JP2009529374A - 治療及び癒着防止用生物活性スキャホールド - Google Patents

治療及び癒着防止用生物活性スキャホールド Download PDF

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Abstract

並置した人体組織層の癒着を阻止する装置は、指定された平均孔径と、相対密度と、分解半減期とを有するスキャホールドを含む。このスキャホールドは、線維性癒着の形成なく組織の中皮再生が可能となるように、創傷部位の近接した癒着形成層等の並置した組織層間に動作可能に配置することができる。本発明のスキャホールド装置は、所定の期間中、収縮性細胞が創傷部位から離れて遊走するのを促進することによって、癒着形成を阻止する。本発明は、更に、内部組織再生を促進し、治療薬及び/又は診断薬を生体内で供給及び/又は分注する装置及び方法に関する。

Description

本願は、2006年3月7日出願の米国特許仮出願第60/779762号、名称「治療及び癒着防止用生物活性スキャホールド(BIOACTIVE SCAFFOLD FOR THERAPEUTIC AND ADHESION PREVENTION APPLICATIONS)」の優先権を主張するものであり、その内容の全体を本明細書に組み込む。
本発明は、一般に、望ましくない組織癒着の防止に関し、より詳細には、線維芽細胞活性の方向転換によって組織癒着を阻止する装置に関する。本発明は、更に、治療薬送達、診断薬送達、及び組織再生を促進する方法並びに装置に関する。
漿膜は、人体の胸膜腔及び腹膜腔内にある内臓構造の最外層を含み、この漿膜は、中皮と呼ばれる表面上皮層から成り、典型的には、不規則な弾性線維組織又は支質によって補強されている。身体の漿液腔もまた、扁平細胞の単一中皮層(例えば、腹膜、胸膜、及び心膜)によって裏打ちされている。
外傷又は計画的な外科的手技のいずれかによって、人体の漿液層又はその下にある血管化層が破壊された場合、身体は、その欠損を修復するように、複雑な炎症性創傷治癒反応を示す。最初の外傷によって、ヒスタミン媒介による血管透過性が増大し、損傷した組織の局所環境が炎症性滲出液に浸漬することになり、その結果、中皮及び線維芽細胞の増殖、並びに傷害の程度に応じた細胞媒介性収縮を特徴とする通常の修復機構が働く。自然創傷反応の初期の構成要素は、フィブリンマトリクスの形成である。フィブリンは、線維芽細胞の増殖によって中皮修復(中皮再生(remesothelialization)とも呼ばれる)が生じるのに必要となる初期の構造枠組みとなる。正常状態では、中皮修復は、線維素溶解、すなわちプラスミンの酵素作用によってフィブリンマトリクスが溶解する修復過程の構成要素と並行して進行する。不十分な血液供給、及び組織への酸素供給の減少はどちらも、外科的に外傷を受けた組織によく起こる。こうした条件下では、線維素溶解活性は低減し、線維素溶解が抑制された状態では、弱い線維帯が持続可能となり、隣接する漿膜表面同士が結合することが多い。外科的傷害後3〜5日で、線維帯は徐々に細胞化し、その細胞性を増大させ、コラーゲン沈着を介して線維芽細胞が浸潤することによって強固な線維帯へと組織化されることになり、これを癒着と呼ぶ。癒着は、(それだけに限られるものではないが、腹膜腔、胸膜腔、及び骨盤腔を含めて)多様な生体内部位において同様の機構で勢力を奮う(predominate)。外科的外傷に加えて、外科的修復(移植、縫合)による虚血、処置の機械的影響、異物(すなわちデンプン)の存在、炎症により誘発される腹膜炎、血液及び漿膜の乾燥によって、線維素溶解が阻止されることがあり、その結果、癒着が形成されることになる。
癒着形成は、外科手術、虚血、又は感染後の漿膜修復で主に見られる合併症であり、腸閉塞、激しい腹痛、及び不妊症等の症状に至る。例えば、腹腔内癒着は、一般の腹部外科手術の67〜93%で生じ、開放性の婦人科骨盤外科手術後では更に高い割合となる。癒着は、患者の罹患率及び死亡率の増大に加えて、健康管理システムにも重大な負担となる。術後癒着では、閉塞を除去する追加の外科的手技が必要となることが多く、後の手術の危険、費用、及び複雑さが増す恐れがある。米国では、毎年約440,000件の骨盤腹部癒着切離手術が実施されている。腸閉塞を除去するために癒着切離が実施される場合、症例の11%〜21%で再度癒着が形成され、新たな閉塞が生じる。術後癒着の合併症の治療にかかる年間医療費は13億ドルに上ると推定されてきている。
