JP2009500601A - 電極プリコンディショニング - Google Patents

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    • G01N27/26Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating electrochemical variables; by using electrolysis or electrophoresis
    • G01N27/28Electrolytic cell components
    • G01N27/30Electrodes, e.g. test electrodes; Half-cells
    • G01N27/327Biochemical electrodes, e.g. electrical or mechanical details for in vitro measurements

Abstract

電気化学セルを使用して実施される電気化学的測定の精度を改善する方法を提供する。方法は、セルの作用電極を、(i)作用電極をベーキングする、及び/又は(ii)作用電極を定温放置する、及び/又は(iii)セルにプリコンディショニング電位を印加する、及び/又は(iv)作用電極をUVレーザで処理することによって、プリコンディショニングすることを含む。

Description

本発明は、電気化学的装置を製造する方法及び当該方法によって得られる装置に関する。特に、本発明は、電気化学的装置を使用して実施される測定の精度を改善する方法に関する。
発明の背景
電気化学的測定は、所与の試料中の1種以上の分析対象物の濃度を測定するための好都合な技術である。電気化学的試験を非常に簡単かつ速やかに実施することを可能にし、ほぼ瞬時に結果を提供する装置が記載されている。そのような装置の例は、WO03/056319に記載されている装置である。この文献に記載されている電気化学的装置は、きわめて迅速な結果を提供し、かつ試料の所要量を最小限にするのに役立つマイクロ電極を使用する。したがって、このような装置は、少ない試料量が主要要件である医療の分野で有用である。
しかし、今日まで記載されている電気化学的装置のある欠点は、測定結果の精度の低さである。これは、結果の精度及び再現性が最重要である医療の分野で特に問題になるおそれがある。したがって、より高い精度を提供する新たな電気化学的方法及び装置が求められている。
発明の概要
したがって、本発明は、電気化学セルを使用して実施される測定の精度及び/又は正確さを改善する方法を提供する。本発明の方法は、電気化学セルの作用電極を、(i)作用電極をベーキングする、及び/又は(ii)作用電極を定温放置する、及び/又は(iii)セルにプリコンディショニング電位を印加する、及び/又は(iv)作用電極をUVレーザで処理することによって、プリコンディショニングすることを含む。そして、そのようにしてプリコンディショニングされたセルを使用して電気化学的測定を実施することができ得る。
特定の実施態様で、本発明は、先に述べたように電気化学セルの作用電極をプリコンディショニングすることを含む、電気化学的検出装置を製造する方法を提供する。方法は一般に、
(a)作用電極及び擬似参照電極を有する電気化学セルを用意すること、
(b)作用電極を、(i)作用電極をベーキングする、及び/又は(ii)作用電極を定温放置する、及び/又は(iii)セルにプリコンディショニング電位を印加する、及び/又は(iv)作用電極をUVレーザで処理することによって、プリコンディショニングすること、及び
(c)電気活性試薬を電気化学セルに提供し、場合によっては試薬を乾燥させること
を含む。
一つの実施態様では、本発明は、
(d)試料を、作用電極及び電気活性試薬と接触する状態で装置に供給すること、及び
(e)セルに測定電位を印加し、得られる電気化学的応答を測定すること
をさらに含む。
プリコンディショニングステップ(i)〜(iv)の一つ以上を用いてもよい。各ステップは、ステップ(c)における電気活性試薬の提供の前又は後のいずれで実施してもよい。一般に、ベーキング及び定温放置は、ステップ(c)の前又はステップ(c)とステップ(d)との間で実施される。一般に、電気化学的プリコンディショニングステップ(iii)は、ステップ(c)の前、ステップ(c)とステップ(d)との間又はステップ(d)とステップ(e)との間で実施される。一般に、レーザ処理はステップ(c)の前に実施される。
本発明者らは、驚くことに、電気化学的測定の前に作用電極をプリコンディショニングすることが、その後に実施される電気化学的測定でより高い精度及びより低い統計的分散を提供するということを見いだした。したがって、本発明に関連して、電気化学セルを使用して実施される電気化学的測定の精度の改善とは、セル(本発明にしたがってプリコンディショニングされたもの)を使用して実施される測定が、プリコンディショニングされていない同一のセルで実施される同等な測定と比較して低い統計的分散を有することを意味する。たとえば、電気化学的測定の変動係数を下げることができる。
本発明はまた、本発明の方法によって得られる電気化学的装置を提供する。装置は一般に、
作用電極及び擬似参照電極を有する電気化学セル、
電気化学的媒介物質を含む電気活性試薬、
作用電極と擬似参照電極との間に電位を印加するためのポテンシオスタット、
ポテンシオスタットを制御するための制御装置、及び
セルの電気化学的応答を測定するための手段
を含み、作用電極は、作用電極を(i)ベーキング及び/又は(ii)定温放置及び/又は(iii)プリコンディショニング電位及び/又は(iv)UVレーザ処理に付すことによって得られるプリコンディショニングされた電極である。
別の実施態様では、本発明の装置は、
作用電極及び擬似参照電極を有する電気化学セル、
電気化学的媒介物質を含む電気活性試薬、
作用電極と擬似参照電極との間に電位を印加するためのポテンシオスタット、
はじめにプリコンディショニング電位が印加され、続いて測定電位が印加されるようにポテンシオスタットを制御するための制御装置、及び
セルの電気化学的応答を測定するための手段
を含む。
同じく提供されるものは、本発明の電気化学的装置に試料を提供すること、電気化学セルに電位を印加すること、及び得られる電気化学的応答を測定することを含む電気化学的検出法である。
同じく提供されるものは、電気化学セルを使用して実施される電気化学的測定の精度を改善するための、(i)作用電極をベーキングすること、及び/又は(ii)作用電極を定温放置すること、及び/又は(iii)セルにプリコンディショニング電位を印加すること、及び/又は(iv)作用電極をUVレーザで処理することを含む電極プリコンディショニングステップの使用である。
発明の詳細な説明
本発明の方法は、作用電極を、(i)作用電極をベーキングする、及び/又は(ii)作用電極を定温放置する、及び/又は(iii)セルにプリコンディショニング電位を印加する、及び/又は(iv)作用電極をUVレーザで処理することによって、プリコンディショニングすることを含む。プリコンディショニング法(i)〜(iv)の一つ以上を使用してもよく、たとえば、プリコンディショニング電位を単独で使用してもよいし、プリコンディショニング電位の印加をベーキング及び/又は定温放置と組み合わせてもよい。別の実施態様では、プリコンディショニングステップは、電極をベーキング及び/又は定温放置することを含む。あるいはまた、レーザ処理をベーキング、定温放置及び/又は電気化学的前処理の一つ以上と組み合わせてもよい。プリコンディショニングステップは、作用電極の形成ののち実施される限り、電気化学的装置を製造する工程のいかなる段階で実施してもよい。したがって、電極プリコンディショニングののち、さらなる製造ステップを完了してもよい。あるいはまた、装置を製造したのちプリコンディショニングを実施する。
本発明の一つの実施態様では、プリコンディショニングステップは、作用電極をベーキングすることを含む。これは一般に、作用電極を含む装置をオーブンに入れ、150℃以下の温度、たとえば20〜50℃、あるいはまた70〜130℃で加熱することによって達成される。しかし、最大加熱温度は、使用される基材及び加熱技術に応じて異なる場合がある。ベーキングは、光の存在で実施してもよいし、暗所で実施してもよい。ベーキングは一般に、少なくとも1分間又は少なくとも10分間、たとえば少なくとも3時間実施される。最大ベーキング時間は一般に48時間、たとえば10時間又は6時間である。オーブン加熱、強制空気加熱及びIR加熱が適切な加熱技術の例である。好ましいベーキング条件は、約130℃で約30分間又は約100℃で約2時間である。
