JP2009269857A - 強化除草剤及びその強化除草剤の使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キレート亜鉛と結び付きが可能な極性を備えた除草剤と、キレート亜鉛とを混合し、キレート亜鉛の薬物誘導作用で除草剤の効能を高めた強化除草剤である。
その強化除草剤は、芝生に対して、雑草が広葉雑草と細葉雑草のいずれかの雑草を対象にしてその雑草の種類に応じてキレート亜鉛の使用量を決め散布するにあたり、広葉雑草では1平方メートルあたり2.5mg〜50mgの範囲とし、細葉雑草では1平方メートルあたり4mg〜50mgの範囲とすることで、薬害を起こさせずに安全に且つ雑草を完全枯死させることが可能となる。
【選択図】 なし
Description
このため、例えば、ゴルフ場などの芝生における除草では、土壌処理除草剤と茎葉処理除草剤とを組み合わせることで除草効果を高める工夫がなされている。
しかしながら、再び雑草が発生してしまった場合には、芝生への安全性を維持するために生えた雑草のみに効果が期待できる茎葉処理除草剤を選択して使用している。
このように除草剤を工夫して使用しても、雑草の種類によっては地下茎や根までを枯れさせること(雑草を完全に除去すること)が困難なものもあった。
そして雑草を完全に枯死できずに不完全に除草処理がなされると、生き延びていた雑草がたちまち蔓延してしまうことが多く見られる。
また、安全性を維持するために有害成分を増やさずに薬効を強化させる方法として、長時間にわたって雑草の葉に付着させることで効果を維持、増進させようとする展着剤(アジュバンド)を除草剤に混和させる方法(特許文献1参照)が知られているが、このような展着剤は単に雑草の葉などへの付着面積を大きくすることで効果を高めようとしたものであって、除草剤の薬効そのものを強化するものではなかった。
ここでいう「結び付き」とは、キレート亜鉛を混合したとき、その金属亜鉛と配位結合等の何らかの化学的関係を持つことをいい、この「結び付き」によって誘導作用がもたらされるものと推察される。即ち、誘導作用とは、除草剤がキレート亜鉛との結び付きにより一定の関係をもつことになり、当該キレート亜鉛には、植物の葉、茎、根等を通して植物の細胞組織に侵入し易い性質があり、このキレート亜鉛と結び付きをもった除草剤がキレート亜鉛の侵入に連れて植物の細胞組織内に侵入することが可能となることを指す。
その結果、これまでの除草剤では枯死させることはできなかった雑草に対して安全性が確保されると同時に除草剤の薬効を強力に発揮させて雑草を完全枯死させることが可能となった。
本願請求項1に記載の発明は、除草剤にキレート亜鉛を混合させた強化除草剤であるが、対象となる除草剤は、キレート亜鉛と結び付きが可能な極性を備えた除草剤である。
単体としての金属亜鉛は極性が極めて強く、そのまま使用するとマイナス面が多いので本発明では使用できない。このため、亜鉛をキレート化し結合力を穏やかな状態に調節して使用する。
用いるキレート亜鉛とは、有機酸とアミノ酸でキレート化された亜鉛である。
即ち、キレート亜鉛は自らの除草能力がなくても、混合した相手の除草剤の除草効能を高める点で機能増強性を有した物質であると考えられる。このことは、肥料の分野において、キレート亜鉛の混合により肥料の栄養分の吸収効果を促進する効果促進発現剤としての使用が知られており、本発明でも、除草剤への混合により薬剤の吸収効果を促進させる「植物の細胞組織の中へ薬剤誘導物質」として肥料と同様の作用、即ち「機能増強性」を持つものと考えられる。
そのような芝生地に用いる除草剤としては、ザイトロンアミン液剤、MCPP液剤、アージラン液剤などがあるが、それらのいずれにも効果が確認できた。
より好ましくは、環境への配慮から最小限とする量であり、その散布量は広葉雑草では2.5mgであり、細葉雑草では4mgである。
散布量が51mg以上では、誘導効果がその分増加することもないので、散布地での亜鉛蓄積を考慮すると好ましくはない。
この実験では、既存の除草剤に少量の展着材を加えて、これに5wt%キレート亜鉛の溶液を混合した強化除草剤とを比較し除草効果の確認をした。
除草剤の希釈液の散布量はいずれも250cc/m2とした。
この場合、例えば5wt%のキレート亜鉛の溶液0.5cc/m2を、前記除草剤の希釈液250ccに入れて全量散布すると、キレート亜鉛の使用量は2.5mg/m2の計算となる。
即ち、以下の実験で、キレート亜鉛の散布量について0.5cc/m2と記載されたデータは上述の通り、キレート亜鉛の使用量は2.5mg/m2の計算となり、他の薬品の使用量も同様となる。
