JP2010025595A - 検査デバイス - Google Patents

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政慶 籾山
Atsushi Hattori
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Abstract

【課題】処理液の流れが均一になる検査デバイスの提供を解決すべき課題とする。
【解決手段】処理液が滴下される薄膜状の処理液投入保持部11と、処理液投入保持部11から処理液が移動可能に一端部が厚み方向に重ねられ且つ検出用物質を一部に保持する薄膜状の展開反応部12と、処理液が移動可能に展開反応部2の他端部に厚み方向に重ねられる吸水部13とをもつ検査部材10(11〜13)と、前側接合部A及び後側接合部Bをそれらの厚み方向から押圧接合する押圧部411及び412が枠部分に一体的に形成され、展開反応部12が観察可能な観察窓41aが開けられ、検査部材10(11〜13)を収納する収納ケース40とを有する。観察窓41aの枠部分に一体的に精度良く形成された押圧部411及び412を用いて前側接合部A及び後側接合部Bを押圧・接合するため、高い精度が確保できる。その結果、処理液が流れる経路の精度も向上し、被検物質の検出精度も向上する。
【選択図】図1

Description

本発明は、被検査液中に含有される被検物質を検査する検査デバイスに関し、特に、製造上のバラツキによる検査精度への影響が小さくできる検査デバイスに関する。
従来、微量の化学物質を定量する方法としては、大型機器を用いる質量分析や(高速)液体クロマトグラフィーなどが知られている。また、生物学的反応を利用して微量成分の定量、検出を行うバイオアッセイが知られている。バイオアッセイの1つとしてELISA法が知られている。ELISA法は感度が高く、種々の検査法において公定法として数多く採用されており、その特長としては、検出感度が概ね良好で、試験群にコントロールを加えることで定量が可能である点である。しかしながら、操作が煩雑であり、測定者の熟練度による誤差・ばらつきが大きい欠点がある。また、作業時間が数時間と長く使用する反応試薬や溶液量が多く必要である。
そこで、現場にてすぐに結果が判断できる手法の開発が進んでいる。例えば、抗原抗体反応を利用し、被検査液を滴下するだけでその中に含有される被検物質を特異的に検出できるイムノクロマト法、酵素を用いて被検物質の検出を行うグルコースセンサー、表面プラズモン共鳴を用いるSPRなどが挙げられる。中でもイムノクロマト法は操作が簡便であり、妊娠検査薬など一般消費者向けの製品にも応用されている。
イムノクロマト法では被検物質を含む被検査液を含む複数の処理液を順次、滴下していくことにより、被検物質に特有な抗原抗体反応が進行する。この抗原抗体反応の進行に伴い変化する色調などを検査することにより検出する。イムノクロマト法では被検物質の存在のみならず、被検物質の量についても色調変化として検出することが行われている。
ところで、イムノクロマト法では被検物質との間で反応が進行する検出用物質を保持する展開反応部の他、処理液を滴下する処理液投入保持部と、展開反応部の検出物質保持部を処理液が順調に通過・接触できるように処理液を展開させるためのドレインとして作用する吸水部とを有する構成を採用することが一般的である。この処理液投入保持部、展開反応部、及び吸水部は処理液が潤滑に流れていけるように接続されることが要求される。この接続状態によって処理液の流れが変化するため、検査結果にも影響を与えることになる。例えば、接着剤を用いた接着や熱融着などによる接合では処理液の流れが妨げられるため、それぞれの部材を重ね合わせる構成を採用するものがある。このような構成を採用する場合に、特許文献1では、ケースとして上面を覆う第一ケース部材(a)と下面を覆う第二ケース部材(b)とを採用し、第一ケース部材(a)に2箇所の凸部(8)を設け、第二ケース部材(b)の凸部(8)に対向する部位に凸部(9)を設けて、その凸部(8)と凸部(9)とで重ね合わせた部分を挟み込む形態が開示されている。特許文献2では上面を覆う第1ケース部材(a)に2箇所の凸部(8)を設け、その凸部(8)にて重ね合わせた部分を挟み込んでいる形態が開示されている。また、特許文献3では各部材を連結する連結部として、通路となるような部材を設けたり又は折り曲げにより接点を作成し、処理液の移動を制御している形態が開示されている。
