JP2009544384A - 骨融合用脊椎間インプラント - Google Patents

Abstract

骨融合用インプラント（１）は、脊柱における互いに隣り合う２つの椎体（４）の間に挿入されるように構成されている。インプラント（１）は、背中合わせに配置したＣ形の断面を有する少なくとも２つの長手方向の部材（２ａ、２ｂ）からなり、かつそれにより前記部材（２ａ、２ｂ）の結合領域から構成され、前記脊柱の軸と平行でかつ前記互いに隣り合う２つの椎体の間に力を伝達するように設計された中実軸（９）と、移植組織片を保持するように設計され、前記中実軸（９）に対して外側を向いている、少なくとも２つの長手方向の凹部（６）とを画成する本体（２）とを備えている。

Description

本発明は、天然又は合成の移植骨組織片を２つの椎体の間に挿入し、インプラントの内部及び周囲で骨細胞を成長させつつ、脊柱における損傷部位を交換したり欠損部位を埋めたりすることにより、椎体の再生を目的とする脊椎間インプラントに関する。

これらのインプラントは、十分な融合率を保証しつつ、２つの椎体間を確実に安定させるためのいくつかの基準を満たさなければならない。そのため、圧力下で椎体の間に挿入するインプラント体は、一方では脊柱の軸に沿って非常に高い強度を有し、他方では互いに隣り合う椎体及び椎体の残留要素と接触する面積を広くしなければならない。

脊椎間のスペースを維持するため、椎体からの応力に対するインプラントの機械的強度は高くなければならない。一般にインプラントの強度は、実際には、それと接する椎体からの力の２〜３倍でなければならない。また、インプラントは、少なくとも骨が硬化するまでの耐久性がなければならない。

一般に、インプラントは、移植骨組織で満たされた固体の中空体である。壁には孔が設けられ、椎体との骨融合が可能になる。

そして、その厚さ方向に水平又は高さ方向に垂直に、２つの椎体の間に設置される。

インプラントは、本体の形に従って分類される。断面が長方形である平行６面体であってもよい。また、椎体の形への適合性を高めるために、尖頭形又は僅かに丸みを帯びていてもよい。

インプラントは、移植骨組織片を収容するために内部が中空である円筒形又は楕円形のケージからなり、その壁には１組の孔が設けられていることが知られている。この種のインプラントはその周囲において椎間板との骨融合が可能であるが、移植組織片の中心は融合しないか、又は部分的にしか融合しない。

また、軸の両端に位置する２つプレートのみを備えるインプラントもある。インプラントは、外科医によって２つの椎体の間に設置され、軸の全周囲にわたって圧縮した移植組織片で満たされる。この種のインプラントは、外部環境と接する周辺領域が比較的大きいという効果を有する。しかし、インプラントの形状のため、骨の再生が必要な部位に移植組織片を維持しておくことができない。さらに、移植組織片をインプラントに挿入することで手術時間が延びる。

そのため、インプラントは、骨融合のために外部との接触面積が大きくかつ連続的であり、移植骨組織片を保つために最適な保持形状を有しつつ、非常に強固な構造を持つと有利である。

したがって、本発明の目的は、設計や操作が簡単であり、とりわけ小型で強固なため、インプラントの周囲の全ての方向において移植骨組織片と椎間板との融合に優れた、骨融合用脊椎間インプラントを提供することである。

特に、インプラントは、患者の体内への挿入の前に、外科医によって移植骨組織片で部分的に充填可能でなければならない。そして修復する部位に入れた後、外科医によって完全に充填される。

理想的には、インプラントは欠損部位の長さに適合するように長さを調整しなければならない。

さらに、インプラントはその形を貫通する中実軸を有し、隣接する椎体から加えられる応力を伝達する。

また、比較的小さい形のため、インプラントの製造方法を非常に簡単に行うことができる。

このため、本発明は互いに隣り合う２つの椎体の間に挿入されるように構成された骨融合用インプラントに関する。

本発明によると、このインプラントは、背中合わせに配置したＣ形の断面を有する少なくとも２つの長手方向の部材からなる本体を備え、
該本体は、前記部材の結合領域から構成され、前記脊柱の軸と平行でかつ前記互いに隣り合う２つの椎体の間に力を伝えるように設計された中実軸と、移植組織片を保持するように設計され、前記中実軸に対して外側を向いている、少なくとも２つの長手方向の凹部とを画成する。

