JP2009258334A - プロジェクタ及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】投写面の異常を容易に認識することが可能なプロジェクタ及びその制御方法を提供する。
【解決手段】制御部は、ユーザによって操作パネル又はリモコンのテストキーが操作されると、入力画像Pi上にテストパターンTP(水平ラインLh及び垂直ラインLv)を重畳表示させる。その後、ユーザにより方向キーが操作されると、制御部は、テストパターンTPを、操作された方向キーに対応する方向に所定の距離(例えば、1画素分)だけ移動させる。このため、ユーザは、方向キーの操作を繰り返すこと(操作(押下)したままの状態を維持することも含む)により、水平ラインLh及び垂直ラインLvを、任意の方向に向けて漸次移動させることができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、画像を投写するプロジェクタ及びその制御方法に関する。
スクリーン等に画像を投写するプロジェクタにおいて、プロジェクタやスクリーンの設置状態等を認識し、これに起因する画像の変形(歪み)を補正する技術が種々提案されている。特許文献1に記載のプロジェクタは、テストパターンとして格子状の模様を投写することにより、スクリーン面(投写面)の部分的な凹凸をも認識可能としている。
特開2002−176601号公報
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクタのように、格子状のテストパターンを用いた場合には、格子縞の間に局所的な異常(凹凸や歪み等)が存在する場合に、これを認識することは困難である。また、この問題を解決すべく格子縞の間隔を狭めたとしても、縞の本数が増えるとともに格子の目が小さくなるため、視認性が低下して投写面の異常を見落としやすくなってしまうという問題を有している。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係るプロジェクタは、画像信号に基づく画像を投写するプロジェクタであって、前記画像信号が入力される画像信号入力部と、前記画像信号に基づく画像を投写して、投写面に当該画像を表示する画像投写部と、入力操作がなされる入力操作部と、前記入力操作部に所定の入力操作がなされた場合に、前記投写面の状態を認識するためのテストパターンを前記画像投写部に表示させる画像制御部と、を備え、前記画像制御部は、前記テストパターンを漸次移動させることを特徴とする。
このプロジェクタによれば、画像制御部が、投写面の状態を認識するためのテストパターンを漸次移動させるため、静止したテストパターンでは認識が困難な投写面の局所的な異常(凹凸や歪み等)を容易に認識することが可能となる。
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記画像制御部は、前記画像信号に基づく画像に前記テストパターンを重畳させることが望ましい。
このプロジェクタによれば、入力される画像信号に基づく画像(入力画像)にテストパターンが重畳されるため、投写面の異常を、これに起因する入力画像の変形(歪み)を確認しながら認識することができる。このため、投写面の異常を容易に認識することが可能となる。
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記画像制御部は、前記入力操作部になされる入力操作に基づいて、前記テストパターンの移動方向を変更することが望ましい。
このプロジェクタによれば、入力操作によってテストパターンの移動方向が変わるため、投写面の所望の位置の異常を容易に認識することが可能となる。
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記テストパターンは、直線を含んで構成されることが望ましい。
このプロジェクタによれば、テストパターンが直線を含んでいる。直線は、投写面の異常によって屈曲した場合に、その発見が容易であるため、投写面の異常を容易に認識することが可能となる。
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記テストパターンは、互いに方向の異なる複数の直線を含んで構成されることが望ましい。
このプロジェクタによれば、方向の異なる複数の直線がテストパターンに含まれているため、特定の方向の直線のみでは気づきにくい異常が投写面に存在する場合でも、他の方向の直線によってこれを認識することが可能となる。
[適用例6]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記テストパターンは、少なくとも互いに直交する2つの直線を含んで構成されることが望ましい。
このプロジェクタによれば、直交する2つの直線がテストパターンに含まれるため、投写された2つの直線の交角が直角か否かによって、投写面の異常を容易に認識することが可能となる。
