JP2009511429A - 少なくとも1の精油と生物が利用可能なメチオニンとの併用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、動物の飼料中にメチオニンを補充するために設計された飼料組成物に関し、前記組成物は、腸フローラの細菌活性における相乗的な殺菌効果を有する。前記生物が利用可能なメチオニンの食物組成物は、a)生物が利用可能なメチオニンおよびb)少なくとも1の精油を含んでなる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、メチオニンを用いた家畜飼料の補充を意図した飼料組成物に関する。
動物の腸内ミクロフローラは、細菌、酵母および真菌を含んでなる種々の複合的な共同体で構成される。前記ミクロフローラは、動物の健康および栄養的な効果において多大な効果を有する。
2つの型の細菌が一般的に生じる:一方は、病原細菌(例えば、サルモネラ、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)またはウェルチ菌(Clostridium perfringens))であり、他方は、病原体とみなされない細菌(例えば、ラクトバチルスまたはプロピオニバクテリウム)である。家畜の質におけるこれらの細菌の効果の全体的なバランスは、負である。
何年もの間、家畜を育てることに関連する会社は、動物の質を改善するために、腸内細菌フローラを調節する努力をしてきた。
特に、動物の飼料には成長因子抗生物質を補充するのが通例であり、消化管の全細菌負荷を低下させることができ、成長または生産の観点で質を改善することができる。しかしながら、成長因子として抗生物質を使用することは、2006年1月1日からヨーロッパでは禁止されている。
それ故、代替の製品に対する需要がある。
本発明の1つの目的は、家畜の腸内フローラにおける殺菌効果を有する、家畜に与えることを意図した組成物を提供することである。
本発明のもう1つの目的は、動物の質において有益な効果を有する、家畜に与えることを意図した組成物を提供することである。
本発明のもう1つの目的は、抗生物質を含まないが、抗生物質が一般的に動物の成長に与える有益な効果を有する飼料組成物を提供することである。
本発明のもう1つの目的は、家畜の腸内フローラにおいて作用を有する飼料組成物を提供することである。
それ故本発明は、家畜に対して与えることが意図された、生物が利用可能なメチオニンの相乗的な飼料組成物であって、
a)生物が利用可能なメチオニン化合物、および
b)少なくとも1の精油
を含んでなる組成物に関する。
発明者は、これら2つの化合物を含んでなる本発明の組成物が腸内フローラの活性において相乗的な殺菌効果を有することに気が付いた。実際に、生物が利用可能なメチオニン化合物および精油、または精油の混合物は、相互に効果を強化する。
生物が利用可能なメチオニン化合物および少なくとも1の精油の相乗的な殺菌効果について述べた先行文献はない。
「生物が利用可能なメチオニン」とは、家畜のメチオニンに対する日々の必要性を補充するための化合物のいずれかを意味する。実際に、メチオニンは、種々の形態で家畜に補充することができる。
本発明によると、前記生物が利用可能なメチオニン化合物は単離された状態である。
第1に、それはメチオニン自体、特にL-メチオニンまたはD,L-メチオニンであってよい。
それは、メチオニン誘導体であってもよい。「メチオニン誘導体」は、例えば、メチオニンの塩、アミド、アルキルおよびアルコールエステル、ケトン誘導体およびヒドロキシ類似体、ならびにそれらの誘導体を意味する。
それは、家畜に与えるための既知のメチオニン類似体である2-ヒドロキシ-4-メチルチオブタン酸(これより後では、HMTBAまたはメチオニンのヒドロキシ類似体と呼ぶ)であってよい。それは液体の形態とすることにより利点を有し、動物の飼料を製造する会社にとって使用が容易になる。
それは、メチオニンのヒドロキシ類似体のイソプロピルエステルまたはメチオニンのtert-ブチルエステルであってもよい。
本発明の飼料組成物は、生物が利用可能なメチオニンのいくつかの原料、例えばメチオニンの混合物およびそのヒドロキシ類似体を含んでもよい。
