JP2009250928A - Mems型熱線式粒子速度検出素子及びその製造方法並びに音響センサ - Google Patents

Mems型熱線式粒子速度検出素子及びその製造方法並びに音響センサ Download PDF

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Abstract

【課題】音波を伝播する媒質の粒子速度を従来よりも広い周波数帯域にわたって検出することができ、かつ、検出素子間隔の設計自由度の確保及び装置の小型化を図ることができるMEMS型熱線式粒子速度検出素子及びその製造方法並びに音響センサを提供すること。
【解決手段】MEMS型熱線式粒子速度検出素子10は、シリコン基板11と、絶縁膜12及び13と、電極パッド14と、粒子速度検出部15〜17とを備え、シリコン基板11は、音波を通過させるための高さ寸法Lの4つの凸部及び1つの凹部11aを有し、粒子速度検出部15〜17は、それぞれ、FIB−CVD法により製作され、各凸部間を橋渡しするよう自立して形成された一対の抵抗体のみからなり、一対の抵抗体は、それぞれ、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向と直交する方向に並べて設けられた構成を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)技術を用いて形成され、音波を伝播する媒質の粒子速度を検出するMEMS型熱線式粒子速度検出素子及びその製造方法並びに音響センサに関する。
従来から、MEMS技術を用いて製作され、振動解析や音響解析に利用されるMEMS型熱線式粒子速度検出素子が実用化されている(例えば、非特許文献1参照)。音は媒質(通常は空気)中を伝わる粗密波であり、音の伝播に伴い媒質の粒子が変位している。粒子速度検出素子は、媒質の粒子の速度を電気信号に変換するものである。ここで「粒子」とは、媒質の微小部分を仮想的な粒子として考えるものであり、例えば気体の分子のような特定の実体を指すものではない。
従来のMEMS型熱線式粒子速度検出素子(以下、単に「粒子速度検出素子」ということがある。)は、例えば図9に示すような構成を有する。図9(a)及び(b)はそれぞれZ軸方向、X軸方向から従来の粒子速度検出素子を見た図である。なお、図示したX、Y、Z軸方向は説明の都合上、便宜的に定義した方向である。
図9(a)及び(b)に示すように、従来の粒子速度検出素子は、シリコン基板1と、音波が通過する空間となるシリコン基板1の凹部1aと、シリコン基板1の上面の両端を橋渡しするように形成された2つの検出素子3及び4と、検出素子3と外部回路(図示省略)とを接続するための電極パッド7とを備えている。なお、符号2は絶縁膜を示す。
検出素子3は、窒化シリコン等の絶縁体からなる支持体6に白金等の金属膜からなる抵抗体5が積層された構成を有している。支持体6に抵抗体5が積層されているのは、金属膜の抵抗体5だけでは空間に自立することができないためである。検出素子3の大きさは、例えば、Y軸方向の長さが1mm、X軸方向の幅は2μm、Z軸方向の厚さは0.3μm程度である。図示を省略したが、検出素子4も検出素子3と同様に構成されている。また、X軸方向における検出素子3と4との間隔は、100μm程度である。
次に、従来の粒子速度検出素子の概略の製造工程を図10に例示する。図中には各工程でのA−A'断面も記載している。はじめに、支持体6及び絶縁膜2を形成するために、シリコン基板1の両面に窒化シリコンを堆積する(図10(a))。次に、リフトオフ法により、白金薄膜の抵抗体5を形成する(図10(b))。次に、適当なマスクを用いて基板表面の不要部の窒化シリコンをエッチングして除去する(図10(c))。そして、窒化シリコンをマスクとして、シリコン基板をエッチングし、凹部1aを形成することで完成する(図10(d))。
次に、粒子速度検出素子の動作について図9を用いて説明する。
2つの検出素子3及び4の抵抗体それぞれに等しい一定の電流を流し、検出素子3及び4を加熱させる。音波にさらされていない定常状態のときは、検出素子3及び4の温度は一定に保たれる。検出素子3がX軸方向の音波にさらされると、ある時刻において、例えば検出素子3は媒質によって熱が奪われる。一方、検出素子4は、検出素子3から奪われた熱の一部を、媒質を介して受け取るため、検出素子3と4との間に温度差が生じる。抵抗体は温度変化によりその抵抗値が変化するため、検出素子3及び4の抵抗体に定常状態からの抵抗値差が生じる。この抵抗値差は音の粒子速度にほぼ比例することが確認されており、抵抗値差を検出することで、X軸方向の粒子速度を測定することができる。一方、Y軸及びZ軸方向の粒子速度に対しては、検出素子3及び4は同様に温度変化するため、両検出素子間に抵抗値差は生じない。したがって、粒子速度検出素子は指向性を有する。
以上のように、粒子速度検出素子は、検出素子3及び4の抵抗体の抵抗値差に基づいて、音波を伝播する媒質の粒子速度を検出することができるようになっている。この粒子速度検出素子を応用したものとして、例えばマイクロホンや媒体流量計が提案されている(例えば、非特許文献2及び特許文献1参照)。
"AN OVERVIEW OF MICROFLOWN THECNOLOGIES", H.-E. Bree, ACTA ACUSTICA UNITED WITH ACUSTICA, 89 (1),pp.163-172,JAN-FEB 2003. "Add-On Microflown for a High-End Pressure-Gradient Microphone", H.-E. de Bree et al., Proc. 109th AES Convention, Los Angels, 2000 特開平11−326003号公報
