JP2009285420A - 人工炭酸泉製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】家庭や施設等において、簡単な方法で、高濃度の炭酸ガスを含む炭酸泉を人工的に製造すると共に、薬草の医薬的効果を発揮することができるようにした人工炭酸泉製造装置を提供する。
【解決手段】浴槽2内に供給した湯水4を該浴槽2に設けた循環式ポンプで循環しながら浴槽2内の湯水4に重曹を混入し、湯水4の循環による水流で重曹を撹拌することによって湯水4中に炭酸ガス(気泡5)を発生させると共に、容器6内にヒータ7を設けて昇温した液中に薬草を投入してなる薬草エキス8を浴槽2内の湯水4に混入するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、健康促進に有効な炭酸泉を人工的に容易に製造することができる人工炭酸泉製造装置に関する。
従来から知られている炭酸泉とは、湯水に炭酸ガスが溶け込んだものであり、医学的効能を有することから、「心臓の湯」、または「高血圧の湯」などと呼ばれることがある。これは湯水中の炭酸ガスが皮膚から浸透し、抹消血管を拡張させることによって、血液の循環を促進し、新陳代謝を活発にする効果を有するためである。
このような炭酸泉は欧米に多く存在するが、日本においては、大分の長湯温泉などが有名であるものの、極めて少数である。現状の温泉法では、温泉1kg中に1000mg以上(1000ppm以上)の遊離二酸化炭素(炭酸ガス)を含んでいるものを「二酸化炭素泉」、1000mg以下のものを「炭酸水素塩泉」と区分しており、炭酸ガス濃度が1000ppm以上である「二酸化炭素泉」、所謂「炭素泉」と呼ばれる温泉は、国内において稀にしか存在しないのが現状である。しかも、炭酸泉中に溶存している炭酸ガスは、撹拌や熱で容易に抜けてしまい、輸送や再加温に適していないため、従来から炭酸泉を家庭や施設等でも使用できるように、人工的に製造する技術が開発されている。
そのような技術の例として、特許文献を参照すると、特許文献1には、給湯機から浴槽への給湯水路の途中で、炭酸ガスを温水に自動的に混入させる手段として、給湯機の熱交換器の出口側に、炭酸ガスボンベからの炭酸ガスを温水中に混合する炭酸ガス混入装置を設け、浴槽側に炭酸ガスセンサを設けた給湯システムが開示されている。
さらに、特許文献2には、中空糸膜を介して温水に炭酸ガスを溶解する構造を有する溶解器を設けた蛇口直結型炭酸泉の製造装置が開示されている。
特開平5−23376号公報 特開平8−19784号公報
しかしながら、上記の特許文献1の場合、二酸化炭素の分圧や気液界面積を十分に大きくすることが困難であり、水中の二酸化炭素濃度を高くすることが難しいものであった。また、二酸化炭素の分圧を高くすれば溶解度が高くなり、濃度を高くすることが可能となるが、容器の内圧の増加による安全性の低下やコストの増加などの問題が生じるため、実用化が難しいものであった。
さらに、中空糸膜を介して温水に炭酸ガスを溶解する場合、長期間使用すると、中空糸膜に目詰まりが生じるため、定期的な部品交換が必要となる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、家庭や施設等において、簡単な装置の構成で、高濃度の炭酸ガスを含む炭酸泉を人工的に製造すると共に、薬草の医薬的効果を発揮することができるようにした人工炭酸泉製造装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明における請求項1の人工炭酸泉製造装置は、浴槽内に供給した湯水を該浴槽に設けた循環式ポンプで循環しながら浴槽内の湯水に重曹を混入し、湯水の循環による水流で重曹を撹拌することによって湯水中に炭酸ガスを発生させると共に、容器内にヒータを設けて昇温した液中に薬草を投入してなる薬草エキスを浴槽内の湯水に混入するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の請求項2の人工炭酸泉製造装置は、請求項1において、多数の細孔を設けてなる多孔板で循環式ポンプを包囲すると共に、該ポンプの吐出口を多孔板から突出した構成とし、多孔板の各細孔からポンプに吸引した湯水を吐出口から吐出することによって浴槽内を循環させるようにしたことを特徴とする。
