JP2009290176A - 軟磁性材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】低い保磁力を有する、鉄イオンを含む層状複水酸化物を含んでなる軟磁性材料及び、それを含んでなる電磁波シールド材を提供する。
【解決手段】本発明の軟磁性材料は、Fe3+イオンを含む層状複水酸化物を含んでなるものである。この軟磁性材料は、有機樹脂との複合化により、電磁波シールド材や、更には光透過性を有する電磁波シールド材に好ましく用いることが出来る。また、この軟磁性材料を含むコーティング剤を基材に塗布することで、電磁波シールド膜として用いられる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の軟磁性材料は、Fe3+イオンを含む層状複水酸化物を含んでなるものである。この軟磁性材料は、有機樹脂との複合化により、電磁波シールド材や、更には光透過性を有する電磁波シールド材に好ましく用いることが出来る。また、この軟磁性材料を含むコーティング剤を基材に塗布することで、電磁波シールド膜として用いられる。
【選択図】なし
Description
本発明は、軟磁性材料及びそれを用いた電磁波シールド材に関する。
近年、携帯電話等の移動体通信機器類やその他電磁波を使用する機器類の普及により、磁界発生源が他の物体や電気回路などに悪影響を及ぼさないようにする為に、不要な電磁波の反射・散乱を抑制する特性が要求されている。
そのような電子波吸収性を有する磁気シールド材料として、軟磁気特性を示す軟磁性体が有効であることが知られている。この軟磁性体としては、金属板や磁性粉体が挙げられ、特に磁性粉体の場合は、塗料の形で適当な支持体に塗布したり、あるいは樹脂中に添加・成型することにより、自立型のシート材料や、壁材・板材のような成型体にする等、様々な利用が可能である。
ここで、通常良好な軟磁性を示す磁性粉体の特性としては、低保磁力・高透磁率であることが挙げられ、これらの特性を示す物質としては金属磁性粉体やフェライト酸化物粉体が知られているが、金属磁性粉体は、発火の危険性があることが指摘されている。そこで現在、安全なフェライト酸化物軟磁性体及びそれを用いた電磁波シールド材に関する研究が活発に行われている。(特許文献1)
しかしながら、通常中程度の磁性を有するフェライト酸化物の軟磁性化の方法として、例えばフェライトのスピネル結晶構造中へ種々の金属(Zn、Mn、Ni)を置換固溶させることによる低保磁力化が検討されているが、この方法による保磁力は10〜40Oeという値が報告されており、軟磁性特性としては未だ不十分であり、より低い保磁力を有する酸化物軟磁性材料が求められている。(特許文献2)
本発明は、上記の問題点に鑑み、低い保磁力を有する、鉄イオンを含む層状複水酸化物を含んでなる軟磁性材料を提供しようとするものである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、Fe3+イオンを含む層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide:LDH)が低保磁力を有する軟磁性体であることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、Fe3+イオンを含む層状複水酸化物を含んでなる軟磁性材料に関し、本発明の軟磁性材料は、基本骨格としてブルーサイト型の結晶構造を有し、結晶格子中の2価金属イオンの一部が3価金属イオンで置換された層状構造を有する層状複水酸化物であり、この2価金属イオンサイトに置換される3価金属イオンとして少なくとも鉄イオンを含むことを特徴とする。
このLDHに含有される金属種としては、3価の鉄イオンの他に、2価金属イオンとして、Mg2+、Ca2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Sr2+、Cd2+から選ばれる少なくとも1種を含み、更に3価金属イオンとして、Al3+、Ga3+、Mn3+、In3+、Co3+、Y3+、Ce3+、La3+から選ばれる少なくとも1種を含んでなり、これらの2価、3価の金属イオンの任意な組合せが可能である。
