JP2009542908A - オイルおよびガス探査、精製並びに石油化学処理用途向け耐浸食性サーメット内張り - Google Patents

オイルおよびガス探査、精製並びに石油化学処理用途向け耐浸食性サーメット内張り Download PDF

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Abstract

本発明は、1000℃以下の温度で固体微粒子浸食にさらされるオイルおよびガス探査および生産、精油所並びに石油化学プロセス用途での金属表面の保護方法に関する。本方法は、かかる用途で金属表面に耐熱浸食性サーメット内張りまたはインサートを提供する工程であって、サーメット内張りまたはインサートがa)約30〜約95容量%のセラミック相と、b)金属バインダー相とを含み、サーメット内張りまたはインサートが少なくとも5.0のHEAT耐浸食性指数および少なくとも約7.0MPa・m1/2のK1C破壊靱性を有する工程を含む。金属表面はまた、少なくとも5.0のHEAT耐浸食性指数を有する耐熱浸食性サーメットコーティングを提供されてもよい。本方法によって提供される利点には、とりわけ、プロセス装置のベース金属への傑出した熱膨張適合性だけでなく、傑出した破壊靱性と組み合わせて極高温耐浸食性および耐腐食性が含まれる。本方法は、プロセス容器、移送ラインおよびプロセス配管、熱交換器、サイクロン、滑り弁ゲートおよびガイド、フィードノズル、曝気ノズル、サーモウェル、弁体、内部ライザー、偏向シールド、サンドスクリーン、並びにオイルサンド採掘設備を保護する特定の用途に利用される。
【選択図】図4

Description

本発明はサーメット材料に関する。本発明は、更に具体的には、耐浸食性を必要とする流体分および固形分プロセス用途でのサーメット材料の使用に関する。更により具体的には、本発明は、オイルおよびガス探査および生産、精製並びに石油化学処理用途で用いるために優れた耐浸食/腐食性、および破壊靱性を必要とする耐熱浸食性サーメット内張りおよびインサートの使用に関する。
耐浸食性材料は、表面が浸食力にさらされる多くの用途に使用される。例えば、様々な化学および石油環境で触媒粒子などの硬い固体粒子を含有する腐食性流体に曝される精油所プロセス容器壁および内部は浸食および腐食の両方を受ける。高温耐浸食性および靱性の組み合わせた特性は、600°Fより高い運転温度の精製および石油化学プロセス装置で内部金属表面の長期耐浸食/摩耗性を与えるために使用される内張りおよびインサートに必要とされる。特に高温での浸食および腐食誘発材料分解からのこれらの容器および内部の保護は技術的な課題である。優秀な耐浸食性はまた、砂などの、特に摩耗性材料に曝される、ある種のオイルおよびガス探査および生産設備でも必要とされる。耐火物ライナーが、固体粒子を流体流れから分離するために用いられる内部サイクロン、例えば、触媒粒子をプロセス流体から分離するための流動接触分解装置(「FCCU」とも呼ばれる)における内部サイクロンの内壁などの、最も厳しい浸食および腐食からの保護を必要とする構成材料のために現在用いられている。
耐浸食性材料における従来技術は、化学結合した不定形アルミナ耐火物である。不定形アルミナ耐火物は、十分な耐熱性および耐腐食性を、しかし限られた耐浸食性を有する。これらの不定形アルミナ耐火物は、保護を必要とする表面に適用され、熱硬化すると硬くなり、金属−アンカーまたは金属−強化剤によって表面に固着する。それはまた、パッチか全面内張りかのいずれかを提供するように他の耐火物表面に容易に接合する。商業的に入手可能な一耐火物の典型的な化学組成は、重量%単位で80.0%Al、7.2%SiO、1.0%Fe、4.8%MgO/CaO、4.5%Pである。従来技術の耐火物ライナーの寿命は、高速固体粒子衝突によるライナーの過度の機械的摩耗、機械的亀裂および破砕によって著しく制限される。例示的な固体粒子は触媒およびコークスである。主要な浸食メカニズムは、シミュレートされたFCCU使用条件下で高温浸食にさらされる精油所および石油化学プロセス用途に使用される先行技術の標準耐火物サンプルを示す図1の断面走査電子顕微鏡写真に示されるようにバインダー相を通ったホスフェート接合相の亀裂である。バインダー相中の亀裂は、顕微鏡写真で明確に明らかである。これらの接合がセラミック粒子のより強い直接の接合でアップグレードされるとき、全体内張りは製造するのに高価になり、そして壊滅的に脆く破砕破損する傾向がある。
薄層セラミックコーティングまたは析出硬化合金の溶接オーバーレイもまた、高温耐浸食性のために用いられてもよいが、従来の化学接合した不定形耐火物内張りほど有効ではない。層が固体ベースの金属の上に溶融形態で塗布され、残留熱/形成応力は制限的であるので、厚さおよびセラミック含有率は、溶接オーバーレイおよびプラズマスプレーしたコーティングで制約される。
より硬いセラミック材料はまた過度に脆い傾向があり、それらの靱性の欠如は装置信頼性に悪影響を及ぼす。表面硬化材料などの、金属に富むセラミック−金属複合材料が代わりに使用されてもよいが、成形/製造技術が微細構造で入手可能な、硬い、粗い粒状セラミックスの量を制限するので、前述の不定形物によって提供される耐浸食性のレベルに達しない。硬いセラミック粒子のより高い含有率の金属マトリックス複合材料が、600°F未満の施工のための粉末冶金技法によって優れた耐浸食性および靱性で設計されてきたが、現行技術は、精製および石油化学プロセス用途で有利に使用できる耐熱性および耐腐食性を組成物に与えない。
CoまたはNi超硬合金と接合されたWCなどの、従来技術のセラミックに富むセラミック−金属複合材料の限られた耐熱浸食性は、腐食性環境での長期の、高温摩耗/浸食用途のための熱力学的安定性の欠如に起因すると考えられる。図2に示されるように、これらの材料は、より耐火性のスチールおよびセラミック粒子(TiC、SS、FeCrAlY)と比較されたときにFCCU温度で酸素と反応性である。一方、析出硬化合金は高温プロセス環境で安定な組成を有するが、耐摩耗性の少ない金属結合構成材料の浸食からの保護を最適化するための硬いセラミックスの高い濃度および/またはこれらの凝結体の形状およびサイジングを欠く。
内張りおよびインサートは、触媒またはコークスなどの微粒子固形分を循環させることによって引き起こされる浸食/摩耗から内部スチール表面を保護するために多数の高温精製および石油化学プロセスに使用される。かかる一用途はサイクロン分離器である。過去十年間にわたって、サイクロン設計および耐火物内張り材料における大きな進歩は、FCCU装置の操作性および効率の劇的な改良につながった。しかしながら、同時に、サイクロンシステムに対する要求は、より長い運転長さ、より高い処理量速度、向上した分離効率、およびより硬い、低摩耗触媒の使用への商業的動機のために高まってきた。このように、高温耐浸食性および内張り耐久性は依然として、現在のFCCUの信頼性および運転長さを制限する材料特性であり、耐久性と耐浸食性との改善された組み合わせの材料は、装置性能の強化を提供するであろう。
従来技術の耐火物と等価なまたはそれより良好な厚さおよび結合信頼性を依然として維持しながら従来技術の耐火物と比較して高温で向上した耐浸食/腐食性と優秀な破壊靱性との組み合わせを有する、精製および石油化学処理用途に用いる内張り、インサートおよびコーティングが必要とされている。摩耗性固体粒子環境に曝されたときに向上した耐浸食性を有する、オイルおよびガス探査および生産に用いる内張り、インサートおよびコーティングも必要とされている。
米国特許出願第10/829,816号明細書 米国特許出願第11/293,728号明細書 米国特許出願第10/829,820号明細書 米国特許出願第11/348,598号明細書 米国特許出願第10/829,822号明細書 米国特許出願第10/829,821号明細書 米国特許出願第10/829,824号明細書 米国特許出願第11/369,614号明細書 米国特許出願第10/829,823号明細書 米国特許出願第10/829,819号明細書 米国特許出願第10/829,818号明細書
一実施形態では、本発明は、1000℃以下の温度で固体微粒子浸食にさらされるオイルおよびガス探査および生産、精油所並びに石油化学プロセス用途での金属表面の有利な保護方法であって、この方法が金属表面に耐熱浸食性サーメット内張りまたはインサートを提供する工程を含み、サーメット内張りまたはインサートがa)セラミック相と、b)金属バインダー相とを含み、そしてセラミック相がサーメット内張りまたはインサートの容量の約30〜約95容量%を占め、そしてサーメット内張りまたはインサートが少なくとも5.0のHEAT耐浸食性指数および少なくとも7.0MPa・m1/2のK1C破壊靱性を有する方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、1000℃以下の温度で固体微粒子浸食にさらされるオイルおよびガス探査および生産、精油所並びに石油化学プロセス用途での金属表面の有利な保護方法であって、この方法が金属表面に耐熱浸食性サーメットコーティングを提供する工程を含み、サーメットコーティングがa)セラミック相と、b)金属バインダー相とを含み、そしてセラミック相がサーメットコーティングの容量の約30〜約95容量%を占め、そしてサーメットコーティングが少なくとも約5.0のHEAT耐浸食性指数を有する方法を提供する。
多数の利点が、固体微粒子浸食にさらされるオイルおよびガス探査および生産、精油所並びに石油化学プロセス用途での金属表面の、a)セラミック相と、b)金属バインダー相とを含むサーメット内張り、インサートまたはコーティングでの有利な保護方法であって、セラミック層がサーメット内張り、インサートまたはコーティングの容量の約30〜約95容量%を占め、そしてサーメット内張り、インサートまたはコーティングが本明細書に開示される少なくとも5.0のHEAT耐浸食性指数、およびそのための使用/用途を有する方法からもたらされる。
