JP2009283059A - 磁性塗料の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便に塗料中の磁性粉末の充填度を評価することができ、磁性粉末の充填度の高い磁性層を形成できる磁性塗料の評価方法を提供することを目的とする。
【解決手段】磁性粉末を含む磁性塗料の評価方法であって、前記磁性粉末を特定の方向に配向させることなく前記磁性塗料を固体化して固体化磁性塗料を得る固体化工程と、前記固体化磁性塗料の保磁力を測定する保磁力測定工程と、を含み、得られた前記保磁力に基づいて前記磁性塗料の分散性を評価することを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は磁性塗料の評価方法に係わり、さらに詳しくは磁性塗料中の磁性粉末の分散性の評価方法に関する。
支持体上に磁性粉末を含む磁性塗料を塗布し磁性層を形成して得られる磁気記録媒体は、高容量化にともない記録波長の短波長化、トラック幅の短幅化、磁性層の薄層化により磁性層からの再生出力は減少する傾向にあり、再生出力の大きな磁気記録媒体が望まれている。磁性層から再生出力を大きくするためには、飽和磁化量の大きな磁性粉末を用い、この磁性粉末を磁性塗料中に可能な限り多量に含ませ、良好に分散させて、磁性層中に限り多量に磁性粉末を含ませることが必要となる。記録再生特性の優れた磁気記録媒体を得るためには、磁性塗料の分散性を評価して、分散性の良好な磁性塗料を用いて磁性層を形成することが不可欠である。
従来、磁性塗料の分散性の評価方法としては製品の製造前に、支持体上に簡便なアプリケータで磁性層を形成し、その磁性層の磁気特性や表面の平滑性を測定して磁性塗料の分散性を評価するのが一般的であった。また、磁性塗料の流動性から分散性を評価する方法(特許文献1)、磁性塗料を直接磁気測定して分散性を評価する方法(特許文献2)、一定の目開きを有する篩い網に磁性塗料を強制的に通して、その目詰まり性から分散性を評価する方法(特許文献3)などが提案されている。
特開平9−310035号公報 特開平5−128483号公報 特開平5−54382号公報
しかしながら、磁性層を試し塗りしてその磁性層の磁気特性や平滑性を測定する方法では、分散性の一つの目安である磁性粉末の配向性や平滑性は評価できるものの、磁性層の体積を正確に測定することが比較的困難であるために、磁性層の単位体積当たりの磁性粉末の含有量(以下、充填度ともいう)を評価することは困難であった。
また、特許文献1の方法は、レオロジー的な観点から塗料の分散性を評価しようとするもので、マクロ的に塗料の分散性は評価できるものの、塗料中の磁性粉末の充填度を評価するものではなかった。特許文献2の方法は塗料中の磁性粉末の配向性を分散性の指標とするもので、同じく塗料中の磁性粉末の充填度を評価するものではなかった。特許文献3の方法は、塗料中の凝集物の量により塗料の分散性を評価するもので、やはり同じく塗料中の磁性粉末の充填度を評価することはできない。
本発明では、簡便に塗料中の磁性粉末の充填度を評価することができ、磁性粉末の充填度の高い磁性層を形成できる磁性塗料の評価方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、磁性塗料の分散性の中の特に充填度の評価方法について、鋭意検討を重ねた結果、磁性塗料の評価方法を下記の構成とすることにより、簡便にかつ正確に磁性塗料の分散性を評価できることを見いだし、本発明をなすに至った。
すなわち、磁性粉末を含む磁性塗料の評価方法であって、前記磁性粉末を特定の方向に配向させることなく前記磁性塗料を固体化して固体化磁性塗料を得る固体化工程と、前記固体化磁性塗料の保磁力を測定する保磁力測定工程と、を含み、得られた前記保磁力に基づいて前記磁性塗料の分散性を評価することを特徴とする。
磁性塗料の磁気特性を測定する際に、磁性粉末を特定の方向に配向させることなく固体化するために、磁性粉末の配向による保磁力への影響を排除でき、保磁力を測定することにより磁性塗料中の磁性粉末の充填度を評価することができる。
