JP2009258006A - 光波距離計 - Google Patents
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Abstract
【課題】位相差方式の光波距離計において、部品や配線をシールドしたり、部品と配線に特別な工夫することなく、測距光の変調周波数のノイズによる誤差を小さくする。
【解決手段】測距光(L)を測点に置かれたターゲット(22)に向けて出射する光源(20)と、ターゲットで反射して戻ってきた測距光を受光して測距信号(M)に変換する受光素子(28)と、受光素子へ入射する測距光を減衰又は遮断する絞り(27)と、測距信号の初期位相βからターゲットまでの距離を算出する演算制御部(44)とを備える光波距離計において、距離測定前に、絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させるとともに、受光素子の増倍率を適正値にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅aと初期位相ηとを測定し、振幅aと初期位相ηを用いて初期位相βをノイズによる誤差を除去した初期位相β”に補正し、初期位相β”からターゲットまでの距離を算出する。
【選択図】図1
【解決手段】測距光(L)を測点に置かれたターゲット(22)に向けて出射する光源(20)と、ターゲットで反射して戻ってきた測距光を受光して測距信号(M)に変換する受光素子(28)と、受光素子へ入射する測距光を減衰又は遮断する絞り(27)と、測距信号の初期位相βからターゲットまでの距離を算出する演算制御部(44)とを備える光波距離計において、距離測定前に、絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させるとともに、受光素子の増倍率を適正値にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅aと初期位相ηとを測定し、振幅aと初期位相ηを用いて初期位相βをノイズによる誤差を除去した初期位相β”に補正し、初期位相β”からターゲットまでの距離を算出する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ターゲットに向けて測距光を出射し、ターゲットで反射された測距光を受光してターゲットまでの距離を測定する位相差方式の光波距離計に関し、さらに詳細には、距離計測する際にノイズによって生じる測距誤差を補正するようにした光波距離計に関する。
光波距離計としては、下記特許文献1に開示されたようなものが知られている。図3に、この光波距離計のブロック図を示す。
この光波距離計では、レーザダイオ−ド等の光源20から送光された測距光Lは、図示しない送光光学系を経て、測点上に置かれたターゲット(プリズム等)22に向けて出射される。光源20は変調器24に接続されており、測距光Lは基準信号発振器26で発生された基準信号Kを基にして変調信号K’によって変調されている。
ターゲット22で反射された測距光Lは、図示しない受光光学系と、測距光Lの光量を調整する絞り27を経て、ホトダイオード等の受光素子28に入射する。すると、受光素子28によって、測距光Lが測距信号Mなる電気信号に変換される。この測距信号Mは、高周波増幅器30で増幅された後に、バンドパスフィルタ32でノイズを除去される。
さらに、この測距信号Mは、混合器34と局部発振器36からなる周波数変換器37に入力される。周波数変換器37では、局部発振器36で発生させた局部発振信号Qと測距信号Mとを混合器34へ入力して乗算することにより、両信号M、Qの周波数の差となる信号と、両信号M、Qの周波数の和となる周波数成分を発生する。ここで、両信号M、Qの周波数の差となる中間周波数IFに変換された測距信号Mのみをローパスフィルタ38で選り分ける。中間周波数IFに変換された測距信号Mは、中間周波増幅器40で増幅する。増幅された測距信号Mは、A/D変換器42でデジタル信号に変換され、CPU44(演算制御部)を経て、メモリ(記憶手段)46に記憶される。
距離測定を行う際には、基準信号発振器26で基準信号Kを発生させるとともに、基準信号発振器26からA/D変換器42に同期信号Pを送ることにより、A/D変換器42で基準信号Kと同期を取って中間周波数IFに変換された測距信号Mのサンプリングを行う。
図4に示したように、A/D変換器42によるサンプリングは、測距信号Mの1波長分をn等分した(n>2)サンプリング周期で、数千以上の多数波長分にわたって連続してサンプリングし、サンプリングデータをメモリ46に記憶する。この際、測距信号Mの1波長分ついてn個のサンプリングデータを記憶する記憶領域をメモリ46内に用意し、図5に示したように、同位相のサンプリングデータを加算して記憶していく。こうして、同位相のサンプリングデータが加算された大きな振幅の1波長分の測距信号Mの合成データSが作成される。この合成データSは最小二乗法により正弦波S’に当て嵌められ、この正弦波S’の初期位相βを求める。この正弦波Sは、次式のようにも表せる。
