JP2009514036A - エクスパンダグラフからのハッシュ関数構築 - Google Patents

エクスパンダグラフからのハッシュ関数構築 Download PDF

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Abstract

エクスパンダグラフ(expander graph)からのハッシュ関数構築が説明されている。一態様において、エクスパンダグラフはハッシュ関数を計算するために探索される。エクスパンダグラフは入力メッセージのそれぞれのサブセットを使用して探索される。最後に探索された頂点(vertex)のラベルがハッシュ関数の出力となる。

Description

ハッシュ関数構築は、多くのアルゴリズムおよび暗号プロトコルにおいて使用されている。これらは、そのイメージを「均一に」分布する関数f:U→S(ただし、|U|≧|S|)である。言い換えれば、多くの場合、x∈U,|{y∈U|f(x)=y}|は、|U|/|S|に近似している。
衝突するペア、すなわちペア(x,y)の数をf(x)=f(y)のように最小限にするハッシュ関数は非常に有用である。ハッシュ関数の暗号アプリケーションでは、一般的に、衝突を巧みに処理する問題を困難にすることが望まれている。このことは、f(x)=f(y)のように離散的エレメント(distinct elements)xおよびyを見つけるタスクが計算量的に困難であることを意味している。次のような弱いプロパティ、すなわち、xが与えられているとき、f(x)=f(y)のように別のyを見つけることを困難にすることが関心事になっていることがよくある。
以下の簡単な説明は、下述する詳細な説明の個所で詳しく説明されている概念のいくつかを簡単に紹介したものである。この簡単な説明は、特許請求の範囲に記載の主題の重要な特徴または基本的特徴を特定するものではなく、また特許請求の範囲に記載の主題の範囲を判定する際の一助として使用されるものでもない。
以上の観点から、本明細書では、エクスパンダグラフ(expander graphs)からのハッシュ関数構築が説明されている。一態様では、エクスパンダグラフはハッシュ関数への入力として探索(walk)される。このエクスパンダグラフは、入力メッセージのそれぞれのサブセットを使用して探索される。ハッシュ関数の出力は最後に探索された頂点のラベルである。
図面において、コンポーネントの参照符号の左端の数字はそのコンポーネントが最初に現れる特定の図面を示している。
概要
以下では、エクスパンダグラフからのハッシュ関数構築のためのシステム(例:システム、装置、コンピュータ可読記憶媒体など)および方法について、図1乃至図4を参照して説明する。ハッシュ関数は、特定のエクスパンダグラフ(expander graph)上で探索(walk)を行なうことにより構築される。エクスパンダグラフ上でのランダムな探索は非常に高速にミックスするので、ハッシュ関数の出力は入力メッセージが均一(uniform)にランダムであるとき均一であるのが一般的である。一実施形態では、システムおよび方法は、エクストラクタ(extractor)をエクスパンダグラフと併用してハッシュ関数を構築している。この実装において、入力メッセージは最小エントロピー(min-entropy)で一定の下限を有している。例えば、メッセージを暗号で署名することは(これはハッシングによって行なわれる)、そのメッセージに「ランダムなパッド(random pad)」を付加したあとで行なわれる(このプロセスにより、エントロピーがその署名に注入される)。入力メッセージはある程度の少量のエントロピーを有しているとの想定の下で、エクストラクタはそのランダム度(randomness)度を抽出し、そのあとでエクストラクタの出力に従って探索を実行するために利用されている。
エクスパンダグラスからのハッシュ関数構築ためのシステムおよび方法の上記およびその他の態様について、ここでより詳細に説明する。
例示的なシステム
必ずしも必要でないが、エクスパンダグラフからのハッシュ関数構築のためのシステムおよび方法は、パーソナルコンピュータなどのコンピューティングデバイスによって実行されるコンピュータ実行可能命令(プログラムモジュール)の一般的コンテキストの中で説明されている。プログラムモジュールには、特定のタスクを実行し、または特定の抽象データ型を実現するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などが一般的に含まれる。システムおよび方法は上記コンテキストの中で説明されているが、以下に説明されている動作および操作は、ハードウェアにおいて実装されることもありうる。
