JP2009523009A - 結腸直腸癌を検出するための化合物及び方法 - Google Patents

結腸直腸癌を検出するための化合物及び方法 Download PDF

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Abstract

本出願人は、結腸直腸癌に対する生物指標である、IBABP−Lと呼ばれる回腸胆汁酸結合タンパク質(IBABP)の新規変異体を同定した。IBABP−Lに対する転写物は、選択的開始部位から生じ、IBABPには存在しない3つのエクソンを含む。IBABP−Lはまた、IBABPと第4エクソンの部分を共有する。IBABP−Lによってコードされるタンパク質は、IBABPタンパク質には見られない推定される49残基のN末端配列を含む。本発明は、結腸直腸癌を診断するための方法、この発見に基づく他の組成物及び方法を提供する。

Description

政府の権利に関する陳述
本発明は、少なくとも部分的には、アメリカ合衆国の政府からの助成金によって支援されている(国立衛生研究所の認可番号R21 CA 116329)。政府は、本発明に関するある種の権利を有するものである。
関連案件への相互参照
この出願は、参照により本明細書中に援用される、2005年9月21日出願の米国仮特許出願シリアル第60/719,747号の優先権を主張する。
技術分野
本発明は、結腸直腸癌の検出、特に、診断目的に有用な結腸直腸癌に対する生物指標に関する。
背景情報
結腸直腸癌は、米国において3番目に多い流行性の悪性腫瘍であり、2005年には、約14,500人が新規に診断され、56,000人が死亡している[Cancer Facts and Figures 2005,Surveillance Research(Washington,DC:American Cancer Society,Inc.),2005]。結腸直腸癌に対して最も共通した非侵襲的試験は、糞便潜血検査(FOBT)であり、それは、30年を超えて使用されている。不幸なことに、FOBTの感度は、依然として約50%であり、全ての癌腫が出血するわけではないため、初期の悪性腫瘍は検出されない場合がある(Agrawal and Syngal,Curr.Opin.Gastroenterol.21:59−63,2005)。FOBTに関連した非常に多くの偽陽性のために、依然として、、結腸鏡検査及びS状結腸鏡検査が結腸癌の検出の判断基準となっている(Smithら,CA Cancer J.Clin.55:31−44,2005)。これらの侵襲的試験は、費用がかかり、スタッフの非常な訓練を必要とし、不快であり、腸せん孔及び可能性のある志望の危険性を上昇させる(Daviesら,Nat.Rev.Cancer 5:199−209,2005)。結論として、結腸直腸癌に対する新規な分子指標及び診断試験に対する多大な必要性が未だに残されている。
1940年と同じ位の初期に発癌物質として認められた胆汁酸(Cookら,Nature 145:627,1940)のような結腸癌に対する既知の危険因子と関連したタンパク質の発現における変更を見出すことが期待され、それ以来、結腸癌の発生率と強く結びついていた(Wunder and Reddy,J.Natl.Cancer Inst.50:1099−1106,1973;Crowtherら,Br.J.Cancer 34:191−198,1976;Reddyら,Cancer 42:2832−2838,1978;Jensenら,Nutr.Cancer 4:5−19,1982;Hillら,Nutr.Cancer 4:67−73,1982;Domellofら,Nutr.Cancer 4:120−127,1982)。ほんの僅かな試験が、結腸直腸癌における潜在的な生物指標として胆汁酸応答経路におけるタンパク質について試験している(DeGottardiら,Dig.Dis.Sci.49:982−989,2004)。
胆汁酸の恒常性に関与するタンパク質の1つは、回腸胆汁酸結合タンパク質(IBABP)であり、脂肪酸結合タンパク質(FABP)ファミリーの一部である14kDaの細胞質タンパク質である。IBABPは、第5染色体上のfabp6遺伝子によってコードされている(Fujitaら,Eur.J.Biochem.233:406−423,1995);IBABPは、脂肪酸の代わりに胆汁酸に結合するため、このタンパク質ファミリーのうちで独特である(Thompsonら,Mol.Cell.Biochem.192:9−16,1999)。さらに、胆汁酸は、腸においてフェルネソイド−X受容体(FXR)に結合する(Makishimaら,Science 284:1362−1365,1999;Wangら,Mol.Cell 3:543−553,1999;Parksら,Science 284:1365−1368,1999)ことによって,IBABPの発現を誘導し(Kandaら,Biochem.J.330(Pt.1):261−265,1998)、それにより、IBABPプロモーターにおける胆汁酸応答エレメントを活性化する(Groberら,J.Biol.Chem.274:29749−29754,1999)。これらの特性、及び腸上皮におけるその局在に基づいて、IBABPは、コレステロール恒常性の調節の中心となる胆汁酸輸送及びバッファリング活性に関与してもよい(Fuchs,Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.284:G551−G557,2003)。
患者における結腸癌を同定するための精確であり、感度のよい診断が必要となる。本発明は、この必要性及び他の必要性を満たす。
発明の概要
IBABPの遺伝子構造の本出願人の分析は、驚くべきことに、IBABP−Lと呼んでいるIBABPの新規な変形体を示している。IBABP−Lは、IBABP中の代わりの開始部位から生じ、結果として、そのN末端で唯一49個のアミノ酸の長さである配列を有するタンパク質をコードする。最も顕著には、IBABP−Lは、結腸直腸癌のあらゆる段階で、そして、悪性結腸ポリープで情報制御される。対照的に、14kDaのIBABPをコードするより短い転写物の発現は、結腸直腸癌において顕著に変化していない。
本発明の一態様によれば、天然のIBABP−Lポリヌクレオチドに対して少なくとも90%、95%、99%または100%核酸配列同一性を有する配列を含み、天然のIBABP−Lポリペプチドに選択的にハイブリダイズする単離されたポリヌクレオチドが提供される。
本発明の別の態様によれば、下記に定義されるような天然のIBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチドに対して少なくとも90%、又は95%、又は99%核酸配列同一性を有する少なくとも100個のヌクレオチドの長さである配列を含む単離されたポリヌクレオチドが提供される。
本発明の別の態様によれば、天然のIBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチドの少なくとも15、20、若しくは30個の近接したヌクレオチド、又は天然のIBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチドの全体、又は天然のIBABP−L mRNA若しくはcDNAの全長タンパク質をコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドが提供され、ここで、単離されたポリヌクレオチドは、天然のIBABP−Lポリヌクレオチドと選択的にハイブリダイズする。
本発明の別の態様によれば、(a)天然のIBABP−L N末端ポリペプチドの少なくとも4個の隣接するアミノ酸を含む少なくとも11個のアミノ酸のポリペプチドをコードし、そして、(b)哺乳動物に導入した場合、天然のIBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する抗体を誘発する単離されたポリヌクレオチドが提供される。一例の態様では、前記ポリペプチドは、IBABP−LのN末端ポリペプチドの少なくとも5、6、7、8、9、又は10個の隣接するアミノ酸を含む。
本発明の別の態様によれば、上述の単離されたポリヌクレオチドのいずれかは、胆汁酸に結合するポリペプチドをコードする。
上述したポリヌクレオチドのいずれかを含む細胞、ベクター(発現ベクターを含む)、プローブ及びプライマー、並びにこのようなベクターを含む細胞もまた提供される。
本発明の別の態様によれば、(a)天然のIBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする、天然のIBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチドの少なくとも15個の隣接するヌクレオチドを含む第1プライマー;(b)天然のIBABP−Lポリヌクレオチド由来の少なくとも15個の隣接するヌクレオチドを含む第2プライマー;そして、(c)第1プライマー、第2プライマー、及びIBABP−L mRNAを含む試料を用いて実行される増幅反応が、該試料中のIBABP−L mRNAの存在を指示する増幅産物を生成する第1プライマー及び第2プライマーを同封している適したパッケージを含むキットが提供される。このようなキットの一態様によれば、第2プライマーは、IBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする。
このようなキットはまた、天然のIBABPポリヌクレオチド由来の少なくとも15個の隣接するヌクレオチドを含む第3プライマーを含む;第1、第2及び第3、並びに試料を用いて実行さえる増幅反応は、該試料中のIBABP−L mRNAの存在を指示する第1増幅産物、及び該試料中のIBABP mRNAの存在を指示する第2増幅産物を生成する。このようなキットにある第3プライマーは、天然のIBABPエクソン4aポリヌクレオチド由来の少なくとも15個の隣接するヌクレオチドを場合により含む。
このようなキットはまた、場合により、第4プライマーを含む。一態様によれば、第3プライマーは、天然のIBABP−Lポリヌクレオチド由来の少なくとも15個の隣接するヌクレオチドを含み、第4プライマーは、天然のIBABPポリヌクレオチド由来の少なくとも15個の隣接するヌクレオチドを含む。第1、第2、第3及び第4プライマー、並びに該試料を用いて実行するポリメラーゼ連鎖反応は、該試料中のIBABP−L mRNAの存在を指示する第1増幅産物、及び該試料中のIBABP mRNAの存在を指示する第2増幅産物を生成する。場合により、第3プライマー又は第4プライマーは、天然のIBABPエクソン4aポリヌクレオチド由来の少なくとも15個の隣接するヌクレオチドを含む。
本発明の別の態様によれば、天然のIBABP N末端ポリペプチドに対して少なくとも90%、95%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する配列(場合により、15、20、30、若しくは40、またはそれを超えるアミノ酸残基を有する)を含む単離されたポリペプチドが提供され、ここで、哺乳動物への単離されたポリペプチドの導入は、IBABP−Lに選択的に結合する抗体の産生を誘発する。
本発明の別の態様によれば、IBABP−LのN末端ポリペプチド由来の少なくとも11、12、13、15、20、30個の隣接するアミノ酸の配列、又はIBABP−LのN末端ポリペプチド、又は天然のIBABP−Lポリペプチドを含む単離されたポリペプチドが提供され、ここで、哺乳動物への該単離されたポリペプチドの導入は、IBABP−Lに選択的に結合する抗体の産生を誘発する。本発明の一例の態様によれば、単離されたポリペプチドは胆汁酸に結合する。
本発明の別の態様によれば、天然のIBABP−L N末端ポリペプチドの少なくとも4、5、6、7、8、9、10、12、又は15個の隣接するアミノ酸を含む、長さにして少なくとも11個のアミノ酸残基の単離されたポリペプチドが提供され、ここで、哺乳動物への単離されたポリペプチドの導入は、天然のIBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する抗体の産生を誘発する。
本発明の別の態様によれば、結腸直腸癌を治療又は予防するのに効果的であるIBABP−Lポリペプチドの量、及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
本発明の別の態様によれば、結腸直腸癌を有する患者または結腸直腸癌を発症する危険性のある患者を治療するための製剤を製造するための方法が提供され、このような方法は、医薬として有効量のIBABP−Lポリペプチドを用いて該製剤を調合することを含む。
本発明の別の態様によれば、有効量のIBABP−Lポリペプチドを含む組成物をそれを必要とする患者に投与することを含む、結腸直腸癌を治療又は予防するための方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、天然のIBABP−Lポリペプチドに選択的に結合するポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化、一本鎖、及び断片抗体が提供される。
本発明の別の態様によれば、(a)上述した単離されたポリヌクレオチドのいずれかを含む発現ベクター、又は(b)上述した単離されたポリペプチドのいずれかを哺乳動物に導入し、それにより、抗体の酸性を誘発することを含む、天然のIBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する抗体を製造するための方法が提供される。
試料中のIBABP−Lポリペプチド又はポリヌクレオチドの存在を同定し、又は測定するため;IBABP−LポリペプチドとIBABPポリペプチドの比を決定するため;試料中のIBABP−Lポリヌクレオチド(例えば、mRNA)とIBABPポリヌクレオチドの比を決定するための種々の方法がまた、本発明によって提供される。このような方法は、多様な目的のために有用であり、限定されないが、個体における結腸直腸癌の存在を検出すること;結腸直腸癌を患っている患者の治療経過の進行を評価すること;結腸直腸癌を発症する危険性が増加している個体を同定すること;結腸直腸癌に対する特定の治療に応答する可能性のある個体を同定することなどが含まれる。試料中のIBABP−Lポリヌクレオチド若しくはポリペプチド、又は試料中のIBABP−L/IBABPポリヌクレオチド若しくはポリペプチド比の測定において実行される方法において、その測定は、参照、例えば、個体由来の対照試料からの類似の測定、1以上の異なる時間点で採取した個体からの測定(例えば、治療開始前の基準測定、または治療中および/または治療経過後の1以上の時間点での測定);健常である、種々の段階の結腸直腸癌を患っている、結腸直腸癌を発症する危険性が増大しているなどの一群の個体から採取した測定由来の値;及び、他のこのような参照値と比較することができる。
したがって、本発明の別の態様によれば、IBABP−Lポリペプチドを含む試料中のIBABP−Lポリペプチドの存在を検出する方法が提供され、このような方法は、IBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する本発明に係る抗体と試料とを接触させ、IBABP−Lポリペプチドに対する抗体の結合を検出することを含む。このような方法を体現するアッセイの例には、限定されないが、ELISA及びバイオ−バーコードアッセイが含まれる。一例の態様によれば、試料中のIBABP−Lポリペプチドは、例えば、該試料中のポリペプチドへの抗体の結合を測定することによって測定される(即ち、定量的に実行される)。
本発明の別の態様によれば、IBABP−Lポリペプチド及びIBABPポリペプチドを含む個体由来の試料中のIBABP−LポリペプチドとIBABPポリペプチドの比を決定する方法が提供される。一例の態様には、(a)IBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する第1抗体と試料とを接触させ、試料中のIBABP−Lポリペプチドに対する第1抗体の結合を測定すること;(b)IBABPポリペプチド及びIBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する第二抗体と試料とを接触させ、該試料中のIBABPポリペプチド及びIBABP−Lポリペプチドに対する第2抗体の結合の結合を測定すること;そして、(c)該試料中のIBABP−LポリペプチドとIBABPポリペプチドの比を計算することを含む。工程(a)及び(b)は、場合により、単一反応において実行される。このような方法の例には、ELISA又はバイオ−バーコードアッセイがある。
本発明の別の態様によれば、IBABP−Lポリペプチドを含む試料中にIBABP−Lポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の存在を検出するための方法が提供され、このような方法は、IBABP−Lポリヌクレオチドに選択的に結合するポリヌクレオチドを含むプローブ又はプライマーと該試料とを接触させ、IBABP−Lポリヌクレオチドに対してプローブ又はプライマーの結合を検出することを含む。一例の態様では、前記試料は、IBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む第1プライマー、及びIBABP−Lポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む第2プライマーと接触させられ、増幅反応(例えば、PCR反応、例えば、定量的PCR又はRT−PCR反応)を実行し、そして、該試料中のIBABP−Lポリヌクレオチドの存在を指示する増幅産物が検出される。別の態様として、このような方法は、バイオ−バーコードアッセイを実行することを含む。一例の態様によれば、該試料中のIBABP−Lポリヌクレオチドは、例えば、該試料中のポリペプチドに対するプローブ又はプライマーの結合を測定することによって測定される(例えば、定量的に実行される)。
本発明の別の態様によれば、IBABP−Lポリヌクレオチド及びIBABPポリヌクレオチドを含む試料中のIBABP−L mRNAとIBABPポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の比を決定する方法が提供される。一例の態様は、(a)IBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする第1プローブと試料とを接触させること;(b)該試料中のIBABP−Lポリヌクレオチドに対する第1プローブのハイブリダイゼーションを測定すること;(c)IBABPポリヌクレオチド及びIBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする第2プローブと該試料とを接触させること;(d)該試料中のIBABP及びIBABP−Lポリヌクレオチドに対する第2プローブのハイブリダイゼーションを測定すること;(e)該試料中のIBABP−LポリヌクレオチドとIBABPポリヌクレオチドの比を計算することを含む。別のこのような態様では、(1)IBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする少なくとも1つのプライマーと試料とを接触させ、第1増幅反応(例えば、PCR、限定されないが、RT−PCRを含む)を実行して、該試料中のIBABP−Lポリヌクレオチドの存在を指示する第1増幅産物を生成すること;(b)IBABP及びIBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする少なくとも1つのプライマーと試料とを接触させ、第2増幅反応を実行して、該試料中のIBABP及びIBABP−Lポリヌクレオチドの存在を指示する第2増幅産物を生成すること;(c)第1増幅産物及び第2増幅産物を測定すること;(d)該試料中のIBABP−LポリヌクレオチドとIBABPポリヌクレオチドの比を計算することを含む。このような方法において、接触工程及び増幅反応を実行する工程は、場合により、単一反応で実行される。別のこのような態様では、バイオ−バーコードアッセイが採用される。
本発明の別の態様によれば、個体における結腸直腸癌を検出するか、又は結腸直腸癌を発症する危険性が増加している個体を同定するか、又は結腸直腸癌に対する特定の治療に応答する可能性のある個体を同定する方法が提供される。このような方法には、IBABP−Lポリペプチドを含む、個体由来の試料中のIBABP−Lポリペプチドを測定することが含まれる。1つのこのような態様には、IBABP−Lポリペプチド及びIBABPポリペプチドを含む、個体由来の試料中のIBABP−LポリペプチドとIBABPポリペプチドの比を測定することが含まれる。別のこのような態様には、IBABP−L mRNAを含む、個体由来の試料中のIBABP−L mRNAを測定することが含まれる。別のこのような態様には、IBABP−L mRNAおよび/または帯びIBABP mRNAを含む、個体由来の試料中のIBABP−L mRANとIBABP mRNAの比を測定することが含まれる。
本発明の別の態様によれば、結腸直腸癌を患っている患者に対する治療経過の進行を評価する方法が提供される。このような方法は、治療経過中の異なる時間点で患者から採取した試料中のIBABP−Lポリペプチド、IBABP−L mRNA、IBABP−LポリペプチドとIBABPポリペプチドの比、又はIBABP−L mRNAとIBABP mRNAの比を測定すること、種々の時間点からの試料由来の測定を比較することを含む。
前述の方法にいずれかにおいて、採用される試料には、細胞、組織(例えば、胃腸組織試料)、糞尿(排泄物)試料、体液(例えば、血液)又は任意の他の適した試料が含まれる。上述したように、前述の方法のいずれかにおいて、IBABP−Lポリペプチド若しくはポリヌクレオチド又はIBABP−L/IBABPポリペプチド若しくはポリヌクレオチドの比の採取した任意の測定は、場合により、適切な参照と比較され得る。前述の方法のいずれかは、場合により、自動化されてもよい。
本発明の前述の局面及び他の局面は、下記の詳細な説明、添付の図面、及び請求の範囲からより明確となる。
他に定義されなければ、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が関係する当業者により共通して理解されるもの同じ意味を有する。本明細書中に開示されたものと同じか又は均等な方法及び材料は本発明の実施又は試験に用いることができるが、適切した方法及び材料が下記に記載されている。本明細書中に言及されているあらゆる刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、全体として参照により援用される。不一致の場合には、定義を含む本明細書が調整する。さらに、材料、方法、及び実施例は、単に例示であり、限定されることは意図してない。