NAsin(θ−β)+NB (1)
NAsin(θ−β)+NB (1)
ただし、Nは加算した測距信号Mの波の数、Aは測距信号Mの振幅の平均値、Bはバイアスレベル、θはサンプリング位置に対応する角度を規定する座標である。
この初期位相βは基準信号Kと測距信号Mの位相差に等しくなり、この初期位相βからターゲット22までの距離Dが算出される。光速をc、測距光Lの変調周波数をFとすると、距離Dは次式で求まる。
D=(β/2π)(c/F)(1/2)=(βc)/(4πF) (2)
D=(β/2π)(c/F)(1/2)=(βc)/(4πF) (2)
(2)式で(1/2)を乗じているのは、測距光Lがターゲットまでを往復して2Dの距離を走るからである。
なお、光源20からは、測距光Lを参照光Rとして、光波距離計内部を経て絞り27aを通過させ受光素子28へ導くこともできる。距離測定の際には、参照光Rを用いて測定した結果をもとに、測定値の補正するようになっている。
ところで、基準信号発振器26で発生した基準信号Kや、種々の電子回路から発生するその他のノイズは、ターゲット22まで往復することなく、静電結合や電磁結合や電磁波放射等によって、受光素子28以降の回路に浸入することがあるので、測距信号Mはノイズを含んでいる。当然、初期位相βにはノイズによる誤差が含まれることになり、距離Dにもノイズによる誤差が含まれることになる。
測距信号Mの周波数と異なる周波数のノイズは、バンドパスフィルタ32等のフィルタで除去できる。しかし、基準信号発振器26で発生したノイズは、測距信号Mと同じく測距光Lの変調周波数成分を含むので、フィルタによって除去することが困難である。そこで、従来は、ノイズを放出し易い部品やノイズを拾い易い部品や配線をシールドしたり、ノイズを放出し易い部品とノイズを拾い易い部品を離したり向きを変えたりする等、部品や配線に特別な工夫したりして、ノイズが受光素子28以降の回路に浸入することを防いでいた。
しかしながら、光波距離計において、部品や配線をシールドしたり、部品と配線に特別な工夫したりすることでは、シールド用の部品が増えたり組み立てがめんどうになったりして高価になってしまううえ、測距光Lの変調周波数のノイズを完全に除去することができず、どうしても測距誤差が残ってしまうという問題があった。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであって、位相差方式の光波距離計において、従来以上に部品や配線をシールドしたり、部品と配線に特別な工夫したりすることなく、測距光の変調周波数のノイズによる測距誤差を小さくすることを課題とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、測距光を測点に置かれたターゲットに向けて出射する光源と、ターゲットで反射して戻ってきた測距光を受光して測距信号に変換する受光素子と、該受光素子へ入射する測距光を減衰する絞りと、前記測距信号の初期位相βからターゲットまでの距離を算出する演算制御部とを備える光波距離計において、 距離測定前に、前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させるとともに、受光素子の増倍率を適正値にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅aと初期位相ηとを測定する測距前ノイズ測定手段と、前記振幅aと前記初期位相ηを用いて前記初期位相βのノイズによる誤差を除去した初期位相β”に補正する初期位相補正手段と、前記初期位相β”からターゲットまでの距離を算出する距離算出手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、測距光を測点に置かれたターゲットに向けて出射する光源と、ターゲットで反射して戻ってきた測距光を受光して測距信号に変換する受光素子と、該受光素子へ入射する測距光を減衰する絞りと、前記測距信号の初期位相βからターゲットまでの距離を算出する演算制御部とを備える光波距離計において、出荷前に、前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させずに、受光素子の増倍率を最小にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅a123と初期位相η123を記憶するとともに、前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させるとともに、受光素子の増倍率を適正値にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅a’123と初期位相η’123を記憶するノイズ記憶手段と、距離測定前に前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させずに、受光素子の増倍率を最小にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅aと初期位相ηを測定する測距前ノイズ測定手段と、前記振幅a、a123、a’123及び初期位相η、η123、η’123から実際の距離測定中のノイズの1波あたりの振幅a”と初期位相η”を推定する測距時ノイズ推定手段と、前記振幅a”と前記初期位相η”を用いて距離測定の際の初期位相βのノイズによる誤差を除去した初期位相β”に修正する初期位相補正手段と、前記初期位相β”からターゲットまでの距離を算出する距離算出手段とを備えたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、 測距光を測点に置かれたターゲットに向けて出射する光源と、ターゲットで反射して戻ってきた測距光を受光して測距信号に変換する受光素子と、該受光素子へ入射する測距光を減衰する絞りと、前記測距信号の初期位相βからターゲットまでの距離を算出する演算制御部とを備える光波距離計において、出荷前に、前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させずに、受光素子の増倍率を最小にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅a123と初期位相η123を記憶するとともに、前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させるとともに、受光素子の増倍率を適正値にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅a’123と初期位相η’123を記憶するノイズ記憶手段と、距離測定前に前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させずに、受光素子の増倍率を適正値から適宜量下げてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅aと初期位相ηを測定する測距前ノイズ測定手段と、前記振幅a、a123、a’123及び初期位相η、η123、η’123から実際の距離測定中のノイズの1波あたりの振幅a”と初期位相η”を推定する測距時ノイズ推定手段と、前記振幅a”と前記初期位相η”を用いて距離測定の際の初期位相βのノイズによる誤差を除去した初期位相β”に修正する初期位相補正手段と、前記初期位相β”からターゲットまでの距離を算出する距離算出手段とを備えたことを特徴とする。
請求項1に係る発明の光波距離計では、距離測定前に、絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させるとともに、受光素子の増倍率を適正値にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅aと初期位相ηとを測定し、前記振幅aと前記初期位相ηを用いて初期位相βをノイズによる誤差を除去した初期位相β”に補正し、前記初期位相β”からターゲットまでの距離を算出するから、測距光の変調周波数のノイズによる測距誤差を除去できる。したがって、従来以上に部品や配線をシールドしたり、部品と配線に特別な工夫したりすることなく、測距光の変調周波数のノイズによる測距誤差を簡単に除去でき、安価に高精度の光波距離計が得られる。また、距離測定の前にノイズ測定を行うから、周囲の温度等の環境変化や機械の経年変化等、環境や機械の状態に応じたノイズが計測でき、これらによるノイズの影響も除去できるので、常に高精度で安定した測定を行うことができる。
請求項2に係る発明の光波距離計では、さらに、出荷前にノイズを測定して記憶し、距離測定前にもノイズを測定して、両測定結果から距離測定時のノイズを高精度に推定してノイズによる誤差を除去し、ターゲットまでの距離を算出しているので、いっそう高精度の測定値が得られる。
請求項3に係る発明の光波距離計では、さらに、出荷前に、絞りを最も光を減衰させる状態にし、光源を発光させずに、受光素子の増倍率を最小にしてノイズ測定を行い、距離測定前に、光源を発光させずに、受光素子の増倍率を適正値から適宜量下げてノイズ測定を行っているので、出荷前と距離測定前の受光素子の増倍率変化による容量変化を無くすことができる。これにより、出荷前と距離測定前でノイズ成分の振幅と初期位相とを正確に一致させることができ、周囲の温度や電源(電池)電圧等の環境変化や機械の経年変化等よって生じる誤差を除去できるようになって、尚いっそう高精度の測定が可能になる。
