JP2009527248A - メチレーションを使用したdnaコンピューティングのためのシステム及び方法 - Google Patents

メチレーションを使用したdnaコンピューティングのためのシステム及び方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、節の組について真又は偽の論理値を確立するために、DNAのフレキシブルで可逆的な修飾を実施する新しい方法及びシステムに向けられる。それは、生物学的意味及び実験プロシージャの両方を、基本的なブール演算子の論理実現OR,AND及びNOTと組み合わせる。メチレーション論理のフィーチャは、シトシン及びアデニンのDNAメチレーションの可逆性の使用である。論理変数は、DNAメチレーション状態を逆にすることによって否定されることができる。4つの実現シナリオが記述される。それらの3つは、メチル感受性のある制限酵素を使用し、4番目は、メチル結合蛋白質を使用する。エンコーディングは、一本鎖又は二本鎖DNAのいずれかを使用することができる。更に、本開示は、論理回路を実現することによって複数変数のSAT問題を解くことを可能にする。

Description

本願出願人は、2006年2月24日出願の米国特許仮出願第60/776,758号の利益を主張する。
本発明は、DNAメチレーションを使用して、既存のバイオマーカを検証し、新しいバイオマーカを見つけるシステム及び方法に関する。開示されるシステム及び方法は、分子診断、DNA仮説生成及びインビトロ実験を含むさまざまな利用分野において有用である。
DNAコンピューティングは、複雑問題を解くために、従来のシリコンベースのコンピュータ技術に代わって、DNA及び分子生物学を使用する。1cmの体積を有するDNAの1グラムは、1兆のコンパクトディスク、つまり約750テラバイトと同じくらい多くの情報を保持することができる。
この分野は、最初に、南カリフォルニア大学のLeonard Adleman教授によって開発された。1994年、Adleman教授は、7頂点のハミルトン経路問題を解くために使用された計算の形式として、DNAの概念実証(proof-of-concept)の使用を実際に示した。最初のAdlemanの実験以来、進歩がなされ、さまざまなチューリングマシンが構築可能であることが証明された。2004年、ワイツマン研究所のEhud Shapiro氏及びリサーチャは、雑誌NATUREにおいて、彼らがDNAコンピュータを構築したと発表した。DNAコンピュータは、入力及び出力モジュールに結合されており、細胞内の癌性のアクティビティを診断し、診断の際に抗癌剤を出す能力を備えていた。DNAコンピューティングは、多くの異なる可能性を一度に試みるためにDNAの多くの異なる分子を利用する点において、基本的に並列コンピューティングと同様である。
DNAメチレーションは、シトシンの5番目の炭素、又はアデニンの6番目の炭素に、メチル基CHを加えることを含む技法をさす。DNAメチレーションは、遺伝子発現調整のための重要な手段として、動物及び植物の双方において知られているメカニズムである。細菌において、これは、外来のDNAによる攻撃から守るための保護メカニズムとして作用する。生物学的プロセスとして、DNAメチレーションは、可逆的である。DNAメチルトランスフェラーゼは、S−アデノシル−L−メチオニンからDNAのシトシン基又はアデニン基へのメチル基の転移に作用を及ぼす。DNAポリメラーゼは、複製の間、メチル化された状態を複製しない。
当分野において知られている或るアッセイは、DNA計算のために、発生生物学及び癌の分野における解析用の実験ツールとして使用される。これらのアッセイは、主として、候補遺伝子の後成的な又はメチレーション状態、及び或る(複数の)生物学的プロセスにおける(複数の)候補遺伝子の包含を見つけるために使用される。これらの技法は、既存のバイオマーカを識別し若しくは検証し、又は新しいバイオマーカを確立することにいたることが可能である。バイオマーカは、DNAコンピューティングモデルを介して癌性細胞と健康細胞とを区別することに重要な役目を果たす。今日、アクエアスコンピューティングは、既存のDNAを書き換える又は上書きすることが不可能なため、この分野において制限されている。この制限は、遺伝子シーケンスの積極的な研究、特性付け、高度な複雑問題の解決及び診断実行可能性を妨げる。従って、一旦DNAが処理されると、それはもはや再使用できない。既存のアッセイ方法は、不可逆的であり、それらの実際的で有益な価値を制限する。
分子コンピューティングモデルは、1994年のAdlemanの歴史的な実験以来、さまざまな異なるNP完全問題に取り組んできた。(例えば、Conrad, M.による「Information processing in molecular systems」(Currents in Modern Biology, 1972. 5: p. 1-14)、Livstone MS, v.N.D., Landweber LF.による「Molecular computing revisited: a Moore's Law?」(Trends Biotechnol., 2003. 21(3): p. 98-101)、Head, T.による「One Mathematician's Tour from Biology into Computing and Back to Life」(submitted, 2006)を参照)。Lederman他は、1つの解の全加算器としてふるまう7つのデオキシリボザイムに基づく分子論理ゲートのアレイを開発した。(Lederman H, M.J., Stefanovic D, Stojanovic MN.による「Deoxyribozyme-Based Three-Input Logic Gates and Construction of a Molecular Full Adder」(Biochemistry, 2006)、Margolin AA, S.M.による「Boolean calculations made easy (for ribozymes)」(Nat Biotechnol., 2005)を参照)。Liu他は、4変数4節3SAT問題を解くために界面化学に基づくDNAコンピュータを使用することを示した。(Liu, Q., Wang, L., Frutos, A., Condon, A.E.及びSmith, L.M.による「DNA computing on surfaces」(Nature, 2000)を参照)。
