JP2010025746A - Quenching pattern inspecting method and device - Google Patents
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Abstract
Description
例えば自動車部品等のように、高周波焼入等の焼入が施された鋼材の部品について、その焼入パターンを検査するための焼入パターン検査方法及び検査装置に関する。 For example, the present invention relates to a quenching pattern inspection method and an inspection apparatus for inspecting a quenching pattern of a steel material part that has been subjected to quenching such as induction hardening, such as an automobile part.
従来から、自動車部品等の装置部品については、高周波焼入等の焼入が施された鋼材の部品(焼入部品)が多く使用されている。かかる焼入部品については、その品質保証のため、焼入部品の表面部分に形成される焼入パターン(焼入硬化層)の検査が行われる。 Conventionally, steel parts (quenched parts) that have been subjected to quenching such as induction quenching are often used for apparatus parts such as automobile parts. For such a hardened part, in order to assure its quality, a hardened pattern (hardened hardened layer) formed on the surface portion of the hardened part is inspected.
焼入パターンの検査については、例えば特許文献1に開示されているように、渦電流を用いる方法がある。特許文献1に開示されている方法は、鋼材の焼入硬化層の深さ(焼入深さ)を非破壊で測定するものである。具体的には、鋼材についての焼入深さと検出コイルによる出力電圧との相関データが、予め求められる。そして、励磁コイルによって対象鋼材が磁化され、それにより発生する渦電流で誘起される誘導磁場が検出コイルで検出される。この検出コイルの出力電圧が、既知となる前記相関データと比較されることにより、焼入深さが算出される。
As for the inspection of the quenching pattern, for example, as disclosed in
また、焼入パターンの検査としては、焼入パターン切れ(焼入硬化層が途切れたり局所的に極端に浅くなったりする部分)の検知等により、焼入部品の品質保証が行われる。焼入部品の焼入パターンは、現状では、主として自動車等の組立ラインにおける抜取りによるねじり試験により保証されている。すなわち、焼入部品が用いられてアッシー状態(組立状態)まで組み付けられた組立品が、組立ラインにおいて定期的に抜き取られ、その組立品についてのねじり試験による機械的強度の保証から焼入パターンの検査が行われる。 In addition, for the inspection of the quenching pattern, the quality assurance of the quenched part is performed by detecting the quenching pattern breakage (part where the quenching hardened layer is interrupted or locally becomes extremely shallow). The quenching pattern of the quenching parts is currently guaranteed by a torsion test by sampling in an assembly line such as an automobile. In other words, an assembly in which the quenched parts are used and assembled to the assembly state (assembled state) is periodically extracted on the assembly line, and the assembling pattern is confirmed from the guarantee of mechanical strength by a torsion test on the assembly. Inspection is performed.
具体的には、図23に示すように、焼入部品が用いられて構成される組立品として、例えば、等速ジョイント(CVJ:Constant Velocity Joint)が組み込まれて構成されるCVJアッシー101がある。等速ジョイントは、連結される軸同士がいかなるジョイント角となっても互いに速度差が生じないように等速で回転が伝達されるジョイント部である。本例に係るCVJアッシー101においては、ドライブシャフト102の両端側に等速ジョイントであるジョイント部103・104が構成されており、各ジョイント部103・104を構成する部品であってドライブシャフト102の両端側に連結される軸部材105・106が、焼入部品として存在する。
Specifically, as shown in FIG. 23, as an assembly constituted by using hardened parts, for example, there is a
そして、焼入部品である軸部材105・106の焼入パターンの検査に際しては、全体として軸状に構成されるCVJアッシー101に対して、軸回転方向に所定のトルク(矢印To1・To2参照)が加えられることによるねじり試験が行われる。つまり、CVJアッシー101を構成する軸部材105・106等に焼入パターン切れが存在する場合、その焼入パターン切れの部分が、他の部分に対して強度の低い部分となるため、トルクが加えられることで破断する。こうした破断部の発生により、焼入パターン切れの検知が行われる。このように、高周波焼入等における焼入パターン切れの検知は、非常に重要な品質課題であるが、焼入部品を含む組立品の抜取りによるねじり試験でしか保証できていないのが現状である。
When inspecting the quenching pattern of the
しかし、このような抜取りによるねじり試験によって行われる焼入パターンの検査においては、次のようなことが問題点として挙げられる。すなわち、ねじり試験は、トルクが加えられることによる破断部の発生等を検知するものであるため、検査結果が出るまでに相当程度の時間を要する。また、ねじり試験は破壊試験であるため、非破壊試験と比べて検査対象となる部品についてのロスコストが大きくなる。また、他の問題点としては、アッシー状態まで組み付けた後のねじり試験であるため、組付けコストや焼入部品以外の部品のコストについてのロスコストが大きいことや、あくまでも抜取りによる検査であって全数検査ではないため、組立ライン等において全数保証することができないこと等が挙げられる。 However, in the inspection of the quenching pattern performed by such a torsion test by sampling, the following can be cited as problems. In other words, the torsion test detects the occurrence of a fracture due to the application of torque, and therefore requires a considerable amount of time until an inspection result is obtained. In addition, since the torsion test is a destructive test, the loss cost of the parts to be inspected is higher than that of the non-destructive test. Another problem is the torsion test after assembly to the assembly state, so the loss cost of assembly costs and cost of parts other than hardened parts is large, and the inspection is based on sampling. Since it is not an inspection, it cannot be guaranteed in the assembly line.
一方、前述した特許文献1に開示されている方法については、非破壊で鋼材の焼入深さを測定する方法であるものの、焼入についての評価は、焼入深さのほか、焼入表面硬さ(焼入された部分の硬さ)もその対象となるため、焼入表面硬さも評価対象に加えることにより、実際の焼入状態により即した効率的な検査が可能となる。また、特許文献1に開示されている方法については、実際の組立ライン等で測定を行い、その測定結果を焼入部品の良否判定に用いようとする場合、その測定対象である部品についての温度変化や形状誤差等を考慮する余地がある。
On the other hand, the method disclosed in
そこで、これらの問題を解消するための方法が、特許文献2において提案されている。特許文献2に開示されている方法は、励磁コイルと検出コイルとを有する渦流センサを用い、焼入部品である検査対象部品(ワーク)についての焼入パターンの良否を判定するものである。ここで、励磁コイルは、ワークに対して交流励磁信号を印加するためのコイルである。また、検出コイルは、励磁コイルによって交流励磁信号が印加されたワークから渦電流による検出信号を検出するためのコイルである。具体的には、特許文献2の方法においては、ワークの焼入パターンの良否の判定に際し、検出信号の交流励磁信号に対する位相差に起因する値と、検出信号の大きさの値とから定まる計測点が存在する平面において、良品についての計測点が存在するトレランスゾーンが、判定基準として予め設定される。そして、渦流センサが用いられて計測されるワークの検査部位についての計測点が、トレランスゾーン内にあるか否かにより、そのワークの焼入パターンの良否が判定される。
Therefore,
確かに、特許文献2の方法によれば、焼入部品について、焼入パターン切れの非破壊検査によるインラインでの全数検査が可能となり、焼入品質を向上させることができるとともに、焼入パターンの検査に際し、ロスコストや時間の削減を図ることができると考えられる。
Certainly, according to the method of
しかし、特許文献1や特許文献2のように、渦電流を用いて焼入パターンの検査を行う方法においては、ワークを磁化するための励磁コイルとその磁化により発生する渦電流による誘起電圧を検出するための検出コイルとが用いられて行われる計測(渦流計測)の原理から、ワークの温度が計測値(渦流計測値)に大きな影響を及ぼす。すなわち、渦流計測においては、渦流計測値が、ワークの導電率(電気導電率)によって影響を受ける。導電率は、抵抗率(電気抵抗率)の逆数であり、抵抗率は、温度の影響を受けて変化する。このため、ワークの温度は、渦流計測値に大きな影響を及ぼす。
However, as in
この点、ワークの温度は、渦流計測が行われるタイミングや温度環境等の温度状況によって異なる。具体的には、渦流計測が行われるタイミングについては、渦流計測が高周波焼入等の焼入工程直後であるか否か等が関係する。また、渦流計測が行われる温度環境については、季節や地域等が関係する。そして、例えば、焼入直後のワークの温度は約50℃であるのに対し、真冬の朝一番の冷え切ったワークの温度は約5℃となる等、渦流計測の際の温度状況によってはワークの温度が約40〜50℃も違ってくる場合がある。こうした温度状況によるワークの温度変化は、前述したように渦流計測値に大きな影響を及ぼし、焼入パターンの検査の信頼性の低下につながる。 In this respect, the temperature of the workpiece varies depending on the temperature situation such as the timing when the eddy current measurement is performed and the temperature environment. Specifically, the timing at which eddy current measurement is performed is related to whether or not eddy current measurement is immediately after a quenching process such as induction hardening. In addition, the temperature environment in which eddy current measurement is performed is related to the season and region. And, for example, the temperature of the workpiece immediately after quenching is about 50 ° C, while the temperature of the coldest workpiece in the morning in winter is about 5 ° C. The temperature may vary by about 40-50 ° C. As described above, the temperature change of the workpiece due to such a temperature condition has a great influence on the eddy current measurement value, leading to a decrease in the reliability of the quenching pattern inspection.
そこで、ワークの温度変化による渦流計測値に対する影響を排除する方法として、渦流計測値に対して温度補正をする方法が考えられる。しかし、一般に、渦流計測値に対して温度補正をするためには、ワークの温度を計測する必要が生じ、さらにはワークの温度を計測するための温度計等の計測器自体の温度校正をする必要も生じる。また、アルゴリズムを用いて渦流計測値に基づく焼入パターンの検査を行うに際し、ワークの温度変化による渦流計測値に対する影響を加味した結果を得ようとした場合、自動温度補正アルゴリズムを組み込まなければならないこととなる。これらのことから、渦流計測値に対して温度補正をする方法では、組立ラインにおいて多数のワークについて連続的に渦流計測(焼入パターン検査)を行う場合等、多大な時間やコストが必要となる。 Therefore, as a method of eliminating the influence on the eddy current measurement value due to the temperature change of the workpiece, a method of correcting the temperature of the eddy current measurement value can be considered. However, in general, in order to perform temperature correction on the eddy current measurement value, it is necessary to measure the temperature of the workpiece, and furthermore, the temperature of the measuring instrument itself such as a thermometer for measuring the temperature of the workpiece is calibrated. Need also arises. In addition, when inspecting the quenching pattern based on the eddy current measurement value using the algorithm, if an attempt is made to obtain a result that takes into account the effect on the eddy current measurement value due to the temperature change of the workpiece, an automatic temperature correction algorithm must be incorporated. It will be. For these reasons, the method of correcting the temperature of the eddy current measurement value requires a great deal of time and cost, such as when eddy current measurement (quenching pattern inspection) is continuously performed on a large number of workpieces in the assembly line. .
そこで、特許文献2のように、渦流計測値が計測点としてプロットされる平面にて設定されるトレランスゾーンがワークの焼入パターンの良否の判定基準として用いられる方法において、トレランスゾーンの設定に際し、予め想定されるワークの温度変化範囲における計測点の温度ドリフトを考慮することが考えられる。確かに、トレランスゾーンの設定に際してワークの温度変化による計測点の温度ドリフトが考慮されることで、ワークの温度変化による渦流計測値に対する影響を排除することができ、検査の信頼性を向上させることができると考えられる。
Therefore, as in
しかし、渦流計測値に対しては、ワークの温度のほか、環境温度の変化にともなう計測系の温度変化が影響を及ぼす。ここで、環境温度の変化にともなって温度が変化する計測系には、励磁コイル及び検出コイルを有する渦流センサや、アンプ等として機能する渦流探傷器等の計測機器が含まれる。つまり、渦流計測においては、渦流センサの温度や渦流探傷器の内部温度の変化が、渦流計測値に対して影響するため、ワークの温度変化の影響のみが考慮されることによっては、計測誤差等が生じ検査について十分な信頼性を得ることができない場合がある。計測系の温度変化による渦流計測値に対する影響としては、特に、渦流センサ(の励磁コイル)の温度変化による影響が大きくなる。このことは渦流計測における次のような原理に基づく。 However, the eddy current measurement value is affected not only by the temperature of the workpiece but also by the temperature change of the measurement system due to the change of the environmental temperature. Here, the measurement system in which the temperature changes as the environmental temperature changes includes eddy current sensors having an excitation coil and a detection coil, and measurement equipment such as an eddy current flaw detector that functions as an amplifier. In other words, in eddy current measurement, changes in the temperature of the eddy current sensor and the internal temperature of the eddy current flaw detector affect the measured value of the eddy current. In some cases, sufficient reliability cannot be obtained for the inspection. As the influence on the eddy current measurement value due to the temperature change of the measurement system, the influence due to the temperature change of the eddy current sensor (excitation coil thereof) becomes particularly large. This is based on the following principle in eddy current measurement.
すなわち、渦流センサが有する励磁コイルの温度が低くなると、励磁コイルにおける抵抗が小さくなる。励磁コイルにおける抵抗が小さくなると、励磁コイルにおける電流の値が大きくなる。すると、励磁コイルの周囲に発生する磁界が大きくなり、その磁界発生にともなう電磁誘導によってワークの表面近傍に発生する渦電流の値が大きくなる。これにより、検出コイルによって計測される、ワークにおける渦電流発生にともなう誘起電圧が大きくなる。結果として、渦流計測値(絶対値)が大きくなる。逆に、励磁コイルの温度が高くなると、励磁コイルにおいて、抵抗が大きくなって、電流の値が小さくなる。これにより、励磁コイルの周囲に発生する磁界、及びこの磁界発生にともなってワークにおいて発生する渦電流の値が小さくなり、検出コイルによって計測される誘起電圧が小さくなる。結果として、渦流計測値(絶対値)が小さくなる。 That is, when the temperature of the exciting coil included in the eddy current sensor decreases, the resistance in the exciting coil decreases. As the resistance in the exciting coil decreases, the current value in the exciting coil increases. Then, the magnetic field generated around the exciting coil increases, and the value of the eddy current generated near the surface of the workpiece by electromagnetic induction accompanying the generation of the magnetic field increases. Thereby, the induced voltage with an eddy current generation in a workpiece | work measured by a detection coil becomes large. As a result, the eddy current measurement value (absolute value) increases. Conversely, when the temperature of the exciting coil increases, the resistance increases in the exciting coil and the current value decreases. As a result, the value of the magnetic field generated around the exciting coil and the value of the eddy current generated in the work as the magnetic field is generated are reduced, and the induced voltage measured by the detection coil is reduced. As a result, the eddy current measurement value (absolute value) becomes small.
そして、焼入パターンの検査が行われる工場内等の環境温度、つまりは渦流センサの使用環境温度は、季節や時間帯等によって異なる。具体的には、渦流センサの使用環境温度となる工場内の環境温度については、例えば、真夏の昼間では約35℃となるのに対して真冬の朝一番では約5℃となる等、約30℃も違ってくる場合がある。こうした環境温度の変化は、前述したように計測系の温度変化をともなって渦流計測値に大きな影響を及ぼすため、焼入パターンの検査において、一年あるいは一日を通じて同じ感度で検査をすることを困難とし、検査の信頼性の低下に繋がる。このように、焼入パターンの検査において検査の信頼性の低下を防止するためには、環境温度の変化を特に反映する渦流センサの温度変化も加味した渦流計測が行われることが好ましい。 The environmental temperature in the factory or the like where the quenching pattern is inspected, that is, the operating environmental temperature of the eddy current sensor varies depending on the season, time zone, and the like. Specifically, the environmental temperature in the factory, which is the operating temperature of the eddy current sensor, is about 35 ° C. during midsummer daytime and about 5 ° C. in the middle of winter morning, for example, about 30 ° C. ℃ may also be different. As described above, the change in the environmental temperature has a large effect on the eddy current measurement value due to the temperature change of the measurement system. Therefore, in the inspection of the quenching pattern, the inspection should be performed with the same sensitivity throughout the year or throughout the day. This makes it difficult and leads to a decrease in the reliability of the inspection. As described above, in order to prevent a decrease in inspection reliability in the inspection of the quenching pattern, it is preferable that eddy current measurement is performed in consideration of the temperature change of the eddy current sensor particularly reflecting the change in the environmental temperature.
そこで、特許文献2のように、渦流計測値の計測点についてのトレランスゾーンが用いられる方法において、渦流センサの温度を測定し、渦流センサの温度の変化にともなってトレランスゾーンあるいは計測点を温度ドリフトさせることが検討されている。つまり、渦流センサの温度が測定され、渦流センサの温度変化量に応じて、トレランスゾーンあるいは計測点がドリフトさせられる。確かに、かかる方法によれば、焼入パターンの検査において、渦流計測における環境温度の変化による影響を低減することができると考えられるが、次のような問題がある。
Therefore, as in
すなわち、渦流センサの温度の測定は、例えば渦流センサに温度センサが内蔵されることにより行われる。このように渦流センサに内蔵される温度センサについては、センサの校正・維持・管理等が非常に難しい。このため、温度の計測精度の維持が現実的に困難となる。また、渦流センサの温度の測定が行われることは、計測系における機構やアルゴリズムの複雑化を招きコストアップにつながる。このため、量産ラインでの適用が困難となる。さらに、製造ライン等において展開されるワークの種類が多くなるほど、設定事項が増加してしまうため、このような点からも量産ラインでの適用が難しい。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、渦流計測による焼入パターンの検査において、計測系における機構やアルゴリズムの複雑化を招くことなく、計測系の温度変化の渦流計測値に対する影響を低減し、渦流計測値のバラツキを抑制することができ、計測精度の向上を図ることができる焼入パターン検査方法及び検査装置を提供することにある。 The present invention has been made in view of the problems as described above, and the problem to be solved is that, in the inspection of the quenching pattern by eddy current measurement, the mechanism and algorithm in the measurement system are not complicated. To provide a quenching pattern inspection method and an inspection apparatus capable of reducing the influence of the temperature change of the measurement system on the eddy current measurement value, suppressing variations in the eddy current measurement value, and improving the measurement accuracy. is there.
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。 The problems to be solved by the present invention are as described above. Next, means for solving the problems will be described.
