以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線基地局装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す無線基地局装置は、通信を行う通信端末分の個別チャネル信号形成ユニット101−1〜101−Nを有すると共に、制御信号形成ユニット110および120を有する。
個別チャネル信号形成ユニット101−1〜101−Nは、各通信端末宛の送信データをそれぞれ各通信端末に割り当てられた拡散コードを用いて拡散することにより、各通信端末宛の個別チャネル信号を形成する。
一方、制御信号形成ユニット110および120は、各通信端末が上り回線パケットの送信を行う際の各通信端末宛の制御情報を、セル内の各通信端末で共通の拡散コードを用いて拡散することにより、制御信号を形成する。
各個別チャネル信号形成ユニット101−1〜101−Nの処理は同様であるため、ここでは1つの個別チャネル信号形成ユニット101−1の構成のみ説明する。個別チャネル信号形成ユニット101−1は、チャネルエンコード部102によって、パイロット信号(PILOT)、送信データ及び上り回線送信電力制御コマンド(UL−TPC)を多重する。なお送信データに対しては多重化の前に誤り訂正符号化処理を施す。多重化後の信号は、変調部103によって変調処理が施された後、拡散部104に送出される。
拡散部104は、通信端末個別の拡散コードを用いて変調信号を拡散処理する。すなわち各個別チャネル信号形成ユニット101−1〜101−Nでは、それぞれ異なる拡散コードを用いて拡散処理を行うようになっている。拡散処理後の信号は増幅部105に送出される。増幅部105は、送信電力制御部106からの送信電力制御信号に従って、拡散信号の電力を増幅し、増幅後の信号を送信無線部107に送出する。
これにより、各個別チャネル信号形成ユニット101−1〜101−Nからそれぞれ異なる拡散コードを用いて形成された各通信端末個別の個別チャネル信号が出力される。個別チャネル信号は送信無線部107によりアナログディジタル変換やアップコンバート等の所定の無線処理が施された後、アンテナ108を介して送信される。
一方、制御信号形成ユニット110は、チャネルエンコード部111に誤り検出部28により得られた各通信端末宛のACK/NACKを入力する。チャネルエンコード部111は、各通信端末宛のACK/NACKを予め各通信端末との間で決められた位置に時分割多重する。チャネルエンコード部111からの出力は変調部112により変調処理が施された後、拡散部113に送出される。
拡散部113は、通信中の全ての通信端末に共通の拡散コードを用いて変調信号を拡散する。拡散処理後の信号は増幅部114に送出される。増幅部114は、送信電力設定部115からの送信電力制御信号に従って、拡散信号の電力を増幅し、増幅後の信号を送信無線部107に送出する。
また、制御信号形成ユニット120は、チャネルエンコード部121に、スケジューリング部31により得られた各通信端末宛のスケジューリング結果情報を入力する。チャネルエンコード部121は、各通信端末宛のスケジューリング結果情報を予め各通信端末との間で決められた位置に時分割多重する。チャネルエンコード部121からの出力は変調部122により変調処理が施された後、拡散部123に送出される。
拡散部123は、通信中の全ての通信端末に共通の拡散コードを用いて変調信号を拡散する。拡散処理後の信号は増幅部124に送出される。増幅部124は、送信電力設定部125からの送信電力制御信号に従って、拡散信号の電力を増幅し、増幅後の信号を送信無線部107に送出する。
これにより、制御信号形成ユニット110および120からは、各通信端末が個別チャネルを用いて上り回線パケットの送信を行う際の制御情報(この実施の形態の場合、ACK/NACKおよびスケジューリング結果情報)が通信端末との間で決められたタイミングで時分割多重され、かつ各通信端末で共通の拡散コードを用いて拡散された制御信号が出力される。この制御信号は送信無線部107によりアナログディジタル変換やアップコンバート等の所定の無線処理が施された後、アンテナ108を介して送信される。なお、ここでは上り回線パケットの送信を行う際の制御情報(この実施の形態の場合、ACK/NACKおよびスケジューリング結果情報)が通信端末との間で決められたタイミングで時分割多重される例で説明したが、1つの拡散コード上でさらに直交したシグネチャを割り当てるなどしてコード多重してもよい。また、ここでは1つの拡散コードを複数の通信端末で共有する例で説明したが、複数の拡散コードを複数の通信端末で使用してもよい。
また、図1に示す無線基地局装置において、アンテナ108で受信された信号が受信無線部20に入力される。受信無線部20は受信信号に対してダウンコンバートやアナログディジタル変換等の所定の無線処理を施すことにより受信ベースバンド信号を得、これを通信端末の数Nだけ設けられた受信処理ユニット21−1〜21−Nに送出する。各受信処理ユニット21−1〜21−Nの処理は同様であるため、ここでは1つの受信処理ユニット21−1の構成のみ説明する。
逆拡散部22は、受信ベースバンド信号に対して通信端末に対応した拡散コードを用いて逆拡散処理を行うことにより、通信端末装置から送信された個別チャネル信号を取り出して復調部23に出力する。また逆拡散部22は、パイロットシンボルを逆拡散してSIR測定部29に送出する。
復調部23は、逆拡散部22の出力信号に対して復調処理を行い、復調信号をチャネルデコード部24に送出する。チャネルデコード部24は、復調部23の出力信号に対して誤り訂正復号等の復号処理を行い、受信データ、下り回線用の送信電力制御コマンド(DL−TPC)等を取り出す。因みに、受信データは基地局の上位局である制御局に送られ、DL−TPCは送信電力制御部106に送られる。
SIR測定部29は、逆拡散後のパイロットシンボルの分散値から干渉波電力を算出し、希望波電力と干渉波電力との比(SIR)を算出し、SIRを示す情報をTPC生成部30及びスケジューリング部31に送出する。TPC生成部30は、上り回線の受信SIRと目標SIRとの大小関係に基づいて、上り回線の送信電力の増減を指示する上り回線用の送信電力制御コマンド(UL−TPC)を生成し、このUL−TPCをチャネルエンコード部102に送出する。
スケジューリング部31は、各通信端末装置からの伝送レート要求情報、SIR、伝送レート組合せ情報、上り回線パケット用の受信電力リソースに基づいて、上り回線パケットの送信を許可する通信端末装置を決定し、その上り回線パケットの送信時のMCS(つまり、伝送レート)を決定するスケジューリングを行う。そして、スケジューリング部31は、決定した通信端末装置を示す情報(端末情報)と決定した伝送レートを示す情報(伝送レート情報)とからなるスケジューリング結果情報をチャネルエンコード部121に送出する。なお、本実施の形態では、スケジューリング部31は、Time and Rate Schedulingを行うものとする。
逆拡散部25は、通信端末が上り回線パケットを拡散したときと同じ拡散率で受信ベースバンド信号を逆拡散処理する。なおこの上り回線パケットの拡散率や変調多値数、符号化率等の情報は通信端末により信号中に埋め込まれて送信され、図1に示す無線基地局装置は例えば受信データ中に埋め込まれたこれらの情報を抽出し、逆拡散部25、復調部26、チャネルデコード部27に通知するようになっている。つまり、逆拡散部25、復調部26、チャネルデコード部27は、拡散率、変調多値数、符号化率を通信端末からの送信パラメータ情報に応じて変化させることができる構成となっている。