発明の詳細な説明
本出願人は、IBABPの新規な変異体を同定し、IBABP−Lと命名した。IBABP−Lに対する転写は、代替の開始部位から商事、IBABPにはない3つのエクソンを含む。IBABP−Lはまた、IBABPと第4のエクソンの部分を共有する。IBABP−Lによってコードされるタンパク質は、IBABPポリペプチドによって共有されない独特の49個のアミノ酸の長さであるN末端配列を含む。
IBABP−L転写物は、正常なヒトの腸全体で同レベルで発現される。これは、IBABPをコードする転写物とは対照的であり、空腸から上方結腸に伸びている腸の部分においてより数桁高いレベルで発現される。腸のこれらの領域では、IBABP−Lの発現は、IBABP−Lより少なくとも一桁低い。2つの転写物はまた、胆汁酸に対するそれらの応答において異なる。胆汁は、FXR転写経路の部分としてIBABP−Lの発現を刺激するが(Groberら,J.Biol.Chem.274:29749−29754,1999)、それらはIBABP−Lの発現に対して効果がない。
本出願人は、68人の患者由来の結腸直腸癌腫試料におけるIBABP及びIBABP−Lの発現を比較した。IBABPは、結腸直腸癌において本質的には変化しないが、IBABP−Lは上方制御される。大部分の場合、上方制御は多大であり、相対的なmRNAのコピー数における平均増加は30倍を超える。IBABP−Lは、初期の悪性ポリープにおいて上方制御され、その高発現は、腫瘍分化の全てのその後の臨床分類において明らかである。結腸直腸癌における上方制御への傾向は、2つの転写物間を区別できないPCRプライマーで明らかであるが、IBABP−Lの特定の測定は、かなり高い感受性である。
3つの他の因子は、潜在的なバイオマーカーとしてIBABP−Lの使用において考慮すべき重要なものである。第1に、結腸直腸癌におけるIBABP−L発現の増加は、患者の年齢又は性別から独立している。第2に、結腸癌細胞株の研究に基づいて、IBABP−Lの発現は、p53、APC、又はK−rasのようなタンパク質に共通する発癌突然変異から独立しているようである。それにもかかわらず、IBABP−Lが大部分の主要において上方制御されるという事実と連動して、細胞株の研究は、IBABP−Lの発現が単一の癌遺伝子における病変に依存している可能性はほとんどないことを示す。第3に、IBABPとは異なって、IBABP−Lの発現は、胆汁酸によって影響を受けない。したがって、IBABP−Lレベルが、食生活の変化または全体的な健康状態に起因する胆汁酸の変化に関係しているとは誰も思わない。性格には、IBABP−Lの発現は、結腸直腸癌のための幅広く適用可能な試験として使用に十分に適合させる多くの特性を有する。
本出願人は、試料中のIBABP−LとIBABPとの間の発現比(RC/RN)がIBABP−L単独の相対レベルよりも結腸直腸癌の僅かに良好な予測因子であることを見出した。
IBABP及びコレステロール代謝
コレステロールは、膜生物発生、カベオラ形成、及び胚情報伝達分子の分配を含む広範囲の生理学的過程に本質的である多機能性分子である。それは、ステロイドホルモン及びオキシステロールを含む転写活性脂質の合成における本質的な前駆体でもある(Brown及びGoldstein,Cell 89:331−340,1997)。本質的ではあるが、コレステロールは非常に不溶性であり、胆石及び心疾患を含む多様な疾患に貢献する堆積物を形成し得る(Dowling,Aliment Pharmacol.Ther.14 Suppl.2:39−47,2000;Jones,Am.J.Manag.Care.7:S289−S298,2001)。
コレステロールレベルは、腸吸収、内因性生合成、輸送、及び排出を含む多様なレベルで制御される。コレステロール排出の主要な経路は、コレステロールを水溶性の胆汁酸にする肝臓による変換を介して(Chiang,Front.Biosci.3:D176−D193,1998)、その後、胃腸管にそれらを分泌する。およそ95%の分泌された胆汁酸は、腸吸収を介してリサイクルされ、門脈血を通して肝臓に戻される。残りの5%の胆汁酸は、腸から排出され、それにより、肝臓は、毎日、0.5g程度のコレステロールを胆汁酸に変換することによって、これらの喪失を補給するように強いられている(Russell,Cell 97:539−542,1999)。したがって、肝臓は、コレステロールを代謝する甚大な能力を有し、このプロセスを標的にする治療は、食事、合成、及びアテローム性動脈硬化症(逆コレステロール輸送経路を介する)を含む様々な供給源から誘導されるコレステロールを排除する可能性を有する。
コレステロールを胆汁酸に変換する2つの代謝経路が同定されている(Chiang,Front.Biosci.3:D176−D193,1998)。ヒトでは、古典的経路は、全ての胆汁酸合成の少なくとも90%に関与している。この経路の第1であって、律速段階は、CYP7A1、1 肝臓特異的コレステロール7α−ヒドロキシラーゼによって触媒される。CYP7A1転写は、その胆汁酸及び産物によって強力に抑制される(Myantら,J.Lipid Res.18:135−153,1977)。不明な受容体スーパーファミリーのメンバー(FXR、NR1H4、以下、BARと呼ぶ)は、内因性の胆汁酸に応答してCYP7A1転写を抑制する(Wangら,Mol.Cell 3:543−553,1999;Makishimaら,Science 284:1362−1365,1999;Parksら,Science 284:1365−1368,1999;Sinalら,Cell 102:732−744,2000)。2つの胆汁酸応答エレメント(BARE)は、CYP7A1プロモーターで同定されている。しかしながら、BARは、いずれからのエレメントに直接的に結合することはできず、これは、CYP7A1の制御におけるBARの間接的な役割を示唆する(Chiangら,J.Biol.Chem.275:10918−10924,2000)。メカニズムが提案されており、それにより、BARは、ネガティブな転写調節因子SHP(小へテロ二量体パートナー)を誘導し、続いて、CYP7A1 BAREに結合する転写因子を抑制する(Luら,Mol.Cell 6:507−515,2000);Goodwinら,Mol.Cell 6:517−526,2000)。CYP7A1抑制に対するこのメカニズムは、一過性の過剰発現したSHPを用いた実験に基づいて示唆される。SHPが、これらの条件下で無数の不明な受容体を抑制(Leeら,Mol.Cell.Biol.20:187−195,2000;Seolら,Mol.Endocrinol.12:1551−1557,1998)及び/又は活性化(Nishizawaら,J.Biol.Chem.277:1586−1592,2002)し得るため、SHP誘導モデルは、胆汁酸が遺伝子転写を制御する特異性を説明していない。
BARによる転写抑制を構成するメカニズムは不明であるが、BARが、核受容体RXRとのヘテロ二量体として、特定の応答エレメントに結合することによって転写を活性化することは良く知られている(Formanら,Cell 81,687−693,1995;Laffitteら,J.Biol.Chem.275:10638−10647,2000)。SHP、回腸胆汁酸結合タンパク質(IBABP)、及び肝内胆汁塩輸出ポンプ(BSEP、ABCB11)を含むBARによって、転写が活性化されるいくつかの遺伝子が同定されている(Edwardsら,J.Lipid Res.43:2−12,2002)。これらの遺伝子は、胆汁酸恒常性に重要である。IBABPは、大部分の胆汁酸が再吸収される回腸末端部に発現される細胞内タンパク質である。IBABP−Lは、この組織を通過する高い、その他には毒性のある毒性レベルの胆汁酸の細胞間シャトル及び/又は緩衝に役割を果たすことが提案されている。BSEPは、胆汁酸の胆汁分泌に関与する細管状ATP結合カセットトランスポーターである。実際には、この遺伝子の突然変異を不活性化することは、進行性家族性肝内胆汁うっ滞(2型)及び肝硬変をもたらす(Strautnieksら,Nat.Genet.20:233−238,1998)。したがって、コレステロール分解を制御することに加えて、BARは、胆汁酸の生理学を協調的に制御する点においてより一般的な役割を果たす。
BARはまた、脂質恒常性の他の側面を制御する。例えば、BARアゴニストは、トリグリセリドレベルを減少させ(Iser及びSali,Drugs 21:90−119,1981;Maloneyら,J.Med.Chem.43,2971−2974,2000)、そして、BAR−ヌルマウスは、トリグリセリドを上昇させる(Sinalら,Cell 102:731−744,2000)。これは、BARを媒介にしたアポリポタンパク質CIIの制御及び/又はリン脂質輸送タンパク質に潜在的に関係している(Edwardsら、J.Lipid Res.43:3−12,2002に概説される)。メカニズムにかかわらず、BAR活性化は、コレステロール及びトリグリセリドレベルに相互的な影響を促進するようである。BAR調節因子の2つの分類が同定されている(Dussaultら,J.Biol.Chem.278:7027−7033,2003)。第1の分類は、天然に存在している胆汁酸より約25倍強力であるアゴニストを含む。これらの化合物は、BARを活性化し、内因性の標的遺伝子に期待される制御パターンを生じさせる。AGN34は、遺伝子選択的BAR調節因子(BARM)として同定されている:それは、IBABPに対するアンタゴニストであるCYP7A1に対するアゴニストとして作用し、SHPには中性である(Dussaultら,J.Biol.Chem.278:7027−7033)。
定義及び方法
下記の定義及び方法は、本発明をより良く定義し、本発明の実施において当業者を案内するために提供される。他に指摘がなければ、用語は、関連する技術分野において当業者による慣用的な使用に従って理解されるべきである。分子生物学における共通用語の定義はまた、Riegerら,Glossary of Genetics:Classical and Molecular,5th edition,Springer−Verlag:New York,1991;及び、Lewin,Genes V,Oxford University Press:New York,1994に見出すことができる。37CFR1.822で記載されるDNA塩基の命名法が使用される。アミノ酸残基に関しては、標準的な1文字及び3文字命名法が使用される。
ポリヌクレオチド
IBABP−Lに対する転写物(mRNA)は、IBABPに対する転写物の開始部位から代わった開始部位から生じる。IBABP−L転写物は、IBABP転写物には存在せず、IBABP−Lポリペプチドのアミノ(N)末端で49個のアミノ酸配列をコードする3つのエクソン(IBABP遺伝子のエクソン1−3)に対応する配列を含む。このようにして、エクソン1−3の配列は、IBABP−Lに独特であり、IBABP−Lポリヌクレオチドを同定及び定量するためのプローブ及びプライマーを製造するために、そして、他の目的のために有用である。
本明細書中で使用するとき、用語「IBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチド(又はプローブ若しくはプライマー)は、IBABP遺伝子のエクソン1、2及び3に対応する配列からなり、IBABP転写物には存在しないポリヌクレオチド(又はプローブ若しくはプライマー)、即ち、49個のアミノ酸IBABP−L N末端ポリペプチドのコード領域を意味する(下記に定義される)。
本明細書中で使用するとき、用語「IBABP−Lポリヌクレオチド」は、このIBABP−L mRNA及び対応するcDNAを意味し、限定されないが、そのタンパク質コード領域を含む。用語「IBABP−Lポリヌクレオチド」によって包含されるのはまた、例えば、IBABP−L mRNA又はcDNAの断片又は部分であり、限定されないが、IBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチド;IBABP−Lの抗原決定基をコードする断片(例えば、IBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する抗体を誘発するもの);IBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするプローブ及びプライマーなどである。含まれるものはまた、野生型IBABP−L配列に1以上のヌクレオチドの挿入、欠失、又は置換を含むが、例えば:IBABP−Lに選択的に結合する能力を保持し;IBABP−L抗原決定基を含むポリペプチドをコードし;IBABP−L活性を有するポリペプチドをコードする突然変異したか又は変異ポリヌクレオチドである。
本明細書中で使用するとき、用語「選択的にハイブリダイズする」とは、他のポリヌクレオチドよりも実質的には高い程度で、天然若しくは野生型のIBABP−L mRNA又はcDNAなどの標的ポリヌクレオチドに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でのプローブ、プライマー又は他のポリヌクレオチドの結合を意味する。IBABP−Lに選択的にハイブリダイズするプローブ及びプライマーは、IBABP−L、即ち、エクソン1−3に独特である配列を含む。特に、IBABP−Lに「選択的にハイブリダイズする」プローブは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でIBABPに選択的にハイブリダイズせず、したがって、IBABP−Lポリヌクレオチド(例えば、IBABP mRNA)とIBABPポリヌクレオチドとを区別するために使用することができる。同様に、IBABP−Lに「選択的にハイブリダイズする」プライマーは、PCRなどの増幅反応に用いられる場合、適切な増幅条件下でIBABPの実質的な増幅をもたらすことなしに、IBABP−Lの増幅をもたらす。このようにして、全ての又は実質的に全てのIBABP−L選択的プローブ又はプライマーは、適切な条件下で標的IBABP−Lポリヌクレオチドにハイブリダイズし、測定されるように、特定の手法の感受性を与える。同様に、本明細書中で使用するとき、ポリヌクレオチドに関して用語「に選択的」とは、ポリヌクレオチドが標的ポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズすることを指す。
同様に、IBABPに独特である配列を含むプローブ又はプライマー、例えば、エクソン4aの配列(図4を参照されたい)は、IBABPに選択的にハイブリダイズする。特に、IBABPに選択的にハイブリダイズするプローブは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でIBABP−Lに実質的にハイブリダイズせず、したがって、IBABPポリヌクレオチド(例えば、IBABP mRNA)とIBABP−Lポリヌクレオチドとを区別するために用いることができる。同様に、IBABPポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするプライマーは、PCRなどの増幅反応に用いられる場合、IBABP−Lポリヌクレオチドの実質的な増幅をもたらすことなしに、IBABPポリヌクレオチドの増幅をもたらす。このようにして、全ての又は実質的に全てのIBABP選択的プローブ又はプライマーは、標的IBABPポリヌクレオチドにハイブリダイズし、測定されるように、特定の手法の感受性を与える。
本明細書中に使用するとき、用語「IBABPエクソン4aポリヌクレオチド(又はプローブ若しくはプライマー)」は、IBABP遺伝子のエクソン4aに対応する配列からなり、IBABP−L転写物には存在しないポリヌクレオチド(又はプローブ若しくはプライマー)をいう。
IBABP−LのmRNAの配列はまた、IBABP−L mRNAに存在するため、このような共通した配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列はまた、IBABP−Lポリヌクレオチドの配列に選択的にハイブリダイズすることができる。したがって、IBABP及びIBABP−Lポリヌクレオチドによって共有される十分な長さの配列を含むプローブ又はプライマーは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でIBABP及びIBABP−Lにハイブリダイズするが、このような配列は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、試料中の他のポリヌクレオチド配列にハイブリダイズせず、したがって、IBABP及びIBABP−Lポリヌクレオチドに「選択的に」結合すると考えられる。
本明細書中で使用するとき、ポリヌクレオチドに関して用語「野生型」又は「天然」は、交換可能に用いることができ、細胞又は生物に見出すことができる参照ポリヌクレオチドと100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド、又はその断片をいう。
ポリヌクレオチド(例えば、DNA又はRNA)配列は、自動化DNAシークエンサーを用いてポリヌクレオチド分子を配列決定することによって決定することができる。この自動化アプローチによって決定したポリヌクレオチド配列は、いくつかのエラーを含み得る。実際の配列は、自動化手段によるか又は当該技術分野において周知であるマニュアルの配列決定法によって再度配列決定することによって検証可能である。
他に指示がなければ、本明細書中に記載される各「ヌクレオチド配列」は、デオキシリボヌクレオチド(A、G、C及びTと省略される)の配列と表される。しかしながら、本明細書中に使用するとき、DNA分子の用語「ヌクレオチド配列」は、デオキシリボヌクレオチドの配列を意味し、RNA分子については、リボヌクレオチド(A、G、C及びU)の対応する配列であり、特定されたデオキシヌクレオチド配列中の各チミジンデオキシヌクレオチド(T)は、リボヌクレオチドウリジン(U)に置換される。
「単離された」ポリヌクレオチドとは、天然の環境から取り出されたポリヌクレオチドが意図される。例えば、ベクターに含まれた組換えポリヌクレオチドは、本発明の目的のために単離されることが考えられる。単離されたポリヌクレオチドの更なる例には、異種の宿主細胞において維持された組換えポリヌクレオチド、又は溶液中の精製した(部分的若しくは実質的に)ポリヌクレオチドを含む。単離されたRNA分子は、本発明のDNA分子のインビボ又はインビトロでのRNA転写物を含む。本発明に従って単離されたポリヌクレオチドは、さらに合成的に生産したこのような分子を含む。
ポリヌクレオチドは、mRNAなどのRNAの形態であるか、又は、例えば、cDNA及びゲノムDNAを含むDNAの形態であり得る。DNAは、二本鎖又は一本鎖であり得る。一本鎖DNA又はRNAは、センス鎖としても知られるコード鎖であり得るか、あるいはアンチセンス鎖とも呼ばれる非コード鎖であり得る。ポリヌクレオチドは、非天然に存在するヌクレオチド又はリボヌクレオチド類似体を含むことができる。
用語「断片」(ポリヌクレオチドの)は、本明細書中で使用するとき、例えば、プローブ及びプライマーとして有用である、長さにして少なくとも約15、20、25、30、35、又は40ヌクレオチド(nt)の長さを有するより長いポリヌクレオチドの部分であるポリヌクレオチドを意味する。IBABP−L cDNAのエクソン1−3(即ち、IBABP−Lの49個のアミノ酸のN末端ポリペプチドをコードする配列)の全部又は部分を含む配列、あるいはその部分からなるポリヌクレオチドは、例えば、全長IBABP−L cDNAの断片であると考えられる。このようにして、例えば、少なくとも20ヌクレオチドの長さのIBABP−Lの断片は、IBABP−Lの全長cDNAのヌクレオチド配列の20以上の隣接する塩基を含む。このようなDNA断片は、自動化したDNAシンセサイザーの使用によって、又は制限エンドヌクレアーゼ切断若しくは例えば全長のIBABP−L cDNAを(例えば、超音波処理による)せん断によって発生させてもよい。
例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、IBABP−L転写物(即ち、mRNA)などのIBABP−Lポリヌクレオチドにハイブリダイズする単離されたポリヌクレオチドもまた本発明によって包含される。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、及び20μg/ml変性したせん断したサケ精子DNAを含む溶液中で42度で一晩のインキュベーション、続く約65℃で0.1×SSC中でフィルターを洗浄することが意図される。あるいは、ストリンジェントな条件は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の実施に用いられる条件である。このようなハイブリダイズしているポリヌクレオチドは、伝統的なDNAハイブリダイゼーション技術によるプローブとして、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって標的配列の増幅のためのプライマーとして診断的に有用である。
本明細書中で使用するとき、用語「特異的にハイブリダイズする(結合する)」は、大部分又は実質的に全てのプローブ又はプライマーのハイブリダイゼーションがストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で試料中の特定のポリヌクレオチドに対するものであることを意味する用語「選択的にハイブリダイズする(結合する)」と交換可能に用いられる。
本発明はまた、ポリペプチド、例えば全長のIBABP−Lポリペプチド又はその部分の全部又は部分をコードするポリヌクレオチドを提供する。このようなタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、限定されないが、特定のポリペプチド又はその断片のアミノ酸配列をコードする配列を含んでもよく、そして、例えば、限定されないが、転写、mRNAプロセッシング−−スプライシング及びポリアデニル化シグナル、例えば、リボソーム結合及びmRNA安定性を含む、に役割を果たす転写された、非翻訳配列などのイントロン及び非コード5’及び3’配列を含む追加の非コード配列とともに、追加の機能を提供するものなどの追加のアミノ酸をコードするコード配列を含んでもよい。さらに、ポリペプチドをコードする配列は、例えば、融合したポリペプチドの精製を促進するマーカー配列などの異種のポリペプチド又はペプチド配列に融合することが可能である。このようなマーカー配列の一例は、pQEベクター(Qiagen,Inc.)に提供されるタグなどのヘキサ−ヒスチジンペプチドである。例えば、Gentzら,Proc.Natl.Acad.Sic.USA 86:821−824(1989)に記載されるように、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の便利な精製を提供する。「HA」タグは、インフルエンザウイルスの血球凝集素(HA)タンパク質由来のエピトープに対応する、精製に有用な別のペプチドであり、Wilsonら,Cell 37:767(1984)によって記載されている。