[適用例7]本適用例に係るプロジェクタの制御方法は、画像信号に基づく画像を投写面に投写するプロジェクタの制御方法であって、前記投写面の状態を認識するためのテストパターンを投写するテストパターン投写ステップと、前記テストパターンを漸次移動させるテストパターン移動ステップと、を備えたことを特徴とする。
このプロジェクタの制御方法によれば、投写面の状態を認識するためのテストパターンが漸次移動するため、静止したテストパターンでは認識が困難な投写面の局所的な異常(凹凸や歪み等)を容易に認識することが可能となる。
また、上述したプロジェクタ及びその制御方法がプロジェクタに備えられたコンピュータを用いて構築されている場合には、上記形態及び上記適用例は、その機能を実現するためのプログラム、或いは当該プログラムを前記コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体等の態様で構成することも可能である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコード等の符号が印刷された印刷物、プロジェクタの内部記憶装置(RAMやROM等のメモリ)、及び外部記憶装置等、前記コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用することができる。
(第1実施形態)
以下、外部から入力される画像信号に基づく画像(以降、「入力画像」と呼ぶ。)を投写して、スクリーン等の投写面にこの入力画像を表示するプロジェクタについて説明する。本実施形態のプロジェクタは、入力画像に重畳させてテストパターンを表示可能であり、ユーザは、投写されたテストパターンを観察することによって投写面の状態(平坦度)を認識できるようになっている。
図1は、本実施形態のプロジェクタの斜視図である。
図1に示すように、プロジェクタ1は、装置本体が筐体2によって覆われた構成を有している。筐体2の前面2fには、スクリーン等の投写面に画像を投写する投写レンズ13が露出しており、筐体2の上面2tには、プロジェクタ1に対して各種指示を行うための操作パネル22が備えられている。また、プロジェクタ1は、リモコン23による遠隔操作も可能になっており、筐体2の前面2fには、リモコン23から送信される赤外線の操作信号を受信するための操作信号受信部24が設けられている。
図2は、プロジェクタ1の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、プロジェクタ1は、画像投写部10、制御部20、記憶部21、操作パネル22、リモコン23、操作信号受信部24、画像信号入力部25、画像処理部26、OSD処理部27等で構成されている。
画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、ライトバルブ駆動部14等を含んでいる。画像投写部10は、表示部に相当するものであり、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調して画像を形成し、この画像を投写レンズ13から投写してスクリーン等の投写面Sに表示する。
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクタ11bとを含んで構成されている。光源11から射出された光は、図示しないインテグレータ光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bには、マトリクス状に配列された複数の画素が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。ライトバルブ駆動部14が、入力される画像信号に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像信号に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを透過することによって変調され、画像信号に応じた画像が色光毎に形成される。形成された各色の画像は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラー画像となった後、投写レンズ13から拡大投写される。
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等を備え、記憶部21に記憶されている制御プログラムに従って動作することによりプロジェクタ1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、記憶部21とともにコンピュータとして機能する。
記憶部21は、マスクROM(Read Only Memory)や、フラッシュメモリ、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリ)等の不揮発性のメモリにより構成されている。記憶部21には、プロジェクタ1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクタ1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。
