JP2010009061A - ディスプレイ用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】切断した際に発生する基板の変形を抑制し、張り合わせ時のパターンズレを防止するディスプレイ用ガラス基板を提供する。
【解決手段】短辺が300mm以上、長辺が3000mm以下の略矩形の面形状であり、かつ板厚が0.3mm以上、6mm以下のガラス基板であって、ガラス基板内の残留歪による、板厚方向で測定したときの基板面内の偏差応力が、基板内のすべての位置で1MPa以下であるディスプレイ用ガラス基板。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ用のガラス基板に関し、特に、液晶ディスプレイ(TFT−LCD、STN−LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、プラズマアシスト液晶ディスプレイ(PALC)、エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレイ(EL)、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)等のフラットパネルディスプレイ(平坦なディスプレイの総称)用のガラス基板に関する。
フラットパネルディスプレイでは、通常2枚のガラス基板が用いられ、これらガラス基板は、TFT液晶ディスプレイではアレイ側基板とカラーフィルタ側基板、プラズマディスプレイでは前面板と背面板等と呼ばれている。本発明は、これらのガラス基板に関する。
フラットパネルディスプレイでは通常2枚のガラス基板が使用されており、これら2枚のガラス基板の間に発光機構や光透過制御機構が形成される。ガラス基板として使用されるガラスは、代表的なものとして、TFT液晶ディスプレイでは無アルカリホウケイ酸ガラス(たとえば、旭硝子社製[商品名:AN635、AN100等])等、STN液晶ディスプレイではソーダライムガラス(たとえば、旭硝子社製[商品名:AS])等、プラズマディスプレイでは高歪点ガラス(たとえば、旭硝子社製[商品名:PD200])等が用いられている。
これらのガラス基板は、フロート法、フュージョン法、スリットダウンドロー法等の方法で製造されている。これらの製造方法によって一定の厚さに成形されたガラスリボンは、所定寸法の面形状に切り出され、ガラス基板として供給される。また、一部のガラス基板では、成形後に熱収縮率(コンパクション)を一定の値に制御する目的で、徐冷処理(アニール処理)が施される。
上記ガラス基板を用いたフラットパネルディスプレイの製造において、生産効率を上げるため、多面取りが行われる場合がある。すなわち、1枚のガラス基板中に、2面分、4面分、6面分、8面分等のパネル用の複数のパターンを形成し、同時に複数面のパネルの製造が行われる。複数面のパターンが形成されたパネルは、2枚の基板の張り合わせ前、または張り合わせ後にそれぞれ1面分の大きさに切断され、製品パネルの寸法となる。
特開平5−339021号公報 特開平5−163032号公報
上記多面取り基板において、ガラス基板に平面方向の歪が存在すると切断により図1に示されるような変形が発生する。ここで、図中の矢印2は残留応力の方向を示す。すなわち、図1は、ガラス基板1の切断による変形を説明する模式図であって、(a)は、切断前のガラス基板1の残留応力の状態を説明する模式図、(b)は、(a)のガラス基板1を切断した後の形状を示す模式図、(c)は、切断前のガラス基板1の残留応力の状態を説明する模式図、(d)は、(c)のガラス基板を切断した後の形状を示す模式図である。
このような変形が発生すると、2枚のガラス基板を張り合わせた際に、形成したパターンにズレが発生するが、このようなパターンのズレは品質上問題となる。たとえば、TFT液晶ディスプレイの製造工程では数μm〜十数μmのパターンズレで輝度の低下による表示むらが発生する。
