JP2009524990A - ソースルーティングされたプローブを使用するエンドツーエンド型サービス品質 - Google Patents

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Abstract

リアルタイムネットワークサービスを監視するにおいて、サービス専用プローブは、実際のサービストラフィックと同一の処理をネットワークから受けるようにサービストラフィックを綿密に模倣する能動プローブである。サービス専用プローブはエンドツーエンド型であり、それらの配備は、ネットワーク中のすべてのリンクの最大のカバレッジを達成したままでプローブトラフィックを最小化することなどの問題に取り組む解決方法次第である。プローブの数が必要な要求された境界kを超過するとき、プローブ経路を合併するために、多項式時間のプローブ経路計算アルゴリズムならびに2−近似の解決方法が提供される。アルゴリズムはロケット燃料プロジェクトによって起こされたISPトポロジーを用いて評価される。ほとんどのトポロジーに対して、端末としてノードの約5%だけを使用して、エッジの約98%以上を対象として含むことが可能である。

Description

本発明は、一般にネットワーキングおよびネットワーク管理の分野に関し、具体的には、ネットワークサービスの監視およびサービス品質の評価に関する。
オーバヘッドが小さいネットワークプロービングによって、最近事の調査作業に混乱が生じた。IDマッププロジェクトと呼ばれる研究プロジェクトは、あらゆる任意の経路の待ち時間が得られる、インターネットの待ち時間マップを作成した。しかし、実際には比較的少数の経路しか監視されないので、あらゆる任意の経路の待ち時間を予測する際に誤差が生じる可能性がある。オーバレイネットワーク設定によって監視するべき経路の最小限の組が見つかり、その結果、すべての経路の動作が推測され得る。解決策の1つに、ネットワーク中の特定の対象リンクに及ぶことができるマルチキャストツリーの最小コストの組を計算するものがある。
最近、すべてのリンクの待ち時間が測定され得るように、すべてのリンクが対象として含まれ、かつ各端末によって伝送されなければならないプローブ経路の最小限の組が計算されるようにプローブ端末を選択するためのアルゴリズムが提供されている。しかし、プローブ経路はプロービング端末から利用可能なインターネットプロトコル(IP)経路を介して計算される。局所的な柔軟性が仮定されたとき、プローブ経路設計の問題が考慮されている。プローブ経路は、現行のIP経路またはすぐ隣の現行のIP経路のうち1つのいずれかとして選択され得る。効率的なプローブノード(ビーコンと呼ばれる)の配置方策は、IPの経路に変動性がある状態でも決定論的にネットワークリンクをすべて監視するのに必要なプローブノードの最小数を与える。
プローブ経路およびプローブノード配置に関するこれら既存の研究は、すべて、可能なプローブ経路としてIP経路に注目してきた。明確にルーティングされたプローブパケットに注目する必要性がある。ある研究は、プローブトラフィックによって課されたオーバヘッドを最小化しながら、明確にルーティングされたパケットプローブを通る経路の待ち時間を測定する問題を検討した。しかし、プローブパケットは、ネットワーク中の中心点から始まることが必要とされる。プローブ経路の設計に注目するリンクカバーアルゴリズムの必要性がある。これは、プローブ経路が、ネットワーク内の任意の所与の端末ノードの組から始まって任意の所与の端末ノードの組で終端となるように選択(ソースルーティング)され得るものであり、既存の研究と異なる。この新規の問題設定によって、(1)どのようにプローブを定義するか、(2)どうやって所与のエッジの組に及ぶプローブの最小コストの組を探索するか、また(3)プローブ数とプローブのコストの間のトレードオフは何か、という問題が起こる。
従来技術の様々な欠点は、本発明の様々な例示の実施形態による、ソースルーティングされたプローブを使用するエンドツーエンド型サービス品質のためのシステムおよび方法により対処される。
一実施形態には、ネットワークを監視する方法がある。ネットワークのトポロジー、1組の選択されたエッジ、および1組の端末を受け取った後に、端末ノードの組から始まって端末ノードの組で終端となるプローブ経路を有するプローブの組が求められる。これらのプローブ経路は、コストを最小化する一方で選択されたエッジの組に及ぶ。この方法は、エンドツーエンド型サービス品質を測定することができるプローブの組を与える。別の実施形態には、この方法を実行するための命令を格納するコンピュータ可読媒体がある。別の実施形態には、プロセッサおよびソフトウェアコンポーネントを含む、ネットワーク監視のためのシステムがある。プロセッサは、オペレーティングシステムおよび少なくとも1つの記憶装置を含む。ソフトウェアコンポーネントはプロセッサ上で動作し、この方法を実行する。
本発明の教示は、添付図面と共に以下の詳細な説明を考慮することにより容易に理解され得る。理解を容易にするために、これらの図に共通な同一の要素を示すのに、可能なところでは同一の参照数字が使用されている。
本発明は、主に、ソースルーティングされたプローブを使用するエンドツーエンド型サービス品質のためのシステムおよび方法を含む例示の実施形態の全体的な文脈のなかで説明される。しかし、当業者および本明細書の教示によって知らされた者なら、本発明があらゆるネットワーク、あらゆるネットワークプロトコル、およびあらゆる種類のプローブに対して全般的に適用可能であることを理解するであろう。エッジとリンクは、以下の説明において同義的に用いられる。
集中したインターネットプロトコル(IP)ネットワークにわたるリアルタイムのサービスおよびアプリケーションをサポートすることの必要性が台頭しつつあり、ネットワーク全体にわたるサービス性能およびサービス可能性を監視するようにサービスプロバイダに促している。必要なスループットをサポートするのに十分な容量を有することに加えて、サービス性能は、再コンバージェンス時間およびサービスディスラプション期間などのルーティングによる障害にも左右される。したがって、ネットワークサービスの性能および使用可能性は、利用可能な帯域幅だけでなくルータ構成および制御プレーンの設計にも左右される。サービスに対するネットワーク障害の影響の評価は、監視されている特定サービスの動作を模倣することができるエンドツーエンド型プローブによって最も良く実行され得る。これらのエンドツーエンド型プローブは、ネットワークの遅延および損失など重大なパフォーマンスパラメータの変化を追跡することができる。エンドツーエンド型プローブは、能動プローブの一般的なカテゴリに入る。
現行の測定方法、すなわち標準の単純ネットワーク管理プロトコル(SNMP)ベースのポーリングまたはリンクレベルに基づいた測定は、ネットワークサービスをモデル化するために使用され得ない。SNMPは、性能についてのデバイス中心の見解を与えるだけであるが、その一方で、Helloパケットに基づくものなどリンク状態のメトリクスは、リンク故障の可能性を検出するために使用され得るだけである。エンドツーエンド型プローブを使用するのと異なり、これらの方法は、どれもエンドツーエンドの遅延、損失、およびこれらの性能メトリクスのサービス品質に対する影響を測定するためには直接使用され得ない。エンドツーエンド型ネットワークプローブの配備を取り巻く多くの問題がある。例示の一実施形態には、特定サービスのために供給されたIP経路上のサービスの品質劣化を検出するための最適のプローブ配備アルゴリズムの設計がある。例えば、インターネットプロトコル上での音声通信(VoIP)プローブは、厳格なエンドツーエンド遅延および損失の要求を監視するように設計される。
pathcharなどの1パケット法、パケットペアファミリー、IP管理プロトコル(IPMP)、およびインターネット制御メッセージのプロトコル(ICMP)と、様々なタイプのエンドツーエンド型プローブの手法がある。pathcharは、連続したルータからのパケットシーケンスのラウンドトリップの遅延によってリンクの帯域幅を推定するために使用される。パケットペア法は、利用可能な帯域幅またはボトルネックリンク速度を推定するために用いられ得る。エンドツーエンド型測定を達成するためにこれら2つの技術を用いると、測定されたデータがトレースルート(traceroute)から得られたトポロジー情報と関連していることが必要となる。
