JP2009297000A - 定置網 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単な改良によってエチゼンクラゲ等の巨大クラゲの入網を排除し、魚を有効に捕獲すると共に海流の流れ方向が変化しても有効な定置網を提供すること。
【構成】 海流又は潮流が流れている漁場に設置される定置網において、垣網の上流側から垣網に沿って囲網の端口方向に向かって移動してきた巨大クラゲが該垣網の終端を廻って反対向き、かつ、下流方向に移動するように、前記垣網の終端の回りに、水平断面が略U字形状で、該略U字形状の開口部分が前記垣網の終端を囲むように構成したガイド網を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【構成】 海流又は潮流が流れている漁場に設置される定置網において、垣網の上流側から垣網に沿って囲網の端口方向に向かって移動してきた巨大クラゲが該垣網の終端を廻って反対向き、かつ、下流方向に移動するように、前記垣網の終端の回りに、水平断面が略U字形状で、該略U字形状の開口部分が前記垣網の終端を囲むように構成したガイド網を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
この発明は、エチゼンクラゲ等の巨大クラゲが囲網の端口から進入するのを防止した定置網に関するものである。
定置網(又は建網ともいう)は漁場に網を敷設し、回遊してきて網に迷い込んだ魚を漁獲する方法であり、日本における漁獲技術の1つとして従来から使用され、現在なおも採用されている漁獲方法である。日本近海には暖流(例えば、黒潮や対馬海流)と寒流(例えば、親潮やリマン海流)が流れている。暖流に乗っていろいろな種類の魚、例えば、鰯、鰺、鯖、鰹、鮪、ブリや鮭等が回遊してくる。一方寒流には小魚の餌となる動物プランクトンが豊富で、暖流と寒流のぶつかる潮境は好魚場となる。日本近海には好漁場が沢山あり、定置網が盛んであった。しかし、近年中国や韓国の沿岸でエチゼンクラゲが大量発生し、成長しながら暖流に乗って日本海を北上し、日本海沿岸の定置網業に大きな被害を与えて、大問題になっている(非特許文献6,7)。
島根県水産試験場HP、エチゼンクラゲについて 安田徹編、海のUHOクラゲ、116−120頁、恒星社厚生閣
島根県水産試験場HP、エチゼンクラゲについて 安田徹編、海のUHOクラゲ、116−120頁、恒星社厚生閣
定置網の種類や構成及び敷設方法等については多くの文献やホームページ(以下、HPと略記する)に開示されている。例えば、非特許文献1〜4に掲載されている。ここでは、図6に近年の標準的な大型定置網の斜視図の1例を示す。図7(A)は上から見た平面図で、図7(B)は図(A)の矢印X−Xから見た断面図を示す。図6、図7に示すように、定置網50は垣網51、囲網52、箱網53、54等から構成されている。なお、囲網52の内部には運動場と呼んでいるスペース52aと底部が登り網となっているスペース(登り網部)52bとが設けられている。運動場52aと垣網51が交差する部分に設けられた囲網52の入口を端口55と呼んでいる。この定置網50には垣網51の両側に端口(55a、55b)が形成されており、両端口と呼ぶ。また、入った魚が逃げないように箱網54の奥に小船56が設ける場合もある。
野村正恒著、最新漁業技術一般、成山堂書店、180〜196頁、平成12年4月出版 金田禎之著、日本の漁業と漁法、成山堂書店、74〜85頁、平成17年6月出版 鈴木マリーンHP、海の散歩道0302、釣師の通らない道Vol.10、周辺の海の環境−9、定置網−4、定置網のしくみ 泉澤水産HP、定置網
野村正恒著、最新漁業技術一般、成山堂書店、180〜196頁、平成12年4月出版 金田禎之著、日本の漁業と漁法、成山堂書店、74〜85頁、平成17年6月出版 鈴木マリーンHP、海の散歩道0302、釣師の通らない道Vol.10、周辺の海の環境−9、定置網−4、定置網のしくみ 泉澤水産HP、定置網
