JP2010041711A - 電子機器とそれを用いた電子機器活用システム - Google Patents

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Abstract

【課題】電子機器の使い勝手を向上することを特徴とする電子機器とそれを用いた電子機器活用システムを提供すること目的とする。
【解決手段】複数の機能部品(例えば201〜210)と、これらの機能部品を制御するための制御部215と、これら制御部215と複数の機能部品(例えば201〜210)へ電源を供給するための電源部225とを備え、制御部215に外部接続手段を接続するとともに制御部215にはIPアドレス保持通信手段(例えば216)を設け複数の機能部品(例えば201〜210)にはそれぞれ機能部品アドレス保持通信手段(例えば217〜224)を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば家庭内で使用するテレビや録画再生装置などの電子機器とそれを用いた電子機器活用システムに関するものである。
例えば家庭内においては、テレビと録画再生装置が用いられており、テレビの番組を録画再生装置で録画し後日再生することによってその番組の見忘れをなくすようなことが行われている。このように、テレビの番組を録画再生装置で録画し、後日再生する非常に使い勝手がよい録画再生装置の例が(特許文献1)に記載されている。
また、通信機能を有する家電機器とそれを遠隔制御するホームコントローラを備え、家電機器の機能毎に遠隔操作の可、不可を設定してその認証レベルを指定する家電機器遠隔制御システムも従来提案されている(特許文献2)。家電機器にはコントローラが組み込まれて通信機能を有し、プロバイダのPPP(Point to Point Protcol)サーバーを介し通信端末と通信する。このシステムにはLAN制御部が設けられており、インターネットを介して家電機器を遠隔操作するものである。この家電機器遠隔制御システムにおいては、各家電機器に通信機能を有するコントローラが設けられ、各家電機器の機能、例えば洗濯機、冷蔵庫などにおいて運転開始や運転停止等の機能名のコードごとに、インタフェース部を介して本体の操作を許可するか、許可しないかの認証を行う。
さらに、複数の録画再生装置を備え、録画予約装置が録画再生装置の記録媒体の空き容量や予約状況を把握して、最適な録画再生装置を選択して録画を行わせる録画予約システムも従来知られている(特許文献3)。
特開2007−150912号公報 特開2004−96591号公報 特開2007−173918号公報
上記のごとく家庭内において、テレビと録画再生装置があると後日見ることもできるので非常に使い勝手がよくなる。しかしながら、このような番組録画をしようとした場合に、その録画再生装置の記憶装置への記録がほぼ満杯状態になっていると、新たに録画を設定しようとしても残容量が足りないということで番組予約ができない状態がある。そこでこのような場合にユーザーは、既に録画しているものの内容を確認して一部を消去して新たな番組を録画しようとする。あるいはその家庭内においてもう一台家族が録画再生装置を持っていれば、その番組に関してはその機器を利用して録画をしようと試みることもある。いずれにせよ、今ここで番組設定をしようとしたときに前者のように残容量が少ないときには、消した後に番組設定をする、あるいは後者のように他の場所に移動してその番組録画をしようとする作業が必要となり、非常に使い勝手が悪かった。
また、(特許文献2)のような家電機器遠隔制御システムは、通信端末が外部ネットワークから家電機器にアクセスし、PPPサーバー配下の家電機器を外部ネットワークと接続し、家電機器をその機能ごとに遠隔操作する。従ってこのようなシステムではユーザーがどの家電機器の如何なる操作を希望するかで制御内容が決まる。システムによっては同一種類の家電機器、例えばテレビや録画再生装置などが複数台接続されていることもあるが、このシステムにおいてはこういった事情は反映されない。
しかし多くの場合、ユーザーが望んでいるのは、家電機器(電子機器)のうちのどの1台かを操作して目的の機能を実現できれば良いのであって、特定の1台を操作することではない。例えば上述したように2台以上の録画再生装置がある場合には、その中の1台に希望通り録画でき、さらに普段どおりに操作して録画再生できればユーザーは十分満足できるのである。そして、さらに言えば、どれか1台で実現したいというよりも、プロセスは問わず(何をどう使っても良いから)、とにかく希望する機能(結果)を実現して欲しいということである。このようにユーザーのニーズと従来の電子機器の制御は、その内容が合致していたとは言い難い。
このようにネットワークに接続された従来の電子機器システムは、使用に当たって融通性、代替性がなかった。利用できる電子機器が傍にあっても十分活用できるシステムではなかった。これは電子機器に筐体という物理的な枠が嵌っていたからであり、電子機器では従来この枠を越えて制御することが想定されてはいなったからである。すなわち、従来技術最大の問題は、各電子機器を筐体単位で制御せざるをえないことであった。しかしながら、電子機器は多くの機能部品の集合として構成されているとみることができ、異種の電子部品でも多くの機能部品が共通する。例えば、ハードディスク、ディスプレイ、スピーカー、チューナー、カメラ、その他の、所定機能を有する機能部品は、普通は別々の電子機器に組み込まれた異なった部品と捉えられがちであるが、いずれもモジュール化されている。すなわち、機能部品とは、電子機器に組み込まれた独自機能、サービスを提供するモジュール化された部品であって、いずれも他の電子機器からの要求にも応えられる程度に標準化された仕様の装備を備えた部品である。こうした機能部品を今後ネットワーク内の機能部品として融通し合う新たな仕組みが望まれる。
そこで本発明は、ユーザーが意識することなく必要に応じてネットワーク上の他の電子機器の機能部品を利用することができ、使い勝手が良い電子機器と、ユーザーが意識しなくても、ネットワーク上の複数の電子機器間で共通する機能部品同士を必要に応じて共用できる電子機器活用システムを提供する目的とするものである。
そしてこの目的を達成するために本発明は、複数の機能部品と、複数の機能部品を制御する制御部と、複数の機能部品を他の電子機器と呼接続するためのIP通信手段を備え、複数の機能部品が外部接続手段を介して他の電子機器と接続される電子機器であって、制御部にはIPアドレス保持通信手段が設けられると共に、複数の機能部品にはそれぞれIP通信するための機能部品アドレス保持通信手段が設けられたことを特徴とする。
また、本発明は、上記した複数の電子機器と、電子機器の制御を行う中央制御装置と、電子機器のそれぞれの状態を監視しその状態情報を中央制御装置へ通知する呼制御手段を備え、これらが接続されてネットワークを構成する電子機器活用システムであって、複数の電子機器の中の第1の電子機器に対してネットワークから使用指示があったとき、その第1の電子機器の機能部品に代えて第2の電子機器の機能部品が使用可能である場合は、中央制御装置が第1及び第2の電子機器の機能部品をそれぞれ指定した呼設定命令を呼制御手段に通知し、前記呼制御手段がこの呼設定命令で指定された機能部品間で通信路を確立させ、直接データを機能部品間で送受信することを特徴とする。
そしてこの構成としたことにより、本発明の電子機器によれば、他の電子機器からも自身の機能部品のように制御でき、共通する種類の機能部品を必要に応じて互いに利用し合え、ユーザーが意識しなくてもこれを利用でき、非常に使い勝手の良いものとなる。
すなわち本発明においては、その電子機器は制御部にIPアドレス保持通信手段を設けるだけでなくその電子機器が持つ複数の機能部品にも機能部品アドレス保持通信手段を設けており、更に他の電子機器との間では、電子機器同士が外部接続手段によって互いに情報通信可能な状態で接続されてネットワークを構成している。従ってこのような構成としておけば、例えば電子機器がテレビの録画再生装置であったとすると、番組予約をしようとした場合に自分の持っている記憶部分が満杯容量に近くて番組予約できなときには家庭内の他の録画再生装置を活用して番組予約がその場でユーザーが意識せずに行うことができる。すなわちこの場合には、電子機器の通信手段が他の電子機器の通信手段を呼び出しそちらの方にその時刻なったら番組予約を設定することができる。従って非常に使い勝手が良くなるものである。
また、本発明の電子機器活用システムによれば、複数の電子機器の中の1台の電子機器に対してネットワーク上で使用指示が発生したとき、中央制御装置がその電子機器の機能部品が使用不可でも別の電子機器の機能部品が代用できると判断した場合は、この機能部品同士で通信させ、一方から他方へデータを転送する。これにより、ユーザーが意識しなくても、必要があれば複数の電子機器間で共通する機能部品同士を共用できる。
本発明の実施の形態1における電子機器活用システムを示す全体図 電子機器の一例であるHDD録画再生装置の構成を示すブロック図 電子機器の一例である冷蔵庫の構成を示すブロック図 電子機器の一例であるテレビの構成を示すブロック図 仮想的な電子機器を構築する電子機器システム図 図5の電子機器システムのデータの流れを説明する構成図 図5の電子機器システムの構成部品の使用状態を示す図 図5の電子機器システムの動作を説明するフローチャート 電子機器システムで行われる制御シーケンスの説明図 図9の電子機器システムの電子機器間で行われるデータの流れを示す図 本発明の実施の形態2における電子機器システムの電子機器間のデータの流れを説明する構成図 図11の電子機器システムの動作を説明するフローチャート 本発明の実施の形態3における電子機器システムの電子機器間のデータの流れを説明する構成図 図13の電子機器システムの動作を説明するフローチャート (a)本発明の実施の形態4における電子機器の活用モードを切換えるディップスイッチの説明図、(b)本発明の実施の形態4における電子機器活用システムの活用モードを切換えるシステム設定部の説明図
上記課題を解決するため、第1の発明は、複数の機能部品と、複数の機能部品を制御する制御部と、複数の機能部品を他の電子機器と呼接続するためのIP通信手段を備え、複数の機能部品が外部接続手段を介して他の電子機器と接続される電子機器であって、制御部にはIPアドレス保持通信手段が設けられると共に、複数の機能部品にはそれぞれIP通信するための機能部品アドレス保持通信手段が設けられたことを特徴とする電子機器である。
この構成により、制御部に外部接続手段を接続するとともに制御部にはIPアドレス保持通信手段を設け複数の機能部品にはそれぞれ機能部品アドレス保持通信手段を設けたので、他の電子機器からも自身の機能部品のように制御でき、共通する種類の機能部品を必要に応じて互いに利用し合え、ユーザーが意識しなくてもこれを利用でき、非常に使い勝手の良いものとなる。
すなわち本発明においては、その電子機器は制御部にIPアドレス保持通信手段を設けるだけでなくその電子機器が持つ複数の機能部品にも機能部品アドレス保持通信手段を設けており、更に他の電子機器との間では、電子機器同士が外部接続手段によって互いに情報通信可能な状態で接続されてネットワークを構成している。従ってこのような構成としておけば、例えば電子機器がテレビの録画再生装置であったとすると、番組予約をしようとした場合に自分の持っている記憶部分が満杯容量に近くて番組予約できなときには家庭内の他の録画再生装置を活用して番組予約がその場でユーザーが意識せずに行うことができる。すなわちこの場合には、電子機器の通信手段が他の電子機器の通信手段を呼び出しそちらの方にその時刻なったら番組予約を設定することができる。従って非常に使い勝手が良くなるものである。
上記課題を解決するために、第2の発明は、第1の発明に従属する発明であって、機能部品に対する使用通知があったとき、機能部品が機能部品アドレス保持通信手段によって機能部品アドレスを用いて他の電子機器の機能部品との間で通信路を確立し、制御部がIPアドレス保持通信手段によって機能部品に対する起動要求を受信すると、機能部品を起動させ、通信路を使って他の電子機器の機能部品との間で直接データを送受信させることを特徴とする電子機器である。
この構成により、機能部品のデータを外部へ送信したり外部からのデータを機能部品が受信したりすることができる。電子機器の機能部品が外部と機能部品アドレスを使って通信できるため非常に使い勝手の良いものとなる。
