隔離器官灌流というこのような洗練された技術を容易に用いることができても、癌、特に、四肢、肺、肝臓、胸膜および膵臓、おそらく、腎臓または骨盤およびその他の器官における転移巣を治療する新たな治療計画を開発するために、当業界では未だに必要性が高まり続けている。したがって、本発明の目的は、このような新たな戦略を開発することであった。それは隔離器官灌流に適用可能でなければならず、さらに用量を減少させ、かつ/または適用する癌治療薬の効率を高めなければならない。
発明の概要
本発明は、隔離器官灌流において癌の組合せ治療薬を適用すると共に、個体にインテグリンリガンドを治療有効量で投与する、腫瘍治療の新たな概念に基づいた新たな薬剤治療法であって、前記適用が、インテグリンリガンドの投与の前、同時または後である治療法について初めて記載している。投与の後の適用が好ましい。投与と同時適用も同様に好ましい。
一実施形態において、本発明は、組合せ療法薬として、好ましくは、細胞傷害剤、化学療法薬および免疫毒性薬からなる群から選択された治療上活性のある化合物、ならびに、場合によっては、前記薬剤の効率を高めるか、または隔離器官灌流における前記薬剤の副作用を抑えることができるその他の薬理学的に活性のある化合物を含む組成物に関する。
したがって、一実施形態では、本発明は、場合によって、1種または複数の癌の組合せ治療薬、好ましくは、例えば、化学療法化合物、免疫毒性化合物および細胞傷害性化合物からなる群から選択された癌の組合せ治療薬と一緒に、好ましいインテグリンリガンドとして、αvβ3、αvβ5、αvβ6またはαvβ8インテグリン受容体リガンドのいずれか、好ましくは、RGDを含有する直鎖もしくは環式ペプチド、好ましくは、RGDを含有するインテグリン阻害剤、最も好ましくは、環式ペプチドシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−MNe−Val)、および/または薬学的に許容されるそれらの誘導体、溶媒和物および塩を含む隔離器官灌流のための医薬組成物に関する。
本発明では、治療活性薬はまた、好ましくは、1種または複数の前記インテグリンリガンドを含むパッケージ、および個々のパッケージまたは別個の容器内に入った1種または複数の細胞傷害剤および/または化学療法薬および/または免疫毒性薬を場合によって含む医薬品キットによって提供してもよい。これらの組合せによる治療は、場合によって、前記で定義したような他の組合せ治療薬と共に、または共にせずに、照射による治療を含んでもよい。
本発明はさらに、インテグリンリガンドの適用前、同時、または後の放射線療法と共に、インテグリンリガンド活性を有する1種の分子のみを投与することを含む、組合せ治療に関する。
したがって、インテグリンリガンドを放射線療法のみと組み合わせて投与する場合、本発明のさらに好ましい実施形態である。この状況では、本発明によれば、照射、または放射線療法は、好ましくは、癌の組合せ治療薬として理解されるべきである。
本発明の任意の組合せの投与は、好ましくは放射線療法を伴うことができ、放射線療法は、投与と実質的に同時、前または後に実施できることを理解すべきである。本発明による組合せ療法の様々な薬剤の投与はまた、実質的に同時に、または連続的に実施することができる。好ましくは、特定のインテグリンリガンドの投与は、1種または複数の癌組合せ治療薬の投与の前、実質的に同時、好ましくは前に行う。より好ましくは、特定のインテグリンリガンドの投与は、放射線療法の投与の前、実質的に同時、好ましくは前に行い、さらにより好ましくは、本明細書で記載したような時限投与(timed administration)である。この時限投与また、好ましくは、「時限組合せ投与」と称される。
腫瘍は、発症および増殖に代替経路を導き出すことが知られている。一経路が遮断された場合、その他の受容体およびシグナル伝達を発現し、使用することによって、別の経路に切り替える能力を有することが多い。したがって、本発明の薬剤の組合せは、その腫瘍のこのような可能性のある発達戦略のいくつかを遮断することができ、したがって、様々な治療上の利点をもたらすことができる。本発明の組合せは、腫瘍細胞の表面に存在する関連ホルモン受容体を活性することによって発生し、増殖する腫瘍、腫瘍様、および新生物による障害および腫瘍転移の治療および予防に有用である。
好ましくは、本発明の様々な組合せ薬剤は、低用量で、すなわち、臨床症状で従来使用されてきたよりも低い用量で組み合わせて投与される。個体に投与される本発明の化合物、組成物、薬剤および治療薬の用量を低下させる利点には、高用量に関連した有害作用の発生の減少が含まれる。例えば、上記および下記の薬剤の投薬量を低下させることによって、高用量で認められものと比較したとき、悪心および嘔吐の頻度および重症度の低下がもたらされる。有害作用の発生を減少させることによって、癌患者の生活の質の改善が期待される。有害作用の発生の減少の他の利点には、患者の服薬遵守の改善、有害作用の治療のために必要とされる入院回数の減少、および有害作用に関連した疼痛の治療に必要な鎮痛剤の投与の減少が含まれる。あるいは、本発明の方法および組合せはまた、高用量での治療効果を最大限にすることができる。
好ましくは、脈管構造においてアルファ−v−インテグリン系の特異的細胞接着分子、特に、αvβ3およびαvβ5の発現増加、誘発および/または活性化を示す腫瘍は、本発明の組合せおよび治療計画によってうまく治療し得る。本発明による薬剤治療における組合せは、驚異的な相乗効果を示す。薬剤の組合せ投与において、著しく有害な薬剤反応を認めることなく、実際の腫瘍の縮小および崩壊を臨床研究中に観察することができた。
本発明の好ましい実施形態は、隔離器官灌流を介した癌治療用の併用治療として時間を決めて組み合わせて使用するための併用治療単位であって、
a)少なくとも1種の特異的インテグリンリガンドを含有する組成物を含み、さらに、
b)a)の少なくとも1種の特異的インテグリンリガンドとは異なる少なくとも1種の他の癌組合せ治療薬を含む単位に関する。
前記単位では、少なくとも1種のインテグリンリガンドは、αVインテグリン阻害剤、好ましくはαvβ3阻害剤、主に好ましくはシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)からなる群から選択される。
前記単位では、少なくとも1種の癌組合せ治療薬は、化学療法薬、細胞傷害剤、免疫毒性薬および放射線療法からなる群から選択される。
前記単位では、隔離器官は、四肢(肢体)、肺、肝臓、胸膜、膵臓、腎臓または骨盤からなる群から選択される。
前記単位では、隔離器官は、肝臓であり、治療する癌は、肝細胞癌である。
前記単位では、a)の少なくとも1種の特異的インテグリンリガンドとは異なる少なくとも1種の他の癌組合せ治療薬は放射線療法である。
癌の治療方法は、隔離器官灌流によって、それを必要とする患者を、少なくとも1種のインテグリンリガンドの治療有効量および少なくとも1種の癌組合せ治療薬で治療することが特徴である。
前記方法では、少なくとも1種のインテグリンリガンドは、αVインテグリン阻害剤、好ましくはαvβ3阻害剤、主に好ましくはシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)からなる群から選択される。
前記方法では、少なくとも1種の癌組合せ治療薬は、化学療法薬、細胞傷害剤、免疫毒性薬および放射線療法からなる群から選択される。
前記方法では、隔離器官は、四肢(肢体)、肺、肝臓、胸膜、膵臓、腎臓または骨盤からなる群から選択される。
前記方法では、隔離器官は肝臓であり、治療する癌は肝細胞癌である。
癌治療用の隔離器官灌流で使用するためのセットには、独立した投与形態の、
a)αVインテグリン阻害剤、好ましくはαvβ3阻害剤、主に好ましくはシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)からなる群から選択された少なくとも1種のインテグリンリガンドの治療有効量、ならびに、
b)の少なくとも1種の他の癌組合せ治療薬が放射線療法でないならば、
b)化学療法薬、細胞傷害剤、免疫毒性薬からなる群から選択された、a)のインテグリンリガンドとは異なる少なくとも1種の他の癌組合せ治療薬の治療有効量が含まれる。
前記セットでは、器官は肝臓であり、癌は肝臓細胞癌である。
前記セットでは、少なくとも1種の他の癌組合せ治療薬は放射線療法である。
前記セットはさらに、特定のパッケージ、特定のパッケージ挿入物などの形態で、インテグリンリガンドに関連した放射線療法の詳細な指示書および使用法を示すことが有利であることが特徴である。
したがって、本発明の他の好ましい実施形態は、放射線治療の前、同時もしくは後で適用するように設計され、容器などに含まれた1活性成分としてのインテグリンリガンドからなる医薬品であり、前記容器は、放射線療法と組み合わせる前記医薬品の使用方法に関する詳細な指示書および/または技術的情報を書類の形態で示している。
隔離器官灌流による癌治療のための医薬品を調製するための少なくとも1種のインテグリンリガンドおよび少なくとも1種の癌組合せ治療薬の使用であり、前記少なくとも1種のインテグリンリガンドは、好ましくは、αVインテグリン阻害剤、好ましくはαVβ3阻害剤、主に好ましくはシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)からなる群から選択され、前記癌組合せ治療薬は化学療法薬、細胞傷害剤および/または免疫毒性薬からなる群から選択される。
前記使用では、器官は肝臓であり、癌は肝臓細胞癌である。
本発明の好ましい実施形態は、前記インテグリンリガンドが、αVβ3、αVβ5、αVβ6またはαVβ8インテグリン阻害剤である、隔離器官灌流で使用するための対応する医薬組成物、
前記インテグリン阻害剤がRGD含有直鎖または環式ペプチドである対応する医薬組成物、
特異的かつ非常に好ましい実施形態として、場合によって別個の容器またはパッケージに入った、シスプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセル、パクリタキセル、ブレオマイシンの群の化合物のいずれかから選択された化学療法薬を含み、前記インテグリンリガンドがシクロ(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)である、前記医薬組成物、および