ある一定の体積内の磁性粉末の量を増加させる(充填度を高くする)と、その体積内において磁性粉末粒子相互の距離が小さくなり、個々の磁性粉末粒子の磁気エネルギーの相互干渉が大きくなるので、自己減磁作用により、その体積内の磁性粉末総体の保磁力は磁性粉末粒子の本来の保磁力よりも小さくなる。一方各磁性粉末粒子の磁化容易軸の方向を同じ方向に揃えてやる(配向させる)と、各磁性粉末粒子の磁気エネルギーが同じ方向に揃うので、その体積内の磁性粉末総体の保磁力は磁性粉末粒子の本来の保磁力に近づき、磁化容易軸が無秩序に諸方向に向いて磁性粉末粒子が存在している場合に比較して大きくなる。この場合、ある一定の体積内の磁性粉末の量を変化させても磁性粉末総体の保磁力は変化しない。
すなわち、磁化容易軸が無秩序に諸方向に向いて磁性粉末粒子が存在している(以下、無配向ともいう)場合には、磁性粉末総体の保磁力とある一定の体積内の磁性粉末の量(充填度)とが相関関係にあるので、磁性粉末総体の保磁力を測定することにより、磁性粉末の充填度を評価することが可能になる。
以上説明した原理に基づいて本発明の磁性塗料の評価方法を行うので、保磁力の測定を行う試料は磁性粉末粒子がその磁化容易軸が無秩序に諸方向に向いて存在していることが好ましい。例えば、支持体上に簡便なアプリケータで磁性層を形成し、乾燥させた後にその磁性層の磁気特性を測定する方法では、一般の磁性粉末は針状形状をしており、針状方向に磁化容易軸があるので、磁性粉末粒子は塗布時に塗布方向に配向し、乾燥時に塗膜の厚さ方向に体積収縮が起こり面内方向に配向してしまうので、本発明の磁性塗料の評価方法の試料作成方法としては好ましくない。
磁性塗料に含まれる磁性粉末としては、特に限定されず、針状や米粒状の強磁性鉄系金属磁性粉末や粒状の窒化鉄磁性粉末,板状の六方晶Ba−フエライト磁性粉末等の従来公知の磁性粉末が用いられる。本発明の磁性塗料の評価方法によれば、特に磁性粉末粒子の形状が針状、米粒状、板状などの異方性のある形状であっても、容易に無配向の測定試料が得られるので、磁性粉末粒子の形状に限定されることなく、磁性塗料の評価を行うことができる。
強磁性鉄系金属磁性粉末の平均粒子径としては、10〜60nmの範囲にあるのが好ましく、15〜45nmの範囲がより好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が10nm未満では、保磁力が低下したり、粒子の表面エネルギーが大きくなって分散が困難になったり、平均粒子径が60nmを越えると粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなるために、得られる磁気記録媒体の電磁変換特性が低下する場合があるからである。強磁性鉄系金属磁性粉末の保磁力は、160〜320kA/m(2010〜4020Oe)が好ましく、200〜300kA/m(2515〜3770Oe)がより好ましい。飽和磁化量は、60〜200A・m/kg(60〜200emu/g)が好ましく、80〜180A・m/kg(80〜180emu/g)がより好ましい。
強磁性鉄系金属磁性粉末のBET比表面積は、35m/g以上が好ましく、40m/g以上がより好ましく、50m/g以上が最も好ましい。通常100m/g以下である。
強磁性鉄系金属磁性粉末には、Mn、Zn、Ni、Cu、Coなどの遷移金属を合金として含ませてもよい。その中でも、Co、Niが好ましく、とくにCoは飽和磁化を最も向上できるので、好ましい。上記の遷移金属元素の量としては、鉄に対して、5〜50原子%とするのが好ましく、10〜30原子%とするのがより好ましい。また、イツトリウム、セリウム、イツテルビウム、セシウム、プラセオジウム、サマリウム、ランタン、ユ―ロピウム、ネオジム、テルビウムなどから選ばれる少なくとも1種の希土類元素を含ませても良い。その中でも、セリウム、ネオジムとサマリウム、テルビウム、イツトリウムを用いたときに、高い保磁力が得られ好ましい。希土類元素の量は鉄に対して0.2〜20原子%、好ましくは0.3〜15原子%、より好ましくは0.5〜10原子%である。
