JP2009286204A - Pneumatic tire, sipe formation blade, and manufacturing method for pneumatic tire - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、空気入りタイヤに関するもので、特に、ブロックパターンを有する空気入りタイヤのウェット性能及び制動性能の向上に関する。 The present invention relates to a pneumatic tire, and more particularly to improvement of wet performance and braking performance of a pneumatic tire having a block pattern.
従来、ブロックパターンを有する空気入りタイヤにおいて、氷路などの低μ路を走行する際のタイヤのグリップ性能を向上させるため、ブロックにタイヤ幅方向に沿って延長する幅方向サイプを形成する方法が提案されている。
上記幅方向サイプの代表的なパターンとしては、図10(a)に示すような、ブロック51のタイヤ幅方向に平行な方向に延長して上記ブロック51の幅方向端部に両端が開口する幅方向サイプ52を上記トレッドブロック51の周方向に複数個形成したものが知られている。上記幅方向サイプ52は深さ方向にはストレートな形状で、一般に2次元サイプと呼ばれている。このような2次元サイプとしては、上記幅方向サイプ52のような、タイヤ踏面側から見た時のサイプ形状が直線状であるストレートサイプが一般的である。図10(b)は、上記幅方向サイプ52が形成されたブロック51を備えたタイヤ50が氷表面Sを滑っている時のブロック51の状態をタイヤ幅方向から見た図で、上記幅方向サイプ52は、氷表面Sに発生する水膜を吸い上げて除去して上記氷表面Sを露出させるという排水効果と、幅方向サイプ52のエッジ52kが上記氷表面Sを引掻き掘り起こすエッジ効果という2つの働きを持つ。しかし、一方では、幅方向サイプ52を入れたために上記ブロック51の倒れこみ変形が生じて接地面積が減少し、その結果、接地効果が低減してタイヤの滑りが増加してしまうといった問題点がある。
Conventionally, in a pneumatic tire having a block pattern, in order to improve the grip performance of the tire when traveling on a low μ road such as an icy road, there is a method of forming a widthwise sipe extending along the tire width direction on the block. Proposed.
As a typical pattern of the width direction sipe, as shown in FIG. 10A, a width that extends in a direction parallel to the tire width direction of the block 51 and opens at both ends in the width direction end of the block 51. A plurality of
一方、上記ブロックの倒れこみ変形を抑制するため、図11(a)に示すように、ブロック61に、深さ方向にも形状が変化する、いわゆる、3次元サイプ62を形成する方法が提案されている。図11(b)は、上記3次元サイプ62が形成されたブロック61を備えたタイヤ60が氷表面Sを滑っている時のブロック61の状態を示す図で、同図に示すように、このタイヤ60では、上記3次元サイプ62の壁面62a,62bが接触し合うことで、ブロック剛性が向上するので、上記の倒れこみ変形を抑制して接地面積を増大させることができる。しかし、上記壁面62a,62b同士が接触するため、低μ路、特に、厚い水膜条件においては、排水性能が低下してしまうといった問題点があった。
そこで、図12(a),(b)に示すような、サイプの形態としては2次元サイプを採用するとともに、サイプ72の一方の壁面72aに、接触時に他方の壁面72bに接触する複数の突起73を設けたブロック71を備えた空気入りタイヤ70が提案されている。このタイヤ70のように、サイプ72が2次元サイプであっても、上記サイプ72の壁面72aに突起73を設けることにより、接触時には一方の壁面72aに設けた突起73が他方の壁面72bに接触してブロック剛性を高めることができるので、ブロック71の倒れこみ変形を抑制して接地面積を増大させることができる。また、上記突起73により上記壁面72a,72b同士が直接接触することを防止することができるので、排水性能を確保することができる(例えば、特許文献1参照)。
Therefore, as shown in FIGS. 12A and 12B, a two-dimensional sipe is adopted as the form of the sipe, and a plurality of protrusions that contact one
しかしながら、上記突起73はその先端が他方の壁面72bから離れているか、高さが最大である場合でも、上記壁面72bに単に接しているだけなので、入力する前後力が小さい場合には、上記突起73を設けた効果が小さく、ブロック71の倒れこみ変形の抑制効果が十分とはいえなかった。
However, the
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、排水性能を確保するとともに、入力する前後力が小さい場合でも、ブロックの倒れこみ変形を効果的に抑制して、低μ路路面における車両の走行安定性能を向上させることのできる空気入りタイヤとその製造方法を提供することを目的とする。 The present invention has been made in view of the conventional problems, and while ensuring drainage performance, even when the input front-rear force is small, it effectively suppresses the collapse of the block and can be used on a low μ road surface. An object of the present invention is to provide a pneumatic tire capable of improving the running stability performance of a vehicle and a method for manufacturing the same.