特開2005−37384号公報(図3など) 特開2005−37385号公報(図3など) 特開2006−215017号公報(図1〜14など)
しかしながら、特許文献1及び2に開示の装置では凸部が独立して形成されるため、形状が複雑になって、樹脂などにて製造する際の射出成形条件の設定が困難になる。製造時にバラツキが発生すると、検査結果に大きな影響を与える。特許文献3に開示の装置では、通路を形成するためには別の部材が必要であり、折り曲げる方法では嵩張って保管、移動、廃棄などにおける処理が困難になる。
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、処理液の流れが均一になる検査デバイスを提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する請求項1に係る本発明の検査デバイスの特徴は、被検物質を含有する被検査液を含む処理液が滴下される薄膜状の処理液投入保持部と、前記処理液投入保持部の後端部から前記処理液が移動可能に一端部が重ねられ且つ前記被検物質に対して特異的相互作用を生じる検出用物質を一部に保持する薄膜状の展開反応部と、前記処理液が移動可能に前記展開反応部の他端部に先端部が重ねられる吸水部とを有する検査部材と、
前記検査部材を内部に収納し、前記展開反応部を観察可能な観察窓が前記展開反応部と対向して開けられた収納ケースと、を備え、
前記処理液投入保持部の後端部と前記展開反応部の一端部とが重ねられた前側接合部、及び前記展開反応部の他端部と前記吸水部の先端部とが重ねられた後側接合部の少なくとも一方を押圧して挟持する押圧部が、前記観察窓の枠部分に設けられたことにある。
上記課題を解決する請求項2に係る本発明の検査デバイスの特徴は、請求項1において、前記押圧部は、前記前側接合部及び前記後側接合部の双方を押圧するように、前記観察窓の枠部分の両側に設けられていることにある。
上記課題を解決する請求項3に係る本発明の検査デバイスの特徴は、請求項1又は2において、前記収納ケースには、前記観察窓が開口されたカバー部と前記検査部材を挟んで反対側のベース部に前記展開反応部を保持する保持面が形成され、
前記保持面には、前記処理液投入保持部に滴下された前記処理液が、前記前側接合部を通過後、前記展開反応部からはみ出ることを抑える凹部が設けられたことにある。
上記のように構成した請求項1に係る検査デバイスにおいては、前側接合部及び後側接合部の少なくとも一方を、観察窓の枠部分に一体的に突出して形成された押圧部を用いて押圧・接合する構成を採用することにより、従来技術のように独立して凸部を形成する形態よりも押圧部を高い精度で容易に確保することが可能になる。つまり、観察窓は、展開反応部を外部から観察する目的で形成する開口部であり、その枠部分は最初から正確な位置に形成されていることから、その部分を僅かに変形させるなどして前側接合部及び/又は後側接合部を押圧するような形態にして押圧部としても、その作成は容易である。例えば、射出成形により押圧部を形成する場合には、枠部分は観察窓の端部として形成されることから、従来技術のように平面部に凸部を設ける場合に比べて樹脂流れの分岐する部分が無く、成形条件が単純化できるため押圧部の位置及び突出高さの寸法精度を良好に製造することが可能である。このように精度良く形成できるため、押圧部の位置を精度良く形成できることになり、処理液が流れる経路(押圧して挟持される部分)の寸法精度も向上する。前側接合部及び後側接合部において、処理液は、枠部分に設けられた押圧部により押圧・挟持された部分を優先的に流れるため、その押圧・挟持される位置、つまりは押圧部の位置の精度が向上することで被検物質の検出精度も向上する。
上記のように構成した請求項2に係る検査デバイスにおいては、前記前側接合部及び前記後側接合部の双方を押圧部にて押圧・挟持することにより、処理液の流れが円滑になる。つまり、双方に押圧部を設けることにより、処理液投入保持部から展開反応部に至る流路と、展開反応部から吸水部に至る流路の両方共に精度良く形成することができると共に、両方の押圧・挟持される部分間の長さにて規定される流路長さが各検査デバイスで一定になり、検査デバイス毎の測定バラツキがなくなる。
上記のように構成した請求項3に係る検査デバイスにおいては、ベース部の保持面に、処理液投入保持部に滴下された処理液が、前側接合部を通過後、展開反応部からはみ出た流れを分断する凹部を設けたことにより、処理液投入保持部から展開反応部に設けた検出物質保持部に向けて確実に処理液を到達させることができる。凹部が形成された部分では処理液がはみ出して流れることを物理的に防止することができ、凹部の部分では処理液はすべて展開反応部を通過することになる。
