシフェラーゼ及びβ‐ガラクトシダーゼなどの他の酵素検出法に限定されないが、ホタルルシフェラーゼ (deWet et al. (1987), Mol. Cell. Biol. 7:725−737); 細菌ルシフェラーゼ (Engebrecht and Silverman (1984), PNAS 1: 4154−4158; Baldwin et al. (1984), Biochemistry 23: 3663−3667); PhoA, アルカリホスファターゼ (Toh et al. (1989) Eur. J. Biochem. 182: 231−238, Hall et al. (1983) J. Mol. Appl. Gen. 2: 101), ヒト胎盤分泌アルカリホスファターゼ (Cullen and Malim (1992) Methods in Enzymol. 216:362−368) 及び緑色蛍光性蛋白質(U.S. patent 5,491,084; WO96/23898)を含む。
本発明で使用される「化合物」という術語は、本発明のアッセイで使用され、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性に、例えば前記ドメインに結合することなどにより影響を与える能力に基づいた抗感染化合物としての有用性についてのアッセイを行ったあらゆる試薬及び試験薬を含む。スクリーニングアッセイにおいて、MarA類HTHドメインの活性を変化させる能力について、1つより多い、すなわち複数の化合物のテストを同時に実施してもよい。
被験者アッセイで試験可能な化合物は、抗菌化合物及び非抗菌化合物を含む。一実施例においては、化合物は有望な洗剤及び殺菌化合物を含む。活性についてのスクリーニングを実施可能な化合物の例として、これに限定されるわけではないが、ペプチド、非ペプチド化合物、核酸、炭水化物、(ポリケチドなどの)小型有機分子及び天然産物抽出物ライブラリが挙げられる。「非ペプチド化合物」という術語は、天然のペプチド結合により結合された、自然発生L−アミノ酸残基とは少なくとも部分的に異なる分子構造を備えた化合物を指すものとして意図されている。しかし、「非ペプチド化合物」はD−アミノ酸、非自然発生L−アミノ酸、変更されたペプチドバックボーンなどのペプチド様作用構造から全体的または部分的に構成される化合物、及び天然のペプチド結合により結合された、自然発生L−アミノ酸と関連しない分子構造から全体的または部分的に構成される化合物を包含するものとして意図されている。「非ペプチド化合物」は、天然産物をも包含するものとして意図されている。
本発明で使用される「遺伝子座」という術語は、ペプチドまたは(プロモータ、オペレータ、あるいは他の調節要素などの)転写調節要素をコードするオリゴヌクレオチド配列を含む。遺伝子座は、開始コドン、停止コドン、及びアミノ酸残基をコードする少なくとも1つのコドンよりなってもよい。典型的には、遺伝子座の転写によりmRNAが生成され、その転写の翻訳によりポリペプチドが生成される。
II. MarA蛋白質類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン
ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインは、当業者に周知であり、DNA結合に関係している(Ann Rev. of Biochem. 1984. 53:293)。そのようなヘリックス−ターンドメインのためのコンセンサス配列が、Brunelle 及び Schleif (1989. J. Mol. Biol. 209:607)に開示されている。このドメインは、配列XXXPhoAlaXXPhoGlyPhoXXXXPhoXXPhoXXにより表される。配列中、Xはいかなるアミノ酸でもよく、Phoは疎水性アミノ酸である。
MarAの結晶構造は測定されており、MarAの第1の(アミノ末端の殆どの)HTHドメインは、アミノ酸31周辺からアミノ酸52周辺までを含むものとして識別され、また、MarAの第2のHTHドメインは、アミノ酸79周辺からアミノ酸102周辺までを含むものとして識別されてきた(Rhee et al. 1998. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 95:10413)。
他のMarA類におけるヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの場所は、当業者に容易に発見される。例えば、MarA蛋白質配列と、ProDomプログラム、(図2を作成するために行ったアミノ酸30周辺からアミノ酸107周辺のような)MarAのHTHドメインの一方または両方を含むMarAアミノ酸配列などのアライメントプログラムとを使用するして、アライメントを作成する。図2及び図3にアライメントの例を示す。このようなアライメントを使用して、MarAのHTHドメインに対応するアミノ酸配列を、他のMarA蛋白質類で同定してもよい。MarA蛋白質類の第1のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインのコンセンサス配列は、XXXXAXXXXXSXXXLXXXFXで表される。配列中、Xはいかなるアミノ酸でもよい。MarA蛋白質類の第2のヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン のコンセンサス配列は、XXIXXIAXXXGFXSXXXFXXX[F/Y]で表される。配列中、Xはいかなるアミノ酸でもよい。好適には、MarA蛋白質類の第1のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインは、コンセンサス配列E/D−X−V/L−A−D/E−X−A/S−G−X−S−X3−L−Q−X2−F−K/R/E−X2−T/Iを含む。好適には、MarA蛋白質類の第2のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインは、コンセンサス配列I−X−D−I−A−X3−G−F−X−S−X2−F−X3−F−X4を含む。
好適には、MarA類のHTHドメインはMarA HTHドメインである。MarAの第1の及び第2のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインは、それぞれ、EKVSERSGYSKWHLQRMFKKET及びILYLAERYGFESQQTLTRTFKNYFである。別のMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインは、MelRのアミノ酸210周辺からアミノ酸229周辺、及びアミノ酸259周辺からアミノ酸278周辺まで;AraCのアミノ酸196周辺からアミノ酸215周辺及びアミノ酸245周辺からアミノ酸264周辺まで;及びXylSのアミノ酸230周辺からアミノ酸249周辺まで(または233−253) 及びアミノ酸281周辺からアミノ酸301周辺まで(または282−302)を含む。(Brunelle et al. 1989. J. Mol. Biol. 209:607; Niland et al. 1996. J. Mol. Biol. 264:667; Gallegos et al. 1997. Microbiology and Molecular Biology Reviews. 61:393などを参照のこと)。
「MarA蛋白質類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン」は、上述のMarA蛋白質類のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインから誘導されるか、またはこれと相同する。特に好適な実施例においては、MarA蛋白質類は、MarA, RamA, AarP, Rob, SoxSおよび PqrAからなる群より選択される。
MarA蛋白質類のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインは、両方とも、前記蛋白質のカルボキシ末端に位置する。これらのドメインの一方または両方を有する蛋白質またはその部分を、本方法において使用してもよい。ある実施例では、化合物のスクリーニングに使用されるポリペプチドは、その誘導元であるMarA蛋白質類のカルボキシ末端(HTH2)に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを有する。別の実施例においては、そのようなポリペプチドは、その誘導元であるMarA蛋白質類のアミノ末端(HTH1)に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを有する。一実施例においては、担荷体上のドメインの固定化を容易にするか、あるいは、ドメインの精製を容易にするような配列などの他のポリペプチド配列が存在していてもよい。
好適な実施例においては、そのようなポリペプチドは、不可欠的に、その誘導元であるMarA蛋白質類のカルボキシ末端に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインよりなる。別の好適な実施例においては、そのようなポリペプチドは、不可欠的に、その誘導元であるMarA蛋白質類のアミノ末端に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインよりなる。
好適な実施例においては、そのようなポリペプチドは、その誘導元であるMarA蛋白質類のカルボキシ末端に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインよりなる。別の好適な実施例においては、そのようなポリペプチドは、その誘導元であるMarA蛋白質類のアミノ末端に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインよりなる。
MarA蛋白質類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインは、当業者に周知の技術を用いて生成可能である。MarA蛋白質類の核酸及びアミノ酸の配列は、例えば、GenBankから入手可能である。当業者は、この情報と、ヘリックス−ターン−ヘリックスコンセンサスモチーフと、そこに提供される突然変異分析とを用いて、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを同定することが可能である。
本発明のある実施例においては、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインまたはその突然変異型をコードする「分離または組換えされた」核酸分子を得ることが望ましいであろう。「分離または組換えされた」とは、(1)例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により生体外で増殖された;(2)クローニングにより組換え生成された;(3)切断及びゲル分離により精製された;または、(4)例えば化学合成により合成された核酸分子を意味する。そのような核酸分子は、本来はゲノム中で側方に位置している配列と細胞の構成要素とから分離される。
MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックス蛋白質ドメインをコードする分離または組換えされた核酸分子を、次に、例えば、結合アッセイに利用するか、細胞内で発現させるか、あるいは次にさらに述べるようにファージ上に発現させてもよい。
本発明のさらに別の実施例においては、ほとんど精製されたまたは組換えされたMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスポリペプチドを得ることが望ましいであろう。そのようなポリペプチドは、例えば、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインをコードする、分離されたまたは組換えされた核酸分子を発現するように加工された細胞から精製されてもよい。たとえば、以下にさらに詳細に説明するように、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインをコードするプラスミドを用いて菌細胞を形質転換してもよい。次に、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックス蛋白質を菌細胞から精製し、例えば、本明細書に記載する無細胞アッセイで使用してもよい。
MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの精製は、当業者に周知の方法で達成可能である。例えば、カラムクロマトグラフィーを用いてもよいし、ドメイン用の抗体またはドメインに融合したポリペプチドを、カラム内でまたはパンニングアッセイにて用いてもよい。
好適な実施例においては、例えば宿主細胞などの、精製用にMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを発現するために使用される細胞は、非機能性の内在性MarA蛋白質類を保有するか、または内在性の蛋白質を発現しない突然変異体を有する。別の実施例においては、突然変異体は、宿主細胞のMarRまたは関連する遺伝子において作られるので、MarA蛋白質類と同じプロモータに結合するレプレッサ蛋白質は宿主細胞により発現されない。
III. 突然変異型MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン
本発明のある実施例においては、例えばMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの非自然発生型などの、MarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの突然変異型を使用することが望ましいであろう。そのような突然変異型は、野生型MarA蛋白質類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン活性を保持しないか、減少した活性を有するか、または野生型MarA蛋白質類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと比較してより活性であるなどの変化した活性を有する。
そのような突然変異型は、当業者に周知の技術を用いて形成してもよい。例えば、無差別突然変異生成を行ってもよい。無差別突然変異生成により分子全体を突然変異させてもよいし、カセット突然変異生成を行ってもよい。前者の場合は、分子のコード領域全体を、多数の方法(化学、PCR、ドープ処理オリゴヌクレオチド合成)のうちの一つを用いて突然変異させ、前記無差別に突然変異した分子の集合について選択又はスクリーニング処理を行う。後者では、(ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの第1または第2のドメインなどの)定義された構造的または機能的決定基のいずれかに対応する蛋白質の不連続領域を飽和または準無差別突然変異させた後に、これらの突然変異したカセットを、その他の点では野生型であるアレルの中に最導入する。
好適な実施例においては、PCR突然変異生成を行ってもよい。例えば、例2はMegaprimer PCR(O.H. Landt, Gene 96:125−128)による、marA遺伝子のヘリックスA(位置1989)及びへリックスB(位置2016)双方の中心へのNheI制限部位の導入について述べている。
一実施例においては、そのような突然変異型ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインは、1つまたはそれ以上の変異を、MarA蛋白質類分子のカルボキシ末端(HTH2)に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインに有する。好適な実施例においては、突然変異はMarA蛋白質類分子のカルボキシ末端に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインのへリックスA及びへリックスBへの挿入を含む。一実施例においては、そのような突然変異ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインは、1つまたはそれ以上の突然変異を、MarA蛋白質類分子のアミノ末端(HTH1)に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインに有する。好適な実施例においては、突然変異はMarA蛋白質類分子のアミノ末端に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインのへリックスA及びへリックスBへの挿入を含む。特に好適な実施例においては、突然変異は、MarAの位置33周辺に対応するアミノ酸位置での挿入およびMarAの位置42周辺に対応するアミノ酸位置での挿入からなる群より選択される。「対応する」アミノ酸を、例えば図2に図示されるようなヘリックス−ターン−ヘリックスドメインのアライメントを用いて測定してもよい。
そのようなMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスモチーフの突然変異型はMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン用の抗感染性化合物の特異性を立証するためのコントロールとして、あるいは抗感染剤への耐性に影響を及ぼす遺伝子座の同定のためのコントロールとして有用である。例えば、後述の例に記載するMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインに関しては、第1のHTHドメインにおけるヘリックスAまたはヘリックスBのいずれかでのMarAの挿入不活化により、大腸菌およびスメグマ菌双方の多薬剤耐性表現型が死滅したことが示された。例2に記載するアッセイ法では、MarA蛋白質類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインが抗菌剤耐性を強化する能力が示され、また、これらのドメインの突然変異型は同じ能力を持たないことが示された。このことから、同定されたすべての遺伝子座の反応はMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインに特異であることは明らかである。
IV. MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの発現
MarA蛋白質類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインをコードする核酸は、ベクターを用いて細胞内に発現可能である。ほとんどすべての従来の媒介ベクターが使用できる。そのようなベクターは一般的に広く入手可能であり、与えられた微生物細胞への使用に適切なベクターの選択は、当業者の熟練者の知識と裁量の範囲内である。これらのドメインをコードする配列は、自己複製ベクターにより導入してもよいし、相同組換えまたはトランスポゾンのような挿入要素により微生物の染色体に導入してもよい。
これらの核酸は、例えば塩化カルシウムやエレクトロポレーションを用いた突然変異などの標準的な技術を用いて微生物細胞に導入することが可能である。そのような微生物へのDNA導入技術は、当業者に周知である。
V. MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと相互作用する抗菌/抗感染化合物を特定する方法
一実施例においては、本発明は、MarA蛋白質類から誘導されたMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを有するポリペプチドと化合物とを、前記化合物とポリペプチドとの相互作用を可能にする条件下で接触させることにより、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインに影響を与える抗感染性化合物を同定するための方法を提供する。化合物がMarA蛋白質類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性を低下させる能力は、その化合物が、細菌の成長を阻害する抗菌化合物であるかどうか、または細菌が宿主に感染症を起こさせる能力を阻害する抗感染化合物であるかどうかの指標として用いられる。
ある化合物がヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性を低下させるかどうかを測定するために、様々に異なる技術を用いることが可能である。例えば、ある化合物が、MarA蛋白質類と、例えばMarA蛋白質類反応プロモータなどのDNAとの結合力を低下させる能力や、前記化合物が、そのようなプロモータからのMarA蛋白質類開始転写を減少させる能力を測定することが可能である。下記にさらに詳細に記載するように、全細胞または無細胞アッセイのいずれかを行うことが可能である。
A. 全細胞アッセイ
本発明の複数の実施例においては、ある化合物がMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性に影響を及ぼすか否かを判定する手段は、その化合物が、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインのMarA反応プロモータからの転写を活性化させる能力を低下させる能力の測定を含む。そのようなアッセイにおいては、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインは通常MarA反応プロモータと結合して転写を誘発するので、化合物がこの転写のコントロールレベルを低下させる能力に基づき、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインにより形質移入されたがこの化合物により処理されていない細胞との比較を行うことによって、前記化合物が同定される。