図1は、一実施形態によるエクスパンダグラフからのハッシュ関数構築のための例示的なシステム100を示している。システム100はコンピューティングデバイス102を含み、このコンピューティングデバイス102はシステムメモリ106に結合された1または2以上の処理ユニット104を含む。プロセッサ104は、プログラムモジュール108からコンピュータプログラム命令を取ってきて実行し、システムメモリ106のプログラムデータ110の一部分へ/からデータを取ってきて、格納する。プログラムモジュール108には、例えば、エクスパンダグラフのハッシュ関数構築モジュール(「EGHF構築モジュール」)112および他のプログラムモジュール114が含まれている。他のプログラムモジュール114は、例えば、オペレーティングシステム、およびモジュール112によって生成されたエクスパンダグラフベースのハッシュ関数構築116を利用する1または2以上のアプリケーションを含んでいる。このようなハッシュ関数構築116を利用すると便利であるアプリケーションは多い。例えば、このような構築は、暗号(cryptography)、ハッシュテーブル、エラー訂正、オーディオ識別、Rabin-Karp文字列探索アルゴリズム(Rabin-Karp string search algorithm)などを実現する1または2以上のアプリケーションにおいて利用されることがある。
EGHF構築モジュール112は、入力メッセージ118およびn個の頂点(vertex)のエクスパンダグラフ120からハッシュ関数構築を生成する。エクスパンダグラフ120は高い頂点(high vertex)または辺の拡張(edge expansion)をもつ疎グラフ(sparse graph)であり、言い換えれば高度に結合されている。一実装では、エクスパンダグラフ120はRamanujanグラフである。一実装では、入力メッセージはあるランダム度(またはエントロピー)を有している。
例えば、一実装では、エクスパンダグラフ120は次のように判定される。pを素数(prime number)、l(≠p)を別の素数とする。エクスパンダグラフG(p,l)は、その頂点集合Vとして有限フィールドFq,q=p2上の超特異j不変量(supersingular j-invariants) の集合を有している。そのj不変量がj1およびj2である超楕円曲線間がl度のisogenyであれば、頂点j1およびj2の間に辺が存在する。グラフG(p,l)は、l+1正規Ramanujanグラフであることが知られている。G(p,l)の頂点の番号は、約p/12である四元数代数(quaternion algebra)Bp,∞のクラス番号である。G(p,l)はエクスパンダグラフ120である。
別の実施形態では、エクスパンダグラフ120は、以下に「代替的実施形態」という名前の項目で説明されているようにLubotzky-Phillips-Sarnakエクスパンダグラフである。
ハッシュ関数構築116を生成するために、エクスパンダグラフのハッシュ関数構築モジュール112はメッセージ118を特定する。一実装では、メッセージはエントロピー度(degree of entropy)を有している。EGHF構築モジュール112は、エクスパンダグラフ120を含むn個の頂点の各頂点に、それぞれ名前またはラベルを割り当てる。入力メッセージにエントロピー度がそこと関連付けられているとき、EGHF構築モジュール112は、エクストラクタ関数(extractor function)でそのランダム度を抽出または判定する。このようなメッセージからランダム度を抽出する抽出関数および手法の例は、下述する「入力からランダム度の抽出」という名前の項目で詳しく説明されている。
構築モジュール112は、ランダムに探索(または訪問(visit))するエクスパンダグラフ120の頂点を特定する構成可能頂点辺規則(configurable vertex edge convention)の観点で、抽出したエントロピー度(存在するとき)または他の基本基準(下述する)に基づいて、入力メッセージ118のk長ビットセグメントを特定する。探索する操作の例およびエクスパンダグラフ120は、「例示的な手順」という名前の項目において以下でより詳細に説明される。頂点のうち最後に探索された頂点に関連付けられたそれぞれの名前/ラベルはハッシュ関数構築114の出力を表わしている。
入力からのランダム度の抽出
最小エントロピー:Xを{0, 1}nの中で値を受け入れるランダム変数であるとする。Xの最小エントロピーは次の量であると定義される。
Figure 2009514036
分布の近似性:XとYを{0,1}n上の2つの分布であるとする。これらは、
Figure 2009514036
の場合に、εだけ近似していると言われる(ただし、εは実数である)。
エクストラクタ:関数Ext:{0,1}n x {0,1}d →{0,1}mは、{0,1}n上の均一分布の少なくともkとUdの最小エントロピーの{0,1}n上の任意のランダム変数Xについて、分布Ext(X,Ud)がεだけUmに近似している場合、(k,ε)エクストラクタと呼ばれる。
命題:Ext:{0,1}nx{0,1}d→{0,1}mが(k,ε)エクストラクタである場合、ランダムシード(random seed)σ∈{0,1}dの大部分の選択は、分布Ext(X,σ)はUmにεだけ近似している。
証明:分布Ext(X,Ud)は、Xd=Ext(X,σ)で定義されたσ∈{0,1}dによってインデックスされた分布のファミリXdの中からランダムに分布を均一に選択するものと記述することができる。Extがエクストラクタであるということは、これらの分布の多くがUmにεだけ近似していることを意味している(証明の終わり)。
多項式の時間エクストラクタの構築は、dが少なくともlog2nおよびm=k1-α(ただし、αは任意の実数)の場合、k>nγ(γ<1)およびε>0については知られている。
ハッシュ関数の構築