復調部26は、逆拡散部25から出力された上り回線パケットに対して復調処理を行い、復調信号をチャネルデコード部27に送出する。チャネルデコード部27は、復調信号に対して誤り訂正復号等の復号処理を行い、受信パケットを取り出し、それを誤り検出部28に出力する。またチャネルデコード部27は、伝送レート要求情報を抽出し、これをスケジューリング部31に送出する。
誤り検出部28は、受信パケットに対して誤り検出を行う。そして、誤りが検出されなかった場合、誤り検出部28は、受信パケットを基地局の上位局である制御局に出力するとともに、正しく復調できた旨を示すACK信号をチャネルエンコード部111に送出する。一方、誤りが検出された場合、誤り検出部28は、正しく復調できなかった旨を示すNACK信号をチャネルエンコード部111に送出する。
次いで、図1に示す無線基地局装置と通信する通信端末装置について説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係る通信端末装置の構成を示すブロック図である。
まず、受信系について説明する。図2に示す通信端末装置は、アンテナ41を介して受信した信号を受信無線部42に入力する。受信無線部42は受信信号に対してダウンコンバートやアナログディジタル変換処理を施すことにより受信ベースバンド信号を得、これを逆拡散部43、48および51に送出する。
逆拡散部43は、この通信端末個別の拡散コードを用いて逆拡散処理を行うことにより、自局宛の信号を得る。逆拡散信号は、復調部44及びチャネルデコード部45により順次復調処理及び復号処理が施され、これにより受信データ、上り回線送信電力制御コマンド(UL−TPC)が得られる。また逆拡散信号は、SIR測定部46及びTPC生成部47に順次入力され、これによりTPC生成部47から下り回線送信電力制御コマンド(DL−TPC)が得られる。
逆拡散部48は、セル内の各通信端末に共通の拡散コードを用いて、受信無線部42から出力された受信ベースバンド信号を逆拡散することにより、制御信号を抽出する。逆拡散部48から出力された逆拡散信号は、復調部49により復調された後、チャネルデコード部50に入力される。チャネルデコード部50は、制御信号に時分割多重された各通信端末宛のACK/NACKのうち、自端末宛のACK/NACKを抽出する。このACK/NACKに基づいて、通信端末は、上り回線パケットの再送を制御する。
また、逆拡散部51は、セル内の各通信端末に共通の拡散コードを用いて、受信無線部42から出力された受信ベースバンド信号を逆拡散することにより、制御信号を抽出する。逆拡散部51から出力された逆拡散信号は、復調部52により復調された後、チャネルデコード部53に入力される。チャネルデコード部53は、制御信号に時分割多重された各通信端末宛のスケジューリング結果情報のうち、自端末宛のスケジューリング結果情報を抽出する。このスケジューリング結果情報に基づいて、通信端末は、上り回線パケットの伝送レートを制御する。
次に送信系について説明する。図2に示す通信端末装置は、送信パケットについては、符号化率や、変調多値数、拡散率を変化させるのに対して、その他のデータについてはこれらのパラメータを変化させない。具体的には、パイロット信号(PILOT)、下り信号送信電力制御コマンド(DL−TPC)、送信データは、それぞれ符号化率、変調多値数、拡散率が固定とされたチャネルエンコード部250、変調部251、拡散部252により順次処理された後、拡散後の信号が増幅部253に送出される。
これに対して、送信パケットは先ずバッファ254に蓄積される。バッファ254は、ACK/NACKに基づいて、ACKであれば前回送信した送信パケットを消去し初回送信パケットをチャネルエンコード部259に出力し、NACKであれば前回送信した送信パケットを再びチャネルエンコード部259に出力する。
またバッファ254に蓄積されている送信パケットのデータ量はデータ量測定部255により測定され、データ量測定部255は測定結果を伝送レート選択部257及びレート要求選択部256に送出する。
伝送レート選択部257は、図1に示す無線基地局装置から送られチャネルデコード部53により抽出されたスケジューリング結果情報に含まれる伝送レート情報と、バッファ254でのデータ蓄積量と、送信電力マージンと、伝送レート組合せ情報とに基づいて、実際に送信する上り回線パケットの伝送レートを伝送レート情報で示される伝送レート以下の範囲で選択し、選択した伝送レートをレート要求選択部256に通知すると共に送信パラメータ設定部258に通知する。ここで、通信端末の送信電力リソースが不足している場合や、通信端末の送信データが少ない場合等は、伝送レート選択部257は、伝送レート情報で示される伝送レートよりも低い伝送レートを選択することがある。
レート要求選択部256は、伝送レート選択部257から通知された伝送レートと、バッファ254でのデータ蓄積量と、送信電力マージンとに基づいて、伝送レート要求情報を生成し、これをチャネルエンコード部259に送出する。この伝送レート要求情報は、通信端末装置が望む送信パケットの伝送レートを示す情報であり、例えば1〜n(nは2以上の自然数)で表される。
送信パラメータ設定部258は、伝送レート選択部257から通知された伝送レートに基づいて、バッファ254に蓄積された送信パケットの読出しレートを制御すると共に、チャネルエンコード部259での符号化率、変調部260での変調多値数、拡散部261での拡散率を設定し、これら送信パラメータをそれぞれチャネルエンコード部259、変調部260、拡散部261に送出する。また送信パラメータ設定部258は、伝送レートに基づいて、パケットを送信する際の送信電力のオフセット量を設定し、これを送信電力制御部263に送出する。
因みに、伝送レート選択部257及びレート要求選択部256に入力される送信電力マージンは、送信電力測定部265により設定される。具体的には、送信電力測定部265は、送信電力制御部264により上り回線送信電力制御コマンド(UL−TPC)に従って制御される送信電力と、自端末が送信可能な最大送信電力とに基づいて、送信電力マージンを設定する。なお送信パケットの送信電力制御信号を発生する送信電力制御部263は、その他のパイロット信号、下り回線送信電力制御コマンド(DL−TPC)や送信データの送信電力制御信号を発生する送信電力制御部264からの制御信号に、送信パラメータ設定部258により設定されたオフセットを与えた送信電力制御信号を発生するようになされている。
拡散部252及び拡散部261から出力される各拡散信号は、それぞれ対応する増幅部253、262により独立に増幅された後、送信無線部266によりディジタルアナログ変換やアップコンバート等の所定の無線処理を施された後、アンテナ41を介して送信される。
次いで、図1に示す無線基地局装置のスケジューリング部31について説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係る無線基地局装置のスケジューリング部の構成を示すブロック図である。
図3において、端末選択部311には、通信端末から送信された伝送レート要求情報(要求する伝送レート、もしくは送信電力マージン、データ量など)が入力される。端末選択部311は、所定のスケジューリングアルゴリズム(例えば、ラウンドロビン法やプロポーショナルフェアネス法など)に従って、伝送レート要求情報を送信した端末の中から上り回線パケットの送信を許可する通信端末を選択する。そして、選択した端末を示す端末情報(例えば、端末番号)を伝送レート選択部312およびスケジューリング結果情報出力部314に入力する。