IPMPは一方向の遅延を測定するために使用され、パケットプローブの制限のうちいくつかを克服するように設計されている。IPMPプロトコルは、経路測定および遅延測定の両方を結合し、したがって、トレースルート測定との相関の必要性が軽減する(すなわち、パス情報はIPMPパケット中のパスレコード(pathrecord)フィールドから求められ、ルータによって取り込まれる)。pathcharの制限を克服するユーザベースの経路診断方法では、フローの2つのエンドユーザが、自分らのフローに影響を与える性能故障を探索するように協力する。ユーザはいかなる特権的なネットワーク情報も利用せず、ICMPなどのパケットペア技術を利用する。しかし、個々のルータのIPMPおよびICMPなどのプローブパケットによって受け取られる処理は、プローブパケットをカプセル化するために用いられるプロトコルに左右される。ネットワークは、このプローブトラフィックを通常のサービストラフィックとは異なって優先させてよい。
したがって、帯域外で(エンドツーエンド型ではなく)、アプリケーショントラフィックのようには見えない稼動中のあらゆる測定方式は、サービストラフィックと比べて異なるネットワーク条件下に置かれることがある。したがって、サービス品質を測定するためには使用され得ない。帯域外ネットワーク測定方式の一例には、不完全なルーティングおよび悪意のあるルーティングを識別するものがある。この方式では、既存のトラフィック経路を安全にトレースし、したがって悪意のあるルータがそれらを通常のトラフィックとは異なって処理することにより特化されたトレースルートパケットを誤らせるのを防ぐことが目標であった。
例示の一実施形態には、様々なネットワークサービス(例えばVoIPおよびビデオオンデマンド)を模倣するように巧妙に作られソースルーティングされたプローブを備えるサービス監視の構成がある。ネットワークトポロジーについての十分な知識を用いると、サービスプロバイダは、興味のある1組のエッジに及ぶMPLSプローブ経路を効率的に選択することができ、したがって合計のプローブトラフィックを低減することができる。これはリンクカバー問題と呼ばれる。サービス専用プローブは、ある所定の頻度で計算されたプローブ経路に沿って送られ、エンドツー遅延または損失メトリクスに関して、妨害に対して検査される。邪悪なリンクの検出アルゴリズムは、性能劣化を被ったプローブ経路に基づいてリンクの共通の組に対して開始することができ、性能劣化の一因となるリンクを切り離す。ソースルーティングされたプローブは、プローブ測定と関連するリンクの間の決定論的なマップを与える。したがって、相関の問題ならびにIPMP中のパスレコードフィールドの制限は、(過渡の輻輳による)不正確なトレースルートデータで回避され得る。
一般に、この構成は、ほとんどのリンクが運用上の優れた性能を有すると仮定し、目標の1つに、性能劣化している可能性がある少数のリンクまたはノードを識別することがある。この手法は、ネットワーク上の総計のプロービング負荷をかなり低下させることがある。エンドツーエンド型プローブ設計の一実施形態には、トポロジーについての十分な知識を仮定し、MPLSなどのソースルーティング機構のためのネットワークサポートを必要とするものがある。
例示の実施形態によって、(1)プローブトラフィックの量を低減させること、および(2)プローブの配置コストを最小化することの、アクティブネットワークのプローブ配備に関する2つの主要な問題が同時に対処される。プローブの配備コストは、端末コスト(例えばプローブ端末を作るためのソフトウェア組込み)ならびに経路コスト(すなわち特定のリンクを使用するキャパシティコスト)に関して捕えられ得る。
リンクカバー問題は、混合グラフ問題として策定され、この場合、対象エッジの指定の組に及ぶことができる1組のプローブが設計され、すべてのプローブは基本的なものである(すなわち中間ノードを2度以上横切ることがない)。本発明の、最小トータルコストのプローブ経路の設計は、貪欲な手法を用いて達成される。これは多項式時間アルゴリズムであり、各エッジに対する最小コストのソース−デスティネーション経路が対象として含まれるべきという考えに基づく。このアルゴリズムはループのないプローブを生成し、最小トータルコストの1組のプローブをもたらす。リンクカバー問題の2つの可変要素が検討される。1つの可変要素は、プローブの合計数be≦kを保ちつつ、任意のプローブの最大コストを最小化するためのものである。もう1つの可変要素は、任意のプローブの最大コストbe≦Imaxを保ちつつ、プローブの数を最小化するためのものである。これら2つの可変要素はNP困難であり、例示の実施形態は、これらのための2−近似アルゴリズムを含む。
例示の実施形態は、多項式時間アルゴリズムならびに2−近似アルゴリズムを含み、これらはロケット燃料プロジェクトと呼ばれる研究計画から得られた最大のインターネットサービスプロバイダ(ISP)のトポロジーのうち5つに対するシミュレーションによって評価された。各ケースにおける評価基準は、(1)すべてのプローブのトータルコスト、(2)プローブの合計数が固定されたときのプローブの最大コスト、および(3)プローブの平均コストであった。
プローブ端末の組がバックボーンノードであるように選択されたとき、このアルゴリズムの例示の実施形態は、きわめて最適解に近く実行されることが証明された。プローブ端末は、プローブがそこから開始し、かつそこで終わるノードである。プローブは、当業者に知られているように、グラフのエッジのすべてに及ぶチャイニーズポストマン巡回から導出された経路(巡回)であるように設計されている。しかし、その解決方法で配置されたプローブはループを有するものであり、ループを除去するためにループ検出手法および発見的方法を用いる必要があって、解決方法がより冗長になる。ループの除去は、プローブの実用的な実施のために必要とされるステップである。例示の一実施形態には、基本経路(巡回)のプローブ、すなわち2度以上トランシット(中間)ノードと交差しないプローブ経路のみを探索することにより明示的にループの除去を説明する方法がある。
モチベーションおよび問題定式化
ネットワーク性能およびサービス有効性のリアルタイム監視は、エンドツーエンド遅延、パケット損失、およびサービス品質を測定するための測定技術を必要とする。一実施形態では、サービス専用プローブは、それらがネットワークから実際のサービストラフィックと同一の扱いを受けるように綿密にサービストラフィックを模倣する能動プローブである。一実施形態では、ソースルーティングされたプローブも様々なネットワークサービスを模倣する。ソースルーティングされたプローブは、ネットワークトポロジーの十分な知識を必要とする。邪悪なリンクの検出アルゴリズムと併用して、性能劣化の一因となるリンクが切り離され得る。ソースルーティングされたプローブは、相関の問題を回避する。マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)などのソースルーティングにネットワークサポートが利用可能である。一実施形態では、ネットワークサービス品質の評価がエンドツーエンド型プローブによって実行され得る。
合計のプローブトラフィックを最小化し、プローブの最大コストを最小化し、プローブ数を最小化するためのアルゴリズムの必要性がある。例示の実施形態に対するシミュレーション結果は、ほとんどのISPトポロジーに関して、ほんの5%のノードが、端末として98%を上回るエッジに及ぶことを示し、したがって、端末数を増加させることは、合計のプローブトラフィックを最小化するのにあまり役立たない。
問題の説明
図1は、リンクカバー問題を示す例示のブロック図100である。図1に示されるネットワークには、ノードa 102、ノードb 104、ノードc 106、ノードd 108、ノードe 110、ノードf 112、ノードg 114、およびノードh 116の8つのノードがある。ノードa 102、ノードb 104およびノードc 106は端末ノード(図1中の暗くなった円)118として動作し、他のすべてのもの(すなわちノードd 108、ノードe 110、ノードf 112、ノードg 114およびノードh 116)は、普通のノード(図1中の暗くない円)120である。図1中の破線はプローブ経路である。プローブ1 122、プローブ2 124、およびプローブ3 126の3つのプローブがある。各プローブ122、124、126は、その終点を、端末118のうちの1つ、すなわちノードa 102、ノードb 104、またはノードc 106に配置する。各ネットワークリンクは、図1に指定されるようにコスト(重み)を有する。エッジ(g,h)128、(h,c)130、(a,d)132および(d,f)134は、対象のネットワークリンクである(本明細書では、用語エッジとリンクは互換性があるように用いられる)。目標は、これら興味のあるエッジ、すなわち監視するべき選択されたエッジのすべてに及ぶプローブの組を設計することである。