定置網50の敷設方法や揚網方法については非特許文献2に記載されており、本願発明とは直接に関係していないので説明は省略する。垣網51の一端(沖側の終端)は囲網52の入口端又は囲網52の内部に配置され、垣網51の他端(岸側端)は海岸近くまで延長して配置される。垣網51の全長は数十メートルから数百メートルに及ぶケースもある。定置網50の海中における固定方法は非特許文献1に記載されている。垣網51の上縁には合成繊維又は鋼製のロープ61が取り付けられ、該ロープ61に多数の浮子62が取り付けられている。浮子62によって垣網51の上縁は海面近くに保持される。一方、垣網51の下縁63には沈子(図示省略)が取り付けられ海底に固定される。その結果、垣網51が海中で張られた状態を維持する。また、垣網51の終端は、例えば、囲網52の上縁に設けられたロープに結んで固定する。垣網51の他端(岸側端)は浮子及び沈子を介して海底に固定する。
上記した構成により、海流に乗って回遊して来た魚10が垣網51に進路を遮られ、一部の魚10が端口55の方向に誘導される。即ち、等深線に沿って移動してきた魚10は垣網51に遭遇すると、種々の方向に進路を変更する。網目を通過する魚、端口55方向に進む魚、沿岸方向に進む魚、元の方向に引き返す魚がおり、必ずしも大半の魚が端口方向に進む訳ではない。しかし、障害物に出会った魚は勾配が急であれば(等深線が密集している所では)遊泳層より深いところ(深み)、暗いところに沈降する傾向があることが実験的に認められている。そして、ここでは、端口55方向に進む魚の挙動のみが重要である。
端口55の側面に障子網56a、障子網56bが設けられている。垣網51によって誘導された魚10は端口55を通って囲網52の内部に進入する。その一部は運動場52aの内部で遊泳し、外部に逃げて行くが、他の一部は登網部52bを登って、箱網53、54へ進入する。箱網53(54)への入口は狭められ、かつ、段差が設けられているため、箱網53(54)に入った魚類は簡単に端口55に戻れない。なお、この定置網50では箱網53,54が2段に設けられている。更に、奥に小舟56が設けられている。
さらに、端口55方向に進む魚であっても、垣網51に対する魚(又は魚群)の行動は一様ではなく魚種によって異なる。また、垣網51の材料と目合、垣網51の姿勢と角度、魚の成群状態、周りの明るさなどにも影響される。例えば、ブリの場合を1例にとると、ブリは30m位の水深の層から垣網51に接近し、その後に垣網51から10m位離れて垣網51に沿って泳ぐと言われている。また、黒鮪では昼間は10〜15m離れるが夜間では5〜6m位まで接近して泳ぐと言われている(非特許文献1)。
一方、日本海沿岸に来遊するエチゼンクラゲは巨大であって、成長したエチゼンクラゲの大きなものは、傘の直径が100cm以上にもなり、正常な個体では糸状付属器の長さは傘径の3〜5倍にもなる。重量も200kgにもなる。日本海沿岸に来遊するエチゼンクラゲは遊泳力が弱く、海流(潮流も含む)の流れのエネルギーに逆らって自由に移動することはできない。従って、巨大なエチゼンクラゲが垣網51に遭遇すると、ほぼ垣網51に接触する程度に近接した状態で垣網51に沿って垣網51の終端まで移動し、囲網52の内部に進入し、箱網53,54に進入する。その結果、漁具の破損、操業効率の低下、クラゲの触手による漁体の損傷(商品価値の低下)等の被害が生じる。
エチゼンクラゲの定置網への入網を防止する有効な手段は現在の所、まだ開発中である。提案された方法としては非特許文献5に開示されているものがある。この垣網は垣網部の下側に目合の大きい「捨て網部」を設けてエチゼンクラゲを通過させる仕組みになっている。具体的な実施例では、垣網部は海面から41.5mの深さまで目合いが45cmの網を使用し、捨て網部は垣網部の下部から海底(55.5mの深さ)まで目合いが150cmの網を使用している。また、設置方法は、海面から海底に向けて潮流に対して下流方向に斜めになるように張り立てる。移動してきたエチゼンクラゲは垣網の垣網部に遭遇すると垣網部に沿って海底方向に潜り込み、捨て網部から抜けて下流に向けて移動する。試験結果では魚類を逃がすことなくエチゼンクラゲだけを通過させることができたと報告している。
島根県水産試験所HP、とびっくす(トビウオ通信号外)第7号、2−(2)定置網、平成18年3月30日発行
島根県水産試験所HP、とびっくす(トビウオ通信号外)第7号、2−(2)定置網、平成18年3月30日発行
また、魚場によっては海流又は潮流の流れは変化する。即ち、暖流や寒流の他に潮汐による海面昇降を考えると海流(潮流も含む)の流れ方向は変化する。潮汐は地球と月や太陽の引力に依って誘起され、太陽・地球・月の位置関係によって潮汐の大きさや潮流の強さが変化する。特に、日本海は対馬海峡、関門海峡及び津軽海峡を通して太平洋と接しているために、日本海側の潮汐規模、潮汐時間が太平洋側の潮汐規模、潮汐時間と異なるために潮汐によって海流の流れ方向が変化する。海流の流れ方向の変化は頻繁に起こるものではなく、一日に数回程度である。しかし、海流の流れ方向(向き)が変化した場合にも有効に機能するように考慮しなければならない。
