JP2009516082A - 超高強度マルテンサイト系合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な靱性,延性及び疲労耐性と共に、非常に高い強度を兼ね備えた特異な特性を発揮する時効硬化性マルテンサイト系鋼合金を提供することを課題とする。
【解決手段】時効硬化性マルテンサイト系鋼合金が開示されている。この合金は、重量パーセントで、0.30〜0.36のCと、最大0.05のMnと、最大0.05のSiと、最大0.01のPと、最大0.0010のSと、1.30〜3.2のCrと、10.0〜13.0のNiと、1.0〜2.70のMoと、13.8〜17.4のCoと、最大0.02のTiと、最大0.005のAlと、最大0.030のCeと、最大0.010のLaを有し、残部が、鉄と通常の不純物である。良好な靱性,延性及び疲労耐性と共に、非常に高い強度を兼ね備えた特異な特性を発揮するように、この合金の組成はバランスされている。

Description

本発明は、時効硬化性マルテンサイト系鋼合金に関し、特に、良好な靱性,延性及び疲労耐性と共に非常に高い強度をも兼ね備えた特異な特性を発揮する合金に関するものである。
時効硬化性マルテンサイト系鋼合金は、高い強度と良好な破壊靱性とを兼ね備えた特性を発揮する合金であることが知られている。この合金は、AERMET(商標)310の商品名で販売されており、航空宇宙産業の構造部品,航空機及び陸艇機の装甲板及び工作機械の部品において幅広く使用されている。AERMET310合金は、約65.9MPa√m(60ksi√in)のKIC破壊靱性と共に、約2137MPa(310ksi)の極限引張強さ(ultimate tensile strength)を発揮することができる。
航空宇宙産業では、構造部品の重量とサイズは、設計上の重要な変動要因である。自動車産業、特に、高性能なレーシングカーの分野においても同様のことが言える。従って、航空宇宙学の設計エンジニア及び自動車のエンジニアは、重要な機械的特性、特に機械的強度,靱性及び延性の追求を断念することなく、部品のサイズや重量を低減させる方法を継続的に模索している。低量化された構造部品の使用を可能にする材料に対するこの継続的な要望があるため、AERMET310合金よりも更に高い強度を発揮する鋼合金を確保することが望まれている。しかしながら、鋼の靱性及び延性は、通常、強度特性と反比例の関係にあることがよく知られている。従って、何らかのそのような合金は、靱性及び延性の特性を著しく損なうことなく、より高い強度特性を発揮するものであることが重要である。
高性能自動車に使用されているスプリングのような或る構造部品は、それの機能によって、長期間に及ぶ高頻度の反復動作に晒される。それ故、そのような部品に使用される材料にとって極めて重要な設計上の特性は、疲労に起因する損壊に対する耐性である。従って、高性能な自動車レースにおいて役に立つためには、高い強度,靱性及び延性を兼ね備えた上述の特性に加えて、良好な疲労耐性が必要とされている。
上述した利用分野において要請されている、様々な特質を兼ね備えた特性は、本発明による鋼合金によって、かなりの程度実現される。本発明による合金は、公知の合金と比較して、良好なレベルの靱性及び延性を維持しつつ、公知の合金よりもかなり高い強度を発揮する時効硬化性マルテンサイト系鋼合金である。特に、本発明による合金は、AERMET310合金と少なくとも同等な延性と全体的な靱性と共に、少なくとも約2344MPa(340ksi)の極限引張強さ(UTS)を発揮することができる。更に、本発明による合金は、優れた疲労耐性を発揮する。
本発明による合金は、以下の広範な組成範囲,中間組成範囲及び好適な組成範囲の重量パーセント組成を有する時効硬化性マルテンサイト系鋼合金である。
Figure 2009516082
本合金の残部は、市販等級の鋼に見受けられる通常の不純物と、1%の数千分の一から本合金が兼ね備えている望ましい特性に悪影響を及ぼさない程度のより多い量に変化してもよい少量の付加的元素を除き、実質的に鉄である。
上掲表は、便宜的に要約したものであって、互いに組み合わせて用いられる本発明に係わる合金の各元素範囲の下限値及び上限値を制限し或いは単に互いに組み合わせてのみ用いられる元素の各範囲を制限するものではない。従って、一つ又はそれ以上の元素について広範な組成範囲を採用し、残りの元素については好適な組成範囲を採用することができる。更に、或る元素について、好ましい実施形態の下限値又は上限値のいずれか一方を採用し、上限値又は下限値のいずれか他方を別の実施形態から採用することもできる。
本明細書を通じて、特に指摘していない限り、用語「パーセント」又は記号「%」は、重量パーセントを意味するものとする。
本発明による合金は、少なくとも約0.30%、好ましくは少なくとも約0.32%の炭素を含有している。炭素は、クロム及びモリブデン等の他の元素と組み合わさって時効硬化熱処理中にMC炭化物を生成させることにより、主に合金の良好な強度及び硬度力(hardness capability)に寄与する。炭素が多すぎると、破壊靱性,室温シャルピーV切り欠き(CVN)衝撃靱性及び応力腐食割れ耐性に悪影響を及ぼす。従って、本合金においては、炭素は、約0.36%以下、より好ましくは約0.35%以下、更に好ましくは約0.34%以下に制限される。