本願の請求項1に記載の発明は、タイヤのトレッド表面にタイヤの周方向に沿って延びるように設けられた複数本の主溝(周方向溝)と、タイヤのトレッド表面にタイヤの幅方向に沿って延びるように設けられた複数本の副溝(横溝)と、上記主溝と上記副溝とにより区画された複数のブロックとを備えた空気入りタイヤであって、上記ブロックには、タイヤ幅方向に延長するサイプが形成されており、上記サイプの一方の壁面には、上記一方の壁面に対向する他方の壁面に向かって突出して、上記他方の壁面によりタイヤ周方向に圧縮された状態で上記他方の壁面に接触する、自由長が上記サイプの幅よりも長い圧縮突起を備えていることを特徴とする。ここで、「サイプの壁面」は、図2に示すように、ブロック20がサイプ21(21a,21b)によってタイヤ周方向に並んだ複数の小ブロック22(22a〜22c)に分割されたときの、互いに隣接する小ブロック22の当該サイプ21に面している側面を指す。例えば、サイプ21aの側面21mは小ブロック22aのサイプ21a側の側面であり、側面21nは小ブロック22bのサイプ21a側の側面である。なお、同図において、符号21tは上記サイプ21の底面である。また、「自由長」は、図3に示すように、サイプ21aの壁面21mから突出している圧縮突起21pを当該サイプ21aの底部21t方向に押し込んで、今まで接触していたサイプ21aの他方の壁面21nから離した状態、すなわち、圧縮突起21pに作用する圧縮力を開放した状態での圧縮突起21pの長さL0をいう。
これにより、当該タイヤが低μ路路面を滑るときに上記圧縮突起が「つっかえ棒」となるので、ブロック剛性を向上させることができ、ブロックの倒れこみ変形を効果的に抑制することができる。また、上記圧縮突起があると小ブロック同士は接触しないので、サイプの排水路としての機能を確保することができる。すなわち、排水性能を確保しつつ、制駆動時(前後方向入力時)における接地面積の減少を抑制することができるので、タイヤの低μ路路面での摩擦力を大きくして車両の走行安定性能を向上させることができる。更に、上記圧縮突起は、前後力が入力していない状態でも、上記他方の壁面により圧縮力を受けた状態で上記他方の壁面に接触しているので、前後力入力時のブロック剛性を確実に高めることができるとともに、入力する前後力が小さい場合でも、ブロックの倒れこみ変形を効果的に抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤであって、上記サイプは、上記他方の壁面から上記一方の壁面に向かって突出し、上記圧縮突起の当該サイプの底部側の面と当接する補助突起を更に備えていることを特徴とする。このように、上記圧縮突起に加えて、この圧縮突起のブロック表面側の面と当接する補助突起を設けるようにすれば、上記補助突起がストッパとして機能するので、上記圧縮突起がサイプの底部側に移動することがないので、上記圧縮突起の上記他方の壁面との接触位置を安定させることができるだけでなく、上記圧縮突起にタイヤ周方向の圧縮力を安定にかつ確実に与えることができる。また、これにより、上記圧縮突起の変形を抑制できるので、ブロックの倒れこみ変形を更に抑制することができる。
The invention according to
Thereby, when the tire slides on a low μ road surface, the compression protrusion becomes a “stick rod”, so that the block rigidity can be improved and the collapse of the block can be effectively suppressed. Moreover, since the small blocks do not contact each other when the compression protrusion is present, the function of the sipe drainage channel can be ensured. In other words, it is possible to suppress the reduction of the ground contact area during braking / driving (input in the front-rear direction) while ensuring the drainage performance, so the frictional force on the low μ road surface of the tire is increased to improve the running stability performance of the vehicle. Can be improved. Further, the compression projection is in contact with the other wall surface in a state where the compression force is received by the other wall surface even when no longitudinal force is input, so that the block rigidity when the longitudinal force is input is ensured. While being able to increase, even if the input front-rear force is small, the block collapse deformation can be effectively suppressed.