マッピング制御部313には、上り回線パケットの伝送レートとして採り得る複数の伝送レートの組合せを示す伝送レート組合せ情報が入力される。なお、伝送レート組合せ情報は、その移動体通信システムに固有のものであって基地局装置内のいずれかに記憶されているものであってもよいし、上位局である制御局から通知されるものであってもよい。そして、マッピング制御部313は、伝送レート選択部312において選択され得る伝送レートの候補を、伝送レート組合せ情報で示される複数の伝送レートの一部に限定する。そして、マッピング制御部313は、限定した伝送レートの候補をそれぞれビットに変換してマッピングし、そのマッピングしたビットを伝送レート選択部312に入力する。なお、マッピング制御部313のより具体的な動作については後述する。
伝送レート選択部312には、伝送レート要求情報および上り回線パケット用受信電力リソースが入力される。また、端末選択部311から端末情報が入力され、マッピング制御部313からマッピングされたビット(すなわち、限定された伝送レートの候補)が入力され、SIR測定部29からSIRが入力される。伝送レート選択部312は、端末選択部311で選択された通信端末(つまり、上り回線パケットの送信を許可された通信端末)が送信する上り回線パケットに対して許可する伝送レートとして、マッピング制御部313で限定された伝送レートの候補の中からいずれか一つの伝送レートを上り回線パケット用受信電力リソースの範囲内で選択する。伝送レート選択部312は、マッピング制御部313で限定された伝送レート候補のそれぞれについての必要な受信電力(個別チャネルに対してどの程度大きい電力で通信端末から送信されるかを示すオフセット情報など)とSIRとに基づいて、伝送レート毎に受信電力を予測して、上り回線パケット用受信電力リソースの範囲内で最高レートとなる伝送レートを選択する。そして、伝送レート選択部312は、選択した伝送レートを示す伝送レート情報をスケジューリング結果情報出力部314に入力する。
スケジューリング結果情報出力部314は、端末選択部311から入力された端末情報と伝送レート選択部312から入力された伝送レート情報とを組み合わせてスケジューリング結果情報を作成し、そのスケジューリング結果情報をチャネルエンコード部121に入力する。そして、そのスケジューリング結果情報は、端末情報で示される通信端末を宛先としてアンテナ108から制御信号として無線送信され通信端末に通知される。
次いで、マッピング制御部313のより具体的な動作について説明する。
まず、マッピング制御部313には図4に示す伝送レート組合せ情報が入力される。図4に示す伝送レート組合せ情報では、例えば、32kbpsから4Mbpsまでの8種類の伝送レートが上り回線パケットの伝送レートとして採り得る伝送レートの組合せとして示されている。つまり、この移動体通信システムにおいては、32kbpsから4Mbpsまでの8種類の伝送レートを上り回線パケットの伝送レートとして使用することができる。よって、伝送レート組合せ情報においては、選択候補として8種類すべての伝送レートが定義されている(選択候補とする伝送レートを‘YES’と示す)。また、伝送レート組合せ情報で示される伝送レートは8種類あるので、ビット列で示すには図4のように3ビット(23)必要である。そして、32kbpsから4Mbpsまでの8種類の伝送レートがそれぞれ、‘111’〜‘000’の3ビットにマッピングされている。
そして、マッピング制御部313は、図5に示すように、伝送レート組合せ情報で示される32kbpsから4Mbpsまでの8種類の伝送レートのうち、512kbpsから4Mbpsまでの4種類の伝送レートに伝送レートの候補を限定する(選択候補とする伝送レートを‘YES’と示し、選択候補としない伝送レートを‘NO’と示す)。マッピング制御部313で限定される伝送レートの候補は、図5の例では4種類であるので、ビット列で示すには2ビット(22)必要である。このように、限定される伝送レート候補のビット数は、伝送レート組合せ情報で示される伝送レートのビット数よりも少なくなるようにする。そして、マッピング制御部313は、512kbpsから4Mbpsまでの4種類の伝送レートをそれぞれ、‘11’〜‘00’の2ビットにマッピングする。そして、マッピングした4種類の伝送レート候補を伝送レート選択部312に入力する。
伝送レート選択部312では、限定された4種類の伝送レートの候補、すなわち、512kbps(‘11’)、1Mbps(‘10’)、2Mbps(‘01’)、4Mbps(‘00’)の
中から、端末選択部311で選択された通信端末装置が送信する上り回線パケットの伝送レートを選択する。
ここで、Time and Rate Schedulingは少数の通信端末に高い伝送レートで上り回線パケットを送信させることに適したスケジューリング方法である。このため、伝送レート選択部312において低い伝送レートが選択される可能性は非常に小さく、よって、低い方の伝送レートを選択候補から外してしまってもほとんど影響がない。そこで、本実施の形態では、図5に示すように、マッピング制御部313は、伝送レートの候補を、伝送レート組合せ情報で示される8種類の伝送レートのうち高いものから順に4種類の伝送レートに限定する。
なお、選択候補から外された4種類の伝送レートについては、従来の個別チャネルや他の中低速レート向けのスケジューリング方法を用いて通知するようにしてもよい。例えば、上記非特許文献2にあるように伝送レートの追加または削除(E-DCH TFCS addition/deletion)をUp/downのポインターで行うRate schedulingを用いてもよい。
このように、本実施の形態によれば、通信端末へ通知可能な伝送レートの種類を8種類から4種類に減らして、伝送レート情報のビット数を3ビットから2ビットに減らしたので、下り回線の制御信号の送信電力を低減することができる。よって、下り回線の送信電力リソースの消費を抑えることができる。また、伝送レート情報のビット数を減らしたことで、伝送レートの組合せの数が8種類から4種類に減り、その分だけ各伝送レート情報間の符号間距離が大きくなる。その結果、通信端末における伝送レート情報の判定精度を高めることができる。
なお、本実施の形態では、通信端末へ通知可能な伝送レートの種類を8種類から4種類に限定する例で説明したが、例えば、8種類から7種類以下に限定してもよい。例えば、‘000’〜‘111’のうち‘000’と‘111’を除外し、通信端末へ通知可能な伝送レートの種類を6種類に限定した場合、伝送レート情報のビット数は3ビットのままとなるが、伝送レートの組合せの数が8種類から6種類に減り、その分だけ各伝送レート情報間の符号間距離が大きくなる。すなわち、‘000’を除外する場合、通信端末では、通知された‘100’、‘010’、‘001’を‘000’と誤る可能性が低くなり誤り率が小さくなる。同様に、‘111’を除外する場合、通信端末では、通知された‘110’、‘101’、‘011’を‘111’と誤る可能性が低くなり誤り率が小さくなる。このように、限定後の伝送レート情報においてビット数を減少させなくても、選択しうる伝送レートの候補数を限定すれば、誤り率が小さくなる。よって、限定後の誤り率を限定前の誤り率と同程度に維持しようとする場合、誤り率特性が良くなる分だけ伝送レート情報を送信するための下り回線の制御信号の送信電力を低減することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、選択可能な伝送レートの範囲をほぼ維持したまま伝送レートの候補を限定する場合について説明する。