本開示のサーメット内張り、インサートまたはコーティングでの金属表面の保護方法の利点は、耐浸食性が1000℃以下の用途で改善されることである。
本開示のサーメット内張り、インサートまたはコーティングでの金属表面の保護方法の別の利点は、それが耐浸食性内張り、インサートまたはコーティングで優れた破壊靱性を与えることである。
本開示のサーメット内張り、インサートまたはコーティングでの金属表面の保護方法の別の利点は、耐腐食性が改善されるかまたは損なわれないことである。
本開示のサーメット内張り、インサートまたはコーティングでの金属表面の保護方法の別の利点は、傑出した硬度が示されることである。
本開示のサーメット内張り、インサートまたはコーティングでの金属表面の保護方法の別の利点は、サーメット微細構造で熱分解からの高温での優秀な安定性が示され、こうして高温精油所および石油化学プロセス用途での長期使用の間、本方法を非常に望ましい、そして独特なものにすることである。
本開示のサーメット内張り、インサートまたはコーティングでの金属表面の保護方法の別の利点は、砂および他の摩耗微粒子への優秀な耐浸食性が示され、こうして本方法をオイルおよびガス探査および生産用途向けに望ましいものにすることである。
本開示のサーメット内張り、インサートまたはコーティングでの金属表面の保護方法の更にその上別の利点は、様々な基材金属への傑出した熱膨張適合性が示されることである。
本開示のサーメット内張り、インサートまたはコーティングでの金属表面の保護方法の更にその上別の利点は、内張り用のタイルが粉末冶金処理によって形成され、溶接技法によって金属基材に結合させられてもよいことである。
本開示のサーメット内張り、インサートまたはコーティングでの金属表面の保護方法の更にその上別の利点は、コーティングが保護されるべき金属表面上への熱吹き付け処理によって形成されてもよいことである。
本開示のサーメット内張り、インサートまたはコーティングでの金属表面の保護方法のこれらのおよび他の利点、特徴および特質並びにそれらの有利な用途および/または使用は、以下に続く詳細な説明から、特に本明細書に添付される図と併せて読まれるときに明らかであろう。
本明細書の主題を製造および使用する際に関連当業者を支援するために、添付図面について言及される。
本発明は、耐熱浸食性(「HER」とも呼ばれる)サーメット内張り、インサートまたはコーティングを、オイルおよびガス探査および生産、精製並びに石油化学プロセス設備の内面または外面上へ固着させて固体微粒子浸食にさらされる内張りを形成する工程を含む、オイルおよびガス探査および生産、精製並びに石油化学処理用途での固体微粒子浸食の低減方法であって、HERサーメット内張り、インサートまたはコーティングがセラミック相と金属バインダー相とを含む方法を含む。オイルおよびガス探査および生産、精製並びに石油化学処理用途での固体微粒子浸食の低減方法は、優れた耐浸食/腐食性と破壊靱性との独特の組み合わせのみならず、優秀な製造可能性、およびベース金属への熱膨張適合性ももたらす新規なそして自明でない内張り、インサートまたはコーティング組成物を含む点で先行技術と区別できる。
サイクロン経験は、不定形内張りの有用性が耐浸食性と靱性特性との組み合わせを必要とすることを証明している。最新のエンジニアリングセラミックスの幾つかは優れた耐浸食性を有することが知られてきたが、硬いセラミック粒子間の直接接合は材料を逆に脆いものにさせる。高温内張り用途に使用される硬いセラミックスは、2つのメカニズムの1つによって熱応力損傷する傾向がある。それらが高い熱膨張係数を有する場合、熱応力だけで構成材料を破砕するのに十分である。より低い熱膨張係数で、これらの応力は低下するが、サイクロン本体と内張り構成材料との間の熱膨張不適合は増加する。これは触媒またはコークスに、内張りが熱いときに形成する亀裂およびギャップを埋めさせる。冷えたとき、入った触媒は収縮を妨げ、内張り構成材料を破損しやくするレベルまで構成材料に応力を加える。更に、常温変動は熱疲労およびシャットダウンを誘起し得るし、昇温サイクルは更に、十分な破壊靱性が製造のために使用された材料に利用可能でない場合には構成材料を破損させる応力を誘発し得る。このように、優れた破壊靱性がサイクロン・ライナータイル完全性を高めるために、および熱応力損傷を抑えるために必要とされる。
セラミック−金属複合材料はサーメットと呼ばれる。高い硬度および破壊靱性のために好適に設計された十分な化学安定性のサーメットは、当該技術分野で公知の耐火物材料より一桁分高い耐浸食性を提供することができる。サーメットは一般に、セラミック相と金属バインダー相とを含み、普通は、金属およびセラミック粉末が混合され、プレスされ、そして高温で焼結されて密度の高いコンパクトを形成する粉末冶金技法を用いて製造される。本発明の耐熱浸食性サーメットは、高温および標準温度用途向けを意図され、主題の使用用途でそれらを現行技術から区別する成分原材料、製造、微細構造設計および得られる最適化物理的特性という共通の特徴を有する。本発明のオイルおよびガス探査および生産、精製並びに石油化学プロセスに好適なHERサーメットの範囲は一般に、耐浸食性と破壊靱性との独特の組み合わせを有するセラミック相と金属バインダー相とを含み、ここで、これらの相の組成物は下により詳細に記載される。
バンガル(Bangaru)らへの2004年4月22日出願の同時係属中の特許文献1は、高温条件下で向上した耐浸食性および耐腐食性のホウ化物サーメット組成物、並びにそれらの製造方法を開示している。改良されたサーメット組成物は、セラミック相(PQ)とバインダー相(RS)とを含む式(PQ)(RS)で表され、ここで、PはIV族、V族、VI族元素からなる群から選択された少なくとも1つの金属であり、Qはホウ化物であり、RはFe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択され、そしてSはCr、Al、SiおよびYから選択された少なくとも1つの元素を含む。開示されたセラミック相は単峰性グリット分布の形態にある。特許文献1は全体を参照により本明細書に援用される。
クーン(Chun)らへの2005年12月2日出願の同時係属中の特許文献2は、高温条件下で向上した耐浸食性および耐腐食性の二峰性および多峰性グリット分布を有するホウ化物サーメット組成物並びにそれらの製造方法を開示している。この多峰性サーメット組成物はa)セラミック相とb)金属バインダー相とを含み、ここで、セラミック相は粒子の多峰性分布の金属ホウ化物であり、ここで、少なくとも1つの金属は長周期型の元素の周期表(Long Form of The Periodic Table of Elements)のIV族、V族、VI族元素およびそれらの混合物からなる群から選択され、そしてここで、金属バインダー相はFe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つの第1元素と、Cr、Al、SiおよびY、並びにTiからなる群から選択された少なくとも1つの第2元素とを含む。多峰性ホウ化物サーメットの製造方法は、多峰性セラミック相粒子と金属相粒子とを混合する工程と、セラミックおよび金属相粒子を粉砕する工程と、一軸的におよび場合により平衡に粒子をプレスする工程と、圧縮混合物を高温で液相焼結させる工程と、最後に多峰性サーメット組成物を冷却する工程とを含む。特許文献2は全体を参照により本明細書に援用される。
同時係属中の、クーンらへの2004年4月22日出願の特許文献3および2006年2月7日出願の特許文献4は、高温条件下に向上した耐浸食性および耐腐食性の炭窒化物サーメット組成物、並びにそれらの製造方法を開示している。改良されたサーメット組成物は、セラミック相(PQ)とバインダー相(RS)とを含む式(PQ)(RS)で表され、ここで、PはTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つの金属であり、Qは炭窒化物であり、RはFe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、そしてSはCr、Al、SiおよびYから選択された少なくとも1つの元素を含む。特許文献3および特許文献4は全体を参照により本明細書に援用される。
クーンらへの2004年4月22日出願の同時係属中の特許文献5は、高温条件下で向上した耐浸食性および耐腐食性の窒化物サーメット組成物、並びにそれらの製造方法を開示している。改良されたサーメット組成物は、セラミック相(PQ)とバインダー相(RS)とを含む式(PQ)(RS)で表され、ここで、PはSi、Mn、Fe、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wおよびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つの金属であり、Qは窒化物であり、RはFe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、Sは本質的にCr、Al、SiおよびYから選択された少なくとも1つの元素と、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wおよびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つの反応性湿潤異原子価元素(wetting aliovalent element)とからなる。特許文献5は全体を参照により本明細書に援用される。