さらに、本発明は、IBABP−Lポリペプチドの部分、類似体又は誘導体をコードする、本発明の天然又は野生型のポリヌクレオチドの変異体に関する。天然の対立遺伝子変異体、即ち、生物の染色体上の所定の遺伝子座を占有する遺伝子のいくつかの代替の形態の一つ、などの変異体は自然に存在し得る。天然に存在しない変異体は、例えば、既知の突然変異誘発技術を用いて、又はDNA合成によって生成され得る。このような変異体は、ヌクレオチドの置換、欠失又は付加によって生成されるものを含む。置換、欠失又は付加は、1以上のヌクレオチドを伴うことが可能である。変異体は、コード領域若しくは非コード領域又はその両方において改変可能である。コード領域における改変は、保存的又は非保存的アミノ酸の置換、欠失又は付加を生成することが可能である。IBABP−Lポリペプチド又はその部分の特性及び活性を改変しないサイレントな置換、付加及び欠失も含まれる。
本発明の更なる態様は、天然又は野生型のIBABP−Lポリヌクレオチドと高程度の配列同一性、例えば、それに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である配列を有する又は含む単離されたポリヌクレオチド分子を含む。
ポリヌクレオチドは、参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチド当り最大5個の突然変異(付加、欠失、又は置換)を含むことを除いて、参照配列と同一である場合、参照ヌクレオチド配列に対して、少なくとも、例えば95%「同一」であるヌクレオチドは配列を有すると考えられる。参照配列のこれらの突然変異は、参照ヌクレオチド配列の5’及び3’末端位置、又はそれらの末端位置の間のいずれかで生じ、参照配列のヌクレオチド間で単独であるか又は参照配列内で1以上の隣接するグループで分散され得る。ヌクレオチド配列の同一性は、慣習的には、既知のコンピュータプログラム、例えば、BESTFITプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix(登録商標),Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive,Madison,Wis.53711)を用いて測定してもよい。BESTFITは、Smith及びWatermanの局所ホモロジーアルゴリズム(Adv.Appl.Math.2:482−489(1981)を用いて、2つの配列間のホモロジーの最大セグメントを見つける。BESTFIT又は任意の他の配列整列プログラムを用いて、特定の配列が、本発明に従って、例えば、参照配列と95%同一であるかどうかを測定する場合、パラメータは、当然、同一性パーセントが参照ヌクレオチド配列の全長全体を計算されるように、そして、参照配列のヌクレオチドの総数の最大5%のホモロジーにおけるギャップが許容されるように設定される。
組換え構築体;ベクター及び宿主細
本発明はまた、限定されないが、ベクターを含む、IBABP−Lポリヌクレオチドを含む組換えポリヌクレオチド構築体を提供する。本発明はまた、このようなベクター、及び組換え技術又は合成技術によってIBABP−Lポリペプチド若しくはその断片の生成物を含む宿主細胞を提供する。
「操作可能に連結された」。第1核酸配列が機能的関連で第2核酸配列とともに配置される場合、該第1核酸配列は、該第2核酸配列と「操作可能に連結される」。例えば、プロモータがコード配列の転写又は発現に影響を与える場合、該プロモータは該コード配列に操作可能に連結される。一般的に、操作可能に連結されたDNA配列は隣接していて、そこでは、リーディングフレームにおいて、2つのタンパク質コード領域を接続させる必要がある。
「組換え」。「組換え」ポリヌクレオチドは、2つの別々に分離した配列のセグメントの人工的な組合せによって、例えば、化学合成によって、又は遺伝子工学技術によるポリヌクレオチドの単離されたセグメントの操作によって作製される。核酸操作の技術は周知である(例えば、Sambrookら、1989、及びAusubelら、1992年)。ポリヌクレオチドの化学合成の方法は、例えば、Beaucage及びCarruthers,Tetra.Letts.22:1859−1862,1981、及びMatteucciら,J.Am.Chem.Soc.103:3185,1981において検討されている。ポリヌクレオチドの化学合成は、例えば、商業的な自動化オリゴヌクレオチドシンセサイザーで実行可能である。
組換えベクターは、標準的な組換え技術によって生成され、感染、形質導入、トランスフェクション、トランスベクション、エレクトロポレーション及び形質転換などの周知な技術を用いて宿主細胞に導入することができる。ベクターは、例えば、ファージ、プラスミド、ウイルス又はレトロウイルスベクターであってもよい。レトロウイルスベクターは、複製可能であるか又は複製欠損であってもよい。後者の場合、ウイルス増殖は、一般的に、宿主細胞の補足にだけ生じる。
発現ベクターは、適切な宿主細胞における対象とするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの発現を許容する配列を含む。このような発現は、構成的又は非構成的であり、例えば、特定の細胞又は組織タイプに特異的である環境因子又は化学誘導物質によって誘導可能である。発現ベクターは、染色体、エピソーム及びウイルス−由来ベクター、例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、酵母染色体エレメント、バキュロウイルス、パポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス及びレトロウイルスなどのウイルス由来のベクター、それらの組合せ由来のベクター、例えばコスミド及びファゲミドを含む。
発現ベクターにおいて、ポリヌクレオチドインサートは、適切なプロモータに操作可能に連結される。プロモータは、同種のプロモータ、即ち、天然に存在するポリヌクレオチドインサートと関連するプロモータ又はその機能的部分、例えば、IBABP又はIBABP−Lタンパク質コード領域を有するIBABPプロモータであってもよい。あるいは、プロモータは、異種プロモータ、即ち、天然に存在するポリヌクレオチドインサートと関連しないプロモータ又はその機能的部分、例えば、IBABP−Lタンパク質コード領域に操作可能に連結した細菌細胞における高レベルのタンパク質発現のために用いられる細菌プロモータ(又は、そのことについて言えば、IBABPプロモータ以外の任意のプロモータ)であってもよい。発現構築体は、転写開始、終止のための部位、転写された領域では、翻訳に関するリボソーム結合部位をさらに含む。構築体によって発現される成熟転写物のコード部分は、開始時にAUGを開始する翻訳、翻訳されるべきポリペプチドの末端に適切に位置される終止コドンを含む。
ベクターは、このようなベクターが導入された宿主細胞の選択に適した1以上の選択可能なマーカーを含んでもよい。このようなマーカーは、真核細胞のためのジヒドロ葉酸還元酵素又はネオマイシン耐性、大腸菌及び他の細菌の培養のためのテトラサイクリン又はアンピシリン耐性遺伝子を含む。適切な宿主の代表例は、細菌細胞、例えば、大腸菌、ストレプトミセス及びネズミチフス菌細胞;真菌細胞、例えば、酵母細胞;昆虫細胞、例えば、ショウジョウバエS2及びスポドプテラSf9細胞;動物細胞、例えば、CHO、COS及びボウズメラノーマ細胞;及び、植物細胞を含む。上述した宿主細胞用の適切な培養培地及び条件は、当該技術分野において知られる。
適した細菌プロモータは、大腸菌lacI及びlacZプロモータ、T3及びT7プロモータ、gptプロモータ、ラムダPR及びPLプロモータ、およびtrpプロモータを含む。真核プロモータは、CMV前初期プロモータ、HSVチミジンキナーゼプロモータ、初期及び後期SV40プロモータ、レトロウイルスLTRのプロモータ、例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)のもの、メタロチオネインプロモータ、例えば、マウスメタロチオネイン−Iプロモータを含む。
小胞体の内腔内、ペリプラスム空間内、又は細胞外環境への翻訳されたタンパク質の分泌に関して、適切な分泌シグナルは、発現したポリペプチドに組み込まれてもよい。シグナルは、ポリペプチドに内因性であってもよく、あるいは、それらは異種シグナルであってもよい。
対象とするポリペプチドは、融合タンパク質などの修飾した形態で発現可能であり、分泌シグナルだけでなく、追加の異種機能性領域も含んでもよい。例えば、追加のアミノ酸の領域は、特に荷電アミノ酸の良識は、ポリペプチドのN末端に付加されて、精製中又はその後の処置及び保存中、宿主細胞における安定性及び持続性を改善することが可能である。また、ペプチド部分は、ポリペプチドに付加されて、精製を促進することが可能である。このような領域は、ポリペプチドの最終精製前に除去可能である。分泌又は排出を引き起こすために、安定性を改善するために、及び精製を促進するために、ペプチド部分をポリペプチドに付加することは、特に、当該技術分野において親しく、日常的な技術である。
対象とする発現したポリペプチドは、硫酸アンモニア又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーを含む周知な方法によって、組換え細胞培養物から回収され、精製することができる。
本発明のポリペプチドは、自然に精製された生成物、化学合成手法の生成物、例えば、細菌、酵母、高等植物、昆虫及び哺乳動物細胞を含む原核又は真核宿主から組換え技術によって生成される生成物を含む。組換え生成手法に採用される宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されてもよく、又はグリコシル化されていなくてもよい。さらに、本発明のポリペプチドはまた、宿主を媒介としたプロセスの結果としてある場合において、初期修飾されたメチオニン残基を含むことが可能である。
ポリペプチド
本明細書中で使用するとき、句「IBABP−Lポリペプチド」は、少なくとも10、11、12、12、14、15、20、30、40、49、50、100個以上のアミノ酸残基の長さのポリペプチドを意味し、全長の天然又は野生型のIBABP−Lポリペプチド又はその断片と高度の配列同一性を有する。天然のIBABPポリペプチド配列における1以上のアミノ酸残基の欠失、挿入又は置換を含むIBABP−Lポリペプチドの変異体が含まれ、限定されないが、関連する生物学的アッセイにおいて測定されるように、全長の天然又は野生型のIBABP−L又はその断片に活性類似性を示すが、必ずしも同一ではないポリペプチドが含まれる。
本明細書中で使用するとき、ペプチド又はポリペプチドに関して、用語「野生型の」又は「天然の」は、細胞又は生物に見出される参照ポリペプチドとの100%配列同一性を有するポリペプチド、又はその断片を意味するように相互交換可能的に用いられる。
本明細書中で使用するとき、用語「IBABP−LのN末端ポリペプチド」、又は「IBABP−L N末端ポリペプチド」、又は単に「N末端ポリペプチド」とは、IBABP−Lポリペプチドの部分ではない、IBABP−LポリペプチドのN末端の独特の49個のアミノ酸配列を意味する。
本明細書中で使用するとき、用語「ペプチド」及び「オリゴペプチド」は、同義であると考えられ、そして、本明細書中で使用するとき、各用語は、ペプチド性連結によって結合された少なくとも2個のアミノ酸の鎖を意味する。本明細書中で使用するとき、用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、同義であると考えられ、そして、各用語は、約10個を超えるアミノ酸残基の鎖を意味する。本明細書中の全てのオリゴペプチド及びポリペプチド式又は配列は、左から右、そしてアミノ末端からカルボキシ末端方向で記載される。
本明細書中で使用するとき、用語「単離された」ポリペプチド又はタンパク質は、その天然の環境から取り出されたポリペプチド又はタンパク質を意味する。例えば、宿主細胞で発現された組換え的に生成されたポリペプチド及びタンパク質は、任意の適切な手法によって実質的に精製された天然又は組換えポリペプチド及びタンパク質であるように、本発明の目的のために単離されると考えられる。
本明細書中で使用されるとき、用語「選択的に結合する」は、用語「特異的に結合する」と相互交換可能であり、IBABPポリペプチドに関して使用される場合、例えば、IBABPなどの他のポリペプチドに対するよりも実質的に高い程度で標的のIBABPポリペプチドに対する抗体、リガンド、受容体、基質、又は他の結合剤の結合を意味する。いくつかの態様によれば、抗体又は他の結合剤の全ての又は実質的に全ての結合は、IBABP−Lポリヌクレオチドに対するものであり、測定されて、特定の手法の感度を与えることができる。抗体、リガンド、受容体、基質又は他の結合剤は、標的分子に選択的に結合する場合、IBABP−Lなどのポリペプチド又は他の標的分子「に選択的である」又は「に特異的である」と言われる。
IBABP−Lポリペプチド又はペプチドのアミノ酸配列は、タンパク質の構造又は機能に対して有意な影響を与えずに改変され得る。一般的に、同じ機能を発揮する残基が使用されるという条件で、ポリペプチド又はペプチドの三次構造に貢献する残基を置換することが可能である。他の例では、残基のタイプは、変更がタンパク質の重要でない領域で生じる場合は、全てが重要でなくてもよい。
このようにして、本発明は、IBABP−L又は実質的なIBABP−L活性を示すペプチドの変異を含む。このような突然変異体は、欠失、挿入、倒置、繰り返し、及びタイプ置換(例えば、1つの親水性残基を別のものと置き換えるが、概して、強い親水性を強い疎水性には置き換えない)を含む。僅かな変化又はこのような「天然の」アミノ酸置換は、一般的に、活性にあまり影響を与えない。
典型的には、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu及びIleの中で互いに置き換えること;ヒドロキシル残基Ser及びThrの交換(interchange)、酸性残基Asp及びGluの交換(exchange)、アミノ酸残基AsnとGlnとの間での置換、塩基性残基Lys及びArgの交換(exchange)、そして、芳香族残基Phe、Tyrの中での置換が、保存的置換として見られる。アミノ酸変更が表現型のサイレントである可能性があること(即ち、機能として有意な有害効果を有する可能性がないこと)に関する指針は、例えば、Bowieら,Science 247:1306−1310,1990に見ることができる。
このようにして、天然の又は野生型のIBABP−Lポリペプチドの断片、誘導体又は類似体は、(i)1以上のアミノ酸残基が保存された又は保存されていないアミノ酸残基で置換され、このような置換されたアミノ酸残基が遺伝コードによってコードされたものであってもよく又はそうでなくてもよいもの、又は(ii)1以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、又は(iii)成熟ポリペプチドが別の化合物、例えば、ポリペプチドの半減期を増加させる化合物(例えば、ポリエチレングリコール)と融合されるもの;又は(iv)追加のアミノ酸が成熟ポリペプチド、例えば、IgG Fc融合領域ペプチド、又はリーダー若しくは分泌配列又は成熟ポリペプチドを精製するために採用される配列又はプロタンパク質配列に融合されるものであってもよい。
荷電アミノ酸は、別の荷電アミノ酸と置換することができる。荷電したアミノ酸はまた、中性又は負に帯電したアミノ酸と置換することができ、結果として、正電荷が減少したタンパク質をもたらす。凝集の阻害は、活性の喪失及び免疫原性の増加を避けるために非常に望まれる(Pinckardら,Clin Exp.Immunol.2:331−340,1967;Robbinsら,Diabetes 36:838−845,1987;Clelandら,Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Systems 10:307−377,1993)。
アミノ酸の置換はまた、細胞表面の受容体へのタンパク質結合の選択性を変更することができる。Ostadeら,Nature 361:266−268(1993)は、既知の2種のTNF受容体のうち1つだけにTNF−αが選択的に結合するようになるある種の突然変異を記載する。
天然の配列における1以上のアミノ酸は、電荷及び極性が天然のアミノ酸のものと類似している別のアミノ酸(単数又は複数)、即ち、保存的アミノ酸置換で置換することが可能であり、結果としてサイレントな変化をもたらすことは、当該技術分野において周知である。天然のポリペプチド配列中のアミノ酸の保存的置換は、アミノ酸が属する部類の他のメンバーから選択可能である。アミノ酸は、次の4つのグループ:(1)酸性アミノ酸、(2)塩基性アミノ酸、(3)中性極性アミノ酸、及び(4)中性、非極性アミノ酸に分割することができる。これらの種々のグループ内の代表的なアミノ酸は、限定されないが、(1)酸性(負に帯電した)アミノ酸、例えば、アルパラギン酸及びグルタミン酸;(2)塩基性(正に帯電した)アミノ酸、例えば、アルギニン、ヒスチジン、及びリジン;(3)中性極性アミノ酸、例えば、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、シスチン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミン;そして、(4)中性非極性(疎水性)アミノ酸、例えば、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びメチオニンを含む。天然のポリペプチド配列中の保存的アミノ酸置換は、これらのグループの1つに含まれる1つのアミノ酸を同じグループに含まれる別のアミノ酸と置換することによって行うことができる。一つの局面では、本発明のタンパク質又はその断片の生物学的に機能的同等物は、10個以下、7個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個、又は1個の保存的アミノ酸変化を有することができる。つまり、コードしているヌクレオチド配列は、対応する塩基置換を有し、本発明のペプチド又は断片の生物学的に機能的同等形態をコードすることを可能にする。
ある種のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域又は基質分子上の結合部位などの構造を含むタンパク質構造において、相互作用的な結合能力の相当な喪失なしに他のアミノ酸と置換されてもよいことは理解される。そのタンパク質の生物学的機能活性を定義するのはタンパク質の相互作用的能力及びタンパク質の性質であるため、ある種のアミノ酸配列置換は、タンパク質配列、当然にその基礎をなすDNAコード配列において実行され得て、それにもかかわらず、類似の性質を有するタンパク質がなお得られる。このようにして、本発明のタンパク質若しくは断片のペプチド配列、又は該ペプチドをコードする対応するDNA配列において、それらの生物学的有用性又は活性の相当な喪失なしに、様々な変化を行うことができることは発明者らによって意図される。このようなアミノ酸変化をコードすることができるコドンは当該技術分野において知られていることは理解される。
このような変更を加えるには、アミノ酸のハイドロパシック・インデックス(hydropathic index)を考慮してもよい。相互作用的な生物学的機能の付与におけるハイドロパシック・アミノ酸インデックスの重要性は、一般的に、当該技術分野において理解されている(Kyte及びDoolittle,J.Mol.Biol.157:105−132,1982)。アミノ酸の相対的なハイドロパシックな特徴は得られるタンパク質の二次構造に寄与し、次に、他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原等とタンパク質の相互作用を定義する。各アミノ酸は、その疎水性及び電化特性に基づいたハイドロパシック・インデックスが与えられた(Kyte及びDoolittle,J.Mol.Biol.157:105−132,1982);これらは、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、スレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタミン酸塩(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパラギン酸塩(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リジン(−3.9)、及びアルギニン(4.5)である。このような変更を加えるには、ハイドロパシック・インデックスが±2以内、又は±1以内、又は±0.5以内であってもよいアミノ酸の置換である。
同様のアミノ酸の置換は、親水性に基づいて効果的になされ得ることも当該技術分野において理解される。米国特許第4,554,101は、タンパク質の最大の局所的平均親水性は、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配され、タンパク質の生物学的特性と相関すると述べている。
米国特許第4,554,101号に詳述されるように、下記の親水性値は、アミノ酸残基に与えられた:アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0)、アスパラギン酸塩(+3.0±.1)、グルタミン酸塩(+3.0±.1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、スレオニン(−0.4)、プロリン(−0.5±.1)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、及びトリプトファン(−3.4)。天然のポリペプチド又はペプチド配列に変更を加えるには、親水性値が±2以内、又は±1以内、又は±0.5以内であってもよいアミノ酸の置換である。