本発明の軟磁性材料は、低保磁力を有することから、塗料化による塗布膜作製や、樹脂混合による成型加工により、優れた電磁波シールド性を有する部材への適用が可能となる。しかも従来のフェライト酸化物な磁性体に比べ、薄い着色状態であることから、視認性良好な光透過性を有する電磁波シールド材等への適用が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の軟磁性材料は、Fe3+を含む層状複水酸化物(LDH)であり、この湿式プロセスにより作製でき、中でも、共沈法、水熱合成法、均一沈殿法等の方法が好適に利用することが出来、これらの方法により、粉末形状として得ることが可能である。
本発明の軟磁性材料は、Fe3+を含む層状複水酸化物(LDH)であり、この湿式プロセスにより作製でき、中でも、共沈法、水熱合成法、均一沈殿法等の方法が好適に利用することが出来、これらの方法により、粉末形状として得ることが可能である。
また本発明におけるFe3+を含む層状複水酸化物は、基本骨格としてブルーサイト型の結晶構造を有し、結晶格子中の2価金属イオンの一部が3価金属イオンで置換された層状構造を有し、アニオンが層間に挿入されてなる。そして、結晶格子中の2価金属イオンサイトに置換される3価金属イオンとしては、少なくとも鉄イオンを含むことを特徴とする。このLDHに含有される金属種としては、3価の鉄イオンの他に、2価金属イオン(M2+)として、Mg2+、Ca2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Sr2+、Cd2+から選ばれる少なくとも1種を含み、更に3価金属イオン(M3+)として、Al3+、Ga3+、Mn3+、In3+、Co3+、Y3+、Ce3+、La3+から選ばれる少なくとも1種を含んでなり、これらの2価、3価の金属イオンの任意な組合せが可能である。本発明における、Fe3+を含有する層状複水酸化物として、より好ましくは、Fe3+の他に、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+から選ばれる少なくとも1種の2価の金属イオンを含む。
またLDH層間に挿入されるアニオンは、負電荷を有する陰イオンであれば良い。この場合のLDH層間に挿入されるアニオンとしては、例えば、炭酸イオン(CO3 2−)、硝酸イオン(NO3 −)、硫酸イオン(SO4 2−)、リン酸イオン(PO4 3−)、フッ化物イオン(F−)、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−)、次亜塩素酸イオン(ClO−)、過塩素酸イオン(ClO4 −)、水酸化物イオン(OH−)、クロム酸イオン(CrO4 −)、ケイ酸イオン(SiO3 2−)、アルミン酸イオン(AlO2 −)、酢酸イオン(CH3COO−)等の有機カルボン酸、メタルスルホン酸(CH3SO3 −)等の有機スルホン酸、メチルリン酸(CH3PO4 2−)等の有機リン酸から選ばれる少なくとも1種を含むものである。
ここで、本発明における層状複水酸化物は、結晶中に含まれる2価金属イオンに対する3価金属イオンのモル比率は、0.01以上1以下であり、より好ましくは0.1以上1以下である。ここで、3価金属イオンのモル比率が、0.01より小さい、もしくは1より大きい場合、ブルーサイト構造を有する層状複水酸化物の合成は非常に困難である。
また本発明においては、層状複水酸化物に含まれる総和金属イオンモル量に占めるFe3+のモル比率は、0.001以上0.1以下であり、より好ましくは0.1以上1以下である。ここで、Fe3+のモル比率が、0.001より小さい場合は、物質中に含まれるFe3+の量が非常に少なくなる為、磁気物性が非常に小さくなることが懸念され、1より大きい場合は、ブルーサイト構造を有する層状複水酸化物の合成は非常に困難である。
本発明におけるFe3+を含む層状複水酸化物からなる軟磁性材料は、磁気物性測定により評価される保磁力が、10Oe以下である。ここで、保磁力の測定手法としては、振動試料方磁力計による磁気ヒステリシス測定により評価できる。ここで、磁気ヒステリシスの測定方法として、例えば、振動試料方磁力計(玉川製作所製“TM−VSM311483−HGC型”)を用いることにより、円盤状ペレットに成型したサンプル(直径10mm、厚み2mm)に対し、常温(23℃)において、7.7Oe/秒の走査速度にて、0Oeから31000Oeまで連続的に磁界を増加させ、磁界が31000Oeに達した後、続いて−31000Oeまで磁界を減少させ、−31000Oeに達した後、更に0Oeまで磁場を増加させることで観測される磁気ヒステリシスループ(B−H曲線)の、サンプルの磁化が0となるゼロクロス点における磁界の大きさを保磁力として求めることができる。