すなわち、請求項1においては、検査対象部品に対して所定の交流励磁信号を印加するための励磁コイルと、前記交流励磁信号が印加された検査対象部品から渦電流による検出信号を検出するための検出コイルとを有する渦流センサを用い、前記検出信号の前記交流励磁信号に対する位相差に起因する値である第一の値と、前記検出信号の大きさの値である第二の値とを計測する渦流計測を行い、前記第一の値を示す第一の座標軸と、該第一の座標軸に直交するとともに前記第二の値を示す第二の座標軸とから定められる座標平面にて、前記渦流計測により計測した、多数の良品についての前記第一の値及び前記第二の値に基づいて定まる前記座標平面上の点の分布に基づき、所定の許容誤差領域を予め設定し、前記渦流計測により、検査対象部品の検査部位についての前記第一の値及び前記第二の値を計測し、計測した前記第一の値及び前記第二の値に基づいて定まる前記座標平面上の点が、前記許容誤差領域内にあるか否かにより、検査対象部品についての焼入パターンの良否を判定する焼入パターン検査方法であって、少なくとも材質、前記渦流センサに対する充填率、及び表面性状について検査対象部品を模した基準部品を用い、前記渦流センサの通電による経時的な温度変化にともなう、前記基準部品についての前記第一の値及び前記第二の値のいずれか一方の値の変化と、基準となる所定の検査対象部品についての前記第一の値及び前記第二の値それぞれの前記経時的な温度変化における収束値として予め任意に設定される基準値に対する変化量の変化との相関関係を予め求め、前記相関関係から導かれる前記基準部品についての前記第一の値または前記第二の値に対応する前記基準値に対する変化量を補正量として、前記検査部位について計測した前記第一の値及び前記第二の値を補正するものである。
That is, in
請求項2においては、前記基準部品として、前記渦流センサに対して所定の姿勢で支持された状態の検査対象部品に接触した状態で、前記検査部位についての前記渦流計測に際しての前記渦流センサの検査対象部品に対する相対的な移動方向への移動によって、前記渦流センサによる前記渦流計測が可能となる形状を有する接触部材を用いるものである。 The inspection of the eddy current sensor at the time of the eddy current measurement for the inspection region in a state where the reference component is in contact with the inspection target component supported in a predetermined posture with respect to the eddy current sensor. A contact member having a shape that enables the eddy current measurement by the eddy current sensor by movement in a relative movement direction with respect to the target component is used.
請求項3においては、検査対象部品に対して所定の交流励磁信号を印加するための励磁コイル、及び前記交流励磁信号が印加された検査対象部品から渦電流による検出信号を検出するための検出コイルを有する渦流センサと、前記検出信号の前記交流励磁信号に対する位相差に起因する値である第一の値、及び前記検出信号の大きさの値である第二の値を計測する渦流計測を行う計測手段と、前記第一の値を示す第一の座標軸、及び該第一の座標軸に直交するとともに前記第二の値を示す第二の座標軸から定められる座標平面にて、前記計測手段により計測された、多数の良品についての前記第一の値及び前記第二の値に基づいて定まる前記座標平面上の点の分布に基づき、所定の許容誤差領域を予め設定し、前記計測手段により計測された、検査対象部品の検査部位についての前記第一の値及び前記第二の値に基づいて定まる前記座標平面上の点が、前記許容誤差領域内にあるか否かにより、検査対象部品についての焼入パターンの良否を判定する判定手段と、を備える焼入パターン検査装置であって、前記判定手段は、少なくとも材質、前記渦流センサに対する充填率、及び表面性状について検査対象部品を模した基準部品が用いられて計測される、前記渦流センサの通電による経時的な温度変化にともなう、前記基準部品についての前記第一の値及び前記第二の値のいずれか一方の値の変化と、基準となる所定の検査対象部品についての前記第一の値及び前記第二の値それぞれの前記経時的な温度変化における収束値として予め任意に設定される基準値に対する変化量の変化との相関関係を求める演算部と、前記演算部により求められた前記相関関係が予め設定される設定部と、前記設定部に設定された前記相関関係から導かれる前記基準部品についての前記第一の値または前記第二の値に対応する前記基準値に対する変化量を補正量として、前記検査部位について計測された前記第一の値及び前記第二の値を補正する補正部と、を有する、ものである。 The detection coil for detecting a detection signal due to an eddy current from an excitation coil for applying a predetermined AC excitation signal to the inspection target component and the inspection target component to which the AC excitation signal is applied. And a eddy current measurement that measures a first value that is a value resulting from a phase difference of the detection signal with respect to the AC excitation signal and a second value that is a magnitude value of the detection signal. Measured by the measuring means on a measuring plane, a first coordinate axis indicating the first value, and a coordinate plane orthogonal to the first coordinate axis and defined by the second coordinate axis indicating the second value Based on the distribution of points on the coordinate plane determined based on the first value and the second value for a number of non-defective products, a predetermined allowable error region is set in advance and measured by the measuring means. The Hardening of the inspection target part depends on whether or not a point on the coordinate plane determined based on the first value and the second value of the inspection part of the inspection target part is within the allowable error region. A quenching pattern inspection apparatus comprising: a determination unit that determines whether the pattern is good or bad, wherein the determination unit uses at least a material, a filling rate with respect to the eddy current sensor, and a reference component that simulates a component to be inspected for surface properties Change of one of the first value and the second value of the reference component with a change in temperature with time due to energization of the eddy current sensor, and a predetermined reference value Change in the amount of change with respect to a reference value that is arbitrarily set in advance as a convergence value in the time-dependent temperature change of each of the first value and the second value for the inspection target component A first calculating unit for calculating the correlation, a setting unit in which the correlation calculated by the calculating unit is set in advance, and the first reference component derived from the correlation set in the setting unit. A correction unit that corrects the first value and the second value measured for the examination region, with a change amount with respect to the reference value corresponding to the value or the second value as a correction amount, It is.
請求項4においては、前記基準部品として、前記渦流センサに対して所定の姿勢で支持された状態の検査対象部品に接触した状態で、前記検査部位についての前記渦流計測に際しての前記渦流センサの検査対象部品に対する相対的な移動方向への移動によって、前記渦流センサによる前記渦流計測が可能となる形状を有する接触部材を備えるものである。 5. The inspection of the eddy current sensor in the eddy current measurement for the inspection region in a state in which the reference component is in contact with the inspection target component supported in a predetermined posture with respect to the eddy current sensor. A contact member having a shape that enables the eddy current measurement by the eddy current sensor by movement in a relative movement direction with respect to the target component is provided.
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、渦流計測による焼入パターンの検査において、計測系における機構やアルゴリズムの複雑化を招くことなく、計測系の温度変化の渦流計測値に対する影響を低減し、渦流計測値のバラツキを抑制することができ、計測精度の向上を図ることができる。
As effects of the present invention, the following effects can be obtained.
That is, according to the present invention, in the quenching pattern inspection by eddy current measurement, the influence of the temperature change of the measurement system on the eddy current measurement value is reduced without incurring the complexity of the mechanism and algorithm in the measurement system, and the eddy current measurement value is reduced. Variation can be suppressed, and measurement accuracy can be improved.
本発明は、例えば自動車部品等のように、高周波焼入等の焼入が施された鋼材の部品(焼入部品)について、その焼入パターン(焼入硬化層)を、渦電流を用いて検査する方法に関する。そして、本発明は、検査対象部品である焼入部品について、焼入パターン切れ(焼入硬化層が途切れたり局所的に極端に浅くなったりする部分)等を有しない良品と、焼入パターン切れを有する焼入パターン切れ品を含む不良品(NG品)とを判別し、焼入部品の品質を保証するためのものである。そこでまず、発明の実施の形態の説明に先立ち、本発明に関係する渦流計測の原理について説明する。 The present invention uses, for example, an eddy current for a quenching pattern (quenched hardened layer) of a steel part (quenched part) subjected to induction hardening or the like, such as an automobile part. It relates to the inspection method. Further, the present invention relates to a hardened part that is a part to be inspected, a good product that does not have a hardened pattern cut (a part where the hardened hardened layer is interrupted or locally becomes extremely shallow), and the like, It is for discriminating from defective products (NG products) including a quenching pattern cut product having a quality of the hardened parts. First, prior to the description of the embodiment of the invention, the principle of eddy current measurement related to the present invention will be described.
図1に、焼入が施された鋼材(S45C等)である焼入部材の深さ(表面からの距離)方向の層状態、硬さ及び透磁率の関係を示す。図1に示すように、焼入部材においては、その概略的な組織構成として、表面側から、焼入が施された部分である硬化層1と、母材の部分である母層2とが、境界層3を介して形成される。硬さ変化曲線4を参照すると、硬化層1と母層2とは異なる硬さとなり、硬化層1の硬さが母層2のそれよりも大きくなる。境界層3においては、硬さは硬化層1から母層2にかけて漸減する。硬さの具体例としては、ビッカース硬さ(Hv)で、硬化層1ではHv=600〜700、母層2ではHv=300程度の硬さを示す。
FIG. 1 shows the relationship between the layer state, hardness, and magnetic permeability in the depth (distance from the surface) direction of a quenched member that is a hardened steel material (such as S45C). As shown in FIG. 1, in the quenched member, as a schematic structure of the hardened member, from the surface side, a
一方、透磁率変化曲線5を参照すると、焼入部材の表面からの距離に対する透磁率の変化は、焼入部材の表面からの距離に対する硬さの変化に対して略逆比例の関係となる。つまり、透磁率については、硬化層1の透磁率が母層2のそれよりも大きくなるとともに、境界層3においては硬化層1から母層2にかけて漸増する。本発明に関係する渦流計測においては、このような焼入部材における、表面からの距離に対する硬さと透磁率との関係を利用する。
On the other hand, referring to the magnetic permeability change curve 5, the change in the magnetic permeability with respect to the distance from the surface of the quenched member is approximately inversely proportional to the change in the hardness with respect to the distance from the surface of the quenched member. That is, the magnetic permeability of the
図2に、本発明に関係する渦流計測を行うための装置構成についての模式図を示す。図2に示すように、渦流計測においては、計測対象であるワーク(磁性体)6の計測部位6aに対し、中心軸を共通にして隣接配置される励磁コイル7と検出コイル8とが所定の位置にセットされる。このような構成において、励磁コイル7に電流が供給されると、励磁コイル7の周囲に磁界が発生する。すると、電磁誘導によって磁性体であるワーク6の計測部位6aの表面近傍に渦電流が発生する(矢印C1参照)。計測部位6aの表面における渦電流発生にともない、検出コイル8を磁束が貫通する。そして、検出コイル8によって計測部位6aの表面における渦電流発生にともなう誘起電圧が計測される。
FIG. 2 shows a schematic diagram of an apparatus configuration for performing eddy current measurement related to the present invention. As shown in FIG. 2, in eddy current measurement, an excitation coil 7 and a
励磁コイル7は、その両端(両端子)が、交流電源9に接続される。交流電源9は、励磁コイル7に対して所定の交流励磁信号(励磁用交流電圧信号)V1を印加する。検出コイル8は、その両端(両端子)が、計測装置10に接続される。計測装置10は、励磁コイル7に交流電源9からの交流励磁信号V1が印加されたときの検出コイル8から得られる検出信号(前記誘起電圧についての電圧信号)V2の大きさと、検出信号V2の交流励磁信号V1に対する位相差(位相遅れ)Φ(図3参照)とを検出する。ここで、計測装置10には、位相差Φを検出するため、交流励磁信号V1(波形)が与えられる。なお、図3は、渦流計測における交流励磁信号V1と検出信号V2との関係を示している。
Both ends (both terminals) of the exciting coil 7 are connected to the AC power source 9. The AC power supply 9 applies a predetermined AC excitation signal (excitation AC voltage signal) V <b> 1 to the excitation coil 7. Both ends (both terminals) of the
検出コイル8によって検出される検出信号V2は、計測部位6a(ワーク6)の透磁率を反映する。つまり、計測部位6aの透磁率が高くなると、前述のような渦電流発生にともなう磁束が増して検出信号V2が大きくなり、逆に計測部位6aの透磁率が低くなると、渦電流発生にともなう磁束が減って検出信号V2が小さくなる。この渦電流に基づく検出信号V2が定量化(数値化)されるため、図3に示すように、検出信号V2の大きさの値である振幅値Yと、検出信号V2の交流励磁信号V1に対する位相差Φに起因する値である値X(=YcosΦ)とが着目され、次のような知見が得られている。
The detection signal V2 detected by the
まず、検出信号V2の振幅値Yは、焼入表面硬さ(焼入された部分の硬さ)との間に相関を有するということがある。すなわち、図1における硬さ変化曲線4と透磁率変化曲線5との比較からわかるように、焼入表面硬さが低いときには透磁率は高いという関係がある。透磁率が高いと、交流励磁信号V1が励磁コイル7に印加されたときに生じる磁束は増し、計測部位6aの表面に誘導される渦電流も増大する。これにともない、検出コイル8によって検出される検出信号V2の振幅値Yも増大する。したがって、逆に、検出コイル8によって検出される検出信号V2の振幅値Yから、渦電流が発生している計測部位6aを貫く磁束、つまり透磁率が導かれる。これにより、図1に示す硬さ変化曲線4と透磁率変化曲線5との関係から焼入表面硬さがわかる。
First, the amplitude value Y of the detection signal V2 may have a correlation with the hardened surface hardness (hardness of the hardened portion). That is, as can be seen from a comparison between the hardness change curve 4 and the permeability change curve 5 in FIG. 1, there is a relationship that the permeability is high when the quenching surface hardness is low. When the magnetic permeability is high, the magnetic flux generated when the AC excitation signal V1 is applied to the excitation coil 7 increases, and the eddy current induced on the surface of the measurement site 6a also increases. Along with this, the amplitude value Y of the detection signal V2 detected by the
次に、検出信号V2の交流励磁信号V1に対する位相差Φに起因する値Xは、焼入深さ(焼入硬化層の深さ)との間に相関を有するということがある。すなわち、焼入深さが深くなること、つまり焼入部材において焼入された硬化層1が増大することは、透磁率の低い範囲が深さ方向に増すこととなり、交流励磁信号V1に対して検出信号V2の位相遅れが増すこととなる。これにより、位相差Φに起因する値の大小から、焼入深さの深浅がわかる。
Next, the value X resulting from the phase difference Φ of the detection signal V2 with respect to the AC excitation signal V1 may have a correlation with the quenching depth (depth of the quench-hardened layer). That is, when the quenching depth becomes deep, that is, the
以上の渦流計測の原理を踏まえたうえで、本発明の実施の形態を説明する。図4及び図5に示すように、本実施形態に係る焼入パターン検査方法は、渦流センサとしての渦流貫通コイル13を用い、検査対象部品としてのワーク50についての焼入パターンの良否を判定するものである。渦流貫通コイル13は、ワーク50に対して所定の交流励磁信号V1を印加するための励磁コイル11と、交流励磁信号V1が印加されたワーク50から渦電流による検出信号V2を検出するための検出コイル12とを有する。
The embodiment of the present invention will be described based on the above principle of eddy current measurement. As shown in FIGS. 4 and 5, the quenching pattern inspection method according to the present embodiment uses the eddy
本実施形態において、ワーク50は、高周波焼入が施された鋼材(S45C等)である。図4に示すように、本実施形態に係るワーク50は、全体として軸状の部材であり、軸状の部分である軸部50bと、この軸部50bに対して拡径された部分であって筒状に形成され他の部材が連結等される継手部50cとを有する。ワーク50においては、軸部50bの略全体を含む部分に高周波焼入が施される。
In the present embodiment, the
渦流貫通コイル13は、ワーク50についての、焼入表面硬さと相関する検出信号V2の振幅値Y(第二の値、以下単に「Y値」ともいう。)、及び焼入深さと相関する位相差Φ(図3参照)に起因する値X(第一の値、以下単に「X値」ともいう。)を計測するためのセンサである。渦流貫通コイル13は、励磁コイル11及び検出コイル12を、中心軸を共通にして配置した状態で、合成樹脂等により構成されるケース14内に収容する。本実施形態では、励磁コイル11は、検出コイル12の外側に配されている(図4参照)。ケース14は、矩形の厚板形状の外形を有するとともにワーク50を挿通させるための貫通孔14aを有する(図5参照)。つまり、励磁コイル11及び検出コイル12は、各コイル中空部を貫通孔14aに位置合わせした状態でケース14内に収納される。
The eddy
このような構成の渦流貫通コイル13が、ケース14の貫通孔14aに軸状の部材であるワーク50を挿通させた状態で、ワーク50に対して、ワーク50の軸方向(図4における左右方向)に相対的に移動可能に設けられる。そして、渦流貫通コイル13が、励磁コイル11及び検出コイル12がワーク50において所望される検査部位50aに対して所定の位置となるようにセットされた状態で、ワーク50の表面に形成される焼入パターンの検査が行われる。
With the
すなわち、励磁コイル11に所定の交流励磁信号V1が印加されることにより、ワーク50の検査部位50aに渦電流が発生し、それにともなう誘起電圧についての電圧信号が、検出コイル12によって検出信号V2として検出される。そして、検査部位50aについての焼入表面硬さと相関するY値(振幅値Y)と、同じく検査部位50aについての焼入深さと相関するX値(値X=YcosΦ)とが計測される。