ランダム変数M(すなわち、入力メッセージ118)は、ハッシュ関数構築116への入力を示しており、少なくともlog1+βnの最小エントロピーを有している。ただし、nはG(p,l)およびβ>0の頂点の数である。{0,1}Nを入力空間とする。Mのエントロピー度122を判定するために、構築モジュール112はエクストラクタ関数Extを実現し、パラメータをk=log1+βn, εを非常に小さくし、m=Θ(log1+αn)として関数Ext:{0,1}N x {0,1}d→{0,1}mを固定している。例示的に説明するために、このようなパラメータは「他のデータ」124のそれぞれの部分として示されている。システム100はN=k0(1)と想定している。構築モジュール112は{0,1}dからランダムにαを均一に選択する。入力x∈{0,1}Nが与えられているとき、構築モジュール112はω=Ext(x,a)(すなわチェーントロピー度122)を計算する。この構築の結果はサイズmのストリングである。構築モジュール112は、ωによって与えられた指示に従って一定の頂点v0から始まってmの探索を実行し、ハッシュ関数116の出力は最後に探索された頂点のラベルである。
そのノードが超特異楕円曲線モジューロ素数p、および辺が楕円曲線間のl度のisogenyであるエクスパンダグラフでは、グラフ周りの探索ステップを次のように行なうことができる。
楕円曲線Eに対応するノードから始まって、最初にE[l]のlトーションのジェネレータPとQを見つける。この目的のために、
1.nを
Figure 2009514036
とする。
2.
Figure 2009514036
とする。
Figure 2009514036
の数はE上の有理点である(オリジナル)
3.s = S/lkをセットする。ただし、lkはSを除算するlの最大倍数である(注:k ≧ 2)。
4.E[l]から2点PとQをランダムに選択する:
(a)
Figure 2009514036
から2点U、Vをランダムに選択する。
(b) P'=sUおよびQ'=sVをセットする。P‘またはQ’のどちらかが0に等しいときは、ステップ(i)を繰り返す。
(c)
Figure 2009514036
および
Figure 2009514036
であるが、
Figure 2009514036
および
Figure 2009514036
となるような最小i1,i2を見つける。
(d)
Figure 2009514036
および
Figure 2009514036
をセットする。
5.周知のShanks Baby-steps-Giant-stepsアルゴリズムを使用して、QがPによって生成されたグループに属しているかどうかを判定する。属していれば、ステップ(d)を繰り返す。
Eにisogenyであるl+1楕円曲線の
Figure 2009514036
におけるj不変量はj1,…,jl+1である。これらを見つけるために、
(a) G1=<Q>およびG1+i=<P+(i-1)*Q>とする。ただし、1≦i≦l
(b) 各iについて(ただし、1≦i≦l+1)、Veluの公式を使用して楕円曲線E/Gのj不変量を計算する。
例えば、2isogenyをもつ超特異楕円曲線のグラフを使用すると、次のような明示的方法でランダムな探索を行なうことができる。各ステップにおいて、Eの3非トリビアル2トーション点を見つけたあと、それらを事前に指定したようにそのx座標となるように配列する。次に、ハッシュ関数への入力ビットを使用して、次に探索するノードに到達するためにどの点を選択して楕円曲線を割る(quotient)かを判定する。
ハッシュ関数の出力は殆ど均一であるとの証明
命題によって、エクスパンダグラフのハッシュ関数構築モジュール112によって実現されたエクストラクタ関数の出力は均一に近似しており、エクスパンダグラフ120について行なう探索はランダムな探索であることに非常に近似している(探索がランダムであることは、グラフ上のある頂点vにいるとき、次のステップでは等しくその近隣のいずれかにいる可能性があることを意味している)。グラフG(p,l)はn個の頂点を有していて、m=Ω(log1+αn)である以上、探索は高速にミックスし、出力頂点は均一に非常に近似している。次に、上記の表現を正確にする。n個の頂点のd正規グラフGについてのO(log n)のランダム探索が高速にミックスすると言う1つの方法は、次のように言うことである。
Figure 2009514036
上記において、εは小さく、AはGの隣接マトリックスであり、vは標準単位ベクトルのいずかにすることができ、1はベクトル(1,1,…,1)である。次のマトリックス
Figure 2009514036
は、グラフ120上の均一にランダムなMarkovチェーンの遷移マトリックス(transition matrix)と考えることができる。この実施形態では、システム100は、グラフ120について殆どランダムな探索を実現している。これは、マトリックスBを次のように遷移マトリックスとして使用するものと考えることができる。すなわち、
Figure 2009514036
およびδは小さな実数である(ただし、記号‖‖はマトリックスノルム(matrix norm)を意味している)。言い換えれば、構築モジュール112はランダム探索を少量だけ混乱させる。以下の命題は、δを十分に小さくすることができれば、この新しいランダム探索は高速にミックスすることを示している。