メチオニンの原料の生物学的利用能は、動物の飼料中に導入された活性化合物の量に対する血中の活性化合物のレベルを測定することによりわかる。この測定は、消化管を通って移行する間の腸における吸収の程度、多分節の胃を有する動物のいくつかの胃の分節を通る食餌性の食物塊の経路、および活性化合物の体による変換の程度を考慮に入れる(例えば、メチオニンのヒドロキシ類似体の場合)。
「精油」は、植物(花、芽、種子、葉、小枝、草、皮、木、果実および根)から得られる液体を意味する。精油は、特に、圧搾、発酵、アンフリュラージュまたは抽出により得られる。テルペン(非芳香性の炭化水素)および芳香性の酸化化合物(アルコール、アルデヒド、ケトン)の存在により、精油は、しばしばエーテル性または揮発性の油と呼ばれる。精油は、未精製、脱ペンテン(depentenized)、精留または複合物であってよい。
本発明によると、前記精油は精油の混合物である。
本発明の1つの実施形態によると、前記精油は、酢酸リナリル、クミンアルコール、シンナムアルデヒド、ボルネオール、カジネン、カンフェン、カンファー、カルバクロール、カルボン、シネオール、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、シメン、ジペンテン、エストラゴール、オイゲノール、ゲラニオール、リモネン(DまたはL)、リナロール(DまたはL)、メントール、メチルカビコール、パラサイメン、フェランドレン、ピネン(αまたはβ)、サリチル酸メチル、テルピネン(αおよびβ)、テルピネオール、(αおよびβ)、ツヨン、チモール、ボルニルアセテート、ゲラニルアセテート、オイゲニルアセテート、クミンアルデヒド、アリシン、アネトール、ペリラアルデヒドおよびサビネンから選択される、5%より多い少なくとも1の化合物で構成される。それらは、より好ましくは、10%より多い少なくとも1の前記化合物で構成される。
使用される油は、好ましくは、皮の冷圧搾または以下に示す植物の種々の部位の蒸留により抽出される:ニンニク、ブルーベリー、アロエ、イノンド、アニスの実、ティーツリー、バジル、ベルガモット、シタン、カバノキ、カデ、ニンジン(carrot)、クルクマ、カヤプト、カンファー、ニッケイ、キャラウェー、セロリ、オーク、レモン、シトロネラ、コエンドロ、クミン、エストラゴン、ユーカリ小球、ウイキョウ、ネズノキ、ゼラニウムバーボン、ショウガ、ニンジン(ginseng)、チョウジノキ、ヒソップ、真性のゲッケイジュ、真性のラベンダー、アスピック、レモングラス、ライム、マンダリン、マヨラナ、ペパーミント、ナツメグ、ミルラ、ミルテ、カヤプト、タマネギ、オリバナム、オレンジ、オリガヌム、パルマローザ、グレープフルーツ、パパイヤ、パプリカ、パッチュリ、パセリ、トウガラシ、カイガンショウ、ヨーロッパアカマツ、リンゴ、セイヨウワサビ、ローズマリー、ビャクダン、セイボリー、サッサフラス、セージ、野生タイム、テレビン、レッドタイム、バーベイン、ベチバー、イランイラン。
「動物」は、具体的には家畜、特に、放牧動物(特に、肉、ミルク、チーズおよび革のためのウシ;肉、毛およびチーズのためのヒツジ;ヤギ;ブタ)、ウサギ、家禽(ニワトリ、雌鳥、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ等)、水生動物(例えば、魚、エビ、カキおよびムラサキイガイ)、余暇の活動およびペットのための動物(特に、馬、イヌ、ネコ)を意味する。ウシ(cattleまたはbovine)は、ウシ科の亜科を構成し、多分節の胃を有する反芻動物であり、家畜のいくつかの重要な種が含まれる(ミルク品種、肉品種および混合種)。
本発明の組成物は、粉末の形態または液体の形態であってよい。生物が利用可能なメチオニンに関しては、粉末または顆粒の形態である。本発明による組成物を生成するために、前記粉末を精油中に希釈することが必要である。上述したように、メチオニンは、ヒドロキシ類似体の形態、それ故液体の形態で生じてもよい。この場合、前記2つの液体は、動物に投与される前に均一に混合されるか、または動物の飼料に混合される。
