JP2009510406A - レーザーによるトムソン放射による核共鳴蛍光を用いた同位体イメージング - Google Patents

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Abstract

本発明は、新規なレーザーに基づく、高輝度、高空間分解能である、分光学的に純粋な硬X線及びγ線のペンシルビーム源を利用して、特定の核での共鳴散乱つまり核共鳴を誘起する。係る共鳴によって発生する光をビーム位置の関数として観察することによって、特定の材料構成での個々の同位体位置及び濃度を2次元又は3次元で可視化することが可能である。本発明に係る方法は、物質の特定、物質位置の空間分解能、及び、他の物質によって遮蔽されている、たとえば鉛の壁の後方に位置する、物質を特定してその位置を突き止める能力を供する。本発明は、相対論的電子からの強力レーザーパルスの衝突による擬単色高エネルギーX線(100keVオーダー)及びγ線(約1MeVよりも大きい)の発生に基づいている。本発明で利用されている過程、つまりトムソン散乱又は逆コンプトン散乱、は、約1μmから約100μm直径を有する高エネルギーの光子ビームを発生させる。その際バンド幅ΔE/Eは約10-3である。

Description

本発明は、共鳴蛍光を用いた元素の検出及びイメージングに関する。より詳細には本発明は、新規な核共鳴蛍光システム、及びレーザーに基づいたトムソン放射を用いた所望元素のイメージング及び検出法に関する。
共鳴蛍光は、核を励起する光子のエネルギーが核のエネルギー準位の1つよりもわずかに大きな場合に高い確率で起こる。励起された核が光子の再放出によって減衰するとき、その過程は通常共鳴散乱と呼ばれる。共鳴条件を実現するために放出線をシフトさせる手順及び/又は広くする手順を含む様々な核共鳴蛍光法が提案されてきた。これらの方法は、力学的運動、熱運動、過去の放射性崩壊からの反跳速度、及び連続γ線スペクトル(たとえば制動放射)を発生させる核反応からの反跳速度を利用する。
そのような共鳴蛍光を誘起する制動放射方法及び装置についての背景技術としての情報は特許文献1に記載されている。特許文献1には、“本発明の方法が核による光子の共鳴散乱を利用することが含まれている。また前記方法には、たとえば持ち運び可能なターゲットの核を、そのターゲットに入射する制動放射による光子ビームによって共鳴励起する手順も含まれる。一の実施例では、同時係属している特許文献2の対象である、ターゲットから直接散乱される光子のエネルギーが測定される。散乱された光子のエネルギーは、ターゲットに含まれる各核種の量子化されたエネルギー状態間の間隔に固有である。たとえば酸素は、偶のパリティでかつディラック定数の2倍の角運動量によって特徴付けられた6.92MeVの離散的励起エネルギー準位を有する。酸素を有するターゲットへ入射する制動放射ビームは、核の一部をこの状態に励起する。その結果その状態は、6.92MeVのエネルギーを有する光子を放出することによって、約6.8×10-15秒の寿命で減衰する。
米国特許第5115459号明細書 米国特許出願第567970号明細書 米国特許出願第11/166988号明細書
従って本発明は、核共鳴蛍光検出法を供する。当該方法は、1以上の素性の疑わしい物質を探索するように、約10-3の比帯域を有するトムソン放射ビームをターゲット領域に導光する手順、トムソン放射ビームによってターゲット領域内に含まれる1以上の素性の疑わしい物質の核を共鳴励起する手順、1以上の所定の関心核種を含む参照散乱体の核を前記素性の疑わしい物質を透過したビームによって共鳴励起する手順、及び参照散乱体が共鳴励起された結果生じた光子のエネルギースペクトルを測定する工程であって、共鳴光子と非共鳴光子について測定された減衰の差は検出された素性の疑わしい物質を示す手順を有する。
本発明の他の態様は、約10-3の比帯域を有するように備えられたトムソン放射線源を有する核共鳴蛍光装置を供する。参照散乱体が共鳴励起された結果生じた光子の測定されたエネルギースペクトルは検出された素性の疑わしい物質を示すと考えられる。
従って本発明は、たとえば238U又は239Puから235Uを区別するように、物質の同位体組成を区別し、かつ2種類の異なる物質が結合すなわち接合して1つになっている界面での同位体の変化を観察する新規の方法及び装置を含む。しかも本発明のMeVスケールのエネルギー強力単色光子源は、コンプトン散乱からのアーティファクトを減少させ、かつ空間分解能を向上させることにより従来のX線画像を改善する。その光子源は、約1μmから約100μmのスポットサイズで、ほとんどの場合は10μmのスポットサイズを有するように備えられている。係る新規の実施例は、短い時間スケールでの時間変化を観察することを可能にする。そのような変化は、現状のX線可視化技術に固有のノイズによってはっきり観察できなかった。
本発明の他の能力は、密な物体内部に存在する密ではない物体の高分解能像を得ることである。たとえば既知である最大NRF断面積のうちの1つを有する7Liは、状況によっては、本明細書で開示されているように低原子数の物体でのNRFラインに一致する低帯域X線ビームを用いるようにNRFイメージングを用いることによって利用されて良い。他の用途には、密で高エネルギーの系の動力学的探索、同位体に固有な貯蔵物の断層撮影、ピコ秒パルスのポジトロンをプローブとした動力学的計測、タグとなる物質による医療用可視化、機械部品の非破壊検査、航空宇宙産業で利用されるクラック生成のその場計測、評価及び核構造を調べるためのγ線検出器が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