上記切断によるガラス基板の変形は、ガラス基板の大きさにも依存し、平面寸法の大きなガラス基板ほど顕著である。すなわち、ガラス基板の平面の面内に一様に歪が分布している場合、ガラス基板の平面寸法が大きくなるほど残留応力が増大する。また、一定形状の変形をした場合(相似形状の場合)、ガラス基板の平面寸法が大きくなるほど基板周辺部での変形量が増大する。特に、切断によるガラス基板の変形は、矩形では短辺が300mm以上の大きさのガラス基板において顕著に発生する問題である。
ここで、ガラス基板の歪とガラス基板の反りの関係について説明する。ガラス基板は冷却時の熱履歴により、内部に歪が生じ、残留応力が発生する。この現象を利用したガラスとしては物理強化ガラスが知られている。すなわち、ガラスの冷却時に表面に空気等を吹きつけ、表面を強制的に冷却することにより、ガラス表面に圧縮応力層を形成する方法である。
ガラスの歪は、強化ガラスで知られているガラスの断面方向の応力分布のみに限らず、平面方向でも発生する。すなわち、ガラス基板の冷却時に、ガラス基板の中央部に比べて周辺部の温度が低いと、ガラス基板面内において周囲に沿って圧縮方向の応力が発生する。逆にガラス基板の冷却時に、中央部に比べて周辺部の温度が高いと、ガラス基板面内において周囲に沿って引張方向の応力が発生する。
前述した図1は、周囲に歪による応力が残留している基板を切断した際に起きる基板の変形を模式的に示している。周囲に圧縮応力がかかっている基板では、切断後に圧縮の歪が開放されて伸びるために内側に変形する(図1(b)の状態)。周囲に引張応力がかかっている基板では、切断後に引張の歪が開放されて縮むために外側に変形する(図1(d)の状態)。
以上に説明したように、ガラス基板に歪が存在すると、切断時に基板の変形となる。したがって、歪が存在しないガラス基板、または歪が基板を変形させない程度の一定値以下であるガラス基板が望まれていた。
本発明は、短辺が300mm以上、長辺が3000mm以下の略矩形の面形状であり、かつ板厚が0.3mm以上、6mm以下のガラス基板であって、ガラス基板内の残留歪による、板厚方向で測定したときの基板面内の偏差応力が、基板内のすべての位置で1MPa以下であるディスプレイ用ガラス基板を提供する。
このような、基板内の残留歪による偏差応力が小さいガラス基板では、切断時に基板の変形が生じないか、ほとんど無視しうるレベルであり、ディスプレイ用ガラス基板として望ましい。
なお、本発明のガラス基板は実質的に略矩形のものであり、周辺部の隅を切り落とした(コーナーカットした)ガラス基板をも含む。
また、本発明は、板厚が0.3mm以上、6mm以下のガラス基板であって、短辺が300mm以上、長辺が3000mm以下の略矩形の面形状に切り出された後に、加熱・徐冷の熱処理がなされ、かつ、ガラス基板内の残留歪による、板厚方向で測定したときの基板面内の偏差応力が、基板内のすべての位置で1MPa以下であるディスプレイ用ガラス基板を提供する。
基板内の残留歪による偏差応力が大きく、ディスプレイ用のガラス基板として望ましくないガラス基板であっても、このような処理を施すことで基板内の残留歪による偏差応力を小さくできる。
また、本発明は、板厚が0.3mm以上、6mm以下のガラス基板であって、短辺が300mm以上、長辺が3000mm以下の略矩形の面形状に切り出された後に、加熱・徐冷の熱処理がなされず、かつ、ガラス基板内の残留歪による、板厚方向で測定したときの基板面内の偏差応力が、基板内のすべての位置で1MPa以下であるディスプレイ用ガラス基板を提供する。
ガラス基板成形時の製造条件を最適化し、基板内の残留歪による偏差応力の小さいガラス基板を製造できれば、加熱・徐冷の熱処理が不要であり、最も望ましい。
また、本発明は、短辺が500mm以上、板厚が1.1mm以下で、液晶ディスプレイパネルに用いられるディスプレイ用ガラス基板を提供する。
