JP2009285763A - ロボットアーム - Google Patents
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Abstract
【課題】小型の回転関節を備えていても高加速トルクを供給することができること。
【解決手段】駆動側リンク4cと従動側リンク4dとが従動側リンクを駆動側リンクに対して回転駆動させるトルクを供給する回転関節5cを介して連結されたリンク機構を有する装置であって、駆動側リンクに、回転関節の前記トルクのうちの加速トルクを補助するための加速補助トルクを供給する加速補助トルク供給機構7を備えることを特徴とするロボットアームを提供する。
【選択図】図2
【解決手段】駆動側リンク4cと従動側リンク4dとが従動側リンクを駆動側リンクに対して回転駆動させるトルクを供給する回転関節5cを介して連結されたリンク機構を有する装置であって、駆動側リンクに、回転関節の前記トルクのうちの加速トルクを補助するための加速補助トルクを供給する加速補助トルク供給機構7を備えることを特徴とするロボットアームを提供する。
【選択図】図2
Description
本発明は、ロボットアームに関する。
従来、駆動側リンクと従動側リンクとが従動側リンクを駆動側リンクに対して回転駆動させるトルクを供給する回転関節を介して連結されたリンク機構を有するロボットアームにおいて、前記トルクを軽減する技術が知られている(例えば特許文献1)。
特許文献1に記載のロボットアームは、基台にそれぞれの一端が枢着され互いに離れて平行に設けられた2つのリンクと、これらのリンクの他端が枢着されて、リンクの回動により一定姿勢を保って変移する作動体と、両端がそれぞれ基台及び作動体に連結された重力補償用ばねとを備えたものである。
特許文献1に記載の前記重力補償用ばねが、アームに作用する重力による負荷トルクを補助することで、基台に設けられた関節機構の負荷トルクを軽減することができる。
特開平6−335890号公報
特許文献1に記載の前記重力補償用ばねが、アームに作用する重力による負荷トルクを補助することで、基台に設けられた関節機構の負荷トルクを軽減することができる。
しかしながら、特許文献1に記載のロボットアームの重力補償用ばねでは、リンクを基台に対して回転駆動させる際に必要な加速トルクは軽減されない。そのため、加速トルクの占める割合が大きいロボットアームでは、加速トルクの大きさに応じて高トルクを供給する必要があるので、回転関節が大型化してしまい、装置をコンパクト化することができない、という問題がある。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、小型の回転関節を備えていても高加速トルクを供給することができるロボットアームを提供することである。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るロボットアームは、駆動側リンクと従動側リンクとが前記従動側リンクを前記駆動側リンクに対して回転駆動させるトルクを供給する回転関節を介して連結されたリンク機構を有するロボットアームであって、前記駆動側リンクに、前記回転関節の前記トルクのうちの加速トルクを補助するための加速補助トルクを供給する加速補助トルク供給機構を備えることを特徴とするものである。
本発明に係るロボットアームは、駆動側リンクと従動側リンクとが前記従動側リンクを前記駆動側リンクに対して回転駆動させるトルクを供給する回転関節を介して連結されたリンク機構を有するロボットアームであって、前記駆動側リンクに、前記回転関節の前記トルクのうちの加速トルクを補助するための加速補助トルクを供給する加速補助トルク供給機構を備えることを特徴とするものである。
本発明のロボットアームによれば、加速補助トルク供給機構を備えるので、加速補助トルク供給機構から加速補助トルクを供給することで、回転関節の加速トルクが不足した場合にも、従動側リンクを回転駆動することができる。
また、本発明に係るロボットアームでは、前記回転関節は、前記駆動側リンクに固定されたステータ部と、ステータ部から回転駆動力が付勢されるロータ部とを備え、前記加速補助トルク供給機構は、一端が前記駆動側リンクに固定され、他端が前記ロータ部の回転軸周りに巻き回された状態で該回転軸に固定された形状記憶合金ワイヤと、該形状記憶合金ワイヤに電流を供給して前記形状記憶合金ワイヤを収縮させることにより、前記ロータ部に供給される前記加速補助トルクの大きさを制御する加速補助トルク制御部と、前記回転関節の駆動情報に基づいて前記加速トルクの不足分の大きさを算出し、算出された前記加速トルクの不足分を補うための前記加速補助トルクの大きさを前記加速補助トルク制御部に送出する加速補助トルク設定部とを備えることが好ましい。
