JP2009250706A - 粒子の分離方法及び分離装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子の材質が似ている場合等のように誘電泳動力の差が小さい場合であっても、液体中に含まれる粒子の種類によらず、簡便な方法で分離精度を向上させる方法及び装置を提供する。
【解決手段】流路中を流れる液体に含まれる少なくとも二種類の粒子を、電極で発生させた不均一電界により誘電泳動させ、誘電特性の差を利用して分離するため、第一の不均一電界を発生させる偏在用電極8によって、前記粒子を偏在部13側に偏在させてから下流に流し、その下流側であって前記流路を挟んで、前記偏在部13の対向側に配置され、かつ第二の不均一電界を発生させる捕捉用電極10によって、捕捉対象とする粒子を捕捉部14近傍に捕捉する。
【選択図】図2

Description

本発明は、液体中の複数種類の粒子を誘電泳動させ、誘電特性の差を利用して分離する方法及び装置に関するものである。
従来、液体中に存在する粒子、特に細胞や微生物を分離する方法として、電極を配置した流路中に当該液体を流し、流動作用と誘電泳動を利用して分離する方法がある。誘電泳動とは、粒子を不均一な交流電界内に置くと、粒子内に正と負の分極が起こり、粒子を取り囲む媒質の誘電率が物質よりも大きいと物質は電界の低い方向へ移動し、媒質の誘電率が粒子よりも小さいと粒子は電界の強い方向へと移動する現象である。この誘電泳動を利用した分離方法は、例えば医療業界において、医薬品や体液から細菌、微生物又はウィルス等を除去したり、あるいは透析のように汚濁物質を除去することに利用されている。
例えば、特許文献1では、一定速度で流れてくる粒子の誘電泳動力の差を利用し、出口に達する時間差から粒子の分離を行っている。
また、特許文献2では、液体中に含まれている粒子が既知の場合、抗体を用いて特定の粒子の誘電特性を変化させ、分離精度を上げる方法が開示されている。溶液に存在する複数種類の粒子を一度電極に捕捉し、特定の粒子に抗体を結合させることで、誘電特性を選択的に変化させる。その後流動作用を加えることにより、抗体と特異的に結合した粒子だけを流動させ分離精度を向上させている。
特表平7−505717号公報(特許第3182151号明細書) 特開2003−223号公報(特許第3869686号明細書)
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、電極が配置されている壁面付近の流速は遅くなるため、壁面付近に存在する粒子に対しては流れの効果が弱い。さらに、分離しようとする粒子の材質が似ている場合(例えば細胞と微生物など)、誘電特性に大きな差がないので誘電泳動力の差も小さいと考えられる。したがって、流路内の位置によって、つまり電極が存在する壁面付近に粒子が流れることによって、粒子に対する流れの効果が弱くなってしまうと、粒子の種類毎に異なる誘電泳動力の差を利用した分離が難しく、分離精度が落ちてしまう。
また、特許文献2に記載の方法においては、液体中に含まれる粒子の誘電泳動力の差が小さく、かつ種類が未知の場合、適切な抗体を選択することは困難であり、分離精度を向上させることは難しい。また、抗原抗体反応を利用するため、分離に手間と時間を要する。
以上より、液体中に未知の粒子が含まれている場合でも、目的以外の物質は電極に捕捉せず、精度良く簡便に分離できる方法が望まれていた。本発明は前述の先行技術における問題点に鑑み発明されたものであり、その目的は液体中に含まれる複数種類の粒子を精度良く分離する方法を提供することにある。特に、粒子の材質が似ている場合等のような誘電泳動力の差が小さい場合であっても、液体中に含まれる粒子の種類によらず、簡便な方法で分離精度を向上させる方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明に係る粒子の分離方法は、
流路中を流れる液体に含まれる少なくとも二種類の粒子を、電極で発生させた不均一電界により誘電泳動させ、誘電特性の差を利用して分離する方法であって、
第一の不均一電界を発生させる偏在用電極によって、前記粒子を偏在させてから下流に流す工程と、
前記偏在用電極の下流側であって前記流路を挟んで、前記粒子を偏在させた側の対向側に配置され、かつ第二の不均一電界を発生させる捕捉用電極によって、捕捉対象とする粒子を捕捉する工程と、
を有することを特徴とする粒子の分離方法。
また、本発明に係る粒子の分離装置は、
液体中に含まれる少なくとも二種類の粒子を誘電泳動させ、誘電特性の差を利用して分離する装置であって、
該装置は、
前記液体を流す流路と、
前記流路中に流動作用を発生させる手段と、
前記流路中に設置され、第一の不均一電界を発生し、前記粒子を偏在させる偏在用電極と、
前記偏在用電極の下流であって前記流路を挟んで前記粒子を偏在させる側の対向側に位置し、第二の不均一電界を発生し、捕捉対象の粒子を捕捉する捕捉用電極と、
を有することを特徴とする。
本発明によれば、液体中に含まれる粒子間の誘電泳動力の差が小さい場合であっても、粒子の種類によらず、分離精度を向上させることができる。