好適な実施例においては、MarA蛋白質類反応プロモータからの転写の読出しを容易にするために、そのようなプロモータをレポータ遺伝子に結合させる。例えば、大腸菌細胞などの菌細胞を、pm−lacZレポータ遺伝子構造及びXylSを持つプラスミドとにより形質移入してもよい。XylSは、転写及びレポータ遺伝子生成物を生成させるようなコントロール条件下でpmプロモータからの転写を活性化させる。ある化合物がこの相互作用を阻止する能力は、この転写コントロールレベルの低下と、その結果として起こる、レポータ遺伝子生成物の量の減少により示される。レポータ遺伝子生成物の量は、無傷の細胞において、例えばlacZレポータ遺伝子を用いて、X−Gal (5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)を加えた培地上で細胞を培養し、細胞の色の変化を観察するか、または細胞を溶解し、生成した生成物の量を、吸光度または酵素活性により測定することなどにより、概略的に測定してもよい。
さらに別の実施例においては、ある化合物が転写の変化を誘発する能力を判定する手段は、細胞により生成されたRNAの量の測定を含む。そのような実施例においては、細胞はレポータ遺伝子構造を含んでもよいし、含まなくてもよい。例えば、化合物が存在する条件下と、化合物が存在しない条件下で培養された、共にMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを発現した細胞とからRNAを分離してもよい。次に、検出する配列に特異なプローブによるノーザンブロット法を、当業者に周知の技術を用いて実施してもよい。検出される可能性のある配列は、例えば、内性配列とレポータ遺伝子配列との両方を含むMarA類反応プロモータに結合したあらゆる配列を含む。検出される可能性のある内性配列の例は、AraCにより活性化するacrAB; micF; mlr 1,2,3; slp; nfo; inaA; fpr; sodA; soi−17,19; zwf; fumC; またはrpsF; araBAD, araE, araFGH 及び araC;XylSにより活性化するpm;MelRにより活性化するmelAB;Robにより活性化するoriC及び、下記に述べるアッセイを用いて同定される遺伝子座より生じる配列を含む。
さらに別の実施例においては、ある化合物がMarA反応プロモータからの転写の変化を誘発する能力は、細胞が生成した蛋白質の量を測定することにより判定される。検出される可能性のある蛋白質は、例えば、内性配列とレポータ遺伝子配列との両方を含むMarA類反応プロモータの活性化の際に生成されるあらゆる蛋白質を含む。検出される可能性のある内性配列の例は、AcrAB; Mlr 1,2,3; Slp; Nfo; InaA; Fpr; SodA; Soi−17,19; Zwf; FumC; またはRpsFプロモータ(Alekshun and Levy. 1997. Antimicrobial Agents and Chemother. 41:2067)を含む。その他は当業者に周知であり、AraCにより活性化するAraBAD, AraE, AraFGH及びAraC;XylSにより活性化するpm;MelRにより活性化するMelAB;Robにより結合するoriC及び、下記に述べるアッセイを用いて同定される遺伝子座より生じる配列を含む。一実施例においては、一細胞により生成される蛋白質の量は、その蛋白質の抗体を用いて検出してもよい。別の実施例においては、そのような蛋白質の活性を測定してもよい。
B. 無細胞アッセイ
別の実施例においては、ある化合物がMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性に影響を及ぼす能力は、無細胞法にて、分離MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスポリペプチドを用いて測定される。このようなアッセイでは、化合物がMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性に影響を及ぼす能力の測定は、その化合物がヘリックス−ターン−ヘリックスドメインのDNAへの結合力に及ぼす影響を測定することにより達成される。
例えば、ヘリックス−ターン−ヘリックスのDNAへの結合力を、当業者に周知の技術を用いて(例えば Martin and Rosner. 1995. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:5456などを参照のこと)、32PのMarA対反応プロモータをコードする核酸分子の末端に標識付けを行うことにより測定してもよい。次に、ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを、試験される化合物と共に培養し、錯体を生成する。次に、生成した錯体を、標識付けされたMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックス蛋白質類反応プロモータと共に培養する。次に、試料を電気泳動にかけ、試料の移動度の変化を、化合物が存在しない条件下でのヘリックス−ターン−ヘリックスドメインプロモータ錯体の移動度と比較観察する(Martin and Rosner, 前記)。
ある化合物がMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを結合する能力を判定するためのさらに別の方法においては、ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインポリペプチド配列をバクテリオファージを用いて出現させてもよい。本実施例においては、次に、ファージはヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを示すファージをある化合物と接触させ、ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインが前記化合物と相互作用して一時的に錯体を生成するようにしてもよい。次に、化合物と錯体を生成したファージを、錯体を生成しなかったファージから分離してもよい。次に、ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと化合物との錯体を、バクテリオファージを前記化合物から分離させる薬剤に接触させてもよい。次に、ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと結合した全ての化合物を分離し、同定してもよい。
ポリペプチドであり、ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと結合した化合物のスクリーニングを考慮したこの方法の変更例においては、表面に多数のポリペプチド配列を示すバクテリオファージのライブラリを対象として、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインドメインを結合して、前記ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインとの結合力をもつこれらのポリペプチドを得る能力の試験を行ってもよい。結合したバクテリオファージとヘリックス−ターン−ヘリックスドメインとの錯体を分離し、次に前記結合したバクテリオファージを前記錯体から分離させる薬剤で前記錯体を処理し、出現したポリペプチドをコードする核酸の配列を得てもよい。
VII. 試験に適した微生物
本アッセイによる試験には、多数の異なる微生物が適している。これらの微生物は、それ自体、無傷細胞として、または本発明に記載のDNAの源として利用されてもよい。
好適な実施例においては、クレームされた方法で使用される微生物は細菌であり、グラム陰性またはグラム陽性の細菌である。より詳細には、例えばMar表現型を出現するなど、抗菌剤耐性になることを示す細菌はすべて、クレームされた方法での使用に適している。
好適な実施例においては、試験に適した微生物は、腸内細菌科の微生物である。より好適には、抗菌剤は、エシェリキア、プロテウス、サルモネラ、クレブシェラ、プロビデンシア、エンテロバクター、ブルクホルデリア、シュードモナス、アエロモナス、ヘモフィルス、エルシニア、ナイセリア及びミコバクテリアからなる群から選択された属の細菌に対して有効である。
さらに別の実施例においては、試験を行われる微生物はグラム陽性細菌であり、ラクトバチルス、アゾリゾビウム、ストレプトマイセス、4連球菌、フォトバクテリウム、バチルス、腸球菌、ブドウ球菌、クロストリジウム及び連鎖球菌からなる群から選択された属の微生物である。
別の実施例においては、試験を行われる微生物は真菌である。好適な実施例においては、真菌は、例えばムコールラクメオサスやカンジダアルビカンスなどの、ムコール属またはカンジダ属の真菌である。
さらに別の実施例においては、試験を行われる微生物はプロトゾアである。好適な実施例においては、微生物はマラリア原虫またはクリプトスポリジウム寄生虫である。
VIII. 試験化合物
本方法で試験される化合物は、様々に異なる源から誘導可能であり、周知のものでもよいし、新規なものでもよい。一実施例においては、化合物のライブラリを本発明の方法により試験し、MarA蛋白質類阻害物質を同定する。別の実施例においては、周知の化合物を本発明の方法で試験して、MarA類阻害物質を同定する。好適な実施例においては、環境保護局により安全である(GRAS)と一般に認められた化合物のリストから選択した化合物を対象として本発明の方法を用いた試験を行った。
最近の医薬品化学の流れの一つに、ライブラリに関連する化合物の水剤の製造がある。ペプチドのライブラリは当業においてよく使用されているが、その一方で、ベンゾジアゼピンbenzodiazepines (Bunin et al. 1992. J. Am. Chem. Soc. 114:10987; DeWitt et al. 1993. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6909) 、ペプトイド(Zuckermann. 1994. J. Med. Chem. 37:2678)、オリゴカルバメートoligocarbamates (Cho et al. 1993. Science. 261:1303)、ヒダントイン(DeWitt et al. 前記)などの他の化合物の水剤の製造を可能にする新技術が開発されてきている。Rebek et al.は、多様度104−105の小有機分子の分子ライブラリの合成へのアプローチについて述べている104−105 (Carell et al. 1994. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059; Carell et al. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1994. 33:2061)。
本発明の化合物は、生化学的ライブラリ、空間アドレス可能平行固相または溶体相ライブラリ、逆重畳積分を必要とする合成ライブラリ法、「1ヘッド1化合物」ライブラリ法、及びアフィニティークロマトグラフィー選別を用いた合成ライブラリ法を含む、当業者に周知の結合ライブラリ法の数多くのアプローチのいずれを使用して得てもよい。生化学的ライブラリはペプチドライブラリに限定されるが、他の4つのアプローチはペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の小分子ライブラリにも適用可能である(Lam, K.S. Anticancer Drug Des. 1997. 12:145)。
