JP2009259751A - 面状発熱体 - Google Patents

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Abstract

【課題】余分なエネルギー消費が生じることがなく、熱効率を向上させるようにした面状発熱体を提供する。また、電磁的ノイズが発生し、機器に対して電磁的障害を与えたり、電磁波が人体に悪影響を与える危険のない面状発熱体を提供する。
【解決手段】面状発熱体1は、変形自在の炭素繊維糸よりなるカーボン抵抗体を、可撓性を有する絶縁被覆材で被覆してカーボン通電線2を形成し、このカーボン通電線を面状部材に配設した。また面状発熱体は、変形自在の炭素繊維糸よりなるカーボン抵抗体を、絶縁部材に埋設した。
【選択図】図1

Description

本発明は、暖房器具やその他加熱器具の発熱体として有用な面状発熱体に関するものである。
従来、電気毛布や電気カーペットなどの面状発熱体は、毛布やカーペットの内部に被覆を施したしなやかな電熱線(ニクロム線やタングステン線)が埋め込まれており、これに通電することで発生するジュール熱で毛布やカーペットが暖まるようになっている。また床暖房や融雪シートなどにも、面状の部材に電熱線が埋め込まれており、これに通電することで発生するジュール熱で床を暖めたり、積もった雪を融かしている。
しかしながら、熱源として使用されているニクロム線やタングステン線の電気抵抗率は温度の上昇とともに著しく大きくなるので、これを用いた機器の突入電流が大きく、電源をオンした瞬間に定格の約10倍程度のラッシュ電流が流れる。このため電磁的ノイズが発生し、機器に対して電磁的障害を与えたり、電磁波が人体に悪影響を与える危険がある。
本発明は、上記したような従来の問題点に鑑みて考えられたもので、余分なエネルギー消費が生じることがなく、熱効率を向上させるようにした面状発熱体を提供することを目的とする。
また本発明は、機器に対して電磁的障害のない面状発熱体を提供することを目的とする。
上記のような目的を達成するために、本発明の面状発熱体は、変形自在の炭素繊維糸よりなるカーボン抵抗体を、可撓性を有する絶縁被覆材で被覆してカーボン通電線を形成し、このカーボン通電線を面状部材に配設したことを特徴とするものである。
また本発明の面状発熱体は、変形自在の炭素繊維糸よりなるカーボン抵抗体を、絶縁部材に埋設したことを特徴とするものである。
上記課題解決手段による作用は、次のとおりである。
炭素繊維は、電気抵抗値が大きく、発熱しやすいものである。このような炭素繊維糸よりなるカーボン通電線またはカーボン抵抗体に導通することによって、カーボン通電線またはカーボン抵抗体が発熱する。炭素繊維は、温度上昇とともに抵抗値が低下する負の抵抗温度特性を有しているため、本発明の面状発熱体を使用することによって、電圧印加時の突入電流が小さくなる。
上記構成の本発明によれば、突入電流を小さくすることができるので、余分なエネルギー消費が生じることがなく、熱効率を向上させることができ、しかも機器に対して電磁的障害のない面状発熱体を提供することができる。また炭素繊維糸を加熱することで遠赤外線が放射され、皮膚に対する刺激性が少なく、人の身体にやさしく作用するなどの遠赤外線効果も期待できる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態について説明する。
<イ>面状発熱体(図1)
図1にカーボン通電線2を埋め込んだ面状発熱体(電気毛布や電気カーペットなど)1の配線状態を示す。カーボン通電線2が面状発熱体1の放熱面に蛇行して配設されており、端子3(リード線31)がコントローラ7に接続されている。面状発熱体1は、例えば図1(B)に示すようにカーボン通電線2を蛇行配設したカーボン発熱体ユニット11を、表材12と裏材13とでサンドイッチ状に挟んで構成されている。コントローラ7の先にコード8を介してプラグ9が取り付けられている。プラグ9をコンセント(図示せず)に差し込むことでカーボン通電線2が発熱し、面状発熱体1が放熱する。
<ロ>カーボン通電線(図2)
カーボン通電線2は、図2(A)に示すように針金や銅線などの弾性線材22に炭素繊維糸よりなるカーボン抵抗体20を巻き付けて、さらに全体を可撓性を有する樹脂等の絶縁被覆材23で被覆したものである。あるいは絶縁被覆材23で被覆する替わりに液状の樹脂等をカーボン抵抗体20に塗布し、これを硬化させたものであってもよい。このカーボン抵抗体20の両端に端子3を取り付けて、端子3を介して導通することでカーボン通電線2が発熱する。