この例では、プローブ1 122は、端末a 102から出て、リンク(a,d)132、(d,f)134を横切り、端末a 102に戻り、プローブ2 124は、ノードa 102から出て、リンク(a,d)132、(d,e)136、(e,h)138を横切って端末c 106に達する。プローブ1 122は巡回である。プローブ3 124は、端末b 104から開始し、エッジ(b,g)140、(g,h)128をわたって進み、端末c 106で終わる。対象のすべてのリンク128、130、132、134は、これら3つのプローブによって対象として含まれる。プローブのコストを表わすために、経路のすべてのエッジの重みの和が用いられる。プローブの組のトータルコストは、(10+50+10)+(10+10+10+10)+(10+10+10)=140であり、最大コストのプローブはプローブ1 122であって、そのコストは70である。この例から、リンク(a,d)134は、2つのプローブ(すなわちプローブ1 122およびプローブ2 126)よって対象として含まれ、その重みは、これら3つのプローブのトータルコストに2度カウントされる。プローブ122、124、126は、プローブ1 122のように、その両端を同一の端末に位置させることが許される。また、すべての興味のあるエッジ128、130、132、134に及ぶのに、プローブ2 126は不要である。すなわち、プローブ2 126は除去され得て、また、対象のエッジ128、130、132、134は、依然としてすべてがプローブ1 122およびプローブ3 126だけによって対象として含まれ、トータルコストは140から100まで低減される。
問題の定式化
例示の一実施形態に、リンクカバー問題の形式的記述がある。ネットワークは、接続されていて方向付けされていないグラフG=(V,E)としてモデル化され、Vは頂点(ネットワーク中のノードを表わす)の組であり、Eはエッジ(ネットワークリンクを表わす)の組であって、|V|=n、かつ|E|=mである。Gには自己ループがない。すなわち1つのノードから出てそのノード自体に戻るエッジはない。また、Gは必ずしも平面グラフではない。グラフGにおいて、ノードと頂点、リンクとエッジは、互換性があるように混乱なく用いられる。
各エッジにわたってコスト関数
Figure 2009524990
が存在する。この関数は、プローブがこのネットワークリンク(エッジ)にわたって動作するとき、プローブのコストを示す。グラフ中の1組の特定のノードTは発呼端末T⊆Vである。Sは対象のエッジの組であり、S⊆Eである。通常
Figure 2009524990
かつ
Figure 2009524990
である。経路Pは、Vの中の2つのノード間の1組の連結されたエッジと定義され、これら2つのノードは経路の終端と呼ばれる。経路の両端が同一のノードであるとき、この経路は巡回とも呼ばれ得る。経路Pが与えられたとすると、経路Pがエッジeを含む(これをわたって動作する)という事実を示すために
Figure 2009524990
を用いる。終端ノードを除いて、経路が交差するノードはすべて中間ノードと呼ばれる。一般的な場合では、経路はループを有することがある。ループは、1つの中間ノードと2度以上交差する副経路と定義される。いかなる中間ノードも2度以上横切ることのない経路(それぞれの巡回)は、基本経路(それぞれの巡回)と呼ばれる。すなわち、基本経路(それぞれの巡回)にはループがない。また、ノードv∈Vからノードv∈Vまでの経路は、v〜→vとして示され、経路Pのコストは
Figure 2009524990
として定義される。
プローブと呼ばれる特定の経路は、ある端末t∈Tから別の端末t∈Tまでの基本経路と定義される。すなわち、プローブの両端は端末でなければならない。端末tと端末tは、別個のものである必要はない。t=tのとき、プローブは(ループのない)巡回である。プローブを強制的に基本経路にするためのモチベーションは、一般に、ループを有する経路がIPネットワークでは許されないことである。そのような経路はルータによって拒絶されることになる。したがって、リンクカバー問題に対する実行解は、すべてのエッジe∈S(⊆E)が少なくとも1つの経路
Figure 2009524990
によって対象として含まれるように、1組の基本プローブ経路Pを探索することである。
入力の例
方向付けされておらず、結合され、重み付けされたグラフG=(V、E)、S⊆EかつT⊆Vが与えられたものとする。各エッジe∈Eからそのコストを表わす負でない数までマッピングw
Figure 2009524990
が存在して、各エッジe∈Eについて、w≧0である。プローブ経路の組Pは、すべてのこのようなプローブ
Figure 2009524990
として定義される。各エッジe∈Sに対して、
Figure 2009524990
となるような少なくとも1つのプローブ
Figure 2009524990
が存在する。例示の実施形態は、最小コストのリンクカバー問題(LCP)、主要なリンクカバー問題(PLP)、およびデュアルリンクカバー問題(DLP)の3つの部分問題として表わされ得る最適化目標を有する。
1.第1の部分問題は、最小コストのリンクカバー問題(LCP)である。LCPでは、必要とされるプローブのトータルコストを最小限にすることが目標である。プローブのコストは、ネットワーク上のトラフィック負荷に関して測定される。すなわち、
Figure 2009524990
である。
2.第2の部分問題は、主要なリンクカバー問題(PLP)である。PLPでは、プローブの最大コストを最小化することが目標である。プローブのコストは、待ち時間、スループットまたは長さに関して測定され得る。すなわち、
Figure 2009524990
である。上式で、kは定数であり、使用され得るプローブ数の上限である。
3.第3の部分問題は、デュアルリンクカバー問題(DLP)である。DLPでは、プローブの合計数を最小化することが目標である。プローブの合計数は、プローブの導入コストを反映する。すなわち、
Figure 2009524990
である。上式で、Imaxは任意のプローブに対して認められた所与の最大コストであり、kは必要とされるプローブ数である。
アルゴリズムおよび解析
リンクカバー問題の3つの可変要素の複雑さが求められなければならない。LCPがNP困難問題ではないので、LCP用に設計されている多項式時間アルゴリズムならびにPLPおよびDLP向けの2−近似アルゴリズムが提示される。PLPおよびDLPに関する複雑さ(困難さ)は、次のように解析される。
PLPおよびDLPの緩和のための複雑さ解析
問題の定式化では、プローブは強制的に基本経路または巡回にされる。たとえ問題の定式化が、プローブが基本経路である必要はないように(ループを有することができるように)緩和されたとしても、PLPおよびDLPは依然としてNP困難である。これは、k−チャイニーズポストマンの最小−最大問題(MM k−CPP)および容量制約付きアークルーティング問題(CARP)から容易に一般化され得る。
簡単には、PLPはS=EかつT={s}のときのMM k−CPPの一般化であり、sは、MM k−CPPにおけるデポノードである。同時に、DLPはS=EかつT={s}のときのCARPの一般化であって、sはデポノードであり、ImaxはCARPにおける伝達手段の容量である。
主要なリンクカバー問題(PLP)のNP困難
プローブが基本経路(巡回)と定義されるように制限されるとき、PLPの困難は、MM k−CPPからは直接誘導され得ない。
以下の問題、すなわちメイクスパン(makespan)最小スケジュールについて検討する。1組のタスクTが与えられたとして、定数mに対してm個の同一のマシンが存在する。各タスクt∈Tは、時間pが終了されること、またいかなるタスクも任意の(同一の)マシン上で実行され得ることを必要とする。この問題の目標はメイクスパン(このスケジュールに関する任意のマシンの最大の完了時間)を最小化することである。このメイクスパンスケジュールを最小化する問題は、(たとえm=2でさえ)NP困難であることが知られており、また、2−近似アルゴリズムをもたらす簡単で貪欲なやり方が存在する。また、多項式時間方式(PTAS)のアルゴリズムは、近似比を1+εに改善する。以下は、メイクスパンスケジュールを最小化する問題からの変換によってそのPLPの困難を証明する。
定理1:PLPの決定バージョンはNP困難である。