窒化鉄磁性粉末は,公知のものを用いることができ,形状は針状の他に球状や立方体形状などの不定形のものを用いることができる。粒子径や比表面積については磁気記録用の磁性粉末としての要求特性をクリアするためには,限定した磁性粉末の製造条件とすることが必要である。
窒化鉄磁性粉末の保磁力は、160〜320kA/m(2010〜4020Oe)が好ましく、200〜300kA/m(2515〜3770Oe)がより好ましい。飽和磁化量は、60〜200A・m/kg(60〜200emu/g)が好ましく、80〜180A・m/kg(80〜180emu/g)がより好ましい。
窒化鉄磁性粉末の平均粒子径としては、5〜20nmが好ましく、10〜17nmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が5nm未満となると、保磁力が低下したり、粒子の表面エネルギーが増大するため塗料中での分散が困難になったり、平均粒子径が20nmより大きいと、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなるためである。また、窒化鉄磁性粉末の磁性粉末のBET比表面積は、60m/g以上が好ましく、70m/g以上がより好ましく、80m/g以上が最も好ましい。通常250m/g以下である。
また、前記強磁性鉄系金属時性粉末、窒化鉄磁性粉末をAl,Si,P,Y,Zrまたは、これらの酸化物で表面処理して使用してもかまわない。
六方晶Ba−フエライト磁性粉末の保磁力は、120〜320kA/mが好ましく、飽和磁化量は、40〜60A・m/kg(40〜60emu/g)が好ましい。また,粒径(板面方向の大きさ)は10〜30nmが好ましく、10〜25nmがより好ましく、10〜20nmがさらに好ましい。粒径が10nm未満となると、粒子の表面エネルギーが増大するため塗料中への分散が困難になり、30nmを越えると、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなる。また、板状比(板径/板厚)は2以上が好ましく、3以上がより好ましい。また、六方晶Ba−フエライト磁性粉のBET比表面積は、50〜180m/gが好ましく用いられる。
なお、これらの強磁性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場1273.3kA/m(16kOe)での測定値をいうものである。
上記の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した写真から各粒子の最大径(針状粉では長軸径、板状粉では板径)を実測し、100個の平均値により求めたものである。
上記の各種磁性粉末の好ましい粒子径は、微粒子領域に属すもので、通常の塗料製造に当たっては、磁性粉末を十分分散させて、磁性塗料中に高充填することは、比較的困難で、磁性塗料の製造途上で、磁性粉末の塗料中での分散状態をチェックすることは非常に重要である。この観点からも本発明の磁性塗料の評価方法は有用である。
磁性粉末を特定の方向に配向させることなく磁性塗料を固体化して、無配向の固体化磁性塗料を得る固体化工程としては、従来公知の方法を用いることができるが、例えば次に挙げる方法を用いることができる。
(1)スプレードライヤー法
乾燥室中に評価用の磁性塗料をノズルから噴霧して、微粒液滴化させ、それを高温気流と接触させて溶媒を蒸発させて瞬間的に微粉末状に乾燥を行い、得られた乾燥磁性塗料粉末をカプセルに詰めて保磁力の測定用の試料とする。
(2)凍結乾燥方法
所定量の評価用の磁性塗料を凍結させた後に減圧乾燥し、保磁力の測定用の試料とする。
(3)貧溶媒による沈殿法