Invention of
また、請求項3に記載の発明は、加硫金型に設けられたブロックを形成するための溝に設置される、上記ブロックの踏面にタイヤ幅方向に延長する幅方向サイプを形成するためのブレードであって、板面の厚さ方向にタイヤ幅方向に延長する切り込みが形成されており、上記切り込みは、当該ブレードが上記溝に設置されたときに、上記溝の底部方向に向かって斜め方向に延長し、かつ、その長さが上記サイプの幅よりも長いことを特徴とする。サイプ形成用のブレードとして、このような切り込み(以下、斜め切り込みという)が形成されたブレードを用いれば、タイヤを加硫処理した後、上記ブレードを上記加硫処理されたタイヤから引き抜いたときに、上記斜め切り込みに収納され一端が当該サイプの一方の壁面に一体化されているゴム部材が変形させられて、上記請求項1に記載の圧縮突起のような、一方の壁面に対向する他方の壁面に向かって突出し、かつ、他方の壁面により圧縮力を受けた状態で上記他方の壁面に接触するような突起を有するサイプを容易に形成することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のサイプ形成用ブレードにおいて、上記ブレードの斜め切り込みが設けられている面と上記斜め切り込みの延長方向との成す角α1が45°≦α1<90°の範囲にあり、かつ、上記ブレードの厚さをW、上記斜め切り込みの長さの当該ブレードの厚さ方向の成分をL1としたときに、上記L1がL1<W<L1/sinαの関係を満たす範囲にあるようにすることにより、タイヤのブロックに、上記請求項1に記載の圧縮突起のような突起を確実に形成することができる。なお、図8(a)あるいは図9(a)に示すような、ブレード30A,30Bのように、断面形状が折れ線状である場合には、ブレード30A,30Bの板面30sに垂直な方向の厚さDを当該ブレード30A,30Bの厚さとする。また、厚さ方向についても、図8(a),図9(a)の矢印で示す、上記板面30sに垂直な方向とする。
According to a third aspect of the present invention, there is provided a sipe for forming a width direction sipe extending in a tire width direction on a tread surface of the block, which is installed in a groove for forming a block provided in a vulcanization mold. The blade is formed with an incision extending in the tire width direction in the thickness direction of the plate surface, and the incision is inclined toward the bottom of the groove when the blade is installed in the groove. It extends in the direction, and its length is longer than the width of the sipe. When a blade with such a cut (hereinafter referred to as a diagonal cut) is used as a sipe forming blade, after the tire is vulcanized, the blade is pulled out from the vulcanized tire. A rubber member housed in the oblique notch and having one end integrated with one wall surface of the sipe is deformed, and the other member facing the one wall surface, such as the compression protrusion according to
According to a fourth aspect of the present invention, in the sipe forming blade according to the third aspect, an angle α1 formed by a surface of the blade where the oblique cut is provided and an extension direction of the oblique cut is 45 ° ≦ α1 <. When the thickness of the blade is W and the component in the thickness direction of the blade in the thickness direction of the blade is L1, the L1 is L1 <W <L1 / sinα. By making it in the range satisfying the relationship, a projection such as the compression projection according to