この場合、加速補助トルク制御部は、加速トルクの不足分の大きさを補うために加速補助トルク設定部が算出した加速補助トルクを、一端が駆動側リンクに固定され、他端がロータ部の回転軸周りに巻き回された状態で回転軸に固定された形状記憶合金ワイヤに電流を供給して収縮させることで加速補助トルクを供給することができる。
また、本発明に係るロボットアームでは、前記加速補助トルク供給機構は、前記ロータ部の前記回転軸の軸心に対して一方向回りに前記加速補助トルクを供給する第1の形状記憶合金ワイヤと、前記軸心に対して前記一方向と反対方向回りに前記加速補助トルクを供給する第2の形状記憶合金ワイヤと、を有することが好ましい。
この場合、加速補助トルク供給機構によって、第1の形状記憶合金ワイヤ、又は第2の形状記憶合金ワイヤのいずれかに電流を供給することで回転軸の軸心回りのいずれの方向にも加速補助トルクを供給することができる。
本発明のロボットアームによれば、小型の回転関節を備えていても高加速トルクを供給することができる、という効果を奏する。
以下、本発明の一実施形態に係るロボットアームについて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るロボットアームの概略構成を示す模式的な側面図である。なお、図1では、図を見易くするため、配線の図示を省略している。
図1は、本発明の一実施形態に係るロボットアームの概略構成を示す模式的な側面図である。なお、図1では、図を見易くするため、配線の図示を省略している。
本実施形態のロボットアーム10は、図1に示すように、箱状の基台部1と、屈曲可能に設けられ基台部1の上面に基端側が連結されたアーム部2と、アーム部2の先端側に設けられ作業対象を把持する把持部3とを備える。また、これら各構成の動作はいずれもメインコントローラ(不図示)によって制御される。
アーム部2は、基端側から先端側に向けて順次配列されている3つの柱状のリンク4b、4c、4dが2つの回転関節5b、5cを介して連結されることで、互いに同方向の回動軸を有する回転関節5b、5cで屈曲可能とされた多関節型のアームである。アーム部2の先端側には、回転関節5b、5cと同方向の回動軸を有する回転関節5dを介して把持部3が連結されている。本実施形態では、各リンク4c、4d及び把持部3は、回転関節5b、5c、5dによって、同一平面内で回転駆動可能とされている。
また、リンク4b及び回転関節5bには、リンク4cをリンク4bに対して回転駆動させる際に必要な加速トルクを供給可能な加速補助トルク供給機構7が設けられている。この加速補助トルク供給機構7は、リンク4cと回転関節5c、及びリンク4dと回転関節5dにも、同様にそれぞれ設けられている。
また、リンク4bは、基台部1内に固定された回転関節5aに固定されている。
回転関節5aは、リンク4bを鉛直軸回りに回転させることで、水平面内でのアーム部2の向きを変更するものであり、基台部1内に固定され、水平方向に延ばして配置されたリンク4aに固定されている。
また、リンク4a及び回転関節5aには、加速補助トルク供給機構7が設けられている。
回転関節5aは、リンク4bを鉛直軸回りに回転させることで、水平面内でのアーム部2の向きを変更するものであり、基台部1内に固定され、水平方向に延ばして配置されたリンク4aに固定されている。
また、リンク4a及び回転関節5aには、加速補助トルク供給機構7が設けられている。
ここで、リンク4a、4b、4c、4d、回転関節5a、5b、5c、5d及びそれぞれに設けられた加速補助トルク供給機構7は、基本的な構成が同じなので、以下では、代表してリンク4c及び回転関節5cに関して詳細構成を説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るロボットアームのリンク及び回転関節を示す模式的な正面図である。図3は、図2におけるA視の模式的な側面図である。図4は、本発明の一実施形態に係るロボットアームの制御ブロック図である。なお、図2及び図3では、リンク4cとリンク4dとが一直線に延ばされた場合を図示している。また、図3では、配線の図示を省略している。また、図4に示す駆動対象は、以下の説明ではリンク4dを意味する。