活性スクリーニングを行ってもよい化合物の例は、これに限定されるわけではないが、ペプチド、核酸、炭水化物、小型有機分子及び、天然生成物抽出ライブラリを含む。一実施例においては、試験化合物はペプチドまたはペプチド様作用物質である。別の好適な実施例においては、化合物は小型有機非ペプチド化合物である(Lam, K.S. Anticancer Drug Des. 1997. 12:145)。
分子ライブラリの合成法の別の例は、例えばErb et al. 1994. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422; Horwell et al. 1996 Immunopharmacology 33:68; 及びGallop et al. 1994. J. Med. Chem. 37:1233などの周知の技術において見られる。
化合物のライブラリは、溶体(e.g., Houghten (1992) Biotechniques 13:412−421)、ビード(Lam (1991) Nature 354:82−84)、チップ(Fodor (1993) Nature 364:555−556)、細菌(Ladner USP 5,223,409)、胞子(Ladner USP ’409)、プラスミド(Cull et al. (1992) Proc Natl Acad Sci USA 89:1865−1869)中、またはファージ(Scott and Smith (1990) Science 249:386−390); (Devlin (1990) Science 249:404−406); (Cwirla et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378−6382); (Felici (1991) J. Mol. Biol. 222:301−310); (Ladner 前記.)上に存在するかもしれない。別の型のペプチドライブラリも発現するかもしれない。例えば、U.S. Patents 5,270,181 and 5,292,646参照のこと。)さらに別の実施例においては、結合性ポリペプチドがcDNAライブラリから生成されてもよい。
別の実施例においては、化合物が核酸分子であってもよい。好適な実施例においては、試験に使用する核酸分子は、小型オリゴヌクレオチドである。そのようなオリゴヌクレオチドは、無差別に発生したオリゴヌクレオチドのライブラリであってもよいし、MarA蛋白質類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性を低下させるために特別にデザインされてもよい。例えば、一実施例においては、これらのオリゴヌクレオチドはセンスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。好適な実施例においては、試験用オリゴヌクレオチドは、MarA蛋白質類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの結合部位に対してセンスである。MarA蛋白質類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン配列を持つそのようなオリゴヌクレオチドをデザインする方法は、当業者に周知の技術の範囲内である。
好適な実施例においては、被験者アッセイを用いて同定された化合物がMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性を低下させるのは、単に前記化合物が蛋白質の合成を阻害するからではないことを確認するために、コントロールが含まれるべきである。例えば、ある化合物が、MarA活性化時に転写されたRNAから翻訳された蛋白質の合成を阻害すると思われる場合、例えばMarA類反応プロモータの活性化時に転写されなかったRNAから翻訳された蛋白質などのコントロールの合成が、同じ化合物を加えることにより影響を受けないことを証明することが望ましい。例えば、生成されたMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスポリペプチドの量または内性蛋白質の量について試験を行ってもよい。別の実施例においては、MarA類反応プロモータではないプロモータと、そのプロモータに操作可能に結合した蛋白質とを有するプラスミドにより、微生物を形質転換させてもよい。この蛋白質の出現を利用して、化合物が存在する条件下及び化合物が存在しない条件下で生成された蛋白質の量を規格化してもよい。
X. 耐性に影響を及ぼす微生物の遺伝子座の同定方法
抗菌剤耐性の媒介に関与する新たな遺伝子座を同定するために、様々に異なる技術を用いてもよい。例えば、全細胞または無細胞アッセイ法により、少なくとも1つのMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを利用してもよい。
A. 細胞利用アッセイ
一実施例においては、本発明は、抗菌剤耐性に影響を与える微生物の遺伝子座を、細胞を用いて同定する方法を提供する。そのようなアッセイにおいては、MarA類蛋白質のヘリックス−ターン−ヘリックスモチーフをコードするヌクレオチド配列を微生物内に導入し、例えば抗菌剤を含有する培地中での成長度の変化を観察したり、または抗菌剤ディスク周囲の阻害領域における減少を検出することにより、その微生物の抗菌剤耐性の変化を試験してもよい。MarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインが抗菌剤感受性を低下させる能力は、抗菌剤耐性の媒介に関与するMarA類蛋白質反応内性遺伝子座を微生物が有することを示す指標である。
別の実施例においては、上述の方法は、微生物内で同定された遺伝子座の転写の変化のアッセイに更に関する。例えば、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを有するベクターを用いて、被験微生物を形質転換させてもよい。適切な対照微生物は、そのような非相同のDNAを持たない微生物や、MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの突然変異型を持つベクターにより形質転換された微生物を含む。試験により得られた全RNA及び対照微生物を分離してもよい。分離は、例えば、これらの菌体の双方からcDNAライブラリを作成することにより行ってもよい。試験により得られたcDNA及び対照菌体を、次に、ハイブリダイゼーションに適した条件下で共に培養する。ハイブリッド形成を行わず、一本鎖のままであったcDNAは、抗菌剤耐性に関与するのかもしれない。そのようなcDNAを、通常の方法で分離して配列してもよい。
MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを持つ細胞からの全mRNAを、そのようなドメインを持たないか、またはそのようなドメインの突然変異型を持つ細胞と比較してもよい、別の方法の例においては、cDNAライブラリを、これらの細胞の全RNAから作成してもよい。このcDNAライブラリを用いて、標準ノーザンブロットスクリーン法で使用可能な標識プローブを生成してもよい。MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを持つ細胞のmRNAとのハイブリッドを生成するあらゆるcDNAプローブが、抗菌剤耐性の媒介に関与するのかもしれない。MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを持つ細胞のmRNAとのハイブリッドを特異的に生成するこれらのcDNAプローブを特定した後に、これらのプローブを用いて、抗菌剤耐性の媒介に関与する遺伝子を、通常の技術により特定してもよい。
A. 無細胞アッセイ
本発明の別の実施例においては、抗菌剤耐性の媒介に関与するMarA類蛋白質反応遺伝子座は、無細胞アッセイにより特定される。一実施例においては、そのような遺伝しっざを特定するための無細胞アッセイ法は、微生物の核酸分子をMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと接触させ、錯体を生成することに関する。ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと核酸分子との錯体を、複合を行わなかったヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと分離し、次に、MarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと結合可能なこれらの核酸分子を配列して、抗菌剤耐性の媒介に関与する遺伝子座を特定してもよい。
例えば、ほとんど精製されたMarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインポリペプチドを、ポリペプチドが適切なDNA配列と結合できるような条件下で、微生物のゲノムDNAフラグメントと混合する。ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインが結合しているDNAフラグメントを、次に、カラム、フィルタ、ポリアクリルアミドゲル、または当業者に周知の他のあらゆる方法を用いて、分離させてもよい。次に、ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと結合しているDNAを、そのドメインから解放し、クローニングを行ってベクターを生成するか、またはプローブとして使用して、対応する遺伝子の位置づけまたは分離を行ってもよい。次に、そのような遺伝子の配列を行ってもよい。
別の実施例においては、本発明はまた、化合物への耐性に影響を与える微生物の遺伝子座を特定するためのキットを提供する。そのようなキットは、MarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン及び/又はほとんど精製されたMarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスをコードするヌクレオチド配列と、MarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの突然変異型及び/又はほとんど精製されたMarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスの突然変異型をコードするヌクレオチド配列とを含む。機能性MarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインと、そのようなドメインの突然変異型の双方を提供することにより、被験キットは、クレームされた方法の最適な動作と、結果の最適な判定とを可能にするようなテスト試薬及び対照試薬の双方を提供する。
XI. 当アッセイで特定された化合物を含む製剤
本発明は、当アッセイのいずれかにおいて特定された化合物の治療上有効量または投与量を含めた薬学上容認可能な組成と、1つまたはそれ以上の薬学上容認可能な担体(添加剤)及び/又は希釈剤とを提供する。組成は、例えば抗菌剤などの第2の抗菌物質を含んでもよい。