前記インテグリン阻害剤が、インテグリン受容体のエピトープに結合する結合部位を含む抗体、またはそれらの機能的に損なわれていない誘導体であり、好ましくは、LM609、Vitaxan、Abciximab(7E3)、P1F6、14D9F8、CNTO95、それらのヒト化キメラおよび脱免疫種が含まれる、抗体またはそれらの2価もしくは単価誘導体(Fab’2)−(Fab’)の群から選択される、場合によって別個の容器またはパッケージに入った対応する医薬組成物に関する。
本発明の他の実施形態では、化学療法薬は、メルファランまたはTNFαであることが可能で、好ましくは組み合わせて適用される。
性質とは関わりなく全ての癌組合せ治療薬は組み合わせて使用してよいことを理解されたい。TNFαと一緒に化学療法物質、すなわち、シスプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセル、パクリタキセル、ブレオマイシンの1つを使用することが特に好ましい。
本発明の好ましい実施形態は、少なくとも1種のインテグリンリガンド、好ましくはαVβ3、αVβ5、αVβ6またはαVβ8インテグリン受容体阻害剤、より好ましくは、RGD含有直鎖または環式ペプチド、特にシクロ(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)を含み、場合によってさらに細胞傷害剤を含むパッケージを含む隔離器官灌流で使用するためのパッケージに関する。
本発明のさらに好ましい実施形態は、前記インテグリンリガンドが、好ましくは、抗体:LM609、P1F6および14D9.F8ならびにビタキシン、CNTO95、アブシキシマブの群から選択される抗体またはそれらの活性誘導体である、対応する医薬品キットに関する。
本発明の好ましい実施形態は、
(i)シクロ(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)を含むパッケージ、
(ii)場合によってTNFαと組み合わせたシスプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセル、パクリタキセル、ブレオマイシンおよび5FUの群の化合物のいずれかから選択される少なくとも1種の化学療法薬を含むパッケージを含む本発明の特定の実施形態、特定の医薬品キットに関する。
本発明の好ましい実施形態は、
(i)シクロ(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)を含むパッケージ、
(ii)場合によってTNFαと組み合わせたメルファラン、シスプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセル、パクリタキセル、ブレオマイシンおよび5FUの群の化合物のいずれかから選択される少なくとも1種の化学療法薬を含むパッケージを含む本発明の特定の実施形態、特定の医薬品キットに関する。
さらに好ましい実施形態では、このキットはメルファランおよび/またはTNFαを含む。
本発明のさらに好ましい実施形態は、腫瘍および腫瘍転移巣を隔離器官灌流によって治療するための医薬品を製造するための、上記、下記および特許請求の範囲で定義した通りの医薬組成物または医薬品キットの使用に関する。
本発明の他の好ましい実施形態は、隔離器官灌流によって患者における腫瘍または腫瘍転移巣を治療するための医薬品治療または方法に関し、この治療または方法は、上記で定義した通りの
(i)インテグリンリガンド特異性、および
(ii)癌組合せ治療薬、
を有する薬剤または薬剤類の治療有効量を前記患者に投与することを含む。
癌組合せ治療薬は、場合によって、細胞傷害剤、好ましくは化学療法薬であり、前記薬剤(i)は、αvβ3、αvβ5またはαvβ6インテグリン阻害剤あるいはVEGF受容体遮断薬である。
本発明のさらに好ましい実施形態は、前記インテグリンがシクロ(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)であり、場合によって、シスプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセル、パクリタキセル、ブレオマイシンの群から選択された細胞傷害剤と一緒に投与される対応する方法に関する。
本発明による医薬組成物およびキットを使用する医薬品治療は、同時に、または連続的に、放射線療法を伴ってよい。
放射線療法は、インテグリンリガンドと一緒に適用される単独の組合せ治療薬であることができる。
この薬剤は、前記の場合のいずれかと同時に、または連続的に投与することができる。
本発明はさらに、癌組合せ治療薬の投与前にインテグリンリガンドを投与することを含む、新たな治療形態に関する。
一般的に、この前投与は、他の癌組合せ治療薬を適用する1から8時間前、好ましくは1から5時間前、より好ましくは1から3時間前に行われる。さらにより好ましくは、この前投与は、他の癌組合せ治療薬を適用する2から8時間前、好ましくは2から6時間前、より好ましくは2から4時間前、例えば、1から2時間前、2から3時間前、3から6時間前、2から5時間前または3から7時間前に行われる。本発明に関して、この前適用または投与はまた、「時限投与」または「時限適用」と称される。
これに関して得られたデータによって示されるように、本発明の効果は、好ましくは、この前投与が、他の癌組合せ治療薬を適用する1から8時間前、好ましくは1から5時間前、より好ましくは1から3時間前に行われ、さらにより好ましくは、この前投与が、他の癌組合せ治療薬を適用する2から8時間前、好ましくは2から6時間前、より好ましくは2から4時間前、例えば、1から2時間前、2から3時間前、3から6時間前、2から5時間前または3から7時間前に行われるならば、非ヒト動物、特にラットで実現される。本発明に関して、この前適用または投与はまた、「時限投与(timed administration)」または「時限適用(timed application)」と称される。
しかし、ヒトでの実験のデータは、好ましくは、上記/下記で記載され、論じられた「前適用」の時間は、1から4倍、特に2から4倍遅延させるか、または乗じることができることを示している。非ヒト動物、特に齧歯類、例えば、ラットとヒト動物との間の応答または応答時間のこの違いは、当業界では公知で、詳細に論じられている。出願人は、理論によって結びつけられることを望まないが、この違いは、少なくとも一部には、様々な種の様々な薬物動態作用によって引き起こされている、すなわち、様々な種類の動物における様々な半減期(t1/2)を反映していると考えている。例えば、シクロペプチドなどの化合物の場合、ラットにおける半減期の範囲は通常10〜30分であり、一方ヒト動物における同化合物の半減期は、2から6時間、特に3から4時間である。
したがって、本出願の対象は、上記/下記に記載した治療方法および/または製造方法であり、前適用は、好ましくは、他の癌組合せ治療薬を適用する1から32時間前、好ましくは2から32時間前、より好ましくは2から24時間前、
さらにより好ましくは4から24時間前、さらにより好ましくは6から20時間前、特に6から16時間前に行われ、あるいは、好ましくは、この前適用は、他の癌組合せ治療薬を適用する6から32時間前、好ましくは10から24時間前、より好ましくは12から20時間前に行われる。本発明に関して、この前適用または投与はまた、「時限投与」または「時限適用」と称される。
しかし、本発明の好ましい態様では、特定のインテグリンリガンドの時限投与は(患者がヒトにせよ非ヒト動物にせよ関係なく)、1種または複数の癌組合せ治療薬を適用する1から10時間前、好ましくは2から8時間前、より好ましくは2から6時間前、さらに好ましくは3から8時間前、さらに好ましくは3から6時間前、特に4から8時間前、例えば、1から2時間前、1から3時間前、1から4時間前、2から3時間前、2から4時間前、2から6時間前、2から8時間前、2から10時間前、3から4時間前、3から10時間前、4から6時間前、4から10時間前、5から8時間前または5から10時間前に行われる。1種または複数の癌組合せ治療薬が外部光線照射を含むか、外部光線照射からなる場合、このことは特に好ましい。
(特定のインテグリンリガンドの)前記時限投与または時限適用に関して、前記前投与または適用のための時間は、好ましくは、それぞれの投与または適用の最初または開始を意味する。したがって、例えば、それぞれの癌組合せ治療薬を適用する3時間前に開始する特定のインテグリンリガンドの投与は、特定のインテグリンリガンドが、完了に1時間または2時間かかるi.v.注入によって投与されるとしても、本発明の1種または複数の癌組合せ治療薬の適用の3時間前の時限投与または時限適用として見なされるものとする。前適用/前投与の定義は、当業者の理解に完全に一致している。
したがって、インテグリンリガンドを、癌組合せ治療薬投与の2から6時間前に投与する場合が特に好ましい。この治療計画は、上記で開示した組成物、調製物、医薬品、方法、治療法、キット、パッケージおよび組合せ治療薬の種類の全てに適用される。
本発明の特に好ましい実施形態では、隔離器官灌流の時間を限定するために、一般的に非常に低い全身毒性のインテグリンリガンドを隔離器官灌流前に、好ましくは本明細書で記載した時限投与で、全身に投与することが可能である。
したがって、本発明の特に好ましい一実施形態は、本明細書で記載した時限投与によるインテグリンリガンド、好ましくはシクロ(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMe−Val)および/または薬学的に許容されるそれらの誘導体、溶媒和物および塩の全身投与であり、好ましくは、2から6時間後に前記インテグリンリガンド、好ましくはシクロ(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMe−Val)および/または薬学的に許容されるそれらの誘導体、溶媒和物および塩ならびに組合せ治療薬による隔離器官灌流が行われ、前記投与は、放射線療法を含む前記で詳述したような形態で行われる。