本開示に組み込まれかつその一部をなす添付の図は、本発明の実施例を図示し、かつ本発明の説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
ここで図を参照すると、本発明の特定実施例が図示されている。その特定実施例の詳細な説明は、本発明の一般的な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
明示的に示されなければ、明細書及び「特許請求の範囲」で用いられる原材料、構成要素、反応条件等の量を表す全ての数字は全ての場合において、“約”という語で調節されるものと解される。従って明細書及び「特許請求の範囲」で示された数値パラメータは、所望の特性に依存して変化しうる近似値である。所望の特性は、本開示で与えられた主題によって得られると考えられる。少なくとも、そして均等物の原則の適用を「特許請求の範囲」の請求項の技術的範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも、報告された重要な数字を踏まえ、かつ通常の概数を表す方法が適用されなければならない。本明細書で与えられる主題の広い範囲で与えられる数値範囲及びパラメータが近似であるにもかかわらず、特定の例で与えられる数値は可能な限り厳密に報告されている。しかし如何なる数値も本質的には、各対応する検査測定で見いだされる標準偏差の結果として生じる不可避の誤差を含むことになる。
[一般的な説明]
本明細書で開示されている検出方法及び装置は、高エネルギーX線励起及びターゲット核からの核共鳴蛍光(NRF)の観測に基づく。本発明のNRFに基づいた検出の実装は、たとえばγ線源のような発光源の性質に強く依存する。本明細書で用いられるX線源は、Δγ/γ〜10-3の狭い相対運動エネルギーの広がりを有する相対論的電子からのレーザー光子のトムソン散乱すなわち逆コンプトン散乱に基づき、擬単色(つまり比帯域が約10-3である)で、十分にコリメート(約1mrad未満の発散)され、かつX線エネルギーの2乗でスペクトル強度が変化することを示している。本発明の方法及び装置を用いることによって、約3mから約10mの大きさを有する比較的小型のT-REX(トムソン散乱によって放射される極X線)源が、約10keVから最大で5MeV範囲の調節可能な狭い帯域の光子パルスを発生させるように備えられて良い。その際、ピーク強度は、1MeVでの光子エネルギーで世界最高のシンクロトロンから現在のところ得ることのできるピーク強度よりも最大で約15倍の大きさである。
[具体的な説明]
ここで図1を参照すると、図1は、全体として参照番号10で指定されている本発明の基本的概略図を示している。係る有利な装置は、所望のターゲット領域(たとえば貨物専用コンテナ6)を走査するように備えられたトムソン放射線源2、並びに、1つ以上の散乱放射線用検出器8及び/又は透過放射線用検出器9を有する。透過放射線用検出器9には、線源2によって関心物質18内で誘起される核蛍光(貨物専用コンテナ6内部で方向を示す矢印によって示されている)の検出及び/又はイメージングの感度を供するように、たとえばノッチフィルタ12が備えられる。
本発明による検査は、光子を用いて関心物質18の核を共鳴励起によって電磁気学的に遷移させることによって実現される。図1に例示されている装置では、狭くコリメートされた光子パルス(つまり1mrad未満の発散)が送られることで、貨物専用コンテナ6が検査される。線源2は、ある割合(≒10-3)の光子が関心物質(たとえば235U)18を共鳴励起させるのに適切なエネルギーを有するように調節される。線源2の調節は、電子ビームエネルギーを変化させることに加えて、たとえば異なるレーザー発振材料を用いることによって系で用いられる相互作用レーザー波長変化させて、又は、様々な波長にわたって走査することのできるたとえば光パラメトリック発振器を組み込むことで実現されて良い。光子ビームは、分析用のコンテナを飛び出した後に測定される。
イメージングは、トムソン放射線源2又は物質18(つまり貨物専用コンテナ6)を移動させることによって行われて良い。新規の走査方法として、ビームは、相互作用領域での電子の角度分布を慎重に制御する、たとえば様々な時空位置においてレーザートラップパルスと一連の電子バンチとを繰り返し相互作用させることで、様々な角度で伝搬する一連のコリメートされたγ線閃光が生成されるように操作されて良い。
図2aに図示されているように、物質又は物質の特性が存在する場合、たとえば図1に図示されているような貨物専用コンテナ6が235Uを含む場合、図1に図示されているような、透過放射線用検出器9によって測定される共鳴光子中のビームは際だって減少し、検出スペクトル32内に“切り欠き(notch)”28を含む(切り欠きΔE/Eは約10-6である)。係る切り欠き28は、核の電磁気学的遷移を特徴付ける断面積が非常に大きいために生じる。その大きさは、典型的な光子-電子散乱であるコンプトン散乱の断面積の約1000倍である。図2bは、素性の疑わしい物質がコンテナ内に存在しない場合には、検出された信号は、滑らかに変化して減衰するコンプトン散乱の特性36を示す。
図1に戻ると、本発明の検出方法は、共鳴光子に敏感な物理過程を利用する。係る方法は、遮蔽体26を利用して、たとえばコンプトン散乱された光子を含む原子過程のような、バックグラウンドとなる散乱光子の検出を防ぐこと、及び、関心物質18と同一の核種を含むように設計された小さな共鳴散乱体24をビームが飛び出す貨物専用コンテナ6の前方に設けることによって実現される。検出器アレイ8は、共鳴散乱の割合を測定し、かつ貨物専用コンテナ6を飛び出す共鳴光子束を決定する。非共鳴光子束は大抵の場合、単純な透過放射線用検出器で測定される。そのような検出器とはたとえば、AlSb放射線検出器、Ge放射線検出器、高純度Ge(HPGe)放射線検出器、極低温Ge放射線検出器等、又はビーム経路中に直接的に設けることのできる、本発明に係る光子を測定する基本的な能力を有する放射線検出器である。