誘電泳動とは、粒子の電導率及び誘電率と媒質の電導率及び誘電率と、印加する周波数との相互作用により、不均一な電界内で粒子が移動する現象のことであり、この際に粒子に働く力を誘電泳動力と呼ぶ。また、誘電泳動力は、粒子が電界の強い方へと移動する正の誘電泳動力と電界の弱い方へと移動する負の誘電泳動力の2種類に分けられる。粒子の種類に応じて周波数を選択すると、正の誘電泳動力を作用させて捕捉したり、負の誘電泳動力を作用させて排除することも可能である。以下では、粒子に正の誘電泳動力が働く場合を例にとり説明する。
電界内に置かれた粒子は、電界の下流側に正極性の分極電荷+qが、上流側には負極性の分極電荷−qが夫々誘導され、+qには電界Eにより大きさ+qEの力が働き、この部分を電界の上流側へと引く。分子が中性ならば、+qと−qの絶対値は等しく、仮に電界が場所によらず一定であるならば、両者に働く力は釣り合って分子は動かない。しかし、電界が一様でない場合には、強い電界側へ引く力の方が大きくなり、分子は電界の強い側へと駆動されることとなる。つまり、不均一な電界において誘電的に分極可能な粒子は、そのような粒子が実効電荷を有していない場合でも、そのような粒子の有効分極率が周囲の媒体の分極率と異なっている場合には、誘電泳動力を受ける。その運動は、電気泳動現象のように粒子の電荷ではなく、誘電特性(例えば導電率や誘電率)によって決定される。
なお、電界がいずれの点においても振動性であり、パターンが固定している交番電界においては、電界が周期的に変動する場合には、粒子に作用する誘電泳動力は振動性であり且つ単向性である。粒子は、そのような粒子が懸濁している媒体よりも分極性が高い場合には、電界が強い方向へ移動(正の誘電泳動)する。
本発明の粒子の分離方法は、粒子間の誘電泳動力の差を利用して対象とする粒子を分離するものである。つまり、誘電泳動力は粒子の誘電特性に依存することから、粒子の誘電特性の違いにより対象とする粒子を分離、捕捉することができる。粒子の誘電特性の違いをもたらす要素として、粒子の大きさ、誘電率、表面電荷又は表面膜性質等が挙げられるが、これらのうち少なくとも一つの要素の違いに基づいて分離することができる。
ここで、本発明は、
流路中を流れる液体に含まれる少なくとも二種類の粒子を、電極で発生させた不均一電界により誘電泳動させ、誘電特性の差を利用して分離する方法であって、
第一の不均一電界を発生させる偏在用電極によって、前記粒子を偏在させてから下流に流す工程と、
前記偏在用電極の下流側であって前記流路を挟んで、前記粒子を偏在させた側の対向側に配置され、かつ第二の不均一電界を発生させる捕捉用電極によって、捕捉対象とする粒子を捕捉する工程と、
を有することを特徴とする粒子の分離方法である。
本発明に係る粒子の分離方法では、まず、捕捉用電極の領域に到達する前に、一旦粒子を偏在用電極により偏在させる。液中に含まれる粒子を偏在させてから捕捉用電極に流すことにより、捕捉対象となる粒子のみを捕捉用電極に引き寄せ捕捉し、捕捉対象となる粒子以外の粒子(以下、その他の粒子と略す)は捕捉せずに下流に流すようにすることができる。液体中の粒子は当然に分散した状態で流路を流れているため、従来の方法では、捕捉対象となる粒子とその他の粒子との間に誘電泳動力の差がある場合でも、その他の粒子が捕捉用電極付近に流れた場合は、該捕捉用電極に捕捉されてしまう。特に粒子間の誘電泳動力の差が小さい場合は、捕捉対象となる粒子とともにその他の粒子も顕著に捕捉されてしまう。一方、本発明では、捕捉用電極の領域に到達する前に、一旦全ての粒子を偏在用電極により捕捉用電極に対して反対側の流路部分に偏在させることで、その他の粒子が捕捉用電極に捕捉されないようにすることができる。したがって、粒子間の誘電泳動力の差が小さい場合にも有効に粒子を分離することができる。
(粒子)
本発明において粒子とは、細胞、細胞凝集体、細胞内小器官、細菌、ウイルス若しくは核酸等の生物由来物質、無機質、結晶若しくは合成粒子等の無機物質、又は油中の微細な水滴等の液体や気泡等の気体を広く含む概念として用いられている。生物由来物質としては、例えば、ヌクレオチド鎖、染色体、ペプチド鎖、蛋白質、免疫グロブリン、血清蛋白質、抗体、抗原、脂質、糖鎖又は微生物等が挙げられる。無機物質としては、例えば、シリカ、アルミナ、金、チタン、鉄若しくはニッケル等の金属、アガロース、セルロース若しくは不溶性デキストラン等の多糖類、又はポリスチレン若しくはスチレン‐ブタジエン共重合体等の高分子化合物等が挙げられる。
また、本発明に係る分離方法の対象となる液体としては、例えば血清、血漿、髄液、滑液、リンパ液等の体液、又は尿、糞便のような排泄物等の生体由来試料及びその処理物等が挙げられる。また、処理物としては、例えばこれら生体由来試料を水や緩衝液等で適宜希釈等したもの、あるいはこれら生体由来試料に由来する粒子を水や緩衝液等に適宜溶解又は懸濁させ、再構成して得られたもの等が挙げられる。
また、本明細書において、捕捉対象となる粒子は、一種類に限られるものではなく、二種類以上であってもよい。捕捉対象となる粒子以外の粒子(その他の粒子)も同様である。
(電極)
本発明において用いる電極には、少なくとも偏在用電極と捕捉用電極の二種類がある。