より近年になって、Su他は、ブール論理回路をシミュレートすることができるDNAコンピュータを実現した。(例えば、Su X, S.L.による「Demonstration of a universal surface DNA computer」(Nucleic Acids Res., 2004)を参照)。Su他は、NOR及びORゲートを構築し、それらを組み合わせて簡単な論理回路にした。Head他は、水に溶解される間にDNA分子に情報を記録する新しいやり方を提案した。(例えば、T. Head, X.C., M.J. Nichols, M. Yamamura, S. Galによる「Aqueous solutions of algorithmic problems: emphasizing knights on a 3X3」(DNA Computing-7th International Workshop on DNA-Based Computers, 2002)を参照)。分子を含む結果として得られる解は、「流体メモリ(fluid memory)」を構成すると考えられる。Head他は、これらの分子から情報を読み取るための方法を発表した。
Hatada他は、一組のブール節(SAT問題)の充足可能性問題の簡単な事例を提案した。(Hatada I., F.M., Kimura M., Morita S., Yamada K., Yoshikawa T., Yamanaka S., Endo C., Sakurada A., Sato M., Kondo T., Horii A., Ushijima T., Sasaki H.による「Genome-wide profiling of promoter methylation in human」(Oncogene, 2006)を参照)。一組のブール節が与えられる場合、問題は、節の全てが満足する(真である)真理値を見つけることであった。このSAT問題を解くためのプロシージャは、「アクエアスアルゴリズム」と呼ばれるDNAコンピューティング方法を示している。(T. Head, X.C., M. Yamamura, S. Galによる「Aqueous computing: a survey with an invitation to participate」(J. Computer Science & Technology, 2002)を参照)。
Benenson他は、計算が、入力分子ハイブリダイゼーション及びその後の入力分子の不可逆的なソフトウェア誘導される開裂による可逆的なソフトウェア分子によって実施される自動化を実現した。(例えば、Benenson Y, A.R., Paz-Elizur T, Livneh Z, Shapiro E.による「DNA molecule provides a computing machine with both data and fuel」(Proc Natl Acad Sci U S A, 2003)を参照)。以前にGal他は、特定のSAT問題を解き又はモデル化するために使用される、特異的制限酵素の部位の一方向メチレーションの方法をとった。(例えば、Gal S., H.T.による「Exploring Methylation as a Tool for DNA Computing」(DNA11: Conference on DNA based computers. 2005)を参照)。
今日までの努力にもかかわらず、可逆的DNA計算を通じて複雑問題を効果的に解くシステム及び方法のニーズが依然としてある。更に、メチレーションを使用して実際的であり現実的な診断ツールを達成するに効果的であり信頼できるシステム/方法のニーズが依然としてある。これら及び他のニーズは、ここに開示されるシステム及び方法によって満足される。
本開示は、DNAコンピューティングのためにメチレーション論理を利用する方法及びシステムを記述する。メチレーション論理を使用してバイオマーカを検証する方法及びシステムも開示される。例示的な実施例において、開示される方法及びシステムは、割り当てられた変数を有する論理ステートメントを生成することを含む。変数は、複数のメチル化された変数、及び、このような各々のメチル化された変数について、非メチル化された変数に対応する、それらの否定を含む。変数が割り当てられ、所与の一連の論理節が、節についての「真」の値を決定するために選ばれると、変数/論理節は、関心のあるサンプル/混合物に対して相関される。
こうして、本開示の例示的な実施例によれば、サンプル又は混合物が得られ、識別され、及び/又は生成される。次いで、混合物/サンプルは、メチル化される。1又は複数の分離技法、一般には一連の分離技法を通じて、混合物/サンプルが、一連のアッセイを通じて分離される。上述の(複数の)分離技法を通じて、最終の所望の混合物/サンプルが得られ、それは、デコーディング手段を使用してデコードされる。デコードされた情報は、一般に、読み取られる。本開示の例示的な実施例において、読み取りは、既存のバイオマーカを検証し、又は新しいバイオマーカを生成するために使用されることができる。
開示されるシステム及び方法の論理ステートメントと関連付けられる変数は、一般に、指定された遺伝子であるが、遺伝子の組、遺伝子上の一組の部位、及びそれらの組み合わせであってもよい。変数は、C実現メチレーションエンコーディング又はA実現メチレーションエンコーディングを適応させる/容易にするために少なくとも1つのシトシン又はアデニンを一般に有する。変数エンコーディングは、開示されるシステムに従って、一本鎖又は二本鎖DNAによって達成されることができる。