以下、図面に基づいて、本発明の光波距離計の一実施例を説明する。図1は、この光波距離計のブロック図である。図2は、この光波距離計による距離測定のフローチャートである。
この光波距離計は、ブロック図で示すと、図3に示した従来のものと略同じであるが、受光素子28にはAPD(アバランシホトダイオード)を使用し、逆電圧制御部29によって受光素子28に与えるバイアス電圧を制御できるようにしている。逆電圧制御部29は、CPU44からの指令によってバイアス電圧を変化させ、周囲の明るさに応じて受光素子28を適切な増倍率に制御する。
本実施例の光波距離計では、距離測定に先立って、次の3条件下で光波距離計を作動させて、ノイズ測定を行う。このときの3条件は、(1)受光素子28の直前にある絞り27を最も絞った状態(最も光を遮断する状態)にし、(2)光源20を発光させず(ただし、基準信号発振器26及び変調器24は作動させる)、(3)受光素子28に与えるバイアス電圧を最小にする(増倍率を最小にする)ことである。このときは、測距光Lによる測距信号Mは得られないが、図4に示した測距信号Mと同様なノイズがA/D変換器42に入力される。このノイズからは、図5に示した測距信号Mの合成データS及び正弦波S’を求めたように、ノイズの合成データ及び正弦波を求める。このノイズの正弦波Sが次式で表されるとす。
Na・sin(θ−η)+Nb (3)
Na・sin(θ−η)+Nb (3)
ただし、Nは加算したノイズの波の数、aはノイズの振幅の平均値、bはバイアスレベル、ηは初期位相、θはサンプリング位置に対応する角度を規定する座標である。
一方、通常の測定時には、(2’)光源は発光しており、(3’)受光素子の増倍率は適正値に制御されている。通常、前記(2)及び(3)の条件を付された場合のノイズと、前記(2’)及び(3’)の条件を付された場合のノイズは、一致しない。そこで、前記(3)式から距離測定中のノイズを推測する必要がある。
そこで、出荷前に前記(1)、(2)及び(3)の条件でノイズ測定を行う。この出荷前の測定で得られたノイズが次式で表されたとする。
a123・sin(θ−η123)+b123 (4)
a123・sin(θ−η123)+b123 (4)
ただし、a123はノイズの振幅の平均値、b123はバイアスレベル、η123は初期位相である。
さらに、(1)受光素子の直前にある絞りを最も絞った状態(最も光を遮断する状態)にし、(2’)光源は発光しており、(3’)受光素子の増倍率は適正値に制御し、通常の距離測定時と略同じ状態として、ターゲットを視準してノイズ測定をする。この出荷前の測定で得られたノイズが次式で表されたとする。
a’123・sin(θ−η’123)+b’123 (5)
a’123・sin(θ−η’123)+b’123 (5)
ただし、a’123はノイズの振幅の平均値、b’123はバイアスレベル、η’123は初期位相である。この出荷前の前記(1)(2’)及び(3’)の条件でのノイズ測定の際には、絞り27で光を充分に減衰できない場合には、特に低反射率のターゲットを視準してノイズを測定する必要がある。
こうして測定されたノイズに関して、a123、η123、a’123及びη’123をフラシュROM等の記憶手段に記憶させる。このフラッシュROM等の記憶手段は、請求項2に係る発明のノイズ記憶手段を構成する。
距離測定時には、距離測定に先立って、前記(1)、(2)及び(3)の3条件の下で光波距離計を作動させてノイズ測定を行う。このときのノイズの式が(3)式で表されたとする。すると、実際の測定状態でのノイズの平均振幅a”と初期位相η”とは、それぞれ次式で推定される。
a”=(a’123/a123)a (6)
η”=(η’123−η123)+η (7)
a”=(a’123/a123)a (6)
η”=(η’123−η123)+η (7)
従来どおりの距離測定時に得られる測距信号Mは(1)式で表されるが、この(1)式にはノイズが含まれている。(1)式からノイズを取り除いたときの初期位相β”は、次式から求まる。
β”=tan−1{(Asinβ−a”sinη”)/(Acosβ−a”cosη”)} (8)
β”=tan−1{(Asinβ−a”sinη”)/(Acosβ−a”cosη”)} (8)
したがって、(2)式のβを(8)式のβ”に置き換えた次式を用いると、ノイズによる誤差を取り除いた距離D”が求ま。
D”=(β”c)/(4πF) (9)
D”=(β”c)/(4πF) (9)
こうして、距離D”が求まるまでの手順を、図2に示したフローチャートによって説明する。