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のサイプ形成用ブレードであって、上記ブレードの上記斜め切り込みとは反対側には、当該ブレードの板面に直交する第2の切り込みが形成されていることを特徴とする。これにより、タイヤのブロックに、上記請求項2に記載の補助突起のような突起を確実に形成することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のサイプ形成用ブレードであって、上記第2の切り込みの長さをL2とした時に、上記L2を、L1+L2≦Wの関係を満たす範囲とすれば、タイヤのブロックに、圧縮突起と補助突起とを確実に形成することができる。
A fifth aspect of the invention is the sipe forming blade according to the fourth aspect of the invention, wherein a second notch perpendicular to the plate surface of the blade is formed on the opposite side of the blade from the oblique notch. It is characterized by being. Thereby, protrusions such as the auxiliary protrusions according to
The invention according to
また、請求項7に記載の発明は、ブロックパターンを有する空気入りタイヤの製造方法であって、上記請求項3〜請求項6のいずれかに記載のサイプ形成用ブレードを、トレッド表面にブロックを形成するための溝を備えた加硫金型の上記溝の底部に配置して上記タイヤを加硫処理した後、上記ブレードを上記加硫処理されたタイヤから引き抜いて、上記タイヤのトレッド面に幅方向サイプが形成された複数のブロックを形成するとともに、上記サイプの一方の壁面に、上記圧縮突起、もしくは、上記圧縮突起と補助突起とを形成するようにしたことを特徴とする。これにより、排水性能を確保するとともに、低μ路路面における車両の走行安定性能を向上させることのできる空気入りタイヤを容易に製造することができる。
The invention according to
以下、本発明の最良の形態について、図面に基づき説明する。
図1は本発明の最良の形態に係る空気入りタイヤ10のトレッドパターンの展開図で、図2は本発明によるサイプが形成されたブロック20の部分断面斜視図である。各図において、11はトレッド、12は上記トレッド11の踏面側にタイヤ周方向に沿って延びるように設けられた周方向溝(主溝)、13はタイヤ幅方向に沿って延びる横溝(副溝)、20は上記周方向溝12と上記横溝13とにより区画された矩形状のブロックである。なお、同図の一点鎖線で示すCLは車輪中心線である。
ブロック20の表面には、タイヤ幅方向に平行な方向に延長する2本のサイプ21(21a,21b)が形成されており、上記ブロック20のタイヤ踏面側は、上記サイプ21によりタイヤ周方向に並んだ3つの小ブロック22(22a〜22c)に分割される。
上記サイプ21は深さ方向にはストレートな形状を有する2次元サイプで、上記サイプ21の一方の壁面21mには、上記壁面21mに対向する壁面21nに向かって突出する圧縮突起21pを備えている。
Hereinafter, the best mode of the present invention will be described with reference to the drawings.
FIG. 1 is a development view of a tread pattern of a
Two sipes 21 (21a, 21b) extending in a direction parallel to the tire width direction are formed on the surface of the
The
上記突起21pは、詳細には、図3(a)にも示すように、一端21uが上記壁面21mに一体化された、タイヤ幅方向に延長する片持ち梁構造の突起で、その自由端である他端21vは上記壁面21nにより拘束されている。すなわち、上記突起21pは、ブロック20に前後力が入力していない状態でも、上記壁面21nによりタイヤ周方向に圧縮された状態で上記壁面21nに接触している。以下、上記突起21pを圧縮突起という。