バンガルらへの2004年4月22日出願の同時係属中の特許文献6は、高温条件下で向上した耐浸食性および耐腐食性の酸化物サーメット組成物、並びにそれらの製造方法を開示している。改良されたサーメット組成物は、セラミック相(PQ)とバインダー相(RS)とを含む式(PQ)(RS)で表され、ここで、PはAl、Si、Mg、Ca、Y、Fe、Mn、IV族、V族、VI族元素、およびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つの金属であり、Qは酸化物であり、RはFe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択されたベース金属であり、Sは本質的にCr、AlおよびSiから選択された少なくとも1つの元素とTi、Zr、Hf、Ta、Sc、Y、La、およびCeからなる群から選択された少なくとも1つの反応性湿潤元素とからなる。特許文献6は全体を参照により本明細書に援用される。
同時係属中の、クーンらへの2004年4月22日出願の特許文献7および2006年3月7日出願の特許文献8は、高温条件下で向上した耐浸食性および耐腐食性の炭化物サーメット組成物、並びにそれらの製造方法を開示している。改良されたサーメット組成物は式(PQ)(RS)Gで表され、ここで、(PQ)はセラミック相であり、(RS)はバインダー相であり、そしてGは再析出相であり、そしてここで、(PQ)およびGは(RS)中に分散され、この組成物は、(a)前記セラミック相(PQ)の少なくとも50容量%がSi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Moおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属の炭化物である、約30容量%〜95容量%の(PQ)セラミック相と、(b)金属炭化物M(ここで、MはCr、Fe、Ni、Co、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Moまたはそれらの混合物であり、Cは炭素であり、そしてxおよびyは、xが1〜約30、そしてyが1〜約6の範囲で、整数値または分数値である)の、サーメット組成物の総容量を基準として、約0.1容量%〜約10容量%のG再析出相とを含み、そして(c)残りの容量パーセントは金属バインダー相(RS)(ここで、RはFe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、そしてSは、バインダーの総重量を基準として、少なくとも12重量%のCrと約35重量%以下のAl、Si、Y、およびそれらの混合物からなる群から選択された元素とを含む)を含む。特許文献7および特許文献8は全体を参照により本明細書に援用される。
バンガルらへの2004年4月22日出願の同時係属中の特許文献9は、高温条件下で向上した耐浸食性および耐腐食性の炭化物サーメット組成物、並びにそれらの製造方法を開示している。改良されたサーメット組成物は、(a)サーメット組成物の総容量を基準として約50重量%〜約95重量%の、Cr23、Cr、Crおよびそれらの混合物からなる群から選択された炭化クロムであるセラミック相と、(b)(i)合金の総重量を基準として、約60重量%〜約98重量%のNi、約2重量%〜約35重量%のCr、および約5重量%以下のAl、Si、Mn、Tiおよびそれらの混合物からなる群から選択された元素を含有する合金と、(ii)約0.01重量%〜約35重量%のFe、約25重量%〜約97.99重量%のNi、約2重量%〜約35重量%のCr、および約5重量%以下のAl、Si、Mn、Tiおよびそれらの混合物からなる群から選択された元素を含有する合金とからなる群から選択されたバインダー相とを含む。特許文献9は全体を参照により本明細書に援用される。
バンガルらへの2004年4月22日出願の同時係属中の特許文献10はまた、高温条件下で向上した耐浸食性および耐腐食性のサーメット組成物、並びにそれらの製造方法を開示している。改良されたサーメット組成物は、セラミック相(PQ)、バインダー相(RS)およびXを含む式(PQ)(RS)Xで表され、ここで、Xは酸化物分散質E、金属間化合物Fおよび誘導体化合物Gからなる群から選択された少なくとも1つのメンバーであり、ここで前記セラミック相(PQ)は約0.5〜3000ミクロンの範囲の直径の粒子としてバインダー相(RS)中に分散され、そして前記Xは約1nm〜400nmのサイズ範囲の粒子としてバインダー相(RS)中に分散される。特許文献10は全体を参照により本明細書に援用される。
クーンらへの2004年4月22日出願の同時係属中の特許文献11はまた、組成勾配サーメット、並びに高温条件下で向上した耐浸食性および耐腐食性の組成物をもたらすためにそれを製造するための反応性熱処理法を開示している。組成勾配サーメット材料の製造方法は、(a)クロムおよびチタンの少なくとも1つを含有する金属合金を約600℃〜約1150℃の範囲の温度で加熱して加熱金属合金を形成する工程と、(b)加熱金属合金を、反応性炭素、反応性窒素、反応性ホウ素、反応性酸素およびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つのメンバーを含む反応性環境に約600℃〜約1150℃の範囲で反応合金を与えるのに十分な時間曝す工程と、(c)反応合金を約40℃未満の温度に冷却して組成勾配サーメット材料を与える工程とを含む。特許文献11は全体を参照により本明細書に援用される。
本発明は、長期耐浸食/摩耗性を与えるためのオイルおよびガス探査および生産、精製並びに石油化学プロセス装置でセラミック−金属複合材料内張りおよびインサートとして上に参照され、そして全体を参照により援用された同時係属中の米国特許出願の耐熱浸食性サーメット組成物の有利な使用に関する。精製および石油化学プロセス装置のために、サーメット内張り、インサートおよびコーティングの提供方法は、600°Fを超える温度で動作する装置に特に有利である。これらのHERサーメット組成物の使用は、現行の従来技術の不定形耐火物、サーメット、コーティングまたは溶接オーバーレイで利用可能ではない、特性(耐浸食性および破壊靱性)、組成、製造および設計特徴の新規な組み合わせの故に有利である。これらの特徴で、参照されたサーメット複合材料は、例えば、触媒、コークス、砂などのような、摩耗微粒子に曝されるプロセス内部並びに掘削、探査および生産設備に優れたレベルの浸食防護を与えるための内張り、インサートまたはコーティングとして使用されてもよい。インサートは、典型的には保護されるべき金属表面内に配置されるワンピースであるので、内張りとは区別される。インサートは、円筒形状または管状形状であってもよいが、それらに限定されない。インサートおよび内張りは、厚さの観点からコーティングから区別される。インサートおよび内張りは、厚さが一般に5mm以上であるが、コーティングは、厚さが一般に5mm以下である。
上に参照されたHERサーメットは、オイルおよびガス探査および生産、精製並びに石油化学プロセス装置でのそれらの有利な使用を助ける共通の特徴を有する。これらの可能にする特徴には、次のものが含まれるが、それらに限定されない:1)バインダー金属の湿潤を容易にするための組成物または凝結体の表面コーティング、2)FCCUプロセス環境で反応性がほとんどないかまたは全くない組成成分、3)比較的柔らかいバインダーを粒子接触から守るためのセラミック粒子集団およびサイジング、4)バインダーの延性および亀裂鈍化に起因する高い靱性、および5)最適耐浸食性および結合信頼性のための製造を容易にするためのタイル形状成形性。
本発明のHERサーメットは、従来技術より優れた内張り材料を提供する。図2(a)は、本発明のTiB−SSサーメットと比較して温度の関数としての、TiC、FeCrAlY、ステンレススチール(SS)、およびWC−6Coをはじめとする、様々な先行技術の材料の耐腐食性の比較を示す。この図は、典型的なアレニウス(Arrhenius)プロットであり、温度の逆数に対してプロットされたy軸上のlog目盛での放物線の速度定数(K)を示す。放物線の速度定数は耐腐食性の尺度として用いられてきた。速度定数の値が低ければ低いほど、耐腐食性はより高い。本発明の耐浸食性サーメット内張りについての腐食特性ターゲットは、ステンレススチールのそれに等しい耐腐食性を有するべきである。先行技術のWCベースのサーメットおよびTiCは非常に高い腐食速度を有するが、TiB−SSサーメットは腐食ターゲットを満たし得ることを理解することができる。図2(b)は、65時間の空気酸化後の先行技術のWC−Coサーメット(図2(b)の最上部)および本発明のステンレススチールバインダー中TiBサーメット(図2(b)の底部)上に図2(a)から形成された腐食層のSEM画像を示す。先行技術のWC−6Coサーメットは、本発明のTiB−SSサーメットの保護的な薄い腐食層と比較して高温酸化環境で化学的に不安定であり、剥離腐食および非保護的な非常に薄い腐食スケールを生み出す。
HEAT試験シミュレーター装置および試験手順
材料の表面を打つ移動固体微粒子に曝されたときの材料の浸食への固有の耐性は、その耐浸食性と称される。本出願人らは、FCCU使用下に直面される環境をシミュレートする、材料の耐浸食性を測定するための試験を開発した。本試験は、HEAT(熱浸食/摩耗試験)と呼ばれ、熱いおよび摩耗性微粒子物質にさらされたときの材料性能の尺度としてHEAT耐浸食性指数をもたらす。HEAT耐浸食性指数が高ければ高いほど、材料の耐浸食性性能はより良好である。図3(a)は、その様々な部品付きHEAT試験機の略図を示し、図3(b)は実際の試験機の写真を示す。HEAT耐浸食性指数は、同じ条件で同じ継続時間試験された耐火物標準と比べて所与の継続期間に失われた試験材料の容積を測定することにより浸食指数を測ることによって求められる。試験シミュレーターの速度範囲は、FCCUでの速度範囲をカバーする10〜300フィート/秒(3.05〜91.4m/秒)である。試験温度は可変であり、1450°F(788℃)以下であってもよい。衝突の試験角度は1〜90度である。質量流束は1.10〜4.41ポンドm/分の範囲であってもよい。試験環境は空気中かまたは制御された環境(混合ガス)であってもよい。試験シミュレーターはまた、再循環浸食液で長期間の浸食試験を提供してもよい。本発明のHERサーメット内張りの優れた耐熱浸食性は、図3に示されるHEAT試験シミュレーター装置を用いた熱浸食試験結果によって実証された。