ベーキングは、空気中で実施してもよいし、あるいはまた、反応性又は非反応性のアシストガスの存在で実施してもよい。適切な反応性アシストガスは酸素である。適切な非反応性アシストガスとしては、不活性ガス、たとえばアルゴン及び窒素がある。また、ベーキング中に乾燥剤、たとえばシリカゲル及び/又は別の公知の乾燥剤を用いてもよい。モレキュラーシーブを乾燥剤として用いてもよい。
別の実施態様では、プリコンディショニングステップは、作用電極を定温放置することを含む。これは一般に、作用電極を空気、反応性アシストガス(たとえば酸素)又は非反応性アシストガス(たとえば窒素、不活性ガス、アルゴン)に1〜30日間、たとえば少なくとも2、3、4、5、10又は12日間、たとえば8、10、12、15、20又は25日間以下、暴露することによって達成される。定温放置は一般に、−25℃〜30℃、たとえば0〜25℃、たとえば10〜25℃又はおよそ室温(18〜25℃)で実施される。約30℃を超える温度での定温放置は、センサ応答の改善を低下させる、又は打ち消す傾向にある。定温放置はまた、暗所又は光の存在で実施してもよいし、場合によっては、上述したような乾燥剤の存在で実施してもよい。定温放置中の乾燥剤の存在はセンサ結果の精度改善につながる。
定温放置は、好ましくは、湿度70%以下、たとえば50%以下又は25%以下で実施される。これがセンサ精度の改善につながることが示されている。
さらなる実施態様では、本発明の方法は、プリコンディショニング電位を作用電極と別の電極(一般には対向電極又は擬似参照電極)との間でセルに印加することによって作用電極をプリコンディショニングすることを含む。プリコンディショニング電位は、たとえば、電位をスキャン又はステッピングすることによって印加してもよい。スキャンが使用される場合、スキャン速度は一般に10mVs-1〜10Vs-1、たとえば少なくとも50mVs-1、100mVs-1、200mVs-1又は500mVs-1である。最大スキャン速度はたとえば5Vs-1、2Vs-1又は1Vs-1である。スキャンは一般に、一般に−1V以上の負の電位である下限と一般に+1.8V以下である上限との間で電位を掃引することによって実施される。一つ以上の電位掃引を実施してもよい。スキャンは、低い方の電位から高い方の電位まで実施してもよいし、その逆に実施してもよい。また、二つの限界の間の三角掃引が考えられる。
プリコンディショニング電位がスキャンされるのではなくステッピングされる場合、印加される電位段差は一般に−1V〜+1.8Vの範囲である。電位は、0.1〜1000s、たとえば1〜300s又は1〜100sの期間、印加することができる。同じ又は異なる電位を使用する一つ以上の電位段差を使用してもよい。
本明細書で使用するすべての電圧は、IUPAC規約にしたがってAg/AgCl参照電極に対する場合の数値である。
本発明の一つの実施態様では、電気化学的コンディショニングは、セルの作用電極及び擬似参照電極と接触する水溶液の存在で実施される。この実施態様では、電気化学的プリコンディショニングステップは一般に、電気活性試薬をセルに供給する前に実施される。水溶液の存在が電極間を電流が流れることを可能にする。望むならば、電流が流れることを可能にする別の物質を使用してもよい。一般に、水溶液は、5〜9のpHを有する緩衝液である。水溶液は一般に、用いられるプリコンディショニング電位で電気化学的に活性である物質を含有しない。好ましくは、水溶液は電解質を含む。
適切な水溶液としては、(a)生理食塩水、(b)過酸化物溶液、及び(c)活性化すると過誘導体を形成することができるアニオンを含有する溶液から選択される溶液の一つ又は混合物がある。生理食塩水としては、タイロード液、リンガー液及びロック液ならびに当該技術で公知の他の溶液がある。たとえばタイロード液は、NaCl、KCl、CaCl2・6H2O、MgCl2・6H2O、NaHCO3、NaH2PO4、グルコース及び蒸留水を含む。
適切な過酸化物の例は過酸化水素を含む。活性化すると過誘導体を形成することができるアニオンの例は、活性化すると過炭酸イオンを形成することができる炭酸イオン、過硫酸イオンへと活性化されることができる硫酸イオン及び過ホウ酸イオンへと活性化されることができるホウ酸イオンを含む。このような活性化は一般に、酸化電位の印加によって起こる。
前処理はまた、第一の溶液の存在で第一の電気化学的前処理ステップを完了し、同じ又は異なる溶液の存在で第二の(及び場合によってはさらなる)前処理ステップを完了することによって実施してもよい。生理食塩水の存在で第一のプリコンディショニング電位が印加され、活性化すると過誘導体を形成することができるアニオンの存在で第二のプリコンディショニング電位が印加される場合、特に改善されたセンサ結果が達成され、相乗作用が生じることを示す。
別の実施態様では、電気化学的プリコンディショニングステップは、電気活性試薬がセルに供給されたのち実施される。あるいはまた、電気化学的プリコンディショニングは、試料が装置に提供されたのち実施されてもよい。この実施態様では、電気活性試薬又は場合によっては試料は、電流が電極間を通過することを可能にする。したがって、さらなる水溶液は要求されない。
試料が装置に提供されたのちプリコンディショニング電位を印加する場合、プリコンディショニング電位は一般に、早い段階、たとえば試料と電気活性試薬との反応が完了する前に印加される。したがって、たとえば、プリコンディショニング電位は、試料が電極と接触したのち、かつ試薬と試料との接触が起こる前に印加してもよい。あるいはまた、プリコンディショニング電位は、試薬と試料とが互いに接触した後で印加してもよい。たとえば、試薬が乾燥形態にあるならば、プリコンディショニング電位は、試薬が試料中で再懸濁する間に印加してもよい。一般に、この実施態様では、プリコンディショニング電位は、試料を提供してから約2分以内、たとえば約100秒以内に印加される。
この実施態様の好ましい態様では、電極をプリコンディショニングするために、一つ以上の電位段差が印加される。たとえば、正の電位段差及び負の電位段差の両方を印加してもよい。このようにして、第一の電位段差中に起こる電気化学的作用が一般に第二の電位段差の印加によって逆転する。これが、その後の電気化学的測定に対する干渉を減らす。印加される電位段差は一般に、−1V〜+1.8Vの範囲で一般に0.1〜1000s、たとえば0.1〜100sの期間である。電位段差の一般的な印加期間は1〜300sである。
本発明の一つの実施態様では、プリコンディショニングステップは、コバルト(コバルト塩又は錯体を含む)の存在では実施されない。一般に、プリコンディショニングステップは、作用電極に吸着又は実質的に吸着することができる金属の存在では実施されない。
さらなる実施態様では、本発明の方法は、作用電極をUVレーザで処理することを含む。UV範囲で作動するいかなるレーザを使用してもよいが、適切な波長は、50〜400nm、たとえば少なくとも10nm又は少なくとも150nmを含む。パルスレーザ又は連続発振レーザ、たとえば0.1ps〜1000ps又は0.1ns〜1000ns、たとえば1ns〜100nsのパルス幅を有するレーザを使用することができる。エキシマレーザ、バナデートレーザ及びYAGレーザ、たとえば多重(二重、三重及び四重を含む)周波数バナデート及びYAGレーザを使用することができる。
レーザ処理は、レーザ発生UV光線を電極に向けて送ることによって実施される。処理は、好ましくは、少なくとも2秒間、たとえば少なくとも3秒間継続させる。これは、以下に記す装置の製造と好都合に組み合わせることができる。
電気活性試薬は、電極をプリコンディショニングする前又はその後でセルに提供し、場合によっては乾燥してもよい。試料がセルに入ると、試料は電気活性試薬と反応し、測定可能な電気化学的応答を発する場合がある。
電気活性試薬は一般に、コバルトを実質的に含まない、又は全く含有しない。好ましくは、電気活性試薬は、作用電極に吸着することができる金属を実質的に含まない、又は全く含有しない。