当然、当業者が行うアミノ酸置換の数は、上述したものを含む多くの因子に依存する。一般的に言えば、任意の所定のIBABP−Lポリペプチドの置換数は、50、40、30、20、10、5、3、又は2以内である。
機能に本質的である、本発明のIBABP−Lタンパク質におけるアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニン走査突然変異誘発(Cunningham及びWells,Science 244:1081−1085,1989)によって同定することができる。後者の手法は、分子中のいずれの残基でも1個のアラニン突然変異を誘導する。次に、得られる突然変異分子は、インビトロにおける受容体結合などの生物学的活性、又はインビトロ増殖活性について試験される。リガンド−受容体結合に重要である部位はまた、結晶化、核磁気共鳴又は光親和性標識(Smithら,J.Mol.Biol.224:899−904,1992;de Vosら,Science 255:306−312,1992)などの構造解析によって決定することができる。
本発明のポリペプチド及びペプチドは、天然又は野生型のポリペプチド及びペプチド、並びに天然のIBABP−Lポリペプチド及びその断片に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である(あるいは、とそのような程度の同一性を有する)ポリペプチド又はペプチド変異体を含む。
参照アミノ酸配列と少なくとも、例えば95%の「同一である」アミノ酸配列を有するポリペプチドとは、ポリペプチドのアミノ酸配列は、該ポリペプチド配列が参照ポリペプチドの参照アミノ酸配列の各100個のアミノ酸当り最大5個のアミノ酸の変更を含むことを除いて、参照配列と同一であることが意図される。換言すれば、参照アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、参照配列中の最大5%のアミノ酸残基は、欠失されるか若しくは別のアミノ酸で置換されてもよく、あるいは、参照配列において全アミノ酸残基のうち最大5%のアミノ酸数が参照配列に挿入されてもよい。これらの参照配列の変更は、参照アミノ酸配列のアミノ末端又はカルボキシ末端で、又はそれらの末端位置の間のどこかで生じてもよく、参照配列における残基の中で個別的であるか又は参照配列内の1以上の隣接するグループにおいて分散される。
実際には、任意の特定のポリペプチが、参照配列と比較した場合に、特定の程度のアミノ酸配列の同一性を有するかどうかは、Bestfitプログラム(Wisonsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix(登録商標),Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive,Madison,Wis.53711)などの既知のコンピュータプログラムを用いて慣用的に決定することができる。特定の配列が、例えば、本発明による参照配列と95%同一であるかどうかを決定するために、Bestfit又は任意の他の配列整列プログラムを用いると、パラメータは、当然、同一性パーセントが参照アミノ酸配列の全長全体で計算され、参照配列においてアミノ酸残基の総数の最大5%のホモロジーにおけるギャップが許容されるように設定される。
本発明の別の態様では、本明細書中に記載されるポリペプチドの断片が提供される。このような断片には、IBABP−Lの49個のアミノ酸のN末端配列を含むポリペプチド;IBABP−Lの1以上の抗原決定基を含む断片、タンパク質、IBABP−Lに選択的に結合する抗体を発生させるもの;そして、胆汁酸を結合するIBABP−Lの断片が含まれる。IBABP−Lに特有であり、IBABP−L及びIBABPに共有される両配列を含む断片も含まれる。例えば、1つのこのような断片は、IBABP−Lの49個のアミノ酸N末端配列との間の接合にかかるポリペプチドであり、IBABP−Lポリペプチドにおける隣接している配列(IBABPにも存在する)は、IBABP−LのN末端配列由来の僅か4〜6個のアミノ酸残基を含むとしても、接合断片に特異的に結合する抗体を生じさせるために用いることができる。このような接合断片のみが存在し、IBABP−Lに固有の配列、特に49個のアミノ酸N末端ポリペプチド由来の配列が存在するかどうかを検出され得るので、このような接合断片によって誘発される交代は、IBABP−Lポリペプチドに選択的に結合することが考えられる。本発明のポリペプチド断片は、数々の目的、例えば、哺乳動物における抗体産生を誘発するために、SDS−PAGEゲル上又は当業者に周知である方法を用いる分子篩ゲルろ過カラム上の分子量マーカーとして使用することができる。
本発明のポリペプチドは、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を生じるために使用することができ、IBABP−L発現を検出するための診断アッセイで、又は他の目的で有用である。さらん、このようなポリペプチドは、酵母ツーハイブリッドシステムで用いて、結合タンパク質を「捕捉する」ことができる(Fields及びSong,Nature 340:245−246,1989)。
別の側面では、本発明は、本発明のポリペプチドのエピトープ担持部分を含むペプチド又はポリペプチドを提供する。このポリペプチド部分のエピトープは、本発明のポリペプチドの免疫原性又は抗原性エピトープである。「免疫原性エピトープ」は、全タンパク質が免疫原である場合、抗体応答を発揮するタンパク質の一部として定義される。これらの免疫原性エピトープは、分子上のいくつかの遺伝子座に限定されると考えられる。他方、抗体が結合することができるタンパク質分子の領域は、「抗原エピトープ」として定義される。タンパク質の免疫原性エピトープの数は、一般的に、抗原性エピトープの数よりも少ない。例えば、Geysenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002,1984)を参照されたい。
抗原性エピトープを担持する(即ち、抗体が結合可能なタンパク質部分の領域を含む)ペプチド又はタンパク質の選択に関して、タンパク質配列の部分を模倣する比較的短い合成ペプチドは、部分的に模倣したタンパク質と反応する抗血清を日常的に誘発することができることは当該技術分野において周知である。例えば、Sutcliffeら,Science 219:660−666,1983)を参照されたい。タンパク質反応性血清を誘発することができるペプチドは、多くの場合、タンパク質の一次配列に示され、一連の単一の化学的規則によって特徴付けられ、そのままのタンパク質の免疫優勢領域(即ち、免疫原性エピトープ)及びアミノ末端若しくはカルボキシル末端のいずれにも限定されない。非常に疎水性であるペプチド、及び6個以下の残基のペプチドは、一般的に、模倣したタンパク質に結合する抗体を誘導するには効果的ではない;より長い、可溶性ペプチド、特にプロリン残基を含むものは、通常、効果的である(Sutcliffeら,上述,661)。
したがって、本発明の抗原性エピトープを担持するペプチド及びポリペプチドは、本発明のポリペプチドに選択的に結合する、モノクローナル抗体を含む抗体を生じさせるのに有用である。このようにして、抗原性エピトープを担持するペプチドを用いて免疫したドナー由来の脾臓細胞の融合によって得られる高比率のハイブリドーマは、一般的に、天然のタンパク質と反応する抗体を分泌する(Sutcliffeら,上述,663)。抗原性エピトープを担持するペプチド又はポリペプチドによって生じた抗体は、模倣したタンパク質を検出するために有用であり、異なるペプチドに対する抗体は、転写後のプロセッシングを受けるタンパク質前駆体の手術の領域の運命を追跡するのに用いてもよい。ペプチド及び抗ペプチド抗体は、例えば、競合アッセイにおいて模倣したタンパク質に対して手術の定性的及び定量的アッセイで用いることができ、これは、短いペプチド(例えば、約9個のアミノ酸)でさえも免疫沈降アッセイにおいて、より大きなペプチドを結合し、動かすことができるためである。例えば、Wilsonら,Cell 37:767−778,1984を参照されたい。本発明の抗ペプチド抗体はまた、例えば、既知の方法を用いる吸着クロマトグラフィーによって、タンパク質精製に有用である。
上記ガイダンスに従って設計された本発明の抗原性エピトープを担持しているペプチド及びポリペプチドは、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列内に含有される7、8、9、10、11、12、13、14、15、20又は30個以上のアミノ酸の配列を含んでもよい。しかしながら、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列の大部分を含むペプチド又はポリペプチドは、約30〜50個のアミノ酸、又は本発明のポリペプチドの最大にして全長アミノ酸の任意の長さ及びそれを含み、本発明のエピトープを担持しているペプチド又はポリペプチドであるとも考えられ、模倣したタンパク質と反応する抗体を誘導するために使用されもする。
本発明の一態様に従って、IBABP−Lポリペプチドの49個のアミノ酸N末端ポリペプチドとその残り部分との間の接合を橋渡しする、即ち、IBABP−L由来の独特の配列(例えば、IBABP−Lの49個のアミノ酸N末端ポリペプチド由来の4、5、6、7,8、9、10個以上の隣接するアミノ酸残基)、及びIBABP−LとIBABPポリペプチドの両方に含まれる配列の両方を含むペプチド及びポリペプチドが提供される。このような接合を橋渡ししているペプチド及びポリペプチドは、IBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒト等)において抗体の酸性を誘発するために用いることができる。
エピトープを担持しているペプチドのアミノ酸配列は、水溶液中の実質的な可溶性を提供するように選択されてもよい(即ち、相対的に親水性残基及び非常に疎水的な配列を含む配列は回避され得る)。
本発明のエピトープを担持しているペプチド及びポリペプチドは、本発明の核酸分子を用いた組換え手法を含む、ペプチド又はポリペプチドを作製する任意の慣用的な手法によって提供され得る。例えば、短いエピトープを担持しているアミノ酸配列は、組換え体を作成及び精製中に、並びに抗ペプチド抗体を生成する免疫中に、担体として作用するより大きなポリペプチドに融合することが可能である。エピトープを担持しているペプチドはまた、化学合成の既知の方法を用いて合成することもできる。例えば、Houghtenは、4週未満で(酵素免疫吸着アッセイ[ELISA]を採用する結合試験によって)作製され、特徴付けられたHA1ポリペプチドのセグメントの単一のアミノ酸変異体を示す10〜20mgの248個の異なる13残基ペプチドなどの大多数のペプチドを合成する簡便な方法を記載している(Houghten,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5131−5135,1985;及び、米国特許第4,631,211号)。この手法では、種々のペプチドの固相合成のための個々のレジンは、別個の溶媒透過性パケットに含まれ、固相合成に関与する多くの同一の反復工程の最適使用を可能にする。完全なマニュアル手法により、500〜1000以上の合成が同時に実行され得る。
本発明のエピトープを担持しているペプチド及びポリペプチドは、当該技術分野において周知な方法に従って、抗体を誘導するために使用される。例えば、Sutcliffeら,上述;Wilsonら,上述;Chowら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:910−914;及び、Bittleら,J.Gen.Virol.66:2347−2354,1985を参照されたい。一般的に、動物は、遊離ペプチドで免疫され得る;しかしながら、抗ペプチド抗体の力価は、キーホール・リンペット・ヘマシアニン(KLH)又は破傷風トキソイドなどの巨大分子担体へのペプチドのカップリングによってブーストされてもよい。例えば、システインを含有するペプチドは、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)などのリンカーを用いて担体に結合させてもよく、他のペプチドは、グルタールアルデヒドなどのより一般的な連結試薬を用いて担体に結合させてもよい。ウサギ、ラット及びマウスなどの動物は、例えば、約100μgのペプチド又は担体タンパク質及びフロインゴアジュバントを含有するエマルジョンの腹腔内及び/又は皮内注入によって、遊離又は単体結合ペプチドで免疫される。いくつかのブースター注入は、例えば、約2週間の間隔で必要とされ、例えば、固体表面に吸着した遊離ペプチドを用いたELISAアッセイによって検出することができる抗ペプチド抗体の有用な力価を提供されてもよい。免疫動物由来の血清中の抗ペプチド抗体の力価は、抗ペプチド抗体の選択によって、例えば、当該技術分野において周知な方法に従って、固体支持体上のペプチドへの吸着及び選択された抗体の溶出によって、増加させることができる。
本発明の免疫原性エピトープを担持しているペプチド、即ち、全タンパク質が免疫原である場合に、抗体応答において誘発するタンパク質の部分は、当該技術分野において知られる方法に従って同定される。例えば、Geysenら(1984)(上述)は、酵素免疫吸着アッセイにおいて反応するのに十分な純度の数百のペプチドの固体支持体上での急速な同時合成のための手法を開示している。次に、合成されたペプチドと抗体との相互作用は、支持体からそれらを取り出すことなしに容易に検出される。このようにして、所望のタンパク質の免疫原性エピトープを担持しているペプチドは、当業者によって日常的に同定されてもよい。例えば、口蹄疫ウイルスの被覆タンパク質における免疫学的に重要なエピトープは、Geysenらによって特定され、タンパク質の全213個のアミノ酸配列を覆う全ての208個の可能なヘキサペプチドの重複しているセットを合成することによって7個のアミノ酸を分析した。次に、全20個のアミノ酸がエピトープ内の全ての位置で順番に置換されたペプチドの一連の完全な置換体を合成し、抗体との反応に対する特異性を与える特定のアミノ酸を決定した。このようにして、本発明のエピトープを担持しているペプチドのペプチド類似体は、この方法によって日常的に作製することができる。Geysenによる米国特許第4,708,781号(1987)は、さらに、所望のタンパク質の免疫原性エピトープを担持しているペプチドを同定する本方法を記載する。
Geysenによる米国特許第5,194,392号(1990)は、対象とする抗体の特定のパラトープ(抗原結合部位)に相補的である位相的に同等なエピトープ(即ち、「ミモトープ」)であるモノマー(アミノ酸又は他の化合物)の配列を検出又は決定するための一般的な方法を記載する。より一般的には、Geysenによる米国特許第4,433,092号(1989)は、対象とする特定の受容体のリガンド結合部位に相補的である位相的に同等なリガンドであるモノマーの配列を検出又は決定するための方法を記載する。同様に、米国特許第5,480,971号は、直鎖状C1−7−アルキル完全アルキル化オリゴペプチド、このようなペプチドのセット及びライブラリー、並びに、対象とするアクセプター分子に優先的に結合する完全アルキル化オリゴペプチドの配列を決定するうためのこのようなオリゴペプチドセット及びライブラリーを用いる方法を開示する。このようにして、本発明のエピトープを担持しているペプチドの非ペプチド性類似体はまた、これらの方法によって日常的に作製可能である。
当業者に承認されるように、上記した本発明のポリペプチド及びそのエピトープを担持している断片は、免疫グロブリン(IgG)の定常領域の部分と合わせることができ、キメラポリペプチドが得られる。これらの融合タンパク質は、精製を促進し、インビボでの半減期の増加を示す。これは、例えば、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメイン、及び哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質に対して示されている(欧州特許出願第394,827号;Trauneckerら,Nature 331:84−86(1988))。IgG部分に起因するジスルフィド連結二量体構造を有する融合タンパク質は、単量体IBABP−Lタンパク質又はタンパク質断片のみよりも他の分子と結合し、中和するのにより効果的でもあり得る(Fountoulakisら,J.Biochem.270:3958−3964(1995))。
診断方法
本発明は、個体由来の生物試料などの試料ちゅうのIBABP−Lポリヌクレオチド(例えば、IBABP−L mRNA)又はポリペプチドの存在を検出するための方法;試料中のIBABP−Lポリヌクレオチド又はポリペプチドを定量する方法;試料中のIBABP−L/IBABPポリヌクレオチド又はポリペプチド比を決定する方法などを提供する。
本発明の方法では、IBABP−Lポリペプチド若しくはポリヌクレオチド又はIBABP−L/IBABP比の測定は、「参照」と比較される。本発明の態様に依存して、このような参照は、対照試料中の測定又は比;個体群の測定によって得られる標準値;初期の時間点、例えば、処置経過の開始前に、同じ個体について測定した基底値;又は、および/または同じ方法に用いられる任意の他の適切な参照を含むことができる。
本明細書中で使用するとき、用語「個体」又は「患者」は、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、サル、類人猿、ヒト、又は他の動物を含む哺乳動物を意味する。
「生物試料」とは、個体から得られる任意の生物学的試料が意図され、限定されないが、糞便(排泄物)試料、体液(例えば、血液)、細胞、組織、組織培養物、又はIBABP−Lタンパク質若しくはmRNAを含む他の供給源が含まれる。哺乳動物から排泄物、組織生検、及び他の生物試料を得るための方法は、当該技術分野において周知である。
mRNAの検出。全細胞性RNAは、Chomczynski及びSacchi(Anal.Biochem.162:156−159(1987)に記載される一段階のグアニジニウム−チオシアネート−フェノール−クロロホルム法などの任意の適切な技術を用いて生物試料から単離することができる。次に、IBABP−LをコードするmRNAのレベルは、任意の適切な方法を用いてアッセイされる。これらには、ノーザンブロット分析、S1ヌクレアーゼマッピング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ポリメラーゼ連鎖反応を併用した逆転写(RT−PCR)、及びリガーゼ連鎖反応を併用した逆転写(RT−LCR)が含まれる。
ノーザンブロット分析は、Haradaら(Cell 63:303−312,1990)に記載されるように実行可能である。簡便に言うと、全RNAは、上述したように生物試料から調製される。ノーザンブロットに関しては、RNAは、適切なバッファー(例えば、グリオキサル/ジメチルスルホキシド/リン酸ナトリウムバッファー)中で変性され、アガロースゲル電気泳動に供され、ニトロセルロースフィルターに転写される。RNAは、UVリンカーによってフィルターに連結された後、ホルムアミド、SSC、デンハルト溶液、変性したサケ精子、SDS、及びリン酸ナトリウムバッファーを含む溶液中でプレハイブリダイズされる。任意の適切な方法(例えば、32P−マルチプライムDNAラベリングシステム)に従って標識したIBABP−L cDNAをプローブとして用いられる。一晩のハイブリダイゼーション後、フィルターを洗浄し、X線フィルムに晒す。本発明に従ってプローブとして使用されるcDNAは、上記セクションで記載される。
S1マッピングは、Fujitaら(Cell 49:357−367,1987)に記載されるように実行し得る。S1マッピングに用いられるプローブDNAを調製するために、上述したcDNAのセンス鎖を一時的に用いて、標識したアンチセンスDNAを合成する。次に、アンチセンスDNAは、適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて消化し、所望の長さの更なるDNAプローブを生じさせることができる。このようなアンチセンスプローブは、標的mRNA(即ち、IBABP−LをコードするmRNA)に対応する保護されたバンドを資格化するために有用である。ノーザンブロット分析は、上述したように実行可能である。
一態様に従って、IBABP−LをコードするmRNAレベルは、限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含むポリヌクレオチド増幅法を用いてアッセイされる。本発明の実施に有用である1つのPCR法は、例えば、Makinoら(Technique 2:295−301,1990)に記載されるRT−PCR法である。この方法によって、ポリアクリルアミドゲルバンド中の増幅のDNA産物、即ち、「増幅産物」又は「アンプリコン」の放射活性は、標的mRNAの初期濃度に直線的に関連する。簡便に言うと、この方法は、RTプライマー及び適切なバッファーを含む反応混合物中の生物試料から単離した全RNAを添加することを伴う。プライマーアニーリングのためのインキュベーション後、混合物に、RTバッファー、dNTP、DTT、RNaseインヒビター、逆転写酵素を補足可能である。RNAの逆転写を達成するためのインキュベーション後、次に、RT産物を標識プライマーを用いたPCRに供する。あるいは、プライマーを標識するというよりは、標識したdNTPをPCR反応混合物中でインキュベートすることができる。PCR増幅は、慣用的な技術に従って、DNAサーマルサイクラーにおいて実行可能である。増幅を達成するための適当な回数後、PCR反応混合物をポリアクリルアミドゲル上で電気泳動する。ゲルを乾燥後、適切な番バンド(IBABP−LをコードするmRNAに対応する)の放射活性をイメージングアナライザーを用いて定量する。RT及びPCR反応成分及び条件、試薬及びゲル濃度、及び標識法は、当該技術分野において周知である。
本発明の増幅法の一態様によれば、試料中のIBABP−Lポリヌクレオチドを選択的に増幅するプライマー、例えば、IBABP−L mRNAに選択的にハイブリダイズする(例えば、IBABP−L N末端ポリペプチドをコードするIBABP−L mRNAの領域由来の配列を含む)少なくとも1つのプライマーを含むプライマー対が採用される。第2プライマーは、標的IBABP−Lポリヌクレオチド由来の任意の配列を含むことができ、このような配列はIBABP−Lに特有であるか、又はIBABP−L及びIBABPに共有される。この態様は、例えば、試料中のIBABP−L転写物(mRNA)のみを増幅するのに有用である。
