JP2009282288A - 偏波もつれあい光子対生成装置 - Google Patents

偏波もつれあい光子対生成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009282288A
JP2009282288A JP2008134147A JP2008134147A JP2009282288A JP 2009282288 A JP2009282288 A JP 2009282288A JP 2008134147 A JP2008134147 A JP 2008134147A JP 2008134147 A JP2008134147 A JP 2008134147A JP 2009282288 A JP2009282288 A JP 2009282288A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polarization
photon
photon pair
pair
optical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008134147A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihiro Nanbu
芳弘 南部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP2008134147A priority Critical patent/JP2009282288A/ja
Publication of JP2009282288A publication Critical patent/JP2009282288A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

【課題】 量子暗号鍵配付システムの光源として有用な、光子対生成効率が高く、特殊部品の調達が必要なく、装置の調整や制御の手間が少ない、偏波もつれあい光子対の生成装置を提供する。
【解決手段】 本発明の偏波もつれあい光子対の生成装置は、適切に配置された1つのタイプI非線形光学結晶と偏波ビームスプリッターをカスケードに光学接続し、簡便な構成により偏波もつれあい光子対を生成することをその特徴とする。また、その調整ならびにもつれあい光子対の生成確認のための装置を具備することを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光通信により暗号秘密鍵を共有する量子暗号鍵配付システムの光源として有用な、偏波状態もつれあい光子対を生成する装置に関する。
インターネットの爆発的普及、電子商取引の実用化を迎え、通信の秘密保持・改竄防止や個人の認証など暗号技術の社会的な必要性が高まっている。
現在、DES(データ暗号化規格:Data Encryption Standard)暗号のような共通鍵方式やRSA(R. Rivest、A. Shamir、L. Adelman)暗号のような共通鍵方式やRAS暗号をはじめとする公開鍵方式が広く用いられている。しかし、これらは「計算量的安全性」にその基盤を置いている。
つまり、現行の暗号方式は計算機ハードウェアと暗号解読アルゴリズムの進歩に常に脅かされている。特に銀行間のトランザクションや軍事・外交にかかわる情報などの極めて高い安全性が要求される分野では原理的に安全な暗号方式が実用になればそのインパクトは大きい。
情報理論で無条件安全性が証明されている暗号式にワンタイムパッド法がある。ワンタイムパッド法は通信文と同じ長さの暗号鍵を用い、暗号鍵を1回で使い捨てることが特徴である。
非特許文献1で、現在BB84プロトコルとして広く知られている、ワンタイムパッド法に使用する暗号秘密鍵を安全に配送する具体的なプロトコルがベネット(Bennett)らによりはじめて提案された。これを契機に量子暗号の研究が盛んになっている。
量子暗号は物理法則が暗号の安全性を保証するため、計算機の能力の限界に依存しない究極の安全性保証が可能になる。現在検討されている量子暗号は鍵情報を単一光子のとりうる状態にエンコードして順次伝送することにより、盗聴行為を検出するとともに、統計的処理により鍵データから盗聴情報を消去することを安全性の基盤としている。
非特許文献1に記載されているような、理論的にその安全性が証明されている量子暗号装置では、2次元自由度を持つ系の2つの区別可能な状態とそのコヒーレントな重ね合わせ状態を利用して秘密鍵が安全に伝送される。このような重ね合わせ状態を含む量子状態は、情報通信への応用の観点からは量子情報と呼ばれる。
量子情報を担う系は量子ビットと呼ばれ、それは数学的にはスピン1/2系と等価である。以下、スピン1/2系に関する用語を用いて従来の量子暗号装置を記述するが、担体系としてはどのような種類の量子力学的二準位系を用いてもよい。