さらに、本発明の請求項3の人工炭酸泉製造装置は、請求項1又は2において、循環式ポンプは、内蔵された羽根をモータで回転することによって吸引口から吸引された水を撹拌しながら吐出口より吐出するエアレータ型循環式ポンプであることを特徴とする。
本発明による人工炭酸泉製造装置は、浴槽内に供給した湯水を循環式ポンプで循環しながら浴槽内の湯水に重曹を混入し、湯水の循環による水流で重曹を撹拌することによって、高濃度の炭酸ガスを湯水中に発生させてなる炭酸泉を得ることが可能となる。
また、容器内にヒータを設けて昇温した液中に薬草を投入してなる薬草エキスを浴槽内の湯水に混入することによって、薬草エキスが容器内の湯水の循環による水流で撹拌され、湯水内に満遍なく混入する。これによって、上記した炭酸泉の効果、即ち、湯水中の炭酸ガスが使用者の皮膚から浸透し、抹消血管を拡張させることによって、血液の循環を促進し、新陳代謝を活発にする効果に加えて、上記の薬草エキスによる効能をより効果的に身体に及ぼすことが可能となる。
また、上記の本発明による人工炭酸泉製造装置の浴槽を小型に構成した場合、足浴器として使用することができ、また浴槽を通所の風呂桶の大きさに構成することによって、身体全体を浸すことができる浴槽とすることが可能となる。
また、多数の細孔を設けてなる多孔板で循環式ポンプを包囲すると共に、該ポンプの吐出口を多孔板から突出した構成とすることにより、ポンプのモータを回転すると、浴槽内の湯水が多孔板の各細孔を介して吸引口へ吸引される。このような構造において、循環式ポンプが、内蔵された羽根をモータで回転することによって吸引口から吸引された水を撹拌しながら吐出口より吐出するエアレータ型循環式ポンプとして構成されることにより、吸引口から吸引された湯水は、吐出口に内蔵された羽根の回転によって撹拌されながら吐出口より噴射されることになり、湯水中に混入された重曹を効率的に炭酸ガスに分解して湯水中に混入させると共に、吐出口から噴射される炭酸ガスの気泡を身体に当てることによってマッサージ効果を得ることも可能である。
さらに、本発明による人工炭酸泉製造装置は、従来の中空糸膜を使用した装置のように、中空糸膜等の部品交換を必要としないため、使用コストの低減が可能である。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
本発明による人工炭酸泉製造装置1は、図1又は図2に示すように、浴槽2内に供給した湯水4を該浴槽2に設けた循環式ポンプ3で循環しながら浴槽2内の湯水4に重曹を混入し、湯水4の循環による水流で重曹を撹拌することによって浴槽2内の湯水4中に炭酸ガスを無数の気泡5として発生させると共に、容器6内にヒータ7を設けて昇温した液中に薬草(不図示)を投入してなる薬草エキス8を浴槽2内の湯水4に混入するようにしたものである。
このような人工炭酸泉製造装置1の具体的実施例について詳細に述べる。図1に示す浴槽2は、木材等からなる四角形立方体の外枠9の内部にステンレス等の金属製桶10を設けてなるものである。また、浴槽2の桶10の底部には封水栓で閉塞可能な排水口17を設け、使用後の湯水4を排出することが可能とされている。なお、この浴槽2は、外枠9と内部の桶10を一体的に構成し、金属製、合成樹脂製とする他、木曾ヒノキや飛騨ヒノキ等の銘木を使用した構造としてもよい。
この浴槽2を小型に構成した場合、足浴桶として使用することができ、浴槽2の底部にキャスター(不図示)を設けることによって移動可能な構成とすることができる。また、この浴槽2を通所の風呂桶の大きさに構成することによって、身体全体を浸すことが可能となる。
