JP2010043935A - 道路斜面地震リスク評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被災が想定される箇所を適切に予測でき、しかも全体としての被災・非被災の的中率も高くすることができる道路斜面地震リスク評価方法を提供する。
【解決手段】地震発生時における被災発生のリスクを評価する方法であって、リスクを評価する評価地点における豪雨を対象とした道路防災総点検に基づいて作成される防災カルテの評点と、前記評価地点において前記道路防災総点検が実行された確認頻度と、前記評価地点における地層の揺れを表す振動値と、前記評価地点における斜面の平均傾斜角とに基づいて算出される判別値から被災リスクを判別する。豪雨災害による評価を利用して、地震振動および地形特性に基づく被災リスクを判断できる。すると、評価地点の実情に適した被災リスクの評価ができるので、被災が想定される箇所を適切に予測でき、しかも全体としての被災・非被災の的中率も高くすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、道路斜面地震リスク評価方法に関する。
我が国は急峻な地形が多く、南海地震や東南海地震などの大規模地震時には多くの斜面災害が想定されている。地震時および地震後の道路の安全性・復旧性を考える上で、道路斜面の危険度評価は重要な課題である。
本発明は、地震時において、道路斜面に落石や小崩壊等の被害が発生する可能性を予測するための道路斜面地震リスク評価方法に関する。
従来から、地震発生時における道路斜面の危険度を評価する方法の開発が試みられており、その一例として判別分析を用いた評価方法が提案されている(非特許文献1)。
この文献には、1995年兵庫県南部地震での六甲全山の斜面崩壊を対象に、地震の揺れ、地形(勾配と曲率)という3つの要因を用いて、道路斜面の危険度を評価する以下の判別式(数1)を提案している。
Figure 2010043935
x1:勾配、x2:平均曲率、x3:最大加速度
上記判別式では、F>0場合には道路斜面の落石などの斜面崩壊が発生し、F<0の場合には斜面崩壊が発生しないと判断される。
そして、かかる非特許文献1では、上記判別式による被災・被被災の予測を行った場合、被災的中率は91%であり、空振り率が9%と非常に小さい結果が得られる旨が開示されている(図7)。
しかるに、非特許文献1の方法では、被災的中率は以下の方法で算出したものであり、過度に危険を予測する式である。つまり、実際に被災した被災箇所数をX、判別式で被災すると予測した箇所数をA、判別式で被災すると予測した箇所のなかで実際に被災した箇所数をBとすると、被災的中率はB/Xの割合である。つまり、A−Bの数だけ過剰に被災すると予測しているのである。
一方、被災・非被災を調べた全データ数をY、判別式で非被災であると予測した箇所のなかで実際に被災しなかった箇所数をCとして、(B+C)/Yを算出すると、全体的中率は約49%に過ぎない。つまり、非特許文献1の方法では、正しく被災非被災が判別される確率は約49%に過ぎず、51%は災害の発生非発生の予測が外れることを意味している。
以上のことを考慮すると、非特許文献1の方法では、被災する箇所を見逃すことは少なくできるものの、この方法に基づいて災害対策を行う場合には、本来災害が発生しない可能性の高い箇所まで災害に備えた対策を行わなければならなくなる。すると、災害対策の効率が悪くなるし、優先的に災害対策を行うべき箇所を見極めることができないという問題が生じる可能性もある。
内田 太郎、片岡 正次郎、岩男 忠明、松尾 修、寺田 秀樹、中野 泰雄、杉浦 信男、小山内 信智:地震による斜面崩壊危険度評価手法に関する研究、国土技術政策総合研究所資料、第204号、2004.11.