図2は、本発明の一実施形態に係るロボットアームのリンク及び回転関節を示す模式的な正面図である。図3は、図2におけるA視の模式的な側面図である。図4は、本発明の一実施形態に係るロボットアームの制御ブロック図である。なお、図2及び図3では、リンク4cとリンク4dとが一直線に延ばされた場合を図示している。また、図3では、配線の図示を省略している。また、図4に示す駆動対象は、以下の説明ではリンク4dを意味する。
回転関節5cは、図2及び図3に示すように、四角柱状のリンク4cの一端部の上下両面を固定部51aで挟持するようにして固定された略円柱状のモータ部(ステータ部)51と、そのモータ部51のモータシャフト52の両端部に跨るように固定され軸心L回りに回動可能とされたコの字状のブラケット本体57を有するブラケット(ロータ部)53とを備える。
また、モータ部51は、図4に示すように、モータシャフト52を正逆2方向に回転させるサーボモータ54と、サーボモータ54の回転角速度を、モータ部51に電気的に接続されたサーボコントローラ56にフィードバックするエンコーダ55とを更に備える。なお、本実施形態では、モータ部51の最大モータトルクは、τmであるとする。そして、このτmを後述する閾値とする。
サーボコントローラ56は、後述するコントローラ(加速補助トルク設定部)8から送出された駆動情報と、エンコーダ55よりフィードバックされた回転角速度とに基づいて、サーボモータ54へ電流を供給するものである。
ブラケット53は、図2及び図3に示すように、モータシャフト52の各先端が固定され、モータ部51を跨ぐように設けられたコの字状のブラケット本体57と、軸心Lと同軸となる位置でブラケット本体57の外側面から外側に突出された曲率半径rの円柱状の軸部(回転軸)58A、58Bとを備える。円柱状の軸部58A、58Bの径は、モータシャフト52の径よりも大きい。ブラケット本体57の軸心Lと直交する方向の側面には、四角柱状のリンク4dの端部が、その上下両面を固定部57aが挟持するようにして、軸心Lと直交する方向に延在する状態で固定されている。
軸部58A、58Bの材質は、表面が絶縁されていれば、適宜の材料を採用することができる。本実施形態では、例えば、表面が絶縁コーティングされた金属部材からなる。また、本実施形態では、軸部58A、58Bの表面は、後述するようにこの軸部58A、58Bに巻回される形状記憶合金ワイヤ71、72が滑りやすいように平滑に形成されている。
以下では、図3に示すように、図2の矢印A方向から見て、軸心Lに対する時計回り方向を回転の正方向D1、反時計回り方向を回転の逆方向D2と称することにする。
以下では、図3に示すように、図2の矢印A方向から見て、軸心Lに対する時計回り方向を回転の正方向D1、反時計回り方向を回転の逆方向D2と称することにする。
軸部58A、58Bには、図2及び図3に示すように、供給される電流量に応じて伸縮する第1の形状記憶合金ワイヤ71及び第2の形状記憶合金ワイヤ72がそれぞれ巻き付けられている。
形状記憶合金ワイヤ71、72の材質や線径は、必要な強度、収縮力に応じて適宜に選択することができるが、例えばバイオメタル(登録商標)(トキ・コーポレーション社製)を採用することができる。形状記憶合金ワイヤ71、72の線径は、例えば0.05mmから0.15mmが好ましい。本実施形態では、一例として0.05mmとしている。
形状記憶合金ワイヤ71、72の材質や線径は、必要な強度、収縮力に応じて適宜に選択することができるが、例えばバイオメタル(登録商標)(トキ・コーポレーション社製)を採用することができる。形状記憶合金ワイヤ71、72の線径は、例えば0.05mmから0.15mmが好ましい。本実施形態では、一例として0.05mmとしている。
第1の形状記憶合金ワイヤ71は、図2に示すように、一端が軸部58A上の先端部の点PAに固定され、点PAから軸部58Aの基端側に向かって回転の正方向D1に沿って軸部58Aの外周に複数回(本実施形態では4回)巻き付けられてから、リンク4cの延在方向に沿って延ばされている。そして、第1の形状記憶合金ワイヤ71の他端は、リンク4cの延在方向の端部側で四角柱状の側方に突出された、断面が矩形の柱状のワイヤ固定部41A上に点QAの位置で固定されている。
第2の形状記憶合金ワイヤ72は、一端が軸部58B上の先端部の点PBに固定され、点PBから軸部58Bの基端側に向かって回転の逆方向D2に沿って軸部58Bの外周に複数回(本実施形態では4回)巻き付けられてから、リンク4cの延在方向に沿って延ばされている。そして、第2の形状記憶合金ワイヤ72の他端は、リンク4cの延在方向の端部側で四角柱状の他方の側方に突出された、断面が矩形の柱状のワイヤ固定部41B上に点QBの位置で固定されている。