液晶ディスプレイパネルには、通常は上記板厚のガラス基板が使用され、このような板厚であれば、成形過程で歪は生じにくく、加熱・徐冷の熱処理が不要である。
また、本発明は、短辺が500mm以上、板厚が1.5mm以上で、プラズマディスプレイパネルに用いられるディスプレイ用ガラス基板を提供する。
プラズマディスプレイパネルには、通常は上記板厚のガラス基板が使用される。このような板厚であれば、加熱・徐冷の熱処理が基板内の残留歪の減少に有効である。
本発明により、ガラス基板を切断したときの変形量を実質上問題とならない範囲に制御できる。本発明のガラス基板により、フラットパネルディスプレイを製造する際に1枚の基板中に複数面のパターンを形成する多面取りを容易に行うことができる。
ガラス基板の切断による変形を説明する模式図であって、(a)は、切断前のガラス基板の残留応力の状態を説明する模式図、(b)は、(a)のガラス基板を切断した後の形状を示す模式図、(c)は、切断前のガラス基板の残留応力の状態を説明する模式図、(d)は、(c)のガラス基板を切断した後の形状を示す模式図、である。 ガラスリボンの幅方向の温度分布と切り出したガラス基板の応力分布の模式図であって、(a)は、周辺部の温度が中央部に比べ高いときの温度分布、(b)は、(a)のガラスリボンを切断した後の残留応力の状態を説明する模式図、(c)は、周辺部の温度が中心部に比べ低いときの温度分布、(d)は、(c)のガラスリボンを切断した後の残留応力の状態を説明する模式図、である。 周囲が圧縮応力であるガラス基板の偏差応力測定例を示す図である。 周囲が引張応力であるガラス基板の偏差応力測定例を示す図である。 周囲が圧縮応力であるガラス基板の切断による変形例を示す図である。 周囲が引張応力であるガラス基板の切断による変形例を示す図である。
本発明において、ガラス基板中の歪および応力は以下に述べる方法で測定される。
ガラス基板中の歪は光学的な複屈折の測定、すなわち直交する直線偏光波の光路差の測定で見積ることができる。光路差をR(nm)として、歪により発生する偏差応力F(MPa)は、
F=R/CL
として表される。ここでLは偏光波が通過した距離(cm)であり、Cはガラスによって決まる比例定数で光弾性定数と呼ばれ、通常20〜40(nm/cm)/(MPa)の値となる。
ガラスに歪がないとき、すなわち応力がない、または等方的な応力がかかっているときは、2つの直交する直線偏光波は同一速度でガラス内を通過する。ガラス面内に歪があると、圧縮応力方向では偏光波が速く通過し、引張応力方向では偏光波はゆっくり通過する。すなわち、2つの直交する直線偏光波に光路差が発生する。基板平面に垂直に光路をとり、光路差が最大となる方位とその大きさを測定することで、ガラス基板中の歪の方向性と大きさを測定できる。この値を偏差応力とする。
偏差応力Fは、偏光波の光路差から測定される応力値で、平面内に存在する応力の異方性を表す指標となる。偏差応力Fは、ガラス基板内で偏光が通過した距離の平均値であり、光路と垂直な面内で直交する任意の2軸において、応力差が最大となる方向とその応力差として求められる。ガラス基板面内のある方向(たとえばX方向)に圧縮応力が残留している場合と、それと垂直な方向(Y方向)に同じ大きさの引張応力が残留している場合では、偏差応力の測定は同一の結果となる。また、直交する2軸方向(X方向とY方向)に同じ量の圧縮または引張応力が残留していると、偏差応力はゼロとなる。
直線偏光波を利用したガラスの歪測定は、セナルモン法等が知られており、数十nmの光路差を検出できる。従来、ガラスの歪測定は、主に強化ガラス等に残留している数十MPaの応力を対象としており、セナルモン法はこのような歪測定には充分な分析精度を有していた。