この実験結果は下記の通りであった。
シロツメクサ(マメ科、多年草)に対する実験を行った。
この実験をした期間は平成19年5月から9月で、その結果が下記表1である。
実験1ではキレート亜鉛とMCPPと混合した本発明とキレート亜鉛を含まないMCPPとを別々に散布してようすを観察した。
本発明もMCPPもともに1週間程度でシロツメクサの葉は枯れたが、キレート亜鉛を混合しない方はランナー部分が枯れずに残り、これから1ヶ月程度でシロツメクサが再生してしまった。しかし、本発明のキレート亜鉛を混合した場合においてはシロツメクサのランナーまで完全に枯死し再生はなかった。
この実験によって、MCPPにキレート亜鉛を混合することで、MCPPの除草効果がキレート亜鉛によって強化されたことが確認できた。
また、実験2では、実験1ではキレート亜鉛とMCPP及びザイトロンと混合した本発明とキレート亜鉛を含まないMCPP及びザイトロンとを別々に散布してようすを観察した。
本発明とキレート亜鉛を含まないMCPP及びザイトロンとを別々に散布してようすを観察した。
また、本発明も比較例もともに1週間程度でシロツメクサの葉は枯れたが、キレート亜鉛を混合しない方はランナー部分が枯れずに残り、これから1ヶ月程度でシロツメクサが再生してしまった。しかし、本発明のキレート亜鉛を混合した場合においてはシロツメクサのランナーまで完全に枯死し再生はなかった。
この実験によって、MCPP及びザイトロンにキレート亜鉛を混合することで、MCPP及びザイトロンの除草効果が強化されたことが確認できた。
ヤハズソウ(マメ科、1年草)に対する実験を行った。
この実験をした期間は平成19年5月から8月であり、その結果が下記表2である。
この実験1では、本発明と比較例ともに1週間程度で葉が枯れたが、キレート亜鉛を混合しない方は大半の個体は枯れずに生き残り、とくに木質化した部分は枯れにくかった。
しかし、本発明のキレート亜鉛を混合した場合では、2週間程度で木質化した部分まで枯れて完全に枯死した。
この実験によって、MCPPの除草効果がキレート亜鉛によって強化されたことが確認できた。
また実験2では、本発明とザイトロンの加えた比較例ともに1週間程度で葉が枯れたが、キレート亜鉛を混合しない方は大半の個体は枯れずに生き残り、とくに木質化した部分は枯れにくかった。
キレート亜鉛を混合した場合では、2週間弱で木質化した部分まで枯れて完全に枯死した。
この実験2によって、キレート亜鉛を混合することで、MCPP及びザイトロンの除草効果が強化されたことが確認でき、上記実験1よりもザイトロンを加えたので除草効果はより高くなったことが確認された。
さらに実験3によって、キレート亜鉛を混合することで、ヤハズソウは1週間弱で完全枯死し、MCPP、ザイトロン及びシバゲンの除草効果がキレート亜鉛によって強化されたことが確認でき、上記実験2にシバゲンを加えたのでヤハズソウに対する除草効果はさらに高くなったことが確認された。
この実験をした期間は平成19年5月であり、その結果が下記表3である。
実験1では、MCPPのみでは1週間程度でツメクサの葉は黄変したが、個体の大半が枯れずに残りそのツメクサは再生してしまった。
しかしキレート亜鉛を混合した場合では、1から2週間で完全に枯死した。
この実験によって、キレート亜鉛を混合することで、ツメクサに対してもMCPPの除草効果が強化されたことが確認できた。
この実験をした期間は平成19年5月であり、その結果が下記表4である。
この実験1では、比較例では1週間程度で葉は萎縮黄変したが、大半は再生した。
しかし、キレート亜鉛を混合した本発明では、1〜2週間で完全枯死し、再生はなかった。
この実験によって、MCPPのオオバコに対する除草効果がキレート亜鉛によって強化されたことが確認できた。
また、実験2では、キレート亜鉛を混合することで、MCPP及びザイトロンの除草効果がキレート亜鉛によって強化されたことが確認でき、上記実験1よりもザイトロンを加えたのでオオバコに対する除草効果はより高くなったことが確認された。
なお、この実験1及び実験2でも、比較例では大半は再生してしまったが、本発明ではオオバコを完全に枯死させることができた。
この実験をした期間は平成19年6月から7月であり、その結果が下記表5である。
この実験1では、ザイトロンだけでは1週間程度で葉は萎縮黄変し枯死する個体もあったが大半は再生してしまった。
しかし、ザイトロンにキレート亜鉛を混合した本発明では、1〜2週間でタンポポは完全に枯死した。
この実験1によって、ザイトロンにキレート亜鉛を混合することで、タンポポに対する除草効果が強化されたことが確認できた。