また、浴槽2の外枠9の片側上部に天板11を延長してなり、この天板11の下部に多数の細孔12を設けてなる多孔板13で循環式ポンプ3を包囲した構成としている。このような構成において、図2に示すように、循環ポンプ3は、吐出口3aの内部に設けられた不図示の羽根をモータで回転することによって、吸引口3bから吸引された水を撹拌しながら吐出口3aより吐出するエアレータ型循環式ポンプを使用している。このようなポンプ3の使用によって、本実施例装置は、エアレータ攪拌式人工炭酸泉製造装置と称することができる。
また、図2に示すように、上記のポンプ3の吐出口3aを多孔板13から突出した構成とし、ポンプ3を包囲するように多孔板13を桶10の側面に固定している。また、この多孔板13には多数の細孔12が形成されている。このような構成により、ポンプ3のモータを回転すると、浴槽2内の湯水4が多孔板13の各細孔12を介して吸引口3bへ吸引され、吸引口3bから吸引された湯水は、吐出口3aに内蔵された羽根の回転によって撹拌されながら吐出口3aより吐出される。
さらに、本実施例において、天板11には多孔板13の内部に相当する部位に投入口14が形成され、この投入口14から重曹を投入することとなる。重曹は常温で白色の粉末であるため、粉状の重曹が多孔板13の内部の湯水4中に混入され、上記のようにポンプ3の吸引口3bから吸引されると共に、吐出口3aの回転刃根によって撹拌されながら吐出口3aより吐出し、湯水4内で化学反応(2NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2O)を呈しながら、炭酸ガス(二酸炭素)の気泡5が湯水4中に発生し、吐出口3aからの水流によって撹拌され、湯中に噴出される。
なお、重曹は水への溶解度が低く、水溶液の状態で、65℃で、上記のように炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水の3物質に分解するが、例えば、36〜42℃であっても、水溶液中では各イオンに電離し、反応が容易になるため、固体よりも低い温度で反応し、攪拌によって分解を促進することができる。
また、本実施例においては、図1に示すように、浴槽2の片側上面に薬草エキス8を作るための容器6を設けた構成としている。即ち、浴槽2の片側上面の定位置に容器受皿16を固定し、この容器受皿16に容器6を設置することによって取出し自在としたものである。このように容器6を容器受皿16に設置した状態で、容器6の内部に水を入れ、容器6内に取り付けたセラミックヒータ7によって水を昇温すると共に、各種の薬草を投入して、煮沸することにより、薬草エキス8を得る。
この薬草としては、生芪、山薬、玄参、蒼術、天冬、人参、白術、黄苓、黄連、黄柏、枙子、当帰、赤芍、生地、川芑、茯苓、夏枯草、鈎藤、天花粉、玉竹、桃仁、桂枝、金銭草、鱉甲、夜明砂、枸杞子、女貞子、猪胰子、鶏内金、朿仁、山揸、首鳥、百部、生石膏、葛根、早連、その他の薬草を使用することができ、本発明による人工炭酸泉を使用する者の症状に応じて選択された薬草を上記の容器に入れて煮沸することにより、所望の薬草エキス8を得ることができる。
そして、上記の薬草エキス8の入った容器6を容器受皿16から持ち上げ、容器6内の薬草エキス8を浴槽2内の湯水4に注ぎ入れると、薬草エキス8が湯水4の循環による水流で撹拌され、湯水4内に混入することとなる。これによって、上記した炭酸泉の効果、即ち、湯水4中の炭酸ガスが使用者の皮膚から浸透し、抹消血管を拡張させることによって、血液の循環を促進し、新陳代謝を活発にする効果に加えて、上記の薬草エキス8による漢方的効能をより効果的に身体に及ぼすことが可能となる。
なお、浴槽2の内部に湯水4を供給するには、浴槽2の外部で準備した所定温度の湯水4を手作業で供給するほか、図3に示すように、浴槽2の外部に不図示のヒータ等によってタンク15内の水を昇温するようにし、このタンク15内の湯水4を給水管25を介して浴槽2の給水口26より注入することによって、浴槽2内の所定量の湯水4を自動的に供給することが可能となる。