上記実施の形態1同様、マッピング制御部313には図4に示す伝送レート組合せ情報が入力される。そして、マッピング制御部313は、図6に示すように、伝送レート組合せ情報で示される32kbpsから4Mbpsまでの8種類の伝送レートのうち、64kbps、256kbps、1Mbps、4Mbpsの4種類の伝送レートに伝送レートの候補を限定する。図4に示す伝送レート組合せ情報においては、32kbpsから4Mbpsまでの8種類の伝送レート間において隣接する伝送レート間の関係は2倍の関係になっている。これに対し、図6においては、選択候補とされる伝送レートが、64kbps、256kbps、1Mbps、4Mbpsの4種類に限定されており、4種類の伝送レート間において隣接する伝送レート間の関係は4倍の関係になっている。つまり、本実施の形態では、伝送レートの候補を限定するにあたり、限定する伝送レートの候補それぞれの間における変化幅が、伝送レート組合せ情報で示される複数の伝送レートそれぞれの間における変化幅よりも大きくなるようにする。また、本実施の形態では、伝送レートの候補を限定するにあたり、最高伝送レートと最低伝送レートをほぼ維持するようにする。具体的には、図4では選択可能範囲が32kbps〜4Mbpsであるのに対し、図6では64kbps〜4Mbpsである。このようにして選択候補を限定した後、マッピング制御部313は、64kbps、256kbps、1Mbps、4Mbpsの4種類の伝送レートをそれぞれ、‘11’、‘10’、‘01’、‘00’の2ビットにマッピングする。そして、マッピングした4種類の伝送レート候補を伝送レート選択部312に入力する。
このように、本実施の形態によれば、伝送レートの選択候補を間欠的に間引いて伝送レートの選択候補を限定することで、選択可能な伝送レートの範囲をほぼ維持したまま、伝送レート情報のビット数を減らして下り回線の制御信号の送信電力を低減することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、セル内に存在する複数の通信端末を複数のグループに分け、各グループに属する通信端末に対しては同一の伝送レートを通知する場合について説明する。
セル内に存在する複数の通信端末を複数のグループに分けた場合、図7に示すように、以下の3つのステップによってスケジューリングが行われる。なお、図7では、通信端末(MS)#A〜通信端末#Dの4つの通信端末が、グループ1(通信端末#A、#C)とグループ2(通信端末#B、#D)とに分けられている例を示す。まず、第1ステップでは、通信端末#A〜#Dが基地局に対して、伝送レートの要求を行う(図7(a))。次いで第2ステップでは、基地局(BS)が、通信端末#A〜#Dから通知された要求伝送レートに基づいてスケジューリングを行い、上り回線パケットの送信を許可する通信端末をグループ単位で選択し、その選択したグループに属するすべての通信端末に対して共通のスケジューリング結果情報を送信する(図7(b))。ここでは、グループ1が選択されたものとする。そして、第3ステップでは、自端末宛ての制御信号を受信した通信端末(つまり、通信端末#Aと#C)が基地局から指示された伝送レート以下の伝送レートで上り回線パケットを送信する(図7(c))。
このように、グループ化された複数の通信端末宛てに1つのスケジューリング結果情報を送信する場合、同時に複数の通信端末に対して上り回線パケットの送信を許可することとなる。つまり、複数の通信端末が基地局における上り回線の受信電力リソースを同時に使用することとなる。また、基地局における上り回線の受信電力リソースには下り回線同様、上限がある。よって、グループ化された複数の通信端末宛てに1つのスケジューリング結果情報を送信する場合、それぞれの通信端末に対しては比較的低い伝送レートが選択される。つまり、通信端末がグループ化されている場合、伝送レート選択部312において高い伝送レートが選択される可能性は小さく、よって、高い方の伝送レートを選択候補から外してしまってもほとんど影響がない。
そこで、本実施の形態においては、図8に示すように、マッピング制御部313は、伝送レートの候補を、伝送レート組合せ情報で示される8種類の伝送レートのうち低いものから順に4種類の伝送レートに限定する。つまり、マッピング制御部313は、伝送レート組合せ情報で示される32kbpsから4Mbpsまでの8種類の伝送レートのうち、32kbpsから256kbpsまでの4種類の伝送レートに伝送レートの候補を限定する。そして、マッピング制御部313は、32kbpsから256kbpsまでの4種類の伝送レートをそれぞれ、‘11’〜‘00’の2ビットにマッピングする。そして、マッピングした4種類の伝送レート候補を伝送レート選択部312に入力する。
このように、本実施の形態によれば、実施の形態1同様、通信端末へ通知可能な伝送レートの種類を8種類から4種類に減らして、伝送レート情報のビット数を3ビットから2ビットに減らしたので、下り回線の制御信号の送信電力を低減することができる。よって、下り回線の送信電力リソースの消費を抑えることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、通信端末の能力に応じて伝送レートの候補を限定する場合について説明する。なお、通信端末の能力とは、例えば、その通信端末が通信可能な最大の伝送レート、最大のデータ長、最多のコード数、最小の拡散率、サポートしているTTI(Transmission Time Interval)長の種類等により定義される。
図9は、本発明の実施の形態4に係る無線基地局装置のスケジューリング部の構成を示すブロック図である。なお、図9において図3(実施の形態1)と同一の構成については同一番号を付し説明を省略する。
マッピング制御部315には、伝送レート組合せ情報が入力される。また、マッピング制御部315には、伝送レート要求情報を送信した通信端末の能力を示す端末能力情報が入力される。ここでの端末能力情報では、通信端末がどの伝送レートまで送信できる能力があるかが示されている。例えば、通信端末#Aが4Mbpsまで送信可能な通信端末(4Mbps端末)であった場合、通信端末#Aの端末能力情報は‘4Mbps’であり、通信端末#Bが1Mbpsまで送信可能な通信端末(1Mbps端末)であった場合、通信端末#Bの端末能力情報は‘1Mbps’となる。そして、マッピング制御部315は、端末能力情報に基づいて、伝送レート選択部312において選択され得る伝送レートの候補を、伝送レート組合せ情報で示される複数の伝送レートのうちの一部に限定する。具体的には以下のようにして限定する。
例えば、通信端末#Aが4Mbps端末であり、通信端末#Bが1Mbps端末であった場合、マッピング制御部315は、図10に示すように、各通信端末の端末能力情報が示す伝送レートを最高レートとして伝送レートの選択候補を限定する。図10に示す例では、通信端末#A(4Mbps端末)については、4Mbpsを最高レートして4つの伝送レート(4Mbps、2Mbps、1Mbps、512kbps)に伝送レートの選択候補を限定する。また、通信端末#B(1Mbps端末)については、1Mbpsを最高レートして4つの伝送レート(1Mbps、512kbps、256kbps、128kbps)に伝送レートの選択候補を限定する。このように、本実施の形態では、限定する伝送レートの候補を通信端末の能力に応じて異ならせる。
