JP2010027588A - マイクロ波プラズマ処理装置及び給電方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラジアルラインスロットアンテナを用いたマイクロ波の伝送路を適正化し、異常放電の発生を抑止する。
【解決手段】マイクロ波プラズマ処理装置10は、マイクロ波を、矩形導波管305、同軸変換機310、内部導体315、外部導体340、テーパーコネクタ320、ラジアルラインスロットアンテナ205により画定される空間を使って伝送させる。アンテナ内では、溶射により金属膜205bが被覆された遅波板205aの内部をマイクロ波が伝搬する際に金属膜205bの界面にマイクロ波の電流が流れる。矩形導波管305と同軸変換機310とのギャップGは、嵌め合い構造Fにより所定の基準間隔kmm(k≧0.3)に対して(k±n)mm(n≦0.1)の範囲内の間隔となるように管理される。
【選択図】図3
【解決手段】マイクロ波プラズマ処理装置10は、マイクロ波を、矩形導波管305、同軸変換機310、内部導体315、外部導体340、テーパーコネクタ320、ラジアルラインスロットアンテナ205により画定される空間を使って伝送させる。アンテナ内では、溶射により金属膜205bが被覆された遅波板205aの内部をマイクロ波が伝搬する際に金属膜205bの界面にマイクロ波の電流が流れる。矩形導波管305と同軸変換機310とのギャップGは、嵌め合い構造Fにより所定の基準間隔kmm(k≧0.3)に対して(k±n)mm(n≦0.1)の範囲内の間隔となるように管理される。
【選択図】図3
Description
本発明は、マイクロ波プラズマ処理装置及びその装置を用いた給電方法に関し、特に、ラジアルラインスロットアンテナを用いてマイクロ波を処理容器内に放射するマイクロ波プラズマ処理装置及びその装置を用いた給電方法に関する。
マイクロ波プラズマは、マイクロ波を減圧状態の処理容器内に導入し、導入されたマイクロ波の電界エネルギーによりガスを励起させることによって発生される。マイクロ波プラズマ処理装置では、プラズマの電子密度がカットオフ密度よりも高い場合、マイクロ波はプラズマ内に入り込むことができず、誘電体板とプラズマとの間を伝搬し、その一部がプラズマに吸収され、プラズマの維持に使われる。
上記プラズマ生成の原理により、マイクロ波プラズマは、容量結合型や誘導結合型のマイクロ波プラズマ処理装置にて生成されるプラズマと比べると、プラズマの電子密度Neが高く、電子温度Teが低いため、高速でダメージの少ないプラズマ処理により高品質な製品を製造することができる。
マイクロ波プラズマを生成する装置の一つとして、ラジアルラインスロットアンテナ(RLSA:Radial Line Slot Antenna)を用いたマイクロ波プラズマ処理装置が提案されている(たとえば、特許文献1を参照。)。ラジアルラインスロットアンテナは、多数のスロットを有するディスク状のスロット板の上部に同一形状の遅波板を載置した状態で、処理容器の天井部の開口に設けられた誘電体窓の上部に配置され、その中央部にて同軸導波管に接続されている。
かかる構成により、マイクロ波源から出力された、たとえば、2.45GHzのマイクロ波は、同軸導波管を経由してラジアルラインスロットアンテナの遅波板を半径方向へ放射状に伝えられる。伝送中、マイクロ波は、スロット板のスロットから漏れだして処理容器内に放射される。
しかしながら、マイクロ波が伝搬する際、マイクロ波は、同軸導波管から遅波板下面にあるスロット板、導電性の冷却ジャケットの下面等を伝送路として伝搬していた。この場合、たとえば、図14に示したように、遅波板905aと伝送路間(遅波板905aとスロット板905b、遅波板905aと冷却ジャケット210等)には間隙が存在し、マイクロ波の伝搬により電位差が生じて異常放電が発生することがあった。
また、遅波板及び誘電体窓は誘電体で形成され、スロット板は金属で形成されているので、温度の上昇とともに各部材に熱膨張差が生じる。たとえば、遅波板及び誘電体窓がアルミナ(Al2O3)により形成され、スロット板が銅(Cu)により形成されている場合、アルミナの線膨張係数は7.0×10−6(/℃)であるのに対して銅の線膨張係数は16.7×10−6と2倍以上も大きな値をとる。このため、昇温時、スロット板は誘電体窓や遅波板より大きく熱膨張する。
たとえば、図14のスロット板905bは、金属のシート材であり、天井部に設けられた誘電体窓(以下、天板105とも称呼する。)と遅波板905aとに挟まれる形で載置され、その外周にてねじ925によって冷却ジャケット210に固定されている。プロセス中、冷却ジャケット210を用いて調温しても、ラジアルラインスロットアンテナ近傍は150℃〜165℃まで上昇することがある。中央をテーパーコネクタ920と締結されているスロット板905bは、外周を冷却ジャケット210に固定されているため、広がりながら膨張することができず、図14の下部に示したように、昇温前はフラットな状態であっても、温度上昇とともに遅波板905aと天板105との間を押し広げしながら膨張し昇温後には変形していた。この結果、スロット位置が変動し、マイクロ波の伝搬を乱していた。また、スロット板905bと遅波板905a、スロット板905bと天板105、冷却ジャケット210と遅波板905aの間等に空隙が生じ、電界強度の高い部位にて異常放電を引き起こす場合があった。
さらに、これらの空隙により各部材間の接触が不均一になるため、冷却ジャケット210を用いて調温する際の伝熱が悪くなり、プロセス中、各部材の界面の温度分布を適切にコントロールすることが困難になっていた。以上の状態は、プロセス中のマイクロ波プラズマ処理装置の安定性及び信頼性を損なうため改善する必要があった。
そこで、上記課題に対処するために、本発明は、マイクロ波の伝送路の間隙をなくすことにより、異常放電の発生を抑止し、プラズマの乱れを防止するマイクロ波プラズマ処理装置及びその装置を用いた給電方法を提供する。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明のある態様によれば、マイクロ波を用いて生成されたプラズマにより被処理体をプラズマ処理するマイクロ波プラズマ処理装置であって、内部にてプラズマ処理が行われる処理容器と、マイクロ波を出力するマイクロ波源と、前記マイクロ波源から出力されたマイクロ波を伝送する同軸導波管と、めっき、溶射及びメタライズのいずれかの方法により遅波板の上面、下面及び外周側面に導電膜を被覆し、前記導電膜をマイクロ波の伝送路とするとともに、前記遅波板の下面側導電膜に形成された複数のスロットから、前記同軸導波管から前記遅波板を伝搬したマイクロ波を前記処理容器内に放射するアンテナと、を備えたマイクロ波プラズマ処理装置が提供される。
これによれば、ラジアルラインスロットアンテナの遅波板の上面、下面及び外周側面には、めっき、溶射及びメタライズのいずれかの方法により導電膜が被覆される。
マイクロ波源から出力され、矩形導波管305を伝送されたマイクロ波は、たとえば、図3の同軸導波管(内部導体315及び外部導体340)を伝送され、遅波板205a内部を伝わって遅波板205aの端部にて反射し、マイクロ波の進行波と反射波との干渉により定在波が生じる。このようなマイクロ波の伝送により、マイクロ波は同軸導波管の表面を通って遅波板に一体形成された導電膜の界面を流れる。マイクロ波の一部は、前記遅波板の下面側導電膜に形成された複数のスロットから漏れだして処理容器内に放射される。
伝送路が変形すると、マイクロ波の伝搬が変動する。しかしながら、本発明によれば、伝送路である導電膜は、遅波板と一体的に密着して形成されており、遅波板の剛性により変形することがないので、マイクロ波は装置の状態によらず安定して伝搬し、均一なプラズマを生成することができる。また、遅波板205aと金属膜205b間等には空隙が存在せず、耐電圧の高い材料のみで構成されるので、異常放電も発生しない。
また、遅波板と導電膜とが一体的に形成されることにより伝熱が良くなるため、冷却ジャケットによるプロセス中の調温を良好にすることができる。さらに、スロットが切られた導電膜と遅波板とが一体的に形成されるため、天板上にスロット板、遅波板の順に載置する際に従来生じていた組立誤差をなくすことができる。これにより、遅波板と各スロットとの変動をなくし、ラジアルラインスロットアンテナの機差をなくすことができる。