命題:AとBを2つのサブ確率論的マトリックス(sub-stochastic matrix)であるとすると、‖Ak-Bk‖≦‖A-B‖
証明:差Ak-Bkは次のように書くことができる。
Figure 2009514036
両辺にノルムをとり、‖A‖=‖B‖=1の事実を使用すると(これらはサブ確率論的マトリックスであるので)、結果が得られる(証明の終わり)。
ここで行なうランダム探索の長さはO (log n)であるので、パラメータδを次になるように整理できる場合、
Figure 2009514036
結果として得られるおおよそのランダム探索も高速にミックスすることになる。これは、エクストラクタのパラメータεを次に等しくなるようにセットすることによって整えることができる。
Figure 2009514036
衝突に対する耐性
このハッシュ関数116の下で衝突を明示的に見つけることは、同じlパワー度のペアの超特異楕円曲線間の2つのisogeny (isogenies)を見つけるのと同じである。グラフG(p,l)に小さな円がなければ、この問題が非常に困難であるのは、曲線間の高度のisogenyを構築することが周知の計算量的に困難な問題であるからである。
代替的実施形態
上述したグラフG(p,l)を使用することの代替的方法として、システム100は、lubotzky-Phillips-Sarnakエクスパンダグラフ120を利用している。lとpを2つの離散的素数とし、lが小さな素数で、pが相対的に大であるとする。また、pとlは≡1 mod 4、lは二次式の残余mod pであると想定する(このケースが該当するのはl(p-1)/2≡1 mod pの場合である)。パラメータlとpをもつLPSグラフをXl,pとする。次に、グラフXを構成する頂点と辺を定義する。Xl,pの頂点はPSL(2,Fp)におけるマトリックスである。すなわち、任意のマトリックスAに対する等価関係式A=−Aと共に行列式(determinant)1をもつエントリがFpにある可逆2x2マトリックスである。行列式1をもつ2x2マトリックスAが与えられているとき、頂点の名前は、集合{0,...、p-1}4の通常の配列においてどちらが語彙論的に小さいかに応じてAのエントリまたは−Aのエントリの4タプル(4-tuple)となる。次にグラフを構成する辺を記述する。マトリックスAはマトリックスgiAに結合され、ここでgiは以下で明示的に定義されたマトリックスである。iをi2 ≡-1 mod pを満足する整数とする。方程式g0 2+g2 2+g3 2=lに対する8(l+1)の解は正確にg=(g0,g1,g2,g3)である。これらの間には、正確にはg0>0および奇数で、gj(ただし、j=1,2,2)が偶数であるl+1が存在する。その各々のgにマトリックス
Figure 2009514036
を関連付ける。
これにより、PSL(2,Fp)においてl+1マトリックスの集合Sが得られる。gjはこの集合Sにおけるマトリックスである。これは、gがSにあれば、g-1もそうであるという事実である。さらに、lは小であるので、マトリックスの集合Sは徹底的なサーチ(exhaustive search)によって非常に高速で見つけることができる。
例示的な手順
図2は、一実施形態によるエクスパンダグラフからのハッシュ関数構築のための例示的な手順を示している。具体例を示して説明するために、手順200の操作は図1のシステム100のコンポーネントと関連付けて説明されている。コンポーネントの参照符号の左端の数字は、そのコンポーネントが最初に現われた特定の図を示している。
ブロック202において、EGHF構築モジュール112(図1)は入力メッセージ118をセグメントに分割する。例えば、入力メッセージは長さがNになっている。k正規エクスパンダグラフにn個の頂点があるとすると(各頂点には名前/ラベルが付けられている)、いずれか1つの頂点から出た各辺の名前はlog kビットになっている。入力メッセージ118は長さがlog kのチャンク(chunk)に分割される。ブロック204において、EGHF構築モジュール112は、ハッシュ関数への入力としてエクスパンダグラフ120を探索(walk)する。この探索は次のようにして判定される。すなわち、ある頂点vにいるとすると、探索の次の頂点はlog kビットの次のチャンクを入力から読み取って、頂点vから通り抜けようとする辺を判定することによって判定され、その辺の他方のエンドポイントが探索上の次の頂点となる。例えば、EGHF構築モジュールは112は、入力メッセージ118の最初のkビット(セグメント/チャンク)によって指定された最初の頂点からエクスパンダグラフ120内の辺をランダムに探索することを開始する。エクスパンダグラフ120内で次に探索される頂点はlog kビットの次のチャンクによって指定される。これらの操作は、辺の名前がエクスパンダグラフ内の頂点にどのように対応付けられるかを規定している規則に鑑みて繰り返し実行される。このような規則の例として、各々の頂点vについて、関数fv:{1,..,k}→Eが存在することがある。従って、fv(1)はvからの最初の辺であり、fv(2)はvからの二番目の辺であり、以下同様である。
ブロック206において、EGHF構築モジュール112は、最後に探索された頂点のラベルを判定する。ブロック208において、EGHF構築モジュール112はハッシュ関数の結果としてそのラベルを出力する。