ところで、音の粒子速度は非常に遅く、例えば音波が平面波のときは、音圧が1Pa(非常に大きな音)の音でも粒子速度は2.4mm/s、音圧が20μPa(人間の最小可聴限界)では粒子速度はわずか0.048μm/sである。また、人間の可聴周波数帯域は、おおよそ20Hz〜20kHzといわれている。すなわち、粒子速度検出素子としては、極めて遅い音の粒子速度を広帯域にわたって検出できるものが望ましい。そのためには、音の粒子速度に応じて素早く温度変化するよう、検出素子の熱容量を極めて小さくしなければならない。
しかしながら、従来の粒子速度検出素子は、その構造や製法上の制約により、検出素子が抵抗体と支持体とから構成され、このうち支持体は、発熱に寄与しない無駄な負荷となって検出素子の熱容量を増加させている。このため、従来の粒子速度検出素子では、高い周波数で感度が低下するという課題があった。したがって、例えば、従来の粒子速度検出素子を備えたマイクロホンは、粒子速度検出素子の狭帯域性により、低域周波数帯域の音しか検出できないので、他のマイクロホンと組み合わせて使用されるといった補助的な利用にとどまっていた。
また、前述のように、粒子速度検出素子は指向性を有するため、例えば無指向性マイクロホンのような装置に応用しようとすると、X、Y、Z軸方向(以下、単に「3軸方向」ということがある。)に3個の粒子速度検出素子を組み合わせる、あるいは1個の粒子速度検出素子に3軸方向に3組の検出素子を作り込まなければならず、次のような課題があった。
まず、従来のものでは、3軸方向に3個の粒子速度検出素子を組み合わせようとすると、それらを設けるためのスペースが必要となるので、粒子速度検出素子を備える装置の小型化が困難になるという課題があった。
次に、従来の製造方法によって、1個の粒子速度検出素子に3軸方向に3組の粒子速度検出素子を作り込もうとすると、そのうち1つの軸方向では素子の1本をシリコン基板の表側、もう1本を裏側に形成しなければならない。この場合、基板の厚さが検出素子間隔とならざるを得ず、粒子速度検出素子の性能にとって重要なパラメータである検出素子間隔の設計自由度が制限されるという課題があった。
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、音波を伝播する媒質の粒子速度を従来よりも広い周波数帯域にわたって検出することができ、かつ、検出素子間隔の設計自由度の確保及び装置の小型化を図ることができるMEMS型熱線式粒子速度検出素子及びその製造方法並びに音響センサを提供することを目的とする。
本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子は、MEMS技術を用いて形成されるMEMS型熱線式粒子速度検出素子であって、音波を伝播する媒質と熱を授受する抵抗体のみからなる少なくとも一対の第1及び第2の熱授受手段と、前記第1及び前記第2の熱授受手段のそれぞれの一方端を電気的に接続する第1の電極と、前記第1及び前記第2の熱授受手段のそれぞれの他方端を電気的に接続する第2の電極と、前記第1及び前記第2の電極が形成された基板とを備えた構成を有している。
この構成により、本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子は、熱授受手段が抵抗体のみからなるので、抵抗体が支持体に積層された従来のものよりも、熱授受手段の熱容量を低減することができ、構造も簡素化することができる。また、この構成により、第1の熱授受手段と第2の熱授受手段とを、基板の片面側において所定の軸方向に任意の間隔で並べて設けることができる。
したがって、本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子は、音波を伝播する媒質の粒子速度(以下、単に「音波の粒子速度」ということがある。)を従来よりも広い周波数帯域にわたって検出することができ、かつ、検出素子間隔の設計自由度の確保及び装置の小型化を図ることができる。
また、本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子は、前記第1及び前記第2の熱授受手段が、それぞれ、前記一方端と前記他方端との間において予め定められた方向に湾曲した形状を有するものである構成を有している。
この構成により、本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子は、第1及び第2の熱授受手段が加熱された際に発生する熱歪の影響を低減することができる。
さらに、本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子は、前記第1及び前記第2の熱授受手段が、それぞれ、前記一方端と前記他方端との間において予め定められた方向に屈曲した形状を有するものである構成を有している。
この構成により、本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子は、特定方向に指向性を有することとなる。
さらに、本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子は、前記第1及び前記第2の熱授受手段が、それぞれ、前記一方端から前記他方端に至る経路を複数に分岐する分岐部を備えた構成を有している。