本開示の他の見地は、一組の遺伝子節を解く方法及びシステムであって、各々の割り当てられた変数が、メチル化された変数及びその否定に対応するような変数の割り当てを含む方法/システムに関する。前記メチル化された変数の否定は、非メチル化された変数に対応する。このような変数の割り当ては、すなわちメチル化された及び非メチル化された変数を利用して、所与の論理節内のAND、OR及びNOTブール論理項を解くことを可能にする。開示される方法及びシステムは、一般に、割り当てられた変数に対応する構成要素/成分を含む所与の混合物/サンプルをメチル化するステップと、所望の混合物を生じさせるために、例えば一連のアッセイのような、1又は複数の分離ステップを通じて混合物/サンプルを分離するステップと、を含む。本開示の例示的な実施例によれば、所望の混合物は、所与の論理節を満足する。従って、割り当てられた変数は、一般に、指定された遺伝子、一組の遺伝子、遺伝子上の一組の部位等に対応する。変数は、一般に、C実現メチレーションエンコーディングを適応させる/容易にするための少なくとも1つのシトシン、又はA実現メチレーションエンコーディングを適応させる/容易にするための少なくとも1つのアデニンを有する。変数エンコーディングは、一本鎖又は二本鎖DNAによって、達成されることができる。
開示される方法及びシステムは、重要な利点をDNAコンピューティングに提供する。このように、開示される方法及びシステムは、広い範囲の適用可能性を有する。開示される方法及びシステムの付加のフィーチャ、機能及び利点は、特に添付の図と関連して読むことにより、以下の説明から明らかになるであろう。
当業者が開示されるシステム及び方法を実施し使用することを助けるために、添付の図面が参照される。
本開示は、診断決定を行うプロセスにおいて、DNAにおいてより複雑な演算を有利に可能にする算術論理フレームワークを記述する。通常のDNAコンピューティング方法に対して、本開示の方法及びシステムは、DNA計算の書き込み及び書き換えを可能にする/容易にする。
開示される方法及びシステムは、メチレーション論理を用い、それによって、複雑な/有利な計算技法を支援するために、シトシン及び/又はアデニンのDNAメチレーションの可逆性を利用する。開示される手法は、エンコードされた変数の真理値を変更するためにDNAシーケンスの可逆的なメチレーションを可能にする/容易にする。エンコードされる変数は、これに限定されないが、遺伝子、遺伝子の組及び/又は遺伝子の一部を含む。
具体的な手法において、メチレーション感受性がある制限酵素又はメチル結合蛋白質は、シトシンをメチル化するために使用されることができる。特定の論理変数の「真」及び「偽」の値をエンコードするDNAシーケンスは、異なるシーケンスによってエンコードされる必要がない。その代わり、変数の否定が、逆の状態によってエンコードされる。例えば、変数が、Tの値を有し、非メチル化されたシーケンスによってエンコードされる場合、この変数の否定は、同じであるがメチル化されたDNAシーケンスによってエンコードされる。
メチレーションマークを生じさせる2つのヌクレオチド、すなわちアデニン及びシトシンが存在する。アデニン及びシトシンに基づくメチレーション論理実現は、それぞれA実現及びC実現と呼ばれる。後述の例は、より明確に本開示を記述するために、C実現の例示的な実現例を提供する。しかしながら、当業者に容易に明らかになるであろうが、本開示の方法及びシステムは、C実現に限定されず、より広い利用可能性を有し、例えばA実現にも適用される。
以下は、ここに開示されるような、MethyLogic手法を計算に適用するのに適した商業的に入手可能な例示的な複数の生化学的ツールを記述している。これらのツールは、主として、コンピュータ/プロセッサと協働して使用され、ここに記述されるプロシージャは、インシリコで実施される。特異的シーケンスのメチル化されたDNAは、オリゴヌクレオチドを順序付け、メチルシトシンとして特異的ヌクレオチドを要求することによって、簡単に準備されることができる。例示的なサプライヤは、Integrated DNA Technologies(http://www.idtdna.com)である。シーケンスをメチル化することができる当技術において知られている、いくつかのメチレーショントランスフェラーゼ、メチル結合蛋白質及びメチル特異的制限酵素があり、それらの各々は、単独で又は組み合わされて、開示される方法/システムに関連して使用されることができる。
本開示の他の例示的な実施例によれば、特異的4−6塩基対認識部位においてDNAをメチル化することができる多様な酵素が存在する。人間Dnmt1酵素は、C−Gコンテクストでシトシンをメチル化するが、これは、1つの鎖が、両方の鎖上で完全にメチル化されるようにすでにメチル化(ヘミメチル化と呼ばれる)されている場合に限られる。今日、13以上のさまざまな異なるDNAメチラーゼが、商業的に入手可能である。メチル化されたDNA結合蛋白質は、非メチル化されたDNAからメチル化されたDNAを物理的に分離するために、使用されることができる。代替の分離技法が、単独で又は結合蛋白質に基づく技法と組み合わされて、用いられることもできる。いくつかの異なる結合蛋白質が、知られており、本開示による使用に適している。かかる結合蛋白質は、これらに限定されないが、Kaiso、MBD1、MBD2、MBD3、MBD4及びMeCPを含む。上述の結合蛋白質の1又は複数は、シーケンス特異的であってもよく、その場合、このような(複数の)シーケンスについての利用は、概して効果的である。
本開示によれば、メチル化されたDNAを非メチル化されたDNAから区別するために、特異的な生化学反応を実行することも可能である。例えば、亜硫酸水素塩処理は、非メチル化されたシトシンを修飾し、それらをウリジン残基に変換する。メチル化されたシトシンは、修飾されない。このように、亜硫酸水素塩処理は、一方の鎖上のウリジンと他方の鎖上のグアニンとの間で単一塩基ミスマッチを生成するために用いられることができる。この構造を特異的に開裂することができる幾つかの特異的エンドヌクレアーゼが、利用可能であり、当技術において知られている。