所定量の評価用の磁性塗料を、磁性塗料中に含まれる樹脂に対して貧溶媒となる溶媒中と混合し、撹拌後、沈殿した塗料を乾燥し、保磁力の測定用の試料とする。
中でも、簡便にできる方法としては、貧溶媒による沈殿法が好ましい。貧溶媒としては、磁性塗料に用いられる溶媒と可溶で、磁性塗料に用いられている結合剤樹脂を溶解させない溶媒を用いる。磁性塗料に用いられる溶媒は、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の磁性塗料に用いられている結合剤樹脂をよく溶解する、溶解性パラメータ(SP値)が、8.5〜10.5(cal/cm1/2の範囲の溶媒が用いられるが、貧溶媒としてはこれらの範囲外で、これらの溶媒と可溶で、結合剤樹脂を溶解させない溶媒を用いることができる。このような溶媒としては、n−ヘキサン(SP値=7.3)、ジエチルエーテル(SP値=7.4)、ジメチルスルホキシド(SP値=12.0)、エタノール(SP値=12.7)、メタノール(SP値=14.5)等が挙げられる。
試料が無配向であるかどうかの確認は、測定試料をX、Y、Zの各軸の方向の磁気特性を測定することにより行える。各方向の角形の差が0.05以下であると、測定用試料として好ましい。
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実験例に限定されるものではない。なお、実験例中の部は、重量部である。また、実験例中の平均粒子径は、数平均粒子径である。
実験例1:
<磁性塗料成分>
(1)a成分
強磁性鉄系金属磁性粉末 100重量部
(Al−Y−Fe−Co)〔σs:120Am/kg(120emu/g)
Hc:194.6kA/m(2445Oe)Br/Bm=0.535 平均粒子径:45nm〕
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合樹脂 17重量部
ポリエステルポリウレタン樹脂 6重量部
粒状アルミナ粉末(平均粒子径:0.2μm) 10重量部
メチルアシッドフォスフェート 4重量部
メチルエチルケトン 4重量部
トルエン 4重量部
テトラヒドロフラン 8重量部
(2)b成分
メチルエチルケトン 11重量部
シクロヘキサノン 12重量部
(3)c成分
メチルエチルケトン 27重量部
シクロヘキサノン 26重量部
(4)d成分
パルミチン酸アミド 2重量部
ステアリン酸アミド 2重量部
シクロヘキサノン 60重量部
(5)e成分
ポリイソシアネート 6重量部
メチルエチルケトン 20重量部
シクロヘキサノン 160重量部
トルエン 20重量部
上記の磁性塗料成分のうち、まず、a成分を、高速攪拌混合機にて、予め高速混合しておき(混合工程)、その混合粉末にb成分を加え、固形分濃度78重量%で、バッチ式ニーダを用いて、ブレード11を低速回転(30rpm)させながら1時間混練した。混練時の最大トルクは、15.5N・mであった。その後、c成分を5分割して5回に分けて、1時間かけて加えて、ブレードを高速回転(45rpm)させながら固形分濃度を60重量%まで希釈した。その後、希釈物をニーダから取り出し、高速撹拌羽の付いたタンク内でd成分を加えてさらに希釈し、固形分濃度を40重量%まで希釈し希釈塗料を得た。
希釈塗料をナノミル(浅田鉄工社製)にて滞留時間60分で分散を行った。最後に、e成分を加えて攪拌し配合を行い、磁性塗料を得た。
上記希釈塗料を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる非磁性支持体上に、乾燥後の厚さが3μmになるようにアプリケータで塗布し、磁場配向(N−N対向磁石(398kA/m)処理をしたもの、しないものを作製し、乾燥して希釈塗料評価用磁気シートを作製した。作製した磁気シートは、磁場配向処理したものを希釈塗料評価3の試料として、磁場配向処理しないものを希釈塗料評価2の試料とした。