この構成により、本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子は、直線形状の1対の検出素子を設ける従来の粒子速度検出素子に比べて、同等の長さの検出部を、より小さなスペースに配置することができるので、装置の小型化を図ることができる。
さらに、本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子は、前記第1及び前記第2の熱授受手段が、それぞれ、互いに直交する3軸の少なくとも1つの軸方向において前記熱を授受するものである構成を有している。
この構成により、本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子は、音波の粒子速度の3軸方向における各成分のうち少なくとも1つの成分を検出することができる。
本発明の音響センサは、MEMS型熱線式粒子速度検出素子と、前記第1及び前記第2の熱授受手段をそれぞれ予め定められた温度に加熱する加熱手段と、前記第1の熱授受手段の温度と前記第2の熱授受手段の温度との差に基づいて前記音波を伝播する媒質の粒子速度を計測する粒子速度計測手段とを備えた構成を有している。
この構成により、本発明の音響センサは、共に抵抗体のみからなる第1及び第2の熱授受手段を有するので、音波の粒子速度を従来よりも広い周波数帯域にわたって検出することができ、かつ、検出素子間隔の設計自由度の確保及び装置の小型化を図ることができる。
本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子の製造方法は、MEMS技術を用いて形成されるMEMS型熱線式粒子速度検出素子の製造方法であって、音波を伝播する媒質と熱を授受する抵抗体のみからなる少なくとも一対の第1及び第2の熱授受手段を集束イオンビーム化学気相成長法によって生成する工程と、前記第1及び前記第2の熱授受手段におけるそれぞれの一方端を電気的に接続する第1の電極及びそれぞれの他方端を電気的に接続する第2の電極を基板上に形成する工程とを含む構成を有している。
この構成により、本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子の製造方法は、共に抵抗体のみからなる第1及び第2の熱授受手段を生成するので、抵抗体が支持体に積層された従来のものよりも、第1及び第2の熱授受手段の熱容量を低減することができ、構造も簡素化することができる。また、この構成により、第1の熱授受手段と第2の熱授受手段とを、基板の片面側において所定の軸方向に任意の間隔で並べて設けることができる。
したがって、本発明のMEMS型熱線式粒子速度検出素子の製造方法は、音波の粒子速度を従来よりも広い周波数帯域にわたって検出することができ、かつ、検出素子間隔の設計自由度の確保及び装置の小型化を図ることができるMEMS型熱線式粒子速度検出素子を提供することができる。
本発明は、音波を伝播する媒質の粒子速度を従来よりも広い周波数帯域にわたって検出することができ、かつ、検出素子間隔の設計自由度の確保及び装置の小型化を図ることができるという効果を有するMEMS型熱線式粒子速度検出素子及びその製造方法並びに音響センサを提供することができるものである。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明に係るMEMS型熱線式粒子速度検出素子の第1の実施の形態における構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子10は、シリコン基板11と、絶縁膜12及び13と、電極パッド14と、粒子速度検出部15〜17とを備えている。
シリコン基板11は、高さ寸法Lの4つの凸部及び1つの凹部11aを有し、各凸部間及び凹部11aを音波が通過できる構成となっている。各凸部の上面には絶縁膜12が設けられている。また、シリコン基板11の下面には絶縁膜13が設けられている。絶縁膜12上には電極パッド14が形成されている。この電極パッド14は、図示しない外部回路と接続されるものである。
粒子速度検出部15〜17は、それぞれ、各凸部間を橋渡しするよう自立して形成された一対の抵抗体のみからなり、一対の抵抗体の各両端は電極パッド14に接続されている。また、粒子速度検出部15〜17には、それぞれ、各電極パッド14を介し、粒子速度検出部15〜17の温度が予め定められた温度になるよう加熱するための電流が流されるようになっている。なお、粒子速度検出部15〜17は、それぞれ、本発明に係る熱授受手段を構成する。
ここで、粒子速度検出部15〜17のうち、粒子速度検出部15を例に挙げ、粒子速度検出部15と電極パッド14との関係を説明する。
粒子速度検出部15は、音波を伝播する媒質と熱を授受する抵抗体のみからなる一対の粒子速度検出部15a及び15bを備えている。また、電極パッド14は、粒子速度検出部15a及び15bが電気的に接続される電極パッド14a〜14dを備えている。
具体的には、粒子速度検出部15a及び15bのそれぞれの一方端は、電極パッド14a及び14bに電気的にそれぞれ接続されている。また、粒子速度検出部15a及び15bのそれぞれの他方端は、電極パッド14c及び14dに電気的にそれぞれ接続されている。ここで、粒子速度検出部15a及び15bは、それぞれ、本発明に係る第1及び第2の熱授受手段を構成する。また、電極パッド14a及び14bは、本発明に係る第1の電極を構成する。また、電極パッド14c及び14dは、本発明に係る第2の電極を構成する。
なお、説明を省略するが、粒子速度検出部16及び17のそれぞれと電極パッド14との関係も、粒子速度検出部15と電極パッド14a〜14dとの関係と同様である。また、例えば電極パッド14c及び14dを1つの電極パッドで共通化し、共通化した電極パッドをアースに接続する構成としてもよい。