術後癒着形成の病因論及び病態生理学の詳細な説明については、他に記されている。そこでは、癒着形成には2つの主な要因、すなわち、2つの腹腔内構造(又はかかる構造の1つと剥き出した腹膜中皮と)が継続して密に接触すること、並びにその創傷部位に線維性滲出液が存在すること、これは通常は外傷性傷害が血管化組織層に至る結果生じるが、これらの要因が必要となることを明らかにしている。フィブリン沈着/分解平衡が、癒着形成の重要な要因として明らかになってきている。線維素溶解活性が抑制され続けると、フィブリンマトリクスは、細胞成分を含んだ血管肉芽組織を示し始める。早ければ術後3日で、フィブリンの細い糸状体は、線維芽細胞によって浸潤され、コラーゲンの沈着を介して成熟した強固な線維性癒着に組織化される。隣接する組織構造は、それらが継続して密に並置されない限り、永久的な癒着を形成しないことは明らかである。更に、かかる2つの構造を結合する脆弱なフィブリンマトリクスの細胞性が、癒着成熟において重要な要因となるように考えられる。線維芽細胞浸潤の程度によって、フィブリン架橋が吸収されるか、それとも持続し、組織化されて、癒着を形成するかが最終的に決まる。
先に述べたように、感染は、創傷又は傷害治癒の重大な合併症となり得る。現在、抗生剤及び他の薬剤が、感染の治療又は予防に広く使用され、これらは主に、外科的創傷領域の閉鎖前に、その領域全体にわたり主に粉末又は噴霧として適用される。こうした薬剤送達方法は、簡単ではあるが、薬剤が治療領域から他の領域に非常に急速に移動してしまい、従って、薬剤の腔内における空間的時間的濃度及び分布パターンが最適状態に及ばないという欠点を有する。また、創傷領域への局所的な薬剤送達には、多種多様な薬剤送達処方及び装置が提案されている。しかし、これらの製品は通常、特定の薬剤を予め含んで生産される製剤であり、それに加えて、薬剤放出を抑制し調節する結合剤を含むことが多く、それらの製品はまた、人体では自然には生じず、植え込まれると、人体から排出されるのに時間がかかる、又は完全には排出されない材料で作成されていることが多い。更に、液体コラーゲンを用いたコラーゲンベースの薬物送達システムが提案されてきており、このシステムでは、注入後、体内で液体コラーゲンの架橋が実施されることが提案された。しかし、かかる技術は、以下のいくつかの欠点を有する。(1)人体では自然には存在しない形でのコラーゲンの注入。(2)自然には存在しない別の薬剤である架橋物質の注入。(3)かかる技術は、壁内送達及び皮下送達には適しているが、体腔及び内部外科手術が関わる外科的手技での使用には不都合である。
現在までのところ、線維性癒着形成を防止するのに絶対的に有効な方法は報告されてはいない。しかし、数多くの方策が臨床場面において評価されてきている。かかる方策には、以下のものが含まれる。(1)外科手術の最後での、器官を機械的に分離する生物分解性膜又はゲル(機械的バリアとも呼ばれる)の使用。(2)治療薬(例えば、NSAIDS、線維素溶解剤、コルチコステロイド、抗生剤)の投与。(3)切開の寸法が低減し、取り扱われる器官の範囲が狭まる腹腔鏡(鍵穴)手術の実施。
これらの既存の方法には、欠点がないわけではない。選択された治療薬は、炎症性創傷治癒反応の様々な部分を変える能力によって癒着形成を低減させる能力を示してきたものの、これらの薬剤は、創傷部位から急速に移動してしまい、従って、約1週間にわたる線維性癒着形成過程の間にそうした薬剤の全体的効果が低減する。
機械的バリアは、癒着防止の明解な解決策となる潜在的可能性を有する。バリアは、うまくいけば、正常な組織修復過程が生じる間、癒着形成組織を分離することによって、漿膜組織表面が並置するのを一時的に防止する。その後、この物質は分解し身体から排出されることによって、インプラントによる線維症又は局所毒性を含む異物反応が防止される。理想的なバリアは、安全、有効、非免疫原性、且つ非炎症性で、中皮再生過程の持続期間中、癒着形成組織を分離し、生物分解性で、血液生成物がある場合には機能し続けなければならない。更に、この材料は、治癒過程を妨げても、感染又は膿瘍形成を促進してもならない。最後に、この材料は、取扱い、適用性、創傷部位での滞留、並びに開放性及び低侵襲性外科的手技の双方への適用可能性という点において外科的に使用し易く、且つ、必要ならば局所的な薬剤適用を併せて行い易くしながらも、癒着の形成を阻止しなければならない。現在までのところ、理想的なバリアはまだ開発されていない。
いくつかの癒着防止製品(主に機械的生物分解性バリア)が、外科手術後の瘢痕化及び癒着形成の発生率を減少させる能力を示すとして、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されてきている(一例に、1997年に承認された合成生物分解性膜であるセプラフィルム(SepraFilm)(登録商標)がある)。国際癒着学会(International Adhesions Society)のウェブサイトには、これまでにFDAによって承認されてきた少なくとも12の製品が列挙されている。