上記課題を解決するために、第3の発明は、第2の発明に従属する発明であって、制御部と機能部品へ電源を供給するための電源部を備え、機能部品に対する使用通知があったとき、制御部が機能部品に対する電源ONの要求を行って電源を供給し、通信路を確立した後この機能部品を起動させることを特徴とする電子機器である。
この構成により、電源がOFFでも外部から電源部を制御して電源をONにして機能部品を利用することができる。外部の電子機器の電源がOFFでも外部の機能部品が利用できるため非常に使い勝手の良いものとなる。
上記課題を解決するために、第4の発明は、第1から第3の発明のいずれか1つに従属する発明であって、IPアドレス保持通信手段がDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバーから割り当てられたIPアドレスを保持することを特徴とする電子機器である。
この構成により、IPアドレス保持通信手段が保持するIPアドレスを使って電子機器の外部とIP通信することができる。汎用の設備で簡単に通信できるため非常に使い勝手の良いものとなる。
上記課題を解決するために、第5の発明は、第1から第4の発明のいずれか1つに従属する発明であって、外部接続手段が電力線であると共に、複数の機能部品の1つがPLC(Power Line Communication)モデムであって、制御部がPLCモデムとIP通信手段を介して電力線に接続されることを特徴とする電子機器である。
この構成により、電力線を利用した通信をすることができる。電子機器をコンセントに挿すだけで簡単に通信できるため非常に使い勝手の良いものとなる。
上記課題を解決するために、第6の発明は、第1から第4の発明のいずれか1つに従属する発明であって、制御部及び/または複数の機能部品には、機能部品の使用を許可する全体制御モードと許可しない個別制御モードとを選択するディップスイッチが設けられたことを特徴とする電子機器である。
この構成により、ある電子部品の機能部品の使用を他の電子機器に許可する全体制御モードと、これを許可しない個別制御モードをスイッチで容易に選択することができる。
上記課題を解決するために、第7の発明は、第2から第6のいずれか1つの複数の電子機器と、電子機器の制御を行う中央制御装置と、電子機器のそれぞれの状態を監視しその状態情報を中央制御装置へ通知する呼制御手段を備え、これらが接続されてネットワークを構成する電子機器活用システムであって、複数の電子機器の中の第1の電子機器に対してネットワークから使用指示があったとき、その第1の電子機器の機能部品に代えて第2の電子機器の機能部品が使用可能である場合は、中央制御装置が第1及び第2の電子機器の機能部品をそれぞれ指定した呼設定命令を呼制御手段に通知し、呼制御手段がこの呼設定命令で指定された機能部品間で通信路を確立させ、直接データを機能部品間で送受信することを特徴とする電子機器活用システムである。
この構成により、複数の電子機器間で共通する機能部品同士を必要に応じて意識せずに共用できる。外部の機能部品が利用できるため非常に使い勝手の良いものとなる。
上記課題を解決するために、第8の発明は、第7の発明に従属する発明であって、電子機器の1つが冷蔵庫であって、冷蔵庫に中央制御装置が設けられたことを特徴とする電子機器活用システムである。
この構成により、冷蔵庫は常時電源が入っているので常に電子機器同士で機能部品を利用することができる。外部の機能部品が利用できるため非常に使い勝手の良いものとなる。
上記課題を解決するため、第9の発明は、第8の発明に従属する発明であって、冷蔵庫に呼制御手段が設けられたことを特徴とする電子機器活用システムである。
この構成により、冷蔵庫は常時電源が入っているので常に電子機器同士で機能部品を利用することができる。
上記課題を解決するため、第10の発明は、第7の発明に従属する発明であって、機能部品の使用を許可する全体制御モードと許可しない個別制御モードとを選択する設定部が設けられていることを特徴とする電子機器活用システムである。
この構成により、ある電子部品の機能部品の使用を他の電子機器に許可する全体制御モードと、これを許可しない個別制御モードを設定で容易に選択することができる。
上記課題を解決するため、第11の発明は、第7の発明に従属する発明であって、中央制御装置が機能部品の使用状況を電子機器に送信することを特徴とする電子機器活用システムである。
この構成により、各電子機器は電子機器活用システム内のすべての機能部品の使用状況を知ることができる。すべての機能部品の使用状況を見て利用できるため電子機器活用システムとして非常に使い勝手の良いものとなる。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における電子機器とそれを用いた電子機器活用システムについて、図1から図8に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態1における電子機器活用システムを示す全体図、図2は電子機器の一例であるHDD録画再生装置の構成を示すブロック図、図3は電子機器の一例である冷蔵庫の構成を示すブロック図、図4は電子機器の一例であるテレビの構成を示すブロック図、図5は仮想的な電子機器を構築する電子機器システム図、図6は図5の電子機器システムのデータの流れを説明する図、図7は図5の電子機器システムの構成部品の使用状態を示す図、図8は図5の電子機器システムの動作を説明するフローチャートである。
<家庭内における電子機器活用システム>
図1は、本発明の一実施の形態を各家庭内における電子機器活用システムとして示したものである。すなわち、この家屋は二階建てになっており外から電源が柱上トランス101を介して、6600ボルトが100ボルトに変換されて、メーター102を介して引き込まれる。そして詳細には示していないが各電子機器に電源が供給される。図1におけるメーター102に引き込み後の線は電源供給ライン103として示している。そしてこの電源供給ライン103に図示していないが電源のコンセントを介して電子機器であるテレビ104、HDD録画再生装置(ハードディスク録画再生装置)105、FAX(ファクシミリ)106、PC(パーソナルコンピューター)107、そして二階には電話機108、テレビ109、HDD録画再生装置110がつながる。携帯電話111は充電用のアダプタを介して電源供給ライン103につながる。さらに階下に戻って後述する電子機器としての冷蔵庫112およびこれらの電子機器にIPアドレスを割り当てるDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバー113も電源供給ライン103につながっている。これら屋内の電子機器は互いに通信可能な状態に接続され屋内でネットワークを構成しており、電話線を含む伝送線によって外部ネットワークにも接続されている。
<電子機器の一例であるHDD録画再生装置>
さて、これらの電子機器の一つであるHDD録画再生装置105は図2のような構成になっている。図2に示すようにHDD録画再生装置105は多くの機能部品を備えている。機能部品とは電子機器においてある役割を担う機能を持った部品のことである。具体的には映像を録画するハードディスク201および通信バッファ用のハードディスク202と、アンテナ入力モジュール203からの情報を入力するチューナー204および205と、出力モジュール206〜208と、アナログ入出力モジュール209につながるAD/DA変換器210である。
さらにHDD録画再生装置105はネットワーク機能を提供するためのソフトウェア群であるIP通信スタック211(実施の形態1における呼接続できるIP通信手段)と、電源供給ライン103にデータ通信用信号を乗せて使うためのアダプタであるPLC(Power Line Communication)モデム212と、電源プラグ213と、ユーザーがリモコンでHDD録画再生装置105を操作するためのリモート入力モジュール214と、これら構成品を制御する制御部215とを備えている。すなわち、電源供給ライン103は屋内のネットワークを構成するための信号の伝送路ということもできる。しかし、電灯線通信は電源電圧に信号を乗せてPLCモデムで通信するため、メーター102や柱上トランス101を越えて屋内から信号が漏れることはない。
<電子機器における本発明の特徴>
さて、本実施の形態において最も大きな特徴は、この電子機器例えばHDD録画再生装置105の制御部215がIP通信ユニット216の設定メモリにIPアドレスを保持するためのIPアドレス保持部を持つことである。IP通信ユニット216が実施の形態1のIPアドレス保持通信手段である。IPアドレスを使ってネットワーク層(IP層)で通信できる。なお、IPアドレスはIP(Internet Protocol)ネットワーク上で機器を識別できるアドレスである。IPv4ではプライベートIPアドレスが好適で、例えばクラスC(192.168.0.0−192.168.255.255)のような32ビットのアドレスが付与される。このIPアドレスによりHDD録画再生装置105は、電源供給ライン103を介して家庭内の他の電子機器とネットワーク層(IP層)で情報通信可能な状態になっている。すなわち、本実施の形態においては電源供給ライン103が情報通信可能な外部接続手段を構成している。もちろんこれらは光通信でも良いし無線通信でも良い。
また重要なことは、ハードディスク201、202やチューナー204、205などの機能部品にもそれぞれIP通信ユニット217、218や、IP通信ユニット219、220などの設定メモリにも、機能部品アドレスを保持した機能部品アドレス保持部が設けられている点である。これらのIP通信ユニットが実施の形態1の機能部品アドレス保持通信手段である。機能部品アドレスを使ってネットワーク層で通信できる。この機能部品アドレスは少なくともネットワーク層(IP層)で部品を識別できるアドレスである必要がある。機能部品アドレス保持部は設定メモリに置かれる。従って結局、HDD録画再生装置105は自らIPアドレスを持っていると同時に、その各機能部品もそれぞれ機能部品アドレスを持っている。同様に出力モジュール206〜208もIP通信ユニット221〜223を備え、AD/DA変換器210もIP通信ユニット224を備えており、何れも機能部品アドレス保持部を備えている。ルータ等の中継装置が屋内のネットワーク上に存在しても電子機器、機能部品はIPアドレス保持通信手段、機能部品アドレス保持通信手段によってIP通信することができる。
IP通信ユニット216やIP通信ユニット217などのIP通信ユニットは上記に説明したようにIPアドレス保持部または機能部品アドレス保持部を有している。そして、これはIP通信スタック211によるIP電話機相当のアプリケーション層のIP通信を可能とするユニットでもある。すなわちIP通信スタック211はTCP/IP、UDP/IPなどに準拠した下位通信プログラムから上位通信プログラムまでをまとめたソフトウェア群であり、アプリケーションとして少なくともSIP(Session Initiation Protocol)、H.323など呼制御プロトコルに準拠した上位通信プログラムを搭載している。このIP通信スタック211を使うことにより呼接続が行え、IP電話通信相当のIP通信が行える。
全てのIP通信ユニットは図1のDHCPサーバー113によりIPアドレスを獲得し、そのIPアドレスをそれぞれのIP通信ユニット自身の設定メモリのアドレス保持部に記憶する。機能部品アドレス保持部には機能部品アドレスと機能部品の種類等の情報が記憶される。なお、DHCPサーバー113はネットワークのどこに設置されてもよい。冷蔵庫112でもよい。すなわち全てのIP通信ユニット216〜224はIP電話機相当のIP通信を行い、かつ、IPアドレス保持部や機能部品アドレス保持部としても働く。また先に説明したようにHDD録画再生装置105は、PLCモデム212を備えるため電源供給ライン103を使用した電灯線通信を行うことが可能であり、他の電子機器とのIP通信を行うための情報通信可能な状態になっている。
また、HDD録画再生装置105は電源部225を備える。そして、制御部215、IP通信スタック211、PLCモデム212は、電源プラグ213がコンセントに接続されていれば電源部225の電源を入れていなくても待機電力により稼動可能になっている。これにより電源が入っていない他の電子機器との間でも情報通信が可能である。
なお、ここではHDD録画再生装置105を例に説明したがもう一つのHDD録画再生装置110も同様の構成である。よって以降の説明では区別が必要な場合は“ハードディスク201_1”のように符号の後に“_1”または“_2”を適宜付して説明する。“_1”を付した場合は一階にあるHDD録画再生装置105の機能部品であり、“_2”を付した場合は二階にあるHDD録画再生装置110の機能部品である。