共鳴光子について測定された減衰と非共鳴光子について測定された減衰との差異は、素性の疑わしい物質が存在していることを意味する。線源2からのビーム22(方向を示す矢印で示されている)が関心物質18を通過するので、光子は、物質18の核によって共鳴吸収される。吸収量は探索に利用された量に依存する。よってターゲットを透過する特定エネルギーの光子の強度は、探索される物質18の核の組成に関する情報を含む。ターゲットがある量の関心核種を含む場合、その関心核種の量に対応する光子のエネルギーは共鳴吸収されて、共鳴散乱体24には入射しない。従って、その核種を有する所定の共鳴散乱体24に関連した、透過放射線用検出器9によって捕獲される信号は減少する(つまり図2aに図示されている切り欠き28は、線源2から発生するビーム22が探索される物質18と相互作用するときに生じる)。
図3は、全体として参照番号300で指定されている本発明のシステムをより詳細に表した図を示している。当該システム300は、図1で図示して述べたように、RF光カソードガン40、線型加速器42、相互作用領域44、相互作用レーザーシステム48、ファイバ光学系ラック52、光カソードドライバシステム56、及び検出器構成58を有する。副集合体のそれぞれについては以降で詳述する。
本発明の電子源は、当業者にとって既知である1.6セル構造のRF光カソードガンに基づく設計を利用している。図3に図示されているような、UCLAとの共同研究によって設計及び構築されたRFガン40は、寄生電場モードを対称化かつ抑制する改良装置である。係るガンの設計についての以前のバージョンで用いられた周波数チューナーは、100MV/mよりも大きな電場強度で破壊した。これらのチューナーは取り外され、かつRF入力スロット及び真空ポンプ出力スロットと同一のスロット(図示されていない)を対称化することによって置き換えられる。この方法によって、高輝度の性質にとって必要である最大約120MV/mのピーク電場強度が可能となる。別な対称化方法には、軸を外れたレーザー入力ポート(図示されていない)の除去、及び補正コイルの内蔵が含まれる。補正コイルの内蔵は、主集束ソレノイドの双極子及び四重極子モーメントを補償する。
2つの結合した共振器を有するRFシステムとして図3に図示されているガン40は、2つの共鳴モードを有する。1つは加速すなわちπモードで、もう1つは寄生すなわち0モードである。0モードの励起は、発生する電子ビームのエミッタンス及びエネルギー広がりに有害な影響を及ぼす。本発明は、0モードとπモードとの間の周波数解離を増大させることによってこの問題に対する解決策を供する。それにより通常モードで生じる0モード励起の量が減少し、モード分離は約3.5MHzから約12MHzに増大する。そのような設計は、1nCの電子バンチにつき、約0.6mm-mradの2乗平均程度に低いエミッタンスを有するものとしてモデル化されている。
[電子ビームラインの設計]
本発明は、図3において参照番号42で示されている線型加速器(ライナック)を利用する。線型加速器は、加速部分間に位置する4重極43を有する。4重極43は、ビームの質を大きく低下させることなくガンによって生成された低エミッタンス電子バンチを輸送及び加速するために設けられている。係る方法により、1nCのバンチ電荷につき、およそεn=0.1(0.95)mm.mrad程度に小さい規格化されたエミッタンスが、相互作用点で実現可能となる。ここで第2の数(つまり0.95)は熱エミッタンスを含む。これは当業者に理解されるであろう。なぜならX線の輝度は、εn -2で変化することを示しているからである。
高勾配フォトインジェクタにおいて可能な最低エミッタンスの電子バンチを発生させる上での主要な課題の1つは、フォトカソードドライブレーザーパルスの時空間的に最適な形状を生成することである。Sバンドでは、1nC範囲での高電荷動作にとっては、ターゲットパルス形状は、光子からなる、およそ直径2mmで時間間隔が10psの均一な円筒形である。そのようなパルスは、特に紫外(UV)波長での生成が非常に難しい。またこのことから、rfガン開発において未解決問題が残されていることが分かる。本発明は、ハイパーマイケルソン干渉計を用いて、複数の短いパルスを連続して重ねることで、長くて名目上は平坦なパルスを発生させることによって、この問題を解決すると同時にコスト、効率、及び複雑性をも解決する。そのような装置及びモデルを用いることにより、レーザープロファイルは、生成された電子密に20%ものリップルが存在してもなお、エミッタンスが大きく劣化しないことを示した。これは、〜1%の強度レベルでのレーザーパルスの干渉の重なりに対応する。さらに各2つの連続するパルスは互いに直交する偏光することで、コヒーレンス及び干渉効果を減少させる。
進行方向に直交する平坦なプロファイルの生成は、様々な半径でガウシアンパルスの上部を単純にカットする、つまり平坦にするためにレーザーエネルギーをやり取りすることによってモデル化されて良い。従ってモデル化は、半径を0.85σt(rms)にカットすることで、σt=1.02mmの最適な電子ビームが供されることを示している。
[電荷の最適化、NRFの性能指数]
相互作用領域における重要な量は最適な電子バンチ電荷である。電荷が大きくなれば散乱される光子の数も増える。しかし電荷が大きくなることで、非線形空間電荷効果によるバンチのエミッタンスが大きくなる結果、スペクトルの広がりが起こり、X線の発散が大きくなる。本発明を最適化するため、次の性能指数F(n)が得られる。