コバルトは、本合金によって発揮される非常に高い強度に寄与し、MC炭化物に不均質核生成部位を増進させることにより、合金の時効硬化に利する。更に、合金が発揮する非常に高い強度に関するコバルトの貢献は、炭素の添加よりは、合金の靱性に悪影響を与えない。従って、本合金は少なくとも約13.8%、より好ましくは少なくとも約15.0%のコバルトを含有している。好ましくは、本合金中には少なくとも約15.4%のコバルトが存在している。コバルトは高価な元素であるため、コバルトから得られる利点を考えると、本合金に非常に大量のコバルトを使用することは正当ではない。従って、コバルトは、約17.4%以下、より好ましくは約16.0%以下、更に好ましくは約15.6%以下に制限される。
この合金の特徴である、非常に高い強度と高い靱性とを兼ね備えた優れた特性に利するために、本発明による合金では、炭素とコバルトがコントロールされている。コバルト対炭素の比率(Co/C)を増加させると、靱性を増進させて、この合金中で、非常に高い強度と高い靱性とをより良好に兼ね備えた特性を増進させることが分かった。更に、Co/C比を増加させると、合金の切欠き靱性にも利する。従って、この合金中においては、Co/C比が少なくとも約43、好ましくは少なくとも約52となるようにコバルトと炭素はコントロールされている。しかしながら、高すぎるCo/C比を有する合金の製造コストが高くなることにより、Co/C比を高めることによって得られる利点は、相殺されてしまう。従って、Co/C比は約100以下、好ましくは約75以下に制限される。
クロムは、炭素と組み合わさって時効硬化過程においてMC炭化物を生成させることにより、本合金の良好な強度及び硬度力に寄与する。従って、本合金には少なくとも約1.30%、より好ましくは少なくとも約2.0%、更に好ましくは少なくとも約2.20%のクロムが存在する。クロムが多すぎると、過時効に対する合金の感受性を増加させて、強度を弱める結果となる。更に、クロムが多すぎると、粒界での炭化物の析出を増加させる結果となり、合金の靱性及び延性に悪影響を及ぼす。従って、本合金においては、クロムは約3.20%以下、より好ましくは約2.50%以下、更に好ましくは約2.30%以下に制限される。
モリブデンは、クロムと同様に、炭素と組み合わさって時効硬化過程においてMC炭化物を生成させることにより、本合金の非常に高い強度及び硬度力に寄与するため、この合金中に存在する。更に、モリブデンは過時効に対する合金の感受性を低減させ、応力腐食割れ耐性に利する。従って、本合金には、少なくとも約1.00%、より好ましくは少なくとも約1.50%、更に好ましくは少なくとも約1.80%のモリブデンが存在する。モリブデンが多すぎると、望ましくない粒界炭化物析出の危険性を増大させ、上述した通り、靱性及び延性を低減させる結果となる虞れがある。従って、モリブデンは、約2.70%以下、より好ましくは約2.2%以下、更に好ましくは約1.90%以下に制限される。
ニッケルは、焼入性に有益で、合金の焼入率に対する感受性を低減させ、その結果、良好なCVN靱性が容易に得られるようになるため、本合金には、少なくとも約10.0%、より好ましくは少なくとも約11.0%、更に好ましくは少なくとも11.5%のニッケルが存在する。また、ニッケルは、応力腐食割れ耐性及びKIC破壊靱性にも利する。ニッケルが多すぎると、過時効に対する感受性の増加を助長させてしまう。従って、本合金においては、ニッケルは約13.0%以下、好ましくは約12.5%以下に制限される。
本合金には、所望の特性を損なわせない量で、その他の元素を存在させることができる。マンガンは合金の破壊靱性に悪影響を及ぼすため、本合金中には、約0.05%以下、より好ましくは約0.02%以下のマンガンが存在する。好ましくは、マンガンは、約0.01%以下に制限される。更に、溶解中に合金を脱酸させるために使用される少量の添加物からの残留物として、約0.05%までのケイ素,約0.005%までのアルミニウム及び約0.02%までのチタンを存在させることができる。好ましくは、ケイ素は約0.03%以下に、アルミニウムは約0.003%以下に、チタンは約0.015%以下に制限される。
本合金中に存在する硫黄と組み合わさることにより破壊靱性に利するために、本合金には、硫化物形態制御を可能にする、少量ではあるが有効量の元素が存在する。この様な元素は、破壊靱性特性に悪影響を及ぼさない硫化物含有物を生成するために有効である。同様の効果が茲で引用する米国特許第5,268,044号に記載されている。本発明の一実施形態における合金は、約0.030%までのセリウムと、約0.010%までのランタンを含んでいる。好ましくは、この合金は、約0.020%以下、好ましくは約0.010%以下のセリウムと、約0.005%以下のランタンを含有している。