図3は、一実施形態によるエクスパンダグラフからのハッシュ関数構築のための例示的な手順を示す図である。具体例を示して説明するために、手順300の操作は図1のシステム100のコンポーネントと関連付けて説明されている。ブロック302において、エクスパンダグラフのハッシュ関数構築モジュール(EGHF構築モジュール)112(図1)はエントロピー度をもつメッセージ118を特定する。ブロック304において、EGHF構築モジュール112は、エクスパンダグラフ120の中の各頂点にそれぞれのラベルを割り当てる。ブロック306において、EGHF構築モジュール112は、エクストラクタ関数を使用して入力メッセージ118におけるエントロピー度を判定する。判定されたエントロピー度は、抽出されたエントロピー度として示される。ブロック308において、EGHF構築モジュールは、抽出されたエントロピー度に基づいてエクスパンダグラフ120を探索する。ブロック310において、EGHF構築モジュール112は、最後に探索された頂点に県連付けられたラベルとエクスパンダグラフ120を、ハッシュ関数構築116の結果として出力する。すなわち、ブロック302から310までの操作は、ハッシュ関数構築116の操作に対応している。
例示動作環境
図4は、エクスパンダグラフからのハッシュ関数構築を完全にまたは部分的に実現できる適当なコンピューティング環境の例を示す図である。例示コンピューティング環境400は、図1の例示システムおよび図2と図3の例示的な操作のための適当なコンピューティング環境の単なる一例であり、本明細書に説明されているシステムおよび方法の使用または機能の範囲に関してなんらかの制限があることを示唆しない。また、コンピューティング環境400は、コンピューティング環境400に図示されているコンポーネントのいずれについても、またはその組み合わせについても、任意の依存関係または要求条件があるものと解釈されるべきではない。
本明細書に説明されている方法およびシステムは、他の多数の汎用または特定目的コンピューティングシステム、環境または構成と共に動作可能である。使用するのに適した周知コンピューティングシステム、環境、および/または構成の例としては、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記システムまたはデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境などがあるが、これらに限定されない。ハンドヘルドコンピュータや他のコンピューティングデバイスのように、リソースが限られたクライアントでは、このフレームワークのコンパクトバージョンまたはサブセットバージョンを実現することも可能である。本発明は、通信ネットワークを通してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実行されるような分散コンピューティング環境で実施される。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールはローカルとリモートの両方のメモリストレージデバイスに位置づけられているかもしれない。
図4を参照して説明すると、エクスパンダグラフからのハッシュ関数構築のための例示システムは、例えば、図1のシステム100を実現するコンピュータ410の形体をした汎用コンピューティングデバイスを含んでいる。コンピュータ410の以下に説明する態様は図1のコンピューティングデバイス102の実現例である。コンピュータ410のコンポーネントには、1または2以上の処理ユニット420、システムメモリ430、およびシステムメモリを含む種々のシステムコンポーネントを処理ユニット420に結合するシステムバス421が含まれていることがあるが、これらに限定されない。システムバス421は、数種タイプのバス構造のいずれかにすることができ、その中には、種々のバスアーキテクチャを使用したメモリバスやメモリコントローラ、周辺バス、およびローカルバスが含まれている。例を挙げると、そのようなアーキテクチャとしては、ISA(Industry Standard Architecture)バス、MCA(Micro Channel Architecture)バス、EISA(Enhanced ISA)バス、VESA(Video Electronics Standards Association)ローカルバス、およびMezzanineバスとも呼ばれるPCI(Peripheral Component Interconnect)バスがあるが、これらに限定されない。