証明:定理1は、メイクスパンスケジュールを最小化する問題からの変換による矛盾法によって証明される。最小メイクスパンスケジュール問題の任意の例Iが与えられたとして、例I’が(多項式時間で)PLPに構成され得て、その結果、I’が多項式時間でPLPを満たす場合、Iは多項式時間で最小メイクスパンスケジュール問題の決定バージョンを満たすことを証明する。したがって、PLP向けの多項式時間アルゴリズムの存在を仮定すると、複数のマシンにわたってメイクスパンを最小化する問題は、多項式時間でPLP向けのアルゴリズムによって解かれ得るので、NP困難ではない。証明の詳細が続く。
最小メイクスパンスケジュール問題の例Iを検討する。m個の同一のマシンおよび1組のジョブTが存在する。各ジョブt∈Tは、pの処理時間を必要とする。次に、例I’をPLPに構成する。I’には、グラフG=(V,E)が存在し、|v|=2×|T|+2である。各ジョブt∈TはグラフG中の2つのノードに対応し、各ジョブは、一般性を失うことなくグラフ中の左のノードおよび右のノードを有するものと見られる。左のノードと右のノードを結合するエッジの重みはpである。
2つの特定のノード、sおよびsが存在すると仮定する。T={s1,}である。次に、各ジョブの左のノードへsをリンクし、かつリンクの重みを0に設定する。また、各ジョブの右のノードをsにリンクするが、そのリンクに割り当てられる重みは0である。その上、各ジョブの右のノードを他のすべてのジョブの左のノードにリンクし、リンクの重みを0に割り当てる。すべてのジョブの対応するエッジ(ジョブの左のノードと右のノードを結合する)は、興味のあるエッジS⊆Eの組から成る。ここまでに、2つの端末sおよびsしか存在しない、PLPに対する例I’が生成された。対象とするべきエッジの組にSを設定し、また、使用されるべきプローブ数kはm(k≦m)によって制限されるが、mは最小メイクスパンスケジュール問題に対する例Iにおける同一のマシンの数である。
明らかに、この例I’に関して、プローブの最大コストを最小化する多項式リンクアルゴリズムが構成され得るなら、k=mのプローブ(より多くのプローブが使用されるとプローブの長さはより小さくなる)の存在を仮定すると、例Iにおいて、同一のプローブに属するすべてのエッジが、1つのマシン上でスケジュールを組まれるすべての対応するジョブに繋がるのが認められ得る。これらのジョブを実行するm−kマシンが存在する。したがって、最小メイクスパンスケジュール問題に対するいかなる例も、多項式時間でPLPに対する例に変換され得る。最小メイクスパンスケジュール問題の決定バージョンがNP困難であるので、PLPの決定バージョンはNP困難である。定理1が成り立つ。
次に、DLPのNP困難を検討する。DLPはPLPの対照物であり、同一のNP困難を有する。同様に、DLPの困難は、CARPからの直接変換によって証明され得ない。典型的なNP困難問題(ビン詰問題)を検討する。サイズがa、a、...、a∈{0、1}のn個の要素が与えられたとして、単一サイズのビン中の梱包で、使用されるビンの数を最小にするものを探索する。ビン詰問題は、NP困難であると証明されている。それから、推論1が推測される。
推論1:DLPの決定バージョンはNP困難である。
証明:推論1は、典型的なビン詰問題からの変換によって証明され得る。ビン詰問題は、対象として含むべきエッジの重みがビン詰問題における要素の値に対応することを除けば、定理1に対する証明で構成されたものと同じである。
明らかに、この例I’に関して、プローブの数を最小化する多項式時間アルゴリズムが構成され得る。次いで、各プローブのコスト≦Imaxが存在するとして、例Iでは、プローブの数は、使用されるビンの数を反映することが理解され得る。したがって、ビン=詰め物問題に対するいかなる例も、多項式時間でDLPに対する例に変換され得る。ビン詰問題の決定バージョンがNP困難であるので、DLPの決定バージョンもNP困難である。推論1が成り立つ。
PLPおよびDLPがNP困難であるならば、それらを解く効率的なアルゴリズムは存在しない。したがって、一実施形態では、それらを解くために近似アルゴリズムが設計される。従来よく知られているいくつかの成果が、このアルゴリズムを理解するのに有効である。第1に、混合グラフでチャイニーズポストマン巡回を探索することはNP困難である。しかし、方向付けられていないグラフにおいてチャイニーズポストマン巡回を計算する効率的なアルゴリズムが存在する。第2に、方向付けられておらず、結合され、負でない重み付けをされたグラフにおいて任意の2つのノード間の最短経路を計算するための効率的なアルゴリズムが存在する。エッジの重みが負であることが許されるとき、最短経路問題はNP困難である。第3に、横型探索または縦型探索向けの効率的なアルゴリズムが存在する。横型探索アルゴリズムを用いると、重み付けされておらず方向付けられていないグラフ上で、より簡単な最短経路アルゴリズムが(線形時間で)探索され得る。第2および第3の技術を基に、LCP向けの多項式時間アルゴリズムが設計され得て、また、PLPとDLPの両方のための2−近似アルゴリズムが設計され得る。
アルゴリズム
例示の一実施形態には、Sの中のエッジがすべて少なくとも1つの経路
Figure 2009524990
によって対象として含まれ、かつプローブのトータルコストが最小化されるように、1組の基本プローブPを計算することができる多項式アルゴリズムがある。別の例示の実施形態には、PLP向けの2−近似アルゴリズムがある。PLP向けアルゴリズムに対して小さな修正を施した一実施形態に、DLP向けの2−近似アルゴリズムがある。
一般性を損なうことなく、端末の組を示すためにt、...、t|T|を用い、かつノードaとノードbを結合するエッジを示すために(a,b)を用いる。ノードaはエッジの左のノードであり、ノードbはエッジの右のノードである。方向付けられていないグラフでは、エッジの左のノードと右のノードの間に差がないことを思い起こされたい。ここでは、「左」と「右」はアルゴリズムの説明を容易にするだけのために指定される。以下では、最短経路は、重み付けされ、方向付けられていないグラフ上の最短経路を指す。最短経路は最小限のコストのプローブ(経路)を指す。
LCP向け多項式時間アルゴリズム
補助定理1:1組の端末Tであるエッジe=(v,v)が与えられたとして、1つの端末からノードvおよびvまでの最短経路は、t〜→(v,v)〜→tと表現し、基本経路(巡回)またはループが1つしかない経路(巡回)のいずれかである。ここで、ti,∈Tであり、tとtは必ずしも別個ではない。
証明:補助定理1で明示された(見つかった)最短経路は、両方の終端が端末であるが、プローブでない可能性がある。というのは、プローブは、基本経路(巡回)でしかないことが必要とされるからである。補助定理1の証明は簡単である。まず、経路t〜→(v,v)〜→tが与えられたとして、t〜→v、(v,v)およびv〜→tの間に他の端末は存在しない。そうでなければ、所与の経路は、所与のエッジ(v,v)のノードからTの中の端末への最短経路ではない。その理由は、v用の端末を配置する際に最短経路アルゴリズムが適用され(負でない、重み付けされたグラフ上で)、したがって、1つの端末が一旦v用の条件を満たすと、その経路に沿ったいかなる可能な端末もvへのより短い距離を有するからである。
エッジeの両方(vおよびv)のノードが、最短経路のそれらのデスティネーションと同一の1つの端末を有する場合、正確に1つのループが生成される。補助定理1が成り立つ。
補助定理1は、1つだけのエッジに及ぶ最短のプローブを探索する目的に役立つ。エッジe=(v1,)(e∈S)および端末の組T⊆V(|T|≦n)が与えられたとして、エッジeに及ぶプローブに対してプローブ終端として働くことができる端末の組は、せいぜい|T|個しかない。また、
Figure 2009524990
によってvへの最短経路が与えられたとすると、ループの生成を避けるために、t∈Tの場合を除けば、経路
Figure 2009524990
中のいかなる中間ノード(どれも端末ではない)も、vから端末への経路v〜→t中の中間ノードのうちの1つではあり得ない。したがって、一旦1つの端末からvまでの最短経路が見つかると、ループの生成を避けるために、経路中のすべての中間ノードV’およびそれらの中間ノードに関連したすべてのエッジEは、グラフG’=(V−V’,E−E’)から除去される必要がある。ただし、V’は1つの端末からvまでの最短経路中の中間ノードの組であり、E’はそれらのノードに関連したエッジの組である。vから別の端末∈Tまでの最短経路Pを探索するために、同一のプロシージャを適用する。そのような経路
Figure 2009524990