この実験をした期間は平成19年5月から6月であり、その結果が下記表6である。
この実験1では、アージラン、MCPP及びザイトロンの3液を混合したが、1週間程度で葉は萎縮黄変し枯死する個体もあったが一部のランナーは生存し、1ヶ月程度でチドメグサは再生した。
キレート亜鉛を混合した本発明では、2〜3日で完全枯死し、再生しなかった。
この実験によって、チドメグサに対する除草効果がキレート亜鉛によって強化されたことが確認できた。
この実験2では、MCPP及びザイトロンの2液を混合したが、1〜2週間程度で葉焼け程度で枯死する個体はなかった。
しかし、キレート亜鉛を混合した本発明では、2週間で完全枯死した。
この実験によって、チドメグサに対する除草効果がキレート亜鉛によって強化されたことが確認できた。
この実験をした期間は平成19年6月から8月であり、その結果が下記表7である。
この実験1では、アージランのみでは1〜2週間程度で葉焼け程度で枯死する個体はなかった。
しかし、アージランにキレート亜鉛を1ccと2ccの混合をした本発明では、いずれも2週間でメリケンカルカヤは完全枯死した。
この実験によって、キレート亜鉛を混合することで、アージランのメリケンカルカヤに対する除草効果が強化されたことが確認できた。
また、実験2では、アージランとショートキープの混合のみでは1〜2週間程度で葉焼け程度で枯死する個体はなかった。
しかし、アージランとショートキープにキレート亜鉛を1cc混合した本発明では、2週間でメリケンカルカヤは完全枯死した。
この実験によって、キレート亜鉛を混合することで、アージラン及びショートキープのメリケンカルカヤに対する除草効果が強化されたことが確認できた。
さらに、実験3では、アージラン、ショートキープ及びシバゲンの3液のみでは1〜2週間程度で葉焼け程度で枯死する個体はなかった。
しかし、キレート亜鉛を混合した本発明では、2週間でメリケンカルカヤは完全枯死した。
この実験によって、キレート亜鉛を混合することで、除草剤のメリケンカルカヤに対する除草効果が強化されたことが確認できた。
この実験をした期間は平成19年7月から8月であり、その結果が下記表8である。
この実験1では、アージランにシバゲンを0.06g加えたものであるが、1〜2週間程度で葉焼け程度で枯死する個体はなかった。
しかし、キレート亜鉛を混合した本発明では、成長が抑制されたことは確認されたが、完全に枯死したかの確認は1年後のスクリーニングを待って確認することとした。
しかし、この段階であっても、アージランとシバゲンにキレート亜鉛を混合することで、チガヤに対する除草効果が強化されたことが確認できた。
この実験をした期間は平成19年7月から9月であり、その結果が下記表9である。
この実験1では、アージラン及びシバゲンのみの場合、2週間程度で葉焼け程度で枯死する個体はなかった。
しかし、キレート亜鉛を混合した場合では、成長の抑制は確認されたが、枯死の確認は1年後のスクリーニングを待って確認することとした。
この実験によって、キレート亜鉛を混合することで、アージランとシバゲンのスズメノヒエに対する除草効果がキレート亜鉛によって強化されたことが確認できた。
る。
このようなことからキレート亜鉛には、既存の除草剤に対して除草効果を強化する作用があるものと考えられる。
なお、使用した除草剤の「MCPP」は農林水産省登録第15020号、「ザイトロン」は農林水産省登録第14708号、「アージラン」は農林水産省登録第21090号、「シバゲン」は農林水産省登録第17475号、「ショートキープ」は農林水産省登録第19644号である。
Claims (4)
- キレート亜鉛と結び付きが可能な極性を備えた除草剤に、キレート亜鉛とを混和させて成ることを特徴とする強化除草剤。
- キレート亜鉛と結び付きが可能な極性を備えた除草剤と、キレート亜鉛とを散布直前に混和させて強化除草剤を得てこれを雑草に散布することを特徴とする強化除草剤の使用方法。
- 広葉雑草を対象にした芝生用であって、キレート亜鉛の使用量が1平方メートルあたり2.5mg〜50mgの範囲としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の強化除草剤の使用方法。
- 細葉雑草を対象にした芝生用であって、キレート亜鉛の使用量が1平方メートルあたり4mg〜50mgの範囲としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の強化除草剤の使用方法。
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