JP2009544312A - 家禽用熱処理装置及び家禽用熱処理方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は家禽用熱処理装置(1)に関し、家禽を搬送する搬送手段(8)を含む、家禽を加工するための処理スペース(7)と、処理スペースと接続されており、コンディショニング媒体を作製するための調整スペース(2)と、またコンディショニング媒体を調整スペースから処理スペースへと移動させる移動手段(5,10)とを備える装置である。また、本発明は家禽の熱処理方法に関する。
Description
本発明は家禽用熱処理装置に関するものである。また、本発明は家禽用熱処理方法に関するものである。
家禽、特に食肉解体処理・放血された鶏、カモ、七面鳥等の家禽の熱処理は、続く(脱毛)処理においてより簡単に羽毛の除去ができるよう、がらに残る羽毛を減らす目的で行われる。死後硬直がすぐに始まってしまうため、熱処理は家禽が食肉解体処理された直後に行われる必要がある。この処理に求められている速さに対応するため、通常は湯を張った槽に家禽を浸し、およそ3分後に槽から家禽が取り出すことで羽を比較的簡単に除去している。この所謂「浸漬熱処理」には、家禽が槽の中の水を相当量吸収してしまうという欠点があり、また槽より汚れ、ばい菌やバクテリアが家禽に移る可能性があるという問題も生じる。
米国特許3,703,021には、別の熱処理方法が記載されている。ここでは、家禽の羽を事前に毟り取っている。すなわち、熱処理される家禽は既にかなりの量の羽が事前に除去されており、ほとんどはげている状態にある。続いて、羽を事前に毟り取られたこの家禽は、30〜40秒ほどの間、処理スペースの中を通される。処理スペースの中には、キャリヤ媒体として、蒸気加熱用の液体が空気と共に吹き込まれる。これにより、処理スペースの中で一定の温度、100%の湿度、および余剰液体が維持される。加工条件は、互いに協調する検出手段及び制御手段により監視・維持がされている。この方法では、一定かつ効果的な熱処理の結果を得ることが実質的に難しいことが判明している。主要な質の基準は、羽をどの程度まで緩められるか、という点である。熱処理の質を決定付ける他の要素としては、表皮(胚上皮/真皮)の損傷の大きさ、または皮膚の直下にある肉に含まれるたんぱく質の変性(「減少」)の度合いが挙げられる。熱処理加工の質管理を行なう上で、少なくともこれらの要素は全て考慮しなければならない。
本発明の目的は、効果的な熱処理の結果が手早く得られ、従来技術の利点を保持しつつ相互汚染が起きることのない、改善された熱処理方法、及びこの目的を達成するために必要な手段を提供することである。
本発明は、この目的を達成するため、全身に羽毛を有する家禽を熱処理する装置であり、露点が49℃〜61℃の範囲内にある熱処理媒体を生成するためのコンディショニングスペースと、上記家禽が処理される際に通る搬送路を規定する搬送手段を有する処理スペースと、上記コンディショニングスペースと上記処理スペースとを接続し、上記搬送路に向けられた排水口が少なくとも一つ設けられ、生成された上記熱処理媒体を、上記排水口を介して上記コンディショニングスペースから上記搬送路へと搬送して上記熱処理媒体を上記家禽の上、特に家禽の皮膚の上で凝縮させる吐出手段とを備えている装置を提供する。そのため、熱処理媒体は、熱処理媒体の噴流が家禽の皮膚を直撃する場所で集中的に凝縮される。凝縮の重要な利点は、家禽の(局所的もしくはその他)過熱(過剰な熱処理)を誘発することなく、比較的短時間で相当な熱伝達を可能とすることである。これにより、食肉解体処理される動物の表皮(胚上皮)が過剰に損傷されるのを防ぐことができる。結局のところ、凝縮の結果として非常に良い熱伝達を得られるだけでなく、蒸発により皮膚が乾いたり、皮膚上の液体が加熱されたりすることが無い限り、家禽の温度が湿球温度を超えることが無い。当該両方の、湿球温度を超えるような場合というのは、相当なエネルギー転移を要し、空気を加熱する容量に限界があることから(凝縮によるより急速な熱転移はもはや不可能なため)、起こりにくい。そのため、本発明に係る熱処理プロセスには、家禽の過熱に対する保護機能が備わっている。吐出手段は、概して熱処理媒体を直接供給する供給手段と見なせる。必要ならば、吐出手段は随意で制御手段と共に設けられていてもよい。