触媒およびコークス粒子の摩耗挙動および浸食は、粒子が高温で循環される多くの処理装置に影響を及ぼす。本装置は、それらのプロセスの運転条件をシミュレートするように設計された。シミュレートされる条件には、制御された温度およびガス組成環境での速度、充填(loading)および衝突の角度が含まれる。本装置の決定的特徴は、性能評価に使用できる制御されたおよび再現性のある方法で広範囲の条件下での微粒子および/または微粒子含有内張り材料の試験を提供する。このデータの応用には、流動接触分解装置などの石油化学プロセスでのサイクロン分離器および移送ラインが含まれるが、それらに限定されない。
本発明による試験装置は、実用的な実験室特徴を保持しながら実際の工業的用途で微粒子触媒および耐浸食性内張りの特徴的に長いライフサイクルに対処するために熱浸食液のリサイクリングを容易にする。本装置は、工業的運転環境の条件をより厳密に再現する条件下で浸食液およびサンプル材料の両方の評価を許す実際の摩耗および内張り材料の試験を可能にする。本装置の特徴は、使用性能および再現性にとって該当する変数について浸食および摩耗の測定可能な変化がもたらされ得るのに十分に長い期間の間それらの条件を自立させる。これは、高速、高い浸食液濃度、および短い試験継続期間にわたる人為的に浸食性の微粒子のワンパスを用いて室温で行われるASTM C704標準摩耗試験などの現行試験を改良する。
この設計の具体的な例は、図3(a)に示されるが、それに限定されない。本装置の重要な特徴は、真っ直ぐな垂直ライザーチューブであり、ここで固形分粒子が予熱ガスを用いて加速され、単一ベント出口付き筐体内に収容されたサンプル材料に向かって発射される。この筐体は、それが出口ラインに達する前に排出ガスからの固形分の主要部分のドロップアウトを提供する。このように、出口ラインは、全ての回収される固形分が重力により筐体の底部に集められる状態で、サイクロン分離器などの追加の固形分回収装置を更に備えることができる。このように蓄積した、集められた固形分は次に、必要に応じて加熱されおよび/または流動化されて垂直ライザー用のオリフィスまたは機械フィードシステムに元に再導入されてサイクルを繰り返す。容量および/または粒度についての固形分構成は、筐体の内容物中への増分添加によって行われる。
本試験装置は、空気または予め混合したガス成分を使用して10〜300フィート/秒(3.05〜91.44m/秒)の速度で5〜800ミクロンの粒子について0〜5ポンド/立方フィートの固形分濃度で室温〜約1450°F(788℃)で動作することができる。この設計は、全体試験装置を冷却および再加熱する必要なしに微粒子の高温変化、ライザーチューブの摩耗および/またはサンプルの浸食をもたらす。他の特徴には、1〜90°の衝突角度の範囲で試験する能力と、秒、分、時間、日、月または年単位で測定される試験継続期間の間浸食液、温度およびガス環境を監視および制御するための好適な計装とが含まれる。機器オプションには、圧力および速度指示器並びに粒度分布の測定のための内容物固形分からのサンプリング口と一緒に、流れ濃度を測定するための不透明度計または示差圧力計、およびライザー流れ中への固形分の安定した添加を維持するための速度制御オリフィスまたはスクリューフィーダー、重要な温度領域に取り付けられた熱電対が含まれる。
図3(b)は、建造されたままのHEATシミュレーター装置を示す。幾つかの異なるタイプの計装が装置の制御のために含められる。例えば、示差圧力変換器が浸食液の連続的な流れを監視するおよび確実にするために用いられる。加えて、熱電対が温度を監視するために装置の重要な領域に取り付けられる。
サーメットのそれぞれは、図3に示される装置を用いて熱浸食摩耗試験(HEAT)にかけられた。用いられる試験手順は次の通りである:
1)約42mm長さ、約28mm幅、および約15mm厚さの検体サーメットタイル部分を秤量する。
2)この部分の一面の中心を次に、45°の角度でターゲットから1インチの所で終わる0.5インチ直径のチューブから出る加熱空気に同伴される1200g/分のSiC粒子(220グリット、#1グレード黒色炭化ケイ素(#1 Grade Black Silicon Carbide)、UKアブラシブス、イリノイ州ノースブルック(UK Abrasives,Northbrook,IL))にさらす。SiCの速度は45.7m/秒である。
3)工程(2)を732℃で7時間行う。
4)7時間後に、検体を周囲温度に放冷し、秤量して減量を測定する。
5)商業的に入手可能な不定形耐火物の検体の浸食を測定し、対照標準(Reference Standard)として用いる。対照標準浸食に1の値を与え、サーメット検体についての結果を対照標準と比較する。
6)HEAT試験後の検体および対照標準の容積減少を、3次元レーザー形状測定によって直接測定して減量測定からのデータを確認する。
破壊靱性試験手順
本発明のK1C破壊靱性は、亀裂開始後の破損に対する材料の耐性の尺度である。K1C破壊靱性が高ければ高いほど、材料の靱性はより大きい。HERサーメットの破壊靱性(KIC)は、単一エッジノッチ付きビーム(SENB)検体の3点曲げ試験を用いることによって測定される。本測定は、主に線形弾性の、平面歪み条件下のASTM E399標準試験方法に基づく。用いられる試験手順の詳細は次の通りである。
検体寸法および調製:3つの検体を、ワイヤ放電加工機(Electric Discharge Machining(EDM))またはダイヤモンド鋸を用いて焼結HERサーメットタイルから機械加工し、次の寸法に600グリッド・ダイヤモンド仕上げ材で研削する:幅(W)=8.50mm、厚さ(B)=4.25mm(W/B=2)および長さ(L)=38mm。機械加工した検体に、ダイヤモンド鋸(例えば、ビューラー・イソメット(Buehler Isomet)4000)の0.15mm(0.006インチ)厚さのダイヤモンド・ウェハー化刃(例えば、ビューラー、カタログNo.11−4243)を用いてエッジからノッチを付ける。ノッチ深さ(a)は、a/W比が0.45〜0.5であるようなものである。
試験方法:検体を、500、1000または2000ポンドロードセルを備えた汎用試験機(例えば、インストロン(Instron)8500コントローラー付きMTS55キップスフレーム)に25.4mmのスパン(S)(3のS/W比)で3点曲げに装着する。試験中の変位速度は約0.005インチ/分である。検体に、破損するまで負荷をかけ、負荷対変位データを、全ての破砕事象を捕らえるのに十分な分解度のコンピューターに記録する。
1Cの計算:破損時のピーク負荷を測定し、次の式を用いて破壊靱性を計算するために用いる。
Figure 2009542908
式中、
Figure 2009542908
式中、
1CはMPa・m1/2単位であり
P=負荷(kN)であり、
B=検体厚さ(cm)であり、
S=スパン(cm)であり、
W=検体幅(cm)であり、
a=亀裂/ノッチ長さ(cm)である。
図4は、先行技術の標準耐火物材料(ホスフェート接合不定形耐火物)および先行技術の市販サーメット(金属が37.5重量%のCo、37.5重量%のNiおよび25.0重量%のCrである、28容量%の金属バインダーのTiCサーメット)と比較した本発明のHERサーメット材料のHEAT耐浸食性指数のプロットである。1つの実験材料および2つの先行技術の材料がSiC微粒子に730℃で7時間曝された。本発明のHERサーメット内張りはバインダー相に亀裂も優先的な浸食も示さず、耐火物標準(ASTM C704によって測定されるように3cc未満の耐浸食性)より8〜12倍大きいHEAT耐浸食性指数を有する。HERサーメット中の金属バインダーはまた、切断され、びらん面に沿って見られるときに有利な靱性および亀裂鈍化を示す。更に、かかる複合材料微細構造体は高温で熱力学的に安定な金属合金の粉末冶金または融着によって実際に製造できることが示された。不十分な湿潤および/または過剰反応性の望ましくない影響は、表面コーティングおよび/または製造技術によって克服されるかもしれない。
一実施形態では、本発明のHERサーメットは、耐浸食性と破壊靱性との傑出した組み合わせが有利である内張りまたはインサートの形態で、オイルおよびガス探査および生産、精油所並びに石油化学プロセス設備の表面上に提供されてもよい。代わりの実施形態では、本発明のHERサーメットは、傑出した耐浸食性が有利であるコーティングの形態で、オイルおよびガス、精油所並びに石油化学プロセス設備の表面上に提供されてもよい。
本発明のHERサーメット内張りは、金属基材表面上へ組み立てられおよび溶接されて内張りを形成するタイルから形成される。HERサーメットタイルは典型的には、金属およびセラミック粉末が混合され、プレスされ、そして高温で焼結されて密度の高いコンパクトを形成する粉末冶金処理によって形成される。より具体的には、セラミック粉末は、有機液体およびパラフィンワックスの存在下に金属バインダーと混合されて流動性の粉末ミックスを形成する。セラミック粉末および金属粉末混合物はダイセット中へ入れられ、そこで、それは一軸的にプレスされて一軸プレスされた素地を形成する。一軸プレスされた素地は次に、時間−温度プロフィルによって加熱されてパラフィンワックスの燃焼と一軸プレスされた素地の液相焼結とを達成して焼結HERサーメット組成物を形成する。焼結HERサーメット組成物は次に冷却されてHERサーメット組成物タイルを形成し、それは、保護されるべき金属表面に取り付けられて保護内張りまたはインサートを形成してもよい。タイルは、厚さが5mm〜100mm、好ましくは5mm〜50mm、より好ましくは5mm〜25mmの範囲である。タイルは、サイズが10mm〜200mm、好ましくは10mm〜100mm、より好ましくは10mm〜50mmの範囲である。タイルは、正方形、長方形、三角形、六角形、八角形、五角形、平行四辺形、菱形、円または楕円を含むが、それらに限定されない様々な形状にされてもよい。