被検物質は検出物質保持部に至ることにより検出物質と相互作用してその後の検査を定量的に進行させることができる。従って、処理液のうちの予定した量が検出物質保持部に到達しない場合には、到達しない量が一部であっても検査結果に大きな影響を与える。処理液の一部が検出物質保持部に到達しない場合としては処理液が展開反応部と収納ケースとの間を流れていく場合(展開反応部の厚み方向にはみ出す場合)、展開反応部から幅方向にはみ出して流れていく場合がある。これらの場合でも処理液は、流れやすい展開反応部を流れては行くものの、一部は検出物質保持部に到達せず、検査結果として異常値を示す原因になる。これら処理液のはみ出しが生じる原因としては処理液を一度に処理液投入保持部に投入したような場合がある。そのような場合、処理液の一部は展開反応部を通過せずに吸水部に流れていくことになる。ところが、本請求項に係る検査デバイスによると、そのようにはみ出す処理液の流れを分断して、常に予定した量の処理液を検出物質保持部に到達させることができる。
本発明の検査デバイスについて以下実施形態に基づき詳細に説明を行う。
本実施形態の検査デバイスがどのような原理により被検査液中に含まれる被検物質を検査するかについては特に限定しない。例えば、イムノクロマト法、ELISA法などが挙げられる。また、その他の一般的な物理的性質に基づき被検物質を検査するものであっても良い。例えば、pH、何らかの特異的な化学反応などを利用する検査デバイスである。
本実施形態の検査デバイスは検査の対象となる被検査液を含む処理液を滴下して用いるデバイスであり、検査部材とその検査部材を収納する収納ケースとを有する。処理液としては被検査液の他、被検査液に含まれる被検物質を検出するための試薬などを含むものが例示できる。また、被検査液についても、被検物質を検出したい試料をそのまま適用する場合の他、そのような試料から何らかの方法により被検物質を抽出した液体を用いることもできる。望ましくは検査デバイスにおいて採用される被検物質の検出機構を阻害しないように、阻害するおそれがある成分を除去した液体を採用する。
検査部材は処理液投入保持部と展開反応部と吸水部とをもつ。検査部材は毛管移動媒体から構成することができる。毛管移動媒体は繊維状物質や多孔質物質から構成されている。例えば、適正な高分子材料から形成された多孔質材料や、紙・布・不織布などのように、繊維状物質を薄膜状にした部材や、微粒子材料を薄板上に固着させた部材などが挙げられる。また、毛管移動媒体は使用される処理液に親和性をもつ材料から形成されることが望ましい。
処理液投入保持部は処理液を滴下する部位であり、処理液を滴下したときに処理液を一時的に保持することにより処理液の垂れ、漏れを防ぐ作用をもつ。処理液投入保持部を構成する材料としては処理液(溶媒や含有する被検物質など)と反応したり、被検物質など含有する物質が吸着したりしないものが望ましく、グラスフィルターが例示できる。展開反応部は、免疫抗体、抗原物質、酵素などの検出用物質が一部に保持されており、処理液が展開されて反応が進行する場となる部材である。展開部を構成する材料としてはある程度吸着能力を有する材料を採用することが望ましく、ニトロセルロース繊維からなる紙状体が例示できる。吸水部は展開反応部にて反応が終了した処理液を吸水して保持する部材である。吸水部が処理液を吸水することにより、処理液投入保持部、展開反応部、そして吸水部に至る処理液の流れが形成される。処理液は処理液投入保持部から展開反応部に移動するが、その移動を円滑に進行させるために、展開反応部の処理液投入保持部とは反対側の端部に吸水部が配設される。この吸水部がドレインとして作用して処理液を吸収することにより、展開反応部には順次新しい処理液が処理液投入保持部から移動してくることになり、吸水部が無い場合よりも速やかに多量の処理液を展開反応部の検出物質保持部に接触させることができる。吸水部を構成する材料としては水への親和性が高く、吸水性に優れた材料が望ましく、一般的なろ紙が例示できる。