操作パネル22及びリモコン23は、ユーザからの入力操作を受け付ける入力操作部に相当するものであり、ユーザがプロジェクタ1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。
図3は、操作パネル22を示す平面図であり、図4は、リモコン23を示す平面図である。
図3及び図4に示すように、操作パネル22及びリモコン23が備える操作キーとしては、電源のオンとオフとを切り替えるための電源キー31,41、各種設定を行うためのメニュー画像を表示させるメニューキー32,42、メニュー画像における項目の選択等に用いられる4つの方向キー33,43(上下左右にそれぞれ対応する上方向キー33a,43a、下方向キー33b,43b、左方向キー33c,43c、右方向キー33d,43d)、動作の取消を指示する取消キー34,44、テストパターンの表示を指示するためのテストキー35,45等がある。
図2に戻って、ユーザが操作パネル22の各種操作キーを操作すると、操作パネル22は、操作された操作キーに応じた操作信号を制御部20に出力する。また、ユーザがリモコン23の各種操作キーを操作すると、リモコン23は、操作された操作キーに応じた赤外線の操作信号を発し、操作信号受信部24がこれを受信して制御部20に伝達する。
画像信号入力部25には、パーソナルコンピュータやDVD(Digital Versatile Disc)再生装置等、図示しない外部の画像出力装置がケーブルを介して接続され、画像出力装置から各種形式の画像信号が入力される。画像信号入力部25は、入力された画像信号を画像処理部26に出力する。
画像処理部26は、画像信号入力部25から順次入力される各種形式の画像信号に基づいて、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像情報を生成する。ここで、生成された画像情報は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素から射出する光の強弱(階調)が規定される。さらに、画像処理部26は、制御部20の指示に基づき、生成した画像情報に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等を調整するための画質調整処理等を行い、すべての処理を終えた画像情報をOSD処理部27に順次出力する。
OSD処理部27は、制御部20の指示に基づいて、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を、入力画像上に重畳して表示するための処理を行う。本実施形態では、テストパターンの表示もOSD画像を用いて行われる。OSD処理部27は、図示しないOSDメモリを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。制御部20が、OSD画像の重畳を指示すると、OSD処理部27は、必要なOSD画像情報をOSDメモリから読み出し、入力画像の所定の位置にOSD画像が重畳されるように、画像処理部26から入力される画像情報にこのOSD画像情報を合成する。OSD画像情報が合成された画像情報は、ライトバルブ駆動部14に出力される。なお、制御部20からOSD画像を重畳する旨の指示がない場合には、OSD処理部27は、画像処理部26から入力される画像情報を、そのままライトバルブ駆動部14に出力する。
ライトバルブ駆動部14が、OSD処理部27から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、画像情報に応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。
次に、本実施形態のプロジェクタ1の動作について説明する。
図5(a)〜(d)は、プロジェクタ1の動作を説明するための説明図であり、プロジェクタ1から投写される画像(画面)を示す図である。
図5(a)に示すように、プロジェクタ1(画像投写部10)が画像信号に応じた入力画像Piを投写している間、制御部20は、操作パネル22又はリモコン23に対する入力操作を監視する。そして、操作パネル22又はリモコン23に備わる操作キーがユーザにより操作されると、制御部20は、操作された操作キーに応じた動作を行う。
ユーザは、テストキー35,45を操作することにより、入力画像Pi上にテストパターンTPを重畳して表示させることができる(図5(b)参照)。そして、テストパターンTPが表示された状態では、ユーザは、方向キー33,43を操作することによってテストパターンTPを上下左右の任意の方向に移動させることが可能になっている。
図6は、テストキー35,45が操作された際のプロジェクタ1の動作を説明するフローチャートである。操作パネル22又はリモコン23に備わるテストキー35,45がユーザにより操作され、テストキー35,45に対応する操作信号が操作パネル22又は操作信号受信部24から制御部20に入力されると、制御部20は、図6に示すフローに従って動作する。