図4は、上記圧縮突起21pを有するサイプ21a,21bが形成されたブロック20を備えたタイヤが低μ路路面を滑っている時の上記ブロック20の状態をタイヤ幅方向から見た図である。上記圧縮突起21pはブロック20に前後力が入力していない状態でもタイヤ周方向に圧縮されているが、上記ブロック20へ前後力が入力した場合には、上記サイプ21a,21bにより区切られた小ブロック22a〜22cは上記圧縮突起21pに更に圧縮力を作用させることになる。したがって、前後力入力時に上記圧縮突起21pが上記小ブロック22a〜22cに及ぼす反力(弾性反発力)は、上記図12に示した従来例の突起73のような、前後力が入力していない状態で上記壁面72bから離れていたり、単に上記壁面72bに接触している突起の上記壁面72bに及ぼす反力よりも大きくなる。すなわち、前後力入力時のブロック剛性を更に高めることができる。したがって、上記ブロック20の倒れこみ変形を効果的に抑制して接地面積の減少を小さくすることができるので、低μ路路面における摩擦力を向上させることができる。また、上記圧縮突起21pにより、当該サイプ21の互いに対向する壁面21mと壁面21nが接触することがないので、十分な排水路を確保することができる。
Specifically, as shown in FIG. 3A, the
FIG. 4 is a view of a state of the
ここで、上記圧縮突起21pを上記壁面21nによる拘束から解放した場合を考える。例えば、図3(b)に示すように、上記圧縮突起21pを当該サイプ21の底部21t方向に力を作用させて上記壁面21nから離してやれば、上記圧縮突起21pに作用していた圧縮力がなくなる。このとき、上記圧縮突起21pの他端21vは上記壁面21nから離れて上記サイプ21の底部21t方向に移動して停止する。この状態で、上記圧縮突起21pは、上記壁面21mから当該サイプ21の底部21t方向に、当該サイプ21の壁面21mに対して角度α1で斜めに突出する突起となる。上記圧縮突起21pの拘束から解放されたときの長さ(自由長)L0は、当然のことながら、当該サイプ21の幅Wよりも長く、かつ、上記第1のサイプ21の長さのサイプ幅方向の成分L1は上記当該サイプ21の幅Wよりも短い。上記L1は、上記自由長L0とL1=L0sinα1の関係にあるので、上記圧縮突起21pの他端21vが上記壁面21nによりタイヤ周方向に圧縮された状態で上記壁面21nに接触しているためには、上記L1は、L1<W<L1/sinα1で示す関係を満たす範囲にある必要がある。
また、上記α1が90°以上になると、上記圧縮突起21pはタイヤ周方向に圧縮された状態にはならないので、上記α1は90°未満とする必要がある。更には、上記α1が小さいと、上記圧縮突起21pがタイヤ周方向に圧縮された状態にするために、上記自由端L0を長くしなければならなくなるだけでなく、上記壁面21nに接触したときの上記圧縮突起21pの曲りが大きくなるので、ブロック20の倒れこみ変形を十分に抑制することが困難となる。発明者が検討したところ、上記α1の下限値としては45°が適当であることがわかった。
したがって、上記圧縮突起21pを有するサイプ21を形成するためには、上記の条件を満たすように、サイプ形成用のブレードを設計する必要がある。
Here, consider the case where the
Further, when the α1 is 90 ° or more, the
Therefore, in order to form the
次に、上記圧縮突起21pを備えたサイプ21を形成するブレードについて説明する。
図5(a),(b)は、ブロック20に上記サイプ21を形成するためのブレード30の形状を示す斜視図と要部断面図で、このブレード30は、金属薄板から成り、図示しない加硫金型の内側の面に配置されたときに、互いに平行な板面30a,30bがタイヤ周方向に直交するように配置される。符号30c,30dは上記ブレード30の高さ方向(ブレード設置面に垂直な方向)の側面で、図5(c)に示すように、側面30d側が加硫金型40の骨部(図1に示した周方向溝12及び横溝13を形成するための突起部)41で囲まれた、トレッド11にブロック20を形成するための溝部42の底部42cに取付けられる。以下、上記側面30cを上面、上記側面30dを下面といい、上面30c側を当該ブレード30の上側、下面30d側を下側という。また、符号30kで示す側面を単に側面という。
上記板面30aには、上記側面30kに直交する方向(加硫金型内に設置した場合に、タイヤ幅方向に平行な方向)に延長する切り込み30pが形成されている。この切り込み30pは、上記板面30aの表面から厚さ方向に対して斜め上方に傾いている。以下、この切り込み30pを斜め切り込みという。
ここで、ブレード30の厚さをW、上記斜め切り込み30pの切り込み深さ(斜め切り込み30pの延長方向の長さL0のブレード厚さ方向成分)をL1とし、上記斜め切り込み30pと上記板面30aとの成す角をα1とすると、L1=L0sinα1である。
このブレード30は、上記圧縮突起21pを形成するためのものであるので、上記L0を当該ブレード30の厚さWよりも厚くするとともに、上記L1を当該ブレード30の厚さWよりも短くしている。すなわち、上記L0と上記L1とを、L1<W<L1/sinα1で示す関係を満たすように設定する。また、上記α1の範囲についても、上述した上記圧縮突起21pの条件と同じく、45°≦α1<90°とすることが好ましい。
