JP2010004853A - 制御性t細胞の製造方法 - Google Patents

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Susumu Nakae
進 中江
Keisuke Ohogi
啓介 大保木
Kenshu Ono
建州 大野
Tomoko Yamada
倫子 山田
Naoki Kajiwara
直樹 梶原
Hirohisa Saito
博久 斎藤
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Abstract

【課題】制御性T細胞の製造方法、およびその方法により製造された制御性T細胞、さらにその制御性T細胞を含む医薬を提供すること。
【解決手段】インターロイキン33の存在下でCD4ナイーブT細胞とマスト細胞をin vitro共培養し、CD4ナイーブT細胞から制御性T細胞を分化誘導することにより、制御性T細胞を製造する。当該方法によって製造された制御性T細胞は免疫応答の全体バランスを正常かつ安定に保持させることにより、アレルギー性疾患やリウマチ等に代表される免疫システムの過剰反応に由来する疾患や臓器移植片拒絶反応の発症を抑制する免疫抑制剤として有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は制御性T細胞の製造方法に関する。
制御性T細胞は、異常あるいは過剰な免疫応答を抑制する機能を持ち、「免疫寛容」を担うT細胞と一般に定義づけられる(例えば、非特許文献1参照)。従って、制御性T細胞は免疫応答の全体バランスを正常かつ安定に保持させることにより、アレルギー性疾患やリウマチ等に代表される免疫システムの過剰反応に由来する疾患や臓器移植片拒絶反応の発症を抑制する。
この制御性T細胞は「内在性制御性T細胞」と「誘導性制御性T細胞」に便宜的に大別される。内在性制御性T細胞は、胸腺において分化し、外部からの抗原感作とは関係なく自然産生されるものと定義され、誘導性制御性T細胞は、人為的な寛容誘導モデルにおいて、外来抗原刺激に応じて末梢ナイーブT細胞から分化誘導されるものと定義される(例えば、非特許文献1参照)。これらの制御性T細胞はさらに、その細胞に発現するマーカーの種類に従い細分化されている。
内在性制御性T細胞群の一つであるCD4CD25制御性T細胞を生体より除去すると、各種の臓器特異的な自己免疫疾患が自然発症し、その際、CD4CD25制御性T細胞を移植すると、自己免疫病の発症が阻止されるため、内在性CD4CD25制御性T細胞は,末梢での免疫自己寛容の維持に重要な働きをしていると考えられている。(例えば、非特許文献1)。その後、CD4CD25制御性T細胞の機能が詳細に解析され、自己免疫のみならず、外来抗原による炎症、アレルギー、移植による拒絶反応、感染免疫、腫瘍免疫等、ほとんどの免疫反応を抑制し得ることが明らかになってきた。また、現在、このCD4CD25制御性T細胞の特異的マーカーおよびマスター制御因子として、転写因子Foxp3が明らかにされている(例えば、非特許文献1参照)。
当初、CD4CD25制御性T細胞は、胸腺でのみ自然生産されると考えられていたが(例えば、非特許文献2参照)、現在では、末梢でもナイーブT細胞から制御性T細胞が分化すると考えられている(例えば、非特許文献3、4参照)。実際に、末梢ナイーブT細胞と抗原提示細胞をin vitro共培養することにより、CD4CD25制御性T細胞を分化誘導することができる(例えば、特許文献1参照)。なお、この方法を用いると、刺激に用いた外来単一抗原に反応する抗原特異的制御性T細胞のみが製造される。
しかしながら、特に、多種類の外来抗原に対する制御性T細胞の数が全般的に低下している重症アレルギー疾患の患者では、刺激に用いた特定の外来単一抗原に対してのみ反応する制御性T細胞ではなく、多様な外来抗原に対する制御性T細胞が疾患の治療に必要である。現在までのところ、このような多様な外来抗原に対する制御性T細胞を製造する技術は確立されていなかった。
特願2006−280307公開公報 堀昌平、実験医学vol.25, No.18:2834−2844 (2007) Mottet C., Golshayan D. Swiss Medical Weekly, 137: 625−634 (2007) Liang S. et al., Journal of Experimental Medicine, 201: 127−137 (2005) Sakaguchi S., Annual Review of Immunology, 22:531−62 (2004)