That is, when a predetermined AC excitation signal V1 is applied to the
図4に示すように、本実施形態に係る焼入パターン検査装置は、ワーク50についての焼入パターンの検査を行うため、渦流貫通コイル13と、この渦流貫通コイル13がケーブル15を介して接続される渦流探傷器20とを備える。渦流探傷器20は、励磁コイル11に対する交流励磁信号V1の印加や、検出コイル12によって検出される検出信号V2に基づくX値及びY値の計測や、そのX値及びY値の計測値等を用いたワーク50についての焼入パターンの良否の判定を行う。
As shown in FIG. 4, the quenching pattern inspection apparatus according to the present embodiment performs a quenching pattern inspection on the
すなわち、渦流探傷器20は、励磁コイル11に所定の交流励磁信号V1を印加するための交流電源部21(前記交流電源9に相当)と、X値及びY値を計測する渦流計測を行う計測部22(前記計測装置10に相当)とを具備する。つまり、励磁コイル11の両端子は、ケーブル15を介して交流電源部21に接続され、検出コイル12の両端子は、同じくケーブル15を介して計測部22に接続される。なお、計測部22には、位相差Φを検出するために交流励磁信号V1(波形)が与えられる。また、渦流探傷器20は、計測部22によるX値及びY値の計測値等を用いて、ワーク50についての焼入パターンの良否を判定する判定部23を具備する。
That is, the eddy
このように、本実施形態では、渦流探傷器20が、X値及びY値を計測する渦流計測を行う計測手段、及びワーク50についての焼入パターンの良否を判定する判定手段として機能する。また、渦流探傷器20には、計測部22による計測結果や判定部23による判定結果等を表示するための表示部24が備えられる。
Thus, in this embodiment, the eddy
以上のような構成を備える焼入パターン検査装置による、本実施形態に係る焼入パターン検査の具体的な内容について説明する。本実施形態の焼入パターン検査においては、図6に示すように、第一の座標軸であるX軸40xと、X軸40xに直交する第二の座標軸であるY軸40yとから定められる座標平面であるX−Y平面40が用いられる。X軸40xは、検出信号V2の交流励磁信号V1に対する位相差Φに起因する値(X値(第一の値))を示す座標軸である。Y軸40yは、検出信号V2の大きさの値である振幅値(Y値)を示す座標軸である。
A specific content of the quenching pattern inspection according to the present embodiment by the quenching pattern inspection apparatus having the above-described configuration will be described. In the quenching pattern inspection according to the present embodiment, as shown in FIG. 6, a coordinate plane defined by an
すなわち、X−Y平面40は、X値についての出力値(出力値X)を示すX軸40x、及びY値についての出力値(出力値Y)を示すY軸40yから定められる座標平面となる。したがって、出力値X及び出力値Yは、渦流探傷器20の計測部22から出力される値であり、その値は電圧値である。
That is, the
そして、図6に示すように、X軸40x及びY軸40yから定まるX−Y平面40において、ワーク50についての焼入パターンの良否を判定するための所定の許容誤差領域であるトレランスゾーン41が予め設定される。トレランスゾーン41は、渦流貫通コイル13が用いられて計測された、多数の良品についてのX値(出力値X)及びY値(出力値Y)から定まるX−Y平面40上の点の分布に基づいて設定される。
As shown in FIG. 6, a
ここで、本実施形態に係るワーク50についての良品と不良品(焼入パターン切れ品)について、図7を用いて両者を対比して説明する。図7は、高周波焼入が施された軸状の部材であるワーク50の長手方向(軸方向)を剪断方向とする断面図を示すものである。図7(a)は、良品の断面図を示している。図7(b)は、焼入パターン切れ品の断面図を示している。
Here, the non-defective product and the defective product (hardened pattern cut product) of the
図7(a)、(b)に示すように、高周波焼入が施された本実施形態に係るワーク50は、前述したように軸部50bの略全体を含む部分に高周波焼入が施される。すなわち、ワーク50においては、母材の部分である母層52に対し、軸部50bの表面の略全体にわたって焼入が施された部分である硬化層51(薄墨色部分参照)が形成される。なお、図示では省略するが、硬化層51と母層52との間には境界層が形成される。
As shown in FIGS. 7A and 7B, the
そして、図7(a)に示す良品のワーク50においては、その硬化層51について、軸方向両端部では徐々に焼入深さが浅くなる部分が形成されるものの、全体として略一定の焼入深さとなる焼入パターンが形成される。これに対し、図7(b)に示す焼入パターン切れ品のワーク50においては、その硬化層51について、途切れたり局所的に極端に浅くなったりする部分である焼入パターン切れ53が存在する。つまり、図7(a)に示すように前記のような焼入パターン切れ53が存在することなく所望の部位に均一に焼入パターン(硬化層51)が形成されているワーク50が、良品である。また、良品以外のワーク50であって、同図(b)に示すような焼入パターン切れ53が存在する焼入パターン切れ品等の、所望の部位に均一に焼入パターンが形成されていないワーク50が、不良品である。
In the
このようなワーク50についての良品・不良品の判定に用いられるトレランスゾーン41の設定に際しては、多数の良品についての渦流計測値(X値及びY値)からX−Y平面40上にプロットされる多数の点が用いられる。以下に、図6に示すX値及びY値についての渦流計測結果例を用いて、トレランスゾーン41の設定について説明する。図6は、良品及び不良品のワーク50について、交流励磁信号V1の周波数を120Hzとした場合の、出力値X(mV)及び出力値Y(mV)の渦流計測結果例を示している。
When setting the
トレランスゾーン41の設定に係る渦流計測に際しては、良品であることが既知のワーク(焼入パターンの検査対象となるワーク50とは異なる)が計測対象とされる。ここで、計測対象となるワークが良品であることは、図7に示すような断面視において焼入パターン切れの有無等について視覚的に検査する切断検査等により、ワークについて予め良品・不良品の判定が行われることによって既知となる。
In the eddy current measurement related to the setting of the
すなわち、同一の条件で高周波焼入が施されたワークが、複数(少なくとも二つ)作製される。これらのワークのうち、一部のワークについては、前記のような切断検査等によって予め良品・不良品の判定が行われる。そして、残りの一部のワークについて、X値及びY値が計測され、X−Y平面40上にプロットされる。これにより、多数の良品についてのX−Y平面40上における点(データ)が取得される。
That is, a plurality (at least two) of workpieces subjected to induction hardening under the same conditions are produced. Among these workpieces, for some workpieces, a non-defective product / defective product is determined in advance by cutting inspection as described above. Then, the X value and Y value of the remaining part of the workpiece are measured and plotted on the
図6は、X−Y平面40上において、出力値Xが−165〜−125(mV)の範囲、出力値Yが−3960〜−3820(mV)の範囲の部分を示している。かかる範囲のX−Y平面40において、多数(例えば数百個程度)の良品についてのデータ(出力値X及び出力値Y)が取得される。
FIG. 6 shows a portion of the output value X in the range of −165 to −125 (mV) and the output value Y in the range of −3960 to −3820 (mV) on the
図6に示すように、白丸で示す良品のワークについての計測点である良品データ42は、X−Y平面40上において所定の領域に集中的に分布する。具体的には、本例に係る渦流計測においては、良品データ42は、出力値Xで約−145〜−130(mV)の範囲、出力値Yで約−3940〜−3880(mV)の範囲に分布している。
As shown in FIG. 6, the
これに対し、不良品のワークについては、次のようなデータが得られた。すなわち、図6に示すように、不良品のうち、黒丸で示す焼入パターン切れ品のワークについての計測点であるパターン切れ品データ44は、X−Y平面40上において良品データ42が分布する領域から乖離した領域に位置する。ここで、焼入パターン切れ品とは、図7(b)に示すように、はっきりとした焼入パターン切れを有し、焼入パターンについての不良の程度が著しい粗悪品を指す。
On the other hand, the following data was obtained for defective products. That is, as shown in FIG. 6, among the defective products, the pattern cut
また、不良品については、焼入パターンについての不良の程度が焼入パターン切れ品と比べると低いワークを水準品とし、これについてのデータである水準品データ45が得られた。つまり、水準品とは、良品と比較すると焼入パターンが均一ではなく、硬化層51が局部的に浅くなる部分等を有し、焼入パターンについての不良の程度が中程度のワークである。水準品データ45は、X−Y平面40上において良品データ42が分布する領域から乖離した領域に位置するが、その乖離度合いがパターン切れ品データ44より低い。
In addition, for defective products, a workpiece having a lower degree of defect with respect to the quenching pattern than that of the quenched pattern was used as a standard product, and standard product data 45, which is data about this, was obtained. In other words, the standard product is a workpiece having a
このように、X−Y平面40においては、ワークについてのX値及びY値の計測点に関し、焼入パターンについての不良の程度が高くなるにつれて、良品データ42が分布する領域からの乖離度合いが高くなることがわかる。つまり、X−Y平面40上においては、その計測点の位置により、ワークについての良品と不良品との区別が明瞭に表れ、良品データ42については、所定の領域に対する集中的な分布が得られる。そこで、このようなX−Y平面40における良品データ42が分布する所定の領域が、トレランスゾーン41として予め設定され、ワーク50についての焼入パターンの良否の判定に用いられる。
As described above, in the
トレランスゾーン41は、X−Y平面40上における良品データ42についての分布のバラツキが考慮されて設定される。良品データ42の分布のバラツキは、ワーク50の検査部位50aについての導電率や透磁率や形状誤差等の性状が寄与することから、傾向性を有する。このため、良品データ42の分布のバラツキの傾向性が考慮され、焼入パターンについての不良の程度が許容できる範囲の良品がほぼ全部含まれるようにトレランスゾーン41が設定される。つまり、トレランスゾーン41は、ワーク50の検査部位50aについての導電率等による計測値のバラツキ(計測誤差)を許容する領域となる。
The
本実施形態では、図6に示すように、トレランスゾーン41の形状として、良品データ42の分布のバラツキの傾向性を考慮した形状である楕円が用いられている。つまり、X−Y平面40上における、トレランスゾーン41とそれ以外の部分との境界線43が楕円形状となる。なお、トレランスゾーン41を表すX−Y平面40や、このX−Y平面40上において渦流計測値(出力値X及び出力値Y)に基づいて定まる(プロットされる)点等は、渦流探傷器20に接続されるコンピュータ等が用いられて適宜表示される。
In the present embodiment, as shown in FIG. 6, an ellipse having a shape that takes into account the tendency of variation in the distribution of the
このように、X−Y平面40において予めトレランスゾーン41が設定され、焼入パターンの良否の判定に係るワーク50についての渦流計測値に基づいて定まる点が、トレランスゾーン41内にあれば良品とされ、トレランスゾーン41外であれば不良品とされる。これにより、ワーク50についての焼入パターンの良否が判定される。
In this way, if the
なお、トレランスゾーンの設定に際しては、ワークの温度変化にともなう渦流計測値の変動を考慮することもできる。トレランスゾーンが、ワークの温度変化が考慮されて設定される場合について説明する。 In setting the tolerance zone, it is also possible to take into account fluctuations in the eddy current measurement values due to changes in the workpiece temperature. A case where the tolerance zone is set in consideration of the temperature change of the workpiece will be described.
この場合、図8(a)に示すように、X軸40x及びY軸40yから定まるX−Y平面40において設定されるトレランスゾーン46は、渦流貫通コイル13が用いられて計測された、多数の良品についてのX値(出力値X)及びY値(出力値Y)に基づいて定まるX−Y平面40上の各点が、予め想定されるワーク50の温度変化範囲で温度ドリフトさせられた点の分布に基づいて設定される。
In this case, as shown in FIG. 8A, the
トレランスゾーン46の設定に際しては、多数の良品についての渦流計測値(X値及びY値)からX−Y平面40上にプロットされる多数の点であって、さらにこれらが予め想定されるワーク50の温度変化範囲で温度ドリフトさせられたものが用いられる。以下に、図8に示すX値及びY値についての渦流計測結果例を用いて、トレランスゾーン46の設定について説明する。図8は、良品及び不良品のワーク50について、交流励磁信号V1の周波数を38Hzとした場合の、出力値X(mV)及び出力値Y(mV)の渦流計測結果例及びそれらの温度ドリフト例を示している。
In setting the
図8は、X−Y平面40上において、出力値Xが320〜355(mV)の範囲、出力値Yが−610〜−565(mV)の範囲の部分を示している。かかる範囲のX−Y平面40において、多数(例えば数百個程度)の良品についてのデータ(出力値X及び出力値Y)が取得される。
FIG. 8 shows a portion of the output value X in the range of 320 to 355 (mV) and the output value Y in the range of −610 to −565 (mV) on the
図8に示すように、良品データ42は、X−Y平面40上において所定の領域に集中的に分布する。そして、これらのデータは、ワークの温度変化によって温度ドリフトする。なお、ここでの「温度ドリフト」とは、得られるデータの値がワークの温度によって変動することをいう。
As shown in FIG. 8, the
具体的には、図8(b)に示すように、本例に係る渦流計測においては、ワークの温度が常温(本例では約25℃)の場合において、良品データ42は、出力値Xで約334〜340(mV)の範囲、出力値Yで約−587〜−578(mV)の範囲に分布している(分布領域42A参照)。そして、良品データ42の温度ドリフトについては、図8(b)に示すように、本例においては、前記のようにワークの温度が常温(約25℃)の場合の良品データ42(分布領域42A参照)に対し、これらが高温側についてはワークの温度が約50℃とされ(分布領域42B参照)、低温側についてはワークの温度が約5℃とされて(分布領域42C参照)、それぞれ温度ドリフトさせられている。
Specifically, as shown in FIG. 8B, in the eddy current measurement according to this example, when the temperature of the workpiece is normal temperature (about 25 ° C. in this example), the
図8(b)に示す良品データ42の温度ドリフト例からわかるように、X−Y平面40上における良品データ42の温度ドリフトは、所定の方向性を有する(矢印D1参照)。ここで、渦流計測における温度ドリフトは、次のような原理に基づく。すなわち、ワークにおいて、温度変化は抵抗率(電気抵抗率)に影響し、抵抗率の逆数は導電率(電気伝導率)である。このため、ワークの温度変化は、導電率の変化として表れる。そして、渦流計測において、ワークの導電率の変化は、検出信号V2の振幅値及び位相差Φの変化、つまり渦流計測値(X値及びY値)の変化となる。したがって、良品データ42等のX−Y平面40上における計測点は、ワークの温度が変化することにより移動する。こうしたワークの温度変化によるX−Y平面40上における良品データ42の移動(温度ドリフト)の方向性が、図8(b)において矢印D1で示す所定の方向性となる。
As can be seen from the temperature drift example of the
これに対し、不良品のワークについては、次のようなデータが得られた。すなわち、図8(b)に示すように、パターン切れ品データ44は、X−Y平面40上において良品データ42が分布する領域から乖離した領域に位置する。
On the other hand, the following data was obtained for defective products. That is, as shown in FIG. 8B, the pattern cut
また、パターン切れ品データ44についての温度ドリフト例について、前述した良品データ42の場合と同様の温度条件とした温度ドリフト例を示す。すなわち、図8(b)に示すように、パターン切れ品データ44の温度ドリフトについては、ワークの温度が常温(約25℃)の場合のパターン切れ品データ44(分布領域44A参照)に対し、これらが高温側についてはワークの温度が約50℃とされ(分布領域44B参照)、低温側についてはワークの温度が約5℃とされて(分布領域44C参照)、それぞれ温度ドリフトさせられている。X−Y平面40上におけるパターン切れ品データ44の温度ドリフトは、良品データ42のそれと同様、所定の方向性を有する(矢印D2参照)。
In addition, an example of temperature drift with respect to the pattern
これらの良品データ42及びパターン切れ品データ44それぞれの温度ドリフト例からわかるように、X−Y平面40上における各データ42・44の温度ドリフトの方向性はほぼ共通している(矢印D1と矢印D2とが略平行となっている)。つまり、良品データ42及びパターン切れ品データ44は、いずれもX−Y平面40上においてワークの温度変化に対して同等程度の影響を受ける。
As can be seen from the temperature drift examples of the
なお、ワークの温度変化によるX−Y平面40上におけるデータのドリフト方向は、渦流貫通コイル13の励磁コイル11における交流励磁信号V1の周波数によって異なることとなる。このことは、X−Y平面40が導電率及び透磁率に対するインピーダンスの関係を示すインピーダンス平面に対応することに起因する。
Note that the data drift direction on the
このように、X−Y平面40においては、ワークについてのX値及びY値の計測点に関し、焼入パターンについての不良の程度が高い場合、良品データ42が分布する領域から乖離することがわかる。また、X−Y平面40上における計測点は、前述のように、良品データ42及びパターン切れ品データ44のいずれについてもワークの温度変化による影響を同等に受けて温度ドリフトする。そこで、このようなX−Y平面40における、ワークの温度変化にともなう温度ドリフトが加味された良品データ42が分布する所定の領域が、トレランスゾーン46として予め設定され、ワーク50についての焼入パターンの良否の判定に用いられる。
As described above, in the
トレランスゾーン46は、X−Y平面40上における良品データ42についての分布のバラツキ及びそれらの温度ドリフトが考慮されて設定される。良品データ42の分布のバラツキは、ワーク50の検査部位50aについての導電率や透磁率や形状誤差等の性状が寄与することから傾向性を有する。また、良品データ42の温度ドリフトは、ワーク50の検査部位50aについての温度(導電率)が寄与することから方向性を有する。これらのため、良品データ42の分布のバラツキの傾向性及び温度ドリフトの方向性が考慮され、焼入パターンについての不良の程度が許容できる範囲の良品がほぼ全部含まれるようにトレランスゾーン46が設定される。つまり、トレランスゾーン46は、ワーク50の検査部位50aについての導電率等の性状や温度による計測値のバラツキ(計測誤差)を許容する領域となる。
The
本実施形態では、図8に示すように、トレランスゾーン46の形状として、良品データ42の分布のバラツキの傾向性及び温度ドリフトの方向性を考慮した形状である楕円が用いられている。つまり、X−Y平面40上における、トレランスゾーン46とそれ以外の部分との境界線43が楕円形状となる。以上のようにして、ワークの温度変化が考慮されて設定される。これにより、渦流計測においてワーク50の温度変化による計測値に対する影響を排除することができ、検査の信頼性を向上させることができる。
In the present embodiment, as shown in FIG. 8, an ellipse having a shape that takes into account the tendency of variation in the distribution of
このようなトレランスゾーン41(あるいは温度ドリフトが加味されたトレランスゾーン46、以下同じ。)が用いられる判定、つまりはワーク50についての計測点がトレランスゾーン41内にあるか否かの判断に際しては、トレランスゾーン41を区画する境界線43に対する距離を示す指標として、分離値という値が用いられる。
In determining whether such a tolerance zone 41 (or
分離値とは、X−Y平面40上におけるトレランスゾーン41を区画する境界線43に対するこの境界線43の形状に沿う距離の値である。したがって、本実施形態のように楕円形状であるトレランスゾーン41に対しては、分離値が同じ値である計測点については、X−Y平面40上における境界線43に対する長軸の方向の距離に対して境界線43に対する短軸の方向の距離は短くなる。つまり、X−Y平面40上において、楕円形状のトレランスゾーン41に対して分離値が同じ値となる点の集合は、トレランスゾーン41の楕円形状に沿う楕円形状となる。また、分離値については、ワーク50についての計測点がトレランスゾーン41の境界線43上に位置する場合を分離値=1とする。
The separation value is a value of a distance along the shape of the
このようにトレランスゾーン41が用いられて行われる焼入パターン検査方法について、図9に示す判定アルゴリズムのフロー図に従って説明する。まず、X−Y平面40上における良品データ42の分布のバラツキから、トレランスゾーン41が設定される(S100)。つまり、渦流計測が行われることによって予め良品であることが既知のワークについての多数の計測点(良品データ42)が取得され、これらの良品データ42の分布のバラツキが考慮されてトレランスゾーン41が設定される。
The quenching pattern inspection method performed using the
なお、ステップS100において、温度ドリフトが加味されたトレランスゾーン46が用いられる場合は、X−Y平面40上における良品データ42の分布のバラツキ及び温度ドリフトから、トレランスゾーン46が設定される。つまり、トレランスゾーン46は、良品データ42の分布のバラツキに加え、温度ドリフトが考慮されて設定される。ここで、温度ドリフトについては、前記のとおり予め想定されるワーク50(の検査部位50a)の温度変化範囲で良品データ42が温度ドリフトさせられる。予め想定される温度変化範囲とは、焼入パターンの検査に際し、ワーク50を渦流計測するタイミングや温度環境等の温度状況に基づく。つまり、渦流計測するタイミングについては、渦流計測が高周波焼入等の焼入工程直後であるか否か等が関係し、温度環境については、季節や地域等が関係する。
In step S100, when the
具体的に本実施形態では、予め想定される温度変化範囲として、高温側については、ワーク50が最も高温となる温度状況と考えられる焼入工程直後のワーク50の温度として約50℃が採用され、低温側については、ワーク50が最も低温となる温度状況として真冬の朝一番のワーク50の温度として約5℃が採用される。つまり、予め想定される温度変化範囲が約5〜約50℃とされ、この温度変化範囲で多数の良品データ42がX−Y平面40上において温度ドリフトさせられる。
Specifically, in the present embodiment, as the temperature change range assumed in advance, about 50 ° C. is adopted as the temperature of the
なお、良品データ42の温度ドリフトが加味されたトレランスゾーン46の設定に際しては、次のような方法を用いることもできる。すなわち、ある温度状況の下において、渦流貫通コイル13が用いられて計測された、多数の良品データ42の分布に基づき、X−Y平面40にて例えば楕円形状の分布領域が設定される。そして、その分布領域が、予め想定されるワーク50の温度変化範囲で例えば所定温度間隔毎(5℃毎等)で温度ドリフトさせられ、各分布領域が含まれるように、例えば楕円形状としてトレランスゾーン46が設定される。
In setting the