偏在用電極は、不均一な電界を生じさせて、流路を流れてきた粒子を誘電泳動力により、例えば、正の誘電泳動力により該偏在用電極近傍の偏在部に偏在させるものであり、流路において捕捉用電極の上流に位置する。ここで、偏在部とは、偏在用電極の表面及びその近傍のことを意味する。また、粒子を偏在させるとは、該偏在部に粒子を留める又は引き寄せることを意味する。
捕捉用電極は、不均一な電界を生じさせて、流路を流れてきた粒子を誘電泳動力により捕捉部に捕捉するものであり、流路において前記偏在用電極部の下流に位置する。ここで、捕捉部とは、捕捉用電極表面及びその近傍のことを意味する。また、粒子を捕捉するとは、捕捉部に粒子を留めることを意味する。
また、前記各電極は、それぞれ流路を挟んで対向する対向電極を有していても良い。各電極とその対向電極間の距離は通常流路の幅に依存する。つまり、前記偏在用電極とその対向電極(偏在用電極部という)は流路を挟む形で配置され、かつ前記捕捉用電極とその対向電極(捕捉用電極部という)も流路を挟む形で配置される。そして、前記偏在用電極部と前記捕捉用電極部は流路中に隣接して配置される。なお、前記各電極は、本発明の効果を有する以上流路中にどのように配置されていてもよく、例えば流路の上面と下面に配置されていても良いし、側面に配置されていても良い。
また、前記偏在部と前記捕捉部の位置が流路を挟んで反対側となるように、各電極部は形成される。このように各電極部を配置することで、上述したように、誘電泳動力の差が小さい粒子同士を分離したい場合でも、有効に捕捉対象となる粒子を捕捉することができる。つまり、粒子間の誘電泳動力の差が小さい場合であっても、流路中の粒子を偏在用電極部により一旦偏在部に偏在させてから下流の捕捉用電極部に流すことによって、誘電泳動力の弱い粒子が捕捉部に近づくことを防ぎ、かつ、誘電泳動力の強い粒子(捕捉対象となる粒子)のみを捕捉部に捕捉することができ、分離精度を向上させることができる。なお、本発明に係る分離方法によって分離、回収された粒子を分析等の他の工程に供することができる。
前記偏在用電極部及び捕捉用電極部は、交流電圧により不均一電界を発生させるものである。例えば、前記偏在用電極及び捕捉用電極は、対向電極と各々の面積が異なることが望ましく、幅が異なることが望ましい。つまり、流路の幅及び高さが一定で、流路側壁の両側に電極を設ける構成とする場合、各電極の縦幅を流路の高さに合わせることで、横幅を調整することのみで対向電極との面積比を選択することができる。異なる面積(特に幅のサイズ)の対向電極を配置することによって、電圧を印加した際に著しい不均一電界を生じさせることができ、粒子はより面積が小さい方の電極(電界が強い側の電極)に向かって正の誘電泳動を行う。前記偏在用電極及び捕捉用電極とそれぞれの対向電極の面積比は、捕捉対象となる粒子やその他の粒子の泳動速度を考慮して適宜選択することができる。例えば、粒子が泳動しやすい不均一電界が生じるよう、その面積比は1:4から1:5の比であることが望ましいが、泳動速度などを調整するため前記以外のサイズ比であってもよい。
また、前記偏在用電極と前記捕捉用電極とをセットで一組とした場合、流路中に複数組の電極を配置することができる。このように構成することで、さらなる分離精度の向上を図ることができる。
対向する電極間の距離は、粒子の種類に応じて適宜調整することができる。なお、対向する電極間の距離は、粒子に対してあまり広すぎると充分な電界強度の不均一電界を形成することができず、また、狭すぎると粒子を偏在又は捕捉し難くなる場合がある。特に限定されるものではないが、例えば、粒子が血球細胞や微生物の場合、1μm以上500μm以下とすることが好ましく、10μm以上300μm以下とすることがより好ましく、100μm以上200μm以下とすることが特に好ましい。
前記偏在用電極部と前記捕捉用電極部との距離は、液の流速や液中に含まれる粒子、特に捕捉対象となる粒子等を考慮して、適宜調整することができる。なお、該距離が長すぎると偏在させたことによる効果が小さくなる場合があり、また、該距離が短かすぎると同平面上にある電極間で不均一な電界が発生するため偏在させた側でそのまま粒子が補足される場合がある。特に限定されるものではないが、例えば、粒子が血球細胞や微生物の場合、通常は200μm以上2000μm以下とすることができ、好ましくは500μm以上1000μm以下である。
電極の材料としては、通常電極として用いられている材料ならば特に限定されることなく用いることができ、例えばステンレス鋼、銅又はアルミニウム等を挙げることができる。
電極は、例えば、ガラス、プラスチック、石英又はシリコン等の材質からなる流路に、公知の微細加工技術を用いて設けることができる。
電極には、有機薄膜等をコーティングしても差し支えない。