一般に、電気活性試薬は電気化学的媒介物質を含む。電気化学的媒介物質とは、異なる電気活性電位の二つ以上の酸化状態を有し、そのため、電極と別の電気化学的カップルとの間で電子/電荷を可逆的に移動させることができる物質である。電気化学的媒介物質は一般に拡散性である。すなわち、電極と電気化学的カップルとの間で液体中に拡散することによって電子を移動させる。適切な媒介物質は当該技術で周知であり、ルテニウム錯体(たとえばルテニウム(III)ヘキサアミン塩)及びフェリシアン化物又はフェリシアン化物塩を含む。フェニレンジアミンもまた適切な媒介物質である。
また、電気活性試薬は触媒も含んでいてもよい。触媒の例は、酵素、たとえば乳酸オキシダーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、グリセロールデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、グリセロールキナーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ及びコレステロールオキシダーゼである。
電気活性試薬は、場合によっては、たとえば空気乾燥、オーブン乾燥、真空乾燥又は凍結乾燥により、電気化学的装置中の所定位置に乾燥させてもよい。本発明の方法は、電気化学セルを含むいかなる装置ででも実施することができる。電気化学セルは、2電極系又は3電極系であってもよい。2電極系は、作用電極及び擬似参照電極を含む。3電極系は、作用電極、擬似参照電極及び別個の対向電極を含む。本明細書で使用する擬似参照電極とは、参照電位を提供することができる電極である。2電極系では、擬似参照電極は、対向電極としても働き、したがって、参照電位を実質的に摂動させることなく電流を通すことができる。3電極系では、擬似参照電極は一般に、真の参照電極として働き、たとえば、水銀/硫酸第一水銀又はカロメル電極である。
本発明の一つの実施態様では、電気化学セルは容器の形態にある。容器は、その中に入れられる液体を収容することができる限り、いかなる形状であってもよい。たとえば、容器は円柱形であってもよい。概して、容器は、底及び底を包囲する壁を含む。この実施態様では、遷移金属塩を含む物質が一般に容器の中に配置される。
電気化学セルは少なくとも1個のマイクロ電極を有することが好ましい。一般には、作用電極がマイクロ電極である。本発明に関して、マイクロ電極とは、50μm以下である少なくとも一つの寸法を有する電極である。本発明のマイクロ電極は、サイズがマクロである、すなわち50μmを超える寸法を有してもよい。
本発明の一つの実施態様の装置が図1に示されている。この実施態様では、作用電極5がマイクロ電極である。セルは、底1及び壁2を有する容器又は入れ物の形態にある。一般に、容器は、25〜1000μmの深さ(すなわち一番上から底まで)を有する。一つの実施態様では、容器の深さは5〜500μm、たとえば100〜250μmである。別の実施態様では、容器の深さは50〜1000μm、好ましくは200〜800μm、たとえば300〜600μmである。容器の長さ及び幅(すなわち壁から壁まで)又は円柱形容器の場合の直径は、一般には0.1〜5mm、たとえば0.5〜2.0mm、たとえば0.5〜1.5mm、たとえば1mmである。
容器の開放端3は、その少なくとも一部が覆われないままであるならば、不透過性材料によって部分的に覆われていてもよいし、半透過性又は透過性材料、たとえば半透過性又は透過性膜によって覆われていてもよい。好ましくは、容器の開放端は、半透過性又は透過性膜4によって実質的に覆われている。膜4は、とりわけ、埃又は他の汚染物質が容器に侵入することを防止する。
膜4は、好ましくは、試料が通過することができる材料でできている。たとえば、試料が血漿であるならば、膜は、血漿に対して透過性であるべきである。膜はまた、好ましくは、低いタンパク質結合能力を有する。膜としての使用に適した材料としては、ポリエステル、硝酸セルロース、ポリカーボネート、ポリスルホン、微孔質ポリエーテルスルホンフィルム、PET、綿及びナイロン織布、コート付きガラス繊維及びポリアクリロニトリル布がある。これらの布は、場合によっては、使用の前に親水又は疎水処理を施してもよい。所望により、膜の他の表面特性を変化させてもよい。たとえば、膜を透過する所望の試料の流れを促進するために、膜の水中接触角を変化させるための処理を使用してもよい。膜は、それぞれが同じであっても異なってもよい一つ、二つ又は三つ以上の材料層、たとえば二つ以上の膜の複合体を含んでいてもよい。たとえば、異なる膜材料の二つの層を含む従来の二層膜を使用してもよい。
膜はまた、セルに入らせることを望まない成分をろ別するためにも使用してもよい。たとえば、一部の血液産物、たとえば赤血球をこの方法で分別してこれらの粒子がセルに入らないようにしてもよい。血液ろ過膜をはじめとする適切なろ過膜が当該技術で公知である。血液ろ過膜の例は、Pall FiltrationのPresence 200、Whatman VF2、Whatman Cyclopore、Spectral NX、Spectral X及びPall BTSである。ガラス繊維フィルタ、たとえばWhatman VF2は、全血から血漿を分別することができ、全血検体が装置に供給され、試料が血漿である場合の使用に適している。
延展膜を、ろ過膜の代替として、又は一般にはろ過膜に加えて使用してもよい。したがって、たとえば、膜は、延展膜とろ過膜との複合体であってもよく、その場合、一般には延展膜が検体とはじめに接触する外側の膜である。適切な延展膜は当該技術で周知であり、Petexが一例である。一つの実施態様では、膜は、Petex膜の層及びPall BTS膜の層を含む。
本発明のこの実施態様の電気化学セルは、容器の壁に位置する作用電極5を含む。作用電極は、たとえば、容器の壁の周囲の連続的な帯状物の形態にある。作用電極の厚さは、一般には0.01〜25μm、好ましくは0.05〜15μm、たとえば0.1〜20μm、より好ましくは0.1〜10μmである。厚めの作用電極、たとえば0.1〜50μm、好ましくは5〜20μmの厚さを有する電極が考えられる。作用電極の厚さとは、容器の底を下にして配置した場合の垂直方向のその寸法である。作用電極の面積は、一般に5mm2以下であり、たとえば1mm2以下又は0.5mm2以下である。
作用電極は、好ましくは炭素、パラジウム、金、白金、銀又は銅から、たとえば導電性インクの形態に形成されている。導電性インクは、さらなる材料、たとえば白金及び/又は黒鉛を含有する改質インクであってもよい。同じ又は異なる材料で形成された二つ以上の層を使用して作用電極を形成してもよい。
セルはまた、たとえば容器の底に、容器の壁に、又は容器を包囲する、もしくは容器に近い装置の区域に存在することができる擬似参照電極を含む。擬似参照電極は一般にAg/AgClでできているが、他の材料を使用してもよい。擬似参照電極としての使用に適した材料は当業者に公知である。この実施態様では、セルは、擬似参照電極8が対向電極かつ参照電極として働く2電極系である。別個の対向電極が設けられる別の実施態様を考えることもできる。
擬似参照電極は一般に、作用電極5と同程度又は作用電極よりも大きい、たとえば実質的に大きい表面積を有する。一般に、擬似参照電極の表面積と作用電極の表面積との比は、少なくとも1:1、たとえば少なくとも2:1又は少なくとも3:1である。好ましい比は少なくとも4:1である。擬似参照電極は、たとえば、マクロ電極であってもよい。好ましい擬似参照電極は、0.01mm以上、たとえば0.1mm以上の寸法を有する。これは、たとえば、0.1mm以上の直径であってもよい。擬似参照電極の一般的な面積は、0.001mm2〜150mm2、たとえば100mm2以下、好ましくは0.1mm2〜60mm2、たとえば1mm2〜50mm2である。作用電極と擬似参照電極との間の最小距離は、たとえば10〜1000μm、たとえば10〜300μm又は400〜700μmである。
セルが作動するためには、電極は、それぞれが絶縁材6によって隔離されていなければならない。絶縁材は、一般にはポリマー、たとえばアクリレート、ポリウレタン、PET、ポリオレフィン、ポリエステル、PVC又は他の安定な絶縁材である。また、ポリカーボネートならびに他のプラスチック及びセラミックスが適切な絶縁材である。絶縁層は、ポリマー溶液から溶媒蒸発によって形成してもよい。また、塗布後に硬化する液体、たとえばワニスを使用してもよい。あるいはまた、たとえば熱もしくはUVへの暴露又は二成分架橋系の活性部分の混合によって架橋する架橋性ポリマー溶液を使用してもよい。また、適切ならば、誘電性インクを使用して絶縁層を形成してもよい。別の実施態様では、絶縁層が、装置に対して積層、たとえば熱的に積層される。