下記により詳しく述べるように、前記薬剤組成は、次の形状での使用を含めた、前記化合物を含有する固形状または液状の投与のために製剤されてもよい:(1)例えば水性または非水性の液剤または懸濁剤、錠剤、巨丸剤、粉末剤、顆粒剤、ペースト剤などの経口投与;(2)例えば皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、無菌液剤または懸濁液剤などの非経口投与;(3)例えばクリーム剤、軟膏剤、スプレー剤の皮膚への塗布などの局所適用;(4)例えばペッサリー、クリーム剤、泡剤、坐剤などの膣内または直腸内投与;または(5)例えば水性エアロゾルなどのエアロゾル、リポゾーム、固形粒剤。
ここで用いられる「薬学上容認可能な担体」という語句は、本発明の抗感染性薬剤または化合物を、1つの有機体または身体の一部から、別の有機体または身体の一部へ、その有機体または身体の生物学的作用に影響を与えることなく運搬または輸送することに関する、液状のまたは固形状の賦形剤、希釈剤、添加剤、溶剤またはカプセル封入剤のような、薬学上容認可能な物質、組成または賦形剤を意味する。各担体は、組成中の他の成分と適合し、被験体に有害でないという意味で「容認可能」であるべきである。薬学上容認可能な担体として使用できる物質の例は、薬剤組成中に用いられる以下の物質を含む。(1)ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖類;(2)コーンスターチ及びじゃがいも澱粉などの澱粉;(3)カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオバターや坐剤ワックスなどの添加剤;(9)ピーナッツオイル、綿実油、紅花油、胡麻油、オリーブオイル、コーン油及び大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオル;(12)オレイン酸エチル及びエチルラウレートなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどのバッファ剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸バッファ溶液;及び(21)他の非毒性適合物質。例えばレシチンなどのコーチング剤の使用、分散形状の場合にはを必要な粒子の大きさへの加工、表面活性化物質の使用などにより、適切な流動性を保持してもよい。
これらの組成はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤などのアジュバントを含んでもよい。例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの様々な抗細菌剤及び抗真菌剤を含有することにより、微生物の活動を阻止してもよい。望ましくは、糖類、塩化ナトリウムなどの等張性物質が組成に含まれてもよい。さらに、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンなどの、吸収を遅らせる物質を含有することにより、注射可能な薬剤の持続的な吸収を可能にしてもよい。
ある場合には、薬剤の効果を持続させるために、皮下注射または筋肉内注射からの薬剤の吸収を遅らせることが望ましい。水溶性の低い結晶性または無晶性物質の懸濁液の使用により、これを実現してもよい。薬剤の吸収の速度は、その溶解の速度に依存し、それは結局、結晶の大きさと形状とに依存する。または、薬剤を油性の賦形剤で溶解または懸濁することにより、非経口投与における吸収を遅らせてもよい。
本発明の薬剤組成は、身体の上皮細胞表面に、経口的、非経口的、局所的、直腸的、経鼻的、膣内的、槽内的に投与されてもよい。前記組成は、当然のことながら、各投与経路に適した形状で投与される。例えば、錠剤またはカプセル剤、注射、吸入、点眼剤、軟膏など、注射、点滴、吸入による投与;ローション剤または軟膏剤による局所適用;直腸内及び膣内座薬などにより投与される。
ここで用いられる「非経口投与」及び「非経口的に投与される」という語句は、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与形状を意味し、静脈、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、上皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、胸骨内注射及び点滴を非限定的に含む。
ここで用いられる「全身投与」「全身に投与される」「末梢投与」「末梢に投与される」という語句は、例えば皮下投与など、中枢神経系への直接投与以外の投与経路により、薬剤または物質が被験体の系に入り、その結果、代謝などのプロセスに加わるように、スクロースオクタスルフェート及び/又は抗菌性の薬剤または他の物質を投与すること意味する。
いくつかの方法では、本発明の組成は、あらゆる上皮細胞表面に投与可能である。本発明による「上皮細胞表面」は、皮膚表面及び粘膜表面を非限定的に含む身体の外表面あるいは中空構造の内表面を覆う細胞領域として定義される。そのような上皮表面は、口腔、咽頭、食道、肺、眼、耳、鼻、頬、舌、膣、頸管、泌尿器、消化管、肛門直腸の表面を非限定的に含む。
組成は、局所投与に用いられる様々な従来の形状で製剤可能である。そのような製剤形状は、例えば、液剤、懸濁液、坐剤、潅注液、浣腸、ゲル、クリーム、エマルジョン、ローション、スラリー、粉末、スプレー、リップスティック、泡、ペースト、歯磨粉、軟膏、香膏、洗浄液、ドロップ、口内錠、チューインガム、トローチ剤、うがい剤、リンス剤などの半固形状及び液状の投与形状を含む。
局所適用用に従来用いられてきた担体は、ペクチン、ゼラチンおよびこれらの誘導体、多価乳酸またはポリグリコール酸ポリマーまたはこれらのコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酸化セルロースなどのセルロース誘導体、グアールガム、アラビアゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、ベントナイト、寒天、カルボマー、ヒバマタ、イナゴマメ、デキストラン及びその誘導体、ゴートゴム、ヘクトライト、オオバコ皮、ポリビニルピロリドン、ケイ酸およびその誘導体、キサンタンガム、カオリン、タルク、デンプン及びその誘導体、パラフィン、水、植物性及び動物性油、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール(グリコール、アルコール)、固定油、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、マグネシウム又は(塩化物、炭酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、酢酸塩、、グルセプテート、テトレートなどの)カルシウム塩類を含む。
このような組成は、例えば膣の淋菌などの有害な細胞や、口唇ヘルペスなどの口腔の感染症、眼、皮膚または下部腸管の感染症の治療や予防に有用であるかもしれない。薬剤の持久性や滞留時間を伸ばして、達成される予防効果を強化するために、前記の抗感染組成またはその薬学上容認可能な塩類に、局所薬剤用の標準的な組成方法を適用してもよい。
下部腸管または膣に使用される局所適用用には、直腸座剤、適切な浣腸剤、ゲル、軟膏、液剤、懸濁液剤あるいは挿入を用いてもよい。局所経皮パッチも使用可能である。経皮パッチは、本発明の組成の身体への投与を調節できるというさらなる利点がある。そのような投与形状は、薬剤を適切な媒体に溶解あるいは分散させることにより可能となる。
本発明の組成は、直腸あるいは膣への投与用には、坐剤の形状で投与してもよい。坐剤は、薬剤を、室温では固形であるが直腸温度では液状となるため、直腸内または膣内で溶けて薬剤を放出する、適切な非刺激担体と混合することにより調剤してもよい。そのような物質は、カカオバター、黄蝋、ポリエチレングリコール、坐剤ワックスまたはサリチル酸塩を含み、室温では固形であるが体温では液状となるため、直腸内または膣内で溶け、作用薬剤を放出する。
膣への投与に適した組成はまた、当業者に周知の適切な担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー組成を含む。スクロースオクタスルフェート/避妊剤に用いられる担体は、避妊具の膣への投与及び/または塗布に適合するであろう。配合剤は、ペッサリー、ゼリー、灌注剤、泡、フィルム、軟膏、クリーム、香膏、ゲル、塗剤、ペースト、スラリー、膣座剤、性的潤滑剤、及びコンドーム、避妊スポンジ、子宮頸部キャップ及びペッサリーなどの器具用のコーチングなどの、固形、半固形及び液状の形状であってもよい。
眼科的使用としては、薬剤組成を、等張pH調整無菌食塩水中で微粉化懸濁液として調剤してもよいし、好適には、等張pH調整無菌食塩水中で、塩化ベンゾアルコニウムなどの保存剤を用いて、あるいは用いずに、液剤として調剤してもよい。または、眼科的使用として、組成をワセリンなどの軟膏に調剤してもよい。眼科的使用における組成の例は、眼軟膏、粉末剤、液剤などを含む。
粉末剤及びスプレー剤は、スクロースオクタスルフェート及び/又は抗菌剤あるいは避妊剤の他に、ラクトース、タルク、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、またはこれらの基質を混合したものを含有してもよい。スプレー剤は、クロロフルオロヒドロカーボンや、ブタンやプロパンなどの揮発性非置換炭化水素などの通常の噴射剤をさらに含有してもよい。
通常、水性エアロゾルは、前記薬剤の水溶液または懸濁液を、従来の薬学上容認可能な担体及び安定剤と共に調剤することにより生成される。担体と安定剤とは、各化合物の必要条件により異なるが、典型的には、(トゥイーン、Pluronicsまたはポリエチレングリコールなどの)非イオン性界面活性剤、血清アルブミン、ソルビタンエステル、レシチンなどの蛋白質、グリシンなどのアミノ酸類、緩衝剤、塩類、糖類または糖アルコール類を含む。エアロゾルは一般的に等張溶液から調剤される。
本発明の組成はまた、それぞれ所定の量のスクロースオクタスルフェート及び/又は抗菌性又は避妊性の薬剤を作用成分として含有するカプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、(通常スクロース及びアラビアゴムまたはトラガカントゴムである香り付けした基剤を使用した)トローチ剤、粉末剤、顆粒剤を非限定的に含有する、経口的に容認可能な薬剤として、又は水性あるいは非水性液剤または懸濁液剤として、又は水中油型乳剤あるいは油中水型乳剤として、又はエリキシル剤あるいはシロップ剤として、又は(ゼラチン及びグリセリンなどの不活性基剤を用いた)香錠剤として、及び/又はうがい剤などとして、経口的に投与されてもよい。化合物はまた、巨丸剤、舐剤、ペースト剤として投与されてもよい。経口用錠剤の場合、一般的に使用される担体は、ラクトース及びコーンスターチを含む。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も、典型的に添加されている。カプセル形状での経口投与の場合、有用な希釈剤はラクトース及び乾燥コーンスターチを含む。経口投与で水性懸濁液剤が必要な場合、作用成分は乳化剤及び懸濁剤と混合される。所望の場合は、甘味料、香料、着色料をさらに加えてもよい。
