JP2009235393A - 光学活性4級アンモニウム担持ポリマーとその製造方法ならびに光学活性アミノ酸類の製造方法 - Google Patents
光学活性4級アンモニウム担持ポリマーとその製造方法ならびに光学活性アミノ酸類の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009235393A JP2009235393A JP2009045792A JP2009045792A JP2009235393A JP 2009235393 A JP2009235393 A JP 2009235393A JP 2009045792 A JP2009045792 A JP 2009045792A JP 2009045792 A JP2009045792 A JP 2009045792A JP 2009235393 A JP2009235393 A JP 2009235393A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- formula
- quaternary ammonium
- optically active
- ammonium cation
- active quaternary
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- OETVZHDMAQJSKJ-ROTBHKMLSA-N C=CC1C(CC2)CC(C[C@@H](c3c(cccc4)c4ncc3)O)[N]2(Cc2c(cccc3)c3cc3c2cccc3)C1 Chemical compound C=CC1C(CC2)CC(C[C@@H](c3c(cccc4)c4ncc3)O)[N]2(Cc2c(cccc3)c3cc3c2cccc3)C1 OETVZHDMAQJSKJ-ROTBHKMLSA-N 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Abstract
Description
例えば、特許文献1には、ポリエチレングリコールリンカーを有するポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩、その製造方法、それから成るポリマー担持型光学活性相間移動触媒(以下、何らかのポリマーに担持された不斉相間移動触媒をポリマー触媒と呼称する場合がある)及びその触媒を用いる化学反応方法についての発明が開示されている。この文献法では、ポリエチレングリコールリンカーの末端のクロロメチルフェニル基を(−)−シンコニジンのキヌクリジン骨格の窒素原子に反応させて、光学活性4級アンモニウム塩を生成させると同時に高分子担持を行って、ポリマー触媒を得ている。
1.式(1)
(式中のA+は、光学活性4級アンモニウムカチオン残基を表す。Bは、−COO−、−CONH−及び置換基を有してもよいフェニレンから選択される2価基を表す。Zは、アルキレン、フェニレン、オキシアルキレン及びオキシフェニレンから選択される2価基を表し、nは0〜10の整数を表し、nが2以上である場合、Zは互いに同一でも異なっていてもよい。但し、Bと(Z)nとの結合及び(Z)nとSO3 −との結合は、光学活性4級アンモニウムカチオンを用いる反応条件下においても開裂することがない化学的に許容される範囲の結合を表す。R1は、水素原子、C1〜C6アルキル基又はC2〜C6アルケニル基を表す。)
で表される繰り返し単位を、含有することを特徴とする光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーや、
2.式(1)が、式(2)
3.式(3)
(Qは、水素原子、エステル、アミド又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。R3は、水素原子、C1〜C6アルキル基又はC2〜C6アルケニル基を表す。)で表される繰り返し単位を、さらに含有することを特徴とする1.又は2.に記載の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーや、
4.式(4)
(R4は、水素原子、C1〜C6アルキル基又はC2〜C6アルケニル基を表す。)で表される単位を、さらに含有することを特徴とする3.に記載の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーに関するものであり、
5.光学活性4級アンモニウムカチオン残基が、式(5)
N+RaRbRcRd (5)
(式中、Ra〜Rdは有機基であって、いずれも窒素原子と結合する有機基を表す。Ra〜Rdが全て同一である場合、Ra〜Rdのうち2個は互いに結合し、少なくとも1個の軸不斉を有する。 Ra〜Rdのうち、全てが同一でないか、2個又は3個が同一である場合は、Ra〜Rdは互いに結合していてもよく、少なくとも1個の不斉炭素を有し、及び/又は、少なくとも1個の軸不斉を有する。)
で表される光学活性4級アンモニウムカチオン残基であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーや、
6.光学活性4級アンモニウムカチオン残基が、シンコナアルカロイドのアンモニウム誘導体、スピロアンモニウム誘導体、ビススピロアンモニウム誘導体、アゼピンのジアルキルオニウム誘導体又は4,5−ジ(アミノメチル)−[1,3]ジオキソランのジアンモニウム誘導体であることを特徴とする5.に記載の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーに関する。