本発明における層状複水酸化物からなる軟磁性材料は、好ましくは板状形態を有する。また本発明における板状形態を有する層状複水酸化物の平均板面径は、50nm以上1000nm以下であり、また平均板厚は、5nm以上100nm以下である。
ここで、本発明における平均板面径及び平均板厚はそれぞれ、走査型電子顕微鏡(例えば、日立製作所製、“S−800”)の倍率10000倍の視野で観測される、1個の板状粒子における最大長辺径となる板面直径及び最小短辺径となる板厚を、粒子50個に関して測長し、平均することにより測定することが出来る。そして、本発明における板状形態を有する層状複水酸化物の、(平均板厚/平均板面径)で表される平均アスペクト比は、好ましくは、1以上100以下である。
よって、本発明の軟磁性材料においては、以上のような板状形態とその粒子サイズを有することにより、膜状・シート状・板状に成型した場合、板状粒子の板面が基材もしくは成型体表面に平行に配向しやすいことから、成型体全面を均一に軟磁性材料で覆うことが可能となる為、電磁波を完全に遮蔽することが期待でき、また板状粒子の配向により、等方的な光散乱が抑制される為、光透過性を要求される電磁波シールド材への適用が期待できる。
また本発明においては、Fe3+を含む層状複水酸化物からなる軟磁性材料を含んでなる電磁波シールド材に関する。前述のように、本発明における軟磁性材料は、非常に小さい保磁力を有することから、この軟磁性材料を含む構造体または成型体は、電磁波シールド材として期待できる。
本発明における軟磁性材料を用いた電磁波シールド材においては、有機樹脂をさらに含ませることが可能である。本発明においては、この有機樹脂との複合化により、電磁波シールド材としての成型体中において、有機樹脂成分は、軟磁性材料の結合剤として作用したり、特に大型の成型体の形状を保持することが可能となる。本発明に用いられる有機樹脂としては、熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS)、ナイロン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール、メチルペンテン等の汎用樹脂や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)等のスーパーエンジニアリング樹脂、熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂(PF)、ユリア樹脂(UF)、メラミン樹脂(MF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、エポキシ樹脂(EP)、ジリアルフタレート樹脂(PDAP)、ポリウレタン(PU)等、更にはポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールやセルロース系樹脂を好適に用いることができる。本発明の軟磁性材料を用いた電磁波シールド材としては、これらの有機樹脂との複合化により、膜形状、自立膜形状、更には大型の成型品への適用も可能となる。よって、これらの広範囲な成型形状選択性により、電磁波シールド性を有する、固定化膜、自立シート、薄板、壁材、バルクへの展開も可能となる。
また本発明における軟磁性材料を用いた電磁波シールド材として、光透過性を有する。本発明においては、従来のフェライト酸化物軟磁性材料がその電子状態から黒色を呈するのに対し、本発明のFe3+を含む層状複水酸化物である軟磁性材料は、微細な層状の結晶構造を有することから鮮やかな着色状態を呈し、また極めて微細な板厚を有する為、膜状・シート状・板状に成型した場合、板状粒子の板面が基材に平行に配向しやすく、等方的な光散乱が抑制される為、光透過性が要求される部材への適用が期待できる。よって、従来のフェライト軟磁性材料を含む成型体ではどんなに薄い膜厚でも不透明な性状であるのに対し、本発明の軟磁性材料では上記のような特異な配向構造化と光学特性を有することから、本発明の軟磁性材料を含む成型体では、光透過性を確保することが出来るため、視認性・透明性が求められる電磁波シールド用途への適用が可能となる。