好ましくは、化合物a)は、メチオニン自体(L-メチオニンまたはD,L-メチオニン)、または塩、アミド、アルキルおよびアルコールエステル、ケトン誘導体、ヒドロキシ類似体もしくはこれらの生成物の誘導体のような誘導体の1つから選択される。
本発明の1つの実施形態によると、化合物a)は以下の一般式(I)である:
Figure 2009511429
ここで、式中のRはHまたはイソプロピル基を意味し、R’は-OHまたは-NH2を意味する。
本発明の1つの実施形態によると、動物の腸内フローラにおいて相乗的な殺菌効果を有する本発明の飼料添加物は、以下を含んでなる:
a)5〜95重量%の生物が利用可能なメチオニン化合物、
b)5〜95重量%の少なくとも1の精油、および
c)任意に、少なくとも1の他の化合物。
この実施形態によると、前記飼料組成物は、少なくとも1の他の化合物、例えば乳化剤またはゼラチンを含んでよい。この実施形態によると、それは開いた組成物である。
好都合に、前記組成物は、10〜90重量%の生物が利用可能なメチオニン化合物、10〜90重量%の少なくとも1の精油、および任意に少なくとも1の他の化合物を含んでなる。
本発明のもう1つの実施形態によると、前記組成物は、15〜85重量%の生物が利用可能なメチオニン化合物、15〜85重量%の少なくとも1の精油、および任意に少なくとも1の他の化合物を含んでなる。
本発明のもう1つの実施形態によると、前記組成物は、20〜80重量%の生物が利用可能なメチオニン化合物、20〜80重量%の少なくとも1の精油、および任意に少なくとも1の他の化合物を含んでなる。
本発明のもう1つの実施形態によると、動物の腸内フローラにおいて相乗的な殺菌効果を有する飼料組成物は、以下からなる:
a)5〜95重量%の生物が利用可能なメチオニン化合物、および
b)5〜95重量%の少なくとも1の精油。
この実施形態によると、前記飼料組成物は前記2つの化合物のみを含んでなり、他の化合物を含まない。この実施形態によると、それは閉じた組成物である。
好都合に、本発明の飼料組成物は、10〜90重量%の生物が利用可能なメチオニン化合物および10〜90重量%の少なくとも1の精油からなる。
本発明のもう1つの実施形態によると、前記組成物は、15〜85重量%の生物が利用可能なメチオニン化合物および15〜85重量%の少なくとも1の精油からなる。
本発明のもう1つの実施形態によると、前記組成物は、20〜80重量%の生物が利用可能なメチオニン化合物、20〜80重量%の少なくとも1の精油、および任意に少なくとも1の他の化合物を含んでなる。
本発明の1つの実施形態によると、前記生物が利用可能なメチオニン(すなわち化合物a))は、60重量%より多い割合、好ましくは80重量%より多い割合で前記組成物中に存在する。
本発明の1つの実施形態によると、前記精油(すなわち化合物b))は、40重量%未満、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満の割合で前記組成物中に存在する。さらに、本発明の1つの実施形態によると、化合物b)は、5重量%より多い割合、好ましくは8重量%以上の割合で前記組成物中に存在する。
本発明は、本発明による組成物を含んでなる飼料添加物にも関する。
「飼料添加物」は、一般的に飼料の2重量%未満、例えば1重量%未満の割合で飼料の組成を構成する、活性化合物または活性化合物の混合物を意味する。
本発明は、上記で定義したような飼料組成物を含有するか、または前記飼料添加物を含有する動物の飼料、特に飼料配給型(feed ration type)にも関する。
最後に、本発明は、飼料添加物を得るための上記で定義した組成物の使用に関する。
本発明の1つの実施形態によると、そのような使用は、加えて、家畜における内在性のフローラの活性を低下させるか、または家畜の腸内フローラの病原性微生物の有害作用と闘う助けとなる。
本発明の1つの実施形態によると、そのような使用は、加えて、成長、生存度、均一性、生産効率のような家畜の質を改善する。
本発明のもう1つの実施形態によると、前記組成物は、家畜の腸内フローラの活性における減少に対する働きを改善する。