7.式(6)
(Qは、水素原子、エステル、アミド又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。R3は、水素原子、C1〜C6アルキル基又はC2〜C6アルケニル基を表す。)で表されるエチレン誘導体の単量体(B)(以下、本明細書中で「エチレン誘導体単量体(B)」ということがある。)とを、共重合させることを特徴とする光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーの製造方法や、
8.式(6)が、式(8)
9.式(9)
(R4は、水素原子、C1〜C6アルキル基、又はC2〜C6アルケニル基を表す。)で表されるジビニルベンゼン誘導体の単量体(C)(以下、本明細書中で「ジビニルベンゼン誘導体単量体(C)」ということがある。)をさらに含有させて、共重合させることを特徴とする7.又は8.に記載の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーの製造方法に関するものである。
10.式(1’)
A+X−(10)
(式中のA+は、光学活性4級アンモニウムカチオンを表す。X−はハロゲン原子、有機酸、リン酸、亜リン酸、硝酸、重炭酸又は炭酸のアニオンを表す。)で表される光学活性4級アンモニウム塩を、溶媒中で混合することを特徴とする光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーの製造方法や、
11.式(1’)が、式(2’)
12.光学活性4級アンモニウムカチオンが、式(5)
N+RaRbRcRd (5)
(式中、Ra〜Rdは有機基であって、いずれも窒素原子と結合する有機基を表す。Ra〜Rdが全て同一である場合、Ra〜Rdのうち2個は互いに結合し、少なくとも1個の軸不斉を有する。Ra〜Rdのうち、全てが同一でないか、2個又は3個が同一である場合は、Ra〜Rdは互いに結合していてもよく、少なくとも1個の不斉炭素を有し、及び/又は、少なくとも1個の軸不斉を有する。)
で表される光学活性4級アンモニウムカチオンであることを特徴とする7.〜11.のいずれかに記載の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーの製造方法や、
13.光学活性4級アンモニウムカチオンが、シンコナアルカロイドのアンモニウム誘導体、スピロアンモニウム誘導体、ビススピロアンモニウム誘導体、アゼピンのジアルキルオニウム誘導体、又は4,5−ジ(アミノメチル)−[1,3]ジオキソランのジアンモニウム誘導体であることを特徴とする12.に記載の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーの製造方法に関する。
14.1.〜6.に記載の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーを含有してなることを特徴とする光学活性相間移動触媒、及び、
15.N−置換−グリシン誘導体と、式(Q)
L−Y (Q)
(式中、Lは有機基を、Yは脱離基を表す。)で表される化合物を、1.〜6.に記載のポリマーの存在下に処理することを特徴とする光学活性α−モノ置換−N−置換−グリシン誘導体の製造方法に関する。
本発明の第一は、式(1)
(式中のA+は、光学活性4級アンモニウムカチオン残基を表す。Bは、−COO−、−CONH−及び置換基を有してもよいフェニレンから選択される2価基を表す。Zは、アルキレン、フェニレン、オキシアルキレン及びオキシフェニレンから選択される2価基を表し、nは0〜10の整数を表し、nが2以上である場合、Zは互いに同一でも異なっていてもよい。但し、Bと(Z)nとの結合及び(Z)nとSO3 −との結合は、光学活性4級アンモニウムカチオンを用いる反応条件下においても開裂することがない化学的に許容される範囲の結合を表す。R1は、水素原子、C1〜C6アルキル基又はC2〜C6アルケニル基を表す。)
で表される繰り返し単位を、含有することを特徴とする光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーである。
上記式(1)で表される繰り返し単位において、Bは、−COO−、−CONH−及び置換基を有してもよいフェニレンから選択される2価基を表す。
置換基を有してもよいフェニレンの置換基としては、同一又は異なって置換数1〜4のフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、2−メチルシクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の直鎖、分岐もしくは環状のC1〜C6アルキル基;
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、2−メチルシクロプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等の直鎖、分岐もしくは環状のC1〜C6アルコキシ基を挙げることができる。
「アルキレン」としては、C1〜C3の直鎖アルキレンが挙げられ、具体的にはメチレン、エチレン、トリメチレンが挙げられる。