本発明の別の利点は、凝縮を集中的に行うことができるため、熱処理媒体を、羽の下側に、少なくとも部分的に吹き付けることができることである。そのためには、熱処理媒体の噴流は羽が差し込まれている方向とは逆の方向から家禽と接触するように向きを定めなければならない。そうすることにより、熱処理媒体は羽に浸透し、少なくとも一部は皮膚に到達する。これにより、家禽を液体に浸すことなく、また最初に羽の一部を除去することもなく、家禽を熱処理することが可能となる。搬送路(すなわち、家禽が通る経路)に熱処理媒体を直接的に運ぶこと、つまり家禽に向けて直接的に熱処理媒体を供給することにより、予想以上の優れた利点が得られる。一つ以上の熱処理媒体の噴流から集中的に凝縮を行うことにより、家禽の前処理(前脱毛)を要さずに、制御された所望の熱処理結果を、非常に効率的(急速)かつ家禽の過熱に対しプロセスに固有の保護機能を備えた状態で得られる。つまり、羽が十分に緩むことによって、「低熱処理」、「中熱処理」、または「高熱処理」のそれぞれに分類することができる表皮の許容損傷が得られ、家禽の肉の変性を最小限に抑えることができる。
他の著しい利点としては、非常に好適な熱処理結果を得られることである。熱処理は、本発明に係る装置により、家禽の皮膚において、例えば同じ抵抗力で少なくとも羽のほとんどを緩める目的で、他の位置に比べて特定の位置に集中させることで「インテリジェント」に行うことができる。これはまさに本質的なことである。その後の処理(例えば、具体的には脱毛)において家禽動物の胴体に対する羽の付着に特定の変化が必要とされるようであれば、本発明に係る装置はそれを得ることができる。ここの例として、脱毛するのに扱いにくい位置にある羽が、より扱いやすい位置にある羽に比べて緩く付着している家禽動物を熱処理する場合を挙げることができる。一部分に液体で満たされた槽が備えられていないので、装置をより効果的かつ効率的に洗浄できるようにすることができる。
適応可能な熱処理媒体として、例えば、露点が49℃〜61℃の範囲内にある、部分的にもしくはほとんどが水分で飽和した、加熱された空気が挙げられる。しかし、他のキャリヤガスや混合気体も適用可能である。液体に関しても、水の代わりに他の液体や混合液体も利用可能である。本発明に係る装置は、使用される熱処理媒体の組成について限定されるものではない。
上記搬送路に上記熱処理媒体を搬送する上記吐出手段は、調節可能な排水口を少なくとも一つ有することが好ましい。このような調節可能な排水口を使用することにより、熱処理媒体の最適な方向や噴流の形状を選択することができる。熱処理媒体の形状、噴出の開始位置、距離や方向は、状況の条件により変更することが可能である。そのため、装置は、違う種類の家禽、同じ家禽動物の異なるバッチ、または熱処理される個々の食肉解体処理動物に適合させることができる。個々での排水口の調節は、また随意に食肉解体処理動物の異なるグループに合わせて調節する場合に、例えば少なくとも一つのセンサー(特にカメラシステムを想定するとよい)と、センサーに結合した駆動装置と、指示命令に基づいて排出口を変位させる制御システムとを協調させることによって、排出口の変位の自動化を行うと有利である。熱処理媒体の吐出手段は、例えば、ノズルを少なくとも一つ備えていてもよい。
コンディショニングスペースから家禽までを覆っている熱処理媒体が経路において凝縮温度より低くならないようにするために、熱処理媒体の吐出手段が加熱動作を行うようになっていると有利である。これは一時的に装置の使用が停止された場合においても、加熱動作をアクティブにすることにより、吐出手段において熱処理媒体が凝縮するのを防ぐことができるため、有利である。
処理スペースは略トンネル状の空間からなっていてもよい。処理スペースがこのような構成であることにより、家禽食肉解体処理場にて頻繁に使われる、移動可能な家禽ホルダーが設けられているオーバーヘッドコンベヤーは、容易に処理スペースを通ることができる。家禽は家禽ホルダーを用いて脚より吊り下げられ、オーバーヘッドコンベヤーより規定される搬送路を通ることができ、熱処理媒体の供給を容易に受けることができる。吐出手段の少なくとも一部は、家禽の翼、特に家禽の翼の下側に熱処理媒体の一部を集中して接触させるよう、この搬送路に対応して配されていることが好ましい。「翼の下側」とは、家禽動物が脚で立っている場合における翼の下側の部分を意味している。処理スペース内で搬送されるとき、家禽はしばしば脚から逆さに吊るされているため、この場合、翼の下側は、逆に上側に位置することになる。翼に対して熱処理媒体を集中的に接触させることは、必ずしも搬送路の全長にわたって行われる必要はない。搬送路の一部においてのみ、家禽の翼の下側に熱処理を集中して接触させるのでもよい。実際は、家禽の翼にある羽を除去するのが難しいことが判明しており、それがまさに、特に翼の位置で熱処理が行われる理由である。