また、限定した伝送レートのマッピングも、通信端末の能力に応じて異ならせる。すなわち、図10においては、通信端末#A(4Mbps端末)および通信端末#B(1Mbps端末)のいずれについても、1Mbpsおよび512kbpsの伝送レートが選択可能となっている。しかし、通信端末#A(4Mbps端末)の場合、1Mbpsは‘10’にマッピングされ、512kbpsは‘11’にマッピングされるのに対し、通信端末#B(1Mbps端末)の場合、1Mbpsは‘00’にマッピングされ、512kbpsは‘01’にマッピングされる。
なお、マッピング制御部315においては、図11に示すように、通信端末#A(4Mbps端末)については、4Mbpsを最高レートして4つの伝送レート(4Mbps、2Mbps、1Mbps、512kbps)に伝送レートの選択候補を限定するのに対し、通信端末#B(1Mbps端末)については、1Mbpsを最高レートして2つの伝送レート(1Mbps、512kbps)に伝送レートの選択候補を限定し、限定する伝送レートの数を通信端末の能力に応じて異ならせてもよい。この場合、限定する伝送レートの数は、端末能力が低いほど少なくするのが好ましい。
このように、本実施の形態によれば、通信端末の能力に応じて選択可能な伝送レートを異ならせて伝送レートの選択候補を限定するので、伝送レート情報のビット数を減らして下り回線の制御信号の送信電力を低減することができるとともに、通信端末の能力に応じた適切な伝送レートを各通信端末に通知することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、限定する伝送レートの候補を通信中において切り替え可能である場合について説明する。
図12は、本発明の実施の形態5に係る無線基地局装置のスケジューリング部の構成を示すブロック図である。なお、図12において図3(実施の形態1)と同一の構成については同一番号を付し説明を省略する。
マッピング制御部316には、伝送レート組合せ情報が入力される。また、マッピング制御部316には、伝送レート制限情報が入力される。なお、伝送レート制限情報は、基地局の通信中において、上位局である制御局から通知される。制御局は、例えば、無線通信システムに現在収容している通信端末数や干渉量、上り回線や下り回線のユーザースループット、システムスループット、トラフィックボリューム(例えば、バッファ内のデータ量)などの通信状態に応じて、伝送レート制限情報の内容を適宜切り替えて通知する。そして、マッピング制御部316は、基地局の通信中において制御局から通知された伝送レート制限情報が入力される度に、伝送レート選択部312において選択され得る伝送レートの候補を、伝送レート組合せ情報で示される複数の伝送レートのうち、伝送レート制限情報で示される伝送レートに限定する。つまり、マッピング制御部316は、伝送レート制限情報に基づいて、伝送レート選択部312において選択され得る伝送レートの候補を、伝送レート組合せ情報で示される複数の伝送レートの一部に限定する。そして、マッピング制御部316は、限定した伝送レートの候補をそれぞれビットに変換してマッピングし、そのマッピングしたビットを伝送レート選択部312に入力する。具体的には、以下のようにする。
マッピング制御部316には、制御局が適宜切り替えて通知する図13(a)〜(c)に示す伝送レート制限情報が入力される。この伝送レート制限情報は、伝送レート選択部312で選択され得る伝送レートの候補を伝送レート組合せ情報で示される複数の伝送レートの一部に限定するための情報である(選択候補とする伝送レートを‘YES’と示し、選択候補としない伝送レートを‘NO’と示す)。また、伝送レート制限情報で示される伝送レートの候補は、図13(a)〜(c)の例では4種類または3種類であるので、ビット列で示すには2ビット(22)必要である。このように、伝送レート制限情報で示される伝送レート候補のビット数は、伝送レート組合せ情報で示される伝送レートのビット数よりも少なくなるようにする。
そして、マッピング制御部316は、図13(a)に示す伝送レート制限情報が入力された場合は、伝送レート組合せ情報で示される32kbpsから4Mbpsまでの8種類の伝送レートのうち、256kbpsから2Mbpsまでの4種類の伝送レートに伝送レートの候補を限定する。そして、マッピング制御部316は、256kbpsから2Mbpsまでの4種類の伝送レートをそれぞれ、‘11’〜‘00’の2ビットにマッピングする。そして、マッピングした4種類の伝送レート候補を伝送レート選択部312に入力する。
また、マッピング制御部316は、図13(b)に示す伝送レート制限情報が入力された場合は、伝送レート組合せ情報で示される32kbpsから4Mbpsまでの8種類の伝送レートのうち、128kbpsから1Mbpsまでの4種類の伝送レートに伝送レートの候補を限定する。そして、マッピング制御部316は、128kbpsから1Mbpsまでの4種類の伝送レートをそれぞれ、‘11’〜‘00’の2ビットにマッピングする。そして、マッピングした4種類の伝送レート候補を伝送レート選択部312に入力する。
また、マッピング制御部316は、図13(c)に示す伝送レート制限情報が入力された場合は、伝送レート組合せ情報で示される32kbpsから4Mbpsまでの8種類の伝送レートのうち、256kbpsから1Mbpsまでの3種類の伝送レートに伝送レートの候補を限定する。そして、マッピング制御部316は、256kbpsから1Mbpsまでの3種類の伝送レートをそれぞれ、‘11’、‘10’、‘01’の2ビットにマッピングする。そして、マッピングした3種類の伝送レート候補を伝送レート選択部312に入力する。
このように、本実施の形態によれば、通信中において変化する通信端末数や干渉量等の通信状態に応じて伝送レート制限情報の内容を適宜切り替えて制御局から基地局に通知するため、基地局においては限定する伝送レートの候補を通信中において適宜切り替えることが可能となり、その結果、伝送レート情報のビット数を減らして下り回線の制御信号の送信電力を低減することができるとともに、通信状態に応じた適切な伝送レートを各通信端末に通知することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、伝送レート情報の宛先に応じて限定する伝送レートの候補を異ならせる場合について説明する。
図14は、本発明の実施の形態6に係る無線基地局装置のスケジューリング部の構成を示すブロック図である。なお、図14において図3(実施の形態1)と同一の構成については同一番号を付し説明を省略する。
マッピング制御部317には、伝送レート組合せ情報が入力される。また、マッピング制御部317には、端末選択部311から端末情報が入力される。端末情報は、上り回線パケットの送信を許可された通信端末を示す情報であるとともに、伝送レート情報の宛先を示す情報である。さらに、実施の形態3のようにセル内に存在する複数の通信端末がグループ化されており、上り回線パケットの送信を許可する通信端末をグループ単位で選択する場合は、端末情報は、端末選択部311で選択されたグループを特定する情報(例えば、グループ番号)となる。一方で、複数の通信端末がグループ化されていない場合や、複数の通信端末がグループ化されている場合であっても上り回線パケットの送信を許可する通信端末を通信端末単位で選択する場合は、端末情報は、端末選択部311で選択された通信端末を特定する情報(例えば、端末番号)となる。つまり、伝送レート情報の宛先が、各々の通信端末を特定する情報である場合と各々の通信端末が属するグループを特定する情報である場合とがある。