また、本発明の軟磁性材料を電磁波シールド材へ適用する場合、軟磁性材料を液剤に分散させることでコーティング剤とし、基材に塗布することで、膜形状を有する電磁波シールド材としても適用可能である。ここで、本発明における軟磁性材料である層状複水酸化物は、好ましくは、前述のような、微細な板状形態を有することから、液剤中で凝集しにくく、また金属水酸化物層がカチオンに帯電していることから、液剤中での分散安定性が良好であることが期待できる。本発明の軟磁性材料を分散させる液剤としては、水系、溶剤系、もしくはそれらの混合系の、いずれでも適用可能である。また、本発明におけるコーティング剤に含まれる軟磁性材料の濃度は任意に調整可能であるが、均一な製膜の為には、コーティング剤に対し重量比率で、0.001%以上が好ましい。
また本発明における軟磁性材料を含むコーティング剤には、有機樹脂を含有することも可能である。本発明においては、コーティング剤への有機樹脂の含有により、コーティング剤中の軟磁性材料の分散安定化や、高粘度化等に好適に作用することが期待できる。本発明における軟磁性材料を含むコーティング剤へ含有する有機樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS)、ナイロン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール、メチルペンテン等の汎用樹脂や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)等のスーパーエンジニアリング樹脂、フェノール樹脂(PF)、ユリア樹脂(UF)、メラミン樹脂(MF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、エポキシ樹脂(EP)、ジリアルフタレート樹脂(PDAP)、ポリウレタン(PU)等、更にはポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールやセルロース系樹脂、及び、これらのモノマーを好適に用いることができる。
本発明においては、軟磁性材料を含むコーティング剤を基材上に塗布することにより、電磁波シールド性コーティング膜への適用も可能となる。よって、本発明の軟磁性材料を含むコーティング剤を適当な箇所へコーティングすることにより、既設部材へ電磁波シールド性を付与することも可能となる。更に、本発明の軟磁性材料を含むコーティング膜は、好ましくは板状形態を有することから、板状粒子の板面が基材対し平行に配向しやすい為、基材全面を均一に軟磁性材料で覆うことが可能となる為、電磁波を完全に遮蔽することが期待でき、また板状粒子の配向により、等方的な光散乱が抑制される為、光透過性を要求される電磁波シールド材、例えば、窓ガラス等への適用が期待できる。
Fe 3+ イオンを含む層状複水酸化物の合成
Fe3+イオンを含む層状複水酸化物は、以下の手順により合成した。
硝酸コバルト(II)六水和物(3.49g、和光純薬製)と硝酸鉄(III)九水和物(1.79g、和光純薬製)を蒸留水25mlに溶解させ、室温で約1時間攪拌した。作製した金属硝酸塩水溶液を、0.155Mの炭酸ナトリウム水溶液200mlに、室温で攪拌しながら滴下し、60℃で約6時間攪拌を行った。攪拌終了後、遠心分離することで茶色ゲルを回収し、蒸留水による洗浄処理と遠心分離を、上澄みのpHが7程度になるまで繰り返し、エタノールで洗浄、80℃で4時間乾燥させることにより、茶色粉末(CoFe−LDH、Co2+:Fe3+=2:1)を得た。
Fe3+イオンを含む層状複水酸化物は、以下の手順により合成した。