Next, a blade forming the
FIGS. 5A and 5B are a perspective view and a cross-sectional view showing the shape of the
The
Here, the thickness of the
Since the
図1に示した本例の空気入りタイヤ10を製造する際には、図5(c)に示すように、上記ブレード30を上記加硫金型40の溝部42の底部42cに配置する。ブレード30の配置方法としては、例えば、上記ブレード30の下面30d側を、上記底部42cに形成した、タイヤ幅方向に延長するブレード植込み溝42dに植え込むようにすればよい。そして、この加硫金型40を用いて図示しない生タイヤを加硫処理する。その後、上記ブレード30を上記加硫処理されたタイヤから引き抜けば、上記圧縮突起21pを有するサイプ21が形成されたブロック20を備えた空気入りタイヤ10を得ることができる。
図6(a)〜(c)は、引き抜き時における圧縮突起21pの変形状態を模式的に示した図で、加硫時には、図6(a)に示すように、ブレード30の周囲及び上記斜め切り込み30pは未加硫のトレッドゴム23で満たされている。加硫が完了すると、加硫処理により多数のブロック20が形成されたタイヤが上記加硫金型40から取り出されるが、このとき、上記ブレード30も同時に上記ブロック20から引き抜かれる。上記圧縮突起21pは、上記斜め切り込み30pに侵入したトレッドゴム23により構成されるので弾性を有している。したがって、図6(b)に示すように、ブレード30の引き抜き時には、上記ブロック20の他端21vは、当該圧縮突起21pと一体になっている壁面21mに押し付けられる。図6(c)に示すように、上記ブレード30が完全にブロック20から引き抜かれると、上記圧縮突起21pは加硫完了時の状態、すなわち、同図の破線で示す、当該サイプ21の上記壁面21mから底部21t方向に傾いて突出した状態に戻ろうとする。しかし、上記のように、上記斜め切り込み30pの長さL0は当該ブレード30の幅よりも大きくなるように形成されているので、上記圧縮突起21pの自然長は当該サイプ21の幅よりも長い。このため、上記圧縮突起21pはその他端21vが他方の壁面21nに拘束された状態、すなわち、上記他方の壁面21nによりタイヤ周方向に圧縮された状態で上記他方の壁面21nに接触する。
このように、上記図5に示したブレード30を用いることにより、上記図1に示した圧縮突起21pを有するサイプ21が形成されたブロック20を得ることができる。
When the
6 (a) to 6 (c) are diagrams schematically showing a deformation state of the
Thus, by using the
ところで、上記のように、ブレード30の引き抜きにより上記圧縮突起21pを他方の壁面21nに接触させた場合には、上記圧縮突起21pの接触位置にばらつきが生じる恐れがある。そこで、図7(a),(b)に示すように、上記圧縮突起21pに加えて、上記圧縮突起21pの当該サイプ21の底部21t側の面と当接する補助突起21qを設けて、上記圧縮突起21pの底部21t側の面の位置を規制するようにすれば、上記補助突起21qが、上記圧縮突起21pが当該サイプ21の底部21t側へ移動する際のストッパとして機能するので、上記圧縮突起21pの接触位置を安定させることができる。また、これにより、上記圧縮突起21pに作用するタイヤ周方向の圧縮力の大きさのばらつきも少なくすることができるとともに、ブロック20に前後力が入力したときの、上記圧縮突起21pのサイプ21の底部21t側への変形を抑制できるので、ブロックの倒れこみ変形を更に効果的に抑制することができる。
この補助突起21qは、上記圧縮突起21pが設けられている壁面21mとは反対側の壁面から上記壁面21m方向に突出する突起で、当該壁面21nに対して垂直(図7(b)の角度α2が90°)に突出して、上記圧縮突起21pをブロック20の表面20s側から支持する。この補助突起21qの長さL2としては、当該サイプ21の幅W及び上記圧縮突起21pの自由長のサイプ幅方向の長さ成分L1と、L1+L2≦Wなる関係を満たすように形成することが好ましい。これは、L1+L2の値がWを超えると、上記圧縮突起21pが引き抜きにくくなるからである。
また、上記圧縮突起21pと補助突起21qとを有するサイプ21を形成するためには、図7(c)に示すように、上記斜め切り込み30pが形成された板面30aとは反対側の板面30bに、上記板面30bの表面に対して直交するように切り込まれた第2の切り込み30qを設ければよい。この場合も、上記斜め切り込み30pの切り込み深さをL1とし、上記第2の切り込み30qの切り込み深さをL2とすると、L1+L2≦Wなる関係を満たすように上記第2の切り込み30qを形成する。
By the way, as described above, when the