図6に示すように、ステップS101では、制御部20は、OSD処理部27に指示をして、入力画像Pi上にテストパターンTPを重畳表示させる(図5(b)参照)。
図5(b)に示すように、テストパターンTPは、画面(入力画像Pi)の左端と右端とを結ぶ水平な直線(水平ラインLh)と、画面(入力画像Pi)の上端と下端とを結ぶ鉛直な直線(垂直ラインLv)とを含んでおり、これらは互いに直交する。そして、制御部20は、水平ラインLhと垂直ラインLvとが画面の略中央で交差するようにテストパターンTPを表示させる。
水平ラインLh及び垂直ラインLvは、濃色(例えば、黒色)のライン(メインラインLm)と、その両脇に隣接する淡色(例えば、白色)のライン(サブラインLs)とで構成されている。つまり、濃色のメインラインLmが淡色のサブラインLsで挟まれた構成になっているため、テストパターンTPの背景、即ち入力画像Piの濃淡(明度)に拘わらず、メインラインLmの視認性が保たれるようになっている。なお、メインラインLmとサブラインLsの濃淡を入れ換えた場合にも同様の効果を得ることができる。また、メインラインLmとサブラインLsとで、色相を変えるようにしてもよい。
図6に戻って、ステップS102では、制御部20は、操作パネル22又は操作信号受信部24から入力される操作信号に基づいて、方向キー33,43が操作されたか否かを判断する。そして、方向キー33,43が操作された場合には、ステップS103に移行し、方向キー33,43が操作されていない場合には、ステップS104に移行する。
方向キー33,43が操作されてステップS103に移行した場合には、制御部20は、OSD処理部27に指示をして、テストパターンTPを、操作された方向キー33,43に対応する方向(以降、「操作方向」と呼ぶ。)に所定の距離(例えば、1画素分)だけ移動させ、その後、ステップS102に戻る。具体的には、上方向キー33a,43aが操作された場合には、テストパターンTPの水平ラインLhを、上方向に移動させ、下方向キー33b,43bが操作された場合には、水平ラインLhを下方向に移動させる。同様に、左方向キー33c,43cが操作された場合には、テストパターンTPの垂直ラインLvを左方向に移動させ、右方向キー33d,43dが操作された場合には、垂直ラインLvを右方向に移動させる。
ここで、上方向及び下方向とは、垂直ラインLvと平行な方向であり、左方向及び右方向とは、水平ラインLhと平行な方向である。また、水平ラインLh及び垂直ラインLvが画面の外側にも延長して存在していると想定すると、テストパターンTPの全体を移動させた場合、即ち水平ラインLhと垂直ラインLvの双方を一括で移動させた場合でも、その移動方向と平行なラインは静止して見えることになる。このため、本明細書では、テストパターンTPの全体を移動させることと、水平ラインLhと垂直ラインLvの各ラインを個別に移動させることとの区別はしないものとする。
ステップS102において、方向キー33,43が操作されずにステップS104に移行した場合には、制御部20は、操作パネル22又は操作信号受信部24から入力される操作信号に基づいて、テストキー35,45が再び操作されたか否かを判断する。そして、テストキー35,45が操作された場合には、ステップS105に移行し、テストキー35,45が操作されていない場合には、ステップS102に戻る。
テストキー35,45が操作されてステップS105に移行した場合には、制御部20は、OSD処理部27に指示をして、テストパターンTPの重畳を終了させて、フローを終了する。この結果、投写面Sには、テストパターンTPが重畳されていない状態で入力画像Piが表示される(図5(a)参照)。
本実施形態のプロジェクタ1は、上記のように動作するため、ユーザは、テストキー35,45を操作してテストパターンTPを表示させた後で、方向キー33,43の操作を繰り返すこと(操作(押下)したままの状態を維持することも含む)により、水平ラインLh及び垂直ラインLvを、任意の方向に向けて漸次移動させることができる。例えば、水平ラインLhと垂直ラインLvとが画面の略中央で交差した状態(図5(b)参照)から、ユーザが上方向キー33a,43aを繰り返し操作すると、水平ラインLhは、画面の上側に向けて漸次移動し(図5(c)参照)、その後、左方向キー33c,43cを繰り返し操作すると、垂直ラインLvは、画面の左側に向けて漸次移動する(図5(d)参照)。
なお、水平ラインLh及び垂直ラインLvの一方が画面の端部に達した場合で、その一方のラインを画面の外に追い出す方向の方向キー33,43が操作された場合には、制御部20は、OSD処理部27に指示をして、この一方のラインを、画面の反対側の端部に表示させる。例えば、ユーザが上方向キー33a,43aを繰り返して操作し、水平ラインLhが画面の上端に達した場合に、さらに上方向キー33a,43aが操作されると、水平ラインLhは、画面の下端に現れる。