本発明のHERサーメットタイルは、図5(a)および(b)に例示されるような連動設計を用いるヘキサメタルでの耐火物ビスケットに匹敵するサイズで製造されてもよい。本発明のこれらの特徴は、従来の耐火物と組み合わせてまたはその代わりに使用されるときに初期据え付けおよび修理のために実用的であるタイルを保持するアンカーの結合上に溶接を用いる最小の特殊形状での平面および曲面の被覆を可能にする。ヘキサメタル固定化システムと比較して本発明の図5(a)の予め組み立てられたタイル集団の溶接金属アンカーは、約4倍の座面対容量比、4倍の保持力および固定のためのベース金属への熱膨張不適合の減少を有する。特に、熱膨張不適合の減少に関しては、本発明のHERサーメットタイルはベース炭素鋼との熱膨張不適合を実質的に全く有さず、ステンレススチールのベースとの熱膨張不適合の50%減少を有する。
本発明のHERサーメット組成物はまた、オイルおよびガス探査および生産、精製並びに石油化学プロセス設備の表面上にコートされてもよい。コーティングは、タイルと比較してはるかに減少した厚さ、典型的には1ミクロン〜5000ミクロン、好ましくは5ミクロン〜1000ミクロン、より好ましくは10ミクロン〜500ミクロンの範囲の厚さを与える。オイルおよびガス探査および生産、精油所並びに石油化学プロセス設備で保護コーティングとして用いるための本発明のHERサーメット組成物は、プラズマスプレー、燃焼スプレー、アークスプレー、フレームスプレー、高速オキシ燃料(HVOF)および爆発銃(D−銃)を含むが、それらに限定されない熱吹き付け塗装法のいずれかによって成形されてもよい。
精製および石油化学処理装置に使用されるHERサーメット内張り、インサートおよびコーティングは、かかるプロセス装置のベース金属への傑出した熱膨張適合性だけでなく、とりわけ、傑出した破壊靱性と組み合わせて傑出した高温耐浸食性および耐腐食性を達成する。精油所および石油化学プロセス用の硬い表面仕上げ溶接オーバーレイまたはセラミックコーティングと比較して本発明のHERサーメット内張りの更なる利点には、より大きい厚さの可能性および接着または融着への依存性の解消が含まれるが、それらに限定されない。別の利点は、結合用のベース金属とは別に本発明のHERサーメットをタイルへ二次加工し、次に続いてHERサーメットタイルを金属アンカー経由で精油所および石油化学プロセス設備の内面上へ結合させて内張りを形成する可能性である。
本発明のHERサーメット内張り、インサートおよびコーティングは、優れた耐浸食性の高度に信頼性のある内張りが望ましい600°F(316℃)を超える温度の精製および石油化学処理装置での多くの領域に好適である。一実施形態では、本発明のHERサーメット内張りは、精油所の流動接触変換装置(Fluid Catalytic Conversion Unit)(FCCU)の分野に使用されてもよい。代わりの実施形態では、本発明のHERサーメット内張りは、精油所の流体コーカー(Fluid Coker)およびフレキシコーキング(FLEXICOKING)装置の分野に使用されてもよい。別の実施形態では、本発明のHERサーメット内張りは、石油化学プロセス設備に使用されてもよい。より具体的には、本発明のHERサーメット内張り、インサートおよびコーティングを有利に提供される精油所および石油化学プロセス設備の分野には、プロセス容器、移送ラインおよびプロセス配管、熱交換器、サイクロン、滑り弁ゲートおよびガイド、フィードノズル、曝気ノズル、サーモウェル、弁体、内部ライザー、偏向シールド並びにそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。類似の用途は、ガス−オレフィンおよび流動床合成ガス発生(Gas to Olefin and Fluid Bed Syngas Generation)などの、他の流体分−固形分用途に見られる。
本発明のHERサーメット内張り、インサートおよびコーティングはまた、オイルおよびガス探査および生産設備などの、非高温用途にも好適である。オイルおよびガス探査における限定されない一特定実施形態では、本発明のサーメット内張り、インサートおよびコーティングの提供方法は、砂に対する傑出した耐浸食性が特定の便益を与えるサンドスクリーンに用いられる。オイルおよびガス探査および生産における別の非限定実施形態では、本発明のサーメット内張り、インサートおよびコーティングの提供方法は、再び砂に対する傑出した耐浸食性が特定の便益を与えるオイルサンド(タールサンド)採掘プロセス設備用途に用いられる。
本出願人らは、合理的に予見することができる開示主題の全ての実施形態および用途を開示しようと試みてきた。しかしながら、等価物として留まる、予見できない、ごくわずかな修正があるかもしれない。本発明は、その具体的な、例示的な実施形態と関連して説明されてきたが、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく前述の説明に照らして多くの変更、修正、および変形が当業者に明らかに分かるであろうことは明らかである。従って、本開示は、上に詳述された説明の全てのかかる変更、修正、および変形を包含することを意図される。
以下の実施例は、範囲を限定することなく、本発明とその利点とを例示する。
例示的な実施例1
本発明のステンレススチールバインダー中TiBサーメットを、精油所のFCCU装置の実際のサイクロンドラムまたはシリンダーでライナーとして実験的に試験した。ライナーを、サイクロンの内壁への金属アンカーの融接により結合される粉末冶金処理によって生み出されたタイルから形成した。先行技術の材料との直接比較を提供するために、サイクロンライナーまたはドラムのセクションにまた、1.5インチ平方のSiタイル、SiCタイル、アルミナタイルおよび4.5インチ平方のアルミナタイルを提供した。サイクロンドラムを、加熱/冷却速度の26熱サイクルに曝した。図6のサイクロンドラムを、FCCU触媒で500°F/時以下(100°F/時〜500°F/時)の加熱/冷却速度厳密性で26熱サイクルに曝した。先行技術のSiおよびSiC内張りタイル(図6(a))、並びに先行技術のアルミナ内張りタイル(図6(b)および(c))は全て、26熱サイクルへの暴露後に亀裂および欠落タイルによって示されるように破損した。それに対し、本発明のステンレススチールバインダー中TiBサーメットタイルは、26熱サイクルへの暴露後に完全に無傷のままであった(図6(d))。図6に示される精油所プロセスに使用されるサイクロンシリンダーまたはドラムは、サイクロン内張りの性能における靱性とより良好に適合した熱膨張との重要性を実証する。
例示的な実施例2
本発明のHERサーメット内張りおよびインサートは、600°F(316℃)を超える温度の精製および石油化学処理装置での多くの領域に好適であり、ここで、図7は室温での3点曲げについて測定されたかまたは公表された破壊靱性データを用いて、高温内張り用の広範囲の材料候補のHEAT測定耐浸食性(HEAT耐浸食性指数)対K1C破壊靱性(MPa・m1/2)のプロットを示す。プロットは、先行技術の材料(硬い合金およびWC、耐火物、並びにセラミックス)が破壊靱性と耐浸食性との反比例関係を示す傾向線に従うことを示す。即ち、高い耐熱浸食性の材料は不十分な破壊靱性を有し、逆もまた同様である。それに対し、本発明のHERサーメット内張りについてのデータは傾向線に沿って落ちないが、傾向線よりかなり上の異なるレジーム内にある(「HERサーメット」ブロック領域を参照されたい)。これは、傑出した破壊靱性と耐浸食性との両方の組み合わせが有益である精油所および石油化学プロセスでかかるHERサーメットの有利な使用の根拠となる。より具体的には、本発明のHERサーメット内張りは、150フィート毎秒(45.7m/秒)で60μm粒子(平均)を用いて1350°F(732℃)で耐浸食性について試験され、そして最良の入手可能な耐火物およびセラミック材料と比較されて7〜13MPa・m1/2の破壊靱性を示した(図7の「HERサーメット」ブロック領域を参照されたい)。本発明のタイプ304ステンレススチールバインダーと共にTiBでできたサーメットライナーについての試験結果は、最良の入手可能な不定形耐火物より8〜12倍高い浸食指数を示した(図7を参照されたい)。
バインダー相を通った亀裂によって引き起こされた浸食を示す先行技術の耐火物中のびらん面の断面図を示す。 本発明のTiB−SSサーメットと比較して温度の関数として、TiC、FeCrAlY、ステンレススチール(SS)、およびWC−6Coをはじめとする、様々な先行技術の材料の耐腐食性のプロット(a)並びに先行技術のWC−Coサーメットおよび本発明のTiB−SSサーメット上に形成された腐食層のSEM画像(b)を示す。 本発明の熱浸食/摩耗試験(HEAT)装置の略図(a)および実際の写真(b)を示す。 本発明のHERサーメットと比較して先行技術の標準耐火物および先行技術の市販サーメット材料についてのHEAT浸食指数の棒グラフを示す。 予め組み立てられたタイル集団の形態での本発明のHERサーメットタイルのアセンブリ(a)および金属基材上への金属アンカーの溶接(b)の略図を示す。 シミュレートされたサイクロンライナーとして26熱サイクル後の本発明のサーメットタイル(d)と比較して先行技術のセラミック(Si、SiCおよびアルミナ)タイル[(a)、(b)、(c)]のタイル完全性の比較を示す。 本発明の耐熱浸食性(HER)サーメットと比較して先行技術の耐火物およびセラミックスについてHEAT浸食指数の関数としてのMPa・m1/2単位での破壊靱性のプロットを示す。