コンピュータ410は、様々なコンピュータ可読記憶媒体を含むのが通常である。コンピュータ可読記憶媒体は利用可能であれば、コンピュータ410によってアクセス可能などの媒体にすることもでき、その中には、揮発性および不揮発性媒体で、取り外し可能および取り外し不能媒体の両方が含まれている。例を挙げると、コンピュータ可読記憶媒体には、コンピュータストレージ媒体と通信媒体が含まれるが、これらに限定されない。コンピュータストレージ媒体には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を格納するためのいずれかの方法またはテクノロジで実現された揮発性および不揮発性取り外し可能および取り外し不能媒体が含まれている。コンピュータストレージ媒体には、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリや他のメモリテクノロジ、CD−ROM、DVD(digital versatile disk)や他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージや他の磁気ストレージデバイス、または必要とする情報を格納するために使用可能で、コンピュータ410によってアクセス可能である他の媒体が含まれているが、これらに限定されない。
通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータを搬送波などの変調データ信号または他のトランスポートメカニズムを組み込んでいるのが一般的であり、その中には任意の情報配信媒体が含まれている。ここで「変調データ信号(modulated data signal)」という用語は、情報を信号の中で符号化するような形でその特性の1つまたは2つ以上がセットまたは変更されている信号を意味している。例を挙げると、通信媒体には有線ネットワークや直接有線接続などの有線媒体、および音響、RF、赤外線および他の無線媒体などの無線媒体が含まれているが、これらに限定されない。上記に挙げたものを任意に組み合わせたものも、コンピュータ可読記憶媒体の範囲に当然含まれるべきである。
システムメモリ430としては、ROM(read only memory)431およびRAM(random access memory)432などの揮発性および/または不揮発性メモリの形状をしたコンピュータストレージ媒体がある。スタートアップ期間のように、コンピュータ410内のエレメント間で情報を転送するのを支援する基本ルーチンで構成された基本入出力システム433(BIOS)は、ROM431に格納されているのが代表的である。RAM432は、処理ユニット420に即時にアクセス可能であり、および/または処理ユニット420によって現在操作の対象になっているデータおよび/またはプログラムモジュールを収めているのが代表的である。例を挙げると、図4にはオペレーティングシステム434、アプリケーションプログラム433、他のプログラムモジュール436、およびプログラムデータ437が示されているが、これらに限定されない。
コンピュータ410は、他の取り外し可能/取り外し不能で揮発性/不揮発性のコンピュータ記憶媒体を含んでいることもある。図4には、取り外し不能で不揮発性の磁気媒体との間で読み書きを行なうハードディスクドライブ441、取り外し可能で不揮発性の磁気ディスク432との間で読み書きを行なう磁気ディスクドライブ431、およびCD−ROMや他の光媒体などの取り外し可能で不揮発性の光ディスク436との間で読み書きを行なう光ディスクドライブ433が示されているが、これらは単なる例示である。例示動作環境で使用できる他の取り外し可能/取り外し不能で揮発性/不揮発性のコンピュータストレージ媒体としては、磁気テープカセット、フラッシュメモリカード、デジタルバーサタイルディスク、デジタルビデオテープ、ソリッドステートRAM、ソリッドステートROMなどがあるが、これらに限定されない。ハードディスクドライブ441は、インタフェース440などの取り外し不能メモリインタフェースを通してシステムバス421に接続されているのが代表的であり、磁気ディスクドライブ431と光ディスクドライブ433は、インタフェース430などの取り外し可能メモリインタフェースによってシステムバス421に接続されているのが一般的である。
上述し、図4に図示のドライブおよびその関連コンピュータストレージ媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールおよびその他のデータをコンピュータ410のストレージを提供する。図4において、例えば、ハードディスクドライブ441は、オペレーティングシステム444、アプリケーションプログラム443、他のプログラムモジュール446およびプログラムデータ447を格納するものとして示されている。なお、これらのコンポーネントは、オペレーティングシステム434、アプリケーションプログラム433、他のプログラムモジュール436、およびプログラムデータ437と同じのこともあれば、異なっていることもある。アプリケーションプログラム433には、例えば、図1のコンピューティングデバイス102のプログラムデータ110が含まれている。ここでオペレーティングシステム444、アプリケーションプログラム443、他のプログラムモジュール446、およびプログラムデータ447に異なる番号が付けられているのは、これらが少なくとも異なるコピーであることを示すためである。
ユーザは、キーボード462などの入力デバイスおよび一般にマウス、トラックボールまたはタッチパッドとも呼ばれるポインティングデバイス461を通してコマンドおよび情報をコンピュータに入力することができる。他の入力デバイス(図示せず)としては、マイクロホン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライトディッシュ、スキャナなどがある。これらおよび他の入力デバイスは、システムバス421に結合されたユーザ入力インタフェース460を通して処理ユニット420に接続されていることがよくあるが、パラレルポート、ゲームポートまたはUSB(universal serial bus)などの他のインタフェースによって接続されていることもある。