「オキシアルキレン」としては、上記のアルキレンとオキソ基との結合したオキシメチレン、オキシエチレン、オキシプロピレンが挙げられる。
(Qは、水素原子、エステル、アミド又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。R3は、水素原子、C1〜C6アルキル基又はC2〜C6アルケニル基を表す。)で表される繰り返し単位を、さらに含有することを特徴とする光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーである。
Qの「置換基を有してもよいフェニル基」の置換基としては、式(1)の置換基を有してもよいフェニレンの置換基と同様のものが挙げられる。
R3のC1〜C6アルキル基及びC2〜C6アルケニル基は、R1で例表したものと同様を表す。
(式中、R4は、水素原子、C1〜C6アルキル基又はC2〜C6アルケニル基を表す。)で表される単位を、さらに含有することを特徴とする光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーであることが好ましい。
本発明において、式中のA+は、光学活性4級アンモニウムカチオン又は光学活性4級アンモニウムカチオン残基であり、光学活性4級アンモニウムカチオンは、式(5)のように「N+RaRbRcRd」で表すことができる。
Ra〜Rdの有機基としては、窒素原子と結合できるものであれば特に制限されず、例えば炭化水素基が挙げられ、炭化水素基としてはR1〜R4のC1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C1〜C6アルコキシ基等の飽和又は不飽和鎖状脂肪族炭化水素基が挙げられるほか、環状脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの基の複合基等があり、複合基としては例えば、環状脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基が複合した多環基が挙げられる。また、有機基は炭素及び水素以外の原子を有する基であってもよく、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含む基であってもよい。
さらに、有機基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;水酸基;チオール基;シアノ基;イソシアノ基;ニトロ基;イソシアナト基、イソチオシアナト基、シアナト基、チオシアナト基、アミノ基等が挙げられる。
このうち、軸不斉を有するものとしては、ビナフチル化合物やビフェニル化合物の誘導体があり、例えば、ビナフチル化合物としては、一般式(10)
式(14)中のC1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基としては、R1〜R4における例示と同じものが挙げられる。C6〜C14アリール基としては例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル、10−フェナントリル等を挙げることができる。
これらに例表した以外にも、4級アンモニウム塩構造を有し、光学活性であるなら、もちろんこれら以外の構造の化合物も同様に用いることができる。
本発明の第2は、光学活性4級アンモニウム担持ポリマーの製造方法に関するものである。
すなわち、式(6)
(Qは、水素原子、エステル、アミド又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。R3は、水素原子、C1〜C6アルキル基又はC2〜C6アルケニル基を表す。)で表されるエチレン誘導体の単量体(B)を、共重合させることで、光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーを製造方法することができる。
上記式(6)で表されるエチレン誘導体単量体(A)において、Bは、−COO−、−CONH−又は置換基を有してもよいフェニレンから選択される2価基を表す。
式(6)における、Bの置換基を有してもよいフェニレンの置換基、Zのアルキレン、オキシアルキレン、R1のC1〜C6アルキル基又はC2〜C6アルケニル基の具体例としては、前記式(1)と同じものが挙げられる。
但し、Bと(Z)nとの結合及び(Z)nとSO3 −との結合は、光学活性4級アンモニウムカチオンを用いる反応条件下においても開裂することがない化学的に許容される範囲の結合を表す。そのため、ZとSO3 −との結合は炭素原子と硫黄原子とで結合する。
上記式(7)で表されるエチレン誘導体単量体(B)において、Qのエステル、R3のC1〜C6アルキル基及びC2〜C6アルケニル基の具体例としては、前記式(3)と同じものが挙げられる。
α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、ジビニルベンゼン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、2,4,6−トリイソプロピルスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、p−tert−ブトキシ−α−メチルスチレン、m−tert−ブトキシスチレン、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン等のスチレン誘導体;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体を挙げることができる。