それ故、本発明によると、本発明の組成物は、前記動物の腸内フローラの活性における減少を介して質を改善するための家畜に対する飼料添加物を調製するために使用される。
以下に示す実施例および図は、本発明のある一定の利点および特性を説明し、示すものである。
以下の試験の目的は、種々の試験パラメータに関して、肉用のニワトリの回腸内のフローラによる気体の産生を比較することである。気体の産生は、ニワトリの回腸フローラの細菌活性の間接的な指標である。
例1
動物およびサンプル
50の肉用のニワトリは、コムギベースの飼料で飼育される。これらのニワトリは、同じ栄養摂取で飼育される。前記ニワトリは35日目に屠殺され、それらの回腸の内容物が嫌気条件において除去される。前記内容物は、ボトルに入れられ、−18℃で保存される。
インビトロでの試験
以下の表Iに記載した実験計画に基づいて、産生される気体の容積が時間の関数として測定される。
48のボトルは、以下のもので連続的に充填される:
−処理(陰性対象については何もせず、HMTBA、EOまたは試験項目)
−コムギデンプン(細菌に対する栄養培地)を含有する90mlの緩衝溶液;この緩衝溶液の機能は、一定のpHに維持し、O2を抑制することである
−充填する前にろ過および均質化された、1/4の回腸内容物および3/4の無菌生理食塩水の混合物を含んでなる10mlの接種材料。
試験される用量は、動物の消化管内容物において見られる生成物の濃度を代表して計算される。
Figure 2009511429
EO:精油または精油の混合物
HMTBA:2-ヒドロキシ-4-メチルチオブタン酸の形態の生物が利用可能なメチオニン
上記表Iに記載の実験計画を用いると、産生された気体の体積の時間の関数としての曲線が得られ、ほぼS字型である。
これらの曲線は、以下のモデルに従って作られる:
Y=A/(1+(C/t)^B)
式中のY=産生された気体の容積
t=時間
A、BおよびC=モデルのパラメータ。
これらの式を用いて、我々は、得られた最終容積Vf(Vf=A)、ならびに気体の産生速度が最大となる時間、いわゆるTrm(この時間は、このモデルを用いては到達できない潜在性の間接的な基準として使用される)を分析する。分散の分析(ANOVA)は、項目の効果を評価するために、これらのデータに基づいて行われる。処理効果の蓋然性が有意である、すなわちp<0.05である場合、平均値はフィッシャーPLSD検定により比較され、種々の処理間の平均値の違いを確認することができる。
結果
結果は、以下の表IIに示す。表IIにおいて、パラメータの値は、処理が共通する文字を有さない場合、5%の閾値において有意に異なる。
第1に、試験された全ての化合物が、2つの基準すなわちVfおよびTrmに関して、対照と有意に異なるという結果を示したことが分かる。それ故、これらの組成物は、回腸フローラの活性において減少効果を有する。
目的は、Trmを最大にすることである。全ての試験項目は、それ故有効である。
生物が利用可能なメチオニンの化合物、特にHMTBAと精油との間で、細菌活性において相乗効果があることが証明されている。
陰性対照のTrmは10.8時間である。HMTBAで処理した場合に同一のTrmを与え、単独で与えられた場合、HMTBAはもしあるなら開始の細菌活性においてわずかな効果を有することを示す。EO1での処理は、13.5時間のTrmを与える。それ故、EO1は細菌活性において効果を有する。混合物1は、19.3時間のTrmを与える。それ故、混合物1は、EO1およびHMTBAそれぞれの効果の和を超えて細菌活性において効果を有する。混合物1ならびに混合物2〜5は、同じタイプの結果を与え、それ故Trmにより測定される細菌活性において相乗的な効果を示す。
Vfの測定は、処理の長期的な効果の指標となる。目的はVfを最小にすることである。
最も効果的とみなされる項目は、最終容積を最小にし、同時にTrmを最大にするものである。これらは、混合物3および5である。
Figure 2009511429
Vf:産生された気体の最終容積(ml)
Trm:気体の産生速度が最大となる時間(時間)
試験項目n=EOn+HMTBA。
例2
実施例1の試験条件およびパラメータを、以下の表IIIに従って実施例2においても繰り返す。
Figure 2009511429