が存在するならば、明らかにそれは基本経路(巡回)である。
およびvを選ぶ順序は注意されなければならない。一般性を失うことなく、すべての端末に索引を付け、ノードvがTの中の複数の端末への同一の距離を有するときは、より小さな索引番号を有するものを選択する。そのような手法を用いて、所与のノードに対して最も近い端末を見つけるためのプロシージャが多項式時間で決定される。また、Pが見つからないときは、エッジeを含む基本経路(巡回)は存在しない。
ここで、|T|個の端末の組が与えられたとすると、各エッジe∈Sに及ぶ別個の基本経路(巡回)が最多で|T|個見つけられ得る。次いで、計算されたそれら|T|個の基本経路の中で、どれがエッジe=(v,v)に及ぶ最短のものであるか決定する。eに割り当てられる最短の基本経路としてそれを選択する。したがって、補助定理1に続いて、補助定理2が存在する。
補助定理2:1組の端末Tであるエッジe=(v,v)が与えられたとして、t〜→(v,v)〜→tからの最短(コスト最小)の基本経路を見つけるための多項式時間アルゴリズムが存在する。t,t∈Tであり、tとtは必ずしも別個ではない。
証明:端末t∈Tが与えられたとして、vからtまでの最小コストの経路を探索するための多項式時間アルゴリズムが存在する。次いで、残りのグラフから、経路中の中間ノードおよびそれらの関連するエッジをすべて除去する。同一のアルゴリズムを適用して、vから端末t∈Tまでの最小コストの経路を得る。結論として、連結された経路(巡回)(1つの端末からvへの経路、エッジe、およびvから1つの端末への経路)は基本経路である。すべての実現可能な連結された経路または巡回(プロシージャにおいて経路を見つける際にvおよびvの両方が第1のノードであり得るので、最多で|T|個の経路または巡回)の中で、最小コストのものが見つけられ得て、エッジ(v,v)に及ぶプローブとして役立つ。
エッジ(v,v)に及ぶ、より短い(より低コストの)いかなる経路または巡回もループをもたらすと主張される。より短い経路(最適経路)が存在すると仮定する。それは、一般性を損なうことなく、1つの端末からvへの経路、エッジ2、およびvから1つの端末までの経路から成る3つの部分を有すると仮定する。したがって、1つの端末からvまでの最適経路は、見つかったのと同一のものである。選択されるノードは、別個の端末への同一の距離を有して、最も小さな索引番号を付けられたものである。
図3は、補助定理2に対する証明を説明する一例300である。
対象として含むべき2つのエッジ、すなわちe=(v,v)およびe=(v,v)が存在すると仮定する。2つの基本経路がそれらに及び、eに及ぶ1つの経路が、端末tから始まって端末tで終わる。eに及ぶもう1つの経路が、端末tから始まって端末tで終わる。これら2つの経路がノードvで交差すると仮定する。ここで、eに及ぶ経路は、ノードvから出るときに、端末tでなく端末tをその終端として選択するものと考える。というのは、vからtまでの経路長がvからtまで経路長より大きいからである。同時に、eに及ぶ経路は、その端末としてtでなくtを選択する。したがって、vからtまでの経路長はvからtまで経路より短い。これら2つの結論は互いに矛盾する。したがって、この仮定は不適切である。このため、最短距離アルゴリズムから計算されたいかなる2つの基本経路も、互いと交差し得ない。
要約すると、vから1つの端末へのより短い経路が存在するならば、その経路は、vへの経路中の1つの中間ノードと互いに交差するはずである。したがって、それが基本経路ではないことが判明する。経路PとPが1つのエッジを共有するなら、それらは少なくとも1つのノードを共有しなければならない。上記の解析から補助定理2が成り立つ。
補助定理1および補助定理2から定理2が続く。
定理2:興味のあるエッジがすべてプローブPによって対象として含まれ、
Figure 2009524990
が最小化されるように1組のプローブPを探索するための多項式時間アルゴリズムが存在する。
証明:定理2は、補助定理1および補助定理2から構成法によって直接証明される。補助定理1および補助定理2は、任意の所与のエッジeに及ぶ基本経路(巡回)を探索するための多項式時間プロシージャをもたらす。補助定理1および補助定理2は、Sの中のすべてのエッジに及ぶトータルコスト最小のプローブを探索するための背景知識をもたらす。方向付けられておらず、負でない、重み付けされたグラフにわたって任意の最短経路アルゴリズムを用いて、1つのノードから所与の端末への最小コストの経路が計算される。一旦エッジe向けのプローブが配置されると、このプローブ中の興味のあるエッジはすべてSから除去される。他のプローブによっても対象として含まれる興味のあるエッジがその上にあるそれらの経路の中で、そのプローブをPから除去する。組Pの中にそのようなプローブがなくなるまで、これを繰り返す。このことは、必要なエッジのすべてに及ぶプローブの冗長性を取り除く。貪欲な手法は、各ステップにおいてプローブのトータルコストを低下させるものであり、新規に生成された各プローブは、既に生成されたどのプローブでも置換され得ない。したがって、同一のプロシージャを適用して、Sの中の残りのエッジに及ぶ最短経路を探索する。組Sが空になるまで繰り返す。
次いで、1組の基本経路Pが探索される。Pは、1つまたは複数の興味のあるエッジに及ぶ、プローブとして働く経路である。最終的に、上記プロシージャは、すべてのプローブのトータルコストを最小限にする際の、LCP向け多項式時間アルゴリズムをもたらす。定理2が成り立つ。
定理2の証明の一例として図2を参照する(理解しやすいように、図2にはすべてのリンクが示されているわけではない)。対象として含まれるべきエッジが5つ与えられたとして、sおよびsはTの中のわずか2つの端末である。各エッジを横切るコストは、図2に示されている。ここで、プローブの数がk=2に制限され、また、2つのプローブ、すなわちs→10→12→sおよびs→7→3→1→10.5→sがPLP向けの多項式時間アルゴリズム中に見つかり、プローブの最小のコストが22であると仮定する。したがって、最小メイクスパンスケジュール問題では、これら5つのジョブは、それに応じて、2つの同一のマシン中に最適に配置され得る。1つは処理時間10、12で動作中のジョブであり、もう1つは処理時間7、3、1および10.5で動作中のジョブである。最適のメイクスパンは22である。
図4は、プローブのトータルコストが最小限であるプローブの組を探索する方法を説明するアルゴリズムの例示の実施形態向け擬似コードのリストである。この例示の実施形態は、1組の頂点Vおよび1組のエッジEを有するグラフG用LCP向けにリンクカバーを探索するためのアルゴリズムである。入力は、ネットワークG=(V,E)のトポロジー、興味のある1組のエッジS、および索引を付けられた1組の端末ノードTを含む。任意の所与の2つのノードIとr(v,v)の間の興味のある2つのエッジ向けに、また、端末の組に属する各端末向けに、ノードIと端末の間の最短経路を探索する。より小さな索引を付けられた端末のために、いかなる結合も断って、最も近い端末を選択する。既に使用されているリンクを使用せずに、端末ノードから、同一の端末ノードまたは他の何らかのノードのいずれかに戻る別の経路を探索する。したがって、元の最短経路中のすべての中間ノードV’ならびにすべての関連するエッジは、グラフGから除去される。次いで、残りのグラフG上で、次の終点vから端末ノード(同一または別個の端末ノードであり得る)まで、別の最短経路を探索する。このようにして、あたかも、任意の端末ノードからvまで行くものと、次いでvから他の任意の端末ノードまで行くものの2つの最短経路問題のように、リンク(vi,)を細分し、ループを回避するために、vから他の任意の端末ノードまでの経路が、過去に使用されたいかなるリンクも使用しないことを確認する。
一旦所与の各エッジの基本経路がすべて見つかれば、トータルコストが最小の基本経路を選択し、それをエッジe向けのプローブPとして示す。Sから興味のあるエッジe’をすべて除去する。eに印を付け、除去されたエッジを個別の組に入れる。問題の第2の部分は、最大の重みを有するプローブ(例えばコストまたはホップの数が大きいもの)を除去することである。時には、長いプローブ経路は短いプローブ経路より高価である。問題の第1の部分は、ループのない経路を探索して、興味のあるエッジに及ぶ1組のプローブを最小のコストで探索することである。この例示の実施形態の結果は、興味のあるエッジに及ぶ、コストが最小の1組のプローブ経路である。プローブ経路のこの組は、ネットプローブ(NetProbe)などのネットワークを監視するツール中に使用され得る。ネットワークマネージャは、プローブ経路の組を使用して、ある端末から別の端末へプローブを送ることができる。これは、ネットワークにわたってトラフィックを送るために、最小のコストでネットワークサービスを模倣するプローブを構成する。