本願発明はこのような状況下でなされたものであり、比較的簡単な改良によってエチゼンクラゲ等の巨大クラゲの入網を排除し、魚を有効に捕獲すると共に海流の流れ方向が変化しても有効な定置網を提供することを課題としている。
本願発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用している。即ち、
海流又は潮流が流れている漁場に設置される定置網において、垣網の上流側から垣網に沿って囲網の端口方向に向かって移動してきた巨大クラゲが該垣網の終端を廻って反対向き、かつ、下流方向に移動するように、前記垣網の終端の回りに、水平断面が略U字形状で、該略U字形状の開口部分が前記垣網の終端を囲むように構成したガイド網を設けたことを特徴としている。
海流又は潮流が流れている漁場に設置される定置網において、垣網の上流側から垣網に沿って囲網の端口方向に向かって移動してきた巨大クラゲが該垣網の終端を廻って反対向き、かつ、下流方向に移動するように、前記垣網の終端の回りに、水平断面が略U字形状で、該略U字形状の開口部分が前記垣網の終端を囲むように構成したガイド網を設けたことを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記垣網の終端は、前記端口における囲網の両端を結ぶ直線上又は囲網の内側に位置するように設けたことを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記略U字形状の湾曲部は半径が1m〜3mの円弧、又は、該円弧に外接する折れ線で構成したことを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3に記載の発明において、前記囲網の端口が両端口の場合は、海流又は潮流の下流側のガイド網の解放端を、該解放端から下流方向に移動する巨大クラゲが下流側端口から前記囲網内部に入網しないように、前記下流側端口から離れた位置に配置する構成としたことを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4に記載の発明において、前記囲網の端口が片端口の場合は、海流又は潮流の下流側のガイド網を前記囲網と連結した構成としたことを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項3に記載の発明において、海流又は潮流の流れの向きが周期的に変わる場合は、前記囲網の端口は両端口とし、前記ガイド網の解放端側から出て下流方向に移動する巨大クラゲが両端口の何れの端口からも前記囲網内部に入網しないように該ガイド網の各端を各端口から離れた位置に配置する構成としたことを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記垣網の終端を前記両端口における囲網の両端を結ぶ直線よりも岸側に配置して、前記ガイド網を構成したことを特徴としている。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の発明において、囲網が両端口の場合に、流れの上流側端口から囲網内に入網した巨大クラゲが反対側の端口から出て下流方向に移動するように障子網の自由端を囲網の内部の奥まで配置し、かつ、該障子網が奥に向かって相互に近接するように傾斜させて配置したことを特徴としている。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8に記載の発明において、前記ガイド網は前記垣網と同じ網材、同じ網目サイズとしたことを特徴としている。
簡易な改良により、巨大クラゲの入網を排除し、魚を有効に捕獲すると共に海流の向きが周期的に変化しても有効に機能するという効果が得られる。
<実施形態1>