F(n)=(共鳴する光子数)/(試料上の全光子数)n
ここでnは検出器の構造の詳細に依存し、1/4から1/7の範囲である。様々な電子バンチ電荷を有し、かつ各事例で最適化されているモデリングプログラムは、相互作用点で可能な最低のエミッタンスが得られるように有利に利用されて良い。より現実的な電子バンチ位相空間をX線コードに入力するため、熱エミッタンス効果が取り入れられる。トムソン散乱過程は、相互作用点において、約1μmから最大約100μmの範囲で、大抵の場合は約10μmの電子スポットサイズに適合するようにされた、たとえば1J、355nm、5psのフーリエ変換の制約を受けたレーザーパルスを用いることによってシミュレーションされる。1mradの半角の錐体で積分されたX線スペクトルは、F(1/4)の計算に用いられる。F(1/4)は1nCの電子バンチ電荷が最適であることを示している。最適な電子バンチ電荷は、約10μmでの相互作用点を用いるときには、500pCから1.5nCの間でかなり平坦な電荷依存性を有する。
[熱エミッタンス]
低電荷のシミュレーションでは、熱エミッタンスは、考慮されなければならない重要な量となる。近年研究者は、熱エミッタンスを引き起こす過程についての詳細な理論的説明を論文に公表している。基本モデルは、エネルギーhνの光子を吸収する、金属中でエネルギーEを有する電子が、全エネルギーバリヤEb=Efeff’よりも高い全エネルギーを有することを必要とする。ここで、Efは金属のフェルミエネルギー、そしてφeff’は仕事関数で、これらはrf電場によって誘起されるショットキー効果を含む。この条件の範囲内では、エネルギーの広がりは、温度依存するフェルミ-ディラック分布から生じ、その一方で、光電子放出角はcosθ<√(Eb/(E+hν))に制限され、かつ角度変化に対する確率分布は有限のエミッタンスを与える。
それに加えて、rf電場がわずかに入り込む深さは、光がわずかに入り込む深さよりもはるかに深いので、相関を有した光電子の軸方向の分布が発生する。これらの考察は、カソード面で光電子位相空間を構築するのに用いられて良い。光電子位相空間は、空間電荷を十分考慮した詳細なシミュレーション用のモデル化プログラムに組み込まれる。
[3次元非線形トムソン散乱コード]
本発明は、所望の狭帯域X線(たとえばNRF〜10-6)を必要とする。従って広がりの機構は系の性能において重要な役割を果たすので、広がりの機構のモデル化は慎重に行うことが求められる。スペクトル広がりの過程は、レーザーの帯域、レーザーの回折(実効的帯域)、電子ビームのエネルギー広がり、電子ビームのエミッタンス、3次元非線形効果、放射線の反応(軟らかい反跳)、及び硬い反跳を含む。
T-REXドライブレーザーのかなり狭い帯域は、個々のマクロ粒子によって発生する放射線をスペクトル分解することができる厳密で最先端のサンプリング法を必要とする。この処理を行うのに最速で最も正確なアルゴリズムは、高速フーリエ変換(FFT)サブルーチンである。FFTサブルーチンは、独立変数に検出時間を必要とする。その方法として、検出時間を2nのステップに分けて4次のルンゲ-クッタアルゴリズムが用いられる。4次のルンゲ-クッタアルゴリズムは、コードから得ることのできる最大スペクトル情報を生成するFFTサブルーチンを与える。十分に3次元的な電磁場成分が、ローレンツゲージ条件を厳密に満足する近軸生成関数から導かれる。
1個の電子によって散乱されかつ無限遠方で検出される単位周波数及び単位立体角あたりの光子数は、次式で表される。
Figure 2009510406
ここでαは微細構造定数、ω(バー)=ω/ω0は、レーザー周波数で規格化された放射線の周波数、n=ck/ωは観察方向における単位ベクトルである。また電子の動力学的量は、遅延時間t-=t-r(t-)/cつまりt(バー)=ω0tで評価される。全ての動力学的量が検出時間の関数として評価され、かつ一定間隔2nでサンプリングされるとすると、式(1)はFFTアルゴリズムを用いて計算されて良い。
y’=f(y,t)の形式であるn本の結合した1次微分方程式の系については、ルンゲ-クッタ(RK)アルゴリズムは以下の形式をとる。なお、y、y’=dy/dt、及びfはn個の成分を有するベクトル関数で、かつtは独立変数である。
Figure 2009510406
ここで、hを独立変数におけるステップとすると、再帰評価は、k1=hf(yi,ti)、k2=hf(yi+k1,ti+h/2)、k3=hf(yi+k2/2,ti+h/2)、及びk4=hf(yi+k3,ti+h)によって与えられる。4次のRK法は、非常に速く収束[o(h5)]し、多数のマクロ粒子を追跡するのに必要な計算時間を大きく減少させる。
[3次元非線形コンプトン散乱理論]
上で与えられたコードが十分3次元的でかつ相対論的であって、非線形効果を含むとしても、そのコードでは反跳を説明できない。2つの独立した領域がモデル化されて良い。1つは軟反跳で、もう1つは硬反跳である。軟反跳では、ディラック-ローレンツ方程式で適切に説明されるように、電子は何回も相対的に軟らかい光子を散乱する。T-REXにとっては第2型の過程がより現実的で、かつモンテカルロ法、又は平均化によるモデル化が可能である。平均化を用いることで、各電子はせいぜい数回しか散乱しないにもかかわらず、コードは、平均化が有意な多数の電子の分布を追跡する、という利点が得られる。有効なアプローチは、放射線の式を、平面波(光子)についてのコンプトンの公式と一致するように修正することである。完全な導出は多少複雑なので、ここでは主なステップについてのみ言及する。反跳成分λckμ 0を弾道的4元速度uμ 0に加えることによって、放射線の式、