前記導電膜は、Cu、Al及びAgのいずれかの金属を溶射することにより形成されてもよい。溶射は、めっきに比べて厚く成膜できるとともに金属膜の膜厚を自由に制御することができる。また、めっきやメタライズにより金属膜を形成した場合、レジスト膜にてスロット部分をパターンニングしてエッチングするが、エッチングではスロットの内壁がレジスト膜より内側に削れたり(いわゆる、アンダーカット)、化学反応により下地を変質させてしまう可能性があるのに対し、溶射ではそのような懸念がない。
前記導電膜(金属膜)は、前記遅波板に溶射後、溶融することにより形成されてもよい。これによれば、遅波板に溶射した金属膜を溶融することにより、不連続部を解消して金属膜の密度を高め、金属膜と遅波板とを強固に密着させることができる。これにより、マイクロ波の損失を小さくすることができる。なお、前記金属膜の体積抵抗率は、1.00×10−5Ω・cm以下であることが好ましい。
電流密度は金属膜の表面から深さ方向に減少する。図4に示した金属膜では、電流密度は、各金属膜とも膜表面から約2μm以下で37%に減少することがわかる。よって、マイクロ波の電流の損失を少なくするためには、金属膜の膜厚は、電流密度が概ね37%に減少する2μmの5倍である10μm以上にすればよい。さらに、金属膜の表面の粗さや傷などによる膜厚の変動を考慮すると、金属膜の膜厚を40μm以上にすればより好ましい。
また、遅波板下面の金属膜に形成されたスロットの深さが400μmより長くなると、マイクロ波がスムーズに放射されない可能性があることを考慮して、金属膜の膜厚は400μm以下にするほうがよい。
前記アンテナは、複数のスロットを有するラジアルラインスロットアンテナであってもよい。
前記導電膜には、マイクロ波のリークを防止するためのシールド部材が設けられていてもよい。
これによれば、たとえば、スロットから図3の天板105上面と金属膜205bとの間の隙間にリークしたマイクロ波が、冷却ジャケット210側へ漏れるのを防ぐことができる。
前記導電膜及び遅波板は、前記同軸導波管の内部導体に連結されたテーパーコネクタと前記同軸導波管の外部導体とから把持されていてもよい。
スロット板はねじで固定するのが望ましいが、遅波板の上下面及び外周面に導電膜を被覆した場合、スロット板に代わる導電膜は薄いためタップをきることができない。また、従来のスロット板の構造と異なり導電膜はシート材ではないので、テーパーコネクタに対してねじで固定することができない。また、導電膜には機械的な強度を期待できないので、ねじによる強固な固定は向かない。従って、ばねなどを利用し、適切な荷重により把持されることが望ましい。そこで、本発明では、一体形成された導電膜及び遅波板を外部導体とテーパーコネクタとの対向面により両側から把持する。かかるクランプ構造によれば、導電膜が被覆された遅波板と内外導体(同軸導波管)との位置のずれを防止することができる。この結果、マイクロ波の伝送路の変動をなくし、マイクロ波の放射特性を良好に保ち、均一なプラズマを安定して生成することができる。
前記同軸導波管の外部導体と前記テーパーコネクタとの対向部分に第1のコンタクト部材を配設してもよい。これにより、同軸導波管と導電膜との電気的接続を補完することができる。
特に、第1のコンタクト部材が線材の金属シールド部材の場合、スパイラルシールドに比べて反力が小さいため、導電膜に過度な荷重を掛けずに導電膜と同軸導波管との電気的接続を良好にすることができる。
なお、前記同軸導波管の内部導体にはコンタクトフランジが連結され、前記コンタクトフランジの下面には、前記導電膜及び遅波板を支持するコンタクト板が固設され、前記コンタクト板は、前記遅波板の下面側導電膜と電気的に接続されていてもよい。これによって、一体形成された導電膜及び遅波板は、例えば導電膜及び遅波板の上面側に設けられた冷却ジャケットや外部導体と、コンタクト板とにより両側から把持される。そうすると、前記同軸導波管の内部導体にテーパーコネクタを連結した場合と同様に、導電膜が被覆された遅波板と内外導体(同軸導波管)との位置のずれを防止することができる。また、コンタクト板と導電膜とが電気的に接続されるので、導電膜と同軸導波管との電気的接続を確保することができる。
前記コンタクト板と前記遅波板の下面側導電膜との電気的接続は、前記コンタクト板の下面側に設けられた弾性体によって補完されていてもよい。
前記マイクロ波プラズマ処理装置は、前記導電膜及び遅波板の上面側に冷却ジャケットを備え、前記冷却ジャケットの下面には、前記遅波板の上面側導電膜に接する伝熱部材が設けられていてもよい。この伝熱部材により、冷却ジャケットから導電膜及び遅波板への伝熱が均一になり、高い伝熱効果を得ることができる。この結果、冷却ジャケットによるプロセス中の温調をより良好にすることができる。
前記マイクロ波プラズマ処理装置において、前記処理容器の上部は開口し、前記導電膜及び遅波板の下面側には、前記処理容器の上部の開口を覆うように天板が設けられ、前記遅波板の下面側導電膜と前記天板との間には緩衝部材が設けられていてもよい。この緩衝部材により、例えば遅波板と天板が熱膨張して各板に熱膨張差が生じた場合でも、遅波板に被覆された導電膜との摩擦を緩衝することができる。なお、緩衝部材はマイクロ波電界にさらされるため、緩衝部材の材料には、導電性を有さない材料であって、且つ高い誘電損失を有さない材料が用いられる。
また、上記課題を解決するために、本発明の他の態様によれば、マイクロ波を用いて生成されたプラズマにより被処理体をプラズマ処理するマイクロ波プラズマ処理装置であって、内部にてプラズマ処理が行われる処理容器と、マイクロ波を出力するマイクロ波源と、前記マイクロ波源から出力されたマイクロ波を伝送する矩形導波管と、前記矩形導波管に設けられた開口に挿入され、前記矩形導波管を伝送されたマイクロ波のモードを変換させる同軸変換機と、前記同軸変換機にてモードが変換されたマイクロ波を伝送する同軸導波管と、遅波板とスロット板とを有し、前記スロット板の複数のスロットから、前記同軸導波管を通って前記遅波板を伝搬したマイクロ波を前記処理容器内に放射するアンテナと、を備え、前記矩形導波管に設けられた開口の側部壁面と、対向する前記同軸変換機の側部壁面とのギャップは、いずれの対向位置においても所定の範囲内の間隔に管理されるマイクロ波プラズマ処理装置が提供される。
これによれば、例えば前記矩形導波管と前記同軸変換機との部材間の嵌め合い構造により、矩形導波管に設けられた開口の側部壁面と対向する同軸変換機の側部壁面とのギャップがいずれの対向位置においても所定の範囲内の間隔に管理される。
図13に一般的なラジアルラインスロットアンテナ及びその上方の左側縦断面を示したように、矩形導波管305の開口に同軸変換機910を挿入することにより矩形導波管305を伝送されたマイクロ波のモードを変換して伝送する経路を組み立てる際、矩形導波管305の側部壁面と対向する同軸変換機910の側部壁面とに不均一なギャップGが生じることにより、ギャップGにて異常放電が発生する。
このギャップGは、異なる部材の組立位置であってマイクロ波のモードをTEモードからTEモードとTMモードの混在モードに変換する位置に存在する。また、ギャップGの近傍では、矩形導波管305の反射端305aにてマイクロ波が反射したりモードが変換されたりするため、マイクロ波の電界が乱れやすい。
たとえば、実際に、矩形導波管305の反射端305a及びギャップGの位置にマイクロ波の節が来るように反射端305aからギャップGまでの距離をλg/2に設計し、ギャップGにおける異常放電の状態を観察したが、異常放電は抑止されなかった。そこで、矩形導波管305の反射端305aとギャップGまでの距離を管理することに加えて、矩形導波管と同軸変換機とに嵌め合い構造を設けてギャップGを均一に管理することにより、異常放電を抑制できる。
なお、前記ギャップは、前記矩形導波管に固定され、前記同軸変換機の外周に適合する開口部が形成されたシムにより管理されてもよい。これによれば、同軸変換機の外周がシムに固定されるので、矩形導波管に対する同軸変換機の相対位置を固定することができ、ギャップがいずれの対向位置においても所定の範囲内の間隔に管理される。そうすると、前記嵌め合い構造を用いた場合と同様に、ギャップにおける異常放電を抑制することができる。
具体的には、嵌め合い構造やシムにより、ギャップGがいずれの対向位置においても所定の基準間隔kmm(k≧0.3)に対して(k±n)mm(n≦0.1)の範囲内の間隔となるように管理するのが望ましい。その理由は以下のとおりである。
図7(b)を参照すると、ギャップG(リークパス厚)が拡がるほどギャップ内の電界強度は強くなる。パッシェンの法則によれば、V=f(pd)の式に示すように、平行な電極間での放電開始電圧Vは、ガス圧力p及び電極間の距離dの積の関数で表される。ギャップGの位置や均一なリークパス厚の変化に対する電界強度の変化量は小さいので、狭くなった部位での電界集中による影響の方が大きいと考えられる。よって、ギャップGの間隔を所定の基準間隔kmm(k≧0.3)に対して(k±n)(n≦0.1)mmの範囲内にすることにより、電界強度に偏りが生じにくく、放電が起きにくい状態にギャップGを管理することによって、異常放電の発生を防ぐことができる。