したがって、本発明の特に好ましい一実施形態は、本明細書で記載した時限投与でのインテグリンリガンド、好ましくはシクロ(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMe−Val)および/または薬学的に許容されるそれらの誘導体、溶媒和物および塩の全身投与であり、好ましくは、2から6時間後に前記インテグリンリガンド、好ましくはシクロ(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMe−Val)および/または薬学的に許容されるそれらの誘導体、溶媒和物および塩ならびに組合せ治療薬による隔離器官灌流が行われ、前記投与は、場合によって放射線療法を含む前記で詳述したような形態で行われる。
したがって、本発明の特に好ましい一実施形態は、インテグリンリガンド、好ましくはシレンギチドの全身投与であり、2から6時間後にシレンギチドおよび組合せ治療薬による隔離器官灌流が行われ、前記投与は、放射線療法を含む前記で詳述したような形態で行われる。
本発明の薬剤の組合せおよび方法は、様々な利点をもたらす。本発明の組合せは、隔離器官灌流による腫瘍、腫瘍様および新生物による障害の治療および予防に有用である。好ましくは、本発明の様々な組合せ薬は、低用量で、すなわち、臨床症状で従来使用されてきたよりも低い用量で組み合わせて投与される。哺乳類に投与される本発明の化合物、組成物、薬剤および治療薬の用量を低下させる利点には、高用量に関連した有害作用の発生の減少が含まれる。例えば、メトトレキセート、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセル、パクリタキセル、ブレオマイシンまたはシスプラチンなどの化学療法薬の投薬量を減少させることによって、高用量で認められものと比較したとき、悪心および嘔吐の頻度および重症度の低下がもたらされる。同様の利点が、本発明のインテグリン拮抗剤と併用した化合物、組成物、薬剤および治療法で企図される。有害作用の発生を減少させることによって、癌患者の生活の質の改善が企図される。有害作用の発症の低下の他の利点には、患者の服薬遵守の改善、有害作用の治療のために必要とされる入院回数の減少、および有害作用に関連した疼痛の治療に必要な鎮痛剤の投与の減少が含まれる。
あるいは、本発明の方法および組合せはまた、高用量での治療効果を最大限にすることができる。
本発明の詳細な説明
特に指摘しなければ、本発明で使用した用語および語句は、好ましくは、以下に挙げた意味および定義を有する。さらに、これらの定義および意味は、含めたより詳細で、好ましい実施形態で本発明を説明する。
特に指摘しなければ、本発明で使用した化合物について言及する場合、好ましくは、薬学的に許容されるそれらの誘導体、溶媒和物および塩が含まれる。特に指摘しなければ、インテグリンリガンド、インテグリン拮抗薬、インテグリン作動薬の参照ならびに化合物である癌組合せ治療薬について言及する場合、好ましくは薬学的に許容されるそれらの誘導体、溶媒和物および塩が含まれる。特に指定しなければ、さらにより好ましくは、インテグリンリガンドシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)について言及する場合はまた、薬学的に許容されるそれらの誘導体、溶媒和物および塩が含まれ、より好ましくは薬学的なそれらの溶媒和物および塩、特に好ましくは薬学的に許容されるそれらの塩が含まれる。
「組合せ治療単位」は、好ましくは、単一の治療概念を形成するために一緒にされた少なくとも2種類の異なる治療形態の組合せを意味する。本発明の好ましい実施形態では、これは、インテグリンリガンドと他の組合せ治療薬との組合せである。「組合せ治療単位」は、好ましくは、異なるおよび/または単一の医薬組成物または医薬品を意味しないことに注意しなくてはいけない。対照として、インテグリンリガンドおよび他の組合せ治療薬はまた、好ましくは、異なる容器、パッケージ、医薬品、製剤または同等物で提供することができる。同様に、インテグリンリガンド治療と放射線療法の組合せは、好ましくは、「組合せ治療単位」の意味内に含まれる。
「癌組合せ治療薬」または「組合せ治療薬」は、好ましくは、細胞傷害剤、化学療法薬または免疫毒性薬を意味する。同様に、放射線療法も好ましい。
「受容体」または「受容体分子」は、好ましくは、受容体−リガンド複合体を形成するためにリガンドが結合する1個または複数のドメインを含む可溶性または膜結合性または膜関連性のタンパク質または糖タンパク質である。作動薬または拮抗薬であり得るリガンドに結合することによって、受容体は活性化または不活性化され、経路のシグナル伝達経路を開始または遮断することができる。
「リガンド」または「受容体リガンド」は、好ましくは、受容体−リガンド複合体を形成するために受容体分子に結合する天然または合成の化合物を意味する。リガンドという用語は、好ましくは、作動薬、拮抗薬、および作動薬/拮抗薬活性の一部を備えた化合物を含む。
「作動薬」または「受容体作動薬」は、好ましくは、前記受容体および受容体−作動薬複合体を活性化し、それぞれが経路シグナル伝達および他の生物学的プロセスを開始することによって、受容体−作動薬を形成するために受容体に結合する天然または合成の化合物である。
「拮抗薬」または「受容体拮抗薬」は、好ましくは、作動薬とは反対の生物学的効果を有する天然または合成の化合物、より好ましくは合成化合物を意味する。拮抗薬は、受容体に結合し、受容体を作動薬と競合することによって受容体作動薬の作用を遮断する。拮抗薬は、作動薬の作用を遮断する能力によって定義される。受容体拮抗薬はまた、抗体またはそれらの免疫学的に有効な断片であってよい。本発明の好ましい拮抗薬を以下に引用し、論じる。
「インテグリン拮抗薬/阻害剤」または「インテグリン受容体拮抗薬/阻害剤」という用語は、好ましくは、インテグリン受容体を遮断し、阻害する天然または合成の分子、より好ましくは合成分子を意味する。場合によっては、この用語には、前記インテグリン受容体のリガンド(例えば、αVβ3では、ビトロネクチン、フィブリン、フィブリノーゲン、フォンウィルブランド因子、トロンボスポンジン、ラミニン、αVβ5では、ビトロネクチン、αVβ1では、フィブロネクチンおよびビトロネクチン、αVβ6では、フィブロネクチン)に特異的な拮抗薬が含まれることがある。インテグリン受容体に特異的な拮抗薬が、本発明では好ましい。インテグリン(受容体)拮抗薬は、天然または合成のペプチド、非ペプチド、ペプチド模倣物、イムノグロブリン、例えば、抗体もしくはそれらの機能的断片、または免疫複合体(融合タンパク質)であってよい。本発明の好ましいインテグリン阻害剤は、αVインテグリン(例えば、αVβ3、αVβ5、αVβ6および亜種)の受容体に特異的である。好ましいインテグリン阻害剤は、αV拮抗薬、特にαVβ3拮抗薬である。本発明による好ましいαV拮抗薬は、RGDペプチド、ペプチド模倣(非ペプチド)拮抗薬およびαV受容体を遮断する抗体などの抗インテグリン受容体抗体である。
例えば、非免疫学的αVβ3拮抗薬は、米国特許第5753230号および米国特許第5766591号の教示に記載されている。好ましい拮抗薬は、直鎖および環式RGD含有ペプチドである。環式ペプチドは、通例、より安定で、血清半減期の延長をもたらす。しかし、本発明の最も好ましいインテグリン拮抗薬は、インテグリン受容体αVβ3、αVβ1、αVβ6、αVβ8、αIIbβ3の遮断に効果的で、好ましくは、インテグリン受容体αVβ3および/またはαVβ5に関して特に効果的であるシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)(EMD121974、シレンギチド(登録商標)、Merck KGaA、Germany、EP0770622)である。αVβ3/αVβ5/αVβ6インテグリン受容体の適切なペプチド性ならびにペプチド模倣(非ペプチド)拮抗薬は、科学文献および特許文献の両方に記載されてきた。例えば、Hoekstra and Poulter、1988、Curr.Med.Chem.5、195;WO95/32710;WO95/37655;WO97/01540;WO97/37655;WO97/45137;WO97/41844;WO98/08840;WO98/18460;WO98/18461;WO98/25892;WO98/31359;WO98/30542;WO99/15506;WO99/15507;WO99/31061;WO00/06169;EP0853084;EP0854140;EP0854145;米国特許第5780426号および米国特許第6048861号を参照されたい。ベンズアゼピン、ならびに関連するベンゾジアゼピンおよびベンゾシクロヘプテンαVβ3インテグリン受容体拮抗薬を開示し、本発明での使用にも適している特許には、WO96/00574、WO96/00730、WO96/06087、WO96/26190、WO97/24119、WO97/24122、WO97/24124、WO98/15278、WO99/05107、WO99/06049、WO99/15170、WO99/15178、WO97/34865、WO97/01540、WO98/30542、WO99/11626およびWO99/15508が含まれる。主鎖の立体的な環制約に着目したその他のインテグリン受容体拮抗薬は、WO98/08840、WO99/30709、WO99/30713、WO99/31099、WO00/09503、米国特許第5919792号、米国特許第5925655号、米国特許第5981546号および米国特許第6017926号に記載されている。米国特許第6048861号およびWO00/72801では、潜在的αVβ3インテグリン受容体拮抗薬である一連のノナン酸誘導体を開示している。その他の化学低分子インテグリン拮抗薬(主にビトロネクチン拮抗薬)は、WO00/38665に記載されている。その他のαVβ3受容体拮抗薬は、血管形成の阻害に効果的であることが示された。合成受容体拮抗薬、例えば、(S)−10,11−ジヒドロ−3−[3−(ピリジン−2−イルアミノ)−1−プロピルオキシ]−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−10−酢酸(SB−265123として知られている)は、様々な哺乳類モデル系で試験されてきた(Keenan他、1998、Bioorg.Med.Chem.Lett.8(22)、3171、Ward他、1999、Drug Metab.Dispos.27(11)、1232)。拮抗薬としての使用に適したインテグリン拮抗薬を同定するためのアッセイは、例えば、Smith他、1990、J.Biol.Chem.265、12267および参照した特許文献に記載されている。抗インテグリン受容体抗体もよく知られている。適切な抗インテグリン(例えば、αVβ3、αVβ5、αVβ6)モノクローナル抗体は、F(ab)2、Fabを含むそれらの抗原結合断片、および遺伝子操作Fvまたは一本鎖抗体を包含するために変更することができる。インテグリン受容体αVβ3に特異的な適切かつ好ましく使用される1モノクローナル抗体は、LM609と呼ばれる(Brooks他、1994、Cell 79、1157;ATCCHB9537)。潜在的に特異的な抗αVβ5抗体、P1F6は、WO97/45447に開示されており、これも本発明では好ましい。さらに適切なαVβ6選択的抗体は、MAb14D9.F8(WO99/37683、DSMACC2331、Merck KGaA、Germany)であり、インテグリン受容体のαV鎖を選択的に対象とする。他の適切な抗インテグリン抗体は、市販のビタキシン(登録商標)である。