市販の抗癒着機械的バリアは、ほとんどが合成ポリマー膜又はフィルムである。これらの製品の多くは、ある程度の効果を示してきたが、外科的使用又は臨床合併症に関していくつかの共通した欠点を有する。セプラフィルム(SepraFilm)(登録商標)(カルボキシメチルセルロース/ヒアルロン酸)は、扱い難さが報告されており、また、そのポリマー成分の排出に差がある(すなわち、フィルムの断片化)ために腹腔内膿瘍を生じる恐れがある。インターシード(Interceed)(登録商標)(酸化再生セルロース)は、適正に機能させるためには細心の止血が必要となり、また、この材料は組織表面に滞留する傾向がある。ゴアテックス外科用膜(Gore−tex Surgical Membrane)(登録商標)(延伸ポリテトラフルオロエチレン)は、腹腔鏡検査では扱い難く、生物分解せず、除去するには追加の外科手術が必要となることがあり、従って、追加の癒着形成の可能性が生じる。セプラコート(Sepracoat)(登録商標)(ヒアルロン酸ゲル)、鉄ヒアルロン酸、架橋ヒアルロン酸(インサート(Incert)(登録商標))、及び光重合ヒドロゲルを含む新規なバリア法の安全性及び有効性は、まだ知られていない。
これらのバリアは、癒着形成性の隣接する漿膜表面同士が継続して物理的に密に接触するのを防止するように働くものの、それらバリアの性質上、線維性癒着成熟の原因である創傷反応の鍵となる細胞面、すなわち、線維芽細胞のフィブリンゲルマトリクス内への遊走、及びその後のコラーゲン合成による線維性癒着への組織化には対処しない。
スキャホールドは、再生医学の分野で広く利用されている比較的新しい部類の生体材料である。スキャホールドは、特定の微細構造特性を備えた、極めて多孔性で分解可能な高分子固体である。不可逆的傷害(通常の自然修復過程では瘢痕となるか、又は非生理的な組織形成を生じるほど重篤な性質の傷害)後でも、極めて特定の構造及び化学組成のスキャホールドによって、いくつかの器官、特に皮膚及び末梢神経において部分再生が誘発されることが示されてきている。傷害発生部位における器官再生の誘発、又は非再生組織の生理的構造及び機能の回復(デノボ合成)が、スキャホールドを用いて実現され、このスキャホールドは同時に、当該器官の生体内にある細胞外マトリクス環境(特に支質)を模擬しながら、筋線維細胞性収縮(成人の自然創傷閉鎖の主要な方法)を阻止した。
I型コラーゲンとグリコサミノグリカン(コンドロイチン6硫酸)とのグラフト共重合体は、皮膚創傷の収縮を活発に阻止する(且つ再生を誘発する)ことが示されており、この共重合体は以下の3つの主な過程を実現する構造特性を有する。1)創傷部位においてTGF−βを減少し、重篤な傷害後の線維芽細胞(及び収縮性筋線維芽細胞)の漸増を下方制御する。2)肉眼的収縮が観察される欠損平面の筋線維芽細胞軸の配向(orientation)を阻止する。3)スキャホールドの収縮阻止特性が、暫時の筋線維芽細胞収縮反応期間中は持続するが、鍵となる再生過程を妨げるほど長くは持続しないように保証する。
重要なことに、コラーゲン−GAG共重合体は、真皮、末梢神経、及び結膜再生の有効なテンプレートであり、軟骨修復研究において有望性が見込まれている。これらの細胞外マトリクス類似体の使用によって、上記器官の部分再生、瘢痕組織の排除、及び創傷部位において線維芽細胞収縮を阻止する明確な能力がもたらされてきた。更に、これらのマトリクスは、結合組織細胞媒介性収縮、特に、筋線維細胞媒介性収縮の局所環境を探索する基剤(substrate)として広く使用されている。これらのスキャホールドは、組織再生をうまく誘発し、組織収縮及び瘢痕形成の原因となる収縮性細胞(線維芽細胞)の局所環境を変えることによって、収縮阻止作用を与える。
本発明によれば、創傷部位における正常な体組織の中皮再生を促進するように、並置した人体組織層の望ましくない癒着を阻止することができる。
本発明の一態様では、並置した人体組織層のかかる癒着を阻止する装置が提供され、この装置は、コラーゲンとグリコサミノグリカンとの共沈によって調製され、その後凍結乾燥させたスキャホールドを含む。
本発明の別の態様では、並置した人体組織層の癒着を阻止する装置は、約5〜約200μmの平均孔径と、約0.5〜約10%の相対密度と、1〜6週間の生体内に配設されたときの分解半減期とを有するスキャホールドを含むことができる。
本発明の他の態様では、組織再生、特に内部器官組織の再生を促進する装置が提供される。
本発明のスキャホールド装置は、体内で分注するための分注可能な治療薬を含むことができる。かかる分注は、例えば、損傷した体組織の効率的な再生を促進するように、その体組織に長時間にわたって送ることができる。
本発明の装置は、並置した組織層間に動作可能に配置することによって使用することができ、また、所定の期間中、収縮性細胞が創傷部位から離れて遊走するように促進することによって線維性癒着の形成を阻止するように働く。
本発明のスキャホールド装置は、診断薬を含むことができ、この診断薬は、スキャホールドから分注されても、されなくてもよい。かかる診断薬は、例えば、放射性マーカー材料、超音波マーカー材料、磁気マーカー材料等でよい。
