JP2009231879A - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像に表示された顔の見栄えが悪い場合があった。
【解決手段】対象画像における顔の口内領域を検出する検出部と、上記検出された口内領域における輝度分布を検出し、当該検出した輝度分布の形状に基づき、口内領域に属する画素のうち補正対象とする画素を特定する補正対象特定部と、上記特定された補正対象の画素の明るさの補正を行う明るさ補正部とを備える画像処理装置とした。この結果、対象画像における歯の部分の明るさを正確に補正することができ、見栄えの良い顔が表された画像を自動的に得ることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、画像処理装置および画像処理方法に関する。
顔を含む画像に対し補正を行なって見栄えを向上させる技術が提案されている。このような技術として、画像データを解析して画像データ中で人物の歯が写っている部分を検出する歯部分検出手段と、前記検出した歯の部分での画像データの平均値を算出することにより、前記検出した歯を代表する画像データ(代表画像データ)を生成する代表データ生成手段と、代表画像データが目標データと一致するように歯の部分の画像データを補正する画像データ補正手段とを備える印刷装置が知られている(特許文献1参照。)。
特開2007‐223189号公報
画像が顔を含む場合、顔の特定の部分、例えば歯は、画像の観察者の注意を引く部分である。このような観察者の注意を引く部分の見栄えが悪いと、画像全体の印象も悪いものとなってしまう。ここで上記文献では、口として検出された輪郭の中の明るい領域を単に歯の部分として検出するとされており、歯の部分の検出手法についてそれ以上の開示はなかった。また上記文献では、歯の部分はほぼ目標値(階調値255(真っ白な色))に補正されるため、顔の中で歯だけが突出して明るく(白く)補正されてしまうことが有り得た。また上記文献では、階調値255より低い値の目標値に補正する場合でも、複数設定された目標値の中から目標値を選択する必要がある分、ユーザにとって処理が煩雑であった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、画像内の顔の特定部分、特に歯に対応する部分を、従来よりも、正確に、画像の状態に応じて適切に、更には容易に、補正することで、良好な印象を観察者に与える画像を得ることが可能な、画像処理装置および画像処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の画像処理装置は、対象画像における顔の口内領域を検出する検出部と、上記検出された口内領域における輝度分布を検出し、当該検出した輝度分布の形状に基づき、口内領域に属する画素のうち補正対象とする画素を特定する補正対象特定部と、上記特定された補正対象の画素の明るさの補正を行う明るさ補正部とを備える構成としてある。本発明によれば、口内領域の輝度分布の形状に基づいて明るさ補正の対象画素を特定するので、歯の部分に対応する画素を高い精度で特定することができる。その結果、対象画像における歯の部分の明るさを正確に補正することができ、見栄えの良い顔が表された画像を自動的に得ることができる。
上記検出部は、上記顔における口の内側の輪郭の位置に略対応する複数の点を特定するとともに、当該特定した点を曲線にて補間して閉じた領域を生成し、当該生成した領域を上記口内領域とするとしてもよい。当該構成によれば、対象画像における顔の口内領域を正確に検出することができる。
上記補正対象特定部は、上記輝度分布における最大輝度値と当該最大輝度値に最も近い極小点を与える輝度値との間の輝度範囲に属する画素を補正対象として特定するとしてもよい。当該構成によれば、口内領域に属する画素のうち、歯の部分に対応する画素の略全てを、容易に補正対象として特定することができる。