電気化学セルの電極は、適切な手段によって必要な測定機器に接続してもよい。一般に、電極は導電トラックに接続され、そのトラック自体が必要な測定機器に接続されるか、接続可能である。
電気活性試薬は一般に、図1の7で示すように、容器の中に収容される。一般に、試薬は、容器の中に液体形態で挿入し、続いて乾燥させて組成物を固定化しやすくする。試料を容器に導入すると、乾燥材料が再懸濁して、試薬及び試料を含む液体を形成し、その液体が、容器の壁に位置する作用電極と接触する。液体はまた、一般に、擬似参照電極と接触する。したがって、セルに電圧を印加すると、電気化学的反応が起こり、測定可能な応答(たとえば電流)を発する場合がある。一般には、電圧を印加する前に、膜が容器の上に存在する、たとえば1秒又は1〜60秒の湿潤時間を設けて、乾燥材料が再懸濁することを可能にする。
容器は、たとえば、一つ以上の小さな空気穴をその底又はその壁に含んでいてもよい(図1には示さない)。これらの穴は、試料が容器に入るとき空気が容器から抜けることを可能にする。このような空気穴が存在しないならば、試料は、開放端の上を流れたときでも、容器に入ることができない場合があるか、入ることができるとしても困難である場合がある。空気穴は一般に、毛管的寸法を有し、たとえば、1〜600μm、たとえば100〜500μmのおおよその直径を有する場合がある。空気穴は、試料が空気穴を通って容器から出ることを表面張力によって実質的に妨げるのに十分な小ささであるべきである。一般に、1個以上、たとえば1〜4個の空気穴が存在してもよい。一つの実施態様では、容器の底は、多孔質の親水性又は疎水性膜、たとえばPall FiltrationのVersapor(商標)によって形成される。この実施態様では、空気穴は膜の孔によって提供される。
セルは、場合によっては、作用電極及び擬似参照電極に加えて、別個の対向電極を含む場合がある。対向電極を製造するのに適した材料は当業者に公知である。Ag/AgClが適切な材料の例である。
本発明の代替装置が図2に示されている。この実施態様の装置は、以下に述べる点を除き、図1に示す上記装置と同じである。この実施態様では、装置はストリップSを含む。ストリップSは、任意の形状及びサイズを有してもよいが、一般には、実質的に平坦である第一の面61を有する。ストリップは、底1及び壁2によって画定される容器10を含む。装置はさらに、容器の壁に作用電極5を有する電気化学セルを含む。作用電極は一般にマイクロ電極である。
この実施態様の装置は、参照電極及び場合によっては対向電極としても働く擬似参照電極を含む。擬似参照電極は、ストリップ61の第一の面に存在する擬似参照電極層8を含む。ストリップの第一の面は外面である。すなわち、容器の内部に露呈する面ではなく、装置の外側に露呈する面である。一般に、擬似参照電極層は容器又は部分的な容器10を実質的に包囲する。図2に示すように、擬似参照電極層は、第一の開放部分3の周囲と接触しないことが好ましい。一般に、擬似参照電極層は、第一の開放部分の周囲から少なくとも0.1mm、好ましくは少なくとも0.2mmの距離にある。しかし、擬似参照電極の少なくとも一部は一般に、第一の開放部分の周囲から2mm以下、たとえば1mm又は0.5mm以下、好ましくは0.4mm以下の距離にある。一つの実施態様では、擬似参照電極は、第一の開放部分の周囲から0.01〜1.0mm、たとえば0.1〜0.5mm又は0.2〜0.4mmの距離で容器又は部分的な容器を実質的に包囲する。あるいはまた、この距離は、0.01〜0.3mm又は0.4〜0.7mmであってもよい。
擬似参照電極の厚さは一般に作用電極の厚さと同等以上である。適切な最小厚さは0.1μm、たとえば0.5、1、5又は10μmである。適切な最大厚さは50μm、たとえば20又は15μmである。
擬似参照電極8は、一般に、作用電極5の表面積と同等又はそれよりも大きい、たとえば実質的に大きい表面積を有する。一般に、擬似参照電極の表面積と作用電極の表面積との比は、少なくとも1:1、たとえば少なくとも2:1又は少なくとも3:1、好ましくは少なくとも4:1である。擬似参照電極は、たとえば、マクロ電極であってもよい。擬似参照電極の表面積と作用電極の表面積との比が1:1よりも大きい場合、それは、擬似参照電極で起こる電気化学的反応が限流性にならないことを保証するのに役立つ。擬似参照電極の実面積は、たとえば0.001mm2〜150mm2、たとえば100mm2以下又は0.1mm2〜60mm2、たとえば1mm2〜50mm2である。
膜4は、適切な取付け手段9によって、たとえば両面接着テープを使用して装置に取り付けてもよい。一般に、取付け手段は、膜をストリップの第一の面又は擬似参照電極層に取り付ける。図2に示す好ましい実施態様では、膜は、容器そのものの周囲から離れた位置で擬似参照電極層8に取り付けられる。さらには、取付け手段は、擬似参照電極層からよりも容器3の第一の開放部分から大きく離れたところにあり、少なくとも、擬似参照電極の表面のうち、容器に近い又は容器を包囲する部分が、膜を透過した試料に暴露されるようになっている。好ましくは、取付け手段は、容器の周囲から少なくとも0.2mm、たとえば少なくとも0.3mm又は少なくとも0.4mmのところにある。
図2に示す実施態様では、反応容積は、容器の底1及び壁2、ストリップ61の表面の一部、擬似参照電極層8、取付け手段9ならびに膜4によって画定される。この反応容積は、容器の容積、擬似参照電極層の位置及び厚さならびに取付け手段9の位置及び厚さを変えることによって変化させることができる。好ましい反応容積は、少なくとも0.05μl、たとえば少なくとも0.1又は少なくとも0.2μlである。反応容積は、25μl以下、好ましくは5μl、たとえば3μl以下又は2μl以下であることがさらに好ましい。
本発明で使用することができる電気化学的装置に関するさらなる詳細は、WO03/056319及びWO06/000828で見いだすことができる。これらの出願の内容をすべて引用例として本明細書に取り込む。
上記の装置は、二つの絶縁材料層の間に作用電極材料層(たとえば黒鉛層)を含む積層構造を形成することによって製造することができる。そして、この積層体を貫通する穴を形成し、それによって容器の壁を形成する。そして、場合によっては擬似参照電極を含む底を加えてもよい。あるいはまた、擬似参照電極は、適切な材料の層を積層体の表面にプリントすることによって設けてもよい。容器の底又は壁に1個以上の空気穴が望まれる場合、穴は、適切な技術、たとえば穿孔もしくは打抜き又は底としての多孔質膜の使用によって形成することができる。適切な技術によってこのように形成された容器の中に電気活性試薬を挿入し、一般には乾燥させる。
電気活性試薬の挿入ののち、容器の開放端3の上に膜を取り付けてもよい。これは、適切な手段によって、たとえば両面接着剤を使用して膜を容器の上に接着することによって達成することができる。
作用電極のプリコンディショニングは、積層体に穴を形成したのち実施される。プリコンディショニングは、たとえば、擬似参照電極層の追加の前又は後及び底の追加の前又は後で実施してもよい。ベーキング又は定温放置の場合もまた、プリコンディショニングは、電気活性試薬の挿入の前又は後で実施してもよい。
電気化学的プリコンディショニングの場合、プリコンディショニングが電気活性試薬の挿入の前に実施されるならば、一般に、電極の間に電流を通すために水溶液が提供される。電気活性試薬がセルに提供されたのち電気化学的プリコンディショニングが実施されるならば、別々の水溶液は不要である。この場合、プリコンディショニングは、たとえば、試薬が試料中に再懸濁する湿潤期間中に実施される。
UVレーザプリコンディショニングの場合、プリコンディショニングステップは、好都合に、積層体に穴を形成するステップと組み合わせることができる。たとえば、穴は、WO03/056319に記載のようにしてレーザ穿孔によって形成することができ、穴の形成後も、UVレーザ光線の適用を、たとえばさらに2秒以上、特にさらに3秒以上、継続することができる。
図1及び2に示すようなセルを製造する方法に関するさらなる詳細は、WO03/056319及びWO06/000828から得ることができる。