ユーザは、水平ラインLh及び垂直ラインLvを移動させながら、これらの表示状態(直線性)を観察することにより、投写面Sの平坦度を認識することができる。つまり、投写面Sに投写された水平ラインLh及び垂直ラインLvの少なくとも一方が、特定の位置で屈曲して視認される場合には、その位置において投写面Sに凹凸や歪み等の異常があると認識することができる。
このため、例えば、入力画像Piを表示している状態で、投写面Sの異常に起因すると思われる変形(歪み)が画像の一部に見られる場合には、ユーザは、テストキー35,45を操作してテストパターンTPを表示させた後、水平ラインLhと垂直ラインLvとを該当する部位(異常部位)に移動させて、これらの屈曲状態を観察することにより、投写面Sの異常を認識することができる。また、異常部位の周辺で、水平ラインLhを上下に往復移動させたり、垂直ラインLvを左右に往復移動させたりすることにより、異常の程度やその範囲をより詳しく認識することもできる。ユーザは、投写面Sの異常を認識した後、正常な状態に復元可能であればこれを復元し、復元不能であれば、投写面Sを変更する等の措置をとることができる。
以上説明したように、本実施形態のプロジェクタ1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態のプロジェクタ1によれば、方向キー33,43の操作に基づいて、制御部20がテストパターンTPを漸次移動させるため、静止したテストパターンでは認識が困難な投写面Sの局所的な異常(凹凸や歪み等)を容易に認識することが可能となる。また、格子状のテストパターン等を静止させて表示する場合に比べて、異常の程度やその範囲をより詳しく認識することが可能となる。
(2)本実施形態のプロジェクタ1によれば、入力画像PiにテストパターンTPが重畳されるため、投写面Sの異常を、これに起因する入力画像Piの変形(歪み)を確認しながら認識することができる。このため、投写面Sの異常を容易に認識することが可能となる。
(3)本実施形態のプロジェクタ1によれば、操作する方向キー33,43によってテストパターンTPの移動方向が変わるため、投写面Sの所望の位置の異常を容易に認識することが可能となる。
(4)本実施形態のプロジェクタ1によれば、テストパターンTPが直線(水平ラインLh及び垂直ラインLv)を含んでいる。直線は、投写面Sの異常によって屈曲した場合に、その発見が容易であるため、投写面Sの異常を容易に認識することが可能となる。
(5)本実施形態のプロジェクタ1によれば、方向の異なる複数の直線(水平ラインLh及び垂直ラインLv)がテストパターンTPに含まれているため、特定の方向の直線のみでは気づきにくい異常が投写面Sに存在する場合でも、他の方向の直線によってこれを認識することが可能となる。
(6)本実施形態のプロジェクタ1によれば、直交する2つの直線(水平ラインLh及び垂直ラインLv)がテストパターンTPに含まれるため、これらのなす角度が直角か否かによって、投写面Sの異常を容易に認識することが可能となる。
なお、本実施形態では、テストキー35,45の操作に基づいてテストパターンTPを表示させ、方向キー33,43の操作に基づいてテストパターンTPを移動させる際の制御部20及びOSD処理部27が画像制御部に相当する。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態のプロジェクタについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクタ1は、テストパターンTPを表示している状態でいずれかの方向キー33,43が一度操作されると、所定の操作がなされるまで、操作方向にテストパターンTPを移動し続けるようになっている。
図7は、本実施形態において、テストキー35,45が操作された際のプロジェクタ1の動作を説明するフローチャートである。操作パネル22又はリモコン23に備わるテストキー35,45がユーザにより操作され、テストキー35,45に対応する操作信号が操作パネル22又は操作信号受信部24から制御部20に入力されると、制御部20は、図7に示すフローに従って動作する。
図7に示すように、ステップS201では、制御部20は、OSD処理部27に指示をして、水平ラインLhと垂直ラインLvとが画面の略中央で交差するように、入力画像Pi上にテストパターンTPを重畳表示させる(図5(b)参照)。
ステップS202では、制御部20は、操作パネル22又は操作信号受信部24から入力される操作信号に基づいて、方向キー33,43が操作されたか否かを判断する。そして、方向キー33,43が操作された場合には、ステップS203に移行し、方向キー33,43が操作されていない場合には、ステップS206に移行する。
方向キー33,43が操作されてステップS203に移行した場合には、制御部20は、テストパターンTPが操作方向に移動中であるか否かを判断する。そして、テストパターンTPが操作方向に移動中でない場合、即ちテストパターンTPが静止している場合や、操作方向とは異なる方向(操作方向の反対方向も含む)に移動中である場合には、ステップS204に移行する。一方、テストパターンTPが操作方向に移動中である場合、例えば、上方向キー33a,43aが操作された際に、テストパターンTPが既に上方向に移動している状態である場合には、ステップS205に移行する。