また、以上の説明ではIPアドレスを例に説明したが、機能部品アドレスに独自なアドレスを与えることもできる。というのは制御部215が各機能部品アドレスを管理し、機能部品アドレスとIPアドレスを対応づけてアドレス変換し、機能部品アドレスの代わりに制御部215のIPアドレスを用いて制御部215が代表して通信すれば良いからである。なお、DHCPサーバー113がすべてのIP通信ユニットにIPアドレスを割り当てた場合は、機能部品は2つのアドレスを重畳してもつことになる。
本実施の形態1では、例えば機能部品アドレスとして、アドレス情報(IPアドレスやMACアドレス)と、電子機器内における部品番号(内線番号に相当する通し番号)とこの機能部品の種類(例えばハードディスクのグループ種別)を示す番号から構成される論理識別子が用いられている。すなわち、機能部品アドレスは、部品情報である上位の論理識別子と、アドレス情報である中位(ネットワーク層)のIPアドレス、下位(物理層)のMACアドレスから構成される。この論理識別子としては、例えば部品番号を仮に「012」、機能部品の種類を示す番号を「345」とすると、IPアドレスに倣って例えば(012.345)と表わせばよい。この機能部品アドレスを使えばネットワーク層を使ってP2P(Peer to Peer)通信が可能になる。言い換えればこの通信により一方の機能部品のデータを他方の機能部品にP2Pで直接データ転送ができる。また、論理識別子が与えられれば、その番号から容易に機能部品の種類を特定することができる。
また、PLCモデム212にIP通信ユニットを備えるようにし、ここで保持するIPアドレスを、HDD録画再生装置105を代表するIPアドレスとしてもよい。PLCモデム212は外部接続手段である電源供給ライン103と電子機器とのデータ通信におけるインタフェース部分になるため、電子機器を代表するホストのIPアドレスとして扱いやすく制御が簡略にできるからである。
なお、PLCモデム212の代わりに通信するLANアダプタを用いることにしても良い。その理由はLANアダプタもEthernet(登録商標)などのデータ通信におけるインタフェース部分になるからである。LANアダプタを用いる場合は外部接続手段として家庭内にLANケーブルを張り巡らせ、他の電子機器にもLANケーブルにつなげるためのLANアダプタを備える。
また通信バッファ用のハードディスク202を設定することにより、大容量の情報通信を行う際に、ネットワークトラフィックの輻輳を押さえることができる。
また、後述するようにテレビなどその他の電子機器も自らのIPアドレスを持っていて、さらにその各機能部品も機能部品アドレスを持っている。
<HDD録画再生装置による録画の例>
さて、上記説明した家庭内における電子機器活用システムにおいて、例えばあるテレビ番組「aaaaa」をHDD録画再生装置に録画する場合について説明する。
テレビ番組「aaaaa」を図1の二階のHDD録画再生装置110で録画しようとするときには、ユーザーはリモコンを操作してHDD録画再生装置110に録画開始終了時間やチャンネルあるいは番組コードなどの録画指示を入力する。
すると図2のリモート入力モジュール214を経由して録画指示を受けた制御部215は、まずHDD録画再生装置110において録画指示に関係する各機能部品の状態をチェックする。チェックした結果、関係する機能部品が使用可能状態であれば録画予約や録画を実行する。そしてアンテナ入力情報を例えばチューナー204が選局し、音声・映像信号をハードディスク201に対して送信することによりテレビ番組「aaaaa」を録画する。
しかしながら、もしも映像を録画するハードディスク201が過去に録画したテレビ番組で満杯でありこれ以上録画できない状態となっている場合には、本実施の形態1の特徴である以下に説明する動作を行う。すなわち制御部215は、この後で述べる中央制御部と情報通信を行い、家庭内の他の電子機器(例えば階下のHDD録画再生装置105)に録画可能な残量を持つハードディスクがないかを探すのである。そしてもしも見つかれば、二階のHDD録画再生装置110のチューナー204が選局した音声・映像信号をその空いている階下のHDD録画再生装置105のハードディスクに対して送信することによりテレビ番組「aaaaa」を録画する。そうすれば二階に居ながらにして、満杯となっている二階のHDD録画再生装置110に録画されていた内容を消す操作を必要とせず、階下のHDD録画再生装置105を活用して瞬時に録画や録画予約ができる。すなわち非常に使い勝手が良くなる。
なお、録画指示を受けた制御部215が、まずHDD録画再生装置110において録画指示に関係する各機能部品の状態をチェックするように説明したが、最初から中央制御部と情報通信を行い、自身も含め家庭内の全ての電子機器の中で録画可能な残量を持つハードディスクがないかを探し録画するように録画要求指示をしてもよい。この動作は以降で詳しく説明する。
<制御部としての冷蔵庫の例>
さて上記のような動作をさせようとするときに、二階のHDD録画再生装置110から階下のHDD録画再生装置105を探したり動作させたりするための、ネットワークの制御を行う中央制御部というものが必ず家庭内において必要となる。中央制御部とは、IP通信ユニットを持つ機能部品同士をフレキシブルにつなげることによって、あたかも一つの仮想的な電子機器として提供するものである。この中央制御部にはSIPサーバー、H.323サーバーなどの呼制御サーバーとしての機能が搭載される。本実施の形態1においては中央制御部としての機能を階下にある冷蔵庫112に担わせることにしている。すなわち冷蔵庫112は他の電子機器とは違って24時間必ず電源が入りっぱなしになっているのでそれを利用してこのような機能を持つ中央制御部を設けた。
図3は冷蔵庫112のブロック図である。冷蔵庫112は、冷蔵庫としての機能を果たすコンプレッサー301や冷却装置302を備えるとともに、本実施の形態を特徴付けるIP通信スタック303とPLCモデム304と電源プラグ305と中央制御部306およびIP−PBX307を備えている。これらは冷蔵庫112において中央制御装置を構成する。
ここでIP通信スタック303など図2における構成と同じ構成品は説明の重複は省略する。また図示していないが電源部も備える。中央制御部306はIP−PBX307を用いてHDD録画再生装置105などの各電子機器の機能部品同士を、あたかも1つの仮想的な電子機器のようにフレキシブルにつなげるように制御する制御部である。IP−PBX307はIP通信における呼制御を行うIP交換装置としての機能を担うソフトウェア、すなわちコンピュータでこの機能を実行する機能実現手段である。装置としてのIP交換装置を設置するのでもよい。すなわち、IP−PBX307は電子機器の状態を監視し、電子機器の状態情報の収集するものであり、ネットワークで使用指示が発生し、これに基づいて中央制御部306から呼設定命令(MakeCall)が送信されると、データを送信させたい機能部品同士に発信指示を行い、この一方から他方へ呼設定(SETUP)させて機能部品間をP2Pでデータ転送する。
ここで、この中央制御部306からIP−PBX307に対して送信する呼設定命令(MakeCall)は、電話技術とコンピュータ技術を融合させるCTI(Computer Telephony Integration)技術によるコンピュータ(中央制御部306)からの電話の呼び出し(ここではIP−PBX307に対する電話の呼び出し)である。従って、本明細書で使用される呼設定命令(MakeCall)は、中央制御部306がIP−PBX307を呼び出して、このIP−PBX307から各機能部品に対して発呼させるときに用いられる命令を意味する。
そしてIP−PBX307を利用することはこうした電話技術を利用するもので、多くの蓄積技術があり、信頼性が高く、不正アクセス防止も容易に行える。先の説明によれば、二階のHDD録画再生装置110のチューナー204のIP通信ユニット219や階下のHDD録画再生装置105のハードディスク201のIP通信ユニット217を、それぞれIP電話機と同じようにIP−PBX307が呼制御により制御する。
中央制御部306やIP−PBX307も、HDD録画再生装置の構成において説明したようにIP通信ユニットを備え、DHCPサーバーからそれぞれのIPアドレスを割り当てられてIPアドレス保持部に保持している。
二階のHDD録画再生装置110および階下のHDD録画再生装置105に搭載されたすべてのIP通信ユニット216〜224は、IP−PBX307に対してIP通信を行うために必要な情報の登録を行う。登録する情報は例えば各IP通信ユニットが記憶している自身のIPアドレスや機能部品アドレス、各IP通信ユニットに対応付けられた機能部品の種類(例えば「チューナー」、「ハードディスク」など)である。機能部品アドレスとして論理識別子を含むアドレスを使用すれば、論理識別子に含まれる機能部品の種類の番号から直ちにこの種類を特定することができる。登録は電子機器を設置したときや、構成部品に変更が生じたときなどに行う。
IP−PBX307は、IP通信ユニット216〜224が登録した機能部品の種類の情報によって機能部品のグループ分けを行い、各IP通信ユニットに対応付けられた機能部品をそれぞれのグループのメンバーとして管理する。そして管理しているグループの情報はIP−PBX307から中央制御部306に通知され、中央制御部306に情報が蓄積される。例えば家庭内のネットワークにおいてはそれぞれのハードディスクが集合されてハードディスクユニットグループを形成し制御できるようになる。つまり、ハードディスクを使う場合に、ハードディスクユニットグループの中でどのハードディスクを使うかという制御ができるようになる。またチューナーも同様にチューナーユニットグループの中でどのチューナーを使うかという制御ができるようになる。中央制御部306は各電子機器を制御するときにはこのグループの情報を参照し、使用したい機能部品同士を互いに呼接続させ、それぞれに対して起動要求し、データ転送させる。
なお、中央制御部306が管理している情報とIP−PBX307が管理している情報とは次のように棲み分けをしている。すなわち、中央制御部306が管理している情報は主に電子機器制御のサービスを行うための情報であり、IP−PBX307が管理している情報は機能部品をIP電話機とみなしたときの呼の接続や切断などに関する情報である。要するに、中央制御部306は各電子機器のサービス情報(電子機器の稼動状態や録画状態、残容量情報などの情報)を管理し、IP−PBX307は各電子機器を監視し、その状態情報の通知を受け、収集した状態情報を自身で管理すると共に中央制御部306に通知することになる。
このためIP通信ユニット216〜224は、登録とは別に機能部品の状態情報を適宜IP−PBX307に対して送信する。送信する状態情報は各機能部品の稼動状態(使用中/待機中/異常検知中など)や容量の状態(ハードディスク201の残量など)や録画の状態(録画番組リストなど)であり、IP−PBX307は機能部品の状態を監視し、状態に変化があった場合には情報を更新すると共に中央制御部306へ通知する。
中央制御部306は電子機器のどれかから使用指示が発生すると、各電子機器のサービス情報をみて、機能部品の肩代わりが必要な場合は機能部品の組み合わせを行い、IP−PBX307に対して機能部品を指定して呼設定命令(MakeCall)を通知する。IP−PBX307はこれを受信するとこの機能部品間でP2PによるIP通信を行うデータ路を確立させる。このデータ路を使ってデータ転送が行われる。
中央制御部306とIP−PBX307がこのように棲み分け(制御の分担)をすることにより、IP−PBX307は機能部品を監視して、呼の接続(connect)や切断(disconnect)を行う呼制御に特化することができる。また中央制御部306は、IP−PBX307からの情報に基づいて電子機器制御のサービスを柔軟に提供するサーバーとして特化できる。さらに、このように棲み分けをすることにより、中央制御部306やIP−PBX307は、インターネットを通じてそれぞれの機能ソフトウェアをダウンロードし、アップデートすることも容易にできる。