量子暗号装置では非特許文献1に記載されているように、送信者Aliceは各々の量子ビットに変調すべき状態をx基底(σx演算子の固有状態:|0〉、|1〉)とz基底(σz演算子の固有状態:|+〉、|−〉)のどの状態にエンコードするかをアトランダムに選択し、それに従って変調を施した量子ビットを受信者Bobに送付する。
状態|0〉および|+〉はビット値0を表し、状態|1〉および|−〉はビット値1を表すものと取り決める。x基底の状態とz基底の状態は相補的状態と呼ばれ、個別の量子ビットについて両者を同時に誤りなく決定できるいかなる測定手段も存在しない。
これは、[σx,σz]≠0であること、すなわち、個々の量子ビットについてσxとσz同時固有状態は存在せず、両方の変数の同時固有値は存在しないという量子力学の原理の反映である。σxとσzのような非可換な変数を相補的あるいは共役な変数と呼ぶ。
以降、これらの4つの非直交状態を(基底とビット値のタグを付けて)アトランダムに準備することをBB84状態の準備と呼ぶ。
受信者Bobは送信者Aliceから受け取った量子ビットについて、アトランダムにσx(x基底)とσz(z基底)のどちらの相補的オブサーバブルのビット値を測定するかを選択し、個別に射影測定を行う。
このように、4つの非直交状態をアトランダムに射影測定し(基底とビット値のタグを)記録することをBB84状態の測定と呼ぶ。もし、受信者Bobの測定基底が送信者Aliceの準備状態の基底と整合する場合には、測定されたビット値は送信者Aliceの送ったビット値と完全に一致する。不整合の場合は、両者のビット値は完全に非相関である。
送信者Aliceと受信者Bobは基底の整合した量子ビットに関する準備および測定データのみを抽出し、そのビット値データからなるランダムビット列を秘密鍵として用いる。いかなる盗聴行為も、秘密鍵データに有限のエラーを生じさせるため、送信者Aliceと受信者Bobは鍵データのアンサンブルからサンプリングしたサブアンサンブルを用いて鍵データのエラーの程度を評価することにより、盗聴者への情報漏洩量の上限を把握することができる。
送信者Aliceと受信者Bobは盗聴者への情報漏洩量上限に相当する鍵データ長を短縮することにより、証明可能な安全性を持つ秘密鍵を共有することができる。
その後、非特許文献2に記載されているような、EPR相関と呼ばれる量子相関をベースにした量子暗号の方式が提案され、非特許文献1の方式と同様の安全性を持つことが示された。
非特許文献2に記載されている方式では、送信者Aliceは最大量子相関状態に準備された2量子ビットペアのアンサンブルを準備する。最大量子相関状態は2量子ビットの協同変数
Figure 2009282288
および
Figure 2009282288
の同時固有状態である。ここで、
Figure 2009282288
は2を法とする和であり、
Figure 2009282288
は送信者Aliceのσxの測定ビット値と受信者Bobのσxの測定ビット値のパリティを表す。このことは[σx,σz]≠0であることとは矛盾しない。なぜならば、
[σx,σz]+[σz,σx]=0から
Figure 2009282288
となるからである。送信者Aliceはそれぞれのペアのうち1量子ビットを順次受信者Bobに送付する。それぞれのペアに属する光子について送信者Aliceと受信者Bobは独立にアトランダムにσx(x基底)とσz(z基底)のどちらのオブサーバブルのビット値を測定するかを選択し、ローカル測定を行う。
送信者Aliceの量子ビットのローカル変数σxやσzおよび受信者Bobの量子ビットのローカル変数σxやσzは事前に確定しておらず、それらの測定結果は基底の選択によらずランダムで予測不可能である。しかしながら、2量子ビットの協同変数
Figure 2009282288
および
Figure 2009282288
は送信者Aliceが準備したEPR状態に依存する既知の値に事前に確定しており、それらの測定値は確定的に予測可能である。言い換えれば、送信者Aliceと受信者Bobの測定基底が整合した場合、観測ビット値は予め確定したパリティ値を持つ。
従って、送信者Aliceが準備したEPR状態が公知であり、送信者Aliceと受信者Bobの測定基底が整合した場合には、自らの測定結果と予め確定しているパリティ値をから他者の測定結果を知ることが出来る。
上記のようにして送信者Aliceと受信者Bobは測定基底の整合したデータセットのみを抽出することにより、秘密鍵として使用可能な乱数データを共有することが可能である。このような方法でエラーフリーの乱数データ共有が可能であるのは、送信者Aliceと受信者Bobの共有する2量子ビットペアが最大量子相関状態にある場合に限る。