ステップS203において、テストパターンTPが操作方向に移動しておらず、ステップS204に移行した場合には、制御部20は、OSD処理部27に指示をして、操作方向へのテストパターンTPの移動を開始させ、ステップS202に戻る。OSD処理部27は、この指示を受けると、操作方向に向けて所定の距離(例えば、1画素分)ずつ一定の速度でテストパターンTPを移動させるべく、テストパターンTPの位置を順次変更する。この結果、操作された方向キー33,43が上方向キー33a,43aの場合には、水平ラインLhが上方向に漸次移動し、下方向キー33b,43bの場合には、水平ラインLhが下方向に漸次移動する。また、操作された方向キー33,43が左方向キー33c,43cの場合には、垂直ラインLvが左方向へ漸次移動し、右方向キー33d,43dの場合には、垂直ラインLvが右方向に漸次移動する。
なお、テストパターンTPの移動により、水平ラインLh及び垂直ラインLvの一方が画面の端部を越えた場合には、この一方のラインを、画面の反対側の端部に表示させ、操作方向への移動を継続する。例えば、ユーザにより上方向キー33a,43aが操作されて、水平ラインLhが上方向に移動している場合には、水平ラインLhは、画面の上端を越えると画面の下端に現れ、上方向への移動を継続する。
一方、ステップS203において、テストパターンTPが操作方向に移動中であってステップS205に移行した場合には、制御部20は、OSD処理部27に指示をして、操作方向へのテストパターンTPの移動を停止させ、ステップS202に戻る。つまり、ユーザは、テストパターンTPの移動中に、その移動方向と同一方向の方向キー33,43を操作することによって、その方向への移動を停止させることができる。
また、ステップS202において、方向キー33,43が操作されずにステップS206に移行した場合には、制御部20は、操作パネル22又は操作信号受信部24から入力される操作信号に基づいて、テストキー35,45が再び操作されたか否かを判断する。そして、テストキー35,45が操作された場合には、ステップS207に移行し、テストキー35,45が操作されていない場合には、ステップS202に戻る。
テストキー35,45が操作されてステップS207に移行した場合には、制御部20は、OSD処理部27に指示をして、テストパターンTPの重畳を終了させて、フローを終了する。この結果、投写面Sには、テストパターンTPが重畳されていない状態で入力画像Piが表示される(図5(a)参照)。
本実施形態のプロジェクタ1は、上記のように動作するため、ユーザは、テストパターンTPを所望の位置に移動させる際に、第1実施形態のように方向キー33,43を繰り返し操作する必要はない。また、上方向キー33a,43aと下方向キー33b,43b、又は左方向キー33c,43cと右方向キー33d,43dのように、1つの方向キー33,43とその反対方向の方向キー33,43とを交互に操作することにより、水平ラインLhや垂直ラインLvを所望の位置で往復移動させることも可能である。また、本実施形態では、水平ラインLhが上下いずれかの方向に移動している状態で左方向キー33c,43c又は右方向キー33d,43dを操作するか、或いは、垂直ラインLvが左右いずれかの方向に移動している状態で上方向キー33a,43a又は下方向キー33b,43bを操作することにより、水平ラインLh及び垂直ラインLvの双方を同時に移動させることもできる。
なお、上記第1実施形態と同様、本実施形態においても、テストキー35,45の操作に基づいてテストパターンTPを表示させ、方向キー33,43の操作に基づいてテストパターンTPを移動させる際の制御部20及びOSD処理部27が画像制御部に相当する。
(変形例)
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
上記実施形態では、テストパターンTPが水平ラインLhと垂直ラインLvとを含んだ構成を示しているが、いずれか一方のラインのみで構成してもよい。また、水平ラインLhと垂直ラインLvとを同時に表示する態様に限定されず、水平ラインLhのみが表示される状態と、垂直ラインLvのみが表示される状態とを、キー操作等によって切り替え可能な構成にすることも可能である。さらに、水平ラインLhと垂直ラインLvの本数は1本に限られず、水平ラインLh及び垂直ラインLvの少なくとも一方を複数本表示するようにしてもよい。ここで、平行なラインを複数本表示する場合には、これらの平行度によっても投写面Sの異常を認識することが可能になる。
上記実施形態では、テストパターンTPの背景に入力画像Piを表示させているが、テストパターンTPの背景は、入力画像Piに限定されず、例えば、無地の画像であってもよい。テストパターンTPの背景が無地の画像である場合、メインラインLmを背景に対して目立つ色にさえすれば、サブラインLsを備える必要はなくなる。