IP−PBX307は信頼性とセキュリティが高い電話技術に属し、機能部品間のデータ転送には格好の技術である上に、電子機器が増設されても電話機同様の増設の設定を行えばよく、取り扱いが容易である。しかも、IP−PBX307によれば、以下説明するように、グループ内の1つに着信させるグループ着信や、グループ内で別の1つに転送したり、情報をミキシングできる電子会議システムの技術を利用したりできる。
まず、グループ着信を利用する場合を説明すると、ある機能部品グループに属する機能部品のどれか1機能部品を使用したい場合に、IP−PBX307から応答要求をこの機能部品グループ内の機能部品に一斉に送信し、このグループに属する任意の1機能部品がこの呼び出しに応答すると、この機能部品の使用を許可する。すなわちIP−PBX307はグループ内に一斉に応答要求(NOTFY)を送信し、応答した機能部品があると、この機能部品に相手部品との間で呼設定を行わせ、応答のなかった残りの機能部品には対応不要を通知する。このようなグループ着信を利用することにより、中央制御部306がすべての判断と制御を実行する必要はなくなり、こうした一部の機能をIP−PBX307と機能部品の自律的制御に委ねることができる。例えば、HDD録画再生装置に録画するときに、中央制御部306はIP−PBX30にグループ着信を命じるだけで、IP−PBX307はハードディスクユニットグループ内に一斉に応答要求を送信し、応答したハードディスクに録画をさせることができる。なお、IP−PBX307は応答したハードディスクの情報を中央制御部306に通知する。
また、中央制御部306がIP−PBX307に特定の電子機器に対する呼設定命令(MakeCall)を通知したときに、この電子機器の機能部品が利用不可の場合に、IP−PBX307はこの機能部品が属する機能部品グループ内の2次指定される機能部品に転送し、この機能部品が応答することでこの機能部品に相手部品との呼設定を許可する。このような転送で、中央制御部306の一部の機能をIP−PBX307と機能部品の自律的制御に委ねることができる。さらに、IP−PBX307は電子会議システムのように複数経路を介して得た情報をミキシングなどの処理を行って、新しい情報に加工することもできる。このように中央制御部306とIP−PBX307を設け、呼制御を利用して機能の棲み分けを図ることは、全体のシステムの信頼性を向上させ、かつ制御を簡素化し、コストを格段に低下させる。
さて、先に説明した例の場合で電子機器活用システムの説明を行う。ユーザーの操作により録画要求指示があったことを二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2が知ると、制御部215_2は中央制御部306に対してこの状態変化を通知する。録画要求指示を受けた中央制御部306はIP−PBX307に登録や送信されて来た各種情報を基にどの機能部品を使用できるかを判断する。この判断は予め設定されている優先ルールに従って行われる。すなわち、例えばユーザーが録画しようとした二階のHDD録画再生装置110のハードディスク201_2を優先し、これに残量がない場合には、階下のHDD録画再生装置105のハードディスク201_1に残量があれば階下のHDD録画再生装置105のハードディスク201_1が使用可能と判断する。
次に中央制御部306は、階下のHDD録画再生装置105の制御部215_1とIP通信を行い、その電源部225_1の電源を入れ、二階のHDD録画再生装置110のチューナー204_2と階下のHDD録画再生装置105のハードディスク201_1を指定して、IP−PBX307に呼設定命令(MakeCall)を通知する。これを受信したIP−PBX307の行うIP交換装置としての機能により、チューナー204_2とハードディスク201_1間でデータ転送させ、二階のHDD録画再生装置110のチューナー204_2が選局した音声・映像信号を階下のHDD録画再生装置105のハードディスク201_1に送信し録画する。
従って、階下のHDD録画再生装置105と二階のHDD録画再生装置110とは物理的には別々の電子機器であるが、本実施の形態の電子機器活用システムでは、各電子機器の機能部品同士をあたかも一つの仮想的な電子機器のようにフレキシブルにつなげるように制御するのである。
しかも本実施の形態1の電子機器活用システムでは、この家屋は柱上トランス101やメーター102を介して電源を引き込んでいるので制御部215から中央制御部306への録画要求指示などが電源供給ライン103に流れても隣の家屋へは行かないためセキュリティ上も安全に動作することができる。
なお、各機能部品の制御部(例えばHDD録画再生装置110の制御部215_2)も仮想的な電子機器においてある役割を担う機能を持った部品であるため中央制御部306が制御する機能部品とみなしてもよい。中央制御部306から他の機能部品と同様に機能部品の一つとして扱うことができるので、制御が簡単になるからである。
また、冷蔵庫112は24時間必ず電源が入りっぱなしになっているので、冷蔵庫112内に中央制御部306、IP−PBX307を設け、これをネットワークのホストとしたが、24時間電源が入れているサーバーなどがあればそのサーバーに、呼制御サーバーとしての機能を搭載した中央制御部306、IP−PBX307を設けてもよい。
<電子機器の一例:テレビ>
さらにその他の電子機器について説明する。図1における電子機器の一つであるテレビ104は、図4のような構成になっている。この図4に示すように、テレビ104も多くの機能部品を備えている。具体的にはアンテナ入力モジュール401と、アンテナ入力モジュール401からの情報を入力するチューナー402と、ディスプレイ403と、入力モジュール404と、出力モジュール405と、通信バッファ用のハードディスク406である。さらにテレビ104はネットワーク機能を提供するためのソフトウェア群であるIP通信スタック407と、電源供給ライン103に、データ通信用信号を乗せて使うためのアダプタであるPLC(Power Line Communication)モデム408と、電源プラグ409と、これら構成品を制御する制御部410とを備えている。
さて、テレビ104においてもHDD録画再生装置105と同様に、制御部410はIP通信ユニット411の設定メモリにIPアドレス保持部を持つことが特徴点である。家庭内にルータ等が設置されていてもIPアドレスによって通信するため、テレビ104は電源プラグ409を介して家庭内の他の電子機器と情報通信可能な状態になっている。また、チューナー402はIP通信ユニット412、ディスプレイ403はIP通信ユニット413、入力モジュール404はIP通信ユニット414、出力モジュール405はIP通信ユニット415、通信バッファ用のハードディスク406はIP通信ユニット416を機能部品アドレス保持部として有しており、テレビ104も制御部410がIPアドレスを持っており、同時にその各機能部品も機能部品アドレスを持っている。
また、テレビ104は電源部417も備える。そして制御部410、IP通信スタック407、PLCモデム408は、電源プラグ409がコンセントに接続されていれば電源部417の電源を入れていなくても待機電力により稼動可能になっている。これにより電源が入っていない他の電子機器との間でも情報通信が可能である。
なお、テレビ104を例に説明したが、図1の二階のもう一つのテレビ109も同様の構成である。よってここでも以降の説明では区別が必要な場合は“チューナー402_1”のように符号の後に“_1”または“_2”を適宜付して説明する。“_1”を付した場合は一階にあるテレビ104の機能部品であり、“_2”を付した場合は二階にあるテレビ109の機能部品である。
そしてテレビ104やテレビ109はテレビ本来の機能のほかに、ディスプレイ403_1、ディスプレイ403_2を表示のための機能部品として利用でき、HDD録画再生装置105やHDD録画再生装置110が再生を行うときに表示が行われる。HDD録画再生装置の録画内容をテレビのディスプレイで再生する場合の例として機能部品ディスプレイを使った場合を以下に、またHDD録画再生装置の録画内容を他のHDD録画再生装置の機能部品出力モジュールを経由してテレビで再生することも可能でありこの場合は実施の形態2で詳細に説明する。なお、以上説明したHDD録画再生装置、冷蔵庫、テレビなどの電子機器の機能部品は、互いに共通する種類の機能部品同士を利用し合う必要があるため、利用し合う同一種類の機能部品は少なくとも代替性のある最小限の機能を備えており、互いに利用し合えるようになっている。
<HDD録画再生装置の録画内容をテレビのディスプレイで再生する場合>
さて、上記説明した家庭内における電子機器活用システムにおいて、例えば二階のテレビ109を使って二階のHDD録画再生装置110または階下のHDD録画再生装置105に録画されたあるテレビ番組「aaaaa」を再生して見る場合について説明する。
二階のテレビ109を使って、録画された番組を見ようとするときには、ユーザーは二階のHDD録画再生装置110のリモコンを操作して番組選択をする。このときHDD録画再生装置110の出力モジュール206_2とテレビ109の入力モジュール404_2を映像ケーブルでつないでおけば、リモコンの操作(例えばカーソル移動など)はHDD録画再生装置110の出力モジュール206_2からテレビ109の入力モジュール404_2を経由してディスプレイ403_2に表示されるため、ユーザーが容易に操作できる。
ユーザーの番組選択要求指示は、リモート入力モジュール214_2を経由して制御部215_2が受信する。制御部215_2は、指示に従ってまず録画した番組のリストを表示しようとする。しかしながら、もしも二階のHDD録画再生装置110ではなく階下のHDD録画再生装置105に録画されていた場合には、二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2は本実施の形態1の特徴である以下に説明する動作を行う。すなわち制御部215_2は、まず家庭内の冷蔵庫112の中央制御部306とIP通信を行い、階下のHDD録画再生装置105に録画された番組情報を得る。そして制御部215_2は、二階のHDD録画再生装置110に録画された番組情報と階下のHDD録画再生装置105に録画された番組情報をまとめた番組情報を出力モジュール206_2からテレビ109に向けて出力する。すなわち、制御部215_2は、ユーザーに対してまるで二階のHDD録画再生装置110に録画された番組であるかのように番組情報を提供する。
ユーザーはテレビ109のディスプレイ403_2に表示された番組情報を見て目的の番組「aaaaa」を選択する。するとユーザーの番組選択指示は、リモート入力モジュール214_2を経由して制御部215_2が受信する。制御部215_2は、再度冷蔵庫112の中央制御部306とIP通信を行う。そして中央制御部306はIP−PBX307に登録や送信されて来たシステム設定部の各種情報を基に機能部品を使用できるかを判断する。すなわち、先に説明した例の場合、テレビ番組「aaaaa」が録画されている階下のHDD録画再生装置105のハードディスク201_1が使用可能かを中央制御部306は蓄積している状態情報(各機能部品の稼動状態(使用中/待機中/異常検知中など))により判断する。
さらに中央制御部306は、録画された番組「aaaaa」の音声・映像信号を受信する機能部品として二階のテレビ109のディスプレイ403_2を選択する。この選択は中央制御部306が蓄積している状態情報に電子部品間の接続情報も含ませておくことにより選択可能となる。すなわち、中央制御部306は、現在の通信相手が二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2であることから、操作をしているユーザーが居る二階のテレビ109を番組の再生先とするのである。
次に中央制御部306は、階下のHDD録画再生装置105の制御部215_1とIP通信を行い、その電源部225_1の電源を入れ、階下のHDD録画再生装置105のハードディスク201_1と二階のテレビ109のディスプレイ403_2を指定して、IP−PBX307に呼設定命令(MakeCall)を通知する。これを受信したIP−PBX307の行うIP交換装置としての機能により、ハードディスク201_1とディスプレイ403_2間でデータ転送させ、階下のHDD録画再生装置105のハードディスク201_1に録画された番組「aaaaa」の音声・映像信号を二階のテレビ109のディスプレイ403_2に送信し、テレビ109でのユーザーの番組視聴を可能にする。