Ｃ形の部材の端部を設けることにより、隣接する椎体との接触面積を最適に確保できる。

Ｃ形の断面を有する要素間が結合してなる中実軸により、隣接する椎体から伝わる力を最適に伝達することができる。

本体を形成する２つの要素がＣ形をしていることにより、移植骨組織片を迅速に導入し、適切に保持することができる。

このインプラントの別の任意の特徴は以下の通りである。

前記インプラントの各端部において、前記椎体のいずれか１つと接するようにそれぞれ構成された軸受表面を有する。

前記軸受表面は、前記部材の端部から構成されている。

前記軸受表面は２つのプレートから構成され、該プレートは前記長手方向の凹部のうちの１つに対して開いた少なくとも１つの開口部をそれぞれ有する。

前記部材と前記プレートとは一体的に形成されている。

前記部材と前記プレートとは別個に形成され、前記プレートは、前記部材の１つの端部と協動可能な結合面と、前記椎体のうち１つと接触可能な軸受面とをそれぞれ備える。

前記軸受表面は、椎体への軸受を強化するように設計された突起部を有する。

前記部材の長手方向の大きさは約１６ｍｍ〜９０ｍｍであり、直径は約１０〜３６ｍｍである。

前記インプラントの少なくとも１つの端部において、結合部材と協動可能な結合表面を有し、前記結合部材はインプラント同士の組み立てを可能にするように設計されている。

前記中実軸は、前記２つの長手方向の凹部を連通させるための少なくとも１つの孔を有する。

前記インプラントは生体適合材料からなり、前記本体は放射線透過性材料からなる。

前記プレートは放射線不透過性物質からなる。

前記部材の端部に設けられた位置決め手段を更に備え、該手段は、ディストラクタの腕とそれぞれ協動するように設計され、前記位置決め手段の設計は、ディストラクタの取り出し時には前記端部が摺動可能で、かつインプラントの装着時には前記腕で分離された互いに隣り合う椎体に前記インプラントの端部が直接接するように、前記腕の設計に適合する。

前記位置決め手段は溝を有する。

また、本発明はＣ形の形状を有する少なくとも２つの部材からなる上述のインプラントの製造方法に関する。

図１は本発明に係るインプラント１を示す。

このインプラントは、背中合わせに配置したＣ形の断面を有する２つの長手方向の部材２ａ、２ｂからなり、その組立体は、移植組織片を保持するように設計された２つの長手方向の凹部６を画定する。

これらＣ形の断面を有する２つの部材の接合面は、これらの部材が接する壁で構成される中実軸９を画定する。

この中実軸９は、脊柱の軸に対して概して平行に設計されており、椎体からインプラントへの応力を効果的に伝達することができる。

「Ｃ形の断面」とは、断面、つまり中実軸９に対して垂直な面において、各部材２ａ、２ｂが「Ｃ」の文字の形をしていることを意味している。

より正確には、図１に示すように、「Ｃ」の枝部における２つの端部間の距離ｄ１がこれら２つの枝部における中間領域（すなわち、「Ｃ」の基部と前記端部とのほぼ中間）の間の距離ｄ２よりも小さいことを意味する。

部材２ａ、２ｂの端部１１は、隣接する椎体４と接するように設計されたインプラントの軸受表面を直接構成する。

さらに、各凹部６は、中実軸９に対して外側を向いている長手方向の開口部を有し、それにより移植組織片を周囲に存在させ、外部環境と連続的に接することが可能になる。

また、この特に有利なインプラントの構成により、従来よりも簡単かつ低コストで本体を得ることができる。

このようなインプラントの製造方法は、塑性物質を熱押し出し成形することによる押し出し方法であってもよい。塑性物質は、インプラントと相補的な形を有する押し出し型で成形され、連続的な部材を形成する。

次に、この連続的な部材を切り、様々な長さのインプラントを得る。図１に示すインプラントは、機械加工等を更に必要としない。

当然、機械加工による従来のインプラント製造方法も考えられる。

図２Ａは、インプラントの軸受表面が本体２の端部にそれぞれ配置された２つのプレート３から構成され、この軸受表面がプレートの２つの面１２のうちの１つであるインプラントの別の実施形態を示す。

図２Ａは、隣接する椎体との骨融合を促進する目的で、長手方向の凹部６内に保持される移植組織片と隣接する椎体とが接触して垂直方向の骨融合を促進するために、プレート３において長手方向の凹部６の端部と対向して開口部７が設けられた構成を示す。

プレート３と部材２ａ、２ｂとは、一体の部材から形成されてもよいし、別体の部材から形成されてもよい。

図２Ｂは、２つのプレートのうちの１つと本体２との組み立てを示す。各プレート３は、部材２ａ、２ｂと、椎体と接するように設計された軸受面１２とから構成された本体２の端部と協動可能な結合面７を有する。

