JP2009520510A - 非ヌクレオチドp2y12受容体アンタゴニスト化合物でコーティングした薬剤溶出ステント - Google Patents

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Abstract

本発明は、血小板凝集に関連した疾病又は状態の予防又は治療方法に関する。本発明はまた、薬物溶出ステントであって、該ステントが1又は複数の非ヌクレオチドP2Y12受容体アンタゴニスト化合物又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物又は水和物でコーティングされた薬物溶出ステントを供する。該ステントを狭窄又は損傷した動脈血管に留置した場合、治療的有効量の非ヌクレオチドP2Y12受容体アンタゴニスト化合物が、該ステントから該ステントの局所環境へと持続的に溶出する。該P2Y12受容体アンタゴニスト化合物溶出ステントは血栓症及び再狭窄の予防において有効であり、そして血栓形成の阻害、血管平滑筋細胞の収縮の阻害、細胞増殖の阻害、及び炎症の軽減に有効である。

Description

本発明は、非ヌクレオチド化合物、そのような化合物の製造方法、並びにヒト及び他の哺乳動物における血栓、脳卒中及び心筋梗塞を含む、血小板凝集に関連した疾病又は状態を予防又は治療する際の、並びに血液及び血液関連製剤における血小板凝集を阻害するための、そのような化合物の使用方法に関する。本発明はまた、薬物溶出ステントであって、該ステントを狭窄又は損傷した動脈血管に留置した場合、治療的有効量の非ヌクレオチドP2Y12受容体アンタゴニスト化合物が、該ステントから該ステントの局所環境へと持続的に溶出する薬物溶出ステントに関する。
止血は、損傷した血管からの出血を止める自然プロセスである。受傷すると、数秒のうちに前毛細血管が収縮し、血小板粘着と呼ばれるプロセスにより、栓球、すなわち血小板が、損傷血管の露出した内皮下基質に結合する。血小板は、血小板凝集として知られている現象で互いに粘着もして、安定な血小板凝集体を形成し、それらが迅速に損傷血管からの血液流出の停止又は遅速を助長する。
血管内血栓症は、病的止血障害から、又はアテローム斑の破裂によって生じ得る。血小板粘着及び凝集は、血管内血栓症における重要な事象である。罹病した脈管における高剪断血流状態のもとで、又は他の循環細胞並びに血管の内側を覆う損傷した内皮細胞からの媒介物質の放出によって活性化されると、血小板及び他の細胞が血管損傷部位に蓄積して血栓を形成し、より多くの血小板が血栓の発生に動員される。血栓は、人工血管を塞ぐに足るサイズに成長することがある。血栓は、静脈においてもうっ血領域を形成し、血流を遅速させることがある。静脈血栓は、それら自体の一部が容易に剥離でき、そのため、循環系の中を移動する塞栓を作ることがある。このプロセスにより、他の血管、例えば肺動脈、の閉塞が生じ得る。この種類の閉塞は、肺動脈塞栓症などの病理学的結果を生じさせることがある。従って、動脈血栓は、局所的閉塞により重篤な疾病を生じさせるのに対し、静脈血栓に関連した病的状態及び死亡は、主として遠隔閉塞又は塞栓形成後に生じる。病的血栓形成に関連した状態としては、血栓塞栓症、血栓性静脈炎、深在静脈血栓症、動脈塞栓症、冠動脈及び脳動脈血栓症、不安定狭心症、心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、脳塞栓症、腎塞栓症及び肺塞栓症が挙げられる。
多数の集束的経路が血小板凝集をもたらす。最初の刺激が何であれ、最終的共通事象は、膜結合部位、糖タンパクIIb/IIIa(GP IIb/IIIa;インテグリンαIIbβ3としても知られている)へのフィブリノゲンの結合による血小板の架橋である。GP IIb/IIIa受容体のアンタゴニストは、強力な抗血栓作用を生じさせることが示された(Aliの米国特許第6,037,343号;Dugganらの米国特許第6,040,317号)。GP IIb/IIIaアンタゴニストとしては、アブシキマブ(ReoPro(登録商標))のような機能遮断抗体、環状ペプチド及びペプチド模倣化合物が挙げられる(The EPIC investigators;Califf,R.M.,coordinating author,New Engl.J.Med.330:956−961(1994);The IMPACT−II investigators,Lancet 349:1422−1428(1997);The RESTORE investigators,Circulation 96:1445−1453(1997))。これらの新薬のうちの一部、例えばアブシキマブ、についての臨床的有効度は印象的であるが、最近の試験により、これらのアプローチは、輸血を必要とする場合もある大出血のリスク増加を随伴することが判明した(The EPIC investigators;Califf,R.M.,coordinating author,New Engl.J.Med.330:956−961(1994))。また、この種類の抗血小板薬の投与は、静脈的方法に限られるようである。
トロンビンは、他の経路から独立して血小板凝集を生じさせ得るが、他のメカニズムによる血小板の活性化の前に、他のメカニズムによる血小板の活性化なしに、トロンビンの実質的な量が存在する可能性は低い。ヒルジンなどのトロンビン阻害剤は、非常に有効な抗血栓薬である。しかし、抗血小板薬と抗凝集薬の両方として機能するトロンビン阻害剤も過剰出血を生じさせることがある(The TIMI 9a Investigators,Circulation,90:1624−1630(1994);The GUSTO IIa Investigators,Circulation,90:1631−1637(1994);Neuhaus,et al.,Circulation,90:1638−1642(1994))。
様々な抗血小板薬が血栓形成の阻害剤として研究されている。アスピリン及びジピリダモールなどの一部の薬剤は予防用抗血栓薬として用いられるようになり、他は、臨床調査の対象になっている。今日までに、治療薬、例えばジスインテグリン、並びにチエノピリジンチクロピジン(TICLID(登録商標))及びクロピドグレル(PLAVIX(登録商標))は、血小板凝集阻害剤として有用であることが示されているが、これらは、かなりの数の副作用を生じさせることがあり、一部の患者では有効性が限定されることもある(Hass,et al,N.Engl.J.Med.,321:501−507(1989);Weber,et al,Am.J.Cardiol.66:1461−1468(1990);Lekstrom and Bell,Medicine 70:161−177(1991))。特に、抗血小板療法におけるチエノピリジンの使用は、任意的に命にかかわる血栓性血小板減少性紫斑病の発生率を増加させることが示された(Bennett,et al.,N.Engl.J.Med,342:1771−1777(2000))。血小板凝集の阻害に有益な効果を有するアスピリン(Antiplatelet Trialists’Collaboration,Br.Med.J.308:81−106(1994);Antiplatelet Trialists’Collaboration,Br.Med.J.308:159−168(1994))は、プロスタグランジンの合成を阻害することにより作用する。しかし、その十分に文献化されている、胃部副作用の高い発生率により、多数の患者においてその有用性が制限される。加えて、一部の患者ではアスピリン耐性が観察された(McKee,et al.,Thromb.Haemost.88:711−715(2002))。
アデノシン5’−二リン酸(ADP)が、動脈血栓形成の開始及び進行に重要な役割を果すことは、多くの研究により証明されている(Bernat,et al,Thromb.Haemostas.70:812−826(1993));Maffrand,et al,Thromb.Haemostas.59:225−230(1988);Herbert,et al,Arterioscl.Thromb.13:1171−1179(1993))。ADPは、アデニリルシクラーゼの阻害、及び細胞内シグナル伝達経路の変調、例えばホスホイノシチド−3キナーゼ(PI3K)の活性化、細胞内Ca+2の流入及び動員、分泌、形状変化並びに血小板凝集を誘発する(Dangelmaier,et al.Thromb Haemost.85:341−348(2001))。ADP誘発血小板凝集は、血小板の細胞膜において発現された特定の受容体へのその結合によって引き起こされる。少なくとも3つの異なるP2受容体がヒト血小板において発現される:P2X1、P2Y1及びP2Y12。P2X1受容体は、ATPによって活性化され、結果として細胞外カルシウムの一時的流入を生じさせる、リガンド依存性カチオンチャネルである。この受容体は、血小板形状変化の調節に関係付けられており、最近の証拠は、高剪断力下での小動脈における血栓形成へのその関与を示唆している(Jagroop,et al,Platelets 14:15−20(2003);Hechler,et al,J.Exp.Med.198:661−667(2003))。P2Y1受容体は、ADPによって活性化されるGタンパク結合受容体であり、細胞内貯蔵からのカルシウムの動員、血小板形状変化及び凝集開始を果す能力がある。P2Y12受容体は、P2Yac及びP2T受容体とも呼ばれており、ADPによって活性化されるGタンパク結合受容体であり、並びにアデニリルシクラーゼの阻害及びPI3Kの活性化を果す能力がある。血小板分泌及び血小板凝集安定化にはP2Y12の活性化が必要とされる(Gachet,Thromb.Haemost.86:222−232(2001);Andre,et al,J.Clin.Invest.,112:398−406(2003))。
ADP誘発血小板凝集は、P2Y1及びP2Y12両受容体の同時活性化を必要とし、従って、凝集は、いずれかの受容体の遮断により阻害することができる。幾人かの著者が、ADP誘発凝集がアデノシン三リン酸(ATP)の類似体によって濃度依存的様式で阻害されることを証明した。ATP、それ自体は、弱い、非選択的な、しかし競合的な、P2Y1及びP2Y12受容体アンタゴニストである。Ingallら(J.Med.Chem.42.213−220(1999))は、ATPのポリリン酸塩側鎖の修飾と共にC2位のアデニン部分の置換により、P2T受容体(すなわち、P2Y12受容体)を阻害する化合物が得られたことを報告している。Zamecnik(米国特許第5,049,550号)は、ジアデノシン四リン酸様化合物、App(CH2)ppAの投与による血小板凝集阻害方法を開示した。Kim及びZamecnik(米国特許第5,681,823号)は、P1,P4−(ジチオ)−P2,P3−(モノクロロメチレン)−5’,5’’’−ジアデノシン−P1,P4−四リン酸を抗血栓薬として開示した。
ヌクレオチドP2Y12アンタゴニストは開発されたが、改善された経口バイオアベイラビリティー及び血液安定性を有する化合物が、依然として必要とされている。
チエノピリジン、チクロピジン及びクロピドグレルは、P2Y12受容体と共有結合反応し、インビボで不可逆的な血小板阻害を生じさせる(Quinn and Fitzgerald,Circulation 100:1667−1672(1999);Geiger,et al.,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.19:2007−2011(1999);Savi,et al,Thromb Haemost.84:891−896(2000))。チエノピリジンでの治療を受けた患者は、血小板凝集の有意な阻害を観察するために通常2-3日の治療を要するが、最大阻害は、通常、治療開始後4から7日の間に観察される。また、チエノピリジンの血小板阻害効果は、その治療の中止から7-10日後まで存続し、並びにチクロピジンとクロピドグレルの両方が、有意な出血時間延長(対照に対して1.5から2倍)を生じさせる。チエノピリジンのこの持続作用のため、選択的手術の前に7から10日間、これらの薬物を中止する必要があり、この期間に起こり得る血栓性事象から患者を未保護で放置することとなる。最近、血栓性血小板減少性紫斑病の事象とチエノピリジン治療の関連が報告された(Bennett,et al.,N.Engl.J.Med.342:1773−1777(2000);Bennett,et al,Ann.Intern.Med.128:541−544(1998))。
5,7−二置換−1,2,3−トリアゾロール[4,5−d]ピリミジン−3−イル−シクロペンタン及びテトラヒドロフランの誘導体が、血小板凝集疾患の治療において使用するための、血小板上のP2T−(又はP2Y12)受容体のアンタゴニストとして開示された(Coxらの米国特許第5,747,496号及び関連特許;Bonnertらの米国特許第6,297,232号;WO98/28300;BrownらのWO99/41254;WO99/05144;HardernらのWO99/05142;WO01/36438;及びGuileらのWO99/05143)。
Guileら(WO00/04021)は、治療におけるチアゾロ[4,5−d]ピリミジン化合物の使用を開示している。Brownら(米国特許第6,369,064号)は、心筋梗塞及び不安定狭心症の治療におけるトリアゾロ(4,5−b)ピリミジン化合物の使用を開示している。Dixonら(WO02/096428)は、抗血栓療法のための8−アザプリン誘導体と他の抗血栓薬との併用を開示している。Springthorpeは、強力で選択的な経口活性P2Y12受容体アンタゴニストとしてAZD6140を開示しており、これは、現在、I相臨床試験中である(Abstracts of Papers,225th ACS National Meeting,New Orleans,LA;March,2003;MEDI−016)。WO02/016381には、モノヌクレオシドポリリン酸及びジヌクレオシドポリリン酸を使用する、血小板凝集に関連した疾病又は状態の予防又は治療方法が開示されている。
血栓の予防及び治療又は他の凝集関連問題に用いることができる、血小板活性化の選択的、可逆的阻害剤が、心血管及び脳血管療法の分野並びに血液製剤の調製、精製及び保管に関する分野において、依然として必要とされている。
ステントは典型的には穴のある金属管であり、これは血管形成動脈中のバルーンにより拡張することができ、動脈壁のための堅い構造的な支持体を供する。急性冠不全症候群を伴う患者の治療のために冠動脈ステントの使用がここ数年有意に増加している。冠動脈ステントを埋め込まれた世界に200万以上の人について、医師及び研究者は現在、ステントを受けている患者に観察されるステント中の凝血の長期にわたる問題について憂慮している。
ステント再狭窄は、血管壁の内膜層中の平滑筋細胞の異常増殖(いわゆる新生内膜過形成)、及びより少ない壁在血栓が主な原因である。該分子及び細胞レベルにおいて、最初の血管損傷は冠動脈バルーンの膨張により引き起こされ、そしてステント自体の金属は、内膜の削剥をもたらし、そして該メディアと外膜を引き伸ばし、加えて、マクロファージ及び多形核好中球は共に、損傷部位に遊走し、そこでこれらはケモカインを放出する。これらのケモカインは、マトリクス・メタロプロテイナーゼの量を増加するのに役立ち、これは細胞外マトリクスのリモデリングに導き、そして平滑筋細胞遊走を刺激する。該創傷治癒反応は、血小板、成長因子及び平滑筋細胞活性化を刺激し、その後平滑筋細胞及び線維芽細胞が、該損傷領域中に遊走し、そして増殖する。平滑筋細胞はまた、細胞分裂に関係する遺伝子の発現を増加するように刺激される。これは新生内膜過形成及びステント再狭窄に導くこれらのプロセスの相互作用及び程度であり、これは組織学的検査により示されているとおり、ステントにより生じる顕著な増殖応答により特徴づけられる。ステント留置はまた、炎症性マーカー、例えば、C反応性タンパク質及びインターロイキン6の全体的なレベルを上昇する。
近年、ステントは肥大した新生内膜増殖、及びこれによる再狭窄を低下又は予防するための薬物でコーティングされている。例えば、パクリタキセル溶出ステントは、平滑筋の増殖を阻害し、そしてシロリムス溶出ステントは動脈壁の炎症応答を阻害する。これらのステントによる1つの問題は、該薬剤も狭窄動脈の拡張において破壊された内皮の再生を阻害してしまうことであり、血栓症の潜在的なリスクをもたらす。従って、これらのステントの留置は、しばしば、抗血栓剤の全身投与による治療を必要とする。
心血管及び膿血管治療の分野において、改善されたステントの必要性が存在する。
発明の要約
本発明は、血小板凝集に関連した疾病若しくは状態又は血小板の凝集により治療選択が抑制される疾病若しくは状態を予防又は治療する方法に指向する。本発明は、血栓症及び関連疾患を予防又は治療する方法に指向する。さらに、本発明は、血小板を含む血液及び血液製剤、例えば保存血、における血小板凝集を阻害する方法に指向する。
本方法は、血小板上のP2Y12受容体に有効に結合し、好ましくは可逆的な様式で結合し、それによって、血液において血小板を含む物質においてADP誘発血小板凝集応答の阻害を生じさせる、1又は複数の非ヌクレオチドP2Y12受容体アンタゴニスト化合物を含む組成物を、哺乳動物被験者に、又は血液を含むサンプル若しくは血小板を含む物質を含むサンプルに投与することを含む。本方法に有用な化合物は、一般式I、III-XII、及び/又はそれらの互変異性体、及び/又はそれらの医薬的に許容される水和物、溶媒和物及び/若しくは塩である。
本発明は、新規化合物及び医薬組成物も提供する。式I及びIII-XIIの化合物は、血小板P2Y12受容体に対する拮抗活性を有する点で有用である。
場合により、本発明の化合物は、血小板凝集疾患又は疾病の治療に有用な他の化合物と併用することができる。
本発明はまた、薬剤溶出ステントであって、ここで該ステントが、一般式Iの1又は複数の非ヌクレオチドP2Y12受容体アンタゴニスト化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、又は水和物によりコーティングされている薬剤溶出ステントを供する。該ステントが血管中に留置されると、治療的有効量のP2Y12受容体アンタゴニスト化合物が該局所環境に溶出する。該P2Y12受容体アンタゴニスト化合物溶出ステントは、血栓症及び再狭窄の予防に有用であり、そして血栓形成の阻害、血管平滑筋細胞の収縮の阻害、細胞増殖の阻害、及び炎症の低下に有用である。
発明の詳細な説明
定義
存在する場合、特にそれ以外の指示がない限り、以下の用語は、一般に、以下のとおり定義するが、以下に限定されない。
ハロ置換基は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選ばれる。
アルキル基は、直鎖又は分枝鎖いずれかの、両端の個数を含めて1から12個の炭素原子であり、さらに好ましくは両端の個数を含めて1から8個の炭素原子、最も好ましくは両端の個数を含めて1から6個の炭素原子である。
アルキレン鎖は、両端の個数を含めて2から20個の炭素原子であり、それらが属する分子への結合点を2個有し、直鎖又は分枝鎖のいずれかであり、1又は複数の二重結合及び/又は三重結合を含有し、さらに好ましくは両端の個数を含めて4から18個の原子であり、並びに最も好ましくは両端の個数を含めて6から14個の原子である。
アルケニル基は、少なくとも1つの二重結合を含有する、しかし1つより多くの二重結合を含有することもある、直鎖又は分枝鎖いずれかの、両端の個数を含めて1から12個の炭素原子である。
アルキニル基は、少なくとも1つの三重結合を含む、しかし1つより多くの三重結合を含むこともある、及び加えて、1又は複数の二重結合部分を含むこともある、直鎖又は分枝鎖いずれかの、両端の個数を含めて1から12個の炭素原子である。
「アルコキシ」は、基アルキル−O−を指し、この場合のアルキル基は、上でも定義したように任意的に上で定義されるような置換されているアルキル基を含む。
「アリール」は、単一の環(例えば、フェニル)又は複数の縮合した環(例えば、ナフチル又はアントリル)を有する、両端の個数を含めて6から14の炭素原子の不飽和芳香族炭素環基を指す。好ましいアリールは、フェニル、ナフチルなどを含む。
「アリールアルキル」は、そのアルキル部分に両端の個数を含めて1から6個の炭素原子、及びそのアリール部分に両端の個数を含めて6から10個の炭素原子を好ましくは有する、アリール−アルキル−基を指す。そのようなアリールアルキル基の例は、ベンジル及びフェネチルなどである。
「アリールアルケニル」は、そのアルケニル部分に両端の個数を含めて1から6個の炭素原子、及びそのアリール部分に両端の個数を含めて6から10個の炭素原子を好ましくは有する、アリール−アルケニル−基を指す。
「アリールアルキニル」は、そのアルキニル部分に両端の個数を含めて1から6個の炭素原子、及びそのアリール部分に両端の個数を含めて6から10個の炭素原子を好ましくは有する、アリール−アルキニル−基を指す。
「アリールオキシ」は、基 アリール−O−を指し、この場合のアリール基は、上で定義したとおりであり、上でも定義したように、任意的に置換されているアリール基を含む。
「シクロアルキル」は、1から3個のアルキル基で任意的に置換されていることがある単一の環又は複数の縮合した環を有する、両端の個数を含めて3から12個の炭素原子の環状アルキル基を指す。そのようなシクロアルキル基には、例として、単環構造、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、1−メチルシクロプロピル、2−メチルシクロペンチル、2−メチルシクロオクチルなど、又は多環構造、例えばアダマンチルなどが挙げられる。
「シクロアルケニル」は、1から3個のアルキル基で任意的に置換されていることがある単一の環又は複数の縮合した環及び少なくとも1つの内部不飽和点を有する、両端の個数を含めて4から12個の炭素原子の環状アルケニル基を指す。適するシクロアルケニル基の例としては、例えば、シクロブト−2−エニル、シクロペント−3−エニル及びシクロオクト−3−エニルなどが挙げられる。
「シクロアルキルアルキル」は、そのアルキル部分に両端の個数を含めて1から6個の炭素原子、及びそのシクロアルキル部分に両端の個数を含めて6から10個の炭素原子を好ましくは有する、シクロアルキル−アルキル−基を指す。そのようなシクロアルキルアルキル基の例は、シクロプロピルメチル及びシクロヘキシルエチルなどである。
「ヘテロアリール」は、その環内に両端の個数を含めて1から10個の炭素原子並びに酸素、窒素及び硫黄から選択される両端の個数を含めて1〜4個のヘテロ原子がある一価芳香族炭素環基を指す。そのようなヘテロアリール基は、単一の環(例えば、ピリジル又はフリル)を有することもあり、複数の縮合した環(例えば、インドリジニル又はベンゾチエニル)を有することもある。
「ヘテロアリールアルキル」は、そのアルキル部分に両端の個数を含めて1から6個の炭素原子及びそのヘテロアリール部分に両端の個数を含めて6から10個の炭素原子を好ましくは有する、ヘテロアリール−アルキル−基を指す。そのようなアリールアルキル基の例は、ピリジルメチルなどである。
「ヘテロアリールアルケニル」は、そのアルケニル部分に両端の個数を含めて1から6個の炭素原子及びそのヘテロアリール部分に両端の個数を含めて6から10個の炭素原子を好ましくは有する、ヘテロアリール−アルケニル−基を指す。
「ヘテロアリールアルキニル」は、そのアルキニル部分に両端の個数を含めて1から6個の炭素原子及びそのヘテロアリール部分に両端の個数を含めて6から10個の炭素原子を好ましくは有する、ヘテロアリール−アルキニル−基を指す。
「複素環」は、単一の環又は複数の縮合した環を有し、その環内に両端の個数を含めて1から8個の炭素原子及び窒素、硫黄又は酸素から選択される両端の個数を含めて1〜4個のヘテロ原子を有する、飽和又は不飽和基を指す。そのような複素環基は、単一の環(例えば、ピペリジニル又はテトラヒドロフリル)を有することもあり、複数の縮合した環(例えば、インドリニル、ジヒドロベンゾフラン又はキヌクリジニル)を有することもある。好ましい複素環としては、ピペリジニル、ピロリジニル及びテトラヒドロフリルが挙げられる。
複素環及びヘテロアリールの例としては、フラン、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン及びインドリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
上述の基内の水素が占める位置は、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、メトキシ、エトキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アルキル、置換アルキル、チオ、チオアルキル、アシル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、カルボキサミド、置換カルボキサミド、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニルアミノ、スルホンアミド、置換スルホンアミド、シアノ、アミノ、置換アミノ、アシルアミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、フェニル、アリール、置換アリール、ピリジル、イミダゾリル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリノ及び複素環によって例示される(しかし、これらに限定されない)置換基で、さらに置換されていることがあり、好ましいヘテロ原子は、酸素、窒素及び硫黄である。自由原子価がこれらの置換基上に存在する場合、それらは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び/又は複素環基でさらに置換されることがあり、並びに多数のそのような自由原子価が存在する場合、これらの基は、結合の直接形成により、又は新たなヘテロ原子、好ましくは酸素、窒素若しくは硫黄、への結合の形成により、連結して環を形成することがあると理解される。さらに、上記置換は、その置換基での水素の置換が、本発明の分子に許容しがたい不安定性を導入せず、別様に化学的に妥当であることを条件として成され得ると理解される。
医薬的に許容される塩は、親化合物の望ましい生物活性を保持し、且つ、望ましくない毒物作用をもたらさない塩である。医薬的に許容される塩の形態は、様々な多形、並びに酸又は塩基付加から誘導される、異なる塩の非晶質形態を包含する。酸付加塩は、無機又は有機酸を用いて形成することができる。そのような酸の実例(しかし、限定例ではない)としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ナフトエ酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、アジピン酸、乳酸、酒石酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、樟脳スルホン酸、及びエタンスルホン酸が挙げられる。医薬的に許容される塩基付加塩は、金属又は有機対イオンを用いて形成することができ、アルカリ金属塩、例えばナトリウム又はカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム又はカルシウム塩;及びアンモニウム又はテトラアルキルアンモニウム塩、すなわちNX4 +(この場合、Xは、C1-4である)が挙げられるが、これらに限定されない。
互変異性体は、隣接する二重結合の位置での転位を伴うその化合物中の1又は複数の水素原子の移動により相互変換することができる、互変異性型と呼ばれる、1又は複数の形態で存在し得る化合物である。これらの互変異性型は、互いに平衡状態にあり、この平衡の位置は、その化合物の物理的状態の正確な性質に依存する。互変異性型が可能である場合、本発明は、すべての可能な互変異性型に関すると理解される。
溶媒和物は、化合物が何らかの固定比率で医薬的に許容される補助溶媒と組み合わせられている、付加錯体である。補助溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、アセトン、メチル、エチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシラン、エチレングリコール、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ピリジン、ジオキサン及びジエチルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。水和物は、その補助溶媒が水である場合の溶媒和物である。本発明の化合物の定義は、明記する活性を有する、任意の比率での、すべての可能な水和物及び溶媒和物を包含すると理解しなければならない。
P2Y12受容体アンタゴニスト化合物
血小板凝集及び/又は血小板活性化に関連した疾病又は状態の予防又は治療に有用なP2Y12受容体アンタゴニスト化合物としては、一般式I:
Figure 2009520510
の化合物、及び/又はその互変異性体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物が挙げられ、この式中、
a及びRbは、各々、独立して、水素、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、アリール、及び飽和又は不飽和C3-6複素環からなる群(この場合、すべての環又は鎖は、1又は複数の望ましい置換基を任意的に有することがある)より選択され;又は、
aとRbが一緒に、置換を伴い又は伴わず、及び環炭素原子の代わりにヘテロ原子を伴い又は伴わず、3〜7員の環を形成し;
c=H、C1-8アルキル、C3-7シクロアルキル、アラルキル、アリール若しくは複素環、又はR(CO)−;この場合、
Rは、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アリール、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール及び飽和又は不飽和C3-6複素環からなる群(この場合、すべての環又は鎖は、1又は複数の望ましい置換基を任意的に有する)より選択され;