本発明は上記事情に鑑み、被災が想定される箇所を適切に予測でき、しかも全体としての被災・非被災の的中率も高くすることができる道路斜面地震リスク評価方法を提供することを目的とする。
第1発明の道路斜面地震リスク評価方法は、地震発生時における被災発生のリスクを評価する方法であって、リスクを評価する評価地点における豪雨を対象とした道路防災総点検に基づいて作成される防災カルテの評点と、前記評価地点において前記道路防災総点検が実行された確認頻度と、前記評価地点における地層の揺れを表す振動値と、前記評価地点における斜面の平均傾斜角とに基づいて算出される判別値から被災リスクを判別することを特徴とする。
第2発明の道路斜面地震リスク評価方法は、第1発明において、前記判別値が、以下の判別式(a)によって算出されるものであり、各係数が、線形判別関数に基づいて算出されることを特徴とする。
式(a)判別値=A+B×(評点)+C×(確認頻度)+D×(振動値)+E×(斜面の平均傾斜角)
第3発明の道路斜面地震リスク評価方法は、第1発明において、前記判別値が、以下の判別式(b)によって算出されるものであり、各係数が、マハラノビスの距離に基づいて算出されることを特徴とする。
式(b)判別値=a +a +a +a +a
+a+a+a+a+a10
+a11+a12+a13+a15
=(評点),x=(確認頻度),x=(振動値),x=(斜面の平均傾斜角)
第4発明の道路斜面地震リスク評価方法は、第1発明において、過去の被災状況を被災・非被災グループに分類し、前記各パラメータに基づいて算出される各評価地点のマハラノビスの距離を利用して、各評価地点が被災グループに属する確率を算出することを特徴とする。
第5発明の道路斜面地震リスク評価方法は、第1、第2、第3または第4発明において、前記振動値は、前記評価地点における岩盤加速度と、前記評価地点における表層の地質に基づいて算出された平均増幅率と、前記評価地点の表層の卓越周期と、に基づいて算出された値であることを特徴とする。
第1発明によれば、豪雨災害による評価を利用して、地震振動および地形特性に基づく被災リスクを判断できる。すると、評価地点の実情に適した被災リスクの評価ができるので、被災が想定される箇所を適切に予測でき、しかも全体としての被災・非被災の的中率も高くすることができる。
第2発明によれば、被災・非被災の評価を定量的に示すことができるので、被災が想定される箇所を客観的に予測することができる。しかも、判別式の係数を適切に設定できるので、被災・非被災の評価精度を高くすることができる。
第3発明によれば、被災・非被災の評価を定量的に示すことができるので、被災が想定される箇所を客観的に予測することができる。しかも、判別式の係数を適切に設定できるので、被災・非被災の評価精度を高くすることができる。
第4発明によれば、過去の被災状況に応じて評価地点の被災確率が算出できるので、評価地点の安全性を客観的に評価することができる。
第5発明によれば、評価地点の振動特性に則した評価を行うことができるので、評価地点の実情に適した被災リスクの評価を行うことができる。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の道路斜面地震リスク評価方法は、地震発生時における被災発生のリスク、例えば、道路斜面に落石や小崩壊等の被害が発生する可能性を予測することができる評価方法であって、評価地点の地形・地質に基づく災害発生の評価に加え、豪雨発生時の生じる災害防止を目的として実施されている道路防災総点検の結果も適用して、被災発生のリスクを数値化して評価するようにしたことに特徴を有している。
本発明の道路斜面地震リスク評価方法では、以下の判別式(a)を利用して被災発生のリスクを数値化した判別値Xを算出し、この判別値Xに基づいて、災害の発生有無を評価する。
式(a)判別値X=A+B×(評点)+C×(確認頻度)+D×(振動値)+E×(斜面の平均傾斜角)
上記のごとく、判別式(a)は、被災発生のリスクを評価する地点における上記道路防災総点検に基づいて作成される防災カルテの評点(以下、単に評点という)、道路防災総点検を行う頻度(以下、単に確認頻度という)、振動値、および斜面の平均傾斜角をパラメータとする式であり、いずれのパラメータも、被災発生のリスクと相関がある。
したがって、上記判別式によって被災発生のリスクを数値化すれば、評点や確認頻度等のように技術者の判断を加味しつつ、評価地点の実情に適した被災リスクを客観的に評価することができるので、被災が想定される箇所を適切に予測でき、しかも全体としての被災・非被災の的中率も高くすることができる。
なお、判別式(a)において得られる判別値Xから被災リスクを評価する基準はとくに限定されないが、例えば、判別値X>0の場合には被災、判別値X<0の場合には非被災と判断することができる。
また、判別式(a)における,A、B、C、Dは係数であり、通常は、判別式(a)の判別値Xによる予測と、実際の発生した過去の被災状況が最も一致するように設定する。例えば、判別式(a)の判別値Xに基づいて被災または非被災と正しく判別されたデータ数を、全評価地点の数で除した的中率が最大となるように各係数を設定することができる。