また、本装置の他の自動化の手段として、浴槽2の天板11の上方に薬草用の容器18を設け、該容器18と浴槽2の天板11とを管路19で接続し、管路19に開閉弁20を設けた構成とする。このような構成において、容器18内に薬草を投入し、容器18の内部に設けられたセラミックヒータ7で容器18内の水を昇温しながら薬草を煎じることによって薬草エキスを作り、開閉弁20を開けることによって所望量の薬草エキスを浴槽2内の湯水4に供給することが可能となる。
さらに、浴槽2の天板11の上方に重曹を蓄積しておく容器21を設け、該容器21と浴槽2の天板11とを管路22で接続し、管路22に開閉弁23を開けた構成とする。このような構成により、開閉弁23を開けることによって、容器21内の重曹を多孔板13の内部に投入することができ、湯水4内で炭酸ガス(二酸炭素)を気泡5として発生させることが可能となる。
なお、図3に示すように、管路19の開閉弁20、管路22の開閉弁23を電磁弁によって構成し、電子制御盤24に接続することにより、電子制御盤24に設けられたスイッチ操作によって、容器18内の薬草エキスや容器21内の重曹を所望量だけ浴槽2内に供給することが可能となる。また、タンク15内の湯水の昇温や浴槽2内への湯水の供給に関する制御を電子制御盤24のスイッチ操作で行うようにすることも可能である。
以下、本発明の人工炭酸泉製造装置による人工炭酸泉の臨床的効果について説明する。本発明の人工炭酸泉製造装置の能力測定方法として、上記実施例のエアレータ攪拌式人工炭酸泉製造装置の浴槽に、600mm×300mm×300mmの恒温槽を使用し、各種温度の淡水を40リットル用意し、炭酸ガス流量2.5リットル/分、時間毎(装置駆動開始後3、6、9、12、15分目と、駆動停止後15、30、45、120分後)の溶存炭酸ガス濃度を測定した。室温は、23℃、湿度50%であった。エアレータ攪拌式人工炭酸泉製造装置のモータは、100V、60Hzで駆動し、炭酸ガスを溶存させる湯水の温度は、36℃、38℃、42℃とした。また、炭酸ガス濃度の測定は、ガス圧直接測定法を使用した。
上記の条件の下で、人工炭酸泉による医学的効果の検証を健常成人男性15名(年齢22〜52歳、身長171.2±6.3cm、体重64.3±7.0kg)に対して行った。なお、これらの被験者は文書による同意をした後、実験に参加した。被験者の既往には、精神疾患や脳疾患、心理的問題などがなく、血圧も正常であった。また、同じ被験者が、3日間以上あけて3回(対照実験、人工炭酸泉足浴、淡水足浴)、同じ1日の時間帯に実験に参加した。
この実験は、室温25.0±1.0℃、相対湿度34.7±3.2%に設定した室内にて行った。被験者は、5分間の安静座位の後、30分間の足浴を行い、終了後は10分間同姿勢で各種項目を測定した。対照実験では、実験椅子に座っている状態で、足浴のふき取りなどの模擬操作を行った。足浴については、膝下10cmの場所まで、淡水または人工炭酸泉を満たした。
快適度と生理学、生化学的変化を考慮することで、足浴の至適温度と時間の関係を調査した結果により、健常成人での淡水の足部分浴は、38℃で20〜25分間が適当と推定された。また、溶存した炭酸ガスの濃度を1100±100ppmmに調整・維持して、実験を行った。
測定項目としては、次の通りである。
(1)生理学的検査として、5分毎の断続的血圧測定(脈拍)、ECG(メモリー心拍計)、レーザー組織血流計(浸水部の足背と非浸水部の左僧帽筋部)、赤外線酸素モニタ装置(組織酸素状態を非侵襲的にモニタする装置であって、前額部中央部と右僧帽筋部に対して行う)、舌下温(電子体温計を使用)、鼓膜温(耳式体温計を使用)を連続的、或いは5分や10分毎にモニタした。
(2)生化学的検査について、足浴の前、終了前、終了後10分に唾液を1分間採集し、唾液中のIgAを測定した。唾液の採取にはサリベットを使用した。