いかなる盗聴行為も2量子ビットペアにアンシラを量子相関させる行為になり、2量子ビットペアを最大量子相関状態から混合状態に変化させ、共有した鍵データにエラーを誘発する。前述と同様に、送信者Aliceと受信者Bobは鍵データのアンサンブルからサンプリングしたサブアンサンブルを用いて鍵データのエラーの程度を評価することにより、盗聴者への情報漏洩量の上限を把握することができる。
送信者Aliceと受信者Bobは盗聴者への情報漏洩量上限に相当する鍵データ長を短縮することにより、証明可能な安全性を持つ秘密鍵を共有することができる。ここまで、鍵配付に用いる2量子ビットペアは送信者Aliceが準備するという前提で記述してきたが、この前提は不要であり、それは送信者Aliceと受信者Bob以外の第3者であっても差し支えない。この場合、第3者も盗聴者同様いかなる鍵情報も得ることは出来ない。
上述の非特許文献1および非特許文献2に開示された量子暗号の方式は、理想的な場合には等価な安全性強度を有し、その性能は対等である。しかしながら、現状の技術水準ではそのような理想的条件を満足することは難しい。例えば、非特許文献1の方式に用いるべき光子は光子数揺らぎのない単一光子である。このような単一光子を発生する光源は目下のところ研究段階であるため、代用として微弱レーザーパルス光が用いられる。
微弱レーザーパルス光では有限の光子数の揺らぎがあるため、ある確率で二個以上の光子を含む光パルスに同一の鍵情報がエンコードされる可能性がある。このとき、盗聴者は配信中の単一光子パルスは排除し、複数光子パルスのうち一光子を観測して他の光子を通過させれば、盗聴の痕跡を検知されることなく完全な鍵情報を得ることができる。
盗聴行為に対する上記のような脆弱性の解決策として、非特許文献3や4に示される、“デコイ(おとり)手法”が発明され、実装された。この方法では、鍵情報に基づく変調に加えて数種の強度のランダム変調を行った光パルスを伝送し、強度毎の光子受信確率を分析することにより盗聴者による光子抜き取り型の盗聴攻撃を検知すると同時に、漏洩盗聴量を把握し、安全な鍵データを抽出する。
光子受信確率を分析により、光源の非理想性は解決することができるが、現在のところ解決が難しい問題として光子検出器の暗雑音がある。主に熱的な効果により、光子検出器ではある確率で暗雑音が発生する。このうち1/4が生成鍵のエラーとなって検出される。これによるエラーは盗聴痕跡であるエラーと見分けがつかないため、安全性確保のため犠牲となる鍵データが発生する。この問題のため、安全な鍵配送が可能な伝送距離は制約を受ける。現状では鍵伝送距離はデコイ手法を併用しても200km以下である。
一方、非特許文献2の方式では暗雑音の問題が大幅に緩和される。これは、非特許文献1の方式が一光子の伝送並びに検出に基づくため、暗雑音の頻度が光子検出器の暗雑音確率に比例するのに対して、非特許文献2の方式は、二光子の同時到着事象のみを鍵生成に用いるため、暗雑音の頻度が光子検出器の暗雑音確率の積に比例するためである。このため、非特許文献2の方式は長距離の鍵配送に適している。また、この方法は、量子相関を持った光子対の配送に基づく量子中継技術との整合性がよいという将来的な展望も有する。
以上のような観点から、非特許文献2の量子暗号鍵配付方式の開発がすすめられている。この方式におけるキーデバイスは、量子相関を持った光子対を生成可能な光源である。このような光源を実現する方法としては、パラメトリック下方変換を用いた光子対光源を用いるのが現状では一般的である。特に偏波基底を用いた量子暗号鍵配付で必要となる偏波もつれあい光子対生成においては、
方法1.タイプII非線形光学結晶を用いる方法
方法2.タイプI非線形光学結晶を2つ使う方法
が多くの場合利用される。非特許文献5に示される方法は方法1の代表例である。この方法では、タイプIIと呼ばれる光学カットが施された非線形光学結晶を短波長のレーザー光源で励起し、パラメトリック下方変換過程により互いに偏波が直交する光子対を生成する。これらの光子対はそれぞれの偏波方向に依存して異なる方向に出射されるが、両者が共に出射されうる共通の方向が存在する。この方向に出射された光子対に関しては、その偏波方向が原理的に把握できず、偏波のもつれ合った状態となる。
非特許文献6−7には2の方法2の代表例が示されている。
非特許文献6では、光学軸が直交するように貼り合わせたタイプIの光学カットが施された2枚の非線形光学結晶の薄片を短波長のレーザー光源で同時励起し、パラメトリック下方変換過程により偏波が揃った光子対を生成する方法が示されている。それぞれの薄片で生じる光子対の偏波は揃っているが、異なる薄片から生じる光子対の偏波方向は直交する。光子対が2つの薄片のどちらから生じたかが原理的に把握できないため、偏波のもつれ合った光子対が生成する。