(R4は、水素原子、C1〜C6アルキル基、又はC2〜C6アルケニル基を表す。)で表されるジビニルベンゼン誘導体の単量体(C)をさらに含有させて、共重合させることがより好ましい。
重合方法には特に限定はないが、ラジカル重合、懸濁重合が好ましい。使用する全単量体中のエチレン誘導体単量体(A)は0.1〜30モル%、単量体(B)は70〜99.9モル%であることが好ましい。これにさらに単量体(C)を含有させる場合には、単量体(C)は0.1〜20モル%が好ましい。より好ましくは、エチレン誘導体単量体(A)が0.5〜20モル%、単量体(B)が70〜98.5モル%、単量体(C)が1〜10モル%である。
また、別の製造方法として、本発明の光学活性4級アンモニウム担持ポリマーは、金属スルホネート塩が置換した繰り返し単位を含有する金属スルホネート塩ポリマーと光学活性4級アンモニウム塩を溶媒中で混合して得ることもできる。
A+X−(10)
(式中のA+は、光学活性4級アンモニウムカチオンを表す。X−はハロゲン原子、有機酸、リン酸、亜リン酸、硝酸、重炭酸又は炭酸のアニオンを表す。)で表される光学活性4級アンモニウム塩を、溶媒中で混合することを特徴とする光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーの製造方法である。
上記式(1’)で表される繰り返し単位において、M+はアルカリ金属、アルカリ土類金属のイオンを表す。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムを、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウムを挙げることができる。
Bにおける置換基を有してもよいフェニレンにおける置換基、Zにおけるアルキレン及びオキシアルキレン、R1におけるC1〜6アルキル基又はC2〜6アルケニル基としては、式(1)と同様のものが挙げられる。但し、Bと(Z)nとの結合及び(Z)nとSO3 −との結合も、式(1)と同様に、BとZとの結合は炭素原子と炭素原子、或いは炭素原子と酸素原子との結合が好ましく、ZとSO3 −との結合は炭素原子と硫黄原子との結合が好ましい。
続いて、前記の操作により得られた金属スルホネート塩ポリマーと、式(10)
A+X−(10)
(式中のA+は、光学活性4級アンモニウムカチオンを表す。X−はハロゲン原子、有機酸、リン酸、亜リン酸、硝酸、重炭酸又は炭酸のアニオンを表す。)で表された光学活性4級アンモニウム塩を溶媒中で混合することにより、本発明の光学活性4級アンモニウム担持ポリマーを製造することができる。
N+RaRbRcRd (5)
(式中、Ra〜Rdは有機基であって、いずれも窒素原子と結合する有機基を表す。Ra〜Rdが全て同一である場合、Ra〜Rdのうち2個は互いに結合し、少なくとも1個の軸不斉を有する。Ra〜Rdのうち、全てが同一でないか、2個又は3個が同一である場合は、Ra〜Rdは互いに結合していてもよく、少なくとも1個の不斉炭素を有し、及び/又は、少なくとも1個の軸不斉を有する。)
で表される光学活性4級アンモニウムカチオンであることが好ましい。
前記以外の方法によって製造する場合も、これらの重合度、アンモニウム塩化度、架橋度を有していれば、本発明の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーとして使用することができる。
本発明の第3は、上記の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーを含有してなることを特徴とする光学活性相間移動触媒である。本発明の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーは、光学活性相間移動触媒として用いることで、各種の光学活性相間移動触媒反応を行うことができる。光学活性相間移動触媒反応としては、アルキル化、シクロプロパン化、マイケル付加、エポキシ化、酸化、還元、アルドール等の各不斉反応を挙げることができる。一般的に不斉アルキル化が好結果を与える場合が多い。
不斉アルキル化反応の具体例としては、本発明の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーの存在下に、グリシン誘導体にハロアルキルに代表される各種求電子試薬を作用させ光学活性アミノ酸類の前駆体として有用な光学活性α−モノ置換−N−置換−グリシン誘導体がある。
光学活性α−モノ置換−N−置換−グリシン誘導体の製造方法としては、具体的には、N−置換−グリシン誘導体と、式(Q)
L−Y (Q)
(式中、Lは有機基を、Yは脱離基を表す。)で表される化合物を、上記の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーの存在下に処理する方法である。
NMR:varian INOVA−400(溶媒 CDCl3)
IR :日本電子 JIR−7000(試料調整 KBr)
1)単量体A−1(p−ビニルフェニルスルホン酸 N−9−アントラセニルメチルシンコニジニウム塩)の合成
ここにおいて、「mmolNR4/ポリマーg」とは、ポリマー1g当りの4級アンモニウム塩を有する単量体部分のミリモル数を意味する。
