JP2009525744A - リソソーム蓄積疾患を治療するための組成物及び方法 - Google Patents

リソソーム蓄積疾患を治療するための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、少なくとも1つの細胞透過性ペプチド(CPP)と融合又は結合したリソソームペプチドを含むキメラポリペプチドに関する。また、リソソーム蓄積障害(LSD)を患っている患者を治療する方法が本発明によって提供される。

Description

発明の分野
本発明は、概して、リソソーム蓄積障害(lysosomal storage disorder:LSD)を治療するための組成物及び方法に関し、より具体的にはLSDに対する酵素補充療法の効率を高めるための細胞透過性ペプチド(cell−penetrating peptide:CPP)の使用に関する。
発明の背景
酵素補充療法(「ERT」)は、欠損酵素を外因的に供給することからなり、ある種のリソソーム蓄積障害に対する最も成功した治療的アプローチであった。この治療法は、マンノース−6−リン酸受容体を媒介したエンドサイトーシス経路を介したリソソーム酵素を摂取する細胞の能力に依存する。
哺乳動物細胞では、2つのタイプのマンノース6−リン酸受容体(「M6PR」)が知られている:インスリン様増殖因子II受容体(IGF−IIR)としても知られている約270kDaのカチオン非依存性MRP(CI−MPR)、及び46kDaのカチオン依存性MPR(CD−MPR)である。両方とも、タイプIの糖タンパク質であって、リソソーム酵素、及びホスホマンノシル残基を含む他のタンパク質に高い結合親和性を有する。CI−及びCD−MPRは、大部分は細胞内に見出され、そこでは、ゴルジから前リソソームコンパートメントにマンノース−6−リン酸(「M6P」)発現タンパク質を標的とする主要な役割を果たす(Griffithsら,J.Cell Sci.95:441−461(1990))。両受容体はまた、細胞表面に存在するが、IGF−II/CI−MP受容体は、M6P含有分子への結合及び取り込みのための主要な受容体であると考えられている(Steinら,EMBO J.6:2677−2681(1987);Maら,J.Biol.Chem.266:10589−10595(1991))。IGF−II/CI−MP受容体は、細胞及び組織に偏在的に発現しているが、多くの研究では、この受容体の発現レベルは、組織特異的であり、発生学的に調節されていることが示されている(Hawkes及びKar,Brain Res.Rev.44:117−140(2004))。
リソソーム蓄積障害は、通常、特定の1個の重要な酵素の欠陥によって引き起こされる40を超える遺伝性疾患のグループである。酵素活性のこの喪失は、リソソーム内でスフィンゴ脂質、グリコーゲン、ムコ多糖類又は糖タンパク質などの非分解性基質の進行的な蓄積をもたらし、結果として細胞小器官の固化(engorgement)に至る。これは、細胞及び組織損傷、続く臓器機能不全、ある疾患では早死へと導く。IGF−II/CI−MP受容体のリガンド結合特性に基づいて、最近の臨床試行は、組換え酵素を用いた酵素補充療法がこのようなリソソーム蓄積疾患(ファブリー及びゴーシェ疾患)を患っている患者の治療に主に臨床的な利点を構成することが示されている(Desnick及びSchuchman,Nat.Rev.Genet.3:954−966(2002),Erratum in;Nat Rev Genet.4:157(2003);Sly,Mo.Med.101:100−104(2004))。
それにもかかわらず、効率的な治療法は、M6Pグリコシル化したタンパク質の十分な内在化及び標的化を可能にするM6Pグリシル化した組換えタンパク質の高服用量を必要とする。M6PR発現は、ERTに対する主要な標的組織である骨格筋では低く、血液脳関門を通過するM6PRによって媒介される輸送システムの加齢に関連した喪失が観察され、治療、特にある種のLSDに観察される神経学的徴候に問題である(Funkら,J.Clin.Endocrinol.Metab.75:424−431(1992);Rabenら,Mol.Genet.Metab.80:159−169(2003);Urayamaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.101:12658−12663(2004);Wenkら,Biochem.Int.23:723−731(1991))。さらに、ERTに用いられる組換えタンパク質は、費用のかかる哺乳動物系によって合成しなければならず、時々、M6Pを含む組換え酵素は修飾されにくい(Zhuら,J.Biol.Chem.279:50336−50341(2004))。
さらに、CHO細胞において産生される組換え酸性アルファ−グルコシダーゼは、ポンペ病の動物モデルにおける影響を受けた筋肉への輸送を高めるために、M6P−糖質部分の直接的な化学的結合によってリモデリングされる必要があることが示されている(Zhuら,Biochem.J.20:(2005))。
M6Pタグの固有の部位に高親和性でIGF−IIを結合するIGF−II/CI−MPRの能力を用いて、LeBowitzら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.101:3083−3088(2004))は、グリコシル化依存性標的化を回避するためにヒトIGF−II(60アミノ酸)から「GIL Tタグ」と命名されたポリペプチド配列を設計した。GIL Tタグ配列は、ベータ−グルクロニダーゼ遺伝子に融合させ、エンドサイトーシスを媒介したIGF−II/CI−MP受容体の内在化の喪失なしに組換え酵素の輸送を可能にする(特許出願WO02/087510及びWO03/102583も参照されたい)。
PCT特許出願WO02/055684及びXiaら(Nat.Biotechnol.19:640−644(2001))は、Tatタンパク質形質導入ドメイン(Tat47-57及びTat57-47)に連結したリソソーム酵素を含む組換えタンパク質形質導入ドメイン(PTD)融合タンパク質を開示している。著者らは、インビトロにおいて、TatのPTDを用いてCOOH末端で修飾したベータ−グルクロニダーゼが、(M6Pによる天然のベータ−グルクロニダーゼの取り込みの全体の阻害と比較して)M6P依存性及び非依存性のエントリーを可能にすることを示した。しかしながら、このタンパク質を輸送するためのTatペプチドの能力は、マウスに注入された組換えウイルスベクターを用いることによってインビボで評価された。
PCT特許出願WO04/108071は、キメラ中枢神経系(CNS)標的ポリペプチドに関し、リソソーム酵素(例えばベータ−グルクロニダーゼ)などのペイロード(payload)ポリペプチドドメイン、並びに、例えばアポリポタンパク質B、アポリポタンパク質E又はインスリン様増殖因子由来の血管脳関門(BBB)受容体結合ドメインを含む。しかしながら、BBB受容体結合ドメインは、細胞透過性ペプチドであるとは考えられていない。
Oriiら(Mol.Ther.12:345−352(2005))は、安定にトランスフェクトしたCHO細胞の分泌物から精製したヒト・ベータ−グルクロニダーゼの組換え形体を用いて、天然(ホスホマンノシル化)酵素と、11個のアミノ酸のHIV Tatタンパク質形質導入ドメインを含むベータ−グルクロニダーゼ−Tat C末端融合タンパク質と比較した。産生された組換えベータ−グルクロニダーゼ−Tat融合タンパク質は、天然の酵素よりもリン酸化が少なかった(46%)。著者らは、ベータ−グルクロニダーゼ−Tat融合タンパク質が、培養したヒト線維芽細胞による天然のベータ−グルクロニダーゼ取り込みよりも約50%多くの取り込みを示すことを見出した。著者らはまた、天然のベータ−グルクロニダーゼ取り込みはM6P受容体によって排他的に媒介されるが、ベータ−グルクロニダーゼ−Tat融合タンパク質はM6P受容体媒介の取り込みと比較してほんの30〜50%を示し、細胞表面のプロテオグリカン類への正に帯電したTatペプチドの結合を介した吸着的なエンドサイトーシスによって取り込まれることを示した。
しかしながら、リソソーム酵素補充療法、即ちリソソーム酵素の細胞への輸送を改善する方法はなおも必要である。
発明の概要
本発明は、少なくとも1つの細胞透過性ペプチド(CPP)に融合又は結合したリソソームペプチドを含むキメラポリペプチドに関する。また、本発明によって、リソソーム蓄積障害(LSD)を患っている被験者を治療する方法が提供される。
一局面では、本発明は、少なくとも2つのドメインが互いに融合又は結合したキメラポリペプチドを提供する:第1ドメインは、生体膜を通過し、リソソームへの能動輸送を促進する細胞透過性ペプチドを含み、第2ドメインは、リソソーム酵素を含む。
本発明の組成物は、部分的には、ある種のCPPが輸送分子を生体膜を通過させてリソソームへの輸送を可能にするという発見に基づいている。
好ましくは、CPPは、少なくとも4個の塩基性アミノ酸を含み、及び/又はヘパリン、ヘパリン硫酸又はコンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカンに結合する。
好都合には、本発明はまた、マンノース−6−リン酸(M6P)非依存的にリソソーム酵素(例えば、ベータ−グルクロニダーゼ)などの治療化合物をリソソームに標的化することを可能にする。
本発明はまた、細胞透過性ペプチドをコードするヌクレオチド配列に融合したリソソーム酵素をコードするポリヌクレオチド(DNA又はRNA)を提供する。CPPをコードするヌクレオチド配列は、遺伝子コード内に含まれる情報に基づいて、当業者によって決定することができる。
他に規定がなければ、本明細書中に使用されている全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同じであるか又は同等である方法及び材料は本発明の実施又は試験に用いることができるが、適切な方法及び材料は下記に記載されている。本明細書中に言及されている全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、全体として参照により援用される。不一致の場合には、定義を含む本明細書が調整する。
発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも1つの細胞透過性ペプチドに融合又は結合したリソソーム酵素を含むキメラポリペプチドを提供する。本発明のキメラポリペプチドまたはこれらのキメラポリペプチドをコードする核酸は、組成物、好ましくは医薬組成物に取り込まれ、リソソーム蓄積障害(LSD)を患っている被験者に投与することができる。したがって、本発明は、いずれかの順番でキメラポリペプチドに現れ得る少なくとも2つのポリペプチドドメインを含むキメラポリペプチドを提供し、該キメラポリペプチドは、各ドメインを1以上含む。
本明細書中で使用するとき、「キメラポリペプチド(単数または複数)」は、非リソソームペプチド(例えば、CPP)に連結された少なくとも1つのリソソーム酵素を含む。
用語「連結した(coupled)」は、リソソーム酵素が、非リソソームペプチド、例えばCPPなどに「融合」又は「結合」されることを指す。CPPは、リソソーム酵素のN末端又はC末端に連結(融合又は結合)することができる。
用語「融合した」は、本発明のキメラポリペプチドが両ドメイン(即ち、リソソーム酵素及びCPP)を含む融合タンパク質として合成され得ることを指す。キメラポリペプチドをコードする核酸に言及するように使用される場合、用語「融合した」とは、第1及び第2ドメインをコードする核酸が遺伝子操作によって互いにフレームに合わせて融合されることを意味する。用語「結合した」とは、キメラポリペプチドの第1及び第2ドメイン(即ち、リソソーム酵素及びCPP)が化学的に連結され;最も典型的には、少なくとも1つの融合がリソソーム酵素と関連することができるような方法で、ペプチド結合などの共有結合を介して連結されることを指すことが意図される。この結合は、架橋試薬を介して達成することができる。