したがって、プレート３と本体２の端部とを取り外し可能に接続すると、インプラントの長さを変えることができ、その結果インプラントが修復対象の脊柱に適合できるため有利である。

したがって、本体は、端部同士を合わせて配置し、結合部材を用いて組み立てることができる。この場合、インプラントの一方の端部における本体は、１つの結合部材によって別の１つの本体に接続される。

反対に、中間本体は、その端部における各側面に設置された２つの結合部材により、２つの別の本体に接続している。各結合部材は、本体の各端部を収容する２つの結合面を有する。

これらの結合面は本体の輪郭と相補的な輪郭を有するが、端部同士を合わせて設置した場合は、本体を固定することのできる別の形を有していてもよい。

したがって、インプラントを構成する本体の数は、既に述べた２つの実施形態に限定されるものではない。

例えば、それぞれの長さが１６ｍｍである４つの本体を端部同士を合わせて設置することにより、長さが６４ｍｍのインプラントを得ることができる。

Ｃ形の断面を有する部材が同一かどうかにかかわらず、それらの部材は、長手方向の大きさ、すなわち断面Ｃ形の２つの端部間の距離が約１６ｍｍ〜９０ｍｍ、直径は１０〜３６ｍｍであることが好ましい。

１つの本体を構成するＣ形の断面を有する部材の数は、特に限定しないと有利である。

また、最終的なインプラントの輪郭は、脊柱の生理的彎曲に沿っていると有利である。

Ｃ形の断面を有する各部材は、結合部材の結合面を結合位置で固定する機械的固定装置をさらに備えていてもよい。これらの固定装置は、例えばねじである。

部材２ａ、２ｂの端部１１とプレート３の軸受面１２とは、椎体に対する軸受を強化し、インプラントが横方向に動いて脊椎間の空間に入ってしまうことを防止するように設計された、１組の突起部８を備えていると有利である。これらの突起部８は、例えば切り欠き又は一続きの凹凸からなる。

図３は、Ｃ形の断面を有し互いに接する要素２ａ、２ｂの外壁から構成された中実軸９に孔１０が設けられ、それにより２つの長手方向の凹部が連通している本体２の別の実施形態を示す。この凹部間の連通により、移植組織片の品質が向上し、単一の独特な融合部が得られる。

互いに隣り合う２つの椎体を挿入するため、まず第１に、これらの椎体は脊椎間の空間を確保できる２つの腕を備えたディストラクタによって分離される。

次に、インプラントはこの空間内において２つの腕の間で本体の高さ方向に配置される。その後、インプラントがずれないように、これらの腕は取り除かれる。

図４は、２つの椎体間に配置した本発明に係るインプラント１を模式的に示す。この図において、「主軸」とは、脊柱の全体的な方向であり、本体の中実軸９であることがわかる。

設置の安定性と剛性を高めるため、インプラント１において上側の椎体４ａと下側の椎体４ｂとの間でねじによる後部及び／又は前部の骨接合を行う。

本発明の別の特に有利な態様において、インプラントは、軸受表面９、１２に設けられた溝１４を備えている。この溝はディストラクタの各腕の端部と協動する。そのため、一方ではインプラントの軸受表面９、１２を隣接する椎体に直接接触させてインプラントを２つの椎体間に設置することで椎体が過度にずれることを防止し、他方では前記ディストラクタを取り出す際にその腕の端部を効果的に取り出すことでインプラントを最初の位置からずれないようにできる。

図５は、Ｃ形の断面を有する要素２ａ、２ｂの端部に溝が直接形成されている場合を示す。

図６は、プレート３に溝が形成されている場合を示す。

脊椎間の空間に配置する前にインプラントを部分的に充填しておくと有利である。しかし、長手方向の凹部を完全に充填することで手術時間を短縮してもよい。

さらに、Ｃ形の断面を有する部材２ａ、２ｂが、移植組織片を長手方向の凹部内に保持することにより、移植組織片を適切な場所により容易に入れることができ、修復箇所においてさらに正確に配置することができる。

インプラントの特定の形態により、椎体からの応力が、部材の壁全体及び結合した部材２ａ、２ｂの壁から構成される中実軸９全体に分散すると有利である。このように力を伝達する有効性は、中実軸９に過剰な厚みを持たせることで向上する。

インプラントは生体適合材料からなる。好ましくは、本体２は放射線透過性材料からなり、それにより患者の骨融合及び骨の硬化の進展を追跡できる。使用する材料は一般にポリマーからなり、例えばポリアリルエーテルエーテルケトン（polyaryletheretherketone、PEEK）族から得られる材料である。応力に起因するずれを防ぐため、材料の弾性率は骨と近いことが好ましい。