上記熱処理媒体を生成する上記コンディショニングスペースは、液体給送口を設けた蒸発スペースを少なくとも一つ備えていることが望ましい。また、上記熱処理媒体を生成する上記コンディショニングスペースは、直列に配置された、それぞれに液体給送口を設けた少なくとも二つの蒸発スペースを備え、直列に配置された蒸発スペースのうちの第一の蒸発スペースの液体給送口が第二の蒸発スペースの液体給送口よりも高い温度での動作に使用されることでより有利に構成することができる。熱処理媒体をコンディショニングするため、特に露点を調節するために、例えば従来公知の洗浄装置を用いることができる。二つ(または二つ以上)の上記スペースが互いにつながっていることにより、加速された蒸発プロセスを最初により高温で行うことができ、露点の微細な調節を蒸発プロセスの最終部分にてのみ行うようにすることができるという利点がある。そのような段階的なプロセスの例として、蒸気を投入する第一工程と湿度100%で媒体温度を設定する第二工程とからなるプロセスが挙げられる。このようにして、熱処理媒体のコンディショニングにかかる時間を短縮することができる。
コンディショニングスペースから処理スペースへと熱処理媒体を移すために、装置は、ファン、すなわち、ブロワもしくは換気装置を少なくとも一つ備えていてもよい。また、処理スペースから、正しく(もはや)コンディショニングされていない凝縮液および/または気体/液体混合物を排出する排出手段を備えていることがさらに望ましい。装置の液体消費量を制限するために、処理スペースの排出手段は液体の少なくとも一部をコンディショニングスペースに戻すことが可能となる。熱処理媒体が、家禽が処理スペースに出入りする位置において処理スペースから外へ流れ出るのを防止するため、スルースを設けることが可能である。このことにより、相当量の熱処理媒体が失われるのを防ぐことができる(漏れを防止する)だけではなく、処理スペースへの周囲の空気の進入をも制限することもできる。よって、処理スペースの処理条件の可制御性を改善することができる。処理スペースの上流に位置するスルースの構造の変形例では、処理スペースに進入する側は、その供給経路が上向きに導かれ、処理スペースを出る側では下向きに導かれる。加熱された熱処理媒体は上に向かって排出されようとする傾向があるため、処理スペースにおける搬送路は、処理スペースの周囲よりも高い位置に設けられている。これにより、熱処理媒体が処理スペースの外へ漏れることを制限することができる。
上記動作を自動化するために、少なくとも一つのセンサーと、センサーと通信する制御部とを備えた液体の吐出手段の変位に関して既述したように、他の位置に装置を設けることができる。ここで、例えば、熱処理媒体の生成(時間、質、また/もしくは量)、加熱された液体の供給(時間、質、また/もしくは量)、家禽の搬送速度、ファンの駆動などの制御を想定することができる。
また、本発明は、家禽を熱処理する方法に関し、この方法は、露点が49℃〜61℃の範囲内にある熱処理媒体を生成するステップA)、全身に羽毛を有する家禽を処理スペースに搬送するステップB)、および家禽に向けて噴出される上記熱処理媒体の噴流が少なくとも一つ形成されるように、上記処理スペースに上記熱処理媒体を供給するステップC)を含む。この方法により、本発明に係る装置にて説明している、他に比べて制御された、安全かつ改善された熱処理結果を得られるなどの利点を得ることができる。他の利点としては、他に比べ、よりエネルギー消費を効率よくし、クロスコンタミネーション/ファウリングが起こる可能性を低くすることができる。熱処理媒体の露点は49℃〜61℃の範囲内にあり、好ましくは49℃〜53℃の範囲内、53℃〜57℃の範囲内、もしくは57℃〜61℃の範囲内にある。これら処理条件において、低熱処理、中熱処理、また高熱処理として分類される上皮損傷を伴いながら熱処理結果が得られることになる。また、上記範囲内のいずれにおいても、一定の露点が1℃前後、好ましくは0.5℃前後という限られたマージンの中で維持されることに注目すべきである。このことにより、熱処理結果のばらつきを、許容できる低さに維持することが可能となる。