Claims (60)

  1. オイルおよびガスの探査および生産、精油所並びに石油化学プロセス用途において、1000℃以下の温度で固体微粒子浸食にさらされる金属表面の保護方法であって、
    前記金属表面に、耐熱浸食性サーメット内張りまたはインサートを提供する工程であって、前記サーメット内張りまたはインサートが、a)セラミック相およびb)金属バインダー相を含み、前記セラミック相が、前記サーメット内張りまたはインサートの容量の30〜95容量%を占める工程を含み、
    前記サーメット内張りまたはインサートが、少なくとも5.0のHEAT耐浸食性指数および少なくとも7.0MPa・m1/2のK1C破壊靱性を有する
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記耐熱浸食性サーメット内張りまたはインサートの全体厚さが、5ミリメートル〜100ミリメートルであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記耐熱浸食性サーメット内張りまたはインサートが、少なくとも7.0のHEAT耐浸食性指数および少なくとも9.0MPa・m1/2のK1C破壊靱性を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記耐熱浸食性サーメット内張りまたはインサートが、少なくとも10.0のHEAT耐浸食性指数および少なくとも11.0MPa・m1/2のK1C破壊靱性を有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記耐熱浸食性サーメット内張りまたはインサートが、精油所および石油化学プロセスの流動接触変換装置、流体コーカーおよびフレキシコーキング装置の領域に使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記領域が、プロセス容器、移送ラインおよびプロセス配管、熱交換器、サイクロン、滑り弁ゲートおよびガイド、フィードノズル、曝気ノズル、サーモウェル、弁体、内部ライザー、偏向シールド並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記耐熱浸食性サーメット内張りまたはインサートが、オイルおよびガスの探査および生産用途に使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記オイルおよびガスの探査および生産用途が、サンドスクリーンまたはオイルサンド/タールサンド採掘設備であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前記耐熱浸食性サーメット内張りが、粉末冶金処理によって形成されたタイルを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 前記タイルが、正方形、長方形、三角形、六角形、八角形、五角形、平行四辺形、菱形、円または楕円の形状にあることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 前記セラミック相は(PQ)(式中、Pは、IV族、V族、VI族元素からなる群から選択された少なくとも1つの金属であり、Qはホウ化物である)であり、
    前記金属バインダー相は(RS)(式中、Rは、Fe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択され、Sは、Cr、Al、SiおよびYからなる群から選択された少なくとも1つの元素を含む)である
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 前記Rは、前記金属バインダー相(RS)の重量を基準として少なくとも30重量%のFe並びにNi、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属を含み、
    前記Sは、前記金属バインダー相(RS)の重量を基準として0.1〜3.0重量%の範囲でTiを更に含む
    ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記セラミック相(PQ)が、多峰性分布の粒子を有し、前記多峰性分布の粒子が、
    3〜60ミクロンのサイズ範囲の微細グリット粒子;および
    61〜800ミクロンのサイズ範囲の粗いグリット粒子
    を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. 前記多峰性分布の粒子が、40容量%〜50容量%の前記微細グリット粒子および50容量%〜60容量%の前記粗いグリット粒子を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 前記セラミック相は(PQ)(式中、Pは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、Qは、炭窒化物である)であり、
    前記金属バインダー相は(RS)(式中、Rは、Fe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、Sは、Cr、Al、SiおよびYからなる群から選択された少なくとも1つの元素を含む)である
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  16. 前記Rは、
    Fe;および
    Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属
    を含み、
    前記Sは、
    Cr;
    Al、SiおよびYからなる群から選択された少なくとも1つの元素;および
    Y、Ti、Zr、Hf、Ta、V、Nb、Cr、Mo、Wからなる群から選択された少なくとも1つの異原子価元素
    を含み、
    前記Cr、Al、Si、Yおよびそれらの混合物の総合重量は、前記金属バインダー相(RS)の重量を基準として少なくとも12重量%であり、
    前記少なくとも1つの異原子価元素の総合重量は、0.01〜5重量%である
    ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 前記セラミック相は(PQ)(式中、Pは、Si、Mn、Fe、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、Qは窒化物である)であり、
    前記金属バインダー相は(RS)(式中、Rは、Fe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、Sは本質的に、Cr、Al、SiおよびYから選択された少なくとも1つの元素およびTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wおよびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つの反応性湿潤異原子価元素からなる)である
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  18. 前記Sは本質的に、Cr、Si、Yおよびそれらの混合物から選択された少なくとも1つの元素並びにTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wおよびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つの反応性湿潤異原子価元素からなり
    前記Cr、Si、Yおよびそれらの混合物の総合重量は、前記金属バインダー相(RS)の重量を基準として少なくとも12重量%である
    ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 前記セラミック相は(PQ)(式中、Pは、Al、Si、Mg、Ca、Y、Fe、Mn、IV族、V族、VI族元素およびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、Qは酸化物である)であり、
    前記金属バインダー相は(RS)(式中、Rは、Fe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択されたベース金属であり、Sは本質的に、Cr、AlおよびSiからなる群から選択された少なくとも1つの元素並びにTi、Zr、Hf、Ta、Sc、Y、La、およびCeからなる群から選択された少なくとも1つの反応性湿潤元素からなる)である
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  20. 前記セラミック相(PQ)は、前記サーメット内張りまたはインサートの容量を基準として55〜95容量%の範囲であり、100ミクロン〜7000ミクロン直径のサイズ範囲の粒子として前記金属バインダー相(RS)中に分散されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 前記セラミック相は(PQ)であり、前記金属バインダー相は(RS)であり、再析出相(G)を更に含み、前記(PQ)および前記Gが前記(RS)中に分散され、
    前記サーメット内張りまたはインサート組成物(PQ)(RS)(G)は、
    (a)30容量%〜95容量%の前記セラミック相(PQ)(前記セラミック相(PQ)の少なくとも50容量%は、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Moおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属の炭化物である);および