前記電極に印加される周波数と電圧は、捕捉対象となる粒子やその他の粒子、液体の媒体等を考慮して、分離精度が最適となるように適宜選択することができ、前記偏在用電極部と前記捕捉用電極部とで異なっていてもよい。通常は、事前検討を行い、最適に選択された単一の周波数の交流電圧を電極に付与する。また、捕捉対象が細胞や微生物の場合、周波数は100kHzから6.5MHzが好ましい。なお、粒子が受ける誘導泳動力は液体のpHや導電率や電圧の周波数等の影響を受けるため、これらを考慮して分離条件を選択することが望ましい。また、分離対象とする粒子にかかる誘電泳動力を周波数により正負に分けることができるならば、例えば捕捉対象となる粒子を正、その他の粒子を負とすれば、捕捉対象となる粒子は遅れて流路を通過することになり、より分離精度を向上させることができる。しかし、例えば血球細胞と微生物等、粒子間に誘電泳動力の差がない場合にあっては、ある血球細胞には正の誘電泳動力を作用させ、他の微生物には負の誘電泳動力を作用させるというようなことはできず、各粒子の種類毎に誘電泳動力の正負の振り分けを一般化することができない。したがって、このような場合に、本発明は特に有効である。
また、偏在用電極部は、電源を一定時間ごとに入切することで、偏在させた粒子を流路下流に流すこともできる。偏在用電極部の電源を一定時間毎に切ることで、偏在部に引き寄せられた捕捉対象となる粒子を下流の捕捉用電極部に流すことができ、分離精度を向上させることができる。なお、電源の入切を行うか、また、その時間等の選択は、分離条件が最適となるように適宜行うことができる。
(流路)
前記偏在用電極部と前記捕捉用電極部を用いて形成させた不均一電界内に、分離すべき粒子を含む液体、例えば2種以上の粒子が溶解若しくは懸濁している液体を流路に流して、捕捉対象となる粒子を捕捉して分離する。流路には少なくとも前記偏在用電極と前記捕捉用電極が設けられている。流路幅は、特に限定されるものではないが、上述のように少なくとも前記各電極部が配置されている場所は、対向する電極間の距離に相当することになる。
流路の形状は、粒子を含む液体を流動させられる形状であれば、直線状、円環形などいかなる形状でもよい。流路の材料は、ガラス、石英、プラスチック又はシリコンなどの一般的に流路形成に使われる材料であればいずれを用いてもよく、非導電性の材料が望ましい。流動作用を発生させる手段はシリンジポンプや電気浸透流ポンプなど、一般的に用いられている駆動装置であればいずれを用いても良い。
また、流路には、粒子を含む液体を注入又は回収する部分を設けることができる。液体の回収槽は、導入する液体量や粒子の性質に応じて適宜選択でき、一般的に容器として用いられているものであれば、いずれを用いてもよい。
また、上述した本発明に係る粒子の分離方法を好適に実施可能な装置について、以下に説明する。
本発明に係る粒子の分離装置は、
液体中に含まれる少なくとも二種類の粒子を誘電泳動させ、誘電特性の差を利用して分離する装置であって、
該装置は、
前記液体を流す流路と、
前記流路中に流動作用を発生させる手段と、
前記流路中に設置され、第一の不均一電界を発生し、前記粒子を偏在させる偏在用電極と、
前記偏在用電極の下流であって前記流路を挟んで前記粒子を偏在させる側の対向側に位置し、第二の不均一電界を発生し、捕捉対象の粒子を捕捉する捕捉用電極と、
を有することを特徴とする。
本発明に係る粒子の分離装置を用いて、液体中に含まれる粒子を有効に分離することができる。特に、粒子間に誘電泳動力の差がない場合でも有効に分離することができる。
捕捉対象となる粒子とその他の粒子の組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、例えば動物細胞と微生物、特に血球細胞と病原細菌が挙げられる。その際の誘電泳動の条件として、周波数は100kHzから6.5MHz、電圧は10Vpp以上、溶媒の導電率は0から0.13[S/m]で行うことが望ましいが、細胞の種類や菌種に応じて前記以外の条件を用いても良い。
また、本発明に係る粒子の分離装置は、上述のように、前記偏在用電極と前記捕捉用電極のセットを流路中に複数組配置することができる。例として、そのセットを4つとした場合の装置構成を図11に示す。
偏在用電極部用の配線31が各偏在用電極部を構成する電極となり、捕捉用電極部用の配線32が各捕捉用電極部を構成する電極となる。図11に示した例では、各偏在用電極部は同一の電源で管理されることになる。しかし、これに限定されるものではなく、各偏在用電極部は別個に管理することも可能である。しかし、装置の構成上、各偏在用電極部は一つの電源で一括管理されることが好ましい。捕捉用電極部も同様である。
流路33の幅や高さは、分離対象とする粒子や液体に応じて適当に調整することができる。また、電極が上下壁面に配置されているか、側壁に配置されているかは、装置の設置方法や装置構成の捉え方によって変わるものであり、特に限定されるものではない。34は液体の流れる方向を示す。
また、本発明に係る分離装置は、上述の材料を用いて、例えばスパッタリング法やフォトリソフラフィ法等の従来技術を用いて作製することができる。
以下に本発明の実施形態について例を挙げてより詳細に説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
実施形態1における本発明に係る装置の構成の一例を図1に模式的に示す。当該装置は流れを発生させるシリンジポンプ1、粒子の分離を行う流路2、粒子を回収する回収槽3、誘電泳動を行うための周波数と電圧を印加する電源4から構成されている。