上記明るさ補正部は、上記口内領域の輝度の標準偏差を算出し、当該標準偏差に基づいて明るさの補正を行うとしてもよい。当該構成によれば、補正前の口内領域の明るさに応じた適切な程度の明るさ補正を、上記特定された画素に対して行うことができる。そのため、歯の部分だけが突出して白くなり却って違和感を生じさせる画像となる弊害を、防止できる。あるいは上記明るさ補正部は、トーンカーブを取得し、当該トーンカーブを用いて明るさの補正を行うとしてもよい。当該構成によれば、上記特定された画素の補正前の明るさに応じて補正量が決まる。そのため、歯の部分だけが突出して白くなり却って違和感を生じさせる画像となる弊害を、防止できる。
上記検出部は、上記顔の領域を対象画像から検出し、当該顔の領域の大きさに対する上記口内領域の大きさの比が所定値以上であるか否か判定し、上記補正対象特定部は、上記検出部によって上記比が所定値以上であると判定された場合に、補正対象とする画素の特定を行なうとしてもよい。当該構成によれば、顔の領域に対して口内領域がある程度以上の大きさを有する場合にのみ、口内領域内の歯に対応する画素の特定が行なわれ、明るさ補正が行なわれる。つまり、補正対象の画素を特定する前(歯に対応する画素を特定する前)に、実質的に明るさ補正の実行・不実行の判断が行なわれるため、明るさ補正を実行しなかった場合のトータルの処理負担が軽くなる。
上記明るさ補正部は、各画素に対する補正の度合いを上記口内領域の境界からの距離に応じて変更するとしてもよい。当該構成によれば、口内領域と口内領域外の領域との境界部分において明るさが急激に変ってしまう画像が生成されることを、防止できる。
本発明の技術的思想は、上述した画像処理装置の発明以外にも、上述した画像処理装置が備える各部が行なう各処理工程を備えた画像処理方法の発明や、上述した画像処理装置が備える各部に対応した機能をコンピュータに実行させる画像処理プログラムの発明としても捉えることができる。また、上述した画像処理装置を兼ねる印刷装置の発明や、上述した画像処理装置を兼ねるデジタルスチルカメラの発明をも把握可能である。
下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
1.画像処理装置の概略構成:
2.口内領域の検出処理:
3.補正および印刷処理
1.画像処理装置の概略構成:
図1は、本発明の画像処理装置の一例としてのプリンタ10の構成を、概略的に示している。プリンタ10は、記録メディア(例えば、メモリカードMC等)から取得した画像データに基づき画像を印刷する、いわゆるダイレクトプリントに対応したカラーインクジェットプリンタである。プリンタ10は、プリンタ10の各部を制御するCPU11と、例えばROMやRAMによって構成された内部メモリ12と、ボタンやタッチパネルにより構成された操作部14と、液晶ディスプレイにより構成された表示部15と、プリンタエンジン16と、カードインターフェース(カードI/F)17と、PCやサーバやデジタルスチルカメラ等の外部機器との情報のやり取りのためのI/F部13とを備えている。プリンタ10の各構成要素は、バスを介して互いに接続されている。
プリンタエンジン16は、印刷データに基づき印刷を行う印刷機構である。カードI/F17は、カードスロット172に挿入されたメモリカードMCとの間でデータのやり取りを行うためのI/Fである。メモリカードMCには画像データが格納されており、プリンタ10は、カードI/F17を介してメモリカードMCに格納された画像データを取得することができる。画像データ提供のための記録メディアとしてはメモリカードMC以外にも種々の媒体を用いることができる。プリンタ10は、I/F部13を介してPCやサーバ等とケーブルで接続し、当該PCやサーバ等から印刷データを入力することもできる。
内部メモリ12には、画像補正部20と、表示処理部31と、印刷処理部32とが格納されている。画像補正部20は、所定のオペレーティングシステムの下で、後述する画像補正処理等を実行するためのコンピュータプログラム(画像処理プログラム)である。表示処理部31は、表示部15を制御して、表示部15に処理メニューやメッセージを表示させるディスプレイドライバである。印刷処理部32は、画像データから印刷データを生成し、プリンタエンジン16を制御して、印刷データに基づく画像の印刷を実行するためのコンピュータプログラムである。CPU11は、内部メモリ12から、これらのプログラムを読み出して実行することにより、これら各部の機能を実現する。