1)単量体A−2(p−ビニルフェニルスルホン酸 (S,S)−3,4,5−トリフロロフェニル−NAS塩)の合成
元素分析:C, 82.71; H, 5.92; N, 0.68(元素分析から見積もら
れるキラル4級アンモニウム塩の導入率:9.4%)
実施例1のポリマー触媒P−1をポリマー触媒P−2(66.7mg、0.034mmol)に代えて、実施例1と同様に反応を行った。その結果、収率80%収で光学活性N−(ジフェニルメチレン)フェニルアラニン tert−ブチルエステルを得た。HPLC測定(Chiralcel OD)により、エナンチオマー過剰率は99%ee以上であった。
1)ナトリウムスルホネート基が置換した残基を有するスチレン単位を含有するポリマーB−1の合成
ここにおいて、「mmolSO3Na/ポリマーg」とは、ポリマー1g当りのナトリウムスルホネート基を有する単量体部分のミリモル数を意味する。
元素分析:C;82.55,H;6.70,N;0.52(元素分析から見積もられるキラル4級アンモニウム塩の導入率:5.6%)
Claims (15)
- 式(1)
(式中、A+は、光学活性4級アンモニウムカチオン残基を表す。Bは、−COO−、−CONH−及び置換基を有してもよいフェニレンから選択される2価基を表す。Zは、アルキレン、フェニレン、オキシアルキレン及びオキシフェニレンから選択される2価基を表し、nは0〜10の整数を表し、nが2以上である場合、Zは互いに同一でも異なっていてもよい。但し、Bと(Z)nとの結合及び(Z)nとSO3 −との結合は、光学活性4級アンモニウムカチオンを用いる反応条件下においても開裂することがない化学的に許容される範囲の結合を表す。R1は、水素原子、C1〜C6アルキル基又はC2〜C6アルケニル基を表す。)
で表される繰り返し単位を、含有することを特徴とする光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマー。 - 光学活性4級アンモニウムカチオン残基が、式(5)
N+RaRbRcRd (5)
(式中、Ra〜Rdは有機基であって、いずれも窒素原子と結合する有機基を表す。Ra〜Rdが全て同一である場合、Ra〜Rdのうち2個は互いに結合し、少なくとも1個の軸不斉を有する。Ra〜Rdのうち、全てが同一でないか、2個又は3個が同一である場合は、Ra〜Rdは互いに結合していてもよく、少なくとも1個の不斉炭素を有し、及び/又は、少なくとも1個の軸不斉を有する。)
で表される光学活性4級アンモニウムカチオン残基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマー。 - 光学活性4級アンモニウムカチオン残基が、シンコナアルカロイドのアンモニウム誘導体、スピロアンモニウム誘導体、ビススピロアンモニウム誘導体、アゼピンのジアルキルオニウム誘導体又は4,5−ジ(アミノメチル)−[1,3]ジオキソランのジアンモニウム誘導体であることを特徴とする請求項5に記載の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマー。
- 式(6)
(Qは、水素原子、エステル、アミド又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。R3は、水素原子、C1〜C6アルキル基又はC2〜C6アルケニル基を表す。)で表されるエチレン誘導体の単量体(B)を、共重合させることを特徴とする光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーの製造方法。 - 式(1’)
A+X−(10)
(式中のA+は、光学活性4級アンモニウムカチオンを表す。X−はハロゲン原子、有機酸、リン酸、亜リン酸、硝酸、重炭酸又は炭酸のアニオンを表す。)で表される光学活性4級アンモニウム塩を、溶媒中で混合することを特徴とする光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーの製造方法。 - 光学活性4級アンモニウムカチオンが、式(5)
N+RaRbRcRd (5)
(式中、Ra〜Rdは有機基であって、いずれも窒素原子と結合する有機基を表す。Ra〜Rdが全て同一である場合、Ra〜Rdのうち2個は互いに結合し、少なくとも1個の軸不斉を有する。Ra〜Rdのうち、全てが同一でないか、2個又は3個が同一である場合は、Ra〜Rdは互いに結合していてもよく、少なくとも1個の不斉炭素を有し、及び/又は、少なくとも1個の軸不斉を有する。)
で表される光学活性4級アンモニウムカチオンであることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーの製造方法。 - 光学活性4級アンモニウムカチオンが、シンコナアルカロイドのアンモニウム誘導体、スピロアンモニウム誘導体、ビススピロアンモニウム誘導体、アゼピンのジアルキルオニウム誘導体、又は4,5−ジ(アミノメチル)−[1,3]ジオキソランのジアンモニウム誘導体であることを特徴とする請求項12に記載の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーの製造方法。
- 請求項1〜6に記載の光学活性4級アンモニウムカチオン担持ポリマーを含有してなることを特徴とする光学活性相間移動触媒。