G=O、S又はNRd;この場合のRdは、下記のとおり定義され;
d及びRd’は、独立して、H、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、C4-11アルキルシクロアルキル、C5-11アルキルシクロアルケニル(アルキル位置に1〜4個の炭素を有する)、アラルアルキル、アラルケニル、アラルキニル、アリール、ヘテロアリール及び飽和若しくは不飽和C3-6複素環からなる群より選択され;又は
d基とRd’基が一緒に、不飽和を伴い若しくは伴わず、及び環炭素ユニットの代わりにヘテロ原子を伴い若しくは伴わず、4〜7員の環を形成し;又は
d若しくはRd’とRcが一緒に、不飽和を伴い若しくは伴わず、及び環炭素ユニットの代わりにヘテロ原子を伴い若しくは伴わず4〜7員の環を形成し;
e=O又は不存在;
f=H、ハロゲン、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、C4-11アルキルシクロアルキル、C5-11アルキルシクロアルケニル(アルキル部分に1〜4個の炭素を有する)、アリール、アラルアルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、飽和又は不飽和C3-6複素環、−OH、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、−SH、C1-6チオアルキル、チオアリール、−[(CO)OR]、−[(CO)NRR]、アミノ、−N−置換アミノ又はN,N−二置換アミノ;この場合、
fの前記N−置換アミノ基又はN,N−二置換アミノ基上の前記各置換基は、独立して、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アリール、アラルアルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、C3-6複素環、−[(CO)R]及び[(CO)NRR](この場合各Rは、独立して、上で定義したとおりである)からなる群より選択され;又は
fが、−NRR、−[NH(CO)NRR]、−[N(C1-8アルキル)(CO)NRR]、−[N(アリール)(CO)NRR]若しくは[N(アラルキル)(CO)NRR]であるとき、Rf中の前記−NRRユニット(N,N−二置換−アミノ基)のR基が一緒に、例えば、環炭素ユニットの代わりにヘテロ原子を伴い又は伴わず3〜7員の環を形成すると考えることができ;
J=N又はC、但し、
J=Nのときには、Rgが不存在であり;
J=Cのときには、
gが、−H、ハロゲン、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、アリール、−OH、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、−SH、C1-6チオアルキル、チオアリール、−[(CO)OR]、−[(CO)NRR]及び−NRR(この場合各Rは、独立して、上で定義したとおりである)からなる群より選択され;又は
gが、−[(CO)NRR]若しくは−NRRであるとき、Rg中の前記−NRRユニット(N,N−二置換−アミノ基)のR基が一緒に、例えば、環炭素ユニットの代わりにヘテロ原子を伴い又は伴わず3〜7員の環を形成し;
Dは、O、NH、N−アシル、N−アルキル又はCH2であり、この場合、Hは、任意的に置換されており;
A及びBは、各々、独立して、C、N、置換N、O、S、S(O)、SO2、−C1-3アルキレン−、−C1-3へテロアルキレンからなる群より選択され、この場合、
前記A及びBの各−C1-3アルキレン−ユニットは、独立して、飽和されていることもあり、不飽和であることもあり、並びにA又はBの−C1-3アルキレン−ユニットの各炭素は、AとBの両方を架橋していようと、又はA又はBのいずれかに結合していようと0から2個のフッ素基、0から2個のアルキル基、0から2個の−[(CO)OR]基、0から2個の−(OR)基、0から1個の(OH)基又は0から1個のシクロアルキル基で置換されていることがあり;又は
前記A及びBの−C1-3へテロアルキレンユニットは、独立して、NH、置換N、O、S、S(O)、SO2を含有し;あるいは
A及びBは、独立して、CH2、CF2、−(CO)−;−NH(CO)−、−NR(CO)−、−(CO)NH−、−(CO)NR−、−NH(CO)NH−、−NH(CS)NH−、−N(NH)NH−、−N(NR)NH−、−NH(CO)O−、−NH(CS)O−、−O(CO)NH−、−O(CS)NH−であるが、但し、−S−S−及びO−O−結合が、−A−及びB−基の組み合わせにより形成されないことを条件とし;あるいは
A及び/又はBは、不存在であり;
X=H、−OR、−COOH、−COOR、−SR、−S(O)RL、−S(O2)RL、−SO3H、−S(O2)NRR、−S(O2)NR(CO)RL、−NRR、−NR(CO)RL、−N[(CO)RL]2、−NR(SO2)RL、−NR(CO)NR(SO2)RL、−NR(SO2)NRR、又はNR(SO2)NR(CO)RL;この場合、
Lは、H、−CF3、−CF2CF3、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、C4-11アルキルシクロアルキル、C5-11アルキルシクロアルケニル(アルキル部分に1〜4個の炭素を有する)、飽和若しくは不飽和ヘテロアリール、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、飽和若しくは不飽和C3-6複素環、C1-6アルコキシ、アラルコキシ、アリールオキシ、N,N−二置換−アミノ、N−置換−アミノ、又は非置換アミノ(この場合、すべての環又は鎖は、1又は複数の望ましい置換基を任意的に有する)であるか;
Lが、N−置換−アミノ又はN,N−二置換−アミノであるとき、Lの前記アミノ基の各置換基は、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル及びC3-6複素環からなる群より選択され;
Lが、N,N−二置換−アミノであるとき、上述の基から独立して選択されるそれらの2つの置換基が一緒に3〜7員の環を形成すると考えられ(この場合、その結果として形成される環は、その環形成前の前記選択された置換基の残留特徴を有する);任意的に、A及びBの前記C1-3アルキレンユニットのいずれか又は両方の中にあるいずれか1つの炭素ユニットがその環を構成することもあるが、但し、−A−B−鎖上の1つの炭素ユニットに対して3個より少ない前記ヘテロ原子含有ユニットでの置換が行われること、前記−A−B−鎖上の1つの炭素ユニットに対するヘテロ原子含有ユニットでの置換によってそのX−A−B−鎖内に−S−S−及びO−O−結合が形成されないこと、並びに前記ヘテロ原子置換が、式Iに示すテトラヒドロフラン環に前記置換ヘテロ原子を直接連結するようには行われないことを条件とし;
X中の−NRRユニット(N,N−二置換−アミノユニット)のR基は、任意的に一緒に、環炭素ユニットの代わりにヘテロ原子を伴い又は伴わず3〜7員の環を形成すると考えることができるが;
但し、X=Hのときには、Ra又はRbのうちの少なくとも一方がHでなければならず;又は
Xは、式II:
Figure 2009520510
に与えるとおりの基であり、この式中、
6は、A−Bによって規定される部分への結合点であり;
1-X6によって規定される環は、不飽和を伴い又は伴わず環を意味すると考えられ、
1-X6は、独立して、C、N、O又はSであり;及び
1-X5のうちのいずれかが、Cである場合、(例えば、芳香族環のような)不飽和環において二重結合している場合の炭素原子は、H、又は置換基M、又は下で定義するようなCO2hを含む部分を有し;あるいは
1-X5のうちのいずれかが、Cである場合、(例えば、シクロアルキル環のような)飽和環において単結合している場合の炭素原子は、2個のH若しくは1個のH及び下で定義するようなCO2hを含む部分、又は1個のHに加えて1個の置換基M、又はHを伴わずに2個の置換基Mを有するが、但し、1又は2個のM置換基を有するいずれのそのような部分も、化学的に十分安定なものであることを条件とし;
1-X5のうちのいずれかが、飽和環におけるNである場合、その窒素原子は、H又は置換基、例えばアルキル若しくはアシルを有し;
1-X5のいずれかが、不存在である場合もあるが、但し、
1-X6によって記載される環が少なくとも3個の原子からなるように、X1-X5のうちの少なくとも2つは存在することを条件とし;
2つの隣接する原子X1-X6が、両方ともOであること及びSであることはないこと、並びに式IIに示す環が、4個より多くのヘテロ原子を含有しないこと、並びに式IIに示すペンダント−CO2hユニットが、式IIに記載されている環上の置換であることを条件とし;
p=0、1又は2;
r=0又は1;
hは、H、カルボン酸塩を形成する生理学的に適切なカチオン、アルキル、アリール又はアラルキルであり、結果として生じる部分C(O)ORhは、好ましくは、Aの結合点と隣接関係を有し;好ましくは、Rhは、H又はアルキル(例えば、エチル)であり;
Mは、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br)、−CF3、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、飽和又は不飽和C3-6複素環、−OH、シアノ、ニトロ、飽和又は不飽和C1-6アルコキシ、アラルコキシ、アリールオキシ、−SH、C1-6チオアルキル、チオアリール、−[(CO)OR’]、−[(CO)NR’R’’]、アミノ、−N−置換アミノ及びN,N−二置換アミノなどからなる群より選択され;この場合、
前記各置換基R’又はR’’は、H、カルボン酸塩を形成する生理学的に適切なカチオン(その部分が、−[(CO)OR’]である場合)、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール又はC3-6複素環からなる群より独立して選択され;並びに
y=4、但し、結果として生じる構造が、化学的に妥当であること、例えば、同じであるか異なる1つより多くの部分Mが存在できること、を条件とし;並びに
置換基Mは、CO2hを含む部分により既に占有されていない、環要素X1-X5上の利用可能なあらゆる位置を占有することができ;及びMによって又はCO2hを含む部分によって占有されていないX1-X5を含む環上のいずれの位置も、結果として生じる構造が化学的に妥当である限り、明記されていようと、なかろうと、Hであると理解される。
好ましくは、式I中のフラノシル部分は、そのフラノース環上に互いに対してシス配向で2’−及び3’−酸素基を有する。さらに、2’,3’−アセタール又はケタール基を支持するフラノシル部分は、好ましくは、リボースから誘導されるが、他のフラノース誘導体を利用することもできる。本発明の好ましい立体化学の実施形態としては、(−)−アデノシンから誘導されるアセタールにおいて見出されるような、式Iの()−リボース−(2’,3’−アセタール又はケタール)の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本方法の1つの実施形態において、式Iの化合物は、次のものからなる群より選択される:
4−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−イソフタル酸()、5−アミノ−2−{2−ベンジル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−安息香酸()、3−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−イソオキサゾール−5−カルボン酸()、4−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−安息香酸()、5−アミノ−2−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−N−ヒドロキシ−ベンズアミド()、5−アミノ−2−{2−ベンジル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−N−ヒドロキシ−ベンズアミド()、6−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチンアミド()、6−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸()、2−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸()、5−クロロ−6−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(10)、1−{9−[6−(3−ヒドロキシ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル]−9H−プリン−6−イル]−3−フェニル−尿素(11)、6−クロロ−2−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−5−フルオロ−ニコチン酸(12)、2−{2−シクロヘキシル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(13)、2−[6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ]−ニコチン酸(14)、2−{2−(3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレニル)−6−[6−(3−シクロペンチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(15)、2−{2−(4−アセチルアミノ−フェニル)−6−[6−(3−シクロペンチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(16)、2−{2−フェニル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(17)、2−{2−ビフェニル−3−イル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(18)、2−{2−ナフタレン−2−イル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(19)、2−{2−(2−ブロモ−フェニル)−6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(20)、2−{2−ベンゾ[b]チオフェン−3−イル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(21)、2−{6−[6−(3−シクロペンチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−フェネチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(22)、2−{6−[6−(3−シクロペンチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−フェネチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(23)、2−{6−[6−(3−ヘキシル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−フェニル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(24)、2−{2−ビフェニル−4−イル−6−[6−(3−ヘキシル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(25)、2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−フェニルエチニル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(26)、2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−フェネチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(27)、2−{6−[6−(3−シクロペンチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−p−トリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(28)、2−{2−(2−インダノニル)−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(29)、2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−フェニル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(30)、2−{2−tert−ブチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(31)、3−({2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−安息香酸(32)、2−ベンジル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボン酸(33)、1−{2−ベンジル−6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸(34)、1−{6−[6−(3−ベンジル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−フェニル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸(35)、1−{2−ベンジル−6−[6−(3−シクロペンチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸(36)、N−{2−ベンジル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−メタンスルホンアミド(37)、1−{6−[6−(3−シクロペンチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−フェニル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸(38)、1−{2−フェニル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸(39)、1−{2−ベンゾ[b]チオフェン−3−イル−6−[6−(3−ヘキシル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸(40)、1−{6−[6−(3−ベンジル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−ナフタレン−2−イル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸(41)、1−(2−ベンジル−6−{6−[3−(2−フェニル−シクロプロピル)−ウレイド]−プリン−9−イル}−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル)−ピロリジン−2−カルボン酸(42)、1−{2−ベンジル−6−[6−(3−ヘキシル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸(43)、1−{2−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸(44)、2−({2−ベンジル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−アミノ)−3−ヒドロキシ−プロピオン酸(45)、3−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−アクリル酸メチルエステル(46)、3−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−プロピオン酸メチルエステル(47)、3−(3−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−プロピオニルアミノ)−安息香酸(48)、1−(3−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−プロピオニル)−ピロリジン−2−カルボン酸(49)、及び3−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−プロピオン酸(50)。上の名の例示化合物は、下に描く形態であり得、又は化学的に適切な場合には、それらの医薬的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物であり得る。
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
本発明の1つの実施形態において、Ra及びRbが同一でないとき、式III-XIIの定義に属する下記構造で図示される化合物は、純粋な形態の(結果として得られる、アセタールのキラル炭素から生じる)2つの可能なジアステレオマーのうちの一方を表すか、任意の比率での2つのジアステレオマーの混合物を表す。しかし、実際問題として、図示されているような化合物は、純粋な形態のジアステレオマーを表す。ジアステレオマーは、潜在的に異なる化学的及び生物学的特性を各々が有する別個の化合物であり;従って、医薬としては純粋な形態が好ましい。加えて、2つの可能性のある異性体間の選択には、一般に、化学合成又は分離の容易さ、化学的又は生物学的安定性、毒性、生体系における薬物動態又は薬力学的特性などをはじめとする(しかし、これらに限定されない)理由がある。キラルクロマトグラフ法を用いてそのようなジアステレオマー混合物を分割することは可能であるが、単一のジアステレオマーを合成するほうが好ましい。
問題のアセタールに依存して、幾つかの方法で単一のジアステレオマーの合成を達成することができる。ある場合には、低温(例えば、0℃未満、例えば−10から−30℃)でアセタール形成反応を行うことによって、1つのジアステレオマーを他より選択的に生成させることができる。他の場合には、異なるアセタール安定性を有する2つのジアステレオマーの混合物を、安定性の低いほうのジアステレオマーは分解に至るが、安定性の高いほうのジアステレオマーはそのままである、水性酸性条件に付すことができる。一般に、化学的安定性は医薬製品にとって重要な特性であるので、分解されずに生き残る単一のジアステレオマーが好ましい。
D=0の場合、このアセタール修飾の重要な態様は、結果として生じる二環式構造(すなわち、リボースの2’及び3’炭素におけるリボース残基とアセタール環の融合から生じる二環式環構造)が、2’及び3’ヒドロキシル基が遊離している天然ヌクレオシド構造と比較して、ずっと安定であることである。結果として、遊離2’及び3’ヒドロキシルを有するヌクレオシドが典型的に受ける化学的及び生物学的分解プロセスは、一般に十分に機能を果さず、従って、化合物の安定性は改善される。高い総合化学的及び生物学的安定性は、医薬製品にとって、特に、その医薬製品が広範な化学的及び生物学的環境に付されることとなる、経口投与により送達される慢性治療用に設計された医薬製品にとって、重要な特性である。
D=Oの場合、そのアセタール修飾のもう1つの態様は、それが、P2Y12アンタゴニスト特性を、そのように修飾される分子にもたらす、及び/又は強化することである。一般に、本発明の化合物からアセタール官能基を除去すると、P2Y12での活性は実質的に減少するか、完全に無くなる。結果として、アセタール修飾によって付与されるP2Y12アンタゴニスト特性の発見は、D=Oである本発明の化合物の重要な特徴である。
D=Cの場合、結果として生じる5員炭素環は、D=Oであるリボースのフラン環より本質的に安定である。結果として、炭素環残基とアセタール環の融合の結果として生じる二環式構造の安定性は、リボース残基とアセタール環から生じるものの安定性より必然的に低くなると思われる。しかし、まさにリボース系分子のように、炭素環含有分子へのアセタール修飾も、修飾される分子のP2Y12アンタゴニスト特性を有利に強化する。
本発明の化合物が、芳香族環を有するアセタールを含有する場合、その芳香族環は、前にその性質を定義した部分で、任意的に置換されている。これらの置換基は、関心のある分子の医薬的特性を強化するように選択することができる。例えば、芳香族アセタールのフェニル環上の水素原子のフッ素での置換を行って、その化合物のビンビボ投与後のその位置での肝代謝を防止することができる。あるいは、前記フェニル環上の水素原子の塩基性又は酸性部分での置換を行って、関心のある分子の溶解度を向上させること、又は経口投与されたときその消化管から吸収される化合物の能力を強化することができる。あるいは、予測可能な様式で代謝されてインビボでその化合物の活性形態に至る、又は好ましい排泄形式を有する化学種に至るであろう部分で、前記フェニル環上の水素原子を置換することができる。芳香族アセタールのフェニル環へのこれらの修飾は、それらの置換基が、本発明の化合物の医薬的特性にポジティブな影響を及ぼすことができる方法(このことに限定されない)を説明するために与えるものである。前記化合物の医薬的特性の様々な態様を改善するために他の修飾も考えることができる。
本発明のもう1つの実施形態において、Xは、式IIの定義に属する環である。この修飾の1つの重要な態様は、本発明の効力のある化合物が、カルボン酸部分で置換されているフェニル環(X1-X6=C)、又はカルボン酸部分で置換されているピリジン環(X1=N;X2-X6=C)と定義されるXを有することである。意外にも、本発明者らは、Xによって定義される部分が、X6(A−Bによって定義される部分への結合点)に対してオルトの関係で位置するカルボン酸部分を有するフェニル又はピリジン環である化合物が、カルボン酸部分がX6に対してメタ又はパラのいずれかの関係で位置するものよりずっと効力があることを発見した。
本発明の1つの実施形態において、式Iの化合物は、式III:
Figure 2009520510
の化合物であり、この式中、
a、Rb、Rc、G、Rd、Rd’、Re、Rf、J、Rg及びRhは、式I及びIIにおいて定義したとおりであり;
1は、CH2、O、S、S(O)、SO2、NH又は置換Nであり;
Dは、O又はCH2であり;
1は、N(窒素)及びC−Mからなる群より選択され;
Mは、ハロゲン、−CF3、C1-8アルキル、シアノ、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、飽和又は不飽和C2-6複素環、−OH、飽和又は不飽和C1-6アルコキシ、アラルコキシ、アリールオキシ、−SH、C1-6チオアルキル、チオアリール、−[(CO)OR’]、−[(CO)NR’R’’]、アミノ、−N−置換アミノ、及びN,N−二置換アミノからなる群より独立して選択され;
R’及びR’’は、H、カルボン酸塩を形成する生理学的に適切なカチオン(その部分が、−[(CO)OR’]である場合)、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、又はC3-6複素環からなる群より独立して選択され;
y=0〜4、但し、結果として生じる構造が、化学的に妥当であることを条件とし;並びに
m=0〜3、但し、m=0のとき、A1及び/又はDが、CH2であることを条件とする。
1つの実施形態において、Dは、Oである。もう1つの実施形態において、Dは、CH2である。
式IIIの特に有用な化合物は、Rh=H又はアルキルである化合物である。
式IIIの好ましい化合物は、
G=A1=O;
D=O又はCH2(Oが好ましい);
a=Rc=Rd=Rf=Rg=Rh=H;
d’=C1-4アルキル又はC3-6シクロアルキル;
eが、不存在であり;
J=C;
1=C又はN;
b=トランス−フェニル、シス−フェニル、シス−ベンジル、又はトランス−スチリル;この場合、シス−又はトランス−は、リボース環の2’及び3’炭素上の水素に対する、ジオキソラン環のアセタール炭素上の水素原子の立体配置を指し、前記各フェニル環上の水素は、任意的に(例えば、フッ素により)置換されており;
M=ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、シアノ、カルボキシ又はアミノ;
y=0〜2;及び
m=1又は2
である化合物である。
式IIIの定義に属する好ましい化合物の一部は、次のものである:
Figure 2009520510
Figure 2009520510
本発明のもう1つの実施形態において、式Iの化合物は、式IV:
Figure 2009520510
の化合物であり、この式中、
a、Rb、Rc、G、D、Rd、Rd’、Re、Rf、J、M、y、Rg及びRhは、式I及びIIにおいて定義したとおりであり;
1及びq2は、0、1又は2であり;
M及びCO2h基は、独立して、及び任意的に、ピロリジン環の任意の炭素に結合しており、並びにMが、ピロリジン窒素原子(アルファ位)に結合している炭素に結合しているときには、Mは、ハロゲン、ヒドロキシル、スルフヒドリル及びアミノ基ではない。
1つの実施形態において、Dは、CH2であり、もう1つの実施形態において、Dは、Oである。
化合物の特に有用な群は、RhがH若しくはアルキルであり、y=0〜2、及び/又はMがアルキルである、式IVのものである。
式IVの好ましい化合物は、
1が、1又は2であり;
2が、0又は1であり;
G=O;
D=O又はCH2(Oが好ましい);
a=Rc=Rd=Rf=Rg=Rh=H;
eが、不存在であり;
J=C;
h=H又はエチル;