放射線画像でインプラントの位置を特定できるように、プレート３は放射線不透過性物質からなると好ましい。

本発明は添付の図面を参照することによりさらに詳細に説明される。

図１は、本発明に係るインプラントを示す斜視図である。 図２Ａは、プレートを端部に備えた図１のインプラントのある特定の実施形態を示す。 図２Ｂは、プレートと本体との組立体の分解図である。 図３は、図１のインプラントの別の特定の態様を示す図である。 図４は、２つの椎体の間に挿入される図１のインプラントを示す模式図である。 図５は、端部に溝を有する図１のインプラントの模式図である。 図６は、プレートに形成された溝を有する図２のインプラントを示す模式図である。

Claims (15)

1. 脊柱の互いに隣り合う２つの椎体（４）の間に挿入されるように構成された骨融合用インプラント（１）であって、
   背中合わせに配置したＣ形の断面を有する少なくとも２つの長手方向の部材（２ａ、２ｂ）からなる本体（２）を備え、
   該本体（２）は、前記部材（２ａ、２ｂ）の結合領域から構成され、前記脊柱の軸と平行でかつ前記互いに隣り合う２つの椎体の間に力を伝えるように設計された中実軸（９）と、移植組織片を保持するように設計され、前記中実軸（９）に対して外側を向いている、少なくとも２つの長手方向の凹部（６）とを画成することを特徴とするインプラント。
2. 前記インプラントの各端部において、前記椎体（４）のいずれか１つと接するようにそれぞれ構成された軸受表面を有することを特徴とする請求項１に記載のインプラント。
3. 前記軸受表面は、前記部材（２ａ、２ｂ）の端部（１１）から構成されていることを特徴とする請求項２に記載のインプラント。
4. 前記軸受表面は２つのプレート（３）から構成され、該プレートは前記長手方向の凹部（６）のうちの１つに対して開いた少なくとも１つの開口部（７）をそれぞれ有することを特徴とする請求項２に記載のインプラント。
5. 前記部材（２ａ、２ｂ）と前記プレート（３）とは一体的に形成されていることを特徴とする請求項４に記載のインプラント。
6. 前記部材（２ａ、２ｂ）と前記プレート（３）とは別個に形成され、前記プレートは、前記部材の１つの端部と協動可能な結合面（１３）と、前記椎体（４）のうち１つと接触可能な軸受面（１２）とをそれぞれ備えることを特徴とする請求項４に記載のインプラント。
7. 前記軸受表面（１２）は、椎体（４）への軸受を強化するように設計された突起部（８）を有することを特徴とする前記請求項のいずれか１つに記載のインプラント。
8. 前記部材（２ａ、２ｂ）の長手方向の大きさは約１６ｍｍ〜９０ｍｍであり、直径は約１０〜３６ｍｍであることを特徴とする前記請求項のいずれか１つに記載のインプラント。
9. 前記インプラントの少なくとも１つの端部において、結合部材と協動可能な結合表面を有し、前記結合部材はインプラント同士の組み立てを可能にするように設計されていることを特徴とする前記請求項のいずれか１つに記載のインプラント。
10. 前記中実軸（９）は、前記２つの長手方向の凹部（６）を連通させるための少なくとも１つの孔（１０）を有することを特徴とする前記請求項のいずれか１つに記載のインプラント。
11. 前記インプラントは生体適合材料からなり、前記本体は放射線透過性材料からなることを特徴とする前記請求項のいずれか１つに記載のインプラント。
12. 前記プレートは放射線不透過性物質からなることを特徴とする請求項４又は１１に記載のインプラント。
13. 前記部材（２ａ、２ｂ）の端部に設けられた位置決め手段を更に備え、該手段は、ディストラクタの腕とそれぞれ協動するように設計され、前記位置決め手段の設計は、ディストラクタの取り出し時には前記端部が摺動可能で、かつインプラントの装着時には前記腕で分離された互いに隣り合う椎体に前記インプラントの端部が直接接するように、前記腕の設計に適合することを特徴とする前記請求項のいずれか１つに記載のインプラント。
14. 前記位置決め手段は溝（１４）を有することを特徴とする請求項１３に記載のインプラント。
15. 請求項１に記載のインプラントの前記本体（２）の製造方法であって、
    Ｃ形の形状を有する少なくとも２つの部材（２ａ、２ｂ）からなる前記本体（２）の形と相補的な形を有する押し出し型から連続的な押し出しにより部品を成形する工程と、
    前記部品を切り、様々な長さを有する本体（２）を得る工程とを備える方法。

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