粒子速度検出部15を構成する一対の抵抗体は、図中に示すX軸方向と直交する方向に並べて設けられている。また、粒子速度検出部16を構成する一対の抵抗体は、図中に示すY軸方向と直交する方向に並べて設けられている。また、粒子速度検出部17を構成する一対の抵抗体は、図中に示すZ軸方向と直交する方向に並べて設けられている。この構成により、粒子速度検出部15〜17は、それぞれ、音波の粒子速度のX軸方向成分、Y軸方向成分及びZ軸方向成分を検出することができるようになっている。なお、図示したX、Y、Z軸方向は説明の都合上、便宜的に定義した方向である。
粒子速度検出部15〜17を構成する一対の抵抗体は、それぞれ、FIB−CVD(Focused-ion-beam Chemical Vapor Deposition:集束イオンビーム化学気相成長)法により製作されるものである。FIB−CVD法については、文献「"Free-space-wiring fabrication in nano-space by focused-ion-beam chemical vapor deposition", T.Morita他, J.Vac. Sci. Technol. B 21(6), pp.2737-2741 (2003)」に詳述されているが、以下概要を説明する。
FIB−CVD法は、真空中で微細なノズルから原料ガスを噴射しつつ、噴射された原料ガスにイオンビームを照射することで局所的に化学反応を起こし、基板上の空間に自立した微細な配線(例えば炭素を主体とする抵抗体)を形成する方法である。この方法によれば、基板とノズル及びイオンビームの相対位置を制御することにより、3次元的に自立して自由な形状の微細な抵抗体(曲線を含む)を形成できるため、従来の製造技術に比べ、粒子速度検出部15〜17を形成する自由度が飛躍的に高まる。なお、粒子速度検出部15〜17を構成する抵抗体の材料は炭素に限定されるものではなく、抵抗体が自立できる材料であればよい。
次に、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子10の動作について図1を用いて説明する。なお、説明を簡単にするため、図1に示すX軸の矢印方向に伝播する音波を対象とし、粒子速度検出部15を構成する粒子速度検出部15a及び15bを例に挙げて説明する。
まず、電極パッド14に接続された図示しない電源(加熱手段)により、粒子速度検出部15a及び15bにそれぞれに等しい一定の電流を流し、両者を加熱する。
音波にさらされていない定常状態のとき、粒子速度検出部15a及び15bは、互いに等しい熱を放出すると共に、媒質を介して相手側の熱の一部を互いに等しく受け取るので、粒子速度検出部15a及び15bの温度は一定に保たれる。
次に、粒子速度検出部15a及び15bがX軸方向に伝播する音波にさらされると、ある時刻において、例えば粒子速度検出部15aは媒質によって熱が奪われ、粒子速度検出部15bは粒子速度検出部15aから奪われた熱の一部を、媒質を介して受け取るので、粒子速度検出部15aと15bとの間に温度差が生じる。抵抗体は温度変化によりその抵抗値が変化するため、粒子速度検出部15aと15bとの間に定常状態からの抵抗値差が生じる。この抵抗値差は音の粒子速度にほぼ比例するので、抵抗値差を検出することにより、MEMS型熱線式粒子速度検出素子10は、X軸方向に伝播する音波の粒子速度を検出することができる。
前述の粒子速度検出部15と同様に、粒子速度検出部16及び17も動作する。したがって、粒子速度検出部15〜17の各出力を比較したり合成したりすることにより、MEMS型熱線式粒子速度検出素子10を、例えば粒子速度の方向を求める装置に応用したり、無指向性マイクロホンとして利用したりすることができる。
次に、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子10の製造方法について図2を用いて説明する。図2は、MEMS型熱線式粒子速度検出素子10をMEMS技術によって形成する製造工程の説明図であって、図1に示したA−A'方向及びB−B'方向における断面を概念的に示した図である。
はじめに、例えば化学気相成長法や熱酸化法により、シリコン基板11の両面に窒化シリコンや酸化シリコン等の絶縁膜12及び13を形成する(図2(a))。
次に、例えばフォトリソグラフィ法とエッチング法とを組み合わせて絶縁膜12及び13をパターニングし、開口部12a及び13aを形成する(図2(b))。
次に、例えばドライエッチングのような異方性の高いエッチング法により、絶縁膜12及び13をマスクとしてシリコン基板11をエッチングし、シリコン基板11に凹部11a及び段差Lの凸部を形成する。凹部11aはシリコン基板11の表と裏からエッチングを行うことにより形成できる(図2(c))。
次に、例えばマスク蒸着法により金属の電極パッド14を形成する(図2(d))。
次に、FIB−CVD法を用いて、電極パッド14間に炭素を主体とする粒子速度検出部16を形成する(図2(e))。図示を省略したが、粒子速度検出部16と同様に、粒子速度検出部15及び17も製作することがきる。
なお、シリコンウェハに上記構造を多数作製したものをダイシングによりチップ化する場合は、例えば公知のレーザー方式のダイシング法を用いることにより、粒子速度検出部15〜17を破損することなく、チップ化することが可能である。
前述のように、FIB−CVD法を使用することで従来不可能であった3次元的に湾曲あるいは屈曲した検出素子が形成可能となる。これにより、基板の片面に1組の検出素子を形成するプロセスと同じ工程でXYZ3組の検出素子を形成することができる。