PLP向けの2−近似アルゴリズム
定理2の証明は構成的証明である。見つかった基本最短経路の数がk’であると仮定する。Sの中のすべてのエッジに対するプローブの数がk’≦kであれば、PLPに対する最適解が見つかり、これは見つかったプローブの組中のプローブの最大コストである。k’>kであると、プローブの数は、そのいくつかを合併させることにより、基本経路(巡回)の数がkになるまで低減される。2つの基本経路を合併するために、最大コストのプローブに対するコスト制限下では、2つの基本経路(プローブ)が1つの基本経路(プローブ)へ合併され得る。
以下の定義は、アルゴリズムの例示の実施形態を分かりやすく効率的に説明するのに役立つ。簡単に、PLP向け近似アルゴリズムの例示の実施形態については、LCP向けアルゴリズムで行われたように、まず一連の基本プローブが探索される。次いで、プローブの数k’が、k’>kと、可能なものより大きい場合、プローブの組中のプローブの最大コストを犠牲にして、プローブの数が低減されるようにプローブを合併させる。以下の定義は、2つのプローブを合併させる例示の実施形態に関する。
定義1:1つのプローブ中の1つのノードを別のプローブ中の別のノードにリンクすることによって2つのプローブを結合した後には、合併距離は、最終プローブの最小コストである。
明らかに、2つのプローブをリンクするコストを確認するための効率的なアルゴリズム(多項式時間)が存在する。すべての対のプローブがより長い1つのプローブへ合併され得るわけではない。
定義2:いくつかのプローブ(≧2のプローブ)が、及ぶべき興味のあるエッジe∈Sと交差するなら、共有されるエッジは、それに付随のすべてのプローブによって共有されるエッジeである。1つのエッジだけがそれに及ぶプローブを1つ有するなら、そのエッジはそのプローブに必要である。
明らかに、任意の2つのプローブが与えられたとして、プローブは、(可能な)共有されたエッジを残したまま互いにリンクされ得る。補助定理3は、これらの定義に基づくものである。
補助定理3:任意の2つの基本経路(巡回)が与えられたとして、これら2つの基本経路を連結し、さらに基本経路を探索する方法が存在する。そのような経路が、所与のエッジに及ぶいくつかの基本経路によって連結され得るので、他の端末がその経路上に存在し得る。
証明:補助定理3は矛盾法によって証明され得る。各基本経路に関して、エッジの左または右のノードは、見つかった基本経路中の最も近い端末への最小コストを有する。2つの基本経路PおよびPが、両方が横切る1つのノードvを有するなら、これら2つの経路中の所与のノードvに関して、両方が最小コストを有する2つの端末が存在すると結論する。図4は、補助定理3のこの証明の一例を説明する。
経路Pと経路Pは、どちらも同一のノードvを共有する。エッジeは、これにPが及ぶと推測するエッジであり、eは、これにPが及ぶと推測するエッジである。PおよびPに関する終端端末は、t∈Tおよびt∈Tである。次に、vからtまでの経路およびvからtまでの経路を調べる。というのは、エッジe向けのプローブPが配置されるとき、Pは、検査された端末の順序および距離に基づいて、端末tで終わるはずだからである。同じように、経路Pを解析した後に、長さ(v〜→t)>長さ(v〜→t)と結論される。この結論は以前の結論と矛盾する。したがって、基本経路PおよびPは、同一のノードを横切ることがない。
その上、(図2に示されたように)経路Pと経路Pに共有される中間ノード(または共有されるエッジ)がないとき、tとtはリンクされ得て、両方の経路向けの基本経路を生成する。経路Pと経路Pがエッジを共有していると、PまたはPのみの除去によってプローブの数を低減させる方法は存在しない。(LCP向けのリンクカバーアルゴリズムが行うように、任意のプローブに関して、その興味のあるエッジがすべて共有され、かつプローブの組Pから除去されている。)上記の解析に基づいて、補助定理3が成り立つ。
例示の一実施形態に、PLP向けの近似アルゴリズムがある。プローブ経路(解)は最多でk個であるという制限下で、LがグラフG=(V,E)中のプローブ経路の最大コストを示すものとする。
Figure 2009524990
に対する最適解を示すためにOPTを用いる。プローブの数は≦kであり、Aはプローブの最大長さを返す。
まず、プローブを合わせて合併させる前に、LCP向けリンクカバーアルゴリズムの後に、興味のあるエッジ用のプローブとして一連の基本経路(巡回)が見つかることが知られている。その数がk’であると仮定する。k’≦kであれば、プローブの最適の最大コストを返す。k’>kであれば、プローブの最大コストをOPTの下限にしたままで、プローブの数を低減させるために基本経路を合併させる。プローブ長がビンの負荷と見なされ、プローブの数がビンの数kのように限定されるなら、合併部はビン詰問題に類似である。アルゴリズムの複雑さを減らす目的で、任意の2つのプローブを合併させるために最適法(optimal suit method)を適用する。それらのプローブ距離がすべてのプローブ対の中で最小のとき、可能であれば、これら2つの基本経路が合併される。PLP向けアルゴリズムのこの例示の実施形態が図5に示されている。
図5は、主要なリンクカバー問題(PLP)に対するアルゴリズムの例示の実施形態向け擬似コードのリストである。この例示の実施形態は、ネットワークのトポロジーを表わす入力グラフGを有し、また、プローブの数はk未満でなければならないという制限kがある。LCP向けリンクカバーのための図4の例示の実施形態と異なり、この例示の実施形態は、最小数のプローブを使用して、興味のある1組のエッジに及ぶ1組のプローブを探索する。図4では、トータルコストが最小化される限りプローブの数は無制限であった。ここの図5では、プローブの数も最小限にされる。
図5の例示の実施形態は、まず図4の例示の実施形態をコールして、LCP向けリンクカバーを探索し、プローブの数がk未満であれば、そのプローブの組が与えられる。そうでなければ、図5のPLP向けの例示の実施形態は、プローブの数がk未満になるまでプローブの対を合併させる(図6を参照されたい)。
図6は、PLP向けリンクカバーアルゴリズムにおいて、合併させるための方法の例示の一実施形態である。この例示の実施形態では、2つの基本のプローブを合併させるためのプロシージャはMerge(P,P)と呼ばれる。最も近いノードがノードの対
Figure 2009524990
および
Figure 2009524990
と定義される。これらの2つのノードをリンクすると、最終のプローブがPとPを結合し、新規に生成された最小限のプローブコストとする。図6では、LCPは、すべての共有されるエッジeに対して2つの経路PおよびPを与えられる。eが別のプローブPによって共有されるならば、結合ノードでPとPをリンクする。そうでなければ、経路PとPは合併され得ない。PとPの間に共有されるエッジがないならば、それらの間の最も近いノードをリンクする。
プローブの数を最小化すると、端末数も最小化される。端末ノードはできるだけ少ないことが望ましい。これは、端末ノードが、追加のソフトウェア、追加のコンピュータ能力、追加の記憶装置などを含む、ノードの追加の増強を必要とするからである。端末ノードのように特化されたノードは、ネットワーク中の普通のノードよりとても高くつく。
定理3:PLP向けリンクカバーアルゴリズムは2−近似である。
証明:定理3は、PLP向けリンクカバーアルゴリズムは、プローブの数がビンの数と見なされ、プローブの最大のコストがビンの最大の荷と見なされるとき、ビン詰用の最適アルゴリズムと同じように働くという事実を説明する。定理3は、ビン詰アルゴリズムの解析に直接従って証明され得る。詳細な証明は以下の通りである。
OPTは、最適のアルゴリズム自体でなく、プローブの最適の最大コストを示すために用いられる。OPTの下限は、各興味のあるエッジe∈Sが少なくとも1つのプローブによって対象として含まれ、そのようなプローブの組中のプローブの最大コストがOPTに最小化されるように、1組のk個のプローブに対応する。各ステップにおいて、2つの基本経路を合併させる。プローブのコストの増加は、最小限の合併距離が選択されるようにOPTによって制限される。また、最も近い端末に対する対象として含まれるエッジのトータルコストの和はk×OPTの下限であり、合併されるべき各プローブのコストもOPTの下限である。したがって、各ステップにおいて、生成されるいかなるプローブのコストも、2×OPTによってさらに制限される。したがって、定理3が成り立つ。