前記ギャップが生じている前記矩形導波管の側部壁面及びその周辺部と、対向する前記同軸変換機の側部壁面及びその周辺部とを絶縁材にてコーティングしてもよい。
これによれば、絶縁材をギャップG及びその周辺にコーティングすることにより、ギャップ間の電位差を低下させることができ、異常放電の発生を効果的に抑止することができる。なお、絶縁材としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・バーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、アルミナ(アルマイト処理、溶射)などを用いることができる。
また、上記課題を解決するために、本発明の他の態様によれば、マイクロ波を用いて生成されたプラズマにより被処理体をプラズマ処理するマイクロ波プラズマ処理装置の給電方法であって、マイクロ波源からマイクロ波を出力し、前記マイクロ波源から出力されたマイクロ波を同軸導波管に伝送させ、めっき、溶射及びメタライズのいずれかの方法により遅波板の上面、下面及び外周側面に導電膜を被覆し、前記導電膜をマイクロ波の伝送路とし、前記遅波板の下面側導電膜に形成された複数のスロットから、前記同軸導波管を通って前記遅波板を伝搬したマイクロ波を前記処理容器内に放射するように給電する給電方法が提供される。
これによれば、遅波板と導電膜との一体形成により、遅波板と導電膜との間には空隙が存在せず、異常放電を抑止することができるとともに、前記空隙によるマイクロ波の伝送路の変動を回避することにより、マイクロ波のモードを安定させ、均一なプラズマを生成することができる。
以上説明したように、本発明によれば、遅波板の上面、下面及び外周側面を導電膜で被覆する。伝送路である導電膜は、遅波板と一体的に密着して形成されており、遅波板の剛性により変形することがないので、マイクロ波は装置の状態によらず安定して伝搬し、均一なプラズマを生成することができる。また、遅波板205aと金属膜205b間等には空隙が存在せず、耐電圧の高い材料のみで構成されるので、異常放電も発生しない。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の構成及び機能を有する構成要素については、同一符号を付することにより、重複説明を省略する。
(マイクロ波プラズマ処理装置の全体構成)
まず、本発明の一実施形態にかかるマイクロ波プラズマ処理装置10について、その縦断面を示した図1を参照しながら説明する。本実施形態にかかるマイクロ波プラズマ処理装置10は、処理容器100、蓋体200、伝送路300、冷却機構400及びガス供給機構500を有している。
まず、本発明の一実施形態にかかるマイクロ波プラズマ処理装置10について、その縦断面を示した図1を参照しながら説明する。本実施形態にかかるマイクロ波プラズマ処理装置10は、処理容器100、蓋体200、伝送路300、冷却機構400及びガス供給機構500を有している。
処理容器100は、天井が開口された円筒状の容器であり、たとえば、アルミニウム等の金属から形成されている。処理容器100の天井の開口には、天板105(誘電体窓に相当)が嵌め込まれている。天板105は、誘電体から形成されている。天板105の下面は、その中央が張り出しているとともに中間部にも周方向の張り出しが設けられている。処理容器100と天板105との接触面には、Oリング110が配設されていて、これにより、処理室Uは密閉される。
処理容器100の底部には、ウエハWを載置するサセプタ(載置台)115が絶縁体120を介して設置されている。サセプタ115には、整合器125aを介して高周波電源125bが接続されていて、高周波電源125bから出力された高周波電力により処理容器100の内部に所定のバイアス電圧を印加する。また、サセプタ115には、コイル130aを介して高圧直流電源130bが接続されていて、高圧直流電源130bから出力された直流電圧によりウエハWを静電吸着する。処理容器100には、真空ポンプ(図示せず)が取り付けられていて、ガス排出管135を介して処理容器100内のガスを排出することにより、処理室Uを所望の真空度まで減圧する。
蓋体200は、ラジアルラインスロットアンテナ205(以下、単にアンテナ205とも称呼する。)、冷却ジャケット210及びマイクロ波遮蔽カバー215を有している。アンテナ205は、天板105の直上に載置されている。
ラジアルラインスロットアンテナ205は、ディスク状の一枚の平板であって、図2及び図3にアンテナ205の縦断面の左半分を拡大して示したように、遅波板205aを基材としてその上面、外周面及び下面に予め金属膜205bが被覆されている。金属膜205bは、めっき、溶射及びメタライズのいずれかの方法によって遅波板205aに密着して一体的に形成されている。本実施形態では、金属膜205bは、アルミニウム(Al)を溶射後、溶融することにより形成される。なお、金属膜205bは導電膜の一例であり、導電膜は金属に限られない。
なお、金属膜205bは、導電性の高い銅(Cu)、金(Au)及び銀(Ag)のいずれかを溶射することにより形成されていてもよい。金属膜205bを溶射したラジアルラインスロットアンテナ205については後程、詳細に説明する。
遅波板205aの下面にはマイクロ波を放射するスロットSt(放射孔)が、複数設けられている。遅波板205aは、アルミナなどの誘電体により形成されている。アンテナ205では、マイクロ波がアンテナの半径方向へ放射状に伝搬し、スロットStから漏れだして処理室内に放射される。
アンテナ205の上部には、冷却ジャケット210がアンテナ205に隣接して設けられている。冷却ジャケット210はアルミニウムから形成され、アンテナ205の近傍を調温する。マイクロ波遮蔽カバー215は、ラジアルラインスロットアンテナ205及び冷却ジャケット210を覆い、シールド部材220,225を配置することにより、ラジアルラインスロットアンテナ205を伝搬するマイクロ波が装置の外部に放出されないように遮蔽する。
伝送路300は、主に、矩形導波管305、同軸変換機310、内部導体315、外部導体340、テーパーコネクタ320、ラジアルラインスロットアンテナ205から形成されている。マイクロ波は、伝送路300により画定される空間(以下、マイクロ波の伝送路Rとも称呼する。)を伝送される。このとき、マイクロ波は、遅波板205aの内部を伝搬して遅波板205aの端面にて反射し、図示しないチューナによりインピーダンスの整合をとりながら、進行波と反射波との干渉により伝送路の空間に定在波が生じる。
矩形導波管305は、マイクロ波源335に接続されている。同軸変換機310は、コーン状に形成され、マイクロ波のモードをTEモードからTEモードとTMモードの混在モードに変換する。モードが変換されたマイクロ波は、同軸導波管(内部導体315及び外部導体340)に伝えられる。内部導体315及び外部導体340は、銀メッキした銅から形成されている。外部導体340は、上部にて矩形導波管305にねじ止めされている。外部導体340の外周には、バネ部材350が設けられている。バネ部材350は、昇温時、外部導体340やその周辺の変位を吸収し、外部導体340とテーパーコネクタ320とにより金属膜205b及び遅波板205aを把持する力を発生させる。
テーパーコネクタ320は、テーパー形状であって内部導体315の下面にて内部導体315にねじ止めされている。テーパーコネクタ320は、金メッキした銅から形成されている。テーパーコネクタ320の下面は、アンテナ205の下方にてアンテナ205の半径方向に向かってつば状に張り出している。このテーパーコネクタ320の張り出し部分は天板105に埋設されている。テーパーコネクタ320は、装置の機械的強度を保つように天板105の中央部に設けられた張り出しより内側を限度に張り出している。
マイクロ波の電流は、上記マイクロ波の伝送路Rを画定する部材の金属表面を流れる。特に、ラジアルラインスロットアンテナ205内では、マイクロ波は、金属膜205bと一体化した遅波板205aの内部を伝搬し、金属膜205bに切られたスロットからマイクロ波の電界エネルギーが処理容器内に放出される。なお、以下の説明では、マイクロ波の伝送路Rのうち、ラジアルラインスロットアンテナ205内の伝送路を特に伝送路Rbと称呼する。