(各パラメータの説明)
各判別式のパラメータは、技術者の判断に属するパラメータ(評点、確認頻度)と、地形・地質に基づくパラメータ(振動値、斜面の平均傾斜角)とに分けて考えることができる。
技術者の判断に属するパラメータは、評価地点における過去の災害の状況や、評価地点の状態の変化を被災発生のリスクに反映させるパラメータである。つまり、かかるパラメータは、評価地点に過去から累積的に蓄積されている被災発生のリスクを専門技術者の判断によって数値化したものである。ここでいう専門技術者とは、道路防災総点検を行うことが認められている技術者のことであって、技術士(応用理学)の資格を所有し、かつ実務経験5年以上の技術者が該当する。
評点とは、道路防災総点検時の安定度調査の点である。安定度調査の項目は、地形に関する項目、土質・地質・構造に関する項目、表層の状況に関する項目、形状に関する項目、変状に関する項目などがある。評点が高いほど不安定であり、逆に低ければ安定であるといえる。
そして、評点が高いほど、専門技術者によって被災が発生する危険性が高いと判断されていることを意味している。つまり、評点を判別式(a)のパラメータに採用することで、過去の豪雨等に起因して評価地点が現在潜在的に有している欠陥を判別値Xに反映させることができる。
確認頻度とは、評価地点において、過去の道路防災総点検において変状が確認された頻度のことである。確認頻度が高いほど専門技術者によって変状が頻繁に確認されていることになるので、このパラメータを判別式に採用することで、過去の豪雨等に起因する評価地点固有の被災しやすさを判別値Xに反映させることができる。
地形・地質に基づくパラメータは、評価地点の地形の特性やその表層の地質の特性を被災発生のリスクに反映させるパラメータである。つまり、かかるパラメータは、評価地点固有の被災発生リスクを数値化したものである。
振動値とは、地震が発生したときにおける、評価地点における表層の揺れの影響を数値化して表したものであり、この振動値が大きいほど地震時において表層が大きな力を受ける、言い換えれば被災する可能性が高くなることを意味する。つまり、振動値が大きいほど、評価地点において表層の破壊や表層に存在する岩石等の移動(落下)などが発生する可能性が高くなるから、このパラメータを判別式に採用することで、地震エネルギによって評価地点の表層や表層に存在する物体に加わる力を考慮した被災リスクを、判別値Xに反映させることができる。
ここで、地震のエネルギによって、表層に加わる力(加速度)は、地盤(岩盤)に加わる力(加速度)が表層中で増幅されたものとなるので、表層の地質や構造によって変化する。つまり、地盤(岩盤)に加わる力(加速度)が同じであっても、評価地点の表層の地質によって表層での被災状況が変化することになる。
そこで、本発明では、振動値を、評価地点における岩盤加速度Rと、評価地点における表層の地質に基づいて算出された平均増幅率Aと、評価地点の表層の卓越周期Tとに基づいて、以下の式(b)で算出される振動値RATを採用している。
式(b)RAT=R×A×T
上記岩盤加速度Rは、構造物の設計で言えば「設計加速度」に相当し、振動値を評価する基準となる値であり、また、平均増幅率Aは、岩種別によって標準値が用意されている。
なお、岩盤加速度R×平均増幅率Aは、実質的に、表層の加速度を示すことになるので、評価地点における表層の加速度が直接得られる場合には、岩盤加速度R×平均増幅率Aに代えて、表層の加速度を用いてもよい。
また、表層の卓越周期Tは、表層が共振する周期を意味しており、表層の卓越周期Tを振動値Yの算出に利用することにより、より過去の実態をよく説明できる。また、表層の卓越周期Tを掛けた振動値Yは、振動エネルギとして解釈することができる点で好ましい。
さらに、現地の常時微動測定を行えば、平均増幅率Aおよび卓越周期Tをそれぞれ直接得ることができるので、かかる測定によって得られる値をそれぞれ用いてもよい。
また、斜面の平均傾斜角とは評価地点の傾斜を表す値であり、この値が大きいほど、評価地点の傾斜が急であることを示している。そして、斜面の平均傾斜角が大きくなればなるほど、落石や小崩壊等の被害が発生する可能性は高くなるから、このパラメータを判別式に採用することで、現在の斜面形状に基づく被災しやすさを考慮した被災リスクを、判別値Xに反映させることができる。
斜面の平均傾斜角は、例えば、防災カルテに記載されている現場のスケッチから得られる斜面高さと道路までの水平距離から算出した値などが採用できる。ただし、斜面の平均傾斜角の値は、上記方法以外の方法で算出してもよく、例えば、地形図の等高線、赤外線プロファイラーなどの計測値に基づいて算出することもできる。
つまり、本発明の道路斜面地震リスク評価方法では、上記判別式(a)を用いることによって、(1)過去の履歴を含んだ評価地点の潜在的な欠陥、(2)過去の履歴を含んだ評価地点固有の被災しやすさ、(3)地震時に表層が受ける力の大きさ、(4)現在の斜面形状に基づく被災しやすさ、を含んだ判別値Xを算出することができるから、様々な要因が絡み合って発生する災害の発生リスクを、総合的に評価することができるのである。