DLP向け2−近似アルゴリズム
DLP向けに、2−近似アルゴリズムの例示の一実施形態が導入される。様々なDLPは様々なPLPの対照物(counterpart)である。
プローブの最大コストがImaxによって制限されると仮定する。目標は、使用されるプローブの数を最小化することである。最初に、使用されるプローブの数として固定された初期の数k’=1を用いて、PLP向けのリンクカバーアルゴリズムを適用し、生成されるプローブの最大長さを推測する。生じるプローブの組Pの中でプローブの最大コストがIであればPを設定し、また、I≦Imaxであれば、使用されるプローブの最小限の数はk’であると主張される。I>Imaxであればk’を2倍する。k’を1回増加させ(k’←2×k’)、次いでPLP向けの同一のアルゴリズムを適用して、1組のプローブおよびその中のプローブの最大コストを検索する。その中のプローブの最大コスト≦Imaxとなる1組のプローブPが存在するところまで繰り返して、k’を返す。k’≦2×kであると主張され、定理4で証明される。
図7は、DLP向けリンクカバー法の例示の一実施形態である。この例示の実施形態は、興味のあるエッジSに及ぶプローブの組中の任意のプローブの最大コストを最小化する。入力はプローブの最大コストに対する制限を含み、その結果、プローブの組中には、その制限を超過するコストを有するプローブがない。プローブの組Pが与えられたとして、プローブの最大コストが制限より大きければ、k’=2×kを用いてPLPをコールする(図5を参照されたい)ことにより、プローブの組P中のすべてのプローブの最大コストが制限を下回るまで、別のプローブの組を探索する。
定理3を用いて同じ考えに従うことにより定理4が与えられる。
定理4:DLP向けのリンクカバーアルゴリズムは2−近似である。
証明:定理4は、定理3に直接従うことにより証明される。定理3から、最適アルゴリズムが、使用されるべきk個のプローブを有し、2×k個のプローブを使用することを許されるとき、使用されるプローブの数が1回増加されると、次にPLP向けリンクカバーアルゴリズムがプローブの最適の最大コストの下限を返すことが知られている。したがって、DLP向けリンクカバーアルゴリズムでは、ステップI≦Imaxにおいて、最適アルゴリズムが用いることになるプローブの数を2倍まで増加させる。したがって、定理4が成り立つ。
シミュレーション結果
リンクカバーの解は、ロケット燃料プロジェクトから得られた様々な現実的なISPトポロジーに対して評価された。最大の5つのトポロジーが選択された。というのは、それらが、監視されているネットワークの複雑さに関して最も興味のある解析をもたらすからである。ネットワーク中の各リンクは、その推測された待ち時間(リンクコスト)であるコストを割り当てられる。それぞれの場合、バックボーンノードは、可能性のある端末の組として選択された。
ISPトポロジー用端末(バックボーンノード)の数が、ノードの合計数(ISPトポロジー用端末数のほぼ半分)と比べると比較的大きいので、端末数の選択は、そのトポロジーのノードの合計数|V|の約5%、10%、および15%であると制限された。しかし、選択された端末は、無作為に選択されたバックボーンノード位置に配置された。また、対象として含まれるべき興味のあるエッジの組は、ネットワーク中のエッジの合計数の約25%、50%、75%、および100%となるように選択された。
図8に示された表Iは、様々なISPトポロジーに対するLCP向け多項式時間アルゴリズムの例示の実施形態の結果を示す。このアルゴリズムは、合計ノードの約5%および15%を端末として使用して、興味のあるエッジに及ぶのに必要なプローブの数を計算するために用いられる。エッジの合計の約50%および100%を備えた、興味のある2組のエッジが検討された。それぞれの場合で、プローブの最大コスト、プローブの平均コスト、およびプローブすべてのトータルコストが得られた。1つのシナリオは、プローブが2つの端末をリンクする基本経路であることを必要とされたので、TelestraおよびSprintlink(登録商標)のネットワークについては、無作為に選択されたすべてのエッジがプローブによって対象として含まれているとは限らないというものであった。カバレッジのプローブ端末数の影響という特定の問題が、テレストラトポロジーを使用して調査され、結果は図9に示された表IIに表わされている。
方向付けられておらず、負でなく、重み付けされたグラフの一般的な場合が検討された。したがって、プローブ横切り用のエッジコストのコストは負でない実数として割り当てられた。一般性を損なうことなく、また、話を簡単にするために、実験の設計では、経路のコストを示すためにホップの数が用いられた。すなわち、重み付けされていないグラフ上の最短経路が計算された。
表Iおよび表IIから、予想通り、興味のあるエッジの数が、ネットワーク中のすべてのエッジの約50%から100%に増加して、プローブの数がほぼ2倍になったことが認められた。総計のプローブコストにおいて類似の効果が観測された。合計のプローブコストの増加に伴って、同数の端末で対象として含む追加のエッジが増加した。端末数の増加に伴って、プローブの最大のコストおよび平均コストの低下も観測された。その上、これらのメトリクスの値は、5つのトポロジーすべてに対して同等であると判明した。
2−近似PLPアルゴリズムの評価は、図10に示された表IIIに表わされている。ここで、LCPを用いて得られたプローブ数の1/2として、一定のkがターゲットとされた。表IIIは、多項式アルゴリズムLCPを用いて得られたものと、PLPアルゴリズムを用いて合併した後に得られたプローブの、プローブ特性(例えばプローブのプローブコスト、最大コスト、平均コスト)の比較として与えられる。
論考
1つの目標は、最適のプローブ経路を設計して、ネットワーク中の選択されたエッジを対象として含むことであった。最適性基準は、配置されたプローブのトータルコスト、プローブの最大コスト、およびエッジを対象として含むのに必要なプローブの数などのメトリクスを用いて評価された。これらの評価メトリクスの下では、LCPアルゴリズムが非常に優れた性能をもたらすことが判明した。
端末としてノードの約5%だけで、エッジのほとんど100%が対象として含まれた。端末の数を約15%に増加すると、追加のエッジカバレッジをもたらすことなく、プローブのトータルコストが平均でわずかに約1.08%だけ低下した。端末ノードの使用を減らすと、ホストプローブ生成ソフトウェアへ機能強化されなければならないノードがより少数になり、プローブ設置経費が最小限になることが示唆されると判明した。
ノードの約5%を端末として、リンクカバレッジの約100%を使用すると、プローブの平均コストは3.62であると判明し、様々なネットワークリンクに対するプロービングより誘起された負荷が最小限であることを示唆していた。PLPアルゴリズムの1つの目標は、LCPを用いて得られたプローブ経路の合併によりプローブ数を低減させることであった。合併の後、プローブ数の平均百分比の低下は、ほんの約26%であることが判明した。これは、LCPアルゴリズムによって同定されたプローブ経路が最適のものに近いことを示唆した。
表IIIから、いかなる所与のトポロジーに関しても、端末の数とプローブまたはプローブコストの合計数の間に線形の関係はなかった。この効果は、プローブ経路を決定するのに用いられた最短経路計算ならびに、興味のあるエッジの無作為の選択に含まれるいくつかの実験的な要因の結果であると考えられた。
図11は、プローブの最大コストとテレストラのトポロジーにおける端末数の例示の関係を示す。端末数の増加に伴って最大のプローブコストが低減することが観測された。しかし、端末としてのノードの約15%から端末数を増加させることにより、ユニット利得しか得られなかった。したがって、検討されたトポロジーに関して、PLPのデュアル問題(すなわちDLP)の解決により予想された利得が重要でない可能性があったと主張された。したがって、監視に基づく、プローブ向けの2ステップ設計の例示の一実施形態は、PLPが後続するLCPアルゴリズムを含む。
ネットワークトポロジーからの影響