装置の製造時、加工精度上、各部材間には空隙が生じる。たとえば、遅波板205a表面の冷却ジャケット210とテーパーコネクタ320との間にも空隙が生じる(たとえば、図3の空隙Ra)。空隙Raはマイクロ波の伝送路の一部となる。このため、空隙Raの変動によりマイクロ波の伝送路Rは変動する。よって、空隙Raを一定に保つことは、マイクロ波のモードを安定させるために重要である。
そこで、空隙Raを変動させないために、スロット板はねじで固定するのが望ましい。しかしながら、遅波板の上下面及び外周面に金属膜を被覆した場合、スロット板に代わる金属膜は薄いためタップをきることができない。また、従来のスロット板の構造と異なり金属膜はシート材ではないので、テーパーコネクタに対してねじで固定することができない。また、金属膜205bには機械的な強度を期待できないので、ねじによる強固な固定は向かない。従って、ばねなどを利用し、適切な荷重により把持されることが望ましい。そこで、本発明では、一体形成された遅波板205a及び金属膜205bを外部導体340及びテーパーコネクタ320により両側から把持する。かかるクランプ構造によれば、金属膜205bが被覆された遅波板205aと内外導体(同軸導波管)との位置のずれを防止することができる。この結果、マイクロ波の伝送路の変動をなくし、マイクロ波の放射特性を良好に保ち、均一なプラズマを安定して生成することができる。
外部導体340とテーパーコネクタ320との対向部分には、第1のコンタクト部材325が配設されている。第1のコンタクト部材325は、上記クランプ構造による同軸導波管(内部導体310,外部導体340)と金属膜205bとの電気的接続を補完する。特に、第1のコンタクト部材325は、線材の金属シールド部材にて形成されているため、スパイラルシールドに比べて反力が小さく、金属膜205bに過度な荷重を掛けずに金属膜205bと同軸導波管との電気的接続を良好にすることができる。
第2のコンタクト部材330は、同軸変換機310の下端部の開口にて同軸変換機310の内周縁上にろう付されたフィンガータイプの金属の弾性体である。かかる構成によれば、同軸変換機310と内部導体315とを分離し、同軸変換機310に対して内部導体315を摺動可能に連結させるとともに、第2のコンタクト部材330を介して同軸変換機310と内部導体315とを電気的に接続する。
同軸変換機310と内部導体315との間には内部導体315の外周に沿ってベアリング355が設けられている。ベアリング355の端部は、同軸変換機310に固定されていて、内部導体315を摺動可能にガイドする。これにより、内部導体315に横ブレが生じることを防止し、空隙の変動を防止することができる。
図1に示したように、内部導体315の内部には、冷媒配管360が挿入されている。バネ部材375は、固定部材370と蓋部365との間に設けられ、天板上部の昇温による変位を吸収する。この結果、昇温時、熱膨張により、外部導体340,矩形導波管305及び同軸変換機310が上方に変位しても、内部導体315及びテーパーコネクタ320は昇温前の位置を保つことができる。これにより、昇温前後にて空隙Raの変動を防止することができる。この結果、遅波板905a表面の冷却ジャケット210とテーパーコネクタ320との距離の変動を防止し、マイクロ波の伝送路の変動をなくして、マイクロ波のモードを安定させることができる。
図3に示したように、矩形導波管305と同軸変換機310とは、矩形導波管305に設けられた開口の側部壁面と、対向する同軸変換機310の側部壁面とのギャップGが、いずれの対向位置においても所定の範囲内の間隔となるように、開口より外周側にて嵌め合い構造Fを有している。嵌め合い構造Fについては後程、詳しく説明する。
図1に示した冷却機構400では、冷媒供給源405と冷媒配管360とが連結され、冷媒供給源405と冷却ジャケット210とが連結されている。冷媒配管360は二重配管となっており、冷媒供給源405から供給された冷媒が冷媒配管360の内側から外側を通って循環することにより、内部導体315が調温される。また、冷媒供給源405から供給された冷媒が冷却ジャケット210内の流路210aを循環することにより、冷却ジャケット210の近傍が調温される。
ガス供給機構500では、ガス供給源505と上部ガス供給ライン510とが連結されるとともにガス供給源505とシャワープレート515とが連結されている。シャワープレート515は、複数のガス供給孔がウエハW側に向けて均等に設けられている。ガス供給源505から供給されたプラズマ励起ガスは、処理容器100の側壁を貫通した複数の上部ガス供給ライン510の貫通孔から処理室Uの内部に向けて横向きに供給される。ガス供給源505から供給された処理ガスは、格子状のシャワープレート515に形成された複数のガス供給孔から下向きに供給される。
なお、本実施形態では、内部導体315とテーパーコネクタ320とを連結したが、内部導体315とテーパーコネクタ320とを一体化させ、その先端がつば状に張り出した構成としてもよい。これによれば、内部導体315とテーパーコネクタ320とを連結するためのねじが緩む等、テーパーコネクタ320が内部導体315にしっかりと固定されないために、空隙Raが変動する懸念がなくなる。これにより、マイクロ波をより安定して伝送することができる。
(遅波板と金属膜との一体化)
つぎに、遅波板205aと金属膜205bとの一体化について詳しく説明する。本実施形態では、遅波板205aに金属膜205bを被覆することにより、両部材を一体的に密着させた。その理由について、一般的なラジアルラインスロットアンテナと比較しながら説明する。
つぎに、遅波板205aと金属膜205bとの一体化について詳しく説明する。本実施形態では、遅波板205aに金属膜205bを被覆することにより、両部材を一体的に密着させた。その理由について、一般的なラジアルラインスロットアンテナと比較しながら説明する。
図13及び図14に示した一般的なラジアルラインスロットアンテナ905では、スロット板905bは金属のシート材であり、天井部に設けられた天板105と遅波板905aとに挟まれる形で載置される。プロセス中、冷却ジャケット210を用いて調温しても、アンテナの近傍は150℃〜165℃まで上昇することがある。中央をテーパーコネクタ320と締結されているスロット板905bは、外周を冷却ジャケット210に固定されているため、広がりながら膨張することができず、図14の下部に示したように、昇温前はフラットな状態であっても、温度上昇とともに遅波板905aと天板105との間を押し広げしながら膨張し昇温後には変形していた。この結果、スロット位置が変動し、マイクロ波の伝搬を乱していた。また、スロット板905bと遅波板905a、スロット板905bと天板105、冷却ジャケット210と遅波板905aの間に空隙が生じ、電界強度の高い部位にて異常放電を引き起こす場合があった。また、この空隙により、マイクロ波のモードを不安定にさせていた。
また、この空隙により各部材間の接触が不均一になるため、冷却ジャケット210を用いて調温する際の伝熱が悪くなり、プロセス中、各部材の界面の温度分布を適切にコントロールすることが困難になる場合もあった。以上の状態は、プロセス中のマイクロ波プラズマ処理装置の安定性及び信頼性を損なうため改善する必要があった。
そこで、本実施形態では、図1〜図3に示したように、遅波板905aとスロット板905bとを一体化させる(密着させる)ために、溶射を用いてラジアルラインスロットアンテナ205の遅波板205aの上面、下面及び外周側面に金属膜205bを被覆した。
この結果、一体的に密着して形成された遅波板205aと金属膜205bとの間には空隙が存在しない。これにより、一つ目の効果としては、ラジアルラインスロットアンテナ内の異常放電を抑止することができた。
つまり、本実施形態では、遅波板205aの上面、下面及び外周側面を金属膜205bにて被覆し、その金属膜205bをマイクロ波の伝送路として用いる。これによれば、遅波板205aと金属膜205b間等には空隙が存在せず、耐電圧の高い材料のみで構成されるので、異常放電の発生を防止することができた。
二つ目の効果としては、温度が上昇してもマイクロ波の伝送路Rbは変動しないため、マイクロ波のモードを安定させることができた。この結果、均一なプラズマを生成することができた。
三つ目の効果としては、遅波板205aと金属膜205bとを一体化させ、冷却ジャケット210を用いて調温する際の伝熱状態を良好にすることにより、装置の温度制御を良好にすることができた。