画像補正部20は、プログラムモジュールとして、顔領域検出部21と、顔器官検出部22と、補正対象特定部23と、補正量決定部24と、補正実行部25とを含んでいる。顔領域検出部21および顔器官検出部22は、特許請求の範囲に言う検出部に該当する。補正量決定部24および補正実行部25は、特許請求の範囲に言う明るさ補正部に該当する。これら各部の機能については後述する。さらに、内部メモリ12には、顔テンプレート14bや、口テンプレート14c等の各種データが格納されている。プリンタ10は、印刷機能以外にも、コピー機能やスキャナ機能など多種の機能を備えたいわゆる複合機であってもよい。
図2は、画像処理装置(プリンタ10)が実行する画像補正印刷処理の概略を、フローチャートにより示している。
ステップS(以下、ステップの表記は省略。)100では、画像補正部20は、画像処理の対象とする画像(対象画像)内の顔の口内領域を検出する。本実施形態における口内領域とは、唇よりも内側の領域である。
S300では、画像補正部20は、上記検出された口内領域に属する画素のうち補正対象とする画素を特定し、当該特性した画素の明るさを補正する。
S500では、印刷処理部32は、明るさ補正後の対象画像を表す画像データあるいは明るさ補正が行われなかった対象画像を表す画像データに基づいて印刷データを生成し、生成した印刷データに基づいて印刷を実行する。
以下では、対象画像は人顔を含みかつ各顔器官(左右の目や鼻や口)が表れている画像であることを想定して、図2のフローチャートの詳細を説明する。
2.口内領域の検出処理:
図3は、S100の詳細をフローチャートにより示している。
S110では、顔領域検出部21が対象画像を表した画像データ14aをメモリカードMC等、所定の記録メディアから取得する。むろん、顔領域検出部21は、プリンタ10がハードディスクドライブ(HDD)を有していれば、当該HDDに保存されている画像データ14aを取得してもよいし、I/F部13を介してPCやサーバやデジタルスチルカメラ等から画像データ14aを取得してもよい。画像データ14aは、各画素が示す色がRGB各チャネルの階調値の組み合わせ(RGB色空間におけるベクトル)で表現されたビットマップデータである。後述する図面において、便宜的に2値の画像が示される場合があるが、実際には多階調のカラー画像データが処理の対象となる。画像データ14aは、記録メディア等に記録されている段階で圧縮されていてもよいし、他の色空間で各画素の色が表現されていてもよい。これらの場合、画像データ14aの展開や色空間の変換を実行して、顔領域検出部21がRGBビットマップデータの画像データ14aを取得する。ユーザが表示部15に表示されたユーザインターフェース(UI)画面を参照して操作部14を操作することにより、対象画像としての画像データ14aが指定される。
S120では、顔領域検出部21が画像データ14aに含まれる顔を検出する。顔領域検出部21は、複数のテンプレート(顔テンプレート14b)を利用したいわゆるパターンマッチングによって画像データ14aから顔領域を検出する。顔テンプレート14bとのパターンマッチングを行うにあたっては、画像データ14aにおいて矩形状の比較領域CAを設定し、比較領域CAの位置と大きさと回転角度を変えながら、比較領域CA内の画像と各顔テンプレート14bの画像との類似性を評価する。そして、類似性が一定の基準を満足する比較領域CAを顔領域と判定し、その比較領域CAの位置と大きさと回転角度を取得する。画像データ14aの全体に比較領域CAを移動させることにより、画像データ14a内に存在する単数または複数の顔についての領域の位置と大きさと回転角度を取得することができる。本実施形態では、単一の顔が検出されたものとして説明を続ける。
図4は、S120において顔領域と判定された比較領域CAの矩形を示している。