また、上記磁性塗料を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる非磁性支持体上に、乾燥後の厚さが3μmになるようにアプリケータで塗布し、磁場配向(N−N対向磁石(398kA/m)処理をして乾燥し磁性塗料評価用磁気シートを作製した。作製した磁気シートは最終磁気シート評価用試料とした。
また、上記評価用磁気シートの作製とは別に、希釈塗料を容器に約1gサンプリングし、メタノール液50mlを加え、すばやくミキシングし希釈塗料沈殿物を作製した。希釈塗料沈殿物を回収し乾燥し前述した沈殿法で希釈塗料評価用の磁気粉末を作製した。作製した磁気粉末は希釈塗料評価1の試料とした。
実験例2〜4、混練時の固形分濃度を、表1に示したように変化させて、混練時の最大トルクを変化させた以外は、実験例1と同様にして評価用の各磁気シート、磁気粉末を作製した。
〈磁気特性〉
希釈塗料評価1、2用の磁気シートに、外部磁場0.8MA/m(10kOe)をかけ、常法に従って、面内塗布方向(X軸)、面内塗布方向と直角の方向(Y軸)、塗布面に垂直な方向(Z軸)の各保磁力(Hc)および角型(Br/Bm)を測定した。磁性塗料評価用磁気シートも同様にして、X軸方向の角型、最大飽和磁束密度(Bm)を測定した。希釈塗料評価3用の磁気粉末は、カプセルに入れて直交する3軸の磁気特性を測定しX、Y、Z軸とした。測定には、東英工業製の試料振動型磁束計VSM−P7を用いた。
表1及び図1〜5に評価結果を示した。
図1に、混練時の固形分濃度と最大トルクとの関係を示した。表1及び図1から分るように、混練時の固形分濃度を高くすると混練物に加えられるトルクが大きくなることが分る、これにより固形分濃度の高い混練物には大きな剪断力が加えられ、磁性粉末の充填度が高くなる。
図2に、沈殿法により希釈塗料から得た磁気粉末(希釈塗料評価1の試料)から測定した、最大トルクと保磁力(Hc)との関係を及び、最大トルクと角型(Br/Bm)との関係を示した。
表1及び図2(b)から分るように、沈殿法により得た磁気粉末の角型は、X軸、Y軸方向では、ほぼ同等で、Z軸方向でやや小さくなる傾向があるが、その差は0.05以下で、ほぼ無配向の試料になっているといえる。また、固形分濃度を変えることにより、最大トルクを変えて混練した場合においても角型はほとんど変化しない、したがって、保磁力の配向依存性の影響が排除できる。表1及び図2(a)から分るように、固形分濃度を変えることにより、最大トルクを変えて混練したものは保磁力(Hc)が低下し、充填度が上がっていることが分る。
図3に、塗布法により希釈塗料を非磁性支持体に塗布して磁場配向をせずに得られた磁気シート(希釈塗料評価2の試料)から測定した、最大トルクと保磁力(Hc)との関係を及び、最大トルクと角型(Br/Bm)との関係を示した。
表1及び図3(b)から分るように、磁場配向なしの塗布法により得た磁気シートの角型は、X軸、Y軸方向では、ほぼ同等であるものの、Z軸方向で小さくなった。その差は0.3以上あり、X軸、Y軸方向とZ軸方向については異方性があり、無配向の試料とはいえなかった。また、固形分濃度を変えることにより、最大トルクを変えて混練した場合において、X軸、Y軸方向について角型の増加、Z軸方向については角型の減少が見られ、配向性が向上していることが分る。このため、表1及び図3(a)から分るように、固形分濃度を変えることにより、最大トルクを変えて混練したものは保磁力(Hc)がほぼ一定となった。充填度が上がっているものの、配向性も上がっているために、充填度の向上によるHcの低下と配向性の向上によるHcの上昇とが相殺された結果となった。
図4に、塗布法により希釈塗料を非磁性支持体に塗布して塗布方向に磁場配向を行って得られた磁気シート(希釈塗料評価3の試料)から測定した、最大トルクと保磁力(Hc)との関係を及び、最大トルクと角型(Br/Bm)との関係を示した。