EO1:レッドタイム
EO2:ティーツリー
HMTBA 2-ヒドロキシ-4-メチルチオブタン酸の形態の生物が利用可能なメチオニン。
結果
結果は、以下の表IVに示す。
Figure 2009511429
Vf:産生されたガスの最終的な用量(ml)
Trm:気体産生速度が最大となる時間(時間)
試験項目n=EOn+HMTBA。
Trmを最大にするという点に関して、試験された全ての処理(HMTBA、EOおよび試験項目)は有効である。
生物活性において、生物が利用可能なメチオニン化合物(この場合は適切なHMTBA)と精油との間に相乗効果があることを再び示す。実際に、陰性対照のTrmは15.3時間である。HMTBA処理は、20.3時間のTrmを与える。それ故、HMTBAは、単独で与えられた場合に細菌活性において効果を有する。EO1処理は、27.7時間のTrmを与える。それ故、EO1は、細菌活性において効果を有する。混合物1(または試験項目1は)、33.1時間のTrmを与える。それ故、混合物1は、EO1およびHMTBA単独の効果の和を超えて細菌活性における効果を示す。混合物1および混合物2は同じタイプの結果を与え、それ故相乗効果を示す。
Vfの測定は、処理の長期的な効果の指標となる。目的は、Vfを最小にすることである。
最も効果的であると考えられる項目は、最終容積を最小にし、同時にTrmを最大にするものである。これは混合物1である。
NB:本願の種々の実施例間のVfおよびTrmの値における違いは、動物の種々のバッチに由来する種々の消化管内容物を使用したことによる。飼育、飼料およびサンプリング条件が同じであっても、家畜の腸内に生じる細菌群は厳密には同一でない。実施例により明らかにされる値における相違は、種々のサンプルに存在するフローラのタイプにおける相違によるものである。
例3
実施例1の実験条件およびパラメータを、以下の表Vに従って実施例3でも繰り返す。
Figure 2009511429
EO1:ニッケイ
HMTBA:2-ヒドロキシ-4-メチルチオブタン酸の形態の生物が利用可能なメチオニン。
結果
結果は、以下の表VIに示す。
Figure 2009511429
Vf:産生された気体の最終容量(ml)
Trm:気体の産生速度が最大となる時間(時間)
試験項目n=EOn+HMTBA
nd:検出されず。
試験された全ての組成物は、2つの基準すなわちVfおよびTrmに関して、対照と比較して有意に異なるという結果を与える。それ故、これらの組成物は、回腸フローラの活性において減少効果を有する。
Trmを最大にすることに関して、試験された全ての処理(HMTBA、EOおよび試験項目)は、それ故有効である。
生物が利用可能なメチオニン化合物(この場合は適切なHMTBA)と精油(この場合は適切なシナモン精油)との間に、細菌活性に対する相乗効果があることを再び示す。実際に、陰性対照のTrmは14.1時間である。HMTBA処理は、28.1時間のTrmを与える。それ故、HMTBAは、単独で与えられた場合に細菌活性における効果を有する。EO1処理は、53.5時間のTrmを与える。それ故EO1は、細菌活性において効果を有する。
混合物1(または試験項目1)は、「72時間より長い」Trmを与える。それ故、消化管内容物に由来する細菌による気体の産生を阻害する実質的に完全な殺菌活性を示す。それ故、HMTBAとシナモン精油との組み合わせは、細菌活性において非常に強い効果を有し、シナモン精油およびHMTBA単独の効果の和を超えた効果を有する。それ故、混合物1は、強い相乗効果を有する。図6を参照されたい。
Vfの測定は、処理の長期的な効果の指標となる。目的は、Vfを最小にすることである。
最も有効であると考えられる項目は、最終容積を最小にし、同時にTrmを最大にするものである。混合物1はこれらの特性に対応し、それ故特に有効であると考えられる。
例4
実施例1の実験条件およびパラメータを、以下の表VIIに従って実施例4においても繰り返す。
Figure 2009511429
MEO:3/4のティーツリーおよび1/4のシナモン精油
HMTBA:2-ヒドロキシ-4-メチルチオブタン酸の形態の生物が利用可能なメチオニン。
結果