距離測定を開始すると、まず、ステップS1に進んで、前記(1)、(2)及び(3)の3条件下で光波距離計を作動させてノイズ測定を行う。そして、図4に示した測距信号Mの合成データS及び正弦波S’を求めたように、ノイズの振幅a及び初期位相η、すなわち前記(3)式のa及びηを求める。このステップS1は、請求項2に係る発明の測距前ノイズ測定手段を構成する。
次にステップS2に進んで、前記(6)式及び前記(7)式を用いて、実際の距離測定中のノイズの振幅a”及び初期位相η”を推定する。このステップS2は、請求項2に係る発明の測距時ノイズ推定手段を構成する。なお、(6)式及び(7)式中の振幅a123、a’123及び初期位相η123、η’123は、工場出荷前に求められている。
次にステップS3に進んで、従来のどおりの距離測定を行い、測距信号Mの振幅A及び初期位相β、すなわち前記(1)式のA及びβを求める。しかし、この初期位相βにはノイズが含まれている。そこで、ステップS4に進んで、前記(8)式を用いて、ノイズによる誤差を除去した初期位相β”を算出する。このステップS4は、請求項2に係る発明の初期位相補正手段を構成する。
次に、ステップS5に進んで、(9)式を用いて、ノイズによる誤差を除去した初期位相βから距離D”を算出する。このステップS5は、請求項2に係る発明の距離算出手段を構成する。
本実施例によれば、距離測定前に測距光の変調周波数のノイズを測定して、距離測定時に前記ノイズによる測距誤差をソフトウェアによって除去しているので、従来以上に部品や配線をシールドしたり、部品と配線に特別な工夫したりすることなく、測距光の変調周波数のノイズによる測距誤差を簡単に除去でき、安価に高精度の光波距離計が得られる。また、測定の直前にノイズ測定を行うから、周囲の温度や電源(電池)電圧等の環境変化や機械の経年変化等、環境や機械の状態に応じたノイズを計測することができ、環境や機械の状態に応じたノイズの影響も除去できるので、常に高精度で安定した測定を行うことができる。
ところで、本発明は、前記実施例のものに限るものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、前記実施例において、ノイズ測定の条件は、要求精度によっては変更することも可能である。例えば、前記実施例では距離測定前に、(1)絞り27を最も絞った状態にし、(2)光源20を発光させず、(3)受光素子28の増倍率を最小にしてノイズ測定をしたが、ここで、(3”)受光素子28の増倍率は、適正値から適宜量下げた状態に変更してもよい。増倍率を適正値から下げる量は、光波距離計の誤差に応じて適宜調整可能する。こうして、増倍率は、適正値、最も下げた値、適正値と最も下げた値の間の適切な値とするとすることができる。
一般に、受光素子は、増倍率を変化させる前後で、その容量が変化する。この容量変化は、受光素子の増倍率の適正値からの調整量によって決まる。この結果、光波距離計においては、受光素子28の容量変化に依存して、ノイズ成分の振幅と初期位相が変化する。光波距離計において、出荷時には、(1)絞り27を最も絞り、(2)光源20を発光させず、(3)受光素子28の増倍率を適正値から調整量C1下げて、増倍率を最小にしてノイズ測定を行い、距離測定前には、(1)絞り27を最も絞り、(2)光源20を発光させず、(3”)受光素子28の増倍率を適正値から調整量C2下げてノイズ測定を行ったとする。このとき、調整量C1と調整量C2とを等しくすると、受光素子28の容量変化も等しくなる。すると、出荷時と距離測定前でノイズ成分の振幅と初期位相とを正確に一致させることができ、これにより、周囲の温度や電源電圧等の環境変化や機械の経年変化等、環境や機械の状態に応じた誤差のいっそう小さくできる。
なお、ノイズの発生状況によっては、距離測定の前に、(1)絞り27を最も絞った状態にし、(2’)光源20を発光させ、(3)受光素子28の増倍率を最小にした条件で、ノイズ測定をしてもよい。
また、出荷前のノイズ測定は、要求精度によっては省略することも可能である。すなわち、距離測定前に、(1)受光素子の直前にある絞りを最も絞った状態にし、(2’)光源は発光しており、(3’)受光素子の増倍率は適正値に制御した状態で、前記(3)式の振幅a及び初期位相ηを求めて記憶しておき、距離測定時には、振幅a及び初期位相ηが、前記(6)式の振幅a”及び前記(7)式の初期位相η”に等しいとして、前記(8)式の初期位相β”を算出し、前記(9)式を用いて距離D”を算出してもよい。この実施例では、出荷前のノイズ測定を省略するので、前記実施例のものより短期間で安価に製造することができる。なお、本実施例においては、前記(3)式の振幅a及び初期位相ηを求めること、前記(8)式の初期位相β”を算出すること、前記(9)式を用いて距離D”を算出することは、それぞれ、請求項1に係る発明における測距前ノイズ測定手段、初期位相補正手段、距離算出手段を構成する。
20 光源
22 ターゲット
27 絞り
28 受光素子
44 CPU(演算制御部)