上に列挙した目的及び利点を、本発明によって示されるその他の目的、特徴、及び進歩と共に、添付の図面に即して説明する詳細な実施形態によって示すが、これらの図は、本発明の様々な実施形態を代表するものである。本発明の他の実施形態及び態様は、当業者の理解の範囲に含まれることが理解されよう。
次に、分解可能な生物活性バリア(中皮再生が起こる間、隣接する癒着形成性の漿膜表面の並置を物理的に防止する物質)として働くことによって、どのような種類の内部損傷後も線維性癒着の形成を低減させることが可能なスキャホールドについて、新規で特有の特徴を有する点に基づき説明する。スキャホールドの生物活性な性質は、更に、線維性癒着成熟、及び瘢痕形成の原因となる収縮性細胞の局所環境及び振舞いを改変し、先に述べたバリア製品及び膜では行われない形で、組織化された創傷収縮を調停し、創傷治癒過程の一助となる。本発明の治療用抗癒着スキャホールド(TAS)は、線維芽細胞が創傷部位(癒着形成表面、例えば縫合線)から離れてTAS内に遊走するのを活発に促進することによって、癒着形成を大幅に低減させる。
図1に示すように、TASスキャホールド1は、上側表面5を含む上側部分3と、下側表面6を含む下側部分4とを有する。TASスキャホールド1の動作方位の1つでは、下側表面6が、標的組織表面(損傷した組織等)と接触するように配置される。かかる方位では、損傷した組織からの滲出液流及び細胞流が、概ね矢印8で示す方向で、TASスキャホールド1内に流れ込む。いくつかの実施形態では、TASスキャホールド1は、放出可能な治療薬を備えることができ、かかる治療薬は、TASスキャホールド1から所定の様式で放出させることができる。かかる治療薬の放出は、例えば、損傷した組織表面への矢印9方向での放出を含むことができる。
このスキャホールドの構造では、例えば、植込み前にスキャホールドを純粋な食塩水の代わりに治療薬に浸漬させることによって、このスキャホールドは、1つ又は複数の治療薬の貯蔵所として働くことが可能となる。治療薬はまた、治療薬をスキャホールド構造に、又はその中に少なくとも一時的に付着させる化学結合又は他の技術によって、スキャホールドに組み込むこともできる。必ずしもそうする必要はないが、TASの構造は、損傷した表面と接触することになるTAS下側部分が、上側部分よりも高い浸透率を有するように改変することができ、従って、任意選択による治療薬がTASからその下にある創傷領域内へと優先的に流出し、また、滲出液及び細胞がTASの下側部分を介してスキャホールド構造内へと優先的に流入することが可能となる。
本発明のTASスキャホールドは、治療薬の貯蔵所として働くことに加えて、更に、又はその代わりに、診断薬を少なくとも一時的にそこに保持することができる。診断薬は、例えば、体内の状態を遠隔的に診断するのを助ける材料を含むことができる。かかる材料には、例えば、放射性マーカー材料、磁気マーカー材料、超音波マーカー材料等が含まれ得る。本発明のスキャホールド構造と共に使用することが企図される診断材料は、任意選択でこの構造から分注可能とすることができるが、そうではなく、例えば、スキャホールドの寿命期間を含めた所定の期間中、スキャホールドに保持しておくこともできる。かかる診断材料は、スキャホールドの物理的状態、スキャホールドの分解の程度、損傷組織の治癒の程度、又は全身にわたる他の状態を監視する一助となることができる。
分注可能な薬剤を含むTASスキャホールド1の実施形態では、その薬剤が治療薬であれ、診断薬であれ、又はその両方でも、かかる分注は、所定の様式で実施することができる。例えば、それぞれの薬剤、又は複数の薬剤の分注は、所定の期間にわたり、均一速度で、又は不均一速度で実施することができる。スキャホールド構造の改変、及び/又は様々な結合剤、懸濁液、溶剤、若しくはその他の材料の使用によって、薬剤分注の速度を個別に調整できることが当業者には容易に理解されよう。更に、分注は、スキャホールドの生物分解速度に応じて制御することができる。スキャホールド構造の分解速度を、全体として、又はスキャホールド構造の一部分だけで変えるために、TASスキャホールド1に様々な改変を行うことができることが更に理解されよう。従って、治療薬及び/又は診断薬の放出は、スキャホールド構造の一部又は全体の生物分解と整合させることができる。
TASスキャホールド1は様々な形状及び寸法で構築することができるが、TASスキャホールド1の有用な一実施形態は、約0.1〜10mmの厚さ寸法「T」を有することができる。TASスキャホールド1はまた、損傷した組織領域に重なるように寸法設定することができる。更に、TASスキャホールド1のいくつかの実施形態は、乾燥状態で約25〜35KPaのヤング率を有することができる。水和状態では、TASスキャホールド1の一実施形態は、約0.1〜0.5KPaのヤング率を有することができる。スキャホールド構造の弾性に関する上記の値は、有効であることが実証されてきているものの、かかる値は、本発明の構造を限定するものではないことを理解されたい。