The auxiliary protrusion 21q is a protrusion protruding in the direction of the
Further, in order to form the
このように、本最良の形態によれば、金属薄板の厚さ方向に延長し厚さ方向に対して傾いて切り込まれた斜め切り込み30pが設けられたブレード30を、溝部42の底部42cに、上記斜め切り込み30pの切り込み方向が上記底部42cを下側としたときに、斜め上方になるように、かつ、上記斜め切り込み30pの延長方向がタイヤ幅方向に平行な方向になるように設置した加硫金型40を用いてタイヤを加硫処理することにより、一端21uがサイプ21の壁面21mに一体化され、他端21vが当該サイプ21の上記壁面21mに対抗する壁面21nによりタイヤ周方向に圧縮された状態で上記壁面21nに接触する圧縮突起21pを有するサイプ21が設けられたブロック20を備えた空気入りタイヤ10を製造するようにしたので、排水性能に優れるとともに、ブロック20の倒れこみ変形を効果的に抑制して、低μ路路面における車両の走行安定性能を向上させることができる空気入りタイヤ10を得ることができる。
また、上記斜め切り込み30pとブレード30の上記板面30aとの成す角をα1とし、ブレード30の厚さをWとし、切り込み30pの切り込み深さをL1としたとき、上記L1をL1<W<L1/sinα1の範囲とし、上記α1を45°≦α1<90°とすれば、上記サイプ21の壁面21mから突出し、他方の壁面21nによりタイヤ周方向に圧縮された状態で上記他方の壁面21nに接触する圧縮突起21pを確実に設けることができる。
また、上記圧縮突起21pが設けられている壁面21mとは反対側の壁面から上記壁面21m方向に突出する補助突起21qを設けて、上記圧縮突起21pのサイプ底部21t側の面の位置を規制するようにすれば、上記圧縮突起21pの接触位置を安定させることができるので、ブロックの倒れこみ変形を更に効果的に抑制することができる。
As described above, according to the best mode, the
Further, when the angle formed by the oblique cut 30p and the
Further, an auxiliary projection 21q that projects in the direction of the
なお、上記最良の形態ではサイプ21を深さ方向にはストレートな形状を有する2次元サイプとしたが、図8(a)に示すような断面形状が折れ線状で、かつ、板面30sに垂直な方向に、上記斜め切り込み30pと同様の斜め切り込み30Pが設けられたブレード30Aを用いれば、図8(b)に示すような、圧縮突起21Pを有する3次元サイプ21Aが形成されたブロック20Aを備えた空気入りタイヤを製造することができる。
また、図9(a)に示すように、上記斜め切り込み30Pに加えて、上記第2の切り込み30qと同様の第2の切り込み30Qが設けられたブレード30Bを用いれば、図9(b)に示すような、圧縮突起21Pと補助突起21Qとを有する3次元サイプ21Bが形成されたブロック20Bを備えた空気入りタイヤを製造することができる。
なお、このように、ブレード30A,30Bのように断面形状が折れ線状である場合、ブレード30A、30Bの厚さは、当該ブレード30A、30Bの板面30sに垂直な方向の厚さDを指し、タイヤ幅方向と平行な方向となる、上記ブレード30A、30Bの側面30Kに垂直な方向が、上記板面30sの延長方向を指すものとする。また、上記ブレード30Aもブレード30Bも、図5に示したブレード30と同様に、図8(a),図9(a)の符号30Dに示したブレードの下面30D側が図示しない加硫金型に設けられた溝部の底部に植え込まれる。
また、上記例では、上記サイプ21の数を2本としたが、サイプの数はこれに限るものではなく、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
In the best mode, the
Further, as shown in FIG. 9A, if a
In this way, when the cross-sectional shape is a polygonal line like the
In the above example, the number of the
本発明の効果を確かめるため、図10(a)に示した従来の2次元サイプが形成されたブロックを有するタイヤ(従来例1のタイヤ)と、図11(a)に示した従来の3次元サイプが形成されたブロックを有するタイヤ(従来例2のタイヤ)と、本発明による突起を備えたサイプが形成されたブロックを有するタイヤ(本発明1,2のタイヤ)とを準備し、これらのタイヤをそれぞれ試験車両に装着し、氷路にて制動試験を行い、各タイヤの氷上性能を比較した。その結果を以下の表1に示す。なお、本発明1のサイプは、図8(b)に示した圧縮突起21Pのみを有する3次元サイプで、本発明2のサイプは、図9(b)に示した圧縮突起21Pと補助突起21Qとを有するサイプである。また、試験に用いたタイヤのサイズは195/65R15で、タイヤ内圧は200kPaである。