またカーボン通電線2は、図2(B)に示すように炭素繊維糸よりなるカーボン抵抗体20を液状の樹脂等に浸して適度に硬化させたものであれば、弾性線材22に巻き付けることなく、そのまま可撓性を有する樹脂等の絶縁被覆材23で被覆してもよい。カーボン抵抗体20を適度に硬化させてあるので、面状発熱体1の形状に応じて折曲させることや、製造工程において適宜に変形させることができる。
<ハ>カーボン抵抗体
カーボン抵抗体20は、図2(B)に示すように例えばポリアクリロニトリルを原料とするPAN系炭素繊維素線21を多数束ねてPAN系炭素繊維糸とし、このPAN系炭素繊維糸を複数本撚り合わせて構成した撚糸からなるものである。このようにPAN系炭素繊維糸を多数撚り合わせてなるカーボン抵抗体20は、高弾性・高強度の特性があるが、発熱体としての充分な耐熱性及び強度を保つためには、太さ(直径)を1mm〜5mm程度とすることが望ましい。撚糸とすることで、単にPAN系炭素繊維糸を束ねた場合に比べてカーボン抵抗体20がほどけにくくなっている。
<ニ>端子(図3)
端子3は、折り曲げ可能な導電性の帯状金属板30と、これに接続されるリード線31とで構成される(図3(A)、(C)参照)。この端子3をカーボン通電線2に取り付けるには、先ずT字形の帯状金属板30を形成し(図3(A))、両側を垂直に折り曲げるとともに一部に切込み32を入れ、さらに波状の凹凸部33を形成しておく(図3(B))。ここにカーボン抵抗体20(絶縁被覆材23が除去され、露出した一端)を差し込み、凹凸部33を折り曲げていく(図3(B))。さらに両側の垂直折曲部も折り曲げて凹凸部33をカーボン抵抗体20に圧着させる。舌片34にリード線31をスポット溶接して両端に端子3が取り付けられる(図3(C)、(D))。
図4に端子3の他の例を示す。導電性の筒状部材35を切り欠いて湾曲片37を形成し、先端をやや丸く尖らせて電極ピン36を形成する(図4(A))。湾曲片37にカーボン抵抗体20(絶縁被覆材23が除去され、露出した一端)の一端を差し込み、湾曲片37を折り曲げてカーボン抵抗体20に圧着させて端子3を構成する。この端子3を取り付けたカーボン通電線2を、図4(B)に示すように面状発熱体1の放熱面に蛇行して配設し、端子3を面状発熱体1に固定されたプラグ受け4の内部に組み込んでいる。コード8に設けたプラグ5をプラグ受け4に差し込むことでカーボン通電線2が発熱し、面状発熱体1が放熱する。
<ホ>作用
上記のように構成した面状発熱体1に通電すると、コントローラ7で通電量が調整されながらカーボン通電線2に電流が流れ、カーボン通電線2が発熱する。カーボン通電線2が、炭素繊維素線21を複数本撚り合わせた撚糸よりなるため、カーボン通電線2には電流が均一に流れ、その表面全域において均一に高い発熱効率が得られる。また、カーボン抵抗体20を絶縁被覆材23で被覆しているので、高温環境下で使用してもカーボン抵抗体20は酸化されることがなく、長寿命のカーボン通電線2が得られる。このため、カーボン通電線2を使用した面状発熱体1の寿命が大幅に延びる。
またカーボン通電線2には、面状発熱体1の形状に応じて折曲させることや、製造工程において適宜に変形させることのできる可撓性、柔軟性が得られることから面状発熱体1の設計の自由度が大きくなる。カーボン通電線2の抵抗値は断面積に反比例し、長さに比例するため、撚り合わせる炭素繊維素線21の径や、炭素繊維素線21の本数の増減等によって必要な出力を設計することができる。
次に図5に基づき、本発明の他の実施形態を説明する。図5は、面状発熱体1の断面図である。本例は、カーボン抵抗体20をウレタン若しくはシリコン等の樹脂を主体とする絶縁基板14で囲繞して、カーボン抵抗体20を絶縁基板14内に埋設したものである。カーボン抵抗体20を液状樹脂等に浸して硬化させてあるので、面状発熱体1の形状に応じて折曲させることや、製造工程において適宜に変形させることができる。図示してないが、前記と同様にカーボン抵抗体20の両端に端子3を取り付けてある。
面状発熱体を示す概略図。 カーボン通電線を示す斜視図。 端子の製造工程を示す概略図。 端子の他の例を示す図で、(A)はカーボン通電線と端子との関係を示す図で、(B)はこの端子を面状発熱体に使用した場合を示す図。 面状発熱体の他の例を示す断面図。
符号の説明
1・・・・面状発熱体
2・・・・カーボン通電線
20・・・カーボン抵抗体
3・・・・端子
36・・・電極ピン
4・・・・プラグ受け
5・・・・プラグ
7・・・・コントローラ

Claims (2)

  1. 変形自在の炭素繊維糸よりなるカーボン抵抗体を、可撓性を有する絶縁被覆材で被覆してカーボン通電線を形成し、このカーボン通電線を面状部材に配設したことを特徴とする、面状発熱体。
  2. 変形自在の炭素繊維糸よりなるカーボン抵抗体を、絶縁部材に埋設したことを特徴とする、面状発熱体。
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