JP2009501188A - 抗血小板療法で治療される患者における脳内出血(ICH)後の出血増大及び/又は浮腫形成を予防又は軽減するための第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の使用 - Google Patents

抗血小板療法で治療される患者における脳内出血(ICH)後の出血増大及び/又は浮腫形成を予防又は軽減するための第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の使用 Download PDF

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ニコライ, コンスタンティン ブルン,
ブレット, イー. スコルニック,
カミラ ベグトルップ,
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ノボ ノルディスク ヘルス ケア アーゲー
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Abstract

本発明は、抗血小板療法で治療されたICH患者における合併症を予防するための医薬の製造のための第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の使用に関する。

Description

(発明の分野)
本発明はICH患者の合併症の予防、又は合併症の重症度の最小化に関する。
(発明の背景)
止血は、最終的に出血の停止をもたらす複雑な生理学的過程である。これは、3つの主な構成成分:血管(特に内皮内壁)、凝固因子及び血小板の特有の機能に依存している。一旦止血性の栓(plug)が形成されると、更なる不要な止血活性化を防止するために線維素溶解系のタイムリーな活性化が重要である。このシステムのいずれかの機能不全(止血性構成成分の数の減少もしくは分子的機能不全、又は線維素溶解性構成成分の活性の増大による)により、例えば異なる重症度の出血素因(haemorrhagic diathesis)といった、臨床的出血を引き起こされうる。
多くの生理学的状況において、止血は、損傷の部位での組織因子(TF)の曝露の後に、循環する活性型第VII因子(FVIIa)とTFとの相互作用によって引き起こされる。内因性FVIIaは、TFと複合体を形成した場合にのみタンパク質分解的に活性化する。通常、TFは血管壁の深層において発現され、損傷後に露出する。これによって、凝固が非常に局所化されて活性化し、汎発性凝固が確実に予防される。また、TFは非活性型、いわゆる暗号化された(encrypted)TFとして存在するようである。暗号化TFと活性化TFの調節機能はいまだ明らかとなっていない。
脳内出血(ICH)は、自然発症し、実質内脳組織に血液集合(blood collecting)が生じる、神経性症状である。ICHの結果、有意な病的状態及び死亡が生じることが示されている。近年、ICHは、最初の損傷後数時間で体積が増大することが示された。これは、ICHを患う患者の約38%に起こる。増大の理由は不明であるが、最初の血腫の連続的な漏出、又は再出血の複雑な過程のいずれかによると考えられている。
最初の損傷後数日、浮腫の領域はCTスキャンにて特定することができ、血腫において血液を囲んでいることがわかる。また、浮腫発生のメカニズムはほとんど理解されていないが、血餅を囲む組織における炎症反応、並びに周囲の脳組織に圧力を及ぼす血餅の直接的な質量効果の組み合わせに起因しうる。孤立した浮腫の影響は有意でありうるが、顕著な出血と関連して評価することはできない。しかし血腫の実際の体積の3倍以下であると推定されるICH後の損傷を受けた脳組織の体積に影響しうる。全体の影響を受けた組織体積の重要性は、ICH後の結果の最も強力な予測手段のうちの1つであるようである。したがって、任意の出血拡張の低減及び、総病変体積(血液及び結果として生じる浮腫)の低減及び/又は最小化に臨床的な関心がある。
ゆえに、当分野では、ICHの急性期治療、並びにICH及びICH患者を治療するために用いる従来の様式から生じるその後の合併症の予防及び軽減のために、改善された方法及び組成物が求められている。
(発明の概要)
本発明は、ICHの発症前に抗血小板療法を受けていた患者におけるICH後の出血の増大及び/又は浮腫の発生を予防又は軽減するための医薬の製造のための第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の使用を提供する。医薬が用いられる代表的な患者は自然発生又は外傷性のICHを患ったことがある患者を含むがこれに限定されるものではない、凝固障害性出血を患う患者である。
また、本発明は、治療の開始から90日目、好ましくは15日目における、患者の総合的な生存を増加させるための薬剤の製造のための第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の使用を提供する。他の態様では、本発明は、集中治療室(ICU)の日数、ベッドへの拘束を含む、抗血小板療法を既に受けたことがあるICH患者の入院日数を減少させるため、及び/又は欧州の生活の質尺度(EuroQOL)又は同様の手段によって測定される治療開始(SOT)から90日までの期間、好ましくは治療の開始後15日の期間における生活の質のため、又はICH患者における死のリスクを低減するための医薬を製造のための、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の使用を提供する。一実施態様では、(i) 40、80又は160μg/kg量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物は、治療の開始時にゆっくりとした単一大量瞬時(ボーラス)投与として患者に投与されるが、更なる危険因子がある場合がある(例えば抗凝固治療又は抗血小板治療を受けた患者は更なる投与がなされうる)。
また、本発明は、抗血小板療法を既に受けていた患者におけるICHの一又は複数の合併症を予防するか又は軽減するための方法であって、患者に有効量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が投与されることによって実施される方法を提供する。代表的な患者は、自然発生又は外傷性のICHを患ったことがある。
ある実施態様では、最初の投与工程は、ICHの発症の4時間以内に行われる。ある実施態様では、方法は、さらに、前記第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の効果を増やす量で第二の凝固剤が患者に投与されることを含んでなる。好ましくは、第二の凝固剤が、凝固因子(限定するものではないが、第VIII因子、第IX因子、第V因子、第XI因子、第XIII因子、及びこれらのいずれかの組み合わせ)、又は抗線溶剤(限定するものではないが、PAI-1、アプロチニン、ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸、又はこれらのいずれかの組み合わせ)である。
また、本発明は、ICH患者(抗血小板療法を既に受けていた患者)がICH後に入院する日数を減少するための方法であって、ICH後の出血の増大及び/又は浮腫形成の予防又は軽減を達成するために有効な量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が該患者に投与されることによって実施される方法を提供する。
また、本発明は、既に抗血小板療法を受けていたICH患者の死のリスクを低減するための方法であって、ICH後の浮腫形成の予防又は軽減のためにある量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が該患者に投与されることによって実施される方法を提供する。
また、本発明は、抗血小板療法を既に受けたことがある多くのICH患者のICHの一又は複数の合併症を予防する又は軽減するための方法であって、(i) 該ICH患者群に予防又は軽減を達成するために有効な量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が投与されること;及び、(ii) 前記第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が投与されなかった患者の同じ群において予想された前記合併症の発症の頻度と比較して、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が投与された患者群の中でICHの一又は複数の合併症の発症の頻度に減少が観察されることによって実施される方法を提供する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、ICH後の出血の増大及び/又は浮腫形成を予防する又は軽減するために都合よく用いられうる方法及び組成物であって、該患者が外傷の後及び/又はその外傷を治療するために用いられうる医学的処置の結果としてICHを患いうるものである方法を提供する。前記方法は、出血の増大、浮腫の形成並びに一又は複数のICH関連の合併症を予防又は軽減するために有効な様式で、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物がICH患者に投与されることによって実施される。出血の増大、浮腫の形成及びその後の合併症を予防又は軽減するために有効な様式は、予め決められた量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が投与されること、及び/又は特定の投薬計画、製剤、投与様式、他の治療との組み合わせなどを用いることを含みうる。出血の増大、浮腫の形成の軽減又はICHの合併症の予防における本発明の方法の有効性は、一又は複数の従来の画像法(例えばCT、MRIスキャニング)を用いて、又は合併症を評価するパラメータ(下記参照)を用いて評価されうる。本発明の方法によって予防されうる合併症、又は、軽減されうる重症度には、出血の増大、浮腫の形成、及び一又は複数のこれら症候群に起因する死を含む生活の質の低下が挙げられるが、これに限定されるものではない。