処理液投入部及び展開反応部はそれぞれ薄膜状の部材であり、その形態及び大きさとしては特に限定しないが形態としては短冊形状、大きさとしては長さ及び幅共に数cm〜十数cm程度が例示できる。処理液投入部の後端部及び展開反応部の一端部が重なっており、その重なり部分(前側接合部)を押圧することで挟持することにより、処理液が円滑に流れるようにしている。重ね合わせの順序は限定しない。重ね合わせの程度も特に限定しないが、数mm程度が例示できる。同様に、展開反応部及び吸水部の間も、展開反応部の他端部と吸水部の先端部とが重なっており、その重なり部分(後側接合部)を押圧することで挟持することにより、処理液が円滑に流れるようにしている。同様に、重ね合わせの順序は限定しない。また、重ね合わせの程度も特に限定しないが、数mm程度が例示できる。それぞれの重ね合わせられた部分では接着剤や熱融着などを用いないことが望ましい。接着剤を用いる場合には処理液の流れを阻害しないような形態、例えば押圧して挟持する部分の一部にのみ使用するなどの形態を採用する。
収納ケースは前記検査部材を内部に収納するケースである。収納ケースの形態としては特に限定しないが、検査部材の厚み方向に対応する方向が相対的に薄い直方体形状が望ましい。収納ケースは2以上の分割形成された部材、例えばカバー部とベース部、を組み合わせて構成するものであっても良い。収納ケースは内部に収納された検査部材のうち、展開反応部が観察可能な開口部である観察窓が形成されている。観察窓は展開反応部に保持した検出物質保持部が肉眼乃至は機械的に観察可能となるように設けられている。収納ケースは処理液投入保持部に処理液を投入するための処理液投入孔を設けることができる。処理液投入孔は観察窓が開口する側と同一の側面に設けることが望ましく、この開口位置は処理液投入保持部の中央近傍に向けて開口することが望ましい。処理液投入孔の形態は円形、四角形、三角形等どのような形態を採用しても良い。
収納ケースの観察窓の枠部分のうちの一部を用いて検査部材の重なり部分を押圧する構造をもつ。具体的には押圧部は観察窓の枠部分の一部において検査部材に向けて突出し、重なり部分の厚み方向から押圧するように枠部分に一体的に形成される。
押圧部を設ける位置としては、処理液投入保持部及び展開反応部の間の前側接合部と、展開反応部及び吸水部の間の後側接合部との何れであっても良いが、特に処理液の流れの上流側である前側接合部を押圧する位置に設けることが望ましく、前側接合部と、後側接合部との双方に設けることが更に望ましい。
観察窓の開口する位置及び大きさは、処理液投入保持部、展開反応部、及び吸水部の順で並んでいる並び方向において、押圧する部分の位置に枠部分の一部が配置されるように設定する。前側接合部と、後側接合部との双方を押圧する押圧部をもつ場合における観察窓の開口の大きさ及び位置は、前側接合部と、後側接合部との間の大きさに対応するものになる。前述の並び方向に交叉する幅方向の長さは展開反応部の幅程度の大きさにすることができる。押圧部は前側接合部及び/又は後側接合部の一部のみを押圧する形態の他、その全体を押圧する形態を採用してもよい。前側接合部や後側接合部の一部を押圧する押圧部としては、検査部材の長手方向における一部において、幅方向の全部を押圧するような形態を採用できる。収納ケースの観察窓が形成された側においては押圧部以外で検査部材に接することが無いような形態も採用できる。
収納ケースの観察窓が開口する側の反対側の形態は特に限定されないが、押圧接合部において押圧部にて押圧される反対側(ベース部)は押圧部と共に押圧接合部を押圧挟持するために押圧・挟持される部分と密着する形態を採用することが望ましい。また、検査部材の一面側(観察窓にて観察される側の反対側)に密着するような保持面をもつ形態が挙げられる。保持面をもつ場合、前側接合部から検出物質保持部への処理液の流れのうち、展開反応部からはみ出した流れを分断する凹部を備えることが望ましい。具体的には、保持面の展開反応部に対応する位置の一部が展開反応部に接しないように凹んだ形態が例示できる。凹部が形成される場合、その位置としては検出物質保持部よりも上流側に設ける。凹部の大きさとしては処理液の流れ方向においては処理液の流れを分断可能な長さ(処理液の表面張力により異なる長さである。)であり、処理液の流れ方向に交叉する方向においては流れ全体を分断できる大きさ(展開反応部の幅方向と同じか、それより大きい)が望ましい。なお、展開反応部の幅方向からはみ出して保持面上を処理液が流れていくことを防止することが主目的である場合には、展開反応部の幅方向の両端部近傍に凹部を設けるものであっても良い。
上記のように構成した本実施形態の検査デバイスにおいては、押圧部の形成が容易であるため、精度良く形成することが可能になる。処理液の流れは押圧部にて押圧された押圧接合部において支配的に進行するため、押圧部の位置の精度が向上すると、処理液の流れの精度も良くなり、検査デバイスの検査精度が向上する。また、凹部を設けることにより処理液が確実に検出物質保持部を通過することになるため更に精度良く検査を行うことができる。