本発明のさらなる態様が図3に示されている。本発明のこの態様は、上記実施態様で記載された装置に組み込んでもよい。この態様では、センサ装置はエレクトロニクスユニット10を含み、このユニットに、使い捨てであってもよい電極ユニット20が接続される。電極ユニット20は、複数の作用電極WE1〜WE6ならびに参照電極RE及び対(補助)電極CEを有する。本発明のいくつかの実施態様では、参照電極と対向電極とを単一の擬似参照電極として組み合わせてもよい。望むならば、異なる電気化学的試験を実施するために異なる作用電極WE1〜WE6を適合させてもよい。
電気化学セルは、作用電極と対向(又は擬似参照)電極との間に形成される。作用電極と電気的に接続している流体の測定を行うためには、測定電位を作用電極と参照/対向/擬似参照電極との間に印加し、得られる電流を検出する。同じ又は異なる測定電位を参照/対向/擬似参照電極と異なる作用電極それぞれとの間に印加することができる。
センサ装置のエレクトロニクスユニット10の全体制御は、デジタル・アナログ変換器103を介してポテンシオスタット104を制御し、ポテンシオスタット102からアナログ・デジタル変換器102を介して測定結果を受け取るマイクロコントローラ101によって実行される。本発明の一つの実施態様では、マイクロコントローラ101は、プリコンディショニング電位をセルに提供したのち測定電位を提供するようにプログラムされている。ポテンシオスタット104は、所望の電圧を作用電極WE、参照電極RE及び対向電極CEに印加し、マイクロプロセッサ101の制御下にあるセルマルチプレクサ105が作用電極のうち適切な1個を選択する。
グラフィックスディスプレイ108が、ユーザに対する操作メニュー、キーパッド109を介して入力されるオプション及び測定結果の表示を可能にする。電気的に消去可能なRAM120がシステムソフトウェア及び測定結果の記憶を可能にする。センサが医療又は獣医療用途で使用される場合、特に患者情報のデータの入力のためにバーコードリーダを設けてもよい。プリンタ、ネットワーク及び他の装置、たとえば患者記録システムへの接続のために、たとえばRS232、Bluetooth、Ethernet、USB又はWiFi(IEEE602.11a、bなど)規格に準拠するインタフェースを設けてもよい。
電力は、バッテリ寿命を最適化し、バッテリの充電を制御する電源管理ユニット106の制御の下、バッテリ107から供給される。
本発明の電気化学的装置は、試料を装置に供給し、セルに電位を印加し、得られる電気化学的応答を測定することによる電気化学的検出方法で使用することができる。一般に、得られる電流を測定する。試料は一般に流体(たとえば液体)又はゲルである。たとえば、試料は、患者からの体液試料、たとえば血液又は血漿であることができる。
装置は、試料中の種々の物質の含量を測定するために使用してもよい。装置は、たとえば、環境評価のために試料のペンタクロロフェノール含量を測定し、心臓病の危険を分析する際に使用するためのコレステロール、HDL、LDL及びトリグリセリドレベルを測定するため、又はたとえば糖尿病患者が血糖値を測定するために使用してもよい。装置の適切な使用のさらなる例は、腎疾患患者の病状を測定するための腎臓モニタとしての使用である。この場合、装置は、尿中のクレアチニン、尿素、カリウム及びナトリウムのレベルを測定するために使用することができる。これらの試験のいずれかに本発明の装置を使用する利点は、得られる結果の精度の改善である。
実施例
以下の実験では、多様な技術を使用して前処理した装置を分析し、分析対象物濃度を決定するための電気化学的試験の結果を既知の濃度と比較した。各試料の読みの精度(%CV)は、以下の式を使用して計算した。
Figure 2009500601

式中、StDevは、所与の試料からの結果の標準偏差であり、平均は平均値である。
実施例1:加熱前処理
WO2006/000828(GB0414546.2)に記載されているタイプの装置を使用して電気化学的試験を実施した。電気化学セルの作用電極は炭素電極であり、対向電極かつ参照電極として働くAg/AgCl擬似参照電極を使用した。
作用電極をプリコンディショニングするため、6個の装置を100℃でそれぞれ1、2、3、4、5、6及び7時間アニールした。その後の電気化学的試験で、3〜7時間、特に4〜6時間アニールした装置に関して最高精度(最低%CV)が認められ、4時間アニールした場合に最高の結果が達成された。
実施例2:加熱前処理
熱源としてIRハロゲン灯を有するSartorius水分分析器MA50H/1640485を使用して、多数の加熱前処理した試料に対して水分分析を実施した。実験ごとに10個の装置を試験した。各装置は、WO2006/000828に記載されているタイプであり、容器をレーザ穿孔することによって製造したものであった。各装置の試料質量は約1.4gであった。
最終加熱温度を100、130又は150℃で固定した。熱処理時間は15〜360分で固定した。放出される水分を5分間隔で測定した。図4は、(a)100℃での熱処理(■)、(b)130℃での熱処理(●)及び(c)150℃での熱処理(△)の場合の結果を経時的な質量損失に換算して示したものである。
次いで、熱処理した装置を、0.1M緩衝液中の変動する既知mM濃度のルテニウムヘキサアミンに電極を暴露し、−0.45Vの電位段差をAg/AgClに対して印加する電気化学的試験で使用した。ルテニウム濃度を電気化学的に決定し、既知の値と比較し、変動係数(CV)を計算した。図5は、熱処理時間に対する測定CVにおける変動を示し、(a)■は、100℃で熱処理された装置を示し、(b)●は、130℃で熱処理された装置を示し、(c)△は、150℃で熱処理された装置を示す。図5から明らかであるように、熱処理条件は、観察される電気化学的CVにおける大きな改善につながることができる。短い熱処理時間で再現性における明確な改善が認められる。CVは、最適なベーキング期間ののち最小値に達し、次いで試料がより長い期間熱処理されるにつれ、おそらくはセンサの割れのせいで上昇する。%CVにおけるこの低下は、図6に示すように、重量損失と相関していると思われる。図6では、■が低下したCVを示し、□が上昇したCVを示す。
実施例3:加熱前処理された装置を使用する総コレステロール試験
それぞれが4個の空の容器(すなわち、試薬を含まない)を有する、WO2006/000828に記載されたタイプの装置を100℃に予熱したオーブンに入れた。1時間に1回の間隔で7時間にわたり12〜13個のセンサを取り出し、室温で貯蔵した。次いで、総コレステロール試験溶液を各容器に手作業で分注した(容器1個あたり0.4μL)。使用した試験溶液は次のとおりであった。0.1Mトリス(pH9.0)、50mM MgSO4、5%w/vグリシン、1%w/vミオイノシトール、1%w/vエクトイン、10%w/vタウロコール酸ナトリウム、80mM Ru(NH36Cl3、8.8mMチオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(TNAD)、4.2mg/mLプチダレドキシンレダクターゼ(PdR)、3.3mg/mlコレステロールエステラーゼ(ChE)及び100mg/mLコレステロールデヒドロゲナーゼ(ChDH)。このようにして製造したセンサを夜通し凍結乾燥させた。翌朝、凍結乾燥機からセンサを取り出し、両面接着剤を使用してPetex延展膜を各容器の上に被着させた。
3レベルの総コレステロール及び脱脂血清を含むScipacからの解凍血漿試料を使用して各センサのセンサ応答を試験した。Space臨床分析装置(Schiappanelli Biosystems社)を使用して各試料の総コレステロール濃度を決定した。20μLのGilsonピペットを使用してセンサ1個あたり5μLの血漿を塗布することにより、各センサを試験した。Princeton Applied Reserch Parstat 2263計器及びSternhagen Design MX452マルチプレクサを使用してセンサを試験した。遅延時間は52秒であり、その後、各容器で1秒間連続的にAg/AgCl擬似参照電極に対して+150mVの酸化電位を印加した。各電流遷移の最後に1秒で酸化電流を測定し、各前処理時間からのセンサの各セットに関して、観察された電流値を総コレステロール濃度に対してプロットした。最適当てはめのラインを決定し、電流(%CV(i)、図7)又は分析対象物濃度(%CV(mM)、図8)に基づいて平均%CVを計算した。実験を3回繰返した。3回の結果を図7及び8で■、△及び◆として示す。
実施例4:定温放置