本明細書では「抗体」または「イムノグロブリン」という用語は、好ましくは、最も広い意味で使用され、具体的に、完全なモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2種類の完全な抗体から形成された多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)および所望する生物学的活性を表す限り抗体断片を対象とする。この用語は一般的に、一緒に結合した特異性の異なる2種類以上の抗体またはそれらの断片を含むヘテロ抗体を含む。定常領域のアミノ酸配列に応じて、完全な抗体は、様々な「抗体(イムノグロブリン)型」に割り当てることができる。完全な抗体には、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMの5つの主な型があり、これらのいくつかはさらに、「亜種」(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2に分類することができる。抗体の様々な型に対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。本発明で好ましい抗体の主な型は、IgGであり、より詳細にはIgG1およびIgG2である。抗体は通常、分子量約150000の糖タンパク質で、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖を含む。各軽鎖は、1個の共有ジスルフィド結合によって重鎖に結合しており、一方、ジスルフィド結合の数は、異なるイムノグロブリンアイソタイプの重鎖の中で変化する。各重鎖および軽鎖はまた、規則正しく間隔の空いた鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、1末端に可変領域(VH)およびそれに続くいくつかの定常ドメインを備えている。可変領域は、抗原結合部位を含有し、抗体の特異性に関与している超可変領域または「CDR」領域および抗体の親和性/結合活性に関して重要な「FR」領域を含む。超可変領域は一般的に、「相補性決定領域」または「CDR」(例えば、軽鎖可変ドメインの残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)および重鎖可変ドメインの31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3)のアミノ酸残基)および/または「超可変ループ」(例えば、軽鎖可変ドメインの残基26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)および重鎖可変ドメインの26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3)のアミノ酸残基を含む、Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901〜917(1987))。「FR」残基(フレームワーク領域)は、本明細書で定義した超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。各軽鎖は、1方の末端に可変ドメイン(VL)、もう1方の末端に定常ドメインを備えている。軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと整列しており、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖と重鎖可変ドメインの間の境界を形成すると考えられる。いかなる脊椎種の抗体の「軽鎖」も、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2種類の明らかに異なる種類の1つに割り当てることができる。
本明細書で使用した「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味しており、すなわち、個々の抗体を含む集団は、微量で存在し得る天然に生じ得る変異以外は同一である。モノクローナル抗体の特異性は高く、単一の抗原部位に特異的である。さらに、様々な決定基(エピトープ)に特異的な様々な抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、その他の抗体が混入することなく合成できることが利点である。モノクローナル抗体の製造方法には、Kohler and Milstein(1975、Nature 256、495)および「Monoclonal Antibody Technology, The Production and Characterization of Rodent and Human Hybridomas」(1985、Burdon他著、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology、Volume 13、Elsevier Science Publishers、Amsterdam)によって記載されたハイブリドーマ法が含まれ、またはよく知られている組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567を参照)によって作製することができる。モノクローナル抗体はまた、例えば、Clackson他、Nature、352:624〜628(1991)およびMarks他、J.Mol.Biol.、222:58、1〜597(1991)に記載された技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離することができる。「キメラ抗体」という用語は、好ましくは、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の種類から得られた抗体または特定の抗体種または亜種に属する抗体における対応する配列と同一であるかまたは相同であり、一方、鎖の残部が別の種類から得られた抗体または別の抗体種または亜種に属する抗体における対応する配列と同一であるかまたは相同である抗体、ならびに、所望する生物学的活性を表す限り、このような抗体の断片を意味する(例えば、米国特許第4816567号、Morrison他、Proc.Nat.Acad.Sci.、USA、81:6851〜6855(1984))。キメラおよびヒト化抗体の製造方法はまた、当業界で公知である。例えば、キメラ抗体の製造方法には、Boss(Celltech)およびCabilly(Genentech)によって記載された方法が含まれる(米国特許第4816397号、米国特許第4816567号)。
「ヒト化抗体」は、好ましくは、非ヒトイムノグロブリン由来の最小配列を含有する非ヒト(例えば、齧歯類)キメラ抗体の形態である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、ヒトイムノグロブリン(レシピエント抗体)であって、レシピエントの超可変領域(CDR)の残基が、所望する特異性、親和性および能力を備えた非ヒト種(ドナー体抗体)、例えば、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類の超可変領域の残基と置換されたイムノグロブリンである。場合によっては、ヒトイムノグロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換されていることがある。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見いだされない残基を含んでいてよい。抗体性能をさらに改良するために、これらの変更を行う。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1個、一般的に2個の可変ドメインの実質的に全てを含み、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒトイムノグロブリンのループに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒトイムノグロブリン配列のFRである。ヒト化抗体はまた、場合によって、イムノグロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、一般的にヒトイムノグロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部を含む。ヒト化抗体の製造方法は、例えば、Winter(米国特許第5225539号)およびBoss(Celltech、米国特許第4816397号)に記載されている。