- N−置換−グリシン誘導体と、式(Q)
L−Y (Q)
(式中、Lは有機基を、Yは脱離基を表す。)で表される化合物を、請求項1〜6に記載のポリマーの存在下に処理することを特徴とする光学活性α−モノ置換−N−置換−グリシン誘導体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009045792A JP2009235393A (ja) | 2008-03-04 | 2009-02-27 | 光学活性4級アンモニウム担持ポリマーとその製造方法ならびに光学活性アミノ酸類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008054161 | 2008-03-04 | ||
JP2009045792A JP2009235393A (ja) | 2008-03-04 | 2009-02-27 | 光学活性4級アンモニウム担持ポリマーとその製造方法ならびに光学活性アミノ酸類の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009235393A true JP2009235393A (ja) | 2009-10-15 |
Family
ID=41249732
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009045792A Pending JP2009235393A (ja) | 2008-03-04 | 2009-02-27 | 光学活性4級アンモニウム担持ポリマーとその製造方法ならびに光学活性アミノ酸類の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009235393A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017111176A1 (ja) * | 2015-12-25 | 2017-06-29 | 東洋合成工業株式会社 | 化合物及び有機材料の製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006093269A1 (ja) * | 2005-03-03 | 2006-09-08 | Kyoto University | 光学活性アンモニウム塩化合物、その製造中間体および製造方法 |
-
2009
- 2009-02-27 JP JP2009045792A patent/JP2009235393A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006093269A1 (ja) * | 2005-03-03 | 2006-09-08 | Kyoto University | 光学活性アンモニウム塩化合物、その製造中間体および製造方法 |
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
JPN6013034497; 高分子学会予稿集(CD-ROM) 56(2), 2007, p.3335-3336(2D17) * |
JPN6013034499; Angew. Chem. Int. Ed. 46, 2007, p.4222-4266 * |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017111176A1 (ja) * | 2015-12-25 | 2017-06-29 | 東洋合成工業株式会社 | 化合物及び有機材料の製造方法 |
CN108473628A (zh) * | 2015-12-25 | 2018-08-31 | 东洋合成工业株式会社 | 化合物和有机材料的制造方法 |
US10730037B2 (en) | 2015-12-25 | 2020-08-04 | Toyo Gosei Co., Ltd. | Compound and method for manufacturing organic material |
CN108473628B (zh) * | 2015-12-25 | 2020-12-22 | 东洋合成工业株式会社 | 化合物和有机材料的制造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Cheon et al. | Super Brønsted acid catalysis | |
Wen et al. | Metal-free oxidative spirocyclization of alkynes with sulfonylhydrazides leading to 3-sulfonated azaspiro [4, 5] trienones | |
Pellissier | Recent developments in asymmetric organocatalysis | |
Vachon et al. | Recent developments in enantioselective phase transfer catalysis using chiral ammonium salts | |
US20090203860A1 (en) | Nonpolar phase-soluble methathesis catalysts | |