    (b)前記サーメット内張りまたはインサート組成物の総容量を基準として0.1容量%〜10容量%の、金属炭化物M(式中、Mは、Cr、Fe、Ni、Co、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Moまたはそれらの混合物であり、Cは炭素であり、xおよびyは、整数値または分数値(xは1〜30、yは1〜6)である)からなる前記再析出相(G)
    を含み、
    (c)残りの容量パーセントは、前記金属バインダー相(RS)(式中、RはFe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、Sは、前記金属バインダー相(RS)の総重量を基準として、少なくとも12重量%のCr並びに35重量%以下のAl、Si、Yおよびそれらの混合物からなる群から選択された元素を含む)を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  22. 前記金属バインダー相(RS)の重量を基準として、0.02重量%〜5重量%の酸化物分散質Eを更に含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. 前記金属バインダー相(RS)の重量を基準として、0.02重量%〜5重量%の金属間分散質Fを更に含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
  24. 前記セラミック相(PQ)は、
    単一の金属の炭化物からなるコア;および
    Nb、Moおよび前記コアの金属の混合炭化物からなるシェル
    を有する粒子を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
  25. 前記セラミック相は、前記サーメット内張りまたはインサートの50〜95容量%を占め、
    前記セラミック相は、Cr23、Cr、Crおよびそれらの混合物からなる群から選択された炭化クロムを含み、
    前記金属バインダー相は、
    (i)合金の総重量を基準として、
    60重量%〜98重量%のNi、
    2重量%〜35重量%のCr、および
    5重量%以下のAl、Si、Mn、Tiおよびそれらの混合物からなる群から選択された元素
    を含有する合金;および
    (ii)0.01重量%〜35重量%のFe、
    25重量%〜97.99重量%のNi、
    2重量%〜35重量%のCr、および
    5重量%以下のAl、Si、Mn、Tiおよびそれらの混合物からなる群から選択された元素
    を含有する合金
    からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  26. 前記セラミック相は、Cr23、Crまたはそれらの混合物であり、
    前記サーメット内張りまたはインサートは、0.1〜10容量%未満の気孔率を有する
    ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  27. 前記セラミック相は(PQ)であり、前記金属バインダー相は(RS)であり、Xを更に含み、
    前記Xは、酸化物分散質E、金属間化合物Fおよび誘導体化合物Gからなる群から選択された少なくとも一種であり、
    前記セラミック相(PQ)は、0.5〜3000ミクロンの範囲の直径の粒子として前記金属バインダー相(RS)中に分散され、
    前記Xは、1nm〜400nmのサイズ範囲の粒子として前記金属バインダー相(RS)中に分散される
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  28. 前記金属バインダー相(RS)は、
    Fe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択されたベース金属R;および
    Si、Cr、Ti、Al、Nb、Moおよびそれらの混合物からなる群から選択された合金化金属S
    を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
  29. 前記サーメット内張りまたはインサートは、
    クロムおよびチタンの少なくとも1つを含有する金属合金を600℃〜1150℃の範囲の温度で加熱して、加熱金属合金を形成する工程;
    前記加熱金属合金を、反応性炭素、反応性窒素、反応性ホウ素、反応性酸素およびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも一種を含む反応性環境に、600℃〜1150℃の範囲で、反応合金を与えるのに十分な時間曝す工程;および
    前記反応合金を40℃未満の温度に冷却して、組成勾配サーメット材料を与える工程
    を含む方法によって製造された組成勾配サーメット材料であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  30. 前記金属合金は、12重量%〜60重量%のクロムを含み、
    前記反応合金は、前記金属合金の表面上またはバルクマトリックス中の、厚さ1.5mm〜30mmの層である
    ことを特徴とする請求項29に記載の方法。
  31. オイルおよびガスの探査および生産、精油所並びに石油化学プロセス用途において、1000℃以下の温度で固体微粒子浸食にさらされる金属表面の保護方法であって、前記金属表面に耐熱浸食性サーメットコーティングを提供する工程を含み、
    前記サーメットコーティングは、a)セラミック相およびb)金属バインダー相を含み、
    前記セラミック相は、前記サーメットコーティングの容量の30〜95容量%を占め、
    前記サーメットコーティングは、少なくとも5.0のHEAT耐浸食性指数を有する
    ことを特徴とする方法。
  32. 前記耐熱浸食性サーメットコーティングの全体厚さは、1ミクロン〜5000ミクロンであることを特徴とする請求項31に記載の方法。
  33. 前記耐熱浸食性サーメットコーティングは、少なくとも7.0のHEAT耐浸食性指数を有することを特徴とする請求項31に記載の方法。
  34. 前記耐熱浸食性サーメットコーティングは、少なくとも10.0のHEAT耐浸食性指数を有することを特徴とする請求項33に記載の方法。
  35. 前記耐熱浸食性サーメットコーティングは、精油所および石油化学プロセスの流動接触変換装置、流体コーカーおよびフレキシコーキング装置の領域に使用されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
  36. 前記領域は、プロセス容器、移送ラインおよびプロセス配管、熱交換器、サイクロン、滑り弁ゲートおよびガイド、フィードノズル、曝気ノズル、サーモウェル、弁体、内部ライザー、偏向シールド並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
  37. 前記耐熱浸食性サーメットコーティングは、オイルおよびガスの探査および生産用途に使用されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
  38. 前記オイルおよびガス探査および生産用途は、サンドスクリーンまたはオイルサンド採掘設備であることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  39. 前記耐熱浸食性サーメットコーティングは、熱吹き付け塗装法によって形成されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
  40. 前記熱吹き付け塗装法は、プラズマスプレー、燃焼スプレー、アークスプレー、フレーム溶射、高速オキシ燃料および爆発銃からなる群から選択されることを特徴とする請求項39に記載の方法。
  41. 前記セラミック相は(PQ)(式中、Pは、IV族、V族、VI族元素からなる群から選択された少なくとも1つの金属であり、Qはホウ化物である)であり、
    前記金属バインダー相は(RS)(式中、Rは、Fe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択され、Sは、Cr、Al、SiおよびYからなる群から選択された少なくとも1つの元素を含む)である
    ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
  42. 前記Rは、前記金属バインダー相(RS)の重量を基準として少なくとも30重量%のFe並びにNi、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属を含み、
    前記Sは、前記金属バインダー相(RS)の重量を基準として0.1〜3.0重量%の範囲でTiを更に含む
    ことを特徴とする請求項41に記載の方法。
  43. 前記セラミック相(PQ)は、多峰性分布の粒子を有し、前記多峰性分布の粒子は、
    3〜60ミクロンのサイズ範囲の微細グリット粒子;および
    61〜800ミクロンのサイズ範囲の粗いグリット粒子
    を含むことを特徴とする請求項41に記載の方法。
  44. 前記多峰性分布の粒子は、40容量%〜50容量%の前記微細グリット粒子および50容量%〜60容量%の前記粗いグリット粒子を含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
  45. 前記セラミック相は(PQ)(式中、Pは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、Qは炭窒化物である)であり、