(3)心電図RR変動に関しては、MemCa1cにより周波数分析を行い、総周波数帯域TE(0.04〜0.4Hz)から、高周波数帯域成分(high frequency,HF=0.15〜0.4Hz)と低周波数帯域成分(low frequency,LF:0.04〜0.15Hz)のパワースペクトルデンシティ(PSD)を計算し、HF/(LF+HF)、LF/HFを求めて、それぞれ副交感神経系、交感神経系活動の指標として評価した。
上記の結果、本発明によるエアレータ撹枠式人工炭酸泉製造装置では、38℃、5分間程度の駆動により炭酸ガス濃度1000ppmを維持することができた。さらに炭酸ガスの放散は少なく、2時間後でも十分な炭酸ガス濃度が維持されていた。
舌下温の変化について、深部体温を舌下温により測定した結果をグラフとして図4に示す。人工炭酸泉と淡水足浴ともに入浴により上昇した。淡水の上昇幅はより大きく、対照と比べ大きい傾向が見られた(P<0.1)。淡水足浴では入浴30分目、出浴直後および出浴後10分目には入浴前と比べ有意に上昇し(P<0.05)、入浴30分目では同時刻の対照と比べ有意であった(P<0.05)。しかし、人工炭酸泉の舌下温の上昇は、淡水浴よりも有意差はないが、少ないものであった。
浸水部と非浸水部の皮膚血流量の変化をグラフとして図5に示す。浸水部として足背部には皮膚血流量の変化は対照と比べ、人工炭酸泉および淡水足浴ともに上昇した(それぞれP<0.05)。また、淡水足浴より、人工炭酸泉足浴での皮膚血流量は有意に高かった(P<0.05)。入浴5分目では淡水と人工炭酸泉の入浴前からの皮膚血流量の上昇は、ほぼ同水準で、対照より有意に高かった(P<0.05)。その後、淡水浴の血流量は横這いになり、対照より出浴後5分まで有意な高水準を維持した。一方、人工炭酸泉足浴の方は、入浴5分から入浴30分目(入浴終了の直前)までほぼ直線的に上昇し、同時刻の対照と比べ、有意であった(P<0.05)。なお、入浴10分目から入浴30分目までに人工炭酸泉足浴は、淡水足浴より浸水部の足背部の皮膚血流量は有意に高かった(P<0.05)。出浴後に人工炭酸泉足浴の浸水部の皮膚血流量は淡水足浴より特に最初の5分間に早く降下した。
副交感神経指標の変化をグラフとして図6に示す。副交感神経系活動の指標としてのHF/(LF+HF)については、LF/HFの変化図とおおむねの鏡像関係を持った。入浴前から対照実験でも徐々に降下したが、入浴30分目から出浴後10分目まで淡水足浴の方はHF/(LF+HF)の降下が大きかった。淡水足浴は出浴後5分目と10分目には入浴前より有意に低下した(それぞれP<0.05)。一方、人工炭酸泉足浴では、入浴5分目と10分目は入浴前より上昇した、特に入浴5分目は同時刻の淡水浴より有意に上昇した(P<0.05)。
前頭前野のHb代謝の変化をグラフにして図7に示す。前額部では、足浴10分目ごろから酸素化および総ヘモグロビンの増加量が対照と比べ有意に高かった(P<0.05)。淡水足浴と比べ、炭酸泉足浴30分目(P<0.05)および浴後10分目(P<0.05)には酸素化ヘモグロビンは有意に増大し、総ヘモグロビンも増大する傾向が見られた(P<0.1)。
僧帽筋部では、淡水足浴10分目ごろから酸素化および総ヘモグロビンの増加量が対照と比べ有意に高かった(P<0.05)が、炭酸泉足浴は20分目だけ酸素化ヘモグロビンが対照より有意に高かった(P<0.05)。淡水足浴と比べ、炭酸泉足浴は25分目(P<0.05)、30分目(P<0.05)および足浴後10分目(P<0.05)には酸素化と総ヘモグロビンの増加量が有意に少なかった。
以上の実験により、エアレータ攪拌式人工炭酸泉製造装置の機能は、療養泉としての効果がある1000ppmの炭酸ガス濃度をもたらすのに、40リットルの湯水(36〜42℃)に対して5分間程度しか必要でないという結果が得られた。また、装置構成に関しても、従来のモジュール攪拌式よりも小型で計量である。また、溶存炭酸ガスの放散も、120分目まで1000ppm以上を維持しており、炭酸ガスは残存していることが示された。