しかし、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板に平面方向で残留している応力は0.1MPa〜5MPaの大きさであり、従来の測定方法では充分に検出できない。そこで、本発明者らは、歪の検出装置としてユニオプト社製ABR−10A複屈折測定器を使用した。ABR−10A複屈折測定器は、横ゼーマンレーザー光を照射し、直交する直線偏光波の位相差を検出することにより、複屈折の光路差と主軸方位を測定する装置である。分解能として、光路差0.01nm、主軸方位0.1度の精度を有する。
ガラス基板の残留歪は、ガラスリボン成形後の徐冷における温度分布に依存して発生する。すなわち、先に冷えた部分に圧縮応力が形成され、後から冷えた部分には引張応力が形成される。このことはガラスの物理強化または風冷強化の原理としてよく知られている。強化ガラスでは、ガラス表面を急冷することにより表面に圧縮応力層を形成している。
強化ガラスは、ガラスの板厚方向での応力分布を利用しているが、ガラスには平面方向での応力分布も存在している。本発明者らは、ガラス基板の平面方向での応力分布が、ガラス切断時の変形の原因となること、および、歪による残留する応力を一定値以下に制御することによって変形を抑制した基板が得られること、を見い出した。
ガラス基板の平面方向での応力分布は、ガラスリボン成形後の冷却時の温度分布によって発生する。一般にフラットパネルディスプレイ用のガラス基板は、フロート法、フュージョン法、スリット・ダウンドロー法等の製造方法により、連続的に製造されている。したがって、冷却時の温度分布、特に製造時のガラスリボンの流れと垂直な板幅方向の温度分布によって支配される。
図2に、ガラスリボンの板幅方向の温度分布と、切り出したガラス基板1の応力分布を模式的に示す。ここで、図中の矢印2は残留応力の方向を示す。周辺部の温度が中心部に比べ低いとき、すなわち図中(a)の状態のときは周辺部に圧縮の残留応力が入り図中(b)の状態となり、周辺部の温度が中央部に比べ高いとき、すなわち図中(c)の状態のときは周辺部に引張の残留応力が入り図中(d)の状態となる。
本発明者らは、ガラスリボンの板幅方向の温度分布とガラス基板の残留応力との関係を検証し、上記温度分布を操作することによりガラス基板の残留応力が極めて少なくなる条件を見い出した。
また、ガラス基板の残留応力を低減するためには、ガラス基板製造工程において、所定寸法に切り出された略矩形のガラス基板のアニール処理、すなわち再加熱・徐冷の熱処理工程を施すことが有効である。このように、ガラス基板にアニール処理を施す場合には、基板の変形や傷の発生に充分に注意して行い、ガラス基板の徐冷点温度付近まで加熱し、歪点温度付近までの徐冷を行えばよい。
一般的に、プラズマディスプレイパネルは、50型(対角で約1270mm)以上の大型のものが多く、用いられるディスプレイ用ガラス基板のサイズも大きく、また板厚も大きい。したがって、板ガラス成形過程で歪が生じやすく、ガラス基板成形後にアニール処理を施す効果はある。ただし、前述のように、ガラス基板成形時のアニール処理で温度分布を操作することによりガラス基板の残留応力を極めて少なくし、ガラス基板成形後のアニール処理を不要とすることもできる。
一方、液晶ディスプレイパネルは軽量化の要求が強いため、用いられるディスプレイ用ガラス基板の板厚は一般的に小さい。したがって、成形過程で歪は生じにくく、ガラス基板成形後にアニール処理を施す必要性は少ない。
生産コストの面からは、ガラス基板成形後のアニール処理はコストの上昇につながるため、実施しないことが好ましい。ガラス基板成形後にアニール処理を施さない場合は、ガラス基板成形時に長い徐冷ゾーンを確保できるフロート法等の横引きの成形方法が好ましい。