また、流路2の上面から見た内部を図2に模式的に示す。ホウケイ酸ガラス基板にエッチングして作製された流路は液体の流入口5と流出口6を有している。また、流路の側面にサイズの異なる孔をあけ、誘電泳動用の白金電極8、9、10、11がはめ込まれている。そして、上面をガラス基板で、流路の両端は側板12によって塞がれている。なお、前記偏在用電極部は偏在用電極(8)とその対向電極(9)からなり、前記捕捉用電極部は捕捉用電極(10)とその対向電極(11)からなる。図2に示すように、偏在用電極(8)は対向電極(9)よりも電極の面積が小さく、また、同様に、捕捉用電極(10)はその対向電極(11)よりも電極の面積が小さい。なお、粒子を含む液体は流入口5から流出口6へと流れ、流入口5に近い方が上流となる。電源4には、偏在用電極部及び捕捉用電極部に独立に電源供給できる制御系を有しており、例えば、図2に示すように、偏在用電極部への電源供給を行う制御系と、捕捉用電極部への電源供給を行う制御系が独立しており、それぞれ独立した周波数と電圧を印加する電源部15,17を有し、偏在用電極部への電源供給を行う制御系では、所定の間隔で電源の入切を行う制御回路16を有している。
上記の構成により、偏在用電極8とその対向電極9では電極面積が異なるため、電圧と周波数を印加すると不均一電界が生じる。したがって、偏在用電極8と対向電極9からなる偏在用電極部に粒子が流れてくると、粒子は偏在用電極8に向かって正の誘電泳動を行う。この粒子の正の誘電泳動と液体の流動により、粒子を偏在部13に偏在させることができる。特に、誘電泳動力が弱い粒子(その他の粒子)を下流に設けられる捕捉用電極10から遠ざけることにより、捕捉用電極10でその他の粒子が捕捉されないようにすることができる。また、この偏在用電極部は電源を一定時間ごとに入切することで、偏在させた粒子を流路下流に流すことができる。
捕捉用電極10とその対向電極11においても同様に電極面積が異なるため、不均一電界が生じ、粒子は電界が強い捕捉用電極10に向かって正の誘電泳動を行う。粒子を偏在部13に偏在させてから下流の捕捉用電極部に流すことにより、偏在部13とは流路を挟んで反対側に位置する捕捉部14には、誘電泳動力の大きい粒子(捕捉対象となる粒子)から優先的に移動する。そして、誘電泳動力の小さい粒子(その他の粒子)は、捕捉部14に捕捉されずに、あるいは誘電泳動により捕捉部14に引き寄せられても捕捉される前に、流動作用によって下流に流される。すなわち、粒子を偏在させてから捕捉用電極部に流すことにより、粒子の誘電泳動力の差を有効に利用することができ、分離精度を向上させることができる。なお、捕捉用電極部では電圧と周波数を印加しつづける。
粒子を含む液体(例えば電解質溶液)は流入口5から供給される。捕捉部14で捕捉されなかった粒子を含む液体は、流出口6から回収槽3へと回収される。回収槽3は、流動させる液体量に応じたサイズの容器を使用する。
例えば細菌とヒト血球細胞を分離する装置の場合、限定されるものではないが、流路の幅は例えば100μm、高さは例えば100μmとすることができる。また、流路の側面にはめこまれた電極A(8)及びC(10)の距離は500μm程度、高さ(縦幅)は例えば100μm、幅(横幅)は例えば60μmとすることができる。そして、電極B(9)及びD(11)の高さは例えば100μm、幅は例えば280μmとすることができる。以上は例示であり、捕捉対象となる粒子の誘電特性に応じて最も適当な流路幅と電極幅を選択するのが望ましい。電圧は10Vppから50Vpp、周波数は600kHzから6.5MHzまでの範囲を印加できる装置であることが望ましい。また、液体の流速は適宜設定することができ、例えば、0.2〜1μL/sとすることができる。なお、流路の高さは適宜設定することができ、高くすることにより処理できる液体の量を多くすることができる。また、説明するために便宜上、流路の側壁に電極を設けた装置の構成について説明したが、特に限定されるものではなく、例えば電極を上下壁面に設ける構成としてもよい。
(実施形態2)
実施形態2の装置構成は、上記の実施形態1において捕捉用電極部の構成のみが異なっており、図1と図3に模式的に示される。また、流路2を上面から見た内部を図3に模式的に示す。ホウケイ酸ガラス基板にエッチングして作製された流路は液体の流入口5と流出口6を有している。流路の側面にサイズの異なる孔をあけ、誘電泳動用の白金電極8、9、10、11をはめ込んで流路を作製する。流路の上面はガラス基板によって、両端は側板12によって塞がれている。捕捉用電極10は、図3に図示されるように、複数の電極から構成されており、その複数の電極の総面積は対向電極11に比べて小さい。
以上の構成では、複数配置された捕捉用電極10では、それぞれにおいて対向電極11との間に不均一電界を成し、流動している粒子は最も近距離にある捕捉用電極10に向かって正の誘電泳動を行う。この構成においても、捕捉用電極部では電圧と周波数を印加しつづけることで、各捕捉用電極10表面及びその近傍の捕捉部14に粒子を捕捉する。実施形態1と同様、粒子を含む電解質溶液は流入口5から供給され、捕捉部14で保持されなかった粒子を含む液体は、流出口6から回収槽3へと回収される。回収槽は、流動させる液体量に応じたサイズの容器を使用する。