Bai et al. | Quinine-catalyzed asymmetric domino Mannich-cyclization reactions of 3-isothiocyanato oxindoles with imines for the synthesis of spirocyclic oxindoles | |
KR20130079319A (ko) | 루테늄 착체 및 광학적으로 활성인 알코올 화합물의 제조방법 | |
JP6487568B2 (ja) | ラセミ体δ−ヒドロキシエステルの触媒的不斉水素化反応による動力学的分割およびその応用 | |
Park et al. | Cinchona-derived ammonium salts-catalyzed aza Diels–Alder reaction of Danishefsky’s diene with imines | |
Truong et al. | Chiral ionic liquids derived from (-)-Ephedrine and carbohydrates: Synthesis, properties and applications to asymmetric synthesis and catalysis | |
JP5296375B2 (ja) | 2つの軸不斉を有する光学活性アンモニウム塩化合物の製造方法 | |
WO2005005345A2 (fr) | Utilisation de sels d'onium fonctionnalises en tant que support soluble pour la synthese organique | |
JP2009235393A (ja) | 光学活性4級アンモニウム担持ポリマーとその製造方法ならびに光学活性アミノ酸類の製造方法 | |
JP6472079B2 (ja) | 空孔を備えたゲル構造体およびその製造方法、並びにその利用 | |
Mlynarski et al. | Syntheses of chiral hybrid O, N-donor ligands for the investigation of lanthanide complex reactivities in direct aldol condensations | |
Zhu et al. | Construction of a chiral zinc–camphorate framework for enantioselective separation | |
JP6534223B2 (ja) | N−(ホスフィノアルキル)−n−(チオアルキル)アミン誘導体及びその製造方法並びにその金属錯体 | |
Yuan et al. | Recent progress in chiral guanidine-catalyzed Michael reactions | |
Crawford et al. | Investigations into the nucleophilic meso-substitution of F-BODIPYs and improvements to the synthesis of 4, 4-difluoro-4-bora-3a, 4a-diaza-s-indacene. | |
KR20130133248A (ko) | 전구체 화합물을 위한 공정 단순화 | |
JP6913635B2 (ja) | N,n−ビス(2−ジアルキルホスフィノエチル)アミン−ボラン錯体及びその製造法、並びにn,n−ビス(2−ジアルキルホスフィノエチル)アミンを配位子とするルテニウム錯体の製造方法 | |
JP2009120599A (ja) | エトドラクエステルの製造方法 | |
He et al. | Photodimerization of 4-Aryl-1, 4-dihydropyridines in 1-Butyl-3-methylimidazolium Tetrafluoroborate | |
CN110563773A (zh) | 一种平面手性二茂铁化合物、其中间体及制备方法和应用 | |
He et al. | NiH-Catalyzed Asymmetric Hydroarylation of N-Acyl Enamines: Practical Access to Chiral Benzylamines |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120213 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20120213 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120321 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20120321 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120518 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130620 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130716 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20131112 |