d’=C1-4アルキル又はC3-6シクロアルキル;
b=トランス−フェニル、シス−フェニル、シス−ベンジル、又はトランス−スチリル;この場合、シス−又はトランス−は、リボース環の2’及び3’炭素上の水素に対する、ジオキソラン環のアセタール炭素上の水素原子の立体配置を指し、前記各フェニル環上の水素は、任意的に(例えば、フッ素により)置換されており;
y=0〜2;及び
M=C1-4アルキル
である化合物である。
式IVの定義に属する好ましい化合物の一部は、次のものである:
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
本発明のもう1つの実施形態において、式Iの化合物は、式V:
Figure 2009520510
の化合物であり、この式中、
a、Rb、Rc、D、G、Rd、Rd’、Re、Rf、J、M、y、X1、Rg及びRhは、式I及びIIにおいて定義したとおりであり;
i及びRjは、独立して、H、F、炭素原子数1-3のアルキルであるか、結合により連結されたCH2(シクロプロピル)であり;
2は、C、O、S、S(O)、SO2又はNである(この場合、Cは、H、F、二重結合されたO、OH又はアルキルを有し、及びNは、H、アルキル又はアシルを有する)か;
2は、不存在である。
1つの実施形態において、Dは、CH2であり、もう1つの実施形態において、Dは、Oである。
式Vの好ましい化合物は、
G=O;
D=CH2又はO(Oが好ましい);
a=Rc=Rd=Rf=Rg=H;
i=Rj=H、CH3、F又はシクロプロピル;
eが、不存在であり;
h=H又はエチル;
d’=C1-4アルキル又はC3-6シクロアルキル;
2が、CH2、CH(OH)、CF2、C(O)、O、NH、N−メチル、N−アセチル、又は不存在であり;
J=C;
1=C又はN;
b=トランス−フェニル、シス−フェニル、シス−ベンジル、又はトランス−スチリル;この場合、シス−又はトランス−は、リボース環の2’及び3’炭素上の水素に対する、ジオキソラン環のアセタール炭素上の水素原子の立体配置を指し、前記各フェニル環上の水素は、任意的に(例えば、フッ素により)置換されており;
y=0〜2;及び
M=ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、シアノ又はアミノ
である化合物である。
1つの好ましい実施形態において、A2は、Oであり、及びRi=Rj=CH3、F又はシクロプロピルである。
もう1つの好ましい実施形態において、A2は、CH(OH)、CF2、C(O)であり、及びRi=Rj=Hである。
式Vの定義に属する好ましい化合物の一部は、次のものである:
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
本方法のもう1つの実施形態における化合物は、式VI:
Figure 2009520510
の化合物であり、この式中、
a、Rb、Rc、D、G、Rd、Rd’、Re、Rf、J、M、y、X1、Rg及びRhは、式I及びIIにおいて定義したとおりである。
1つの実施形態において、
Dは、Oであり、及び
3は、Cである(この場合、Cは、H又はアルキルで置換されていることがある)か;
3は、不存在であり;
iは、H又はアルキルである。
1つの実施形態において、Dは、CH2であり、もう1つの実施形態において、Dは、Oである。
式VIの好ましい化合物は、
G=O;
D=CH2又はO(Oが好ましい);
a=Rc=Rd=Re=Rf=Rg=Rh=Rj=H;
d’=C1-4アルキル又はC3-6シクロアルキル;
J=C;
3=CH2又は不存在;
1=C又はN;
b=トランス−フェニル、シス−フェニル、シス−ベンジル、又はトランス−スチリル;この場合、シス−又はトランス−は、リボース環の2’及び3’炭素上の水素に対する、ジオキソラン環のアセタール炭素上の水素原子の立体配置を指し、前記各フェニル環上の水素は、任意的に(例えば、フッ素により)置換されており;
y=0〜2;及び
M=ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、シアノ又はアミノ
である化合物である。
式VIの定義に属する好ましい化合物の一部は、次のものである:
Figure 2009520510
Figure 2009520510
本発明のもう1つの実施形態において、式Iの化合物は、式VII:
Figure 2009520510
の化合物であり、この式中、
a、Rb、Rc、D、G、Rd、Rd’、Re、Rf、J、Rg及びRhは、式I及びIIにおいて定義したとおりであり;
1及びq2は、独立して、0、1又は2であり;
2は、式Vについて前に定義したとおりである(但し、q1及び/又はq2が0であるとき、A2は、Cである)か;
2は、不存在である。
1つの実施形態において、Dは、CH2であり、もう1つの実施形態において、Dは、Oである。
式VIIの好ましい化合物は、
G=O;
D=CH2又はO(Oが好ましい);
a=Rc=Rd=Rf=Rg=H;
eは、不存在であり;
h=H又はエチル;
d’=C1-4アルキル又はC3-6シクロアルキル;
J=C;
2=CH2、O、NH、N−メチル、N−アセチル又は不存在;
1及びq2=0又は1;及び
b=トランス−フェニル、シス−フェニル、シス−ベンジル、又はトランス−スチリル;この場合、シス−又はトランス−は、リボース環の2’及び3’炭素上の水素に対する、ジオキソラン環のアセタール炭素上の水素原子の立体配置を指し、前記各フェニル環上の水素は、任意的に(例えば、フッ素により)置換されている
化合物である。
式VIIの定義に属する好ましい化合物の一部は、次のものである:
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
本発明のもう1つの実施形態において、式Iの化合物は、式VIII:
Figure 2009520510
の化合物であり、この式中、
a、Rb、Rc、D、G、Rd、Rd’、Re、Rf、J、Rg及びRhは、式I及びIIにおいて定義したとおりであり;
3は、1、2又は3であり;及び
iは、H又はアルキルである。
1つの実施形態において、Dは、CH2であり、もう1つの実施形態において、Dは、Oである。
式VIIIの好ましい化合物は、
G=O;
D=CH2又はO(Oが好ましい);
a=Rc=Rd=Rf=Rg=H;
eは、不存在であり;
h=H又はエチル;
iは、H又はメチルであり;
d’=C1-4アルキル又はC3-6シクロアルキル;
J=C;
3=1又は2;及び
b=トランス−フェニル、シス−フェニル、シス−ベンジル、又はトランス−スチリル;この場合、シス−又はトランス−は、リボース環の2’及び3’炭素上の水素に対する、ジオキソラン環のアセタール炭素上の水素原子の立体配置を指し、前記各フェニル環上の水素は、任意的に(例えば、フッ素により)置換されている
化合物である。
式VIIIの定義に属する好ましい化合物の一部は、次のものである:
Figure 2009520510
本発明のもう1つの実施形態において、式Iの化合物は、式IX:
Figure 2009520510
の化合物であり、この式中、
a、Rb、Rc、G、D、Rd、Rd’、Re、Rf、J、Rg及びRhは、式I及びIIにおいて定義したとおりであり;
4及びA6は、独立して、C、N、O又はSであるが、但し、A4は不存在である場合があり;
G’は、O又はSであり;
例えば、A4/C(G’)/A6によって記載される部分は、アミド、チオアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、ケトン又はチオケトンであり;並びに
1は、0、1又は2である。
1つの実施形態において、Dは、CH2であり、もう1つの実施形態において、Dは、Oである。
式IXの好ましい化合物は、
G=G’=O;
D=CH2又はO(Oが好ましい);
4及びA6は、独立して、C、N又はOであり;
a=Rc=Rd=Re=Rf=Rg=Rh=H;
d’=C1-4アルキル又はC3-6シクロアルキル;
J=C;
1=1;及び
b=トランス−フェニル、シス−フェニル、シス−ベンジル、又はトランス−スチリル;この場合、シス−又はトランス−は、リボース環の2’及び3’炭素上の水素に対する、ジオキソラン環のアセタール炭素上の水素原子の立体配置を指し、前記各フェニル環上の水素は、任意的に(例えば、フッ素により)置換されている
化合物である。
式IXの定義に属する好ましい化合物の一部は、次のものである:
Figure 2009520510
本発明のもう1つの実施形態において、式Iの化合物は、式X:
Figure 2009520510
の化合物であり、この式中、
a、Rb、Rc、G、D、Rd、Rd’、Re、Rf、J、M、y、X1、Rg及びRhは、式I及びIIにおいて定義したとおりであり;
G’は、O又はSであり;
6は、C、N、O、S又は不存在であり;
iは、H又はアルキルであり;
例えば、A6/C(G’)/NRiによって記載される部分は、アミド、チオアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素又はチオ尿素である。
1つの実施形態において、Dは、CH2であり、もう1つの実施形態において、Dは、Oである。
式Xの好ましい化合物は、
G=G’=O;
D=CH2又はO(Oが好ましい);
a=Rc=Rd=Rf=Rg=Rh=H;
eが、不存在であり;
i=H又はメチル;
d’=C1-4アルキル又はC3-6シクロアルキル;
J=C;
6=CH2、O、NH又は不存在;
1=C又はN;
b=トランス−フェニル、シス−フェニル、シス−ベンジル、又はトランス−スチリル;この場合、シス−又はトランス−は、リボース環の2’及び3’炭素上の水素に対する、ジオキソラン環のアセタール炭素上の水素原子の立体配置を指し、前記各フェニル環上の水素は、任意的に(例えば、フッ素により)置換されており;
y=0〜2;及び
M=ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、シアノ又はアミノ
である化合物である。
式Xの定義に属する好ましい化合物の一部は、次のものである:
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
本発明のもう1つの実施形態において、式Iの化合物は、式XI:
Figure 2009520510
の化合物であり、この式中、
a、Rb、Rc、G、D、Rd、Rd’、Re、Rf、J、M、y、Rg及びRhは、式I及びIIにおいて定義したとおりであり;
iは、H又はアルキルであり;
G’は、O又はSであり、例えば、部分C(G’)−NRiは、アミド又はチオアミドであり;及び
1は、C又はNである。
1つの実施形態において、Dは、CH2であり、もう1つの実施形態において、Dは、Oである。
式XIの好ましい化合物は、
G=G’=O;
D=CH2又はO(Oが好ましい);
a=Rc=Rd=Rf=Rg=Rh=H;
eは、不存在であり;
i=H又はメチル;
d’=C1-4アルキル又はC3-6シクロアルキル;
J=C;
1=C又はN;
b=トランス−フェニル、シス−フェニル、シス−ベンジル、又はトランス−スチリル;この場合、シス−又はトランス−は、リボース環の2’及び3’炭素上の水素に対する、ジオキソラン環のアセタール炭素上の水素原子の立体配置を指し、前記各フェニル環上の水素は、任意的に(例えば、フッ素により)置換されており;
y=0〜2;及び
M=ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、CF3、シアノ又はアミノ
である化合物である。
式XIの定義に属する好ましい化合物の一部は、次のものである:
Figure 2009520510
本発明のもう1つの実施形態において、式Iの化合物は、式XII:
Figure 2009520510
の化合物であり、この式中、
a、Rb、Rc、G、D、Rd、Rd’、Re、Rf、J、M、y、Rg及びRhは、式I及びIIにおいて定義したとおりであり;
1、X2、X3、X4、X5及びX6は、独立して、N、C、S、Oからなる群より選択されるか、不存在であり;並びに不飽和を伴い又は伴わず、原子数3-5の環を形成し;
1及びq2は、独立して、0、1又は2であり;
2は、C、O、S、S(O)、SO2又はNである(この場合、Cは、H、F、二重結合されたO、OH又はアルキルを有し、及びNは、H、アルキル又はアシルを有する)か;
2は、不存在であり;
例えば、q1及びq2=0であり、A2が不存在であるとき、X1/X2/X4/X5/X6によって記載される環は、リボースの4’位に直接結合している。
1つの実施形態において、Dは、CH2であり、もう1つの実施形態において、Dは、Oである。
式XIIの好ましい化合物は、
1=X2=X4=X5=X6=炭素(飽和シクロペンチル環);
1=X5=X6=炭素;X2及びX4が不存在である(飽和シクロプロピル環);
1=X2=X5=X6=炭素;X4=硫黄(不飽和チオフェン環);
G=O;
D=CH2又はO(Oが好ましい);
a=Rc=Rd=Rf=Rg=Rh=H;
eは、不存在であり;
J=C;
1及びq2=0又は1;
2=CH2、O、NH又は不存在;
d’=C1-4アルキル又はC3-6シクロアルキル;
b=トランス−フェニル、シス−フェニル、シス−ベンジル、又はトランス−スチリル;この場合、シス−又はトランス−は、リボース環の2’及び3’炭素上の水素に対する、ジオキソラン環のアセタール炭素上の水素原子の立体配置を指し、前記各フェニル環上の水素は、任意的に(例えば、フッ素により)置換されており;及び
y=0
である化合物である。
式XIIの定義に属する好ましい化合物の一部は、次のものである:
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
Figure 2009520510
医薬調合物
加えて、本発明は、医薬的に許容される担体及び式I、III-XIの化合物又はそれらの医薬的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を含む、新規医薬調合物を提供する。当業者は、従来の基準を用いて医薬的に許容される担体を選択することができる。
医薬的に許容される担体としては、食塩水、電解質水溶液、等張性調節剤、水性ポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリビニル、例えばポリビニルアルコール及びポビドン、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸のポリマー、例えばカルボキシポリメチレンゲル、多糖類、例えばデキストラン、及びグリコサミノグリカン、例えばヒアルロン酸ナトリウム、並びに塩、例えば塩化ナトリウム及び塩化カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の医薬調合物は、水、適切なイオン性又は非イオン性張度調節剤、適切な緩衝剤、及び式I又はIII-XIIの化合物を含む、水溶液を提供する。1つの実施形態において、本化合物は、0.005から3%w/vで存在し、その水溶液は、200-400 mOsm/kGの張度及び4-9のpHを有する。
本医薬調合物は、滅菌グレードフィルター、好ましくは0.22マイクロメートルの公称気孔径のもの、によりその調合物を濾過することによって、滅菌することができる。熱プロセス、例えばオートクレーブ処理プロセス、若しくは放射線滅菌プロセスなどの(しかし、これらに限定されない)1又は複数の滅菌法を用いる、又はパルス光を用いる最終滅菌によって、本医薬調合物を滅菌して、滅菌調合物を生じさせることもできる。1つの実施形態において、本医薬調合物は、活性成分の濃縮溶液であり;この調合物は、適切な許容される滅菌希釈剤を用いて系列希釈した後、静脈内投与することができる。
1つの実施形態において、前記張度調節剤は、例えば0.5-0.9% w/v、好ましくは0.6-0.9% w/vの量のイオン性張度調節剤、例えばNaClである。
もう1つの実施形態において、前記張度調節剤は、少なくとも2%、又は少なくとも2.5%、又は少なくとも3%で、7.5%以下の量、例えば3-5%、好ましくは3.5-5%、さらに好ましくは4.2-5% w/vの範囲の量の非イオン性張度調節剤、例えば、マンニトール、デキストロースである。
本化合物の非毒性で医薬的に許容される塩及びプロドラッグを調製するために様々な合成方法論を利用できることは、当業者には理解される。
化合物調製方法
当業者は、従来の合成方法論並びに周知の処理及び精製手順を用いて、本発明の化合物を合成することができる。以下の参考文献のリストと共に、それらに引用されている参考文献には、本発明に関連する多数の中間体及び化合物の合成に利用されている一般的な手順が開示されている:Baraldi,et al.,Journal of Medicinal Chemistry,39(3):802−806(1996);Camaioni,et al,Bioorganic &Medicinal Chemistry,5(12):2267−2275(1997);Zablocki,et al,PCT国際公報番号WO01/40243;Zablocki,et al,PCT国際公報番号WO01/40246;Mantell,et al,PCT国際公報番号WO01/94368;Jacobson,et al,Journal of Medicinal Chemistry,38(10):1720−1735(1995);Cristalli,et al,Journal of Medicinal Chemistry,38(9):1462−1472(1995);Secrist,III and Talekar,Nucleosides &Nucleotides,9(4):619−27(1990);Secrist,III,米国特許第4,794,174号(1988);Lyga and Secrist,III,Journal of Organic Chemistry,48(12):1982−1988(1983);Dixon,et al.,PCT国際公報番号WO02/096248;Hardern,et al.,PCT国際公報番号WO01/36438;Guile et al.,PCT国際公報番号WO00/04021;Lee,et al,Bioorganic &Medicinal Chemistrイルetters,13(6):1087−1092(2003);Cox,et. al.,米国特許第5,747,496号(1998)。
多くの場合、本発明の化合物の合成には市販の出発原料を使用することができる。市販されていない場合、市販の化合物及び誘導体の段階的修飾によって有用な出発原料を得ることができ、又は当分野において公知である文献に記載される方法を用いて、より単純な前駆体からそれらを合成することもできる。加えて、本発明の化合物は、図式1-12に示す一般的な方法又はそれらの変形を用いて合成することができる。
市販の材料としては、次のものを挙げることができる:アデノシン、α−アデノシン、2’,3’−イソプロピリジンアデノシン、5’−アセチル−2’,3’−イソプロピリジンアデノシン、N6−(2−イソペンテニル)アデノシン、2−クロロアデノシン、2−アミノ−6−クロロプリンリボシド、6−クロロプリンリボシド、イノシン、8−ブロモグアノシン、8−ブロモアデノシン、8−アジドアデノシン、8−アザグアニン、8−アザアデニン、保護リボン酸ラクトン誘導体及び保護フラノース誘導体。他の適切な中間体を、市場の供給業者から購入し、本発明の化合物の出発原料として使用することができ、又は化学文献に記載されているとおり合成することができる。
上で開示したように、市販の化合物又はそれらの誘導体は、図式1-13の方法のための出発原料として利用することができる。
図式1.求核芳香族置換による5’−修飾エーテルの調製
Figure 2009520510
図式1は、例えば、適切に置換されたハロゲン化芳香族化合物又は関連ヘテロ芳香族誘導体上のハロゲンを適切に官能化されたアデノシン類似体又は8−アザプリン誘導体で置換することによる、5’−アリール−又は5’−ヘテロアリール−エーテル誘導体の有用な合成方法を開示する。図式1における未定義の基は、式Iにおけるとおり定義される。図式1における芳香族−/ヘテロ芳香族−基のMでの好ましい置換基は、水素、又はハロゲン、又はカルボン酸誘導体を含有する基、例えば−CO23であるが、ハロゲン、又はアルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、−O−(アルキルカルボン酸)及びNR−(アルキルカルボン酸)などのエステル又はアミドである場合もある。図式1におけるMがハロゲンであるとき、好ましいハロゲンは、クロロ及びフルオロである。
図式2.フェノールのミツノブ(Mitsunobu)カップリングによる5’−修飾エーテルの調製
Figure 2009520510
図式2に提供するように、5’−置換アリール誘導体は、アデノシンの誘導体、8−アザアデノシン、グアノシン、8−アザグアノシンなどへのフェノールのミツノブカップリング(Mitsunobu,Synthesis 1−28(1981);Brown,et al.,J.Med.Chem.37(5),674−88 (1994);Santosh and Balasubramanian,Synthetic Communications,24(8),1049−62(1994))によって、調製することもできる。図式2における基は、式Iにおいて定義されているとおりである。図式2における芳香族/ヘテロ芳香族−基のMでの一部の好ましい置換基は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリール又はカルボン酸誘導体を含有する基、例えば−CO23であり得るが、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、−O−(アルキルカルボン酸)及びNR−(アルキルカルボン酸)などのエステル又はアミドも含まれる。図式2におけるMがハロゲンであるとき、好ましいハロゲンは、クロロ及びフルオロである。
図式3.イソオキサゾール誘導体のミツノブカップリングによる5’−修飾イソオキサゾールエーテルの調製
Figure 2009520510
あるいは、図式3に提供するように、ヒドロキシイソオキサゾールを使用してミツノブカップリングを行うことができる。図式3における基は、式Iにおけるとおり定義される。
図式3のイソオキサゾール誘導体のMにおける好ましい置換基の一部の例としては、独立して、水素、アルコキシ若しくはハロゲン、又はカルボン酸誘導体を含有する基、例えば−CO23が挙げられるが、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、−O−(アルキルカルボン酸)及びNR−(アルキルカルボン酸)などのエステル又はアミドも含まれる。図式3におけるMがハロゲンあるとき、好ましいハロゲンは、クロロ及びフルオロである。
図式1、2又は3のうちのいずれかの生成物が、エステルを含むとき、前記エステルは、本発明に有用であり得る。前記エステル誘導体は、当分野において周知である方法論によって、例えば順相若しくは逆相クロマトグラフィーによって、又は適する環境で、結晶化技法を用いて、精製することができる。あるいは、前記エステル誘導体は、当分野において周知の方法による他の誘導体、例えばアミド、ヒドロキサム酸及び異なるアルキルエステル、の合成において、使用することができる。
場合により、前記エステルは、塩基性条件下で加水分解することができ、又はケタール若しくはアセタールの存在下でエステルを選択的に分解して酸塩を生じさせる当分野では公知の他の方法を用いて、分解することができる。これらの塩も本発明において有用である。
所望される場合、前記酸塩は、緩酸処理により酸に転化させることができる。一般的な技法による処理及び当分野では周知の方法による精製(結晶化又はクロマトグラフィーによる精製を含む)を用いて、精製された酸を得ることができる。前記の酸は、化学合成の当業者には公知である方法によって、他の有用な誘導体、例えばアミド、ヒドロキサム酸、アリールエステルなどに転化させることもできる。これらの酸誘導体も本発明において有用であり、及びまた、結晶化又はクロマトグラフィーなどの周知の方法を用いて精製することができる。
図式4.固相法を用いる新規アセタール及びケタール誘導体への2’,3’−アセタール及びケタールの変換
Figure 2009520510
固相合成法を用いて、一般的な中間体を使用する多様性を、式Iに包含される化合物の2’,3’−アセタール又はケタール位置へ並びに式Iの化合物のN6−位で導入することができる。図式4及び5は、式Iの化合物のポリマー結合型関連物質を用いるケタール基転位手順を例示するものである。これらの方法を用いて、ある種の2’,3’−ケタール又はアセタールを、他の有用なアデノシン、グアノシン、8−アザアデノシンなどの2’,3’−ケタール又はアセタール誘導体に変換することができる。これらのポリマー結合アプローチは、所望の反応が完了した後、1回から数回の溶媒洗浄を用いて過剰な試薬を洗い流すことができるため、非常に有用である。所望の材料は、適切な条件を用いて固相から切断されるまで、精製前の形態で樹脂に結合したままである。その後、クロマトグラフィー又は結晶化のような従来の技法により、所望の生成物の最終精製を果す。
図式5.固相法を用いる、6−尿素、6−チオ尿素及び6−グアニジンへの6−クロロ誘導体の変換;新規アセタール及びケタールへの2’,3’−アセタール又は−ケタールの(所望される場合の)その後の転化
Figure 2009520510
図式5は、式Iの樹脂結合材料を利用する化合物の調製のもう1つの変形を示す。これは、6位での官能基の導入に、並びに所望される場合には2’,3’位でのケタール基転位に有用である固相手順を概説する。これらの固相アプローチに用いられる化学手順は、アデノシン、グアノシン、8−アザアデノシンなど、誘導体の合成を含む溶液相化学変換のための公知であり使用されている方法に類似したものであることに、留意しなければならない。主な違いは、樹脂への出発原料の結合を必要とすること、溶液相法(クロマトグラフィー、結晶化など)と比較して樹脂に基づく精製技術(相溶性溶媒による濾過及び洗浄)が容易であること、並びに本発明の化合物又は本発明の化合物の合成に有用な中間体の樹脂からの切断が、そのように切断される化合物の最終精製及び/又は使用前に必要であることである。
図式5では、初期中間体、例えば6−クロロアデノシン−2’,3’−ケタール若しくはアセタール誘導体、又は6−クロロ−8−アザ−アデノシン−2’,3’−ケタール若しくはアセタール誘導体は、β−チオエタノールリンカーによりポリスチレン樹脂などの樹脂(例えば、ヒドロキシエチルスルファニルメチルポリスチレン;HESMポリスチレン樹脂;Garcia−Echeverria,Tetrahedron Lett.,38,8933−7(1997))に結合される。ジメチルホルムアミド(DMF)のような有用な溶媒での濾過及びすすぎによる処理の後、その樹脂結合材料を第一アミン、アンモニア又はヒドロキシルアミン誘導体で処理して、その6−塩化物の置換によりアミノ基を導入する。溶液相法での場合、N6でのウレイド基、チオウレイド基又はグアニジノ基のその後の導入は、過剰な適切なイソシアネート、イソチオシアネート、カルボジイミド、塩化カルバモイル若しくは2−アルキル−2−チオプソイド尿素を使用して、又はそのような材料の化学的等価物を使用して、1段階で行うことができる。あるいは、2段階アプローチを用いて、N6に基を導入することができ、このアプローチは、図式5におけるとおり合成した適切な6−アミノ誘導体を、反応を可能にする温度で、適する溶媒、例えばジクロロメタン又はトルエン中の、小過剰のホスゲン又はチオホスゲン及び第三アミン、例えばジイソプロピルエチルアミン、の溶液で処理すること、その後、過剰な第一又は第二アミンで処理して、処理後、樹脂結合尿素又はチオ尿素を得ることを含む。所望される場合、図式4に示したものに類似した方法で、図式5の結合基質に対してケタール基転位を行うことができる。又は、6−クロロアデノシン、6−クロログアノシン、6−クロロ−8−アザアデノシンなど、誘導体の所望のアセタール又はケタール部分を初めに用いる場合には、ケタール基転位は必要ではない。図式5においてHESMポリスチレン樹脂について示してあるように、固相のβ−チオエタノールリンカーからの切断は、2段階で行う:ジクロロメタンなどの溶媒中のm−クロロ過安息香酸などの酸化剤を使用するチオエーテル−リンカーの酸化によりスルホン−リンカーが得られ、そしてジクロロメタンなどの溶媒中、DBUなどの強塩基で処理すると、その酸化されたリンカーからのβ−エーテル部分の切断が発生し、当分野において公知である技法によって精製することができる化合物が得られる。好ましい酸化剤としては、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、及び過酢酸のような、過酸、が挙げられるが、過酸化水素、過マンガン酸塩又は過硫酸塩のような他の酸化剤を使用して、チオエーテルをスルホンに酸化することもできる。好ましい除去条件としては、ジクロロメタン中のDBU、及びトリフルオロエタノール中の10%水酸化アンモニウムが挙げられる。
固相から切断した後、図式5における手順を用いて形成された化合物は、本発明に使用することができ、又は周知の官能基変換法によってさらに修飾して、本発明に有用な新規化合物を生じさせることができる。
図式4及び5に示すケタール基転位法において有用な、好ましいアルデヒド、アルデヒドアセタール及びケトンケタールは、次の述べるもののカルボニル化合物及び/又は誘導体を含む:ベンズアルデヒド、ビフェニル−3−カルボキシアルデヒド、ビフェニル−4−カルボキシアルデヒド、ビフェニル−4−イル−アセトアルデヒド、2−ブロモベンズアルデヒド、ベンゾ[b]チオフェン−3−カルバルデヒド、シクロヘキサンカルバルデヒド、シクロペンタンカルバルデヒド、2,5−ジメチルベンズアルデヒド、2,6−ジフルオロベンズアルデヒド、2−フルオロベンズアルデヒド、ナフタレン−2−カルバルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピナール、3−フェニルプロペナール、3−フェニルプロピオンアルデヒド、2−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−エチルシクロヘキサノン、3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オン、及びインダン−2−オン。上記ケトンのケタール基転位に有用な誘導体は、ジメトキシ−又はジエトキシ−ケタールなどのようなケタールを含む。