図1は本願発明の実施形態1の要部概略図を示す。実施形態1は海流(潮流も含めて海水の流れる方向を言う。以下同じ)の流れ方向の変化が小さく、平均的な流れ方向(平均流量が最大の方向、向き)に対して流れ方向の変化が両方向に45度以下の場合で、両端口を採用した場合の例である。以下、従来の定置網(図6、図7)と同じ構成要素については同じ引用番号を付して詳細な説明は省略する。図1において、海流の平均的な流れ方向を実線の矢印で示す。垣網51は囲網52の近くでは、海流の平均的な流れ方向と略直交する角度で配設され、垣網51の終端Eは端口55a、55bにおける囲網52と障子網56の交点を角点A、Bとし、角点A、Bを結ぶ直線上(実際には、囲網の角点A、Bは深さがあるので、角点A、Bを結んだものは平面となる。)又は囲網52の内側に配置される。
図1は本願発明の実施形態1の要部概略図を示す。実施形態1は海流(潮流も含めて海水の流れる方向を言う。以下同じ)の流れ方向の変化が小さく、平均的な流れ方向(平均流量が最大の方向、向き)に対して流れ方向の変化が両方向に45度以下の場合で、両端口を採用した場合の例である。以下、従来の定置網(図6、図7)と同じ構成要素については同じ引用番号を付して詳細な説明は省略する。図1において、海流の平均的な流れ方向を実線の矢印で示す。垣網51は囲網52の近くでは、海流の平均的な流れ方向と略直交する角度で配設され、垣網51の終端Eは端口55a、55bにおける囲網52と障子網56の交点を角点A、Bとし、角点A、Bを結ぶ直線上(実際には、囲網の角点A、Bは深さがあるので、角点A、Bを結んだものは平面となる。)又は囲網52の内側に配置される。
ガイド網11は垣網51の終端Eを中心として巨大クラゲが方向転換するための湾曲部11a(例えば、半径1〜3mの円弧で形成する。)と上流側の直線部11b、及び下流側の直線部11cから構成される。湾曲部11aの半径は巨大クラゲの大きさによって決定する。例えば、巨大クラゲの傘の大きさが最大で1m位であれば湾曲部11aの半径は1.5m〜2mとする。また、直線部11bは垣網51と略平行に構成し、直線部11bの端点12は巨大クラゲが直線部11bと障子網56aの間から進入しないように直線部11bを短くするか、又は、直線部11bはゼロにしてもよい。一方、直線部11cは岸方向に向けて広がるように下向きに傾けて敷設する。また、直線部11cの解放端13は、そこから解放されて下流方向に移動する巨大クラゲ9が下流側の端口55bから囲網52内部に進入しない所まで延長する。なお、湾曲部11aは円弧に限られない。以下の実施形態においても同様である。
図2は湾曲部11aを折れ線41(直線41a、41bからなる折れ線)で構成し、ガイド網の固定を容易にした実施例を示す。41a、41bは円弧11aに外接する直線である。図2で実線は網を上から見た線で、点線は網を固定するためのロープを示す。ガイド網11は折れ線(12、14、16,15、13)として構成されている。固定用のロープには浮子が取り付けられるが、浮子は図示を省略している。20は海底に固定するための重り(沈子)を示す。小黒丸印はロープ同士の結び点を示す。垣網11の終端Eは端口の両端の角点A、B間に張られたロープ64及び終端Eと囲網52の反対側との間に張られたロープ65によって固定されている。ロープ64、ロープ65を利用してガイド網11を固定する方法について以下に説明する。
ガイド網11の出入口の端点12、13は浮子により海面に浮いたロープ35によって結ばれ、ロープ35の中点Cは垣網51のロープ61に結ばれて固定されている。端点12はロープ35、17によって垣網51のロープ61、64に固定され、端点13はロープ35及び浮子13aと沈子20によって海底に固定されている。なお、端点13は垣網51のロープ61とロープ64又は囲網52のロープ(図示省略)を結ぶロープ(図示省略)を張り、その中間に端点13を結んで固定してもよい。ガイド網11の中点16はロープ65に固定されている。また、ガイド網11の中間の角点14、15はロープ64とロープ65を結んだロープ18、ロープ19によって各々固定されている。以上のように、ガイド網11はロープ64、ロープ65を利用して容易に固定することができる。また、ガイド網11によって巨大クラゲが上流側から下流側に抜ける通路が確保されている。
実施形態1は以上に述べたように構成したので以下のように作用する。海流の流れ方向の変化が小さい場合又はほぼ一定の流れ方向、一定の流れ向きに流れている場合には、巨大クラゲ9は海流のエネルギーに逆らって自由に上流方向に移動できないので、上流側から垣網51に接近し、垣網51に沿って近接した状態で端口55a方向に移動する。垣網51の終端Eに達した巨大クラゲ9は湾曲部11a(又は折れ線部41a、41b)で岸方向に向きを変えて岸方向に移動を開始する。直線部11cの端13に達した巨大クラゲ9は、そこから解放されて下流方向に移動する。この際、巨大クラゲ9が下流側の端口55bから囲網52内部に進入できない位置にガイド網11の端13が配置されているので、そのまま下流方向に移動する。