次に、本発明に係る検出素子(粒子速度検出部15〜17)が、従来の検出素子に比べ熱容量を小さくできることを具体的に説明する。
検出素子の単位長さあたりの熱容量CL(J・K−1・m−1)は[数1]で算出することができる。
[数1]
CL=Cv×検出素子断面積
ここで、Cvは検出素子の単位体積あたりの熱容量(J・K−1・m−3)を示し、[数2]で表すことができる。なお、Cmはモル熱容量(J・K−1・mol−1)、Mはモル質量(kg・mol−1)、ρは密度(kg・m−3)を示す。
[数2]
Cv=Cm/M×ρ
最初に、従来の検出素子の例として以下の構成を考える。なお、ここで例示する数値は、文献「J W van Honschoten他,"Analytic model of a two-wire thermal sensor for flow and sound measurements", J. Micromech. Microeng. 14 (2004) pp.1468-1477.」より抜粋したものである。
(1)従来の検出素子の構成例
抵抗体:白金、厚さ0.1μm、幅2μm、Cv(白金)=2.85×10(J・K−1・m−3
支持体:窒化シリコン、厚さ0.2μm、幅2μm、Cv(窒化シリコン)=1.66×10(J・K−1・m−3
上記の値を[数1]に代入すると、単位長さあたりの白金の熱容量CL(白金)及び窒化シリコンの熱容量CL(窒化シリコン)は、それぞれ、[数3]及び[数4]に示す値となる。
[数3]
CL(白金)=2.85×10(J・K−1・m−3)×0.1×10−6(m)×2×10−6(m)=0.57×10−6(J・K−1・m−1
[数4]
CL(窒化シリコン)=1.66×10(J・K−1・m−3)×0.2×10−6(m)×2×10−6(m)=0.66×10−6(J・K−1・m−1
したがって、従来の検出素子の、単位長さあたりの熱容量CL(従来素子)は[数5]に示す値となる。
[数5]
CL(従来素子)=CL(白金)+CL(窒化シリコン)=1.23×10−6(J・K−1・m−1
次に、本発明に係る検出素子として以下の構成を考える。ここで、FIB−CVD法で作製する細線は半径50nm程度が一般的であるので、この値を用いる。また、FIB−CVD法で製作する炭素を主体とした抵抗体のモル熱容量や密度の値は、ダイアモンドの値(理科年表より抜粋)で代用する。
(2)本発明に係る検出素子の構成例
抵抗体:炭素主体材料、半径50nm
Cm(炭素)=16(J・K−1・mol−1):ダイアモンドの温度600Kでの値
M(炭素)=0.012(kg・mol−1):ダイアモンドの値
ρ(炭素)=3.5×10(kg・m−3):ダイアモンドの値
上記の値を[数2]に代入すると、単位体積あたりの炭素の熱容量Cv(炭素)は[数6]に示す値となる。
[数6]
Cv(炭素)=16(J・K−1・mol−1)/0.012(kg・mol−1)×3.5×10(kg・m−3)=4.7×10(J・K−1・m−3
次に、この値を[数1]に代入すると、単位長さあたりの本発明に係る検出素子の熱容量CL(本素子)は[数7]に示す値となる。
[数7]
CL(本素子)=4.7×10(J・K−1・m−3)×π×(50×10−9(m)=3.7×10−8(J・K−1・m−1
(3)比較結果
[数5]に示した従来素子の熱容量と、[数7]に示した本素子の熱容量とを比較すると、本素子における単位長さあたりの熱容量CLが従来素子の1/33であり、熱容量CLを従来素子よりも非常に小さくできることがわかる。
以上のように、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子10によれば、FIB−CVD法を用いて粒子速度検出部15〜17を自立した抵抗体のみで形成する構成としたので、抵抗体が支持体に積層された従来のものよりも、粒子速度検出部15〜17の熱容量を低減することができ、構造も簡素化することができる。
また、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子10によれば、図1に示すように、粒子速度検出部15〜17を基板の片面側において3軸方向に任意の間隔で並べて設ける構成とすることができる。
したがって、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子10は、音波の粒子速度を従来よりも広い周波数帯域にわたって検出することができ、かつ、検出素子間隔の設計自由度の確保及び装置の小型化を図ることができる。
また、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子10によれば、FIB−CVD法を用いることで、基板の片面に3組の粒子速度検出部15〜17を容易に形成することができる。この構成により、MEMS型熱線式粒子速度検出素子10は音響センサ、例えば無指向性マイクロホンに好適に応用することができる。音響センサとしては、MEMS型熱線式粒子速度検出素子10と、3組の粒子速度検出部15〜17をそれぞれ予め定められた温度に加熱するよう電流を流す加熱手段としての電源と、粒子速度検出部15〜17をそれぞれ構成する各抵抗体の温度差に基づいて音波の粒子速度を計測する粒子速度計測手段とを備える構成とすればよい。
なお、前述の実施の形態において、X軸方向成分、Y軸方向成分及びZ軸方向成分の音波を検出するものを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図3に示すように、3軸方向のうちの1軸方向、例えばX軸方向の音波が通り抜けるようシリコン基板11に凹部11bを設け、粒子速度検出部15が音波の粒子速度のX軸方向成分を検出する構成としてもよい。