L 測距光
M 測距信号
22 ターゲット
27 絞り
28 受光素子
44 CPU(演算制御部)
L 測距光
M 測距信号
Claims (3)
- 測距光を測点に置かれたターゲットに向けて出射する光源と、ターゲットで反射して戻ってきた測距光を受光して測距信号に変換する受光素子と、該受光素子へ入射する測距光を減衰する絞りと、前記測距信号の初期位相βからターゲットまでの距離を算出する演算制御部とを備える光波距離計において、
距離測定前に、前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させるとともに、受光素子の増倍率を適正値にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅aと初期位相ηとを測定する測距前ノイズ測定手段と、前記振幅aと前記初期位相ηを用いて前記初期位相βのノイズによる誤差を除去した初期位相β”に補正する初期位相補正手段と、前記初期位相β”からターゲットまでの距離を算出する距離算出手段とを備えたことを特徴とする光波距離計。 - 測距光を測点に置かれたターゲットに向けて出射する光源と、ターゲットで反射して戻ってきた測距光を受光して測距信号に変換する受光素子と、該受光素子へ入射する測距光を減衰する絞りと、前記測距信号の初期位相βからターゲットまでの距離を算出する演算制御部とを備える光波距離計において、
出荷前に、前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させずに、受光素子の増倍率を最小にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅a123と初期位相η123を記憶するとともに、前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させるとともに、受光素子の増倍率を適正値にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅a’123と初期位相η’123を記憶するノイズ記憶手段と、
距離測定前に前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させずに、受光素子の増倍率を最小にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅aと初期位相ηを測定する測距前ノイズ測定手段と、
前記振幅a、a123、a’123及び初期位相η、η123、η’123から実際の距離測定中のノイズの1波あたりの振幅a”と初期位相η”を推定する測距時ノイズ推定手段と、
前記振幅a”と前記初期位相η”を用いて距離測定の際の初期位相βのノイズによる誤差を除去した初期位相β”に修正する初期位相補正手段と、
前記初期位相β”からターゲットまでの距離を算出する距離算出手段とを備えたことを特徴とする光波距離計。 - 測距光を測点に置かれたターゲットに向けて出射する光源と、ターゲットで反射して戻ってきた測距光を受光して測距信号に変換する受光素子と、該受光素子へ入射する測距光を減衰する絞りと、前記測距信号の初期位相βからターゲットまでの距離を算出する演算制御部とを備える光波距離計において、
出荷前に、前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させずに、受光素子の増倍率を最小にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅a123と初期位相η123を記憶するとともに、前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させるとともに、受光素子の増倍率を適正値にしてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅a’123と初期位相η’123を記憶するノイズ記憶手段と、
距離測定前に前記絞りを最も光を減衰させる状態にして、光源を発光させずに、受光素子の増倍率を適正値から適宜量下げてノイズ測定を行い、このときのノイズの1波あたりの振幅aと初期位相ηを測定する測距前ノイズ測定手段と、
前記振幅a、a123、a’123及び初期位相η、η123、η’123から実際の距離測定中のノイズの1波あたりの振幅a”と初期位相η”を推定する測距時ノイズ推定手段と、
前記振幅a”と前記初期位相η”を用いて距離測定の際の初期位相βのノイズによる誤差を除去した初期位相β”に修正する初期位相補正手段と、
前記初期位相β”からターゲットまでの距離を算出する距離算出手段とを備えたことを特徴とする光波距離計。
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