次に、焼入パターンの検査対象であるワーク50の渦流計測値(X値及びY値)から、X−Y平面40上における分離値が算出される(S110)。つまり、渦流貫通コイル13が用いられてワーク50についての渦流計測が行われ、その出力値X及び出力値YからX−Y平面40上に計測点がプロットされ、その計測点のトレランスゾーン41に対する分離値が算出される。
Next, a separation value on the
そして、算出した分離値の値が1以下の場合、そのワーク50は良品であるとするOK判定が行われる(S120)。つまり、分離値の値が1以下であるということは、そのワーク50についての計測点が、境界線43上を含むトレランスゾーン41内に存在するということとなるので、そのワーク50が良品と判定される。
If the calculated separation value is 1 or less, an OK determination is made that the
一方、算出した分離値の値が1より大きい場合、そのワーク50は不良品である(良品ではない)とするNG判定が行われる(S130)。つまり、分離値の値が1より大きいということは、そのワーク50についての計測点が、トレランスゾーン41外に存在するということとなるので、そのワーク50が不良品と判定される。
On the other hand, if the calculated separation value is larger than 1, an NG determination is made that the
このような判定アルゴリズムが、渦流探傷器20に具備される判定部23において実行される。すなわち、渦流探傷器20は、X−Y平面40にて、計測部22により計測された、多数の良品データ42の分布に基づき、トレランスゾーン41を予め設定し、計測部22により計測された、ワーク50の検査部位50aについてのX値及びY値に基づいて定まるX−Y平面40上の点(以下「計測点」という。)が、トレランスゾーン41内にあるか否かにより、ワーク50についての焼入パターンの良否を判定する判定手段として機能する。
Such a determination algorithm is executed in the
以上のように、本実施形態の焼入パターン検査方法は、渦流貫通コイル13を用い、X値とY値とを計測する渦流計測を行うものであり、X−Y平面40にて、渦流計測により計測した、多数の良品データ42の分布に基づき、トレランスゾーン41を予め設定する。そして、渦流計測により、ワーク50の検査部位50aについてのX値及びY値を計測し、計測点が、トレランスゾーン41内にあるか否かにより、ワーク50についての焼入パターンの良否を判定する。
As described above, the quenching pattern inspection method of the present embodiment performs eddy current measurement using the eddy
以上のような焼入パターン検査において、ワーク50の検査部位50aの渦流計測値(X値及びY値)について、渦流貫通コイル13や渦流探傷器20等を含む計測系の温度変化に起因して生じる誤差に対する補正(以下「温度補正」という。)が行われる。すなわち、渦流貫通コイル13や渦流探傷器20等の計測機器によって構成される渦流計測の計測系の温度変化は、渦流計測の原理から、ワーク50の検査部位50aについて計測される渦流計測値に影響して誤差を生じさせる。そこで、ワーク50の検査部位50aについて計測される渦流計測値について温度補正が行われる。
In the quenching pattern inspection as described above, the eddy current measurement values (X value and Y value) of the
本実施形態では、渦流計測値についての温度補正は、主に、計測系における電源がONの状態とされてから、経時的に変化(上昇)する計測系の温度が安定するまでの間に計測される渦流計測値(X値及びY値)について行われる。すなわち、本実施形態の焼入パターン検査装置においては、渦流探傷器20の交流電源部21による渦流貫通コイル13(励磁コイル11)に対する電圧の印加(渦流貫通コイル13の通電)が開始されてから、渦流計測値が安定する状態である計測系の温度が安定した状態となるまで、相当程度の時間が必要とされる。したがって、渦流貫通コイル13の通電が開始されてから、計測系の温度が安定した状態となるまでの間に計測される渦流計測値は、計測系の温度が安定している状態で計測される渦流計測値に対して誤差を有する。
In the present embodiment, the temperature correction for the eddy current measurement value is mainly performed during the period from when the power supply in the measurement system is turned on until the temperature of the measurement system that changes (increases) with time is stabilized. The eddy current measurement values (X value and Y value) are performed. That is, in the quenching pattern inspection apparatus of the present embodiment, voltage application to the eddy current penetrating coil 13 (excitation coil 11) by the AC
つまり、計測系の温度が安定している状態においては、計測される渦流計測値の出力値は、計測系の温度変化の影響を受けない分、安定し、ある値に収束する(十分に小さい誤差範囲内に収まる)が、計測系の温度が安定した状態となるまでに計測される渦流計測値は、収束する値に対して誤差を有する。ここで、渦流計測値の収束する値に対する誤差の大きさは、渦流計測値が計測された時点での計測系の温度の、計測系の安定した状態での温度に対する差(温度差)の大きさに依存する。このような計測系の温度が安定した状態となるまでの間に計測される渦流計測値の、計測系の温度が安定することによって収束する値に対する誤差が、温度補正によって解消される。 In other words, when the temperature of the measurement system is stable, the output value of the measured eddy current measurement value is stable and converges to a certain value because it is not affected by the temperature change of the measurement system (small enough) However, the eddy current measurement value measured until the temperature of the measurement system becomes stable has an error with respect to the converged value. Here, the magnitude of the error with respect to the convergence value of the eddy current measurement value is the difference between the temperature of the measurement system at the time when the eddy current measurement value is measured and the temperature in a stable state of the measurement system (temperature difference). Depends on the size. The error of the eddy current measurement value measured until the temperature of the measurement system becomes stable and the value converged when the temperature of the measurement system is stabilized is eliminated by the temperature correction.
渦流計測値の温度補正には、基準部品60が用いられる(図10参照)。基準部品60は、ワーク50と同様に、渦流貫通コイル13が用いられて行われる渦流計測の対象となる。したがって、基準部品60は、全体として軸状の部材であるワーク50と同様に渦流貫通コイル13による渦流計測が可能な形状を有する。本実施形態では、基準部品60は、図10に示すように、円柱棒状の形状を有する。
The
基準部品60は、少なくとも材質、渦流貫通コイル13に対する充填率、及び表面性状についてワーク50を模したものである。ここで、材質についてワーク50を模するとは、基準部品60を構成する材料として、ワーク50を構成する材料と同等の特性を備えた材料が用いられることを意味する。したがって、例えば、ワーク50を構成する材料がS45Cである場合、基準部品60は、ワーク50と同じS45C、あるいはS45Cと性質が近似する材料によって構成される。
The
また、渦流貫通コイル13に対する充填率(以下「コイル充填率」という。)とは、渦流貫通コイル13(の励磁コイル11または検出コイル12)の径(平均径)に対する、被検部材(渦流計測の対象部品)の径の割合である。したがって、例えば被検部材がワーク50である場合において、渦流貫通コイル13の貫通孔14a内に位置する検査部位50aの径がd1、渦流貫通コイル13の径がd2のときには、コイル充填率は、d1/d2で表される。
The filling rate (hereinafter referred to as “coil filling rate”) for the eddy
そこで、コイル充填率についてワーク50を模するとは、基準部品60のコイル充填率が、ワーク50のコイル充填率と同等とされることを意味する。具体的には、共通の渦流貫通コイル13に対するコイル充填率が同じ値となるように、基準部品60の径が、ワーク50の径と同じ大きさあるいは近似する大きさとして設定される。また、ワーク50の検査部位50aが部分的に異なる径を有する場合、例えば、検査部位50aの径の平均値についてのコイル充填率が、基準部品60のコイル充填率となるように基準部品60の径が設定される。また、同じくワーク50の検査部位50aが部分的に異なる径を有する場合、例えば、基準部品60において、検査部位50aが有する複数の異なる径の部分が形成され、これらの各部分が、検査部位50aにおける径の異なる各部分に対応させられる。
Therefore, imitating the
また、表面性状についてワーク50を模するとは、基準部品60の表面性状が、ワーク50の表面性状と同等とされることを意味する。具体的には、基準部品60についてのワーク50と同等の表面性状は、例えば、部品の表面に対する機械加工の精度や表面処理の方法が、ワーク50と共通とされることにより実現される。
Further, imitating the
また、基準部品60については、ワーク50と同様の高周波焼入を施すことが考えられる。ただし、基準部品60の長期的な使用によって表面に錆びが発生することによる渦流計測値に対する影響を防止する観点からは、基準部品60に対しては、高周波焼入は施されないことが好ましい。一方で、基準部品60の短期的な使用において、ワーク50に対してより近い表面性状を得る観点からは、基準部品60に対してもワーク50と同様の高周波焼入が施されることが好ましい。
Further, it is conceivable that the
このように、材質、コイル充填率、及び表面性状についてワーク50を模した基準部品60が、予め準備される。この基準部品60が用いられて、計測系の温度変化にともなう、基準部品60についての渦流計測値の変化と、基準となる所定のワーク(焼入パターンの検査対象となるワーク50とは異なるワーク、以下「基準ワーク」という。)についての渦流計測値の変化とが計測される。つまり、経時的に変化する共通の計測系の温度状況の下において、基準部品60及び基準ワークそれぞれについての渦流計測値の変化が計測される。そして、基準部品60についての渦流計測値の変化と、基準ワークについての渦流計測値の変化との間において、所定の関係性が導かれ、かかる関係性が、温度補正についての検量線(グラフ)として用いられる。
Thus, the reference |
すなわち、基準部品60及び基準ワークそれぞれについての、計測系の温度変化にともなう渦流計測値の変化から、基準部品60と基準ワークとの間における渦流計測値の変化同士の関係性を表す検量線が予め作成される。そして、この検量線に基づいて、温度補正における補正量が導かれ、ワーク50について計測された渦流計測値(X値及びY値)が補正される。ここで、基準ワークとしては、例えば、トレランスゾーン41の設定に際して用いられるワークと同様、良品であることが既知のワークが用いられる。
That is, for each of the
基準部品60についての渦流計測は、ワーク50と同様にして渦流貫通コイル13が用いられて行われる。すなわち、図10に示すように、基準部品60についての渦流計測に際しては、渦流貫通コイル13が、ケース14の貫通孔14aに円柱棒状の基準部品60を挿通させた状態となる。かかる状態において、励磁コイル11に所定の交流励磁信号V1が印加されることにより、基準部品60の表面近傍に渦電流が発生し、それにともなう誘起電圧についての電圧信号が、検出コイル12によって検出信号V2として検出される。これにより、基準部品60についての渦流計測値が計測される。
The eddy current measurement for the
温度補正に用いられる検量線は、基準部品60及び基準ワークそれぞれについての渦流計測値の変化同士の間において、次のような相関関係を表すものとなる。すなわち、本実施形態において、温度補正に用いられる検量線は、渦流貫通コイル13の通電による経時的な温度変化(以下「経時温度変化」という。)にともなう、基準部品60についてのX値及びY値のいずれか一方の値の変化と、基準ワークについてのX値及びY値それぞれの経時温度変化における収束値として予め任意に設定される基準値に対する変化量の変化との相関関係を表す。
The calibration curve used for the temperature correction represents the following correlation between changes in the eddy current measurement values for the
したがって、検量線が表される座標平面における一方の座標軸(例えば横軸)は、基準部品60について計測されるX値及びY値のいずれか一方の出力値(出力値Xまたは出力値Y)を示すものとなる。また、同じく検量線が表される座標平面における他方の座標軸(例えば縦軸)は、X値についての検量線の場合は、基準ワークについて計測されるX値の、基準値に対する変化量(以下「出力値X変化量」という。)を示すものとなり、Y値についての検量線の場合は、基準ワークについて計測されるY値の、基準値に対する変化量(以下「出力値Y変化量」という。)を示すものとなる。
Therefore, one coordinate axis (for example, the horizontal axis) on the coordinate plane on which the calibration curve is represented has an output value (output value X or output value Y) of either the X value or the Y value measured for the
つまり、温度補正に用いられる検量線としては、ワーク50について計測されるX値及びY値それぞれの補正に用いられる検量線が作成される。言い換えると、温度補正においては、基準部品60についての出力値X及び出力値Yのいずれか一方との関係において、基準ワークの出力値X変化量に基づいて作成される検量線(X値についての検量線)と、基準ワークの出力値Y変化量に基づいて作成される検量線(Y値についての検量線)とが、予め求められる。
That is, as a calibration curve used for temperature correction, a calibration curve used for correcting each of the X value and Y value measured for the
ここで、出力値X変化量及び出力値Y変化量が算出されるに際して用いられる、X値及びY値それぞれについての基準値は、前記のとおり経時温度変化における収束値として予め任意に設定される。すなわち、前述したように、渦流計測値の出力値は、計測系の温度が安定している状態において収束する値が得られる。そこで、このように経時温度変化において計測系の温度が安定した状態で得られる任意の収束値が、X値及びY値それぞれについての基準値として用いられる。このため、経時温度変化において、基準値に対して小さい値となる渦流計測値(X値及びY値)については、出力値X変化量及び出力値Y変化量はそれぞれ負の値(マイナスの値)となる。以下では、出力値X変化量の算出に用いられるX値についての基準値を「X基準値」とし、出力値Y変化量の算出に用いられるY値についての基準値を「Y基準値」とする。 Here, the reference value for each of the X value and the Y value used when calculating the output value X change amount and the output value Y change amount is arbitrarily set in advance as the convergence value in the temporal temperature change as described above. . That is, as described above, the output value of the eddy current measurement value is a value that converges when the temperature of the measurement system is stable. Therefore, an arbitrary convergence value obtained in such a manner that the temperature of the measurement system is stable in the temperature change with time is used as a reference value for each of the X value and the Y value. For this reason, for the eddy current measurement values (X value and Y value) that are smaller than the reference value in the temperature change with time, the output value X change amount and the output value Y change amount are negative values (negative values), respectively. ) In the following, the reference value for the X value used for calculating the output value X variation is referred to as “X reference value”, and the reference value for the Y value used for calculating the output value Y variation is referred to as “Y reference value”. To do.
本実施形態において、温度補正に用いられる検量線は、具体的には次のようにして作成される。検量線の作成方法の一例について説明する。なお、本例では、基準部品60についての出力値X及び出力値Yのうち、出力値Xが用いられる場合について説明する。
In the present embodiment, the calibration curve used for temperature correction is specifically created as follows. An example of a method for creating a calibration curve will be described. In this example, a case where the output value X is used among the output value X and the output value Y for the
本例に係る検量線の作成方法では、経時温度変化として、渦流貫通コイル13の通電が開始されてから、渦流計測値が安定する状態である計測系の温度が安定した状態となるまでの温度変化が採用される。かかる経時温度変化において、所定の基準時からの等時間間隔(例えば10分)経過毎の時刻t1、t2、t3、t4、t5それぞれの時点で、基準部品60についてのX値、ならびに基準ワークについてのX値及びY値が計測される。
In the method for creating a calibration curve according to this example, the temperature from the start of energization of the eddy current through
本例において、時刻t1から時刻t5にかけて、計測系の温度は徐々に上昇する。こうした計測系の温度の変化(上昇)が計測されながら、計測系の温度変化(経時温度変化)にともなう、基準部品60及び基準ワークについての渦流計測値の変化が計測される。ここで、計測系の温度としては、例えば熱電対等が用いられて計測される渦流貫通コイル13の温度が用いられる。したがって、時刻t1における渦流貫通コイル13の温度(以下「コイル温度」という。)がT1、時刻t2におけるコイル温度がT2、時刻t3におけるコイル温度がT3、時刻t4におけるコイル温度がT4、時刻t5におけるコイル温度がT5であるとすると、各時刻におけるコイル温度の間には、T1<T2<T3<T4<T5の関係が成り立つ。
In this example, the temperature of the measurement system gradually increases from time t1 to time t5. While such a change (rise) in the temperature of the measurement system is measured, a change in the eddy current measurement value for the
X値についての検量線は、次のようにして作成される。各時刻t1、t2、t3、t4、t5における基準部品60の出力値Xの値として、SPx1、SPx2、SPx3、SPx4、SPx5が得られたとする。また、各時刻t1、t2、t3、t4、t5における基準ワークの出力値Xの値として、SWx1、SWx2、SWx3、SWx4、SWx5が得られたとする。そして、これら各時刻における基準ワークの出力値Xについての出力値X変化量が、Dx1、Dx2、Dx3、Dx4、Dx5として算出されたとする。つまりこの場合、X基準値がSVxであるとすると、時刻t1についての出力値X変化量Dx1は、Dx1=SWx1−SVxとして算出される。同様にして、他の各時刻t2〜t5についての出力値X変化量Dx2〜Dx5は、それぞれ、Dx2=SWx2−SVx、Dx3=SWx3−SVx、Dx4=SWx4−SVx、Dx5=SWx5−SVxとして算出される。
A calibration curve for the X value is created as follows. Assume that SPx1, SPx2, SPx3, SPx4, and SPx5 are obtained as the output value X of the
このようにして計測等された各時刻における基準部品60の出力値Xと、基準ワークの出力値X変化量とが、所定の座標平面にプロットされる。本例においては、図11に示すように、横軸を基準部品60の出力値Xとし、縦軸を基準ワークの出力値X変化量とする座標平面が用いられる。したがって、かかる座標平面上の点として、時刻t1における基準部品60の出力値Xの値であるSPx1と、基準ワークの出力値X変化量Dx1とから定まる点Px1が得られる。同様にして、時刻t2における出力値Xの値SPx2と出力値X変化量Dx2とから定まる点Px2、時刻t3における出力値Xの値SPx3と出力値X変化量Dx3とから定まる点Px3、時刻t4における出力値Xの値SPx4と出力値X変化量Dx4とから定まる点Px4、時刻t5における出力値Xの値SPx5と出力値X変化量Dx5とから定まる点Px5が得られる。
The output value X of the
そして、座標平面上にて得られた各点Px1〜Px5に基づいて、検量線が導かれる。本例においては、点Px1〜Px5の分布について、最小自乗法が用いられて所定の傾き及び切片を有する一次関数(直線)が近似されることで、検量線SLxが得られる。このようにして作成された検量線SLxは、経時温度変化にともなう、基準部品60についてのX値の変化と、基準ワークの出力値X変化量の変化との相関関係を表すものとなる。
A calibration curve is derived based on the points Px1 to Px5 obtained on the coordinate plane. In this example, a calibration curve SLx is obtained by approximating a linear function (straight line) having a predetermined slope and intercept using the least square method for the distribution of the points Px1 to Px5. The calibration curve SLx created in this way represents the correlation between the change in the X value for the
なお、本例では、点Px1〜Px5に基づいて導かれる検量線SLxが、最小自乗法による直線として求められているが、これに限定されるものではない。検量線としては、点Px1〜Px5の分布にフィットする、直線以外の他の近似線(曲線)が用いられてもよい。 In this example, the calibration curve SLx derived based on the points Px1 to Px5 is obtained as a straight line by the method of least squares, but is not limited to this. As the calibration curve, an approximate line (curve) other than a straight line that fits the distribution of the points Px1 to Px5 may be used.