以下、実施例に基づき本発明の検査デバイスについて詳細に説明する。なお、本実施例にて用いている図面は模式図であり、説明の都合上、その縮尺、各部材の大きさの比などは現実の大きさを反映していない部分があり、また、各部材の形状は一部省略して記載している部分がある。本実施例の検査デバイスは、図1に示すように、検査部材10とその検査部材10を内部に収納する収納ケース40とを有する。検査部材10は処理液投入保持部11、展開反応部12、吸水部13をもつ。処理液投入保持部11はグラスフィルターから形成されており、長さ21.5mm、幅5mmである。展開反応部12はニトロセルロース紙から形成されており、長さ25mm、幅5mmである。その長手方向の途中に検出物質保持部121をもつ。本実施例では検出物質保持部121の位置を明示するだけであるが、本来は処理液中の物質(被検物質など)と反応して発色などが進行する検出物質が保持された部分である。吸水部13はろ紙から形成されており、長さ23mm、幅5mmである。処理液投入保持部11の一端部及び展開反応部2の一端部は2mmの長さで重ね合わされている前側接合部Aをもつ。展開反応部12の他端部及び吸水部13の一端部は7.5mmの長さで重ね合わされている後側接合部Bをもつ。検査部材10は全体として長さ60mm、幅5mmである。
収納ケース40は検査部材10の一面側に配置されるカバー部41と他面側に配置されるベース部42とをもち、樹脂材料から形成される。検査部材10は展開反応部12の一面側に処理液投入保持部11及び吸水部13が配置されており、収納ケース40内において展開反応部12がベース部42に密着するように配置されている。カバー部41には観察窓41aが開口している。観察窓41aは長手方向に20mmの大きさで開口する。観察窓41aの枠部分41a1の長手方向の両端には押圧部411及び412をもつ。押圧部411は前側接合部Aを厚み方向(重ね合わされている処理液投入保持部11及び展開反応部12を処理液投入保持部11側から展開反応部12に向けて)に押圧して押圧・挟持する部分である。押圧部411は、押圧方向に0.5mm突出しており、長手方向には1mm、幅方向には検査部材10の幅(5mm)以上で形成されている。この押圧部411にて前側接合部Aは押圧されているため、その押圧された部分(押圧・挟持された部分)にて処理液が流れることになる。押圧部412は後側接合部Bを厚み方向(重ね合わされている展開反応部12及び吸水部13を吸水部13側から展開反応部12に向けて)に押圧して押圧接合部にする部分である。押圧部412は、押圧方向に0.5mm突出しており、長手方向には1mm、幅方向には検査部材110の幅(5mm)以上で形成されている。この押圧部412にて後側接合部Bは押圧されているため、その押圧される部分にて処理液が流れることになる。観察窓41aの長さと同様に精度良く形成可能なので前側接合部A及び後側接合部Bを押圧して挟持する部分の位置及び大きさも精度良く制御できると共に、両者の間の長さも精度良く形成可能である。カバー部41の処理液投入保持部1に相当する部分に処理液投入孔49が設けられている。処理液投入孔49を通じて処理液投入保持部11に処理液が投入される。ベース部42は展開反応部12をその裏面側から保持する保持部421をもつ。
この検査デバイスを用いて処理液の流れの安定性について確認した。比較例として、実施例の検査デバイスのカバー部41を外したものについて同様に検討した。まず、蒸留水75μLを処理液投入孔49から投入した。比較例については処理液投入保持部11の対応する位置に蒸留水を投入した。投入後、蒸留水が流れていき、後側接合部Bに至るまでの時間を測定した。蒸留水を投入してから15分後、赤色インク(ペリカン製)を75μL投入し、同様に後側接合部Bにまで到達するまでの時間を測定した。蒸留水の到達時間を測定することにより、前側接合部Aの部分における接合の精度が推定できる。その後の赤色インクの到達時間を測定することにより、前側接合部Aに加えて後側接合部Bにおける接合の精度も推定できる。実施例、比較例共に5回ずつ測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2010025595