従って、二階のテレビ109に映像ケーブルでつながるHDD録画再生装置110と階下のHDD録画再生装置105とは物理的には別々の電子機器であるが、本実施の形態1の電子機器活用システムでは、各電子機器の機能部品同士をあたかも一つの仮想的な電子機器のようにフレキシブルにつなげるように制御するのである。
<仮想機器を構築する電子機器活用システム>
以上説明した仮想的な電子機器を構築する電子機器システムの実体は例えば図5のように表現することもできる。
図5において、図2〜図4で説明した機能部品と同じものには同一符号を付し説明の重複は省略する。306は図3で説明した冷蔵庫112の中央制御部306である。307は冷蔵庫112のIP−PBX307である。IP−PBX307は、すべてのIP通信ユニット(通信ユニット216など)が登録した機能部品の種類の情報によって仮想的な機能部品の集合体へのグループ分けを行い、管理する。これらの情報の管理はIP−PBX307にこれら情報を登録することにより行われる。なお、機能部品アドレスとして論理識別子を含むアドレスを使用すればグループ分けが容易に行える。
チューナーユニットグループ501は、登録されたチューナー204_1などの仮想的な集合体である。チューナー204_1は図2で説明した一階のHDD録画再生装置105のチューナー204であり、チューナー204_2は二階のHDD録画再生装置110のチューナー204である。同様にチューナー402_1は図4で説明した一階のテレビ104のチューナー402である。他も同様なので省略する。
ハードディスクユニットグループ502は、登録されたハードディスク201_1などの仮想的な集合体である。ハードディスク201_1は図2で説明した一階のHDD録画再生装置105のハードディスク201_1であり、ハードディスク201_2は二階のHDD録画再生装置110のハードディスク201_2である。
このようにIP−PBX307は、各電子機器の各機能部品が物理的にどの位置のどの装置にあろうと無関係に仮想的な機能部品のグループとして管理する。そして管理しているグループの情報はIP−PBX307から中央制御部306に通知する。中央制御部306は通知されるグループの情報や状態情報をシステム設定部に登録しこれを基に各種サービスを行う。
録画予約を行う場合、IP−PBX307につながる全ての機能部品の数だけ使用が許容される。チューナーユニットグループ501に6つのチューナー(204_1、204_2、205_1、205_2、402_1、402_2)が登録されていることから、当該仮想的な電子機器を構築する電子機器システムにおいては、チューナーの同時使用数が最大6つまで拡張される。そのためその6つを越えなければ各HDD録画再生装置に搭載されたチューナーの数に録画番組数を制限されることがない。
このようにユーザーは、中央制御部306を介してHDD録画再生装置の操作を行うため、特に意識することなく複数台のHDD録画再生装置を仮想的に1台のHDD録画再生装置として操作している感覚である。つまり各電子機器に搭載されている機能部品の数の制限などを意識しなくてもよい。つまり中央制御部306を介して仮想的な電子機器を構築する電子機器システム内のチューナー全てを最大限利用して録画することが可能となる。
この図5の仮想的な電子機器を構築する電子機器システムの動作を図6、図7、図8、図9、図10を用いて説明する。図6は図5の電子機器システムのデータの流れを説明する図である。図7は図5の電子機器システムの構成部品の使用状態を示す図である。図8は図5の電子機器システムの動作を説明するフローチャートである。図9は電子機器システムで行われる制御シーケンスの説明図である。図10は図9の制御シーケンスによって電子機器間で行われるデータの流れを示す図である。
<別のHDD録画再生装置で録画する場合>
まず、機能部品グループのメンバー同士がどのような手順で仮想的な電子機器を構成するのかについて説明する。なお、以下の制御シーケンスはSIPプロトコルに基づいて説明する。図6、図9に示すようにユーザーの操作により録画指示があると、階下の制御部215_1が録画指示メッセージを中央制御部306に通知し(sq1)、これにより中央制御部306はどの機能部品をつかうことが可能か、機能部品の空きをチェックする。録画指示メッセージは独自のメッセージフォーマットから構成されてよい。このチェックの結果から、例えば階下のHDD録画再生装置105のチューナーユニットグループ501のメンバーのチューナー205_1(図9ではA)と、二階のHDD録画再生装置110のハードディスクユニットグループ502のメンバーのハードディスク201_2(図9ではB)の電源OFFからONにするメッセージを通知して電源を供給し(このメッセージも独自のメッセージフォーマットでよい)、IP−PBX307にこのチューナー205_1からハードディスク201_2への呼設定(A→B)を指定して呼設定命令(MakeCall)を通知する(sq2)。この呼設定命令によりIP−PBX307は発信コマンドであるNOTIFY(実施の形態1の使用通知)をチューナー205_1に送信する(sq3)。
なお、中央制御部306はとくに特定のチューナー205_1を指定しないで、上述したとおり、IP−PBX307にチューナーユニットグループ501に一斉にグループ着信させることを指定して呼設定させることもできる。この場合、中央制御部306が指定の判断する必要がなくなる。また、中央制御部306が特定のチューナー205_1を指定しても、実際には使用中などであった場合はチューナーユニットグループ501内で転送することもできる。すなわち、中央制御部306による判断だけでなく分散して機能部品の選択を行える。
図6における呼制御メッセージ601は、図9においては、IP−PBX307からチューナーユニットグループ501のメンバーのチューナー205_1に送信されるNOTIFYである。このNOTIFYによりチューナー205_1は例えば新たな通信相手がハードディスクユニットグループ502のメンバーのハードディスク201_2であることを知ることができ、IPアドレスが分かる。また、同時にP2P通信603の開始の指示を受けることになる。
NOTIFYを受信したチューナー205_1はハードディスク201_2との間でデータ路を確立するため、ハードディスク201_2にSETUPメッセージとしてINVITEを送信する(sq4)。図6に示す呼制御メッセージ602は、図9で示すように、チューナー205_1から送信されたINVITEがIP−PBX307より転送されたものを示している。
IP−PBX307から送信されたINVITEを受信したハードディスク201_2は200 OKを返す(sq5)。さらにチューナー205_1からACKを送信し、P2Pによるデータ路(A−B)が確立される(sq6)。この結果チューナー205_1とハードディスク201_2とは図6に示すようにデータ路(A−B)でP2Pにより直接通信を行えるようになる。
チューナー205_1とハードディスク201_2間にデータ路(A−B)が確立されると、中央制御部306は一階のHDD録画再生装置105の制御部215_1にチューナー205_1を動作させるための使用指示のメッセージを送信する(sq7)。これと共に中央制御部306は二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2にハードディスク201_2を動作させるための使用指示のメッセージを送信する(sq8)。使用指示のメッセージは独自のメッセージフォーマットで構成されてよい。使用指示を受けた制御部215_1はチューナー205_1に内部コマンドで起動を指示し(sq9)、これによりチューナー205_1はハードディスク201_2を宛先とし録画データをペイロードとするIPパケットをデータ路(A−B)に送出する(sq10)。また、使用指示を受けた制御部215_2もハードディスク201_2に内部コマンドで起動を指示し(sq11)、ハードディスク201_2は受信した録画データを録画する。
次に、以上の信号の流れを電子機器の筐体を反映させた上での信号の流れとして説明する。図10は、中央制御部306とIP−PBX307、さらに電子機器であるHDD録画再生装置105、HDD録画再生装置110の4者間での信号の流れを示している。図10において破線で書かれているのは呼制御(ここではSIP)による信号の流れである。録画指示があると、中央制御部306は呼設定命令(MakeCall)をIP−PBX307に送信し、HDD録画再生装置105のチューナー205_1、HDD録画再生装置110のハードディスク201_2の間を接続してP2P通信させることを示す。
これに対して、図10において実線で書かれているのは中央制御部306が仮想的な電子機器を起動させるときの制御信号の流れである。中央制御部306は、機能部品のグループの情報や状態情報をみてチューナー205_1とハードディスク201_2の組み合わせを使って仮想的なHDD録画再生装置を構築しようと判断すると、HDD録画再生装置105の制御部215_1に電源ONの指示とチューナー205_1の使用指示を送信する。また、HDD録画再生装置110の制御部215_2に電源ONの指示とハードディスク201_2の使用指示を送信する。使用指示を受けた制御部215_1は電源部225_1の電源をONし、チューナー205_1を動作させ、制御部215_2は電源部225_2の電源をONし、ハードディスク201_2を動作させる。チューナー205_1は上記データ路(A−B)が確立されると、IP通信ユニット220_1からこのデータ路(A−B)を使って録画データをペイロードとするIPパケットを送信する。ハードディスク201_2はIPパケットから録画データを取り出して録画する。
このように本実施の形態では、IP−PBX307を使った呼制御により仮想HDD録画再生装置を構成する機能部品(チューナー205_1とハードディスク201_2)間にデータ路を確立させ、このデータ路を使って機能部品間でデータ転送を行わせる。従って、ユーザーが利用したいと思った電子機器(HDD録画再生装置110)が使用できない場合でも、中央制御部306が電子機器の機能部品同士を組み合わせ、1つの仮想的な電子機器を構築し、見掛け上ユーザーの希望通りの利用を実現することができる。具体的な動作は以降の図8のフローチャートでも再度詳しく説明する。
図7において、701はシステム設定部における録画予約に基づく録画実行状況を示す情報である。「bbbbb」他4つのテレビ番組の録画予約があり、放映時間になったため録画に入るところを示している。702は各機能部品の現在の使用状況を示す情報である。これらの情報はシステム設定部において中央制御部306がIP−PBX307から適宜受信している状態情報により管理しているもので、中央制御部306が電子機器システムの共有情報として持っている。録画実行状況701において703は「bbbbb」「ccccc」「ddddd」など3つのテレビ番組の録画を開始していることを示す。そして、704は4つ目の予約されたテレビ番組「aaaaa」の録画準備中であることを示す。実際には4番組の録画準備は瞬時に行うのでほぼ同時に録画を開始することになる。
各機能部品の使用状況702において、情報705〜708は現在のチューナーの使用状況と、ハードディスクの残容量を示している(説明のため物理的な位置関係がわかるように示している)。情報705の3つのチューナーは「bbbbb」など3つのテレビ番組の録画により塞がっているが情報706のチューナーは使用可能であることを示している。この例では情報706のチューナーは、一階のHDD録画再生装置105のチューナー205_1である。同様に情報707のハードディスクは残容量が1時間あり、情報708のハードディスクは残容量が5.5時間あることを示している。
仮想的な電子機器を構築する電子機器システムにおいてチューナー205_1は、チューナーユニットグループ501のメンバーである。このため他の電子機器による使用で塞がっていなければどの電子機器からも使用可能である。すなわち、二階のHDD録画再生装置110を使用して録画予約をしていたとしても、中央制御部306の制御によれば物理的に別の階にあるチューナー205_1を使用して録画できるのである。そしてチューナー205_1を確保できると中央制御部306は情報706を使用中「Tuner2:Used(Prog.504)」に更新する。情報706は、チューナー205_1を予約したときには709のように「Reserved(Prog.504)」に更新され確保できると710のように「Tuner2:Used(Prog.504)」に更新される。