錠剤及び、糖衣丸剤、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤などの他の固形投与形状を、エンテリックコーチングなどの製薬業界でよく知られたコーチング及び外皮により調剤してもよい。これらの薬剤はまた、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な割合で使用して所望の放出プロフィールを得たり、または他のポリマーマトリックス、リポゾーム及び/又はマイクロスフェアを使用して、含有する作用成分の放出速度を遅くするかまたは調節できるように調剤されてもよい。これらの薬剤は、例えば細菌保持フィルタによる濾過や、滅菌水中に溶解可能な滅菌固形組成である滅菌剤の添加、あるいは他の注射可能な滅菌媒質を、使用の直前に添加することにより、滅菌されてもよい。これらの組成は、不透明化剤を任意に含有してもよく、また、胃腸間の特定の場所だけで、または選択的に、低速度で作用物質を放出するような組成であってもよい。使用可能な組成の組み合わせは、多因子物質とワックスとを含む。作用物質はまた、適切な場合には、1つまたはそれ以上の上述の添加物を有するマイクロカプセル形状であってもよい。
経口投与用の液剤形状は、薬学上容認可能な乳剤、微小乳剤、溶剤、懸濁液剤、シロップ剤及びエリキシル剤を含む。液剤形状は、作用成分に加えて、例えば水または他の溶剤、可溶化剤及び乳化剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、カルボン酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル、及びこれらの混合物などの、当業で一般的に使用される不活性希釈剤を含有してもよい。
不活性希釈剤以外にも、経口投与組成は、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、乳化及び懸濁剤、甘味料、着香料、着色料、香料、保存料などのアジュバントを含んでいてもよい。
懸濁液は、抗感染剤以外にも、例えばエトキシレートイソステアリルアルコール、ポィオキシエチレンソルビトール、ソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロオキサイド、ベントナイト、寒天、トラガカント、及びこれらの混合物などの懸濁剤を含んでいてもよい。
本発明の無菌性注射可能薬剤は、水性または油性の懸濁液剤であってもよい。これらの懸濁液剤は、適切な分散または湿潤剤及び懸濁剤を使用して、当業者に周知の技術を用いて製剤してもよい。ラウリル塩酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤及び潤滑剤着色料、放出剤、コーチング剤、甘味料、着香料及び香料が組成に含まれていてもよい。
無菌性注射可能薬剤は、例えば1,3−ブタンジオール溶剤などの、非毒性非経口容認可能希釈剤又は溶剤を用いた、無菌性注射可能溶剤又は懸濁液剤であってもよい。使用してもよい容認可能な賦形剤及び溶剤には、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌固定油が、溶液または懸濁媒質として通常利用されている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含むあらゆる無菌固定油を使用してもよい。オレイン酸などの脂肪酸およびその誘導体は、注射可能薬剤の調剤に有用である。また、オリーブ油やヒマシ油などの薬学上容認可能な天然油の、特にポリオキシエチレート群も有用である。これらの油の溶剤または懸濁液剤が、PhHelvまたは類似のアルコールなどの長連鎖アルコール希釈剤または分散剤を含有していてもよい。
抗感染剤又はその薬学上容認可能な塩は、液剤又は懸濁液剤、座薬、潅注剤、浣腸剤、ゲル、クリーム、乳液、ローション、スラリー、石鹸、洗剤、粉末、スプレー、リップスティック、泡、ペースト、歯磨粉、軟膏、香膏、ドロップ、口内錠、トローチ、うがい剤、リンスなどを含む配合剤を形成する物質の他の投与形状において、総投与量のうちのある割合を占める。例えば、クリーム及びゲルは、典型的には、その誘導媒体の物理化学的特性が濃度20%以下(200mg/gmなど)に限定される。特別な使用の目的のためには、はるかに低い濃度(小児用の低濃度調剤など)に調剤してもよい。例えば、本発明の薬剤組成は、総重量の0.001−99%、典型的には0.01−75%、より典型的には0.1−20%、さらに典型的には1−10%のスクロースオクタスルフェートを有してもよい。特に好適な濃度は0.5−50%であり、より好適には0.5−25%であり、上述の1−10%である。好適には、治療または予防される状態の重大度に応じて、1日に1回から10回投与される。
抗潰瘍剤として何十年もの間臨床的に使用された抗感染剤またはその薬学上容認可能な塩の毒性が低いとすれば[W.R. Garnett, Clin. Pharm. 1:307−314 (1982); R.N. Brogden et al., Drugs 27:194−209 (1984); D.M. McCarthy, New Eng J Med., 325:1017−1025 (1991)、治療上有効な投与量の上限は、重要な問題ではない。
予防の目的のためには、本発明の薬剤組成を潜在的感染の前に投与してもよい。潜在的感染前の投与のタイミングは、投与の形状、投与される上皮表面、表面積、投与量、上皮表面のpHにおける組成の安定性及び有効性、1回の投与であるか複数回の投与であるかなど投与の頻度により異なる。当業者は、化合物の予防的有効性を最大化するために必要な、最適な投与間隔を決定することが可能であろう。
本発明は、特に他に指定しない限り、当業者の技術の範囲内である、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、微生物学、組換えDNA及び免疫学の通常の技術を用いて実施される。そのような技術は文献に詳細に開示されている。例えば、Genetics; Molecular Cloning A Laboratory Manual, 2nd Ed., ed. by Sambrook, J. et al. (Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)); Short Protocols in Molecular Biology, 3rd Ed., ed. by Ausubel, F. et al. (Wiley, NY (1995)); DNA Cloning, Volumes I and II (D. N. Glover ed., 1985); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed. (1984)); Mullis et al. U.S. Patent No: 4,683,195; Nucleic Acid Hybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. (1984)); the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.); Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker, eds., Academic Press, London (1987)); Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I−IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds. (1986)); 及びMiller, J. Experiments in Molecular Genetics (Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1972))を参照のこと。
本出願で引用された参考文献、出願中の特許、及び公開特許出願の内容はすべて、参考文献として特に編入したものである。さらに、米国特許5,650,321もまた、参考文献として特に編入したものである。
本発明についてさらに説明する下記の例は、本発明を限定するものと理解されるべきではない。
図1は、本発明のMarA突然変異体の構成を示す概略図である。パネルAは、突然変異原オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列を示す。パネルBは、(Cohen et al. 1993. J. Bacteriol. 175:1484により提供された配列に基づく)MarAの野生型MarAアミノ酸残基27から44を示す。突然変異体は、MarAの第1のヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン(即ち、大部分のアミノ酸末端ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン)のへリックスA及びへリックスBにおける指示された部位で示されたアミノ酸を包含した。突然変異体のアミノ酸組成は、対向する配向に挿入される突然変異原ヌクレオチドにより異なる。 図2A−図2Dは、選択されたMarA類蛋白質類のアミノ酸配列の一例を示す。パネルA及びパネルBにMarAのアミノ酸30−76に対応するアミノ酸配列を示し、パネルC及びパネルDにMarAのアミノ酸77−106に対応するアミノ酸配列を示す。 図3A−図3Bは、MarA類蛋白質類のアミノ酸配列の一例及びMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインのコンセンサス配列を示す。 図4は、MarAの第2のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインにおいて突然変異を生成するための突然変異原オリゴマーの一例を示す。

例1. 抗菌剤耐性を有するスメグマ菌の遺伝子座の特定
ミコバクテリウムの多薬剤耐性は、個々の薬剤への感受性に影響を与える独立した染色体の突然変異型の蓄積または、例えばmarにおける1個の多形質発現性突然変異により起こると推定される。大腸菌及び他の腸内細菌の多薬剤耐性は、一般的には、プラスミド及びトランスポゾンに起因する。しかし、多薬剤耐性は、突然変異または誘導化合物(S.P. Cohen et al, J. Bacteriol., 1993, 175:1484−1492)への曝露のいずれかによる大腸菌mar(多抗菌剤耐性)オペロンの抑制によっても起こりうる。ミコバクテリウムでは、観察された比較的高い頻度の多薬剤耐性及び、不適切な治療と耐性の出現(B.R. Bloom et al, Science, 1992, 257:10544−10642) との推定される関係が、大腸菌Mar突然変異型の選択と一致する。スメグマ菌の抗菌剤耐性について、クローンされた大腸菌marA遺伝子を発現している細胞におけるmar類似の抑制薬剤耐性レスポンスの存在の可能性を試験した。
PCRオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、注釈のような配列(S.P. Cohen, et al. J. Bacteriol., 1993, 175:1484−1492)に基づき、野生型marAアンプリコンを大腸菌AG100(A.M. George, et al, J. Bacteriol., 1983, 155:531−540)染色体DNAから生成した。オリゴヌクレオチドプライマーは、ヌクレオチド位置1893から1910及び2265から2282に対応し、大腸菌シャトルプラスミドpMV261(W.R. Jacobs, et al. Microbiol. Immunol., 1990, 155:153−160)上のhsp60ミコバクテリア熱ショックプロモータ領域によりmarAのフレーム内への挿入を可能にするための末端大腸菌抑制酵素部位を有した。「メガプライマー」PCR法(O.H. Landt, et al., Gene., 1990, 96:125−128)を用いて、MarA(図1)の推定ヘリックス−ターン−ヘリックス(HTH)ドメインの各αらせん領域の中心に、挿入突然変異体を生成した。これらの突然変異marA遺伝子を、スメグマ菌及び大腸菌におけるテスト用に、それぞれpMV261 とpET13aとに連結させた。Gene Pulserトランスフェクション装置(Bio−Rad. Richmond, Calif.)を使用したエレクトロポレーションにより、プラスミドを大腸菌及びスメグマ菌mc155に導入し、カナマイシン(10または25 μg/ml)上で選別した。
プラスミドを持つまたはプラスミドを持たないスメグマ菌me155の培養菌体を、30℃または37℃で、Middlebrook Dubosアルブミン錯体サプリメント(OADC)で強化し、0.05%のTween 80とカナマイシン(10μg/ml)とで補足された7H9または7H10 Middlebrook培地(Difco)を用いて、Kanプラスミドの維持に適した条件下でそれぞれ培養した。抗菌剤感受性を、カナマイシンを補足せずに、7H10−OADC抗菌勾配プレート中で、30℃及び37℃で試験した(M.S. Curial, et al. J. Bacteriol., 1982, 151:209−215)。テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ノルフロキサシン及びフェナジンメトサルフェートをSigma Chemical Co. (St. Louis, Mo.)から購入した。イソニアジド、リンファピン、硫酸ストレプトマイシン及びエタブチノールをJ. Crawford (Centers for Disease Control and Prevention, Atlanta. Ga.)から入手し、スパルフロキサシンをRhone−Poulenc (Paris, France)から入手した。
pMV261:marAを持つスメグマ菌mc155の、リファンピン、イソニアジド、エタブチノール、クロラモフェニコール及びテトラサイクリンを含めた様々な抗菌剤耐性は、ベクターのみの菌と比較すると、37℃ではより高い増加率を示したが、30℃では示さなかった(表3)。しかし、リンファピン耐性は、30℃でも増加した。可変性ではあったが、リンファピン耐性は、ベクターのみの場合でも、両方の温度で増加した。この段階では、リファンピンが、ベクターが親株の感受性レベルに影響を与えた唯一の薬剤であった。marAを持つスメグマ菌のクロラモフェニコール耐性は2倍に増加し、テトラサイクリン耐性は、5倍近くまで増加した。エタブチノール耐性とイソニアジド耐性は、37℃で1.5倍及び2.5倍に増加した。ナリジクス酸、フェナジンメトサルフェート、またはスパルフロキサシンへの感受性は、変化したとしてもわずかであった;ノルフロキサシン及びストレプトマイシンへの感受性は、若干増加した。
これらの薬剤感受性の変化は、ミコバクテリアhsp60プロモータに対して逆配向にクローンされたmarA遺伝子では観察されなかった。また、PCR法により同じベクターでクローンされたmarR(プライマーヌクレオチド位置1446から1462及び1864から1879)を導入した場合、スメグマ菌の感受性は、試験を行ったいずれの化合物に対しても変化しなかった(表3)。プラスミドの自発消失の増加率により、カナマイシンのない状態で選択した菌株では、野生型感受性フェノタイプが復活した。多薬剤耐性は、明らかに温度依存性であり、熱ショックプロモータの背後のmarAの存在と相関するが、MarAの発現に関係なく30℃よりも37℃でよりよく機能する耐性機序自体を反映するのかもしれない。しかし、試験を行ったいずれの薬剤においても、野生型細胞の感受性の温度依存性の差異は観察されなかった(表3)。
例2.推定ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを標的とする挿入突然変異体による、スメグマ菌の耐性フェノタイプが細胞内MarA活性の直接の結果であることの実証
耐性フェノタイプが細胞内MarA活性の直接の結果であるという概念を証明するために、MarA蛋白質の第1のヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン(HTH1)(M.N. Alekshun, et al. Chemother, 41:2067−2075)を標的とする挿入突然変異体を生成した。メガプリンタPCR(O.H. Landt, Gene 96:125−128)を用いてmarAのへリックスA領域(位置1989)及びへリックスB領域(位置2016)の双方の中心にNheI抑制部位を導入した。適合性の末端を持つ二重鎖合成オリゴヌクレオチドをNheI部位に結合させ、2つの推定αらせん領域をそれぞれ分断している2つの別の挿入突然変異体を生成した(図1)。これらの突然変異した遺伝子を、上述のようにpMV261にクローンし、スメグマ菌の感受性試験を37℃で行った。また、プラスミドpET13a上のイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)−調節T7プロモータレジデントから発現した突然変異遺伝子でも、大腸菌BL21の試験を行った。(Studier et al. 1990. Methods Enzymol. 185:60)。第1のHTHのへリックスAまたはへリックスBのいずれかにおけるMarAの挿入不活性化により、大腸菌とスメグマ菌双方の多薬剤耐性が消失した(表3及び表4)。
MarA発現を確認するため、リゾチーム(4 mgのTris−EDTA, pH 8.0, per ml)で1時間前処理を行った後に、Middlebrook 7H9−OADC培地で30℃及び37℃で培養した中対数期の細胞からTRIzol法(Gibco BRL, Gaithersburg, Md)により分離した全細胞RNAについて、ノーザンブロッティング(S.K. Goda, Nucleic Acids Res. 23:3357−3358) を実施した。20mMのグアニジンイソチオシアネート中で電気泳動により分離されたRNAの量を、放射線標識されたmarA PCR生成物によりプローブした。ハイブリダイゼーションシグナルをPhosphorImager (Molecular Dynamics, Sunnyvale, Calif.)を用いて視覚化した。
野生型大腸菌marA遺伝子を持つ細胞ではMarAの発現が観察されたが、ベクターを持つ宿主では観察されなかった。PCR増加marAプローブ(ヌクレオチドプライマー1910から1893及び2265から2282)について、ノーザン法分析を行った。 marAハイブリダイゼーションシグナルの強さは、30℃で培養した細胞では、37℃で培養した細胞の約5倍であった。二重鎖marAプローブを使用したため、予想したように、逆配向のmarAを持つベクターにおいても、ハイブリダイゼーションシグナルが検出された。
pET13aのT7 RNAポリメラーゼ開始シグナルの制御下でクローンされたmarA(M.N. Alekshun, Antimicrob. Agents Chemother, 1997, 41:2067−2075) を持つBL21(DE3)pLysS細胞(F.W. Studier, et al., Methods Enzymol, 1990, 185:60−89) から精製されたMarAを用いて、抗MarA抗血清を調製した。IPTGにより30分間誘導を行った後に、リファンピンを加えてMarA合成を極大化させた。MarAを、Li and Demple (Z. Li, et al, 1994, Biol. Chem., 1994, 269:18371−18377)及びLangley et al. (K.E. Langley, et al., 1987, Euro. J. Biochem., 163:313−321)の方法の組み合わせにより精製した。抗MarAウサギ抗血清を、Biodesign International (Kennebunk. Maine)による精製MarAを用いて調製した。
ウェスタン分析用に、氷上のバッファ(10 mM Tris−HCI, pH 8.0; 3C7O 硫酸ドデシルナトリウム) 中で音波破砕を行うことにより、中対数期スメグマ菌又は大腸菌培養株から細胞溶解産物を得た。電気泳動を行う前に、試料を試料バッファ中で5分間煮沸し(125 mM Tris−HCI, pH 6.8; 20%グリセロール; 6 mM β−メルカプトエタノール: 0.05%ブロムフェノールブルー)、等量の総蛋白質を、硫酸ドデシルナトリウム−17.5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動ゲル中で、電気泳動により分解した。各レーンは、上澄みフラクションからの15μgのミコバクテリア蛋白質を含有した。大腸菌AG100及びAG102からの蛋白質を、陽性及び陰性コントロールとして使用した。蛋白質をImmobilon−P膜(Amersham)に転写し、ウサギ抗MarA抗血清を用いて、化学ルミネセンス(New England Biolabs, Beverly Massからのキットを使用)により分析した。
生成されたMarAと同じ場所に移動しており、予想された分子質量(14.3kDa)をもつ蛋白質帯が、双方の温度(図2B)で培養されたMarA含有細胞で検出された。しかし、遙かに多くのMarAが、37℃で培養された細胞で生成された。30℃では少量のMarAしか検出されなかったため(図2B)、30℃でのリファンピンに対する可変耐性と感受性突然変異型増加は、MarA蛋白質の比較的低い細胞質顆粒レベルで生成されたのかもしれない。同じウェスタン分析により、MarAは突然変異体mar遺伝子を有する大腸菌及びスメグマ菌溶解産物中で容易に検出された。