本発明は、制御性T細胞の製造方法、およびその方法により製造された制御性T細胞、さらにその制御性T細胞を含む医薬を提供することを目的とする。
マスト細胞はその細胞表面にIgEを保持しており、このIgEにアレルゲンが結合することにより、マスト細胞の脱顆粒が引き起こされ、顆粒内容物のヒスタミン等を放出する。このように、マスト細胞は一般的に、免疫反応の活性化に関与する細胞であると認識されていた。
一方、インターロイキン33は、マスト細胞に作用し、炎症性サイトカインを放出させるサイトカインであることが知られていたが、本発明者らは、マスト細胞欠損マウスにインターロイキン33を投与したところ、制御性T細胞数が減少し、その結果、気道炎症が惹起されることを見出した。このことは、制御性T細胞の分化または増殖にインターロイキン33及びマスト細胞が関与していることを示唆した。そこで、本発明者らは、インターロイキン33の存在下でCD4ナイーブT細胞とマスト細胞をin vitro共培養したところ、CD4ナイーブT細胞から制御性T細胞が分化誘導されることを明らかにし、本発明の完成に至った。
本発明の制御性T細胞の製造方法は、インターロイキン33の存在下で、CD4ナイーブT細胞とマスト細胞をin vitro共培養することを特徴とする。前記制御性T細胞は、CD4、CD25、およびFoxp3であってもよく、また、前記制御性T細胞は、マルチクローナルなT細胞であってもよい。
本発明の制御性T細胞を含有する医薬の製造方法は、インターロイキン33の存在下で、CD4ナイーブT細胞とマスト細胞をin vitro共培養することにより、制御性T細胞を製造する工程と該制御性T細胞を剤形化する工程と、を含む。前記医薬が免疫抑制剤であってもよく、前記免疫抑制剤が、抗炎症剤、自己免疫疾患治療剤、抗アレルギー剤または拒絶反応抑制剤であってもよい。
また、本発明の制御性T細胞は、上記いずれかに記載の方法で製造されることを特徴とし、該制御性T細胞を含有する抗炎症剤はTh2系サイトカインによって惹起された炎症に対する抗炎症剤として用いてもよい。
本発明により、制御性T細胞の製造方法、およびその方法により製造された制御性T細胞、さらにその制御性T細胞を含む医薬を提供することができる。
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されない。
実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.等の標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いる場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例等は、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図ならびに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々に修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==制御性T細胞の製造方法==
本発明によると、インターロイキン33の存在下でCD4ナイーブT細胞とマスト細胞を共培養することによって制御性T細胞を得ることができる。
インターロイキン33は、生体から単離されたものであっても、遺伝子組換え技術を用いて製造された組換え体であってもよい。制御性T細胞を分化誘導するための培地に添加するインターロイキンの濃度は、10〜100 ng/mlが好ましい。
ナイーブT細胞とは、未成熟T細胞が胸腺で成熟した後、末梢に放出され、一度も抗原により活性化されていない細胞のことをいう。本発明の方法で用いられるのは、特に、CD4の末梢ナイーブT細胞である。該細胞が由来する動物種は特に限定されず、ヒトでもヒト以外の動物でもよい。