代替として、DNAシークエンシング、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション又はPCRが、シーケンスのメチレーション状態の異なるレベルを区別するために使用されることができる。今日、例えば、ヘミメチル化された又はメチル化されたDNAを切断する特異的DNAエンドヌクレアーゼであるMcrBCが、単離されている。こうして、McrBCによって特徴付けられるタイプのエンドヌクレアーゼ化合物は、人間DNAのメチル化されたDNAシーケンスを検査するために用いられることができる。更に、DNAのメチレーション状態に依存して開裂することができるシーケンス特異的なDNA開裂酵素、制限エンドヌクレアーゼが更にある(例えばMspI及びHpaII)。これらの酵素の対、すなわち、メチル化されたDNAを切断することができる第1の酵素と、メチル化されたDNAを切断することができない他方の酵素とが、同じシーケンスによって使用されるとき、例えばヒトゲノムのような複雑な混合物においても、特異的DNAがメチル化されているか否かを決定するために、各々の反応における開裂状態の比較が、本開示に従って使用されることができる。これらの知られているツールは、本開示の方法及びシステムによるDNAメチレーションを使用する論理アルゴリズムの解析のために利用可能である。
本開示の例示的な実施例において、DNAメチレーションを使用するブール論理が、DNA計算のために有利に用いられる。DNAメチレーションは、可逆プロセスであるので、それは抽象フレームワークを可能にする。実際、さまざまな物理的実現が、利用可能であり、それによって、DNA選択の実質的な自由を与える複数の潜在的な実現プロシージャをもたらす。DNAメチレーションは、書き込み−消去ステップが、解においてメチル化−非メチル化として実現されることができるので、重要である。さまざまに異なってエンコードされたストリングの使用を可能にする/容易にするメチレーション論理が、本開示によって規定される。エンコードされた論理変数が、C実現のための少なくとも1つのシトシン及びA実現のための少なくとも1つのアデニンを含むという、一般的な要求がある。本開示によれば、DNAメチレーション状態のうちの1つは、真であるとされ、他のメチレーション状態は、偽であるとされる。例えば、シトシンのメチレーションは、所与の変数について、「真」であると等価なものとされることができる。
以下の規定/記述は、本開示と関連して示される。
エンコーディング:論理変数は、一本鎖又は二本鎖DNAを使用してエンコードされることができる。C実現において、コードは、一般に、CpGジヌクレオチドを含む。
書き込み:書き込みは、インビトロ又はインビボのいずれかでDNAメチレーションを適用することに対応する。本開示の例示的な実施例によれば、インビトロメチレーションは、上述したメチルトランスフェラーゼ酵素のうちの1つを適用することに対応する。インビボメチレーションは、鎖のうちの1つが、すでにメチル化されており、且つ新たにメチルトランスフェラーゼDNMT3a及びDNMT3bが、すべてのCpGジヌクレオチドをメチル化する場合のみ、CpGジヌクレオチド内のCをメチル化する維持メチルトランスフェラーゼDNMT1に対応しうる。
消去:消去は、インビトロで又はインビボでDNAメチレーションマークを除去する上述のいかなるプロシージャにも対応する。
破壊:非メチル化された又はメチル化されたDNAを破壊することを含むいかなるプロシージャも、「破壊」なる語の範囲に含まれる。例えば、破壊は、特異的にメチル化された又は非メチル化されたDNAを消化する1又は複数の酵素を適用することを含みうる。メチレーションマークの損失をもたらすPCRのようなプロシージャは、本開示の目的における他の例である。
分離:さまざまな技法が、本開示によりメチル化された成分及び非メチル化された成分を分離するために用いられることができる。例えば、メチル化されたDNA結合蛋白質は、いかなるメチル基も取り付けられていないものから、メチル化されたヌクレオチドを有するDNAの鎖を分離するために使用されることができる。
読み取り:ここで使用されるように、「読み取り」なる語は、DNAの一部が、完全に、半分、又は部分的にメチル化されているか又は完全に非メチル化されているか、を区別することができる読み取りプロシージャ又は他のしるしを生成するために使用されることができる技法又はシステムに関連する。メチレーション感受性がある制限酵素及びPCRは、この目的で使用されることができる。
いかなる計算プロセスにおいても、二重性が、(複数の)エンコーディング/読み取りプロシージャと(複数の)計算プロシージャとの間に存在しうる。一般に、計算プロシージャは、さまざまな物理的及び化学的プロセスを使用し、それによって、解析及び/又は解釈すべき読み取りプロシージャのための結果を生成する。本開示は、4つの例示的な実現シナリオを記述する;最初の3つの例示的なシナリオは、メチル感受性がある制限酵素を使用して実現されることができ、第4の実現シナリオは、メチル結合蛋白質を使用する。AND及びOR論理演算子の実現が、記述される。NOTの実現は、入力シーケンス(変数)のメチレーション状態を逆にすることによる。これは、前述の「書き込み」及び「消去」プロセスによって行われることができる。
実現例1:
−エンコーディング:シーケンスは、一本鎖DNAによってエンコードされ、「論理演算子」は、シーケンスがハイブリダイズすることを可能にしたのち評価される。
−ブール項−
AND:両方の鎖及びすべてのCpG部位は、「真」の真理値を有するようにメチル化されるべきであり、そうでない場合、真理値は、「偽」である。
OR:ヘミメチル化された又は完全にメチル化されたDNAは、「真」であるとして扱われ、非メチル化DNAは、「偽」として扱われる。
−一本鎖は、溶解されリハイブリダイズされた2つの異なる二本鎖領域から生じうる。例えば、父系及び母系染色体をとり、それらを溶解させ、それらをリハイブリダイズさせて、父系染色体からの1つの鎖及び母系染色体からの1つの鎖を有するハイブリッド染色体を形成する。
実現例2:
−エンコーディング:シーケンスは、二本鎖DNAとしてエンコードされ、演算は、AND及びORと同じであるが、読み取りは、意図された演算子に基づいてさまざまに解釈され/解析される。新しいシーケンスは、論理命題(又は回路)を実施するために既存のシーケンスからリゲートされる:
−ブール項−
AND:シーケンスの長さ全体が「真」を有するようにメチル化されることを要求し、そうでなければ、「偽」である。当然ながら、両方の鎖が、メチル化され続けなければならない。