そのような人工炭酸泉により、1100ppmの炭酸ガスを溶存させた場合の人工炭酸泉の医学的効果を淡水浴と比較した結果、深部温は、淡水浴とほぼ同じ程度に上昇した。ただし淡水浴の方は人工炭酸泉より僅か高い傾向が見られた。浸水部の足背部の皮膚血流量は淡水足浴では、入浴5分目から入浴前より2.5倍、入浴終了前まで3.3倍に継続的に上昇した。一方、人工炭酸泉浴での足背部の皮膚血流量は入浴5分目から入浴前より3.8倍、入浴終了前まで10倍に継続的かつ累進的に上昇した。また足浴の全身循環への影響の指標の一つとして、足から離れた僧帽筋部の皮膚血流量も、人工炭酸泉では、入浴前より有意に上昇した。しかし、淡水足浴では有意な上昇ではなかった。
さらに、皮膚より深い組織における循環を、赤外線分光光度計により組織血流量の視点から観察すると、特に前額部から測定できる脳の前頭葉の酸素化ヘモグロビンは、炭酸泉浴では淡水浴よりも有意に増大しており、脳循環や代謝の促進が示唆された。一方、僧帽筋部の筋肉の代謝を測定する酸素化ヘモグロビンは、淡水浴の方が大きいものであった。このことは、人工炭酸泉が脳機能を活性化させる一方で、筋肉の代謝は低下させ休息を筋肉に与える可能性を示唆していた。
全身循環動態の重要な指標としての収縮期血圧、拡張期血圧および心拍数の変化からも足浴の全身への影響を見られた。淡水足浴の収縮期血圧は出浴後に低下し、拡張期血圧は出浴後に上昇したことに対して、人工炭酸泉足浴による収縮期血圧と拡張期血圧ともに入浴中に低下した。さらに心拍数は、淡水足浴と人工炭酸泉足浴ともに入浴の半ばから入浴前より上昇したが、人工炭酸泉足浴の方が淡水足浴より上昇幅は小さかった。
つまり炭酸泉の方が、心臓の負担が少ないことが示された。そして人工炭酸泉足浴では、末梢血管がより拡張していることが推定された。このように、人工炭酸泉足浴は心臓血管系への負担が小さく、末梢血管も拡張させる効果が高いと考えられる。
自律神経機能については、淡水足浴では、5分目から交感神経系活動が興奮して、20分目にピークになり、出浴後10分目まで高水準に維持した。一方、人工炭酸泉足浴は5分目に一旦交感神経活動が抑えられ、淡水足浴より20分間遅く上昇したが、淡水足浴より上昇幅は小さかった。副交感神経系活動については、淡水足浴では、5分目から出浴後10分目まで下がり続けたが、人工炭酸泉足浴では副交感神経系活動は入浴5分目と10分目には興奮し、その後低下したが、対照と同じ水準であった。このことから、淡水足浴は、入浴により交感神経機能が有意に緊張し、人工炭酸泉足浴により入浴の前半は副交感神経機能が有意に亢進していると推測された。人工炭酸泉足浴の後半からも交感神経機能が興奮したが、淡水足浴より交感神経活動が小さかった。つまり、人工炭酸泉足浴は淡水足浴より副交感神経系を優勢にさせる効果が高いことが、心拍変動解析から推定された。
足浴による快適さも自律神経系のリラックス効果を支持した。淡水足浴、人工炭酸泉足浴ともに入浴より被験者は快適さを感じたが、人工炭酸泉足浴の方はより快適であった。しかし、入浴20分目には快適さを少なくなり、一部の被験者はその時に全身的な熱さを感じ、また実験中に長時間拘束され、不愉快を感じたと推測できる。そして、出浴直後では、全身的な熱さに解放され、そして出浴という活動は拘束感もある程度軽減され、再び快適さを感じたと考えられる。
足浴により唾液中IgAの濃度についても、淡水足浴より人工炭酸泉足浴の方は入浴中に大きかった。唾液中IgAは、ストレスの指標であると同時に、免疫機能の指標でもある。快適性の客観的指標としても使われている。この結果、自律神経機能における副交感神経が、人工炭酸泉足浴でより優位となること、または人工炭酸泉足浴でより快適に感じる結果と一致しており、人工炭酸足浴が快適、かつリラックスさせていると考えられる。または、唾液中のIgAは口腔内免疫系が活性化されたと解釈することもできる。