「抗体断片」は、好ましくは、完全な抗体の一部を含み、好ましくは、それらの抗原結合領域または可変領域を含む。
抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、FvおよびFc断片、二重特異性抗体、線状抗体、一本鎖抗体分子、および抗体断片から形成された多特異性抗体が含まれる。「完全な」抗体は、抗原に結合する可変領域ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)および重鎖定常ドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む抗体である。好ましくは、完全な抗体は、1種または複数のエフェクター機能を有する。抗体のパパイン消化によって、それぞれが1個の抗原結合部位およびCLおよびCH1領域を含む「Fab」断片と呼ばれる2個の同一の抗原結合断片ならびに容易に結晶化する能力が名前に反映した残りの「Fc」断片が生じる。抗体の「Fc」領域は、通例、抗体の主要な種類のIgG1またはIgG2のCH2、CH3およびヒンジ領域を含む。ヒンジ領域は、CH1領域とCH2−CH3領域を一緒にした約15個のアミノ酸残基の群である。ペプシン処理によって、2個の抗原結合部位を有し、まだ抗原と架橋結合することができる「F(ab’)2」断片が生じる。「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含有する最小抗体断片である。この領域は、密接に、非共有的に結合した1個の重鎖および1個の軽鎖可変ドメインの2量体からなる。各可変ドメインの3個の超可変領域(CDR)が、VH−VL2量体の表面の抗原結合部位を限定するために相互作用するのはこの配置においてである。6個の超可変領域が集合的に抗体の抗原結合特異性を付与する。しかし、1個の可変ドメイン(または1抗原に特異的な3個の超可変領域のみを含むFvの半分)でも、完全な結合部位よりも親和性は低いが、抗原を認識し、結合する能力を備えている。Fab断片はまた、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含有する。「Fab’」断片は、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に、抗体ヒンジ領域の1個または複数のシステインを含む数個の残基が付加されていることがFab断片とは異なる。F(ab’)2抗体断片は本来、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生成された。抗体断片のその他の化学結合もまた、知られている(例えば、Hermanson、Bioconjugate Techniques、Academic Press、1996;米国特許第4342566号参照)。「一本鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のV,およびV,ドメインを含み、これらのドメインは1本のポリペプチド鎖に存在する。好ましくは、Fvポリペプチドはさらに、抗原と結合するためにscFVが所望する構造を形成するのを可能にするポリペプチドリンカーをVHとVLドメインの間に含む。一本鎖FV抗体は、例えば、Pluckthun(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、Vol.113、Rosenburg and Moore著、Springer−Verlag、New York、pp.269〜315(1994))、WO93/16185、米国特許第5571894号、米国特許第5587458号、Huston他(1988、Proc.Natl.Acad.Sci.85、5879)またはSkerra and Plueckthun(1988、Science 240、1038)によって知られている。
「二重特異性抗体」は、好ましくは、特異性の異なる2個の抗原結合部位を有する単一の2価の抗体(またはそれらの免疫治療学的に有効な断片)である。例えば、第1の抗原結合部位は血管形成受容体(例えば、インテグリンまたはVEGF受容体)に対するものであり、一方、第2の抗原結合部位はErbB受容体(例えば、EGFRまたはHer2)に対するものである。二重特異性抗体は、いずれもそれ自体公知である、化学技術(例えば、Kranz他(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78、5807参照)によって、「ポリドーマ」技術(米国特許第4474893号参照)によって、または組換えDNA技術によって生成することができる。他の方法は、WO91/00360、WO92/05793およびWO96/04305に記載されている。二重特異性抗体はまた、一本鎖抗体から調製することができる(例えば、Huston他、(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85、5879、Skerra and Plueckthun(1988)Science 240、1038参照)。これらは、一本鎖ポリペプチドとして生成した抗体可変領域と類似している。二重特異性結合因子を形成するために、一本鎖抗体を化学的に、または当業界で公知の遺伝子操作法によって一緒に結合させてよい。ロイシンジッパー配列を使用することによって本発明の二重特異性抗体を生成することもできる。使用した配列は、転写因子FosおよびJunのロイシンジッパー領域由来である(Landschulz他、1988、Science 240、1759、概説については、Maniatis and Abel、1989、Nature 341、24参照)。ロイシンジッパーは、一般的に7残基毎にロイシンが生じる約20〜40残基長の特異的なアミノ酸配列である。このようなジッパー配列は両親媒性αヘリックスを形成し、2量体を形成するためにロイシンが疎水性側に一列に並んでいる。FosおよびJunタンパク質のロイシンジッパーに対応するペプチドは、優先的にヘテロ2量体を形成する(O’Shea他、1989、Science 245、646)。ジッパーを含有する二重特異性抗体およびそれらの作製方法はまた、WO92/10209およびWO93/11162に開示されている。本発明の二重特異性抗体は、単一の特異性を有する抗体に関して前述したようなVEGF受容体およびαVβ3受容体に特異的な1抗体であってよい。
「ヘテロ抗体」とは、好ましくは、それぞれが異なった結合特異性を備えている、一緒に結合した2個以上の抗体または抗体結合断片である。ヘテロ抗体は、2種以上の抗体または抗体断片を一緒に結合することによって調製することができる。好ましいヘテロ抗体は、架橋結合Fab/Fab’断片を含む。様々な結合因子または架橋結合因子を使用して抗体を結合することができる。例は、プロテインA、カルボイミド、N−スクシニミジル−S−アセチル−チオアセテート(SATA)およびN−スクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)である(例えば、Karpovsky他(1984)J.EXP.Med.160、1686、Liu他(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82、8648参照)。その他の方法には、Paulus、Behring Inst.Mitt.、No.78、118(1985)、Brennan他(1985)Science 30 Method:81またはGlennie他(1987)J.Immunol.139、2367に記載された方法が含まれる。別の方法では、3個のFab’断片を結合させるために、o−フェニレンジマレイミド(oPDM)を使用する(WO91/03493)。本発明の状況では、多特異性抗体も適切で、例えば、WO94/13804およびWO98/50431の教示に従って調製することができる。
「融合タンパク質」という用語は、好ましくは、場合によって、リンカー分子によって一緒に融合した異なる特異性を備えた1個または複数のタンパク質またはペプチドまたはそれらの断片からなる天然または合成の分子を意味する。具体的な実施形態として、この用語には、少なくとも1個のタンパク質またはペプチドがそれぞれ、イムノグロブリンもしくは抗体、またはそれらの一部(「免疫複合体」)である融合構築物が含まれる。
「免疫複合体」という用語は、好ましくは、免疫学的に効果的ではない分子に共有結合によって融合した抗体もしくはイムノグロブリンそれぞれ、またはそれらの免疫学的に効果的な断片を意味する。好ましくは、この融合相手は、グリコシル化されていてよいペプチドまたはタンパク質である。前記非抗体分子は、抗体の定常重鎖のC末端または可変軽鎖および/または重鎖のN末端に結合させることができる。融合相手は、通例、3〜15個のアミノ酸残基を含有するペプチドであるリンカー分子を介して結合させることができる。本発明による免疫複合体は、受容体チロシンキナーゼ、好ましくはErbB(ErbB1/ErbB2)受容体に特異的なイムノグロブリンまたはそれらの免疫治療学的に有効な断片ならびに前記イムノグロブリンのC末端、好ましくはそれらのFc部分にN末端が結合したインテグリン拮抗ペプチド、または血管形成受容体、好ましくはインテグリンまたはVEGF受容体およびTNFαまたは本質的にTNFαおよびIFNγまたは他の適切なサイトカインからなる融合タンパク質からなる。この用語はまた、二重特異性または多特異性イムノグロブリン(抗体)またはそれらの断片を含む対応する融合構築物を含む。
「機能的に損なわれていない誘導体」という用語は、好ましくは、本発明の解釈では、元の化合物、ペプチド、タンパク質、抗体(イムノグロブリン)、免疫複合体などと比較して、主に同様の生物学的および/または治療的機能を備えている化合物、ペプチド、タンパク質、抗体(イムノグロブリン)、免疫複合体などの断片または一部、修飾物、変種、相同体または脱免疫化形態(免疫応答に関与するエピトープが除去された変更物)を意味する。しかし、この用語はまた、効果の抑制または増強を惹起するような誘導体を含む。