熱処理媒体の早期凝縮を防ぐ上で、熱処理媒体は処理ステップC)において家禽と接触するときに、90%〜100%、より好ましくは95%〜100%飽和していることが好ましい。これにより、凝縮の結果として起きる可能性のある熱転移を最適に活用することができる。また、比較的高い空気の飽和度により、熱処理プロセスにおいて、熱処理された家禽が完全に乾燥することはほとんどない。したがって、湿球温度が(望ましくないように)超過することも防止される。
熱処理媒体の噴流は、処理ステップC)において好適に家禽の首、羽、腹、また/もしくは尾に向けられるが、これらの特定箇所での羽の除去は比較的難しいからである。また、家禽の異なるバッチ(グループ)ごとの異なる形に対応するため、熱処理媒体の噴流は処理される家禽のバッチごとに設定することができる。処理される家禽の形や大きさが大きく異なる場合は、個々を基準として設定を行うように選択することも可能である。
露点が49℃〜61℃の範囲内にある熱処理媒体の噴流は家禽の表皮と接触し、好ましい変形例では、熱処理媒体は49−61℃の該範囲内よりさほど高くない温度であるため、家禽の皮膚を過熱してしまう可能性をさらに低くすることができる。しかしながら、処理が十分に速く進行し、また凝縮が時期尚早に起きないようにするため、60℃より高い温度、例えば62℃の熱処理媒体で動作するようにあえて選択することも可能である。
これにより、本発明に係る方法において、家禽、具体的には鶏の処理スペースにおける処理時間を、60秒〜180秒に制限することが可能となる。鶏以外の家禽、例えば七面鳥やカモなどの場合においても、処理時間を短縮することが可能であることは明白である。一定した熱処理結果を得るためには、処理スペースの中で気流が発生されることも有利である。ここで考慮しなければならないのが、この結果、凝縮が行われた家禽の外側における湿球温度が凝縮温度より若干低くなる可能性があることである。処理スペースから凝縮水が排出されることにより、この凝縮水で家禽の処理プロセスが妨害されることを防ぐことができる。凝縮水の再利用は、熱処理媒体を生成するのに再度この凝縮水を使用することにより可能となる。これにより、水の消費量は相当に減少する。
本発明は、添付の図面を参照して明白となるであろう。図面は、限定されない代表的実施態様を示している。
図1A,1Bは、発生器、もしくは矢印P1の方向よりガス(空気)が上部を介して電気モーター4によって駆動されるファン3により供給されるコンディショニングスペース2が中心に設けられた、一体型の熱処理装置1を示す。コンディショニングスペース2内には液体洗浄装置5が配置され、熱処理媒体を正しい温度および飽和レベルになるよう、調節する。熱処理媒体は、矢印P2に沿って、コンディショニングスペース2の両端に設けられる処理スペース7へ運ばれる。処理スペース7にはオーバーヘッドコンベヤー8が配されており、熱処理される家禽9が脚より吊り下げられている。熱処理媒体は、家禽9の前方への経路に向かうよう、仕切り壁に設けられた開口部10を介して吹き込まれる。また、処理スペース7は、処理スペース7内の余剰凝縮液12を回収する回収槽11、およびそれをコンディショニングスペース2にて再利用(再循環)するために排出する導管13を備えている。回収された熱処理媒体を再循環させるため、再利用される前に、回収された熱処理媒体に含まれているバクテリアの少なくともほとんどが死滅するように調整されていることが望ましい。これは、例えば回収された熱処理媒体を60℃より高い、好ましくは65℃より高い温度に加熱することにより可能である。