患者の選別:
本発明の方法を用いて利益を得うる患者には、自然発症性又は外傷性のICHを患う患者が挙げられるが、これに限定されるものではない。自然発症性ICHには、通常高齢化、高血圧、又は大脳血管系におけるアミロイドの沈着の発生と関係している脳内出血を患う患者が含まれる。通常、ICHは、障害した血管に隣接する周囲の脳組織に広範囲な損傷を引き起こしている単一の血管の断裂から生じる。外傷性のICHは、例えば原動機付きの乗り物の事故又は高所からの落下に起因する事故と関係しうる。結果として生じる頭部への挫傷により、一又は複数の脳内ないしは脳外(ただし頭蓋内)の血管の断裂が引き起こされうる。多くの頭蓋内(ただし脳外)出血は急性期で既に外科的に取り除かれるが、脳内病変は、除去そのものが脳組織に重大な損傷を引き起こすので、直接的な除去の適応とならないことが多い。
出血とは、循環系のいずれかの構成成分からの血液の管外遊出を指し、ICHと関連する任意の出血(限定するものではないが、過剰な、制御不能な出血、すなわち大量出血)が包含される。ある一連の実施態様では、過剰な出血は自然発症性ICHに起因する;他の実施態様では、外傷性のICHに起因する。
本発明の方法は、無処置で放置されると、出血の重大な増大、及び関連する浮腫及び/又は合併症を引き起こすと思われる、自然発症性又は外傷性のICHを患っている任意の患者に、都合よく応用されうる。
ある一連の実施態様では、本発明に従って治療される患者は、先天的であれ後天的であれ、血友病A、B又はCなどの出血性疾患を患わない。
本発明の異なる実施態様では、先天性出血性疾患と診断された場合、患者は治療から除外しうる。
本発明の発明者等は、抗血小板剤による事前治療がICH後の限局性(limiting)血腫増大のrFVIIaの有効性を低減しないということを発見した。抗血小板剤は血小板活性化又は血小板凝集を阻害する薬剤であり、抗血小板療法は当分野において周知である。本明細書中で使用される抗血小板剤には、シクロオキシゲナーゼ阻害薬、ADPレセプターアンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害薬、GPIIb/IIIaレセプターアンタゴニスト、及びトロンボキサンA2レセプターアンタゴニストが含まれるが、これらに限定されるものではない。シクロオキシゲナーゼ阻害薬には、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、インドメタシン及びスルフィンピラゾンが含まれるが、これらに限定されるものではない。ADPレセプターアンタゴニストには、クロピドグレル(例として米国特許第4529596号参照)及びチクロピジン(ticlopdipine)(例として米国特許第4591592号参照)が含まれるが、これらに限定されるものではない。ホスホジエステラーゼ阻害薬には、シロスタゾールが含まれるが、これに限定されるものではない。糖タンパク質GPIIb/IIIaレセプターアンタゴニストには、アブシキマブ、G4120、エプチフィバチド及びチロフィバン(例として国際公開第99/45913号参照)が含まれるが、これらに限定されるものではない。トロンボキサンA2レセプターアンタゴニストには、イブプロフェン(例として米国特許第5100889号)が含まれるが、これに限定されるものではない。
一般的に、ICH患者は、例えば心臓血管系状態の継続治療の一部として一又は複数の抗血小板剤が投与されていたかもしれない。第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の投与前に抗血小板療法を受けていた患者は、(i) 継続中の抗血小板治療を受けている患者、すなわち、抗血小板剤が、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が投与されている期間の間に患者にまだ存在している;(ii) 抗血小板剤の単回用量が投与された患者、このとき抗血小板剤の効果がまだ検出される(例えば、ICHの発症前2週間、1週間又は数日以内に);及び、(iii) 抗血小板療法がICHの発症及び/又は第VIIa因子投与の前に終了しているが、患者の凝固状態に対する抗血小板剤の累積的効果(一又は複数)がまだ検出されうる患者、を包含することを意図することは理解されるであろう。
例として限定するものではないがワルファリン、LovanoxTM及びagatrophan[sp?]を含む他の抗凝血物質が既に投与されていたICH患者を治療するための、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の使用もまた本発明に包含される。
第VIIa因子及び第VIIa因子等価物:
本発明の実施において、合併症の予防に効果的な任意の第VIIa因子又はその等価物が、ICH患者に投与される際に使用されうる。ある実施態様では、第VIIa因子は、例として、米国特許第4784950号に開示されるヒト第VIIa因子(野生型第VII因子)である。「第VII因子」なる用語は、非切断型(酵素前駆体)形態の第VII因子ポリペプチド、並びにタンパク質分解処理され、それぞれ生物活性形態を獲得した第VII因子ポリペプチドを包含することを意図し、第VIIa因子と称されうる。一般的に、第VII因子は、残基152と153との間で切断されて第VIIa因子となる。
第VIIa因子等価物には、ヒト第VIIa因子と比較して化学的に修飾されるか、及び/又はヒト第VIIa因子と比較して一又は複数のアミノ酸配列変異を含有する第VII因子ポリペプチドが含まれるが、これらに限定されるものではない。このような等価物は、安定性、リン脂質結合性、変化した特異的活性等を含む、ヒト第VIIa因子と異なる特性を示しうる。
ある一連の実施態様では、第VIIa因子等価物には、ヒト第VIIa因子の特定の生物活性の少なくともおよそ10%、好ましくは少なくともおよそ30%、より好ましくは少なくともおよそ50%、及び最も好ましくは少なくともおよそ70%を表すポリペプチドが含まれる。本発明のために、第VIIa因子生物活性は、例えば米国特許第5997864号に記載のように、第VII因子欠損血漿及びトロンボプラスチンを用いて調製物の血液凝固を促進する能力を測定することによって定量化されうる。このアッセイにおいて、生物学的活性は、コントロール試料に対する凝固時間の減少として表され、1単位/mlの第VII因子活性を含む貯留されたヒト血清標準物質との比較により、「第VII因子単位」に変換される。あるいは、第VIIa因子の生物学的活性は、(i) 脂質膜に包埋されたTF及び第X因子を含む系における第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の第Xa因子生産能の測定(Persson等, J. Biol. Chem. 272:19919-19924, 1997);(ii) 水性の系における第X因子の加水分解の測定(下記の実施例5参照);(iii) 表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance)を基礎とする装置を用いた、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物のTFへの物理的な結合の測定(Persson, FEBS Letts. 413:359-363, 1997)、及び(iv) 第VIIa因子及び/又は第VIIa因子等価物による合成基質の加水分解の測定によって、定量化されうる。