例えば細菌とヒト血球細胞を分離する装置の場合、流路の幅は100μm、高さは100μmとすることができる。例えば、流路の側面にはめこまれた偏在用電極8及び捕捉用電極10の幅は40μmであり、対向電極9の幅は180μm、対向電極11の幅は440μmである。捕捉用電極10は少なくとも2つ(図3では5つ)配置されており、隣り合う捕捉用電極10間の距離は例えば40μmである。偏在用電極8及び対向電極9、捕捉用電極10及び対向電極11とでそれぞれ対向型電極を成す。なお、各電極の縦幅は流路の高さに合わせることが望ましい。以上は例示であり、分離対象となる粒子の誘電特性に応じて最も適当な流路幅や電極幅、流速、周波数、電圧、媒体等を選択するのが望ましい。電圧は少なくとも10Vppから50Vpp、周波数は少なくとも600kHzから6.5MHzまでの範囲を印加できる装置であることが望ましい。
(実施形態3)
図4は本発明の実施形態3を説明するための装置構成を模式的に示したものである。当該装置は流れを発生させ、粒子を回収する回収槽付シリンジポンプ18、粒子の分離を行う流路19、誘電泳動を行うための周波数と電圧を印加する電源20から構成されている。
また、図5は流路19の上面から見た内部を模式的に示したものである。ホウケイ酸ガラス基板にエッチングして作製された流路は液体の流出入口21を有している。流路の側面にサイズの異なる孔をあけ、誘電泳動用の白金電極8、9、10、11をはめ込み、上面をガラス基板で塞ぐことで流路を作製する。また、各電極の縦幅は流路の高さと同じにしている。
以上の構成により、偏在用電極8と対向電極9からなる偏在用電極部、および捕捉用電極10と対向電極11からなる捕捉用電極部では電極幅が異なるため、各電極間では不均一電界が生じる。まず、粒子は偏在用電極8に向かって正の誘電泳動を行う。正の誘電泳動と液体の流動により、粒子を偏在部13に偏在させ、電解質溶液中の粒子で誘電泳動力が弱い粒子を流路の内壁7a側に引き寄せておく。また、偏在用電極部では電源を一定時間ごとに入切することで、偏在させた粒子を流路下流に流す。補足用電極部においても同様に不均一電界が生じ、粒子は捕捉用電極10に向かって正の誘電泳動を行う。捕捉用電極部では電圧と周波数を印加しつづけることで、捕捉用電極10表面及び近傍の捕捉部14に粒子を捕捉する。また、粒子を含む液体は流出入口21から供給され、流路内を複数回周回する。周回後、捕捉部14で保持されなかった粒子を含む液体は、流出入口21から回収槽付ポンプ18により回収される。回収槽は、流動させる液体量に応じたサイズの容器を使用する。
例えば細菌とヒト血球細胞を分離する装置の場合、流路の幅は例えば100μm、高さは例えば100μmとすることができる。流路の側面にはめこまれた偏在用電極8及び捕捉用電極10の幅は例えば40μmであり、対向電極9、11の幅は例えば180μmである。分離対象とする粒子の誘電特性に応じて最も適当な流路幅や電極幅等を選択するのが望ましい。電圧は10Vppから50Vpp、周波数は600kHzから6.5MHzまでの範囲を印加できる装置であることが望ましい。
以下の本発明の実施例について記載する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、上述の実施形態1に記載した分離装置と、ヒト白血球細胞K562と大腸菌Escheria Coli(E.coli)が混在する液体とを用い、血球細胞を電極で捕捉し、大腸菌(細菌)を液体とともに回収した。
(実験プロセス)
図6(a),(b)及び図7は、偏在用電極部と捕捉用電極部を1組ずつ流路に配置し、誘電泳動と流動作用によって血球細胞(K562)と大腸菌を偏在、捕捉するプロセスを表している。
図6(a)は、流路中の粒子を偏在用電極部で偏在させた状態を表している。偏在用電極部により形成される不均一電界によって、血球細胞(K562)A及び大腸菌Bが偏在部13に集まる。血球細胞(K562)A及び大腸菌Bは誘電泳動によって、捕捉部14とは流路を挟んで反対側にある偏在部13に偏在する。
図6(b)は、偏在部13に偏在した粒子が流動方向fへ移動して捕捉用電極部に到達した状態を表している。偏在用電極部の下流側に位置する捕捉用電極10と対向電極11からなる補足用電極部においても不均一電界により粒子の誘電泳動が起こり、誘電泳動力が大きい血球細胞Aは捕捉部14で捕捉される。一方、血球細胞Aより誘電泳動力が小さい大腸菌Bは、捕捉部14で捕捉される前に流動作用によって流され、捕捉されない。また、偏在用電極部は電源を一定時間ごとに入切することで、偏在させた粒子を電極付近から離し、流路下流に流す。一方、捕捉用電極部では電圧と周波数を印加しつづけることで、捕捉部14に粒子を捕捉する。
(実験条件)
本実施例で用いた溶媒としては、9.58w/v%スクロース溶液にウシ胎児血清(Fetal Bovine Serum;FBS)を加えて導電率を0.056S/mとしたものを用いた。この溶媒に血球細胞(K562)を106個/ml、大腸菌を108個/mlとなるように添加し、粒子を含む液体を調製した。この液体を流速25μl/minで流路に流し、電圧80Vpp、周波数1MHzの条件で誘電泳動を行ったON:10sec OFF:2sec。