WO03/056319に示されているような、底1が膜(Pall Versapor)によって形成されている4個の電気化学セルを有する、WO03/056319に示されているタイプの装置を使用した。作用電極は炭素電極であり、擬似参照電極はAg/AgCl電極であった。試薬混合物を各セルに挿入し、凍結乾燥させた。次いで、装置を、乾燥剤としての4Aモレキュラーシーブとともに個別包装し、20℃で貯蔵した。
使用した試薬混合物は次のとおりであった。総コレステロール又はトリグリセリド試験の場合には、以下に指定する割合を使用して試薬混合物のバッチを事前に構成した。
総コレステロール試験(電気化学セルに0.4μlを挿入)
0.1Mトリス緩衝液、0.05M硫酸マグネシウム(MgSO4)、5%グリシン、1%イノシトール、1%エクトイン、5%CHAPS、5%デオキシBIGCHAPS、80mMルテニウム(III)ヘキサアミンクロリド(Ru(NH36Cl3)、8.8mMチオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(TNAD)、4.1mg/mlプチダレドキシンレダクターゼ(PDR)、3.3mg/mlコレステロールエステラーゼ(ChE)及び66mg/mlコレステロールデヒドロゲナーゼ(ChDH)。
トリグリセリド試験(電気化学セルに0.4μlを挿入)
0.1M HEPBS緩衝液、0.01M塩化アンモニウム(NH4Cl)、10%グリシン、1%エクトイン、1%CHAPS、80mMルテニウム(III)ヘキサアミンクロリド(Ru(NH36Cl3)、17.6mMチオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(TNAD)、6.5mg/mlジアホラーゼ、45mg/mlグリセロールデヒドロゲナーゼ、100mg/mlリパーゼ。
実験
混合物を凍結乾燥させたのち一連の実験を間隔をおいて実施した。以下のプロトコルにしたがって、0、1、5、7、10、13及び18日目に実験を実施した。
試料
既知量のコレステロール及びトリグリセリドを含む凍結乾燥血清試料を使用した。次いで、Space臨床分析装置(Schiappanelli Biosystems社)を使用して試料を分析し、濃度を記録した。
試験プロトコル
試料5μLを電極に配置した。T=−14秒で、Autolab(PGSTAT12)に取り付けたマルチプレクサ(MX452、Sternhagen Design)及びGPESソフトウェアv4.9.005を使用してクロノアンペロメトリ試験を開始した。酸化電流を0.15Vで11のタイプポイント(0、14、28、42、56、70、84、98、112、126、140秒)で測定し、還元電流を−0.45Vで141秒目に測定した。各試料を6回試験した。測定した電流を使用して、適宜、総コレステロール又はトリグリセリド濃度を生成し、上記のようにして%CVを決定した。定温放置時間に伴う%CVの変動を、総コレステロール試験の場合では図9に示し、トリグリセリド試験の場合では図10に示す。
実施例5:定温放置及び/又はベーキング
それぞれが4個の容器を有する、WO2006/000828に記載されたタイプの装置を使用し、以下の酵素調合物を各容器に挿入した。0.1M HEPBS緩衝液(pH9.0)、10mM NH4Cl、10%w/vグリシン、1%w/vエクトイン、1%w/vタウロコール酸ナトリウム(NaTC)、80mM Ru(NH36Cl3、17.9mMチオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(TNAD)、6.6mg/mLジアホラーゼ、45mg/mLグリセロールデヒドロゲナーゼ及び100mg/mLリパーゼ。シングルヘッドAllegroディスペンサを使用して酵素混合物を容器に分注し、凍結乾燥させた。凍結乾燥させたすべてのセンサを乾燥剤ポグとともにヒートシールされたフォイルバッグに入れて、使用するまで貯蔵した。センサごとに、片面接着ウィンドウ(6×6mmウィンドウ)を使用して7×7mm平方の血液分離膜(Pall BTS SP300)を容器の上に取り付けた。
センサの前処理:実験1
フォイルバッグから1列分のセンサを取り出し、次いでフォイルバッグを再びシールした。実験室温度及び湿度条件下、Pall BTSレンジの血液分離膜をセンサに被着させた。次いで、センサを、表1に詳述する6種の設定温度及び湿度条件にある湿度チャンバに30分間入れたのち、以下に記すようにして試験を開始した。
Figure 2009500601
センサの試験
3レベルのグリセロールを添加した全血試料を使用して、前処理したセンサの各セットのセンサ応答を試験した。全血試料を遠心処理し、血漿を除去し、それに代えてScipacの脱脂血清を用いることにより、ブランク試料を製造した。試験の前に、臨床分析装置(Schiappanelli Biosystems社)を使用して各サンプルのトリグリセリド濃度を測定した。トリグリセリド濃度範囲は約0〜9mMであった。
センサ1個あたり20μLの全血を塗布することにより、各センサを試験した。試料添加ののち、試料と酵素配合物とを混合させ、反応を起こさせるために、124秒の期間を経過させた。次いで、+150mVの酸化電位を、Ag/AgCl擬似参照電極に対し、容器ごとに連続的に1.3秒間印加した。
各電流過渡の最後0.3秒から、この期間の電流値を平均することにより、酸化電流を測定した。実験条件の各セットからのセンサの各セットに関して、観察された電流値をトリグリセリド濃度に対してプロットした。最適当てはめのラインを決定し、分析対象物濃度に基づいて平均%CVを計算した。表1の条件4〜6の場合の結果を図11に示し(一定湿度、(%CV(mM))、表1の条件1〜3の場合の結果を図12に示す(一定温度、(%CV(i))。
センサの前処理:実験2
フォイルバッグから2列分のセンサを取り出し、次いでフォイルバッグを再びシールした。1列分のセンサにPall BTSレンジの血液分離膜を被着させ、次いで両方の列を室温で70%の湿度に暴露した。次いで、センサを乾燥剤ポグとともにシールされたフォイルバッグに48時間入れた。膜なしで貯蔵したセンサのセットに膜を被着させ、上記実験1で記した「センサの試験」手順にしたがってセンサ応答を決定した。加えて、対照実験を実施した。高い湿度に暴露しなかった3列目のセンサをフォイルバッグから取り出し、膜を被着させ、上記実験1で記した「センサの試験」手順にしたがって全血に対する応答を決定した。すべてのセンサは湿度30%及び26℃で試験した。この実験の結果を以下の表2に詳述する。
Figure 2009500601
結論
凍結乾燥試薬を含むトリグリセリドセンサを高い湿度に暴露すると、試薬が水分を吸収する。これが構造の損失を招き、試料添加時の溶解時間を増大させる。凍結乾燥試薬を高い湿度に短時間(30分)暴露したのち低湿度雰囲気で貯蔵すると、応答のばらつきが相当に増大する。
実施例6:乾燥剤の存在における定温放置の効果
実施例4に記載したように総コレステロール及びトリグリセリド試験を実施するための試薬を含有する、実施例4に記載した装置を使用した。
実験
試薬混合物を凍結乾燥させたのち一連の実験を間隔をおいて実施した。電極を、30℃、相対湿度50%で、(a)乾燥剤としての4Aモレキュラーシーブの存在及び(b)乾燥剤の非存在で貯蔵した。以下のプロトコルにしたがって0、1、12、19及び40日目に実験を実施した。
試料
既知量のコレステロール及びトリグリセリドを含む凍結乾燥血清試料を使用した。次いで、Space臨床分析装置(Schiappanelli Biosystems社)を使用して試料を分析し、濃度を記録した。
試験プロトコル
試料5μLを電極に配置した。T=−14秒で、Autolab(PGSTAT12)に取り付けたマルチプレクサ(MX452、Sternhagen Design)及びGPESソフトウェアv4.9.005を使用してクロノアンペロメトリ試験を開始した。酸化電流を0.15Vで11のタイムポイント(0、14、28、42、56、70、84、98、112、126、140秒)で測定し、還元電流を−0.45Vで141秒目に測定した。各試料を8回試験した。貯蔵時間に対する%CVを乾燥剤入り試料(実線)及び乾燥剤なし試料(破線)に関して図13(%CV(mM))及び図14(%CV(i))に示す。
実施例7:電位段差の前処理印加