また、Y値についての検量線は、X値についての検量線の場合と同様にして作成される。すなわち、各時刻t1、t2、t3、t4、t5における基準ワークの出力値Yの値として、SWy1、SWy2、SWy3、SWy4、SWy5が得られたとする。そして、これら各時刻における基準ワークの出力値Yについての出力値Y変化量が、Dy1、Dy2、Dy3、Dy4、Dy5として算出されたとする。つまりこの場合、Y基準値がSVyであるとすると、時刻t1についての出力値Y変化量Dy1は、Dy1=SWy1−SVyとして算出される。同様にして、他の各時刻t2〜t5についての出力値X変化量Dy2〜Dy5は、それぞれ、Dy2=SWy2−SVy、Dy3=SWy3−SVy、Dy4=SWy4−SVy、Dy5=SWy5−SVyとして算出される。 The calibration curve for the Y value is created in the same manner as the calibration curve for the X value. That is, it is assumed that SWy1, SWy2, SWy3, SWy4, and SWy5 are obtained as the output value Y of the reference workpiece at each time t1, t2, t3, t4, and t5. Then, it is assumed that the output value Y change amount for the output value Y of the reference workpiece at each time is calculated as Dy1, Dy2, Dy3, Dy4, and Dy5. That is, in this case, if the Y reference value is SVy, the output value Y change amount Dy1 at time t1 is calculated as Dy1 = SWy1−SVy. Similarly, output value X change amounts Dy2 to Dy5 for other times t2 to t5 are calculated as Dy2 = SWy2-SVy, Dy3 = SWy3-SVy, Dy4 = SWy4-SVy, Dy5 = SWy5-SVy, respectively. Is done.
そして、図12に示すように、各時刻における基準部品60の出力値Xと、基準ワークの出力値Y変化量とが、横軸を基準部品60の出力値Xとし、縦軸を基準ワークの出力値Y変化量とする座標平面にプロットされる。つまり、かかる座標平面上の点として、時刻t1における基準部品60の出力値Xの値であるSPy1と、基準ワークの出力値Y変化量Dy1とから定まる点Py1が得られる。同様にして、時刻t2における出力値Xの値SPx2と出力値Y変化量Dy2とから定まる点Py2、時刻t3における出力値Xの値SPx3と出力値Y変化量Dy3とから定まる点Py3、時刻t4における出力値Xの値SPx4と出力値Y変化量Dy4とから定まる点Py4、時刻t5における出力値Xの値SPx5と出力値Y変化量Dy5とから定まる点Py5が得られる。
Then, as shown in FIG. 12, the output value X of the
そして、座標平面上にて得られた各点Py1〜Py5に基づいて、最小自乗法が用いられて所定の傾き及び切片を有する一次関数(直線)が近似されることで、検量線SLyが得られる。このようにして作成された検量線SLyは、経時温度変化にともなう、基準部品60についてのX値の変化と、基準ワークの出力値Y変化量の変化との相関関係を表すものとなる。
Based on the points Py1 to Py5 obtained on the coordinate plane, a calibration function SLy is obtained by approximating a linear function (straight line) having a predetermined slope and intercept using the least square method. It is done. The calibration curve SLy created in this way represents the correlation between the change in the X value for the
以上のようにして作成された検量線SLx及び検量線SLyが用いられて温度補正が行われる。すなわち、X値については、検量線SLxから導かれる基準部品60についてのX値(出力値X)に対応する出力値X変化量が補正量とされ、ワーク50の検査部位50aについて計測されたX値が補正される。また、Y値については、検量線SLyから導かれる基準部品60についてのX値(出力値X)に対応する出力値Y変化量が補正量とされ、ワーク50の検査部位50aについて計測されたY値が補正される。
The calibration is performed using the calibration curve SLx and the calibration curve SLy created as described above. That is, for the X value, the output value X variation corresponding to the X value (output value X) for the
具体的には、ワーク50の検査部位50aについて計測されたX値の補正については、図11に示すように、例えば基準部品60の出力値Xの値がSPxaであったとする。この場合、値SPxaに対応する検量線SLx上の点における出力値X変化量Dxaが、検量線SLxから導かれる基準部品60についてのX値に対応する出力値X変化量として求められる。つまりこの場合、出力値X変化量Dxaが、検査部位50aについて計測されたX値に対する補正量となる。
Specifically, regarding the correction of the X value measured for the
ワーク50の検査部位50aについて計測されたY値の補正も、X値の補正の場合と同様にして行われる。すなわち、図12に示すように、例えば基準部品60の出力値Xの値がSPyaであったとする。この場合、値SPyaに対応する検量線SLy上の点における出力値Y変化量Dyaが、検量線SLyから導かれる基準部品60についてのX値に対応する出力値Y変化量として求められる。つまりこの場合、出力値Y変化量Dyaが、検査部位50aについて計測されたY値に対する補正量となる。
The correction of the Y value measured for the
すなわち、出力値X変化量は、X値についての、計測系の温度が安定した状態で得られる任意の収束値であるX基準値に対する変化量(差)である。このため、計測系の温度が安定するまでの間に計測されたX値に対して、出力値X変化量がX基準値に対して変化している分(足りない分)が加算されることで、計測されたX値のX基準値に対する誤差が補正される。同様の理由により、計測系の温度が安定するまでの間に計測されたY値に対して、出力値Y変化量がY基準値に対して変化している分が加算されることで、計測されたY値のY基準値に対する誤差が補正される。 That is, the output value X change amount is a change amount (difference) with respect to the X reference value, which is an arbitrary convergent value obtained with the measurement system temperature being stable. For this reason, the amount of change in the output value X change with respect to the X reference value (the amount that is insufficient) is added to the X value measured until the temperature of the measurement system is stabilized. Thus, the error of the measured X value with respect to the X reference value is corrected. For the same reason, measurement is performed by adding the amount of change in the output value Y relative to the Y reference value to the Y value measured until the temperature of the measurement system is stabilized. The error of the Y value thus made with respect to the Y reference value is corrected.
したがって、このようなX値及びY値についての温度補正に際しては、ワーク50の検査部位50aについての渦流計測とともに、同じタイミングで基準部品60についての渦流計測が行われ、基準部品60についてのX値が計測される。そして、基準部品60の出力値Xから、検量線SLx及び検量線SLyに基づいて、ワーク50の検査部位50aについてのX値及びY値の補正が行われる。
Therefore, when the temperature correction is performed for the X value and the Y value, the eddy current is measured for the
以上のようにして行われる温度補正は、経時温度変化によって変化する渦流計測値を、温度指標として用いたものである。すなわち、前述したように、渦流計測においては、その原理から、温度の影響を受けて変化する抵抗率(電気抵抗率)の逆数である導電率が変化することにより、渦流計測値が変化する。そこで、逆に、渦流計測値の変化から、経時温度変化による渦流計測値に対する影響が、検量線として予め導き出され、かかる検量線によって温度補正が行われる。つまりは、本実施形態の温度補正は、温度センサ等を用いて計測系の温度を計測する代わりに、経時温度変化によって変化する渦流計測値を、温度指標として逆利用したものである。 The temperature correction performed as described above uses an eddy current measurement value that changes due to a temperature change over time as a temperature index. That is, as described above, in the eddy current measurement, the measured value of the eddy current changes due to the change in the conductivity, which is the reciprocal of the resistivity (electrical resistivity) that changes under the influence of temperature. Therefore, conversely, from the change of the eddy current measurement value, the influence on the eddy current measurement value due to the temperature change with time is previously derived as a calibration curve, and the temperature correction is performed by the calibration curve. In other words, the temperature correction of the present embodiment is the reverse use of the eddy current measurement value that changes due to the temperature change over time as a temperature index, instead of measuring the temperature of the measurement system using a temperature sensor or the like.
なお、本例では、温度補正に用いられる検量線の作成に際して、基準部品60についての出力値X及び出力値Yのうち出力値Xが用いられているが、出力値Yが用いられる場合も、出力値Xが用いられる場合と同様の手法によって検量線が作成される。ここで、基準部品60についての出力値X及び出力値Yのうちいずれが採用されるかは、主に、ワーク50の焼入パターン検査に際して用いられる交流励磁信号V1の周波数の領域が関係する。つまり、検査に用いられる交流励磁信号V1の周波数の領域等によって、基準部品60についての出力値X及び出力値Yのうち、検量線の作成にあたって好適となる出力値が存在する場合がある。このことは、X値を示すX軸40xとY値を示すY軸40yとから定められるX−Y平面40が、導電率及び透磁率に対するインピーダンスの関係を示すインピーダンス平面に対応することに起因する。
In this example, the output value X of the output value X and the output value Y for the
ここで、本実施形態の渦流貫通コイル13のような試験コイルについての一般的なインピーダンス変化について、図13を用いて説明する。なお、本説明では、試験コイルによる被検対象として、直径dの円柱棒状の試験体が用いられる場合とする。
Here, the general impedance change about a test coil like the eddy
図13は、インピーダンス平面上における試験周波数f、試験体の透磁率μ、試験体の導電率σ、試験体の直径dの変化による、試験コイルのインピーダンス変化を示す。図13(a)は、試験周波数f及び導電率σの変化による、試験コイルのインピーダンス変化を示す。図13(b)は、透磁率μ及び直径dの変化による、試験コイルのインピーダンス変化を示す。図13に示されるインピーダンス平面において、横軸は、試験コイルの抵抗成分に対応する実効透磁率ΔR/ωL0を示しており、ΔR/ωL0の値の変化は、渦流計測におけるX値の変化に相当する。また、縦軸は、試験コイルのインダクタンス成分に対応する実効透磁率ωL/ωL0を示しており、ωL/ωL0の値の変化は、渦流計測におけるY値の変化に相当する。 FIG. 13 shows a change in impedance of the test coil due to a change in the test frequency f on the impedance plane, the permeability μ of the test piece, the conductivity σ of the test piece, and the diameter d of the test piece. FIG. 13A shows a change in impedance of the test coil due to a change in the test frequency f and the conductivity σ. FIG. 13B shows a change in impedance of the test coil due to changes in the magnetic permeability μ and the diameter d. In the impedance plane shown in FIG. 13, the horizontal axis indicates the effective permeability ΔR / ωL 0 corresponding to the resistance component of the test coil, and the change in the value of ΔR / ωL 0 is the change in the X value in the eddy current measurement. It corresponds to. The vertical axis indicates the effective permeability ωL / ωL 0 corresponding to the inductance component of the test coil, and the change in the value of ωL / ωL 0 corresponds to the change in the Y value in the eddy current measurement.
ここで、ΔRは、試験コイルに発生する熱による損失に対応した量である抵抗R[Ω]から、空芯コイルの抵抗R0[Ω]を引いた値(R−R0)[Ω]である。Lは、試験コイルの作る磁場(磁場のエネルギー)に対応した量である試験コイルのインダクタンス[H]である。L0は、空芯コイルのインダクタンス[H]である。ωは、角周波数であり、2πf[rad/sec]で表される。したがって、ωLは、リアクタンス[Ω]となる。 Here, ΔR is a value (R−R 0 ) [Ω] obtained by subtracting the resistance R 0 [Ω] of the air-core coil from the resistance R [Ω] that is an amount corresponding to the heat loss generated in the test coil. It is. L is the inductance [H] of the test coil, which is an amount corresponding to the magnetic field (energy of the magnetic field) created by the test coil. L 0 is the inductance [H] of the air-core coil. ω is an angular frequency and is represented by 2πf [rad / sec]. Therefore, ωL becomes reactance [Ω].
図13(a)に示すように、試験コイルのインピーダンスは、試験周波数f及び導電率σの変化にともない、所定の変化曲線CCaに沿って変化する。つまり、変化曲線CCa上の矢印で示すように、試験周波数f及び導電率σの増加は、試験コイルのインピーダンスを変化曲線CCaに沿って図13(a)における下側(ωL/ωL0が減少する側)に移動するように値を変化させ、試験周波数f及び導電率σの減少は、試験コイルのインピーダンスを変化曲線CCaに沿って図13(a)における上側(ωL/ωL0が増加する側)に移動するように値を変化させる。 As shown in FIG. 13A, the impedance of the test coil changes along a predetermined change curve CCa as the test frequency f and the conductivity σ change. That is, as shown by the arrow on the change curve CCa, the increase of the test frequency f and conductivity sigma, the lower side in FIG. 13 (a) along the impedance of the test coil on the change curve CCa (ωL / ωL 0 is reduced When the test frequency f and the decrease in the conductivity σ are changed so as to move to the upper side (ωL / ωL 0 in FIG. 13A along the change curve CCa, the value of the test frequency f and the decrease in the conductivity σ increases. Change the value to move to the side).
また、図13(b)に示すように、試験コイルのインピーダンスは、透磁率μ及び直径dの変化にともない、前記のような試験周波数f及び導電率σの変化にともなうインピーダンスの変化が沿う変化曲線が略放射状に広がるように変化する。つまり、変化曲線CC2に対して略垂直方向の矢印で示すように、透磁率μ及び直径dの増加は、試験コイルのインピーダンスを変化曲線と縦軸とによって囲まれる面積が大きくなるように、変化曲線が略相似形に拡大するように値を変化させる(変化曲線CC2→変化曲線CC3)。また、透磁率μ及び直径dの減少は、試験コイルのインピーダンスを変化曲線と縦軸とによって囲まれる面積が小さくなるように、変化曲線が略相似形に縮小するように値を変化させる(変化曲線CC2→変化曲線CC1)。各変化曲線CC1、CC2、CC3上においては、透磁率μ及び直径dは同じ値となる。したがって、図13(b)に示すように、変化曲線CC1に対応する透磁率μがμ1、変化曲線CC2に対応する透磁率μがμ2、変化曲線CC3に対応する透磁率μがμ3であるとすると、μ1<μ2<μ3の関係が成り立つ。 Further, as shown in FIG. 13B, the impedance of the test coil changes along with the change in the impedance with the change in the test frequency f and the conductivity σ as described above, along with the change in the magnetic permeability μ and the diameter d. The curve changes so as to spread substantially radially. That is, as indicated by an arrow in a direction substantially perpendicular to the change curve CC2, the increase in the magnetic permeability μ and the diameter d changes the impedance of the test coil so that the area surrounded by the change curve and the vertical axis increases. The value is changed so that the curve expands in a substantially similar shape (change curve CC2 → change curve CC3). Further, the decrease in the magnetic permeability μ and the diameter d changes the values so that the change curve is reduced to a substantially similar shape so that the area surrounded by the change curve and the vertical axis is reduced. Curve CC2 → change curve CC1). On each change curve CC1, CC2, CC3, the magnetic permeability μ and the diameter d have the same value. Accordingly, as shown in FIG. 13B, the magnetic permeability μ corresponding to the change curve CC1 is μ1, the magnetic permeability μ corresponding to the change curve CC2 is μ2, and the magnetic permeability μ corresponding to the change curve CC3 is μ3. Then, the relationship of μ1 <μ2 <μ3 is established.
このようなインピーダンス平面上における各値の変化による試験コイルのインピーダンス変化において、温度の影響を受けて変化する導電率σの変化が、渦流計測におけるX値またはY値の変化にともなって顕著となる周波数の領域が存在する。 In such a change in the impedance of the test coil due to a change in each value on the impedance plane, the change in the conductivity σ, which changes under the influence of temperature, becomes conspicuous with the change in the X value or the Y value in the eddy current measurement. There is a frequency domain.