「サイトカイン」という用語は、好ましくは、別の細胞に細胞間媒介物として作用する1細胞集団によって放出されるタンパク質の総称である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカインおよび伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインに含まれるのは、成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、チロキシン、インシュリン、プロインシュリン、レラキシン、プロレラキシン、糖タンパク質ホルモン、例えば、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)および黄体化刺激ホルモン(LH)、肝細胞増殖因子、繊維芽細胞増殖因子、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド、インヒビン、アクチビン、血管内皮増殖因子(VEGF)、インテグリン、トロンボポエチン(TPO)、NGFβなどの神経成長因子、血小板増殖因子、TGFαおよびTGFβなどのトランスフォーミング増殖因子(TGF)、エリスロポエチン(EPO)、IFNα、IFNβおよびIFNγなどのインターフェロン、M−CSF、GM−CSFおよびG−CSFなどのコロニー刺激ホルモン、IL−1、IL−1a、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12などのインターロイキンならびにTNFαまたはTNFβである。本発明の好ましいサイトカインは、インターフェロンおよびTNFαである。
本明細書で使用した「細胞傷害剤」という用語は、好ましくは、細胞の機能を阻害または妨害し、かつ/または細胞の破壊を引き起こす物質のことである。この用語には、放射性同位元素、化学療法薬および細菌、真菌、植物または動物由来の酵素的に活性のある毒素などの毒素またはそれらの断片が含まれる。この用語にはまた、サイトカインファミリーの構成要素、好ましくはIFNγならびに細胞傷害活性も備えた抗悪性腫瘍薬が含まれ得る。
「化学療法薬」または「抗悪性腫瘍薬」という用語は、好ましくは、本発明の理解によれば、上記で詳述したような「細胞傷害剤」の種類の1構成要素と見なされ、抗悪性腫瘍効果を発揮する、すなわち、腫瘍細胞に直接的に、例えば、細胞増殖抑制または細胞傷害効果によって、および生物学的応答の変化などの機構によって非間接的に、腫瘍細胞の発生、変異または拡散を防御する化学薬品を含む。本発明による適切な化学療法薬は、好ましくは、天然または合成の化合物であるが、生体分子、例えば、タンパク質、ポリペプチドなども、表現上除外されない。TNFαおよび前記で引用した抗血管形成薬、場合によってはEGF受容体拮抗薬などのその他の薬剤との併用治療によって、腫瘍/新生物を治療するために本発明に含めることができる、臨床評価および臨床開発において商用で使用可能な抗悪性腫瘍薬は多数存在する。化学療法薬は、場合によって、前記の薬剤の組合せと一緒に投与できることを指摘しなければならない。化学療法薬の例には、アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン化合物、アルキルスルホン酸塩およびニトロソ尿素、シスプラチンおよびダカルバジンなどのアルキル化作用を有するその他の化合物、代謝拮抗物質、例えば、葉酸、プリンまたはピリミジン拮抗薬、分裂阻害剤、例えば、ビンカアルカロイドおよびポドフィロトキシンの誘導体、細胞傷害性抗生物質およびカンプトテシン誘導体が含まれる。好ましい化学療法薬または化学療法には、アミホスチン(エチオール)、シスプラチン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ドキソルビシンリポ(ドキシル)、ゲムシタビン(ゲムザール)、ダウノルビシン、ダウノルビシンリポ(ダウノキソーム)、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、エトポシド、メトトレキセート、5−フルオロウラシル(5−FU)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(タキソテレ)、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、CPT−11、10−ヒドロキシ−7−エチル−カンプトテシン(SN38)、ダカルバジン、フロクスリジン、フルダラビン、ヒドロキシウレア、イフォスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、イリノテカン、ミトキサントロン、トポテカン、リュープロリド、メガストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロラムブシルおよびそれらの組合せが含まれる。
癌組合せ治療薬、好ましくは化学療法薬、細胞傷害剤、免疫調節薬および/または免疫毒性薬の他の例には、好ましくは、HER、HER2、PDGF、PDGFR、EGF、EGFR、VEGF、VEGFRおよび/またはVEGFR2からなる群から選択された1種または複数の標的に対する抗体が含まれることが好ましく、前記抗体は、好ましくは、ハーセプチン、ベバシズマブ(rhuMAb−VEGF、アバスチン(登録商標))、セツキシマブ(アービタックス(登録商標))およびニモツズマブ、好ましくは1種または複数の前記標的に対する低分子またはNCEから選択され、好ましくは、ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標))、スニチニブ(スーテント(登録商標))およびZD6474(ZACTIMA(商標))からなる群から選択される。
本発明の好ましい態様では、化学療法薬、細胞傷害剤、免疫調節薬および/または免疫毒性薬は、以下の群、
a)アルキル化剤、
b)抗生物質、
c)代謝拮抗薬、
d)生物学的および免疫調節剤、
e)ホルモンおよびその拮抗薬、
f)マスタードガス誘導体、
g)アルカロイド、
h)タンパク質キナーゼ阻害剤の1種または複数から選択される。
本発明のより好ましい態様では、化学療法薬、細胞傷害剤、免疫調節薬および/または免疫毒性薬は、以下の群、
a)ブスルファン、メルファラン、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、カルムスチン、イフォスファミドおよびロムスチン、テモゾロミド、アルトレタミンから選択されたアルキル化剤、
b)レオマイシン、ドキソルビシン、アドリアマイシン、イダルビシン、エピルビシンおよびプリカマイシンから選択された抗生物質、
c)スルホンアミド、葉酸拮抗薬、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル(5−FU)、ロイコボリン、5−FUおよびロイコボリン、葉酸カルシウムおよび5−FU、およびロイコボリン、カペシタビン、メルカプトプリン、クラドリビン、ペントスタチン、メトトレキセート、ラルチトレキセド、ペメトレキセド、チオグアニン、カンプトテシン誘導体(トポテカン、イリノテカン)から選択された代謝拮抗薬、
d)インターフェロンa2A、インターロイキン2およびレバミソールから選択された生物学的製剤および免疫調節薬、
e)フルタミド、ゴセレリン、ミトタンおよびタモキシフェンから選択されたホルモンおよびそれらの拮抗薬、
f)メルファラン、カルムスチンおよびナイトロジェンマスタードから選択されたマスタードガス誘導体、
g)タキサン、ドセタキセル、パクリタキセル、エトポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびビノレルビンから選択されたアルカロイドの1種または複数から選択される。
本発明によるさらにより好ましい化学療法薬または癌組合せ治療薬は、シスプラチン、カルボプラチン、メルファラン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、ドセタキセル、パクリタキセル(タキソール)およびブレオマイシンからなる群から選択される。
前記に挙げた癌組合せ治療薬の投薬、好ましくは、標準的投与計画は、当業界で公知である。
特に好ましい化学療法薬または癌組合せ治療薬は、メルファランおよびTNFαからなる群から選択される。「免疫毒性」という用語は、好ましくは、免疫分子、例えば、抗体またはそれらの機能的同等物の特異性と毒性部分、例えば、前記で定義したような細胞傷害機能とを併せ持った薬剤を意味する。「癌」および「腫瘍」という用語は、好ましくは、制御されていない細胞増殖が一般的に特徴である哺乳類における生理学的症状を意味するか、または表す。本発明による医薬組成物によって、腫瘍、例えば、胸部、心臓、肺、小腸、結腸、脾臓、腎臓、膀胱、頭部および頚部、卵巣、前立腺、脳、膵臓、皮膚、骨、骨髄、血液、胸腺、子宮、精巣、子宮頚部および肝臓の腫瘍を治療することができる。より具体的には、腫瘍は、腺癌、血管肉腫、星細胞腫、上皮癌、胚細胞腫、神経膠芽種、神経膠腫、過誤腫、血管内皮細胞腫、血管肉腫、血腫、胚芽腫、白血病、リンパ腫、髄芽腫、黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫および奇形腫からなる群から選択される。
詳細には、腫瘍は、末端黒子型黒色腫、光線角化症、腺癌、腺様嚢腺癌(adenoid cystic carcinoma)、腺腫、腺肉腫、腺扁平上皮癌、星細胞系腫瘍、バルトリン腺癌、基底細胞癌、気管支腺癌、毛細血管腫、カルチノイド、癌腫、癌肉腫、空洞性、胆管癌、軟骨肉腫(chondosarcoma)、脈絡叢乳頭腫(choriod plexus papilloma)/癌、明細胞癌、嚢胞腺腫、卵黄嚢腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮内膜間質肉腫、類内膜腺癌、上衣腫、類上皮癌、ユーイング肉腫、フィブロラメラ(fibrolamellar)、限局性結節性過形成、ガストリノーマ、胚細胞腫瘍、膠芽腫、グルカゴノーマ、血管芽腫、血管内皮腫、血管腫、肝腺腫、肝腺腫症、肝細胞癌、インスリノーマ、上皮内新生物、上皮内扁平細胞新生物、浸潤性扁平細胞癌、大細胞癌、平滑筋肉腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫瘍、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、髄膜性、中皮性、転移性癌、粘膜表皮癌、神経芽細胞腫、神経上皮腺癌結節性黒色腫、燕麦形細胞癌、寡突起膠腫、骨肉腫、膵臓ポリペプチド、乳頭状漿液性腺癌、松果体細胞、下垂体腫瘍、形質細胞腫、偽肉腫、肺芽腫、腎細胞癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、肉腫、漿液性腫、小細胞癌、軟部組織癌、ソマトスタチン分泌腫瘍、扁平癌、扁平細胞癌、中皮下、表皮拡大性黒色腫、未分化癌、ブドウ膜黒色腫、疣状癌、ビポーマ、高分化癌およびウィルムス腫瘍からなる群から選択される。