(a)前処理なしの電気化学セル及び(b)10〜60秒間の電位(+2.0〜+2.5V、対Ag−AgCl)の印加によって前処理した同一の電気化学セルに対し、フェリシアン化物溶液の存在でサイクリックボルタンメトリを実施した。100mM KCl(BDH)、50mM MgSO4(Sigma)及び1%タウロコール酸ナトリウム(Sigma)を含むトリスpH9緩衝液(Sigma)中10mM K3[Fe(CN)6](Aldrich)からなるフェリシアン化物溶液の存在で、前処理及びサイクリックボルタンメトリを実施した。サイクリックボルタンメトリは100mVs-1で実施した。結果を図15に示す。
実施例8:タイロード液又は炭酸ナトリウムを使用する電気化学的前処理
タイロード液(Aldrich)を電気化学セルに塗布し、7分間放置する間に(a)電位を印加しなかった、又は(b)Ag−AgClに対して+2.0Vを印加した。次いで、セルを脱イオン水ですすぎ、乾燥させた。次いで、実施例7に記載したフェリシアン化物溶液又は100mM KCl(BDH)、50mM MgSO4(Sigma)及び1%タウロコール酸ナトリウム(Sigma)を含むトリスpH9緩衝液(Sigma)中10mM[Ru(NH36]Cl3(Alfa Aesar)からなるルテニウムヘキサアミン溶液をセルに付着させ、100mVs-1でサイクリックボルタモグラムを記録した。タイロード液の代わりに炭酸ナトリウム飽和水溶液を使用して実験を繰り返した。
フェリシアン化物実験の結果が図16に示され、図中、実線は、前処理なしの場合を示し、×は、タイロード液で7分間前処理したが電位を印加しなかった場合を示し、◆は、タイロード液の存在で電位の印加によって前処理した場合を示す。ルテニウムヘキサアミン実験の結果が図17に示され、図中、灰色実線は、前処理なしの場合の結果を示し、◆は、タイロード液に浸漬した場合の結果を示し、黒実線は、炭酸ナトリウム前処理とともにAg−AgClに対して+2.0V電位を30秒間印加した場合の結果を示す。
実施例9:過酸化水素を使用する前処理
過酸化水素(Aldrich)を電気化学セルに塗布し、9分間放置する間に(a)電位を印加しなかった、又は(b)Ag−AgClに対して+2.0Vを4分間印加した。そして、セルを脱イオン水ですすぎ、乾燥させた。次いで、実施例7に記載したフェリシアン化物溶液をセルに付着させ、100mVs-1でサイクリックボルタモグラムを記録した。結果が図18に示され、図中、黒実線は、前処理ステップなしの場合の結果を示し、◆は、過酸化水素の存在で前処理した場合の結果を示す。
実施例10:線形掃引を使用する前処理
0Vから1.5V、2V及び2.5Vのいずれかまでの電位の線形掃引を使用して電気化学セルを前処理した。実施例7に記載したフェリシアン化物溶液又は炭酸ナトリウム飽和溶液中で前処理を実施した。その後、フェリシアン化物溶液中200mVs-1でサイクリックボルタモグラムを完了させた。図19は、前処理を実施しなかった場合の結果を示し、図20a及び20bは、それぞれフェリシアン化物及び炭酸ナトリウム中で前処理した場合の結果を示す。
実施例11:センサ試験の前の電気化学的電位前処理
実施例4に記載された総コレステロール試験のための試薬を含む容器を有する実施例4で記載したタイプの装置を使用した。ただし、ルテニウムヘキサアミンの代わりにGB0611800.4で詳述されているルテニウム錯体のcis異性体を使用した。試薬を凍結乾燥させた。装置を前処理し、使用して、血漿試料の総コレステロール(TC)含量を試験した。
Autolab(PGSTAT12)に取り付けたマルチプレクサ(MX452、Sternhagen Design)及びGPESソフトウェアv4.9.005を使用して、血漿をセンサに塗布してからただちに電気化学的電位をセル1個あたり1秒間印加することにより、前処理を実施した。5秒間の遅延ののち、酸化電流を0.15Vで11のタイムポイント(0、14、28、42、56、70、84、98、112、126及び140秒)で測定し、還元電流を−0.45Vで141秒目に測定した。表3に記すような臨床的に有意な範囲の総コレステロール濃度にわたって試験を完了した。三つの異なる前処理電位0V、1.5V及び2.5Vを比較した。試料一つあたり一つの前処理電位で3回の繰返しを実施した。0V、1.5V及び2.5Vの前処理の場合の結果をそれぞれ図21、22及び23に示す。
Figure 2009500601
実施例12:炭酸ナトリウム前処理
フェリシアン化物とニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)との間の酵素触媒電気化学的反応から生化学的に生成されるフェリシアン化物の応答をクロノアンペロメトリによって測定するための実験を実施した。100mM KCl(BDH)、50mM MgSO4(Sigma)及び1%タウロコール酸ナトリウム(Sigma)を含むトリスpH9緩衝液(Sigma)中25mM K3[Fe(CN)6](Aldrich)を含む二つのフェリシアン化物溶液を製造した。一方の溶液にはプチダレドキシンレダクターゼ(PdR)を加え、他方にはジアホラーゼを加えた(いずれも5mgml-1の濃度で使用した)。NADH溶液は、100mM KCl(BDH)、50mM MgSO4(Sigma)及び1%タウロコール酸ナトリウム(Sigma)を含むトリスpH9緩衝液(Sigma)中、7、5、3、2及び1mMの濃度で製造した。
炭酸ナトリウム溶液中、2Vの電位を30秒間印加することによる前処理によって電気化学セルを製造した。第二のセルは前処理しなかった。PdRフェリシアン化物溶液と7mM NADH溶液との1:1混合物20μlを各電気化学セルに塗布した。溶液を添加してから15秒後、酸化電流を0.15Vで11のタイムポイント(0、14、28、42、56、70、84、98、112、126及び140秒)で測定し、還元電流を−0.45Vで141秒目に測定した。前処理なしのセルの場合、クロノアンペロメトリプログラムの開始時に0V(セル1個あたり1秒)段差を加えた。実験を3回繰り返した。
PdRフェリシアン化物溶液と他の濃度のNADH溶液との1:1混合物を使用し、各NADH溶液と組み合わせたジアホラーゼフェリシアン化物溶液を使用して、同様な結果を得た。タイムポイントごとに%CVを計算した(全NADH濃度で平均化)。結果を図24(ジアホラーゼ)及び25(プチダレドキシンレダクターゼ)に示す。
実施例13:レーザ前処理
WO2006/000828の図1に示すタイプの容器4個を有する装置を使用してすべての試験を実施した。
250μmのPETフィルムに対し、作用電極及び導電トラックを画定するパターンで導電性カーボンインクをプリントした。次いで、これを100℃で乾燥させた。その後、カーボンインクプリントの上に、測定機器のコネクタと嵌合するために必要なトラックの部分を除き、誘電性インクをオーバープリントした。次いで、誘電性インクを100℃で乾燥させた。さらに二つの誘電性インクコートを塗布し、それぞれを100℃で乾燥させた。
次いで、266nmの波長、25kHzのパルスレート周波数(prf)及び120kHz(1800rpm)のトレパン速度で作動するND:YVO4パルスレーザを使用して2.5秒間レーザ穿孔することにより、直径1mmの穴4個をフィルムに形成した。次いで、接着テープを使用してフィルムをPallのVersapor多孔質膜の底層に接着し、こうして4枚の壁を形成した。Ag/AgCl擬似参照電極を使用した。
次いで、上記のように製造した装置にRu(NH36Cl3水溶液を塗布した。5秒間を経過させたのち電位を印加した。次に、−0.45Vの電位を各セルに同時に印加し、続いて各セルの電流を測定した。
以下の表4に示すように、様々な異なるレーザ作動時間(「レーザ・オン」)を使用して製造した装置を使用して一連の実験を繰り返した。各結果に関して変動係数(CV)を決定した。図26は、レーザを適用した時間に対して得られたCV値をプロットしたものである。
Figure 2009500601