第VII因子等価物の例として、野生型の第VII因子、L305V−第VII因子、L305V/M306D/D309S−第VII因子、L305I−第VII因子、L305T−第VII因子、F374P−第VII因子、 V158T/M298Q−第VII因子、V158D/E296V/M298Q−第VII因子、K337A−第VII因子、M298Q−第VII因子、V158D/M298Q−第VII因子、L305V/K337A−第VII因子、V158D/E296V/M298Q/L305V−第VII因子、V158D/E296V/M298Q/K337A−第VII因子、V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A−第VII因子、K157A−第VII因子、E296V−第VII因子、E296V/M298Q−第VII因子、V158D/E296V−第VII因子、V158D/M298K−第VII因子、及びS336G−第VII因子、L305V/K337A−第VII因子、L305V/V158D−第VII因子、L305V/E296V−第VII因子、L305V/M298Q−第VII因子、L305V/V158T−第VII因子、L305V/K337A/V158T−第VII因子、L305V/K337A/M298Q−第VII因子、L305V/K337A/E296V−第VII因子、L305V/K337A/V158D−第VII因子、L305V/V158D/M298Q−第VII因子、L305V/V158D/E296V−第VII因子、L305V/V158T/M298Q−第VII因子、L305V/V158T/E296V−第VII因子、L305V/E296V/M298Q−第VII因子、L305V/V158D/E296V/M298Q−第VII因子、L305V/V158T/E296V/M298Q−第VII因子、L305V/V158T/K337A/M298Q−第VII因子、L305V/V158T/E296V/K337A−第VII因子、L305V/V158D/K337A/M298Q−第VII因子、L305V/V158D/E296V/K337A−第VII因子、L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A−第VII因子、L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A−第VII因子、S314E/K316H−第VII因子、S314E/K316Q−第VII因子、S314E/L305V−第VII因子、S314E/K337A−第VII因子、S314E/V158D−第VII因子、S314E/E296V−第VII因子、S314E/M298Q−第VII因子、S314E/V158T−第VII因子、K316H/L305V−第VII因子、K316H/K337A−第VII因子、K316H/V158D−第VII因子、K316H/E296V−第VII因子、K316H/M298Q−第VII因子、K316H/V158T−第VII因子、K316Q/L305V−第VII因子、K316Q/K337A−第VII因子、K316Q/V158D−第VII因子、K316Q/E296V−第VII因子、K316Q/M298Q−第VII因子、K316Q/V158T−第VII因子、S314E/L305V/K337A−第VII因子、S314E/L305V/V158D−第VII因子、S314E/L305V/E296V−第VII因子、S314E/L305V/M298Q−第VII因子、S314E/L305V/V158T−第VII因子、S314E/L305V/K337A/V158T−第VII因子、S314E/L305V/K337A/M298Q−第VII因子、S314E/L305V/K337A/E296V−第VII因子、S314E/L305V/K337A/V158D−第VII因子、S314E/L305V/V158D/M298Q−第VII因子、S314E/L305V/V158D/E296V−第VII因子、S314E/L305V/V158T/M298Q−第VII因子、S314E/L305V/V158T/E296V−第VII因子、S314E/L305V/E296V/M298Q−第VII因子、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q−第VII因子、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q−第VII因子、S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q−第VII因子、S314E/L305V/V158T/E296V/K337A−第VII因子、S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q−第VII因子、S314E/L305V/V158D/E296V/K337A −第VII因子、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A−第VII因子、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A−第VII因子、K316H/L305V/K337A−第VII因子、K316H/L305V/V158D−第VII因子、K316H/L305V/E296V−第VII因子、K316H/L305V/M298Q−第VII因子、K316H/L305V/V158T−第VII因子、K316H/L305V/K337A/V158T−第VII因子、K316H/L305V/K337A/M298Q−第VII因子、K316H/L305V/K337A/E296V−第VII因子、K316H/L305V/K337A/V158D−第VII因子、K316H/L305V/V158D/M298Q−第VII因子、K316H/L305V/V158D/E296V−第VII因子、K316H/L305V/V158T/M298Q−第VII因子、K316H/L305V/V158T/E296V−第VII因子、K316H/L305V/E296V/M298Q−第VII因子、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q−第VII因子、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q−第VII因子、K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q−第VII因子、K316H/L305V/V158T/E296V/K337A−第VII因子、K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q−第VII因子、K316H/L305V/V158D/E296V/K337A −第VII因子、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A−第VII因子、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A−第VII因子、K316Q/L305V/K337A−第VII因子、K316Q/L305V/V158D−第VII因子、K316Q/L305V/E296V−第VII因子、K316Q/L305V/M298Q−第VII因子、K316Q/L305V/V158T−第VII因子、K316Q/L305V/K337A/V158T−第VII因子、K316Q/L305V/K337A/M298Q−第VII因子、K316Q/L305V/K337A/E296V−第VII因子、K316Q/L305V/K337A/V158D−第VII因子、K316Q/L305V/V158D/M298Q−第VII因子、K316Q/L305V/V158D/E296V−第VII因子、K316Q/L305V/V158T/M298Q−第VII因子、K316Q/L305V/V158T/E296V−第VII因子、K316Q/L305V/E296V/M298Q−第VII因子、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q−第VII因子、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q−第VII因子、K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q−第VII因子、K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A−第VII因子、K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q−第VII因子、K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A −第VII因子、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A−第VII因子、及びK316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A−第VII因子が挙げられるが、これらに限定するものではない。
調製及び製剤:
本発明は、第VIIa因子調製物を含んでなる製剤を用いて達成される、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の治療的投与を包含する。本明細書中で用いられる「第VII因子調製物」とは、多数の第VIIa因子ポリペプチド又は第VIIa因子等価物ポリペプチドを指し、本来の細胞であるか、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物を合成するようにプログラムされた組み換え細胞であるかにかかわらず、合成が行われた細胞から単離された変異体及び化学的に修飾された形態を含む。
本来の細胞からのポリペプチドの単離は、限定するものではないが、付着細胞培養物からの所望の産物を含む細胞培養培地の除去;非付着細胞を取り除くための遠心又は濾過;などを含む、当分野で公知の任意の方法によって達成されうる。