本発明の「医薬組成物」は、好ましくは、本発明の併用治療と関連した副作用を低下させるか、または回避する薬剤を含むことができ(「補助的療法」)、限定はしないが、例えば、抗癌剤の毒性作用を低下させる薬剤、例えば、骨吸収阻害薬、心保護薬が含まれる。前記補助的薬剤は、化学療法、放射線療法もしくは手術に関連した悪心および嘔吐の発症を防御するか、または低下させ、あるいは、骨髄抑制性抗癌剤の投与に関連した感染症の発症を低下させる。補助的薬剤は、当業界では周知である。本発明の免疫治療薬は、BCGのような補助剤および免疫系刺激剤と共に追加的に投与することができる。さらに、この組成物には、細胞傷害性効果のある放射標識された同位体、またはその他の細胞傷害剤、例えば、細胞傷害ペプチド(例えば、サイトカイン)または細胞傷害性薬物などを含有する免疫治療薬または化学療法薬を含むことができる。
腫瘍または腫瘍転移巣を治療するための「医薬品キット」という用語は、好ましくは、腫瘍および腫瘍転移巣を治療する方法において試薬を使用するためのパッケージおよび、通例は、指示書のことである。本発明のキットの試薬は一般的に、本明細書で記載したような治療組成物として製剤化され、したがって、キットに分配するのに適した様々な形態のいずれかにすることができる。このような形態には、本発明の拮抗薬および/または融合タンパク質をもたらすために、液体、粉末、錠剤、懸濁液などの製剤を含めることができる。この試薬は、本発明の方法によって別々に投与するために適した別々の容器で供給することができるか、あるいは、パッケージ内の単一の容器内の1組成物中に一緒に提供することができる。このパッケージは、本明細書で記載した治療方法による1回または複数回の試薬投与のために十分な量を含有することができる。本発明のキットはまた、パッケージ内に含有される材料の「使用指示書」を含有する。
「治療上有効な」または「治療有効量」という用語は、好ましくは、哺乳類における疾患または障害を治療するために有効な薬剤の量を意味する。癌の場合、薬剤の治療有効量は、癌細胞数を低下させ、腫瘍の大きさを縮小させ、末梢器官への癌細胞の浸潤を阻害し(すなわち、ある程度まで遅延させ、好ましくは停止させ)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度まで遅延させ、好ましくは停止させ)、腫瘍増殖をある程度まで阻害し、かつ/または癌に関連した1種または複数の症状をある程度まで軽減することができる。薬剤が増殖を防御し、かつ/または存在する癌細胞を殺すことができる程度までは、細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性であることができる。癌治療のため、効果は、例えば、疾患進行時間(TTP)を評価し、かつ/または応答速度(RR)を測定することによって測定することができる。
本明細書で使用したように、「薬学的に許容される」という用語およびその文法的に変化した用語は、組成物、担体、希釈剤および試薬を意味するとき、所望しない生理学的影響、例えば、吐き気、目眩、胃の不調などを生じることなくその物質を哺乳類に投与できることを好ましくは表す。それらに溶解した、または分散した活性成分を含有する医薬組成物の調製は、当業界でよく知られており、製剤に基づいて限定する必要はない。一般的に、このような組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかの注射剤として調製されるが、使用前に液体で溶液または懸濁液にするために適した固形物として調製することもできる。この調製物はまた、乳化することができる。活性成分は、薬学的に許容され、活性成分に適合した賦形剤に、本明細書で記載した治療方法で使用するために適した量で混合することができる。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組合せである。さらに、所望するならば、この組成物は、活性成分の効果を増強する微量の補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などを含有することができる。本発明の治療組成物は、その中の成分の薬学的に許容される塩を含むことができる。薬学的に許容される塩には、例えば、塩酸またはリン酸などの無機酸で形成された(ポリペプチドの遊離アミノ基で形成された)、あるいは酢酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸で形成された酸付加塩が含まれる。遊離カルボキシル基で形成された塩はまた、例えば、水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から得ることができる。環式ポリペプチドαv拮抗薬の調製で使用したとき、特に好ましいのはHCl塩である。生理学的に許容できる担体は、当業界で周知である。液体担体の例は、活性成分および水に加えて他の物質を含有しない、または生理学的pH値のリン酸ナトリウムなどの緩衝液、生理学的食塩水またはその両方、例えば、リン酸緩衝生理食塩水を含有する滅菌水性溶液である。さらに、水性担体は、複数の緩衝塩、ならびに塩化ナトリウムおよびカリウムなどの塩、デキストロース、ポリエチレングリコールおよびその他の溶質を含有することができる。液体組成物はまた、水に加えて、および水を除いた液相を含有することができる。このような追加的液相の例は、グリセリン、綿実油などの植物油および油中水型エマルジョンである。一般的に、例えば、抗体または抗体断片または抗体複合体の形態の免疫治療薬の治療有効量は、生理学的に許容される組成物で投与する場合、ミリリットル(ml)当たり約0.01マイクログラム(μg)から約100μg/ml、好ましくは約1μg/mlから約5μg/ml、通常約5μg/mlの血漿濃度を実現するために十分であるような量である。言い方を換えれば、投薬量は、1日または数日間毎日1回または複数回の投与で、約0.1mg/kgから約300mg/kg、好ましくは約0.2mg/kgから約200mg/kg、最も好ましくは約0.5mg/kgから約20mg/kgであり得る。免疫治療薬がモノクローナル抗体の断片または複合体の形態である場合、その量は完全な抗体の重量に対する断片/複合体の重量に基づいて容易に調節することができる。モル濃度での好ましい血漿濃度は、抗体拮抗薬約2マイクロモル(μM)から約5ミリモル(mM)、好ましくは、約100μMから1mMである。非免疫治療ペプチドまたはタンパク質ポリペプチド(例えば、IFN−アルファ)またはその他の類似の大きさの低分子である本発明の薬剤の治療有効量は一般的に、生理学的に許容される組成物で投与されるとき、ミリリットル(ml)当たり約0.1マイクログラム(μg)から約200μg/ml、好ましくは約1μg/mlから約150μg/mlの血漿濃度を実現するために十分であるようなポリペプチドの量である。モル当たり約500グラムの質量を有するポリペプチドをベースにして、モル濃度での好ましい血漿濃度は、ポリペプチド拮抗薬約2マイクロモル(μM)から約5ミリモル(mM)、好ましくは、約100μMから1mMである。好ましくは、本発明による化学物質拮抗薬または(化学物質)化学療法薬である(免疫治療薬でも非免疫治療ペプチド/タンパク質でもない)活性剤の一般的な投薬量は、体重キログラム当たり1日当たり10mgから1000mg、好ましくは約20から200mg、より好ましくは50から100mgである。好ましくは、本発明による化学物質拮抗薬または(化学物質)化学療法薬である(免疫治療薬でも非免疫治療ペプチド/タンパク質でもない)活性剤の好ましい投薬量は、患者1日当たり0.5mgから3000mg、より好ましくは患者1日当たり10から2500mg、特に患者1日当たり50から1000mg、あるいは体重キログラム当たり、好ましくは約0.1から100mg/kg、より好ましくは1mgから50mg/kg、好ましくは投薬単位当たり、より好ましくは1日当たり、または、体表面の平方メートル当たり、好ましくは0.5mgから2000mg/m2、より好ましくは5から1500mg/m2、特に50から1000mg/m2である。好ましくは、投薬単位当たり、より好ましくは1日当たりである。
本発明の好ましい対象は、隔離器官灌流によって癌を治療するための医薬品を製造するための、少なくとも1種のインテグリンリガンド、好ましくは本明細書で記載した少なくとも1種のインテグリンリガンドの使用である。好ましくは、前記医薬品は、前記インテグリンリガンドとは異なる少なくとも1種の癌組合せ治療薬と併用して使用するべきである。好ましくは、前記少なくとも1種の癌組合せ治療薬は、本明細書で記載した化学療法薬、細胞傷害剤、免疫調節薬および/または免疫毒性薬、より好ましくは本明細書で記載した化学療法薬から選択される。より好ましくは、前記少なくとも1種のインテグリンリガンドは、シクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMe−Val)および/または薬学的に許容されるそれらの誘導体、溶媒和物および/または塩を含む。特に好ましくは、前記少なくとも1種のインテグリンリガンドは、シクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMe−Val)、薬学的に許容されるそれらの誘導体、薬学的に許容されるそれらの溶媒和物および薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される。好ましくは、灌流する隔離器官は、肝臓、肺、腎臓、骨盤、胸膜、膵臓および四肢からなる群から選択される。本発明で治療すべき癌は、好ましくは本明細書で記載したような癌種または腫瘍種から選択される。