硝酸コバルト(II)六水和物(3.49g、和光純薬製)と硝酸鉄(III)九水和物(1.79g、和光純薬製)を蒸留水25mlに溶解させ、室温で約1時間攪拌した。作製した金属硝酸塩水溶液を、0.155Mの炭酸ナトリウム水溶液200mlに、室温で攪拌しながら滴下し、60℃で約6時間攪拌を行った。攪拌終了後、遠心分離することで茶色ゲルを回収し、蒸留水による洗浄処理と遠心分離を、上澄みのpHが7程度になるまで繰り返し、エタノールで洗浄、80℃で4時間乾燥させることにより、茶色粉末(CoFe−LDH、Co2+:Fe3+=2:1)を得た。
X線回折測定装置(パナリティカル製“Xpert Pro”、X線源:CuKα、波長:1.54オングストローム、印加電圧:45kV)により、作製したCoFe−LDHの結晶構造の同定を行った。層状複水酸化物に帰属されるピークが得られ、層状複水酸化物が単相で得られたことを示した。
次に、日立製作所製“S−800”を用いて走査型電子顕微鏡による構造観察を行ったところ、CoFe−LDHは明瞭な六角板状形態を有する板状粒子であることが確認できた。また、これらの板状粒子の平均板面径は約250nmであり、平均板厚は約15nmであった。
Fe 3+ イオンを含む層状複水酸化物の磁気特性
Fe3+イオンを含む層状複水酸化物(CoFe−LDH)の磁気特性を、振動試料型磁力計(玉川製作所製、“TM−VSM311483−HGC型”)にて測定した。測定試料として、上記で得られたCoFe−LDH粉末を一軸成形プレス機により、200KPaで30分プレスして作製した円盤状ペレット(直径10mm、厚み2mm)を用いた。作製したペレットのX線回折測定をしたところ、ペレット板面に対し、CoFe−LDHがC軸配向した結晶異方性を有していた。
Fe3+イオンを含む層状複水酸化物(CoFe−LDH)の磁気特性を、振動試料型磁力計(玉川製作所製、“TM−VSM311483−HGC型”)にて測定した。測定試料として、上記で得られたCoFe−LDH粉末を一軸成形プレス機により、200KPaで30分プレスして作製した円盤状ペレット(直径10mm、厚み2mm)を用いた。作製したペレットのX線回折測定をしたところ、ペレット板面に対し、CoFe−LDHがC軸配向した結晶異方性を有していた。
磁気ヒステリシスの測定方法として、振動試料方磁力計を用いて、円盤状ペレットサンプルに対し、常温(23℃)において、7.7Oe/秒の走査速度にて、0Oeから31000Oeまで連続的に磁界を増加させ、磁界が31000Oeに達した後、続いて−31000Oeまで磁界を減少させ、−31000Oeに達した後、更に0Oeまで磁場を増加させることで観測される磁気ヒステリシスループ(B−H曲線)の、サンプルの磁化が0となるゼロクロス点における磁界の大きさを保磁力として求めた。
磁気ヒステリシス測定評価の結果として、ペレット板面に垂直方向に磁界をかけた時の保磁力は1.52Oe、平行に磁界をかけた時に1.27Oeであった。よって、どちらの方向に磁界をかけた場合にも、CoFe−LDHは、非常に低い保磁力を有することが分かった。
Fe 3+ イオンを含む層状複水酸化物を含む成型体の作製
まず溶媒として、α―テルピネオール(関東化学製)と2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール(和光純薬製)、有機樹脂として、エチルセルロース(東京化成製)を、重量比率で65:20:15で混合することにより、有機ビヒクルを作製した。この有機ビヒクル 1gに、CoFe−LDH 1gとα―テルピネオール 1gを、乳鉢にて徐々に添加することで混練して、CoFe−LDH分散コーティングぺーストを作製した。このCoFe−LDH分散コーティングぺーストを、ソーダライムガラス基板(厚み1.1mm)上にテープ成型法により、テープ厚約0.4mmで製膜した。更に、60℃で2時間乾燥することにより、CoFe−LDH―有機樹脂複合膜(膜厚約0.2mm)を作製した。
まず溶媒として、α―テルピネオール(関東化学製)と2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール(和光純薬製)、有機樹脂として、エチルセルロース(東京化成製)を、重量比率で65:20:15で混合することにより、有機ビヒクルを作製した。この有機ビヒクル 1gに、CoFe−LDH 1gとα―テルピネオール 1gを、乳鉢にて徐々に添加することで混練して、CoFe−LDH分散コーティングぺーストを作製した。このCoFe−LDH分散コーティングぺーストを、ソーダライムガラス基板(厚み1.1mm)上にテープ成型法により、テープ厚約0.4mmで製膜した。更に、60℃で2時間乾燥することにより、CoFe−LDH―有機樹脂複合膜(膜厚約0.2mm)を作製した。