すなわち、前記のとおりインピーダンス平面における横軸のΔR/ωL0の値の変化はX値の変化に相当し、縦軸のωL/ωL0の値の変化はY値の変化に相当する。そして、図13(a)に示すように、インピーダンスの変化曲線CCaにおいて、横軸の方向と平行な方向に近い曲線部分に対応する周波数の領域(例えば領域F1参照)では、温度の変化に対応する導電率σの変化について、Y値の変化(縦軸の値の変化)にともなう変化よりも、X値の変化(横軸の値の変化)にともなう変化の方が顕著に現れる。つまり、かかる周波数の領域は、温度の影響を受けて変化する導電率σの変化が渦流計測におけるX値の変化として顕著に表れる周波数の領域となる。したがって、このような周波数の領域が交流励磁信号V1の周波数の領域として用いられて渦流計測が行われる場合は、温度補正に用いられる検量線の作成に際して、基準部品60についての出力値X及び出力値Yのうち出力値Xが好適に採用される。つまり、領域F1で示されるような周波数の領域においては、検量線の作成に際して基準部品60についての出力値Xが用いられることで、経時温度変化が温度指標として用いられる渦流計測値の変化として良好に反映され、比較的精度の良い検量線が得られる。
That is, as described above, a change in the value of ΔR / ωL 0 on the horizontal axis in the impedance plane corresponds to a change in the X value, and a change in the value of ωL / ωL 0 on the vertical axis corresponds to a change in the Y value. Then, as shown in FIG. 13A, in the impedance change curve CCa, the frequency region corresponding to the curve portion close to the direction parallel to the horizontal axis direction (for example, refer to the region F1) corresponds to the temperature change. As for the change in conductivity σ, the change due to the change in the X value (change in the value on the horizontal axis) appears more prominently than the change due to the change in the Y value (change in the value on the vertical axis). That is, such a frequency region is a frequency region in which a change in conductivity σ that changes under the influence of temperature appears prominently as a change in X value in eddy current measurement. Therefore, in the case where eddy current measurement is performed using such a frequency region as the frequency region of the AC excitation signal V1, the output value X and the output of the
また、図13(b)に示すように、インピーダンスの変化曲線CCaにおいて、縦軸の方向と平行な方向に近い曲線部分に対応する周波数の領域(例えば領域F2参照)では、温度の変化に対応する導電率σの変化について、X値の変化(横軸の値の変化)にともなう変化よりも、Y値の変化(縦軸の値の変化)にともなう変化の方が顕著に現れる。つまり、かかる周波数の領域は、温度の影響を受けて変化する導電率σの変化が渦流計測におけるY値の変化として顕著に表れる周波数の領域となる。したがって、このような周波数の領域が交流励磁信号V1の周波数の領域として用いられて渦流計測が行われる場合は、温度補正に用いられる検量線の作成に際して、基準部品60についての出力値X及び出力値Yのうち出力値Yが好適に採用される。つまり、領域F2で示されるような周波数の領域においては、検量線の作成に際して基準部品60についての出力値Yが用いられることで、経時温度変化が温度指標として用いられる渦流計測値の変化として良好に反映され、比較的精度の良い検量線が得られる。
Further, as shown in FIG. 13B, in the impedance change curve CCa, the frequency region corresponding to the curve portion close to the direction parallel to the direction of the vertical axis (see, for example, the region F2) corresponds to the temperature change. As for the change in conductivity σ, the change due to the change in the Y value (change in the value on the vertical axis) is more prominent than the change due to the change in X value (change in the value on the horizontal axis). That is, such a frequency region is a frequency region in which a change in conductivity σ that changes under the influence of temperature appears prominently as a change in Y value in eddy current measurement. Therefore, in the case where eddy current measurement is performed using such a frequency region as the frequency region of the AC excitation signal V1, the output value X and the output of the
このように、渦流計測における交流励磁信号V1の周波数の領域によって、温度補正に用いられる検量線の作成に用いられる基準部品60についての出力値として、出力値Xまたは出力値Yのいずれかが選択される。言い換えると、渦流計測値におけるX値及びY値のいずれか一方に、温度の影響を受けて変化する導電率σの変化が顕著に現れるように、交流励磁信号V1の周波数の領域が設定される。
As described above, either the output value X or the output value Y is selected as the output value for the
このように、本実施形態の焼入パターン検査方法は、少なくとも材質、コイル充填率、及び表面性状についてワーク50を模した基準部品60を用い、経時温度変化にともなう、基準部品60についてのX値及びY値のいずれか一方の値の変化と、基準ワークについての出力値X変化量及び出力値Y変化量の変化との相関関係(検量線、以下「渦流計測値相関関係」ともいう。)を予め求める。そして、渦流計測値相関関係から導かれる基準部品60についてのX値またはY値に対応する出力値X変化量及び出力値Y変化量を補正量として、ワーク50の検査部位50aについて計測したX値及びY値を補正する。
As described above, the quenching pattern inspection method according to the present embodiment uses the
このような基準部品60と基準ワークとの間の渦流計測値の相関関係が用いられて行われる温度補正に際し、本実施形態の焼入パターン検査装置は、図4に示すように、渦流探傷器20において、渦流計測値相関関係を求める演算部25と、渦流計測値相関関係が設定され記憶される設定部26と、渦流計測値相関関係を用いて渦流計測値の補正を行う補正部27とを有する。すなわち、演算部25は、基準部品60が用いられて計測される、経時温度変化にともなう、基準部品60についてのX値及びY値のいずれか一方の値の変化と、基準ワークについての出力値X変化量及び出力値Y変化量の変化との相関関係を求める。設定部26は、演算部25により求められた渦流計測値相関関係が予め設定される。補正部27は、設定部26に設定された渦流計測値相関関係から導かれる基準部品60についてのX値またはY値に対応する出力値X変化量及び出力値Y変化量を補正量として、ワーク50の検査部位50aについて計測されたX値及びY値を補正する。
In the temperature correction performed by using the correlation of the eddy current measurement values between the
なお、このような検量線が作成されて行われる温度補正は、前述したようなトレランスゾーン41の設定に際して行われる渦流計測においても行われる。すなわち、この場合、渦流計測値相関関係から導かれる基準部品60についてのX値及びY値に対応する出力値X変化量及び出力値Y変化量が補正量とされ、多数の良品について計測されたX値及びY値が補正される。つまりこの場合、焼入パターン検査装置においては、渦流探傷器20の補正部27は、設定部26に設定された渦流計測値相関関係から導かれる基準部品60についてのX値またはY値に対応する出力値X変化量及び出力値Y変化量を補正量として、多数の良品について計測されたX値及びY値を補正する。
The temperature correction performed by creating such a calibration curve is also performed in the eddy current measurement performed when setting the
以上のような本実施形態の焼入パターン検査によれば、渦流計測による焼入パターンの検査において、計測系における機構やアルゴリズムの複雑化を招くことなく、計測系の温度変化の渦流計測値に対する影響を低減し、渦流計測値のバラツキを抑制することができ、計測精度の向上を図ることができる。 According to the quenching pattern inspection of the present embodiment as described above, in the quenching pattern inspection by eddy current measurement, the measurement system temperature change with respect to the eddy current measurement value without incurring the complexity of the mechanism and algorithm in the measurement system. The influence can be reduced, variation in eddy current measurement values can be suppressed, and measurement accuracy can be improved.
すなわち、本実施形態の焼入パターン検査においては、経時温度変化によって変化する渦流計測値が温度使用として利用されることで、温度センサ等の計測系の温度を計測するための手段が用いられることなく、渦流計測値についての温度補正が行われる。このため、渦流計測に際して既存のシステム構成のままでの温度補正が可能となる。したがって、温度補正によって経時温度変化にともなう渦流計測値のバラツキを抑制するに際し、計測系における機構やアルゴリズムの複雑化を招くことがない。 That is, in the quenching pattern inspection of the present embodiment, a means for measuring the temperature of a measurement system such as a temperature sensor is used by using the eddy current measurement value that changes due to a change in temperature over time as the temperature usage. Instead, temperature correction is performed for the eddy current measurement value. For this reason, temperature correction with the existing system configuration can be performed at the time of eddy current measurement. Therefore, when the variation in the eddy current measurement value due to the temperature change with time is suppressed by the temperature correction, the mechanism and algorithm in the measurement system are not complicated.
また、本実施形態の焼入パターン検査においては、実部品としてのマスターワーク(例えば良品であることが既知のワーク)の代用として、材質、コイル充填率、表面性状がワーク50と同等とされた基準部品60が用いられ、基準部品60と実部品としての基準ワークとで、検量線を作成するためのデータ(渦流計測値)が取得される。このため、実部品としてのマスターワークが必要とされることなく、渦流計測に際して既存のシステム構成のままで、温度補正における標準比較方式の適用が可能となる。
Further, in the quenching pattern inspection of the present embodiment, the material, the coil filling rate, and the surface properties are equivalent to those of the
続いて、本発明のより好ましい実施の形態について、実際の渦流計測結果例等を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態においては、前述した実施の形態と重複する部分については、同一の符号を用いる等して適宜説明を省略する。 Next, a more preferred embodiment of the present invention will be described using actual eddy current measurement results and the like. In the embodiment described below, the same reference numerals are used for the same parts as those in the above-described embodiment, and the description thereof is omitted as appropriate.
図14に示すように、本実施形態では、温度補正に際しての検量線の作成に用いられる基準部品(前記基準部品60参照)として、焼入パターン検査装置に備えられ渦流計測の対象となるワーク50に接触した状態となる接触部材としてのセンターピン70が用いられる。センターピン70は、ワーク50及び渦流貫通コイル13を支持するための計測治具30に備えられる。
As shown in FIG. 14, in this embodiment, as a reference part (see the reference part 60) used to create a calibration curve for temperature correction, a
すなわち、図14に示すように、本実施形態の焼入パターン検査装置においては、センターピン70を有する計測治具30が備えられる。計測治具30は、基台31を有し、この基台31上に、ワーク50が載置される載置面32aを形成する載置台32を有する。軸状の部材であるワーク50は、軸方向が鉛直方向(図14における上下方向)となるように直立姿勢をとった状態で、載置台32の載置面32a上にて支持される。ここで、載置台32上に支持された状態のワーク50の上側端面50dに、センターピン70が接触した状態となる。
That is, as shown in FIG. 14, the quenching pattern inspection apparatus according to the present embodiment includes a measuring
計測治具30は、載置台32上に支持されたワーク50の渦流計測を行うための渦流貫通コイル13を支持する。計測治具30においては、渦流貫通コイル13をワーク50に対応する姿勢で移動可能に支持するための移動支持体34が設けられる。移動支持体34は、基台31上に立設される支柱35等によって移動可能に支持される。移動支持体34は、貫通孔34aを有する板状の部材として構成され、載置台32上に支持されるワーク50を貫通孔34aに挿通させた状態で支持される。移動支持体34に対し、渦流貫通コイル13が、そのケース14を介してワーク50に対応する姿勢、すなわち貫通孔14aにワーク50を挿通させた状態で固定されることで支持される。つまり、移動支持体34に渦流貫通コイル13が支持された状態で、互いの貫通孔34a・14aが略同軸状態となり、これら貫通孔34a・14aに、載置台32上に支持されるワーク50が貫通した状態となる。このように、計測治具30においては、ワーク50は、渦流貫通コイル13に対して所定の姿勢で支持される。
The measuring
移動支持体34は、支柱35に対して、載置台32上に支持されるワーク50の軸方向(図14における上下方向)に移動可能に支持される(矢印E1参照)。これにより、渦流貫通コイル13が、ケース14の貫通孔14aにワーク50を挿通させた状態で、ワーク50の軸方向に移動可能に設けられる。このような構成を有する計測治具30においては、ワーク50についての渦流計測に際し、ワーク50の直立姿勢での保持及びワーク50(の軸方向)に対する渦流貫通コイル13の移動方向について、要求される所定の精度が確保される。
The
センターピン70は、載置台32上のワーク50の渦流貫通コイル13に対するセンター出し(位置合わせ)を行うための部材である。センターピン70は、円柱棒状の形状を有する。センターピン70は、一側端部(下端部)に、ワーク50の上側端面50dに接触する部分であって略円錐形状を有する部分である接触部70aを有する。つまり、センターピン70は、接触部70aの尖端部をワーク50の上側端面50dに接触させた状態となる。したがって、センターピン70は、載置台32上のワーク50に接触した状態で、軸状の部材であるワーク50と同軸心上に位置する。このように、センターピン70は、載置台32上のワーク50を、載置面32aとともに挟んだ状態で所定の姿勢に保持する。なお、センターピン70は、図示せぬ支持機構によって支持される。
The
このように、センターピン70は、渦流貫通コイル13に対して所定の姿勢で支持された状態のワーク50に接触した状態で、検査部位50aについての渦流計測(X値及びY値の計測)に際しての渦流貫通コイル13のワーク50に対する移動方向への移動によって、渦流貫通コイル13による渦流計測が可能となる形状を有する。
As described above, the
ここで、検査部位50aについての渦流計測に際しての渦流貫通コイル13のワーク50に対する移動方向とは、前述したように計測治具30において移動支持体34を介して移動可能に設けられる渦流貫通コイル13の移動方向である。したがって、本実施形態では、かかる渦流貫通コイル13の移動方向は、載置台32上のワーク50の軸方向(図14における上下方向)となる。つまり、センターピン70は、ワーク50に接触した状態(同軸心上に位置する状態)で、渦流貫通コイル13の上下方向への移動によって、渦流貫通コイル13による渦流計測が可能な形状として、円柱棒状の形状を有する。言い換えると、センターピン70が円柱棒状の形状を有することにより、ワーク50に接触した状態のセンターピン70の渦流計測に際し、上下方向に移動可能に設けられる渦流貫通コイル13が、ワーク50と共用される。
Here, the moving direction of the eddy
なお、本実施形態においては、計測治具30は、支持された状態のワーク50に対して渦流貫通コイル13が移動する構成であるが、支持された状態の渦流貫通コイル13に対してワーク50が移動する構成、あるいは互いに移動する構成であってもよい。つまり、検査部位50aについての渦流計測に際しての渦流貫通コイル13のワーク50に対する移動方向は、渦流貫通コイル13のワーク50に対する相対的な移動方向となる。
In the present embodiment, the measuring
このように、センターピン70が略円柱形状を有することで、センターピン70の渦流計測に際して、ワーク50の渦流計測に用いられる渦流貫通コイル13の移動方向についての移動動作が用いられる。したがって、本実施形態では、図14に示すように、ワーク50に対して上側から接触するセンターピン70の渦流計測に際しては、渦流貫通コイル13は、移動支持体34の移動によってワーク50の上方に移動する(二点鎖線参照)。
As described above, since the
このようにして計測治具30に備えられるセンターピン70が、温度補正に際しての検量線の作成に用いられる基準部品として用いられる。したがって、センターピン70は、少なくとも材質、コイル充填率、及び表面性状についてワーク50を模したものである。すなわち、センターピン70は、ワーク50を構成する材料と同等の特性を備えた材料により構成される。また、センターピン70は、ワーク50と共通の渦流貫通コイル13が用いられて渦流計測を受けるものであり、ワーク50の検査部位50aの部分と略同じ径を有する。また、センターピン70の表面性状は、ワーク50の表面性状と同等とされる。また、センターピン70に対しては、錆び防止のための表面処理(防錆コーティング)が適宜施される。
In this way, the
また、図14に示すように、本実施形態に係る焼入パターン検査装置においては、コンピュータ28が備えられる。コンピュータ28は、渦流探傷器20に接続され、トレランスゾーン41を表すX−Y平面40や、このX−Y平面40上において渦流計測値(出力値X及び出力値Y)から定まる(プロットされる)点等を表示する。つまり、本実施形態に係る焼入パターン検査装置は、コンピュータ28によって、X−Y平面40におけるトレランスゾーン41やワークについての渦流計測値から定まる点等が視覚的に把握できる構成となっている。
Further, as shown in FIG. 14, the quenching pattern inspection apparatus according to the present embodiment includes a
以上のように、基準部品として、センターピン70を備える焼入パターン検査装置において、ワーク50の検査部位50aについて計測される渦流計測値について温度補正が行われる。すなわち、温度補正に際しては、経時温度変化にともなう、センターピン70についてのX値及びY値のいずれか一方の値の変化と、基準ワークについての出力値X変化量及び出力値Y変化量の変化との相関関係を表す検量線が作成される。
As described above, in the quenching pattern inspection apparatus including the
図15は、センターピン70及び基準ワークについての渦流計測値及び温度、ならびに焼入パターン検査装置における各部の温度の計測結果の一例を示す。なお、本例に係る計測において、渦流計測値(出力値X及び出力値Y)の単位はいずれもmVであり、温度の単位はいずれも℃である。図15の表における時刻の欄に示すように、本例に係る計測は、渦流貫通コイル13の通電が開始されてから、渦流計測値が安定する状態である計測系の温度が安定した状態となるまでの経時温度変化において、所定の基準時(時刻13:40)から10分経過毎の各時刻にて、計10回(時刻15:10まで)行われたものである。
FIG. 15 shows an example of the measurement result of the eddy current measurement value and temperature for the
したがって、本例に係る計測において、コイル温度、アンプ温度(渦流探傷器20の温度)、センターピン温度(センターピン70の温度)、及びワーク温度(基準ワークの温度)は、いずれも経時的に上昇する傾向にある。なお、これらの装置各部の温度は、熱電対等が用いられて計測されたものである。そして、このような各部の温度の上昇(経時温度変化)にともない、センターピン70及び基準ワークについての渦流計測値(出力値X及び出力値Y)は、いずれも経時的に増加(負の値が減少)する傾向にある。
Accordingly, in the measurement according to this example, the coil temperature, the amplifier temperature (the temperature of the eddy current flaw detector 20), the center pin temperature (the temperature of the center pin 70), and the workpiece temperature (the temperature of the reference workpiece) all change over time. It tends to rise. In addition, the temperature of each part of these apparatuses is measured using a thermocouple or the like. As the temperature of each part increases (temperature change with time), the eddy current measurement values (output value X and output value Y) for the
これら各種の計測値が用いられ、温度補正に用いられる検量線が作成される。なお、本例では、センターピン70についての出力値X及び出力値Yのうち、出力値Xが用いられる。すなわち、本例では、センターピン70の出力値Xの変化と、基準ワークの出力値X変化量及び出力値Y変化量それぞれの変化との相関関係を表す検量線が作成される。
These various measurement values are used to create a calibration curve used for temperature correction. In this example, of the output value X and the output value Y for the
まず、X値についての検量線について説明する。本計測結果例では、各時刻における基準ワークの出力値X変化量は、図16(a)の表における“出力値X変化量”の欄に示される値となる。ここで、本計測結果例においては、出力値X変化量の算出に用いられるX基準値として、時刻15:10における基準ワークの出力値Xの値が用いられる。これは、装置各部の温度の計測値の変化からわかるように、時刻15:10での温度は経時温度変化における安定した状態の温度(上昇が収まった温度)と言えることに基づく。したがって、時刻15:10における基準ワークの出力値Xの値(−4024.7)が、経時温度変化における渦流計測値の収束する値としてのX基準値として用いられる。なお、図16の各表に示される各計測値について、同じ行の値は同時刻についてのものであり、各行に対応する時刻は図15の表における各時刻に対応している。 First, a calibration curve for the X value will be described. In this measurement result example, the output value X change amount of the reference workpiece at each time is a value shown in the column of “output value X change amount” in the table of FIG. Here, in this measurement result example, the value of the output value X of the reference workpiece at the time 15:10 is used as the X reference value used for calculating the output value X variation. This is based on the fact that the temperature at the time 15:10 can be said to be a stable temperature (temperature at which the rise has stopped) as the time-dependent temperature change, as can be seen from the change in the measured value of the temperature of each part of the apparatus. Therefore, the value (−4024.7) of the output value X of the reference workpiece at the time 15:10 is used as the X reference value as the value at which the eddy current measurement value converges with time-dependent temperature change. Note that, for each measurement value shown in each table of FIG. 16, the values in the same row are for the same time, and the time corresponding to each row corresponds to each time in the table of FIG.
出力値X変化量の具体的な算出例としては、時刻13:40における計測値に着目した場合、−5394.3(ワーク出力値X)−(−4024.7(X基準値))=−1369.6(出力値X変化量)となる。他の各時刻についても同様に、ワーク出力値XからX基準値(−4024.7)が減算されることにより、出力値X変化量が算出される。このため、時刻ワーク出力値Xについての計測値がX基準値として採用される時刻15:10における出力値X変化量は、0となる。 As a specific calculation example of the output value X change amount, when focusing on the measurement value at time 13:40, −5394.3 (work output value X) − (− 4024.7 (X reference value)) = − 1369.6 (output value X change amount). Similarly, the output value X change amount is calculated by subtracting the X reference value (−4024.7) from the work output value X at other times as well. For this reason, the output value X change amount at time 15:10 when the measurement value for the time work output value X is adopted as the X reference value is zero.