録画開始時にはユーザーが別途チューナーを使用していたり、ハードディスクもユーザーが録画内容を消したりして残容量が増減している可能性がある。このため本実施の形態では、予約においてチューナーを確保していても録画時間になって録画するときに再度チューナーの空きやハードディスクの残容量をチェックする。すなわち、テレビ番組「aaaaa」の録画実行時間が来て録画を行う場合、図8の録画実行処理を行う。
図8のフローチャートに基づいて具体的な動作を説明する。図8において、録画予約していた時間になり録画要求を受けた中央制御部306は、録画のための機能としてチューナー機能と、録画用ハードディスク機能が必要となるためそれぞれについて各機能部品の状態などの条件を判断する。
まずチューナーユニットグループ501のメンバーの中から使用可能なメンバーを検索する(ステップ801)。使用可能なメンバーは図7の各機能部品の使用状況702により中央制御部306が判断する。もしもユーザーが別途チューナーを使用していたら中央制御部306が使用状況702を変更しているからである。もちろん予約したものが使用可能であれば優先して使用する。そのときには使用状況702の情報706は予約中「Tuner2:Reserved(Prog.504)」として管理している。
現在使用可能なものが一階のHDD録画再生装置105のチューナー205_1であるとすると、中央制御部306は使用状況702の情報706を使用中「Tuner2:Used(Prog.504)」に更新する。そして中央制御部306は、チューナー205_1を機能部品として持つ一階のHDD録画再生装置105の制御部215_1とIP通信を行い電源部225_1の電源を入れる(ステップ802)。
次にハードディスクユニットグループ502のメンバーの中から使用可能なメンバーを検索する(ステップ803)。使用可能なメンバーは図7の各機能部品の使用状況702により中央制御部306が判断する。
情報708のハードディスクは残容量が5.5時間あることから、現在の録画状況と空き容量から、使用可能なものは二階のHDD録画再生装置110のハードディスク201_2であると中央制御部306は判断する。そして中央制御部306は、ハードディスク201_2を機能部品として持つ二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2とIP通信を行い電源部225_2の電源を入れる(ステップ804)。
次に中央制御部306の指示によりIP−PBX307が図9で説明したNOTIFYを送信しチューナー205_1がINVITEを送信すること(呼制御メッセージ601、602)によりチューナー205_1とハードディスク201_2とにP2P(Peer to Peer)で接続するように指示を与える。その結果、チューナー205_1とハードディスク201_2とはP2P接続し通話路を確立する(ステップ805)。
次に中央制御部306が一階のHDD録画再生装置105の制御部215_1と二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2に使用指示のメッセージを送信すると、P2P通信によりチューナー205_1は、テレビ番組「aaaaa」の映像データをハードディスク201_2送信し、ハードディスク201_2に保存していく。このことによって、機器の筐体によらない仮想的な電子機器、すなわち機能部品間での録画処理を開始する(ステップ806)。
次に中央制御部306は、録画完了を判断する(ステップ807)。判断は録画予約時に指定された終了時間が来たかどうかなどで行う。
録画完了であれば中央制御部306の指示により、IP−PBX307は呼制御メッセージ601、602によりチューナー205_1とハードディスク201_2とにP2P通信の切断の指示を与える。その結果、チューナー205_1とハードディスク201_2の一方がBYEを送信し他方が200 OKを送信することによりP2P通信の切断を行う(ステップ808)。
中央制御部306は、一階のHDD録画再生装置105の制御部215_1および二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2とIP通信を行い、電源部225_1および電源部225_2の電源をOFFする(ステップ809)。
ステップ801、804において使用可能な機能部品がなければ録画失敗で処理を完了する。またステップ807において録画完了の要件に達する前に機能部品を解放する必要がある場合(例えば他の優先予約の時間になったなど)は、P2P通信を切断し(ステップ810)機能部品を解放する(ステップ811)。
以上により機器の筐体によらない仮想的な電子機器、すなわち機能部品間での録画処理を完了する。このように本実施の形態によれば、機能部品の使用状況が偏っている場合においても、HDD録画再生装置の筐体によらずに同時に4つのテレビ番組を予約、録画することができる。
またIPを用いた画像データの通信には、即時性が必要とされていないこと、また、送受信されるデータ量が膨大であることから、HDD録画再生装置105、110には通信バッファ用のハードディスク202を設定している。通信バッファにより大容量の情報通信を行う際にネットワークトラフィックの輻輳を押さえることができる。
このように本実施の形態1では、IP−PBX307を使った呼制御により仮想のHDD録画再生装置を構成する機能部品(例えばチューナー205_1とハードディスク201_2)間にデータ路を確立させ、このデータ路を使って機能部品間でデータ転送を行わせる。従って、ユーザーが利用したいと思った電子機器(HDD録画再生装置105)が直接利用できなくても、中央制御部306が電子機器の機能部品同士を組み合わせ、1つの仮想のHDD録画再生装置を構築し、見掛け上ユーザーの希望通りの録画を実現することができる。ユーザーはHDD録画再生装置105、110のどこに録画されているかを全く考慮する必要がない利用環境になる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における電子機器とそれを用いた電子機器活用システムについて、図11、図12に基づいて説明する。図11は本発明の実施の形態2における電子機器システムの電子機器間のデータの流れを説明する図、図12は図11の電子機器システムの動作を説明するフローチャートである。実施の形態2における電子機器は実施の形態1と利用する機能部品が一部異なるだけであるから、同一符号を付して図1〜図10を参照する。中央制御部、IP−PBX、機能部品間の制御シーケンスは基本的に図9と同様であるから、詳細は実施の形態1に譲る。
<テレビでHDD録画再生装置の録画内容を再生する電子機器活用システム>
実施の形態2の電子機器活用システムも全体的には図1と同様のシステムである。図1に示すように、一階にHDD録画再生装置105が設けられ、二階にHDD録画再生装置110、テレビ109が設けられて家庭内のネットワークを構成している。HDD録画再生装置110の出力モジュール206_2にテレビ109の入力モジュール404_2が映像ケーブルで接続されている。そして実施の形態2では、一階のHDD録画再生装置105のハードディスク201_1に録画した映像データを、二階のHDD録画再生装置110の出力モジュール206_2に接続したテレビ109で視聴する電子機器活用システムである。従って、仮想のHDD録画再生装置を構成する機能部品はハードディスク201_1と出力モジュール206_2ということになる。
実施の形態1においてもテレビでHDD録画再生装置の録画内容を再生する場合の例を示したが、ここでは電子部品間の接続情報を必要としない例について詳細に説明する。
さて図1において、例えば二階のテレビ109を使って二階のHDD録画再生装置110または階下のHDD録画再生装置105に録画されたあるテレビ番組「aaaaa」を再生して見る場合について説明する。
図1、図4で示すように、二階のテレビ109を使って、録画された番組を見ようとするときには、ユーザーは二階のHDD録画再生装置110のリモコンを操作して番組選択をする。このときHDD録画再生装置110の出力モジュール206_2とテレビ109の入力モジュール404_2が映像ケーブルでつないであるので、リモコンの操作(例えばカーソル移動など)はHDD録画再生装置110の出力モジュール206_2からテレビ109の入力モジュール404_2を経由してディスプレイ403_2に表示されるため、ユーザーが容易に操作できる。
ユーザーの番組選択要求指示は、リモート入力モジュール214_2を経由して制御部215_2が受信する。制御部215_2は、指示に従ってまず録画した番組のリストを表示しようとする。しかしながら、もしも二階のHDD録画再生装置110ではなく階下のHDD録画再生装置105に録画されていた場合には、二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2は以下に説明する動作を行う。
すなわち制御部215_2は、まず家庭内の冷蔵庫112の中央制御部306とIP通信を行い、中央制御部306が管理しているシステム設定部の情報の中から取り出されたHDD録画再生装置の番組情報を得て、出力モジュール206_2からテレビ109に向けて出力する。制御部215_2は、ユーザーに対してすべての番組情報をまるで二階のHDD録画再生装置110に録画された番組であるかのように番組情報を提供する。なお、制御部215_2が、中央制御部306から階下のHDD録画再生装置105に録画された番組情報を得て、二階のHDD録画再生装置110に録画された番組情報と階下のHDD録画再生装置105に録画された番組情報を自身のシステム設定部において統合し、まとめた番組情報を出力モジュール206_2からテレビ109に出力することもできる。
ユーザーはテレビ109のディスプレイ403_2に表示された番組情報を見て目的の番組「aaaaa」を選択する。するとユーザーの番組選択指示は、リモート入力モジュール214_2を経由して制御部215_2が受信する。制御部215_2は、再度冷蔵庫112の中央制御部306とIP通信を行う。そして中央制御部306はIP−PBX307に登録や送信されて来たシステム設定部の各種情報を基に機能部品を使用できるかを判断する。すなわち、先に説明した例の場合、テレビ番組「aaaaa」が録画されている階下のHDD録画再生装置105のハードディスク201_1が使用可能かを、中央制御部306は蓄積している状態情報(各機能部品の稼動状態(使用中/待機中/異常検知中など))により判断する。
さらに中央制御部306は、録画された番組「aaaaa」の音声・映像信号を受信する機能部品として二階のHDD録画再生装置110の出力モジュール206_2を選択する。この選択は中央制御部306が現在の通信相手の二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2の制御下にある機能部品を優先して選択することにより可能となる。すなわち、中央制御部306は、現在の通信相手が二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2であることから、操作をしているユーザーが居る二階のHDD録画再生装置110の出力モジュール206_2に番組「aaaaa」の音声・映像信号を送信し、結果として出力モジュール206_2に映像ケーブルでつないである二階のテレビ109に番組を再生するのである。
次に中央制御部306は、階下のHDD録画再生装置105の制御部215_1とIP通信を行い、その電源部225_1の電源を入れ、また、二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2とIP通信を行い、その電源部225_2の電源を入れ、それぞれ起動して、階下のHDD録画再生装置105のハードディスク201_1と二階のHDD録画再生装置110の出力モジュール206_2を指定して、IP−PBX307に呼設定命令(MakeCall)を通知する。これを受信したIP−PBX307の行うIP交換装置としての機能により、ハードディスク201_1と出力モジュール206_2間でデータ転送させ、階下のHDD録画再生装置105のハードディスク201_1に録画された番組「aaaaa」の音声・映像信号を二階のHDD録画再生装置110の出力モジュール206_2に送信し、出力モジュール206_2に映像ケーブルでつないである入力モジュール404_2を経て、テレビ109でのユーザーの番組視聴を可能にする。