S130では、顔領域検出部21は、顔領域と判定された比較領域CAの位置と大きさと回転角度に基づいて、当該比較領域CAに含まれる画像を画像データ14aから顔画像データFDとして抽出する。このとき、顔画像データFDの大きさが一定の大きさとなるように解像度変換を行なっても良い。例えば、100×100画素の大きさとなるように、顔画像データFDの画素が内挿または間引きされる。また、画像データ14aにおける顔の回転角に対応して比較領域CAが回転されていた場合には、この回転を解消するように顔画像データFDを回転させる。
S140では、顔器官検出部22が顔器官としての口を含む領域(口領域)を検出する。顔器官検出部22は、複数のテンプレート(複数の口テンプレート14c)を利用したパターンマッチングによって顔画像データFDから口領域を検出する。口テンプレート14cとのパターンマッチングを行うにあたって顔器官検出部22は、顔画像データFDにおいて矩形状の比較領域CAを設定し、比較領域CAの位置と大きさと回転角度を変えながら、比較領域CA内の画像と各口テンプレート14cの画像との類似性を評価する。そして、類似性が一定の基準を満足する1つの比較領域CAを口領域と判定する。以下では、口領域と判定された比較領域CAを口領域CA1と呼ぶ。なお顔器官検出部22は、左右の目の領域などの口以外の顔器官も検出してもよい。そして顔器官検出部22は、口テンプレート14cとの比較に基づいて一応口領域らしいものとして検出した領域が、上記検出した口以外の顔器官との相対的な位置関係に照らして適切な位置に存在するか否か判断し、明らかに口領域としては不適切な位置に存在する場合には口領域ではないと判定してもよい。
図5は、口領域CA1が検出された顔画像データFDの様子を示している。
S150では、顔器官検出部22は、口領域CA1の画像データを対象として口内領域MAの検出を行なう。口内領域MAの検出とは、上唇の内側の輪郭と下唇の内側の輪郭とで囲まれた領域に相当する領域を検出することを意味する。まず顔器官検出部22は、口領域CA1の画像データにおいて、複数本の輪郭検出線ELを設定する。
図6は、口領域CA1のデータにおいて複数本の輪郭検出線ELを設定した様子を例示している。顔器官検出部22は、例えば図6に示すように、顔画像データFDの高さ方向(顔の高さ方向)に沿った輪郭検出線ELを、所定画素間隔で複数本平行に設定する。そして顔器官検出部22は、輪郭検出線EL毎に、線上の画素の輝度値の変化を調べ、輪郭点を特定する。画素の輝度値は、例えば、画素のRGB値を、輝度値を一要素とする所定の色空間に変換したり、RBG値を所定の重み付けで積算したりすることにより得られる。輪郭点とは、例えば、隣接画素との輝度差(輝度勾配)があるしきい値以上に大きい画素を言い、かかる画素は基本的に画像中のエッジ部分に対応している。この結果、全て或いは一部の輪郭検出線EL上に、輪郭点が特定される。顔器官検出部22は、顔画像データFDの高さ方向を向く輪郭検出線ELだけでなく、顔画像データFDの高さ方向に直行する方向(顔画像データFDの幅方向)を向く複数の輪郭検出線ELを設定し、各輪郭検出線ELにおいて輪郭点を特定してもよい。
次に、顔器官検出部22は、輪郭点を有する輪郭検出線EL毎に、口の外側の輪郭(唇の外側の輪郭)に対応する輪郭点(外輪郭点EPと呼ぶ。)を特定する。顔器官検出部22は、1つの輪郭検出線EL上に3つ以上の輪郭点が存在している場合には、当該1つの輪郭検出線ELに関しては線上の両端の輪郭点を外輪郭点EPとして特定する。一方、顔器官検出部22は、1つの輪郭検出線EL上に1つまたは2つしか輪郭点が存在しなければ、当該1つまたは2つの輪郭点を外輪郭点EPとして特定する。
図7では、口領域CA1のデータにおいて上記のように特定された外輪郭点EPを白抜きの丸で示している。同図では参考のために、輪郭検出線ELも鎖線にて示している。
次に、顔器官検出部22は、唇の内側の輪郭に対応する輪郭点(内輪郭点IPと呼ぶ。)を特定する。顔器官検出部22は、例えば、外輪郭点EP以外の輪郭点であって、外輪郭点EPと輪郭検出線EL上において隣接している(外輪郭点EPとの間に他の輪郭点を挟まない状態で輪郭検出線EL上に存在している)輪郭点を、内輪郭点IPとして特定する。図7では、上記のように特定された内輪郭点IPを黒丸で示している。