結果は、以下の表VIIIに示す。
Figure 2009511429
Vf:産生された気体の最終容積(ml)
Trm:気体の産生速度が最大となる時間(時間)。
生物が利用可能なメチオニン化合物と精油の混合物との間において、細菌活性に対する相乗効果があることを再び示す。
陰性対照のTrmは、11.1時間である。
84.7%のHMTBAおよび15.3%の3/4のティーツリー精油と1/4のシナモン精油との混合物からなる試験項目に関して:
−HMTBA処理は、15.4時間のTrmを与える。それ故、HMTBAは、単独で与えられる場合に細菌活性において効果を有し(陰性対照との差)、値の差は4.3時間である;
−MEO処理は、19.0時間のTrmを与える。それ故、EO1は細菌活性において効果を有し(陰性対照との差)、値の差は7.9時間である。
−混合物(または試験項目)は、25.3時間のTrmを与える。それ故、前記混合物はMEO2およびHMTBA単独の効果の和を超えて、細菌活性における効果を有する。特に(25.3−11.1)は(4.3+7.9)よりも大きい。それ故、前記混合物は、細菌活性において相乗効果を有する。
Vfの測定は、処理の長期的な効果の指標となる。目的は、Vfを最小にすることである。最も有効であると考えられる項目は、最終容量を最小にし、同時にTrmを最大にするものである。この試験の混合物はこれらの特性と一致し、それ故特に有効であると考えられる。
例5
実施例1により、コムギベースの飼料を与えられた動物に由来する回腸フローラの活性の減少における、精油の5つの混合物の効果を示した。
この試験の目的は、これらの混合物の3つは、コーンベースの飼料を与えられたニワトリに由来する回腸フローラの活性においても減少効果を有することを示すことである。
動物およびサンプル
実施例1と同じ条件である。
インビトロでの試験
実験スキームは、2、3、4および5の混合物について表Iに示されている。
結果
結果は、以下の表IXに示す。
Figure 2009511429
EO:精油または精油の混合物
前記表において、パラメータの値は、処理が共通する文字を有さない場合に5%の閾値において有意差がある。試験される4つの混合物は、対照と比較してVfを有意に減少させ、Trmを有意に増大させる。結果として、これらの生成物は、短期的にも長期的にも、コムギベースの飼料を与えられたニワトリのフローラの場合と同様に(実施例1)、コーンベースの飼料を与えられたニワトリの回腸フローラの活性を減少させる効果を有する。それ故これらの混合物は、使用された2つのタイプの飼料に対して有効である。
例6
実施例1および5において、食肉用のニワトリに由来する回腸フローラの活性の減少における、いくつかの精油の混合物の効果を示した。この試験の目的は、ブタの盲腸フローラにおけるこれらの混合物の効果を決定することである。
動物
ブタを100日目まで飼育し、盲腸の内容物を嫌気的な条件下で除去した。
インビトロでの試験
実験スキームは、混合物2、3および4について表Iに示す。
結果
結果は、表Xに示す。
表において、パラメータの値は、処理が共通の文字を有さない場合、5%の閾値において有意に異なる。
Figure 2009511429
EO:精油または精油の混合物
試験された全ての混合物は、対照群と比較して、2および3については有意に、4については平均してVfを減少させ、Trmを有意に増大させる。それ故、前記混合物は、短期的にも長期的にも、ブタの盲腸フローラの活性の減少において有効である。
それ故、3つの混合物は、ニワトリのフローラおよびブタのフローラの両方において機能する。
例7
この試験の目的は、少なくとも1の精油およびHMTBAが別々にボトルに入れて提供された場合(2つの生成物は、100mlの溶液中に少量存在する;それ故、分子間にほとんど直接的な接触はない)、または混合された後で溶液に加えられた場合の効果を比較することである。
動物
この試験のために、コムギベースの飼料を与えられた35日齢のニワトリに由来する回腸フローラが使用される。
インビトロにおける試験
この試験において、実施例1で試験された混合物の1つが試験される。混合物2についての実験スキームは、表Iに示されている。