CD4ナイーブT細胞の取得方法は、特に制限はないが、例えば動物個体の脾臓、リンパ節または末梢血を採取し、適切な培地または希釈液を用いて細胞の懸濁液を調製し、該懸濁液から細胞特異的表層マーカーを用いて単離する方法などが挙げられる。例えば、CD4L陽性−セレクチン(CD62L)陽性である細胞を単離するポジティブ・セレクションや、CD8抗体、B220抗体、Gr−1抗体、CD11b抗体、CD11c抗体、CD49b抗体、Ter119抗体、γδTCR抗体、CD25抗体、FcεRIα抗体、c−kit/CD117抗体と反応しない細胞を単離するネガティブ・セレクションや、CD45RBが陽性で、CD44が陰性または弱陽性であるCD4細胞を単離するポジティブ/ネガティブ・セレクションや、これらの組み合わせ等により、目的のCD4ナイーブT細胞を調製できる。
マーカー陽性とマーカー陰性のナイーブT細胞の分離には、例えば、マーカーに対する抗体を結合したマグネティックビーズを上記細胞懸濁液に添加し、マグネティックビーズを磁石で集めることにより、マーカーを発現しているT細胞を分離する方法や(マグネティックビーズ法)、蛍光標識したマーカーに対する抗体を上記細胞懸濁液に添加し、蛍光物質が結合した細胞をセルソーターで分離する方法(FACS法)、マーカーに対する抗体をコーティングしたプレートで上記細胞懸濁液を培養した後、マーカー陽性の細胞をプレートに結合させて分離する方法(パンニング法)など周知の方法を用いることができる。また、これらの原理を用いた市販の分離キットを用いてもよい。
ここで、上記マーカーの発現の有無で選択されたCD4ナイーブT細胞の培養方法は、特に限定されず、周知の方法を用いれば良い。
本発明の方法において用いられるマスト細胞が由来する動物種は、本発明の方法により制御性T細胞が製造され得る範囲において特に限られない。このマスト細胞は、例えば骨髄や末梢血の細胞をインターロイキン3やステムセルファクターの存在下で培養することにより得られる。ここで、骨髄や末梢血由来の細胞の培養条件、および得られたマスト細胞の培養条件は特に限定されず、インターロイキン3やステムセルファクターは生体から単離されたものであっても、遺伝子組換え技術を用いて製造された組換え体であってもよい。さらに、マスト細胞は、株化された細胞でもよい。
ここで、マスト細胞とCD4ナイーブT細胞を混合し、そこへ最終濃度100 ng/mlの組換えヒトまたはマウスインターロイキン33を加え、5%CO存在下、37℃で3〜5日間培養する。この時、例えば、24ウェル培養プレートでマスト細胞とCD4ナイーブT細胞を1:5の割合(例えば、マスト細胞2 x 105個とCD4ナイーブT細胞1 x 106個)で混合、または、例えば、6ウェル培養プレートでマスト細胞とCD4ナイーブT細胞を1:2の割合(例えば、マスト細胞1 x 106個とCD4ナイーブT細胞2 x 106個)で混合することができる。混合した細胞は、例えば、10%ウシ胎児血清、100 単位/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン(全て最終濃度)を含有するRPMI1640培地において培養できる。
このように、インターロイキン33の存在下でCD4ナイーブT細胞とマスト細胞を共培養することによって制御性T細胞を得ることができる。この制御性T細胞は、CD4、CD25、およびFoxp3をマーカーとして特定できる。また、この制御性T細胞は、特定の単一抗原刺激によって得られたものでないため、単一抗原に対する免疫反応のみを抑制するのではなく、多種類のアレルゲンを含む抗原に対する免疫を抑制することができるマルチクローナルな細胞集団であると考えられる。
==制御性T細胞を含有する医薬の製造==
本発明の方法で製造された制御性T細胞の有効量を、医薬として許容される溶剤と混合する等して、経口/非経口免疫抑制薬剤を製造することができる。
炎症反応は、炎症性サイトカインが、特定の免疫細胞によって局部に放出されることにより生じる。制御性T細胞は、そのような免疫応答を抑制するため、本発明の免疫抑制薬は、抗炎症剤として用いることができる。
さらに、本発明の制御性T細胞がTh2系サイトカインによって惹起された炎症反応を抑制するため、本発明の炎症抑制剤はTh2系サイトカインによって惹起された炎症に対する抗炎症剤としても有用である。
また、背景技術に記載したように、制御性T細胞は,末梢での免疫自己寛容の維持に重要な働きをしている。従って、本発明の免疫抑制薬は、自己免疫疾患治療剤に用いることができる。