一方、等高線に沿って移動してきた魚10は垣網51に遭遇すると、魚の一部は垣網51から5m〜15m程度離れて、垣網51に沿って端口55(55a又は55b)方向に移動する。端口55の幅は広く設けられているので、端口55方向に移動した魚10の大部分は囲網52の内部に進入する。端口55の幅は、例えば、端口55aが25m、端口55bが20mである。囲網52の内部に進入した魚10は従来の定置網の場合と同じように挙動し、箱網53,54の内部に進入する。
以上の説明から明らかなように、海流の流れ方向の変化が小さい場合は上記の構成による定置網で巨大クラゲ9のみを排除して魚10を箱網53,54の内部に進入させることができる。
以上の説明から明らかなように、海流の流れ方向の変化が小さい場合は上記の構成による定置網で巨大クラゲ9のみを排除して魚10を箱網53,54の内部に進入させることができる。
<実施形態2>
図3は本願発明の実施形態2の要部概略図を示す。実施形態2は海流の流れ方向が大きく変化する場合である。このような場合としては、例えば、潮汐の関係で、朝夕の海流の流れ方向が逆方向(逆向き)に周期的に変化するケースである。図3はこのような場合に対応する定置網で、一般的には両端口55a、55bの定置網が使用される。一般に、海流の流れ方向は、台風や地震による津波、河川からの大きな流入水の等の異常事態を除けばあまり大きく変化しない。潮汐による流れ方向の変化は、海水の流れる方向が水平方向に180度(又は360度)連続的に変化するのではなく、ある方向に流れる海水の流量が正から負へ、負から正へ変化して海水の流れる向きが変化すると考えられる。図3の実線矢印の方向と点線矢印の方向に海流の流れが周期的に変化する場合の巨大クラゲ9の入網を排除する定置網を示す。
図3は本願発明の実施形態2の要部概略図を示す。実施形態2は海流の流れ方向が大きく変化する場合である。このような場合としては、例えば、潮汐の関係で、朝夕の海流の流れ方向が逆方向(逆向き)に周期的に変化するケースである。図3はこのような場合に対応する定置網で、一般的には両端口55a、55bの定置網が使用される。一般に、海流の流れ方向は、台風や地震による津波、河川からの大きな流入水の等の異常事態を除けばあまり大きく変化しない。潮汐による流れ方向の変化は、海水の流れる方向が水平方向に180度(又は360度)連続的に変化するのではなく、ある方向に流れる海水の流量が正から負へ、負から正へ変化して海水の流れる向きが変化すると考えられる。図3の実線矢印の方向と点線矢印の方向に海流の流れが周期的に変化する場合の巨大クラゲ9の入網を排除する定置網を示す。
図3において、垣網51の終端Fを角点A、Bを結ぶ直線上よりも岸方向(図の左方向)に偏位させて設ける。これはガイド網21の長さ(垣網51と平行な距離)を短くして巨大クラゲ9の解放のための移動を円滑にするためである。次に、ガイド網21は湾曲部21a、(図3の上流側の)直線部21b、及び(下流側の)直線部21cから構成する。湾曲部21は終端Fを中心とした半径1m〜3mの円弧に形成する。直線部21cは、海流が実線の矢印方向の場合にガイド網21に進入した巨大クラゲが円滑に下流方向に向かって移動できるように岸方向に向けて広がるように傾斜を設ける。又、解放端23はそこから解放された巨大クラゲが端口55bから囲網52の内部に進入しない所まで岸方向に延長する。また、直線部21bは、海流が点線の矢印方向の場合にガイド網21に進入した巨大クラゲが円滑に下流方向に向かって移動できるように、直線部21cと同様に構成する。即ち、岸方向に向けて広がるように傾斜を設け、又、解放端22はそこから解放された巨大クラゲが端口55aから囲網52の内部に進入しない所まで延長する。
垣網51の終端F、直線部21bの解放端22及び直線部21cの解放端23を、実施形態1の場合よりも岸方向に移動したために、上流から移動してきた巨大クラゲ9が端口55a(又は端口55b)と直線部21b(又は、直線部21c)の間から直接に囲網52内部に進入する可能性が大きくなる。この可能性を小さくするために、障子網57a及び障子網57bの長さを実施形態1の場合(56a、56b)よりも長くし、かつ、囲網52内部に進むに従って端口55(55a、55b)の幅が狭くなるように傾斜させる。これによって、一方の端口(例えば、55a)から入網した巨大クラゲは他方の端口(例えば、55b)から出て、海流に乗って下流方向に移動する。