Figure 2009510406
は、コンプトンの公式kμ s(u0 μck0 μ)=kμ 0u0 μを与える。ここで、kμ 0及びkμ sは、入射及び散乱4元波数である。xμ(τ)は相互作用中での電子の軌道である。この修正の一般式は、十分3次元的な非線形相互作用に係る平均的な反跳によって誘起されるスペクトル広がりを得るのに用いられる。
[シードレーザーシステム(SLS)]
シードレーザーシステム(SLS)は、光ファイバ技術に基づくことが好ましい。光ファイバ技術は、SLSを、信頼でき、頑丈かつ小型なものにする。図4において全体として参照番号400で示されているSLSは、次のように物理的に3つの部分に分けられる。
図3及び図4において52で示されているラックに設けられたファイバ光学系ユニットは、
・40.7785MHz±1Hzの周波数でロックされている150fsのパルス列を発生させることのできる受動的なモードロック発振器53。パルススペクトルは1040nmから1070nmにまで及ぶため、この単一発振器はPDLとILS両方の発生源となりうる。
・1対のチャープファイバブラッグ回折格子(CFBG’s)。CFBG’sのうちの1つはPDLパルス列を伸張し、もう1つは相互作用レーザー(ILS)列を伸張する。CFBG’sは全体で6ns伸張させるために2回通過される。
・Ybドープファイバのプリアンプ57。通常は6つのYbドープファイバプリアンプで、PDLライン用に3つで、ILSライン用に3つである。これらは各ラインでのパルスエネルギーを、大雑把には、40MHzで約0.1nJから2kHzで約10nJにまで上昇させる。各プリアンプはまた、アイソレータ(図示されていない)、時間領域でパルスを整形する音響光学変調器(図示されていない)、及び目的物を監視する光タップ(図示されていない)をも有する。
を含む。
1対の卓上高エネルギー増幅器60。1つはPDLライン用で、もう1つはILSライン用である。増幅器はたいていの場合、
・ファイバ光学系ラックから受ける出力を最大で約1μJのパルスに変換するYbドープファイバ部分(たとえば約10nJのパルスに976nmで300Wのポンプ光出力を加える)。その変換は、ラックからテーブルへの伝送中に生じる恐れのある非線形効果を減少させるように、卓上部分に対して遅延する。
最後の増幅器部分は、パルスエネルギーを最大約1mJにまで上昇させることができる。その際、スペクトル成分内での位相誤差を約π/4未満にされる。
を含むが、これらに限定されるわけではない。
たとえばデスクトップ又はラップトップコンピュータのような制御及び分析手段(図示されていない)は大抵の場合、プリアンプ段階及び最後の増幅器の出力を監視及び制御するように備えられている。ただし分析手段はデスクトップ又はラップトップコンピュータに限定されるわけではない。それにより信頼できる平素の操作を保証し、かつ1以上の段階が故障信号を示す場合には動作は中断する。係る分析手段はまた、ロッキング回路の周波数及び位相を監視し、かつ予想される熱ドリフトに対して調節を行うためにビームの照射される位置を小さく修正することもできる。
最後の増幅器ファイバは結局、本質的に存在する非線形性及び損傷閾値により、実現可能なパルスエネルギーを制限する。従って様々な増幅器ファイバを組み込むことが可能であるとしても、ほとんどの場合においては、所望のビーム品質及び偏光消滅比を供するには、40μm単一モード、クリスタルファイバ(Crystal Fibre)社から販売されている単一偏光ファイバ、又はリエッキ(LIEKKI)社から販売されている30μmファイバが、本発明に組み込まれる。
[フォトカソードドライブレーザー(PDL)]
図3に図示されている本発明のPDL56は、ライナックフォトインジェクタのフォトカソード40のフォトインジェクタドライブパルスを発生させる。そのシステムは、261.75nmで最大約100μJのエネルギーを有する“ビール缶”形状のパルスを供給するように設計された。“ビール缶”形状(空間的にも時間的にも上部が平坦である)は、FWHMが10psで、〜800fsの立ち上がり及び立ち下がり時間を有する。ビームのスポットサイズ直径の測定値は2mmである。
図5の概略図に図示されている、全体として参照番号500で指定されているPDLシステムは大抵の場合、4つの主要部品を有する。その主要部品とは、パルス圧縮器70、和周波変換器74、UVパルスを時間的に整形するパルス積み重ね器78、及びガウシアンUVパルスを実質的に上部が平坦なプロファイルに空間的に再整形する特別に設計された位相マスク光学系82である。ファイバ増幅器60による増幅の際にSLSによって生成されるPDLへの典型的な入力は〜500μJである。その入力は、1047nmにおいて〜4.8nsのFWHMに伸張された〜10nmの帯域を有する。
圧縮器70は、SLSに導入される群遅延分散(GDD)及び3次の分散(TOD)を補償する一方で、約4.8nsから約250fsへ入力パルスのFWHMを再圧縮する。好適な設計は、GDD=-3.4×108fs2でかつTOD=4.7×109fs3である4本の経路を有するパルス圧縮器である。また好適な設計は大抵の場合、約600ps/nmの分散を実現するように、1740本/mmの溝を有する1つの回折格子、1つの水平ルーフミラー、1つの大きな垂直ルーフミラー、及び1つの小さな垂直ルーフミラーを有する。