非特許文献7では、マッハツェンダー干渉系を構成する二つの腕に配置された互いに光学軸の直交するタイプI非線形光学結晶を短波長のレーザー光源で同時励起し、パラメトリック下方変換過程により互いに偏波が直交する光子対を生成し、これをビームスプリッター上で重ね合わせることにより、偏波が直交したもつれ合い光子対を生成する方法が示されている。
ベネット(Bennett)、ブラッサ−ド(Brassard)著 IEEEコンピュータ、システム、信号処理国際会議(IEEE Int. Conf. on Computers, Systems, and Signal Processing, Bangalore, India, p. 175 (1984)) エカート(Ekert)著 フィジカルレビュー、レタース(Phys. Rev. Lett. 67, 661 (1991)) ワン(Wang)著 フィジカルレビュー、レタース(Phys. Rev. Lett. 94, 250503 (2005)) ロー(Lo)他著 フィジカルレビュー、レタース(Phys. Rev. Lett. 94, 250504 (2005)) クゥァィアット(Kwiat)他著 フィジカルレビュー、レタース(Phys. Rev. Lett. 75, 4337 (1995)) クゥァィアット(Kwiat)他著 フィジカルレビュー(Phys. Rev. A 60, R773 (1999)) キム(Kim)他著 フィジカルレビュー(Phys. Rev. A 63, 062301 (2001))
しかしながら、上述の非特許文献5−7に開示された偏波状態がもつれあった光子対の生成装置には問題がある。非特許文献5に示された方法は、変換効率の点で劣るタイプII非線形光学結晶を用いるため、光子対の生成効率が低いという問題があった。
また、協同変数
Figure 2009282288
を実現するような、良質な偏波もつれあい光子対は特定の限られた方向にのみ出射されるため、この方向に出射される光子対のみを利用するように光学系を配置し調整する作業はかなりの熟練を要する作業になるという問題もある。
非特許文献6に示された方法は、特殊な構造の非線形結晶をあらかじめ作製する必要があるという問題とともに、良質な偏波もつれあい光子対を生成するためには結晶片の厚さを薄くしなくてはならないために、光子対生成効率が犠牲になる問題があった。
非特許文献7に示された方法では、良質な偏波もつれあい光子対を生成するためにマッハツェンダー干渉系の光路長を波長オーダーで安定制御する必要があり、実用性の点で問題があった。
本発明は上述した各技術の抱える問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、量子暗号鍵配付システムの光源として有用な、光子対生成効率が高く、特殊部品の調達が必要なく、装置の調整や制御の手間が少ない、偏波もつれあい光子対を生成する装置を提供することにある。
本発明の偏波もつれあい光子対の生成装置は、適切に配置された1つのタイプI非線形光学結晶と偏波ビームスプリッターをカスケードに光学接続し、簡便な構成により偏波もつれあい光子対を生成することをその特徴とする。また、その調整ならびにもつれあい光子対の生成確認のための装置を具備することを特徴とする。
本発明によると、量子暗号鍵配付システムの光源に用いられる偏波もつれあい光子対生成装置において、光子対生成効率を犠牲にすることなく、装置の調達コストや、装置の調整や制御コストを低減する事が可能になる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明による偏波もつれあい光子対生成装置の一実施形態の構成を示す図である。
本実施形態は、レーザー光源1、伝搬路2、タイプIの光学非線形結晶3、光学遅延路4−1,4−2、伝搬路5−1,5−2、光学ミラー6−1,6−2、偏波ビーム偏波制御器7−1,7−2、スプリッター(PBS)8、伝搬路9−1,9−2から構成されている。
レーザー光源1は短波光を発生する。伝搬路2、5−1,5−2、9−1,9−2にはレーザー光源1で発生した短波光が伝搬する。光学非線形結晶3はタイプIの光学非線形結晶であり、光子対を生成する。光学非線形結晶3は所望の光子対波長に応じて選択する必要がある。例えば、800nmの波長の光子対を生成する場合には、BBO結晶がよく用いられる。
光学非線形結晶3で、パラメトリック下方変換過程によって生成された同一偏波を持つ光子対は、伝搬路5−1,5−2を通る際に、光学遅延路4−1,4−2で遅延調整が行われる。この遅延調整は、光子対の伝搬経路長をバランスさせるために行われる。光学ミラー6−1,6−2で折り返される。この後、偏波ビーム偏波制御器7−1,7−2で偏波制御が行われる。この偏波制御は、光学ミラー6−1,6−2によって乱された偏波を補正し、+偏波状態に戻すために行われる。偏波ビームスプリッター8の入力ポートに入射される。偏波ビームスプリッター8の2つの出力ポートより出射する光子は、伝搬路9−1,9−2を通り、量子暗号鍵配付システムに接続された2つの正規利用者に配送される。