OR:いかなる領域も「真」を有するようにメチル化されることを要求し、そうでなければ「偽」である。
実現例3:
この第3の例示の実現は、前述の実現例1及び2の組み合わせを含む。ここで、一本鎖DNAは、論理変数を表し、二本鎖DNAのリゲーティングは、複雑な論理表現を実現するために使用される。
実現例4:
−エンコーディング:論理変数は、一本鎖又は二本鎖DNAとしてエンコードされる。メチル特異的抗体(又は他の分離技法)を含むメチル結合蛋白質を使用することによって、二本鎖DNAは、(メチル化されたDNAを有する)「結合」部分及び(非メチル化されたDNAのみを有する)「非結合」部分に分離されることができる。こうして、メチル結合蛋白質が分離目的で用いられる例示的な技法において、エンコードされたシーケンスは、ハイブリダイズすることが可能にされ、次いで、メチル結合蛋白質は、メチレーションを有するいかなるDNAシーケンスをも取り出すために使用される。PCRを使用することによって、シーケンスが結合部分、非結合部分、又はその両方にあるかを、感受性のあるシーケンス特異的な態様で、区別することが可能である。より複雑でない混合物については、ゲル上で分離を見ることが可能である。ヒトゲノムからの表現を含む論理変数を実現することが望まれる場合、PCRは、所与のシーケンスがどの部分に存在するかを調べるために有利に使用されることができる。
−ブール項−
AND:DNAシーケンスがともに「結合」部分にある場合、真理値は「真」である。そうでなければ、それは、「偽」と評価する。
OR:いずれかのDNAシーケンスが、「結合」部分にあり、すなわちDNAシーケンスの少なくいくつかがメチル化されていることを意味する場合、これは、「真」と評価される。両方のDNAシーケンスが、非結合部分にあり、すなわちDNAシーケンスが非メチル化されていることを意味する場合、これは、「偽」と評価される。
以下は、一本鎖DNA(ssDNA)を使用するメチレーション論理が、本開示の例示的な実施例に従ってどのように達成されることができるかを説明する。
ssDNAを使用する論理演算子AND
表1は、論理演算子ANDに等価なブール論理及びメチレーション論理を示す。論理変数は、鎖をハイブリダイズすることによって二本鎖DNAに変換された一本鎖DNAとしてエンコードされる。本開示において、A及びBは、互いにハイブリダイズされた2つの一本鎖DNAであるか、又は二本鎖DNA上の2つの異なる部位である。二本鎖DNAが、両方の鎖上でメチル化されている場合に限り、ハイブリダイズされた産物の真理値は、「真」である。代替例として、論理変数は、二本鎖DNA上の2つの異なる部位としてエンコードされる。両方の部位が、メチル化されている場合、真理値は、「真」である。為されるさまざまな実現考察がある。本開示の或る実施例において、AND項の実現は、実験プロシージャが完全なメチレーションについて検証することを要求しうる。本開示の例示の実施例において、HpaII消化を適用することは、損われていない完全にメチル化されたDNAを維持するために達成される。この制限酵素は、メチレーションに感受性があり、よって、メチル化されたDNAを切断することができない。メチル化されたDNAからヘミメチル化されたDNAを区別するために、亜硫酸水素塩処理がまず適用され、そののち、ミスマッチのところで切断する酵素の使用が続く。亜硫酸水素塩処理は、非メチル化されたCをUに変換するために使用されることができ、こうして、逆鎖上にGを有するミスペアの塩基を生成する。それらのミスペアの塩基は、そののち、ミスマッチを認識する特異的酵素によって切断されることができる。このプロトコルは、損われていない完全にメチル化されたDNAのみを与えるべきである。
表1.AND演算子のためのメチレーション論理テーブル
Figure 2009527248
ssDNAを使用する論理演算子OR
表2は、論理演算子ORに等価なブール論理及びメチレーション論理を示している。論理変数は、一本鎖DNAとしてエンコードされ、それからハイブリダイゼーションを使用して二本鎖DNAに変換される。二本鎖DNAが、少なくとも1つの鎖上でメチル化されている場合、ハイブリダイズされた産物の真理値は、「真」に等しい。代替例として、変数A及びBは、二本鎖DNA分子上の2つの異なる部位を表すことができる。いずれかの部位がメチル化されている場合、結果として得られる真理値は「真」である。
表2.OR演算子のためのメチレーション論理テーブル
Figure 2009527248
ANDの例と同様に、A及びBは、互いにハイブリダイズされた2つの一本鎖DNAであり、又は二本鎖DNA上の2つの異なる部位である。本開示の或る実施例において、OR項の実現は、実験プロシージャが、シーケンスがヘミメチル化されているか又は完全にメチル化されているかを検証することを要求する。MCrBC酵素は、すべてのメチル化された又はヘミメチル化されたシーケンスを切断するために適用されることができる。この酵素の適用は、非メチル化されたシーケンスのみを損われないままに保つ。代替として、メチル結合蛋白質又は他の分離技法が、メチレーションを有するものを取り出すために、実現シナリオ4に言及されるように使用されることができる。非メチル化されたDNAは、非結合部分にある。
ssDNAを使用するNOT論理演算子
表3は、論理演算子NOTに等価なブール論理及びメチレーション論理を示す。論理変数は、一本鎖DNAとしてエンコードされる。シーケンスがメチル化されている場合、真理値は、PCRを使用することによって逆にされる。これは、PCRの間に、メチレーションマークがなくなるからである。真理値を偽から真に変更することは、メチレーションマークをセットするDNAメチルトランスフェラーゼを適用することに等価である。
表3.NOT演算子のためのメチレーション論理テーブル
Figure 2009527248
以下は、二本鎖DNA(dsDNA)を有するメチレーション論理の例示的な使用を記述する:
dsDNAを使用する論理演算子AND
論理変数は、二本鎖DNAとしてエンコードされる。これらの鎖は、リゲートされることができる。DNAシーケンス全体がメチル化されている場合に限り、リゲートされた産物の真理値は、「真」である。表4は、論理演算子ANDに等価なブール論理及びメチレーション論理を示す。