癒着防止の機構は、以下の通りである。外科的修復領域上にTASを配置することにより、癒着形成表面同士が継続して密に接触するのを防止することによって、TASが癒着形成に対するバリアを構成し、それによってフィブリンゲルマトリクスが隣接する構造と結合するのを防止する。TASは、癒着成熟の間の、中皮再生期及び線維芽細胞反応持続期間に合致する所定の期間中、活性状態を維持し、その後、身体の正常な酵素作用によって完全に分解される。
TASは、線維芽細胞、すなわち線維性癒着成熟及び瘢痕形成の重要なステップにおいて主動となる細胞の、創傷部位における本来の振舞いを改変することによって癒着形成を防止する。この材料は、極めて多孔性で、線維芽細胞の遊走及び再構築によく適した、相互連結した開放孔の微細構造を有する。本来、自然治癒反応(サイトカイン及び炎症性滲出液の流入)により外科的修復部位に漸増する線維芽細胞が、TASのコラーゲンリガンドを認識し、それと盛んに結合して、最終的にはTAS内に遊走し、TASを再構築する。炎症性滲出液及び血液生成物は、スキャホールドの機能を損なわずにそこに浸潤し、その多孔性構造に追加の酸素及び栄養分を運び込み、更には、スキャホールドが分解する前に創傷部位で活性である期間中、線維芽細胞がスキャホールド内に遊走し、そこに残存するように仕向ける。TASの孔体積率は、非常に数多くのリガンド、又は線維芽細胞付着領域が存在するようなものである。傷害後最初の14日間はTASが未分解状態で保持されるため、正常な修復が生じ、線維芽細胞反応が阻止される時点まで漿膜組織の並置が防止される。
TASは、癒着防止に加えて、外科的に修復された欠損部位の再生の質を改善し、肉眼的に観察される術後器官変形を軽減させる潜在能力を有する。収縮性線維芽細胞の欠損平面からTAS内への純遊走(net migration)によって、創傷部位における収縮及び瘢痕合成の発生率が減少する。実験によれば、筋線維芽細胞の創傷平面からコラーゲン−GAG共重合体スキャホールド内への遊走が観察されたところでは、いくつかの器官の再生の質が向上していた。
TASは、コラーゲンとグリコサミノグリカン(例えば、コンドロイチン6硫酸)との共沈によって調製され、その後凍結乾燥させた極めて多孔性の三次元薄シート、すなわち「スキャホールド」である。TASの関連する特性(それだけに限られるものではないが、その抗癒着性、生体接着性、生体吸収性、抗血栓性、及び物理的諸特性を含む)は、化学組成、孔径、孔体積率、架橋の程度、及びTAS厚さを調整することによって改変することができ、それによって多様な創傷部位の特定の要望を満たすように設計されたスキャホールド変形体を作製することができる。TASスキャホールドの初期の具体化例は、平均孔径が5〜200μm、好ましくは20〜150μm、相対密度が0.5〜10%、好ましくは0.5〜5%、及び分解半減期が1〜6週間、好ましくは1〜4週間のコラーゲン−グリコサミノグリカン(GAG)スキャホールドである。この例に従ったTASスキャホールドの走査型電子顕微鏡写真を図2及び3に示す。図2は倍率が20倍であり、図3は倍率50倍で示してある。
コラーゲン−GAGスキャホールドは、スキャホールドに無菌性を与え、その生体内分解速度を制御する様々な方法を用いて架橋することができ、或いは、それだけに限られるものではないが、エチレンオキシド処理、又はガンマ線放射を含めた処理をいくつでも用いて殺菌することができる。製造後、TASは、乾燥環境で長期間にわたり、生物活性が低減することなく貯蔵することができ、このため、このTASは大規模な製造及び流通に適している。処理条件によって、TASの微細構造的、組成的、機械的特性の更なる改変が容易に可能である。このTASスキャホールドは、手術室で容易に切断でき、従って、外科医は、スキャホールドを特定の創傷部位又は外科的部位に合わせることができる。
外科手術後、線維性癒着形成を防止するために、治療用抗癒着スキャホールド(TAS)を使用できる例として、定型的な部分結腸切除(結腸の切除)及びその後の腸吻合後での使用がある。このような場合、開腹は正中切開で行われる。盲腸での結腸切開、及び腸壁の単層修復が実施される。TASは、腹部閉鎖前に盲腸の縫合線上且つ開腹切開部下に配置され、縫合線と腹膜腔の漿膜表面との間でバリアを形成する。
必要な寸法及び形状に切断された殺菌済み水和スキャホールド断片(リン酸緩衝食塩水に30分水和させたもので、医師の判断により、創傷部位に送達するための薬剤をこの溶液に加えることができる)が、腹部の外科的閉鎖の前に、外科医によって盲腸の縫合線上且つ開腹切開部下に付着され、定位置で縫合され、従って、このスキャホールド断片は、その下の癒着形成表面と確実に密に接触することになる。TASの物理的特性は、部位に簡単に付着させることができるようなものであり、必要ならば、その構造一体性又は癒着防止機能を損なわずに、それだけに限られるものではないが、縫合、ステープリング、又は接着を含めた様々な方法を用いて定位置に固定することもできる。