本明細書中で使用するとき、用語「リソソーム酵素」は、リソソームと呼ばれる細胞内小器官で生物学的に活性であり、リソソーム蓄積障害(LSD)と関連付けられている天然に抽出されるか又は組換え的に産生されるリソソーム酵素を包含するものとして解釈しなければならない。リソソーム酵素は、エンドサイトーシスの経過中に細胞によって取り込まれる高分子(即ち、巨大分子)及び他の材料(細菌など)を分解(即ち、崩壊)する。「生物学的に活性な」とは、酵素がリソソーム蓄積障害(LSD)の症状を抑制し、阻害し、又はLSD遺伝子欠損を救出する能力を有する酵素を意味する。生物学的に活性なリソソーム酵素は、酸性−アルファ−1,4−グルコシダーゼ;ベータ−ガラクトシダーゼ;ベータ−ガラクトシダーゼA;ベータ−ヘキソサミニダーゼA;ベータ−ヘキソサミニダーゼB;GM2活性化タンパク質;グルコセレブロシダーゼ;アリールスルファターゼA;アリールスルファターゼB;ガラクトシルセラミダーゼ;酸性スフィンゴミエリナーゼ;コレステロール;酸性セラミダーゼ;酸性リパーゼ;アルファ−L−イズロニダーゼ;イズロニダーゼ・スルファターゼ;ヘパリンN−スルファターゼ;アルファ−N−アセチルグルコサミニダーゼ;アセチル−CoA−グルコサミニド・アセチルトランスフェラーゼ;N−アセチルグルコサミン−6−スルファターゼ;ガラクトサミン−6−スルファターゼ;ベータ−グルクロニダーゼ;アルファ−マンノシダーゼ;ベータ−マンノシダーゼ;アルファ−L−フコシダーゼ;N−アルパルチル−ベータ−グルコサミニダーゼ;アルファ−ノイラミニダーゼ;リソソーム防御タンパク質;アルファ−N−アセチル−ガラクトサミニダーゼ;N−アセチルグルコサミン−1−ホスホトランスフェラーゼ;シスチン輸送タンパク質;シアル酸輸送タンパク質;パルミトイル−タンパク質チオエステラーゼ;サポシンA、B、C又はD;カテプシンタンパク質ファミリーを含む群から選択される。リソソーム酵素は、ヒト、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ又はマウスなどのいずれかの種類から誘導されてもよい。
1つの特定の好ましいリソソーム酵素は、ベータ−グルクロニダーゼである。ヒト非ホスホマンノシル化ベータ−グルクロニダーゼの分子量は、約70kDa/サブユニットである。
用語「リソソーム酵素誘導体」は、上記で定義される天然の(又は天然に存在している)リソソーム酵素のいずれかの形体を含むことが意図され、該ポリペプチド鎖内の1以上のアミノ酸は、代替のアミノ酸で置換され、及び/又は1以上のアミノ酸は欠失され、又は1以上の追加のアミノ酸は、前記リソソーム酵素のポリペプチド鎖又はアミノ酸配列に添加され、なおも天然のリソソーム酵素の少なくとも1つの機能を有し、即ち、なお生物学的に活性である。リソソーム酵素誘導体は、所定の天然のリソソーム酵素と比較して、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%〜85%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95〜99%のアミノ酸配列相同性を示す。2つのアミノ酸配列間の「相同性」を計算するのに適切な多くのコンピュータプログラムは、一般に当業者に知られ、例えば、スコアリングマトリックスBLOSUM62を選ぶBLSATプログラム(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)がある。
用語「リソソーム酵素」及び「リソソーム酵素誘導体」は、本明細書中では相互に交換可能に用いられる。
リソソーム酵素は、ホスホマンノシル化(即ち、リン酸化)又は非ホスホマンノシル化(即ち、非リン酸化)されて用いることができる。リソソーム酵素の生合成中、酵素は、小胞体でグリコシル化され、ゴルジで高マンノースグリカン上でリン酸化される。ホスホマンノシルユニット取得は、M6PRへの酵素の結合、その後のリソソームへの転移を可能にする。好ましい態様によれば、リソソーム酵素は、非ホスホマンノシル化されて用いられる。
本発明に使用するためのリソソーム酵素は、Sigma−Aldrich、Prozymeなどの多数の商業的供給源から得ることができる。
リソソームポリペプチド又はリソソーム酵素若しくはその誘導体をコードする核酸は、任意のリソソーム酵素アミノ酸配列または当該技術分野において知られているコード配列を用いて構築することができる。このような配列の供給源には、UniProtKB/Swiss−Prot Databaseが含まれる。例えば、ある種のホモサピエンスの酵素のSwiss−Prot受け入れ番号が与えられる:ベータ−グルクロニダーゼP08236;アルファ−L−イズロニダーゼP35475;グルコシルセラミダーゼ/酸性ベータ−グルコシダーゼP04062;酸性スフィンゴミエリナーゼP17405;アルファ−ガラクトシダーゼA P06280;ガラクトセレブロシダーゼP54803;シアリダーゼ1 Q99519;リソソーム・アルファ−マンノシダーゼO00754;ベータ−マンノシダーゼU60337;及び、カテプシンK P43235。
「リソソーム蓄積障害」(LSD)は、限定されないが、糖原病、例えばポンペ病;糖脂質症、例えばGM1ガングリオシドーシス、GM2ガングリオシドーシスAB変異体;トレイ−サックス(Tray−Sachs)病、サンフホッフ(Sanfhoff)病、ファブリー病、ゴーシェ病、異染色性白質ジストロフィー、クラッベ病、A型、B型又はC型ニーマン・ビック病、ファーバー病、ウォルマン病;ムコ多糖障害、例えばフルラー症候群(MPS IH)、シャイエ症候群(MPS IS)、フルラー−シャイエ症候群(MPS IH/S)、ハンター症候群(MPS II)、サンフィリポA(MPS IIIA)、B(MPS IIIB)、C(MPS IIIC)又はD(MPS IIID)症候群、モルキオA(MPS IVA)又はB(MPS IVB)症候群、マロトー・ラミー症候群(MPS VI)、スライ症候群(MPS VII);オリゴ糖/糖タンパク質障害、例えばアルファ−マンノシドーシス、ベータ−マンノシドーシス、フコシドーシス、アスパルチルグルコサミン尿症、シアリドーシス(ムト脂質I)、ガラクトシアリドーシス(ゴールドバーグ症候群)、シンドラー病;リソソーム酵素輸送障害、例えばムコ脂質症II(I−細胞病)、ムコ脂質症III(偽フルラーポリジストロフィー);リソソーム膜輸送障害、例えばシスチン蓄積症、サラ病、小児性シアル酸蓄積病;又はバッテン病(若年性神経セロイドリポフスチン症)、小児性神経セロイドリポフスチン症、ムト脂質症IV、プロサポシンを含む。
用語「細胞透過性ペプチド(単数または複数)」(CPP(単数または複数))は、生体膜又は生理的な障壁を横切ることができる担体ペプチドとして定義される。細胞透過性ペプチドはまた、細胞透過性(permeable)ペプチド、タンパク質形質導入ドメイン(protein−transduction domain:PTD)又は膜転移配列(membrane−translocation sequence:MTS)と呼ばれている。CPPは、インビトロ及び/又はインビボにおいて、哺乳動物細胞膜を転移し、細胞及び/又は細胞核に入る能力を有し、対象とする結合した化合物、例えば薬物又はマーカーを所望の細胞の目的地に指向する。したがって、CPPは、リン脂質、ミトコンドリア、エンドソーム又は核の膜を横切る、対象とする化合物の透過性を指向又は促進することができる。CPPはまた、細胞外から細胞膜を通じて細胞質に、又は細胞内の所望の位置、例えばリソソーム、核、リボソーム、ミトコンドリア、小胞体、又はペルオキシソームに対象とする化合物を指向することができる。代わりに又は加えて、CPPは、血液脳関門、経粘膜関門、血液骨液関門、血液網膜関門、皮膚障壁、胃腸管障壁及び/又は肺障壁を横切る対象とする化合物を指向することができる。
生体膜又は生理学的な障壁を横切る透過性は、種々のプロセス、例えば、培養細胞の存在下でマーカーに結合したCPPに対する第1のインキュベーション工程を有する細胞透過性試験、続く、固定化工程、次に、細胞内のペプチドの存在の露呈によって測定することができる。別の態様では、露呈工程は、標識された抗体の存在下でCPPのインキュベーションにより行い、CPPに対して指向し、細胞質で又は細胞核のごく近傍又は核内でも、CPPのアミノ酸配列と標識した抗体との間の免疫学的反応の検出によって行うことができる。また、露呈は、CPP内のアミノ酸配列をマークし、細胞コンポーネント中のそのマークの存在を検出することによって行うことができる。細胞透過性試験は、当業者に周知である。しかしながら、例えば、細胞透過性試験は、上述した特許出願WO97/02840に記載されている。
いくつかのタンパク質及びそれらのペプチド誘導体は、細胞の内在化特性を有することが発見され、限定されないが、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1)タンパク質Tat(Rubenら,J.Virol.63,1−8(1989))、ヘルペスウイルス・テグメントタンパク質VP22(Elliott及びO’Hare、Cell 88,223−233(1997))、キイロショウジョウバエ・アンティナペディアのホメオティックタンパク質(このCPPはペネトラチンと呼ばれる)(Derossiら,J.Biol.Chem.271,18188−18193(1996))、プロテグリン1(PG−1)抗菌ペプチドSynB(Kokryakovら,FEBS Lett.327,231−236(1993))及び塩基性線維芽細胞増殖因子(Jans,Faseb J.8,841−847(1994))が含まれる。多数の他のタンパク質及びそれらのペプチド誘導体はこれらのタンパク質から誘導され、互いに配列相同性はほとんどないが、全てにおいて非常にカチオン性であり、アルギニン又はリジンに富んでいる。実際に、合成ポリアルギニンペプチドは、高レベルの効率で内在化されることが示されている(Futakiら,J.Mol.Recognit.16,260−264(2003);Suzukiら,J.Biol.Chem.(2001))。
CPPは、任意の長さであってもよい。例えば、CPPは、長さにして500、250、150、100、50、25、10、6又は4個以下のアミノ酸である。例えば、CPPは、長さにして4、6、10、25、50、100、150、250又は500個のアミノ酸である。CPPの適切な長さ及び設計は、当業者によって容易に決定される。CPPに関する一般的な参考文献として、Ulo Langel編集のCELL PENETRATING PEPTIDES:PROCESSES AND APPLICATIONS(2002);又は、Advanced Drug Delivery Reviews 57:489−660(2005)。
好ましい態様では、CPPは、長さにして6、7、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24又は25個のアミノ酸である。
本発明に係る細胞透過性ペプチドは、限定されないが、後述されるもの又はそれらの改変体であり得る。「改変体」は、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは約80〜85%、好ましくは少なくとも約90%、及び最も好ましくは約95〜99%同一である。例えば、ペプチドは、1、2、3、4以上の残基で置換を有していてもよい。CPPは、それらの天然の形体(例えば、上述される)又はポリマー形体(二量体、三量体など)で用いることができる。
Figure 2009525744
Figure 2009525744
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必要に応じて、いくつかの周知な化学的ストラテジーは、インビボにおいて安定性、生物学的利用能及び/または生物学的活性の上昇を伴う薬物候補をCPPに形質転換するために、当業者によって用いることができる;例えば:
− エキソペプチダーゼ分解を防ぐためのN及びC端の修飾:
○ C端のアミノ化
○ N端のアセチル化はペプチド脂溶性を増加する、
− ジスルフィド架橋の形成による環化、
− エンドペプチダーゼ分解を防ぐためのアミド窒素のアルキル化、
− エンドペプチダーゼの認識部位を修飾するための非天然アミノ酸の導入(2−メチルアラニン、アルファ−ジアルキル化グリシン、オリゴカルバメート、オリゴウレア、グアニジノ又はアミジノ骨格・・・)、
− CPPアミノ酸配列内に遺伝子的にコードされていないアミノ酸の導入(グリシン又はフェニルアラニンのメチル化、ハロゲン化又は塩素化)、
− いくつか又は全てのLアミノ酸をそれらの対応するD−アミノ酸又はベータ−アミノ酸類似体で置換すること。このようなペプチドは、「インベルソ(inverso)」又は「レトロ−インベルソ」形体として、即ち、配列のL−アミノ酸をD−アミノ酸で置換することによって、又はアミノ酸の配列を反転させ、L−アミノ酸をD−アミノ酸で置換することによって合成することができる。構造的には、レトロ−反転(inverse)ペプチドは、単一のD−類似体よりも元々のペプチドに非常に類似している。D−ペプチドは、ペプチダーゼに対して実質的により耐性であり、したがって、それらのL−ペプチド対応物と比較して血清及び組織でより安定である。好ましい態様では、L−アミノ酸を含有するCPPは、エキソペプチダーゼ破壊を阻害するために1個のD−アミノ酸でキャップされる。
− CPP誘導のオリゴカルバメートの合成;オリゴカルバメート骨格は、相対的に堅いカルバメート基を介して連結されたキラルエチレン骨格からなる(Choら,Science 261:1303−1305(1993))
別の態様では、CPPは、隣接するか又は隣接してない塩基性アミノ酸又はアミノ酸類似体、特にグアニジル又はアミジニル部分を含む。用語「グアニジル」及び「グアニジン」は、相互交換的に用いられ、式−HN=C(NH2)NH(非プロトン化形体)を有する部分をいう。例として、アルギニンは、グアニジル(グアニジノ)部分を含み、また、2−アミノ−5−グアニジノ吉草酸又はa−アミノ−6−グアニジノ吉草酸と呼ばれる。用語「アミジニル」及び「アミジノ」は、相互交換的に用いられ、式−C(=NH)(NH2)を有する部分をいう。「塩基性アミノ酸又はアミノ酸類似体」は、pKaが10を超える側鎖を有する。好ましい高い塩基性アミノ酸はアルギニン及び/又はリジンである。