したがって、本発明の好ましい対象は、隔離器官灌流によって癌を治療するための医薬品を製造するための、シクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMe−Val)および/または薬学的に許容されるそれらの誘導体、溶媒和物および/または塩からなる群から選択された少なくとも1種のインテグリンリガンドの使用である。好ましくは、前記医薬品は、前記インテグリンリガンドとは異なる少なくとも1種の癌組合せ治療薬と併用して使用するべきである。好ましくは、前記少なくとも1種の癌組合せ治療薬は、本明細書で記載した化学療法薬、細胞傷害剤、免疫調節薬および/または免疫毒性薬、より好ましくは本明細書で記載した化学療法薬、特に好ましくはメルファラン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドセタキセル、パクリタキセル、ブレオマイシン、5FUおよびTNFαからなる群、ヘルセプチン、ベバシズマブ、セツキシマブおよびニモツズマブからなる群、および/またはソラフェニブ、スニチニブおよびZD6474(ZACTIMA(商標))からなる群から選択される。
好ましくは、隔離器官は、肝臓、肺、腎臓、骨盤、胸膜、膵臓、および四肢からなる群から選択され、好ましくは肝臓である。治療すべき癌または腫瘍は、好ましくは本明細書で記載したものから選択され、特に好ましくは肝臓の肝細胞癌である。
患者に投与するシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)、薬学的に許容されるそれらの誘導体、溶媒和物および/または塩、好ましくはシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)および/または薬学的に許容されるそれらの塩の量は、当業者によって容易に決定することができる。しかし、以下に挙げた量で投与することが好ましい。
一般的に、患者に投与するシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)および/または薬学的に許容されるそれらの塩、好ましくはシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)の量は、少なくとも50mg/m2、好ましくは少なくとも100mg/m2、より好ましくは少なくとも250mg/m2であるが、一般的に5000mg/m2未満、好ましくは4000mg/m2未満、特に好ましくは2500mg/m2未満、例えば、約120mg/m2、約240mg/m2、約360mg/m2、約480mg/m2、約600mg/m2、約1200mg/m2、約1800mg/m2または約2400mg/m2の量で、好ましくは1回または1投与である。好ましくは、このような量は、患者に1週間に1回から7回、より好ましくは1週間に1回から5回、特に1週間に1回から3回、例えば1週間に1回または2回投与する。
したがって、患者に投与するシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)および/または薬学的に許容されるそれらの塩、好ましくは患者に投与するシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)の量は、好ましくは1週間当たり300から8000mg、より好ましくは800mgから7000mgの間である。
本発明の好ましい態様では、1週間当たり患者に投与するシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)および/または薬学的に許容されるそれらの塩、好ましくはシクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal)の量は、各投与について約500mg(ちょうど)または約2000mg(ちょうど)とほぼ等しい量で投与される。好ましくは、このような量は、患者に1週間に1回から7回、より好ましくは1週間に1回から5回、特に1週間に1回から3回、例えば1週間に1回または2回投与する。
しかし、本発明によって灌流する隔離器官の種類および/または大きさに応じて、患者1日当たり、mg/kg体重および/または患者の体表面の平方メートル(m2)当たりで前記に挙げた量の一部のみ、例えば、前記で挙げた量の1/2、前記で挙げた量の1/3、前記で挙げた量の1/4または前記で挙げた量の1/10を適用することが有利であり得る。これは、好ましくは癌の組合せ治療薬を意味する。これはまた、隔離器官灌流に限って、または本質的に限って使用するとき、好ましくは特定のインテグリンリガンドを意味する。前述の量の一部のみの適用は、隔離器官灌流の場合、全身的に投与される特定のインテグリンリガンドには適用しないことが好ましい。
本発明の好ましい対象は、隔離器官灌流によって癌を治療するための医薬品を調製するための、本明細書で記載したような少なくとも1種のインテグリンリガンドおよび本明細書で記載した前記インテグリンリガンドとは異なる少なくとも1種の癌組合せ治療薬の使用である。
本発明の好ましい対象は、隔離四肢(肢体)灌流によってそれを必要とする対象における癌を治療するための少なくとも1種のインテグリンリガンドおよび前記インテグリンリガンドとは異なる少なくとも1種の癌組合せ治療薬の使用である。
本発明の特に好ましい対象は、隔離器官灌流によって癌、好ましくは本明細書で記載したような癌を治療するための医薬品を製造するための、本明細書で記載した少なくとも1種のインテグリンリガンドの使用である。
本明細書で記載した方法および/または使用において、医薬品は、好ましくは、前記インテグリンリガンドとは異なる少なくとも1種の癌組合せ治療薬と併用して、好ましくは前述の少なくとも1種の癌組合せ治療薬と併用して使用するべきである。
本明細書で記載した方法および/または使用において、少なくとも1種の特定のインテグリンリガンドは、好ましくは、シクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMe−Val)および/または薬学的に許容されるそれらの誘導体、溶媒和物および/または塩を含むか、またはより好ましくはこれらからなる。
本明細書で記載した方法および/または使用において、隔離器官は、好ましくは、肝臓、肺、腎臓、骨盤、胸膜、膵臓および四肢からなる群から選択される。
本明細書で記載した方法および/または使用において、前記インテグリンリガンドとは異なる少なくとも1種の癌組合せ治療薬は、好ましくは、メルファラン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドセタキセル、パクリタキセル、ブレオマイシン、5FUおよびTNFαからなる群から選択された1種または複数を含む。
本明細書で記載した方法および/または使用において、前記インテグリンリガンドとは異なる少なくとも1種の癌組合せ治療薬は、好ましくは、ハーセプチン、ベバシズマブ、セツキシマブ、ニモツズマブ、ソラフェニブ、スニチニブおよびZD6474からなる群から選択された1種または複数を含む。
本明細書で記載した方法および/または使用において、少なくとも1種の特定のインテグリンリガンドは、好ましくは、本明細書で記載したような時限投与で投与される。
実施例
以下の実施例は、当業者が本発明を理解するのを支援するために例示のために挙げられている。この実施例は、特許請求の範囲によって与えられた保護の範囲を制限するものではない。化合物について例示された特徴、特性および利点およびこの実施例で定義された用途は、実施例で具体的に記載および/または定義されていないその他の化合物および用途には割り当てることができるが、特許請求の範囲で定義されているものの範囲に入る。
実施例1:軟部組織同型ラット肉腫BN175の隔離四肢灌流による治療における、生物学的作用因子TNFαを併用した、または併用しないシレンギチド(=シクロ−(Arg−Gly−Asp−DPhe−NMeVal))とアルキル化剤メルファランとの相乗作用
免疫適格性ラットの後肢にBN175同系軟部組織肉腫を移植する。腫瘍の体積が500mm3に達したとき、四肢を隔離し、治療物質で20分間還流する。洗浄後、四肢を血行路に再度連結し、動物を回復させる。
治療実験には、大量瞬時投与および灌流段階が含まれる。シレンギチド(「MP」)がボーラス(50mg/kg)として投与される場合、曲線は「ipMP」と表示され、その他は「no ip」と表示される。灌流段階の間、シレンギチドが存在するか、またはしないならばMPまたはShamで示される。条件は全て、灌流中にメルファラン(10μg/ml)を含有し、「mel」によって示される。図1のグラフからわかるように、シレンギチドおよびメルファランの組合せは、相乗相互作用によって劇的な正の効果をもたらす。
灌流段階がTNFαおよびメルファラン(mel+TNF)を含有すること以外は、図2は図1のように計画される。図2のグラフ(22)および(24)からわかるように、シレンギチドおよびメルファラン+TNFの組合せはまた、相乗相互作用によって劇的な正の効果をもたらす(さらに詳細には図2および以下の解説を参照)。
図3および図4はそれぞれ、治療5日後および10日後における、前記の図1および図2の平均的な曲線に含まれる個々の動物の状態をまとめた図である。
腫瘍体積についてLog2の目盛であることに注意されたい。略号は前記の通りである。この場合、+/−ペプチド(+Pep、−Pep)は、大量瞬時投与および灌流(+)または灌流無し(−)として与えられたシレンギチドを意味し、灌流液の添加はSham(媒体)、T(TNFα10μg/ml)、M(メルファラン−10μg/ml)、T+M(TNFα+メルファラン)として示されている。
10日目まで対照群の腫瘍が非常に増殖したため、多くの動物は倫理的な理由で殺処分された。
ヒト患者における治療効果は、このラットの相同分子種モデルにおける5日目に認められた効果に対応している。10日目(図4)の効果は、極めて著しく、実験者によって非常に正であると見なされた。