図2A,2Bは、コンディショニングスペース(発生器)21が処理スペース22から離れた位置に位置する、別の熱処理装置20を示す。露点が49℃〜61℃の範囲内にある熱処理媒体は、矢印P3に沿ってファン23によりチューブ24を介して処理スペース22へと運ばれる。熱処理は処理スペース22内で行われる。熱処理される家禽25は処理スペース22にて、チューブ24を通って家禽へ向かって噴出される噴流により供給される熱処理媒体の中を通り、熱処理される。処理スペース22より排出される混合物は、復路導管26を介してコンディショニングスペース21へ戻される。図2A,2Bに示す熱処理装置20の利点は、製造スペースが最適に使用できるよう、コンディショニングスペース21が処理スペース22から離れて配置されることである。このシステムのモジュール構造もまた、製造(購入)、輸送、配置、および維持において有利である。
図3は、家禽32がオーバーヘッドコンベヤー33により4列で運び込まれる処理スペース31を有する熱処理装置30の概略断面図である。処理スペース31と隣り合わせのコンディショニングスペース34において、熱処理媒体は洗浄装置35および槽36により運び込まれ、また加熱装置37により49℃〜61℃の範囲内の所望の露点および所望の温度まで加熱される。このために、洗浄装置35および槽36は熱水ボイラ38に接続されており、全コンディショニングプロセスは制御部39により制御される。コンディショニングスペース34にて作製された熱処理媒体34は、ファン45によりコンディショニングスペース34の中へ吹き込まれ、さらにプレート41に設けられている開口部40を介してブロワパイプ42から吹き込まれる。熱処理媒体は、特定の高さに調整されているノズル43を介してブロワパイプ42から抜ける。ノズル43は、ノズル43より抜ける熱処理媒体の噴流が家禽32を通る経路に直接向かう位置に配置されている。家禽33が脚44より下向きに吊るされ、ノズル43も下向きであるために、家禽32の羽の下に比較的容易に熱処理媒体が浸透する。家禽32と接触した後、処理スペース31に存在する熱処理媒体は再度ファン45により排出され、コンディショニングスペース34にて露点が49℃〜61℃の範囲内にあり、所望温度を有する熱処理媒体へと再コンディショニングされる。
図4は、図示されていない処理スペースにおけるオーバーヘッドコンベヤー52に設けられるホルダー51により吊り下げられている、食肉解体処理された鶏50を示す。露点が49℃〜61℃の範囲内にある熱処理媒体を鶏50へ直接向けて供給するために、処理スペースには、特に鶏50の首55と翼56とが鶏50の他の箇所よりもより集中的に熱処理されるように、スプレーヘッド53,54が配されている。スプレーヘッド53,54は縦方向に移動可能である(矢印P4参照)。スプレーヘッド53,54にそれぞれ対応する熱処理媒体供給導管57,58は、この理由によりガイド59にて摺動可能である。スプレーヘッド53,54の位置は、カメラ60により、信号線61を介して制御ユニット62へ送られる信号を介して、自動的に最適化される。続いて、この制御ユニット62は制御線63を介して、スプレーヘッド53,54の位置を制御する。
図5は、矢印P5に沿って飽和用ガスが供給される第一のチャンバ71からなる段階的コンディショニングスペース70の概略図である。第一のチャンバ71には、熱処理媒体が最終的に達しなければならない温度より比較的高めの温度で動作する洗浄装置72が設置されている。第一のチャンバ71にある媒体が洗浄装置72の動作温度まで到達する前に、この予め加熱された熱処理媒体は矢印P6の示す洗浄装置74を有する第二のチャンバ73へ運ばれる。これらの洗浄装置74は、第一のチャンバ71の洗浄装置72より低い温度で動作する。第一のチャンバ71では、例えば蒸気の注入などにより、急速に、相当の飽和状態や温度の上昇を実現させることができ、第二のチャンバ73では精密に決定された露点の微細な調節を行うことができる。洗浄装置72,74への供給を行うために、それぞれ対応する独立した循環システム75,76が、大まかにのみ示されている混合供給システム77により供給される。