図2は、本発明の偏波もつれあい光子対生成装置を調整する際の装置の構成を示す図である。
光子対のそれぞれの伝搬路9−1,9−2の下流に偏波アナライザー11−1,11−2が配置され、入力された光子を直交する2偏波成分に分解する。光子検出器12−1,12−2および光子検出器12−3,12−4は、偏波アナライザー11−1および偏波アナライザー11−2によって直交する2偏波成分に分解された光子の到着を検知する。光子検出器12−2および光子検出器12−3は、右回り円偏波光子状態|R〉を検出し、光子検出器12−1および光子検出器12−4は、左回り円偏波光子状態|L〉を検出する。
同時到着信号カウンター13−1は同じ偏波の光子を検出する光子検出器12−2および光子検出器12−3の出力より、検出信号の同時検出並びにその頻度を分析し、同時到着信号カウンター13−2は同じ偏波の光子を検出する光子検出器12−1および光子検出器12−4の出力より、検出信号の同時検出並びにその頻度を分析する。
良質な偏波もつれあい光子対を生成するために装置調整を行う場合には、図2の構成に装置配置を変更する。この変更は、必要な装置をその都度配置する方法もあるが、あらかじめ配置した分析装置系に光の経路スイッチを利用して切り替えて行うことも可能である。
調整時には、光子対の伝搬路9−1,9−2を伝搬した光子対は、PBSおよび光学複屈折素子により構成された偏波アナライザー11−1,11−2に入射される。偏波アナライザー11−1,11−2は、光を直交する円偏光成分に分解するようにあらかじめ調整されている。
偏波アナライザー11−1,11−2の2つの出力ポートから出射された光子は、光子検出器12−1〜12−4により検出され、検出信号が同時到着信号カウンター13−1,13−2によって分析される。
2つの同時到着信号カウンター13−1,13−2はともにL偏波の光子が検出される光子検出器、ともにR偏波の光子が検出される光子検出器に接続され、接続された光子検出器への同時光子到着事象を選択し、その事象数をカウントする。2つの光子がともにLである頻度、あるいはRである頻度が最小となるように、光学遅延路4−1,4−2の遅延量および偏波制御器7−1,7−2を制御する。これにより、偏波もつれ合い状態の光子対を得るための最適調整が可能である。なお、図2では、2つの同時到着信号カウンター13−2,13−2が示されているが、どちらか一方だけで十分である。また、この実施形態では、特定の偏波状態を用いた例で説明したが、本発明の原理を利用する任意の偏波状態を用いた装置について適用されることはいうまでもない。
図1に示した本発明の偏波もつれあい光子対の生成装置において、偏波ビームスプリッター(PBS)の反射面に平行(鉛直方向)な偏波をV偏波、光路を含む面に平行(紙面方向)な偏波をH偏波とする。これらの偏波を持つ単一光子状態|H〉、|V〉をパウリ演算子σzの2つの固有状態と定義する。
PBSの光学軸と±45°の角度をなす直線偏波、右回り、および左回りの円偏波はH偏波およびV偏波の偏波状態の重ね合わせ状態であり、これらをそれぞれ+、−、L、R偏波と定義する。+、−偏波を持つ単一光子状態|+〉、|−〉をパウリ演算子σxの2つの固有状態、L、R偏波を持つ単一光子状態|L〉、|R〉をパウリ演算子σyの2つの固有状態と定義する。
生成効率の優れたタイプI光学非線形結晶を短波長のレーザー光源で励起し、パラメトリック下方変換過程により生じる偏波と波長が揃った光子対が異なる方向へ出射するようにアレンジする。これらの光子対はその伝搬経路の光路差が調整された後、ミラーで反射され、ともに+偏波となるよう制御されて偏波ビームスプリッター(PBS)の2つの入射ポートに入射する。このとき、入射光子対の偏波状態は協同変数
Figure 2009282288
に相当する固有状態である。
PBSは、H偏波の光を透過し、V偏波の光を全反射する特性がある。単一光子がPBSの2つの入力ポートに入力する場合、2つの出力ポートの各々から単一光子が出射される時、偏波が揃った入力光子がともにPBSを透過または反射したことを意味する。これ以外の場合、2つの光子がいずれか一方の出力ポートから出射される。この際、前者の2つの出力ポートから光子対が出射される約半数の事象において、光子対は量子暗号鍵配付システムにおける2つの正規利用者に向けて配送され、成功事象として量子暗号鍵配付に利用される。残りの半数の事象においては、光子対は2つの正規利用者に配送されない失敗事象となり暗号鍵生成には利用されない。