以上の条件において分離操作を行った結果、血球細胞Aが捕捉部14に捕捉され、大腸菌Bは液体中に浮遊し、血球細胞Aと大腸菌Bが分離された。流路に導入する前の液体を初期液、流路に導入かつ誘電泳動後の液体を回収液とし、初期液と回収液中に存在する血球細胞数を血球計算盤により、大腸菌数をコロニーカウント法によりそれぞれ計測した。初期液と回収液に存在する血球細胞および大腸菌の数から、血球細胞については電極への捕捉率を、大腸菌については回収液への回収率を求めた。その結果、血球細胞の捕捉率は86%、大腸菌の回収率は91%であった。すなわち、初期液に含まれる血球細胞のうち86%が除去され、大腸菌は91%回収された。
<実施例2>
実施形態1に記載の分離装置におけるポンプ、電源、回収槽と、図8に記載の流路を用いて、図7のプロセスにて血球細胞の捕捉、細菌の回収を行った。
(実験プロセス)
図7は、偏在用電極部と捕捉用電極部を2組配置し、誘電泳動と流動作用によって偏在部13に粒子を偏在させ、捕捉部14で粒子を捕捉するプロセスを表している。
電極形状に由来する不均一電界により、各電極において、偏在用電極8A及び8B、捕捉用電極10A及び10Bへの正の誘電泳動が起こる。電極8Aと9A及び電極8Bと9Bからなる各偏在用電極部は、実施例1と同様に電源を一定時間ごとに入切することで、偏在させた粒子を電極付近から離し、流路下流に流す。一方、電極10Aと11A及び電極10Bと11Bからなる各捕捉用電極部では電圧と周波数を印加しつづけることで、それぞれの捕捉部14に粒子(血球細胞)を捕捉する。偏在用電極部と捕捉用電極部の配置を繰り返すことにより、液体中の血球細胞Aが捕捉部14に捕捉され、大腸菌Bは溶液中に浮遊し、血球細胞Aと大腸菌Bが分離される。
(実験条件)
本実施例では実施例1と同様に、ヒト白血球細胞K562と大腸菌E.coliが混在する液体を用いた。溶媒としては9.58w/v%スクロース溶液にFBSを加えて導電率を0.056S/mとしたものを使用した。この溶媒中にK562細胞を106個/ml、微生物を108個/mlとなるように添加した。この粒子を含む液体を流速25μl/minで流路に流し、電圧80Vpp、周波数1MHzの条件で誘電泳動を行ったON:10sec OFF:2sec。
(実験結果)
以上の条件において、血球細胞(K562)Aが捕捉部14に捕捉され、大腸菌Bは溶液中に浮遊し、血球細胞Aと大腸菌Bが分離された。実施例1と同様の方法で血球細胞については捕捉率を、大腸菌については回収率を求めた結果、血球細胞の捕捉率は98%、大腸菌の回収率は91%であった。すなわち、初期液に含まれる血球細胞のうち98%が除去され、大腸菌は91%回収された。偏在用電極部と捕捉用電極部の配置数を増やすことにより血球細胞の捕捉率が上がるため、1組だけ配置した装置を使用した場合の実施例1よりも精製度が増すことが確認された。
<実施例3>
実施例1に記載の分離装置におけるポンプ、電源、回収槽と、図10に記載の流路を用いて、図9のプロセスにて細胞の捕捉、細菌の回収を行った。
(実験プロセス)
図9は、偏在用電極部と捕捉用電極部を3組以上配置し、誘電泳動と流動作用によって偏在部13に粒子を偏在させ、捕捉部14で粒子を捕捉するプロセスを表している。本実施例では、偏在用電極部と捕捉用電極部の配置数は3つとした。
図10において、電極8Aと電極9A、電極8Bと電極9B、電極8Cと電極9Cは偏在用電極部を、電極10Aと電極11A、電極10Bと電極11B、電極10Cと電極11Cは捕捉用電極部をそれぞれ構成している。
電極の形状に由来する不均一電界の誘電泳動によって、血球細胞A及び大腸菌Bが偏在部13に偏在する。流動作用と誘電泳動により、誘電泳動力が強い血球細胞Aは捕捉部14で捕捉され、それよりも誘電泳動力が弱い大腸菌Bは、捕捉部14で捕捉される前に流動作用によって流され、捕捉されない。
各偏在用電極部は実施例1と同様に電源を一定時間ごとに入切することで、偏在させた粒子を偏在部13から離し、流路下流に流す。一方、捕捉用電極部では電圧と周波数を印加しつづけることで、捕捉部14に粒子を捕捉する。
偏在用電極部と捕捉用電極部の配置を繰り返すことにより、血球細胞Aが捕捉部14に捕捉され、大腸菌Bは液体中に浮遊し、血球細胞Aと大腸菌Bが分離される。偏在用電極部と捕捉用電極部を複数組配置することにより、実施例1や実施例2よりも精製度が上がると考えられる。
(実験条件)
本実施例では実施例1と同様に、ヒト白血球細胞K562と大腸菌E.coliが混在する懸濁液を用いた。溶媒としては9.58w/v%スクロース溶液にFBSを加えて導電率を0.056S/mとしたものを使用した。この溶媒中にK562細胞を106個/ml、大腸菌を108個/mlとなるように添加した。この液体を流速25μl/minで流路に流し、電圧80Vpp、周波数1MHzの条件で誘電泳動を行った。
(実験結果)