合金の残部は、この合金と同様な用途に使用される市販等級の合金に通常見受けられる不純物以外は、実質的に鉄である。そのような元素の含有レベルは、所望の特性に悪影響を及ぼすことを回避するためコントロールされる。例えば、リンは合金を脆化させる効果があるため、約0.01%以下、好ましくは約0.005%以下に制限される。硫黄は不可避的に存在するものであるが、合金の破壊靱性に悪影響を及ぼすため、約0.0010%以下、好ましくは約0.0005%以下に制限される。
本発明による合金は、公知の真空溶解技術を使用して、容易に溶解させられる。最良の結果を得るためには、多段溶解法(multiple melting practice)が好ましく、溶解炉の荷電(charging)のために、電解鉄の如き極めてクリーンな出発材料を用いることが好ましい。その好ましい方法は、真空誘導溶解(VIM)によってヒートを溶解させて、そのヒートを電極の形態に鋳造することである。次に、その電極を真空アーク再熔解(VAR)によって更なる処理のための一つ又はそれ以上のインゴットに精錬させる。
本合金にセリウム及びランタンを導入する好適な方法は、VARインゴット電極を鋳造する前のVIM中に、高純度等級のセリウム及びランタンを添加することである。NiLaの如き希土類元素合金を使用することもできる。VIM溶解物におけるセリウム対硫黄の比率(Ce/S)が少なくとも約4である場合には、有効量のセリウムとランタンが存在する。Ce/S比が約20以上であると、鋳放しのVAR電極インゴットに存在する希土類元素の残留量が、合金の熱間加工性及び引張延性に悪影響を及ぼす可能性がある。好ましくは、VIM時のCe/S比は、少なくとも約8で且つ約10以下である。本合金の別の実施形態では、有益な硫化物形態制御を可能にするために、少量ではあるが有効量のカルシウム,マグネシウム,イットリウム又はその他の硫黄ゲッタリング元素の内の一つ又はそれ以上が、セリウムとランタンの一部又は全てに代えて合金中に存在する。
VARの前に、好ましくは、電極インゴットを約677℃(1250°F)で4〜16時間応力除去させて、空冷する。VARの後に、好ましくは、インゴットを約1177〜1232℃(2150〜2250°F)で約6〜24時間均質化させる。
合金は、約1232℃(2250°F)から約816℃(1500°F)まで熱間加工することができる。好ましい熱間加工は、インゴットを約1177〜1232℃(2150〜2250°F)から鍛造して、断面積を少なくとも約30%減少させることである。次に、そのインゴットを、約982℃(1800°F)まで再加熱し、更に鍛造して断面積を更に少なくとも30%減少させる。
様々な特質を兼ね備えた所望の特性を確保するための熱処理には、固溶化熱処理(オーステナイト化)と、焼入れと、深冷処理と、その後の時効硬化熱処理とが含まれる。合金は、約843〜982℃(1550〜1800°F)で、約1時間と更に厚み1インチ毎に約5分加算した時間、熱処理を施してから焼入れすることによりオーステナイト化させる。焼入れ速度は、好ましくは、約2時間以下でオーステナイト化温度から約66℃(150°F)まで冷却させるのに十分な速度である。好ましい焼入れ技術は、製造された部品の断面サイズによって左右される。しかしながら、本合金の焼入性は、油焼入れのみならず、空冷,バーミキュライト冷却又は真空炉における不活性ガス焼入れを許容するのに十分良好なものである。オーステナイト化及び焼入れ処理後、合金は、好ましくは、約−196℃(−320°F)で約0.5〜1時間深冷処理によるように冷却処理し、その後空気中で温める。本合金の時効硬化は、好ましくは、合金を、約454〜510℃(850〜950°F)で約5時間加熱してから空気中で冷却することにより実施される。時効硬化された合金には、好ましくは、上述したのと同じ条件で追加の冷却処理が施される。
本発明による合金は、広範囲な用途において有益である。この合金が非常に高い強度及び良好な破壊靱性を有していることから、航空機の構造部品や工作機械の部品に有用である。また、本発明による合金は、限定されるものではないけれども、構造部材,駆動シャフト,スプリング,クランクシャフトを含む自動車部品にとっても有用である。
[実施例]
本発明による合金が兼ね備えた新規な特性を実証するために、二つの試験用の400lb(181.4kg)ヒートであるヒート1及び2ヒートを溶解させて、機械的試験のための試料として加工した。それら試験用ヒートの重量パーセント組成を下掲表1に示した。また、表1には、比較のために試験したAERMET310合金の四つの製品ヒート(ヒートA,B,C及びD)の重量パーセント化学的組成についても示した。
Figure 2009516082
各ヒートの残部は、鉄及び通常の不純物である。