図4は図3の湾曲部21aを折れ線42(直線42a、42b)で構成し、ガイド網の固定を容易にした実施例を示す。42a、42bは円弧21aに外接する直線である。ガイド網21は折れ線(22,24,26、25,23)で示されており、この場合の固定方法は図2の場合とほぼ同じである。図2の場合と異なる点は、垣網51の終端Fを囲網52の角点A,Bを結んだ線分64よりも岸方向に距離eだけ移動させた点と、それに伴って、折れ線部(42a、42b)を岸方向に移動させた点と、ガイド網21の直線部21bの端点22を岸方向に移動して,直線部21cと同じ長さとし、かつ、直線部21bと垣網51の間の狭角を大きくした点である。即ち、直線部21bは直線部21cと垣網51に対して対象に配置し、構成した点である。なお、障子網57a、57bはガイド網21の直線部21b、21cとほぼ並行になるように傾斜させている。
ガイド網21の固定は実施形態1の場合と同様にロープ64、ロープ65を利用する。まず、ガイド網21の端点22,23をロープ31で結び、その中間点Dを垣網51のロープ61に結んで固定する。また、端点22は浮子22a、沈子20により海底に固定し、端点23も浮子23a、沈子20により海底に固定する。ガイド網21の角点24,25はロープ64とロープ65を結んだロープ32、33によって固定する。なお、ガイド網21の端点22,23の固定は、垣網51のロープ61とロープ64とを結ぶロープ(図示省略)を張り、その中間に固定してもよい。
実施形態2は以上のように構成したので、以下のように機能する。海流の流れの向きが変化した場合においても、上流側から垣網51に接近し、垣網51に沿って近接した状態で端口55a又は55b方向に移動してきた巨大クラゲ9をガイド網21により円滑に下流方向に移動させ、囲網52の内部への進入を防止する。また、端口55a又は55bから直接囲網52の内部に進入した巨大クラゲは障子網57a、57bによって囲網52の外部に移動させる。この結果、海流の流れ方向の向きが交互に逆向きに変化する場合でも、上記の構成による定置網で巨大クラゲ9を排除して魚10のみを箱網53,54の内部に進入させることができる。
<実施形態3>
図5は本願発明の実施形態3の要部概略図を示す。実施形態3は片端口を採用した場合である。このような場合としては、海流の流れ方向が大きく変化せず、また、潮汐の関係で海流の流れ向きが逆方向(逆向き)にも変化しない場合である。垣網51に対して上流方向は一定であり、垣網51の下流方向から囲網52の内部に入網する魚を考えなくてもよい場合である。図3に示すように、下流側の囲網52を上流方向に延長して、ガイド網31と囲網52の交点を連結し、連結点をBとする。この場合は、垣網51の終端Gを、上流側の端口55aにおける囲網52と障子網58の角点Aと連結点Bを結ぶ直線上又は囲網52の内部に配置する。なお、実施形態3では下流側の障子網は省略する。
図5は本願発明の実施形態3の要部概略図を示す。実施形態3は片端口を採用した場合である。このような場合としては、海流の流れ方向が大きく変化せず、また、潮汐の関係で海流の流れ向きが逆方向(逆向き)にも変化しない場合である。垣網51に対して上流方向は一定であり、垣網51の下流方向から囲網52の内部に入網する魚を考えなくてもよい場合である。図3に示すように、下流側の囲網52を上流方向に延長して、ガイド網31と囲網52の交点を連結し、連結点をBとする。この場合は、垣網51の終端Gを、上流側の端口55aにおける囲網52と障子網58の角点Aと連結点Bを結ぶ直線上又は囲網52の内部に配置する。なお、実施形態3では下流側の障子網は省略する。
この場合も実施形態1、2と同様に、ガイド網31は、垣網51の終端Gを中心とする半径1m〜3mの湾曲部31aと上流側直線部31b、下流側直線部31cで構成する。なお、実施形態3では、下流側直線部31cは長さをゼロとし(省略し)、上流側直線部31bも長さをほぼゼロにしてもよい。実施形態3の場合も、ガイド網31は湾曲部を外接する直線で構成し、固定を容易にする。具体的な固定方法は、実施形態1、実施形態2の場合とほぼ同様であるので説明を省略する。