その他の効果としては、金属膜205bと遅波板205aとが密着して一体的に形成されるため、天板上にスロット板と遅波板とを順に載置する際に従来生じていた組立誤差をなくすことができる。これにより、遅波板と各スロットとの変動をなくし、アンテナの機差をなくすことができる。
(金属膜の形成方法)
金属膜を遅波板に被覆する方法としては、めっき、溶射、メタライズを利用することが可能であるが、溶射により金属膜205bを形成することが好ましい。
金属膜を遅波板に被覆する方法としては、めっき、溶射、メタライズを利用することが可能であるが、溶射により金属膜205bを形成することが好ましい。
その理由としては、めっきにより金属膜205bを形成した場合、金属膜205bを所定以上の膜厚まで自由に厚くすることができないのに対し、溶射によれば、金属膜205bの膜厚を自由に制御することができる。たとえば、施工時の表面粗さや膜厚のばらつき、外力による変形や傷等のリスクを考慮して余裕をもって膜を厚く形成したい場合などに柔軟に対応することができる。また、めっきにより金属膜205bを形成した場合、レジスト膜にてスロット部分をパターンニングしてエッチングするが、エッチングではスロットの内壁がレジスト膜より内側に削れたり(いわゆる、アンダーカット)、化学反応により下地を変質させてしまう可能性があるのに対し、溶射では、そのような懸念がない。
(金属膜の膜厚)
そこで、本実施形態では、アルミニウムを溶射することにより、遅波板に金属膜を被覆した。そのとき、金属膜205bの膜厚を40μm以上400μm以下とした。その理由を以下に説明する。
そこで、本実施形態では、アルミニウムを溶射することにより、遅波板に金属膜を被覆した。そのとき、金属膜205bの膜厚を40μm以上400μm以下とした。その理由を以下に説明する。
電流密度は金属膜の表面から深さ方向に減少する。なお、表皮深さδ(m)は、δ=(2/ωμσ)1/2の式に基づき求められる。ここで、ωは角周波数(Hz)、μは透磁率(H/m)、σは電気伝導率(S/m)である。
図4に示した金属膜では、電流密度は、各金属膜とも膜表面から約2μm以下で37%に減少することがわかる。よって、マイクロ波の電流の損失を少なくするためには、金属膜の膜厚は、電流密度が概ね37%に減少する2μmの5倍である10μm以上にすればよい。これに加えて、本実施形態では金属膜の表面の粗さや傷などによる膜厚の変動を考慮して、金属膜の膜厚を40μm以上とした。
また、金属膜の膜厚を400μm以下にした理由は、金属膜に形成されたスロットの深さが400μmより長くなると、マイクロ波がスムーズにスロットStから処理容器内に放出されにくい傾向があると考えられるためである。
(金属膜の溶融)
つぎに、溶射後の金属膜の溶融について説明する。金属膜は、前記遅波板に溶射後、溶融することにより形成される。これによれば、遅波板に溶射した金属膜を溶融することにより、不連続部を解消して金属膜の密度を高め、金属膜と遅波板とを強固に密着させることができる。
つぎに、溶射後の金属膜の溶融について説明する。金属膜は、前記遅波板に溶射後、溶融することにより形成される。これによれば、遅波板に溶射した金属膜を溶融することにより、不連続部を解消して金属膜の密度を高め、金属膜と遅波板とを強固に密着させることができる。
実験では、図5(a)に示したように、試験片600に2タイプの溶射皮膜605(Al溶射のみ、Al溶射+再溶融)を形成し、接着剤610により溶射皮膜605を相手基材615に接着して被検体を作り、被検体を両端から外側に引っ張る引張試験により、試験片600と溶射皮膜605との界面A及び溶射皮膜内の層間Bにて被検体が破断する破断応力を計測した。その結果を図5(b)及び図5(c)に示す。図5(c)は、図5(b)の結果をグラフにしたものである。
これによれば、アルミニウムを溶射したのみの溶射皮膜605では、3回の実験の結果、平均して18.2(MPa)の破断応力により溶射皮膜605の界面Aでの剥離及び溶射皮膜内Bでの剥離が発生した。これに対して、アルミニウムを溶射後、再溶融した溶射皮膜605では、平均して27.9(MPa)の破断応力により溶射皮膜605の界面Aでの剥離及び溶射皮膜内Bでの剥離が発生した。
以上から、遅波板205aに溶射した金属膜205bを溶融することにより、遅波板205aと金属膜205bとの密着性が1.5倍以上に高められたことが実証された。
つぎに、アルミニウムを溶射したのみの溶射皮膜と、溶射後に溶融した溶射皮膜との各被検体に対して体積抵抗率を測定した。3つの被検体に対するそれぞれ4回の実験の結果を図6(a)及び図6(b)に示す。図6(b)は、図6(a)の結果をグラフにしたものである。
実験の結果を参照すると、アルミニウムを溶射したのみの溶射皮膜の体積抵抗率は、平均して1.28×10−5(Ω・cm)であり、アルミニウムのバルク(緻密質体)の体積抵抗率2.69×10−6(Ω・cm)に対して約4.76倍であった。一方、溶射後再溶融した溶射皮膜の体積抵抗率は、平均して4.26×10−6(Ω・cm)であり、アルミニウムのバルクの体積抵抗率に対して約1.58倍であった。この結果は、再溶融した溶射皮膜が、溶射のみの溶射皮膜に比べてバルクに近い程度にまでロスなくマイクロ波の電流を流すことができることを示す。
以上によれば、遅波板に溶射した金属膜を溶融することにより、未溶融粒子や酸化物、気孔、亀裂等の不連続部をなくし、金属膜内の密度を高め、金属膜と遅波板とを一体化させることができる。
なお、金属膜をアルミニウムで形成すると、アルミニウムは融点が比較的低く、冷却ジャケットその他のアンテナ近傍の部材も同一部材で形成することができるため、アンテナ近傍を熱的に安定させることができる。
(ギャップG)
矩形導波管305の開口に同軸変換機910を挿入することにより矩形導波管305を伝送したマイクロ波のモードを変換して伝送する経路を組み立てる際、交差により、矩形導波管305の側部壁面と対向する同軸変換機910の側部壁面とにギャップGが生じる。
矩形導波管305の開口に同軸変換機910を挿入することにより矩形導波管305を伝送したマイクロ波のモードを変換して伝送する経路を組み立てる際、交差により、矩形導波管305の側部壁面と対向する同軸変換機910の側部壁面とにギャップGが生じる。
このギャップGは、マイクロ波のモードをTEモードからTEモードとTMモードの混在モードに変換する位置に存在する。また、ギャップGの近傍では、矩形導波管305の反射端305aにてマイクロ波が反射するため、マイクロ波の電界が乱れやすい。
実際に、矩形導波管305の反射端305a及びギャップGの位置にマイクロ波の節が来るように反射端305aからギャップGまでの距離をλg/2に設計したが、異常放電は抑止されなかった。そこで、矩形導波管305の反射端305aからギャップGまでの距離を管理することに加えて、矩形導波管と同軸変換機とに嵌め合い構造を設けることによりギャップGを均一に管理することとした。
(ギャップの管理)
初めに、嵌め合い構造F及びギャップGの適正範囲を具体的に決定するために、ギャップG近傍のマイクロ波の電界強度分布をシミュレーションにより求めた。
初めに、嵌め合い構造F及びギャップGの適正範囲を具体的に決定するために、ギャップG近傍のマイクロ波の電界強度分布をシミュレーションにより求めた。
図7(a)に示した位置P1〜P4の電界強度をシミュレーションにより計算した。その結果を図7(b)に示す。この結果から、位置P1、P3にてマイクロ波の電界強度が強く、P2、P4では、その強度が弱くなっていることがわかる。また、ギャップ(リークパス厚)が大きくなればなるほど電界強度は大きくなるが、ギャップが均一であれば、ギャップの大きさが0.1mm変化しても極端に電界強度が大きくなるわけではないことがわかる。
パッシェンの法則によれば、V=f(pd)の式に示すように、平行な電極間での放電開始電圧Vは、ガス圧力p及び電極間の距離dの積の関数で表される。ギャップGの位置や均一なリークパス厚の変化に対する電界強度の変化量は小さいので、狭くなった部位での電界集中による影響の方が大きいと考えられる。よって、ギャップGの間隔を所定の基準間隔kmm(k≧0.3)に対して(k±n)(n≦0.1)mmの範囲内にすることにより、電界強度に偏りが生じにくく、放電が起きにくい状態にギャップGを管理することによって、異常放電の発生を防ぐことができる。