ここで、図4に示すように、粒子速度検出部15の抵抗体を例えばZ軸方向に湾曲させて曲線形状とする構成とするのが好ましい。粒子速度検出部15の抵抗体は通電時には数百度の温度になるため、粒子速度検出部15の抵抗体には熱歪が発生する。このとき粒子速度検出部15の抵抗体が曲線形状になっていると、抵抗体の特定の場所に熱歪が集中することがなく、熱歪による抵抗体の断線の可能性を低減することができるからである。
また、本発明に係るMEMS型熱線式粒子速度検出素子を、例えば図5に示す構成とすることもできる。図5に示したMEMS型熱線式粒子速度検出素子は、Z軸方向の音波を通過させる貫通孔11cと2つの凸部とが設けられたシリコン基板11と、屈曲した形状を有する一対の粒子速度検出部18とを備えている。一対の粒子速度検出部18は、それぞれ、前述の粒子速度検出部15〜17と同様にFIB−CVD法を用いて製造されたものであって、音波の粒子速度のX軸方向成分を検出する検出部18aと、Y軸方向成分を検出する検出部18bと、Z軸方向成分を検出する検出部18cとを備えている。
検出部18a〜18cは、それぞれ、音波の粒子速度のX、Y、Z軸方向成分を検出するが、これらは1組の連続した抵抗体であるため、粒子速度検出部18の出力はX、Y、Z軸方向成分が加算されたものとなる。例えば、粒子速度のX、Y、Z軸方向成分を検出する部分の長さをそれぞれ互いに等しくしておけば、[XYZ]が[111]方向の感度を高くすることができるなど、粒子速度検出部18の引き回し形状により特殊な指向性を持たせることができる。粒子速度検出素子をシステムに組み込んで使用する場合に粒子速度検出素子の実装方向に制限があることも多く、この場合、予めシリコン基板の特定方向に対して指向性を持たせておくことが有効である。
なお、検出部18a〜18cのそれぞれを、図4に示したように、湾曲させる形状としてもよい。この構成により、検出部18a〜18cのそれぞれが熱歪の影響で断線する可能性を低減することができて好ましい。
以上のように、FIB−CVD法により、従来技術では不可能であった湾曲あるいは屈曲した粒子速度検出部を形成することができる。これにより、検出素子が熱歪の影響で断線する可能性を低減することができる、あるいは、基板に対して特定方向に指向性を有する粒子速度検出素子を提供することができる。
(第2の実施の形態)
まず、本発明に係るMEMS型熱線式粒子速度検出素子の第2の実施の形態における構成について図6を用いて説明する。図6(a)及び(b)は、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子を、それぞれ、Z軸方向及びX軸方向から見た図である。なお、図示したX、Y、Z軸方向は説明の都合上、便宜的に定義した方向である。また、第1の実施の形態における説明と重複する説明は省略する。
図6(a)及び(b)に示すように、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子20は、絶縁体基板21と、電極パッド22と、粒子速度検出部23とを備えている。
絶縁体基板21は、例えばガラスで構成され、音波がX軸方向に通過する凹部21aを有している。
粒子速度検出部23は、第1の実施の形態と同様に、FIB−CVD法により製作されるものであって、凹部21a上を橋渡しするよう自立して形成された一対の抵抗体のみからなり、一対の抵抗体の各両端は電極パッド22に接続されている。各電極パッド22を介し、粒子速度検出部23の温度が予め定められた温度になるよう加熱するための電流が粒子速度検出部23に流されるようになっている。
具体的には、粒子速度検出部23は、音波を伝播する媒質と熱を授受する抵抗体のみからなる一対の粒子速度検出部23a及び23bを備えている。また、電極パッド22は、粒子速度検出部23a及び23bが電気的に接続される電極パッド22a〜22dを備えている。
粒子速度検出部23a及び23bのそれぞれの一方端は、電極パッド22a及び22bに電気的にそれぞれ接続されている。また、粒子速度検出部23a及び23bのそれぞれの他方端は、電極パッド22c及び22dに電気的にそれぞれ接続されている。ここで、粒子速度検出部23a及び23bは、それぞれ、本発明に係る第1及び第2の熱授受手段を構成する。また、電極パッド22a及び22bは、本発明に係る第1の電極を構成する。また、電極パッド22c及び22dは、本発明に係る第2の電極を構成する。なお、例えば電極パッド22c及び22dを1つの電極パッドで共通化し、共通化した電極パッドをアースに接続する構成としてもよい。
粒子速度検出部23a及び23bは、図中に示すX軸方向と直交する方向に並べて設けられている。この構成により、粒子速度検出部23は、音波の粒子速度のX軸方向成分を検出することができるようになっている。
次に、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子20の製造方法について図7を用いて説明する。なお、絶縁体基板21としてガラス基板を用いる例を挙げる。
はじめに、絶縁体基板21としてガラス基板を用意し、その両面にフォトレジスト24を塗布し、フォトリソグラフィ法により基板表面に開口部24aを形成する(図7(a))。
次に、例えばフッ酸のエッチング液を用いてエッチングを行い、凹部21aを形成し、フォトレジスト24を除去する(図7(b))。
次に、例えばマスク蒸着法を用いて金属の電極パッド22を形成する(図7(c))。
次に、FIB−CVD法を用いて、電極パッド22間に例えば炭素を主体とする粒子速度検出部23を形成する(図7(d))。