ヒート1及び2は、サイズが約1.5インチ×4.5インチ(3.81cm×11.4cm)の鍛造棒に加工した。引張試験,シャルピーV切り欠き試験及び破壊靱性試験のための二つの試料を、ヒート1,2及びヒートA〜Dの各々の鍛造棒から用意した。その試験試料の全てを最大の引張強度を発揮させるために熱処理した。ヒート1及び2に関しては、それら試料は、1775°F(968.3℃)で1時間オーステナイト化させた後、空気中で冷却した。次に、それら試料に−320°F(−196℃)で深冷処理を施した後、空気中で温めた。それら試料を900°F(482.2℃)で5時間時効硬化させた後、空気中で冷却した。比較用ヒートA〜Dの試料に関しては、それら試料を1675°F(912.8℃)で1時間オーステナイト化させた後、空気中で冷却した。次に、それら試料に−100°F(−73.3℃)で深冷処理を施した後、空気中で温めた。それら試料を875°F(468.3℃)で6時間時効硬化させた後、空冷した。下掲の表2には、ksi(MPa)で示した引張強度(UTS)と降状強度(YS),伸び率(%El.),面積減少率(%R.A.),シャルピーV切り欠き衝撃強度(CVN)及びksi√m(MPa√m)で示した破壊靱性(KIC)を含んだ、試料の機械的試験結果が示されている。CVN衝撃試験は、ASTM規格試験E23に従って実施した。破壊靱性試験は、ASTM規格試験E399に従って実施した。
本発明による合金の目的は、強度と靱性の双方を最大化させることにある。関係する強度パラメータは極限引張強さである。然しながら、靱性については様々な方法で計測することができる。機械工学エンジニアは、応力−ひずみ曲線下の面積の近似値である靭性の測定値を頻繁に使用する。この測定値により、エンジニアは「破壊前に屈曲(bend before breaking)」する部品を設計することが可能になる。超高強度合金を頻繁に使用している部品は、応力集中を考慮した靱性測定値で設計されている。破壊靭性に関する応力集中の影響を測定するための最も一般的な二つの試験は、シャルピーV切り欠き衝撃試験と破壊靱性試験である。
本発明による合金の全体的な靱性を示すために、三つの靱性パラメータ、即ち、引張応力−ひずみ曲線下の面積,CVN衝撃エネルギー及び破壊靱性(KIC)を考慮した。これら三つの測定値を組み合わせて一つのパラメータ、靱性指数(Toughness Index)とした。靱性指数は、標準化された三つの靱性測定値の幾何平均であり、以下のように算出される。
Figure 2009516082
靱性測定値のうちの二つの値は、それら値の各々が0〜100スケール(scale)内となるように「標準化」させた。靭性指数が一方の靭性測定値に他方の靭性測定値と比較して過度に加重値を与えないように標準化させた。上掲の式においては、応力−ひずみ曲線下の面積((Elong.)×(Y.S.+U.T.S.)/2)は、それを50で割ることにより標準化し、CVN衝撃エネルギー値に3を乗じる。破壊靱性値は標準化せずに使用される。各試験ヒートと、比較ヒートの内の二つについて計算した靱性指数値も表2に示した。
Figure 2009516082
表2に示したデータは、本発明による合金の実施例1及び2が比較ヒートA,B,C及びDのいずれのヒートよりも極めて高い引張強度を発揮するものであることを示している。そのデータ、特に靱性指数のデータは、実施例1及び2の靱性及び延性が、比較ヒートによって代表される公知の合金と少なくとも同程度に良好であることを明らかにしている。それ故、本発明による合金によって発揮される、強度,延性及び靱性を兼ね備えた特性は、公知の合金ヒートによって発揮される、それら特質を兼ね備えた特性よりも優れている。
本発明による合金の良好な疲労耐性を実証するために、実施例1の試料と、下記の重量パーセント組成を有する別の比較ヒートEについて、疲労試験を実施した。ヒートEは、上述したAERMET310合金の製品ヒートであり、他の比較ヒートと同じように用意した。
Figure 2009516082
残部は鉄と通常の不純物である。
下掲表3には、破損の周期数(周期数)とksi(MPa)で示した付加応力(応力)とを含んだ、各合金に関するアール.アール.ムーア回転ビーム疲労試験(R.R. Moore Beam Fatigue Test)の結果が示されている。
Figure 2009516082
上掲表3に記載したデータは、本発明による合金の実施例1の疲労耐性が、公知の合金の疲労耐性と少なくとも同程度に良好であることを示している。
本明細書中で使用した用語及び表現は、単に説明のために便宜上用いたに過ぎないものであって、本発明の内容を何ら限定するものではない。そのような用語及び表現を用いたからといって、そのことに、上述した元素又は特徴と均等なもの又はその一部を排除する意図はない。然しながら、上述した及び権利が請求されている本発明の範囲内で、種々の変更を加えることができることは明白である。

Claims (20)

  1. 重量パーセントにして、実質的に、
    C 約0.30〜0.36
    Mn 最大約0.05
    Si 最大約0.05
    P 最大約0.005
    S 最大約0.0010
    Cr 約1.30〜3.2
    Ni 約10.0〜13.0
    Mo 約1.0〜2.70
    Co 約13.8〜17.4
    Ti 最大約0.02
    Al 最大約0.005
    Ce 最大約0.030
    La 最大約0.010