外科的閉鎖後、多孔性TASは、外科的修復及び腹膜閉鎖から残存した炎症性滲出液に浸漬することになり、線維芽細胞がスキャホールドのコラーゲンリガンドを認識し、盛んに結合することにより浸潤してくることになる。線維芽細胞は、5〜7日間でTASを再構築し、この期間は、中皮再生過程の持続期間にほぼ合致する。この期間中、TASはそのまま残り、機械的バリアとなって、結腸の創傷部位と、腹膜壁の再生しつつある中皮とが継続して密に並置するのを防止する。TASの半減期は、線維性癒着の形成又は慢性的な異物反応(例えば線維性被包)なく中皮層の再生を実現するほどのものであり、おそらく1〜4週間である。TASの分解特性は、完全分解時間が実質的に1週間未満、又は1年若しくはそれ以上までとなるように、変動可能な架橋によって、スキャホールドの微細構造又は機械的特性はそれほど改変せずに、改変することができる。更に、TASの分解は、任意選択で均質でも、又は不均質でもよく、TASの1つ又は複数の部分がそれぞれ異なる速度で分解しても、且つ/又は、それぞれ様々な程度まで分解してもよい。
必ずしも必要な特徴ではないが、TASは、残りのTASとは異なる特性を備えた領域を有するように改変することができる。これらの改変には、それだけに限られるものではないが、厚さの増大、及び密度の増大が含まれる。これらの改変例は、特にスキャホールドを定位置に固定するため、並びにスキャホールドの形状を維持し、且つその貯蔵所としての質を改変するために使用することができる。
外科医の要望に応じて(並置した組織層の双方が重傷である場合等)、多数のTAS片を同時に使用することもできる(例えば、並置した2つの組織表面のそれぞれに1つのTASを付着させることができる)。この例では、TASの微細構造は、TASの片面が、他面よりも生体接着性であるように改変することができる。こうすることによって、TASは癒着形成を確実に防止することになり、また、並置した2つのTAS片が互いに接着する可能性が低減する。
必ずしも必要ではないが、TASは、移植前に、それだけに限られるものではないが、抗生剤、サイトカイン、細胞増殖抑制剤、線維素溶解剤、コルチコステロイド、及び非ステロイド性抗炎症薬を含め、広範囲にわたる治療薬をいくつでも備えることができる。TASは、その多孔性質のため、従来のスポンジが水を保持するように液剤を多く保持し、そうした液剤を長時間にわたって傷害領域に送達することが可能となる。
一般に、TASは、並置した癒着形成組織の漿膜層間に配置又は移植された場合に、これらの組織間での線維性癒着形成の発生率及び重症度を低減させる生物分解性インプラントを含む。上記に加えて、これらの治療用抗癒着スキャホールドは、以下の特徴を有する。
(i)TASは、癒着形成組織と他の漿膜層との継続した密の接触を防止する固有の能力を備えた、癒着形成に対するバリアとなる。
(ii)TASの生物活性な性質により、正常な治癒反応の不可逆要素(線維性癒着及び瘢痕形成)が軽減され、一方で中皮層の再生が促進され、肉眼的に観察される器官変形が軽減される。TASの構造的、化学的特性(相互連結孔の微細構造、高い比表面積、及び化学組成)は、細胞外環境を局所的に改変し、先に述べたバリア膜では実現されない特定の形で、線維性癒着成熟及び瘢痕形成の原因となる収縮性細胞の振舞いに影響を及ぼす。TASは、線維芽細胞が創傷部位(癒着形成表面、例えば縫合線)から離れて多孔性TAS内に遊走するのを活発に促進することによって、癒着形成を大幅に低減させる。
(iii)TASは、それだけに限られるものではないが、外科的又は外傷性傷害、炎症、及び感染を含めた過程から生じた人体の傷害に応じて適用できる治療的特性を備えたジェネリックな(generic)接着性バリアスキャホールドである。TASは、それだけに限られるものではないが、腹膜腔、心膜、胸膜腔、骨盤腔、腱、及び神経の器官を含めた多数の部位で適用することができる。
(iv)TASは、外科的用途に最適な種類のインプラントとなるような三次元形状、及び機械的特性(例えば、柔軟性、シート形状、弾性)を有する。これらの特性のため、TASは手術室で容易に改変する(例えば、特定の形状及び寸法に合うように切り取る)ことができる。
(v)このインプラントの構造は、例えば、コラーゲンとおそらくはグリコサミノグリカンとの共沈反応後、凍結乾燥させることによって製造される極めて多孔性のスキャホールドである。スキャホールド構造を発展させるために他の製造技術を使用することもできる。例えば、多孔性スキャホールド構造は、コラーゲン単独からでも、又は様々な架橋剤を備えたコラーゲン−GAGからでも製造することができる。
(vi)TASの成分は全て、人体で自然発生する構造材料であり、正常な酵素作用(コラゲナーゼ)によって分解し、植込み部位から排出される。