そこで、環状に形成されたギャップGがいずれの対向位置に置いても所定の範囲内の間隔となるように、ギャップGより外周側にて矩形導波管305と同軸変換機310とに高度な嵌め合い構造F(図8参照)を設けた。具体的には、ギャップGの基準間隔kを0.3mmと定め、環状のギャップGのいずれの対向位置においてもギャップGが(k±n)mm(n≦0.1)の範囲内に管理されるように嵌め合い構造Fを設けた。組み立て時に発生する公差を考慮して、嵌め合い構造FにギャップGにて許容される隙間より充分に小さい隙間(たとえば、ギャップGの間隔差の最大値の約20%以内)を許容することにより、どんな作業員が組み立ててもギャップGを設計上許容されている間隔差以内に管理することができる。この結果、矩形導波管305と同軸変換機310との間のギャップGにて異常放電が発生することを回避することができる。
(絶縁材にてコーティング)
ギャップG周りの矩形導波管305及び同軸変換機310は、絶縁材にてコーティングされている。絶縁材としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・バーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、アルミナ(アルマイト処理、溶射)などが挙げられる。これにより、ギャップ間の電位差を低下させることができ、異常放電の発生をさらに抑止することができる。
ギャップG周りの矩形導波管305及び同軸変換機310は、絶縁材にてコーティングされている。絶縁材としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・バーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、アルミナ(アルマイト処理、溶射)などが挙げられる。これにより、ギャップ間の電位差を低下させることができ、異常放電の発生をさらに抑止することができる。
以上に説明したように、本実施形態のマイクロ波プラズマ処理装置10によれば、遅波板205aの上面、下面及び外周側面を金属膜205bで被覆し、金属膜205bと遅波板205aの間の間隙をなくすことにより、異常放電の発生を抑止し、プラズマの乱れを防止することができる。この結果、マイクロ波プラズマ処理装置10の安定性及び信頼性を向上させることができる。
上記実施形態において、各部の動作はお互いに関連しており、互いの関連を考慮しながら、一連の動作として置き換えることができる。そして、このように置き換えることにより、上記マイクロ波プラズマ処理装置の実施形態を上記マイクロ波プラズマ処理装置にマイクロ波を給電する方法の実施形態とすることができる。
以上の実施の形態において、冷却ジャケットの下面には伝熱部材が設けられていてもよい。例えば図9に示すように、冷却ジャケット210の下面には、遅波板205aの上面側の金属膜205bに接するように伝熱部材700が設けられている。伝熱部材700は、熱伝導率の高い部材であることよりも、表面が滑らかで、金属膜205bと所定の面圧で密着できることが重要である。そこで、伝熱部材700には、カーボンを主成分とする物質が用いられる。また、伝熱部材700は、できるだけ薄く設けるのが好ましい。なお、マイクロ波プラズマ装置10のその他の構成は、前記実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
図13及び図14に示した一般的なラジアルラインスロットインアンテナ905においては、遅波板905a内をマイクロ波が伝搬する際に冷却ジャケット210との界面にマイクロ波の電流が流れる。かかる場合に、冷却ジャケット210の下面に伝熱部材を設けると、例えばアルミニウムなどの金属から形成される冷却ジャケット210と非金属である伝熱部材とでは耐電圧が異なるため、異常放電を引き起こすおそれがある。また、冷却ジャケット210の下面に伝熱部材を設けると、遅波板905a内のマイクロ波が伝熱部材に吸収され、マイクロ波の伝送路が変形するおそれがある。このため、従来は冷却ジャケット210に伝熱部材を設けることができなかった。
これに対し、本実施の形態では、冷却ジャケット210に伝熱部材700を設けても、遅波板205a内のマイクロ波の電流は金属膜205bとの界面を流れるので、異常放電が発生しない。また、遅波板205aと金属膜205bは一体に形成されているため、マイクロ波の伝送路が変形することがない。そして、カーボンを主成分とする伝熱部材700を設けることにより、伝熱部材700と金属膜205bが密着するため、冷却ジャケット210を用いて遅波板205aと金属膜205bを温調する際の伝熱が均一になり、高い伝熱効果を得ることができる。この結果、冷却ジャケット210によるプロセス中の温調をさらに良好にすることができる。また、伝熱部材700で用いられるカーボン系材料は比較的軟らかい物質であるので、例えば遅波板205aと冷却ジャケット210が熱膨張して各部材に熱膨張差が生じた場合でも、当該遅波板205aに被覆された金属膜205bとの摩擦を緩衝することができる。
なお、以上の実施の形態では、冷却ジャケット210の下面に伝熱部材700を設けたが、遅波板205aの上面側の金属膜205bと冷却ジャケット210の間に伝熱性を有するグリースを塗布してもよい。
以上の実施の形態において、遅波板の下面側導電膜と天板との間には緩衝部材が設けられていてもよい。例えば図10に示すように、遅波板205aの下面側の金属膜205bと天板105との間には、緩衝部材701が設けられている。緩衝部材701は、遅波板205aの下面側の金属膜205bにおいて、テーパーコネクタ320や第1のコンタクト部材325と電気的に接続される部分以外の金属膜205bに接するように設けられている。緩衝部材701はマイクロ波電界にさらされるため、緩衝部材701には、導電性を有さない材料であって、且つ高い誘電損失を有さない材料、例えばテフロンシートが用いられる(テフロンはデュポン社の登録商標)。また、緩衝部材701の厚みは0.2mm以下であって、より好ましくは0.05mmや0.1mmである。かかる場合、例えば遅波板205aと天板105が熱膨張して各板に熱膨張差が生じた場合でも、遅波板205aに被覆された導電膜205bとの摩擦を緩衝することができる。なお、緩衝部材701には、遅波板205aの下面のスロットStに対応する位置に、厚み方向に貫通する貫通孔を形成してもよい。
なお、以上の実施の形態では、遅波板205aの下面側の金属膜205bと天板105との間にテフロンシートである緩衝部材701を設けたが、天板105の上面にテフロンをコーティングしてもよい。この場合にコーティングされるテフロンの厚みは、緩衝部材701の厚みと同一である。また、緩衝部材701に代えて、遅波板205aの下面側の金属膜205bにテフロンをコーティングしてもよい。この場合、テーパーコネクタ320や第1のコンタクト部材325と電気的に接続される部分には、テフロンはコーティングされない。さらに、緩衝部材701に代えて、遅波板205aの下面側の金属膜205bと天板105との間に、誘電損失が低いグリースを塗布してもよい。
以上の実施の形態のテーパーコネクタに代えて、コンタクトフランジ及びコンタクト板を設けてもよい。例えば図11に示すように、内部導体315の下面には、コンタクトフランジ705がねじ止めされている。コンタクトフランジ705の下面には、コンタクト板710が接合されている。コンタクト板710は、金メッキした銅から形成されている。コンタクト板710は、コンタクトフランジ705の径よりも大きい径を有し、遅波板205aと、当該遅波板205aの下面側の金属膜205bの下面とを支持している。そして、コンタクト板710は、金属膜205bと電気的に接続され、マイクロ波を伝送することができる。なお、コンタクト板710は、コンタクトフランジ705にねじ止めされていてもよい。
コンタクト板710は、天板105の中央部に形成された切欠き部105aに設けられている。切欠き部105aは、コンタクト板710の径と適合するように形成されている。切欠き部105aの内部には、コンタクト板710の下面外縁部を支持する第1のコンタクト弾性体715が設けられている。そして、第1のコンタクト弾性体715により、コンタクト板710と金属膜205bの電気的接続が補完される。
本実施の形態において、冷却ジャケット210は、金属膜205bが被覆された遅波板205aの径より大きい径を有している。冷却ジャケット210は、遅波板205aの中心部(遅波板205aの上面側の金属膜205bの端部)まで延伸し、外部導体340は、冷却ジャケット210の上面に設けられている。冷却ジャケット210の下面には、前記実施の形態で述べた伝熱部材700が設けられている。伝熱部材700は、遅波板205aの上面側の金属膜205bにおいて、中心部以外の金属膜205bを覆うように設けられている。第1のコンタクト弾性体715に対向する冷却ジャケット210には、切欠き部700aが設けられている。切欠き部700a内には、金属膜205b及び冷却ジャケット210と接する第2のコンタクト弾性体720が設けられている。そして、この第2のコンタクト弾性体720と第1のコンタクト弾性体715により、冷却ジャケット210と金属膜205bの電気的接続が補完される。