以上の条件において、血球細胞Aが捕捉部14に捕捉され、大腸菌Bは液体中に浮遊し、血球細胞Aと大腸菌Bが分離された。実施例1と同様の方法で血球細胞ついては捕捉率を、大腸菌については回収率を求めた結果、血球細胞の捕捉率は99%、大腸菌の回収率は91%であった。すなわち、初期液に含まれる血球細胞のうち99%が除去され、大腸菌は91%回収された。配置する電極部を増やすことにより血球細胞の捕捉率が上がるため、偏在用電極部と捕捉用電極部を2組配置した装置を使用した実施例2よりも精製度が増す。実施例1乃至3の結果から、偏在用電極部と捕捉用電極部の配置数に応じて捕捉率が上昇している。したがって、これらの電極部の数が増えるほど精製度が上昇すると言える。
本発明に係る装置構成の一例を示す概略図である。 本発明に係る分離装置における第一の実施形態を表す上面概略図である。 本発明に係る分離装置における第二の実施形態を表す上面概略図である。 本発明に係る装置構成の一例を表す概略図である。 本発明に係る分離装置における第三の実施形態を表す上面概略図である。 (a)実施例1で使用する分離装置で、偏在用電極部で粒子を偏在させた状態を示す概念図である。(b)(a)において粒子を偏在させた後、捕捉用電極部で粒子を捕捉した状態を示す概念図である。 流路中に偏在用電極部と捕捉用電極部を二組配置し、流路中の粒子を誘電泳動で偏在後、捕捉するプロセスを示す概念図である。 流路中に偏在用電極部と捕捉用電極部を二組配置した構成の一例を示す流路の上面概略図である。 流路中に偏在用電極部と捕捉用電極部を少なくとも三組配置し、流路中の粒子を誘電泳動で偏在後、捕捉するプロセスを示す概念図である。 流路中に偏在用電極部と捕捉用電極部を三組配置した構成の一例を示す流路の上面概略図である。 本発明に係る分離装置における偏在用電極と捕捉用電極を構成する配線の例を示す概念図である。
符号の説明
1 ポンプ
2 流路
3 回収槽
4 電源
5 流入口
6 流出口
7 ホウケイ酸ガラス基板
8 偏在用電極
9 対向電極
10 捕捉用電極
11 対向電極
12 側板
13 偏在部
14 捕捉部
15、17 電源部
16 制御装置
18 回収槽付ポンプ
19 流路
20 電源
21 流出入口
A 捕捉対象となる粒子(K562血球細胞)
B その他の粒子(大腸菌)
31 偏在用電極部用の配線
32 捕捉用電極部用の配線
33 流路
34 液体の流れる方向

Claims (9)

  1. 流路中を流れる液体に含まれる少なくとも二種類の粒子を、電極で発生させた不均一電界により誘電泳動させ、誘電特性の差を利用して分離する方法であって、
    第一の不均一電界を発生させる偏在用電極によって、前記粒子を偏在させてから下流に流す工程と、
    前記偏在用電極の下流側であって前記流路を挟んで、前記粒子を偏在させた側の対向側に配置され、かつ第二の不均一電界を発生させる捕捉用電極によって、捕捉対象とする粒子を捕捉する工程と、
    を有することを特徴とする粒子の分離方法。
  2. 前記偏在用電極及び前記捕捉用電極は、それぞれ、正の誘電泳動力によって粒子を引き寄せるものであって、前記流路を挟んで対向する対向電極をそれぞれ有していることを特徴とする請求項1に記載の粒子の分離方法。
  3. 前記偏在用電極へ電源の入切を行うことにより、前記偏在用電極において偏在させた粒子を下流に流すことを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子の分離方法。
  4. 前記粒子は微生物又は細胞であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの請求項に記載の粒子の分離方法。
  5. 液体中に含まれる少なくとも二種類の粒子を誘電泳動させ、誘電特性の差を利用して分離する装置であって、
    該装置は、
    前記液体を流す流路と、
    前記流路中に流動作用を発生させる手段と、
    前記流路中に設置され、第一の不均一電界を発生し、前記粒子を偏在させる偏在用電極と、
    前記偏在用電極の下流であって前記流路を挟んで前記粒子を偏在させる側の対向側に位置し、第二の不均一電界を発生し、捕捉対象の粒子を捕捉する捕捉用電極と、
    を有することを特徴とする粒子の分離装置。
  6. 前記偏在用電極及び前記捕捉用電極は、それぞれ、正の誘電泳動力によって粒子を引き寄せるものであって、前記流路を挟んで対向する対向電極をそれぞれ有していることを特徴とする請求項5に記載の粒子の分離装置。
  7. 前記流動作用を発生させる手段が注入手段であり、さらに前記液体を回収する手段を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の粒子の分離装置。
  8. 前記偏在用電極へ所定の時間間隔で前記第一の不均一電界の印加・停止を行う手段を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかの請求項に記載の粒子の分離装置。
  9. 前記偏在用電極と前記捕捉用電極からなる組が前記流路中に少なくとも二組配置されていることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかの請求項に記載の粒子の分離装置。
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