本発明の別の態様によれば、IBABPポリヌクレオチドを選択的に増幅するプライマー、例えば、IBABP mRNAに選択的にハイブリダイズする少なくとも1つのプライマーを含む(例えば、エキソン4a由来の配列を含む)プライマー対が採用される。第2プライマーは、標的IBABPポリヌクレオチド由来の任意の配列を含むことができ、このような配列はIBABP−Lに特有であるか、又はIBABP−L及びIBABPに共有される。この態様は、例えば、試料中のIBABP転写物(mRNA)のみを増幅するのに有用である。
本発明の別の態様によれば、IBABP−Lポリヌクレオチド及びIBABPポリヌクレオチドの両方を増幅するプライマーが採用される。例えば、2つのプライマー対(即ち、4個のプライマー)を使用することができ、1つの対はIBABP−Lを選択的に増幅し、そして、第2の対は、例えば、長さによって、互いに区別され得る増幅産物を生成するように、IBABPを選択的に増幅する。例示的な目的のための一例として、4つのプライマー増幅システムは下記を含むことができる:(1)IBABP−Lの49個のアミノ酸N末端ポリペプチドをコードするIBABP−L cDNAの領域由来の配列を含む5’プライマー、及び(2)3’から5’プライマーであるIBABP−L cDNA由来の配列を含む3’プライマーを含むIBABP−L mRNAを増幅するためのプライマー対、そして、(3)エクソン4a由来の配列を含む(IBABP cDNAに特有である)5’プライマー、及び(4)IBABP cDNA上に存在する3’からエクソン4aの配列を含む3’プライマーを含むプライマー対。あるいは、3つのプライマーシステムが使用可能であり、1つは、IBABP−Lに選択的にハイブリダイズし、1つは、IBABPに選択的にハイブリダイズし、3つ目は、IBABP−L及びIBABPの両方に選択的にハイブリダイズする(即ち、IBABP−L及びIBABPの両方によって共有される配列を含む)。例示的な目的のための一例として、3つのプライマー増幅システムは、下記を含むことができる:(1)(IBABP−L cDNAに特有である)IBABP−LポリペプチドのN末端の49個のアミノ酸をコードするIBABP−L cDNAの領域由来の配列を含む5’プライマー;(2)(IBABP cDNAに特有である)エクソン4a由来の配列を含む5’プライマー;及び、(3)IBABP−L及びIBABP−L cDNAの両方に存在する3’からエクソン4aの配列を含む3’プライマー。この態様は、例えば、試料中のIBABP−L mRNAとIBABP mRNAとの比を決定するために有用である。
当業者は、本明細書中で教示した配列に基づいて、PCR及び他の増幅法のための追加のプライマー、プライマー対、プライマーセットを生成することができる。
本発明の一態様は、本発明に従う増幅方法に有用なプライマーを含むキットである。このようなキットはまた、適切なパッケージング、使用のための取扱説明書、又はその両方を含む。
糞便(例えば、排泄物)試料などの生物試料中のIBABP−L mRNA及びタンパク質の存在を検出するために、及び/又は定量するために有用な別のPCR法は、「バイオ−バーコード」ナノ粒子の使用を介する。タンパク質の検出及び/又は定量に関しては、例えば、2種の捕捉粒子が使用され、1つは、標的タンパク質に選択的である抗体を担持するミクロサイズの磁気粒子であり、他は、同タンパク質に選択的である結合抗体を有するナノ粒子である。ナノ粒子はまた、大多数(例えば、約100)の特有の共有結合したオリゴヌクレオチドを担持し、それらは、相補的なオリゴヌクレオチドにハイブリダイゼーションすることによって結合される。後者は、選択されたタンパク質のためのマーカーとして機能する「バイオ−バーコード」である。ナノ粒子プローブは、結合したタンパク質当り多くのオリゴヌクレオチドを担持するため、タンパク質と比較して実質的な増幅である。銀増加工程では、シグナルの第2増幅がある。結果は、数十から数百の分子を検出することによって、ELISAベースのアッセイよりも5〜6オーダー規模大きいタンパク質に対する感受性である。例えば、米国特許第6,974,669号を参照されたい。また、例えば、Stoevaら,J.Am.Chem.Soc.128:8378−8379,2006、バイオ−バーコードナノ粒子プローブを用いたタンパク質癌マーカーの検出の一例について参照されたい。バイオ−バーコードはまた、試料中のmRNA及び他のポリヌクレオチドを検出及び/又は定量するために用いることができる(Huberら,Nucl.Acids Res.32:e137,2004;Chengら,Curr.Opin.Chem.Biol.10:11−19,2006;Thaxtonら,Clin.Chim.Acta 363:120−126,2006;米国特許第6,974,669号)。
ポリペプチドの検出。生物試料中のIBABP−Lポリペプチドの存在をアッセイすること、又はそれを定量することは、任意の技術的に知られている方法を用いて行うことができる。
抗体を基礎とした技術は、生物試料中のIBABP−Lの存在を検出するために、及び/又はそれを定量するために有用である。例えば、組織におけるIBABP−L発現は、古典的な免疫組織学的方法を用いて試験することができる。これらにおいて、特定の認識は、一次抗体(ポリクローナル又はモノクローナル)によって提供されるが、二次抗体は、蛍光、酵素、又は他の結合した二次抗体を利用することができる。結果として、病理学的試験用の組織切片の免疫組織学的染色が得られる。組織はまた、ウェスタンブロット又はドット/スロットアッセイ(Jalkanenら,J.Cell.Biol.105:3087−3096,1987)のためのIBABP−Lを単体分離するために、例えば、尿素および中性界面活性剤を用いて抽出され得る。この技術では、陽イオン性固相に基づいていて、IBABP−Lの定量は、標準として単離したIBABP−Lを用いて達成される。この技術はまた、体液に当てはめることが可能である。これらの試料を用いて、IBABP−Lのモル濃度は、異なる組織、糞便、体液(血清、血漿、尿、唾液、脊髄液)などのIBABP−L含量の標準値を設定する手助けとなる。次に、IBABP−L量の正常な出現は、健常人由来の値を用いて設定することができ、試験した被験者から得たものと比較することができる。
IBABP−Lレベルを検出するために有用な他の抗体を基礎とした方法は、免疫アッセイ、例えば、酵素免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、及び上述した「バイオ−バーコード」アッセイを含む。例えば、IBABP−L選択的モノクローナル抗体は、IBABP−Lを検出及び定量するために、免疫吸着として、及び酵素標識プローブとして使用することができる。試料中に存在するIBABP−Lの量は、線形回帰コンピュータアルゴリズムを用いて標準的な調製物に存在する量を参照して計算され得る。腫瘍抗原を検出するためのこのようなELISAは、Iacobelliら,Breast Cancer Research and Treatment 11:19−30,1988に記載される。別のELISAアッセイでは、2つの異なる選択的モノクローナル抗体は、体液中のIBABP−Lを検出するために使用可能である。このアッセイでは、抗体の1つは、免疫吸着として用いられ、他は、酵素標識プローブとして用いられる。
上記の技術は、「1工程」又は「2工程」アッセイとして本質的に実行されてもよい。「1工程」アッセイは、固相化した抗体にIBABP−Lを接触させ、洗浄せずに、混合物と標識抗体とを接触させることを伴う。「2工程」アッセイは、混合物と標識抗体とを接触させる前に洗浄することをふくむ。別の慣用的な方法はまた、適切であるように用いることができる。通常、支持体上にアッセイシステムの1成分を固相化することが望ましく、それにより、システムの他の成分が該成分と接触するようになり、試料から容易に取り出されることを可能にする。
適切な酵素標識は、例えば、基質との反応によって、過酸化水素の生成を触媒するオキシダーゼ群由来のものを含む。グルコースオキシダーゼは、例えば、良好な安定性を有し、その基質(グルコース)は容易に利用可能である。オキシダーゼ標識の活性は、酵素標識した抗体/基質反応によって形成される過酸化水素の濃度を測定することによってアッセイされてもよい。酵素の他に、他の適切な標識は、放射性同位元素、例えば、ヨード(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)、及びテクネチウム(99Tc)、並びに蛍光標識、例えば、フルオレセイン及びローダミン、及びビオチンを含む。
個体から得られた生物試料中のIBABP−Lレベルをアッセイすることに加えて、IBABP−Lはまた、画像によってインビボで検出することが可能である。IBABP−Lのインビボ画像のための抗体標識又はマーカーは、X線写真、NMR又はESRによって検出可能なものを含む。X線写真については、適切な標識は、バリウム又はセシウムなどの放射性同位元素を含み、検出可能な放射線を放射するが、被験者に明らかに害はない。NMR及びESRに適したマーカーは、デューテリウムなどの検出可能な特徴的スピンを有するものを含み、関連するハイブリドーマ用の栄養物の標識によって抗体に導入され得る。
放射性同位元素(例えば、131I、112In、99mTc)、放射線不透明体基質、又は核磁気共鳴によって検出可能な材料などの適切な検出可能な画像部分を用いて標識したIBABP−L選択抗体又は抗体断片は、障害について試験される哺乳動物に(例えば、非経口的に、皮下に又は腹腔内に)導入される。被験者の大きさ及び使用される画像システムは、診断画像を生じるのに必要とされる画像部分の量を決定することは、当該技術分野において理解される。放射性同位元素の場合では、ヒトの被験者に対して、注入された放射活性の量は、通常、約5〜20ミリキューリーの99mTcの範囲である。次に、標識した抗体又は抗体断片は、IBABP−Lを含む細胞の位置で優先的に蓄積される。インビボでの腫瘍画像は、Burchielら,”Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments”(Tumor Imagingの第13章:The Radiochemical Detection of Cancer,Burchiel and Rhodes編集,Masson Publishing Inc.,1982)に記載されている。
本発明における使用のためのIBABP−L選択抗体は、無傷のIBABP−L又はその抗原性ポリペプチド断片に対して発生し得て、動物システム(例えば、ウサギ若しくはマウス)にアルブミンなどの担体タンパク質とともに提示され、又は、十分な長さ(少なくとも約25個のアミノ酸)であれば、担体は不要である。
本明細書中で使用するとき、用語「担体」(Ab)又は「モノクローナル抗体」(Mab)は、無傷な分子、並びにIBABP−Lに選択的に結合し得る抗体断片(又は、「断片抗体」)(例えば、Fab及びF(ab’)2断片)を含むことが意味される。Fab及びF(ab’)2断片は、無傷な抗体のFc部分を欠損し、血液循環からより迅速に浄化され、無傷な九対の非特異的な組織結合がより少なくてもよい(Wahlら,J.Nucl.Med.24:316−324,1983)。
本発明の抗体は、種々の方法にいずれかによって提示されてもよい。例えば、IBABP−L又はその抗原性断片を発現する細胞は、ポリクローナル抗体を含む血清の生成を含むために動物に投与することができる。一つの方法では、IBABP−Lタンパク質の調製物は、天然の汚染が実質的にないようにするために、上述したように調製及び精製される。次に、このような調製物は、より大きな特異活性のポリクローナル抗血清を生成するために動物に導入される。
本発明の抗体は、モノクローナル抗体(又はそのIBABP−L結合断片)を含む。このようなモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術を用いて調製可能である(Colligan,Current Protocols in Immunology,Wiley Interscience,New York(1990−1996);Harlow & Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1988),Chapters 6−9,Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel,infra,Chapter 11)。一般的に、このような手法は、IBABP−L抗原又はIBABP−L発現細胞を用いて動物(例えば、マウス又はウサギ)を免疫することを伴う。適切な細胞は、抗IBABP−L抗体に結合する能力によって認識され得る。このような細胞は、任意の適切な組織培養培地、例えば、10%ウシ胎児血清(約56℃で不活性化した)を添加し、約10μg/lの非エッセンシャルアミノ酸、約1,000U/mlのペニシリン、及び約100μg/mlのストレプトマイシンを添加したイーグル変法イーグル培地中で培養してもよい。このようなマウスの脾細胞を抽出し、適切なミエローマ細胞株と融合する。任意の適切なミエローマ細胞株は、本発明に従って採用されてもよい。融合後、得られたハイブリドーマ細胞は、HAT培地で選択的に維持され、次に、Wandsら(Gastroenterology 80:225−232,1981);Harlow & Lane(上述)、第7章によって記載されるように限界希釈によってクローニングされる。次に、このような選択を通して得られるハイブリドーマ細胞は、IBABP−L抗原を結合することができる抗体を分泌するクローンを同定するためにアッセイされる。
あるいは、IBABP−L抗体に結合可能な追加の抗体は、抗イディオタイプ抗体の使用を通じて2工程手法で生成することができる。このような方法は、抗体がそれ自体で抗原となるという事実を利用し、したがって、二次抗体に結合する抗体を得ることが可能である。この方法に従って、IBABP−L選択性抗体を用いて、マウスなどの動物を免疫する。次に、このような動物の脾細胞を用いて、ハイブリドーマ細胞を生成し、このハイブリドーマ細胞をスクリーニングして、IBABP−L選択性抗体に結合する能力がIBABP−L抗原によってブロックされ得る抗体を生成するクローンを同定する。このような抗体は、IBABP−L選択性抗体に結合する抗イディオタイプ抗体を含み、更なるIBABP−L選択性抗体の形成を誘導するように動物を免疫するために使用可能である。
本発明の抗体のFab及びF(ab’)2並びに他の断片は、典型的には、本明細書中に開示された方法に従って用いることができることは承認される。このような断片は、典型的には、パパイン(Fab断片を生成するため)又はペプシン(F(ab’)2断片を生成するため)などの酵素を用いて、タンパク質分解的な切断によって生成される。あるいは、IBABP−L結合断片は、組換えDNA技術又はタンパク質合成を通じて生成可能である。
インビボ画像を用いて、ヒトにおける診断用のIBABP−Lのレベル増加を検出する場合、「ヒト化した」キメラモノクローナル抗体を用いてもよい。このような抗体は、上述したモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマ細胞由来の遺伝子構築物を用いて生成することができる。キメラ抗体を生成する方法は、当該技術分野において知られている。概要として、Science 229:1202,1985;Oiら,BioTechniques 4:214,1986;Cabillyら,米国特許第4,816,567号;Taniguchiら,EP171496;Morrisonら,EP173494;Neubergerら,WO8601533;Robinsonら,WO8702671;Boulianneら;Nature 312:643,1984;Neubergerら,Nature 324:268,1985を参照されたい。
本発明のIBABP−L選択性抗体に対してさらに適した標識は、下記に提供される。適した酵素標識の例には、リンゴ酸脱水素酵素、ブドウ球菌のヌクレアーゼ、デルタ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母−アルコールデヒドロゲナーゼ、アルファ−グリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、及びアセチルコリンエステラーゼが含まれる。
適切な放射線同位体標識の例には、3H、111In、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、57To、58Co、59Fe、75Se、152Eu、90Y、67Cu、217Ci、211At、212Pb、47Sc、09Pdなどが含まれる。111Inは、インビボでの画像が用いられる場合、肝臓による125I−又は131I−標識したモノクローナル抗体の脱ハロゲン化の問題を回避するため利点を有する。さらに、この放射性ヌクレオチドは、画像のあめにより好ましいガンマ発光エネルギーを有する(Perkinsら,Eur.J.Nucl.Med.10:296−301,1985;Carasquilloら,J.Nucl.Med.28:281−287,1987)。例えば、1−(P−イソチオシアナトベンジル)−DPTAでモノクローナル抗体に結合した111Inは、非腫瘍性組織、特に肝臓にほんの僅かの取り込みが示され、したがって、腫瘍局在の特異性を増大する(Estebanら,J.Nucl.Med.28:861−870,1987)。
適切な非放射性同位体標識の例には、157Gd、55Mn、162Dy、52Tr、及び56Feが含まれる。
適切な蛍光標識の例には、152Eu標識、フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルデヒド、及びフルオレスカミンが含まれる。
適したトキシン標識の例には、ジフテリアトキシン、リシン、及びコレラトキシンが含まれる。ケミルミネッセント標識の例には、ルミナール、イソルミナール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、シュウ酸エステル、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、及びエクオリンが含まれる。
薬剤を造影する核磁気共鳴の例には、重金属核、例えば、Gd、Mn、及びFeが含まれる。
上記した標識を抗体に結合させる典型的な技術は、Kennedyら(Clin.Chim.Acta 70:1−31,1976)、及びSchursら(Clin.Chim.Acta 81:1−40,1977)によって提供される。後者の場合に言及されるカップリング技術は、グルタールアルデヒド法、過ヨウ素酸塩法、m−マレイミドベンジル−N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステル法である。
本発明の診断組成物及び方法の1つの使用は、患者における結腸直腸癌(あるいは、IBABP−Lの上方制御及び/又は発現上昇によって特徴付けられる別の状態)の存在の検出のためであり、又は結腸直腸癌の危険性の増加にある個体を同定するためである。別の使用は、療法に寄与するより可能性のある患者を同定するため、又は結腸直腸癌に向けられた両方の有効性をモニターするためである。このような療法は、イチノテカン及びオキサリプラチンを併用した5−FU/FAを用いた現場での療法又は他の療法を含む。本発明の診断組成物及び方法はまた、限定されないが、キナーゼを阻害する薬剤、増殖因子阻害剤、NF−κB阻害剤、胆汁酸置換療法、抗体療法、放射線療法、及びそれらの組合せを含む、結腸直腸癌の治療及び予防のための治療薬の有効性を決定するために有用である。例えば、研究及び臨床設定における種々の他の使用は、専門家に明確である。
試料中のIBABP−Lポリヌクレオチド若しくはポリペプチド、又は試料中のIBABP−L/IBABPポリヌクレオチド若しくはポリペプチド比を測定する方法では、この方法は、参照、例えば、個体由来の対照試料からの類似測定、1以上の異なる時間点で採取した個体由来の測定(例えば、療法開始前の基底の測定、又は療法中及び/又は療法後の1以上時間点での測定);健康である個体群、結腸直腸癌の種々の段階に苦しんでいる個体群、及び結腸直腸癌を発症する危険性が増加している個体群など由来の値;及び他のこのような参照値と比較することができる。
IBABP−Lポリペプチドの治療的及び予防的投与
本発明のIBABP−Lポリペプチドは、結腸直腸癌又は他の癌の危険性のある、あるいはそれを患っている患者の治療に有用であってもよい。実施例1で示されるように、IBABP−Lは、二次的な胆汁酸媒介のアポトーシスに対する防御メカニズムとして機能し得る。IBABP−Lのレベル上昇は、胆汁酸の結合、胆汁酸の細胞外への融離、細胞内胆汁酸濃度の減少、したがって、発癌物質との接触の減少、及び胆汁酸損傷に対する保護バッファーの提供を可能にする。結果として、限定されないが、結腸直腸癌への遺伝的傾向を有する患者、又は結腸直腸癌に対して治療される患者及び再発の恐れのある患者を含む患者は、結腸直腸癌の可能性(又はその再発)を減少させるために、IBABP−Lを用いて治療することができる。したがって、IBABP−Lは、外因的に、個体の細胞、組織、又は生体に添加して、治療効果を生じることができる。
当業者は、有効量のIBABP−Lポリペプチドが、このようなポリペプチドの投与が指示される各状態に対して実験的に測定可能であることは承認される。IBABP−L活性を有するポリペプチドは、1以上の医薬として許容される担体、希釈剤及び/又は賦形剤とともに医薬組成物に投与することができる。例示的な目的のためだけの一例として、IBABP−Lポリペプチドは、下部胃腸管での放出のための腸溶被覆を有するカプセル又は丸薬で投与することができる。ヒト患者に投与される場合、本発明の医薬組成物の毎日の全使用量は、正常な医学的判断の範囲内で医師によって決定される。任意の特定の患者に対する特定の治療的に有効な投薬レベルは、達成されるべき応答のタイプ及び程度;もしあれば、採用される他の薬剤を含む特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別及び食事;投与時間、投与経路、及び組成物の排出速度;治療期間;特定の組成物と組み合わせて又は同時に使用される薬物(例えば、化学療法剤);及び、医療分野において周知な類似因子に依存する。
治療に用いられるべきIBABP−L組成物はまた、個体患者の臨床状態(特に、IBABP−Lのみでの治療の副作用)、IBABP−L組成物の送達部位、投与法、投与スケジュール、及び医師に既知の他の因子を考慮して、良好な医療行為と調和するように調合及び投薬される。