結果
結果は、表XIに示す。
表において、パラメータの値は、処理が共通の文字を有さない場合、5%の閾値において有意に異なる。
Figure 2009511429
EO:精油または精油の混合物
EO2+HMTBAの効果は、2つの化合物がボトルに入れられる前に混合された場合により大きく、先に接触させることにより、フローラにおける前記化合物の作用を有意に改善する。それ故、化合物間で物理化学的な相互作用が起こり、これらの相互作用が効力を修飾することが想像できる。このことから、生物が利用可能なメチオニン化合物と少なくとも1の精油との混合物の相乗効果が確認される。
例8
動物
この試験のために、コムギベースの飼料を与えられた35日齢のニワトリに由来する回腸フローラが使用される。
インビトロでの試験
実験スキームは、以下の表XIIに示す。
Figure 2009511429
EO:オリガヌム油
結果
結果は、以下の表XIIIに示す。表において、パラメータの値は、処理が共通する文字を有さない場合、5%の閾値において有意に異なる。
Figure 2009511429
単独で使用される場合、HMTBAは、実施例1において観察されるように発酵において有意な効果がない。オリガヌム油は、陰性対照と比較して、Trmを平均して2.3時間増大させる(有意な効果)。オリガヌム油とHMTBAとの混合物は、陰性対照と比較してTrmを4.3時間増大させる。前記混合物の効果は、細菌フローラの活性において相乗的である。それ故、前記油とHMTBAは、短期的にフローラの活性を減少させるように相乗的に作用する。

Claims (12)

  1. 家畜に対して与えることが意図された、生物が利用可能なメチオニンの相乗的な組成物であって、
    a)生物が利用可能なメチオニン化合物、および
    b)少なくとも1の精油
    を含んでなる組成物。
  2. 請求項1に記載の組成物であって、少なくとも5重量%の少なくとも1の精油を含んでなる組成物。
  3. 請求項1に記載の組成物であって、
    a)5〜95重量%の生物が利用可能なメチオニン化合物、
    b)5〜95重量%の少なくとも1の精油、および
    c)任意に、少なくとも1の他の化合物
    を含んでなる組成物。
  4. 請求項1に記載の組成物であって、
    a)5〜95重量%の生物が利用可能なメチオニン化合物、および
    b)5〜95重量%の少なくとも1の精油
    からなる組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物であって、化合物a)は、メチオニン自体(L-メチオニンもしくはD,L-メチオニン)、または塩、アミド、アルキルおよびアルコールエステル、ケトン誘導体、ヒドロキシ類似体もしくはこれらの化合物の誘導体のような誘導体の1つから選択されることを特徴とする組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物であって、前記化合物a)は一般式(I)であることを特徴とする組成物:
    Figure 2009511429
    ここで、式中のRは、Hまたはイソプロピル基を意味し、
    R’は、-OHまたは-NH2を意味する。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を含有する飼料添加物。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物または請求項7に記載の飼料添加物を含有する飼料。
  9. 飼料添加物を得るための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物の使用。
  10. 家畜における内在性のフローラの活性を低下させるための、請求項9に記載の使用。
  11. 家畜の腸内フローラの病原微生物の有害な効果と闘うための、請求項9に記載の使用。
  12. 成長、生存度、均一性、生産効率のような家畜の質を改善するための、請求項9に記載の使用。
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