人工炭酸泉(溶存炭酸ガス濃度1100±100ppmm)で、末梢血管拡張作用に基づく循環改善作用が認められたが、心拍数の上昇や体温の上昇が淡水ほど多くなく、血圧も低下するなど、体の温熱負荷や心臓の負担が少ない状態で、皮膚血流や脳血流の増加が認められた。一方、筋肉の代謝は高くならなかった。つまり体の負担が少ない状態で、循環促進効果が得られたことが、自覚的な快適感などの結果を支持するものであった。さらに、従来からの天然の炭酸泉の効果を示唆する結果が、人工炭酸泉においても得られたことから、エアレータ攪拌式人工炭酸泉製造装置の有用性が支持された。
結論として、エアレータ攪拌式人工炭酸泉製造装置は、迅速に、療養効果をもたらす炭酸泉を製造することができることが示された。療養泉の定義を満たす1000ppmの炭酸ガスを溶かし込むまで、ガス流量2.5リットル/分、40リットルの湯水に対して36〜42℃で5分程度で実現できた。そして、炭酸ガスの放散も遅いものであった。従来のモジュール攪拌型人工炭酸泉製造装置や人工肺型より、迅速で小型、安価なシステムであり、将来各家庭に普及できる可能性は高いと思われる。
さらに、本発明による人工炭酸泉は、淡水浴よりも、深部体温や心拍数、筋肉代謝をさほど上昇させなくても、皮膚や脳循環の活性化、血圧の低下、副交感神経の活性化、快適感の増進を来すことが明らかになった。人工炭酸泉が、天然の炭酸泉で知られているような健康増進や疾病の治療に有用となる可能性が強く示唆された。
本発明の人工炭酸泉製造装置は、家庭や施設等において、簡単な方法で、高濃度の炭酸ガスを含む炭酸泉を人工的に製造すると共に、薬草の医薬的効果を発揮することができるようにした人工炭酸泉製造装置として利用することが可能である。
本発明による人工炭酸泉製造装置の実施例を示す斜視図である。 本発明による人工炭酸泉製造装置に使用しているポンプ及びその周辺を示す部分斜視図である。 本発明による人工炭酸泉製造装置の自動化を実施するようにした装置の斜視図である。 本発明の人工炭酸泉製造装置による人工炭酸泉の臨床的効果について、深部体温を舌下温により測定した結果を示したグラフである。 本発明の人工炭酸泉製造装置による人工炭酸泉の臨床的効果について、浸水部と非浸水部の皮膚血流量の変化を示したグラフである。 本発明の人工炭酸泉製造装置による人工炭酸泉の臨床的効果について、副交感神経指標の変化を示したグラフである。 本発明の人工炭酸泉製造装置による人工炭酸泉の臨床的効果について、前頭前野のHb代謝の変化を示したグラフである。
符号の説明
1 人工炭酸泉製造装置
2 浴槽
3 ポンプ
3a 吐出口
3b 吸引口
4 湯水
5 炭酸ガスの気泡
6 容器
7 ヒータ
8 薬草エキス
9 外枠
10 桶
11 天板
12 細孔
13 多孔板
14 投入口
15 タンク
16 容器受皿
17 排水口
18 薬草用の容器
19 管路
20 開閉弁
21 重曹用の容器
22 管路
23 開閉弁
24 電子制御盤
25 給水管
26 給水口

Claims (3)

  1. 浴槽内に供給した湯水を該浴槽に設けた循環式ポンプで循環しながら浴槽内の湯水に重曹を混入し、湯水の循環による水流で重曹を撹拌することによって湯水中に炭酸ガスを発生させると共に、容器内にヒータを設けて昇温した液中に薬草を投入してなる薬草エキスを浴槽内の湯水に混入するようにしたことを特徴とする人工炭酸泉製造装置。
  2. 多数の細孔を設けてなる多孔板で循環式ポンプを包囲すると共に、該ポンプの吐出口を多孔板から突出した構成とし、多孔板の各細孔からポンプに吸引した湯水を吐出口から吐出することによって浴槽内を循環させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の人工炭酸泉製造装置。
  3. 循環式ポンプは、内蔵された羽根をモータで回転することによって吸引口から吸引された水を撹拌しながら吐出口より吐出するエアレータ型循環式ポンプであることを特徴とする請求項1又は2記載の人工炭酸泉製造装置。
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