場合によって、第VII因子ポリペプチドはさらに精製されうる。精製は、限定するものではないが、例えば、抗第VII因子抗体カラムなどの親和性クロマトグラフィ(例えば、Wakabayashi等, J. Biol. Chem. 261:11097, 1986;及びThim等, Biochem. 27:7785, 1988参照);疎水性相互作用クロマトグラフィ;イオン交換クロマトグラフィ;サイズ排除クロマトグラフィ;電気泳動的方法(例えば、分離用等電点電気泳動法(IEF)、異なる溶解度(例えば、硫安塩析)、又は抽出等を含む、当分野において公知の任意の方法を用いて達成されうる。一般的に、Scopes, Protein Purification, Springer-Verlag, New York, 1982;及びProtein Purification, J.-C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照。精製後、調製物は、重量にして好ましくはおよそ10%未満、より好ましくはおよそ5%未満及び最も好ましくはおよそ1%未満の宿主細胞由来の非第VII因子タンパク質を含有する。
第VII因子及び第VII因子関連のポリペプチドは、第XIIa因子又はトリプシン様特異性を有する他のプロテアーゼ、例えば第IXa因子、カリクレイン、第Xa因子及びトロンビンを用いてタンパク質分解性切断によって活性化されうる。例として、Osterud等, Biochem. 11:2853 (1972);Thomasの米国特許第4456591号;及びHedner等, J. Clin. Invest. 71:1836 (1983)を参照。あるいは、第VII因子は、Mono Q(登録商標)(Pharmacia)などのイオン交換クロマトグラフィカラムを通すことによって活性化されうる。次いで、結果として生じる活性化された第VII因子は後述のように製剤化され、投与されうる。
本発明における使用のための薬剤組成物又は製剤は、薬剤的に受容可能な担体、好ましくは水性の担体又は希釈剤と組み合わせるか、好ましくはこれらに溶解させた第VIIa因子調製物を含有してなる。水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン等といった、様々な水性の担体が使用されうる。また、本発明の調製物は、損傷の部位に送達する又はそこを標的とするために、リポソーム調製物に製剤化されうる。リポソーム調製物は、通常、例えば米国特許第4837028号、同第4501728号及び同第4975282号において記述される。組成物は、従来の周知の滅菌技術によって殺菌されうる。生成された水性溶液は、使用のためにパッケージ化されるか又は無菌条件下で濾過されて凍結乾燥され得、この凍結乾燥された調製物は、投与前に無菌の水性溶液と組み合わされる。
組成物は、限定するものではないが、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等といった、pH調整及び緩衝剤及び/又は張性調節剤(tonicity adjusting agent)を含む、薬剤的に受容可能な補助物質又はアジュバントを含みうる。
治療投薬計画:
本発明の実施において、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物は、出血の増大及び/又は浮腫の形成を予防するため、及び/又は合併症を治療するために有効な単回量を含んでなる単一用量として、又は、合併症を予防又は治療するための有効量を併せて含んでなる段階的な一連の用量で患者に投与されうる。有効量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物(下記参照)とは、単一用量又は複数回量の総計として、又は他の種類の決められた治療投薬計画の一部として投与される場合に、ICH及び/又はその合併症(下記参照)と関係する少なくとも一の臨床パラメータによって証明されるところの、結果の測定可能な統計学的な改善が得られる量の第VIIa因子又は等価物を指す。第VIIa因子等価物が投与される場合、有効量は、第VIIa因子等価物の凝固活性を第VIIa因子の凝固活性と比較して、第VIIa因子の所定の有効用量に比例して投与される量を調整することによって決定されうる。
本発明による第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の投与は、好ましくは、ICHが発症後およそ4時間以内、例えばおよそ3時間以内、およそ2時間以内、又はおよそ1時間以内に開始される。
単回量の投与は、およそ5分未満にわたるゆっくりとしたボーラス投与とした、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の全ての用量の投与を指す。ある実施態様では、およそ2.5分未満、ある実施態様では、およそ1分未満にわたって投与される。典型的に、単一用量の有効量は、少なくともおよそ40μg/kgのヒト第VIIa因子又は相当する量の第VIIa因子等価物、例えば少なくともおよそ50μg/kg、75μg/kg又は90μg/kg、又は少なくとも160μg/kgの第VIIa因子を含んでなる。
第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の有効量、並びに全体の投薬計画が、例えば循環凝固因子の相対的な量;失血量;出血速度;ヘマトクリットなどを含む一又は複数の臨床パラメータに次々に反映されうる患者の出血状態によって変わりうることは理解されるであろう。さらに、有効量が、常套的な実験により、つまり値のマトリックスを構築してマトリックスの異なるポイントを試験することによって、当業者により決定されうることは理解されるであろう。
例えば、ある一連の実施態様では、本発明は、(i) 第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の第一用量が投与される;(ii) 所定時間以後の患者の凝固状態を評価する;そして、(iii) この評価に基づいて、必要であれば第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の更なる用量を投与することを包含する。工程(ii)及び(iii)は十分な止血が達成されるまで繰り返されうる。
本発明に記載の、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物は、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、皮下、粘膜、及び肺内の経路を含む任意の有効な経路によって投与されうる。好ましくは、投与は静脈内経路による。
組み合わせ治療:
本発明は、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物とともに更なる薬剤の組み合わせ投与を包含する。ある実施態様では、この付加的な薬剤は、限定するものではないが例えば第VIII因子、第IX因子、第V因子、第XI因子、又は第XIII因子などの凝固因子を含む血液凝固剤;又は、例えばPAI-1、アプロチニン、ε-アミノカプロン酸又はトラネキサム酸などの線維素溶解系の阻害薬を含んでなる。
第VIIa因子とその他の薬剤との組み合わせの投与を含む実施態様では、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の投与量は、それ自身で有効量を含んでよく、また付加的な薬剤は、患者への治療上の利益をさらに増大させうることが理解されるであろう。あるいは、第VIIa因子又は等価物と第二薬剤の組み合わせは併せて、ICHと関係している合併症を予防するための有効量を含みうる。また、有効量は、例えば投与のタイミングや回数、投与の様式、製剤等を含む、特定の治療投薬計画の関係で決定されうることは理解されるであろう。
治療結果:
本発明は、ICH後の出血の増大及び/又は浮腫の形成を予防又は軽減する、並びにICHの一又は複数の合併症を予防及び/又は軽減するための方法及び組成物を提供する。合併症には、脳浮腫、一又は複数のこれら症候群に起因する死を含む生活の質の低下が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本発明の実施において、ICHの重症度及びその合併症は、例えば、CTないしはMRIスキャンによる画像診断又は本明細書中に記載の臨床的な評価スコア(the Clinical assessment scores)(Scores)等の、従来の方法を用いて評価されうる。評価は、本発明による治療の開始から少なくともおよそ15日後、例えば、治療の開始から少なくともおよそ30日後、少なくともおよそ40日後、又は少なくともおよそ90日後に行われうる。
臓器損傷又は臓器不全には、臓器、すなわち、限定するものではないが、大脳、小脳、脳橋、髄質、脳幹、脊髄又は周辺組織と定義される脳の構造への損傷及び/又は機能への損傷が包含されるがこれらに限定されるものではない。臓器損傷の例には、形態的/構造的損傷及び/又は臓器の機能への損傷、例えば、過度の液体又はタンパク質の蓄積が含まれるがこれらに限定されるものではない。「臓器傷害」、「臓器損傷」及び「臓器不全」なる用語は交換可能に用いられうる。通常、臓器損傷により臓器不全となる。臓器不全とは、正常な健康体の対応する臓器の平均的な正常な機能と比較したときの臓器機能の低下を意味する。臓器不全は、機能のわずかな低下(例えば標準の80〜90%)であってもよく、又は機能の大きな低下(例えば標準の10〜20%)であってもよい。また、低下は臓器機能の完全な欠損であってもよい。臓器不全には、例えば組織壊死、フィブリン沈着、出血、浮腫又は炎症及び/又は脳ヘルニアのようなこれらの不全に応答して起こる合併症による、生物学的な機能の低下が含まれるが、これに限定されるものではない。臓器損傷には、組織壊死、フィブリン沈着、出血、浮腫又は炎症が含まれるが、これらに限定されるものではない。