本発明のさらに他の方法では、図5に図示されているように、圧縮されたパルスは、和周波変換器74中で、1047nmから261.75nmへ周波数が4倍になる。和周波変換は2つのステップで起こる。最初にパルスは、たとえばタイプIの構成(結晶切断角=23.2°、結晶の厚さは〜600μm)でのBBO結晶によって、523.5nmへ周波数が2倍になる。他の1047nmビームは2色性ミラーによって遮断される。周波数が2倍に変換されたビームは続いて、異なるBBO結晶によって、523.5nmから261.75nmへタイプIで周波数が2倍になることが可能である。2ωから4ωへの変換効率は、BBO結晶中でのUV放射線の2光子非線形吸収によって制限される。この制限は、2ωから4ωに周波数を2倍にする結晶を2つ用いることによって部分的には解決される。最初のBBO結晶は緑色(523.5nm)のポンプ光を部分的に消滅させる。発生したUV光は、2色性ミラーによって分離される。残りの緑色ビームは第2BBO結晶に送られる。生成された2本のUVビームは、後でパルス積み重ね器中で再結合される。BBO結晶の厚さには、2光子吸収が十分に抑制される程度の薄さが選ばれる。第1の2ωから4ωに周波数を2倍にするBBO結晶は〜200μmの厚さで、第2BBO結晶は〜200μmの厚さである。
図5に図示されている本発明のパルス積み重ね器78は、マイケルソン干渉計に基づく超高速パルス多重送信装置である。その装置はほぼ100%のスループットを有し、かつ高エネルギーの整形パルス生成用に設計されている。パルス積み重ね器は、フェムト秒の精度で相互に遅延した入力パルスのレプリカの列を生成する。生成されたパルスは、s偏光とp偏光で半分ずつである。干渉計のアーム長を適切に設定することで、様々な出力パルス形状となる。設計されたパルス積み重ね器は、4つのステージ及び(2本の生成されたUVビームのための)2つの入力ポートを有して良い。そのパルス積み重ね器は、最大で32のパルスを積み重ねることができる。最適な光注入パルスを生成するため、最初に2つのUV入力パルスは時間的に〜400fsに伸張され、続いてパルス積み重ね器によって多重送信される。それにより280fsの間隔が設けられた直交して偏光するパルス列が生成される。これは時間的に上部が平坦なパルスに相当する。そのパルスは、期間が10psで、かつパルスの干渉に起因してわずかではあるが時間的に変調する1psの立ち上がり時間を有する。
ビーム処理能力を最大にし、かつパルス伸張器の設置面積を最小にするため、大抵の場合、4個のプリズムを用いた設定が行われて良い。各ビームは溶融シリカプリズムにブリュースター角で入射する。プリズム対の間隔を50cmにすることで、250fsの変換によって制限されるパルスは1.2psのFWHMに伸張される。
図5に図示されている特別に設計された位相マスク光学系82は、入力ガウシアンパルスを上部が平坦な空間プロファイルに再整形する。その光学系は、空間的な位相をUVビームに与えることで、フーリエ平面内で上部が平坦なパルスを生成する。ビーム形状は、図5に図示されているように、フーリエ平面をフォトカソード84へイメージングすることによって保持される。
PDLシステムでの様々なステージにおけるビームウエイストのサイズの再設定は、軸外ビーム伸張器によって実現される。ビーム伸張器は、互いにわずかに角度(〜0.5°)がつけられた状態で設けられている凹面鏡(R=75cm)及び凸面鏡(R=-50cm)であることが好ましい。この設計は、従来の軸上ミラー伸張器によって導入される如何なる非点収差をも排除する。
設計されたPDLシステムは、フォトカソードから約2mの位置にあるライナックフォトインジェクタの隣に設けられるように、2’×8’の光学板に適合されて良い。よってビームは、光学板でのレイアウトからフォトカソードへ可視化されて良い。
[相互作用レーザーシステム]
図3に図示されている相互作用レーザーシステム48の目的は、ジュール級である355nmパルス(Nd:YAGの第3和周波)を相互作用領域44に、最大で約10Hzの速度で供給することである。そのパルスは、フォトインジェクタ及びライナック42と同期する。Nd:YAGがレーザー及び増幅器として有利な材料だが、他の材料及び付随する増幅用ハードウエアも、本発明の技術的思想及び技術的範囲から逸脱することなく本発明で利用されて良い。他の材料とはたとえば、Yb:YAG、Nd:YLF、ネオジム(Nd)ドープされたガラス、Ti:サファイア、Yb:ガラス、KGW、KYW、YLF、S-FAP、YALO、YCOB、Cr:フォルステライト、及びGdCOBだがこれらに限定されるわけではない。
Nd:YAGで実現可能な(利用可能な利得帯域によって制限される)公称でピコ秒の期間は、図3に図示されているフォトカソードドライブレーザー(PDL)56、マルチヘッドのNd:YAG出力増幅器、及び独自の超分散パルス圧縮器にロックされたシード源の位相を含むことに留意して欲しい。
[ILSシード源]
シードレーザーシステムは、ファイバに基づくシステムを有する。そのシステムは、2回通過のチャープファイバブラッグ回折格子内で6nsの期間に時間的に伸張される1064nmシードパルスを供給するように設計されている。これらのパルスは、複数のステージを有する増幅器内でmJレベルにまで増幅される。その複数のステージを有する増幅器の存在する地点で、パルスはILS出力増幅器に注入されることができる。Nd:YAGでの増幅によって当然高エネルギー出力パルスの帯域は制限されるが、ILSシードパルスは、利用可能な利得スペクトルをスペクトルの観点から満たすため、1乃至2nmのFWHM帯域で増幅される。
[ILS出力増幅器]