図17は、横軸をセンターピン70の出力値Xとし、縦軸を基準ワークの出力値X変化量とする座標平面において、各時刻についてのセンターピン70の出力値Xと前記のようにして算出された出力値X変化量とから定まる点がプロットされたものを示している。そして、座標平面上にプロットされた各時刻に対応する計10個の点の分布について、最小自乗法が用いられて一次関数(直線)が近似されることで、検量線SL1が得られる。本計測結果例においては、検量線SL1を表す一次関数として、横軸(センターピン出力値X)がx軸、縦軸(ワーク出力値X変化量)がy軸とされる場合における次式が得られた。
y=1.0642x+928.86 ・・・(1)
FIG. 17 shows the output value X of the
y = 1.0642x + 928.86 (1)
上記式(1)により表される検量線SL1は、本計測結果例による座標平面上における点の分布に対して、当てはまり具合の指標となる決定係数R2(R:相関係数)が、R2=0.9997という値を示す。かかる決定係数の値は、きわめて強い相関があるということを示している。このことは、経時温度変化によって変化する渦流計測値が、装置各部の温度の代用値として利用できることの根拠となる。 The calibration curve SL1 represented by the above equation (1) has a determination coefficient R 2 (R: correlation coefficient) as an index of the degree of fit with respect to the distribution of points on the coordinate plane according to this measurement result example. A value of 2 = 0.9997 is shown. The value of the determination coefficient indicates that there is a very strong correlation. This is the basis for the fact that the eddy current measurement value that changes with a change in temperature with time can be used as a substitute value for the temperature of each part of the apparatus.
上記式(1)により表される検量線SL1が用いられ、温度補正が行われる。すなわち、検量線SL1から導かれるセンターピン70についてのX値(出力値X)に対応する出力値X変化量が補正量とされ、ワークについて計測されたX値が補正される。具体的には、時刻13:40における計測値に着目した場合、センターピン70についての出力値Xの値は−2169.2であり、かかる値(−2169.2)が、上記式(1)におけるxに代入される。これによって上記式(1)からyの値として算出される出力値X変化量に対応する値(−1379.6)が、補正量となる(図16(a)、“補正量”の欄参照)。他の各時刻についても同様に、センターピン70についての出力値Xが上記式(1)におけるxに代入されることにより、yの値として補正量が算出される。
A calibration curve SL1 represented by the above equation (1) is used to perform temperature correction. That is, the output value X variation corresponding to the X value (output value X) for the
このようにして算出される補正量は、出力値X変化量に対して近似する値となっている。これは、前記のとおり上記式(1)により表される検量線SL1が、座標平面上における点の分布に対してきわめて強い相関があることによる。 The correction amount calculated in this way is a value that approximates the output value X variation. This is because the calibration curve SL1 represented by the above formula (1) has a very strong correlation with the distribution of points on the coordinate plane as described above.
そして、検量線SL1及びセンターピン70の出力値Xから算出された値(出力値X変化量)が補正量とされ、ワークについて計測されたX値が補正される。実際には、時刻13:40における計測値に着目した場合、ワークについて計測された出力値Xの値である−5394.3に対して、補正量に基づく1379.6が加算されることで、補正後の値である−4014.7が算出される(図16(a)、“補正後の値”の欄参照)。つまりこの場合、−5394.3(ワーク出力値X)−(−1379.6(補正量))=−4014.7(補正後の値)となる。他の各時刻についても同様に、ワーク出力値Xから補正量が減算される(ワーク出力値Xに対して足りない分が加算される)ことにより、補正後の値が算出される。 Then, the value calculated from the calibration curve SL1 and the output value X of the center pin 70 (output value X change amount) is used as the correction amount, and the X value measured for the workpiece is corrected. Actually, when paying attention to the measurement value at time 13:40, 1379.6 based on the correction amount is added to −5394.3 which is the value of the output value X measured for the workpiece. A corrected value of −4014.7 is calculated (see FIG. 16A, “corrected value” column). That is, in this case, −5394.3 (work output value X) − (− 1379.6 (correction amount)) = − 4014.7 (value after correction). Similarly, for each other time, the corrected value is calculated by subtracting the correction amount from the work output value X (addition of the missing amount to the work output value X).
次に、Y値についての検量線について説明する。Y値についての検量線は、X値についての検量線の場合と同様にして作成される。本計測結果例では、各時刻における基準ワークの出力値Y変化量は、図16(b)の表における“出力値Y変化量”の欄に示される値となる。ここで、本計測結果例においては、出力値Y変化量の算出に用いられるY基準値として、時刻15:10における基準ワークの出力値Yの値(−3265.4)が用いられる。したがって、出力値Y変化量は、ワーク出力値YからY基準値(−3265.4)が減算されることにより算出される。 Next, a calibration curve for the Y value will be described. The calibration curve for the Y value is created in the same manner as the calibration curve for the X value. In this measurement result example, the output value Y change amount of the reference workpiece at each time is the value shown in the “output value Y change amount” column in the table of FIG. Here, in this measurement result example, the value (−3265.4) of the output value Y of the reference workpiece at the time 15:10 is used as the Y reference value used for calculating the output value Y change amount. Therefore, the output value Y change amount is calculated by subtracting the Y reference value (−3265.4) from the work output value Y.
図18は、横軸をセンターピン70の出力値Xとし、縦軸を基準ワークの出力値Y変化量とする座標平面において、各時刻についてのセンターピン70の出力値Xと前記のようにして算出された出力値Y変化量とから定まる点がプロットされたものを示している。そして、座標平面上にプロットされた各時刻に対応する計10個の点の分布について、最小自乗法が用いられて一次関数(直線)が近似されることで、検量線SL2が得られる。本計測結果例においては、検量線SL2を表す一次関数として、横軸(センターピン出力値X)がx軸、縦軸(ワーク出力値Y変化量)がy軸とされる場合における次式が得られた。
y=0.1971x+156.81 ・・・(2)
In FIG. 18, the horizontal axis is the output value X of the
y = 0.1971x + 156.81 (2)
上記式(2)により表される検量線SL2は、本計測結果例による座標平面上における点の分布に対して、決定係数R2(R:相関係数)が、R2=0.9735という値を示す。かかる決定係数の値は、X値についての検量線SL1の場合と同様、きわめて強い相関があるということを示している。 Calibration curve SL2 represented by the above formula (2), to the distribution of points in a coordinate plane according to the measurement result example, the coefficient of determination R 2 (R: correlation coefficient), that R 2 = .9735 Indicates the value. The value of the determination coefficient indicates that there is a very strong correlation as in the case of the calibration curve SL1 for the X value.
上記式(2)により表される検量線SL2が用いられ、温度補正が行われる。すなわち、検量線SL2から導かれるセンターピン70についてのX値(出力値X)に対応する出力値Y変化量が補正量とされ、ワークについて計測されたY値が補正される。つまり、X値についての検量線SL1の作成の場合と同様、センターピン70についての出力値Xが上記式(2)におけるxに代入されることにより、yの値として補正量が算出される(図16(b)、“補正量”の欄参照)。このようにして算出される補正量は、前記のとおり上記式(2)により表される検量線SL2が、座標平面上における点の分布に対してきわめて強い相関があることから、出力値Y変化量に対して近似する値となっている。
A calibration curve SL2 represented by the above equation (2) is used to perform temperature correction. That is, the output value Y change amount corresponding to the X value (output value X) for the
そして、検量線SL2及びセンターピン70の出力値Xから算出された値(出力値Y変化量)が補正量とされ、ワークについて計測されたY値が補正される。つまり、ワーク出力値Yから補正量が減算される(ワーク出力値Yに対して足りない分が加算される)ことにより、補正後の値が算出される(図16(b)、“補正後の値”の欄参照)。
Then, the value (output value Y change amount) calculated from the calibration curve SL2 and the output value X of the
なお、本計測結果例における補正後の値は、基準ワークについての渦流計測値(X値及びY値)が検量線SL1及び検量線SL2に基づいて補正されたものである。この点、温度補正は、実際には、前記のとおり本計測結果例に基づいて予め作成された検量線SL1及び検量線SL2が用いられることにより、焼入パターンの検査対象となるワーク50の検査部位50aについて計測された渦流計測値(X値及びY値)に対して行われる。
The corrected values in this measurement result example are obtained by correcting the eddy current measurement values (X value and Y value) for the reference workpiece based on the calibration curve SL1 and the calibration curve SL2. In this respect, the temperature correction is actually performed by using the calibration curve SL1 and the calibration curve SL2 prepared in advance based on the measurement result example as described above, thereby inspecting the
すなわち、ワーク50の検査部位50aについての焼入パターンの検査に際しては、同時刻においてワーク50及びセンターピン70についての渦流計測値が計測される。そして、本例に係る検量線SL1及び検量線SL2が用いられる場合、検量線SL1及び検量線SL2からセンターピン70の出力値Xが用いられて算出された補正量により、ワーク50について計測された渦流計測値(X値及びY値)が補正される。ここで、本実施形態の焼入パターン検査装置においては、ワーク50及びセンターピン70についての渦流計測が、共通の渦流貫通コイル13が用いられて行われる。このため、ワーク50及びセンターピン70についての渦流計測が行われる同時刻とは、少なくとも渦流貫通コイル13のワーク50−センターピン70間の移動時間程度の時間差(タイムラグ)を許容する程度の幅を有する。
That is, when the quenching pattern is inspected for the
以上のようにして本計測結果例において行われた温度補正の結果について検討する。図19は、X値(出力値X)についての温度補正の結果に係るグラフを示す。図19において、三角形で示される点の集合によるグラフGx1は、経時温度変化における補正前の出力値Xの変化を示す。また、四角形で示される点の集合によるグラフGx2は、経時変化における補正後の出力値Xの変化を示す。また、菱形で示される点の集合によるグラフGx3は、経時温度変化における計測系の温度としてのコイル温度の変化を示す。 The result of the temperature correction performed in this measurement result example as described above will be examined. FIG. 19 shows a graph relating to the result of temperature correction for the X value (output value X). In FIG. 19, a graph Gx1 by a set of points indicated by triangles shows a change in the output value X before correction in the temperature change with time. Further, a graph Gx2 by a set of points indicated by squares shows a change in the output value X after correction with a change with time. Further, a graph Gx3 by a set of points indicated by diamonds shows a change in coil temperature as a temperature of the measurement system with a change in temperature with time.
グラフGx1及びグラフGx3からわかるように、補正前の出力値Xは、経時温度変化において、コイル温度の上昇にともなって増加する。すなわち、経時温度変化においては、コイル温度は、徐々に上昇した後に安定した状態となり、渦流計測値としてのX値は、補正されない場合、コイル温度の変化に追従するかたちとなる。言い換えると、温度補正が行われない場合、コイル温度が安定した状態となるまでの間に計測されるX値は、コイル温度が安定している状態で計測されるX値に対して誤差を有し、コイル温度が安定した状態となるまで安定した値(略一定の値)に収束しない。 As can be seen from the graph Gx1 and the graph Gx3, the output value X before correction increases as the coil temperature rises with the change in temperature with time. That is, in the temperature change with time, the coil temperature gradually increases and then becomes stable, and the X value as the eddy current measurement value follows the change in the coil temperature when not corrected. In other words, when temperature correction is not performed, the X value measured until the coil temperature becomes stable has an error with respect to the X value measured while the coil temperature is stable. However, it does not converge to a stable value (substantially constant value) until the coil temperature becomes stable.
このような補正前の出力値Xの変化に対し、グラフGx2からわかるように、補正後の出力値Xは、経時温度変化において、コイル温度の変化にかかわらず略一定の値となっている。すなわち、温度補正が行われることで、コイル温度が安定した状態となるまでの間に計測されるX値について、コイル温度が安定している状態で計測されるX値に対する誤差が解消されている。言い換えると、温度補正により、出力値Xについて、コイル温度の安定にともなって安定するまでの変化分が補正され、出力値Xが略一定の値に安定している。このように、温度補正が行われることで、経時温度変化の下においても、温度の影響を受けて変化する渦流計測値としてのX値に対する経時温度変化による影響が低減され、出力値Xのバラツキの範囲が大幅に低減される。 As can be seen from the graph Gx2 with respect to the change in the output value X before correction, the output value X after correction is a substantially constant value in the temperature change with time regardless of the change in coil temperature. That is, by performing the temperature correction, an error with respect to the X value measured while the coil temperature is stable is eliminated with respect to the X value measured until the coil temperature becomes stable. . In other words, the temperature correction corrects the change in the output value X until it stabilizes as the coil temperature stabilizes, and the output value X is stabilized to a substantially constant value. As described above, by performing the temperature correction, the influence of the temperature change with time on the X value as the eddy current measurement value that changes under the influence of temperature is reduced, and the output value X varies. The range of is greatly reduced.
このような温度補正による効果は、渦流計測値であるY値についても同様に得られる。すなわち、図20は、Y値(出力値Y)についての温度補正の結果に係るグラフを示す。図20において、グラフGy1は、経時温度変化における補正前の出力値Xの変化を示し、グラフGy2は、経時変化における補正後の出力値Xの変化を示し、グラフGy3は、経時温度変化における計測系の温度としてのコイル温度の変化を示す。 The effect by such temperature correction can be similarly obtained for the Y value which is the eddy current measurement value. That is, FIG. 20 shows a graph relating to the result of temperature correction for the Y value (output value Y). In FIG. 20, a graph Gy1 shows a change in the output value X before correction in a change with time in temperature, a graph Gy2 shows a change in the output value X after correction in a change in time, and a graph Gy3 shows a measurement in the change in temperature with time. The change in coil temperature as system temperature is shown.
そして、グラフGy1及びグラフGy3からわかるように、補正前の出力値Yは、経時温度変化において、コイル温度の上昇にともなって増加する。これに対し、グラフGy2からわかるように、補正後の出力値Yは、経時温度変化において、コイル温度の変化にかかわらず略一定の値となっている。このように、Y値についても、温度補正が行われることで、経時温度変化の下においても、温度の影響を受けて変化する渦流計測値としてのY値に対する経時温度変化による影響が低減され、出力値Yのバラツキの範囲が大幅に低減される。 As can be seen from the graphs Gy1 and Gy3, the uncorrected output value Y increases as the coil temperature rises as the temperature changes with time. On the other hand, as can be seen from the graph Gy2, the corrected output value Y is a substantially constant value regardless of the change of the coil temperature in the temperature change with time. As described above, the temperature correction is also performed on the Y value, so that the influence of the temperature change with time on the Y value as the eddy current measurement value that changes under the influence of temperature is reduced even under the temperature change with time. The range of variation of the output value Y is greatly reduced.
なお、温度補正による補正量について、出力値Xの場合の方が出力値Yの場合に比して大きいことは、本計測結果例が得られるに際して用いられた交流励磁信号V1の周波数の領域が、前述したようなインピーダンス変化において温度の影響を受けて変化する導電率の変化量について、X値の変化による変化量の方がY値の変化による変化量よりも大きくなる周波数の領域であることに起因する。 Note that the amount of correction by temperature correction is larger in the case of the output value X than in the case of the output value Y. The frequency region of the AC excitation signal V1 used in obtaining this measurement result example is Regarding the amount of change in conductivity that changes under the influence of temperature in the impedance change as described above, the change amount due to the change in the X value is in a frequency region in which the change amount due to the change in the Y value is larger. caused by.
また、本計測結果例における温度補正の結果について、経時温度変化において生じる渦流計測値のバラツキの範囲が低減していることを、具体的な数値を用いて説明する。図16(a)の表に示すように、X値について、補正後の値の最大値(max)は、−4014.7であり、最小値(min)は、−4036.87である。そして、これら最大値と最小値との差は、22.16822(mV)である。かかる値が、X値についての補正後の値のバラツキの範囲となる。一方、補正前の出力値Xについてのバラツキの範囲は、図16(a)の表の“出力値X変化量”の欄において、X基準値に対する変化量(絶対値)が最も大きい1369.6(mV)に対応する。このように、経時温度変化において生じるX値のバラツキの範囲は、温度補正により、補正前との比較において大幅に低減している。 In addition, regarding the result of temperature correction in this measurement result example, the fact that the range of variation in the eddy current measurement value that occurs in the temperature change with time is reduced will be described using specific numerical values. As shown in the table of FIG. 16A, for the X value, the maximum value (max) of the corrected value is −4014.7, and the minimum value (min) is −4036.87. The difference between the maximum value and the minimum value is 22.16822 (mV). This value is the range of variation in the value after correction for the X value. On the other hand, the variation range of the output value X before correction is 1369.6, which has the largest change amount (absolute value) with respect to the X reference value in the column of “output value X change amount” in the table of FIG. Corresponds to (mV). As described above, the range of the variation in the X value caused by the temperature change with time is greatly reduced by the temperature correction as compared with before the correction.
また、図16(b)の表に示すように、Y値について、補正後の値の最大値(max)は、−3248.5607であり、最小値(min)は、−3292.8432である。そして、これら最大値と最小値との差は、44.28256(mV)である。かかる値がY値についての補正後の値のバラツキの範囲となる。一方、補正前の出力値Yについてのバラツキの範囲は、図16(b)の表の“出力値X変化量”の欄において、Y基準値に対する変化量(絶対値)が最も大きい253.9(mV)に対応する。このように、経時温度変化において生じるY値のバラツキの範囲は、X値の場合と同様、温度補正により、補正前との比較において大幅に低減している。 Also, as shown in the table of FIG. 16B, the maximum value (max) of the corrected value for the Y value is −3248.5607, and the minimum value (min) is −3292.8432. . The difference between the maximum value and the minimum value is 44.28256 (mV). Such a value is a range of variation in the corrected value for the Y value. On the other hand, the range of variation of the output value Y before correction is 253.9 with the largest change amount (absolute value) with respect to the Y reference value in the column of “output value X change amount” in the table of FIG. Corresponds to (mV). In this way, the range of the variation in the Y value that occurs in the temperature change with time is greatly reduced by the temperature correction as compared with the case before the X value, as in the case of the X value.
また、図16(c)の表に示すように、本計測結果例においては、渦流計測値について、従来行われている補正の一種であるゼロ調整が行われた後の値も得られている。本例において、ゼロ調整は、基準ワークについての出力値X及び出力値Yから、センターピン70についての出力値X及び出力値Yがそれぞれ減算されることで行われる。したがって、図16(c)の表において、ゼロ調整が行われた後の出力値X(“ゼロ調整後(X)“の欄参照)は、図15に示す表において、ワーク出力値Xからセンターピン出力値Xが減算された値に対応する。同様に、ゼロ調整が行われた後の出力値Y(“ゼロ調整後(Y)“の欄参照)は、図15に示す表において、ワーク出力値Yからセンターピン出力値Yが減算された値に対応する。
Further, as shown in the table of FIG. 16C, in this measurement result example, the value after zero adjustment, which is a kind of correction performed conventionally, is also obtained for the eddy current measurement value. . In this example, the zero adjustment is performed by subtracting the output value X and the output value Y for the
図16(c)に示すように、ゼロ調整後の出力値Xについて、最大値(max)は、−3144.5であり、最小値(min)は、−3225.1である。そして、これら最大値と最小値との差、つまりバラツキの範囲は、80.6(mV)である。また、ゼロ調整後の出力値Yについて、最大値(max)は、−1131.6であり、最小値(min)は、−1350.1である。そして、これら最大値と最小値との差、つまりバラツキの範囲は、218.5(mV)である。 As shown in FIG. 16C, regarding the output value X after zero adjustment, the maximum value (max) is −3144.5, and the minimum value (min) is −3225.1. The difference between the maximum value and the minimum value, that is, the range of variation is 80.6 (mV). For the output value Y after zero adjustment, the maximum value (max) is −1131.6, and the minimum value (min) is −1350.1. The difference between the maximum value and the minimum value, that is, the range of variation is 218.5 (mV).