図6Aは本発明に係る装置における処理スペース80の変形例の斜視図であり、図6Bはこの処理スペース80の断面図を示す。家禽83用の二つの搬送路81は、互いに平行に処理スペース80に入る。処理スペース80の立側壁82は、家禽83の通過を阻害することなく処理スペース80を小さく抑えるような形で形成されている。処理スペース80が小さいことで、処理スペース80での処理条件がより制御しやすく、また熱処理媒体をより効果的に用いることができる。処理スペース80の上側84の中央である、搬送路81と搬送路81との中間にあたる位置に、ブロワユニット85が配されている。このことにより、処理スペース80はさらに大きさを小さくとどめられる。ブロワユニット85の空洞となっている内部86は熱処理媒体の供給チャネルとしても機能し、矢印P7(図6Bを参照)に沿って供給された熱処理媒体が家禽83に向かうように排出されるための開口部87がブロワユニット85の壁に設けられている。このようにすれば、家禽83の脚の羽(すなわち、脚につながっている羽)に向かって吹き付けるのに便利である。同様に、処理スペース80の立側壁82には、開口部88が設けられており、そこより矢印P8(図6Bを参照)に沿って熱処理媒体が家禽83に向かって排出される。熱処理媒体を立側壁82より供給することは、とりわけ、これら立側壁82に向けて広げられている翼に適当に吹き付けることができるために有利である。これは、従来の技術における熱処理において、他の羽に比べ、翼の羽がしばしば除去しにくいためである。立側壁82の開口部88からの熱処理媒体供給は、この目的のために側壁内にあけられている中間空間89を通して行われる。
立側壁82の開口部87,88やブロワユニット85の代替として、処理スペース80においてそれぞれ独立したノズル付きパイプを配することも可能である。図7は、本発明に係る装置の変形例である処理スペース90を示す。家禽92用の二つの搬送路91など、前出の図面にて既出の要素に加え、処理スペース90には処理スペース90の縦側に配置された多くのノズル93やノズル94が中央に配されている。ノズル93,94は異なる高さや方向から、家禽92に対して熱処理媒体を吹き付けるように配されている。また、処理スペース90を、処理される家禽92の質によってノズル93,94の位置が変わるように構成してもよい。
なお、言うまでもないであろうが、本発明によれば、図7に示すブロワパイプと図6に示すような開口部87,88、またブロワユニット85とを組み合わせた処理スペースも可能である。
Claims (28)
- 全身に羽毛を有する家禽を熱処理する装置であり、
露点が49℃〜61℃の範囲内にある熱処理媒体を生成するためのコンディショニングスペースと、
上記家禽が処理される際に通る搬送路を規定する搬送手段を有する処理スペースと、
上記コンディショニングスペースと上記処理スペースとを接続し、上記搬送路に向けられた排水口が少なくとも一つ設けられ、生成された上記熱処理媒体を、上記排水口を介して上記コンディショニングスペースから上記搬送路へと搬送して上記熱処理媒体を上記家禽の上で凝縮させる吐出手段とを備えている装置。 - 上記搬送路に上記熱処理媒体を搬送する上記吐出手段は、調節可能な排水口を少なくとも一つ有していることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 上記熱処理媒体用の上記吐出手段は、ノズルを少なくとも一つ有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
- 上記熱処理媒体用の上記吐出手段は加熱動作を行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
- 上記処理スペースは、略トンネル状の空間からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
- 上記搬送手段は、移動可能な家禽ホルダーが設けられているオーバーヘッドコンベヤーを少なくとも一つ有していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
- 少なくとも上記吐出手段の一部が、上記熱処理媒体の一部が集中して上記家禽の翼の下側と接触するよう、上記家禽が通る上記処理スペース内の搬送路を規定する上記搬送手段に対して設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
- 上記熱処理媒体を生成するための上記コンディショニングスペースは、液体給送口を設けた蒸発スペースを少なくとも一つ備えていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