臓器機能及び能力を試験するための方法、及び、このような試験に好適な生化学的パラメータ又は臨床パラメータは、熟練した臨床医に周知である。
臓器機能のこのようなマーカー又は生化学的なパラメータは、例えば以下のようなものである。
脳灌流:大脳血流の測定値。
脳代謝:大脳酸素抽出の測定値又は酸素の大脳代謝速度の直接的な測定値(例えば、MRS、PET又はSPECTスキャンによるもの)。グルコース等の酸素以外の基質の測定値も含まれる。
脳統合性:MRI(任意の及びすべての標準化されたプロトコール順序)、CT、CTA。
EEGで測定される脳細胞電気的機能。
確立された神経学的試験による脳機能(例えばMicrodialysis, Transcranial Doppler)。
また、凝固障害及び炎症について試験するための方法は、熟練した臨床医に周知である。このような凝固障害状態のマーカーは、例えば、PTT、フィブリノゲン枯渇、TAT複合体の増加、ATIII活性、IL-6、IL-8又はTNFR-1である。
本文脈において、予防には、限定するものではないが、ICHと関係する一又は複数の症状又は状態の軽減、除去、最小限化、緩和又は寛解が含まれ、さらに限定するものではないが、ある程度の臓器不全及び/又は損傷を既に受けている影響を受けた臓器の更なる損傷及び/又は不全の予防、並びにまだ臓器不全及び/又は損傷を受けていない臓器の更なる損傷及び/又は不全の予防が含まれる。このような症状又は状態の例には、限定するものではないが脳及び周辺臓器などの臓器の機能への損傷及び/又は形態学的/構造学的な損傷が含まれるが、これらに限定されるものではない。このような症状又は状態の例には、例えば血腫の質量の影響による又は結果として生じる周囲組織での炎症反応によるタンパク質又は体液の蓄積、組織壊死、フィブリン沈着、出血、浮腫又は炎症などの、臓器(一又は複数)の機能への損傷及び/又は形態学的/構造学的損傷が含まれるが、これらに限定されるものではない。
臓器不全又は損傷の軽減は、本発明によって治療されていないICH患者で見られる対応する値(一又は複数)と比較したときの、該臓器の機能の周知のマーカー(下記参照)のうちの少なくとも一つによって測定されるところの臓器機能の任意の改善を包含する。
様々な実施態様では、血腫の増大は、本発明の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物で治療されていない患者における血腫増大よりも、少なくとも5%、例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%又は少なくとも70%少ない。様々な実施態様では、浮腫の形成は、本発明の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物で治療されていない患者における浮腫の形成よりも、少なくとも5%、例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%又は少なくとも70%少ない。他の実施態様では、総出血体積(ICH+IVH)は、本発明の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物で治療されていない患者における総出血体積よりも、少なくとも5%、例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%又は少なくとも70%少ない。
ICH重症度及び/又は合併症の測定値:
以下は、ICHの合併症の発症及び重症度を評価するための方法の非限定的な例である。
グラスゴー昏睡スコア(Glasgow Coma Score)(GCS;Teasdale及びJennett, The Lancet 13; 2(7872):81-84, 1974)は、添付の手段又はそれと同等なものを用いて決定される(付録1;下記)。
修正ランキンスケール(modified Rankin Scale)(mRS;Bonita及びBeaglehole, Stroke 1988 Dec; 19(12): 1497-1500)は、添付の手段又はそれと同等なものを用いて決定される(付録2;下記)。
バーセルインデックス(Barthel Index)(BI;Mahoney及びBarthel, Maryland State Medical Journal 1965; 14:56-61)は、添付の手段又はそれと同等なものを用いて決定される(付録3;下記)。
NIH脳卒中スケール(NIH Stroke Scale)(NIHSS;Brott等, 1989)は、添付の手段又はそれと同等なものを用いて決定される(付録4;下記)。
グラスゴーアウトカムスケール拡張版(Glasgow Outcome Scale extended version)(GOSe、Lindsay等, Journal of Neurotrauma; 15 (8): 573-580, 1998)は、添付の手段又はそれと同等なものを用いて決定される(付録5;下記)。
上記の5つの周知の手段を含め、尺度及び評価手段の情報は、The Internet Stroke Center Washington, University School of Medicine, Department of Neurology (www.strokecenter.org)にて提供される。
治療の他の指標:
また、本発明の方法の有効性は他の臨床パラメータを用いて評価されうる。この臨床パラメータには、限定するものではないが、本発明の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が投与されなかった同様の患者と比較したときの以下のパラメータ:上記のNIHSS、mRS、E-GOS、GCS又はBIスケールによって測定される神経学的結果の改善;患者が集中治療室(ICU)にて過ごしうる日数の減少、及び特定の処置(例えば、人工呼吸器)を必要とする日数の減少を含む、ICHを患った後の入院の日数の減少、のいずれか一又は複数の減少が含まれる。結果の非限定的な例には、(i) NIHSSのスコアの少なくとも1、2、4、8、10又は20ポイントのスケールの改善;(ii) mRSスケールの少なくとも1、2、3又は4ポイントのスケールの改善;(iii) BIスケールの少なくとも5、10、15、20又は30ポイントのスケールの改善;(iv) 8ポイントGOSの少なくとも1、2、3、5又は7ポイントのスケールの改善;(v) ICU日数における1日、2日又は4日の減少;(vi) 人工呼吸器の日数における1日、2日又は4日の減少;(vii) 総入院日数における2日、4日又は8日の減少。
本発明の様々な実施態様
本発明は、抗血小板療法を既に受けたことがある患者におけるICH後の出血の増大及び/又は浮腫の形成を予防又は軽減する、並びにICHの一又は複数の合併症を予防又は軽減するための医薬の製造のための第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の使用を包含する。合併症の非限定的な例には、大脳浮腫及びICH後の劣った神経学的結果、並びに死が含まれる。ある実施態様では、患者は自然発症性ICHを患っており、ある実施態様では、外傷性のICHを患っている。
ある実施態様では、医薬は、少なくともおよそ160μg/kgの第VIIa因子又は相当する量の第VIIa因子等価物を含有してなる。ある実施態様では、医薬は、少なくともおよそ160μg/kgを含有する初回用量にて投与されるためのものである。
他の態様では、本発明は、ICH患者(既に抗血小板療法を受けていたICH患者)が症状の発症後又は損傷の発生後に入院する日数を減少させるための医薬の製造のための第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の使用を包含する。ある実施態様では、医薬は、ICH患者が損傷又は症状の発症後に集中治療室(ICU)で過ごす日数を減少させるためのものである。
他の態様では、本発明は、既に抗血小板療法を受けていたICH患者の脳機能を改善させるための医薬の製造のための第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の使用を包含する。ある実施態様では、医薬は、ICH患者の前記浮腫と関係している更なる神経学的悪化の関連するリスク及び脳浮腫の量を低減するためのものである。ある実施態様では、医薬は、脳損傷からの進行のリスクを低減するためのものである。
他の態様では、本発明は、既に抗血小板療法を受けていたICH患者の死のリスクを低減するための医薬の製造のための第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の使用を包含する。
ある実施態様では、医薬は、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物による前記の予防又は軽減を増やす量の第二凝固剤を更に含有してなる。ある実施態様では、第二凝固剤は、凝固因子及び抗線溶剤からなる群から選択される。凝固因子の非限定的な例には、第VIII因子、第IX因子、第V因子、第XI因子、第XIII因子、及び前述のいずれかの組み合わせが含まれ、抗線溶剤の非限定的な例には、PAI-1、アプロチニン、ε-アミノカプロン酸、及びトラネキサム酸が含まれる。