また、形状記憶合金ワイヤ71、72は、点PA、PB、QA、QBの近傍位置で例えばフレキシブルケーブルからなる配線74a、74b、74c、74dによって、加速補助トルク制御部73に電気的に接続されている。
加速補助トルク制御部73は、後述するコントローラ8に電気的に接続され、コントローラ8から送出された目標加速補助トルク情報に基づいて、第1の形状記憶合金ワイヤ71、若しくは第2の形状記憶合金ワイヤ72に電流を供給するものである。形状記憶合金ワイヤ71、72への電流の供給量と、その際に生じる収縮力によって発生する加速補助トルクとの関係は、加速補助トルク制御部73に予め記憶されている。
加速補助トルク制御部73は、後述するコントローラ8に電気的に接続され、コントローラ8から送出された目標加速補助トルク情報に基づいて、第1の形状記憶合金ワイヤ71、若しくは第2の形状記憶合金ワイヤ72に電流を供給するものである。形状記憶合金ワイヤ71、72への電流の供給量と、その際に生じる収縮力によって発生する加速補助トルクとの関係は、加速補助トルク制御部73に予め記憶されている。
このように設けられた第1の形状記憶合金ワイヤ71、及び第2の形状記憶合金ワイヤ72では、加速補助トルク制御部73から電流が供給されると、ジュール熱によって変態を起こすことで収縮して収縮力Fが発生する。この収縮力Fが、点PA、又は点PBから軸部58A、58Bに作用することで、モータトルクを補助するためのトルクである軸心L回りの加速補助トルクを供給することができる。
第1の形状記憶合金ワイヤ71によって収縮力Fが発生した場合、リンク4dを正方向D1に回動させる加速補助トルクτh=r・Fが発生する。また、第2の形状記憶合金ワイヤ72によって収縮力Fが発生した場合、リンク4dを逆方向D2に回動させる加速補助トルクτh=−r・Fを生じさせることができる。
なお、形状記憶合金ワイヤ71、72は、電流が供給されない場合は、前述したとおり線径が細いため、即座に変態開始温度より低温となるため、低荷重で伸張することができ、リンク4dの回動の抵抗とはならない。
また、軸部58A、Bの表面は平滑に形成されているため、形状記憶合金ワイヤ71、72と、軸部58A、58Bとの間に生じる摩擦によるエネルギー損失を抑えることができる。
第1の形状記憶合金ワイヤ71によって収縮力Fが発生した場合、リンク4dを正方向D1に回動させる加速補助トルクτh=r・Fが発生する。また、第2の形状記憶合金ワイヤ72によって収縮力Fが発生した場合、リンク4dを逆方向D2に回動させる加速補助トルクτh=−r・Fを生じさせることができる。
なお、形状記憶合金ワイヤ71、72は、電流が供給されない場合は、前述したとおり線径が細いため、即座に変態開始温度より低温となるため、低荷重で伸張することができ、リンク4dの回動の抵抗とはならない。
また、軸部58A、Bの表面は平滑に形成されているため、形状記憶合金ワイヤ71、72と、軸部58A、58Bとの間に生じる摩擦によるエネルギー損失を抑えることができる。
また、形状記憶合金ワイヤ71、72は、いずれもリンク4cに沿う方向に延ばされているので、コンパクトに配置することができる。
なお、図2は、模式図のため、軸部58A、58B及びワイヤ固定部41A、41Bの寸法を誇張して図示しているが、軸部58A、58Bの軸長は形状記憶合金ワイヤ71、72がそれぞれ巻き付けられる程度の長さであれば良く、ワイヤ固定部41A、41Bの突出量は形状記憶合金ワイヤ71、72が固定できる程度であれば良い。
なお、図2は、模式図のため、軸部58A、58B及びワイヤ固定部41A、41Bの寸法を誇張して図示しているが、軸部58A、58Bの軸長は形状記憶合金ワイヤ71、72がそれぞれ巻き付けられる程度の長さであれば良く、ワイヤ固定部41A、41Bの突出量は形状記憶合金ワイヤ71、72が固定できる程度であれば良い。
コントローラ8は、メインコントローラから送出された回転角速度、回転角度等の駆動情報から必要加速トルクの大きさを算出するものである。そして、コントローラ8は、算出した必要加速トルクと、予め記憶されているところのサーボモータ54による最大モータトルクである閾値τmとに基づいて、形状記憶合金ワイヤ71、72による目標加速補助トルクを算出し、この情報を加速補助トルク制御部73へ送出すると共に、サーボコントローラ56へ駆動情報を送出する。
なお、上述した第1の形状記憶合金ワイヤ71、第2の形状記憶合金ワイヤ72、加速補助トルク制御部73及びコントローラ8は、加速補助トルク供給機構7を構成する。