ミコバクテリアのMarA媒介多薬剤耐性の機序は解明されていない。2つの異なる表現型の突然変異体MarA蛋白質により媒介された耐性突然変異型の欠如は、観察された多薬剤耐性がスメグマ菌のMarAによる同族プロモータの直接の転写活性化に起因することを示唆している。または、ミコバクテリアMar突然変異型を媒介する内性蛋白質の誘導あるいはそのような蛋白質との相互作用により、MarAが間接に作用したのかもしれない。どちらの場合においても、多薬剤耐性突然変異型は、この微生物の他の遺伝子上で働くmar類似調節系に起因するのかもしれない。大腸菌MarAの作用は、未発見の多薬剤外向きフラックス系の活性化に関連するのかもしれない。外向きフラックス類似蛋白質(J.L. Doran, et al., 1997, Clin. Diagn. Lab. Immunol., 4:23−32及びJ.H. Lui, et al., J. Bacteriol., 1996, 178:3791−3795)の存在と、ミコバクテリアポーリン蛋白質の存在についての報告(S.D. Mukhopadhyay, et al., J. Bacteriol., 1997, 179:6205−6207 and J.V. Trias, et al., Science, 1992, 258:1479−1481)は、大腸菌にみられるように、marに類似の多薬剤耐性のエフェクタ蛋白質がミコバクテリア中に存在することを示している。最近終了した結核菌ゲノム配列プロジェクト(W.J. Philipp, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 1996, 93:3132−3137) は、少なくとも2つのMarAに類似した蛋白質を同定した。これらの要素が、これらの種における内性mar類似系であるのか否かについては、さらなる研究が必要である。
非相同属であるMarAの機能の定義に加えて、我々の研究の結果は、MarAの構造上重要な領域を示す最初の直接の証拠である。特定部位の突然変異誘発において標的とされるヘリックス−ターン−ヘリックス領域は、非相同蛋白質であるAraCとXylS(M.T. Gallegos, et al., Microbiol. Mol. Biol., Rev., 1997, 61:393−410)内の領域に対応する。これらの領域は、DNAの結合及び転写の活性化に関与する (A. Brunelle, et al. J. Mol. Biol., 1989, 209:607−622 and M.T. Gallegos, et al., J. Bacteriol, 1996, 178:6427−6434)。ここで報告された挿入突然変異体は、野生型蛋白質の大幅な変化に関与するが、予測されたヘリックス−ターン−ヘリックスドメインが蛋白質機能に不可欠であることの証拠となっている。
例3. MarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性を低下させる化合物を特定するためのレポータ遺伝子スクリーニングアッセイの実施
上述の例で記載したMarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインドメインを、大腸菌において、上述したように、inaA1:lacZ (Martin et al. 1995. J. Bacteriol. 177:4176)にとって変わるために生成されたinaA1::phoAレポータ構造 またはmicf:lacZレポータ遺伝子構造を伴って出現させる。phoAレポータ構造を持つ細胞を、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸を補足しカラマイシンを含有する培地上でプレーティングする。一方、lacZマーカーを含有する細胞を、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトシドを補足しカラマイシンを含有する培地上で培養する。青色に変化し、レポータ遺伝子構造が分離したことを示したコロニーを分離し、懸濁液中に置く。これらの細胞を、アッセイを行うそれぞれの化合物で処理するために、2集団に分ける。一方は、試験集団として試験化合物で処理し、他方は、コントロール集団として処理を行わない。適切な集団の細胞を、試験を行うそれぞれの化合物に接触させる。細胞を、上述の同じ選択培地上でプレーティングする。青色に変化したコロニーは、化合物が、MarAヘリックス−ターン−ヘリックスドメインがレポータ遺伝子構造の転写活性化能力に影響を及ぼさないことを示す。一方、化合物による処理後も白色のままのコロニーは、化合物がMarAヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの活性を低下させることを示す。
例4.MarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを持つ有機体の抗菌剤耐性を強化する化合物を特定するためのスクリーニングアッセイの実施
抗菌剤:リファンピン、イソニアジド、エタンブトール、クロラモフェニコール及びテトラサイクリンに対する強い耐性を持つことが上述のように示されたpMV261::marAを持つスメグマ菌mc155を、この耐性を低下させる化合物の試験に使用する。これらの細胞を、アッセイを行うそれぞれの化合物で処理するために、2集団に分ける。一方は、試験集団として試験化合物で処理し、他方は、コントロール集団として処理を行わない。適切な集団の細胞を、試験を行うそれぞれの化合物に接触させる。処理を行った細胞と処理を行わなかった細胞とを、培地を含むプレート上でプレーティングする。上記に列記した抗菌剤を対象とする抗菌剤感受性ディスクを、前記プレーティングされた細胞上に載置し、前記プレートを保温する。抗菌剤感受性領域を減少させた、即ち、化合物により処理されなかった細胞において見られたよりも広い面積の成長阻害領域を抗菌ディスク周囲に示した化合物を、特定のために選択する。
例5. DNA ”chip” (GeneChip登録商標)テクノロジーによるMarA発現転写分析
生体内大腸菌のすべてのMarA誘導/調節転写を特定するために、DNA ”chip” (GeneChipR)テクノロジーを使用する。全大腸菌染色体情報を持つDNAコンピュータチップが、Affymetrix (Santa Clara, CA)から入手可能である。端的には、marA発現ベクターを持つ大腸菌を、生体内MarAを過剰に発現するために導入する。この処理によって、MarA調節プロモータが活性化する。全cDNAを、これらの細胞から得、DNAチップのプローブに使用する。コントロールとして、marAを持たない発現ベクターを持つ大腸菌から得たcDNAを使用する。また、この方法を用いて、mar発現を誘導する化合物への曝露後に発現したすべての遺伝子を特定する。
例6. MarA調節遺伝子座の陰性アンチセンスコントロール
前述のプロトコル(White et al., Antimicrob. Agents Chemother. 41:2699)に類似の方法を用いて、MarA反応性転写の負の調節を行った。marA, rob, soxSの5’部位または他のMarA類蛋白質の転写と相補するアンチセンスオリゴヌクレオチドの生体内発現後、これらのアンチヌクレオチドをコードするベクターを用いて、大腸菌を形質転換する。これらの構造は、marA, rob, soxSなどの翻訳を阻害する。RNA−DNAハイブリッドを消失させる酵素である内性RNaseHにより、転写を標的として消失させる。大腸菌のMarA同族体の全てを標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドをコードするベクターをデザインする。このベクターの大腸菌への形質移入により、多くの抗菌剤、抗感染剤、有機溶剤及び/または他の環境刺激薬に対する宿主のMarA類調節適応反応が減退するかまたは消失する。
例7. 異なる大腸菌mar遺伝子を持つプラスミドを有する大腸菌の耐性パターン
第1のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインに突然変異を有する、複数の異なる大腸菌mar遺伝子をもつ大腸菌株について、抗菌剤MICを測定した。抗菌剤MICを表5に示す。A10菌体は、アミノ酸31に(Ala Ser Arg4 Ala Ser)挿入を有する。A12菌体は、位置40にValからAlaへの置換を有する。B7菌体は、アミノ酸位置40にAlsSerAla5Ser挿入を有する。B9菌体は、位置42にTrpからAlaへの置換を有し、位置43にHisからSerへの置換を有する。Lys14菌体は、位置41にLysからGlnへの置換を有する。Trp15菌体は、位置42にTrpからAlaへの置換を有する。Phe21菌体は、位置48にPheからLeuへの置換を有する。Ser2Leu3菌体は、位置29にSerからAlaへの置換を有し、位置30にLeuからAlaへの置換を有する。Ser2Ala菌体は、位置29にSerからAlaへの置換を有する。
例8. MarAの第1のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの第2のαらせんにおける突然変異
MarAHTHドメインの役割をより詳細に測定するために、これらの領域におけるさらなる突然変異体を案出した。これらの突然変異体について、大腸菌でMar表現型を促進する能力と、marプロモータを結合させる能力の変化を試験した。ウェスタンブロット分析にて測定された野生型MarAと比較可能な量の突然変異体を合成した。これらの突然変異体は、薬剤耐性を促進させる能力が不完全であり、DNA結合性が低いことが示された。第1のHTHドメインの第1のαらせんの変化は、第1のHTHドメインの第2のαらせんの突然変異よりも、MarA機能に対する有害性が低かった。
例9. MarAの第2のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを突然変異させるためのオリゴマーのデザイン
MarAの第1のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを対象として行ったように、突然変異原オリゴマーを、MarAの第2のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインを突然変異させるようにデザインしてもよい。MarAのこの領域を突然変異させるためのオリゴマーの例を図4に示す。
等価物
当該分野の熟練技術者は、本発明に記載した発明のポリペプチド、核酸、方法、アッセイ及び試薬の等価物を数多く、通常の実験で理解し、あるいは確認することが可能であろう。そのような等価物については、本発明の範囲内であり、請求項に含まれるものとする。
Figure 2010047585
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Figure 2010047585
Figure 2010047585
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Claims (3)

  1. MarA類蛋白質分子のカルボキシ末端に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインに突然変異を有する、遊離した又は組換えられた突然変異MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン。
  2. MarA類蛋白質分子のアミノ末端に最も近位のヘリックス−ターン−ヘリックスドメインに突然変異を有する、遊離した又は組換えられた突然変異MarA類ヘリックス−ターン−ヘリックスドメイン。
  3. MarA類蛋白質の自然に発生するヘリックス−ターン−ヘリックスドメインとMarA類蛋白質ヘリックス−ターン−ヘリックスドメインの突然変異不活性型とをコードするヌクレオチド配列を含む、化合物への耐性に影響を与える微生物遺伝子座を特定するためのキット。
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