(vii)スキャホールドの化学組成、孔構造、孔径、孔体積率、分解速度、分解均質性、厚さ、及び弾性は、多くの生理的創傷部位の1つに合わせて個々に仕立てることが可能な幾何構造を有するインプラントを作成するように容易に改変することができる。TASスキャホールドの初期の具体化例は、平均孔径が5〜200μm、好ましくは20〜150μm、相対密度が0.5〜10%、好ましくは0.5〜5%、分解半減期が1〜6週間、好ましくは1〜4週間のコラーゲン−グリコサミノグリカン(GAG)共重合体スキャホールドである。
(viii)TASは、構造が均質でも、又は、その側部若しくはある領域が、それだけに限られるものではないが、密度、孔径、分解速度、弾性、及び厚さを局所的に改変した領域を含めて異なる特性を有するように発展させてもよい。これらは特に、スキャホールドを定位置に固定するため、並びにスキャホールドの形状を維持するために使用することができる。
(ix)任意選択で、TASは、植込みの前に、それだけに限られるものではないが、抗生剤、サイトカイン、非ステロイド性抗炎症剤、線維素溶解剤、及びコルチコステロイドを含めた治療薬及び/又は診断薬を備えることができる。TASは、その多孔性質のため、(それだけに限られるものではないが)従来のスポンジが水を保持するように液剤を多く保持し、そうした液剤を傷害領域等身体の様々な領域に送達することが可能となる。必ずしもそうする必要はないが、TASの構造は、損傷した表面と接触することになるTAS下側部分が、上側部分よりも高い浸透率を有するように改変することができ、従って、任意選択による治療薬がTASからその下にある創傷領域内へと優先的に流出し、また、滲出液及び細胞がTASの下側部分を介してスキャホールド構造内へと優先的に流入することが可能となる(図1)。
(x)その提案された具体化例では、TASは、非免疫原性且つ非抗原性となる成分から構築され、且つそうした処理条件が施される。
本発明のスキャホールド装置の斜視図である。 本発明のスキャホールド装置の拡大図である。 本発明のスキャホールド装置の拡大図である。

Claims (31)

  1. 並置した人体内部組織層の癒着を阻止する方法であって、
    (a)コラーゲンとグリコサミノグリカンとの共沈によって調製され、その後凍結乾燥させたスキャホールドを設けること、及び
    (b)該スキャホールドを該並置した組織層間に配置すること
    を含む方法。
  2. 前記スキャホールドに分注可能な治療薬を組み込むことを更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記分注可能な治療薬が、抗生剤、サイトカイン、抗炎症剤、細胞増殖抑制剤、線維素溶解剤、コルチコステロイド、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記スキャホールドの少なくとも1つの表面に生体接着剤が配設される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記スキャホールドの第1の部分が、前記スキャホールドの第2の部分よりも多孔性である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記組織層が、腹膜腔、心膜、胸膜腔、骨盤腔、腱、及び神経の器官から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記スキャホールドが、非免疫原性且つ非抗原性である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記スキャホールドを前記組織層の少なくとも1つに移植することを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記スキャホールドに診断薬を組み込むことを更に含む、請求項1に記載の方法。
  10. 並置した人体内部組織層の癒着を阻止する方法であって、
    (a)(i)約5〜約200μmの平均孔径と、
    (ii)約0.5〜約10%の相対密度と、
    (iii)生体内に配設されたときの所定の分解速度と
    を有するスキャホールドを設けること、及び
    (b)該スキャホールドを該並置した組織層間に配置すること
    を含む方法。
  11. 前記スキャホールドの少なくとも一部分が、約1〜6週間の所定の分解半減期を有する、請求項10に記載の方法。
  12. 並置した人体内部組織層の癒着を阻止する方法であって、
    (a)(i)約5〜約200μmの平均孔径と、
    (ii)約0.5〜約10%の相対密度と、
    (iii)所定の分解速度と
    を有するスキャホールドを設けること、及び
    (b)前記スキャホールドを前記並置した組織層間に配置すること
    を含む方法。