他の態様では、本発明は、ICH後の出血の増大及び/又は浮腫の形成を予防又は軽減する、並びにICHの一又は複数の合併症を予防又は軽減するためのキット・オブ・パーツであって、
(i) 第VIIa因子又は第VIIa因子等価物を含有してなる医薬;と、
(ii) a. 少なくともおよそ50、好ましくは少なくとも160μg/kgの第VIIa因子又は相当する量の第VIIa因子等価物を含んでなる初回用量が、治療開始時に投与されなければならない;
b. 第二用量が必要となり得、40、80又は160μg/kgの第VIIa因子の量、又は第VIIa因子等価物の相当する量で治療開始後1時間に投与されなければならない
ことが記載されている、使用のための指示書
とを具備してなるキット・オブ・パーツを提供する。
他の態様では、本発明は、抗血小板療法を既に受けたことがある患者におけるICH後の出血の増大及び/又は浮腫の形成を予防又は軽減する、並びにICHの一又は複数の合併症を予防又は軽減するための方法であって、予防又は軽減に有効な量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が、予防又は軽減の必要がある患者に投与されることを含んでなる方法を提供する。合併症の非限定的な例には、脳死、脳ヘルニア、脳ヘルニアの二次的な呼吸障害及び脳機能不全の二次的な他の関連する合併症が含まれる。ある実施態様では、患者は自然発症性ICHを患っており、他の実施態様では、外傷性のICHを患っている。
ある実施態様では、有効量は、少なくともおよそ40μg/kgの第VIIa因子又は相当する量の第VIIa因子等価物を含有してなる。ある実施態様では、初回量の少なくともおよそ160μg/kgの第VIIa因子又は相当する量の第VIIa因子等価物が治療開始時に投与され、第二の量のおよそ40、80又は160μg/kgの第VIIa因子又は相当する量の第VIIa因子等価物が治療開始の1時間後に患者に投与される。
ある実施態様では、前記方法は、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物による予防又は軽減を増やす量の第二の凝固剤が患者に投与されることを更に含んでなる。ある実施態様では、第二凝固剤は凝固因子又は抗線溶剤である。凝固因子の非限定的な例には、第VIII因子、第IX因子、第V因子、第XI因子、第XIII因子、及び前述のいずれかの組み合わせが含まれ、抗線溶剤の非限定的な例には、PAI-1、アプロチニン、ε-アミノカプロン酸、及びトラネキサム酸が含まれる。
他の態様では、本発明は、既に抗血小板療法を受けたことがあるICH患者が自然発症性ICH又は外傷性ICH後に入院する日数を減少するための方法であって、減少するために有効な量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が患者に投与されることによって実施される方法を提供する。
他の態様では、本発明は、既に抗血小板療法を受けたことがあるICH患者が損傷又は症状の発症後に集中治療室(ICU)で過ごす日数を減少するための方法であって、減少するために有効な量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が患者に投与されることによって実施される方法を提供する。
他の態様では、本発明は、既に抗血小板療法を受けたことがあるICH患者が自然発症性ICH又は外傷性ICH後に入院する日数を減少するための方法であって、減少するために有効な量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が患者に投与されることによって実施される方法を提供する。
他の態様では、本発明は、既に抗血小板療法を受けたことがあるICH患者における、限定するものではないが脳ヘルニア、脳梗塞を含む脳機能不全の合併症を発症するリスクを低減するための方法であって、減少するために有効な量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が患者に投与されることによって実施される方法を提供する。ある実施態様では、本発明は、脳損傷から脳死までの進行のリスクを減少するための方法を提供する。
他の態様では、本発明は、既に抗血小板療法を受けたことがあるICH患者における死のリスクを減少するための方法であって、減少するために有効な量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が患者に投与されることによって実施される方法を提供する。
他の態様では、本発明は、既に抗血小板療法を受けたことがある患者におけるICH後の出血増大及び/又は浮腫の形成を予防又は軽減するための方法であって、出血の増大及び/又は浮腫の形成を予防又は軽減する目的で、予防又は軽減するために有効な量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が予防又は軽減の必要がある患者に意図的に投与されることによって実施される方法を提供する。
他の態様では、本発明は、抗血小板療法を既に受けたことがある多くの自然発症性ICH患者又は外傷性ICH患者におけるICH後の出血の増大及び/又は浮腫の形成を予防する又は軽減するための方法であって、(i) 該ICH患者群に予防又は軽減するために有効な量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が投与されること;及び、(ii) 該第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が投与されなかった患者の同じ群において予想された合併症の発症の頻度と比較して、患者群の中でICHの一又は複数の合併症の発症の頻度に減少が観察されることによって実施される方法を提供する。
以下の実施例は本発明の非限定的な具体例とすることを意図する。
一般的な方法
測定方法
血腫、脳室内出血(IVH)及び浮腫体積(mm)は、ROI(対象の領域)モジュールを具備する、AnalyzeTMソフトウェア(Biomedical Imaging Resource at the Mayo Foundation)を用いた、コンピュータ断層撮影スキャン(CTスキャン)によって測定した。
血腫、脳室内出血(IVH)及び浮腫体積(mm)は、集中場所での処置割当を知らない神経放射線科医により、コンピュータ撮像システムを用いて、個々の関与する断面図(「スライス」)における、適切な高-又は低-減弱帯域(attenuation zone)の境界をたどることによって予測した。すべての測定値は、AnalyzeTMソフトウェアの範囲内で対象の領域(ROI)モジュールを用いて作られるであろう。観察者は、半自動セグメント化及び/又は手描きのトレーシングツールを用いて、それぞれの標的領域を決めるであろう。個々の境界が決められた領域は、観察者の補助となるように、画像上でROIとして表される対象の領域のみを含むように編集できるであろう(図1a及び1b参照)。この手順は、観察者の判断が必要な、個々のスライス並びに個々の分離された標的領域について、再現されるであろう。
一旦すべての領域が観察者によって決定されたなら、AnalyzeTMソフトウェアを用いて、個々のROIの統計を算出するであろう。これには、mmで決定されるROIの面積及びmmで決定されるROIの体積が含まれる。ROIの体積は得られたスライスの厚さに面積を乗じて算出される。対象は、1以上のスライスを含みうるため、個々のスライスに対するROIの体積は、「Stat Log対象領域(Stat Log Region of Interest)」ウインドウに表示される。このウインドウの情報は、ASCIIファイルとして保存され、直接ブラインド・リード・データベース(Blind Read Database)にインポートされる。一旦すべての体積がブラインド・リード・データベースにインポートされると、観察者が決定した領域は、対象マップ(object map)として蓄積され保存される。対象マップは、決定された領域/構造を有する体積の単なるコピーである。
観察者は、AnalyzeTMソフトウェアによる対象領域(ROI)モジュールを用いて、以下の事項を測定するであろう:
・ICHの体積。
・心室内出血(IVH)の体積。
・周辺血腫浮腫の総体積。
上記の測定値に基づいて、以下の事項が算出されるであろう:
・mm及びパーセントで表される、スクリーニングから24時間時点でのCTスキャンの、ICH体積の変化。
パーセントで算出される変化 = [(24時間時点でのICH体積−スクリーニング時のICH体積)/スクリーニング時のICH体積]100。
mmで算出される変化 = 24時間時点でのICH体積−スクリーニング時のICH体積
・各々のCTスキャンでの浮腫/ICH体積の比率
割合 = 浮腫の体積/ICH体積
・個々のCTスキャンにおける総出血。
算出される総出血=ICH+IVH
以下の計算は、マルチスライス厚技術(multi-slice thickness techniques)を用いて示されるCTスキャンに使用されるであろう。(後頭蓋窩(posterior fossa)には薄いスライス厚が用いられ、頭頂(vertex)にはより厚いスライス厚が用いられる。)