SLSの1本のアームによって供給される、公称で6nsの長さを有する1064nmのパルスは、市販のQスイッチのNd:YAGレーザーに用いられるシードパルスとかなり似ている。そのようなレーザーは典型的には、本発明で用いられる広いスペクトルのチャープパルスとは対照的であるわずかな縦モードには決して限定されない。シードパルスの帯域が利用可能な利得帯域のオーダーである限り、市販されている普通のNd:YAG増幅器は、SLSファイバ増幅器のミリジュールレベルの出力をジュールレベルに増幅させるのに用いられて良い。これは特にILS増幅器用にとられる方針である。設計は、市販されたフラッシュランプによってポンピングされる3つのNd:YAGレーザーヘッドを有するように備えられて良い。その3つのNd:YAGレーザーヘッドとは、複屈折を補償する配置における、1本の4回通過する6mmの棒及び2本の1回通過する12mmの棒である。その出力エネルギーは3Jであると推定される。
[超分散圧縮器]
ナノメートル帯域のNd:YAGでのチャープパルス増幅では、小型のメートルスケール圧縮器において必要な分散(〜3000ps/nm)を供するために、カスケード構造の回折格子である“超分散”設計が求められる。本明細書で開示されている設計は、4つの多層回折格子をそれぞれ2回通過するような配置(全体で8回回折格子によって反射される)を用いている。しかしビーム経路を適切に折り曲げることによって、大面積(35cm×15cm,1740g/mm)を有する回折格子1つしか必要ない。関連する超分散設計及び方法についての詳細な議論は、特許文献3で見つけることができる。
[逆密度ラジオグラフィ]
本発明の応用である新規の方法の例は、光学的に厚いコンテナ内部の光学的に薄い物体を検出する逆問題に関する。これまで、光学素子のX線吸収断面積が大きくないために困難が生じている。その困難の他の側面は、検出を特徴付ける信号対雑音比を考慮することによって定量的に理解することができる。τcontainerが検査に用いられる光子までのコンテナの光学深さを表し、かつτobjectが取り囲まれている物体の光学深さを表す場合、信号対雑音比S/Nは、S/N=exp[-τcontainer]×(1-exp[-τobject])に従って変化する。
大きなコンテナの光学深さ又は小さな物体の光学深さについては、信号対雑音比はゼロに近づく。図6(a)は、従来技術に係るビーム80(矢印で示されている)が、取り囲まれた光学的に薄い物体84(たとえば7Li)を有する厚い材料(たとえば鉛)82を透過することの困難さを示している。図6aに図示されているように、回収の際に検出したい検出信号86は、全体の検出信号88の中でほとんど検出不可能である。
本発明の方法及び装置によって同位体を特定する可視化は、光源のエネルギーを、コンテナ内部に含まれる同位体の強い共鳴と一致するように調節することで、この困難を解決する。共鳴核吸収の断面積は原子の断面積よりも大きいので、取り囲まれた物体は、本明細書で利用されている共鳴する光子に対して非常に厚いものとみなされる。物体のNRFに基づく可視化の信号対雑音比は、S/N=exp[-τcontainer]×(1-exp[-τnuclear])となる。ここでτnuclearは共鳴過程に対する物体の光学深さで、かつ強い共鳴については大きい。図6(b)は、ビーム80’(これも矢印で示されている)及び本明細書で開示されている方法を用いたNRFが行われたときの検出を図示している。図示されているように、たとえば厚い物体82の内部に存在する光学的に薄い物体84のような取り囲まれた物体が、導光される共鳴光子に対して非常に大きな光学深さを有するので、信号対雑音比は、他の核過程から生じる信号88とは対照的に信号86の検出が可能となるように大きく改善される。
[偏光した単色光による核分光]
本発明は、核準位密度及び核内で生じうる集団運動の豊富なバラエティについての理解を改善する過程を含む。本発明の線源は特定の準位を一度に探索することができる。他の核探索の多くは、分解がより困難な信号を生成してしまう。100%の偏光と併用することで、本発明を用いた測定は、励起準位の電磁気学的特性を決定する上で改善される。本発明の応用には、核が“混合対称の”集団運動をどの程度示すのか、及びそのようなモードが所謂小さな双極子共鳴において果たす役割を理解する過程を含む。
[汚染物の分析]
同位体を特定する可視化技術としての本発明は、貯蔵された汚染物の大規模なふるい分けによって、汚染物の貯蔵に係る諸経費を減少させるだけではなく、同位体の検査によって貯蔵された汚染物の迅速な識別及び分離を明らかにする手段をも表す。3D可視化によって、そのような汚染物の処理における安全性の重要な指標を供するために行われる貯蔵容器の内容物の非破壊的な評価が、内容物を開ける又は乱すことなく実現できる。
本発明の特徴及び利点は以降の記載から明らかとなる。出願人らは、図及び特定実施例を含む本記載を供することで、本発明を広範に表す。本発明の技術的思想及び技術的範囲内で様々な変化型及び修正型が、本記載及び本発明の実施によって、当業者にとって明らかなものとなる。本発明の技術的範囲は、開示された特定の実施形態に限定されるものと解してはならない。また本発明は、「特許請求の範囲」に記載された請求項で定義される本発明の技術的思想及び技術的範囲内にある全ての修正型、均等物、及び代替型を網羅する。
核共鳴蛍光(NRF)に基づいた本発明の検査システムの基本概略図である。 素性の疑わしい物質についての検出スペクトルを図示している。このスペクトルには、光子の減少、すなわち共鳴光子の吸収によって生じる“切り欠き(notch)”が現れる。 素性の疑わしい物質を含まない探索領域に対応する検出スペクトルを図示している。このスペクトルでは、コンプトン散乱の滑らかな減衰特性が表れる。 核共鳴蛍光(NRF)に基づいた本発明の検査システムのより詳細な図である。当該システムには、単色の調節可能なトムソンX/γ線源の主要部品が含まれる。 シードレーザーシステム(SLS)の概略図を示している。 光カソードドライブレーザー(PDL)の概略図を示している。 従来の原子ラジオグラフィを用いた格納容器内に密閉された軽い物体のイメージングを図示している。 本発明の核共鳴蛍光ラジオグラフィを用いた格納容器内に密閉された軽い物体のイメージングを図示している。