したがって、本明細書中の目的のための有効量のIBABP−Lポリペプチド(又はIBABP−Lポリペプチドを含む組成物)は、このような考察によって決定される。本明細書中で使用するとき、「有効量」は、限定されないが、このような効果における統計学的に有意に差を含む、観測可能な生物学的効果における検出可能な差を引き起こす組成物の量を意味する。検出可能な差は、組成物中の単一の物質、組成物中の物質の組合せ、又は1を超える組成物の投与の組み合わさった効果に起因してもよい。例えば、IBABP−Lポリペプチドを含む組成物の「有効量」は、個体において、癌細胞を殺傷し、癌又は別の疾患若しくは障害を治療又は予防し、あるいは癌又は別の疾患若しくは障害の症状を治療する組成物の量を意味し得る。所定の組成物又は治療における、IBABP−Lポリペプチド及び別の物質、例えば、抗癌剤、又は他の有効成分の組み合わせは、相乗効果的な組合せであり得る。例えば、Chou及びTalalay,Adv.Enzyme Regul.22:27−55(1984)によって記載されるように、相乗効果は、組み合わせて投与した場合、化合物の効果が単一の薬物としてのみ投与された場合の化合物の付加的効果よりも大きい場合に生じる。一般的に、相乗効果は、化合物の次善最適濃度で最も明確に示される。相乗効果は、個別の成分と比較して、組成物の低毒性、活性増加、又はいくつかの他の薬効の観点であり得る。
本明細書中で使用するとき、「治療すること」又は「治療する」は、(i)発症から病態を妨げ又は遅延させること(例えば、予防);(ii)病態を阻害し又はその発症若しくは進行を止めること;(iii)病態を軽減すること;及び/又は、病態と関連した1以上の症状の重症度又は継続期間を減少させることを意味し、任意の他の臨床的に関連した有効性の測定を意味する。
変化を観察するために必要とされる治療の長さ、及び応答が生じる治療後の間隔は、所望の効果に依存して変化するようである。
本発明の医薬組成物の一態様は、限定されないが、結腸又は直腸を含む患者の消化管にいポリペプチドの送達に適した丸薬又はカプセルである。
IBABP−Lポリペプチドは、持続放出システムによって投与することができる。持続放出組成物の適切な例には、造形品、例えば、フィルム、又はマイクロカプセルの形態における半透過性ポリマーマトリックスを含む。持続放出マトリックスは、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、EP58,481)、L−グルタミン酸及びガンマ−エチル−L−グルタミン酸塩(U.Sidmanら,Biopolymers 22:547−556(1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(R.Langerら,J.Biomed.Mater.Res.15:167−277(1981)、及びR.Langer,Chem.Tech.12:98−105(1982))、エチレン酢酸ビニル(R.Langerら,Id.)又はポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)を含む。持続放出IBABP−L組成物はまた、リポソームに取り込まれたIBABP−Lポリペプチドを含む。IBABP−Lポリペプチドを含むリポソームは、それ自体既知の方法によって調製される:DE3,218,121;Epsteinら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688−3692(1985);Hwangら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030−4034(1980);EP52,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949;EP142,641;特願83−118008;米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号;及び、EP102,324。通常、リポソームは、小さな(約200〜800オングストローム)の単層型のものであり、その中には、脂質成分が約30molパーセントを超えるコレステロールであり、選択された比率は最適なIBABP−L療法用に調整されている。
非経口投与に関して、一態様では、IBABP−Lポリペプチドは、一般的に、単位投薬注射可能形態(溶液、懸濁液、又はエマルジョン)で、医薬として許容される担体、即ち、採用される投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、製剤の他の成分と適合可能であるものとともに、所望の純度でそれを混合することによって調合される。例えば、本発明の一態様によれば、製剤は、ポリペプチドに有害であることが知られている酸化剤及び他の化合物を含まない。
製剤は、均一及び緊密にIBABP−Lポリペプチドを液体担体若しくは微細に分けた固体担体又はその両方と折衝させることによって調製することができる。次に、必要に応じて、生成物は、所望の製剤に成形される。担体が非経口担体である場合、レシピエントの血液と等張である溶液である。このような例は、水、生理食塩水、リンガー溶液、及びデキストロース溶液を含む。固定油及びオレイン酸エチルなどの非水性ベヒクルはまた、リポソームと同様に、本明細書中において有用である。
担体は、適切には、等張性及び化学的安定性を増す物質などの少量の添加物を含有する。このような材料は、採用される投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸、及び他の有機酸又はそれらの塩などのバッファー;アスコルビン酸などの抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、例えば、ポリアルギニン又はトリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;疎水性高分子、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、又はアルギニン;単糖、二糖、及びセルロース又はその誘導体を含む他の糖質、グルコース、マンノース、又はデキストロース;キレート剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトール又はソルビトール;対イオン、例えば、ナトリウム;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えば、ポリソルベート、ポロキサマー、又はPEGを含む。
ある種の前述の賦形剤、担体、又は安定化剤の使用は、IBABP−L塩の形成をもたらすことが理解される。
治療用投与に使用されるべきIBABP−Lは、無菌でなければならない。無菌性は、無菌のろ過メンブレン(例えば、0.2マイクロのメンブレン)を通したろ過によって容易に達成される。治療用IBABP−L組成物は、一般的に、無菌のアクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射用針によって貫通可能なストッパーを有する静脈注射用溶液バッグ又はバイアルに配置される。
IBABP−Lは、単回又は複数回の投薬容器、例えば、密封したアンプル又はバイアルに、水溶液又は再構成するための凍結乾燥した製剤として保存可能である。凍結乾燥させた製剤の一例として、10mlバイアルは、5mlの滅菌ろ過した1%(w/v)水性IBABP−L溶液で満たされ、得られた混合物を凍結乾燥する。注射溶液は、静菌性の注射用水を用いて凍結乾燥させたIBABP−Lを再構成することによって調製させる。
本発明は、本発明の実施に対して現在知られているベストモードを単に例証することが意図される下記の実施例を参照することによってより良く理解される。本発明の範囲は、それに限定されるべきではない。
実施例1
本出願人は、IBABP−Lが結腸直腸癌のバイオマーカーとして有用であることを発見した。最近の研究では、結腸直腸腫瘍におけるIBABP発現の上方制御が指示された(DeGottardiら,Dig.Dis.Sci.49:982−989,2004)。しかしながら、IBABPの遺伝子構造の詳細な分析は、驚くべきことに、IBABP−Lと呼んでいる新規なIBABP変異体を示す。IBABP−Lは、IBABP遺伝子の代替の開始部位から生じ、IBABP−Lの49残基のN末端配列をコードする。最も驚くべきことに、IBABP−Lは、結腸直腸癌の全ての段階において、そして、悪性結腸ポリープにおいて上方制御される。本出願人はまた、従来の研究(DeGottardiら,Dig.Dis.Sci.49:982−989,2004)で報告されたIBABPの上方制御がIBABP−Lの上方制御に完全に寄与し得て;14kDaのIBABPをコードするより短い転写物の発癌は結腸直腸癌において有意に変化しないことを示す。
材料及び方法
細胞株及び組織試料。ヒト結腸直腸癌細胞株(Caco−2,SW480,HCT116,LS174T,LoVo,SW403,WiDr,及びHT−29、American Type Culture Collection(Manassas,VA)から入手)は、1mMピルビン酸ナトリウム、4.5g/L D−グルコース、4mM L−グルタミンを含み、10%ウシ胎児血清(Irvine Scientific)、及び100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン及び0.25μg/mlアンフォテリシンB(Omega Scientific,Tarzana,CA)を補足したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM;Irvine Scientific,Santa Ana,CA)中で増殖させた。100mmの標準的な細胞培養ディッシュ(Falcon,BD Biosciences,San Jose,CA)に細胞を維持し、37℃、5%CO2で増殖させた。
対等のヒト結腸直腸癌腫及び隣接の正常粘膜hAsterand,Inc(Detroit,MI)から購入し、又はそのCooperative Human Tissue Network(National Cancer Instituteのサービス、Bethesda,MD)から入手した;患者は、科学的目的のために組織の使用に関して承諾書を与えた。全体で、68の対等のヒト結腸直腸癌腫試料を試験した(52.9%は男性ドナーであり、86.8%が白人であった)。患者の年齢は、21〜89歳(76.5%が50歳を超える)の範囲である。結腸直腸癌腫は、下記の通り腸領域に分布していた:十分に分化したもの、27.1%;中程度に分化したもの、61.0%;及び僅かに分化したもの、11.9%;そして、臨床段階:ステージI、11;ステージII、20;ステージIII、17;ステージIV、15;分類できないもの、5(提出された病理学的レポートで特定されていない)。11個のポリープ試料も試験し、そのうち5個は、局所的に高いグレードの異形成であり、1ケースは、家族性腺腫様ポリープ(FAP)ファミリーであり、1ケースは、遺伝性若年性ポリープ症候群である。
PCRによるIBABPの発現アッセイ。消化管に沿ったIBABP−L(Genbank受入れ番号DQ132786)及びIBABP(Genbank受入れ番号NM 00145)をコードするmRNAの発現は、Invitrogen及びBiochain Institute,Inc.(Hayward,CA)から購入した正常なヒトの腸及び肝臓由来のRNAを用いて、定量的RT−PCRによって測定した。ARPP0の発現は対照として使用した。ヒト腫瘍及び隣接する正常組織におけるIBABP及びIBABP−Lの発現は、上述したように、Asterand,Inc.(Detroit,MI)、及びそのCooperative Human Tissue Networkから購入した組織を用いて測定した。
全RNAは、RNeasy Mini Kit(Qiagen Inc.,Valencia,CA)と組み合わせたプロトコールいおいて、TRIZOL試薬(Invitrogen,Carlsbad,CA)を用いて組織から単離した。各試料について、凍結試料(約0.1g)を切断し、予め冷凍したRNAlater−ICE安定化溶液(1.0ml;Ambion Inc.,Austin,TX)に24時間、−20℃で浸した。外科用メスを用いて組織を細分化し、TRIZOl(1.0ml)に浸し、Tissue−Tearor(BioSpec Products,Inc.,Bartlesville,OK)を用いてホモジナイズした。ホモジナイズした組織にクロロホルム(200μl)を添加し、30秒間、ボルテックスによって試料を混合した。試料を遠心分離(12,000×g、10分、4℃)して、相を分離した。水相を除去し、等量の70%エタノールを添加し、ピペッティングによって混合し、RNeasyカラムに流した。RNA結合後、RNase−Free DNase Set(Qiagen)を用いて、カラム上でのDNase消化プロトコールを製造業者の使用説明書に従って実行した。
IBABP−L及びIBABPの相対的発現レベルを測定するために、2工程の定量的RT−PCR手法を用いた。第1工程では、相補的DNA(cDNA)を総RNAから合成した。各試料については、10mM dNTPmix(1.0μl)、0.5μg/mlオリゴ(dT)12−18(1.0μl)、0.1M DTT(2.0μl)、25mM MgCl2(4.0μl)、10×RTバッファー(2.0μl)、RNaseOUT組換えRNaseインヒビター(1.0μl)、及びSuperScript II逆転写酵素(1.0μl)を含む、20μlの最終反応体積中で、RT−PCR用のSuperScript First−Strand Synthesis System(Invitrogen)を用いて、RNA(2.0μg)を逆転写した。逆転写は、42℃で50分間実行し、70℃に15分間加熱することによって停止させ、次に、試料を氷上で冷却した。鋳型RNAは、RNase H(1.0μl)とともに20分間、37℃でインキュベートすることによって切断した。第2工程では、定量的PCR(QPCR)は、Mx3000PリアルタイムPCRシステム (Stratagene,La Jolla,CA)で行い、希釈したcDNA(1:20;2.0μl)、1×SYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems,Foster City,CA)、及びIBABP−L、IBABP、又はARPP0(0.25μM)に対するプライマーを含む溶液を使用した。プライマーセットは、IBABP:5’CCACCCATTCTCCTCATCCCTCTGCTC3’(エクソン4a)、5’ACCAAGTGAAGTCCTGCCATCCTG3’(エクソン5);IBABP−L:5’ACATGGGTGAGCCGGAAAGGAGAC3’(エクソン3)、5’CCGGAGTAGTGCTGGGACCAAGTGAAGT3’(エクソン5);ARPP0:5’CAAGACTGGAGACAAAGTGG3’、5’AATCTGCAGACAGACACTGG3’である。全てのプライマーは、PrimerSelect(商標)(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)を用いて消化し、Integrated DNA Technologies,Inc.(Coralville,IA)によって合成した。下記のサイクルパラメータを用いた:変性、95℃で15秒;アニーリング、56℃で20秒;伸長、72℃で30秒;及び、検出、78℃で5秒。40サイクル後、PCR産物は解離曲線分析に供し、PCR特異性をチェックした。QPCRから得た値は、ARPP0の発現に標準化した。
Caco−2細胞におけるIBABP変異体の発現制御。Caco−2細胞を6ウェルプレート(Falcon)に2×105細胞/ウェルで播種した。細胞が100%コンフルエントになるまで、2日毎に培地を交換し、自然分化を開始した。遊離酸としてのCDCA及びDCA(Sigma−Aldrich Co.,St.Louis,MO)の保存溶液を無水アルコール(100mM)中に調製し、−20℃で保存した。9−cis−レチノイン酸(9cRA;Sigma−Aldrich)の保存溶液をジメチルスルホキシド(DMSO;100μM)に溶解させ、−20℃で保存した。コンフルエントのCaco−2細胞を37℃で24時間、CDCA又はDCA(100μM)、9cRA(100nM)、又はDMEMのみ(0.1%溶媒濃度)中でインキュベートした。細胞を回収し、製造業者の使用説明書に従って、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を用いて細胞RNAを単離し、上述した通り、IBABP変異体の発現をQPCRによって測定した。
IBABP−Lに対する抗体の生成及び免疫組織化学的試験。IBABP−Lの49残基のN末端配列に存在する配列CTWNSRKGDLQRMKQTHKGKPPSSを有するペプチドを分析し、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合させ、ウサギを免疫するための抗原として用いた。免疫した動物由来の抗血清は、ウェスタンブロットによって組換えIBABP−L及びIBABPに対する反応性について試験した。組換えIBABP−L及びIBABPを発現させ、pGEXシステムを用いて精製した。組換えタンパク質は、トロンビンによる消化によって除去されるヒスチジン−タグを有する融合タンパク質として発現させ、ニッケルレジンにタンパク質を結合させた。消化後、トロンビンをベンズアミジン−セファロースを用いて除去した。
パラフィン包埋したスライドをIBABP−L抗血清(1:2000)を用いて染色し、その後、セイヨウワサビ・ペルオキシダーゼシステムを採用するジアミノベンジンを基礎とした検出方法を行った。次に、スライドをヘマトキシリンで対比染色した。
データ分析及び統計。病気の結腸組織と対等の隣接した正常粘膜との間のIBABP−L及びIBABPのRNA発現における変化は、2つの戦略を用いて分析した。第1に、癌又はポリープ組織中の変異体の発現レベルは、その隣接する正常粘膜に対して、各変異体の変化値の倍数に帰着した。2倍の切断制限を用いて、2.0以上の値は、上方制御を示し、0.5未満の値は、下方制御を示した。第2の方法では、本出願人は、癌又はポリープ組織(RC及びRP)及び隣接する正常粘膜(RN)におけるIBABP−LとIBABPの比を算出した。再度、2倍の切断制限を用いて、2.0以上の比は、癌又はポリープにおけるIBABP−Lの上方制御を示し;0.5未満の比は、下方制御を示す。両方の戦略からの値は、臨床標本のパラメータ(性別、年齢、人種、腫瘍サイズ、腫瘍場所、分化レベル、及び臨床ステージ)に従って分類し、発現レベルと臨床パラメータとの相関をt−検定及び1方向ANOVAによって分析した。
結果
IBABP−Lをコードする遺伝子の特徴付け。NM 001445を用いたNCBI人発現配列タグ(EST)データベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のBLASTNサーチによって、2つのEST(BM974219及びBU683560)が示され、大部分がIBABPと同一であったが、新規に発見された転写物は、IBABPには存在しないN末端の49個のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードすることは除かれる。この変異体の転写物は、IBABPよりも長いので、IBABP−Lと呼んでいる。IBABP−L(染色体5q33.3−q34;コンティグNT 023133)に対する遺伝子は、既知の形態、IBABPと同一である。しかしながら、IBABP−LをコードするmRNAは、7個のエクソンを含み、そのうち3個は、特有であり、該遺伝子の5’端に存在する。より短いタンパク質IBABPは、4個のエクソンのみを含み、その転写物は、IBABP−L(fabp6)遺伝子の第3エクソン内で開始する。図1は、IBABP−L(fabp6とも呼ばれる)の構造を示す。
したがって、IBABP−Lの2つの変異体は、エクソン5〜7を共有する。両者の変異体をコードする転写物は、ヒトの腸で検出される。IBABP−Lに特有のエクソンの存在は、IBABP−LとIBABPの発現を区別するための変異体特異的なプライマーの設計を可能にした。後述するように、これらのプライマーを用いて、正常なヒトの腸から抽出したmRNAにおける各変異体の発現をRT−PCRによって検出した。
IBABP−L転写物の完全なヌクレオチド配列は、Genebank受入れ番号DQ132786で寄託された。
図2は、IBABP−L遺伝子(即ち、ゲノム配列)のオープン・リーディング・フレームを示し、IBABP−LとIBABPの両方をコードする。図2では、IBABPのオープン・リーディング・フレーム(14kDa形態)に下線を施し、IBABP−Lに対する追加のオープン・リーディング・フレーム配列を強調した(灰色)。このようにして、IBABP−Lに対するオープン・リーディング・フレームは、IBABPに対するORFの大部分を含むが、該遺伝子の5’端に追加の627ヌクレオチドを含む。図3は、IBABP−Lに特有のIBABP遺伝子由来のDNA配列を示す(図2では灰色に強調されている)。
図4は、IBABP−LとIBABPのcDNA配列の整列を示す。IBABP−Lに対するcDNA配列(上段)を示し、ATG開始部位をボールドで示す。IBABPに対するcDNA配列(下段)は、灰色で強調される。エクソン1、2及び3は、IBABP−Lに特有である(IBABPに対する任意の相同なエクソンの欠損を示す破線に留意されたい)。エクソン4a(下線)は、IBABPに対するcDNAにのみ存在する。エクソン4b〜7は、IBABP−LとIBABPの両方に対するcDNAによって共有される。
図5は、IBABP−LをコードするcDNA配列を示し、図6は、IBABP−LのcDNA由来のN末端の49個のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を示す。
図7は、IBABP−L(上段)及びIBABP(下段、灰色で強調される)に対するポリペプチド配列の整列を示す。IBABP−Lポリペプチドは、IBABPポリペプチドには存在しないN末端に49個のアミノ酸配列を含む。図8は、推測されたIBABP−Lのポリペプチド配列を示す。IBABPポリペプチドには見出されないIBABP−Lの49個のアミノ酸配列を灰色で強調する。