これらゼロ調整後の出力値X及び出力値Yについてのバラツキの範囲は、補正前の出力値X及び出力値Yについてのバラツキの範囲よりも小さいものの、温度補正による補正後の出力値X及び出力値Yについてのバラツキの範囲のよりも大きい。つまり、本実施形態の温度補正によれば、従来行われているゼロ調整に対しても十分に経時温度変化において生じる渦流計測値のバラツキの範囲についての低減効果が得られる。 Although the range of variation for the output value X and the output value Y after zero adjustment is smaller than the range of variation for the output value X and output value Y before correction, the output value X and output after correction by temperature correction It is larger than the range of variation for the value Y. That is, according to the temperature correction of the present embodiment, an effect of reducing the range of variation in the eddy current measurement value that occurs when the temperature changes with time can be sufficiently obtained even with the conventional zero adjustment.
図21は、数日単位における渦流計測値の変化の一例を示す。図21において、(a)は、温度補正前についてのものであり、(b)は、温度補正後のものである。また、図21(a)、(b)それぞれにおいて、三角形で示される点(黒色の点)は、X値を示し、丸形で示される点(薄墨色の点)は、Y値を示す。なお、図21(a)、(b)それぞれにおいて示される渦流計測値の範囲(縦軸の範囲)は、いずれも同じ(1000mV)である。 FIG. 21 shows an example of changes in eddy current measurement values in units of several days. In FIG. 21, (a) is before temperature correction, and (b) is after temperature correction. In each of FIGS. 21A and 21B, a point indicated by a triangle (black point) indicates an X value, and a point indicated by a round shape (light ink color point) indicates a Y value. Note that the eddy current measurement ranges (vertical axis ranges) shown in FIGS. 21A and 21B are the same (1000 mV).
図21(a)に示すように、温度補正前の渦流計測値について、出力値Yの経時的な変化に着目すると、不連続な部分(途切れた部分)が存在する(破線で囲まれる部分P1〜P5参照)。このような出力値Yの経時的な変化における不連続な部分は、例えば、工場等の作業現場にて、一日単位の区切りにおいて装置の電源が落とされた後、翌日再び電源が入れられて作業が開始されることに対応する。このような不連続な部分は、出力値Xにおいても同様に存在する。すなわち、図21(a)からわかるように、温度補正前における渦流計測値は、数日単位の経時温度変化において、装置の電源がOFFの状態からONとされる度に、徐々に増加して安定するという変化を繰り返しており、不安定である。 As shown in FIG. 21A, regarding the eddy current measurement value before temperature correction, when attention is paid to the change over time in the output value Y, there is a discontinuous part (discontinuous part) (part P1 surrounded by a broken line). To P5). Such a discontinuous portion in the change of the output value Y over time is, for example, when the power of the apparatus is turned off at the unit of one day at a work site such as a factory and then turned on again the next day. Corresponds to work being started. Such a discontinuous portion exists in the output value X as well. That is, as can be seen from FIG. 21 (a), the eddy current measurement value before the temperature correction gradually increases every time the temperature of the apparatus is changed from the OFF state to the ON state in the time-dependent temperature change of several days. It repeats the change of stability and is unstable.
これに対し、図21(b)に示すように、温度補正後の渦流計測値は、出力値X及び出力値Yいずれについても、数日単位の経時温度変化において、装置の電源のON/OFF等に際して若干の変動はみられるものの、安定した値を示す。そして、渦流計測値の変化において、渦流計測値のバラツキの範囲が、出力値X及び出力値Yいずれについても、温度補正前の渦流計測値の変化との比較においてきわめて小さくなっている。つまり、温度補正が行われることにより、渦流計測値に対する経時温度変化による影響が低減され、数日単位においても渦流計測値のバラツキが抑制されている。 On the other hand, as shown in FIG. 21 (b), the eddy current measurement value after the temperature correction is the ON / OFF of the power supply of the apparatus at the time-dependent temperature change for several days for both the output value X and the output value Y. Although there are some fluctuations at the time, etc., it shows a stable value. In the change in the eddy current measurement value, the range of variation in the eddy current measurement value is extremely small in both the output value X and the output value Y in comparison with the change in the eddy current measurement value before temperature correction. That is, by performing the temperature correction, the influence of the temporal temperature change on the eddy current measurement value is reduced, and variation in the eddy current measurement value is suppressed even in units of several days.
図22は、X−Y平面40において設定されるトレランスゾーン41及び計測点の分布の一例を示す。図22において、(a)は、温度補正前についてのものであり、(b)は、温度補正後のものである。なお、図22(a)及び(b)は、同種の部品の同じ検査部位ついてのデータである。
FIG. 22 shows an example of the
図22(a)において、横軸に示す出力値Xについての範囲は、−9000〜−7000(mV)であり、縦軸に示す出力値Yについての範囲は、−4000〜−2000(mV)であり、いずれも2000(mV)の範囲である。これに対し、図22(b)においては、横軸に示す出力値Xについての範囲は、−5000〜−4000(mV)であり、縦軸に示す出力値Yについての範囲は、−4000〜−3000(mV)であり、いずれも1000(mV)の範囲である。 In FIG. 22A, the range for the output value X shown on the horizontal axis is −9000 to −7000 (mV), and the range for the output value Y shown on the vertical axis is −4000 to −2000 (mV). And both are in the range of 2000 (mV). On the other hand, in FIG. 22B, the range for the output value X shown on the horizontal axis is −5000 to −4000 (mV), and the range for the output value Y shown on the vertical axis is −4000 to -3000 (mV), both in the range of 1000 (mV).
したがって、図22(a)と同図(b)との対比からわかるように、温度補正が行われることにより、経時温度変化による渦流計測値のバラツキ、つまり計測点の分布のバラツキが低減されている。言い換えると、温度補正が行われることにより、計測点の収束度合いが高まっている。これにともない、多数の良品データの分布に基づいて設定されるトレランスゾーン41のX−Y平面40上における面積が小さくなる。具体的には、本例の場合、図22(b)に示される温度補正後のトレランスゾーン41bは、同図(a)に示される温度補正前のトレランスゾーン41aに対して、約1/4〜1/5程度の面積となっている。
Therefore, as can be seen from the comparison between FIG. 22 (a) and FIG. 22 (b), by performing temperature correction, variation in eddy current measurement values due to changes in temperature with time, that is, variation in distribution of measurement points is reduced. Yes. In other words, the degree of convergence of the measurement points is increased by performing temperature correction. Accordingly, the area on the
このように、渦流計測値について温度補正が行われることにより、焼入パターンの良否の判定に用いられるトレランスゾーン41を小さくすることができる。このことは、前述したようにトレランスゾーン41によるワーク50の良否判定において指標として用いられる分離値について、不良品であるワーク50についての分離値を大きくすることができることに対応する。これにより、トレランスゾーン41によるワーク50の良否判定の判定精度、つまり焼入パターンの検査精度を向上させることができる。
Thus, by performing temperature correction on the eddy current measurement value, the
以上説明した本実施形態に係る焼入パターン検査によれば、渦流計測による焼入パターンの検査において、コイル温度やアンプ温度等の計測系の温度変化による渦流計測値の温度ドリフトを無効化することができる。これにより、渦流計測値のバラツキを抑制することができ、計測精度を格段に向上させることができる。また、温度補正に際しての検量線の作成に用いられる基準部品として、ワーク50等を支持する計測治具30に備えられるセンターピン70が用いられることで、渦流計測に際して既存のシステム構成を利用することができるとともに、計測作業の効率化を図ることができる。
According to the quenching pattern inspection according to the present embodiment described above, in the quenching pattern inspection by the eddy current measurement, the temperature drift of the eddy current measurement value due to the temperature change of the measurement system such as the coil temperature or the amplifier temperature is invalidated. Can do. Thereby, the dispersion | variation in a eddy current measurement value can be suppressed and a measurement precision can be improved markedly. In addition, since the
また、温度補正において一次関数として作成される検量線については、その傾きが、ワークの材質毎にある程度固有の値となる。このため、同じ材質の部品であれば、一度作成された検量線についての傾き(またはそれに近似する値)が用いられることで、温度補正が可能となる。また。センターピン70と形状が全く違う部位が計測される場合でも、温度補正用の検量線が用いられることで、正確な温度補正が可能となる。さらに、検量線について、その切片が検査部位の形状等に応じて調整されることで、X−Y平面40上の任意の領域に計測点の分布を収束させることが可能となる。このように、本実施形態に係る焼入パターン検査によれば、検査部位の形状や材質等に対してフレキシブルな温度補正を実現することができる。
In addition, the slope of the calibration curve created as a linear function in the temperature correction has a value that is unique to some extent for each material of the workpiece. For this reason, if the parts are made of the same material, the temperature correction can be performed by using the inclination (or a value approximating it) of the calibration curve once created. Also. Even when a part having a shape completely different from that of the
また、本実施形態の焼入パターン検査によれば、渦流計測値を表すX−Y平面40において予め設定されるトレランスゾーン41が用いられることで、非破壊計測である渦流計測による計測値(X値及びY値)から、ワーク50についての焼入パターンの良否の判定を行うことができるので、焼入パターンについてのインラインでの全数検査(全数保証)が可能となる。これにより、従来行われていた破壊試験である抜取りによるねじり試験を廃止することができ、ねじり試験廃止にともなうロスコストや工数の削減を図ることができる。この結果、焼入品質を向上させることができるとともに、焼入パターンの検査に際し、ロスコストや時間の削減を図ることができる。
Further, according to the quenching pattern inspection of the present embodiment, by using the
また、複数のワーク50について連続的に焼入パターンの検査が行われるに際し、渦流計測結果が常時モニタリングされることで、例えば高周波焼入等の焼入を施すための装置における冷却水の詰まりやパワーの急変動等の焼入異常が生じた場合、それをリアルタイムで検知することができ、焼入異常について早期対策を講ずることが可能となる。
In addition, when the quenching pattern is continuously inspected for a plurality of
また、実際の組立ライン等において全部品の渦流計測値が取得されることで、トレーサビリティ管理を行うことが可能となる。これに関連して、前記のような焼入異常の発生とワーク50における焼入パターン切れ発生との相関を究明することができ、良品についての製造要件や管理要件を知見化することが可能となる。
Also, traceability management can be performed by acquiring eddy current measurement values of all parts in an actual assembly line or the like. In relation to this, it is possible to investigate the correlation between the occurrence of quenching abnormality as described above and the quenching pattern breakage in the
11 励磁コイル
12 検出コイル
13 渦流貫通コイル(渦流センサ)
20 渦流探傷器(計測手段、判定手段)
22 計測部
23 判定部
25 演算部
26 設定部
27 補正部
40 X−Y平面(座標平面)
40x X軸(第一の座標軸)
40y Y軸(第二の座標軸)
41 トレランスゾーン(許容誤差領域)
42 良品データ
43 境界線
44 パターン切れ品データ
46 トレランスゾーン(許容誤差領域)
50 ワーク
50a 検査部位
60 基準部品
70 センターピン(接触部材)
11
20 Eddy current flaw detector (measuring means, judging means)
22
40x X axis (first coordinate axis)
40y Y-axis (second coordinate axis)
41 Tolerance Zone (Allowable Error Area)
42
50
Claims (4)
前記第一の値を示す第一の座標軸と、該第一の座標軸に直交するとともに前記第二の値を示す第二の座標軸とから定められる座標平面にて、前記渦流計測により計測した、多数の良品についての前記第一の値及び前記第二の値に基づいて定まる前記座標平面上の点の分布に基づき、所定の許容誤差領域を予め設定し、
前記渦流計測により、検査対象部品の検査部位についての前記第一の値及び前記第二の値を計測し、計測した前記第一の値及び前記第二の値に基づいて定まる前記座標平面上の点が、前記許容誤差領域内にあるか否かにより、検査対象部品についての焼入パターンの良否を判定する焼入パターン検査方法であって、
少なくとも材質、前記渦流センサに対する充填率、及び表面性状について検査対象部品を模した基準部品を用い、
前記渦流センサの通電による経時的な温度変化にともなう、前記基準部品についての前記第一の値及び前記第二の値のいずれか一方の値の変化と、基準となる所定の検査対象部品についての前記第一の値及び前記第二の値それぞれの前記経時的な温度変化における収束値として予め任意に設定される基準値に対する変化量の変化との相関関係を予め求め、
前記相関関係から導かれる前記基準部品についての前記第一の値または前記第二の値に対応する前記基準値に対する変化量を補正量として、前記検査部位について計測した前記第一の値及び前記第二の値を補正することを特徴とする焼入パターン検査方法。 An eddy current sensor having an excitation coil for applying a predetermined AC excitation signal to a component to be inspected and a detection coil for detecting a detection signal due to eddy current from the component to be inspected to which the AC excitation signal is applied Using the eddy current measurement to measure a first value that is a value resulting from a phase difference of the detection signal with respect to the AC excitation signal and a second value that is a value of the detection signal,
Measured by the eddy current measurement on a coordinate plane defined by a first coordinate axis indicating the first value and a second coordinate axis orthogonal to the first coordinate axis and indicating the second value. Based on the distribution of points on the coordinate plane determined based on the first value and the second value for non-defective products, a predetermined allowable error region is set in advance,
By the eddy current measurement, the first value and the second value for the inspection site of the inspection target component are measured, and the coordinate plane determined based on the measured first value and the second value It is a quenching pattern inspection method for determining the quality of a quenching pattern for a part to be inspected according to whether or not a point is within the allowable error region,
Using at least the standard parts that simulate the parts to be inspected for the material, the filling rate for the eddy current sensor, and the surface properties,
A change in the value of either the first value or the second value for the reference component with a change in temperature over time due to energization of the eddy current sensor, Predetermining a correlation with a change in the amount of change with respect to a reference value arbitrarily set in advance as a convergence value in the temperature change over time of each of the first value and the second value,
The first value measured with respect to the examination site and the first value with the amount of change with respect to the reference value corresponding to the first value or the second value for the reference component derived from the correlation as a correction amount A quenching pattern inspection method, wherein the second value is corrected.
前記渦流センサに対して所定の姿勢で支持された状態の検査対象部品に接触した状態で、前記検査部位についての前記渦流計測に際しての前記渦流センサの検査対象部品に対する相対的な移動方向への移動によって、前記渦流センサによる前記渦流計測が可能となる形状を有する接触部材を用いることを特徴とする請求項1に記載の焼入パターン検査方法。 As the reference part,
Movement in the moving direction of the eddy current sensor relative to the inspection target component at the time of the eddy current measurement for the inspection site in a state where the inspection target component is supported in a predetermined posture with respect to the eddy current sensor. The quenching pattern inspection method according to claim 1, wherein a contact member having a shape capable of measuring the eddy current by the eddy current sensor is used.
前記検出信号の前記交流励磁信号に対する位相差に起因する値である第一の値、及び前記検出信号の大きさの値である第二の値を計測する渦流計測を行う計測手段と、
前記第一の値を示す第一の座標軸、及び該第一の座標軸に直交するとともに前記第二の値を示す第二の座標軸から定められる座標平面にて、前記計測手段により計測された、多数の良品についての前記第一の値及び前記第二の値に基づいて定まる前記座標平面上の点の分布に基づき、所定の許容誤差領域を予め設定し、前記計測手段により計測された、検査対象部品の検査部位についての前記第一の値及び前記第二の値に基づいて定まる前記座標平面上の点が、前記許容誤差領域内にあるか否かにより、検査対象部品についての焼入パターンの良否を判定する判定手段と、を備える焼入パターン検査装置であって、
前記判定手段は、
少なくとも材質、前記渦流センサに対する充填率、及び表面性状について検査対象部品を模した基準部品が用いられて計測される、前記渦流センサの通電による経時的な温度変化にともなう、前記基準部品についての前記第一の値及び前記第二の値のいずれか一方の値の変化と、基準となる所定の検査対象部品についての前記第一の値及び前記第二の値それぞれの前記経時的な温度変化における収束値として予め任意に設定される基準値に対する変化量の変化との相関関係を求める演算部と、
前記演算部により求められた前記相関関係が予め設定される設定部と、
前記設定部に設定された前記相関関係から導かれる前記基準部品についての前記第一の値または前記第二の値に対応する前記基準値に対する変化量を補正量として、前記検査部位について計測された前記第一の値及び前記第二の値を補正する補正部と、を有する、
ことを特徴とする焼入パターン検査装置。 An eddy current sensor having an excitation coil for applying a predetermined AC excitation signal to the inspection target component, and a detection coil for detecting a detection signal due to eddy current from the inspection target component to which the AC excitation signal is applied;
A measuring means for performing eddy current measurement for measuring a first value that is a value resulting from a phase difference of the detection signal with respect to the AC excitation signal and a second value that is a value of the magnitude of the detection signal;
A first coordinate axis indicating the first value, and a number measured by the measuring means on a coordinate plane orthogonal to the first coordinate axis and defined by the second coordinate axis indicating the second value. A predetermined tolerance region is set in advance based on the distribution of points on the coordinate plane determined based on the first value and the second value of the non-defective product, and the inspection object is measured by the measuring unit Depending on whether or not the point on the coordinate plane determined based on the first value and the second value for the inspection site of the component is within the allowable error region, the quenching pattern of the inspection target component is determined. A quenching pattern inspection apparatus comprising: determination means for determining pass / fail;
The determination means includes
At least the material, the filling rate with respect to the eddy current sensor, and the surface properties are measured by using a reference part that imitates the inspection target part. A change in one of the first value and the second value, and a change in temperature with time of each of the first value and the second value with respect to a predetermined inspection target part as a reference A calculation unit for obtaining a correlation with a change in a change amount with respect to a reference value arbitrarily set in advance as a convergence value;
A setting unit in which the correlation obtained by the calculation unit is set in advance;
Measured for the examination site with the amount of change with respect to the reference value corresponding to the first value or the second value for the reference part derived from the correlation set in the setting unit as a correction amount A correction unit that corrects the first value and the second value,
A quenching pattern inspection apparatus characterized by that.
前記渦流センサに対して所定の姿勢で支持された状態の検査対象部品に接触した状態で、前記検査部位についての前記渦流計測に際しての前記渦流センサの検査対象部品に対する相対的な移動方向への移動によって、前記渦流センサによる前記渦流計測が可能となる形状を有する接触部材を備えることを特徴とする請求項3に記載の焼入パターン検査装置。 As the reference part,
Movement in the moving direction of the eddy current sensor relative to the inspection target component at the time of the eddy current measurement for the inspection site in a state where the inspection target component is supported in a predetermined posture with respect to the eddy current sensor. The quenching pattern inspection apparatus according to claim 3, further comprising: a contact member having a shape that enables the eddy current measurement by the eddy current sensor.
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