表4.dsDNAを使用するAND演算子のためのメチレーション論理テーブル
Figure 2009527248
本開示の或る実施例において、AND項の実現は、実験プロシージャが、完全なメチレーションについて検証することを要求する。プロシージャは、CpGジヌクレオチド内の単一のCが非メチル化されている場合であっても、非メチレーションを検出することができるべきである。非メチル化されたCをUに変換し、こうして逆鎖上にGを有するミスペアの塩基を生成する亜硫酸水素塩処理が、使用されることができる。それらのミスペアの塩基は、ミスマッチを認識する特異的酵素により切断されることができる。このプロトコルは、損われていない完全にメチル化されたDNAのみを与えるべきである。
dsDNAを使用する論理演算子OR
論理変数は、二本鎖DNAとしてエンコードされ、リゲートされる。二本鎖DNAが少なくとも部分的にメチル化されている場合、リゲートされた産物の真理値は、「真」に等しい。表5は、dsDNAを使用する論理演算子ORに等価なブール論理及びメチレーション論理を示す。ANDの例と同様に、A及びBは、リゲートされた二本鎖DNA又はより長い二本鎖DNAシーケンス上の2つの異なるサブシーケンスである。
表5.dsDNAを使用するOR演算子のためのメチレーション論理テーブル
Figure 2009527248
本開示の或る実施例において、OR項の実現は、実験プロシージャが、シーケンスが完全に又は部分的にメチル化されているかを検証することを要求する。亜硫酸水素塩シーケンシングは、単一の部位のメチレーションをチェックすることができる方法である。代替例として、メチル特異的抗体を含むメチル結合蛋白質又は他の分離技法が、メチレーションを有するものを取り出すために、実現シナリオ4に述べたように使用されることができる。非メチル化されたDNAは、非結合部分にある。
dsDNAを使用する論理演算子NOT
表6は、論理演算子NOTに等価なブール論理及びメチレーション論理を示す。論理変数は、二本鎖DNAとしてエンコードされる。シーケンスがメチル化されている場合、真理値は、PCRを使用することによって逆にされる。これは、PCRの間に、メチレーションマークが失われるからである。真理値を偽から真に変更することは、メチレーションマークをセットするDNAメチルトランスフェラーゼを適用することに等価である。
表6.dsDNAを使用するNOT演算子のためのメチレーション論理テーブル
Figure 2009527248
開示されるシステム及び方法に関連付けられる使用及び利点をより詳しく説明するために、以下の例が参照される。しかしながら、これらの例は、本開示の範囲に関して制限的ではなく、単に例示的な実現及び/又はその有用性を説明するものにすぎない:
例1
p、q、rをブール変数とし、p'、q'、r'をそれらの個々の否定とする。4つの節p OR q、p' OR q OR r'、q' OR r'、p' OR rの各々が真の値を有する変数p、q及びrへの真理値(T/F)の割り当てが存在するか?この例において、変数は、3つの別個の二本鎖DNAとしてエンコードされ、そののち互いにリゲートされる。ここで、メチル化されたp(Mp)部位は、pと同等とされ、非メチル化されたp(Up)部位は、p'と同等とされ、Mqは、qと同等とされ、Uqは、q'と同等とされ、Mrは、rと同等とされ、Urは、r'と同等とされる。これらの変数のすべての可能な組み合わせは、メチル化された及び非メチル化された二本鎖要素(MpMqMr、MpUqMr、MpMqUr、MpUqUr、その他)のリゲーションを使用して生成される。膨大な量のこれらの分子が、利用可能であるべきである。各々の変数のメチル化された形式に特異的に結合することができる結合蛋白質が存在するように、変数が規定される。これらの節について、p'形式をセーブする(確保する)ために、DNAが、メチル結合蛋白質に適用され、結合しないDNAが、セーブされる(非メチル化された又はUp形式のみをセーブする)。p又はメチル化された形式をセーブするために、DNAを同じ蛋白質に適用するが、結合されたDNAをセーブする。各々の節に関する詳細は、以下に示される。
ステップ1:p OR qを計算する(図1に示される)
開始DNAの大量の混合物を2つのポットに分離する。
1つのポットにおいて、混合物を、p部位に特異的なメチル結合蛋白質に適用し、他のポットにおいて、混合物を、q部位に特異的なメチル結合蛋白質に適用する。
いずれの場合も、Mp又はMq(p OR q)のいずれかを含む結合物質をセーブする。このサンプルは、p OR q OR r及びp OR q OR r'を含む。
これらの2つの結合サンプルを再び混ぜ合わせる。この混合物は、ここで、6つの異なる二本鎖DNA、MpUqMr、MpUqUr、UpMqMr、UpMqUr、MpMqMr及びMpMqUrを含む。
ステップ2:p' OR q OR r'を計算する
最後のステップからのDNAの混合物を3つのポットに分離する。
1つのポットにおいて、混合物を、p部位に特異的なメチル結合蛋白質に適用し、非結合物質をセーブする。別のポットにおいて、混合物を、q部位に特異的なメチル結合蛋白質に適用し、結合物質をセーブする。第3のポットにおいて、混合物を、r部位に特異的なメチル結合蛋白質に適用し、非結合物質をセーブする。
3つのセーブされたサンプルを再び混ぜ合わせる。このサンプルは、ここで、MpUqUr、UpMqMr、UpMqUr、MpMqMr及びMpMqUrを含む。
ステップ3:q' OR r'を計算する
最後のステップからのDNAの混合物を、2つのポットに分離する。
1つのポットにおいて、混合物を、q部位に特異的なメチル結合蛋白質に適用し、結合物質をセーブする。他のポットにおいて、混合物を、r部位に特異的なメチル結合蛋白質に適用し、非結合物質をセーブする。
2つのセーブされたサンプルを再び混ぜ合わせる。このサンプルは、ここで、MpUqUr、UpMqUr及びMpMqUrを含む。
ステップ4:p' OR rを計算する
最後のステップからのDNAの混合物を、2つのポットに分離する。
1つのポットにおいて、混合物を、p部位に特異的なメチル結合蛋白質に適用し、非結合物質をセーブする。他のポットにおいて、混合物を、r部位に特異的なメチル結合蛋白質に適用し、結合物質をセーブする。