モニタ491または他のタイプのディスプレイデバイスも、ビデオインタフェース490などのインタフェースを介してシステムバス421に接続されている。モニタのほかに、コンピュータは、プリンタ496およびオーディオデバイス497などの他の周辺出力デバイスを含むこともあり、これらのデバイスは出力周辺インタフェース493を通して接続されていることがある。
コンピュータ410は、リモートコンピュータ480などの1または2以上のリモートコンピュータとの論理的接続を使用したネットワーキング環境で動作することができる。一実施形態では、リモートコンピュータ480は図1のコンピューティングデバイス102またはネットワーク構築デバイス104を表わしている。リモートコンピュータ480は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイスまたは他の共通ネットワークノードであることがあり、図4にはメモリストレージデバイス481だけが示されているが、その具体的な実施形態に応じて、コンピュータ410に関連して上述したエレメントの多くまたはすべてを含んでいることがある。図4に図示の論理的接続にはLAN(local area network)471およびWAN(wide area network)473が含まれているが、他のネットワークが含まれることもある。このようなネットワーキング環境はオフィス、企業内コンピュータネットワーク、イントラネットおよびインターネットで一般的である。
LANネットワーキング環境で使用されるときは、コンピュータ410はネットワークインタフェースまたはアダプタ470を通してLAN471に接続されている。WANネットワーキング環境で使用されるときは、コンピュータ410は、インターネットなどのWAN473上の通信を確立するためのモデム472または他の手段を備えているのが一般的である。モデム472は内蔵型と外付け型があり、ユーザ入力インタフェース460または他の該当メカニズムを介してシステムバス421に接続されていることがある。ネットワーキング環境では、コンピュータ410に関連して図示したプログラムモジュールまたはその一部は、リモートメモリストレージデバイスに格納されていることがある。例を挙げると、図4はリモートアプリケーションプログラム483がメモリデバイス481に置かれているものとして示しているが、これに限定されない。図示のネットワーク接続は例示であり、コンピュータ間の通信リンクを確立する他の手段が使用されることもある。
結論
以上、エクスパンダグラフからのハッシュ関数構築のためのシステムおよび方法を、構造上の特徴および/または方法に基づく操作または動作に特有の用語で説明してきたが、当然に理解されるように特許請求の範囲に定義された実施形態は、上述した特定の特徴または動作に必ずしも限定されるものではない。むしろ、システム100の特定の特徴および操作は、特許請求の範囲に記載の主題を実現する形態例として開示されたものである。
一実施形態によるエクスパンダグラフからのハッシュ関数構築のための例示システムを示している図である。 一実施形態によるエクスパンダグラフからのハッシュ関数構築のための例示手順を示している図である。 一実施形態によるエクスパンダグラフからのハッシュ関数構築のための例示手順を示している図である。 エクスパンダグラフからのハッシュ関数構築を完全にまたは部分的に実現できる適当なコンピューティング環境の例を示している図である。

Claims (20)

  1. コンピュータ実装方法であって、
    ハッシュ関数への入力に従ってエクスパンダグラフを探索し、前記エクスパンダグラフは入力メッセージのそれぞれのサブセットを使用して探索されるステップと、
    最後に探索された頂点のラベルを判定するステップと、
    ハッシュ関数の結果として前記ラベルを出力するステップと
    を備えたことを特徴とするコンピュータ実装方法。
  2. 前記エクスパンダグラフはRamanujanグラフであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記エクスパンダグラフはLubotzky-Phillips-Sarnakエクスパンダグラフであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記エクスパンダグラフは、特性pの有限フィールド上での超特異楕円曲線のグラフであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記結果は暗号ハッシュであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記ハッシュ関数の衝突を見つけることは計算量的に困難であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記入力メッセージは一定のエントロピー度を有し、前記ハッシュ関数は衝突に対する耐性を有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記探索するステップは、