Claims (21)

  1. 核共鳴蛍光検出法であって:
    1以上の素性の疑わしい物質を探索するように、約10-3の比帯域を有するトムソン放射ビームをターゲット領域に導光する手順;
    前記トムソン放射線によって前記ターゲット領域内に含まれる前記1以上の素性の疑わしい物質の核を共鳴励起する手順;
    1以上の所定の関心核種を含む参照散乱体の核を前記素性の疑わしい物質を透過した前記ビームによって共鳴励起する手順;及び
    前記参照散乱体が共鳴励起された結果生じた光子のエネルギースペクトルを測定する工程であって、共鳴光子と非共鳴光子について測定された減衰の差は検出された前記素性の疑わしい物質を示す手順;
    を有する方法。
  2. 前記トムソン放射線ビームが、約1μmから約100μmのビーム直径を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記トムソン放射線ビームが、約10μmのビーム直径を有する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記トムソン放射線からのレーザー光子が、狭い相対運動エネルギーの広がりΔγ/γが10-3未満のである相対論的電子のビームを有する、請求項1に記載の方法。
  5. 共鳴光子と非共鳴光子について前記の測定された差異が、約10-6未満の減衰幅ΔE/Eを有する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記トムソン放射線ビームが、約1mrad未満のビーム発散を有する、請求項1に記載の方法。
  7. 検出器アレイが、共鳴散乱の割合を測定することで、前記ターゲット領域を飛び出す共鳴光子束を決定するように備えられている、請求項1に記載の方法。
  8. 前記ターゲットの範囲を前記ビームで走査するように、前記ビーム及び/若しくは前記ターゲットを動かすことによって、並びに/又は、前記トムソン放射線源の前記相互作用領域内での前記電子の角度分布を制御することによって、前記素性の疑わしい物質を有する前記ターゲットが可視化される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記トムソン放射線が、前記電子ビームエネルギーを変化させることによって、又は前記レーザーが相互作用する波長を変化させることによって共鳴エネルギーに合わせることが可能である、請求項1に記載の方法。
  10. 核共鳴蛍光装置であって:
    約10-3の比帯域を有するトムソン放射線源;
    前記トムソン放射線をターゲット領域に導光する手段;
    前記トムソン放射ビームによって前記ターゲット領域内に含まれる前記1以上の素性の疑わしい物質の核を共鳴励起する手順;
    1以上の所定の関心核種を含み、かつさらに前記ターゲットを介した前記トムソン放射線源から生じる透過放射線を受けるように備えられている1以上の参照共鳴散乱体;及び
    前記参照散乱体から散乱された光子のエネルギーを測定することによって所定の関心核種を測定する手段であって、共鳴光子と非共鳴光子について測定された減衰の差は検出された素性の疑わしい物質を示す手段;
    を有する装置。
  11. 前記トムソン放射線源が、約1μmから約100μmのビーム直径を有する、請求項10に記載の装置。
  12. 前記トムソン放射線源が、約10μmのビーム直径を有する、請求項10に記載の装置。
  13. 前記トムソン放射線源が、狭い相対運動エネルギーの広がりΔγ/γが10-3未満のである相対論的電子のビームを有する、請求項10に記載の装置。
  14. 共鳴光子と非共鳴光子について前記の測定された差異が、約10-6未満の減衰幅ΔE/Eを有する、請求項10に記載の装置。
  15. 前記トムソン放射線源が、約1mrad未満のビーム発散を有する、請求項10に記載の装置。
  16. 検出器アレイが、共鳴散乱の割合を測定することで、前記ターゲット領域を飛び出す共鳴光子束を決定するように備えられている、請求項10に記載の装置。
  17. 前記ターゲットの範囲を前記ビームで走査するように、前記ビーム及び/若しくは前記ターゲットを動かすことによって、並びに/又は、前記トムソン放射線源の前記相互作用領域内での前記電子の角度分布を制御することによって、前記素性の疑わしい物質を有する前記ターゲットが可視化される、請求項10に記載の装置。
  18. 前記トムソン放射線源が、前記電子ビームエネルギー又は相互作用するレーザー波長を変化させることで、所定の割合の光子が関心核種内の共鳴を励起するのに適切なエネルギーを有することによって合わせられる共鳴エネルギーを有する、請求項10に記載の装置。
  19. 前記相互作用するレーザー波長が、ネオジム(Nd)ドープされたガラス、ネオジムドープされたフッ化リチウムイットリウム、Yb:YAG、Ti:サファイア、Yb:ガラス、KGW、KYW、YLF、S-FAP、YALO、YCOB、Cr:フォルステライト、及びGdCOBから選ばれるレーザー発光材料によって得られる、請求項18に記載の装置。
  20. 前記相互作用するレーザー波長が、光パラメトリック発振器を利用することによって得られる、請求項18に記載の装置。
  21. 前記測定手段が、AlSb放射線検出器、Ge放射線検出器、高純度Ge(HPGe)放射線検出器、極低温Ge放射線検出器から選ばれる検出器を少なくとも1つ有する、請求項10に記載の装置。
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