また、上記判別値を算出する判別式は、上記のごとき判別式に限られず、マハラノビスの距離を算出する方法に基づいて得られる以下の判別式(b)を採用してもよい。
式(b)判別値F=a +a +a +a +a
+a+a+a+a+a10
+a11+a12+a13+a15
マハラノビスの距離による方法に基づいて得られる判別式は、個々の個体(本願であれば評価地点)について、2つのグループ(本願であれば被災グループと非被災グループ)の平均(重心)までのマハラノビスの汎距離を求め、得られた2つの距離の大小関係から、どちらのグループに属するか(近いか)を判定するものである。
したがって、判別式(b)によって、各評価地点が被災グループと非被災グループのいずれに属するか、つまり、被災するか非被災しないかを判別することができるのである。具体的には、過去の被災状況を2つのグループ(被災クループと非被災グループ)に分類したときに、各評価地点がいずれのグループに属するかを判別することによって、被災・非被災を判別することができるのである。
そして、マラノビスの距離とは、平均だけでなく、分散、共分散も用いて分布の広がりを考慮に入れたグループ重心からの距離である。よって、判別式(b)によって、被災するか非被災しないかを判別すれば、被災・非被災の評価を定量的に示すことができるので、被災が想定される箇所を客観的に予測することができる。
なお、判別式(b)において得られる判別値Fから被災リスクを評価する基準はとくに限定されないが、例えば、判別値F>0の場合には被災(被災クループに属する)、判別値F<0の場合には非被災(非被災クループに属する)と判断することができる。
判別式(b)における,xは、それぞれ、x=(評点)、x=(確認頻度)、x=(振動値)、x=(斜面の平均傾斜角)である。また、a(i=1〜15)はリスク評価を行う地点ごとに決定される係数である。各係数は、判別式(a)の場合と同様に、判別式(b)の判別値Fによる予測と、実際の発生した過去の被災状況が最も一致するように設定する。
また、マハラノビスの距離を利用すれば、過去の被災状況に応じて、各評価地点において被災が発生する確率(被災確率)を定量的に評価することも可能である。つまり、過去に同程度の地震が発生したときの被災状況に応じて、各評価地点において被災の発生の有無を定量的に評価することも可能である。
この被災確率は、以下の方法によって求めることができる。
まず、過去の被災状況を2つのグループ(被災クループ(グループ1)と非被災グループ(グループ2))に分類し、各評価地点(サンプルi)について、前記2つのグループの平均(重心)までのマハラノビスの汎距離を求める。ついで、サンプルiについて、グループ1、グループ2の重心までのマハラノビスの距離をDi(1)2, Di(2)2とし、f1,f2を次の数2ように定義する。
Figure 2010043935
すると、サンプルiがグループ1に属する確率をPとすれば、この確率Pが被災確率となる。この確率Pは次の数3より算出できる。
Figure 2010043935
上記のごとく、過去の被災状況に基づいて、各評価地点における被災確率を把握することができれば、被災が発生する有無だけで無く、どの地点が被災が生じやすいかも把握できる。すると、優先的に災害対策をすべき地点を把握できるので、効率的に災害対策を行うことができる。
松山管内の国道道路斜面における落石・岩盤崩壊に着目した斜面点検箇所(360箇所)について得られた、2001年芸予地震の災害・被災害状況データに基づいて、(1)判別式に採用した各パラメータと被災との相関、(2)前記災害・被災害状況データに基づいて作成した本発明の判別式による2001年芸予地震の災害予測精度、(3)被災確率の算出精度、について検証した。
(実施例1)
(1)判別式に採用した各パラメータと被災との相関
各斜面点検箇所における各パラメータ(防災カルテの評点、確認頻度、斜面の平均傾斜角)の評価値と、各斜面点検箇所における実際の被災状況との関係を調べた。
結果を図1〜図3に示す。なお、各図とも、各値における被災割合(%)は、各評価値の点検箇所数を、被災箇所数で除した値で示している。
図1に示すように、防災カルテの評点については、評点の値が高いほど、被災が発生する割合が高くなる傾向を示していることが確認できる。
また、図2に示すように、確認頻度についても、確認頻度の割合が大きいほど、被災が発生する割合が高くなる傾向を示していることが確認できる。
さらに、図3に示すように、斜面の平均傾斜角については、傾斜が急になるほど、被災が発生する割合が高くなる傾向を示していることが確認できる。
以上のことから、各パラメータ(防災カルテの評点、確認頻度、斜面の平均傾斜角)と被災割合との間には、正の相関が存在していることが確認できる。
また、各斜面点検箇所における平均増幅率と卓越周期の積と、各斜面点検箇所における地層別の被災割合との関係を調べた。なお、平均増幅率には地質ごとの平均値を使用している。