伝搬経路の光路差がバランスするよう調整して個々の光子の伝搬経路情報を消去すると、成功事象の光子対のみに着目するならば、PBSは入力状態のうちから、協同変数
Figure 2009282288
に相当する固有状態成分のみを透過するフィルターとして作用する。この条件を満たすため、伝搬光路の光路差を光子対のコヒーレンス長程度の精度で調整制御しなければならないが、一般にコヒーレンス長は光子の波長より遙かに大きいので、光学系の調整制御に要するコストは、従来技術のマッハツェンダー干渉系の調整制御技術に要するコストより遙かに小さい。
以上の結果、成功事象の光子対は、協同変数
Figure 2009282288
に相当する固有状態となる。このような状態はもつれあい状態に他ならない。従って、2つの正規利用者に向けて配送される光子対の偏波状態はもつれあい状態となり、量子暗号鍵配付システムアプリケーションに適用可能な偏波もつれあい光子対の生成装置が本発明により実現できる。
伝搬経路の光路差の調整および、偏波状態が期待通りもつれあい状態となっていることを確認するための手段を具備することは、本発明の偏波もつれあい光子対の生成装置において重要な要件である。
この目的のために、協同変数
Figure 2009282288
に相当する固有状態は必然的に協同変数
Figure 2009282288
の固有状態でもあるという事実に着目する。この事実を利用すると、上記調整並びに確認のためには、協同変数
Figure 2009282288
となっていることを確認すればよい。この目的のためには、2つの光子の偏波状態について個別に演算子σyの期待値を求め、それらの符号が逆転していることを確認すればよい。具体的には、2つの光子を個別にLおよびR状態を峻別する偏波アナライザー(これは偏光子と複屈折光学素子により構成できる)で分析し、2つの光子がともにLである頻度、あるいはRである頻度を極小となるように調整し、その極小値が十分小さいことを確認すればよい。
本発明の偏波もつれあい光子対生成装置の一実施形態の構成を示す図である。 本発明の偏波もつれあい光子対生成装置の一実施形態の構成を示す図である。
符号の説明
1 短波レーザー光源
2 短波光伝搬路
3 光学非線形結晶
4−1,4−2 光学遅延路
5−1,5−2 伝搬路
6−1,6−2 光学ミラー
7−1,7−2 偏波制御器
8 偏波ビームスプリッター(PBS)
9−1,9−2 伝搬路
11−1,11−2 偏波アナライザー
12−1〜12−4 光子検出器
13−1,13−2 同時到着信号カウンター

Claims (2)

  1. 短波光を生成するレーザー光源で励起することにより偏波の揃った光子対を発生する1つのタイプI非線形光学結晶と、偏波ビームスプリッターと、偏波ビームスプリッターの異なる入射ポートに光子対を導入する手段と、光子対の伝搬経路光路長を制御する光学遅延路と、偏波を制御する偏波制御器を具備することを特徴とする偏波もつれあい光子対生成装置。
  2. 偏波アナライザーと、光子検出器と、2つの光子検出器の同時光子検出事象数を分析する手段を有する、請求項1記載の偏波もつれあい光子対生成装置。
JP2008134147A 2008-05-22 2008-05-22 偏波もつれあい光子対生成装置 Pending JP2009282288A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008134147A JP2009282288A (ja) 2008-05-22 2008-05-22 偏波もつれあい光子対生成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008134147A JP2009282288A (ja) 2008-05-22 2008-05-22 偏波もつれあい光子対生成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009282288A true JP2009282288A (ja) 2009-12-03

Family

ID=41452805

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008134147A Pending JP2009282288A (ja) 2008-05-22 2008-05-22 偏波もつれあい光子対生成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009282288A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011070775A1 (en) 2009-12-11 2011-06-16 Canon Kabushiki Kaisha Photoacoustic apparatus and method for controlling the same