また、回転関節5cを介して連結されたリンク4c、4dは、回転関節5cのモータ部51に連結されたリンク4cが駆動側リンクであり、回転関節5cのブラケット53に連結され、ブラケット53を介してモータ部51及び加速補助トルク供給機構7から加速トルクを付勢されるリンク4dが従動側リンクである。
また、回転関節5cを介して連結されたリンク4c、4dは、回転関節5cのモータ部51に連結されたリンク4cが駆動側リンクであり、回転関節5cのブラケット53に連結され、ブラケット53を介してモータ部51及び加速補助トルク供給機構7から加速トルクを付勢されるリンク4dが従動側リンクである。
次に、上述したロボットアーム10の動作について、回転関節における加速トルクの供給動作を中心に説明する。
図5(a)は、本発明の一実施形態に係るロボットアームの動作における目標角速度の一例を示すグラフである。横軸は時刻を示し(以下のグラフでも同様)、縦軸は目標角速度を示す。図5(b)は、図5(a)の動作(時刻に対応した目標角速度を得るための動作)に対応する必要加速トルクの一例を示すグラフである。縦軸は必要加速トルクを示す。図5(c)は、図5(a)の動作に対応する目標加速補助トルクの一例を示すグラフである。縦軸は目標加速補助トルクを示す。図5(d)は、図5(a)の動作に対応する第1の形状記憶合金ワイヤの電流量の一例を示すグラフである。縦軸は電流量を示す。図5(e)は、図5(a)の動作に対応する第2の形状記憶合金ワイヤの電流量の一例を示すグラフである。縦軸は電流量を示す。図5(f)は、図5(a)の動作に対応するサーボモータの負荷トルクの一例を示すグラフである。縦軸はサーボモータの負荷トルクを示す。
図5(a)は、本発明の一実施形態に係るロボットアームの動作における目標角速度の一例を示すグラフである。横軸は時刻を示し(以下のグラフでも同様)、縦軸は目標角速度を示す。図5(b)は、図5(a)の動作(時刻に対応した目標角速度を得るための動作)に対応する必要加速トルクの一例を示すグラフである。縦軸は必要加速トルクを示す。図5(c)は、図5(a)の動作に対応する目標加速補助トルクの一例を示すグラフである。縦軸は目標加速補助トルクを示す。図5(d)は、図5(a)の動作に対応する第1の形状記憶合金ワイヤの電流量の一例を示すグラフである。縦軸は電流量を示す。図5(e)は、図5(a)の動作に対応する第2の形状記憶合金ワイヤの電流量の一例を示すグラフである。縦軸は電流量を示す。図5(f)は、図5(a)の動作に対応するサーボモータの負荷トルクの一例を示すグラフである。縦軸はサーボモータの負荷トルクを示す。
ロボットアーム10は、把持部3によって作業対象を把持したり、目標位置に移動したりするため、メインコントローラから各回転関節5a、5b、5c、5dの回転角速度、回転角度等の駆動情報が生成され、各回転関節5a、5b、5c、5dに接続されたコントローラ8に送出される。
以下では、メインコントローラから回転関節5cのコントローラ8に対して、図5(a)に示す目標角速度が送出された場合の例で説明する。なお、以下では、時刻Tiの添字iは、時刻の大小関係を表すものとする。即ち、Ti<Ti+1を意味する。
目標角速度は、図5(a)の屈曲線9aに示すように、時刻T0から時刻T1では、0からω1(但し、ω1>0)まで単調増加し、時刻T1から時刻T2では、ω1を維持し、時刻T2から時刻T3では、ω1から0まで単調減少する。そして、時刻T3から時刻T4までは、0を維持した後、時刻T4から時刻T5までは、0から−ω1まで単調減少し、時刻T5から時刻T6までは、−ω1を維持し、時刻T6から時刻T7までは、−ω1から0まで単調増加する。
以下では、メインコントローラから回転関節5cのコントローラ8に対して、図5(a)に示す目標角速度が送出された場合の例で説明する。なお、以下では、時刻Tiの添字iは、時刻の大小関係を表すものとする。即ち、Ti<Ti+1を意味する。
目標角速度は、図5(a)の屈曲線9aに示すように、時刻T0から時刻T1では、0からω1(但し、ω1>0)まで単調増加し、時刻T1から時刻T2では、ω1を維持し、時刻T2から時刻T3では、ω1から0まで単調減少する。そして、時刻T3から時刻T4までは、0を維持した後、時刻T4から時刻T5までは、0から−ω1まで単調減少し、時刻T5から時刻T6までは、−ω1を維持し、時刻T6から時刻T7までは、−ω1から0まで単調増加する。
コントローラ8は、この目標角速度に基づいて必要加速トルクを算出する。コントローラ8は、図5(b)の屈曲線9bに示すように、時刻T0から時刻T1、及び時刻T6から時刻T7の間の必要加速トルクとしてτ1を算出する。本例では、τm<τ1の関係にあるものとする。また、時刻T2から時刻T3及び時刻T4から時刻T5の間の必要加速トルクとして−τ1を、その他の時刻の必要加速トルクとして0を算出する。