図式5に提供したような固相法を用いるC6位でのアミンの導入に加えて、溶液相法を用いて6−ハロゲン化プリン誘導体の仲介によりアデノシン、8−アザアデノシン、グアノシンなど、類似体の6位に多様性を導入することもできる。図式6は、プリン/8−アザプリン環の6位にアンモニア、様々なアミン又はヒドロキシルアミン誘導体を、そのような材料による塩化物脱離基(図式5及び6には6−塩化物が示されているが、C6での脱離基は、そのような変換に有用な別のタイプのもの、例えば6−臭化物又は6−メシレート部分、であってもよい)の置換によって導入する、5’−イソオキサゾールエーテルの調製を例示する。これらの図式のために考慮されるような6−ハロゲン中間体の置換に有用なアミン及びアミン様化合物は、アンモニア、メチルアミン及び他のN−アルキルアミン;N−アラルキルアミン;N−シクロプロピルアミン及び他のN−シクロアルキルアミン;アニリン;ヒドロキシルアミンのエーテル及び他のO−誘導体;アミノピリジン及び他のヘテロ芳香族アミン;ペンダント−NHRc−基を有する複素環式化合物;並びにO、NR及び/又はSのような、アルキル鎖内の炭素ユニットを置換した1又は複数のヘテロ原子ユニット、を有するN−アルキルアミンを含む。そのようなN6−生成物は、文献に記載される方法によって、又は図式5及び6におけるような変換について開示されている方法によって、尿素、チオ尿素又はグアニジンにさらに変換することができる。これらの材料は、文献において一般に用いられている方法によって、例えばクロマトグラフィーによって、又は一定の場合には結晶化によって、精製することができる。N6における好ましい置換基は、尿素である。
図式6.ミツノブ反応、6−塩化物置換及びN6−アミン誘導体化による5’−ヘテロ芳香族エーテル−N6−誘導体の溶液相合成
Figure 2009520510
図式6に提供するようなイソオキサゾール誘導体のMが、エステル基[例えば、−C(CO)O−(アルキル)、−C(CO)O−(アリール)、−(CH2mC(CO)O−(アルキル)、−O(CH2mC(CO)O−(アリール)−など(この場合の「m」は、式Iの化合物の炭素鎖長を定義する)]を含有するとき、前記エステルは、本発明に使用することができ、又はN6におけるアセタール若しくはケタール部分及び所望の基に適合している方法を用いて酸に転化させることができる。例えば、ジオキサン及び/又はメタノールに溶解した2M水酸化リチウム水溶液を過剰に使用して、数時間、室温(RT)で図式6のエステルを加水分解して、カルボン酸塩を得ることができる。前記塩又は前記塩の対応する酸の精製は、以前に開示されているとおり遂行することができる。これらの酸及び酸誘導体も本発明に有用である。図式6は、C6での脱離基(例えば、塩化物)の置換における求核試薬の選択肢としてのアンモニア及び第一アミン(ヒドロキシルアミン誘導体を含む)の使用を例示する。−[(CG)NRdd’]−基での図式6の化合物のN6−基のさらなる修飾により、本発明に有用な化合物が得られる。
図式7.2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン−5’−カルボン酸、関連アセタール及びケタールの合成、並びに本発明の化合物の合成のための中間体としてのそれらの使用
Figure 2009520510
2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン−5’−カルボン酸並びに関連アセタール及びケタールは、様々なアミド及びスルホンアミド誘導体の調製のための有用な中間体である。このタイプの中間体は、図式7に提供するように、アデノシン又は関連プリン誘導体の5’位、2’,3’−アセタール/ケタール位及び6位に様々な置換基を有する化合物を調製するために、溶液相合成図式と固相合成図式の両方において使用することができる。図式7に示す方法は、置換プリン誘導体及び/又は8−アザプリン誘導体の調製にも有用である。
図式7に示すアデノシン5’−カルボン酸ユニットを含有する化合物、又は関連N6−置換−アデノシン−5’−カルボン酸及び8−アザアデノシン−5’カルボン酸は、文献に記載される方法を用いる本発明に有用なエステル又は他の材料の合成にも使用することができる。加えて、そのような酸のN6−アミンは、尿素、チオ尿素若しくはグアニジンに、又は保護基、例えばベンズアミド、に変換することができ、並びにペプチド文献及び/又は固相有機合成文献において周知の技法を用いて、フラノース誘導体の5’位にある又は5’位に結合している酸部分を、固相樹脂、例えば4−スルファミルブチリル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂又はPEG化ヒドロキシ樹脂など、にカップリングさせて、樹脂結合型材料を得ることができる。図式4及び5に示すものに類似したケタール基転位法により樹脂結合型材料の修飾には、固相化学が有利であり得る。こうした酸のN6位に保護基を用いる場合、ケタール基転位手順後にそれを除去することができ、そのようにして形成されるN6−アミンは、本明細書に開示する方法によって、又は文献における方法によって、尿素、チオ尿素又はグアニジンに転化させることができる。その後、公知の方法を用いて固体支持体から切断することにより本発明の化合物が得られ、必要な場合には、一般に用いられている技法を利用することによりそれを精製することができる。
図式8.アデノシン誘導体のN6−修飾、その後の5’−カルボン酸への酸化、及び5’−アミド形成
Figure 2009520510
アデノシン誘導体又は8−アザアデノシン誘導体の5’位を酸化する前にN6に基を導入するために有用である、図式7に開示する方法の変形を、図式8に示す。図式8にはアデニンユニットが示されているが、図式8の方法が、アデニンファミリの置換メンバーに、及び8−アザアデニンにも一般に適用可能であることは、化学に従事する者には理解される。
図式7及び8に示す5’−アミド形成反応のために好ましいアミン及びアミン誘導体は、トリフルオロメタンスルホンアミド、メタンスルホンアミド、セリン、グリシン、プロリン、アントラニル酸及びその位置異性体、並びにアントラニル酸メチル及びその位置異性体である。
図式9.固相法を用いる5’−アデノシンカルボン酸誘導体及び8−アザアデノシン−5’−カルボン酸誘導体のアミノ酸アミド
Figure 2009520510
5’−カルボン酸のアミド誘導体(例えば、図式7及び図式8に示すもの)又は式Iの5’位に連結している酸部分のアミド誘導体は、アミノ酸、ペプチド及びアミノアルコールなどから誘導されるアミドも含み得る。天然並びに合成誘導アミノ酸及びペプチド又は誘導体を5’−カルボン酸又は関連同族体に結合させる適便な方法を、アミノ酸、プロリンを使用して図式9に例示する。
固相としてポリスチレン/HESMなどの樹脂とリンカーの組み合わせを利用する方法の一例を図式9に示す。この方法には当分野において公知である他の固相/リンカーを用いることもできる。固相合成に関する技術分野では周知の方法による、1つのアミノ酸(例えば、示されているようなプロリン)若しくは一連のアミノ酸、又はペプチドなどの基の結合によって、樹脂結合型アミンが得られる。その後、前記アミンをアデノシン5’−カルボン酸と、又は本発明の化合物の製造に有用な他のタイプの誘導体と反応させて、カップリングされた生成物を生じさせる。前記カップリングされた生成物は、それが6位にアミンを有する場合には、前に説明した様々な試薬のうちの1つで、又は文献において公知の試薬で処理して、アデノシンの6位に尿素、チオ尿素又はグアニジンを生じさせることができる。あるいは、固相へのカップリングに使用される5’−カルボン酸誘導体の6位に尿素などが既に取り付けられている場合には、先程述べたN6における修飾を行う必要はない。所望される場合には、図式4及び5について説明したような固相法を用いて、カップリングされている5’−アミド/N6−誘導体化生成物を様々な異なるアセタール又はケタールに転化させることができる。合成が完了したら、当分野では公知である様々な方法によって、固相からの本発明の化合物の切断を行うことができ、そのような切断条件は、使用されるリンカーのタイプに依存する。5’−結合アデノシン化合物のペプチド−又はアミノ酸誘導体の切断に有用な切断方法論は、図式5及び9に与えたリンカー酸化/除去手順;図式6において説明したエステル加水分解のためのもののような条件を使用する、水酸化物源、例えば水酸化リチウム、での処理;及び図式4において説明したような、トリメチルシラノール酸カリウムを使用する加水分解;並びに当分野では公知の他の方法論(アミドを形成するためのアミノ分解を含む)を含む。所望される場合には、本発明に有用な化合物は、樹脂からそれを切断し、前に説明したとおりそれを精製することによって、精製された形態で得ることができる。
図式10.ヌクレオシド及び8−アザヌクレオシドの5’−アミン及び5’−アミン誘導体の合成
Figure 2009520510
もう1つの実施形態において、アデノシン若しくは8−アザアデノシン類似体の5’位に、又はそのような材料の5’−同族体の鎖に、アミノ基を取り付けることができる。このアミンを利用して、アミド誘導体、スルホンアミド誘導体又は他の誘導体を形成することができる。図式10は、5’−アミンを使用して5’位で、又は同族のアミン誘導体上の関連位置で、スルホニル尿素を合成する方法を図示する。加えて、同族体5’位又は5’鎖に導入されたアミンは、そのようなプロセスについての、当分野では公知の方法を用いる、アミド、尿素、スルホンアミド及び他のアミン誘導体の合成にも有用である。
図式11.酸化、ウィッティヒ(Wittig)又はホーナー(Horner)−エモンズ(Emmons)反応、還元、及びアミンとのカップリングを含む、アデノシン誘導体の同族体化
Figure 2009520510
さらにもう1つの実施形態において、ヌクレオシド誘導体又は8−アザヌクレオシド誘導体の5’位を1又は複数の炭素原子で同族体化して、テトラヒドロフラン環の原子と同族体化された基の間の距離が異なる化合物を生じさせる。図式11は、本発明に有用である種類の同族体化アデノシン類似体の調製を例示する。又は、所望される場合には、そのような同族体を、その後、アミノ酸とカップリングさせて、本発明に有用な他の化合物を得ることができる。図式11では、プロリンを使用してアミドカップリングを例示しているが、他のアミン又はアミノ酸誘導体を利用することもできる。図式12では、本発明に有用な不飽和同族体を生成する図式11の還元段階が、削除されている。
図式12.5’−置換エーテルの調製
Figure 2009520510
図式12は、例えば、適切に置換されたハロゲン化アリール、アルキル若しくはアルキルアリール化合物又は関連へテロ芳香族誘導体を用いるハロゲン化されたものでの適切に官能化されたアデノシン類似体又は8−アザプリン誘導体の置換による、プリン又は8−アザプリンカルボン酸ヌクレオシドアセタールからのアリール−又はヘテロアリール−ヌクレオシドエーテルの有用な合成方法を開示する。図式12における芳香族基/へテロ芳香族基のMにおける好ましい置換基は、独立して、水素、又はハロゲン、又はカルボン酸誘導体を含有する基、例えば−CO23であるが、ハロゲン、又はアルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、−O−(アルキルカルボン酸)及びNR−(アルキルカルボン酸)などのエステル若しくはアミドである場合もある。図式1におけるMが、ハロゲンであるとき、好ましいハロゲンは、クロロ及びフルオロである。
図式12に開示する方法は、広範なハロゲン化アルキル又はアラルキルに拡大することもでき、従って、この方法は、5’置換エーテルの一般的な調製に有用な方法となる。
図式13.2,3−アセタール及びケタールの調製
Figure 2009520510
一般的な中間体を用いる多様性を、式Iに包含される化合物の2,3−アセタール又はケタール位に(図式14)、並びに式Iの化合物のN6位に導入することができる。その後、クロマトグラフィー又は結晶化などの従来の技法により、所望の生成物の最終精製を遂行する。
図式2に示したケタール基転位法に有用なアルデヒドアセタール及びケトンケタールは、次の述べるもののカルボニル化合物及び/又は誘導体を含む:ベンズアルデヒド、ビフェニル−3−カルボキシアルデヒド、ビフェニル−4−カルボキシアルデヒド、ビフェニル−4−イル−アセトアルデヒド、2−ブロモベンズアルデヒド、ベンゾ[b]チオフェン−3−カルバルデヒド、シクロヘキサンカルバルデヒド、シクロペンタンカルバルデヒド、2,5−ジメチルベンズアルデヒド、2,6−ジフルオロベンズアルデヒド、2−フルオロベンズアルデヒド、ナフタレン−2−カルバルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピナール、3−フェニルプロペナール、3−フェニルプロピオンアルデヒド、2−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−エチルシクロヘキサノン、3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オン、及びインダン−2−オン。
上の図式に示したように、及び後続の実施例によって実証するように、出発原料が様々であり得ること、及び追加の段階を利用して、本発明により包含される化合物を生成させることができることは、当業者には理解される。任意的に、上述の変換のうちの幾つかを達成するために、一定の反応性官能基の保護を必要とすることがある。一般に、そのような保護基についての必要性並びにそのような基の結合及び除去に必要な条件は、当業者には明らかである。
P2Y12受容体アンタゴニスト化合物の使用
本発明は、血小板凝集及び/又は血小板活性化に関連した疾病又は状態の予防又は治療方法を提供する。本発明は、血小板の凝集に又は血小板凝集の不可逆的阻害によって引き起こされる治療問題又は限定された治療選択肢を解決するための方法も提供する。
本発明は、血栓症及び関連疾患、例えば静脈血栓症、定着した末梢動脈疾患、血栓性静脈炎、動脈塞栓症、冠動脈及び脳動脈血栓症、不安定狭心症、心筋梗塞、脳卒中、脳塞栓症、腎塞栓症、肺塞栓症、並びに処置的又は外科的介入(しかし、これらに限定されない)によって生じる他の塞栓症又は血栓症に関連した苦痛、の予防又は治療方法を提供する。さらに、本発明は、経皮的冠動脈介入、冠動脈ステントの留置、冠動脈形成術、冠動脈内膜剥離術、頚動脈内膜剥離術中の塞栓症若しくは血栓症、又はアテローム硬化症、炎症、人工デバイスへの血液の暴露、薬物作用に関連した血小板凝集合併症に起因する塞栓症若しくは血栓症の予防方法を提供する。
さらに、本発明は、血小板を含む血液及び血液製剤、例えば保存血、における血小板凝集を阻害する方法を提供する。
本方法は、有効量のP2Y12受容体アンタゴニスト化合物を含む組成物を被験者又は血液及び血液製剤に投与することを含み、前記量は、血小板上のP2Y12受容体に結合し、血小板凝集を好ましくは可逆的な様式で阻害するために有効である。
さらに、本発明は、特に、経皮的冠動脈介入、ステント留置、バルーン血管形成術、冠動脈アテローム切除術、冠動脈内膜剥離術、頚動脈内膜剥離術、血栓溶解療法、冠動脈又は他の血管移植術、透析などのような処置を受けている患者において、血小板凝集を可逆的な様式で阻害する、有用な患者治療方法を提供する。このような患者において、必要に応じて血小板凝集阻害を急速に(経口投与については数時間以内に、及び静脈内投与については数分以内に)逆行させることができることが重要である。本方法は、(a)血小板凝集阻害の急速な逆行が必要な患者を用意する段階;(b)その患者に治療有効量の式I、III-XIIの化合物を投与する段階:(c)経皮的冠動脈介入、ステント留置、バルーン血管形成術、冠動脈アテローム切除術、冠動脈内膜剥離術、頚動脈内膜剥離術、血栓溶解療法、冠動脈又は他の血管移植術及び透析からなる群より選択される処置をその患者に受けさせる段階;(d)患者への前記化合物の投与を中止する段階;及び(e)その患者の血液中の前記化合物の量を治療有効量より下に減少させる段階を含む。段階(b)における化合物の投与は、患者の血液に治療有効量の化合物が供給されるのであれば、継続的であってもよいし、間欠的であってもよい。患者の血液中の化合物の量をモニターする。
一般式I、III-XIIの化合物は、その血小板膜受容体、P2Y12受容体、に対するADPの作用のアンタゴニストである。一般式Iの化合物は、治療に、特に、血小板凝集の予防又は治療に、有用である。これらの化合物は、ADPがその血小板受容体部位で作用することを遮断する、従って、血小板凝集を予防するそれらの能力により、抗血栓薬としての効能を提供する。これらの化合物は、アスピリンより効能の高い抗血栓効果を提供するが、出血に対する効果はフィブリノゲン受容体のアンタゴニストよりずっと低い。
本発明のP2Y12受容体アンタゴニストは、現在入手可能な市販製品クロピドグレル(PLAVIX(登録商標))及びチクロピジン(TICLID(登録商標))とは対称的に、可逆的な様式でP2Y12受容体に結合し、そのため、本発明において説明する化合物での治療効果は、治療の単純な中止により逆行し、必要に応じて血小板の止血機能性を回復させる。血小板は、新たなタンパク質を合成する能力がない無核細胞粒子であるので、不可逆的P2Y12アンタゴニストでの被験者の治療は、血小板の寿命を(約8から10日)持続させる血小板機能を損なわせる。クロピドグレルなどの不可逆的P2Y12アンタゴニストの使用は、心臓手術後、失血、輸血の必要性及び再手術率の増加を随伴した(Kapetanakis,et al.,Eur Heart J.26:576−83,2005)。これらの合併症を回避するために、選択的手術を受ける被験者は、その手術の前に少なくとも5日間、不可逆的アンタゴニストでの治療を中止する必要があり、これは、この期間の間の血栓性事象のリスクを増加させる。従って、本発明において説明する化合物は、現在市販されている化合物に勝る利点を提供する。
ADP誘発血小板凝集は、P2Y12受容体とP2Y1受容体、両方の同時活性化によって媒介される。従って、血小板P2Y1受容体のアンタゴニストと式Iの化合物の併用投与は、他の系において各受容体を遮断するために有効な濃度より低い各アンタゴニストの濃度で、より効能の高い抗血栓効果をもたらすことができ、その結果、潜在的な有害作用発現を減少させることができる。加えて、これらの化合物を、より低い用量の、異なるメカニズムによって作用する他の血小板凝集阻害剤と併用して、前記薬剤の起こり得る副作用を低減することができる。
本発明の化合物は、抗血栓薬として有用であり、従って、不安定狭心症、冠動脈形成術(PTCA)及び心筋梗塞の治療又は予防に有用である。
本発明の化合物は、アテローム硬化症の一次動脈血栓性合併症、例えば血栓性脳卒中、末梢血管疾患、及び血栓を伴わない心筋梗塞の治療又は予防に有用である。
本発明の化合物は、アテローム硬化性疾患への介入、例えば血管形成術、内膜剥離術、ステント留置、冠動脈及び他の血管移植術、に起因する動脈血栓性合併症の治療又は予防に有用である。
本発明の化合物は、外科的又は機械的損傷、例えば、外科的若しくは偶発的外傷後の組織サルベージ、皮弁を含む再建手術、及び乳房縮小などの「縮小」手術、の血栓性合併症の治療又は予防に有用である。
本発明の化合物は、一時的血小板機能不全を生じさせる、例えば心肺バイパスによって引き起こされる、機械的に誘発されるインビボでの血小板活性化の予防(微小血栓塞栓症の予防)に有用である。本発明の化合物は、機械的に誘発されるインビトロでの血小板活性化の予防にも有用である。例えば、本化合物は、血液製剤、例えば血小板濃縮物、の保存、シャント閉塞、例えば腎透析及び血漿瀉血の予防、並びに血管損傷/炎症に続発する血栓症、例えば脈管炎、動脈炎、腎炎又は臓器移植片拒絶反応、の予防に有用である。
本発明の化合物は、広汎性血栓性/血小板消費要素を伴う疾患は、例えば、汎発性血管内凝固、血栓性血小板減少性紫斑病、溶血尿毒症症候群、ヘパリン起因性血小板減少症又は子癇前症/子癇に有用である。
本発明の化合物は、静脈血栓症、例えば深在静脈血栓症、静脈閉塞性疾患、血液学的状態、例えば血小板血症及び赤血球増加症、並びに偏頭痛、の治療又は予防に有用である。
本発明の化合物は、アテローム硬化症及び動脈硬化症の病理学的影響、急性MI、慢性安定狭心症、不安定狭心症、一過性脳虚血発作及び脳卒中、末梢血管疾患、動脈血栓症、子癇前症、塞栓症、血管形成術、頚動脈内膜剥離術及び血管移植片吻合術後の再狭窄又は急性閉塞を緩和するために哺乳動物を治療する際に有用である。
本発明の化合物は、慢性又は急性の高凝集性状態の治療、例えば、汎発性血管内凝固(DIC)、敗血症、手術若しくは感染ショック、術後の外傷及び分娩後の外傷、心肺バイパス手術、不適合輸血、常位胎盤早期剥離、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、蛇毒並びに免疫疾患(こうした治療に応答する可能性が高いもの)の治療、に有用である。
本発明の化合物は、人工デバイスと血液の接触によって生じる血小板活性化及び/又は凝集に関連した疾病又は状態の治療に有用である。1つの実施形態において、前記人工デバイスは、パラコーポレアル(paracorporeal)人工肺及び体外膜型酸素付加装置である。もう1つの実施形態において、前記人工デバイスは、内植型人工心臓である。もう1つの実施形態において、前記人工デバイスは、血液の特定成分を除去又は単離し、残りの血液成分をドナーに戻すために使用されるアフェレーレシス装置である。さらにもう1つの実施形態において、前記人工デバイスは、血液透析装置である。
本発明の化合物は、血液及び血液製剤(例えば、保存用のもの、又はエクスビボ操作用、例えば診断又は研究用のもの)中の血小板の凝集の阻害にインビトロで有用である。そのような用途では、本化合物は血液又は血液製剤に投与される。
加えて、本発明の化合物が、十分な結合親和性を有し、蛍光部分を有する場合、P2Y12受容体に対する生化学的プローブとして有用である。
好ましい実施形態において、本化合物は、不安定狭心症、冠動脈形成術及び心筋梗塞の治療に有用である。
もう1つの好ましい実施形態において、本化合物は、血栓性疾患、例えば、不安定狭心症、冠動脈形成術及び急性心筋梗塞を管理している間の冠動脈血栓症などの予防又は治療における補助療法として、例えば血栓溶解療法の補助療法として、有用である。また、本化合物は、他の抗血小板及び/又は抗凝集薬、例えばヘパリン、アスピリン、GP IIb/IIIaアンタゴニスト又はトロンビン阻害剤、と併用で投与される。
本発明は、哺乳動物、特にヒト、における血小板凝集及び血餅形成の阻害方法も提供し、この方法は、式(I)の化合物及び医薬的に許容される担体を被験者に投与することを含む。
さらに、本発明は、線溶療法後の動脈又は静脈の再閉塞及び新たな血餅の形成の阻害方法を提供し、この方法は、式(I)の化合物及び線維素溶解剤を被験者に投与することを含む。本発明に関連して使用される場合、用語線維素溶解剤は、天然産物であろうと又は合成製品であろうと、線維素凝塊の溶解を直接又は間接的に生じさせるあらゆる化合物を意味すると解釈する。プラスミノゲンアクチベータは、周知の線維素溶解剤群である。有用なプラスミノゲンアクチベータとしては、例えば、アニストレプラーゼ、ウロキナーゼ(UK)、プロ−ウロキナーゼ(pUK)、ストレプトキナーゼ(SK)、組織プラスミノゲンアクチベータ(tPA)及び突然変異体、又はプラスミノゲンアクチベータ活性を保持しているそれらの変異体、例えば、化学的に修飾されている変異体、又は1又は複数のアミノ酸が付加、欠失若しくは置換されている変異体、又は1又は複数の機能的ドメインが付加、欠失若しくは(例えば、1つのプラスミノゲンアクチベータの活性化部位又は別のプラスミノゲンアクチベータ若しくは線維素結合分子の線維素結合ドメインを組み合わせることにより)改変されている変異体、が挙げられる。本発明において説明する化合物と線維素溶解剤の組み合わせの臨床効果増加は、より低い濃度の線維素溶解剤の使用を可能にし、これは、出血性事象のリスクを低減する。そしてまた、このことが、心臓発作又は脳卒中後、長期にわたっての線溶療法の施行を可能にする。
体外循環法は、血液を酸素で処理するために心血管手術に常用されている。血小板は、体外循環路の表面に粘着する。人工的表面から遊離された血小板は、止血機能障害を示す。本発明の化合物を投与して、粘着を防止することができる。
これらの化合物の他の用途としては、血栓溶解療法中及び後の血小板性血栓症、血栓塞栓症及び再閉塞の予防、並びに冠動脈及び他の動脈の形成術後並びに冠動脈バイパス処置後の血栓塞栓症及び再閉塞の予防が挙げられる。
本活性化合物は、P2Y12作動薬の細胞外濃度を上昇させてP2Y12受容体へのADPの結合を遮断する、従って、血小板凝集を阻害するような必要がある被験者のターゲット部位に全身投与することができる。本明細書で用いる場合の全身性という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射、硝子体内注射、注入、吸入、経皮投与、経口投与、直腸内投与及び手術中点滴注入を含む。
注射及び注入などの全身投与のための医薬調合物は、滅菌媒体中で調製される。使用されるビヒクル及び濃度に依存して、活性成分は、そのビヒクルに懸濁又は溶解させることができる。アジュバント、例えば局所麻酔薬、保存薬及び緩衝剤もビヒクルに溶解させることができる。滅菌注射用製剤は、非毒性の許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液であり得る。利用することができる、許容されるビヒクル及び溶媒には、滅菌水、食塩液又はリンガー溶液がある。
活性化合物のもう1つの全身投与方法は経口投与を含み、この場合、活性化合物を含有する医薬組成物は、錠剤、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、粘稠ゲル、チュワブルガム、分散性粉末若しくは顆粒、エマルジョン、ハード若しくはソフトカプセル、又はシロップ若しくはエリキシルの形態である。
経口用の水性懸濁液は、分散性粉末及び顆粒に、分散又は湿潤剤、懸濁化剤、1又は複数の保存薬及び他の賦形剤と共に水を添加することによって調製される。懸濁化剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース及びアルギン酸ナトリウムが挙げられる。分散又は湿潤剤としては、天然ホスファチド、アリレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールからの部分エステルとの縮合生成物、並びにエチレンオキシドと脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物が挙げられる。保存薬としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチル及びn−プロピルが挙げられる。他の賦形剤としては、甘味剤(例えば、スクロース、サッカリン)、着香剤及び着色剤が挙げられる。当業者には、上の一般的説明に包含される多数の具体的な賦形剤及び湿潤剤が判る。
経口適用のための錠剤は、錠剤の製造に適する非毒性で医薬的に許容される賦形剤と活性化合物を混合することによって調製される。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;造粒及び崩壊剤、例えばコーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン又はアラビアゴム;並びに滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであり得る。本錠剤は、未コーティングであってもよいし、又は胃腸管内での崩壊及び吸収を遅らせ、それによって長時間にわたる持続作用をもたらすために、公知技術によってコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質を利用することができる。経口用の調合物は、ハードゼラチンカプセル(この場合、活性成分は、不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリン、と混合される)として、又はソフトゼラチンカプセル(この場合、活性成分は、水又は油性媒体、例えば落花生油、液体パラフィン若しくはオリーブ油、と混合される)として、提供することもできる。経口用の調合物は、咀しゃくすると活性成分がゆっくりと放出されるように活性成分をガムに埋め込むことにより、チュワブルガムとして提供することもできる。
被験者のターゲット血小板への活性化合物の全身投与のもう1つの手段は、治療有効量の化合物が全身吸収及び循環によりターゲット部位に到達するような、坐剤形態の活性化合物を含む。
直腸投与のための坐剤の形態での組成物は、常温で固体であるが直腸温度では液体であり、従って直腸内で溶融して化合物を放出することとなる適切な無刺激性賦形剤と活性成分を混合することによって、調製することができる。こうした賦形剤としては、ココア脂及びポリエチレングリコールが挙げられる。
本活性化合物は、経皮パッチ又はパッドを使用して皮膚による吸収により血小板凝集部位に全身投与することもできる。本活性化合物は、皮膚を通して血流に吸収される。本活性化合物の血漿中濃度は、異なる濃度の活性化合物を含有するパッチを使用することにより制御することができる。
1つの全身的方法は、被験者が吸入する、本活性化合物を含む吸入可能な粒子のエアロゾル懸濁物を含む。この活性化合物は、肺経由で血流に吸収され、その後、医薬的に有効な量でターゲット血小板と接触する。これらの吸入可能な粒子は、液体である場合もあり、又は固体である場合もあり、吸入したときに口又は喉頭を通過するために十分に小さい粒径を有する。一般に、粒径が約1から10マイクロメートル、しかしさらに好ましくは1-5マイクロメートルの範囲にわたる粒子が、吸引可能と考えられる。