1=より薄いスライス厚の取得
2=より厚いスライス厚の取得
算出されるスライス厚(mm)/スライス間隔(mm) =X/[表の位置(Table Position)1(mm)+1/2スライス間隔1(mm)]−[表の位置(Table Position)2(mm)−1/2スライス間隔2(mm)]
mmで表される間隙(gap)/重複(overlap)の体積 =X(mmで表される1の最後のスライスの面積)。
実施例1:ICH患者に投与された第VIIa因子の有効性
目的:
急性脳内出血(ICH)の初期血腫増大の予防における、NovoSeven(登録商標)の有効性及び安全性の評価。処置は、損傷又は症状の発生後可能な限りすぐに行われるよう意図されているが、輸送及び/又は医学的な事情によって遅延されうる。投与のタイミングは、損傷又は症状の発生後の日数ではなく時間のレベルとする。
試験計画:
試験は、4つの処置アーム(プラセボに対して、40、80及び160μg/kgの用量)を用いた、ランダム化、二重盲検の、多施設、多国籍の、プラセボ対照での有効性及び安全性試験である。
試験集団:
試験する被験者数:400人のICH患者。
算入基準
1.発生3時間以内にCTスキャンによって診断された、自然発症性ICH(脳幹及び小脳を含む)
2.男性又は女性の被験者、年齢18歳以上
3.インフォームドコンセントの書面への署名を行っている。又はインフォームドコンセントの棄権証書がIRB /IECによって容認される国においては、完全権利放棄証書(a completed waiver form)に署名を行っている。
除外基準
1.ICHの症状の発生の時間が不明又は3時間を超えている。
2.梗塞、腫瘍、出血性梗塞、脳室血栓症、動脈瘤、動静脈奇形(AVM)、血栓溶解又は重篤な外傷に関連した、二次的ICH患者。
3.外科的な血腫排除が、発症の24時間以内に計画された又は行われた。
4.入院時に深い昏睡状態(GCS 3−5)である。
5.既知の経口抗凝固剤の使用(1.4未満のINRを除く)。アスピリンの使用は、除外基準ではない。
6.既知の血小板減少症(血小板量が50000/μLを超える場合を除く)。
7.既存の能力障害(すなわち、脳卒中以前にmRSスコアが0−2でなければならない)。
8.血友病又はその他の凝固障害のいずれかの病歴がある。
9.急性心筋虚血、急性敗血症、急性の挫滅(acute crush injury)、急性出血性播種性血管内血液凝固、又は急性血栓性脳卒中。
10.妊娠。
11.最近30日以内に、アンギナ、心筋梗塞、虚血性脳卒中、以前の血管性疾患による肢切断、又は跛行の病歴。
12.試験する生成物又は関連する生成物にアレルギーを持つ、又はその疑いがある。
13.この試験に以前参加したことがある。
14.試験に入って30日以内に、いずれかの治験薬又はデバイス試験に参加した。
評価:
有効性エンドポイント:
・第一の有効性エンドポイントは、投与前から基準のスキャン後24時間目までのCT頭部スキャンによって測定される、ICH値における変化である。
・第二の有効性エンドポイントは、試験期間にわたる、修正ランキンスケール(mRS)、バーセルインデックス(BI)、グラスゴー昏睡スケール(GCS)、8-ポイントグラスゴーアウトカムスケール(GOS)、EuroGOLスケール、及び国立保健研究所脳卒中スケール(NIHSS)の群の間における違いである。
安全性エンドポイント:
・退院までの有害事象、及び試験形態の終了が完了するまでの重篤な有害事象の発生。
・投与前から投与後1時間までの、安全性検査室凝固パラメータ(Safety laboratory coagulation parameters)(フィブリノーゲン及び断片1+2)。
・投与後72時間における頭部CTスキャンを用いて評価される、脳浮腫の悪化(浮腫/ICH−体積の割合)。
試験生成物(一又は複数):
活性化された組み換えヒト第VII因子(rFVIIa/NovoSeven(登録商標))及びプラセボは、注射のために水にて再構成される凍結乾燥散剤として、Novo Nordisk A/S、デンマークから供給される。
実施例2:ICH患者への第VIIa因子の投与
患者1人に中止の同意を得て除外した後に、ITT群は399人の患者を含んだ。
ICH血腫増大(ITT):24時間に対する基準時の%変化
Figure 2009501188
CT体積の変化:24時間に対する基準時の%変化(図1にも示す)
Figure 2009501188
ICH:脳内出血。IVH:脳室内出血。総出血=ICH+IVH
実施例3:ICH患者への第VIIa因子の投与
基準時のITT群の72時間後における浮腫の体積の二次的有効性、出血エンドポイント分析。
Figure 2009501188
体積の変化は、基準の体積とランダムな作用としての被験者と診断者、脳卒中から基準時CTまでの時間、及び一定の作用共分散としての基準時CTから投薬までの時間による全般性線形混合モデル(generalised linear mixed model)によって分析する。
基準時のITT群の72時間後における浮腫の全体積(ICH+IVH+浮腫)の二次的有効性、出血エンドポイント分析。
Figure 2009501188
体積の変化は、基準の体積とランダムな作用としての被験者と診断者、脳卒中から基準時CTまでの時間、及び一定の作用共分散としての基準時CTから投薬までの時間による全般性線形混合モデル(generalised linear mixed model)によって分析する。
実施例4:ICH患者への第VIIa因子の投与
浮腫を発達させていない患者(浮腫体積=0)−72時間までの基準時の変化
Figure 2009501188
実施例5:抗血小板療法を受けたICH患者への第VIIa因子投与
抗凝固療法中の患者は結果が劣るリスクが大きいことが示されており、抗血小板物質の使用はICH患者の30日の死亡率が増加する独立した危険因子である。抗血小板剤が凝血塊形成を阻害するように働くので、抗血小板剤による事前治療が急性ICH患者の血腫増大を低減するrFVIIaの有効性に対して有害作用を有しうる可能性がある。
これらの理由から、上記の研究のデータの二次的分析を行い、事前抗血小板療法が限局性(limiting)出血増大におけるrFVIIaの有効性を低減するかどうかを評価した。
方法
1.発症後3時間以内にCTスキャンによって急性ICHであることが確認された18歳以上の患者をランダム化して、基準時CTスキャンの1時間以内にプラセボ又は3つの用量のrFVIIa(40、80又は160μg/kg)のうちの1つのいずれかを投与した。
2.CTスキャン(24及び72時間目に実施)を用いて、患者が試験前に抗血小板剤を投与されているかいないかに従って、プラセボ群と組み合わせたrFVIIa群に関して、24時間(基準時と比較)でのICH体積における予測される平均%と絶対的な変化を算出した。
3.前処置の状況(すなわち抗血小板療法の有無)の間の相違は、処置(プラセボ対rFVIIa)、脳卒中から基準時CTスキャンまでの時間;基準時CTスキャンから投薬までの時間;基準時ICH体積/基準時ICH/IVH体積;抗血小板療法(受けていたかいないか);及び、一定の効果としての処置と抗血小板療法との間の相互作用による混合モデルを用いて分析した。
結果
合計399人の患者は処置に関してランダム化した。プラセボ、n=96;rFVIIa 40μg/kg、n=108;rFVIIa 80μg/kg、n=92;rFVIIa 160μg/kg、n=103。基準時の特徴を以下の表に挙げる。
表:基準時の特徴
Figure 2009501188
合計18%(n=72)の患者が、試験前に抗血小板療法を受けていた。抗血小板療法を受けた割合は、4つの治療群(14〜23%)、プラセボ群及び組み合わせrFVIIa群(プラセボ、15%:rFVIIa、19%)について類似していた。
基準時と比較したときの24時間目でのICH体積の増加によって示される血腫の増大(%変化及び絶対的な変化)は、以下の表に示されるように、プラセボ群と比較して組み合わせrFVIIa群において有意に減少していた。
処置による血腫の増大(プラセボ対rFVIIa)
Figure 2009501188
24時間目の血腫の増大の分析(すなわちICH体積の絶対的変化及び%変化)により、抗血小板剤の事前使用は処置中の血腫増大を阻害するrFVIIaの有効性に対して統計学的に有意な作用がないことが明らかとなった(図1及び2)。
結論
rFVIIaによる処置は、急性のICH患者の限局性(limiting)出血増大に対して有意な有益効果を有し、事前に抗血小板療法を受けなかった患者及び事前に抗血小板療法を受けた患者の両方で生じた。
したがって、抗血小板療法の使用は、急性ICHの場合のrFVIIa処置に対して禁忌とみなすべきではない。
本明細書中で引用されるすべての特許、特許出願及び参考文献は、出典明記によってそれらの全体が本明細書中に援用される。
上記の詳細な説明を考慮して、本発明の多くの変更形態が当業者に示唆されるであろう。このような明確な変更形態は添付の特許請求の範囲が意図する権利の完全な範囲内である。
付録
付録1 グラスゴー昏睡スケール(Glasgow Coma Score)(GOS):
付録2 修正ランキンスケール(Modified Rankin Scale)(mRS):
付録3 バーセルインデックス(Barthel Index)(BI):