多種類の抗原に対する制御性T細胞の数が全般的に低下している重症アレルギー疾患の患者では、単一抗原に対してのみだけで無く、多様な抗原に対する制御性T細胞が疾患の治療に必要である。従って、本発明の免疫抑制薬は、特に前記のような重症アレルギー疾患の過剰な免疫応答により引き起こされる疾病の治療のための免疫抑制薬、即ち抗アレルギー剤に用いることができる。
また、臓器移植後には、ドナー由来の移植片に対してレシピエント側で拒絶反応が生じることが問題となっている。本発明の方法によって製造される多種の抗原に対する制御性T細胞は、レシピエントの移植片受容を促進するための拒絶反応抑制剤に用いることができる。
==CD4ナイーブT細胞の調製==
マウス(C57BL/6またはBalb/c、6〜14週齢、性別は問わない)の脾臓およびリンパ節(鼠径部、上腕部、腋窩部、浅頸部)を単離し、動物群ごとにプールした。プールした組織を細かく切断後、メッシュに押し付けることによって組織を破壊し、これをナイロンメッシュに通すことによって、細胞を分散させた。このようにして得られた細胞を、マウス1匹の組織あたり200 μlのMACSバッファー(0.5%ウシ血清アルブミンと2.5 mM EDTAを含む燐酸緩衝生理食塩水)に懸濁した。ここに、ビオチン化抗マウスCD8(5.3−6.7、13−0081、7倍)抗体、B220(RA3−6B2、13−0452、15倍)抗体、Gr−1(RB6−8C5、13-5931、100倍)抗体、CD11b(M1/70、13−0112、100倍)抗体、CD11c(N418、13−0114、100倍)抗体、CD49b(DX5、13−5971、100倍)抗体、Ter119(Ter119、13−5921、100倍)抗体、γδTCR(GL3、13−5711、100倍)抗体、CD25(PC61、13−0251、100倍)抗体、FcεRIα(MAR−1、13−5898、100倍)抗体、c−kit/CD117(2B8、13−1171、100倍)抗体を加え、4℃で20分インキュベートして細胞表面に結合させた。抗体は全てeBioscience社から購入(括弧内は順にクローン名、カタログ番号、抗体希釈率)した。この細胞を洗浄後、ストレプトアビジン粒子が結合したマグネティックビーズstreptavidin particles plus DM (BD PharMingen)と4℃で20分反応させた。この細胞懸濁液から、iMag magnetic field (BD PharMingen)を用いてマグネティックビーズを除去して、上澄みを回収した。この上澄みは、前記抗マウス抗体のいずれにも反応しない陰性分画であり、この細胞分画に対し、抗CD62Lビーズ(Milten Biotec社)を用い、CD62L陽性選択法により、CD4+ナイーブT細胞を最終的に調製した。
==マスト細胞の調製==
骨髄由来マスト細胞は、10 ng/mlの組換えマウスインターロイキン3(PeproTech社)の存在下で、マウス(C57BL/6、6〜14週齢、性別は問わない)大腿骨髄細胞を6〜8週間培養することによって得た。この細胞を、組換えマウスインターロイキン3、2−メルカプトエタノール1000倍溶液(invitrogen社)、10%ウシ胎児血清、ペニシリン・ストレプトマイシン100倍溶液(invitrogen社)を添加したRPMI1640培地(Sigma社)で培養した。培養終了は、フローサイトメトリーにより、全細胞中、c−kithiFcεRIαhi細胞が98%以上であることを指標とした。なお、c−kitおよびFcεRIαは共にマスト細胞特異的表面マーカーとして知られている。
〈実施例1〉
本実施例では、CD4ナイーブT細胞を、インターロイキン33の存在下でマスト細胞と共培養することによって、制御性T細胞を製造することができることを示す。
==CD4ナイーブT細胞とマスト細胞の共培養==