  13. 前記スキャホールドの少なくとも一部分が、生体内に配設されたときに1〜6週間の分解半減期を有する、請求項12に記載の方法。
  14. 内部創傷部位において、線維性癒着の形成なく中皮再生を可能とする方法であって、
    (a)(i)約5〜約200μmの平均孔径と、
    (ii)約0.5〜約10%の相対密度と、
    (iii)1〜6週間の生体内に配設されたときの分解半減期と
    を有するスキャホールドを設けること、及び
    (b)該スキャホールドを該創傷部位の近接した癒着形成組織層間に配置すること
    を含む方法。
  15. 内部創傷部位における収縮及び瘢痕組織形成の発生率を低減させる方法であって、
    (a)(i)約5〜約200μmの平均孔径と、
    (ii)約0.5〜約10%の相対密度と、
    (iii)1〜6週間の生体内に配設されたときの分解半減期と
    を有するスキャホールドを設けること、及び
    (b)該スキャホールドを該創傷部位の近接した癒着形成組織層間に配置すること
    を含む方法。
  16. 内部創傷部位において並置した組織層の癒着を防止する方法であって、収縮性細胞が創傷部位から離れて遊走するのを促進することを含む方法。
  17. 前記収縮性細胞が線維芽細胞を含む、請求項15に記載の方法。
  18. 内部創傷部位において並置した組織層の癒着を阻止する方法であって、線維芽細胞の浸潤を、創傷部位から、創傷部位又はそこに隣接して位置する癒着形成表面に配設された多孔性スキャホールド装置へと方向転換させることを含む方法。
  19. 内部創傷部位において並置した人体組織層の癒着を阻止する方法であって、収縮性細胞が、創傷部位内に浸潤するのを所定の期間中阻止することを含む方法。
  20. 前記所定の期間が、創傷部位における前記組織層それぞれの再生持続期間にほぼ等しい、請求項19に記載の方法。
  21. 前記所定の期間が、慢性的な異物反応に必要となる期間よりも短い、請求項19に記載の方法。
  22. 人体の内部組織の再生を促進する装置であって、コラーゲンから調製されたスキャホールドを含む装置。
  23. 前記スキャホールドが、コラーゲンとグリコサミノグリカンとの共沈によって調製され、その後凍結乾燥させたものである、請求項22に記載の装置。
  24. 人体の内部組織の再生を促進する装置であって、
    (i)約5〜約200μmの平均孔径と、
    (ii)約0.5〜約10%の相対密度と、
    (iii)生体内に配設されたときの所定の分解速度と
    を有するスキャホールドを含む装置。
  25. 前記生物分解性スキャホールドの少なくとも一部分が、前記スキャホールドが生体内に配設されたときに1〜6週間の分解半減期を有する、請求項24に記載の装置。
  26. 組織損傷部位において人体の内部組織の再生を促進する方法であって、
    (a)(i)約5〜約200μmの平均孔径と、
    (ii)約0.5〜約10%の相対密度と、
    (iii)1〜6週間の生体内に配設されたときの分解半減期と
    を有するスキャホールドを設けること、及び
    (b)該スキャホールドを該組織損傷部位に配置すること
    を含む方法。
  27. 治療薬を分注する方法であって、
    (a)コラーゲンから調製されたスキャホールドを設けること、
    (b)該治療薬を該スキャホールドに組み込むこと、及び
    (c)該スキャホールドを生体内に配置すること
    を含む方法。
  28. 治療薬を分注する方法であって、
    (a)(i)約5〜約200μmの平均孔径と、
    (ii)約0.5〜約10%の相対密度と、
    (iii)生体内に配設されたときの所定の分解速度と
    を有するスキャホールドを設けること、
    (b)該治療薬を該スキャホールドに組み込むこと、及び
    (c)該スキャホールドを生体内に配置すること
    を含む方法。
  29. 生体内で診断薬を供給する方法であって、
    (a)(i)約5〜約200μmの平均孔径と、
    (ii)約0.5〜約10%の相対密度と、
    (iii)生体内に配設されたときの所定の分解速度と
    を有するスキャホールドを設けること、
    (b)該診断薬を該スキャホールドに組み込むこと、及び
    (c)該スキャホールドを生体内に配置すること
    を含む方法。
  30. 前記生物分解性スキャホールドの少なくとも一部分が、生体内に配設されたときに約1〜6週間の分解半減期を有する、請求項29に記載の方法。
  31. 並置した人体内部組織層の癒着を阻止する方法であって、
    (a)コラーゲンから調製されたスキャホールドを設けること、及び
    (b)該スキャホールドを該並置した組織層間に配置すること
    を含む方法。
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