本発明の一つの実施態様の装置を示す図である。 本発明の代替装置を示す図である。 本発明を取り入れたポータブル電気化学的センサ装置の略図である。 100℃(■)、130℃(●)及び150℃(△)での熱処理の際のセンサの質量損失を示す図である。 100℃(■)、130℃(●)及び150℃(△)での熱処理ののち、熱処理時間に対する変動係数(%CV)の改善を示す図である。 %CVと重量損失との相関関係を示す図である(■が%CVが低下したところを示し、□が%CVが上昇したところを示す)。 総コレステロールセンサの電極の加熱前処理による%CVの改善を示す図である。 総コレステロールセンサの電極の加熱前処理による%CVの改善を示す図である。 総コレステロールセンサの定温放置時間に伴う%CVの改善を示す図である。 トリグリセリドセンサの定温放置時間に伴う%CVの改善を示す図である。 湿度70%で定温放置したセンサの温度上昇に伴う%CVの上昇を実証する図である。 20℃で定温放置したセンサの湿度上昇に伴う%CVの上昇を実証する図である。 乾燥剤の存在(実線)及び乾燥剤の非存在(破線)におけるセンサ定温放置の効果を示す図である。 乾燥剤の存在(実線)及び乾燥剤の非存在(破線)におけるセンサ定温放置の効果を示す図である。 電極の前処理なしで完成したボルタンモグラム(実線)と電極の前処理ののち完成したボルタンモグラム(◆)とを比較する、サイクリックボルタンメトリ完了前の電位段差の印加の効果を示す図である。 (a)電極の前処理なし(実線)、(b)タイロード液に7分間暴露した後(×)及び(c)タイロード液の存在で2.0Vを30秒間印加することによって前処理した後(◆)で、完成したボルタンモグラムを比較する、サイクリックボルタンメトリ完了前のタイロード液の存在における電位段差の印加の効果を示す図である。 炭酸ナトリウムの存在における電位段差の印加の効果(黒実線)を、タイロード液に7分間浸漬した場合(◆)及び電極前処理なしの場合(灰色実線)とで比較して示す図である。 前処理なしで完成したボルタンモグラム(黒実線)を2.0Vで4分間の過酸化物前処理ののち完成したボルタンモグラム(◆)と比較する、フェリシアン化物中でサイクリックボルタモグラムを記録する前の過酸化水素の存在における電位段差の印加の効果を示す図である。 前処理されていないセンサのフェリシアン化物ボルタンメトリ応答を示す図である。 電気化学的前処理後の対応するボルタンメトリ応答を示す図である。 炭酸ナトリウムの存在における電気化学的前処理後の対応するボルタンメトリ応答を示す図である。 センサ試験を実施する前に印加された0V電位段差の効果を示す図である。 センサ試験を実施する前に印加された1.5V電位段差の効果を示す図である。 センサ試験を実施する前に印加された2.5V電位段差の効果を示す図である。 ジアホラーゼを含むバイオセンサに対する炭酸ナトリウム前処理の効果を示す図である。 プチダレドキシンレダクターゼを含むバイオセンサに対する炭酸ナトリウム前処理の効果を示す図である。 レーザ処理適用時間の増大に伴う%CVの低下を示す図である。

Claims (22)

  1. 電気化学的装置を製造する方法であって、
    (a)作用電極及び擬似参照電極を有する電気化学セルを用意すること、
    (b)作用電極を、(i)作用電極をベーキングする、及び/又は(ii)作用電極を定温放置する、及び/又は(iii)セルにプリコンディショニング電位を印加する、及び/又は(iv)作用電極をUVレーザで処理することによって、プリコンディショニングすること、及び
    (c)電気活性試薬を電気化学セルに提供し、場合によっては試薬を乾燥させること
    を含む方法。
  2. (d)試料を、作用電極及び電気活性試薬と接触する状態で装置に供給すること、及び
    (e)セルに測定電位を印加し、得られる電気化学的応答を測定すること
    をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 電気活性試薬が電気化学的媒介物質を含む、請求項1又は2記載の方法。
  4. 媒介物質がルテニウム錯体又はフェリシアン化物もしくはフェリシアン化物塩である、請求項3記載の方法。
  5. 電気活性試薬が、作用電極に吸着することができる金属を実質的に含まない、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 電気活性試薬がコバルトを含有しない、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 作用電極及び擬似参照電極と接触する水性緩衝液の存在でプリコンディショニング電位を印加する、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. −0.1V〜+1.8Vの間で電位のスキャンを実施することによってプリコンディショニング電位を印加する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 電位を−0.1V〜+1.8Vの間の値にステッピングすることによってプリコンディショニング電位を印加する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  10. ステップ(d)で試料を装置に供給したのちプリコンディショニング電位を印加する、請求項2〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. 150℃以下の温度で48時間以下の期間ベーキングを実施する、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 約130℃で約30分間又は約100℃で約2時間ベーキングを実施する、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. −20℃〜30℃の温度で30日以下の期間定温放置を実施する、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 作用電極が50μm未満の少なくとも一つの寸法を有する、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. 電気化学セルが容器の形態にあり、作用電極が容器の壁にあり、電気活性試薬を容器に挿入することを含む、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
  16. 装置が、少なくとも一つの容器又は部分的な容器が中に形成されたストリップを有し、容器又は部分的な容器がストリップの第一の面に第一の開放部分を有して試料が容器又は部分的な容器に入ることを可能にし、
    電気化学セルの作用電極が容器又は部分的な容器の壁にあり、
    電気化学セルの擬似参照電極が、ストリップの第一の面の少なくとも一部に形成された擬似参照電極層を含み、
    電気活性試薬を容器に挿入することを含む、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項記載の方法によって得られる電気化学的装置。
  18. 作用電極及び擬似参照電極を有する電気化学セル、
    電気化学的媒介物質を含む電気活性試薬、
    作用電極と擬似参照電極との間に電位を印加するためのポテンシオスタット、
    ポテンシオスタットを制御するための制御装置、及び
    セルの電気化学的応答を測定するための手段
    を含み、作用電極が、作用電極を(i)ベーキング及び/又は(ii)定温放置及び/又は(iii)プリコンディショニング電位及び/又は(iv)UVレーザによる処理に付すことによって得られるプリコンディショニングされた電極である、請求項17記載の装置。
  19. 作用電極及び擬似参照電極を有する電気化学セル、
    電気化学的媒介物質を含む電気活性試薬、
    作用電極と擬似参照電極との間に電位を印加するためのポテンシオスタット、
    はじめにプリコンディショニング電位が印加され、続けて測定電位が印加されるようにポテンシオスタットを制御するための制御装置、及び
    セルの電気化学的応答を測定するための手段
    を含む装置。
  20. 作用電極が、電極を(i)ベーキング及び/又は(ii)定温放置及び/又は(iii)プリコンディショニング電位及び/又は(iv)UVレーザによる処理に付すことによって得られるプリコンディショニングされた電極である、請求項19記載の装置。
  21. 請求項17〜20のいずれか1項記載の電気化学的装置に試料を提供すること、電気化学セルに電位を印加すること、及び得られる電気化学的応答を測定することを含む電気化学的検出法。
  22. 電気化学セルを使用して実施される電気化学的測定の精度を改善する方法であって、セルの作用電極を、(i)作用電極をベーキングする、及び/又は(ii)作用電極を定温放置する、及び/又は(iii)セルにプリコンディショニング電位を印加する、及び/又は(iv)作用電極をUVレーザで処理することによって、プリコンディショニングすることを含む方法。
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