そこで、マッピング制御部317は、端末選択部311から入力される端末情報(すなわち、伝送レート情報の宛先を示す情報)に応じて、図15に示すようにして、限定する伝送レートの候補を異ならせる。つまり、マッピング制御部317は、端末選択部311から端末番号が宛先として入力された場合は、図15(a)に示すように、伝送レートの候補を、伝送レート組合せ情報で示される8種類の伝送レートのうち高いものから順に4種類の伝送レートに限定する。一方、端末選択部311からグループ番号が宛先として入力された場合は、図15(b)に示すように、伝送レートの候補を、伝送レート組合せ情報で示される8種類の伝送レートのうち低いものから順に4種類の伝送レートに限定する。
このように、本実施の形態では、伝送レート情報の宛先が端末番号である場合とグループ番号である場合とで、限定する伝送レートの候補を異ならせるので、それぞれの場合に応じて適切な伝送レート候補の限定を行うことができる。また、伝送レート情報の宛先が端末番号である場合とグループ番号である場合とでスケジューリング結果情報のフォーマットを共通化できるため、通信端末は、伝送レート情報の宛先が端末番号である場合とグループ番号である場合とで同一の復調方法でスケジューリング結果情報を復調することができ、よって、通信端末における復調処理を複雑にすることなく複数の通信端末をグループ化することができる。
なお、上記実施の形態では、選択しうる伝送レートを限定する場合について説明したが、上り回線パケットの送信電力に関し、選択しうる送信電力を限定する場合についても同様に実施可能である。例えば、22dBm、20dBm、18dBm、16dBm、14dBm、12dBm、10dBm、8dBmの8種類の送信電力のうち、送信電力の選択候補を22dBm、20dBmの2種類に限定し、22dBm、20dBmの2種類の送信電力のいずれか一つに対応する伝送レートを選択するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、選択しうる伝送レートを限定する場合について説明したが、個別チャネルなどの他のチャネルに対する上り回線パケットチャネルの送信電力オフセット(例えば、DPCCHに対するE−DPDCHの送信電力オフセット、DPCCHに対するDPDCH+E−DPDCHの送信電力オフセット、または、DPCHに対するDPCCH以外のチャネルの送信電力オフセット)に関し、選択しうる送信電力オフセットを限定する場合についても同様に実施可能である。例えば、30dB、25dB、20dB、15dB、10dB、5dB、0dB、−5dBの8種類の送信電力オフセットのうち、送信電力オフセットの選択候補を、図16または図17に示すように4種類に限定する。つまり、制限がない場合は30dB、25dB、20dB、15dBの4種類に限定し、25dBまでの制限がある場合は25dB、20dB、15dB、10dBの4種類に限定し、20dBまでの制限がある場合は20dB、15dB、10dB、5dBの4種類に限定し、それら4種類の送信電力オフセット候補のいずれか一つに対応する伝送レートを選択するようにしてもよい。なお、この例では送信電力オフセットのステップ幅を5dBとしたが、ステップ幅はこれに限られるものではない。また、送信電力オフセットをdB単位で表したが、真値で表してもよい。さらに、電力比ではなくて振幅比で表してもよい。
(実施の形態7)
本実施の形態では、伝送レート情報として送信パケットのデータ長を用い、通信端末から基地局に通知するデータ長の選択候補を通信端末の能力に応じて限定する場合について説明する。なお、通信端末から基地局に対して送信パケットのデータ長を伝送レート情報として通知するのは、このパケットを受信する基地局装置では、パケットを復号する際に、伝送レートよりもデータ長の方が便利だからである。なお、データ長にはCRCビット等の誤り検出符号を含んでもよい。
図18は、本発明の実施の形態7に係る通信端末装置の構成を示すブロック図である。なお、図18において図2(実施の形態1)と同一の構成については同一番号を付し説明を省略する。
伝送レート選択部257は、実際に送信する上り回線パケットのデータ長を選択し、選択したデータ長をレート要求選択部256に通知すると共に送信パラメータ設定部258に通知する。また、伝送レート選択部257は、このデータ長を示す伝送レート情報を生成してチャネルエンコード部267に出力する。この伝送レート情報は、チャネルエンコード部267でエンコードされ、変調部268で変調され、拡散部269で拡散され、増幅部270で増幅され、送信無線部266によりディジタルアナログ変換やアップコンバート等の所定の無線処理を施された後、アンテナ41を介して基地局へ送信される。
次いで、図18に示す通信端末装置の伝送レート選択部257について説明する。図19は、本発明の実施の形態7に係る通信端末装置の伝送レート選択部の構成を示すブロック図である。
マッピング制御部411には、上り回線パケットのデータ長として採り得る複数のデータ長の組合せを示す伝送レート組合せ情報が入力される。なお、伝送レート組合せ情報は、その移動体通信システムに固有のものであって通信端末装置内のいずれかに記憶されているものであってもよいし、上位局である制御局から基地局を介して通知されるものであってもよい。また、マッピング制御部411には、図18に示す通信端末の能力を示す端末能力情報が入力される。そして、マッピング制御部411は、端末能力情報に基づいて、選択部412において選択され得るデータ長の候補を、伝送レート組合せ情報で示される複数のデータ長のうちの一部に限定する。そして、マッピング制御部411は、限定したデータ長の候補をそれぞれビットに変換してマッピングし、そのマッピングしたビットを選択部412に入力する。なお、マッピング制御部411のより具体的な動作については後述する。
選択部412には、スケジューリング結果情報、送信パケットのデータ量、送信電力マージンが入力される。また、マッピング制御部411からマッピングされたビット(すなわち、限定されたデータ長の候補)が入力される。選択部412は、送信する上り回線パケットのデータ長として、マッピング制御部411で限定されたデータ長の候補の中からいずれか一つのデータ長を選択する。この際、選択部412は、スケジューリング結果情報、データ量および送信電力マージンに基づいて、いずれか一つのデータ長を選択する。そして、選択部412は、選択したデータ長を示す伝送レート情報を送信パラメータ設定部258、レート要求選択部256、チャネルエンコード部267に出力する。そして、チャネルエンコード部267に出力された伝送レート情報は、通信端末装置から送信される上り回線パケットのデータ長を示す制御信号として基地局装置へ通知される。
なお、上記説明では、チャネルエンコード部267に伝送レート情報のみが入力される構成を示したが、他の情報も入力して伝送レート情報とともに符号化してもよい。例えば、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)が適用される場合には、HARQに関する制御情報(送信回数、新データのインデックス、IRのRedundancy Version等)を伝送レート情報とともに符号化して基地局装置へ送信してもよい。
次いで、マッピング制御部411のより具体的な動作について説明する。