好ましい態様では、本発明に係るCPPは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の塩基性アミノ酸又はアミノ酸類似体、特にリジン及びアルギニンを含む。
より好ましい態様によれば、CPPは、さらに、生体膜を横切る能動輸送を促進する及び/又はグリコサミノグリカン(GAG)類(繰り返し二糖単位を含む長鎖の未分岐分子)、又は具体的にはヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸若しくはコンドロイチン硫酸およびそれらの誘導と反応又は結合する能力によって特徴付けられる。「ヘパリン、ヘパラン硫酸又はコンドロイチン硫酸誘導体」又は「グリコサミノグリカン類」は、参考文献(Cardin及びWeintraub,Arteriosclerosis 9:21(1989);Mertonら,Annu.Rev.Cell Biol.8:365(1992);David,FASEB J.7:1023(1993))に引用された刊行物に定義されるいずれかの生成物又は副産物を意味するものと理解される。
グリコサミノグリカン(GAG)類と反応及び/又は結合するCPPの能力は、当該技術分野において直接的又は間接的なグリコサミノグリカン結合アッセイ、例えば、PCT特許出願WO00/45831に記載されているペプチドグリコサミノグリカン結合についてのアフィニティー同時電気泳動(ACE)によって測定可能である。当該技術分野において周知ないくつかの他の方法は、GAG−ペプチド相互作用を分析するために利用可能であり、例えば、PCT特許出願WO01/64738又はWeisgraber及びRall(J.Biol.Chem.,262(33):11097−103)(アポリポタンパク質B−100を用いた具体例);又は、改変したELISA試験による方法である:96ウェルプレートは、特定のGAG(コンドロイチン硫酸A、B及びC、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヒアルロン酸、ケラチン硫酸、シンデカン)で被覆し、次に、マーカーに結合したペプチドは所定時間添加される;過度に洗浄後、ペプチド結合はマーカーに関連した特定の分析を用いて測定される。
インビトロ及び/又はインビボでグリコサミノグリカン類と反応することができるCPPは、特許出願WO01/64738及びWO05/016960に、並びにDe Coupadeら(Biochem J.390:407−18(2005))に記載されている。これらのペプチドは、下記:リポタンパク質、例えばヒトアポリポタンパク質B又はE(Cardinら,Biochem.Biosphys.Res.Com.154:741(1988))、アグリン(agrine)(Campanelliら,Development 122:1663−1672(1996))、インスリン増殖因子結合タンパク質(Fowlkesら,Endocrinol.138:2280−2285(1997))、ヒト血小板由来増殖因子(Maherら,Mol.Cell.Biol.9:2251−2253(1989))、ヒト細胞外スーパオキシド・ジスムターゼ(EC−SOD)(Inoueら,FEBS 269:89−92(1990))、ヒトヘパリン結合上皮細胞増殖因子様増殖因子(HB−EGF)(Arkonacら,J.Biol.Chem.273:4400−4405(1998))、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)(Frommら,Arch.Biochem.Bioph.343:92(1997))、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)(Yayonら,Cell 64:841−848(1991))、ヒト腸内ムチン2配列(Xuら,Glyconjug J.13:81−90(1996))、ヒトガンマインターフェロン(Lortat−Jacob & Grimaud,FEBS 280:152−154(1991))、ヒトインターロイキン12のサブユニットp40(Hasanら,J.Immunol.162:1064−1070(1999))、間質細胞由来の因子1−α(Amaraら,J.Biol.Chem.272:200−204(1999))、ヒト好中球誘導の「ヘパリン結合タンパク質」(CAP 37/アズロシジン)(Pohlら,FEBS 272:200−204(1990))、免疫グロブリン因子、例えば抗DNAモノクローナル・マウス抗体F4.1のCDR2及び/又はCDR3領域(Avrameasら,Proc.Natl.Acad.Sci.95:5601(1998))、ヒト抗DNAモノクローナル抗体RTT79の超可変CDR3領域(Stevensonら,J.Autoimmunity 6:809(1993))、ヒト抗DNAモノクローナル抗体NE−1の超可変領域CDR2及び/又はCDR3(Hirabayashiら,Scand.J.Immunol.37:533(1993))、ヒト抗DNAモノクローナル抗体RT72の超可変領域CDR3(Kalsiら,Lupus 4:375(1995))を含む群から選択されるヒトヘパリン結合タンパク質及び/又は抗DNA抗体が起源であるアミノ酸配列である。
より好ましい態様によれば、CPPは、a)(XBBBXXBX)n;b)(XBBXBX)n;c)(BBXmBBXp)n;d)(XBBXXBX)n;e)(BXBB)n;f)(BmXX)n及びg)(抗体断片)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、ここで、Bは、塩基性アミノ酸、好ましくはリジン又はアルギンであり;Xは、非塩基性アミノ酸、好ましくは疎水性アミノ酸、例えばアラニン、グルタミン酸、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、チロシン又はバリンであり;各mは、独立して、0〜5の整数であり;各nは、独立して、1〜10の整数であり;各pは、独立して、0〜5の整数である。ある種の態様では、nは、2又は3であってもよく、Xは、疎水性アミノ酸であってもよい。抗体断片は、全長未満の免疫グロブリンポリペプチド、例えば重鎖、軽鎖、Fab、Fab2、Fv又はFcを含むことが意味される。抗体は、例えばヒト又はマウスであってもよい。好ましくは、抗体は、抗DNA抗体である。好ましくは、抗体断片は、抗体のCDR2領域の全部又は部分、特に抗DNA抗体のCDR2領域の少なくとも一部を含む。あるいは、抗体は、抗体のCDR3領域の全部又は部分、特に抗DNA抗体のCDR3領域の少なくとも一部を含む。より具体的には、抗体断片は、抗DNAヒト抗体の少なくとも1つのCDR3領域、例えばRTT79、NE−1及びRT72を含む。このような抗体断片は、PCT特許出願WO99/07414に記載されている。より好ましくは、抗体は、細胞型特異的な核酸輸送を達成するために特異的なリガンド認識(即ち、標的化)特性を有する。
好ましくは、本発明に係るCPPは、さらに、ヒトのタンパク質(即ち、ヒト細胞によって自然に発現されるタンパク質)が起源であることによって特徴付けられる。したがって、ヒト以外のタンパク質由来のCPPと比較して、ヒトのタンパク質由来のCPPの特徴は、これらのCPPの計画的使用において第一の対象となり、これは、それらの免疫原性が回避され、又は低下されるためである。さらに、De Coupadeら(Biochem J.390:407−18(2005)は、ヒト由来のペプチドが、Tatペプチドなどの既存の癌ペプチド(Trehin及びMerkle,Eur.J.Pharm.Biopharm.58,209−223(2004)とは異なり、治療用輸送システムとしてのそれらの使用と一致して、低いインビボ毒性プロフィールを有することを示した。
上述したCPPの中で、細胞質、具体的には細胞のリソソームに特に浸透することができるものである。リソソームへのCPPの浸透は、当業者に周知なインビトロでの種々のプロセス:例えば、インビトロで細胞とともにCPPをインキュベートすることによって測定することができる;次に、細胞は特異的な抗CPP標識抗体及び特異的な抗リソソームタンパク質標識抗体の存在下でインキュベートされ、その後、CPPと標識した抗体との間の免疫学的な反応をリソソーム中で検出する。別の方法は、CPPをコロイド金に結合し、この結合体を細胞とともにインキュベートすることである。次に、細胞を常法通りに電子顕微鏡用に処理し、細胞内の局在を視覚化する。
好ましくは、CPPは、生体膜を横切る能動輸送を促進するアミノ酸配列を含み、4個を超えるアミノ酸、好ましくは6個を超えるアミノ酸の長さを有する。好ましくは、CPPはまた、500個未満のアミノ酸、好ましくは25個未満のアミノ酸を有する。
したがって、好ましいCPPは、ヒトのヘパリン結合タンパク質由来であって、標的細胞の細胞質内に特に透過することができるものであって、下記を含む群から選択される:
−DPV3(配列番号2):ヘパリンと反応し、ヒトの細胞外スーパーオキシド・ジスムターゼ(EC−SOD)の配列(Inoueら,FEBS 269:89−92(1990))のC末端部分由来のペプチドの二量体と反応するCPP。好都合には、本出願人は、共有結合したDPV3ペプチドがインビトロで細胞のリソソームにおいて外因性ベータ−グルクロニダーゼのマンノース6−リン酸受容体非依存性輸送を媒介することができる。さらに、本出願人はまた、DPV3−酵素血具体が、M6P/ベータ−グルクロニダーゼ細胞内輸送を有意に強め、細胞内でGAGレベルの効率的な減少を可能にする。DPV3は、式f)(BmXX)n(ここで、m=6、n=2、Xは、グルタミン酸及びセリンを含む群ら選択される)のアミノ酸配列を含む。
−DPV6(配列番号3):ヘパリンと反応し、ヒト血小板由来増殖因子のA鎖のC末端部分のアミノ酸配列から誘導されたCPP(Maherら,Mol.Cell.Biol.9:2251−2253(1989))。DPV6は、式c)(BBXmBBXp)n(ここで、m=0、p=0及びn=1)のアミノ酸配列を含む。
−DPV7(配列番号4)及びDPV7b(配列番号5):ヘパリンと反応し、ヒトのヘパリン結合上皮細胞増殖因子様増殖因子(HB−EGF)の配列(Arkonacら,J.Biol.Cham.273:4400−4405(1989))のC末端部分由来のCPP。DPV7及びDPV7bは、式c)(BBXmBBXp)n(ここで、m=0、p=0、及びn=1のアミノ酸配列を含む。
−DPV3/10(配列番号6):ヘパリンと反応し、ヒト細胞外スーパーオキシド・ジスムターゼ(EC−SOD)の配列(上記参照)のC末端部分及びヒト腸内ムチン2配列(Xuら,Glyconjug J.13:81−90(1996))のC末端部分由来のCPP。DPV3/10は、式c)(BBXmBBXp)n(ここで、m=1、p=2、及びn=1)のアミノ酸配列を含む。
−DPV10/6(配列番号7):ヘパリンと反応し、ヒト腸内ムチン2配列(上記参照)、及び血小板由来増殖因子のA鎖(上記参照)のC末端部分由来のCPP。DPV10/6は、式c)(BBXmBBXp)n(ここで、m=1、p=2、及びn=1)のアミノ酸を含む。
1つの特定の関心のあるCPPは、DPV3である。
CPP及びリソソーム酵素は、当該技術分野において知られているいずれかの適切な方法で化学的カップリングにより結合/連結され得る。多くの知られている化学的な架橋法は非特異的であり、即ち、それらは、CPP又は適切なリソソーム酵素上のいずれかの特定の部位にカップリングする点に指向しない。結果として、非特異的な架橋試薬の使用は、官能部位を攻撃するか又は活性部位を立体的にブッロクし、結合したタンパク質を生物学的に不活性にさせ得る。リソソーム酵素は、末端の1つ(N若しくはC末端)の上、又はアミノ酸の側鎖若しくはアミノ酸の1つの上のいずれかでCPPに直接カップリングすることができる。リソソーム酵素はまた、ペプチドの末端の1つ、又はアミノ酸の側鎖若しくはアミノ酸の1つのいずれかに接続アームによって間接的にカップリングされ得る。
カップリング特異性を高める1つの方法は、架橋されるべきポリペプチドの1つ又は両方においてたった1回、又は数回見出される官能基に直接化学的にカップリングすることである。例えば、多くのタンパク質では、システインは、チオール基を含む唯一のタンパク質アミノ酸であり、数回だけ発生する。また、例えば、ポリペプチドは、リジン残基を含まない場合、第1級アミンに特異的な架橋試薬は、そのポリペプチドのアミノ末端に対して選択的である。カップリング特異性を高めるためのこのアプローチの成功した利用は、分子の生物学的活性の喪失なしに変更され得る分子の領域において、ペプチドが適切に稀に反応性の残基を有することを必要とする。