胃腸組織におけるIBABP及びIBABP−Lの発現パターン。IBABP遺伝子は、主に、腸で発現する。したがって、本出願人は、胃腸管、特に、腸肝胆汁酸サイクルと関連した組織(ヒト肝臓、胆嚢及び腸切片)におけるIBABP及びIBABP−Lをコードする転写物の発現を比較した。各変異体の増幅を選択的にプライミングすることができるオリゴヌクレオチドを用いて、リアルタイムQ−PCR反応を開始させた。mRNA転写物のコピー数は、前立腺及び結腸癌研究において内因性の対照としてしばしば用いられる、リボソームタンパク質ラージP0(RPLP0)としても知られる、ハウスキーピング遺伝子の酸性リポソームリンタンパク質(ARPP0)(Cheneら,Int.J.Cancer 111:798−804,2004;Cacevら,Gut 54:1129−1135,2005)の発現に標準化した。図9は、胃腸管のIBABP及びIBABP−Lの発現を示す。IBABP−Lをコードする転写物は、より低いレベルで発現する直腸を除いて、試験した全ての組織において同レベルで見られた(図9)。対照的に、IBABP−Lの発現は、空腸から上行結腸から伸長している腸の部分に局在化する。これらの部分では、IBABP−Lの発現は、IBABP−Lの発現の10〜1000倍高かった。
胆汁酸はIBABPの変異体を別々に制御する。胆汁酸の恒常性に関与する多くの遺伝子は、胆汁酸に直接結合する(Makishimaら,Science 382:1362−1365,1999;Parksら,Science 284:1365−1368,1999)、FXR核ホルモン受容体(Formanら,Cell 81:687−693,1995)を通じて制御される。実際に、IBABPの発現はまた、FXRによって制御される(Kandaら,Biochem.J.330(Pt.1):261−265,1998;Groberら,J.Biol.Chem.274:29749−29754,1999)。IBABP−L及びIBABPにおける胆汁酸及び9−cis−レチノイン酸、RXRに対するリガンド(FXRのパラメータ)の効果を試験した。Caco−2細胞は、ケノデオキシコール酸(CDCA)、デオキシコール酸(DCA)、又は9cRAのいずれかで処置し、IBABP−L及びIBABPをコードする転写物の相対的発現を定量的RT−PCRによって測定した(図10)。期待された通り、CDCA及びDCAは、IBABP発現を最大13倍増加させたが、期待に反して、これらの試薬は、IBABP−Lの発現には効果的ではなかった。同様に、9cRAはまた、IBABPの上方制御を誘発したが、IBABP−Lにおいて効果はなかった。これらの結果は、IBABPの2つの変異体が別々の転写物開始部位から生じるという概念と一致する。
IBABP−LをコードすうmRNAは結腸直腸癌において上方制御される。各IBABPの変異体の発現は、IBABP又はIBABP−L選択的プライマーセットを用いて、定量的RT−PCRによって結腸癌の種々の段階で測定した。全ての場合において、癌腫における転写物のレベルは、隣接する正常な組織のレベルと比較した。IBABP−Lをコードする転写物は、結腸癌腫において実質的に上方制御される;ある場合には、正常組織よりも100倍を超える高いレベルで発現した(図11A)。IBABP−Lは、2倍の切断を用いて、結腸直腸癌の76%(52/68)に上方制御された(P<.0001)。対照的に、癌腫組織におけるIBABPの発現に有意な変化はなかった。
IBABP及びIBABP−Lの発現レベルにおける患者の変動に患者を標準化する追加の戦略として、本出願人は、結腸癌におけるそれらの発現比を比較した。この場合、結腸癌におけるIBABP−L/IBABP比(RC)は、隣接する正常組織における発現比(RN)と比較した(図11B)。結腸直腸癌において、RCは、隣接する正常組織RNと有意に相違していた(P<.0001)。2倍のカットオフを用いて、RC/RN比は、結腸直腸癌の78%(53/68)に増加し、この測定は、悪性組織を同定する良好な予測ツールであることを示す。
IBABP−Lタンパク質は結腸直腸癌において発現し、上方制御される。IBABP−Lタンパク質が結腸組織又は結腸癌において発現するかどうかを決定するために試験を行った。第1に、IBABP−Lに対する抗血清は、IBABP−Lに見られる49残基のN末端配列内のペプチドである、ペプチドCTWVSRKGDLQRMKQTHKGKPPSSで免疫してウサギに発生させた。免疫した動物由来の抗血清は、ウェスタンブロットによって、組換えIBABP−L及びIBABPに対する反応性について試験した。組換えIBABP−L及びIBABPは、SDS−PAGE上で分離し、ニトロセルロースに転写し、抗血清(1:2000希釈)によって探査した。ウェスタンブロットは、IBABP−Lペプチドに対する抗血清又は組換えIBABPに対して発生した抗血清を用いて探査した。IBABP−Lに対する抗血清の特異性は、可溶性ペプチド抗原と競合させることによって確かめた。この場合、2μLの抗血清は、ウェスタンブロットに使用する前に、1又は10μgの抗原とともにインキュベートした。抗血清は、IBABP−Lに非常に特異的であり、IBABPに結合しないことが見出された。さらに、IBABP−Lに対する抗血清の結合は、可溶性ペプチド抗原と競合させてブロックすることができた。
IBABP−Lタンパク質の発現はまた、IBABP−L選択的抗血清を用いて、免疫組織化学によってヒト結腸直腸癌腫において測定した。ヒト結腸直腸癌腫及び隣接する正常組織のパラフィン包埋したスライドは、IBABP−L選択的ペプチドに対して発生させたウサギ抗血清によって染色し、その後、セイヨウワサビ・ペルオキシダーゼシステムを採用するジアミノベンジジンを基礎とした検出法に従った。ヒト胎児結腸スライド(Biochain)及び正常成人回腸(Biospring)はまた、同じように染色した。ある場合において、絨毛の先端の上皮細胞は、IBABP−Lに対して弱い染色を示す。しかしながら、絨毛及び陰窩における非常に大部分の上皮細胞は染色しない。対照的に、ほぼ全ての細胞は陽性に染色された。この戦勝は、腫瘍の分化状態とは独立しているようであった。興味深いことに、胎児の回腸はまた、IBABP−Lに対する抗血清によって染色された。胎児の上皮細胞の全ては、IBABP−Lを発現したが、この発現は、大部分の成人の上皮細胞では欠落していた。重要なことに成人の回腸はIBABP−Lの発現を欠損している。この見解は、IBABP−Lが回腸における高レベルに発現するという事実と対照的であった(Fujitaら,Eur..Biochem.233:406−413,1995;Groberら,J.Biol.Chem.274:29749−29754,1999)。
IBABP−Lの発現及びIBABP−L/IBABPの比における腫瘍段階の効果。腫瘍段階がIBABP−Lの発現に影響を与えるかどうかを決定するために実験を行った。本出願人は、腫瘍段階の関数として、IBABP−LをコードするmRNAの発現増加に対する明確な傾向を見出したが、しかしながら、この傾向は、完全には統計学的に有意ではなかった。したがって、本出願人は、IBABP−Lにおける患者対患者の変動がIBABP発言のレベルによって叙することによって標準化可能であるかどうかを探索した。IBABP−L/IBABPの比は、腫瘍組織(RT)及び正常な隣接する組織(RN)について算出した。図12に図示されるように、結腸癌の第1の4段階(ステージIIIに対するポリープ)全体でRT/RNが増加するという傾向である。この相違は、ポリープ及びステージI、及びステージIIからステージの間で有意ではないが、これらの2つのグループの間の差異は、統計学的には有意である。癌におけるIBABP−L/IBABP比はまた、患者の年齢、性別、分化レベル、及び腫瘍位置から独立していた。
IBABP−Lは別々の発癌性病変を含む結腸癌腫細胞において発現する。現在、結腸直腸癌は、腫瘍抑制遺伝子DCC、APC及びp53における変異及び欠損、並びに、腫瘍遺伝子K−rasにおける変異を含む多くの遺伝的病変によって開始し得ることは明らかである。発癌病変のタイプがIBABP−LとIBABPとの間の発現比に影響するかどうかを決定するために、結腸癌細胞株を用いて実験を行った。これらの試験は、別々の病変を含む結腸癌細胞株において実行した(下記の表1)。7種の細胞株におけるIBABP−L/IBABP比は2.0を超え(2.17〜19.65)、SW840のみが2.0未満の比(1.42)である。結論として、発癌病変のタイプは、IBABP−LとIBABPとの比にほとんど影響を与えない。これらの観察は、IBABP−Lの発現の評価は、幅広い発癌病変から生じる結腸癌の検出において適用できるようである。
検討
本出願人は、IBABPの新規な変異体を同定し、IBABP−Lと命名した。IBABP−Lに対する転写物は、代替の開始部位から生じ、及びIBABPには存在しない3つのエクソンを含む。IBABP−Lはまた、IBABPと第4エクソンの部分を共有する。IBABP−Lによってコードされるタンパク質は、IBABPには見出されない推定される49残基のN末端配列を含む。IBABP−L転写物は、正常なヒトの腸を通じて同じレベルで発現される。これは、IBABPをコードする転写物とは対照的であり、空腸から上行結腸まで伸長する腸の部分で、数オーダー高い頻度のレベルで発現される。本発明のこれらの領域では、IBABP−Lの発現は、IBABPよりも少なくとも低い頻度である。2つの転写物はた、胆汁酸に対する応答に違いある。胆汁酸は、FXR転写経路の部分としてIBABPの発言を刺激し(Groberら,J.Biol.Chem.274:29749−29754,1999)、それらは、IBABP−Lの発現に影響がない。
最近、IBABPは、FXRの発現の減少と連動して、結腸直腸癌において上方制御されることが報告された(DeGottardiら,Dig.Dis.Sci.49:982−989,2004)。しかしながら、その試験は、本出願人のIBABP−Lの発見前になされたものであり、IBABPの2つの形態で区別されなかった。そこで、本出願人は、68人の患者由来の結腸直腸癌試料におけるIBABP及びIBABP−Lの発現を比較した。本出願人は、IBABP−Lは結腸直腸癌に本質的には変化せずに維持されるが、その代替の転写物であるIBABP−Lは上方制御されることを報告する。大部分の場合では、上方制御は実質的であり、相対的なmRNAのコピー数の平均的な増加は30倍を超える。IBABP−Lは、初期の悪性ポリープにおいて上方制御され、その高い発現は、腫瘍の分化の全ての続く臨床的分類において明らかとなる。結腸直腸癌における上方制御に対する傾向は、2つの転写物の間を区別しないPCRプライマーを用いて明らかであるが、IBABP−Lの特異的な測定は、さらにより感度がよい。
他の3つの因子は、潜在的なバイオマーカーとしてIBABP−Lの使用において香料するのに重要である。第1に、結腸直腸癌におけるIBABP−L発現の増加は、患者の年齢又は性別から独立している。第2に、結腸癌細胞株における試験に基づいて、IBABP−Lの発現は、p53、APC、又はK−rasのようなタンパク質に共通する発癌性変異体とは独立しているようである。IBABP−Lとこれらの発癌性変異体との間の任意の僅かなリンクは、患者由来の腫瘍組織のより多くの総合的な分析において最も試験される。それにもかかわらず、IBABP−Lが大部分の腫瘍において上方制御されるという事実と連動して、細胞株からの試験は、IBABP−Lの発現が単一の腫瘍遺伝子における病変に依存する可能性が非常に低いことを示す。第3に、IBABPとは異なり、IBABP−Lの発現は、胆汁酸によって影響されない。したがって、IBABP−Lのレベルが、食生活の変化又は全体的な健康状態に起因する胆汁酸の変化に関係するとは誰も期待しないであろう。結論として、IBABP−Lの発現は、幅広く適合可能な結腸直腸癌の試験としての使用に十分に適切であるようにする多くの特性を有する。
患者の集団の全体を通じて比較する大部分の試験と同様に、本出願人は標準化手法を用いた。この試験では、本出願人は、標準化の基準として酸性リボソームリンタンパク質(ARPP0)を選択して使用し、それは、癌における遺伝子発現の試験での標準化にむしろ幅広く受け入れられるためであり(Cheneら,Int.J.Cancer 111:798−804,2004;Cacevら,Gut 54:1129−1135,2005)、本出願人の主要な分析は、この遺伝子が結腸直腸腫瘍における大部分一致した発現レベルを有することを指示したためである。しかしながら、IBABP−Lの発現レベルを標準化するために用いることができる他の「ハウスキーピング」遺伝子がある。本出願人は、サイクロ(登録商標)フィリンA、GADPH、及びβ−アクチンのような他の標準化の基準の適用性を評価するために、腫瘍試料の小規模な調査を行った。興味深いことに、β−アクチンをIBABP−Lの標準化のために用いた場合、このアッセイは、ARPP0を用いた場合には見られなかった腫瘍を検出した。実際に、ARPP0に対して標準化したIBABP−Lにおける変化が2倍未満であった16個の腫瘍において、β−アクチンに標準化した場合に、9個がIBABP−Lの2倍を超える増加を示した。本出願人は、β−アクチンレベルが結腸癌において変化することが報告されているため(Khimaniら,Biotechniques 38:739−745,2005)、68全ての主要の分析では標準化の基準としてβ−アクチンを使用しないことにした。β−アクチンに対する標準化における観察はこのレポートの全体の結論にほとんど影響せず、IBABP−Lを用いた結腸直腸癌の検出の感度は、標準化のための他の遺伝子の探索を通じて潜在的に増加することを示唆している。このような比較は、バイオマーカーとしてIBABP−Lに対するより大きな臨床的試行からの結果を待たせる。標準化の別のアプローチとして、本出願人はまた、試料中のIBABP−LとIBABPの発現比(RC/RN)を算出し、この比が、IBABP−L単独の相対的レベルよりも僅かに良い結腸直腸癌の予測因子となることを見出した。
IBABP−Lの発現、結腸癌におけるその上方制御は、結腸癌の開始及び進行における二次胆汁酸の役割の本出願人の理解に影響しないようである。腫瘍形成のみを開始するには不十分であるが、二次胆汁酸は、腫瘍形成を強力に促進する(Bernsteinら,Mutat.Res.589:47−65,2005)。IBABP−Lは、二次胆汁酸媒介のアポトーシスに対する防御メカニズムとして初期には上方制御され得る。IBABP−Lのレベル上昇は、より多くの胆汁酸の結合、細胞胆汁酸濃度の減少、したがって発癌物質とのより少ない接触を可能にする。胆汁酸損傷からの保護バッファーは、第一に、細胞の増殖効果を生じさせることができる。しかしながら、制御されていない細胞増殖の発癌性プログラム:過形成から最終的な侵襲的な表現型への進行は、任意の本来の利点を後に取って代わってもよい。この作用メカニズムは不明確なままであるが、しかしながら、IBABP−Lの上方制御が、最終的には、未知の前発癌性経路でのシグナル分子としての関与を指示する可能性が生じる。
要約すると、本出願人は、正常な結腸組織と結腸癌との間のIBABP−Lの転写物の有意な相違を見出した。IBABP−Lの発現における統計学的な有意な差は、ポリープからステージIVの結腸直腸癌の範囲である結腸癌の全ての段階において明らかである。したがって、IBABP−Lは、結腸癌に対して特に興味深いバイオマーカーである。
全ての刊行物、特許及び特許出願は、参照により本明細書中に援用される。前述の明細書において、本発明がある種のその態様と関連して記載され、多くの詳細が例示を目的として記載されているが、本発明は、更なる態様に許容され、本明細書におけるある種の詳細は本発明の基本原理から逸脱することなしに相当に変更してもよいことは当業者に明確となる。
Figure 2009523009
図1は、エクソン(E1〜E7)を有するIBABP−L(fabp6)の構造、及び標識された提案されるプロモータの構造を示す(縮尺通りではない)。P1は、本明細書中で同定された新規な変異体であるIBABP−L(実施例1)の発現を駆動し、それは、7個のエクソンを含み、最初の3つはIBABP−Lに独特である。P2は、エクソン4b〜エクソン7をIBABP−Lと共有する既知のIBABP−L形態であるIBABPの転写を促進する。 IBABP−L及びIBABPの両方をコードするIBABP遺伝子(即ち、ゲノム配列)のオープン・リーディング・フレームを示す。IBABP−Lに対するオープン・リーディング・フレーム(14kDa形態)に下線が引かれ、IBABP−Lの追加のオープン・リーディング・フレーム配列は灰色で強調される。このように、IBABP−Lに対するオープン・リーディング・フレームは、IBABPに対するORFの大部分を含み、さらに該遺伝子の5’端の627ヌクレオチドを含む。ポリ(A)シグナルは、ボールドであり、下線が引かれる。 図3は、IBABP−Lに独特であるIBABP遺伝子由来のDNA配列を示す(図2において灰色に強調される)。 図4は、IBABP−L及びIBABPに対するcDNA配列の整列を示す。IBABP−Lに対するcDNA配列(上段ライン)が示され、ATG開始部位はボールドで記される。IBABP(下段ライン)に対するcDNAは、灰色で強調される。エクソン1、2及び3は、IBABP−Lに独特である(IBABPに対する任意のホモロガスなエクソンの欠損を示すダッシュを留意されたい)。エクソン4aは(下線)は、IBABPに対するcDNAにのみ存在する。エクソン4b−7は、IBABP−L及びIBABPの両方に対するcDNAによって共有される。 図5は、IBABP−LをコードするcDNA配列を示す。 図6は、IBABP−L cDNA由来のN末端の49個のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を示す。 図7は、IBABP−L(上段ライン)及びIBABP(下段ライン、灰色で強調される)に対するポリペプチド配列の整列を示す。IBABP−Lポリペプチドは、そのN末端に49個のアミノ酸配列を含み、IBABPポリペプチドには存在しない。 図8は、IBABP−Lの予測されるポリペプチドを示す。IBABPポリペプチドでは見られないIBABP−Lの49個のアミノ酸のN末端配列が灰色で強調される。 図9は、胃腸管におけるIBABP及びIBABP−Lの発現を示す。ヒトの肝臓、胆嚢、及び胃腸管(十二指腸から直腸)の切片から抽出したRNAは、IBABP及びIBABP−Lを定量する目的で定量的RT−PCRにおいて鋳型として使用された。各変異体の発現は、ハウスキーピング遺伝子ARPP0を用いて標準化した。 図10は、FXR及びRXRのアゴニストは、IBABP−LではなくIBABPの発現を制御することを示す。ヒトCaco−2(腸細胞様)細胞は、FXRアゴニストであるケノデオキシコール酸(CDCA)又はデオキシコール酸(DCA)(100μM)、又はRXRアゴニストである9cRA(100nM)とともに24時間インキュベートされた。IBABP−L及びIBABPの発現は、定量的RT−PCRによって測定した。各変異体のmRNAのコピー数は、ハウスキーピング遺伝子ARPP0の発現に標準化さっる。図中の値は、二重で行った各複製を伴う3つの実験の平均を表示する。 図11は、結腸直腸癌腫におけるIBABP−Lの情報制御を示す。全RNAは、適合した68セットのヒト結腸直腸及び隣接した正常粘膜から単離し、2段階の定量的RT−PCR手法において鋳型として用いた。変異体特異的プライマーは、IBABP−L及びIBABPをコードするmRNAを定量するために用いられた。値は、ARPP0の発現に対して標準化した。癌腫と正常な粘膜との発現差は、癌腫と正常粘膜との間のIBABP変異体の倍数変化として(A)、又は結腸直腸癌(Rc)対隣接している正常粘膜(RN)におけるIBABP−LとIBABPの比として(B)表現される。エラーバーは、平均±SEMを表す。 図12は、IBABP−Lの上方制御における臨床段階の効果を示す。ポリープから正常組織の変化(RP/RN)と腫瘍から正常組成物の変化(RC/RN)の比、まとめてRT/RNは、臨床段階によって分離した。バーは、平均±SEMを表す。II−IV段階の癌腫由来のRP/RNとRC/RNとの間の差は有意である(P<0.02)。

Claims (110)

  1. 天然のIBABP−Lポリヌクレオチドに少なくとも90%の核酸配列同一性を有し、天然のIBABP−Lポリペプチドに選択的にハイブリダイズする配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
  2. 前記配列が、天然のIBABP−Lポリヌクレオチドに少なくとも95%の同一性を有する、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  3. 前記配列が、天然のIBABP−Lポリヌクレオチドに少なくとも99%の核酸配列同一性を有する、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  4. 前記配列が、天然のIBABP−Lポリヌクレオチドに100%のヌクレオチド配列同一性を有する、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  5. 天然のIBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチドに少なくとも90%の核酸配列同一性を有する、少なくとも100ヌクレオチドの長さの配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
  6. 前記配列が、天然のIBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチドに少なくとも95%の核酸配列同一性を有する、請求項5に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  7. 前記配列が、天然のIBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチドに少なくとも99%の核酸配列同一性を有する、請求項5に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  8. 前記単離されたポリヌクレオチドが、天然のIBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする、天然のIBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチドの少なくとも15個の隣接しているヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド。