まず、マッピング制御部411には図20に示す伝送レート組合せ情報が入力される。図20に示す伝送レート組合せ情報では、例えば、Nbitsから128Nbitsまでの12種類のデータ長が上り回線パケットのデータ長として採り得るデータ長の組合せとして示されている。つまり、この移動体通信システムにおいては、Nbitsから128Nbitsまでの12種類のデータ長を上り回線パケットのデータ長として使用することができる。よって、伝送レート組合せ情報においては、選択候補として12種類すべてのデータ長が定義されている(選択候補とするデータ長を‘YES’と示す)。また、伝送レート組合せ情報で示されるデータ長は12種類あるので、ビット列で示すには図20のように4ビット(24)必要である。そして、Nbitsから128Nbitsまでの12種類のデータ長がそれぞれ、‘0000’〜‘1011’の4ビットにマッピングされている。なお、データ長においてNは基準となる所定のビット数を示し、例えば、データ長2Nは基準ビット数の2倍のビット数のデータ長であることを示す。
ここで、本実施の形態における端末能力情報では、通信端末がどのデータ長まで送信できる能力があるかが示されている。例えば、通信端末#Aが128Nbitsまで送信可能な通信端末(高能力端末)であった場合、通信端末#Aの端末能力情報は‘128Nbits’であり、通信端末#Bが32Nbitsまで送信可能な通信端末(低能力端末)であった場合、通信端末#Bの端末能力情報は‘32Nbits’となる。そして、マッピング制御部411は、端末能力情報に基づいて、選択部412において選択され得るデータ長の候補を、伝送レート組合せ情報で示される複数のデータ長のうちの一部に限定する。具体的には以下のようにして限定する。
例えば、通信端末#Aが高能力端末であり、通信端末#Bが低能力端末であった場合、マッピング制御部411は、図21に示すように、各通信端末の端末能力情報が示すデータ長を最大のデータ長としてデータ長の選択候補を限定する。図21に示す例では、通信端末#A(高能力端末)については、128Nbitsを最大のデータ長として8つのデータ長(128Nbits、64Nbits、32Nbits、24Nbits、16Nbits、12Nbits、8Nbits、6Nbits)にデータ長の選択候補を限定する。また、通信端末#B(低能力端末)については、32Nbitsを最大のデータ長として8つのデータ長(32Nbits、24Nbits、16Nbits、12Nbits、8Nbits、6Nbits、4Nbits、3Nbits)にデータ長の選択候補を限定する。このように、本実施の形態では、通信端末の能力に応じて選択候補となるデータ長の最大値および限定するデータ長の候補を異ならせる。
また、限定したデータ長のマッピングも、通信端末の能力に応じて異ならせる。すなわち、図21においては、通信端末#A(高能力端末)および通信端末#B(低能力端末)のいずれについても、6Nbits〜32Nbitsのデータ長が選択可能となっている。しかし、通信端末#A(高能力端末)の場合、例えば32Nbitsは‘101’にマッピングされ、24Nbitsは‘100’にマッピングされるのに対し、通信端末#B(低能力端末)の場合、32Nbitsは‘111’にマッピングされ、24Nbitsは‘110’にマッピングされる。
そして、マッピング制御部411は、マッピングした8種類のデータ長の候補を選択部412に入力し、選択部412では、これら8種類のデータ長の候補の中からいずれか一つのデータ長を選択して伝送レート情報とする。
なお、マッピング制御部411においては、図22に示すように、各通信端末の端末能力情報が示すデータ長を最大のデータ長として、間欠的にデータ長の選択候補を限定してもよい。
また、通信端末装置は、通信端末の能力を通信状況に応じて適宜切り替えてもよい。
このように、本実施の形態によれば、伝送レート情報として送信パケットのデータ長を用い、基地局装置へ通知可能なデータ長の種類を12種類から8種類に減らして、伝送レート情報のビット数を4ビットから3ビットに減らしたので、上り回線の制御信号の送信電力を低減することができる。よって、上り回線の送信電力リソースの消費を抑えることができる。また、通信端末の能力に応じて選択可能なデータ長を異ならせてデータ長の選択候補を限定するので、通信端末の能力に応じた適切なデータ長を基地局装置に通知することができる。
(実施の形態8)
上り回線パケットのTTIが短いほど1パケットで送信できるデータ長は短くなり、逆に上り回線パケットのTTIが長いほど1パケットで送信できるデータ長は長くなる。よって、比較的短いTTIの場合に、そのTTIでは送信できないような長いデータ長を選択候補として用意しても、そのような長いデータ長はそもそも選択される可能性がない。このように、TTIに応じて選択候補として適当なデータ長は異なる。そこで、本実施の形態では、通信端末から基地局に通知するデータ長の候補をTTIに応じて限定する。
図23は、本発明の実施の形態8に係る通信端末装置の伝送レート選択部の構成を示すブロック図である。なお、図23において図19(実施の形態7)と同一の構成については同一番号を付し説明を省略する。
マッピング制御部413には、上記同様、図20に示す伝送レート組合せ情報が入力される。また、マッピング制御部413には、使用されるTTIを示すTTI情報が入力される。そして、マッピング制御部413は、図24に示すように、TTI情報に基づいて、選択部412において選択され得るデータ長の候補を、伝送レート組合せ情報で示される複数のデータ長のうちの一部に限定する。
すなわち、TTI情報によって示されるTTIが所定値より長い場合(長いTTIの場合)は、図24に示すように、例えば128Nbitsのデータ長を最大のデータ長として8つのデータ長(128Nbits、64Nbits、32Nbits、24Nbits、16Nbits、12Nbits、8Nbits、6Nbits)にデータ長の選択候補を限定する。また、TTI情報によって示されるTTIが所定値より短い場合(短いTTIの場合)は、図24に示すように、例えば24Nbitsのデータ長を最大のデータ長として8つのデータ長(24Nbits、16Nbits、12Nbits、8Nbits、6Nbits、4Nbits、3Nbits、2Nbits)にデータ長の選択候補を限定する。このように、本実施の形態では、TTIに応じて選択候補となるデータ長の最大値および限定するデータ長の候補を異ならせる。
また、限定したデータ長のマッピングも、TTIに応じて異ならせる。すなわち、図24においては、長いTTIの場合および短いTTIの場合のいずれについても、6Nbits〜24Nbitsのデータ長が選択可能となっている。しかし、長いTTIの場合、例えば24Nbitsは‘100’にマッピングされ、16Nbitsは‘011’にマッピングされるのに対し、短いTTIの場合、24Nbitsは‘111’にマッピングされ、16Nbitsは‘110’にマッピングされる。
そして、マッピング制御部413は、マッピングした8種類のデータ長の候補を選択部412に入力し、選択部412では、これら8種類のデータ長の候補の中からいずれか一つのデータ長を選択して伝送レート情報とする。
なお、マッピング制御部413においては、図25に示すように、各TTIに応じて最大のデータ長を設定し、間欠的にデータ長の選択候補を限定してもよい。
また、本実施の形態を実施の形態7と組み合わせて実施してもよい。