前述のとおり、光学的に測定される残留応力は、正確には偏差応力である。すなわち、光軸と垂直な面内において直交する2つの方向の応力差を測定している。ガラス基板の周辺部では、基板が辺において切れているため、辺に垂直な方向での応力は作用せず、辺に平行な方向でのみ歪による応力が残留する。したがって、辺近傍での偏差応力は残留応力とほぼ等しいものになる。一方、基板中央部での偏差応力は面内のあらゆる方向から歪による応力が加わり、直交する方向で相対的に打ち消されるため、真の残留応力より小さい値が測定される。そこで、本発明では、ガラス基板面内において、たとえば縦横に50mm間隔での偏差応力の測定を行い、すべての測定点での偏差応力の最大値を指標とした。
その結果、短辺が300mm以上、長辺が3000mm以下の略矩形の面形状であり、かつ板厚が0.3mm以上、6mm以下であって、基板内の残留歪による、板厚方向で測定したときの基板面内の偏差応力が、光線を当てて光学的手法により測定した場合、基板内のすべて位置で1MPa以下であるとき、より好ましくは0.6MPa以下であるとき、高精細の用途等のガラス基板においては0.3MPa以下であるときに、切断による変形量が実用上問題にならない程度に小さくなることを見い出した。
基板面積が小さいときは残留応力による変形量も小さいため、変形が発生しても実質的に問題とはならない。基板寸法が、矩形では短辺が300mm以上、より顕著には短辺が500mm以上であるときは、変形量が大きくなるため残留応力の制御が必要となる。基板寸法が、矩形では短辺が3000mmを超えると、重量や基板のたわみの問題により、ガラス基板の取り扱いが困難となり実用的ではないため、残留応力の制御をする意味はない。
ガラス基板の板厚が0.3mm未満の場合は、ガラス基板強度の低下やたわみの増加が問題となり実用的ではない。プラズマディスプレイパネル等の30型(対角で約762mm)以上の大型ディスプレイの基板では、強度の観点から板厚は1.5mm以上が好ましい。板厚が6mmを超えるときは、ガラス基板の重量が重くなりすぎて不適である。液晶ディスプレイ等の軽量化が重視される用途においては、板厚は1.1mm以下が好ましい。したがって、プラズマディスプレイ等の用途においては、1.5mm以上、6mm以下が、液晶ディスプレイ等の用途においては、0.3mm以上、1.1mm以下が好ましい。
ガラス基板の切断により生じる変形量は、ガラス基板の寸法、切断位置、ガラス基板中の残留応力、ガラスの縦弾性係数に依存する。以下においては、縦弾性係数7500kg/mm2、光弾性定数27.6(nm/cm)/(MPa)のガラス基板を使用した。ガラス基板はフロート法により、肉厚0.7mmに成形し、試験用ガラス基板として、矩形で550mm×670mmの寸法に切り出した。この際、550mmの辺がガラスリボンの板幅方向、670mmの辺がガラスリボンの流れ方向となるようにした。
試験用ガラス基板の製造時には、ガラスリボンの板幅方向の温度分布がなるべく均一になるように操作し、歪による残留応力が少なくなるようにした。
偏差応力は、前記のユニオプト社製ABR−10A複屈折測定器を使用し、複屈折の光路差から換算して求めた。測定は縦横それぞれ50mm間隔で、1枚のガラス基板で計143点に対し行った。
応力を測定したガラス基板には、カラーフィルタ用のブラックマトリックスを形成し、ブラックマトリックスのコーナー部の位置を精密測長機(ソキア社製UMIC800)で測定した。具体的には、上記ガラス基板に長方形(サイズ:244.494mm×183.893mm)矩形パターンを6面形成し、各長方形の頂点のX、Y座標を計測した。長方形の配置は、図5、図6に示される位置関係であり、隣接する長方形間の間隔は、X、Yいずれの方向においても27mmである。
ガラス基板を670mmの辺と平行方向で半分に切断し、すなわち、275mm×670mmのサイズに切断し、再びブラックマトリックスのコーナー部を測長し、切断前後での変形量を評価した。