システイン残基は、ポリペプチド配列の部分において生じる場合に置き換えられてもよく、そこでは、架橋反応におけるそれらの参加は、他には、生物学的活性と干渉しそうである。システイン残基が置換されると、典型的には、ポリペプチド・フォールディングにおいて生じる変化を最小限にすることが望まれる。ポリペプチド・フォールディングの変化は、置換がシステインと化学的及び立体的に同じである場合に最小化される。これらの理由で、セリンは、システインの置換として好ましい。下記の実施例に示されるように、システイン残基は、架橋目的のためのポリペプチドアミノ酸配列に導入することができる。システイン残基が導入されると、アミノ末端又はカルボキシ末端で又はその近傍の導入が好ましい。従来の方法は、対象とするポリペプチドが組換えDNAの化学合成又は発現によって生産されようとも、このようなアミノ酸配列の修飾に利用可能である。
2つの構成物のカップリングは、架橋試薬を介して達成することができる。利用可能ないくつかの分子間架橋試薬があり、例えば、Means及びFeeney,CHEMICAL MODIFICATION OF PROTEINS(登録商標),Holden−Day,1974,pp.39−43を参照されたい。これらの試薬には、例えば、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)又はN,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド(両者は、スルフヒドリル基に非常に特異的であり、不可逆的な連結を形成する);N,N’−エチレン−ビス−(ヨードアセトアミド)又は6〜11個の炭素メチレンブリッジを有する他のこのような試薬(スルフヒドリル基に相対的に特異的である);及び、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(アミノ基及びチロシン基を有する不可逆的な連結を形成する)がある。本目的に有用な他の架橋試薬には、p,p’−ジフルオロ−N,N’−ジニトロジフェニルスルホン(アミノ基及びフェノール基と不可逆的な架橋を形成する);アジピン酸ジメチル(アミノ基に特異的である);フェノール−1、4−ジスルホニルクロリド(主にアミノ基と反応する);ヘキサメチレンジイソシアネート又はジイソチオシアネート、又はアゾフェニル−p−ジイソシアネート(主にアミノ基と反応する);グルタールアルデヒド(いくつかの異なる側鎖と反応する)及びジスジアゾベンジジン(主にチロシン及びヒスチジンと反応する)が含まれる。
架橋試薬は、同じ反応を受けるホモ二官能性、即ち2つの官能基(即ち、反応基)を有するものであってもよい。ホモ二官能性架橋試薬の例は、ビスマレイミドヘキサン(「BMH」)である。BMHは、2つのマレイミド官能基を含み、穏やかな条件(pH6.5〜7.7)でスルフヒドリル含有化合物と特異的に反応する。2つのマレイミド基は、炭化水素鎖によって連結される。したがって、BMHは、システイン残基を含むポリペプチドの不可逆的な架橋に有用である。
架橋試薬はまた、へテロ二官能性であってもよい。ヘテロ二官能性架橋試薬は、2種の官能基、例えば、アミノ反応基とチオール反応基を有し、それぞれ遊離アミン及びチオールを有する2つのタンパク質を架橋する。好ましいヘテロ二官能基は、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(「SMCC」)、N−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(「MBS」)、及びスクシンイミド4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(「SMPB」)、MBSの伸長鎖類似体である。これらの架橋試薬のスクシンイミジル基は、アミド結合を形成する第1級アミンと反応し、チオール反応性マレイミドは、システイン残基のチオールとチオールエーテルの共有結合を形成する。
架橋試薬は、多くの場合、水への溶解性が低い。スルホン酸基などの親水性部分は、架橋試薬に添加されて、その水溶性を改善することができる。スルホ−MBS及びスルホ−SMCCは、水溶性に関して修飾された架橋試薬の例である。
多くの架橋試薬は、細胞条件下で本質的に開裂できない結合体を生じる。しかしながら、いくつかの架橋試薬は、ジスルフィドなどの共有結合を含み、細胞条件下で開裂可能である。例えば、Traut試薬、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(「DSP」)、及びN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(「SPDP」)は、周知な開裂性架橋試薬である。別の例は、ヒドラジン誘導体、例えば4−(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)、4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシル−ヒドラジド(M22H)、又は3−(2−ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド(PDPH)である。開裂性架橋試薬の使用により、標的細胞への輸送後にCPPからリソソーム酵素を分離することが可能となる。直接的なジスルフィド連結もまた有用であり得る。
上記で検討したものを含む多数の架橋試薬は市販されている。それらの使用のための詳細な取扱説明書は、販売業者から容易に利用可能である。タンパク質の架橋及び結合体の調製に関する一般的な参考文献は、Wong,CHEMISTRY OF PROTEIN CONJUGATION AND CROSS−LINKING,CRC Press(1991)である。
化学的架橋は、スペーサーアームの使用を含む場合がある。スペーサーアームは、結合したドメイン間の分子間柔軟性を提供するか又は分子間距離を調節し、それにより、生物活性を保存する手助けをすることができる。スペーサーアームは、スペーサーアミノ酸、例えばプロリンを含むポリペプチドドメインの形体であってもよい。あるいは、スペーサーアームは、「長鎖SPDP」(Pierce Chem.Co.,Rockford,IL.,cat.No.21651H)などの架橋試薬の部分であってもよい。
キメラポリペプチドは、1以上の追加のドメインに連結することができる。例えば、キメラポリペプチドは、キメラポリペプチドがGST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)配列のC末端に融合するGSTタンパク質に付加的に連結されてもよい。このような融合タンパク質は、キメラポリペプチドの精製を促進し得る。
本発明の一態様では、CPPは、リソソーム酵素に対して強い自然の親和性を有する少なくとも1つの分子(「アンカー分子」と呼ばれる)によってリソソーム酵素に連結される。リソソーム酵素に対するアンカー分子の自然の親和性は、CPPをリソソーム酵素と非共有的に相互作用させることができ、したがって細胞内移動において一緒にそれを運搬させることができる。このタイプのカップリングの本質的に関心のある別の利点は、リソソーム酵素に対するアンカー分子の自然の親和性により、これらの2つのエレメントは、化学的及び生化学的な相互作用なしに全体的に自然な方法で連結れる。
あるいは、キメラポリペプチドは、既知の適切な宿主細胞で都合良く発現され得るCPP及び適切なリソソーム酵素配列を含む融合ポリペプチドとして遺伝子操作によって生産可能である。融合ポリペプチドは、本明細書に記載されているように、標準的な組換えDNA技術に類似しているか又は容易に適合可能な方法で形成され、用いることができる。したがって、本発明は、本発明のリソソーム酵素及びCPPをコードしている核酸分子及び核酸配列を含む発現ベクターを提供し、下記を参照されたい。利用可能な多数の発現ベクターがあり、当業者は適切なベクターを容易に選択することができる。さらに、遺伝子操作に関する標準的な実験室マニュアルは、組換えDNA法、発現ベクターを作製し、使用する方法を提供する。例えば、LSDを治療又は予防するための組換え遺伝子輸送ベクターの使用は、PCT特許出願WO00/73482及びWO02/055684に記載されている。
所望により、1以上のアミノ酸は、CPPを含む第1ペプチドドメインと適切なリソソーム酵素を含む第2ポリペプチドドメインとの間に付加的に挿入することができる。ある態様では、第1又は第2ドメインは、CPPとリソソーム酵素との結合を促進する配列を含む。
本発明の範囲は、リソソーム蓄積障害(LSD)の治療又は予防のための薬剤を製造するための本発明のキメラポリペプチドの使用に拡張する。
本発明はまた、リソソーム蓄積障害(LSD)の治療又は予防が望まれる被験者に、該被験者において該疾患を治療又は予防するのに十分な量で本発明のキメラポリペプチドを含む組成物を投与することによるリソソーム蓄積障害を治療又は予防するための方法を提供する。いずれかの組成物は、組成物の0.1%〜99%、好ましくは1%〜70%の有効量の本発明のキメラポリペプチドを含むことができる。例として、本発明のキメラポリペプチドの服用量は、それらが指示された効果のために用いられる場合、組成物当たり約0.05〜1,000mg、好ましくは0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100.0、250.0、500.0mgである。
治療の有効性は、LSDを診断又は治療するための任意の既知の方法と関連させて測定される。本発明を説明するための選択された酵素的実験モデルに基づいて、本発明は、7型ムコ多糖沈着症(又はMPS VII)の治療又は予防が望まれる被験者に、該被験者において該疾患を治療又は予防するのに十分な量で、ベータ−グルクロニダーゼと融合若しくは結合したグリコサミノグリカン(GAG)類又はそれらの機能的類似体と反応することができるCPPを含む組成物を投与することによる7型ムコ多糖沈着症害を治療又は予防するための方法を提供する。被験者は、任意の哺乳動物、例えばヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタであり得る。
本発明のキメラポリペプチド、又はこれらのポリペプチドをコードする核酸分子(本明細書中では「治療薬」又は「活性化合物」とも呼ばれる)、それらの誘導体、断片、類似体及び同族体は、投与に適した医薬組成物に組み込むことができ;このような組成物は、医薬として許容される担体を含む。
本明細書中で使用するとき、「医薬として許容される担体」は、医薬としての投与と適合した任意及び全ての溶媒物、分散媒体、被覆剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張性及び吸収遅延剤などを含むことが意図される。適切な担体は、参照により本明細書中に援用される、この分野では標準的な参考テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されている。このような担体又は希釈剤の好ましい例には、限定されないが、水、生理食塩水、フィンガー溶液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンが含まれる。リポソーム及び非水性ビヒクル、例えば固定油もまた使用することができる。このような媒体及び医薬として活性な物質のための薬物の使用は、当該技術分野において周知である。任意の従来の媒体又は薬物が活性な化合物と不適合である場合を除いて、組成物におけるその使用が意図される。補足的な活性な化合物もまた組成物に組み込むことができる。
本発明の医薬組成物は、意図された投与経路に適合するように調合される。投与経路の例には、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(即ち、局所)、経粘膜、及び直腸内投与が含まれる。非経口、皮内、又は皮下適用のために用いられる溶液又は懸濁液には、下記の成分:無菌希釈剤、例えば注入用の水、生理食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン類;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩、及び等張を調製する物質、例えば塩化ナトリウム又はデキストロースが含まれる。pHは、酸又は塩、例えば塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて調整することができる。非経口調製物は、ガラス又はプラスチックで出来ているアンプル、ディスポーザブルシリンジ又は複数の投薬用バイアルに封入可能である。注射用途に適切な医薬組成物は、無菌の水溶液(水溶性である場合)又は分散液、及び無菌の注射用溶液又は分散液の即時調製のための無菌粉末を含む。静脈内投与については、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、CremophorEL(BASF,Parsippany,N.J.)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。全ての場合において、組成物は、無菌であり、容易な注入可能性(syringeability)が存在する程度まで流動的でなければならない。製造及び保存の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から防御しなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、及びそれらの適した混合物を含む溶媒又は分散媒体であり得る。