なお、基板に上記構造を多数作製し、ダイシングによりチップ化する場合は、例えば公知のレーザー方式のダイシング法を用いることにより、粒子速度検出部23を破損することなく、チップ化することが可能である。
以上のように、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子20によれば、基板として絶縁体基板21を使用する構成としたので、シリコン基板を使用する構成と比べ、基板表面の絶縁膜、例えば図3に示した絶縁膜12及び13が不要となり、構造の簡素化を図ることができ、製造コストの低減化を図ることができる。
(第3の実施の形態)
本発明に係るMEMS型熱線式粒子速度検出素子の第3の実施の形態における構成について図8を用いて説明する。なお、第1及び第2の実施の形態における説明と重複する説明は省略する。
図8(a)に示すように、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子30は、絶縁体基板31と、電極パッド32と、粒子速度検出部33及び34とを備えている。なお、図示したX、Y、Z軸方向は説明の都合上、便宜的に定義した方向である。
絶縁体基板31には、Z軸方向の音波を通過させる開口部31aが形成されている。
粒子速度検出部33及び34は、第1の実施の形態と同様に、それぞれ、FIB−CVD法により製作されるものであって、開口部31a上を橋渡しするよう自立して形成された抵抗体のみからなり、各抵抗体の各両端は電極パッド32に接続されている。各電極パッド32を介し、粒子速度検出部33及び34の温度が予め定められた温度になるよう加熱するための電流が粒子速度検出部33及び34に流されるようになっている。また、電極パッド32は、粒子速度検出部33及び34が電気的に接続される電極パッド32a〜32dを備えている。
詳細には、粒子速度検出部33は、図8(b)に示すように構成されている。図8(b)はZ軸方向から粒子速度検出部33を見た図であって、粒子速度検出部33は、円状に形成された円状検出部33aと、分岐部33dを介して円状検出部33aに接続された直線部33bと、分岐部33eを介して円状検出部33aに接続された直線部33cとを備えている。なお、粒子速度検出部33と同様に、粒子速度検出部34は、円状検出部34aと、直線部34b及び34cとを備えている。
図8(a)に示すように、粒子速度検出部33及び34のそれぞれの一方端は、電極パッド32a及び32bに電気的にそれぞれ接続されている。また、粒子速度検出部33及び34のそれぞれの他方端は、電極パッド32c及び32dに電気的にそれぞれ接続されている。ここで、粒子速度検出部33及び34は、それぞれ、本発明に係る第1及び第2の熱授受手段を構成する。また、電極パッド32a及び32bは、本発明に係る第1の電極を構成する。また、電極パッド32c及び32dは、本発明に係る第2の電極を構成する。なお、例えば電極パッド32c及び32dを1つの電極パッドで共通化し、共通化した電極パッドをアースに接続する構成としてもよい。
前述のように、粒子速度検出部33は、電極パッド32aから32cに至る経路を2つに分岐する分岐部33d及び33eを備えたものである。同様に、粒子速度検出部34は、電極パッド32bから32dに至る経路を2つに分岐する分岐部を備えたものである。
本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子30は、粒子速度検出部33及び34が、それぞれ、Z軸方向と直交する方向に、円状検出部33aと円状検出部34aとが対向するよう並べて配置されている。この構成により、MEMS型熱線式粒子速度検出素子30は、音波の粒子速度のZ軸方向成分を検出することができる。なお、ここでは、粒子速度検出部33及び34を、それぞれ、Z軸方向と直交する方向に対向させて並べた例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。
図8(c)は、粒子速度検出部33の製造方法の一例を示す図である。まず、図8(c)の上側に示すように、FIB−CVD法を用いて、円状検出部33aの半円部分と、直線部33b及び33cとを一体に形成する。なお、図示を省略したが、直線部33b及び33cは、それぞれ、電極パッド32a及び32cに接続されている。次に、図8(c)の下側に示すように、FIB−CVD法を用いて、円状検出部33aの残りの半円部分の両端がそれぞれ分岐部33d及び33eにおいて接続されるよう形成することにより、粒子速度検出部33を形成する。なお、粒子速度検出部34の製造方法は、粒子速度検出部33の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
以上のように、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子30によれば、粒子速度検出部33及び34のそれぞれの一方端から他方端に至る経路を2つに分岐する分岐部を備える構成としたので、直線形状の1対の検出素子を設ける従来の粒子速度検出素子に比べて、同等の長さの検出部を、より小さなスペースに配置することができる。したがって、本実施の形態におけるMEMS型熱線式粒子速度検出素子30は、粒子速度を検出する装置の小型化を図ることができる。
なお、前述の実施の形態において、1つの円状検出部33aにおいて2つの分岐部33d及び33eがあるものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上の分岐部があってもよい。