表1に測定した基板の偏差応力の方向と最大応力、および切断後の変形の向きと最大変形量を示す。なお、光路差も併記した。表中、試料1〜6は実施例、試料7は比較例である。すなわち、試料1〜6は、ガラスリボンの板幅方向での温度分布がなるべく均一になるように制御した試料である。このうち、試料1〜3はガラスリボンの中央部の温度が周辺部に比べてやや高く、試料4〜6はガラスリボンの中央部の温度が周辺部に比べてやや低くなっていたと推定される。
Figure 2010009061

試料1〜3のガラス基板は、周囲に沿って圧縮方向の応力分布を有しており、切断により圧縮部分が開放されて伸びるため、内側へ変形している。一方、試料4〜6のガラス基板は、周囲に沿って引張方向の応力分布を有しており、切断により引張部分が開放されて縮むため、外側へ変形している。試料1と4の基板について偏差応力の測定結果をそれぞれ図3と図4に、切断後の変形挙動をそれぞれ図5と図6に示す。
図3、図4は、ユニオプト社製ABR−10A複屈折測定器により測定した結果で、各円の中心が測定点を示し、円の直径の長さが偏差応力の大きさ、円の直径として描かれた線が相対的に引張応力となる方向、直径の線と垂直方向が相対的に圧縮応力となる方向を示している。図3は円直径の線がガラス基板中央を向いており、ガラス基板周囲が圧縮方向であることが分かる。一方、図4は円直径の線が基板周囲に沿って回っており、ガラス基板周囲が引張方向であることが分かる。
図5、図6は、前記の精密測長機(ソキア社製UMIC800)により測定した結果である。X、Y軸の単位はいずれもmmであり、前述したように各長方形の位置関係を示すが、変位量はガラス基板、長方形の大きさに比べ微小なので、判別が容易なように、該変位量のみ切断前後の差を1万倍に拡大して表示している。
図5、図6の各図は、左下の長方形の左下のコーナー部の測定点を固定し、固定点から長さが275mmの辺の方向(X座標)を不動の方向として、他の点の変位量を表示している。周囲に沿って圧縮方向の応力分布を有しているガラス基板では内側に(図5)、周囲に沿って引張方向の応力分布を有しているガラス基板では外側に(図6)変形している。
前記の表1中の試料7のガラス基板は、比較例であり、ガラスリボンの板幅方向でガラスリボンの両端を加熱しながら徐冷して、周囲に引張方向の応力を発生させたガラス基板である。最大で1MPa以上の応力が残留しており、変形量も12.6μmと極めて大きくなっている。
1 切断前のガラス基板
2 残留応力の方向
3 切断後のガラス基板

Claims (5)

  1. 短辺が300mm以上、長辺が3000mm以下の略矩形の面形状であり、かつ板厚が0.3mm以上、6mm以下のガラス基板であって、
    ガラス基板内の残留歪による、板厚方向で測定したときの基板面内の偏差応力が、基板内のすべての位置で1MPa以下であるディスプレイ用ガラス基板。
  2. 板厚が0.3mm以上、6mm以下のガラス基板であって、
    短辺が300mm以上、長辺が3000mm以下の略矩形の面形状に切り出された後に、加熱・徐冷の熱処理がなされ、
    かつ、ガラス基板内の残留歪による、板厚方向で測定したときの基板面内の偏差応力が、基板内のすべての位置で1MPa以下であるディスプレイ用ガラス基板。
  3. 板厚が0.3mm以上、6mm以下のガラス基板であって、
    短辺が300mm以上、長辺が3000mm以下の略矩形の面形状に切り出された後に、加熱・徐冷の熱処理がなされず、
    かつ、ガラス基板内の残留歪による、板厚方向で測定したときの基板面内の偏差応力が、基板内のすべての位置で1MPa以下であるディスプレイ用ガラス基板。
  4. 短辺が500mm以上、板厚が1.1mm以下で、液晶ディスプレイパネルに用いられる請求項1または3に記載のディスプレイ用ガラス基板。
  5. 短辺が500mm以上、板厚が1.5mm以上で、プラズマディスプレイパネルに用いられる請求項1または2に記載のディスプレイ用ガラス基板。
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