    を含有し、残部が鉄と通常の不純物である時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  2. 少なくとも約11.0重量パーセントのニッケルを含んでいる、請求項1に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  3. 少なくとも約2.0重量パーセントのクロムを含んでいる、請求項1に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  4. 約2.5重量パーセント以下のクロムを含んでいる、請求項1に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  5. 約16.0重量パーセント以下のコバルトを含んでいる、請求項1に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  6. 少なくとも約15.0重量パーセントのコバルトを含んでいる、請求項1に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  7. 少なくとも約1.50重量パーセントのモリブデンを含んでいる、請求項1に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  8. 約2.2重量パーセント以下のモリブデンを含んでいる、請求項1に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  9. 少なくとも約0.32重量パーセントの炭素を含んでいる、請求項1に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  10. 重量パーセントにして、実質的に、
    C 約0.32〜0.35
    Mn 最大約0.05
    Si 最大約0.05
    P 最大約0.005
    S 最大約0.0010
    Cr 約2.0〜2.5
    Ni 約11.0〜13.0
    Mo 約1.5〜2.2
    Co 約15.0〜16.0
    Ti 最大約0.015
    Al 最大約0.003
    Ce 最大約0.020
    La 最大約0.010
    を含有し、残部が鉄と通常の不純物である時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  11. 少なくとも約11.5重量パーセントのニッケルを含んでいる、請求項10に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  12. 少なくとも約2.20重量パーセントのクロムを含んでいる、請求項10に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  13. 約2.30重量パーセント以下のクロムを含んでいる、請求項10に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  14. 約15.6重量パーセント以下のコバルトを含んでいる、請求項10に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  15. 少なくとも約15.4重量パーセントのコバルトを含んでいる、請求項10に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  16. 少なくとも約1.80重量パーセントのモリブデンを含んでいる、請求項10に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  17. 約2.0重量パーセント以下のモリブデンを含んでいる、請求項10に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  18. 約0.34重量パーセント以下の炭素を含んでいる、請求項10に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  19. 重量パーセントにして、実質的に、
    C 約0.32〜0.34
    Mn 最大約0.04
    Si 最大約0.03
    P 最大約0.003
    S 最大約0.0005
    Cr 約2.20〜2.30
    Ni 約11.5〜12.5
    Mo 約1.80〜1.90
    Co 約15.4〜15.6
    Ti 最大約0.01
    Al 最大約0.001
    Ce 最大約0.010
    La 最大約0.005
    を含有し、残部が鉄と通常の不純物である時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
  20. セリウム及びランタンの少なくとも一部の代わりに、カルシウム,マグネシウム,イットリウム及びこれらの組み合わせから成るグループより選択された元素を含んでいる、請求項1に記載の時効硬化性マルテンサイト系鋼合金。
JP2008541194A 2005-11-18 2006-10-30 超高強度マルテンサイト系合金 Pending JP2009516082A (ja)

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