また、前述の実施の形態において、粒子速度検出部33及び34のそれぞれの一方端から他方端に至る経路を2つに分岐する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、分岐部において検出部が3つ以上に分岐する構成としてもよい。
また、前述の実施の形態において、円状検出部33aが1つの円状の経路である例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、2つの同心円状の経路や、楕円形状の経路としてもよい。また、円状検出部33aが平面状に形成された例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明に係るMEMS型熱線式粒子速度検出素子の第1の実施の形態における構成を概念的に示す斜視図 本発明に係るMEMS型熱線式粒子速度検出素子の第1の実施の形態における製造方法を概念的に示す断面図 本発明に係るMEMS型熱線式粒子速度検出素子の第1の実施の形態において、第1の他の態様の構成を概念的に示す図 本発明に係るMEMS型熱線式粒子速度検出素子の第1の実施の形態において、第2の他の態様の構成を概念的に示す図 本発明に係るMEMS型熱線式粒子速度検出素子の第1の実施の形態において、第3の他の態様の構成を概念的に示す斜視図 本発明に係るMEMS型熱線式粒子速度検出素子の第2の実施の形態における構成を概念的に示す図 本発明に係るMEMS型熱線式粒子速度検出素子の第2の実施の形態における製造方法を概念的に示す断面図 本発明に係るMEMS型熱線式粒子速度検出素子の第3の実施の形態における構成を概念的に示す図 従来の粒子速度検出素子の構成を概念的に示す図 従来の粒子速度検出素子の製造方法を概念的に示す断面図
符号の説明
10、20、30 MEMS型熱線式粒子速度検出素子
11 シリコン基板(基板)
11a、11b、21a 凹部
11c 貫通孔
12、13 絶縁膜
12a、13a、24a 開口部
14、22、32 電極パッド
14a、14b、22a、22b、32a、32b 電極パッド(第1の電極)
14c、14d、22c、22d、32c、32d 電極パッド(第2の電極)
15〜17、18、23 粒子速度検出部(熱授受手段)
15a、23a、33 粒子速度検出部(第1の熱授受手段)
15b、23b、34 粒子速度検出部(第2の熱授受手段)
18a X軸方向成分を検出する検出部
18b Y軸方向成分を検出する検出部
18c Z軸方向成分を検出する検出部
21、31 絶縁体基板(基板)
24 フォトレジスト
31a 開口部
33a、34a 円状検出部
33b、33c、34b、34c 直線部
33d、33e 分岐部

Claims (7)

  1. MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)技術を用いて形成されるMEMS型熱線式粒子速度検出素子であって、
    音波を伝播する媒質と熱を授受する抵抗体のみからなる少なくとも一対の第1及び第2の熱授受手段と、
    前記第1及び前記第2の熱授受手段のそれぞれの一方端を電気的に接続する第1の電極と、
    前記第1及び前記第2の熱授受手段のそれぞれの他方端を電気的に接続する第2の電極と、
    前記第1及び前記第2の電極が形成された基板とを備えたことを特徴とするMEMS型熱線式粒子速度検出素子。
  2. 前記第1及び前記第2の熱授受手段は、それぞれ、前記一方端と前記他方端との間において予め定められた方向に湾曲した形状を有するものであることを特徴とする請求項1に記載のMEMS型熱線式粒子速度検出素子。
  3. 前記第1及び前記第2の熱授受手段は、それぞれ、前記一方端と前記他方端との間において予め定められた方向に屈曲した形状を有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のMEMS型熱線式粒子速度検出素子。
  4. 前記第1及び前記第2の熱授受手段は、それぞれ、前記一方端から前記他方端に至る経路を複数に分岐する分岐部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のMEMS型熱線式粒子速度検出素子。
  5. 前記第1及び前記第2の熱授受手段は、それぞれ、互いに直交する3軸の少なくとも1つの軸方向において前記熱を授受するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のMEMS型熱線式粒子速度検出素子。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のMEMS型熱線式粒子速度検出素子と、前記第1及び前記第2の熱授受手段をそれぞれ予め定められた温度に加熱する加熱手段と、前記第1の熱授受手段の温度と前記第2の熱授受手段の温度との差に基づいて前記音波を伝播する媒質の粒子速度を計測する粒子速度計測手段とを備えたことを特徴とする音響センサ。
  7. MEMS技術を用いて形成されるMEMS型熱線式粒子速度検出素子の製造方法であって、
    音波を伝播する媒質と熱を授受する抵抗体のみからなる少なくとも一対の第1及び第2の熱授受手段を集束イオンビーム化学気相成長法によって生成する工程と、
    前記第1及び前記第2の熱授受手段におけるそれぞれの一方端を電気的に接続する第1の電極及びそれぞれの他方端を電気的に接続する第2の電極を基板上に形成する工程とを含むことを特徴とするMEMS型熱線式粒子速度検出素子の製造方法。
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