適切な流動性は、例えば、レイシチンの使用、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持可能である。微生物作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン類、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖類、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましい。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬物、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に含めることによって引き起こすことができる。
経口組成物には、一般に、不活性な希釈剤又は食用担体が含まれる。それらは、ゼラチンカプセルに取り込まれるか又は錠剤に圧搾され得る。経口による治療薬の投与の目的では、活性な化合物は、賦形剤とともに取り込まれ、錠剤、トローチ又はカプセルの形体で使用可能である。経口組成物はまた、うがい薬として使用するための流体担体を用いて調製することができ、ここで、流体担体中の化合物は、経口的に適用され、音を立て、吐き出されるか又は飲み込まれる。医薬として適合可能な結合剤、及び/又はアジュバント材料は、組成物の一部として含むことができる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、下記の成分のいずれか、又は類似の性質を有する化合物を含むことができる:結合剤、例えば微結晶性セルロース、ガムトラガンタ又はゼラチン;賦形剤、例えばスターチ又はラクトース、崩壊剤、例えばアルギン酸、プリモゲル(Primogel)又はコーンスターチ;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はステローツ(Sterotes);流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばスクロース又はサッカリン;又は香味剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジ・フレイバリング。吸入による投与に関しては、化合物は、適切な高圧ガス、例えば二酸化炭素などの気体を含む加圧容器若しくはディスペンサー、又は噴霧器からのエアロゾルスプレイの形体で輸送される。
全身投与はまた、経粘膜又は経皮手段によることが可能である。経粘膜又は経皮投与に関しては、透過されるべき障壁に適している透過剤は、製剤で用いられる。このような透過剤は、一般に当該技術分野において知られ、例えば、経皮投与については界面活性剤、胆汁塩、及びフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、鼻腔用スプレー又は坐薬の使用を通じて達成することができる。経皮投与については、活性な化合物は、当該技術分野において一般に知られている軟膏(ointment)、軟膏(salve)、ゲル、又はクリームに製剤化される。
組成物はまた、直腸内輸送のための坐剤(例えば、ココアバター及び他のグリセリド類などの伝統的な坐剤の基材を含む)又は直腸浣腸剤の形態で調製可能である。
一態様では、活性な化合物は、生体からの迅速な排出に対して化合物を保護する担体、例えば徐放制御製剤とともに調製することができ、インプラント及びマイクロカプセル化輸送システムが含まれる。生分解性、生体適合性ポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸を用いることができる。このような製剤を調製する方法は、当業者に明確である。
ある態様では、経口又は非経口組成物は、投与の容易性及び服用量の均一性のために服用単位形態で調合される。服用単位形態は、本明細書中で使用するとき、治療されるべき被験者に単一服用量として適している物理的に別個の単位を意味する;各単位は、必要とされる医薬的な担体と関連した所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性ナトリウム化合物を含む。本発明の服用単位形態の仕様は、活性な化合物の独特の特徴、達成されるべき特定の治療効果、個体を治療するためのこのような活性な化合物を化合する当該技術分野において備わっている制限によって影響され、直接的に依存している。
本発明の核酸分子は、ベクターに挿入し、遺伝子治療ベクターとして使用することができる。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与(例えば、米国特許第5,328,470号を参照)又は定位注射(例えば、Chenら,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057)によって被験者に輸送可能である。遺伝子治療ベクターの医薬調製物には、許容される希釈剤中の遺伝子治療ベクターが含まれ、又は遺伝子輸送ビヒクルが埋め込まれる叙放マトリックスを含むことができる。あるいは、完全な遺伝子輸送ベクターは、組換え細胞、例えばレトロウイルスベクターからそのまま生成することができる場合、医薬調製物は、遺伝子輸送システムを生成する1以上の細胞を含むことができる。
持続放出調製物は、所望により調整することができる。持続放出調製物の適切な例には、活性な化合物を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが含まれ、成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形体である。持続放出材料の例には、ポリエステル類、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド類(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とyエチル−L−グルタミン酸塩との共重合体、非分解性エチレン酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸共重合体、例えばLUPRON DEPOT(乳酸−グリコール酸共重合体及び酢酸ロイプロリドで構成される注射可能なマイクロスフェア)、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。
例として、本発明のキメラポリペプチドの経口服用量は、指示された効果のために使用される場合、経口経路では、約0.05〜1,000mg/日であり、好ましくは0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100.0、250.0、500.0及び1,000.0mgの活性成分を含む錠剤の形体となる。少なくとも1つの対象とする物質と一緒に取り込まれるベクター又はトランスポーターの有効な血漿レベルは、体重1kg当たり、1日に0.002mg〜50mgの範囲である。
本発明のキメラポリペプチド又はキメラポリペプチドをコードする核酸は、1日1回の服用形態で投与することができ、又は毎日の服用総回数は、1日当たり2、3又は4回の服用で投与されてもよい。
医薬組成物は、投与するための指示書とともに、容器、キット、パック、又はディスペンサーに含まれ得る。
したがって、本発明は、上述したものなどのCPPを供給することを目的とし、リソソーム中のリソソーム酵素(例えばベータ−グルクロニダーゼ)などの対象とする基質を取り込むことができるという事実によって特徴付けられる。より具体的には、本発明の被験者は、リソソームへの透過がそれに繋がれる対象とする基質の性質とは全く独立しているCPである。
本発明の別の局面は、本発明の融合ポリペプチドをコードする核酸、又はその誘導体、断片、類似体若しくは同属体を含むベクター、好ましくは発現ベクターに関連する。本明細書中で使用するとき、用語「ベクター」は、連結された別の核酸を運搬することができる核酸分子を意味する。ベクターの1タイプは、「プラスミド」であり、追加のDNAセグメントがライゲートされ得る直鎖状又は環状の二本鎖DNAループを意味する。ベクターの別のタイプは、ウイルスベクターであり、ここで、追加のDNA又はRNAセグメントは、ウイルスゲノムにライゲートされ得る。ある種のベクターは、組み込まれる宿主細胞(例えば、細菌の複製起源を有する細菌ベクター、及びエピソームベクター;酵母ベクター)に自己複製可能である。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物用ベクター)は、宿主細胞への導入により宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより宿主ゲノムとともに修復される。
さらに、ある種のベクターは、作動的に連結されるゲノムの発現を指向することができる。このようなベクターは、「発現ベクター」として本明細書において言及される。一般に、組換えDNA技術における実用性のある発現ベクターは、多くの場合、プラスミドの形体である。本明細書では、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般に用いられる形体であるので、相互交換的に用いることができる。しかしながら、本発明は、このような他の発現ベクターの形態、例えばウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ベクター)を含むことができ、同等の機能を提供する。さらに、いくつかのウイルスベクターは、特異的又は非特異的な特定の細胞型を標的にすることができる。
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適した形態で本発明の核酸を含み、それは、組換え発現ベクターが、発現用に用いられるべき宿主細胞に基づいて選択され、即ち、発現されるべき核酸配列に作動的に連結されている1以上の制御配列を含むことを意味する。組換え発現ベクターでは、「作動的に連結された」とは、対象とするヌクレオチド配列がヌクレオチド配列の発現を可能にする方法で(例えば、ベクターが宿主細胞に導入される場合、インビトロ転写/翻訳システム又は宿主細胞において)制御配列(単数または複数)に連結していることを意味することが意図される。用語「制御配列」は、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。このような制御配列は、例えば、Goeddel;GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)に記載されている。制御配列には、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指向するもの、ある種の宿主細胞だけにヌクレオチド配列(例えば、組織特異的な制御配列)の発現を指向するものが含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換されるべき宿主細胞の選択としてこのような因子、所望のタンパク質の発現レベルなどに依存し得ることは当業者に承認される。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され、それにより、本明細書に記載される核酸によってコードされる、融合タンパク質又はペプチドを含むタンパク質又はペプチド(例えば、キメラポリペプチド、キメラタンパク質の変異形態、融合タンパク質など)を産生することができる。