上記実施形態において、テストパターンTPの単位移動距離(第1及び第2実施形態における「所定の距離」)は、短ければ短いほど小さな異常を認識することが可能となる一方、移動速度が遅くなって異常の認識に時間を要してしまうことから、認識すべき異常の大きさ等に応じて適宜定めればよい。また、ユーザによる設定等に応じて単位移動距離を変更可能な構成にしてもよい。さらに、上記第2実施形態においては、テストパターンTPの移動中に所定の操作キーが操作された場合に、単位移動距離(移動速度)を切り替える態様とすることも可能である。
上記実施形態では、テストキー35,45が操作された場合にテストパターンTPを表示させているが、テストパターンTPを表示させるタイミングはこれに限定されず、例えば、電源キー31,41が操作されてプロジェクタ1の電源がオン(光源11が点灯)になった直後にテストパターンTPを表示させるようにしてもよい。
上記実施形態では、光変調装置として3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いた3板式のプロジェクタについて説明したが、これに限定されない。例えば、各画素の中にそれぞれR光、G光、B光を透過可能なサブ画素を含んだ1つの液晶ライトバルブによって画像を形成する態様とすることも可能である。
上記実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源11から射出される光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
上記実施形態では、光源11は、放電型の光源ランプ11aによって構成されているが、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)光源等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
プロジェクタの斜視図。 プロジェクタの概略構成を示すブロック図。 操作パネルを示す平面図。 リモコンを示す平面図。 (a)〜(d)は、プロジェクタの動作を説明するための説明図。 第1実施形態において、テストキーが操作された際のプロジェクタの動作を説明するフローチャート。 第2実施形態において、テストキーが操作された際のプロジェクタの動作を説明するフローチャート。
符号の説明
1…プロジェクタ、2…筐体、10…画像投写部、11…光源、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…ライトバルブ駆動部、20…制御部、21…記憶部、22…操作パネル、23…リモコン、24…操作信号受信部、25…画像信号入力部、26…画像処理部、27…OSD処理部、33,43…方向キー、35,45…テストキー、Lh…水平ライン、Lv…垂直ライン、Lm…メインライン、Ls…サブライン、Pi…入力画像、S…投写面、TP…テストパターン。

Claims (7)

  1. 画像信号に基づく画像を投写するプロジェクタであって、
    前記画像信号が入力される画像信号入力部と、
    前記画像信号に基づく画像を投写して、投写面に当該画像を表示する画像投写部と、
    入力操作がなされる入力操作部と、
    前記入力操作部に所定の入力操作がなされた場合に、前記投写面の状態を認識するためのテストパターンを前記画像投写部に表示させる画像制御部と、
    を備え、
    前記画像制御部は、前記テストパターンを漸次移動させることを特徴とするプロジェクタ。
  2. 請求項1に記載のプロジェクタであって、
    前記画像制御部は、前記画像信号に基づく画像に前記テストパターンを重畳させることを特徴とするプロジェクタ。
  3. 請求項1又は2に記載のプロジェクタであって、
    前記画像制御部は、前記入力操作部になされる入力操作に基づいて、前記テストパターンの移動方向を変更することを特徴とするプロジェクタ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロジェクタであって、
    前記テストパターンは、直線を含んで構成されることを特徴とするプロジェクタ。
  5. 請求項4に記載のプロジェクタであって、
    前記テストパターンは、互いに方向の異なる複数の直線を含んで構成されることを特徴とするプロジェクタ。
  6. 請求項5に記載のプロジェクタであって、
    前記テストパターンは、少なくとも互いに直交する2つの直線を含んで構成されることを特徴とするプロジェクタ。
  7. 画像信号に基づく画像を投写面に投写するプロジェクタの制御方法であって、
    前記投写面の状態を認識するためのテストパターンを投写するテストパターン投写ステップと、
    前記テストパターンを漸次移動させるテストパターン移動ステップと、
    を備えたことを特徴とするプロジェクタの制御方法。
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