被験者の血小板凝集部位に本活性化合物を全身投与するもう1つの方法は、液体調合物の点眼剤若しくは洗眼剤又は点鼻剤の形態での、又は被験者が吸入する吸入可能な粒子の鼻スプレーの形態での、液体/液体懸濁物を投与することを含む。鼻スプレー、点鼻剤又は点眼剤を製造するための本活性化合物の液体医薬組成物は、適するビヒクル、例えば発熱物質不含滅菌水又は滅菌食塩液、と本活性化合物を当業者には公知の技法によって併せることにより調製することができる。
硝子体内送達は、1回若しくは複数回の硝子体内注射、又は持続的容量でP2Y12アンタゴニストを放出する移植可能な硝子体内装置による送達を含む。硝子体内送達としては、眼内洗浄溶液への添加物としての手術操作中の送達、又は手術手順の中で硝子体に直接適用される送達も挙げることができる。
全身投与についての、送達される活性化合物の血漿中濃度は、化合物によって様々であり得るが、一般には1×10-10-1×10-4モル/リットル、好ましくは1×10-8-1×10-5モル/リットルである。
本発明のP2Y12アンタゴニスト化合物の医薬的有用性は、ADP誘発血小板凝集の阻害によって示される。S.M.O.Hourani et al.Br.J.Pharmacol.105,453−457(1992)に記載されているような、この広く用いられているアッセイは、ADPなどの凝集剤の添加による血小板懸濁液の凝集の測定に基づく。
P2Y12受容体アンタゴニスト化合物溶出ステント
医薬品によるコーティングステントは、極めて低用量の薬剤を標的領域に正確に送達する能力により、高い組織内濃度を達成する一方、全身毒性のリスクを最小とすることができるため、全身投与に対する固有の利点を有する。
本発明はまた、P2Y12受容体アンタゴニスト化合物溶出ステントであって、式I、又はIII−XIIの1又は複数のP2Y12受容体アンタゴニスト化合物、例えば、化合物1−326、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、又は水和物によりコーティングされているステントに関する。該ステントが血管、例えば、血管の動脈中に留置されると、治療的有効量の該化合物(群)が該ステントから該ステントの局所環境に持続的に溶出する。血管系に対する局所送達は、高い局所的な薬物濃度の達成を促進し、薬物に対する組織の持続的な暴露を達成し、そして低い全身用量によって潜在的な副作用及び全身毒性を低下させる。該薬物は、所望の部位を直接標的とすることができる。治療的有効量のP2Y12受容体アンタゴニスト化合物は、せん断力を低下させ、血管平滑筋を弛緩させ、そして血管腔再狭窄の狭窄を低下することにより、血栓症を予防し、かつステント血管の血流速度を維持するために有効な量である。
1又は複数のP2Y12受容体アンタゴニスト化合物でコーティングすることは、該ステントがP2Y12受容体アンタゴニスト化合物自体(担体を伴わない)でコーティングされること、あるいは該ステントが担体中の該化合物(すなわち、該化合物は混合物又はマトリクスの成分の形態となる)でコーティングされることを意味する。ある態様において、該ステントは、少なくとも1つのP2Y12受容体アンタゴニスト化合物を含んで成る担体でコーティングされる。該担体は通常、生体適合性かつ無毒性のポリマーである。該ポリマーは、好ましくは生物分解性又は生物安定性のポリマーである。本発明に適当な生物分解性ポリマーは、制限されることなく、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸(D/L又はL)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ酪酸−コ−吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコールサン−コ−トリメチレンカルボネート)、ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリ(トリメチレンカルボネート)、ポリ(イミノカルボネート)、シアノアクリレート、シュウ酸ポリアルキレン、ポリホスファゼン、及び脂肪族ポリカルボネートから選択することができる。あるいは、天然の生体分子、例えば、セルロース、澱粉、デキストラン、ヒアルロン酸、及びコラーゲンを使用することもできる。生物安定性ポリマーは、制限されることなく、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカプロラクタム、塩化ポリビニル、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレン−ビニルアルコール)、ポリエーテル、シリコーン、アクリル酸ポリマー及びコポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリイミド並びにポリアクリロニトリルから選択することができる。
該ステント中のP2Y12受容体アンタゴニスト化合物の濃度は、一般に、0.001〜20、好ましくは0.01〜10、そしてより好ましくは0.1〜5μg/mm2である。あるいは、該ステント中のP2Y12受容体アンタゴニスト化合物の濃度は、1〜500、好ましくは10〜100μg/mmである。Muniら(American Heart Journal,149:415−433,(2005))は、ステント薬物担体、薬物濃度、ステントサイズ、及び病変の種類について報告している;該文献は、全体において引用により組み込まれている。
ある態様において、P2Y12受容体アンタゴニスト化合物の溶出は、除放性及び長期間作用性であり、すなわち該化合物は絶え間なく溶出し、そして少なくともステント留置によって損傷した上皮が治癒するまで局所的な治療的有効量を供する。該P2Y12受容体アンタゴニスト化合物の該ステントを包囲する組織中への局所的な溶出は、好ましくは3〜6ヶ月、そして好ましくは6ヶ月間にわたる。ステントを生物分解性ポリマーでコーティングする場合、該化合物のステントからの溶出は、ポリマーの分解速度に直接関係する。
本発明において有用なP2Y12受容体アンタゴニストは、薬理活性となるために、肝臓の、腎臓の又はいずれかの他の代謝的変換も必要としない化合物である。プロドラッグの活性種への変換が放出領域において局所的に行われる場合には、該化合物はプロドラックであってよい。例えば、エステルプロドラッグは、組織エステラーゼ、例えば、内皮エステラーゼにより活性薬物に変換することができる。P2Y12受容体アンタゴニストの全てのエステル形態は、本願に包含されている。
近年、Wihlborgらは、血管平滑筋内のP2Y12受容体の存在を記載した(Arterioscler.Tkromb.Vase.Biol.2004;24:1810−1815)。内生的に放出されたADPによるこれらのP2Y12受容体の活性化は、血管収縮をもたらす。この効果はADPの循環により、あるいは治癒プロセスの一部として損傷した領域に引き付けられた粘着性血小板、内皮細胞及び白血球から放出されたADPにより、あるいは内皮細胞、平滑筋細胞又は血球から放出されたATPの加水分解から局所的に産生されたADPにより、平滑筋細胞の持続的な収縮に寄与する。P2Y12受容体の活性化は、細胞増殖の増大及び炎症の開始に関係し;これらの両方の効果は、現在販売されているステントにより治療された患者の約10%において観察されるステント再狭窄に寄与する。
出願人は、P2Y12受容体アンタゴニスト溶出ステントの治療的利点を発見した。該P2Y12受容体アンタゴニストの局所的にステント留置された組織への溶出は、動脈平滑筋を弛緩することによりステント動脈の狭窄を予防することができ、これはステント動脈の血流速度の増大、及び血栓症を促進し得るせん断力の低下をもたらす。更に、ステント動脈中の血管平滑筋収縮の阻害は、虚血及び血栓症のリスクを低下させることができる。従って、P2Y12受容体アンタゴニスト溶出ステントの使用は、血栓症及び再狭窄の発生を低下し、そして平滑筋細胞の弛緩活性によるステント動脈のかん流の流速を改善することにより、現在のステントの治療的利点を改善する。
P2Y12受容体アンタゴニスト化合物溶出ステントは、数ヶ月間のP2Y12アンタゴニストの恒常的な送達によるステント血栓症のリスクを低下するために、インサイツ(in situ)における抗血栓のために使用することができる。該治療は、ステントの配置及び狭窄した血管を開くことにより損傷した内皮により促進されたステント動脈内の血小板の凝集を阻害することにより血栓症のリスクを低下するものと考えられる。P2Y12受容体アンタゴニスト化合物は、全ての種類のステント、例えば、冠動脈ステント、脳動脈ステント(脳底動脈又は椎骨動脈)、他の動脈ステント(大動脈、頚動脈、腎動脈、末梢動脈等)、及び静脈ステント(門脈、腎臓、静脈移植血管コンジットを含む)をコーティングするために有用である。末梢動脈は、上部及び下部の四肢に血液を運ぶ動脈として定義される。P2Y12受容体アンタゴニスト溶出ステントは、冠動脈中に以前に移植された再狭窄又は血栓症により開通性が低下した伏在静脈移植血管のために有用である。本発明の好ましいステントは冠動脈ステントである。
販売されているP2Y12受容体アンタゴニスト、例えば、PLAVIX(登録商標)及びTICLID(登録商標)は、活性代謝物を産生するためにPLAVIX(登録商標)及びTICLID(登録商標)は肝臓において代謝されることを必要とするため、ステントをコーティングするために適当ではない。本発明のP2Y12受容体アンタゴニストは、活性化のために代謝を必要とせず、これにより、これらはインサイツにおいて抗血栓及び平滑筋弛緩活性を発揮することができる。
P2Y12受容体アンタゴニスト化合物溶出ステントは、血栓症形成の阻害、血管平滑筋細胞の収縮の阻害、細胞増殖の阻害、及び炎症の減少の利点を供する。P2Y12受容体アンタゴニスト化合物溶出ステントは、地金及び他の薬物溶出ステントの留置後に患者に観察される血栓症及び再狭窄の予防において有用である。
現在、ステントを受けている患者は、血栓症のリスクを低下させるために、少なくとも3ヶ月間の抗血栓症薬による予防治療を必要とする。抗炎症効果についての可能性を有する(血小板活性化の阻害及び前炎症性物質の放出による)抗血小板物質、血管平滑筋弛緩薬、及び抗細胞増殖薬、すなわち本発明のP2Y12受容体アンタゴニストの局所送達は、現在のステント治療と比較して更なる利点を供する。
本発明は、閉鎖血管又は狭窄血管、例えば、動脈及び静脈を治療するための方法を供する。該方法は、患者の狭窄又は閉鎖血管内に本発明のP2Y12受容体アンタゴニスト化合物溶出ステントを留置し、これにより治療的有効量の該化合物をステント領域に溶出し、これにより血流が該ステントにより回復し、そしてP2Y12受容体アンタゴニスト化合物により再狭窄及び血栓症が予防される工程を含んで成る。該動脈は、例えば、冠動脈、脳動脈、又は末梢動脈であってよく、これらは、それぞれプラーク又はプラーク破裂により狭窄又は閉鎖されている。挿入されたステントはP2Y12受容体アンタゴニスト化合物をステント領域に局所的に送達し、そして血栓症及び再狭窄の発生を低下させる。該方法は、任意的に、ステント動脈の開通性を保証するために患者をモニターする工程を含んで成る。例えば、該ステントが冠動脈に挿入される場合、心筋中の血流が回復されるかを決定するために、患者は心機能の臨床的症状、例えば、心電図(EKG)によりモニターされる。該ステントが頚動脈に挿入される場合、患者は、狭窄動脈が回復されるかを決定するために超音波により、及び臨床的症状、例えば、頭痛、顔の意気消沈、協調性の喪失、眩暈及び落ち込んだ精神状態の評価により、モニターされることができる。該ステントが脳静脈に挿入される場合、患者は、神経学的検査、例えば、臨床的症状、例えば、頭痛、顔の意気消沈、協調性の喪失、眩暈及び落ち込んだ精神状態によりモニターされることができる。
P2Y12受容体アンタゴニスト化合物溶出ステントの調製
ステントは、しばしばステンレススチールから製造される。ステントはいずれかの生体適合性金属、例えば、制限されることなく、鋼、コバルト、チタン、タンタル、クロム、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、白金、パラジウム、バナジウム、銀、金、モリブデン、ニッケル、又はマグネシウム、及びいずれかの組み合わせにおけるこれらの合金から作ることができる。あるいは、ステントは、非金属生体適合性物質、例えば、生体吸収性ポリマー又は生体安定性ポリマーから作成することができる。
薬物溶出ステントの調製は、Kavanaghら{Pharmacology&Therapeutics,102:1−15,2004)、Doortyら(Cardiovascular Pathology,12:105−110,2003)、Hossainy(米国特許第6,908,624号)に記載されている。これらの文献はともに、これらの全体において参照として本願明細書に組み入れられている。
一般に、本発明のP2Y12受容体アンタゴニスト化合物は、好ましくは無修飾ステントの表面に対して直接結合していない(非共有結合性)。本発明の化合物を作用部位に送達するために、該ステントは、好ましくは有機又は無機ポリマー(又はポリマー群)、又は送達される化合物を保持し、そして所望の割合で放出することができるいくつかのほかの物質(例えば、無機コーティング)でコーティングされる。この保持の特性は、共有結合性でも、又は非共有結合性でもよいが、後者が好ましい。
ある態様において、該ステントは、ステント表面に化合物を結合することができる無機物質又は有機若しくは無機ポリマーにより最初に修飾される。例えば、P2Y12受容体アンタゴニスト化合物がリン酸又はほかの酸性部分を有する場合、該ステントは塩基性部分を有する物質又はポリマーで最初にコーティングされ、そして該化合物はイオン相互作用により修飾ステントに結合される。P2Y12受容体アンタゴニスト化合物が塩基性部分を有する場合、該ステントは酸性部分を有する物質又はポリマーで最初にコーティングされ、そして該化合物はイオン相互作用により修飾ステントに結合される。
他の態様において、P2Y12受容体アンタゴニスト化合物は、適合性ポリマーマトリックス中に組み込まれ、その後ステントをコーティングするために使用される。このアプローチの利点は、該ステントからのP2Y12受容体アンタゴニスト化合物の溶出が該ポリマーの性質に依存し、これにより、適当なポリマーを選択することにより、作用部位に対するP2Y12受容体アンタゴニスト化合物の制御的かつ持続的な放出を供することができる点である。該ポリマーは親水性、疎水性、生物分解性、又は生物安定性であってよく、従って所望の治療効果を最適化するためにさらにポリマーを選択することができる。
本発明は、少なくとも1つの生物分解性ポリマー及び少なくとも1つの一般式I若しくはIII〜XIIのP2Y12受容体アンタゴニスト化合物を含んで成る組成物であって、ここで該生物分解性ポリマーが、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ酪酸−コ−吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコールサン−コ−トリメチレンカルボネート)、ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリ(トリメチレンカルボネート)、ポリ(イミノカルボネート)、シアノアクリレート、シュウ酸ポリアルキレン、ポリホスファゼン、脂肪族ポリカルボネート、セルロース、澱粉、デキストラン、ヒアルロン酸、及びコラーゲンからなる群より選択される組成物を供する。
本発明は、さらに、少なくとも1つの生物安定性ポリマー及び少なくとも1つの一般式IのP2Y12受容体アンタゴニスト化合物を含んで成る組成物であって、ここで該生物安定性ポリマーが、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカプロラクタム、塩化ポリビニル、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレン−ビニルアルコール)、ポリエーテル、シリコーン、アクリル酸ポリマー及びコポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリイミド及びポリアクリロニトリルからなる群より選択される組成物を供する。
生物分解性ポリマーが使用される場合、P2Y12受容体アンタゴニスト化合物はポリマーマトリックス内に組み込まれ、そして該ポリマーマトリックスの漸進的な分解による制御的な様式において放出される。該分解は多様なプロセス、例えば、加水分解、代謝、バルク侵食、又はポリマー表面侵食により生じうる。生物安定性ポリマーが使用される場合、該P2Y12受容体アンタゴニスト化合物は、ポリマー又はカプセル化されたポリマー中に均一に分布し、該化合物は拡散プロセスを介して、あるいはポリマー構造の細孔を通して溶出される。
P2Y12受容体アンタゴニスト化合物は、当業者に既知な方法を介してポリマー中に組み込むことができる。これらは、制限されることなく、ステントに対するポリマーの適用前のポリマー合成におけるポリマーマトリックス内の化合物のカプセル化、適当な溶媒中にポリマー及び化合物を溶解させること、そして該ステントを該溶液に適用させることを含み、その後治療剤は適当な溶媒中の溶液として適用される。適用方法は、制限されることなく、噴霧、浸漬、又はスピンコーティングプロセスを含んでよい。
以下の実施例によって本発明をさらに例証するが、これらの実施例をこれらの実施例において説明する特定の手順に本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
5’−アリールエーテル誘導体の調製:
5−アミノ−2−{2−ベンジル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−安息香酸(2):
アデノシン(10g、37mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)及びジメトキシプロパン(25mL)に溶解し、その後、Amberlyst 15H+樹脂を添加した。その混合物を3時間、55℃で攪拌した。その樹脂を濾過によって除去し、溶媒を真空下で除去して、2’,3’−ジ−O−イソプロピリデンアデノシン(11g、95%)を得た。
この生成物(6g、20mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(22mL)に溶解し、塩化トリイソプロピルシリル及びイミダゾールと共に16時間、23℃で攪拌した。その溶液をエーテル(200mL)とブライン(100mL)とで分配し、エーテル相を追加のブライン(2×50mL)で洗浄した。エーテルを硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させて、5’−O−トリイソプロピルシリル−2’,3’−ジ−O−イソプロピリデンアデノシンを得た。
この樹脂をトルエン(20mL)に溶解し、フェニルイソシアネート(3.6g、30mmol)で16時間、25℃で処理した。重炭酸ナトリウムの溶液(1mLの10M)を添加し、その混合物を蒸発乾固させた。残留物を酢酸エチル(100mL)と水(25mL)とで分配した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固させた。その固体をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、ドライアイス/アセトン浴内でテトラヒドロフラン中のフッ化テトラブチルアンモニウム(20mLの1M溶液)と共に1時間攪拌した。真空下で溶媒を除去し、その後、ヘキサンで洗浄して、5’−アルコール(5.3g)を得た。
上記フェニル尿素生成物の一部(0.41g、0.96mmol)を25mLの20%酢酸水溶液及び5mLのテトラヒドロフラン/ジオキサン(1:1)に懸濁させ、50℃で24時間攪拌した。白色の懸濁液が透明で黄色い溶液になった。その混合物を濃縮し、その後、凍結乾燥させて、0.360g(収率97%)の1−[9−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−9H−プリン−6−イル]−3−フェニル−尿素を黄色の固体として得た。C171865についてのMW計算値(MH+)387、LCMSによる実測値 387。
少量の4A火炎乾燥モレキュラーシーブ(アルゴン流により冷却したもの)を、直ぐ上で説明した生成物の一部(0.131g、0.34mmol)が入っているバイアルに添加した。その混合物にゴムセプタムで蓋をし、0℃に冷却した。注射器によりこの混合物にトリフルオロ酢酸(2.5mL)を添加し、その混合物をこの温度で15分間攪拌した。フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール(0.230mL、4当量)を1滴ずつ添加し、その混合物を0℃で2時間攪拌した。もう1当量のフェニルアセトアルデヒドジメチルアセタールを添加し、さらに5時間攪拌した。揮発成分を蒸発させて除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、8:2、1%トリエチルアミン)によって精製して、0.095gの生成物(収率60%)を黄色の固体として得た。C252465についてのMW計算値(MH+)489、LCMSによる実測値 489。
このアセタール生成物の一部(0.068g、0.14mmol)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(2.5mL)に溶解し、カリウムtert−ブトキシド(0.084g、5当量)を添加して、黄色の溶液を得た。この混合物に、2−フルオロ−5−ニトロ安息香酸(0.046g、1.8当量)を添加した。室温で2.5時間攪拌した後、その混合物を濃縮し、分取HPLCによって精製して、ヌクレオシド類似体を白色粉末として得た。C322779についてのMW計算値(MH+)654、LCMSによる実測値 654。
直ぐ上で説明した生成物のニトロ基を、6時間の間、水素雰囲気下、メタノール中、触媒量の10% Pd/Cで還元した。Celiteによる濾過、その後のHPLC精製により、52mg(収率62%)の表題化合物を透明な半固体として得た。
5’−ヘテロアリールエーテル誘導体の調製:
2−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸:
23℃で乾燥N,N’−ジメチルホルムアミド(1mL)中の1−[9−(6−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリン−6−イル]−3−フェニル−尿素(43mg、0.1mmol)の攪拌溶液に、カリウムtert−ブトキシド(45mg、0.4mmol)を添加した。30分後、2−クロロニコチン酸(60mg、0.4mmol)をその溶液に添加した。得られた混合物を23℃で15時間攪拌し、その後、水(1mL)で反応を停止させ、酢酸エチル(50mL)に懸濁させ、ブライン(3×)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗生成物を得た。分取逆相HPLCを用いて、純粋な化合物(15mg、収率27%)を白色の固体として得た。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ11.76(s,1H)、10.15(s,1H)、9.16(s,1H)、8.65(s,1H)、8.05(dd,J=8.5Hz,3.5Hz,1H)、7.94(dd,J=9.0Hz,3.0Hz,1H)、7.60(d,J=2.0Hz,1H)、7.57(d,J=2.0Hz,1H)、7.32(t,J=12.5Hz,2H)、7.05(t,J=12.5Hz,1H)、6.96(dd,J=12.5Hz,8.5Hz,1H)、6.25(d,J=6.0Hz,1H)、5.80(t,J=7.5Hz,1H)、5.10(dd,J=9.0Hz,2.5Hz,1H)、4.67(m,1H)、4.53(dd,J=20.0Hz,4.0Hz,1H)、4.36(dd,J=20.0Hz,4.0Hz,1H)、1.59(s,3H)、1.38(s,3H)。C262577についてのMW計算値(MH+)548、LCMSによる実測値 548。
同様に、他の5’−置換ピリジンを調製した:
6−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸:白色の固体として(9mg、収率8%)。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ11.68(s,1H)、10.20(s,1H)、8.71(s,1H)、8.64(d,J=3.0Hz,2H)、8.12(dd,J=15.0Hz,3.5Hz,1H)、7.63(d,J=2.0Hz,1H)、7.61(d,J=1.5Hz,1H)、7.36(t,J=13.0Hz,2H)、7.09(t,J=12.5Hz,1H)、6.84(dd,J=13.5Hz,1.0Hz,1H)、6.33(d,J=3.5Hz,1H)、5.61(dd,J=10.0Hz,4.0Hz,1H)、5.20(dd,J=10.0Hz,4.5Hz,1H)、4.64(m,1H)、4.54(m,2H)、1.60(s,3H)、1.40(s,3H)。C262577についてのMW計算値(MH+)548、LCMSによる実測値 548。
6−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ピリジン−2−カルボン酸:白色の固体として(5mg、収率4.6%)。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ11.64(s,1H)、10.15(s,1H)、8.68(s,1H)、8.60(s,1H)、7.83(dd,J=13.5Hz,12.5Hz,1H)、7.62(m,3H)、7.34(t,J=12.5Hz,2H)、7.06(t,J=12.5Hz,1H)、6.96(dd,J=13.0Hz,1.0Hz,1H)、6.30(d,J=4.0Hz,1H)、5.59(dd,J=10.0Hz,4.5Hz,1H)、5.17(dd,J=10.0Hz,4.5Hz,1H)、4.64(m,1H)、4.50(m,2H)、1.58(s,3H)、1.38(s,3H)。C262577についてのMW計算値(MH+)548、LCMSによる実測値 548。
5−クロロ−6−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸:白色の固体として(11mg、収率1.5%)。C2624ClN77についてのMW計算値(MH+)582、LCMSによる実測値 582。
6−クロロ−2−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(異性体A)&2−クロロ−6−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(異性体B):
2つの異性体を2,6−ジクロロニコチン酸の反応から得た。主生成物は、A(80mg、収率69%)であった。C2624ClN77についてのLC−MS計算値(MH+)582、実測値 582。副生成物は、B(20mg、収率17%)であった。C2624ClN77についてのMW計算値(MH+)582、LCMSによる実測値 582。
2−クロロ−6−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−イソニコチン酸:白色の固体として(60mg、収率52%)。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ11.63(s,1H)、10.18(s,1H)、8.68(s,1H)、8.61(s,1H)、7.6(s,1H)、7.59(s,1H)、7.36(s,1H)、7.33(t,J=13.0Hz,2H)、7.06(t,J=13.5Hz,1H)、6.29(d,J=3.5Hz,1H)、5.63(dd,J=10.0Hz,4.0Hz,1H)、5.17(dd,J=10.0Hz,4.5Hz,1H)、4.64(m,1H)、4.47(m,2H)、1.60(s,3H)、1.38(s,3H)。C2624ClN77についてのMW計算値(MH+)582、LCMSによる実測値 582。
6−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチンアミド:白色の固体として(15mg、収率14%)。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ11.70(s,1H)、10.10(s,1H)、8.69(s,1H)、8.61(s,1H)、8.60(d,J=4.0Hz,1H)、8.09(dd,J=10.0Hz,4.0Hz,1H)、7.95(s,1H)、7.62(s,1H)、7.59(s,1H)、7.39(s,1H)、7.34(t,J=15.0Hz,2H)、7.07(t,J=12.5Hz,1H)、6.80(d,J=14.0Hz,1.0Hz,1H)、6.31(d,J=4.0Hz,1H)、5.59(dd,J=10.5Hz,4.5Hz,1H)、5.17(dd,J=10.0Hz,4.5Hz,1H)、4.63(m,1H)、4.49(m,2H)、1.59(s,3H)、1.39(s,3H)。C262686についてのMW計算値(MH+)547、LCMSによる実測値 547。
6−クロロ−2−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−5−フルオロ−ニコチン酸:白色の固体として(35mg、収率19%)。C2623ClFN77についてのMW計算値(MH+)600、LCMSによる実測値 600。
1−{9−[6−(3−ヒドロキシ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル]−9H−プリン−6−イル}−3−フェニル−尿素:
23℃でメタノール/酢酸エチル(1:1 v/v、10mL)中の1−{9−[6−(3−ベンジルオキシ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル]−9H−プリン−6−イル}−3−フェニル−尿素(18mg、0.03mmol、上で調製したもの)の溶液で、10分間、乾燥アルゴンをバブリングした。活性炭担持型パラジウム(10%)を添加し、その懸濁液をアルゴンによってさらに5分間脱気した。バルーンにより水素(H2)をその溶液に通し、反応を5時間進行させた。その混合物を濾過し、真空下で濃縮して粗生成物を得た。分取逆相HPLCを用いて、純粋な化合物(5mg、収率31%)を白色の固体として得た。C252576についてのMW計算値(MH+)520、LCMSによる実測値 520。
2−{2−ベンジル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸:
2−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(180mg、0.33mmol)をトリフルオロ酢酸と水の混合物(TFA/H2O、4:1 v/v、20mL)に溶解し、その懸濁液を23℃で30分間攪拌した。溶媒を減圧下で除去して、中間ジオール生成物(120mg、収率72%)を白色の固体として得た。C232177についてのMW計算値(MH+)508、LCMSによる実測値 508。
23℃で乾燥トリフルオロ酢酸(5mL)中の直ぐ上で説明したジオール(0.23mmol)の攪拌溶液に、フェニルアセトアルデヒド(130mg、1.1mmol)を添加した。得られた混合物を23℃で6時間攪拌した。減圧下での蒸発により大部分のトリフルオロ酢酸を除去した後、飽和重炭酸ナトリウム溶液(10mL)で反応を停止させた。酢酸エチル(50mL)を使用してその生成物を抽出し、ブライン(3×)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗生成物を得た。分取逆相HPLCを用いて、純粋なアセタール化合物(7mg、収率5%)を白色の固体として得た。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ11.67(s,1H)、10.50(s,1H)、8.68(s,1H)、8.51(s,1H)、8.27(dd,J=8.0Hz,3.0Hz,1H)、8.10(dd,J=10.0Hz,4.0Hz,1H)、7.60(dd,J=14.0Hz,2.0Hz,1H)、7.30(m,7H)、7.08(m,3H)、6.21(d,J=4.5Hz,1H)、5.51(dd,J=10.5Hz,4.0Hz,1H)、5.32(t,J=8.0Hz,1H)、5.06(dd,J=10.0Hz,3.0Hz,1H)、4.70(m,1H)、4.62(dd,J=20.0Hz,5.0Hz,1H)、4.45(dd,J=20.0Hz,5.0Hz,1H)、3.10(d,J=8.5Hz,2H)。C312777についてのMW計算値(MH+)610、LCMSによる実測値 610。
直ぐ上に与えたものに類似した方法を用いて、他の5’−置換ピリジン−エーテルを様々な2’,3’−アセタールに変換した。
5’−イソオキサゾール誘導体の合成:
3−[6−(6−クロロ−プリン−9−イル)−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ]−イソオキサゾール−5−カルボン酸メチルエステル:
16mLの乾燥ジクロロメタン中の[6−(6−クロロ−プリン−9−イル)−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル]−メタノール(0.570g、1.74mmol)の溶液に、ポリマー結合トリフェニルホスフィン(PS−TPP;Argonaut Tech.,2.14mmol/g、0.91g、1.2当量)を添加し、その後、カルボン酸メチル−3−ヒドロキシ−5−イソオキサゾール(0.248g、1当量)を添加した。その混合物を15分間、超音波処理し、その後、室温で1時間、アルゴン下で攪拌した。その反応混合物を0℃に冷却し、1mLのジクロロメタンに溶解したアゾジカルボン酸ジエチル(0.33g、1.1当量)をアルゴン流下で注射器により1滴ずつ添加した。その混合物を光から保護し、0℃で30分間攪拌し、その後、室温で20時間攪拌した。その樹脂をジクロロメタン及びメタノールで大まかに洗浄した。これらの洗浄から得た有機溶液を濃縮して、クロマトグラフィー精製後、0.740gの生成物を白色の固体として得た(収率95%)。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.76(s,1H)、8.23(s,1H)、6.42(s,1H)、6.23(d,J=2.1Hz,1H)、5.43(dd,J=2.1Hz,1H)、5.14(dd,J=3.6Hz,1H)、4.7(m,1H)、4.61(dd,J=3.9Hz,1H)、4.49(dd,J=5.7Hz,1H)、3.93(s,3H)、1.65(s,3H)、1.42(s,3H)。C1818ClN57についてのMW計算値(MH+)452、LCMSによる実測値 452。
3−{6−[6−(N−ベンジル−N−メチル−アミノ)−プリン−9−イル]−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−イソオキサゾール−5−カルボン酸:
テトラヒドロフラン(1.2mL)中の3−[6−(6−クロロ−プリン−9−イル)−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ]−イソオキサゾール−5−カルボン酸メチルエステル(0.106g、0.23mmol)の溶液に、ポリマー結合ジイソプロピルエチルアミン(PS−DIEA;Argonaut Tech.,3.83mmol/g、0.190g、3当量)を添加し、その後、0.040mLのN−メチル−N−ベンジルアミン(1.2当量)を添加した。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。そのPS−DIEA樹脂をジクロロメタンで3回洗浄し、それらの洗浄から得られた溶液を濃縮して、3−{6−[6−(N−ベンジル−N−メチル−アミノ)−プリン−9−イル]−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−イソオキサゾール−5−カルボン酸メチルエステルを黄色の油として得た。この材料(0.23mmol)を1,4−ジオキサン(1.2mL)に溶解し、0.250mLの2M水酸化リチウム水溶液を添加した。その混合物を室温で4時間攪拌した。酸処理により単離した粗生成物をさらに精製せずに次の段階で使用した。C252667についてのMW計算値(MH+):523、LCMSによる実測値 523。
3−{2−ベンジル−6−[6−(N−メチル−N−ベンジル−アミノ)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−イソオキサゾール−5−カルボン酸:
1.5mLの乾燥ジクロロメタンに溶解した上記アセトニド(0.075g、0.140mmol)の溶液を、氷浴で0℃に冷却した。この透明な混合物に、1.8mLのトリフルオロ酢酸を添加した。その混合物を0℃で5時間攪拌して、蒸発による処理の後、中間ジオールを黄色の半固体として得た。この粗生成物(0.23mmol)を0℃でフラスコ内の1mLの乾燥トリフルオロ酢酸に溶解した。この混合物に少量の3Aモレキュラーシーブ(事前にインサイチューで火炎により乾燥させ、アルゴン流により冷却したもの)を添加した。そのフラスコにゴムセプタムで蓋をし、0℃に冷却し、その後、0.1mLのフェニルアセトアルデヒドジメチルアセタールを添加し、その混合物を18時間、0℃で攪拌した。この時点で、さらに0.1mLのアセタールを添加し、さらに6時間攪拌した。HPLCによる精製によって、52mgの所望の生成物を透明な半固体として得た(収率62%)。C302867についてのMW計算値(MH+):585、LCMSによる実測値 585。
5’−カルボキサミドアデノシン類似体の溶液相合成
2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン−5’−カルボン酸
反応容器の中で、ビス−アセトキシヨードベンゼン(BAIB、1.15g、3.58mmol)、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO、0.051g、0.325mmol)及び2’,3’−イソプロピリデンアデノシン(0.500g、1.63mmol)を併せ、3mLの1:1 アセトニトリル:水混合物をその反応容器に添加した。その反応混合物を周囲温度、アルゴン下で1時間攪拌し、その後、濾過した。その白色の結晶質生成物をアセトニトリル:水混合物(1:1)で洗浄し、真空下で乾燥させて、0.464gの生成物を得た。89%。1H NMR(300MHz,CD3SOCD3)δ12.77(br s,1H)、8.22(s,1H)、8.06(s,1H)、7.27(s,2H)、6.32(s,1H)、5.52(dd,Jl=5.7Hz,J2=1.8Hz,1H)、5.45(d,J=9.5Hz,1H)、4.67(d,J=1.5Hz,1H)、1.52(s,3H)、1.35(s,3H)。
2−({2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−アミノ)−安息香酸メチルエステル:
2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン−5’−カルボン酸(0.241g、0.75mmol)が入っているバイアルに、室温で3−アミノ−安息香酸メチルエステル(0.144g、0.75mmol)を1度に添加し、その後、50℃で一晩加熱した。その反応混合物を100mLの酢酸エチルで希釈し、1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。溶媒を除去し次第、固体残留物を、ジクロロメタン中2-5%のメタノールでのクロマトグラフィーで精製して、90mg(26%)のカルボキサミドを白色の固体として得た。C212266についてのMW計算値(MH+)455、LCMSによる実測値 455。このカルボキサミド生成物(90mg、0.20mmol)をDMF(2mL)に溶解し、50℃で2mLのトルエン中のフェニルイソシアネート(35mg、0.30mmol)が入っているフラスコに添加した。その反応物を50℃で一晩攪拌した。その後、TLC分析が出発原料のほぼ完全な消費を示すまで、追加のフェニルイソシアネート(35mg、0.20mmol)を少しずつ数回に分けて添加した。その後、これらの反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その粗生成物をジクロロメタン中0-2%のメタノールでのクロマトグラフィーによって精製して、57mg(50%)の純粋な生成物を得、出発原料(10mg)を回収した。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ11.53(s,1H)、9.21(s,1H)、8.54(s,1H)、8.36(s,1H)、8.21(s,1H)、7.72(m,1H)、7.58(m,2H)、7.38(m,2H)、7.24(m,1H)、7.12(m,1H)、6.29(d,J=2.1Hz,1H)、5.66(dd,J=6.3,1.5Hz,1H)、5.56(dd,J=6.3,1.5Hz,1H)、4.88(d,J=1.8Hz,1H)、3.78(s,3H)、1.65(s,3H)、1.44(s,3H)。C282777についてのMW計算値(MH+):574、LCMSによる実測値 574。
3−({2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−アミノ)−安息香酸
0℃で0.5mLのN,N−ジメチルホルムアミド中の2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン−5’−カルボン酸(250mg、0.778mmol)、トリエチルアミン(1.57mg、1.56mmol)及び3−アミノ−安息香酸アリルエステル(0.276mg、1.56mmol)が入っているバイアルに、PyBOP(0.443mg、0.856mmol)を1度に添加した。反応を0℃で4時間、そして周囲温度で4時間継続させた。追加のPyBOP(50mg)を添加し、周囲温度で一晩、反応を継続させた。その反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その粗製物をジクロロメタン中0-2%のメタノールでのクロマトグラフィーによって精製して、所望のアミド生成物を得た。C232466についてのMW計算値(MH+)481、LCMSによる実測値 481。
上で説明したものに類似した方法を用いてそのアミド生成物とフェニルイソシアネートをカップリングさせて、中間フェニル尿素化合物を得た。C302977についてのMW計算値(MH+)600、LCMSによる実測値 600。
このフェニル尿素化合物(36mg、0.057mmol)及びモルホリン(0.015mg、0.17mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5mg、0.004mmol)を添加した。反応は室温で4時間で完了した。溶媒を除去した後、その粗生成物混合物を分取HPLCによって精製して、所望の生成物を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ11.52(s,1H)、9.99(s,1H)、9.60(s,1H)、8.61(s,1H)、8.42(s,1H)、7.94(s,1H)、7.72(m,4H)、7.34(m,2H)、7.23(m,1H)、7.06(m,1H)、6.56(s,1H)、5.56(m,2H)、4.88(s,1H)、1.58(s,3H)、1.39(s,3H)。
スルホンアミドの溶液相合成:
N−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−メタンスルホンアミド:
ジクロロメタン(0.5mL)中の2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン−5’−カルボン酸(20mg、0.045mmol)、ジメチルアミノピリジン(5mg、0.045mmol)及びメタンスルホンアミド(0.009mg、0.091mmol)が入っているバイアルに、ジシクロヘキシルカルボジイミド(10mg、0.05mmol)を添加した。その混合物を2日間、室温で攪拌した。追加のジシクロヘキシルカルボジイミド(10mg、0.05mmol)及びジメチルアミノピリジン(5mg、0.045mmol)を添加し、室温で一晩、反応を継続させた。その反応混合物に酢酸エチル(75mL)を添加し、それを1N塩酸、水、飽和重炭酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を除去し次第、残留物を分取HPLCによって精製して、13mgの所望の生成物(55%)を得た。C212377SについてのMW計算値(MH+)518、LCMSによる実測値 518。
ポリマーに結合しているアデノシンの5’−プロリンアミドからの尿素及びアセタールの固相合成:
市販のヒドロキシメチルスルファニルメチル(HESM)ポリスチレン樹脂(1.4mmol/g、200メッシュ、NovaBiochem;2.82g、3.95mmol)を15分間、50mLで膨潤させた。別の反応容器において、Boc−Pro−OH(3.40g、15.8mmol)、HATU(5.7g、15.0mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.24g、1.98mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(3.5mL、19.8mmol)を40mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、15分間攪拌した。N,N−ジメチルホルムアミドをそのHESM樹脂から排出させ、活性化プロリン誘導体の溶液をその樹脂に添加した。その樹脂を室温で17時間攪拌した。その後、溶媒を排出させ、樹脂をN,N−ジメチルホルムアミド(3×30mL)、ジクロロメタン(3×30mL)、メタノール(3×30mL)、ジクロロメタン(2×30mL)、メタノール(3×30mL)で洗浄し、真空下で一晩乾燥させた。樹脂の質量:3.42g、負荷率93%。
BOC保護基の除去:
前の段階で得られた樹脂を40%トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン溶液(75mL)と共に15分間攪拌した。溶媒を排出させ、ジクロロメタン中40%のトリフルオロ酢酸の新たな溶液を添加し、樹脂をさらに15分間攪拌した。この後、その樹脂をジクロロメタン(5×40mL)、20%ジイソプロピルエチルアミン/ジクロロメタン(2×30mL)、ジクロロメタン(3×30mL)及びメタノール(5×40mL)で洗浄した。その樹脂を真空下で乾燥させた。クロラニルテストは、遊離アミノ基の存在を示し、このプロリン結合樹脂を次の段階に持ち越した。
前の段階からのプロリン樹脂生成物を50mLのN,N−ジメチルホルムアミド中で30分間膨潤させ、その後、N,N−ジメチルホルムアミドを排出させた。別の反応容器において、2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン−5’−カルボン酸(1.40g、4.35mmol)、ジクロロエタン(0.91g、4.74mmol)、HOBt・H2O(0.73g、4.74mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(3.5mL、19.8mmol)を55mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解した。その溶液を15分間攪拌し、その後、プロリン樹脂に添加した。その樹脂を室温で17時間攪拌した。溶媒を排出させ、樹脂をN,N−ジメチルホルムアミド(3×30mL)、ジクロロメタン(3×30mL)、メタノール(3×30mL)、ジクロロメタン(2×30mL)、メタノール(3×30mL)で洗浄し、真空下で48時間乾燥させた。幾つかのサンプルビーズに対して行ったクロラニルテストは、カップリングが発生したことを示した。以下の手順を用いて少量の樹脂を切断してカルボン酸の結合を評価し、LCMSによって分析した。C182266についての質量計算値(MH+):419、LCMSによる実測値 419。樹脂の質量:3.66g、0.55mmol/g、3段階で82%。
HESM樹脂を分析するための一般的な切断手順:
少量の樹脂をジクロロメタン中の5-6当量のm−クロロ過安息香酸の溶液に懸濁させ、7-8時間、室温で攪拌する。その後、溶液を排出させ、樹脂を新たなジクロロメタンで5-6回洗浄する。その後、樹脂をジクロロメタン中の4-5当量のDBUの溶液に懸濁させ、室温で4-5時間攪拌する。その後、樹脂を濾過し、溶液をLC/MS、HPLC又は別の方法によって分析する。回転蒸発によって溶液から化合物を回収する。
前の樹脂−合成段階からのアデノシン−プロリンアミド誘導体化樹脂(0.5g、0.275mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に懸濁させた。エチルイソシアネート(0.43mL、5.5mmol)を添加し、蓋をしたバイアルの中でその反応混合物を16時間、55℃で加熱した。その後、樹脂を排出させ、N,N−ジメチルホルムアミド(3×10mL)、ジクロロメタン(3×10mL)、メタノール(3×10mL)、ジクロロメタン(2×10mL)、メタノール(3×10mL)で洗浄し、この手順をもう1度繰り返し、その後、樹脂を真空下で24時間乾燥させた。ネガティブクロラニルテストは、反応の完了を示した。少量のこの樹脂(6−エチル尿素として誘導体化された5’−アデノシン−(2’,3’−アセトニド)−プロリンアミドに結合しているもの)を、HESM樹脂の切断について説明した手順によって切断し、単離された生成物をLCMSによって分析した。C212777についての質量計算値(MH+):490、LCMSによる実測値 490。負荷量 0.52mmol/g、質量 0.52g、98%。
上で説明した手順は、適切なイソシアネートを用いてRd=−C611、−Ph、−CH2Ph、−CH2CH2Ph、−シクロペンチル、及びトランス−2−フェニル−シクロプロプ−1−イル基のN6−尿素を調製するためにも用いた。
1−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−フェニル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸:
上で説明した樹脂(0.05g、0.026mmol)をトリフルオロ酢酸に懸濁させ、その後、ベンズアルデヒド(0.095g、0.9mmol)を1度にすべて添加した。この樹脂を密封バイアル内で24時間攪拌した。樹脂を排出させ、ジクロロメタン(5×3mL)、20%ジイソプロピルエチルアミン/ジクロロメタン(2×3mL)、ジクロロメタン(3×3mL)そしてメタノール(5×3mL)で洗浄し、その後、真空下で3時間乾燥させた。上で説明した切断手順を用いて樹脂を切断し、その粗生成物を回収し、LCMSによって分析し、分取HPLCによって精製した。C252777についてのMW計算値(MH+):538、LCMSによる実測値:538。
以下の類似体は、上で説明したものに類似した方法で、イソシアネートとアルデヒドの適切な組み合わせを用いて調製した。LCMSによって化合物を分析した。
d=エチル、Ra=ベンジル C26H29N7O7についてのMW計算値:552.55(MH+)、実測値:552.4。
d=エチル、Ra=4−ビフェニル C31H31N7O7についてのMW計算値:614.62(MH+)、実測値:614.3。
d=エチル、Ra=3−ビフェニル C31H31N7O7についてのMW計算値:614.62(MH+)、実測値:614.3。
d=エチル、Ra=2−ナフチル C29H29N7O7についてのMW計算値:588.58(MH+)、実測値:588.1。
d=n−ヘキシル、Ra=フェニル C29H35N7O7についてのMW計算値:594.63(MH+)、実測値:594.3。
d=n−ヘキシル、Ra=ベンジル C30H37N7O7についてのMW計算値:608.65(MH+)、実測値:608.2。
d=n−ヘキシル、Ra=4−ビフェニル C35H39N7O7についてのMW計算値:670.73(MH+)、実測値:670.3。
d=n−ヘキシル、Ra=3−ビフェニル C35H39N7O7についてのMW計算値:670.73(MH+)、実測値:670.3。
d=n−ヘキシル、Ra=2−ナフチル C33H37N7O7についてのMW計算値:644.69(MH+)、実測値:644.3。
d=シクロペンチル、Ra=ベンジル C29H33N7O7についてのMW計算値:592.62(MH+)、実測値:592.3。
d=シクロペンチル、Ra=フェニル C28H31N7O7についてのMW計算値:578.59(MH+)、実測値:578.3。
d=シクロペンチル、Ra=4−ビフェニル C34H35N7O7についてのMW計算値:654.68(MH+)、実測値:654.3。
d=シクロペンチル、Ra=3−ビフェニル C34H35N7O7についてのMW計算値:654.68(MH+)、実測値:654.3。
d=シクロペンチル、Ra=2−ナフチル C32H33N7O7についてのMW計算値:628.65(MH+)、実測値:628.4。
d=ベンジル、Ra=ベンジル C31H31N7O7についてのMW計算値:614.62(MH+)、実測値:614.3。
d=ベンジル、Ra=フェニル C30H29N7O7についてのMW計算値:600.59(MH+)、実測値:600.3。
d=ベンジル、Ra=2−ナフチル C34H31N7O7についてのMW計算値:650.65(MH+)、実測値:650.3。
d=ベンジル、Ra=4−ビフェニル C36H33N7O7についてのMW計算値:676.69(MH+)、実測値:676.3。
d=ベンジル、Ra=3−ビフェニル C36H33N7O7についてのMW計算値:676.69(MH+)、実測値:676.3。
d=エチルフェニル、Ra=ベンジル C32H33N7O7についてのMW計算値:628.65(MH+)、実測値:628.4。
d=エチルフェニル、Ra=フェニル C31H31N7O7についてのMW計算値:614.62(MH+)、実測値:614.5。
d=エチルフェニル、Ra=4−ビフェニル C37H35N7O7についてのMW計算値:690.72(MH+)、実測値:690.4。
d=エチルフェニル、Ra=3−ビフェニル C37H35N7O7についてのMW計算値:690.72(MH+)、実測値:690.5。
d=エチルフェニル、Ra=2−ナフチル C35H33N7O7についてのMW計算値:664.68(MH+)、実測値:664.4。
d=シクロプロピル−トランス−2−フェニル、Ra=ベンジル C33H33N7O7についてのMW計算値:640.66(MH+)、実測値:640.3。
d=シクロプロピル−トランス−2−フェニル、Ra=3−ビフェニル C38H35N7O7についてのMW計算値:702.73(MH+)、実測値:702.6。
d=シクロプロピル−トランス−2−フェニル、Ra=2−ナフチル C36H33N7O7についてのMW計算値:676.69(MH+)、実測値:676.6。
d=フェニル、Ra=ベンジル C30H29N7O7についてのMW計算値:600.59(MH+)、実測値:600.3。
d=フェニル、Ra=フェニル C29H27N7O7についてのMW計算値:586.57(MH+)、実測値:586.2。
d=フェニル、Ra=2−ナフチル C33H29N7O7についてのMW計算値:636.63(MH+)、実測値:636.5。
d=フェニル、Ra=4−ビフェニル C35H31N7O7についてのMW計算値:662.66(MH+)、実測値:662.5。
d=フェニル、Ra=3−ビフェニル C35H31N7O7についてのMW計算値:662.66(MH+)、実測値:662.5。
d=フェニル、Ra=3−チアナフテン C31H27N7O7SについてのMW計算値:642.65(MH+)、実測値:642.0。
d=エチルフェニル、Ra=3−チアナフテン C33H31N7O7SについてのMW計算値:670.71(MH+)、実測値:670.0。
d=エチルフェニル、Ra=3−チアナフテン C32H29N7O7SについてのMW計算値:656.68(MH+)、実測値:656.1。
d=n−ヘキシル、Ra=3−チアナフテン C31H35N7O7SについてのMW計算値:650.72(MH+)、実測値:650.2。
d=n−ヘキシル、Ra=CHCHPh C31H37N7O7についてのMW計算値:620.67(MH+)、実測値:620.4。
d=n−ヘキシル、Ra=CCPh C31H35N7O7についてのMW計算値:618.65(MH+)、実測値:618.0。
d=シクロプロピル−トランス−2−フェニル、Ra=CCPh C34H31N7O7についてのMW計算値:650.65(MH+)、実測値:650.1。
d=エチルフェニル、Ra=CCPh C33H31N7O7についてのMW計算値:638.64(MH+)、実測値:638.1。
d=ベンジル、Ra=CCPh C32H29N7O7についてのMW計算値:624.62(MH+)、実測値:624.1。
d=エチル、Ra=CCPh C27H27N7O7についてのMW計算値:562.55(MH+)、実測値:562.0。
d=シクロプロピル−トランス−2−フェニル、Ra=4−ビフェニル C38H35N7O7についてのMW計算値:702.73(MH+)、実測値:702.1。
d=シクロプロピル−トランス−2−フェニル、Ra=フェニル C32H31N7O7についてのMW計算値:626.63(MH+)、実測値:626.0。
d=シクロプロピル−トランス−2−フェニル、Ra=CHCHPh C34H33N7O7についてのMW計算値:652.67(MH+)、実測値:652.1。
d=エチルフェニル、Ra=CHCHPh C33H33N7O7についてのMW計算値:640.66(MH+)、実測値:640.3。
図式10におけるような5’スルホニル尿素の合成:
1−[9−(2−ベンジル−6−ウレイドメチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリン−6−イル]−3−フェニル−尿素メチルスルホンアミド:
反応容器の中で2’,3’−O−ベンジリデン−N6−(フェニル尿素)アデノシン(0.200g、0.409mmol)、塩化p−トルエンスルホニル(0.148g、0.778mmol)及び4.0mLのピリジンを併せた。その混合物を4時間、室温で攪拌した。溶媒を真空下で除去し、トシレート(0.260g、99%)を黄色の固体として回収した。C323067SについてのMW計算値:643.19(MH+)、実測値 642.9。
このトシレート生成物(0.260g、0.409mmol)を3mLの無水N,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、アジ化ナトリウム(0.266g、4.09mmol)を添加し、その混合物を密閉容器の中で攪拌しながら7時間、80℃で加熱した。その混合物を50mLのジクロロメタンで希釈し、5%重炭酸ナトリウム溶液及びブラインで希釈した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空下で除去した。アジ化物誘導体を白色の固体として回収した(0.183g、87%)。C252394についてのMW計算値:514.19(MH+)、実測値 514.1。
アジ化物を含有するこの残留物(0.180g、0.351mmol)を6mLのテトラヒドロフラン/水混合物(18:1)に溶解し、ポリスチレン結合トリフェニルホスフィン(2.19mmol/g、0.800g、1.75mmol)を添加し、その反応混合物を室温、アルゴン下で24時間攪拌した。その後、その反応混合物を濾過し、溶媒を真空下で除去し、その粗生成物をシリカゲルカラム(2cm×15cm)でのクロマトグラフィーに付した。そのカラムをジクロロメタン/メタノール/トリエチルアミン(88:10:2)で溶離して、0.072g(42%)のアミンを白色の固体として得た。C252574についてのMW計算値:488.20(MH+)、実測値 488.0。