遅波板205aの下面外縁部には、遅波板205aの下面側の金属膜205bと接する外周コンタクト板725が設けられている。外周コンタクト板725は、天板105に形成された切欠き部105bに設けられている。切欠き部105bは、外周コンタクト板725の径と適合するように形成されている。切欠き部105bの内部には、外周コンタクト板725の下面外縁部を支持する第3のコンタクト弾性体730が設けられている。そして、この第3のコンタクト弾性体730により、外周コンタクト板725と金属膜205bとの電気的接続が補完されるとともに、伝熱部材700を介して冷却ジャケット210と金属膜205bとの伝熱的接触が補完される。また、遅波板205aの外周には、冷却ジャケット210にねじ止めされた外周コンタクトリング735が設けられ、外周コンタクト板725は外周コンタクトリング735に接合されている。
天板105の切欠き部105a、105bの間には、他の切欠き部105cがさらに形成されている。切欠き部105c内には、遅波板205aの下面側の金属膜205bと接する第4のコンタクト弾性体740が設けられている。そして、第4のコンタクト弾性体740により、伝熱部材700と金属膜205bとの密着性が補完され、伝熱部材700を介して冷却ジャケット210と金属膜205bとの伝熱的接触が補完される。
以上の実施の形態によれば、一体形成された遅波板205a及び金属膜205bを冷却ジャケット210及びコンタクト板710により両側から把持することができる。そうすると、前記実施の形態において、内部導体315にテーパーコネクタ320を連結した場合と同様に、金属膜205bが被覆された遅波板205aと内外導体315(同軸導波管)との位置のずれを防止することができる。また、コンタクト板315と金属膜205bとが電気的に接続されるので、金属膜205bと同軸導波管との電気的接続を確保することができる。
なお、本実施の形態においても、遅波板205aの下面側の金属膜205bと天板105との間に、前記実施の形態で述べた緩衝部材701をさらに設けてもよい。
以上の実施の形態では、矩形導波管に設けられた開口の側部壁面と、対向する同軸変換機の側部壁面とのギャップは、嵌め合い構造によって管理されていたが、矩形導波管に固定され、同軸変換機の外周に適合する開口部が形成されたシムにより管理されてもよい。例えば図12に示すように、矩形導波管305と同軸変換機310の水平部分との間には、複数のシム800が積層されて設けられている。シム800は、導電性のある銅板からなり、矩形導波管305と同軸変換機310との導通を確保している。シム800は、矩形導波管305と同軸変換機310の水平部分とにねじ止めされ、固定されている。シム800には、同軸変換機310の外周に適合した開口部が形成され、シム800は、同軸変換機310の外周を固定している。シム800は複数設けられているため、そのうちの少なくとも1枚のシムが同軸変換機310の外周を確実に固定することができる。このようにシム800を設けることにより、矩形導波管305に対する同軸変換機310の相対位置が固定され、矩形導波管305と同軸変換機310との間のギャップGがいずれの対向位置においても所定の範囲内の間隔に管理される。具体的には、ギャップGの基準間隔kを0.3mm以上、より好ましくは0.5〜1.0mmに定め、環状のギャップGのいずれの対向位置においてもギャップGが(k±n)mm(n≦0.1)の範囲内に管理される。この結果、前記実施の形態において、嵌め合い構造Fを設けた場合と同様に、ギャップGにおける異常放電を回避することができる。
また、本実施の形態においても、ギャップG周りの矩形導波管305及び同軸変換機310を、絶縁材にてコーティングしてもよい。絶縁材としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・バーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、アルミナ(アルマイト処理、溶射)などが挙げられる。これにより、ギャップ間の電位差を低下させることができ、異常放電の発生をさらに抑止することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
たとえば、金属膜は、メタライズにより形成されてもよい。この場合、メタライズにより形成されたMo−Mn層の金属膜は抵抗が高いので、Ag−Cu―Ti層の金属膜が好ましい。
また、たとえば、スロット板と遅波板との一体化および嵌め込み構造F又はシム800によるギャップGの管理の少なくともいずれかを有するマイクロ波プラズマ処理装置であれば、マイクロ波の伝送路の変動を抑えることができるが、両方とも有している方がより好ましい。
また、ガスは、上部ガス供給ライン510のみから供給されてもよく、シャワープレート515のみから供給されてもよい。また、これらのガス供給機構500に代えて、または、これらのガス供給機構500に加えて、天板105にガス経路を設けて天板105をシャワープレートとして用いてもよい。
また、ギャップGは、嵌め合い構造Fあるいはシム800により管理されていたが、矩形導波管305と同軸変換機310との導通を確保することができ、所定の位置に同軸変換機310を固定することができれば、これらに限定されない。
本発明は、ラジアルラインスロットアンテナを用いてマイクロ波を処理容器内に放射するマイクロ波プラズマ処理装置及びその装置を用いた給電方法に有用である。
10 マイクロ波プラズマ処理装置
100 処理容器
105 天板
105a、105b、105c 切欠き部
200 蓋体
205、905 ラジアルラインスロットアンテナ(アンテナ)
205a、905a 遅波板
205b 金属膜
210 冷却ジャケット
215 マイクロ波遮蔽カバー
220、225 シールド部材
305 矩形導波管
310 同軸変換機
315 内部導体
320 テーパーコネクタ
325 第1のコンタクト部材
330 第2のコンタクト部材
335 マイクロ波源
340 外部導体
350、375 バネ部材
400 冷却機構
405 冷媒供給源
500 ガス供給機構
505 ガス供給源
700 伝熱部材
701 緩衝部材
705 コンタクトフランジ
710 コンタクト板
715 第1のコンタクト弾性体
720 第2のコンタクト弾性体
725 外周コンタクト板
730 第3のコンタクト弾性体
735 外周コンタクトリング
740 第4のコンタクト弾性体
800 シム
905b スロット板
G ギャップ
F 嵌め合い構造
100 処理容器
105 天板
105a、105b、105c 切欠き部
200 蓋体
205、905 ラジアルラインスロットアンテナ(アンテナ)
205a、905a 遅波板
205b 金属膜
210 冷却ジャケット
215 マイクロ波遮蔽カバー
220、225 シールド部材
305 矩形導波管
310 同軸変換機
315 内部導体
320 テーパーコネクタ
325 第1のコンタクト部材
330 第2のコンタクト部材
335 マイクロ波源
340 外部導体
350、375 バネ部材
400 冷却機構
405 冷媒供給源
500 ガス供給機構
505 ガス供給源
700 伝熱部材
701 緩衝部材
705 コンタクトフランジ
710 コンタクト板
715 第1のコンタクト弾性体
720 第2のコンタクト弾性体
725 外周コンタクト板
730 第3のコンタクト弾性体
735 外周コンタクトリング
740 第4のコンタクト弾性体
800 シム
905b スロット板
G ギャップ
F 嵌め合い構造
Claims (21)
- マイクロ波を用いて生成されたプラズマにより被処理体をプラズマ処理するマイクロ波プラズマ処理装置であって、
内部にてプラズマ処理が行われる処理容器と、
マイクロ波を出力するマイクロ波源と、
前記マイクロ波源から出力されたマイクロ波を伝送する同軸導波管と、