この必要加速トルクの算出結果と、予め入力されている閾値τmとに基づいて、コントローラ8は、各時刻で目標加速補助トルクを算出する。
まず、時刻T0から時刻T1までの間では、コントローラ8は、図5(b)の屈曲線9bに示すように、必要加速トルクの絶対値であるτ1が閾値τmを超えているので、図5(c)の屈曲線9cに示すように、目標加速補助トルクとしてτh1(但し、τh1=τ1−τm)を算出する。そしてサーボコントローラ56へは、メインコントローラから送出された駆動情報をそのまま送出し、加速補助トルク制御部73へは、τh1を送出する。
まず、時刻T0から時刻T1までの間では、コントローラ8は、図5(b)の屈曲線9bに示すように、必要加速トルクの絶対値であるτ1が閾値τmを超えているので、図5(c)の屈曲線9cに示すように、目標加速補助トルクとしてτh1(但し、τh1=τ1−τm)を算出する。そしてサーボコントローラ56へは、メインコントローラから送出された駆動情報をそのまま送出し、加速補助トルク制御部73へは、τh1を送出する。
目標加速補助トルク情報を受信した加速補助トルク制御部73は、目標加速補助トルクの絶対値であるτh1を供給するために必要な収縮力F1(即ち、F1=τh1/r)を形状記憶合金ワイヤ71、72に生じさせる電流量I1を算出する。そして、図5(d)及び図5(e)の屈曲線9d、9eに示すように、加速補助トルク制御部73は、τh1>0なので、第1の形状記憶合金ワイヤ71にのみ電流量I1の電流を供給する。
サーボコントローラ56は、コントローラ8から受信した駆動情報と、エンコーダ55よりフィードバックされた回転角速度とに基づいてサーボモータ54を制御する。このとき、図5(f)の屈曲線9fに示すように、サーボモータ54を最大モータトルクτmで駆動することで、加速補助トルク供給機構7によって加速補助トルクτh1と合わせて、必要加速トルクτ1を供給することができる。
次に、時刻T1から時刻T2までの間では、コントローラ8は、必要加速トルクが0なので、図5(c)の屈曲線9cに示すように、目標加速補助トルクとして0を算出する。そして、コントローラ8は、加速補助トルク制御部73に、目標加速補助トルク情報として0を送出し、サーボコントローラ56に駆動情報を送出する。これにより、サーボモータ54は一定角速度で回転し、形状記憶合金ワイヤ71の電流供給が停止される。
次に、時刻T2から時刻T3までの間では、コントローラ8は、図5(b)の屈曲線9bに示すように、必要加速トルクの絶対値であるτ1が閾値τmを超えているので、図5(c)の屈曲線9cに示すように、目標加速補助トルクとして−τh1を算出する。そしてサーボコントローラ56へは、メインコントローラから送出された駆動情報をそのまま送出し、加速補助トルク制御部73へは、−τh1を送出する。
目標加速補助トルク情報を受信した加速補助トルク制御部73は、目標加速補助トルクの絶対値であるτh1を供給するために必要な収縮力F1を形状記憶合金ワイヤ71、72に生じさせる電流量I1を算出する。そして、図5(d)及び図5(e)の屈曲線9d、9eに示すように、加速補助トルク制御部73は、−τh1<0なので、第2の形状記憶合金ワイヤ72にのみ電流量I1の電流を供給する。
サーボコントローラ56は、コントローラ8から受信した駆動情報と、エンコーダ55よりフィードバックされた回転角速度とに基づいてサーボモータ54を制御する。このとき、図5(f)の屈曲線9fに示すように、サーボモータ54を最大モータトルク−τmで駆動することで、加速補助トルク供給機構7によって加速補助トルク−τh1と合わせて、必要加速トルク−τ1を供給することができる。
時刻T3以降では、時刻T3から時刻T4までは、時刻T1からT2までと同様に、時刻T4から時刻T5までは、時刻T2から時刻T3までと同様に、時刻T5から時刻T6までは、時刻T1からT2までと同様に、時刻T6から時刻T7までは、時刻T0から時刻T1までと同様に各機構が動作する。
本動作例は、必要加速トルクの絶対値τ1がいずれも閾値τmより大きい場合であるため、加速トルクを供給するときは常に加速補助トルク供給機構7により加速補助トルクを供給したが、必要加速トルクの絶対値が閾値τmより小さい場合であれば、加速補助トルク供給機構7に加速補助トルクを供給させなくてもよい。