CD4ナイーブT細胞(1x10細胞/ウェル)を、骨髄由来マスト細胞(5x10細胞/ウェル)もしくはCD11c脾臓樹状細胞(5x10細胞/ウェル)と共培養した。この際、100 ng/ml組換えマウスインターロイキン33(R&D Systems社)、または100 ng/ml組換えマウスインターロイキン1β(PeproTech社)、または1 μg/mlリポ多糖(LPS、Salmonella enterica typhimurium血清型、Sigma社)、または1 μg/ml抗ジニトロフェノール−IgE抗体(SPE−7、Sigma社)の添加或いは無添加の各条件下において72時間培養した。この培養は、5%CO存在下で、10%ウシ胎児血清を含有するRPMI1640(Invitrogen社)培地で行った。なお、対照実験に用いたCD11c樹状細胞は、CD11c−マグネティックビーズ(Miltenyi Biotec社)を用いた陽性選択により、マウス(C57BL/6、8週齢、雄)の脾臓から調製した。
==フローサイトメトリーによる制御性T細胞の解析==
これらの培養細胞を回収し、抗CD16またはCD32モノクローナル抗体でFc受容体をブロッキングした後、アロフィコシアニン(APC)標識抗マウスCD4抗体(eBioscience社、カタログ番号17−0042、200倍希釈)およびフィコエリスリン(PE)標識抗マウスCD25モノクローナル抗体(eBioscience社、カタログ番号12−0251、200倍希釈)と共に氷上で40分間反応させた。細胞をホルムアルデヒドで固定後、FITC標識抗マウスFoxp3モノクローナル抗体(eBioscience社、カタログ番号11−5773、200倍希釈)と反応させた。CD4T細胞中のCD25Foxp3制御性T細胞の割合をフローサイトメトリーにより測定した。
図1に示すように、骨髄由来マスト細胞とCD4ナイーブT細胞を共培養した時、組換えマウスインターロイキン33の存在下でのみCD4CD25Foxp3制御性T細胞が分化し、マウス組み換えインターロイキン1β、リポ多糖(LPS)、DNF−IgE(SPE−7)のいずれの存在下においてもCD4CD25Foxp3制御性T細胞は検出されなかった。
一方、図2に示すように、CD4ナイーブT細胞をCD11c脾臓樹状細胞と共培養した時、インターロイキン33の存在下で共培養しても、インターロイキン33を添加しない場合と比べ、CD4CD25Foxp3制御性T細胞の分化を促進しなかった。
このように、CD4ナイーブT細胞を、インターロイキン33の存在下でマスト細胞と共培養することによって、制御性T細胞へ分化させることができた。
〈実施例2〉
本実験では、CD4ナイーブT細胞が、インターロイキン33の存在下でマスト細胞と共培養することによって、制御性T細胞へ分化する時、CD4ナイーブT細胞とマスト細胞の接触による細胞間相互作用が必要であることを示す。
==セパレーション・アッセイ==
ここでは、細胞培養インサート(Cell Culture Insert、穴径0.4 μm、BD Falcon社)を挟んでウェルの下側にCD4ナイーブT細胞を、そしてウェルの上側にマスト細胞を播種する以外は上記と同様にして、CD4ナイーブT細胞とマスト細胞を共培養した。これらの培養細胞を回収し、前記と同様にCD4T細胞中のCD25Foxp3制御性T細胞の割合をフローサイトメトリーにより測定した。
図3に示すように、インターロイキン33の存在下であっても、CD4ナイーブT細胞とマスト細胞がインサートで隔離されていた場合にはCD4CD25Foxp3制御性T細胞の分化が著しく抑制された。このように、本発明の方法によってCD4ナイーブT細胞を制御性T細胞に分化させる際に、CD4T細胞およびマスト細胞の間で直接的な接触が必要であった。
〈実施例3〉
本実施例では、本発明の方法によって得られる制御性T細胞が、医薬として有用であることを示す。
==in vitroで製造された制御性T細胞の炎症抑制効果==
100 ng/ml組換えヒトインターロイキン33(PeproTech社)の存在下で、マウス由来CD4ナイーブT細胞とマウス骨髄由来マスト細胞を、上記と同様に3〜4日間共培養した。その後、細胞を回収し、マスト細胞特異的マーカーである抗c−kit MACSビーズ(Miltenyi Biotsch社)を用いて、混合細胞液中から骨髄由来マスト細胞を除去した。残った細胞を、FITC標識抗FR4モノクローナル抗体(eBio12A5: eBiosciences社)と反応させた後、抗FITC MACSビーズ(Miltenyi Biotsch社)と反応させ、CD4CD25制御性T細胞の特異的マーカーであるFR4細胞を回収した。フローサイトメトリーにて測定したところ、回収された細胞の98%がCD4Foxp3T細胞であった。