めっき、溶射及びメタライズのいずれかの方法により遅波板の上面、下面及び外周側面に導電膜を被覆し、前記導電膜をマイクロ波の伝送路とするとともに、前記遅波板の下面側導電膜に形成された複数のスロットから、前記同軸導波管から前記遅波板を伝搬したマイクロ波を前記処理容器内に放射するアンテナと、を備えたマイクロ波プラズマ処理装置。 - 前記導電膜は、Cu、Al及びAgのいずれかの金属を溶射することにより形成される請求項1に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記導電膜は、前記遅波板に溶射後、溶融することにより形成される請求項2に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記導電膜の膜厚は、10μm以上400μm以下である請求項3に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記導電膜の膜厚は、40μm以上400μm以下である請求項4に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記金属膜の体積抵抗率は、1.00×10−5Ω・cm以下である請求項3〜5のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記アンテナは、複数のスロットを有するラジアルラインスロットアンテナである請求項1〜6のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記導電膜には、マイクロ波のリークを防止するためのシールド部材が設けられている請求項1〜7のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記導電膜及び遅波板は、前記同軸導波管の内部導体に連結されたテーパーコネクタと前記同軸導波管の外部導体とから把持される請求項1〜8のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記同軸導波管の外部導体と前記テーパーコネクタとの対向部分に第1のコンタクト部材を備える請求項9に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記第1のコンタクト部材は、線材の金属シールド部材である請求項10に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記同軸導波管の内部導体にはコンタクトフランジが連結され、
前記コンタクトフランジの下面には、前記導電膜及び遅波板を支持するコンタクト板が固設され、
前記コンタクト板は、前記遅波板の下面側導電膜と電気的に接続されている請求項1〜8のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。 - 前記コンタクト板と前記遅波板の下面側導電膜との電気的接続は、前記コンタクト板の下面側に設けられた弾性体によって補完されている請求項12に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記導電膜及び遅波板の上面側に冷却ジャケットを備え、
前記冷却ジャケットの下面には、前記遅波板の上面側導電膜に接する伝熱部材が設けられている請求項1〜13のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。 - 前記処理容器の上部は開口し、
前記導電膜及び遅波板の下面側には、前記処理容器の上部の開口を覆うように天板が設けられ、
前記遅波板の下面側導電膜と前記天板との間には緩衝部材が設けられている請求項1〜14のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。 - マイクロ波を用いて生成されたプラズマにより被処理体をプラズマ処理するマイクロ波プラズマ処理装置であって、
内部にてプラズマ処理が行われる処理容器と、
マイクロ波を出力するマイクロ波源と、
前記マイクロ波源から出力されたマイクロ波を伝送する矩形導波管と、
前記矩形導波管に設けられた開口に挿入され、前記矩形導波管を伝送されたマイクロ波のモードを変換させる同軸変換機と、
前記同軸変換機にてモードが変換されたマイクロ波を伝送する同軸導波管と、
遅波板とスロット板とを有し、前記スロット板の複数のスロットから、前記同軸導波管を通って前記遅波板を伝搬したマイクロ波を前記処理容器内に放射するアンテナと、を備え、
前記矩形導波管に設けられた開口の側部壁面と、対向する前記同軸変換機の側部壁面とのギャップは、いずれの対向位置においても所定の範囲内の間隔に管理されるマイクロ波プラズマ処理装置。 - 前記ギャップは、前記矩形導波管と前記同軸変換機との部材間の嵌め合い構造により管理される請求項16に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記ギャップは、前記矩形導波管に固定され、前記同軸変換機の外周に適合する開口部が形成されたシムにより管理される請求項16に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記ギャップは、いずれの対向位置においても所定の基準間隔kmm(k≧0.3)に対して(k±n)mm(n≦0.1)の範囲内の間隔となるように管理される請求項17又は18に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記矩形導波管及び前記同軸変換機の前記ギャップ付近を絶縁材にてコーティングする請求項16〜19のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
- マイクロ波を用いて生成されたプラズマにより被処理体をプラズマ処理するマイクロ波プラズマ処理装置の給電方法であって、
マイクロ波源からマイクロ波を出力し、
前記マイクロ波源から出力されたマイクロ波を同軸導波管に伝送させ、
めっき、溶射及びメタライズのいずれかの方法により遅波板の上面、下面及び外周側面に導電膜を被覆し、前記導電膜をマイクロ波の伝送路とし、前記遅波板の下面側導電膜に形成された複数のスロットから、前記同軸導波管を通って前記遅波板を伝搬したマイクロ波を前記処理容器内に放射するように給電する給電方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008284160A JP2010027588A (ja) | 2008-06-18 | 2008-11-05 | マイクロ波プラズマ処理装置及び給電方法 |
Applications Claiming Priority (2)
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JP2008159627 | 2008-06-18 | ||
JP2008284160A JP2010027588A (ja) | 2008-06-18 | 2008-11-05 | マイクロ波プラズマ処理装置及び給電方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008284160A Withdrawn JP2010027588A (ja) | 2008-06-18 | 2008-11-05 | マイクロ波プラズマ処理装置及び給電方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013511807A (ja) * | 2009-11-18 | 2013-04-04 | アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド | プラズマアッシング装置のための同調ハードウェア及びその使用方法 |
WO2018135307A1 (ja) * | 2017-01-18 | 2018-07-26 | 東京エレクトロン株式会社 | アンテナ、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 |
-
2008
- 2008-11-05 JP JP2008284160A patent/JP2010027588A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013511807A (ja) * | 2009-11-18 | 2013-04-04 | アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド | プラズマアッシング装置のための同調ハードウェア及びその使用方法 |
WO2018135307A1 (ja) * | 2017-01-18 | 2018-07-26 | 東京エレクトロン株式会社 | アンテナ、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 |
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