  9. 天然のIBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチド由来の少なくとも20個の隣接しているヌクレオチドを含む、請求項8に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  10. 天然のIBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチド由来の少なくとも30個の隣接しているヌクレオチドを含む、請求項8に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  11. 天然のIBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチドを含む、請求項8に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  12. 天然のIBABP−L mRNA又はcDNAのタンパク質全長のコード配列を含む、請求項8に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  13. (a)天然のIBABP−L N末端のポリペプチドの少なくとも4個の隣接しているアミノ酸を含む少なくとも11個のアミノ酸のポリペプチドをコードし、及び(b)哺乳動物に導入すると、天然のIBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する抗体を誘発する、単離されたポリヌクレオチド。
  14. 前記ポリペプチドは、IBABP−L N末端のポリペプチドの少なくとも5個の隣接しているアミノ酸を含む、請求項13に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  15. 前記ポリペプチドは、IBABP−L N末端のポリペプチドの少なくとも6個の隣接しているアミノ酸を含む、請求項13に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  16. 前記ポリペプチドは、IBABP−L N末端のポリペプチドの少なくとも10個の隣接しているアミノ酸を含む、請求項13に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  17. 胆汁酸に結合するポリペプチドをコードする請求項1〜16のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  18. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む細胞。
  19. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチドを含むベクター。
  20. 請求項19に記載のベクターを含む細胞。
  21. 請求項19に記載の発現ベクター。
  22. 請求項21に記載の発現ベクターを含む細胞。
  23. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチドを含むプローブ。
  24. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチドを含むプライマー。
  25. (a)天然のIBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする、天然のIBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチドの少なくとも15個の隣接しているヌクレオチドを含む第1プライマー;(b)天然のIBABP−Lポリヌクレオチド由来の少なくとも15個の隣接しているヌクレオチドを含む第2プライマー;及び(c)第1プライマー及び第2プライマーを同封している適切なパッケージを含むキットであって、ここで、第1プライマー、第2プライマー、及びIBABP−L mRNAを含む試料を用いて実行される増幅反応が、試料中のIBABP−L mRNAの存在を指示する増幅産物を生成する前記キット。
  26. 前記第2プライマーが、IBABP−Lエクソン1−3ポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする、請求項25に記載のキット。
  27. 天然のIBABPポリヌクレオチド由来の少なくとも15個の隣接するヌクレオチドを含む第3プライマーをさらに含む請求項25に記載のキットであって、前記試料がIBABP mRNAをさらに含み、第1プライマー、第2プライマー、第3プライマー、及び試料を用いて実行される増幅反応は、試料中のIBABP−L mRNAの存在を指示する第1増幅産物、及び試料中のIBABP mRNAの存在を指示する第2増幅産物を生成する前記キット。
  28. 前記第3プライマーが、天然のIBABPエクソン4aポリヌクレオチド由来の少なくとも15個の隣接しているヌクレオチドを含む、請求項27に記載のキット。
  29. 天然のIBABPポリヌクレオチド由来の少なくとも15個の隣接しているヌクレオチドを含む第3プライマー、及び天然のIBABPポリヌクレオチド由来の少なくとも15個の隣接しているヌクレオチドを含む第4プライマーをさらに含む請求項25に記載のキットであって、前記試料がIBABP mRNAをさらに含み、第1プライマー、第2プライマー、第3プライマー、第4プライマー、及び試料を用いて実行されるポリメラーゼ連鎖反応は、試料中のIBABP−L mRNAの存在を指示する第1増幅産物、及び試料中のIBABP mRNAの存在を指示する第2増幅産物を生成する前記キット。
  30. 第3プライマー又は第4プライマーは、天然のIBABPエクソン4aポリヌクレオチド由来の少なくとも15個の隣接しているヌクレオチドを含む、請求項29に記載のキット。
  31. 天然のIBABP N末端のポリペプチドに少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む単離されたポリペプチドであって、哺乳動物への単離されたポリペプチドの導入が、IBABP−Lに選択的に結合する抗体の産生を誘発する前記ポリペプチド。
  32. 前記配列が、天然のIBABP−L N末端のポリペプチドに少なくとも95%の同一性を有する、請求項31に記載の単離されたポリペプチド。
  33. 前記配列が、天然のIBABP−L N末端のポリペプチドに少なくとも99%の同一性を有する、請求項31に記載の単離されたポリペプチド。
  34. 前記配列が、長さにして少なくとも15個のアミノ酸である、請求項31に記載の単離されたポリペプチド。
  35. 前記配列が、長さにして少なくとも20個のアミノ酸である、請求項31に記載の単離されたポリペプチド。
  36. 前記配列が、長さにして少なくとも30個のアミノ酸である、請求項31に記載の単離されたポリペプチド。
  37. 前記配列が、長さにして少なくとも40個のアミノ酸である、請求項31に記載の単離されたポリペプチド。
  38. IBABP−L N末端のポリペプチド由来の少なくとも11個の隣接しているアミノ酸の配列を含む単離されたポリペプチドであって、哺乳動物への単離されたポリペプチドの導入は、IBABP−Lを選択的に結合する抗体の産生を誘発する前記ポリペプチド。
  39. IBABP−L N末端のポリペプチド由来の少なくとも12個の隣接しているアミノ酸の配列を含む、請求項38に記載の単離されたポリペプチド。
  40. IBABP−L N末端のポリペプチド由来の少なくとも13個の隣接しているアミノ酸の配列を含む、請求項38に記載の単離されたポリペプチド。
  41. IBABP−L N末端のポリペプチド由来の少なくとも15個の隣接しているアミノ酸の配列を含む、請求項38に記載の単離されたポリペプチド。
  42. IBABP−L N末端のポリペプチド由来の少なくとも20個の隣接しているアミノ酸残基の配列を含む、請求項38に記載の単離されたポリペプチド。
  43. IBABP−L N末端のポリペプチド由来の少なくとも30個の隣接しているアミノ酸残基の配列を含む、請求項38に記載の単離されたポリペプチド。
  44. IBABP−L N末端のポリペプチドを含む、請求項38に記載の単離されたポリペプチド。
  45. 天然のIBABP−Lポリペプチドを含む、請求項38に記載の単離されたポリペプチド。
  46. 胆汁酸に結合する、請求項38に記載の単離されたポリペプチド。
  47. 天然のIBABP−L N末端ポリペプチドの少なくとも4個の隣接しているアミノ酸を含む、長さにして少なくとも11個のアミノ酸である単離されたポリペプチドであって、哺乳動物への単離されたポリペプチドの導入が、天然のIBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する抗体の産生を誘発する前記ポリペプチド。
  48. 天然のIBABP−L N末端ポリペプチドの少なくとも5個の隣接するアミノ酸を含む、請求項47に記載の単離されたポリペプチド。
  49. 天然のIBABP−L N末端ポリペプチドの少なくとも6個の隣接するアミノ酸を含む、請求項47に記載の単離されたポリペプチド。
  50. 天然のIBABP−L N末端ポリペプチドの少なくとも10個の隣接するアミノ酸を含む、請求項47に記載の単離されたポリペプチド。
  51. 長さにして少なくとも12個のアミノ酸である、請求項47に記載の単離されたポリペプチド。
  52. 長さにして少なくとも15個のアミノ酸である、請求項47に記載の単離されたポリペプチド。
  53. 結腸直腸癌を治療又は予防するのに有効な量のIBABP−Lポリペプチド及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
  54. 結腸直腸癌を有する患者又は結腸直腸癌を発症する危険性のある患者を治療するための薬剤を製造する方法であって、医薬として有効量のIBABP−Lポリペプチドを用いて該薬剤を調合することを含む前記方法。
  55. 結腸直腸癌を治療又は予防する必要がある患者に、有効量のIBABP−Lポリペプチドを含む組成物を投与することを含む、結腸直腸癌を治療又は予防する方法。
  56. 天然のIBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する抗体。
  57. 請求項56に記載のモノクローナル抗体。
  58. 請求項56に記載のポリクローナル抗体。
  59. 請求項56に記載のキメラ抗体。
  60. 請求項56に記載のヒト化抗体。
  61. 請求項56に記載の一本鎖抗体。
  62. 請求項56に記載の断片抗体。
  63. 天然のIBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する抗体を製造する方法であって、哺乳動物に、(a)請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター、又は(b)請求項31〜52のいずれか1項に記載の単離されたポリペプチドを導入し、それにより抗体の産生を誘発することを含む前記方法。
  64. IBABP−Lポリペプチドを含む試料中のIBABP−Lポリペプチドの存在を検出する方法であって、試料とIBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する抗体とを接触させ、IBABP−Lポリペプチドへの抗体の結合を検出することを含む前記方法。
  65. 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項64に記載の方法。
  66. ELISAアッセイを行うことを含む、請求項64に記載の方法。
  67. バイオ−バーコードアッセイを行うことを含む、請求項64に記載の方法。
  68. IBABP−Lポリペプチドへの抗体の結合を測定することによって、試料中のIBABP−Lポリペプチドを測定することを含む、請求項64に記載の方法。
  69. IBABP−Lポリペプチド及びIBABPポリペプチドを含む試料中のIBABP−LポリペプチドとIBABPポリペプチドとの比を測定する方法であって、(a)試料とIBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する一次抗体とを接触させ、試料中のIBABP−Lポリペプチドへの該一次抗体の結合を測定し;(b)試料とIBABPポリペプチド及びIBABP−Lポリペプチドに選択的に結合する二次抗体とを接触させ、試料中のIBABPポリペプチド及びIBABP−Lポリペプチドへの該二次抗体の結合を測定し;及び(c)試料中のIBABP−LポリペプチドとIBABPポリペプチドとの比を算出することを含む前記方法。
  70. 工程(a)及び(b)が、単一反応において実行される、請求項69に記載の方法。
  71. 前記一次抗体及び二次抗体が、モノクローナル抗体である、請求項69に記載の方法。
  72. ELISAアッセイを実行することを含む、請求項69に記載の方法。
  73. バイオ−バーコードアッセイを実行することを含む、請求項69に記載の方法。
  74. IBABP−Lポリヌクレオチドを含む試料中のIBABP−Lポリヌクレオチドの存在を検出する方法であって、試料と、IBABP−Lポリヌクレオチドに選択的に結合するポリヌクレオチド配列を含むプローブ又はプライマーとを接触させ、IBABP−Lポリヌクレオチドへの該プローブ又はプライマーの結合を検出することを含む前記方法。
  75. 前記IBABP−Lポリヌクレオチドが、mRNAである、請求項74に記載の方法。
  76. 試料と、IBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む第1プライマー、及びIBABP−Lポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む第2プライマーとを接触させ、増幅反応を実行し、並びに試料中のIBABP−Lポリヌクレオチドの存在を指示する増幅産物を検出することを含む、請求項74に記載の方法。
  77. 前記増幅反応が、PCR反応である、請求項76に記載の方法。
  78. 前記増幅反応が、定量的PCR反応である、請求項77に記載の方法。
  79. 前記増幅反応が、RT−PCR反応である、請求項77に記載の方法。
  80. バイオ−バーコードアッセイを実行することを含む、請求項74に記載の方法。
  81. IBABP−L mRNAへのプローブ又はプライマーの結合を測定することによって、試料中のIBABP−Lポリヌクレオチドを測定することを含む、請求項74に記載の方法。
  82. IBABP−Lポリヌクレオチド及びIBABPポリヌクレオチドを含む試料中のIBABP−LポリヌクレオチドとIBABPポリヌクレオチドとの比を測定する方法であって、(a)試料とIBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする第1プローブとを接触させ;(b)試料中のIBABP−Lポリヌクレオチドへの第1プローブのハイブリダイゼーションを測定し;(c)試料とIBABPポリヌクレオチド及びIBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする第2プローブとを接触させ;(d)試料中のIBABPポリヌクレオチド及びIBABP−Lポリヌクレオチドへの第2プローブのハイブリダイゼーションを測定し;及び(e)試料中のIBABP−LポリヌクレオチドとIBABPポリヌクレオチドとの比を算出することを含む前記方法。
  83. 前記IBABP−Lポリヌクレオチド及びIBABPポリヌクレオチドが、mRNAである、請求項82に記載の方法。
  84. (1)試料と、IBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする少なくとも1つのプライマーとを接触させ、第1増幅反応を実行して、試料中のIBABP−Lポリヌクレオチドの存在を指示する第1増幅産物を生成し;(b)試料と、IBABPポリヌクレオチド及びIBABP−Lポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする少なくとも1つのプライマーとを接触させ、第2増幅反応を実行して、試料中のIBABPポリヌクレオチド及びIBABP−Lポリヌクレオチドの存在を指示する第2増幅産物を生成し;(c)第1増幅産物及び第2増幅産物を測定し;及び(d)試料中のIBABP−LポリヌクレオチドとIBABPポリヌクレオチドとの比を算出することを含む、請求項82に記載の方法。
  85. 前記接触させる工程及び増幅反応を実行させる工程が、単一反応で行われる、請求項83に記載の方法。
  86. PCRを実行することを含む、請求項85に記載の方法。
  87. RT−PCRを実行することを含む、請求項86に記載の方法。
  88. バイオ−バーコードアッセイを実行することを含む、請求項82に記載の方法。
  89. 個体における結腸直腸癌を検出する方法であって、IBABP−Lポリペプチドを含む個体由来の試料中のIBABP−Lポリペプチドを測定することを含む前記方法。
  90. 個体における結腸直腸癌を検出する方法であって、IBABP−Lポリペプチド及びIBABPポリペプチドを含む個体由来の試料中のIBABP−LポリペプチドとIBABPポリペプチドとの比を測定することを含む前記方法。
  91. 個体における結腸直腸癌を検出する方法であって、IBABP−L mRNAを含む個体由来の試料中のIBABP−L mRNAを測定することを含む前記方法。
  92. 個体における結腸直腸癌を検出する方法であって、IBABP−L mRNA及びIBABP mRNAを含む個体由来の試料中のIBABP−L mRNAとIBABP mRNAとの比を測定することを含む前記方法。
  93. 結腸直腸癌を発症する危険性が増加している個体を同定する方法であって、IBABP−Lポリペプチドを含む個体由来の試料中のIBABP−Lポリペプチドを測定することを含む前記方法。
  94. 結腸直腸癌を発症する危険性が増加している個体を同定する方法であって、IBABP−Lポリペプチド及びIBABPポリペプチドを含む個体由来の試料中のIBABP−LポリペプチドとIBABPポリペプチドとの比を測定することを含む前記方法。
  95. 結腸直腸癌を発症する危険性が増加している個体を同定する方法であって、IBABP−L mRNAを含む個体由来の試料中のIBABP−L mRNAを測定することを含む前記方法。
  96. 結腸直腸癌を発症する危険性が増加している個体を同定する方法であって、IBABP−L mRNA及びIBABP mRNAを含む個体由来の試料中のIBABP−L mRNAとIBABP−L mRNAとの比を測定することを含む前記方法。
  97. 結腸直腸癌に対する特定の治療に応答する可能性のある個体を同定する方法であって、IBABP−Lポリペプチドを含む個体由来の試料中のIBABP−Lポリペプチドを測定することを含む前記方法。
  98. 結腸直腸癌に対する特定の治療に応答する可能性のある個体を同定する方法であって、IBABP−Lポリペプチド及びIBABPポリペプチドを含む個体由来の試料中のIBABP−LポリペプチドとIBABPポリペプチドとの比を測定することを含む前記方法。
  99. 結腸直腸癌に対する特定の治療に応答しそうである個体を同定する方法であって、IBABP−L mRNAを含む個体由来の試料中のIBABP−L mRNAを測定することを含む前記方法。
  100. 結腸直腸癌に対する特定の治療に応答する可能性のある個体を同定する方法であって、IBABP−L mRNA及びIBABP mRNAを含む個体由来の試料中のIBABP−L mRNAとIBABP mRNAとの比を測定することを含む前記方法。
  101. 結腸直腸癌に苦しんでいる患者の治療の経過進行を評価する方法であって、(a)治療経過中の第1時間点で採取した、IBABP−Lポリペプチドを含む患者由来の第1試料中のIBABP−Lポリペプチドを測定し;(b)治療経過中の第2時間点で採取した、IBABP−Lポリペプチドを含む患者由来の第2試料中のIBABP−Lポリペプチドを測定し;及び(c)第1試料と第2試料中のIBABP−Lポリペプチドの測定を比較することを含む前記方法。
  102. 結腸直腸癌に苦しんでいる患者の治療の経過進行を評価する方法であって、(a)治療経過中の第1時間点で採取した、IBABP−Lポリペプチド及びIBABPポリペプチドを含む患者由来の第1試料中のIBABP−LポリペプチドとIBABPポリペプチドとの比を測定し;(b)治療経過中の第2時間点で採取した、IBABP−Lポリペプチド及びIBABPポリペプチドを含む患者由来の第2試料中のIBABP−LポリペプチドとIBABPポリペプチドとの比を測定し;及び(c)第1試料と第2試料中のIBABP−LポリペプチドとIBABPポリペプチドとの比を比較することを含む前記方法。
  103. 結腸直腸癌に苦しんでいる患者の治療の経過進行を評価する方法であって、(a)治療経過中の第1時間点で採取した、IBABP−L mRNAを含む患者由来の第1試料中のIBABP−L mRNAを測定し;(b)治療経過中の第2時間点で採取した、IBABP−L mRNAを含む患者由来の第2試料中のIBABP−L mRNAを測定し;及び(c)第1試料と第2試料中のIBABP−L mRNAの測定を比較することをを含む前記方法。
  104. 結腸直腸癌に苦しんでいる患者の治療の経過進行を評価する方法であって、(a)治療経過中の第1時間点で採取した、IBABP−L mRNA及びIBABP mRNAを含む患者由来の第1試料中のIBABP−L mRNAとIBABP mRNAの比を測定し;(b)治療経過中の第2時間点で採取した、IBABP−L mRNA及びIBABP mRNAを含む患者由来の第2試料中のIBABP−L mRNAとIBABP mRNAとの比を測定し;及び(c)第1試料と第2試料中のIBABP−L mRNAとIBABP mRNAとの比を比較することを含む前記方法。
  105. 前記試料が細胞である、請求項64〜104のいずれか1項に記載の方法。
  106. 前記試料が組織試料である、請求項64〜104のいずれか1項に記載の方法。
  107. 前記試料が胃腸組織試料である、請求項64〜104のいずれか1項に記載の方法。
  108. 前記試料が糞便試料である、請求項64〜104のいずれか1項に記載の方法。
  109. 前記試料が血液試料である、請求項64〜104のいずれか1項に記載の方法。
  110. 請求項64〜104のいずれか1項に記載の自動化方法。
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