本発明の組換え発現ベクターは、原核細胞又は真核細胞におけるキメラポリペプチドの発現のために設計することができる。例えば、キメラポリペプチドは、細菌細胞、例えば大腸菌、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを用いる)、酵母細胞、植物細胞又は哺乳動物細胞において発現することができる。適した宿主細胞は、Goeddel,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)においてさらに検討されている。あるいは、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター制御配列及びT7ポリメラーゼを用いて、インビトロで転写及び翻訳され得る。原核生物におけるタンパク質の発現は、最も多くの場合、融合タンパク質又は非融合タンパク質の発現を指向する構成的な又は誘導可能なプロモーターを含むベクターを用いて大腸菌で実行される。融合ベクターは、多数のアミノ酸をそこにコードされるタンパク質、通常、組換えタンパク質のアミノ末端に添加される。このような融合ベクターは、典型的には、3つの目的:(1)組換えタンパク質の発現を高める;(2)組換えタンパク質の溶解性を増加する;及び(3)アフィニティー精製におけるリガンドとして作用することによって組換えタンパク質の精製を助けることを果す。多くの場合、融合発現ベクターでは、タンパク質分解的な開裂部位は、融合タンパク質の精製の後で、融合ドメインから組換えタンパク質の分離を可能にする融合ドメイン及び組換えタンパク質の結合で導入される。このような酵素、それらの同族の認識配列は、Xa因子、トロンビン及びエンテロキナーゼを含む。典型的な融合発現ベクターには、pGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith and Johnson,Gene 67:31−40(1988))、pMAL(New England Biolabs, Beverly,Mass)、及びpRIT5(Pharmacia,Piscataway,N.J.)が含まれ、それぞれ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、又はプロテインAを標的組換えタンパク質に融合する。
適した誘導可能な非融合の大腸菌発現ベクターの例には、pTrc(Amrannら,Gene 69:301−315(1988))及びpET 11d(Studierら,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.60−89(1990)。
大腸菌において組換えタンパク質の発現を最小にする1つのストラテジーは、組換えタンパク質をタンパク質分解的に開裂させる能力に障害がある宿主細菌においてタンパク質を発現させることである。Gottesman,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)119−128を参照されたい。別のストラテジーは、各アミノ酸に対する個々のコドンが大腸菌において優先的に利用されるものであるようにするため、発現ベクターに挿入されるべき核酸の核酸配列を改変することである(Wadaら,Nucleic Acids Res.20:2111−2118(1992))。本発明の核酸配列のこのような改変は、標準的なDNA合成技術によって実行することができる。
別の態様では、キメラポリペプチド発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母S.cerevisiaeにおける発現のためのベクターの例は、当該技術分野において周知である。
あるいは、キメラポリペプチドは、バキュロ発現ベクターを用いて昆虫細胞において発現可能である。
なお別の態様では、本発明の核酸は、哺乳動物の発現ベクターを用いて哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物細胞を用いて場合、発現ベクターの対照機能は、多くの場合、ウイルス制御エレメントによって提供される。例えば、通常用いられるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス及びシミアンウイルス40由来である。原核細胞及び真核細胞に関する他の適した発現システムについては、例えば、Sambrookら,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.第3版の第16章及び第17章,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(2001)を参照されたい。
別の態様では、組換え哺乳動物の発現ベクターは、特定の細胞型に優先的な核酸の発現を指向することができる(例えば、組織特異的な制御エレメントを用いて、核酸を発現させる)。組織特異的な制御エレメントは当該技術分野において知られている。
本発明の別の局面は、本発明の組換え発現ベクターが導入される宿主細胞に関連する。用語「宿主細胞」及び「組換え宿主細胞」は、本明細書において相互に交換可能に使用される。このような用語は、特定の被験者の細胞だけでなく、このような細胞の子孫又は潜在的な子孫にも言及することが理解される。ある種の修飾は、突然変異又は環境的な影響のいずれかにより、後世に起り得ることなので、このような子孫は、実際には、親株とは同一でなくてもよいが、本明細書において使用される用語の範囲内になお含まれる。さらに、宿主細胞は、キメラポリペプチドを発現する変更されたものであってもよく、元々の特徴を維持するか又は喪失してもよい。
宿主細胞は、任意の原核細胞又は真核細胞であり得る。例えば、キメラポリペプチドは、大腸菌、昆虫細胞、酵母又は哺乳動物細胞(例えばチャイニーズ・ハムスター・オバレイ細胞(CHO)又はCOS細胞)に発現可能である。あるいは、宿主細胞は、未成熟の哺乳動物細胞、即ち、多能性幹細胞であってもよい。他の適切な細胞は、当業者に知られている。
ベクターDNAは、伝統的な形質転換、形質導入、インフェクション又はトランスフェクション技術を介して原核細胞又は真核細胞に導入することができる。本明細書中で使用するとき、用途「形質転換」、「形質導入」、「インフェクション」及び「トランスフェクション」とは、宿主細胞に外来核酸(例えば、DNA)を導入するための当該技術分野において認識されている種々の技術、例えばリン酸カルシウム又は塩化カルシウム同時沈殿、DEAE−デキストラン媒介のトランスフェクション、リポフェクション又はエレクトロポレーションをいうことが意図される。さらに、トランスフェクションは、トランスフェクション試薬によって媒介することができる。「トランスフェクション試薬」とは、宿主細胞にDNAの導入を媒介する任意の化合物、例えばリポソームを含むことが意味される。宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトするための適切な方法は、Sambrookら(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.第3版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(2001))、及び他の実験室マニュアルに見出すことができる。
トランスフェクションは、「安定」(即ち、宿主ゲノムへの外来DNAの組込み)又は「一時的」(即ち、DNAは宿主細胞にエピソーム的に発現される)であり得る。
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションについて、使用される発現ベクター及びトランスフェクション技術に依存して、細胞の小画分だけが、それらのゲノムの外来DNAを組み込むことができ、該DNAの残りはエピソームのままである。これらの組み込み体を同定し、選択するためには、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に耐性である)をコードする遺伝子は、一般に、対象とする遺伝子とともに宿主細胞に導入される。種々の選択可能なマーカーには、薬剤、例えばG418、ハイグロマイシン及びメトトレキセートへの耐性を付与するものが含まれる。選択可能なマーカーをコードする核酸は、コードするベクターと同様のベクター上で宿主細胞に導入されるか又は別々のベクター上で導入されることができる。導入された核酸で安定にトランスフェクトされた細胞は、薬剤選択性により識別することができる(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を取り込んでいる細胞は生存し、その他の細胞は死滅する)。
別の態様では、キメラポリペプチドによって修飾された細胞又はトランスフェクトされた細胞は、内因性のレポーター遺伝子の発現の誘導により同定される。特定の態様では、プロモーターは、緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を駆動するリソソーム酵素プロモーターである。
実施例
本発明の他の利点及び特徴は、図面に言及する下記の実施例から明確となる。これらの実施例は、本発明を例証するためであり、特許請求の範囲を限定するために提供されるものではない。
I−材料及び方法
I−1 化合物
I−1−1 ペプチド
DPV3ペプチド(配列番号2)(BACHEMによって製造される)。このCPPは、受容体タンパク質を細胞質に輸送することが知られている(De Coupadeら,Biochem J.390:407−18(2005))。
DPV15bペプチド(配列番号12)(Neosystemによって製造される)。このCPPは、受容体タンパク質を核に輸送することが知られている(De Coupadeら,Biochem J.390:407−18(2005))。
I−1−2 酵素
非リン酸化酵素:大腸菌由来のベータ−グルクロニダーゼ(ベータ−glu)、VII−Aタイプ(Sigma #G7646)。この酵素は、ヒトのタンパク質と47%の相同性を示す。
リン酸化酵素:ウシ肝臓由来のM6P−ベータ−グルクロニダーゼ(M6P/ベータ−glu)(GLYKO #GKGAG−5007)。
I−1−3 細胞株
HeLa細胞(ATCC #CCL−2):子宮腺癌由来のヒト上皮細胞。細胞は、DMEM(Gibco BRL)+2mM L−グルタミン+1mMピルビン酸ナトリウム+10%熱不活性化ウシ胎児血清(FCS)中で培養した。
NIH/3T3細胞(ATCC #CRL−1658):NIH Swissマウス胚由来の不死化線維芽細胞。細胞は、DMEM(Gibco BRL)+2mM L−グルタミン+1mMピルビン酸ナトリウム+10%熱不活性化ウシ胎児血清(FCS)中で培養した。
MPSVII細胞:MPS−VIIのマウスモデル由来のAgT(SV40)形質転換線維芽細胞。これらの細胞は、ベータ−グルクロニダーゼ欠損線維芽細胞であり、Dr.J.M.Heard(Institut Pasteur,Paris,France)によって提供された。培養物は、DMEM(Gibco BRL)+2mM L−グルタミン+1mMピルビン酸ナトリウム+10%熱不活性化ウシ胎児血清(FCS)+1mg/mL G418(Sigma)中で維持された。
I−2 酵素へのDPVの化学的結合
同じ3工程の結合ストラテジーは、両タンパク質及び両ペプチドに対して使用された(図1)。第1工程は、架橋試薬N−マレイミドブチルアミンを用いた接近しやすいチオール機能のマスクを可能にした。次に、ヘテロ二官能性架橋試薬スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)は、酵素上の利用可能なリジンアミン類及びN−マレイミドブチルアミンのリンカーアミンとの反応を可能にした。ダイヤルろ過による過剰の架橋試薬の除去後、次に、DPVペプチドを添加し、そのチオール機能(N又はC末端システイン)をSMCCのマレイミド部分と反応させた。架橋した結合体は、SDS/PAGE(8%)−クーマシーブルーR−250染色、MALDI−TOF及びベータ−グルクロニダーゼ活性についてのアッセイによって分析した(下記の段落I−3を参照)(図2を参照されたい)。
I−3 インビトロのリソソーム酵素取り込みアッセイ
ベータ−グルクロニダーゼ欠損細胞(MPSVII細胞)は、6ウェルの培養ディッシュに播種し、24時間安定にさせた(80%コンフルエント)。酵素(即ち、DPVに結合させたベータ−グルクロニダーゼ又はなし)の添加前に、MPSVII細胞を前加熱したDMEMで一度洗浄した。酵素は、リン酸化酵素(1400ユニット/mL)については20μg/mLの濃度で、及びリン酸化されていない酵素(1500ユニット/mL)については50μg/mLの濃度で10%FCSを含む培地に添加した。37℃で16〜18時間のインキュベーション後、次に、培地を除去し、細胞をDMEMで2回洗浄した。次に、細胞を回収し、30μLの溶菌バッファー(10mM Tris−HCl、pH7.4;1mM EDTA、pH8.0;150mM NaCl;1% Triton X100;0.1% SDS;1mM PMSF;2μg/mLアプロチニン;10μg/mLリューペプチン;1μg/mLペプスタチン)中で30分間4℃で溶菌させた。細胞残骸物を12000g、4℃で15分間の遠心分離によって除去し、上清中のタンパク質濃度は、標準としてウシ血清アルブミンを用いてBradford法に基づいて、Bio−Radタンパク質アッセイを用いて測定した。上清中のベータ−グルクロニダーゼは、4−メチルウンベリフェリル−ベータ−D−グルクロニド(MUGluc)基質の加水分解に基づく、「FluorAce(商標)ベータ−グルクロニダーゼ受容体アッセイキット」(BIO−RAD #170−3151)を用いて定量した。経口は、蛍光光度計(355nm励起、460nm発光)を用いて測定した。蛍光値を用いて、4−メチルウンベリフェロン蛍光の較正曲線を用いてユニットを計算した。ベータ−グルクロニダーゼ活性の1ユニットは、1時間当たりに放出された1ナノモルの4−メチルウンベリフェロンとして定義された。特異的なベータ−グルクロニダーゼ活性は、1mgのタンパク質当たりのベータ−グルクロニダーゼユニットにおいて表された。