次に、顔器官検出部22は、内輪郭点IP間を補間することにより、一つの閉じた領域を特定する。補間方法は特に限られないが、例えば、スプライン補間等、非線形の補間方法を用いる。なお顔器官検出部22は、人間の上唇と下唇とによって形成され得る所定の形状を想定した場合に、当該想定した形状の輪郭からの逸脱の度合いが他の内輪郭点IPよりも所定程度大きい内輪郭点IPについてはこれを除外し、除外しなかった内輪郭点IPに基づいた補間を行なう。本実施形態では、このように特定した一つの閉じた領域を口内領域MAとして検出する。図7では口内領域MAを2点鎖線で示している。
顔器官検出部22は、上記補間を行なう場合に、内輪郭点IPと左右の口角点EP(l),EP(r)とを含めた輪郭点に基づいた補間を行なうとしてもよい(図7参照)。左右の口角点EP(l),EP(r)は、外輪郭点EPの一種であって、口の画像の左右の口角位置に相当する輪郭点である。顔器官検出部22は、例えば、外輪郭点EPのうち顔画像データFDの幅方向において両端に存在する2つの外輪郭点EPを、左右の口角点EP(l),EP(r)と決定する。このような口角点EP(l),EP(r)と内輪郭点IPとを含めた輪郭点を曲線で補間することにより、顔画像における実際の口内領域との一致度が極めて高い範囲を、口内領域MAとして検出することができる。
ただし本発明においては、口内領域の検出は上述した手法に限られること無く、顔画像における口内領域を検出可能な手法であればあらゆる手法を採用することができる。
S160では、顔器官検出部22は、顔領域の大きさに対する口内領域MAの大きさの比率を求め、当該比率が所定のしきい値Th以上であるか否か判定する。顔器官検出部22は、例えば、口領域CA1の検出を行なった顔画像データFDの面積(顔画像データFD内の画素数)に対する口内領域MAの面積(口内領域MA内の画素数)の比率を算出し、当該比率としきい値Thとを比較することにより上記判定を行なう。しきい値Thを示すデータは、例えば、内部メモリ12等所定のメモリに予め保存されているものとする。画像補正部20は、顔器官検出部22が上記比率はしきい値Th以上であると判定した場合にはS300(図2)に進み、顔器官検出部22が上記比率はしきい値Th未満であると判定した場合にはS500(図2)に進む。すなわち本実施形態では、口内領域MAが顔領域に対してある程度小さい場合には、S300における明るさ補正を行う必要性が無いか或いは当該必要性が低いと判断し、S300をスキップする。なお画像補正部20は、S120において顔領域の検出に失敗したり、S140において口領域の検出に失敗した場合にも、S300を行なうことなくS500に進む。
3.補正および印刷処理:
図8は、S300(図2)の詳細をフローチャートにより示している。
S310では、補正対象特定部23が、上記検出された口内領域MAに属する画素の輝度分布(ヒストグラム)を生成するとともに、輝度分布の形状に基づき、口内領域MAに属する画素のうち補正対象とする画素を特定する。具体的には、補正対象特定部23は、輝度分布の形状から輝度分布の最大輝度値に最も近い極小点を特定し、口内領域MAに属する画素のうち、当該極小点を与える輝度値と最大輝度値との間の輝度範囲に輝度値が属する画素を、補正対象として特定する。
図9は、口内領域MAに属する画素の輝度分布を例示している。輝度分布は、横軸に輝度値(例えば0〜255の階調値)、縦軸に画素数(度数)を規定している。図9に示すように、輝度分布は、階調値255に近い高階調域にある程度多くの度数が存在している。そして、かかる多くの度数が集まる高階調域から輝度が低下するにつれて急激に度数が低下してある極小点N1が発生し、当該極小点N1に対応する輝度値Y1よりも低階調域において再びある程度の度数が分布している。口内領域MAには、一般的に、歯や、舌や、歯茎や、その他口腔内の部分が存在する。口内領域MAの各部分の中でも歯の部分にかかる画像は他の部分の画像よりも輝度が高いと考えられ、そのような歯の部分に対応する画素の輝度値は、概ね輝度分布における高階調域に集中して現れると言える。一方、歯以外の舌や歯茎やその他口腔内の部分に対応する画素の輝度値は、概ね上記極小点N1を与える輝度値Y1以下の階調域に現れると言える。そこで補正対象特定部23は、口内領域MAに属する画素のうち、輝度分布における輝度値Y1から輝度分布の最大輝度値Ymaxまでの範囲に輝度値が属する画素を、補正対象として特定する。このように特定された画素はほぼ、口内領域MAにおける歯の部分の画像を構成する画素であると言える。