付録4 NIH脳卒中スケール(NIH Stroke Scale)(NIHSS):
付録5 グラスゴーアウトカムスケール拡張版(Glasgow Outcome Scale extended version)(GOSe又はE-GOS):
Figure 2009501188
Figure 2009501188
Figure 2009501188
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Figure 2009501188
Figure 2009501188
第VIIa因子投与前に抗血小板療法を受けていた患者、又は受けていない患者におけるICH体積の変化の比較をグラフに表す(体積の%変化として表す)。 第VIIa因子投与前に抗血小板療法を受けていた患者、又は受けていない患者におけるICH体積の変化の比較をグラフに表す(体積の絶対的な変化として表す)。

Claims (37)

  1. 患者の脳内出血(ICH)の一又は複数の合併症を予防するか又は軽減する方法であって、必要とする患者に第VIIa因子又は第VIIa因子等価物を含んでなる第一の凝固剤の有効量が投与されることを含んでなり、該患者が第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の投与の前に抗血小板療法を受けていたものである方法。
  2. 前記患者が自然発症性又は外傷性ICHを患ったことがある、請求項1に記載の方法。
  3. 前記有効量が少なくともおよそ40μg/kgの前記第VIIa因子又は第VIIa因子等価物を含んでなる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記有効量が少なくともおよそ80μg/kgの前記第VIIa因子又は第VIIa因子等価物を含んでなる、請求項3に記載の方法。
  5. 前記有効量が少なくともおよそ120μg/kgの前記第VIIa因子又は第VIIa因子等価物を含んでなる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記の投与がICHの発症のおよそ24時間以内に行われる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記の投与がICHの発症のおよそ4時間以内に行われる、請求項6に記載の方法。
  8. さらに、患者に第二の凝固剤が投与されることを含んでなり、前記第一及び第二の凝固剤の量は併せて、前記予防又は軽減に有効な量である、請求項1に記載の方法。
  9. 第二の凝固剤が凝固因子である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記第二の凝固剤が、第VIII因子、第IX因子、第V因子、第XI因子、第XIII因子、第VII因子又は第一の凝固剤と異なる第VIIa因子、及び前述のいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記第二の凝固剤が抗線溶剤である、請求項8に記載の方法。
  12. 前記抗線溶剤がPAI-1、アプロチニン、ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸、及び前述のいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記の投与により、ICH患者がICH後に入院する日数の減少、及びICH患者の死のリスクの減少のうちの一又は複数が生じる、請求項1に記載の方法。
  14. 前記抗血小板療法が、シクロオキシゲナーゼ阻害薬;ADPレセプターアンタゴニスト;糖タンパク質IIb/IIIaレセプターアンタゴニスト;ホスホジエステラーゼ阻害薬;及び、トロンボキサンA2レセプターアンタゴニストからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  15. シクロオキシゲナーゼ阻害薬がアセチルサリチル酸、イブプロフェン、インドメタシン及びスルフィンピラゾンからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. ADPレセプターアンタゴニストが、クロピドグレル及びチクロピジンからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  17. 糖タンパク質IIb/IIIaレセプターアンタゴニストが、アブシキマブ、G4120、エプチフィバチド及びチロフィバンからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  18. ホスホジエステラーゼ阻害薬がシロスタゾールである、請求項14に記載の方法。
  19. 抗血小板療法を既に受けたことがある多くのICH患者のICHの一又は複数の合併症を予防するか又は軽減するための方法であって、(i) 該ICH患者群に予防又は軽減を達成するために有効な量の第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が投与されること;及び、(ii) 前記第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が投与されなかった患者の同じ群において予想された前記合併症の発症の頻度と比較して、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物が投与された患者群の中でICHの一又は複数の合併症の発症の頻度に減少が観察されることによって実施される方法。
  20. 第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の投与前に抗血小板療法を受けたことがある患者の脳内出血(ICH)の一又は複数の合併症を予防するか又は軽減するための医薬の製造のための、第VIIa因子又は第VIIa因子等価物を含んでなる第一の凝固剤の使用。
  21. 前記患者が自然発症性又は外傷性ICHを患ったことがある、請求項20に記載の使用。
  22. 第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の投与量が少なくともおよそ40μg/kgを含んでなる、請求項20又は21に記載の使用。
  23. 第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の投与量が少なくともおよそ80μg/kgを含んでなる、請求項22に記載の使用。
  24. 第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の投与量が少なくともおよそ120μg/kgを含んでなる、請求項23に記載の使用。
  25. 第VIIa因子又は第VIIa因子等価物の投与がICHの発症のおよそ24時間以内に行われる、請求項20から24のいずれか一に記載の使用。
  26. 前記の投与がICHの発症のおよそ4時間以内に行われる、請求項25に記載の使用。
  27. さらに、前記医薬が第二の凝固剤を含んでなり、前記第一及び第二の凝固剤の量は併せて、前記予防又は軽減に有効な量である、請求項20から22のいずれか一に記載の使用。
  28. 第二の凝固剤が凝固因子である、請求項27に記載の使用。
  29. 前記第二の凝固剤が、第VIII因子、第IX因子、第V因子、第XI因子、第XIII因子、第VII因子又は第一の凝固剤と異なる第VIIa因子、及び前述のいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項28に記載の使用。
  30. 前記第二の凝固剤が抗線溶剤である、請求項27に記載の使用。
  31. 前記抗線溶剤がPAI-1、アプロチニン、ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸、及び前述のいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の使用。
  32. 前記の予防又は軽減により、ICH患者がICH後に入院する日数の減少、及びICH患者の死のリスクの減少のうちの一又は複数が生じる、請求項20から31のいずれか一に記載の使用。
  33. 前記抗血小板療法が、シクロオキシゲナーゼ阻害薬;ADPレセプターアンタゴニスト;糖タンパク質IIb/IIIaレセプターアンタゴニスト;ホスホジエステラーゼ阻害薬;及び、トロンボキサンA2レセプターアンタゴニストからなる群から選択される、請求項20から32のいずれか一に記載の使用。
  34. シクロオキシゲナーゼ阻害薬がアセチルサリチル酸、イブプロフェン、インドメタシン及びスルフィンピラゾンからなる群から選択される、請求項33に記載の使用。
  35. ADPレセプターアンタゴニストが、クロピドグレル及びチクロピジンからなる群から選択される、請求項33に記載の使用。
  36. 糖タンパク質IIb/IIIaレセプターアンタゴニストが、アブシキマブ、G4120、エプチフィバチド及びチロフィバンからなる群から選択される、請求項33に記載の使用。
  37. ホスホジエステラーゼ阻害薬がシロスタゾールである、請求項33に記載の使用。
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