このCD4+FR4T細胞(1x106細胞)を静脈注射により実験群のKitW-sh/W-shマウス(C57BL6−KitW-sh/W-sh、6週齢、雌)に移植した。移植3日後、炎症を惹起するため、マウスの鼻腔内に0.5 μg組換えヒトインターロイキン33を3日間連日投与した。対照群のKitW-sh/W-shマウスには、CD4FR4T細胞の代わりに同容量の生理食塩水を静脈注射した後、同様に、インターロイキン33を鼻腔内に3日間連日投与した。24時間後、該マウス肺胞洗浄液中の白血球全細胞を、血球計算盤を用いて計数した。その後、該白血球をサイトスピン法でスライドガラスに貼り付け、ハンセル染色し、顕微鏡下で白血球を鑑別した。得られた各細胞種の百分率から各種白血球数を算出した。インターロイキン5、インターロイキン13はeBioscience社のELISAキット(各カタログ番号88−7054−88、88−7137−88)を用いて測定した。
図4に示すように、肺胞洗浄液中の白血球数およびインターロイキン5、インターロイキン13の値は対照群に比較し、実験群で顕著に抑制された。このように、インターロイキン33存在下でナイーブCD4T細胞とマスト細胞をin vitro共培養して得られた制御性T細胞は、気管のTh2細胞が主体の炎症をin vivoで抑制することができた。
本発明の一実施例において、添加物なし(培地のみ)(A)、または、インターロイキン33(B)、インターロイキン1β(C)、リポ多糖(LPS、D)、またはIgE(SPE−7)(E)のいずれかの存在下で、CD4CD25Foxp3制御性T細胞の産生をフローサイトメトリーにより測定した結果を示した図である。 本発明の一実施例において、CD4ナイーブ細胞を、インターロイキン33の不在下(A)または存在下(B)で、単独で培養した場合、また、インターロイキン33の不存在下(C)または存在下(D)で、脾臓樹状細胞と共培養した場合の、CD4CD25Foxp3制御性T細胞の産生をフローサイトメトリーにより測定した結果を示した図である。 本発明の一実施例における、CD4ナイーブT細胞とマスト細胞を、隔離しないで共培養した場合(B)、隔離して共培養した場合(C)のセパレーション・アッセイの結果を示した図である。なお、(A)はインターロイキン33無添加(培地のみ)の対照実験の結果を示す。 本発明の一実施例において、鼻腔内に炎症を惹起させたマウスに対し、CD4+FR4+制御性T細胞(黒の棒グラフ)または生理食塩水(PBS、白の棒グラフ)を投与後の、気管支肺胞洗浄液中の白血球数(A)、インターロイキン5濃度(B)、インターロイキン13濃度(C)を示した図である。なお、データは平均値+標準偏差で示す(*p<0.05)。

Claims (8)

  1. 制御性T細胞の製造方法であって、
    インターロイキン33の存在下で、CD4ナイーブT細胞とマスト細胞をin vitro共培養することを特徴とする方法。
  2. 前記制御性T細胞が、CD4、CD25、およびFoxp3であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記制御性T細胞がマルチクローナルなT細胞であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 制御性T細胞を含有する医薬の製造方法であって、
    インターロイキン33の存在下で、CD4ナイーブT細胞とマスト細胞をin vitro共培養することにより、制御性T細胞を製造する工程と
    該制御性T細胞を剤形化する工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  5. 前記医薬が免疫抑制剤であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記免疫抑制剤が、抗炎症剤、自己免疫疾患治療剤、抗アレルギー剤または拒絶反応抑制剤であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で製造される制御性T細胞。
  8. Th2系サイトカインによって惹起された炎症に対する抗炎症剤であって、
    請求項7に記載の制御性T細胞を含有することを特徴とする抗炎症剤。
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