従って、二階のテレビ109に映像ケーブルでつながるHDD録画再生装置110と階下のHDD録画再生装置105とは物理的には別々の電子機器であるが、本実施の形態の電子機器活用システムでは、各電子機器の機能部品同士をあたかも一つの仮想的な電子機器のようにフレキシブルにつなげるように制御するのである。
図11は、中央制御部306とIP−PBX307、HDD録画再生装置105、HDD録画再生装置110の4者間でのデータの流れを示している。基本的に図10と同様である。図11に基づいて電子機器の筐体を反映した上での信号の流れを説明する。図11の破線で書かれているのは呼制御(ここではSIP)による信号の流れである。番組選択指示があると、中央制御部306は呼設定命令(MakeCall)をIP−PBX307に送信し、IP−PBX307はHDD録画再生装置105のハードディスク201_1、HDD録画再生装置110の出力モジュール206_2の間を接続してデータ路を確立しP2P通信させる。
これに対して、図11において実線で書かれているのは中央制御部306が仮想的な電子機器を動作させるときの制御信号の流れである。中央制御部306は、ハードディスク201_1と出力モジュール206_2の組み合わせを使って仮想的なHDD録画再生装置を構築しようとするとき、HDD録画再生装置105の制御部215_1に電源ONの指示とハードディスク201_1の使用指示を送信する。また、HDD録画再生装置110の制御部215_2に電源ONの指示と出力モジュール206_2の使用指示を送信する。使用指示を受けた制御部215_1は電源部225_1の電源を入れ、ハードディスク201_1を起動し、制御部215_2は電源部225_2の電源を入れ、出力モジュール206_2を起動する。ハードディスク201_1は、上記データ路が確立されると、このデータ路を使って、IP通信ユニット220_1から録画データをペイロードとするIPパケットを出力モジュール206_2宛てに送信する。出力モジュール206_2はパケットから録画データを取り出して、出力モジュール206_2と映像ケーブルでつながれたテレビ109の入力モジュール404_2に録画データを送信し、ディスプレイ403_2に表示することができる。
続いて、図12のフローチャートに基づいて録画内容を再生の手順について説明する。録画再生要求を受けた中央制御部306は、ハードディスクグループ502のメンバーの中から録画データを保有しているメンバーを検索する(ステップ1101)。これがハードディスク201_1となる。もしも存在しなければ再生失敗となる。
次に、中央制御部306はハードディスク201_1の使用状況の情報を使用中に更新する。そして中央制御部306は、ハードディスク201_1を機能部品として持つ一階のHDD録画再生装置105の制御部215_1とIP通信を行い電源部225_1の電源を入れる(ステップ1102)。
次に中央制御部306が各機能部品の使用状況により出力モジュールグループのメンバーの中からテレビ109と接続されたHDD録画再生装置110の出力モジュール206_2を検索する(ステップ1103)。
次に中央制御部306は、出力モジュール206_2を機能部品として持つ二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2とIP通信を行い電源部225_2の電源を入れる(ステップ1104)。
次に中央制御部306の指示によりIP−PBX307が図9で説明したと同様にNOTIFY、INVITEによりハードディスク201_1と出力モジュール206_2とにP2Pで接続するように指示を与える。その結果、ハードディスク201_1と出力モジュール206_2とはP2P接続し通話路を確立する(ステップ1105)。
次に中央制御部306が一階のHDD録画再生装置105の制御部215_1と二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2に使用指示のメッセージを送信すると、P2P通信によりハードディスク201_1は、録画されている映像データを出力モジュール206_2に送信し、映像ケーブル、テレビ109の入力モジュール404_2を経てディスプレイ403_2に再生する(ステップ1106)。
次に中央制御部306は、再生完了を判断する(ステップ1107)。
再生完了であれば中央制御部306の指示により、IP−PBX307は呼制御メッセージによりハードディスク201_1と出力モジュール206_2とにP2P通信の切断の指示を与える。その結果、ハードディスク201_1と出力モジュール206_2の一方がBYEを送信し他方が200 OKを送信することによりP2P通信の切断を行う(ステップ1108)。
中央制御部306は、一階のHDD録画再生装置105の制御部215_1および二階のHDD録画再生装置110の制御部215_2とIP通信を行い、電源部225_1および電源部225_2の電源をOFFする(ステップ1109)。
ステップ1101、1104において該当する機能部品がなければ再生失敗で処理を完了する。またステップ1107において再生完了の要件に達する前に機能部品を解放する必要がある場合は、P2P通信を切断し(ステップ1110)機能部品を解放する(ステップ1111)。
このように本実施の形態2では、IP−PBX307を使った呼制御により仮想のHDD録画再生装置を構成する機能部品(ハードディスク201_1と出力モジュール206_2)間にデータ路を確立させると共に、このデータ路を使って機能部品間でデータ転送を行わせる。従って、ユーザーが利用したいと思ったテレビ109と接続されたHDD録画再生装置105に録画されていなくても、中央制御部306が機能部品(ハードディスク201_1と出力モジュール206_2)同士を組み合わせ、1つの仮想のHDD録画再生装置を構築し、ユーザーはとくに変わった操作をすることなく希望通りの録画の再生を視聴することができる。
そして、ユーザーはHDD録画再生装置105、110とテレビ104、109との組み合わせを全く考慮する必要がなくなる。一階のHDD録画再生装置105に録画されたテレビ番組を見たいときに、物理的な映像ケーブルでつながるテレビ104を家族の誰かが使っていても、二階のテレビ109が空いていれば見ることができる。一階のHDD録画再生装置105のハードディスク201_1と二階のHDD録画再生装置110の出力モジュール206_2を中央制御部306がP2P接続し、一階のHDD録画再生装置105から二階のHDD録画再生装置110の出力モジュール206_2を経由してテレビ109に映像データを送信し、ディスプレイ403_2に映し出すからである。このように、一階のHDD録画再生装置105につながるテレビ104が使用中であっても、他のテレビによってレイアウトフリーで録画されたテレビ番組を視聴することができるようになる。
また、本実施の形態2で説明したように二階のHDD録画再生装置110の出力モジュール206_2を経由してテレビ109に映像データを送信することができるのでたとえ二階のテレビ109が汎用のテレビであった場合でもレイアウトフリーで録画されたテレビ番組を視聴することができるようになる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における電子機器とそれを用いた電子機器活用システムについて、図13に基づいて説明する。5.1chサラウンドシステムを構築する電子機器活用システムである。図13は本発明の実施の形態3における電子機器システムの電子機器間のデータの流れを説明する図、図14は図13の電子機器システムの動作を説明するフローチャートである。実施の形態1と機能部品が異なるだけであるから、図1〜図8を参照する。中央制御部、IP−PBX、機能部品間の制御シーケンスは基本的に図9と同様であるから、詳細は実施の形態1に譲る。
<5.1chサラウンドシステムを構築する電子機器活用システム>
実施の形態3の各家庭内における電子機器活用システムも図1と同様のシステムである。図1に図示はしていないが、一階には図13に示すような音楽プレーヤー1301_1を載置するクレイドル1302_1が設けられている。クレイドル1302_1は音楽プレーヤー1301_1を載せて家庭内のネットワークに接続するもので、音楽データをネットワークに送出できる。
実施の形態3においては、図1に示す二階のテレビ109として、図13に示すような5.1chサラウンド内蔵テレビ1307_2が設けられている。また、図1には図示されていないが、一階にクレイドル1302_1が設けられ、音楽プレーヤー1301_1がこの上に載置され、これらは電源とつながっており、屋内のネットワークに情報通信可能に接続されている。
すなわち、実施の形態3の電子機器活用システムは、一階に置かれた音楽プレーヤー1301_1の音源データを、二階の5.1chサラウンド内蔵テレビ1307_2を使って聴くシステムである。従って、仮想の5.1chサラウンドシステムを構成する機能部品はクレイドル1302_1の音源ハードディスク1305_1と5.1chサラウンド内蔵テレビ1307_2の5.1chサラウンド制御部1310_2ということになる。
図13は、中央制御部306とIP−PBX307、さらに電子機器であるクレイドル1302_1、テレビ109の4者間でのデータの流れを示している。基本的に図10と同様である。5.1chサラウンド内蔵テレビ1307_2をリモコンで操作することにより、5.1chサラウンドシステムによるサラウンド再生を指示する。この使用指示が入力されると、中央制御部306が制御を開始する。
図13において破線で書かれているのは呼制御(ここではSIP)による信号の流れであり、中央制御部306は呼設定命令(MakeCall)をIP−PBX307に送信し、IP−PBX307はクレイドル1302_1の音源ハードディスク1305_1と、テレビ109の5.1chサラウンド制御部1310_2の間を接続してデータ路を確立しP2P通信させる。IP通信ユニット1306_1、1311_2間で通信する。
これに対して、図13の実線で書かれているのは中央制御部306が仮想的な5.1chサラウンドシステムを動作させるときの制御信号の流れである。中央制御部306は、仮想的な5.1chサラウンドシステムを構築しようとするとき、クレイドル1302_1の制御部1303_1に電源ONの指示と音源ハードディスク1305_1の使用指示を送信する。また、5.1chサラウンド内蔵テレビ1307_2の制御部1308_2に対しても電源ONの指示と5.1chサラウンド制御部1310_2の使用指示を送信する。使用指示はIP通信ユニット1304_1、1309_2に対して通知される。
使用指示を受信した制御部1303_1は電源部をONとして音源ハードディスク1305_1を起動し、制御部1308_2は電源部をONとして5.1chサラウンド制御部1310_2を起動する。次に音源ハードディスク1305_1は、上記データ路が確立されると、このデータ路を使って、IP通信ユニット1306_1から音源データをペイロードとするIPパケットを5.1chサラウンド制御部1310_2宛てに送信する。5.1chサラウンド制御部1310_2はIPパケットから音源データを取り出し、内蔵スピーカーに音源データを送信し、出力することができる。
図14のフローチャートに基づいてサラウンド再生のフローチャートについて説明する。この状態において、クレイドル1302_1の音源ハードディスク1305_1には、音楽プレーヤー1301_1の音源データが転送されて保存されている。サラウンド再生要求を受けた中央制御部306は、ハードディスクグループのメンバーの中から所定の音源データを保有しているメンバーを検索する(ステップ1401)。これが音源ハードディスク1305_1である。もしもメンバーが存在しなければ再生失敗となる。
次に、中央制御部306は音源ハードディスク1305_1の使用状況の情報を使用中に更新する。そして中央制御部306は、音源ハードディスク1305_1を機能部品として持つ一階のクレイドル1302_1の制御部215_1とIP通信を行い電源部の電源を入れる(ステップ1402)。
次に中央制御部306が各機能部品の使用状況により5.1chサラウンド制御部グループのメンバーの中から5.1chサラウンド内蔵テレビ1307_2と接続された5.1chサラウンド制御部1310_2を検索する(ステップ1403)。
次に中央制御部306は、5.1chサラウンド制御部1310_2を機能部品として持つ二階の5.1chサラウンド内蔵テレビ1307_2の制御部1308_2とIP通信を行い電源部の電源を入れる(ステップ1404)。