結果を図4に示すように、平均増幅率と卓越周期の積が大きくなる程、被災割合が大きくなっていることが確認できる値で示している。
(2)前記災害・被災害状況データに基づいて作成した本発明の判別式による2001年芸予地震の災害予測精度
つぎに、2001年芸予地震について、本発明の本発明の判別式(a)、(b)による災害予測精度を、2001年芸予地震について確認した。判別式(a)は、線形判別関数に基づいて算出される係数を採用した判別式であり、判別式(b)は、マハラノビスの距離に基づいて算出される係数を採用した判別式である。
判別式(a)、(b)は、それぞれ最も的中率が高くなるように、以下のように係数を設定した。
なお、xは、それぞれ、x=(評点)、x=(確認頻度)、x=(振動値)、x=(斜面の平均傾斜角)である。
判別式(a)
X=−5.3+0.039x+4.1x+0.0076x+0.053x
判別式(b)
F=−0.011x +12x +0.000051x −0.011x
+0.069x−0.00026x+0.0074x
+0.027x−0.74x+0.0019x−0.14x
+35x−0.073x+0.70x−18
両式による判別結果を、図5に示す。今回の判別では、判別値X>0、判別値F>0の場合には被災、判別値X<0、判別値F<0の場合には非被災と判断する。
図5に示すように、判別式(a)では、被災箇所の93%を予測でき、的中率も62%とすることができた。また、判別式(b)でも、被災箇所の72.4%を予測でき、的中率も74.7%とすることができた。
以上から、両式とも、管理道路斜面の地震危険箇所のスクリーニングには非常に有効であることが確認できた。
(3)被災確率の算出精度、
マハラノビスの距離を利用して被災確率の算出し、この被災確率に基づいて、被災の有無を定量的に評価できるか否かについて確認した。
図6は被災確率と被災割合との関係を示した図である。図6に示すように、被災確率が高くなるほど被災割合も高くなる傾向を示しており、この被災確率が定量的評価に適していることが確認できる。
本発明の道路斜面地震リスク評価方法は、道路斜面に落石や小崩壊等の被害が発生する可能性を予測する方法として適している。
各斜面点検箇所における防災カルテの評価点と、各斜面点検箇所における実際の被災割合との関係を示した図である。 各斜面点検箇所における確認頻度と、各斜面点検箇所における実際の被災割合との関係を示した図である。 各斜面点検箇所における斜面の平均傾斜角と、各斜面点検箇所における実際の被災割合との関係を示した図である。 各斜面点検箇所における平均増幅率と卓越周期の積と、各斜面点検箇所における地質別の被災割合との関係を示した図である。 判別式(a)、(b)による判別結果を示した図である。 被災確率と被災割合との関係を示した図である。 従来例の判別式による判別結果を示した図である。

Claims (5)

  1. 地震発生時における被災発生のリスクを評価する方法であって、
    リスクを評価する評価地点における豪雨を対象とした道路防災総点検に基づいて作成される防災カルテの評点と、
    前記評価地点において前記道路防災総点検が実行された確認頻度と、
    前記評価地点における地層の揺れを表す振動値と、
    前記評価地点における斜面の平均傾斜角とに基づいて算出される判別値から被災リスクを判別する
    ことを特徴とする道路斜面地震リスク評価方法。
  2. 前記判別値が、以下の判別式(a)によって算出されるものであり、
    各係数が、線形判別関数に基づいて算出される
    ことを特徴とする請求項1記載の道路斜面地震リスク評価方法。
    式(a)判別値=A+B×(評点)+C×(確認頻度)+D×(振動値)+E×(斜面の平均傾斜角)
  3. 前記判別値が、以下の判別式(b)によって算出されるものであり、
    各係数が、マハラノビスの距離に基づいて算出される
    ことを特徴とする請求項1記載の道路斜面地震リスク評価方法。
    式(b)判別値=a +a +a +a +a
    +a+a+a+a+a10
    +a11+a12+a13+a15
    =(評点),x=(確認頻度),x=(振動値),x=(斜面の平均傾斜角)
  4. 過去の被災状況を被災・非被災グループに分類し、前記各パラメータに基づいて算出される各評価地点のマハラノビスの距離を利用して、各評価地点が被災グループに属する確率を算出する
    ことを特徴とする請求項1記載の道路斜面地震リスク評価方法。
  5. 前記振動値は、
    前記評価地点における岩盤加速度と、
    前記評価地点における表層の地質に基づいて算出された平均増幅率と、
    前記評価地点の表層の卓越周期と、に基づいて算出された値である
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の道路斜面地震リスク評価方法。
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