走行試験は初速40km/hからブレーキをかけて車両が静止状態になるまでの制動距離を計測した。そして、制動距離と初速度とから平均減速度を算出し、この平均減速度の大きさを、従来例1のタイヤの平均減速度の大きさを100とした指数で表し、氷上性能を評価した。指数の大きい方が氷上性能に優れている。
In the running test, the braking distance from the initial speed of 40 km / h until the vehicle was brought into a stationary state by applying a brake was measured. Then, the average deceleration was calculated from the braking distance and the initial speed, and the magnitude of the average deceleration was expressed by an index with the average deceleration magnitude of the tire of Conventional Example 1 being 100, and the performance on ice was evaluated. . The higher the index, the better the performance on ice.
このように、本発明によれば、排水性能を確保するとともに、入力する前後力が小さい場合でも、ブロックの倒れこみ変形を効果的に抑制できるので、低μ路路面における車両の走行安定性能を向上させることができる。 As described above, according to the present invention, the drainage performance is ensured, and even when the input front-rear force is small, the collapse of the block can be effectively suppressed, so that the running stability performance of the vehicle on the low μ road surface can be improved. Can be improved.
10 空気入りタイヤ、11 トレッド、12 周方向溝、13 横溝、
20 ブロック、21,21a,21b サイプ、21m,21n サイプの壁面、
21p 圧縮突起、21q 補助突起、21t サイプの底部、
21u 突起の一端(固定端)、21v 突起の他端(自由端)、
22a〜22c 小ブロック、30 ブレード、30a,30b 板面、
30p 斜め切り込み、30q 第2の切り込み、40 加硫金型、41 骨部、
42 溝部。
10 pneumatic tires, 11 treads, 12 circumferential grooves, 13 transverse grooves,
20 blocks, 21, 21a, 21b sipe, 21m, 21n sipe wall,
21p compression protrusion, 21q auxiliary protrusion, 21t bottom of sipe,
21u one end of the protrusion (fixed end), 21v the other end of the protrusion (free end),
22a-22c small block, 30 blades, 30a, 30b plate surface,
30p diagonal cut, 30q second cut, 40 vulcanization mold, 41 bone,
42 Groove.
Claims (7)
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JP2008139023A JP2009286204A (en) | 2008-05-28 | 2008-05-28 | Pneumatic tire, sipe formation blade, and manufacturing method for pneumatic tire |
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ID=41455856
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN112236314A (en) * | 2018-06-11 | 2021-01-15 | 株式会社普利司通 | Pneumatic tire |
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2008
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