図12から、興味のあるエッジの組に及ぶのに必要なプローブの数は、ネットワーク中のエッジ数に対してほぼ線形従属であることが判明した。その観察は、興味のあるエッジの数または使用された端末の数には無関係に真であると判明した。しかし、表Iから、ノードの数が、プローブの数に、特徴付け得るいかなる影響も及ぼさないことが認められ得た。エッジをすべて対象として含む場合には、端末数を増加させることがエッジのカバレッジを改善しないことも、5つのトポロジーのうちの2つで観測された。どちらの場合でも、同数のリンクが対象として含まれないままであった。これは(無作為に)選択された端末ノードの位置に対するネットワーク中のこれらのエッジの配置の結果であると考えられた。
PLPを用いて達成されたプローブ数およびプローブの最大のコストの百分比の低下は、ネットワークの程度に左右されることも観測された。約8.41と最も程度の高いネットワークに関して、PLP後の低減が、約2.336から3.29の範囲の平均程度を有する他の4つのトポロジーよりかなり小さいことが判明した。したがって、より高い程度を有するネットワークに関して、多項式時間LCPアルゴリズムの例示の実施形態が、ほぼ最適解をもたらした。
結論
検討されたシミュレーションを基に、あらゆるネットワークトポロジーに対して、ほぼ100%のエッジを対象として含むために端末ノードとして割り当てられる必要があるのは、ノードの約5%だけであると結論付けられた。これはプローブベースの監視システムのための重要な発見であった。追加のプローブ端末の付加によるエッジカバレッジに利点がないので、プローブベースの監視システムの設計は、厳密に配備コストに基づいて最適化され得る。配備コストは、端末導入のコスト対プローブ経路をセットアップして維持するコストに関するものである。その上、LCPアルゴリズムの例示の実施形態を用いて、プローブ数、プローブの最大コスト、および平均プローブコストの3つの基準のすべての最小化に関して、ほぼ最適の結果をもたらすプローブ経路を得ることが可能である。
一実施形態は、さらなるPLPアルゴリズムの改善のために、ネットワーク接続の程度など位相問題を考慮に入れたDLPアルゴリズムを用いる。PLPおよびDLPのアルゴリズムの例示の実施形態は、最小メイクスパンスケジュール問題およびビン詰問題に対して容易に対応付けられ得る。したがって、kが定数であるとき、(1+ε)近似アルゴリズムが存在すると考えられる。
図13は、コンピュータを示す高水準ブロック図である。本発明の実施形態を実施するためにコンピュータ1300が使用されてよい。コンピュータ1300は、プロセッサ1330ならびに様々なプログラム1344およびデータ1346を格納するためのメモリ1340を備える。メモリ1340は、プログラム1344に対応するオペレーティングシステム1342も格納してよい。
プロセッサ1330は、電源、クロック回路、キャッシュメモリなど従来のサポート回路、ならびにメモリ1340に格納されたソフトウェアルーチンの実行を支援する回路と協働する。そのため、ソフトウェアの方法として本明細書で論じられたステップのうちのいくつかは、例えばプロセッサ1330と協働して様々な方法のステップを実行する回路のようなハードウェア内で実現されてよいように考えられる。コンピュータ1300は、コンピュータ1300と交信する様々な機能要素間のインターフェースを形成する入出力(I/O)回路も含む。
コンピュータ1300は本発明によって様々な機能を実行するようにプログラムされる汎用コンピュータとして示されるが、本発明は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)としてハードウェア内で実施され得る。そのため、本明細書で説明されたプロセスのステップは、ソフトウェア、ハードウェアまたはその組合せによって等しく実行されるものと広義に解釈されるように意図されている。
本発明はコンピュータプログラムプロダクトとして実施されてよく、コンピュータ命令は、コンピュータによって処理されたとき、本発明の方法および/または技術が起動されるようにコンピュータの動作を適応させるか、または別の方法で提供される。本発明の方法を起動するために与えられた命令は、固定されたメディアまたはリムーバブルメディア内に格納されるか、電波媒体または信号が記録されている他のメディア内のデータストリームを介して伝送されるか、および/または命令に従ってコンピュータ機器内で稼動中のメモリに格納される。
前述のものは、本発明の様々な実施形態に向けられているが、本発明の他の実施形態およびさらなる実施形態が、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく考案され得る。そのため、本発明の適切な範囲は、特許請求の範囲によって決定されるべきである。
リンクカバー問題を示す一例のブロック図である。 定理2の証明のための一例の図である。 補助定理2の証明のための一例の図である。 最小限のプローブのトータルコストでプローブの組を探索する方法を記述するアルゴリズムの例示の一実施形態向け擬似コードのリストである。 主要なリンクカバー問題(PLP)向けアルゴリズムの例示の一実施形態向け擬似コードのリストである。 PLP向けリンクカバーアルゴリズムにおいて合併させるための方法の例示の一実施形態向け擬似コードのリストである。 デュアルリンクカバー問題(DLP)に対するリンクカバーのための方法の例示の一実施形態向け擬似コードのリストである。 様々なインターネットサービスプロバイダ(ISP)のトポロジーに対する、最小コストのリンクカバー問題(LCP)向け多項式時間アルゴリズムの例示の実施形態のシミュレーション結果を示す表Iである。 Telestraのトポロジーに対する、最小コストのリンクカバー問題(LCP)向け多項式時間アルゴリズムの例示の実施形態のシミュレーション結果を示す表IIである。 2−近似PLPアルゴリズムの例示の実施形態のシミュレーション結果を示す表IIIである。 Telestraのトポロジーにおけるプローブの最大コストと端末数の間の例示の関係を示すグラフである。 ネットワーク中のエッジの合計数対例示のシミュレーションにおけるプローブの合計数を示すグラフである。 コンピュータを示す高水準ブロック図である。

Claims (10)

  1. ネットワークのトポロジー、ネットワーク中の1組の選択されたエッジおよびネットワーク中の1組の端末を受け取るステップと、
    コストを最小化しながら、選択されたエッジの組を対象として含み端末ノードの組を起点および終点とする複数のプローブ経路を有する1組のプローブを決定するステップと、
    エンドツーエンド型サービス品質を測定することができるプローブの組を与えるステップとを含む、ネットワークを監視するための、方法。
  2. プローブの組中のプローブが所定のリンク容量を超過しない、請求項1に記載の方法。
  3. プローブの組のトータルコストが最小化される、請求項1に記載の方法。
  4. プローブの組中の各プローブの最大コストが最小化される、請求項1に記載の方法。
  5. プローブの組中のプローブの合計数が最小化される、請求項1に記載の方法。
  6. オペレーティングシステムおよび少なくとも1つの記憶デバイスを含むプロセッサと、
    ネットワーク監視の方法を実行するための、プロセッサ上で実行することができるソフトウェアコンポーネントとを備え、ソフトウェアコンポーネントが、
    ネットワークのトポロジー、ネットワーク中の1組の選択されたエッジおよびネットワーク中の1組の端末を受け取るステップと、
    コストを最小化しながら、選択されたエッジの組を対象として含み端末ノードの組を起点および終点とする複数のプローブ経路を有する1組のプローブを決定するステップと、
    エンドツーエンド型サービス品質を測定することができるプローブの組を与えるステップとを含む、ネットワークを監視するためのシステム。
  7. プローブの組中のプローブが所定のリンク容量を超過しない、請求項6に記載のシステム。
  8. プローブの組のトータルコストが最小化される、請求項6に記載のシステム。
  9. ネットワーク監視用の方法を実行するための命令を格納するコンピュータ読取可能媒体であって、方法が、
    ネットワークのトポロジー、ネットワーク中の1組の選択されたエッジ、およびネットワーク中の1組の端末を受け取るステップと、
    コストを最小化しながら、選択されたエッジの組を対象として含み端末ノードの組を起点および終点とする複数のプローブ経路を有する1組のプローブを決定するステップと、
    エンドツーエンド型サービス品質を測定することができるプローブの組を与えるステップとを含む、コンピュータ読取可能媒体。
  10. プローブの組のトータルコストが最小化される、請求項13に記載のコンピュータ読取可能媒体。
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