上記アミン生成物の一部(0.022g、0.046mmol)を2mLのジクロロメタン(無水物)に溶解し、メチルスルホニルエチルカルバメート(0.008g、0.046mmol)を添加した。その反応物を室温、アルゴン下で72時間攪拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、その粗生成物を分取HPLC(アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸//水/0.1%トリフルオロ酢酸緩衝液)によって精製した。0.016g(59%)の生成物を白色の固体として回収した。C272887SについてのMW計算値:609.18(MH+)、実測値 609.4。1H NMR(300MHz,CD3SOCD3)δ11.69(br s,1H)、10.22(br S,1H)、8.69(s,1H),8.65(s,1H),7.60(d,J=7.8Hz,2H),7.36−7.21(m,6H)、7.07(t,J=7.5Hz,1H),6.90−6.87(m,1H),6.57(s,1H),6.22(d,J=2.4Hz,1H)、5.75(s,1H),5.45(dd,J1=6.3Hz,J2=2.1Hz,1H)、5.31(t,J=5.1Hz,1H),4.92(dd,J1=6.6Hz,J2=3.3Hz,1H)、4.16−4.02(m,5H)、3.11(s,3H)。
図式11におけるような5’−同族体化誘導体:
3−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−アクリル酸メチルエステル:
10mLのジメチルスルホキシド中の出発化合物、1−[9−(6−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリン−6−イル]−3−フェニル−尿素(1.07g、2.5mmol)、が入っているバイアルに室温でIBX(1.06g、3.75mmol)を1度に添加した。反応が進むにつれて、白色の固体が徐々に溶解した。室温で2時間攪拌した後、酢酸メチル(トリフェニルホスホリデン)(0.84g、2.5mmol)を1度に添加した。室温で一晩、反応させた。その反応混合物に酢酸エチル(100mL)を添加し、それを飽和NaHCO3、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。溶媒を除去した後、残留物をイソプロピルアルコールで再結晶させて、表題化合物を得た。C232466についてのMW計算値(MH+)481.5、LCMSによる実測値 481.3。
3−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−プロピオン酸:
窒素下、前の段階からの生成物(1.2g、2.5mmol)及び炭素担持型パラジウム(10% w/w、10mg)が入っている丸底フラスコに、メタノール(20mL)を添加した。水素ガスでフラッシュした後、水素バルーンを用いて水素下で一晩、室温でその反応混合物を攪拌した。濾過し、溶媒を除去し次第、その粗製白色固体生成物をイソプロピルアルコールから再結晶させて、所望のメチルエステル化合物を得た。C232666についてのMW計算値(MH+)483.5、実測値 483.2。
そのメチルエステル(500mg、1.04mmol)を4mLのメタノールに溶解し、その後、水酸化ナトリウム(83mg、2.1mmol)を添加した。その反応物を室温で一晩攪拌した。メタノールを除去した後、酢酸(2.1mmol、120mmol)を添加し、白色の固体を沈殿させた。真空下で溶媒を除去した。残留物を水から再結晶させて、純粋な所望の生成物を白色の固体として得た(0.4g、83%)。C222466についてのMW計算値(M−1)467.5、LCMSによる実測値 467.4。
1−(3−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−プロピオン−1−イル)−ピロリジン−2−カルボン酸:
前の段階からのカルボン酸生成物(0.117g、0.25mmol)が入っているバイアルに、0℃で塩化チオニル(0.3g、2.5mmol)を添加した。添加後、冷却浴を取り外し、その後、2滴のN,N−ジメチルホルムアミドを添加した。その反応混合物を30分間、50℃に加熱した。過剰の塩化チオニルを真空下で除去し、固体残留物をエチルエーテルで洗浄して、酸塩化物を得た。その酸塩化物(61mg、0.125mmol)を、0℃で1mLのジクロロメタン中のL−プロリンメチルエステル(23mg、0.138mmol)及びトリエチルアミン(28mg、0.275mmol)が入っているバイアルに添加した。その反応物を一晩かけて徐々に室温に温めた。その反応混合物に酢酸エチル(75mL)を添加し、それを1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。残留物を、ジクロロメタン中2%のメタノールを使用してシリカカラムから溶出させることにより精製して、精製されたプロリルメチルエステル生成物(10mg、14%)を得た。C283377についてのMW計算値(MH+)580.6、LCMSによる実測値 580.3。そのプロリルメチルエステル(6mg、0.010mmol)をテトラヒドロフラン(0.1mL)に溶解し、その後、6μLの15%水酸化ナトリウムを添加した。室温で2時間攪拌した後、酢酸エチル(50mL)を添加し、pHを3に調整するために十分な1N塩酸を添加した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒の除去後、表題化合物を白色の粉末として得た。C273177についてのMW計算値(MH+)566.6、LCMSによる実測値 566.3。
5’−AMPアセタール/尿素誘導体の対応する異性体混合物からの1−エチル−3−[9−(6−ヒドロキシメチル−2−スチリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリン−6−イル]−尿素異性体の混合物の酵素的合成:
アセタールジアステレオ異性体の混合物としてのAMPの2’,3’−(シンナミルアセタール)−N6−(エチル尿素)誘導体(0.750g、0.14mmol)を丸底フラスコの中で水(25mL、1.5mol)に溶解し、pHをNaOHで8.3に調整した。温度を35℃に調整し、アルカリホスファターゼ(0.003g、0.00004mol)を添加した。15分以内にその混合物は相当不均一になり、メタノール(20mL、0.5mol)を添加して、そのヌクレオシド生成物を再び溶解した。4時間後、HPLCにより、反応が本質的に完了していると判定された。さらなるMeOH(20mL)の添加、酵素を変性させるための60℃への加熱、及び0.22uM フィルターによる濾過によって、反応物を処理した。メタノールを真空下で蒸発させ、残留溶媒から白色の微粒子固体を沈殿させた。この混合物を氷浴で冷却し、濾過した。その材料を水で洗浄し、その後、デシケーターの中でP25で乾燥させることにより、アセタールジアステレオマーの混合物として表題化合物を得た。乾燥重量 440mg(0.10mmol、収率71%)。
3−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−スチリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−アクリル酸メチルエステル:
1−エチル−3−[9−(6−ヒドロキシメチル−2−スチリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリン−6−イル]−尿素(5.0g、11mmol)を乾燥アセトニトリル(50mL)に懸濁させ、デス・マーチン・ペルヨージナン(6.7g、16mmol)を添加した。その懸濁液を2時間攪拌し、その時間の後、分取量(aliquot)についてのプロトンNMRは、アルデヒドへの完全転化を示した。(メトキシカルボニルメチレン)トリフェニルホスホラン(3.9g、12mmol)を添加し、攪拌を一晩継続した。その後、その反応混合物を酢酸エチル(300mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム/チオ硫酸ナトリウム(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を蒸発させ、固体を熱イソプロピルアルコール(50mL)に溶解した。それを放置して冷却し、その後、ヘプタンを添加し、一晩攪拌した。結果として生じた沈殿をヘプタンで洗浄し、真空下で乾燥させ、所望の生成物(2.9g、71%)を得た。1H NMR(300MHz,d6DMSO)δ1.15(t,3H,J=7Hz)、3.21(q,2H,J=7Hz)、3.59(s,3H)、4.98(m,1H)、5.28(□t,1H,J=6Hz)、5.51(dd,1H,J=6Hz,<2Hz)、5.70(d,1H,J=16Hz)、5.90(d,1H,J=6Hz)、6.30(dd,1H,J=6Hz,16Hz)、6.45(d,1H,J<2Hz)、6.95(d,1H,J=15Hz)、7.35(m,3H)、7.45(d,2H,J=7Hz)、8.50(s,1H)、8.60(s,1H)、9.30(t,1H,J=6Hz)、9.60(s,1H)。
3−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−スチリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−プロピオン酸メチルエステル:
3−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−スチリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−アクリル酸メチルエステル(250mg、0.5mmol)を乾燥メタノール(3mL)に溶解した。硫酸銅(II)(90mg、0.5mmol)を添加し、その後、テトラヒドロホウ酸ナトリウム(90mg、2.5mmol)を添加し、その反応物を48時間攪拌した。反応物を水で希釈し、濾過し、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶解し、ヘプタンで沈殿させた。その沈殿物をジクロロメタンに溶解し、溶離剤としてジクロロメタン−メタノール(95:5)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーに付して、表題化合物(125mg、50%)を得た。1H NMR(300MHz,d6DMSO)δ1.15(t,3H,J=7Hz)、1.90(m,2H)、2.19(m,2H)、3.21(q,2H,J=7Hz),3.55(s,3H),4.20(m,1H),4.98(dd,1H,J=4Hz,6Hz),5.45(dd,1H,J=3Hz,7Hz),5.85(d,1H,J=6Hz),6.25(d,1H,J=3Hz),6.27(dd,1H,J=6Hz,16Hz),6.90(d,1H,J 16Hz),7.35(m,3H),7.50(d,2H,J=7Hz)、8.56(s,1H)、8.57(s,1H),9.30(t,1H,J=5Hz),9.60(s,1H)。
3−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−スチリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−プロピオン酸:
3−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−スチリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−プロピオン酸メチルエステル(5.0g、10mmol)をテトラヒドロフラン(300mL)に溶解した。水(100mL)を添加し、その後、水酸化リチウム(1.0g、25mmol)を添加した。その溶液を室温で16時間、攪拌させておいた。それを酢酸でpH5に酸性化し、真空下で濃縮し、その後、クロロホルム(300mL)で抽出した。その有機抽出物を蒸発させ、酢酸エチルに再び溶解し、ヘプタンで沈殿させて、最終生成物(3.9g、80%)を得た。1H NMR(300MHz,d6DMSO)δ1.14(t 3H,J=7Hz),1.90(m,2H)、2.19(m,2H)、3.26(q,2H,J=6Hz),4.17(m,1H)、4.93(Ψt,1H,J=6Hz),5.43(dd,1H,J=3Hz,7Hz)、5.84(d 1H,J=6Hz)、6.24(d,1H,J=3Hz),6.28(dd,1H,J=7Hz,13Hz)、6.90(d,1H,J 16Hz),7.35(m,3H),7.51(d,2H,J=7Hz)、8.56(s,1H),8.61(s,1H)、9.30(t,1H,J=6Hz)。
図式12におけるような5’−エーテルの合成:
3−クロロ−2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシメチル}−安息香酸
1−エチル−3−[9−(6−ヒドロキシメチル−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリン−6−イル]−尿素(0.200g、0.44mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)に懸濁させ、水素化ナトリウム(油中60% w/w、0.106g、2.65mmol)を添加した。泡立ちが治まったら、2−ブロモメチル−3−クロロ−安息香酸メチル(0.233g、0.88mmol)を添加し、その反応混合物を一晩、室温で攪拌した。質量スペクトル分析は、反応が完了したこと、及びその生成物が、そのメチルエステルのインサイチューでの加水分解から生じた表題化合物であることを示した。酢酸でそのpHを5に低下させ、その混合物を酢酸エチル(40mL)と50%飽和塩化ナトリウム(50mL)とで分配した。層を分離し、酢酸エチル層を濃縮乾固させた。残留物をアセトニトリル水溶液中で再構成し、その生成物を分取HPLC(C18カラム、20分かけて0.05M 酢酸アンモニウム(pH6.5)からアセトニトリルへの勾配)で精製した。生成物を含有する画分から溶媒を除去して、一晩の凍結乾燥の後、表題化合物を得た(0.194g、70%)。
3029ClN67についてのMW計算値(MH-)620.0、LCMSによる実測値 619.6。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ1.29(t 3H)、3.42(q,2H)、3.77(dd,1H)、3.97(dd,1H)、4.70(s,1H)、4.90(d,1H)、5.05(d,1H)、5.19(d,1H)、5.60(dd,1H)、5.86(d,1H)、6.18(dd,1H)、6.28(d,1H)、6.83(d,1H)、7.36(m,7H)、7.89(d,1H)、8.52(s,1H)、8.57(s,1H)、9.33(s,1H)、9.56(t,1H)。
ADP誘発血小板凝集の阻害:
血小板の単離:ヒトの血液は、告知を受けた健常な成人ボランティアから得る。血液を採取して、六分の一の量の酸/クエン酸塩/デキストロース(ACD)緩衝液(85mM クエン酸ナトリウム、65mM クエン酸、及び110mM グルコース)に入れる。採取した血液を30分間、37℃の水浴に入れる。その後、血液を275x gで16分間、室温で遠心分離し、血小板が豊富な血漿を除去し、2200x gで13分間、室温で遠心分離する。10U/mLのヘパリン及び5μM(最終濃度)のプロスタグランジンI2(PGI2)を含有する、40mLのHEPES緩衝タイロード溶液(137mM NaCl、2.7mM KCl、1mM MgCl2、2mM CaCl2、12mM NaHCO3、0.36mM NaH2PO4、5.5mM グルコース、5mM HEPES pH7.4、0.35% ウシ血清アルブミン又は0.35% ヒト血清アルブミン)に、その血小板ペレットを再び懸濁させる。その血小板懸濁液を37℃の水浴で10分間インキュベートし、その後、5μM(最終濃度)のPGI2を添加し、その直後に1900x gで8分間、遠心分離する。得られたペレットを、5μM(最終濃度の)PGI2を含有する40mLのHEPES緩衝タイロード溶液に再び懸濁させ、その後、37℃の水浴で10分間、インキュベートした。そのペレット懸濁液のうちの小分取量(500μL)をペレット計数のために除去する。遠心分離の前に5μM(最終濃度)のPGI2をその懸濁液に添加し、その後、その懸濁液を1900x gで8分間、遠心分離する。0.05U/mLのアピラーゼを含有するHEPES緩衝タイロード溶液にそのペレットを細胞数5×108/mLの密度で再び懸濁させる。
凝集試験:37℃でルミ−アグリゴメーター(ペンシルバニア州、ヘイバータウンのChrono−Log Corp.)において攪拌(1000rpm)洗浄ペレットの0.5mLの懸濁液を通る光の透過を測定することにより、ADP誘発血小板凝集を判定する。0.5mLのHepes緩衝タイロード溶液を使用して、その計器の基線を設定する。凝集測定の前にそのペレット懸濁液に1mg/mLのフィブリノゲンを補足する。指示濃度のADP又は他の作動薬の添加により血小板凝集を開始させ、光の透過を少なくとも8分間、継続的に記録する。ペレット凝集の阻害を検定するとき、ADP又は他の作動薬を添加する前に、2分間、指示濃度の阻害剤の存在下で血小板をインキュベートし、その応答を少なくとも8分間記録する。血小板凝集の作動薬及び阻害剤の力価は、GraphPadソフトウェアパッケージ(カリフォルニア州、サンディエゴのGraphPad Corp.)を使用して4パラメーター理論式にデータを当てはめることにより各判定について得られる凝集速度と最大凝集度の両方から計算する。
広範な濃度(通常、1nMから100μM)のP2Y12アンタゴニストを検定すると、IC50値も得られる。IC50値は、所与の濃度のADPによって惹起される凝集を50%阻害するために必要なアンタゴニストの濃度を表す。
全血におけるADP誘発血小板凝集の阻害:
ヒト血液は、告知を受けた健常な成人ボランティアから得る。血液を採取して、抗凝集薬としてヘパリン、クエン酸ナトリウム、PPACK又はヒルジンが入っている注射器に入れる。血液を注意深くコニカルチューブに移し、室温で維持する。アッセイは、血液サンプル採取から60分以内に行う。アグリゴメーター(ペンシルバニア州、ヘイバータウンのChrono−Log Corp.)のインピーダンスモードを用いて、ADP誘発血小板凝集を行う。血液を穏やかに混合し、500μLの分取量を測定用キュベットに移し、その後、450μLの温滅菌食塩水を各キュベットに添加し、そのサンプルを1000rpmで攪拌する。インピーダンスプローブをそのキュベットに導入し、サンプルをそのアグリゴメーターの中で約3-4分間放置して温める。基底インピーダンスを1分間記録し、その後、50μLの適切な濃度のADPを添加して、ADP用量応答曲線を作成する。血小板凝集に対するP2Y12受容体アンタゴニストの評価のために、上に示したように基底インピーダンスを1分間記録した後、血液サンプルに50μLのアンタゴニスト又はビヒクルを補足し、2分後、50μLのADP(EC90;通常は5-10μmol/L ADP)を添加し、そのインピーダンスを8分間まで記録する。GraphPadソフトウェアパッケージ(カリフォルニア州、サンディエゴのGraphPad Corp.)を使用して4パラメーター理論式にデータを当てはめることにより各サンプルにおいて得られたインピーダンス値から、血小板凝集の作動薬及び阻害薬の力価を計算する。
インビボでの血小板凝集に対する効果:
インビボで血小板凝集を阻害するこれらの化合物の能力を評価するために、R.G.Humphries et al.(Br.J.Pharmacol.115:1110−1116,1995)の方法に類似した実験計画を実行した。
手術の準備及び機器使用:雄Sprague−Dawleyラットを麻酔する。加熱ランプで体温を37±5℃に維持する。動物は自然に呼吸しており、気管切開を行って開放気道を確保する。ヘパリン添加食塩水が入っているカニューレを左大腿動脈に導入し、変換機に接続して、血圧及び心拍数を記録する。ヘパリン無添加食塩水が入っているカニューレを左総頚動脈及び左頚静脈に、それぞれ、動脈血サンプルの回収及び化合物の静脈投与のために導入する。
実験計画:化合物又はビヒクルのいずれかを各動物に輸液として投与する。最初の輸注の直前、各輸注終了時、及び最終的な輸注の中止後20分の時点で、エクスビボでの血小板凝集測定のために、血液サンプルを採取する。サンプル採取直後、食塩水で1:1希釈し、37℃で4分間インキュベートした0.5mLの血液サンプルにおいて、ADP誘発血小板凝集をデュプリケートで測定する。この期間の最後の瞬間に、キュベットをルミ−アグリゴメーターに移し、900rpmでサンプルを攪拌する。APD(3μM)を20μLの量で添加し、そのアグリゴメーターのインピーダンスモードを用いて凝集応答を記録する。
麻酔したラットにおける血栓形成の阻害:
インビボでの血栓形成に対するこれらの化合物の効果を評価するために、以下の実験計画を実行する。
ラット(CD−1;雄;約350グラム;ノースカロライナ州、ローリーのCharles River)をペントバルビタールナトリウム(70mg/kg 腹腔内)で麻酔する。腹部の毛を刈り、22ゲージ静脈内カテーテルを外側尾静脈に挿入する。正中切開を行い、食塩水に浸したガーゼで腸を覆い、腹部大動脈に近づきやすいように配置する。下大静脈及び腹部大動脈を注意深く単離し、腹部大動脈の(分岐部に近位の腎動脈に遠位の)一箇所(約1cm)を切開する。この箇所における大動脈からのすべての枝を4−0絹糸で結紮する。遷音速流メーター(トランスonic flow meter)に接続された直径2.5mmのフロープローブを動脈に配置し、基線(狭窄前)流量を記録する。2つのチップを動脈の周りに配置して、血管径を約80%縮小する。第二基線流量測定を行い(狭窄後)、充血応答を検定する。その後、動物を尾静脈カテーテルにより静脈内的に化合物又は食塩水のいずれかで治療する。治療の5分後、止血鉗子で血管を外側から繰り返し圧縮することにより、血栓を誘発する。傷害の2分後、血管圧縮を繰り返し、10分間の流量モニターを開始する。傷害後最初の最低10分間、動物を継続的にモニターする。(障害後)20分後、流量測定を繰り返し、動物を安楽死させる。可能な組織評価のために、傷害箇所を含む大動脈の切片を採取し、10%ホルマリンに入れる。
経口投与後のインビボPK/PD測定:
経口吸収される及びインビボで血小板凝集を阻害するこれらの化合物の能力を評価するために、以下の実験計画を行う。
吸入麻酔を用いて、雄Sprague−Dawleyラットを麻酔する。ヘパリン添加食塩液が入っているカニューレを、静脈血サンプル回収のために、頚静脈に導入する。用量投与前に48時間の回復期間を動物に与える。
化合物又はビヒクルのいずれかを各動物に経口ガバージュとして投与する。化合物投与直前、及び化合物投与後15分から24時間の範囲にわたる12までの時点で、血液サンプルを採取する。HPLC−MS/MSを用いて、それらの血液サンプル中の化合物及び/又は代謝物の量を測定する。
麻酔したイヌにおける血栓形成の阻害:
インビボでの動的血栓形成に対する本発明の化合物の効果を評価するために、J.L.Romson et al.(Thromb.Res.17:841−853,1980)の方法に類似した以下の実験計画を実行する。
手術の準備及び機器使用:簡単に言うと、研究用に特別に繁殖させた(purpose−bred)イヌを麻酔し、挿管し、室内気を通す。第五肋間腔における左開胸術により心臓を露出し、心臓周囲用離被架(pericardial cradle)に掛ける。左冠動脈回旋枝(LCCA)の2-3cmセグメントを鈍的剥離により単離する。動脈に近位から遠位へとフロープローブ、刺激電極及びGoldblattクランプを使用する。フロープローブにより、平均及び相性LCCA血流速度をモニターする。刺激電極、及びLCCAへのその配置、及び閉塞性冠動脈血栓を誘発する方法論は、以前に説明されている(J.K.Mickelson et al.,Circulation 81:617−627,1990;R.J.Shebuski et al.,Circulation 82:169−177,1990;J.F.Tschopp et al.,Coron.Artery Dis.4:809−817,1993)。
実験計画:対照群には食塩水を静脈内投与し、3つの薬物治療群には化合物を静脈内投与する、4つの治療計画(治療群当たりn=6)のうちの1つにイヌを無作為に割り当てる。外科的介入から安定したら、犬に食塩水又は化合物を投与する。約30分後、陽極電流を180分間、LCCAに適用する。閉塞性血栓の形成に先立つ周期的流量変化(CFV)の数及び度数を記録する。これらの周期的現象は、狭窄された内腔において血小板凝集の結果として形成する血小板血栓によって引き起こされる(J.D.Folts et al.,Circulation 54:365−370,1976;Bush et al.,Circulation 69:1161−1170,1984)。最低30分間のLCCAにおけるゼロ流量は、抗血栓効果が無いことを示す(L.G.Frederick et al.,Circulation 93:129−134,1996)。
本発明の代表化合物のIC50
洗浄ヒト血小板を使用し、実施例14の実験計画に従って、血小板IC50データを判定した。作動薬は、一般に、1-5μMの範囲で誘発する(ADP)。データをμMで提示する。これらのデータは、2つ以上の実験の平均値である。
Figure 2009520510
表1のデータは、本発明の化合物の様々なセットが、P2Y12媒介血小板凝集のアンタゴニストとしての活性を示すことを例証する。例えば、式Iに属する化合物(1、14、19、24、26及び36)は、リボースの4’及び2’/3’(アセタール)位及び/又はその塩基の6(尿素)位に異なる部分を有するにも関わらず、P2Y12アンタゴニスト活性を示す。もう1つの例において、式IIIの定義に属する化合物(58、58a、62a、62b、62c、62d、62e及び62k)は、原子数2又は3のエーテル結合によるリボース環の4’炭素への芳香族残基(置換基を伴い又は伴わずもの)のコンジュゲーションがP2Y12アンタゴニストにつながることを実証している。加えて、好ましい式IVに属する化合物(65、69及び70)は、4’位にプロリンアミド残基、2’/3’位にフェニル又はスチリルアセタール部分及び6位にエチル尿素を含有する、ジアステレオマー的に純粋な分子が、式Iに属するものとして前に挙げたあまり好ましくない化合物に比べて改善された力価を有することを例証している。さらに、より好ましい式Vに属する化合物(107、108、109、110、112、115、127、128及び130)は、劇的に良好な力価(0.1未満及び化合物112については0.01未満でさえあるIC50データ)を示しており、これは、式IVに属する好ましい化合物について前に挙げた好ましいアセタール及び尿素に加えて、4’位にベンジルエーテル(Mの定義に属する置換基を有する若しくはは有さないもの)又は2−ニコチニルメチル部分をそれらが含有する結果としてであると考えられる。データは、ベンジル位にキラルメチル基を有する化合物(109a及び109b)が、血小板P2Y12受容体に対するアンタゴニストとして良好な活性を依然として示すことも示している。
表1は、ベンジルエーテル部分の酸素を置換すること、並びにX及び式IIの定義に属するリボース環4’位と末端フェニル環の間の連結基を総原子数3ではなく2に減らすこと(158)が、やはり活性分子を招くことも示している。尚、さらに、式VIIに属する好ましい化合物(183、189、191及び210)は、P2Y12アンタゴニスト活性が、前に説明した好ましいスチリルアセタール及びエチル尿素部分と共に、単純な非環式非芳香族部分でのリボース4’位の修飾によって得ることができることを示している。尚、さらに、式IXに属する好ましい化合物(233)は、式IにおけるA及びBの定義に属する4’位の連結基のうちの1つがカルバメート部分であるとき、P2Y12アンタゴニスト活性を示すことができる。もう1つの例証として、式Xに属する好ましい化合物(239)は、式I及び式IIにおける部分Xの定義に属するリボース環の4’位とフェニル環の間の連結基の一部がアミドであるとき、強力な活性を示す。さらにもう1つの例証として、式XIIの定義に属する化合物(298)は、式I及び式IIにおいてXにより定義されている部分が、5員複素環であるとき、活性であり得る。考え合わせて、表1は、式IV-XIIの定義に属する広範な分子が、P2Y12媒介血小板凝集のアンタゴニストとして有用であり得、従って、血小板凝集の阻害が有益であろう疾病における治療薬として潜在的に有用であり得ることを例証している。
P2T12アンタゴニスト化合物を組み込んだポリマーによるステントのコーティング
米国特許第6,908,624号(Hossainy)の実施例4の記載から改変した手順によりステントをP2T12アンタゴニスト化合物でコーティングする。ステントをイソプロパノール中に懸濁させ、そして超音波浴中で30分間浄化する。該ステントを乾燥させ、そしてプラズマ室で浄化する。60℃で24時間撹拌及び振盪させながら、1部のポリ(エチレン−ビニルアルコール)を7部のジメチルスルホキシド中に溶解させることにより、ポリ(エチレン−ビニルアルコール)溶液を作成する。P2Y12アンタゴニスト化合物(例えば、化合物41;典型的には総量の2〜10重量%の範囲)を該ポリ(エチレン−ビニルアルコール)/ジメチルスルホキシド溶液に添加し、そして該溶液を混合し、ボルテックスし、そしてチューブ内に静置する。該ステントをマンドレルワイヤーに取り付け、そして該溶液中に浸漬させる。該コーティングしたステントを60℃のホットプレート上にて短時間通過させ、それから周囲温度で6時間硬化させ、その後40〜60℃の真空オーブン中で24時間乾燥させる。上記プロセスを2〜3回繰り返し、2又は3層を与える。最後の乾燥後、電子線照射により該ステントを任意的に滅菌する。