また、本動作例は、目標加速補助トルクがτh1或いは−τh1で一定の場合であるため、加速補助トルク制御部73が形状記憶合金ワイヤ71、72に電流量I1の電流のみを供給しているが、電流量は必要加速トルクに応じて変化させればよい。
本実施形態のロボットアーム10によれば、加速補助トルク供給機構7として形状記憶合金ワイヤ71、72を備えるので、サーボモータ54によるモータトルクが必要加速トルクに対して不足している場合にも、形状記憶合金ワイヤ71、72による加速補助トルクで、不足分を供給することができる。このため、回転関節5a、5b、5c、5dとして、出力トルクが小さい、小型且つ軽量な回転関節を採用することができる。
また、加速補助トルクを供給するために形状記憶合金ワイヤ71、72を用いているので、例えば他のモータ等を用いて加速トルクを補助する場合に比べて小型化及び軽量化を図ることができる。
また、形状記憶合金ワイヤ71、72によって、各リンクを回転の正方向D1、逆方向D2に駆動する加速補助トルクをそれぞれ別個に供給することができる。そのため、加速補助トルクの方向切り替えが容易となり、加速補助トルクの大きさも第1の形状記憶合金ワイヤ71、若しくは第2の形状記憶合金ワイヤ72のいずれかに供給する電流量を変えるだけでよい。従って、加速補助トルクに関しては、例えばフィードバック制御等の複雑な制御が不要であるので、加速補助トルク制御部73を簡素化することができる。
また、形状記憶合金ワイヤ71、72は、線径が0.05mmから0.15mmなので、短時間で放熱しやすく、電流供給をストップしてから張力が元に戻るまでの時間が短時間で済む。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、形状記憶合金ワイヤ71、72は軸部58A、58B回りに複数回巻き付けられているものとしたが、形状記憶合金ワイヤ71、72の巻き付け回数kは、回転関節における回転角度の上限から下限までの可動範囲θ、及び回数軸部58A、58Bの曲率半径rに依存させることが好ましい。この場合、形状記憶合金ワイヤ71、72は、特性上収縮できる量が全長の数%という具合に決まっているため、巻き付け回数kは、以下に示す[数1]の関係式で求めることが好ましい(図3参照)。
上記[数1]で、lは、形状記憶合金ワイヤ71、72と軸部58A、58Bとの接点から、点QA、QBまでの形状記憶合金ワイヤ71、72の長さ、xは、形状記憶合金ワイヤ71、72の材料特性である収縮率を意味する。
つまり、可動範囲θが広い場合、可動範囲θ内の任意の角度で張力を発生させる必要があるため、巻き付け回数kは増える。逆に可動範囲θが狭ければ、巻き付けなくてもよい。
図6に、形状記憶合金ワイヤの固定方法の他例を示した。
例えば、図6に示すように、第1の形状記憶合金ワイヤ71を軸部58Aに巻き付けずに、軸心Lから水平方向にずらした軸部58A上の位置Pに固定していても構わない。
つまり、可動範囲θが広い場合、可動範囲θ内の任意の角度で張力を発生させる必要があるため、巻き付け回数kは増える。逆に可動範囲θが狭ければ、巻き付けなくてもよい。
図6に、形状記憶合金ワイヤの固定方法の他例を示した。
例えば、図6に示すように、第1の形状記憶合金ワイヤ71を軸部58Aに巻き付けずに、軸心Lから水平方向にずらした軸部58A上の位置Pに固定していても構わない。
また、上記実施形態では、軸部58A、58Bがブラケット本体57の両端側から1つずつ突出されているが、いずれか一方側からのみ突出されていても、突出された軸部に形状記憶合金ワイヤ71、72が巻き付けられていれば制限はない。
4a リンク(駆動側リンク)
4b、4c、4d リンク(従動側リンク、駆動側リンク)
5a、5b、5c、5d 回転関節
7 加速補助トルク供給機構
8 コントローラ(加速補助トルク設定部)
10 ロボットアーム
51 モータ部(ステータ部)
53 ブラケット(ロータ部)
58A、58B 軸部(回転軸)
71 第1の形状記憶合金ワイヤ
72 第2の形状記憶合金ワイヤ
73 加速補助トルク制御部
L 軸心
k 巻き付け回数
4b、4c、4d リンク(従動側リンク、駆動側リンク)
5a、5b、5c、5d 回転関節
7 加速補助トルク供給機構
8 コントローラ(加速補助トルク設定部)
10 ロボットアーム
51 モータ部(ステータ部)
53 ブラケット(ロータ部)
58A、58B 軸部(回転軸)
71 第1の形状記憶合金ワイヤ
72 第2の形状記憶合金ワイヤ
73 加速補助トルク制御部
L 軸心
k 巻き付け回数
Claims (3)
- 駆動側リンクと従動側リンクとが前記従動側リンクを前記駆動側リンクに対して回転駆動させるトルクを供給する回転関節を介して連結されたリンク機構を有するロボットアームであって、