この複合膜の全光線透過率を、BYKガードナー社製“Haze−gard plus”を用いて測定した結果、この厚膜付きガラスの全光線透過率は42であり、非常に高い光透過性を有していた。また、この基材上に形成された複合膜を基板から剥離し、自立膜シート形状とすることも可能であった。
Claims (17)
- Fe3+イオンを含む層状複水酸化物からなる軟磁性材料であって、前記層状複水酸化物はブルーサイト型の結晶構造を有し、結晶格子中の2価金属イオンの一部が、少なくともFe3+イオンで置換された層状構造を有することを特徴とする軟磁性材料。
- 前記層状複水酸化物が、Fe3+イオンを含み、且つ、
2価金属イオンとして、Mg2+、Ca2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Sr2+、Cd2+から選ばれる少なくとも1種を含み、
更に3価金属イオンとして、Al3+、Ga3+、Mn3+、In3+、Co3+、Y3+、Ce3+、La3+から選ばれる少なくとも1種を含んでなることを特徴とする、
請求項1記載の軟磁性材料。 - 前記Fe3+イオンを含む層状複水酸化物からなる軟磁性材料の保磁力が、10Oe以下であることを特徴とする、請求項1〜2記載の軟磁性材料。
- 前記Fe3+イオンを含む層状複水酸化物が、板状形態を有する粒子であることを特徴とする、請求項1〜3記載の軟磁性材料。
- 前記層状複水酸化物の平均板面径が、50nm以上1000nm以下であることを特徴とする、請求項1〜4記載の軟磁性材料。
- 前記層状複水酸化物の平均板厚が、5nm以上100nm以下であることを特徴とする、請求項1〜5記載の軟磁性材料。
- 前記層状複水酸化物の、(平均板径/平均板厚)で表される平均アスペクト比が、1以上100以下であることを特徴とする、請求項1〜6記載の軟磁性材料。
- 請求項1〜7記載の軟磁性材料を含有することを特徴とする、電磁波シールド材。
- 光透過性を有することを特徴とする、請求項8記載の電磁波シールド材。
- 有機樹脂を含有することを特徴とする、請求項8〜9記載の電磁波シールド材。
- 基材上に固定化された膜形態を有することを特徴とする、請求項8〜10記載の電磁波シールド材。
- 自立性シート形態を有する請求項8〜10記載の電磁波シールド材。
- バルク成型体であることを特徴とする、請求項8〜10記載の電磁波シールド材。
- 請求項1〜7の軟磁性材料を含むことを特徴とするコーティング剤。
- 有機樹脂を含むことを特徴とする、請求項14記載のコーティング剤。
- 請求項14〜15記載のコーティング剤を基材に塗布してなることを特徴とする、電磁波シールド性コーティング膜。
- 光透過性を有することを特徴とする、請求項16記載の電磁波シールド性コーティング膜。
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Cited By (2)
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US10037839B2 (en) | 2013-12-03 | 2018-07-31 | Kyowa Chemical Industry Co., Ltd. | Magnetic hydrotalcite composite and production method thereof |
CN109437115A (zh) * | 2017-08-30 | 2019-03-08 | 上海沪正实业有限公司 | 一种无机红外阻隔颜料及其制备方法 |
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2008
- 2008-06-02 JP JP2008144412A patent/JP2009290176A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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