本発明、並びに本発明を製造及び使用する方法及びプロセスは、関係する当業者が本発明を製造し使用することができるような十分で、明瞭で、簡潔で正確な用語で、今般、説明される。上記が本発明の好ましい実施形態を説明するものであること、及び特許請求範囲に記載する本発明の範囲から逸脱することなく本発明を変更できることは、理解されるはずである。本発明と見なされる主題を特に指摘し、明瞭に特許請求するために、以下の特許請求の範囲をもって本明細書を締めくくる。

Claims (30)

  1. 薬剤溶出ステントであって、ここで該ステントが、一般式I:
    Figure 2009520510
    (式中、
    a及びRbは、各々、独立して、水素、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、アリール、及び飽和又は不飽和C3-6複素環からなる群(この場合、すべての環又は鎖が、1又は複数の所望の置換基を任意的に有する)より選択されるか;又は
    aとRbが一緒に、置換を伴い又は伴わず、及び環炭素原子の代わりにヘテロ原子を伴い又は伴わず、3〜7員の環を形成し;
    cは、H、C1-8アルキル、C3-7シクロアルキル、アラルキル、アリール若しくは複素環、又はR(CO)−であり;
    ここでRは、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アリール、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール及び飽和又は不飽和C3-6複素環からなる群(この場合、すべての環又は鎖は、1又は複数の所望の置換基を任意的に有する)より選択され;
    Gは、O、S又はNRdであり、ここでRdは以下のとおり定義され;
    d及びRd’は、独立して、H、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、C4-11アルキルシクロアルキル、C5-11アルキルシクロアルケニル(アルキル部分に1〜4個の炭素を有する)、アラルアルキル、アラルケニル、アラルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び飽和若しくは不飽和C3-6複素環からなる群より選択され;又は
    d基とRd’基が一緒に、不飽和を伴い若しくは伴わず、及び環炭素ユニットの代わりにヘテロ原子を伴い若しくは伴わず、4〜7員の環を形成し;又は
    d若しくはRd’とRcが一緒に、不飽和を伴い若しくは伴わず、及び環炭素ユニットの代わりにヘテロ原子を伴い若しくは伴わず、4〜7員の環を形成し;
    eは、O又は不存在であり;
    fは、H、ハロゲン、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、C4-11アルキルシクロアルキル、C5-11アルキルシクロアルケニル(アルキル部分に1〜4個の炭素を有する)、アリール、アラルアルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、飽和又は不飽和C3-6複素環、−OH、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、−SH、C1-6チオアルキル、チオアリール、−[(CO)OR]、−[(CO)NRR]、アミノ、−N−置換アミノ、又はN,N−二置換アミノであり;ここで、Rfの前記N−置換アミノ基又はN,N−二置換アミノ基上の前記各置換基は、独立して、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アリール、アラルアルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、C3-6複素環、−[(CO)R]及び[(CO)NRR](式中各Rは独立に上に定義されるとおりである)からなる群より選択され;又は
    fが、−NRR、−[NH(CO)NRR]、−[N(C1-8アルキル)(CO)NRR]、−[N(アリール)(CO)NRR]、又は[N(アラルキル)(CO)NRR]であるとき、Rf中の前記−NRRユニットのR基が一緒に、環炭素ユニットの代わりにヘテロ原子を伴い又は伴わず3〜7員の環を形成することができ;
    Jは、N又はCであり、但し、JがNのときには、Rgが不存在であり;
    JがCのときには、Rgが、−H、ハロゲン、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、アリール、−OH、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、−SH、C1-6チオアルキル、チオアリール、−[(CO)OR]、−[(CO)NRR]、及びNRR(式中、各Rは独立に上に定義されるとおりである)からなる群より選択され;又は
    gが、−[(CO)NRR]又はNRRであるとき、Rg中の前記−NRRユニット(N,N−二置換アミノ基)のR基が一緒に、環炭素ユニットの代わりにヘテロ原子を伴い又は伴わず3〜7員の環を形成し;
    Dは、O、NH、N−アシル、N−アルキル、又はCH2であり、ここで該Hは任意的に置換されており;
    A及びBは、それぞれ独立に、C、N、置換されたN、O、S、S(O)、SO2、−C1-3アルキレン−、−C1-3へテロアルキレンからなる群より選択され、式中A及びBの各上記−C1-3アルキレン−ユニットは飽和又は不飽和であり、そしてA及びBの−C1-3アルキレン−ユニットの各炭素は、独立に、0〜2個のフッ素基、0〜2個のアルキル基、0〜2個の−[(CO)OR]基、0〜2個の−(OR)基、0〜1個の(OH)基、又は0〜1個のシクロアルキル基により任意的に置換されており(A及びBの両方を架橋しているか、あるいはA又はBのいずれかに結合されている);あるいは、式中A及びBの各上記−C1-3へテロアルキレンユニットは、独立に、NH、置換されたN、O、S、S(O)、SO2を含み、又は
    A及びBは、独立に、CH2、CF2−、−(CO)−、−NH(CO)−、−NR(CO)−、−(CO)NH−、−(CO)NR−、−NH(CO)NH−、−NH(CS)NH−、−N(NH)NH−、−N(NR)NH−、−NH(CO)O−、−NH(CS)O−、−O(CO)NH−、−O(CS)NH−であり、但し−S−S−又は−O−O−結合は−A−及び−B−基の組み合わせにより形成されず;又は
    A及び/又はBは不存在であり;
    Xは、H、−OR、−COOH、−COOR、−SR、−S(O)RL、−S(O2)RL、−SO3H、−S(O2)NRR、−S(O2)NR(CO)RL、−NRR、−NR(CO)RL、−N[(CO)RL]2、−NR(SO2)RL、−NR(CO)NR(SO2)RL、−NR(SO2)NRR、又は−NR(SO2)NR(CO)RLであり;式中Lは:H、−CF3、−CF2CF3、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、C4-11アルキルシクロアルキル、C5-11アルキルシクロアルケニル(アルキル部分に1〜4個の炭素を有する)、飽和又は不飽和ヘテロアリール、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、飽和又は不飽和C3-6複素環、C1-6アルコキシ、アラルコキシ、アリールオキシ、N,N−二置換アミノ、N−置換アミノ、又は非置換アミノであり;ここで全ての環又は鎖は任意的に1又は複数の所望の置換基を有し;又は
    LがN−置換アミノ、又はN,N−二置換アミノであるとき、Lの上記アミノ基の各置換基は:C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、及びC3-6複素環であり;
    LがN,N−二置換アミノであるとき、上の基から独立に選択された2つの置換基は、一緒に3〜7員の環を形成し、ここで該形成された環は、該環形成前の選択された置換基の残存している特性を有し;A及びBのいずれか又は両方のC1-3アルキレンユニット中に任意的にいずれかの1つの炭素ユニットのために作成されることができ、但し−A−B−鎖上の1つの炭素ユニットのために3個未満のヘテロ原子含有ユニットの置換が行われ、−A−B−鎖上の1つの炭素ユニットのためのヘテロ原子含有ユニットの置換又は置換(複数)によりX−A−B−鎖中に−S−S−、又は−O−O−結合は形成されず、そして該へテロ原子置換は、該置換ヘテロ原子が式Iに示されるテトラヒドロフラン環に直接結合するようには行われず;
    式中、X中の−NRRユニットのR基は、任意的に一緒に、環炭素ユニットの代わりにヘテロ原子を伴い又は伴わず3〜7員の環を形成し;
    但しXがHのとき、Ra又はRbの少なくとも1つはHでなければならず;又は
    Xは式II
    Figure 2009520510
    に供される基であり:
    式中:
    6は、A−Bにより定義される部分に対する付着点であり;
    1−X6により定義される環は、不飽和度を伴う又は伴わない環を意味し;
    1−X6は、独立に、C、N、O、又はSであり;そして
    1−X5のいずれかがCであるとき、不飽和環中の二重結合される炭素原子は、H、又は置換基M、又は以下に定義されるCO2hを含んで成る部分を有し;又は
    1−X5のいずれかがCであるとき、飽和環中に単結合される炭素原子は、2つのH、又は1つのHと以下に規定されるCO2hを含んで成る部分、又は1つのHと1つの置換基M、又はHを伴わない2つの置換基Mであり、但し1又は2つのM置換基を伴ういずれかのこのような部分は十分に化学的に安定であり;
    1−X5のいずれかが飽和環中のNであるとき、該窒素原子はH又はアルキル又はアシルのような置換基を有し、
    1−X5のいずれかは不存在であってよいが、但しX1−X6により記載される環が少なくとも3個の原子からなるように環X1−X5の少なくとも2つが存在し;
    但し2つの隣接原子X1−X6は共にO又はSではなく、そして式IIに示される環は、4個以下のヘテロ原子を含有し、そして式II中の示されたペンダントCO2hユニットは式IIに記載された環上の置換基であり;
    Pは、0、1、又は2であり;
    rは、0又は1であり;
    hは、H、カルボン酸塩を形成する生理的に適切なカチオン、アルキル、アリール、又はアラルキルであり、ここで得られた部分C(O)ORhは、好ましくはAの付着部分に対して隣接関係を有し;好ましくはRhはH又はアルキルであり;
    Mは:ハロゲン、−CF3、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、飽和又は不飽和C3-6複素環、−OH、シアノ、ニトロ、飽和又は不飽和C1-8アルコキシ、アラルコキシ、アリールオキシ、−SH、C1-6チオアルキル、チオアリール、−[(CO)OR’]、−[(CO)NR’R”]、アミノ、−N−置換アミノ、及びN,N−二置換アミノからなる群から選択され;
    ここで各上記置換基R’又はR”は、独立に、H、カルボン酸塩を形成する生理的に適切なカチオン、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、又はC3-6複素環からなる群から選択され;そして
    yは、0〜4であり、但し生じた構造が化学的に適当である)の1又は複数の非ヌクレオチドP2Y12受容体アンタゴニスト化合物、又はその医薬的に許容される水和物、溶媒和物又は塩によりコーティングされており、ここで該ステントが血管中に留置されると、治療的有効量の該化合物が該局所環境に溶出することを特徴とする、薬剤溶出ステント。
  2. 前記化合物が、4−{2,2−ジメチル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−イソフタル酸(化合物1);2−[6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ]−ニコチン酸(化合物14);2−{2−ナフタレン−2−イル−6−[6−(3−フェニル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(化合物19);2−{6−[6−(3−ヘキシル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−フェニル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(化合物24);2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−フェニルエチニル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−ニコチン酸(化合物26);1−{2−ベンジル−6−[6−(3−シクロペンチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸(化合物36);又は、1−(9−{2−ベンジル−6−[(3−メチルスルホニル−ウレイド)−メチル]−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル}−9H−プリン−6−イル)−3−フェニル−尿素(化合物37)である、請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  3. 前記式Iの化合物が、式III:
    Figure 2009520510
    (式中、Ra、Rb、Rc、G、Rd、Rd’、Re、Rf、J、Rg、及びRhは請求項1に定義したとおりであり;
    1は、CH2、O、S、S(O)、SO2、NH、又は置換されたNであり;
    Dは、O又はCH2であり;
    1は:N(窒素)及びC−Mからなる群より選択され;
    Mは、独立に:ハロゲン、−CF3、C1-8アルキル、シアノ、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、飽和又は不飽和C2-6複素環、−OH、飽和又は不飽和C1-6アルコキシ、アラルコキシ、アリールオキシ、−SH、C1-6チオアルキル、チオアリール、−[(CO)OR’]、−[(CO)NR’R”]、アミノ、−N−置換アミノ、及びN、N−二置換アミノからなる群より選択され;
    R’及びR”は、独立に:H、カルボン酸塩を形成する生理学的に適切なカチオン(該部分が−[(CO)OR’]である場合)、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、C1-8アルキニル、C3-7シクロアルキル、C4-7シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、又はC3-6複素環からなる群より選択され;
    yは、0〜4であり、但し生じる構造は化学的に妥当であり;そして
    mは、0〜3であり、但しmが0のとき、A1及び/又はDはCH2である)の化合物である、請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  4. 前記式IIIの化合物が化合物58、58a、62a、62b、62c、62d、62e、又は62kである、請求項3に記載の薬剤溶出ステント。
  5. 前記式Iの化合物が式IV:
    Figure 2009520510
    (式中、Ra、Rb、Rc、G、D、Rd、Rd’、Re、Rf、J、M,y、Rg及びRhは請求項1に定義したとおりであり;
    1及びq2は0、1、又は2であり;
    M及び−CO2h基は、独立かつ任意に、ピロリジン環のいずれかの炭素に付着しており;そしてMが、α位におけるピロリジン窒素原子に結合している炭素に付着している場合、Mは、ハロゲン、ヒドロキシ、スルフヒドリル、又はアミノ基ではない)の化合物である、請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  6. 前記式IVの化合物が、1−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−フェニル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−L−ピロリジン−2−カルボン酸(化合物65);1−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−L−ピロリジン−2−カルボン酸(化合物69);又は1−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニル}−D−ピロリジン−2−カルボン酸(化合物70)である、請求項5に記載の薬剤溶出ステント。
  7. 前記式Iの化合物が式V:
    Figure 2009520510
    (式中、Ra、Rb、Rc、D、G、Rd、Rd’、Re、Rf、J、M,y、X1、Rg及びRhは請求項1に定義したとおりであり;
    i及びRjは、独立に、H、F、1〜3個の炭素原子に由来するアルキル、又は結合により連結されたCH2であり;
    2は、C、O、S、S(O)、SO2、又はNであり、ここでCは、H、F、二重結合されたO、OH、又はアルキルを有し、そしてNは、H、アルキル、又はアシルを有し;あるいは
    2は不存在である)の化合物である、請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  8. 前記式Vの化合物が、2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−フェニル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシメチル}−安息香酸(化合物107);2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−シス−フェニル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシメチル}−安息香酸(化合物108);2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−シクロペンタ[1,3]ジオキソール−4−イルメトキシメチル}−安息香酸(化合物109);2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−フェニル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシメチル}−3−フルオロ−安息香酸(化合物110);2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−シクロペンタ[1,3]ジオキソール−4−イルメトキシメチル}−3−フルオロ−安息香酸(化合物112);3−クロロ−2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−シクロペンタ[1,3]ジオキソール−4−イルメトキシメチル}−安息香酸(化合物115);2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−シクロペンタ[1,3]ジオキソール−4−イルメトキシメチル}−イソフタル酸(化合物127);2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−フェニル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメトキシメチル}−ニコチン酸(化合物128);又は2−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−シクロペンタ[1,3]ジオキソール−4−イルメトキシメチル}−ニコチン酸(化合物130)である、請求項7に記載の薬剤溶出ステント。
  9. 前記式Vの化合物が、化合物109a、化合物109b、又は化合物158である、請求項7に記載の薬剤溶出ステント。
  10. 前記式Iの化合物が、式VI:
    Figure 2009520510
    (式中:
    a、Rb、Rc、D、G、Rd、Rd’、Re、Rf、J、M,y、X1、Rg及びRhは請求項1に定義したとおりであり;
    ある態様において、DはOであり、そして
    3はCであり、ここでCはH又はアルキルで置換されてもよく;あるいは
    3は不存在であり;そして
    iはH又はアルキルである)の化合物である、請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  11. 前記式Iの化合物が、式VII:
    Figure 2009520510
    (式中:
    a、Rb、Rc、D、G、Rd、Rd’、Re、Rf、J、Rg及びRhは請求項1に定義したとおりであり;
    1及びq2は、独立に、0、1、又は2であり;
    2は、請求項7において定義したとおりであり、但しq1及び/又はq2が0であるとき、A2はCであり;あるいは
    2は不存在である)の化合物である、請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  12. 前記式VIIの化合物が、3−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−シクロペンタ[1,3]ジオキソール−4−イル}−プロピオン酸(化合物183);{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−シクロペンタ[1,3]ジオキソール−4−イルメトキシ}−酢酸(化合物189);({6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルメチル}−アミノ)−酢酸(化合物191);又は6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボン酸(化合物210)である、請求項11に記載の薬剤溶出ステント。
  13. 前記式VIIの化合物が、化合物181a、181b、又は181cである、請求項11に記載の薬剤溶出ステント。
  14. 前記式Iの化合物が、式VIII:
    Figure 2009520510
    (式中:
    a、Rb、Rc、D、G、Rd、Rd’、Re、Rf、J、Rg及びRhは請求項1に定義したとおりであり;
    3は、1、2、又は3であり;そして
    iは、H又はアルキルである)の化合物である、請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  15. 前記式Iの化合物が、式IX:
    Figure 2009520510
    (式中:
    a、Rb、Rc、G、Rd、Rd’、Re、Rf、J、Rg及びRhは請求項1に定義したとおりであり;
    4及びA6は、独立に、C、N、O、又はSであり、但しA4は不存在でもよく;
    G’はO又はSであり;
    DはO又はCであり;
    4/C(G’)/A6により記載される部分がアミド、チオアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、ケトン、又はチオケトンであり;そして
    1は、0、1、又は2である)の化合物である、請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  16. 前記式IXの化合物が、{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−シクロペンタ[1,3]ジオキソール−4−イルメトキシチオカルボニルアミノ}−酢酸(化合物233)である、請求項15に記載の薬剤溶出ステント。
  17. 前記式Iの化合物が、式X:
    Figure 2009520510
    (式中:
    a、Rb、Rc、G、D、Rd、Rd’、Re、Rf、J、M、y、X1、Rg及びRhは請求項1に定義したとおりであり;
    G’はO又はSであり;
    6は、C、N、O、S又は不存在であり;そして
    iは、H又はアルキルであり;
    6/C(G’)/NRiにより記載される部分がアミド、チオアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素又はチオ尿素である)の化合物である、請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  18. 前記式Xの化合物が、N−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−トランス−スチリル−テトラヒドロ−シクロペンタ[1,3]ジオキソール−4−イルメチル}−フタルアミド酸(化合物239)である、請求項17に記載の薬剤溶出ステント。
  19. 前記式Iの化合物が、式XI:
    Figure 2009520510
    (式中:
    a、Rb、Rc、G、D、Rd、Rd’、Re、Rf、J、M、y、Rg及びRhは請求項1に定義したとおりであり;
    iは、H又はアルキルであり;
    G’はO又はSであり、C(G’)−NRi部分はアミド又はチオアミドであり;そして
    1はC又はNである)の化合物である、請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  20. 前記式Iの化合物が、式XII:
    Figure 2009520510
    (式中:
    a、Rb、Rc、G、D、Rd、Rd’、Re、Rf、J、M、y、Rg及びRhは式I及びIIに定義したとおりであり;
    1、X2、X4、X5、及びX6は、独立に、N、C、S、Oからなる群から選択されるか、あるいは不存在であり;そして不飽和を伴い又は伴わずに、3〜5個の原子の環を形成し;
    1及びq2は、独立に、0、1、又は2であり;
    2は、C、O、S、S(O)、SO2又はNであり、ここでCは、H、F、二重結合されたO、OH又はアルキルを有し、そしてNは、H、アルキル又はアシルを有し;あるいは
    2は、不存在であり;
    1及びq2が0であり、かつA2が不存在であるとき、X1/X2/X4/X5/X6により記載される環は、リボースの4位に直接結合する)の化合物である請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  21. 前記式XIIの化合物が、3−{6−[6−(3−エチル−ウレイド)−プリン−9−イル]−2−スチリル−テトラヒドロ−シクロペンタ[1,3]ジオキソール−4−イルメトキシメチル}−チオフェン−2−カルボン酸(化合物298)である、請求項20に記載の薬剤溶出ステント。
  22. 前記ステントが、冠動脈ステント、脳動脈ステント、頚動脈ステント、大動脈ステント、腎動脈ステント、末梢動脈ステントである、請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  23. 前記ステントが冠動脈ステントである、請求項22に記載のP2Y12受容体アンタゴニスト化合物−溶出ステント。
  24. 前記ステントが1又は複数の一般式Iの非ヌクレオチドP2Y12受容体アンタゴニスト化合物、及び1又は複数の生分解性ポリマーを含んで成る組成物でコーティングされている、請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  25. 前記生分解性ポリマーが、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ酪酸−コ−吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコールサン−コ−トリメチレンカルボネート)、ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリ(トリメチレンカルボネート)、ポリ(イミノカルボネート)、シアノアクリレート、シュウ酸ポリアルキレン、ポリホスファゼン、脂肪族ポリカルボネート、セルロース、澱粉、デキストラン、ヒアルロン酸、及びコラーゲンからなる群より選択される、請求項24に記載の薬剤溶出ステント。
  26. 前記ステントが、1又は複数の一般式Iの非ヌクレオチドP2Y12受容体アンタゴニスト化合物、及び1又は複数の生物安定性ポリマーを含んで成る組成物でコーティングされている、請求項1に記載の薬剤溶出ステント。
  27. 前記生物安定性ポリマーが、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカプロラクタム、塩化ポリビニル、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレン−ビニルアルコール)、ポリエーテル、シリコーン、アクリル酸ポリマー及びコポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリイミド及びポリアクリロニトリルからなる群より選択される、請求項26に記載の薬剤溶出ステント。
  28. 閉塞又は狭窄血管を治療するための方法であって、請求項1に記載の一般式IのP2T12受容体アンタゴニスト化合物−溶出ステントを患者の閉塞又は狭窄血管中に留置する工程を含んで成り、これにより治療的有効量の該化合物がステント留置された範囲に溶出し、これにより血流が再開し、そして再狭窄及び血栓症が予防されることを特徴とする、方法。
  29. ステント留置された血管の開存性を保証するために患者をモニタリングする工程をさらに含んで成る、請求項28に記載の方法。
  30. 前記血管が動脈である、請求項28に記載の方法。
JP2008539087A 2005-11-04 2006-11-02 非ヌクレオチドp2y12受容体アンタゴニスト化合物でコーティングした薬剤溶出ステント Pending JP2009520510A (ja)

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