このように、本実施の形態によれば、実施の形態7同様、伝送レート情報として送信パケットのデータ長を用い、基地局装置へ通知可能なデータ長の種類を12種類から8種類に減らして、伝送レート情報のビット数を4ビットから3ビットに減らしたので、上り回線の制御信号の送信電力を低減することができる。よって、上り回線の送信電力リソースの消費を抑えることができる。また、TTIに応じて選択可能なデータ長を異ならせてデータ長の選択候補を限定するので、使用されるTTIに応じた適切なデータ長を基地局装置に通知することができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、通信端末から基地局に通知するデータ長の候補を通信端末の通信中において切り替え可能である場合について説明する。
図26は、本発明の実施の形態9に係る通信端末装置の伝送レート選択部の構成を示すブロック図である。なお、図26において図19(実施の形態7)と同一の構成については同一番号を付し説明を省略する。
マッピング制御部414には、伝送レート組合せ情報が入力される。また、マッピング制御部414には、伝送レート制限情報が入力される。伝送レート制限情報は、通信端末の通信中において、上位局である制御局から基地局を介して通信端末に通知される。制御局は、例えば、無線通信システムに現在収容している通信端末数や干渉量、上り回線や下り回線のユーザースループット、システムスループット、トラフィックボリューム(例えば、バッファ内のデータ量)などの通信状態に応じて、伝送レート制限情報の内容を適宜切り替えて通知する。また、制御局は、基地局のハードウェア使用状況に応じて伝送レート制限情報の内容を適宜切り替えて通知してもよい。また、制御局は、通信端末において別チャネル(例えば、DPDCH、DPCCH、HS−DPCCH等)によってコードツリーが部分的に使用されている場合は、コードツリー全体から使用中のコードツリーを除いた残りのコードツリー(すなわち、使用可能なコードツリー)から決定される伝送レートの上限を伝送レート制限情報として通知してもよい。また、E−DPDCHのコードリソースを示した拡散率とコード数の組合せのインデックス(例えば、MCSインデックス)を伝送レート制限情報として通知してもよい。また、伝送レート制限情報を通信端末装置内で生成してもよい。また、伝送レート制限情報の内容は、通信端末毎に異なっていてもよいし、セル、周波数、オペレータ毎に異なっていてもよい。
マッピング制御部414は、通信端末の通信中において制御局から基地局を介して通知された伝送レート制限情報が入力される度に、選択部412において選択され得るデータ長の候補を、伝送レート組合せ情報で示される複数のデータ長のうち、伝送レート制限情報で示されるデータ長に限定する。つまり、マッピング制御部414は、伝送レート制限情報に基づいて、選択部412において選択され得るデータ長の候補を、伝送レート組合せ情報で示される複数のデータ長の一部に限定する。そして、マッピング制御部414は、限定したデータ長の候補をそれぞれビットに変換してマッピングし、そのマッピングしたビットを選択部412に入力する。具体的には、以下のようにする。
マッピング制御部414には、制御局が適宜切り替えて通知する図27に示す伝送レート制限情報が入力される。この伝送レート制限情報は、選択部412で選択され得るデータ長の候補を伝送レート組合せ情報で示される複数のデータ長の一部に限定するための情報である(選択候補とするデータ長を‘YES’と示し、選択候補としないデータ長を‘NO’と示す)。また、伝送レート制限情報で示される伝送レートの候補は、図27の例では、6〜8種類であるので、ビット列で示すには3ビット(23)必要である。このように、伝送レート制限情報で示されるデータ長候補のビット数は、伝送レート組合せ情報で示されるデータ長のビット数よりも少なくなるようにする。
そして、マッピング制御部414は、伝送レート制限情報に従って、例えば制限なしの場合は、伝送レート組合せ情報で示されるNbitsから128Nbitsまでの12種類のデータ長のうち、Nbits〜4Nbits、8Nbits、16Nbits、32Nbits、128Nbitsの8種類のデータ長にデータ長の候補を限定する。そして、マッピング制御部414は、それら8種類のデータ長をそれぞれ、‘000’〜‘111’の3ビットにマッピングする。そして、マッピングした8種類のデータ長候補を選択部412に入力する。
なお、マッピング制御部412においては、図28に示すように、伝送レート制限情報に従って限定したデータ長のマッピングを、使用できるデータ長の上限に応じて異ならせてもよい。すなわち、図28においては、制限なし、32Nbitsまでの制限あり、16Nbitsまでの制限ありのいずれについても、16Nbitsのデータ長が選択可能となっている。しかし、16Nbitsは、制限なしの場合は‘101’に、32Nbitsまでの制限ありの場合は‘110’に、16Nbitsまでの制限ありの場合は‘111’にそれぞれマッピングされ、使用できるデータ長の上限に応じてマッピングが異なる。
また、図27および図28においては、選択候補から除外されるデータ長を含んでいるが、選択候補から除外されるデータ長を予め除外したテーブルを備えてもよい。すなわち、図29に示すように、データ長の上限がない場合(制限なしの場合)に選択候補となる8種類のデータ長およびそれらのマッピングを予め通信端末において把握しておき、32Nbitsまでの制限ありの場合または16Nbitsまでの制限ありの場合は、伝送レート制限情報に従ってその8種類のデータ長からさらにデータ長の候補を限定するようにしてもよい。また、図28に示すように限定されて選択候補となるデータ長の数がデータ長の上限によらず同じである場合(図28ではいずれも8種類)、通信端末が、図30に示すように、使用できるデータ長の上限に応じて異なるデータ長のマッピングを予め把握しておき、データ長の上限に応じてマッピングを異ならせてもよい。例えば、使用できるデータ長の最大値に応じた複数のテーブル(例えば、最大値:128Nbits、32Nbits、16Nbitsの3つのテーブル)が通信端末内に定義された場合、伝送レート制限情報に従ってテーブルを切り替えて用いることにより、使用できるデータ長の上限に応じて各データ長のマッピングを異ならせることができる。
また、図31に示すように、使用できるデータ長の上限以外にも、上り回線パケット用のチャネルに使用できるコード数の上限(例えば、E−DPDCHにおいて特定の拡散率に換算した場合に使用可能なコード数)に応じてデータ長の候補を限定し、さらに、データ長のマッピングを異ならせてもよい。同様に、他のチャネル(例えば、DPDCH、DPCCH、HS−DPCCH等)で使用されるコード数、ピーク伝送レート、端末能力、端末のカテゴリー、TTI、MCSインデックスに応じてテーブルを定義してもよい。
また、本実施の形態を実施の形態7または実施の形態8と組み合わせて実施してもよい。
このように、本実施の形態によれば、通信中において変化する通信端末数や干渉量等の通信状態に応じて伝送レート制限情報の内容を適宜切り替えて制御局から基地局を介して通信端末に通知するため、通信端末においては限定するデータ長の候補を通信中において適宜切り替えることが可能となり、その結果、伝送レート情報のビット数を減らして上り回線の制御信号の送信電力を低減することができるとともに、通信状態に応じた適切なデータ長を基地局装置に通知することができる。
なお、上記各実施の形態においては、伝送レートまたはデータ長を、基地局または通信端末へ通知する通信パラメータとする場合について説明したが、通知する通信パラメータの種類はこれらに限られるものではない。複数の値を採り、それら複数の値がそれぞれ複数のビット列にマッピングされて通知される通信パラメータであれば本発明を同様に適用することができる。