表1及び図4(b)から分るように、塗布方向に磁場配向を行って塗布法により得た磁気シートの角型は、X軸、Y軸、Z軸方向のそれぞれで異なり、X軸、Y軸、Z軸方向の順に大から小へと並んだ。それぞれの差は0.1以上あり、X軸、Y軸、Z軸の各方向に異方性があり、無配向の試料とはいえなかった。また、固形分濃度を変えることにより、最大トルクを変えて混練した場合において、X軸方向について角型の増加が見られ、配向性が向上していることが分る。このため、表1及び図4(a)から分るように、固形分濃度を変えることにより、最大トルクを変えて混練したものは、X軸方向については保磁力(Hc)が上昇し、Y軸、Z軸方向については保磁力(Hc)が低下した。充填度が上がっているものの、X軸方向の配向性の上がりがそれを上回ったために、X軸方向については、Hcが上昇する結果となった。
図5に、沈殿法により希釈塗料から得た磁気粉末(希釈塗料評価1の試料)から測定したX軸方向の保磁力(Hc)と磁性塗料評価用磁気シート(最終磁気シート評価用試料)から測定したX軸方向の最大飽和磁化量(Bm)との関係を示す。図から分るように、沈殿法により希釈塗料から得た磁気粉末から測定した保磁力(Hc)を測定することにより、最終磁性塗料から作製した磁気シートの最大飽和磁束密度(Bm)(磁性塗膜単位体積あたりの飽和磁化量で、単位体積あたりの磁性粉末密度を示す)を予測することができる。
以上の結果から分るように、各方向に無配向でない試料の場合には、配向の程度により、磁性粉末の充填度が向上しても、保磁力(Hc)の変化は、まちまちで、必ずしも充填度の指標にはならないが、各方向に無配向な試料を作製すれば、Hcを測定することにより充填度の指標とすることができることが分る。


























Figure 2009283059
混練時の固形分濃度と最大トルクとの関係を示したグラフである。 (a)沈殿法により希釈塗料から得た磁気粉末(希釈塗料評価1の試料)から測定した、最大トルクと保磁力(Hc)との関係を示したグラフである。(b)沈殿法により希釈塗料から得た磁気粉末(希釈塗料評価1の試料)から測定した、最大トルクと角型(Br/Bm)との関係を示したグラフである。 (a)塗布法により磁場配向処理をせずに希釈塗料から作成した磁気シート(希釈塗料評価2の試料)から測定した、最大トルクと保磁力(Hc)との関係を示したグラフである。(b)塗布法により磁場配向処理をせずに希釈塗料から作成した磁気シート(希釈塗料評価2の試料)から測定した、最大トルクと角型(Br/Bm)との関係を示したグラフである。 (a)塗布法により磁場配向処理を行って希釈塗料から作成した磁気シート(希釈塗料評価3の試料)から測定した、最大トルクと保磁力(Hc)との関係を示したグラフである。(b)塗布法により磁場配向処理を行って希釈塗料から作成した磁気シート(希釈塗料評価3の試料)から測定した、最大トルクと角型(Br/Bm)との関係を示したグラフである。 沈殿法により希釈塗料から得た磁気粉末(希釈塗料評価1の試料)の保磁力(Hc)と磁性塗料から作製された評価用磁気シート(最終磁気シート評価用試料)の最大飽和磁化量(Bm)との関係を示したグラフである。

Claims (3)

  1. 磁性粉末と結合剤樹脂と溶媒とを含む磁性塗料の評価方法であって、
    前記磁性粉末を特定の方向に配向させることなく前記磁性塗料を固体化して固体化磁性塗料を得る固体化工程と、
    前記固体化磁性塗料の保磁力を測定する保磁力測定工程と、を含み、得られた前記保磁力に基づいて前記磁性塗料の分散性を評価することを特徴とする磁性塗料の評価方法。
  2. 前記固体化工程が、前記磁性塗料を、前記結合剤樹脂を溶解させず、前記溶媒と可溶な貧溶媒と混合し、撹拌後、沈殿した塗料を乾燥する工程であることを特徴とする請求項1に記載の磁性塗料の評価方法。
  3. 前記磁性粉末の平均粒子径が、5〜60nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性塗料の評価方法。
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