前記駆動側リンクに、前記回転関節の前記トルクのうちの加速トルクを補助するための加速補助トルクを供給する加速補助トルク供給機構を備えることを特徴とするロボットアーム。 - 請求項1に記載のロボットアームにおいて、
前記回転関節は、前記駆動側リンクに固定されたステータ部と、ステータ部から回転駆動力が付勢されるロータ部とを備え、
前記加速補助トルク供給機構は、一端が前記駆動側リンクに固定され、他端が前記ロータ部の回転軸周りに巻き回された状態で該回転軸に固定された形状記憶合金ワイヤと、該形状記憶合金ワイヤに電流を供給して前記形状記憶合金ワイヤを収縮させることにより、前記ロータ部に供給される前記加速補助トルクの大きさを制御する加速補助トルク制御部と、前記回転関節の駆動情報に基づいて前記加速トルクの不足分の大きさを算出し、算出された前記加速トルクの不足分を補うための前記加速補助トルクの大きさを前記加速補助トルク制御部に送出する加速補助トルク設定部とを備えることを特徴とするロボットアーム。 - 請求項2に記載のロボットアームにおいて、
前記加速補助トルク供給機構は、前記ロータ部の前記回転軸の軸心に対して一方向回りに前記加速補助トルクを供給する第1の形状記憶合金ワイヤと、前記軸心に対して前記一方向と反対方向回りに前記加速補助トルクを供給する第2の形状記憶合金ワイヤと、を有することを特徴とするロボットアーム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008139627A JP2009285763A (ja) | 2008-05-28 | 2008-05-28 | ロボットアーム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008139627A JP2009285763A (ja) | 2008-05-28 | 2008-05-28 | ロボットアーム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009285763A true JP2009285763A (ja) | 2009-12-10 |
Family
ID=41455497
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008139627A Withdrawn JP2009285763A (ja) | 2008-05-28 | 2008-05-28 | ロボットアーム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009285763A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013039281A1 (en) * | 2011-09-14 | 2013-03-21 | Korea Institute Of Science And Technology | Manipulator with weight compensation mechanism and face robot using the same |
CN106938468A (zh) * | 2017-05-09 | 2017-07-11 | 重庆交通大学 | 复合驱动肩关节 |
KR101815747B1 (ko) * | 2016-01-20 | 2018-01-08 | 한밭대학교 산학협력단 | 형상기억합금 회전 액추에이터를 이용한 뱀 로봇 |
KR101899633B1 (ko) * | 2015-08-11 | 2018-09-17 | 한밭대학교 산학협력단 | 토션 엑츄에이터를 이용한 자벌레 로봇 |
-
2008
- 2008-05-28 JP JP2008139627A patent/JP2009285763A/ja not_active Withdrawn
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WO2013039281A1 (en) * | 2011-09-14 | 2013-03-21 | Korea Institute Of Science And Technology | Manipulator with weight compensation mechanism and face robot using the same |
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