CN104698720A (zh) * 2015-03-19 2015-06-10 山西大学 一种连续变量多组份偏振纠缠光场的产生装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011070775A1 (en) 2009-12-11 2011-06-16 Canon Kabushiki Kaisha Photoacoustic apparatus and method for controlling the same
CN104698720A (zh) * 2015-03-19 2015-06-10 山西大学 一种连续变量多组份偏振纠缠光场的产生装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Schmid et al. Experimental single qubit quantum secret sharing
JP5041174B2 (ja) 量子暗号装置
KR101252757B1 (ko) 편광부호화 양자 암호 시스템
JP5146681B2 (ja) 量子暗号伝送システムおよび光回路
KR102121027B1 (ko) 측정무관 양자암호 키분배 장치 및 방법
Qi et al. A brief introduction of quantum cryptography for engineers
Zhang et al. Experimental fault-tolerant quantum cryptography in a decoherence-free subspace
Shields et al. Key to the quantum industry
Genovese et al. Review on qudits production and their application to quantum communication and studies on local realism
JP2009282288A (ja) 偏波もつれあい光子対生成装置
JP2016025550A (ja) 量子もつれ合い光子対生成装置および量子暗号鍵配付装置
Krithika Quantum key distribution (QKD): A review on technology, recent developments and future prospects
JP2007189517A (ja) 量子暗号装置
Sharma et al. Quantum cryptoyraphy: The concept and challenyes
Djordjevic et al. Quantum-key distribution (QKD) fundamentals
Rios Experimental Characterization of a Discrete Gaussian-Modulated Quantum Key Distribution System
Song et al. Quantum bit commitment protocol based on counterfactual quantum cryptography
US11962689B2 (en) Quantum communications system having at least one waveplate to alter pulse polarization and associated methods
Bishwas et al. Managing cyber security with quantum techniques
Chan et al. Quantum key distribution
Ali et al. How is quantum cryptography used for secure financial transactions
Krishnan An overview of quantum wireless communication using quantum cryptography
Chuan et al. Quantum secret sharing protocol using modulated doubly entangled photons
Bovino et al. Practical Quantum Cryptography: The Q-KeyMaker
Rubenok Quantum Key Distribution with Temporal Mode Encoding