    前記入力メッセージをセグメントに分割するステップと、
    前記セグメントの少なくともサブセットについて、エクスパンダグラフの中の次のそれぞれの頂点への経路を、サブセットの特定セグメントの態様に基づいて判定するステップと
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記エクスパンダグラフはn個の頂点を含み、前記入力メッセージはエントロピー度を有し、前記方法は、
    それぞれのラベルを前記グラフの頂点に割り当てるステップと、
    前記エントロピー度を判定するステップと
    をさらに備え、
    前記探索するステップが、前記エントロピー度を使用して前記n個の頂点を探索して、完全にランダムな頂点出力を特定するステップをさらに備え、
    前記出力が前記n個の頂点の最後に探索された頂点のそれぞれの割り当てられたラベルである
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 前記エントロピー度を判定するするステップは、エクストラクタ関数を使用して前記入力メッセージに関連するするランダム度を判定するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. メッセージをセグメントに分割するステップと、
    ハッシュ関数への入力に従ってエクスパンダグラフを探索し、前記エクスパンダグラフが前記エクスパンダグラフの中のn個の頂点の次の頂点への経路を判定するために前記セグメントのそれぞれを使用して探索されるステップと、
    最後に探索された頂点のラベルを判定するステップと、
    前記ハッシュ関数の結果として前記ラベルを出力するステップと
    について、プロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムの命令を備えたコンピュータ可読記憶媒体。
  12. 前記エクスパンダグラフはRamanujanグラフまたはLubotzky-Phillips-Sarnakエクスパンダグラフであることを特徴とする請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
  13. 前記結果は暗号ハッシュであることを特徴とする請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
  14. 前記ハッシュ関数の衝突を見つけるステップは計算量的に困難であることを特徴とする請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
  15. 前記メッセージは、前記メッセージから抽出されたエントロピー度に基づいて前記セグメントに分割されることを特徴とする請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
  16. 前記エクスパンダグラフはn個の頂点を備え、前記メッセージはエントロピー度を有し、前記コンピュータ可読命令は、
    前記グラフの頂点にそれぞれのラベルを割り当てるステップ、
    前記エントロピー度を判定するステップと
    についての構造をさらに備え、
    探索するステップは、完全にランダムな頂点出力を特定するために前記エントロピー度を使用して前記n個の頂点を探索するステップをさらに備え、
    前記出力は前記n個の頂点の最後に探索された頂点のそれぞれの割り当てられたラベルである
    ことを特徴とする請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
  17. 前記エントロピー度を判定するためのコンピュータプログラムの命令は、エクストラクタ関数を使用して前記メッセージに関連するランダム度を判定するための命令をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
  18. プロセッサと
    前記プロセッサに結合されたメモリであって、
    エクスパンダグラフの中のn個の頂点のそれぞれの頂点にそれぞれのラベルを割り当てるステップと、
    入力メッセージのランダム度を判定するステップと、
    ハッシュ関数への入力として前記エクスパンダグラフを探索し、前記エクスパンダグラフの中の頂点は前記ランダム度に基づいて探索されるステップと、
    前記頂点の最後に探索された頂点のラベルを判定するステップと、
    前記ハッシュ関数の結果として前記ラベルを出力するステップと
    についての前記プロセッサにより実行可能なコンピュータプログラム命令を備えたメモリと
    を備えることを特徴とするコンピューティングデバイス。
  19. 前記エクスパンダグラフはRamanujanグラフまたはLubotzky-Phillips-Sarnakエクスパンダグラフであることを特徴とする請求項18に記載のコンピューティングデバイス。
  20. 前記結果は暗号ハッシュであることを特徴とする請求項18に記載のコンピューティングデバイス。
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