    前記金属バインダー相は(RS)(式中、Rは、Fe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、Sは、Cr、Al、SiおよびYからなる群から選択された少なくとも1つの元素を含む)である
    ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
  46. Rは、
    Fe;および
    Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属
    を含み、
    Sは、
    Cr;
    Al、SiおよびYからなる群から選択された少なくとも1つの元素;および
    Y、Ti、Zr、Hf、Ta、V、Nb、Cr、Mo、Wからなる群から選択された少なくとも1つの異原子価元素
    を含み、
    前記金属バインダー相(RS)の重量を基準として前記Cr、Al、Si、Yおよびそれらの混合物の総合重量は、少なくとも12重量%であり、
    前記少なくとも1つの異原子価元素の総合重量は、0.01〜5重量%である
    ことを特徴とする請求項45に記載の方法。
  47. 前記セラミック相は(PQ)(式中、Pは、Si、Mn、Fe、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、Qは窒化物である)であり、
    前記金属バインダー相は(RS)(式中、Rは、Fe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、Sは本質的に、Cr、Al、SiおよびYから選択された少なくとも1つの元素並びにTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wおよびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つの反応性湿潤異原子価元素からなる)である
    ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
  48. Sは本質的に、Cr、Si、Yおよびそれらの混合物から選択された少なくとも1つの元素並びにTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wおよびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つの反応性湿潤異原子価元素からなり、
    前記Cr、Si、Yおよびそれらの混合物の総合重量は、前記金属バインダー相(RS)の重量を基準として少なくとも12重量%である
    ことを特徴とする請求項47に記載の方法。
  49. 前記セラミック相は(PQ)(式中、Pは、Al、Si、Mg、Ca、Y、Fe、Mn、IV族、V族、VI族元素およびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、Qは酸化物である)であり、
    前記金属バインダー相は(RS)(式中、Rは、Fe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択されたベース金属であり、Sは本質的に、Cr、AlおよびSiからなる群から選択された少なくとも1つの元素並びにTi、Zr、Hf、Ta、Sc、Y、LaおよびCeからなる群から選択された少なくとも1つの反応性湿潤元素からなる)である
    ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
  50. 前記セラミック相(PQ)は、前記サーメットコーティングの容量を基準として55〜95容量%の範囲であり、100ミクロン〜7000ミクロン直径のサイズ範囲の粒子として前記金属バインダー相(RS)中に分散されることを特徴とする請求項49に記載の方法。
  51. 前記セラミック相は(PQ)であり、前記金属バインダー相は(RS)であり、そして再析出相(G)を更に含み、前記(PQ)および前記Gが前記(RS)中に分散され、
    前記サーメットコーティング組成物(PQ)(RS)(G)は、
    (a)30容量%〜95容量%の前記セラミック相(PQ)(前記セラミック相(PQ)の少なくとも50容量%は、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Moおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属の炭化物である);および
    (b)前記サーメットコーティング組成物の総容量を基準として0.1容量%〜10容量%の、金属炭化物M(式中、Mは、Cr、Fe、Ni、Co、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Moまたはそれらの混合物であり、Cは炭素であり、xおよびyは、整数値または分数値(xは1〜30、yは1〜6の範囲)である)からなる前記再析出相(G)
    を含み、
    (c)残りの容量パーセントは、前記金属バインダー相(RS)(式中、RはFe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択された金属であり、Sは、前記金属バインダー相(RS)の総重量を基準として、少なくとも12重量%のCr並びに35重量%以下のAl、Si、Yおよびそれらの混合物からなる群から選択された元素を含む)を含む
    ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
  52. 前記金属バインダー相(RS)の重量を基準として、0.02重量%〜5重量%の酸化物分散質Eを更に含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
  53. 前記金属バインダー相(RS)の重量を基準として、0.02重量%〜5重量%の金属間分散質Fを更に含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
  54. 前記セラミック相(PQ)は、
    単一の金属の炭化物からなるコア;および
    Nb、Moおよび前記コアの金属の混合炭化物からなるシェル
    を有する粒子を含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
  55. 前記セラミック相は、前記サーメットコーティングの容量の50〜95容量%を占め、
    前記セラミック相は、Cr23、Cr、Crおよびそれらの混合物からなる群から選択された炭化クロムを含み、
    前記金属バインダー相は、
    (i)合金の総重量を基準として、
    60重量%〜98重量%のNi、
    2重量%〜35重量%のCr、および
    5重量%以下のAl、Si、Mn、Tiおよびそれらの混合物からなる群から選択された元素
    を含有する合金;および
    (ii)0.01重量%〜35重量%のFe、
    25重量%〜97.99重量%のNi、
    2重量%〜35重量%のCr、および
    5重量%以下のAl、Si、Mn、Tiおよびそれらの混合物からなる群から選択された元素
    を含有する合金
    からなる群から選択されることを特徴とする請求項51に記載の方法。
  56. 前記セラミック相は、Cr23、Crまたはそれらの混合物であり、
    前記サーメットコーティングは、0.1〜10容量%未満の気孔率を有する
    ことを特徴とする請求項55に記載の方法。
  57. 前記セラミック相は(PQ)であり、前記金属バインダー相は(RS)であり、Xを更に含む方法であって、
    Xは、酸化物分散質E、金属間化合物Fおよび誘導体化合物Gからなる群から選択された少なくとも一種であり、
    前記セラミック相(PQ)は、0.5〜3000ミクロンの範囲の直径の粒子として前記金属バインダー相(RS)中に分散され、
    前記Xは、1nm〜400nmのサイズ範囲の粒子として前記金属バインダー相(RS)中に分散される
    ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
  58. 前記金属バインダー相(RS)は、Fe、Ni、Co、Mnおよびそれらの混合物からなる群から選択されたベース金属R並びにSi、Cr、Ti、Al、Nb、Moおよびそれらの混合物からなる群から選択された合金化金属Sを含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
  59. 前記耐熱浸食性サーメットコーティングは、
    クロムおよびチタンの少なくとも1つを含有する金属合金を600℃〜1150℃の範囲の温度で加熱して、加熱金属合金を形成する工程;
    前記加熱金属合金を、反応性炭素、反応性窒素、反応性ホウ素、反応性酸素およびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つのメンバーを含む反応性環境に、600℃〜1150℃の範囲で、反応合金を与えるのに十分な時間曝す工程;および
    前記反応合金を40℃未満の温度に冷却して、組成勾配サーメット材料を与える工程
    を含む方法によって製造された組成勾配サーメット材料であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
  60. 前記金属合金は、12重量%〜60重量%のクロムを含み、
    前記反応合金は、前記金属合金の表面上またはバルクマトリックス中の厚さ1.5mm〜30mmの層である
    ことを特徴とする請求項59に記載の方法。
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