- 上記熱処理媒体を生成するための上記コンディショニングスペースは、直列に配置された、それぞれに液体給送口を設けた少なくとも二つの蒸発スペースを備え、直列に配置された上記蒸発スペースのうちの第一の蒸発スペースの液体給送口は第二の蒸発スペースの液体給送口よりも高い温度での動作に使用されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
- 直列に配置された上記第一の蒸発スペースは、蒸気供給口を有していることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
- 上記処理スペースは、上記処理スペースより凝縮液を排出する排出手段を備えていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
- 少なくとも一つのセンサーと、上記センサーと通信可能な制御部、好ましくは露点制御部とを備えていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
- 露点が49℃〜61℃の範囲内にある熱処理媒体を生成するステップA)と、
全身に羽毛を有する家禽を処理スペースに搬送するステップB)と、
上記家禽に向けて噴出される上記熱処理媒体の噴流が少なくとも一つ形成されるように、上記処理スペースに上記熱処理媒体を供給するステップC)とを含む、家禽を熱処理する方法。 - 上記熱処理媒体の噴流が上記家禽の皮膚に向けて噴出されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
- 上記熱処理媒体が上記家禽の皮膚と接触するときに、上記熱処理媒体の噴流は露点よりも高い温度であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
- 上記熱処理媒体の上記露点が、49℃〜53℃の範囲内にあることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
- 上記熱処理媒体の上記露点が、53℃〜57℃の範囲内にあることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
- 熱処理媒体の上記露点が、57℃〜61℃の範囲内にあることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
- 上記ステップC)において、上記熱処理媒体が上記家禽と接触するときに、上記熱処理媒体が90%〜100%飽和していることを特徴とする、請求項13〜18のいずれか1項に記載の装置。
- 上記ステップC)において、上記熱処理媒体の噴流が特に上記家禽の首に向けられていることを特徴とする、請求項13〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 上記ステップC)において、上記熱処理媒体の噴流が特に上記家禽の翼に向けられていることを特徴とする、請求項13〜20のいずれか1項に記載の方法。
- 上記ステップC)において、上記熱処理媒体の噴流が特に上記家禽の腹に向けられていることを特徴とする、請求項13〜21のいずれか1項に記載の方法。
- 上記ステップC)において、上記熱処理媒体の噴流が特に上記家禽の尾に向けられていることを特徴とする、請求項13〜22のいずれか1項に記載の方法。
- 上記熱処理媒体の噴流は、処理されるバッチごとにそれぞれ設定されることを特徴とする、請求項13〜23のいずれか1項に記載の方法。
- 上記処理スペースにおける上記家禽、特に鶏の処理時間が60秒〜180秒の範囲内であることを特徴とする、請求項13〜24のいずれか1項に記載の方法。
- 上記処理スペースにおいて気流を発生させることを特徴とする、請求項13〜25のいずれか1項に記載の方法。
- 上記処理スペースから凝縮水が排出されることを特徴とする、請求項13〜26のいずれか1項に記載の方法。
- 上記処理スペースから排出された凝縮水が、上記ステップA)に従って、上記熱処理媒体を生成するのに再利用されることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
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