2つのセーブされたサンプルを再び混ぜ合わせる。このサンプルは、メチルp部位結合蛋白質からの結合物質からのUpMqUrのみを含むべきである。以前のステップからのすべての分子がMrを含むので、メチルr結合蛋白質からの非結合物質は、DNAを生じさせない。
ステップ5:答えを読み取る
亜硫酸水素塩処理を物質に適用し、結果として得られるDNAフラグメントをシーケンスする。亜硫酸水素塩処理は、メチル化されたCsに影響を及ぼさずに、非メチル化されたCsをUsに変換する。シーケンスが、開始物質と同じ場合、当該部位は、最終の産物においてメチル化された。シーケンスが異なり、Uが、Cと置換されている場合、部位は、最終的な答えにおいて非メチル化された。
例2
MethyLogicを使用して(a OR b) AND (c') AND d論理式を表現する。これは、論理回路の表現とみなされることもできる。ゴールは、どの入力(a、b、c及びdの値)について、論理回路が、真の値を生成するかを知ることである。ここで、一本鎖DNAを有する論理変数の表現が、使用される。
ステップ1:a OR bを計算する
a及びbがハイブリダイズするようなやり方で、aは、シーケンスによってエンコードされ、bは、別のシーケンスによってエンコードされる。例えば、aは、5'−ACGCGA−3'によりエンコードされ、bは、5'−AAATCG−3'によりエンコードされる。このDNAのハイブリダイズされた形式は、以下のように表される:(より良いハイブリダイゼーションのために、3より多くの塩基オーバラップが好ましい)。すべてのシーケンスは、それがメチル化されることができるように、少なくとも1つのCを含む必要があることにも注意すべきである。1つのCは、必要に応じて、メチル化されて作用することができる。
Figure 2009527248
非メチル化されたa(Ua)、メチル化されたa(Ma)、Ub、及びMbを含む4つのポットを混ぜ合わせ、4種類の異なる二本鎖DNA(Ua/Ub、Ua/Mb、Ma/Ub及びMa/Mb)を生成する。
ハイブリダイズされ、同時にメチル化されたCsを含むシーケンスを取り出すために、メチル結合蛋白質(例えばMeCP若しくはMBD1又はメチルCに対する抗体)を使用する。これは、a OR bを実施することに対応する。
ステップ2:c' AND dを計算する
2.1 c及びdが、互いに、a OR bハイブリッドのオーバーハングによるハイブリッドリゲートとして、ハイブリダイズするようなやり方で、異なるシーケンスによりc及びdをエンコードする(以下参照)。例えば、cは、5'−TTTGCG−3'によってエンコードされることができ、dは、5'−ATACGC−3'によってエンコードされ、それにより、c及びdは、ハイブリダイズされると、以下の構造を形成する(より良いハイブリダイゼーションのために、3より多くの塩基オーバラップが好ましい)。
Figure 2009527248
上述したように、4つのタイプの一本鎖DNA、Uc、Ud、mc及びMdを生成する。
2.2 PCRを、メチル化されたcポットに適用することによって、NOTをcに適用し、メチルトランスフェラーゼを非メチル化されたcポットに適用する。単純変数の場合、ポットは、ちょうど入れ替わりうる。
2.3 非メチル化されたd及びメチル化されたdを有する2つの結果をハイブリダイズする。
2.4 AND演算子を4つのポットに適用する:亜硫酸水素塩処理のあと、ミスマッチDNAを破壊する酵素が続く。亜硫酸水素塩処理は、非メチル化されたCsをUに変換し、メチル化されたCsに影響を及ぼさない。こうして、亜硫酸水素塩処理のあとに、非メチル化されたCがGによってハイブリダイズされるハイブリッドにおいて、これは、正常なC:G塩基対の代わりにUGミスマッチを生じさせる。ミスマッチDNAは、ミスマッチ二本鎖DNAを認識する特異的酵素を使用して破壊されることができる。
ステップ3:ステップ1及び2から得られるポットを混ぜ合わせることによって、前の2つの計算からの産物のANDを計算し、リゲートする。この反応の産物は、以下のようなDNAシーケンス構造を有する。
Figure 2009527248
亜硫酸水素塩処理を適用し、そののちミスマッチDNAを破壊する酵素が続く。上述したように、亜硫酸水素塩処理は、非メチル化されたCsをUsに変換し、従って、UがGに対向するミスマッチDNAシーケンスを生成すべきである。メチル化されたCsは、この処理によって修飾されず、従って、他の鎖上のGsと正しく塩基対を形成されたままであるべきである。ミスマッチDNAは、特異的酵素を使用して破壊されることができる。結果として得られるDNAは、複雑な節:a OR b AND c' AND dを満足すべきである。
ステップ4:答えを読み取る。このために、混合物を2つのポットに分け、亜硫酸水素塩によってそれらの1つを処理する。上述したように、この処理は、非メチル化されたC'sをU'sに変換する。そののち、各ポットのDNA鎖をシーケンスする。回路の論理変数の真理値を見つけるために、両方の鎖をシーケンスする。いかなる差も、当該位置における非メチル化されたCによるものである。本例において、部位cの状態は、答えを読み取るとき否定されるべきである。
本開示の好適なアプリケーションにおいて、MethyLogic方法が、最初にインシリコで節を規定するために使用され(これは、コンピュータシミュレーションの仮説生成に等価である)、そののちインビトロで試験される。一組の遺伝子は、論理変数を使用して表現されることができ、各々の論理変数は、単一の遺伝子、又は遺伝子若しくは遺伝子の組上の1又は複数の特異的部位を表現する。遺伝子プロモータ、第1のエキソン又はいかなる調整領域のメチレーションの状態も、当該シーケンスについて真理値を表現する。サンプルは、制御(すなわち健康)及び疾患(例えば癌)個人から得る。問題は、SAT問題と同様である:論理変数(遺伝子)のどの値について、節が、真であると評価するか(疾患サンプルから制御サンプルを区別するか)?変数の真理値は、健康サンプル対疾患サンプルの責任を負うバイオマーカを示す。開示されるシステム及び方法は、既存のメチレーションバイオマーカを検証することができる一組の節をさがし、新しいバイオマーカを見つけるための新しく強力なやり方を導入する。全体として、本開示は、臨床的な環境を支援するためのインビトロな方法及びインシリコな方法を組み合わせて使用されるべきシステム及び方法を記述している。