次に中央制御部306の指示によりIP−PBX307がNOTIFY、INVITE(呼制御メッセージ)により音源ハードディスク1305_1と5.1chサラウンド制御部1310_2とにP2P(Peer to Peer)で接続するように指示を与える。その結果、音源ハードディスク1305_1と5.1chサラウンド制御部1310_2とはP2P通信を行う(ステップ1405)。
P2P通信により音源ハードディスク1305_1は、保存している音源データを5.1chサラウンド制御部1310_2に送信し、5.1chサラウンド内蔵テレビ1307_2の6個あるスピーカーからサラウンド再生する(ステップ1406)。
次に中央制御部306は、サラウンド再生完了を判断する(ステップ1407)。
サラウンド再生完了であれば中央制御部306の指示により、IP−PBX307は呼制御メッセージにより音源ハードディスク1305_1と5.1chサラウンド制御部1310_2とにP2P通信の切断の指示を与える。その結果、音源ハードディスク1305_1と5.1chサラウンド制御部1310_2とはP2P通信の切断を行う(ステップ1408)。
中央制御部306は、一階のクレイドル1302_1の制御部1303_1および二階の5.1chサラウンド内蔵テレビ1307_2の制御部1308_2とIP通信を行い、電源部の電源をOFFする(ステップ1409)。
ステップ1401、1404において該当する機能部品がなければサラウンド再生失敗で処理を完了する。またステップ1407においてサラウンド再生完了の要件に達する前に機能部品を解放する必要がある場合は、P2P通信を切断し(ステップ1410)機能部品を解放する(ステップ1411)。
このように本実施の形態3では、IP−PBX307を使った呼制御により仮想の5.1chサラウンドシステムを構成する機能部品(音源ハードディスク1305_1と5.1chサラウンド制御部1310_2)間にデータ路を確立させると共に、このデータ路を使って中央制御部306がデータ転送を行わせる。従って、中央制御部306が実在する電子機器の機能部品同士を組み合わせ、見掛け上の1つの仮想的な電子機器を構築する。ユーザーはこうした事情を意識することなくこの仮想の5.1chサラウンドシステムを利用することができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における電子機器とそれを用いた電子機器活用システムについて、図15に基づいて説明する。図15(a)は本発明の実施の形態4における電子機器の活用モードを切換えるディップスイッチの説明図、図15(b)は本発明の実施の形態4における電子機器活用システムの活用モードを切換えるシステム設定部の説明図である。その余の構成は実施の形態1〜3と同様である。
図15(a)において電子機器1501は、図1に示したHDD録画再生装置105、HDD録画再生装置110、FAX106、PC107、電話機108、テレビ109等を含む電子部品である。電子機器1501にはネットワークと接続するためのインタフェース1509、ネットワーク機能を提供するためのソフトウェア群を搭載したIP通信スタック1510が設けられている。
また電子機器1501には、IP通信ユニット1503を備えた制御部1502が設けられと共に、機能部品A1505、機能部品B1506が設けられている。機能部品A1505、機能部品B1506は何れも機能部品部ループに属するメンバーである。機能部品A1505にはIP通信ユニット1504が設けられ、機能部品B1506にはIP通信ユニット1507が設けられている。このIP通信ユニット1503はIPアドレスをIPアドレス保持部に保持しており、IP通信ユニット1504、IP通信ユニット1507は機能部品アドレスを機能部品アドレス保持部に保持している。機能部品の数は更に多数の機能部品を搭載した電子部品でもよい。これらはついては実施の形態1〜3と重複するので省略する。
さて、この電子機器1501には、図15(a)に示すように電子機器活用モードを切換えるディップスイッチ1508が設けられている。すなわち、電子機器は常に機能部品を共用することが望まれるとは限らない。従って、この機能部品をシステム全体で活用することを許可するか許可しないかを設定するものである。
機能部品A、機能部品Bを仮想的な電子部品を構築するために提供する場合は、使用を許可する全体制御モード(ON)にディップスイッチ1508を設定する。これに対して、仮想的な電子機器を構築するために機能部品A、機能部品Bの使用を許可しない場合は、ディップスイッチ1508を個別制御モード(OFF)に設定する。この設定を行うことにより、個別制御モードの場合には、IP通信ユニット1503、IP通信ユニット1504、IP通信ユニット1507はIP−PBX307に対してIP通信を行うために必要な情報の登録を行わない。
このようにディップスイッチ1508を設け、個々の電子部品1501に対して物理的にモード切換えすることによりネットワーク内で機能部品が共用されることがなく、セキュリティを守ることができる。ディップスイッチ1508は制御部1502に接続され、電子部品(筐体)単位のモード切換えスイッチとして使用される。制御部1502に接続されるディップスイッチだけでもよいが、このほか図15(a)の破線で示したように各機能部品単位で設定を変えることもできる。ディップスイッチ1508は物理的なスイッチに限られず、ソフトスイッチにすることもできる。
次に、図15(b)は中央制御部306(図3参照)のシステム設定部の設定フィールド1511を示している。設定フィールド1511には、ネットワークに接続された電子部品1501がすべて登録されており、電子機器活用モードの設定(全体制御モードか個別制御モード)を個々の電子部品1501で変えることができる。図15(b)ではラジオボタン1512で設定を変えている。設定フィールド1511の設定をOFFにすると、OFFにされた電子機器1501は個別制御モードとなり、中央制御部306がどの機能部品を使用できるかを判断するとき、除いて判断される。設定がONの場合には全体制御モードとなる。
このように本実施の形態4では、IP−PBX307を使った呼制御により仮想の電子機器を構築可能な電子機器に対して、仮想的な電子部品を構築するために機能部品の使用を許可する場合と、機能部品の使用を許可しない場合とを簡単に切換えることができ、機能部品の共用を自在に設定することができる。
本発明は例えば家庭内で使用するテレビや録画再生装置などの電子機器とそれを用いた電子機器活用システムに有用であり、特に、使い勝手の向上に適している。
101 柱上トランス
102 メーター
103 電源供給ライン
104 テレビ
105 HDD録画再生装置
106 FAX
107 PC
108 電話機
109 テレビ
110 HDD録画再生装置
111 携帯電話
112 冷蔵庫
113 DHCPサーバー
201、202 ハードディスク
203 アンテナ入力モジュール
204、205 チューナー
206、207、208 出力モジュール
209 アナログ入出力モジュール
210 AD/DA変換器
211 IP通信スタック
212 PLCモデム
213 電源プラグ
214 リモート入力モジュール
215 制御部
216〜224 IP通信ユニット
225 電源部
301 コンプレッサー
302 冷却装置
303 IP通信スタック
304 PLCモデム
305 電源プラグ
306 中央制御部
307 IP−PBX
401 アンテナ入力モジュール
402 チューナー
403 ディスプレイ
404 入力モジュール
405 出力モジュール
406 ハードディスク
407 IP通信スタック
408 PLCモデム
409 電源プラグ
410 制御部
411〜416 IP通信ユニット
417 電源部
501 チューナーユニットグループ
502 ハードディスクユニットグループ
1301 音楽プレーヤー
1302 クレイドル
1303 制御部
1304 IP通信ユニット
1305 音源ハードディスク
1306 IP通信ユニット
1307 5.1chサラウンド内蔵テレビ
1308 制御部
1309 IP通信ユニット
1310 5.1chサラウンド制御部
1311 IP通信ユニット
1501 電子機器
1502 制御部
1503 IP通信ユニット
1504 IP通信ユニット
1505 機能部品A
1506 機能部品B
1507 IP通信ユニット
1508 ディップスイッチ
1509 インタフェース
1510 IP通信スタック
1511 設定フィールド
1512 ラジオボタン

Claims (11)

  1. 複数の機能部品と、前記複数の機能部品を制御する制御部と、前記複数の機能部品を他の電子機器と呼接続するためのIP通信手段を備え、前記複数の機能部品が外部接続手段を介して前記他の電子機器と接続される電子機器であって、
    前記制御部にはIPアドレス保持通信手段が設けられると共に、前記複数の機能部品にはそれぞれIP通信するための機能部品アドレス保持通信手段が設けられたことを特徴とする電子機器。
  2. 前記機能部品に対する使用通知があったとき、前記機能部品が前記機能部品アドレス保持通信手段によって機能部品アドレスを用いて前記他の電子機器の機能部品との間で通信路を確立し、
    前記制御部が前記IPアドレス保持通信手段によって前記機能部品に対する起動要求を受信すると、前記機能部品を起動させ、前記通信路を使って前記他の電子機器の機能部品との間で直接データを送受信させることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
  3. 前記制御部と前記機能部品へ電源を供給するための電源部を備え、
    前記機能部品に対する使用通知があったとき、前記制御部が前記機能部品に対する電源ONの要求を行って電源を供給し、前記通信路を確立した後この機能部品を起動させることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
  4. 前記IPアドレス保持通信手段がDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバーから割り当てられたIPアドレスを保持することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子機器。
  5. 前記外部接続手段が電力線であると共に、前記複数の機能部品の1つがPLC(Power Line Communication)モデムであって、前記制御部が前記PLCモデムと前記IP通信手段を介して前記電力線に接続されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子機器。
  6. 前記制御部及び/または前記複数の機能部品には、機能部品の使用を許可する全体制御モードと許可しない個別制御モードとを選択するディップスイッチが設けられたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子機器。
  7. 請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の複数の電子機器と、前記電子機器の制御を行う中央制御装置と、前記電子機器のそれぞれの状態を監視しその状態情報を前記中央制御装置へ通知する呼制御手段を備え、これらが接続されてネットワークを構成する電子機器活用システムであって、
    前記複数の電子機器の中の第1の電子機器に対して前記ネットワークから使用指示があったとき、その第1の電子機器の機能部品に代えて第2の電子機器の機能部品が使用可能である場合は、前記中央制御装置が前記第1及び第2の電子機器の機能部品をそれぞれ指定した呼設定命令を前記呼制御手段に通知し、前記呼制御手段がこの呼設定命令で指定された機能部品間で通信路を確立させ、直接データを機能部品間で送受信することを特徴とする電子機器活用システム。
  8. 前記電子機器の1つが冷蔵庫であって、前記冷蔵庫に前記中央制御装置が設けられたことを特徴とする請求項7記載の電子機器活用システム。
  9. 前記冷蔵庫に前記呼制御手段が設けられたことを特徴とする請求項8記載の電子機器活用システム。
  10. 前記中央制御装置には、機能部品の使用を許可する全体制御モードと許可しない個別制御モードとを選択する設定部が設けられていることを特徴とする請求項7記載の電子機器活用システム。
  11. 前記中央制御装置が前記機能部品の使用状況を前記電子機器に送信することを特徴とする請求項7に記載の電子機器活用システム。
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