I−4 グリコサミノグリカン(GAG)類の定性的及び定量的分析
細胞を6ウェルの培養ディッシュに播種し、24時間安定にさせた(80%コンフルエント)。酵素(即ち、DPVに結合させたベータ−グルクロニダーゼ又はなし)の添加前に、細胞を前加熱したDMEMで一度洗浄した。タンパク質は、リン酸化酵素については50μg/mLの濃度で、及びリン酸化されていない酵素については50又は100μg/mLの濃度で1%FCSを含む培地に添加した。37℃で6時間のインキュベーション後、次に、培地を除去し、細胞をDMEMで2回洗浄した。次に、細胞を回収し、PBSで洗浄し、Kovaスライドでカウントした。定性分析については6.75×106細胞、定量分析については5×106細胞を回収し、1200rpmで5分間室温で遠心分離した。細胞プレートをパパイン(0.1Mリン酸ナトリウムバッファー中の2mg/mL、pH6.5、5mM L−システイン−HCl及び10mM EDTAを含む)とともに60℃で一晩インキュベートした。100℃で5分間加熱することによって反応を停止した。試料を室温まで冷却した。その後、残骸物は、マイクロ遠心分離(Biofuge−pico、Heraeus Instruments Inc.,Newtown,CT)で13000rpm、30分の遠心分離によって除去した。トリクロロ酢酸及びNaClをそれぞれ最大10%及び1Mの最終濃度で上清に添加した。形成した沈殿物はマイクロ遠心分離Biofuge−picoで13000rpm、30分の遠心分離によって除去した。GAGは、振とうしながら、2容積のエタノールを徐々に添加することによって上清から沈殿させた。−20℃で24時間後、沈殿物を4℃、1時間の遠心分離(19000g)によって回収し、真空乾燥させ、20μLのデオキシリボヌクレアーゼI(0.05mg/mL)、10mM Tris−HCl pH7.4、25mM MgCl2及び5mM CaCl2を含む溶液中に再懸濁させ、37℃で4時間インキュベートした。
GAGは、(Pavaoら,1998;Oba−Shinjoら,2003)に記載されるようにアガロースゲル電気泳動を用いて定量的に分析した。試料は、0.1容積の装填溶液(電気泳動バッファー/50%グリセロール)と混合し、即座に、予め作製したウェルに電気泳動バッファー下で積層した。GAGをアガロースゲル(0.5%、W/V)に適用し、0.05Mの1,3−ジアミノプロパン/酢酸バッファー(pH9.0)中、50V、2時間、4℃で実行した。ゲル中のGAGは、水中の0.1% N−セチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミドを用いて12時間固定した。ゲルを乾燥させ、酢酸/エタノール/水(0.1:5:5、V/V)中の0.1%トルイジンブルーを用いて24時間染色した。ゲルを酢酸/エタノール/水(0.1:5:5、V/V)中で15分間洗浄し、乾燥させた。Sigmaの標準GAGマーカーを用いた(ウシ腎臓由来のヘパラン硫酸[#H7640]、ブタ腸粘膜由来のデルマタン硫酸又はコンドロイチン硫酸B[#C3788]、及びコンドロイチン硫酸A又はコンドロイチン4−硫酸[#C8529])。
パパイン/DNAse I消化物中の硫酸化GAG濃度は、Farndaleら(1986)の1,9−ジメチルメチレンブルー(DMMB)染色結合アッセイの修飾によって測定した。呈色試薬は、1.52gグリシン、1.185g NaCl及び47.5mLの0.1M HClを含む500mLの水に8mgの1,9−ジメチルメチレンブルーを溶解させることによって調製し、A525が0.31であるpH3.0の溶液を得た。この試薬は茶色のボトル中、室温で保存した。試薬をH2O中で3倍に希釈した。二重の各試薬30μLを1.25mLのDMMB呈色試薬と混合し、525nmの吸光度を即座に読んだ。試料は、ブランク試料及び試料と同じ溶媒中のサケのコンドロイチン−4硫酸(0.5〜10μg/mL)に対して測定した。結果は、GAG量を100%として定義される未処理のMPSVII細胞と比較して表した。
I−5 培養中の細胞の発色染色
ベータ−グルクロニダーゼに対する組織化学的分析は、前述(Brusselbach,2004)に従って行った。MPSVII細胞は、Permanox Lab−Tek 8−チャンバースライド上で増殖させ、24時間放置した。酵素(DPV−ベータ−グルクロニダーゼ結合体)の添加前に、細胞を前加熱したDMEMを用いて1回洗浄し、2mM L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、10%FCS及び1mg/mL G418を含むDMEM中で、リン酸化タンパク質(10μg/mL)とともに4時間37℃でインキュベートした。次に、細胞をPBSで2回洗浄し、PBS中の0.1%グルタールアルデヒドとともに10分間室温でインキュベートすることによって固定した。細胞をPBSで3回リンスし、最小容積の染色溶液(0.1M酢酸ナトリウムバッファー、pH5;3mMフェリシアン化カリウム;3mMフェロシアン化カリウム;0.08% 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−ベータ−D−グルクロニドシクロヘキシルアンモニウム(X−Gluc))を用いて覆い、37℃で2〜24時間インキュベートした。 X−Glucとの組織化学的ベータ−グルクロニダーゼ反応は、インジゴ生成ブルー沈殿物を生じる。反応を終了させるために、染色溶液を除去し、細胞をPBSで2回リンスした。3.7%ホルムアルデヒド/PBSを用いて15分間、細胞を固定した。PBSで何度も洗浄後、PBS/50%グリセロール溶液の1滴をスライド上に置き、カバースリップ下でシールした。発色染色した細胞は、通常光(20X又は40Xレンズ)で光学Leica顕微鏡を用いて試験した。Nikon coolpix numericカメラ、最大ズーム及び0.63Xアダプターを用いて写真撮影した。
I−6 間接免疫蛍光染色
MPSVII細胞は、Permanox Lab−Tek 8チャンバースライド上で増殖させ、非リン酸化タンパク質とともに4時間37℃でインキュベートした。次に、細胞を冷やしたPBSで2回洗浄し、固定し、メタノール/アセトン溶液(3V/7V)中で10分間、−20℃でインキュベートすることによって透過させた。スライドは空気乾燥させた。2mg/mL BSA(Sigma)を含むPBSを用いて30分間ブロッキング後、細胞は、ウサギ抗細菌ベータ−グルクロニダーゼ抗血清(Molecular Probes−#A−5790)及びラット抗マウスLAMP−1モノクローナル抗体(BD Biosciences−#G−3060−05)を用いて室温で1時間インキュベートした。両方の一次抗体は、2mg/mL BSAを含むPBS中で1:200に希釈した。細胞は、2mg/mL BSAを含むPBS中で何度も洗浄し、2mg/mL BSAを含むPBS中の7.5μg/mLの濃度の二次抗体:TRITC結合ロバ抗ウサギIgG(Jackson ImmunoResearch−#711−025−152)及びFITC結合ロバ抗ラットIgG(Jackson ImmunoResearch−#712−095−150)を用いて30分間、室温でインキュベートした。PBSで何度も洗浄後、DAPI(Molecular Probes)を含むSlow Fade Light Antifadeキット溶液の一滴をスライド上に置き、カバースリップ下でシールした。細胞核は、DAPI対比染色によって視覚化した。免疫染色した細胞は、蛍光光学Leica顕微鏡(40X又は63Xレンズ)を用いて、適切なフィルターの組合せにより調べた。Nikon coolpixデジタルカメラ、最大ズーム及び0.63Xアダプターを用いて写真撮影した。二重染色実験については、同一の光学的断面を示した。
I−7 統計分析
統計分析(Dunnett test)は、GraphPad(登録商標)プリズム3.02ソフトウェアを用いて評価した。
結果
II−1 化学的結合
DPV3又はDPV15bペプチドは、材料及び方法に記載されるように、ベータ−グルクロニダーゼ(beta−glu)又はM6P/ベータ−グルクロニダーゼ(M6P/beta−glu)上に結合した。各結合体は、SDS−PAGE分析によって特徴付けられた(図2A)。DPV又は酵素試料であっても最大80%のDPV−酵素結合体が得られた。Maldi Tof分析は、酵素モノマー当たりのDPV数をチェックするために実行し、平均して1個のDPV配列は酵素モノマー当たり結合していることを示した(図2B)。酵素活性は、結合によって影響されないことを確かめるためにチェックした。全ての結合した酵素は、完全な活性を保持していることが示された(データ示さず)。Beta−glu酵素及びDPV−beta−glu酵素結合体は、タンパク質1mg当たり30,000ユニットの活性を示した。M6P/beta−glu及びDPV−M6P/beta−glu酵素は、タンパク質1mg当たり70,000ユニットの活性を示した。
II−2 DPVはMPSVII細胞によるベータ−グルクロニダーゼを媒介する
II−2−1 酵素取り込みの定量分析
酵素の内在化を可能及び/又は高めるDPVの能力を測定するために、MPSVII細胞によるDPV−ベータ−グルクロニダーゼ及びDPV−M6P/ベータ−グルクロニダーゼの取り込みを調べた。この目的を達成するために、タンパク質を培地に外から添加(約1500ユニット/mL)し、取り込みは、細胞質の細胞抽出物中のベータ−グルクロニダーゼ活性を定量することによって分析した。
ベータ−グルクロニダーゼ及びDPV3−ベータ−グルクロニダーゼ結合体の両方は内在化されることを見出したが、取り込まれた酵素活性は、結合していない酵素のものと比較して、DPV3−ベータ−グルクロニダーゼ結合体で3〜4倍高かった(図3A)。しかしながら、HeLa細胞で検出された活性レベルは到達しなかった。MPSVII細胞のDPV3−ベータ−グルクロニダーゼ結合体処理後、ベータ−グルクロニダーゼ活性は、HeLa細胞中で正常レベルの約30%であることが分かった。DPV15b−ベータ−グルクロニダーゼに関しては、ベータ−グルクロニダーゼアッセイでは細胞内酵素活性は検出されなかった。それにも関わらず、DPV15b−ベータ−グルクロニダーゼが内在化され、使用した溶菌バッファーによって回収されなかった細胞構造体に局在化するという可能性は排除できなかった。
M6P/ベータ−グルクロニダーゼは、前述(LeBowitzら,2004)されるように線維芽細胞内に正常に内在化された。M6P/ベータ−グルクロニダーゼへのDPV3結合は、MPSVII細胞による酵素の取り込みにおいて3倍の増加を可能にした。また、取り込みは、結合したDPV15bを用いて有意に増加したが、結合したDPV3よりも低いままであった。
したがって、DPV3は、両方の酵素(ベータ−グルクロニダーゼ又はM6P/ベータ−グルクロニダーゼ)と結合した場合に、細胞内への取り込みを増加することができた。
II−2−2 形質導入された酵素の細胞内局在化
内在化されたベータ−グルクロニダーゼ酵素の細胞内局在化をさらに試験するために、間接免疫蛍光染色を行った。MPSVII細胞は、50μg/mLの各タンパク質のある場合とない場合とで4時間37℃でインキュベートした。抗ベータ−グルクロニダーゼ抗体及び抗LAMP−1抗体(リソソームマーカー)を用いた二重免疫染色は、内在化したDPV3−ベータ−グルクロニダーゼが細胞質の多孔質構造に局在化し(図4,l)、LAMP−1リソソーム構造物(黄色のシグナル)とともに同時に局在化する(図4,k)することを明確に現した。DPV3−ベータ−グルクロニダーゼ結合体は、ベータ−グルクロニダーゼの内在化、及び最適活性について細胞の部位(リソソーム)へのベータ−グルクロニダーゼの標的化を可能にした。DPV15b−ベータ−グルクロニダーゼ結合取り込みに関して、本発明者らは、前述の試験に従って、DPV15bペプチドが核ペプチドベクターであることを示している酵素の核局在化を検出した(図4,M)。さらに、このベータ−グルクロニダーゼ取り込みの核局在化は、DPV15b−ベータ−グルクロニダーゼとともにインキュベートされたMPSVII細胞の細胞質抽出物におけるベータ−グルクロニダーゼ活性の欠損を説明することができた(図3A)。