本開示は、一本鎖及び二本鎖DNAを使用してDNAメチレーションによるブール論理を実現する方法及びシステムを記述し、説明している。ここに記述される例は、「メチレーション論理」に基づいて汎用DNAコンピュータの広い範囲の実現において使用されることができる例示的な技法/アプリケーションを提供する。この手法は、過去の手法より現実的であり、ダイナミックであり、用途が広い。従前の手法においては、適当な制限酵素の存在及び最近ではメチラーゼが常に必要とされた。従来の手法は、DNAコンピューティングの範囲並びに解析されることができるシーケンスのタイプ及び数を必然的に制限する。本方法は、ヒトゲノムと同じ程度複雑な混合物内にあるとしても、ほとんどいかなるシーケンスの潜在的な解析をも可能にすべきである。この方法は、分子診断の意思決定の大きなツールになりうる。
まとめると、本開示のシステム及び方法は、DNA計算、特にバイオマーキング及び理論的計算のための、大幅に強化された技法を提供する。本開示は、例示の実施例及びその実現に関して記述されているが、開示されるシステム及び方法は、このような例示的な実施例/実現に制限されない。むしろ、ここに示される記述から当業者に容易に明らかになるように、開示されるシステム及び方法は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、変形、変更及び強化を受けることができる。従って、本開示は、本開示の範囲内のそのような変形、変更及び強化を含む。
p OR qを計算するステップを説明する図。 p' OR q OR r'を計算するステップを説明する図。

Claims (21)

  1. メチレーション論理を使用する方法であって、
    複数の割り当てられた変数を有する論理ステートメントを生成するステップであって、前記複数の変数は、メチル化された変数、及び非メチル化された変数に対応する前記メチル化された変数の否定を含む、ステップと、
    混合物又はサンプルをメチル化するステップと、
    サンプルのメチレーション状態を逆にするステップと、
    少なくとも1つの分離された混合物を得るために、1又は複数の分離技法によって前記混合物又はサンプルを分離するステップと、
    前記少なくとも1つの分離された混合物をデコードするステップと、
    前記デコーディングに前記論理ステートメントを相関させるために、前記少なくとも1つの分離された混合物を読み取るステップと、
    を含む方法。
  2. 前記方法は、1又は複数のバイオマーカを検証し、及び/又は新しいバイオマーカを生成し又は識別するために効果的である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記1又は複数の分離技法は、一連のアッセイを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記読み取りは、既存のバイオマーカを検証し、又は新しいバイオマーカを生成し/識別するために効果的である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記複数の変数は、指定された遺伝子である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記複数の変数は、一組の遺伝子である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記複数の変数は、遺伝子上の一組の部位である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記複数の変数は、C実現メチレーションエンコーディングのための少なくとも1つのシトシンを有する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記複数の変数は、A実現メチレーションエンコーディングのための少なくとも1つのアデニンを有する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記複数の変数は、一本鎖DNAを使用してエンコードされる、請求項1に記載の方法。
  11. 前記複数の変数は、二本鎖DNAを使用してエンコードされる、請求項1に記載の方法。
  12. 前記複数の変数は、メチル結合蛋白質を使用してエンコードされる、請求項1に記載の方法。
  13. 論理回路を生成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
  14. 一組の遺伝子節を解くシステムであって、
    変数を割り当てる処理であって、各変数が、メチル化された変数及び非メチル化された変数に対応する前記メチル化された変数の否定に対応する、処理と、
    前記変数の所与の混合物をメチル化し、サンプルのメチレーション状態を逆にし、前記混合物を分離して、所与の論理節を満足する所望の混合物を生じさせることによって、前記メチル化された変数及び非メチル化された変数を利用して前記所与の論理節内のAND、OR及びNOTブール論理項を解く処理と、
    を行うシステム。
  15. 前記変数は、指定された遺伝子である、請求項12に記載の方法。
  16. 前記変数は、一組の遺伝子である、請求項12に記載の方法。
  17. 前記変数は、遺伝子上の一組の部位である、請求項12に記載の方法。
  18. 前記変数の少なくとも1つは、C実現メチレーションエンコーディングのための少なくとも1つのシトシンを有する、請求項12に記載の方法。
  19. 前記変数の少なくとも1つは、A実現メチレーションエンコーディングのための少なくとも1つのアデニンを有する、請求項12に記載の方法。
  20. 前記変数は、一本鎖DNAを使用してエンコードされる、請求項12に記載の方法。
  21. 前記変数は、二本鎖DNAを使用してエンコードされる、請求項12に記載の方法。
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