表1より明らかなように、実施例の検査デバイスは分散の値が2.7%(蒸留水:1回目)、2.0%(赤インク:2回目)と、比較例の検査デバイスの分散の値である7.3%(蒸留水)、2.8%(赤インク)よりも小さくバラツキが小さいことが分かった。実施例の検査デバイスは観察窓41aの枠部分41a1をほぼそのまま押圧部411及び412に利用しており、その寸法精度が高いことに起因するものと考えられる。また、実施例の検査デバイスは比較例の検査デバイスよりも平均値が小さく、速やかに処理液が流れていくことが分かった。これは実施例の検査デバイスでは前側接合部A及び後側接合部Bを押圧部411及び412にて押圧することにより、処理液が円滑に流れるためと考えられる。
・変形例
図2に示すように、上述した実施例の検査デバイスにおける収納ケース40を収納ケース60に代えた形態とすることができる。収納ケース60は実施例の検査デバイスと同様にカバー部61及びベース部62より構成される。カバー部61は実質的にカバー部41と同様の構成をもつ。ベース部62は展開反応部12をその裏面側から保持する保持部621の一部に凹部622が形成されている以外はベース部42と同様の構成をもつ。ベース部62は展開反応部12を保持する保持面621をもち、その保持面621に凹部622が設けられている。凹部622は展開反応部12における前側接合部Aから検出物質保持部121に至るまでの部分においてベース部62の保持面が展開反応部12の裏面側に接しないように凹まされた凹部である。その幅は展開反応部12の幅よりも大きくなっている。万が一、処理液が展開反応部12の幅を超えて流れていっても、凹部621によって処理液の流れは寸断されることになり、処理液は展開反応部12内を通じて吸水部13に至る経路を流れるしかなくなるため、展開反応部12の幅方向に処理液がはみ出すことが防止できる。また、凹部621があるため、展開反応部12とベース部62との間の隙間が大きくなり、展開反応部12とベース部62との間を伝って処理液が流れることが防止でき、処理液は展開反応部12内を通じて流れることになる。本変形例の検査デバイスは凹部621をもつことにより、万が一、処理液の供給速度が大きくなって、展開反応部12における処理液の流れが間に合わずにはみ出すような条件に至っても処理液が展開反応部12からはみ出すことなく全て展開反応部12の検出物質保持部121を通過させることが可能になる。
実施例における検査デバイスの概略図((a):上面図、(b):(a)におけるb−b断面図)である。 変形例における検査デバイスの概略図((a):上面図、(b):(a)におけるb−b断面図)である。
符号の説明
10(11、12、13)…検査部材 11…処理液投入保持部 12…展開反応部 121…検出物質保持部 13…吸水部 A…前側接合部 B…後側接合部
40…収納ケース(41:カバー部、42:ベース部) 41a…観察窓 41a1…枠部分 411、412…押圧部 421…保持面 49…処理液投入孔
60…収納ケース(61:カバー部、62:ベース部) 61a…観察窓 61a1…枠部分 611、612…押圧部 621…保持面 622…凹部 69…処理液投入孔

Claims (3)

  1. 被検物質を含有する被検査液を含む処理液が滴下される薄膜状の処理液投入保持部と、前記処理液投入保持部の後端部から前記処理液が移動可能に一端部が重ねられ且つ前記被検物質に対して特異的相互作用を生じる検出用物質を一部に保持する薄膜状の展開反応部と、前記処理液が移動可能に前記展開反応部の他端部に先端部が重ねられる吸水部とを有する検査部材と、
    前記検査部材を内部に収納し、前記展開反応部を観察可能な観察窓が前記展開反応部と対向して開けられた収納ケースと、を備え、
    前記処理液投入保持部の後端部と前記展開反応部の一端部とが重ねられた前側接合部、及び前記展開反応部の他端部と前記吸水部の先端部とが重ねられた後側接合部の少なくとも一方を押圧して挟持する押圧部が、前記観察窓の枠部分に設けられたことを特徴とする検査デバイス。
  2. 前記押圧部は、前記前側接合部及び前記後側接合部の双方を押圧するように、前記観察窓の枠部分の両側に設けられている請求項1に記載の検査デバイス。
  3. 前記収納ケースには、前記観察窓が開口されたカバー部と前記検査部材を挟んで反対側のベース部に前記展開反応部を保持する保持面が形成され、
    前記保持面には、前記処理液投入保持部に滴下された前記処理液が、前記前側接合部を通過後、前記展開反応部からはみ出ることを抑える凹部が設けられた請求項1又は2に記載の検査デバイス。
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