免疫蛍光実験を行い、DPV3−ベータ−グルクロニダーゼ内在化を視覚化したが、この技術は、ウシ酵素と交差反応する特異的な抗体が利用できないため、ウシDPV3−M6P/ベータ−グルクロニダーゼを視覚化するために用いることができなかった。したがって、DPV3−又は非M6P/ベータ−グルクロニダーゼとともに4時間インキュベートした細胞の発色染色を行い、DPV3−M6P/ベータ−グルクロニダーゼの内在化及び活性を視覚化した。5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル・ベータ−D−グルクロン酸(X−gluc)試薬は、ベータ−グルクロニダーゼ活性の細胞内局在化に関する比色法を提供した。図5に示されるように、M6P/ベータ−グルクロニダーゼ及びDPV3−M6P/ベータ−グルクロニダーゼタンパク質の両方で処理された細胞の細胞質染色を観察した。染色強度は、M6P−ベータ−グルクロニダーゼを用いてインキュベートした細胞と比較して、DPV3−M6P−ベータ−グルクロニダーゼとともにインキュベートした細胞において有意に高い。この観察は、M6P/ベータ−グルクロニダーゼと比較したDPV3−M6P/ベータ−グルクロニダーゼ内在化の内在化活性において3倍増加を示した前述の実験と一致していた(図3)。
II−3 形質導入された酵素の生物活性のインビトロ特徴付け
DPV3ペプチドだけが、両方の酵素形体(リン酸化及び非リン酸化ベータ−グルクロニダーゼ)の取り込みの増加を可能にした。実験は、DPV3−ベータ−グルクロニダーゼ又はDPV3−M6P/ベータ−グルクロニダーゼの輸送がMPSVII細胞におけるグリコサミノグリカン(GAG)の減少を誘導することができるかどうかを評価するために行った。
予備的試験は、培養細胞において細胞の硫酸化GAGの定量を可能する分析法を定義するために開始した。材料及び方法に記載されるように、硫酸化GAGは、MPSVII及びHeLa細胞から抽出し、ジメチレンブルー染色−結合アッセイを用いて定量した。細胞抽出物の硫酸化GAGはまた、アガロースゲル電気泳動及びトルイジンブルー染色からなる定量法を用いて分析した。MPSVII細胞における硫酸化GAGレベルは、HeLa細胞よりも約10倍大きかった(図6A)。MPSVII細胞から抽出した主要な多糖は、一本の均質な異染性バンドとしてアガロースゲル上で移動し、哺乳動物のデルマタン硫酸(DS)とコンドロイチン硫酸A(CSA)との間に移動した。HeLa抽出物では硫酸化GAGは見られなかった。これらの結果は、欠損ベータ−グルクロニダーゼ細胞について説明される病理学と一致している(GAG蓄積)。
GAG保存プロセスにおける内在化したベータ−グルクロニダーゼの効果は、DPV3結合酵素とともにインキュベートしたMPSVII細胞における硫酸化GAGレベルを測定することによってさらに調査した。M6P/ベータ−グルクロニダーゼへのDPV3の結合は、M6P/ベータ−グルクロニダーゼ単独又はDPV3(5μg/mlのタンパク質、6時間)と組み合わせたものと比較して、MPSVII細胞において見られる細胞内GAGの分解を有意に改善した(各アッセイで約1.6倍;n=3)(図7)。
ベータ−グルクロニダーゼ酵素上のCPP(例えば、DPV)のキメラ結合体を示す。 DPV3−ベータ−グルクロニダーゼ結合体の分析を示す。A:ベータ−グルクロニダーゼ(1)、ベータ−グルクロニダーゼ−Mal−NH2中間体(2)、ベータ−グルクロニダーゼ−Mal−NH−SMCC中間体(3)、及びベータ−グルクロニダーゼ−Mal−NH−SMCC−DPV3(DPV3−ベータ−グルクロニダーゼ)(4)のSDS−PAGE分析。タンパク質は、還元条件下で8%ゲル上で分離した。ゲルは、材料及び方法に記載されるようにクーマシーブルーで染色した。B:ベータ−グルクロニダーゼ及びDPV3−ベータ−グルクロニダーゼのMALDI−TOF質量分析。38〜98kDaの範囲の質量が期待される。 MPSVII細胞質抽出物におけるベータ−グルクロニダーゼ活性を示す。MPSVII細胞は、未処理(対照)であるか、あるいは(A)非ホスホマンノシル化ベータ−グルクロニダーゼ(ベータ−Glu)又はDPV(3若しくは15)−ベータ−グルクロニダーゼ結合体(50μg/mL);又は(B)ホスホマンノシル化ベータ−グルクロニダーゼ(M6P/ベータ−Glu)又はDPV(3若しくは15)−ベータ−グルクロニダーゼ結合体(20μg/mL)を用いて、16〜18時間37℃で指示されるようにインキュベートされた。HeLa細胞は、内部対照として用いた。数値は、抽出タンパク質の1mg当たり、1時間における加水分解された基質(MUGluc)のnmolとして表現され、3回を超える実験の平均±SEMを示す。*:非結合の酵素と比較した有意差(p<0.05)。***:非結合の酵素と比較した有意差(p<0.001)。 DPV3−及びDPV15b−ベータ−グルクロニダーゼの取り込み及び細胞内局在化を示す。MPSVII細胞は、パネルの左に示されるように、未処理(対照)であるか、又は4時間37℃でタンパク質(50μg/mL)を用いてインキュベートされた。次に、細胞を固定し、抗ベータ−グルクロニダーゼpAb(A、E、I及びM)及び抗LAMP−1mAb(B、F、J及びN)を用いて染色し、続いてTRITC標識した抗ウサギIgG抗体(A、E、I及びM)及びFITC標識した抗ラットIgG抗体(B、F、J及びN)とともにインキュベートした。重ねた画像は、第3のカラムに示され、DAPI対比染色は第4カラムに示される。 MPSVII細胞におけるM6P/ベータ−グルクロニダーゼ及びDPV3−M6P/ベータ−グルクロニダーゼの細胞内局在化及び活性を示す。細胞は、両酵素とともに4時間37℃でインキュベートされた;細胞を洗浄し、0.1%グルタールアルデヒドで固定し、X−glucと一緒にインキュベートした。ベータ−グルクロニダーゼ活性は、不溶性インドキシル分子二量体(インジゴ染色)の酵素的開裂の部位で沈着により視覚化された。未処理細胞はネガティブであった(データ示さず)。顕微鏡倍率:X40。 MPSVII細胞の硫酸化GAG含量を示す。HeLa細胞及びMPSVII細胞由来の硫酸化GAGは、材料及び方法に記載されるように抽出された。A:硫酸化されたGAGは、材料及び方法に記載されるように、ジメチレンブルーアッセイを用いることにより、約2.106細胞からの抽出物において定量された。B:約7.106細胞からの硫酸化GAG抽出物、並びにコンドロイチン4−硫酸(CSA)、デルマタン硫酸(DS)及びヘパラン硫酸(HS)のそれぞれを5又は10μgを含む標準的なGAGの混合物を0.5%アガロースに適用し、1,3−ジアミノプロパン/酢酸緩衝液(pH9.0)中で2時間、50V、4℃で実行した。ゲル中の硫酸化GAGは、水中のN−セチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド0.1%で固定した。12時間後、ゲルを乾燥させ、酢酸/エタノール/水(0.1:5:5、V/V)中の0.1%トルイジンブルーで染色した。 種々の処理後のMPSVII細胞におけるGAGの定量(%)を示す。MPSVVII細胞のGAG含量を100%として考慮する。MPSVII細胞は、酵素とともに又は含まないで6時間37℃でインキュベートした。細胞内GAGを抽出し、ジメチレンブルー染色結合アッセイを用いて定量した。結果は、GAGの量に関して100%として定義される未処理MPSVII細胞と比較して表した。MPSVII細胞のGAG含量と比較した統計的なダネット分析:*p<0.05。

Claims (22)

  1. 第1ドメインが、アミノグリカンに結合することによって生体膜を横切る能動輸送を促進するアミノ酸配列を含み、a)(XBBBXXBX)n;b)(XBBXBX)n;c)(BBXmBBXp)n;d)(XBBXXBX)n;e)(BXmBB)n;f)(BmXX)n又はg)抗体断片からなる群から選択され、ここで、各Bは、独立して、塩基性アミノ酸、好ましくはリジン又はアルギニンであり;各Xは、独立して、非塩基性アミノ酸、好ましくは疎水性アミノ酸であり;各mは、独立して、0〜5の整数であり;各nは、独立して、1〜10の整数であり;各pは、独立して、0〜5の整数であり;及び第2ドメインが、リソソーム酵素のアミノ酸配列を含む、第1ドメイン及び第2ドメインを含むキメラポリペプチド。
  2. 第1ドメインが、生体膜を横切る能動輸送を促進するアミノ酸配列を含み、4個を超えるアミノ酸、好ましくは6個を超えるアミノ酸の長さを有する、請求項1に記載のキメラポリペプチド。
  3. 第1ドメインが、生体膜を横切る能動輸送を促進するアミノ酸配列を含み、500個未満のアミノ酸、好ましくは25個未満の長さを有する、請求項1又は2に記載のキメラポリペプチド。
  4. 各Xが、独立して、アラニン、グルタミン酸、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、バリン又はチロシンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  5. 第1ドメインが、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12を含む群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  6. 転移(translocation)配列が、アミノ酸配列(BmXX)nを含み;ここで、Bは、任意の塩基性アミノ酸であり;Xは、任意の非塩基性アミノ酸であり;各mは、独立して、1〜10の整数であり;各nは、独立して、1〜4の整数である、請求項1に記載のキメラポリペプチド。
  7. 転位配列は、アミノ酸配列BBBBBBXXBBBBBBXXを含み;ここで、Bは任意の塩基性アミノ酸であり;Xは、任意の非塩基性アミノ酸である、請求項6に記載のキメラポリペプチド。
  8. Xが、グルタミン酸及びセリンを含む群から選択される、請求項7に記載のキメラポリペプチド。
  9. 転位配列が配列番号2を含む、請求項8に記載のキメラポリペプチド。
  10. リソソーム酵素が、リソソーム蓄積障害の症状を抑制し、予防し、又はリソソーム蓄積障害遺伝子欠損を救出する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  11. リソソーム酵素が、酸性−アルファ−1,4−グルコシダーゼ;ベータ−ガラクトシダーゼ;ベータ−ガラクトシダーゼA;ベータ−ヘキソサミニダーゼA;ベータ−ヘキソサミニダーゼB;GM2活性化タンパク質;グルコセレブロシダーゼ;アリールスルファターゼA;アリールスルファターゼB;ガラクトシルセラミダーゼ;酸性スフィンゴミエリナーゼ;コレステロール;酸性セラミダーゼ;酸性リパーゼ;アルファ−L−イズロニダーゼ;イズロニダーゼ・スルファターゼ;ヘパランN−スルファターゼ;アルファ−N−アセチルグルコサミニダーゼ;アセチル−CoA−グルコサミニド・アセチルトランスフェラーゼ;N−アセチルグルコサミン−6−スルファターゼ;ガラクトサミン−6−スルファターゼ;ベータ−グルクロニダーゼ;アルファ−マンノシダーゼ;ベータ−マンノシダーゼ;アルファ−L−フコシダーゼ;N−アスパルチル−ベータ−グルコサミニダーゼ;アルファ−ノイラミニダーゼ;リソソーム防御タンパク質;アルファ−N−アセチル−ガラクトサミニダーゼ;N−アセチルグルコサミン−1−ホスホトランスフェラーゼ;シスチン輸送タンパク質;シアル酸輸送タンパク質;パルミトイル−タンパク質チオエステラーゼ;サポシンA、B、C又はD;及びカテプシンタンパク質を含む群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  12. リソソーム酵素がベータ−グルクロニダーゼである、請求項11に記載のキメラポリペプチド。
  13. リソソーム酵素が、転移配列のN末端又はC末端で結合される、請求項1〜12のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  14. リソソーム酵素が、リンカーを介して転移配列に結合される、請求項13に記載のキメラポリペプチド。
  15. リンカーが、スクシニミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)又はN−マレイミドブチルアミンである、請求項14に記載のキメラポリペプチド。
  16. 両方のドメインが、遺伝子操作によって融合される、請求項13又は14に記載のキメラポリペプチド。
  17. 請求項16に記載のポリペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド。
  18. 対象とする物質をリソソームに移動させるための請求項1〜9のいずれか1項に記載される第1ドメインに対応するアミノ酸配列の使用。
  19. 対象とする物質が、請求項11又は12に記載されるリソソーム酵素である、請求項18に記載される使用。
  20. 請求項1〜16のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド又は請求項17に記載のポリヌクレオチド及び場合により医薬として許容される担体を含む組成物。
  21. リソソーム蓄積疾患を治療するための医薬を製造するための請求項1〜16のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド又は請求項17に記載のポリヌクレオチドの使用。
  22. リソソーム蓄積疾患がスライ症候群(MPS VII)である、請求項21記載の使用。
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