実施形態3は以上のように構成したので以下のように機能する。巨大クラゲ9は、海流のエネルギーによって、上流側から垣網51に接近し、垣網51に沿って近接した状態で端口55方向に移動する。端口55方向に移動してきた巨大クラゲ9はガイド31により円滑に下流方向に解放される。従って、巨大クラゲ9の囲網52の内部への進入は防止される。一方、垣網51に接近してきた魚10は垣網51から5m〜15m程度離れて、垣網51に沿って端口55方向に移動する。端口55の幅は広く設けられている(例えば、25m〜30m)ので、端口55方向に移動した魚の大部分は囲網52の内部に進入する。従って、巨大クラゲ9を排除して魚10のみを捕獲することができる。
実施形態1〜実施形態3で述べてきたように、従来型の定置網に簡単な改良を加えるだけでエチゼンクラゲのような巨大クラゲ9の定置網内部への入網を防止して、魚10のみを捕獲可能にできる。
9 エチゼンクラゲ(巨大クラゲ)
10 魚
11、12、13 ガイド網
11a、21a、31a ガイド網の湾曲部
12,13,22,23 ガイド網の端部
20 沈子
51 垣網
52 囲網
55 片端口
55a、55b 両端口
56a、56b、57a、57b、56 障子網
A、B 囲網と障子網の角点
E、F、G 垣網の終端
10 魚
11、12、13 ガイド網
11a、21a、31a ガイド網の湾曲部
12,13,22,23 ガイド網の端部
20 沈子
51 垣網
52 囲網
55 片端口
55a、55b 両端口
56a、56b、57a、57b、56 障子網
A、B 囲網と障子網の角点
E、F、G 垣網の終端
Claims (9)
- 海流又は潮流が流れている漁場に設置される定置網において、垣網の上流側から垣網に沿って囲網の端口方向に向かって移動してきた巨大クラゲが該垣網の終端を廻って反対向き、かつ、下流方向に移動するように、前記垣網の終端の回りに、水平断面が略U字形状で、該略U字形状の開口部分が前記垣網の終端を囲むように構成したガイド網を設けたことを特徴とする定置網。
- 前記垣網の終端は、前記端口における囲網の両端を結ぶ直線上又は囲網の内側に位置するように設けたことを特徴とする請求項1に記載の定置網。
- 前記略U字形状の湾曲部は半径が1m〜3mの円弧、又は、該円弧に外接する折れ線で構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2の何れか1に記載の定置網。
- 前記囲網の端口が両端口の場合は、海流又は潮流の下流側のガイド網の解放端を、該解放端から下流方向に移動する巨大クラゲが下流側端口から前記囲網内部に入網しないように、前記下流側端口から離れた位置に配置する構成としたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1に記載の定置網。
- 前記囲網の端口が片端口の場合は、海流又は潮流の下流側のガイド網を前記囲網と連結した構成としたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1に記載の定置網。
- 海流又は潮流の流れの向きが90度から180度まで変化する場合は、前記囲網の端口は両端口とし、前記ガイド網の解放端側から出て下流方向に移動する巨大クラゲが両端口の何れの端口からも前記囲網内部に入網しないように該ガイド網の各端を各端口から離れた位置に配置する構成としたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1に記載の定置網。
- 前記垣網の終端を前記両端口における囲網の両端を結ぶ直線よりも岸側に配置して、前記ガイド網を構成したことを特徴とする請求項6に記載の定置網。
- 囲網が両端口の場合に、流れの上流側端口から囲網内に入網した巨大クラゲが反対側の端口から出て下流方向に移動するように障子網の自由端を囲網の内部の奥まで配置し、かつ、該障子網が奥に向かって相互に近接するように傾斜させて配置したことを特徴とする請求項6又は請求項7の何れか1に記載の定置網。
- 前記ガイド網は前記垣網と同じ網材、同じ網目サイズとしたことを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1に記載の定置網。
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