S320では、補正量決定部24は、S310で特定した画素の明るさを補正するための補正規則としてのトーンカーブCを取得する。補正量決定部24は、例えば、内部メモリ12に予め保存されたトーンカーブCを内部メモリ12から取得する。むろん、トーンカーブCについては、操作部14を介して受付けたユーザの操作に基づいて、そのカーブ形状を変更することも可能である。
図10は、トーンカーブCを例示している。トーンカーブCは、横軸を入力値、縦軸を出力値とした、上側に凸の曲線である。トーンカーブCでは、入力値が、輝度値が取りうる最大値(例えば255)であるときに、出力値として最大値(255)を出力するが、入力値が最大値未満の領域においては飽和しない(最大値を出力しない)形状となっている。図8では、入力=出力の関係を破線により併せて示している。
S330では、補正実行部25が、上記取得されたトーンカーブCを用いて、上記S310で特定された画素毎の明るさを補正する(上昇させる)。この場合、補正実行部25は、各画素のRGB値を、輝度値を一要素とする上記所定の色空間のデータに変換し、変換後の輝度値をトーンカーブCに入力して補正し、補正後の輝度値を含む当該色空間におけるデータを再びRGB値に変換するとしてもよい。あるいは、補正実行部25は、各画素のRGB値をそれぞれトーンカーブCに入力して補正することにより各画素の輝度を上げてもよい。
ただし、明るさ補正の手法はトーンカーブCを用いた補正手法に限られない。補正量決定部24は、S320において、トーンカーブCを取得する替わりに、上記特定された画素に対する補正量を上記輝度分布に基づいて決定するとしてもよい。ここで言う補正量とは、上記輝度分布から得られる統計値である。例えば、補正量決定部24は、上記輝度分布の標準偏差σを算出する。標準偏差σは、分散の平方根である。補正量決定23は、この標準偏差σを補正量とする。標準偏差σが補正量として決定された場合、S330では、補正実行部25は、S310で特定された各画素の明るさを補正量(標準偏差σ)に基づいて補正する。補正実行部25は、例えば、輝度値の算出に用いられる上記重み付けが示すRGBの比率に応じて当該補正量を画素のRGB値に分配し、RGB値に加算する。あるいは、補正実行部25は、画素のRGB値それぞれに単純に上記補正量を加算してもよい。あるいは、補正実行部25は、画素のRGB値を、上記所定の色空間のデータに変換し、変換後の輝度値に上記補正量を加算し、補正量加算後の輝度値を含む当該色空間におけるデータを再びRGB値に変換するとしてもよい。
S500(図2)では、印刷処理部32が、プリンタエンジン16を制御して、対象画像の印刷を行う。すなわち印刷処理部32は、補正処理後の画像データ14a(補正処理が実行されていない場合には、S110(図3)で取得された画像データ14a)に、解像度変換処理や色変換処理やハーフトーン処理など必要な各処理を施して印刷データを生成する。生成された印刷データは、印刷処理部32からプリンタエンジン16に供給され、プリンタエンジン16は印刷データに基づいた印刷を実行する。これにより、補正処理後の対象画像の印刷が完了する。
このように本実施形態によれば、プリンタ10は、対象画像から顔領域を検出し、顔領域から口領域を検出し、口領域にかかる画像データにおいて唇の内側の輪郭に略対応する内輪郭点IPを複数特定し、内輪郭点IP(および口角点EP(l),EP(r))をスプライン補間等することにより口内領域MAを検出する。そして、口内領域MAに属する画素のうち、口内領域MAの輝度分布の形状から特定される輝度範囲(上記極小点N1を与える輝度値Y1〜最大輝度値Ymaxの範囲)に輝度値が属する画素のみを補正対象とする。従って、対象画像中の顔における口内領域の歯に対応する部分の画素が極めて高精度に補正対象として特定される。そしてプリンタ10は、補正対象とした画素の明るさが上昇するように画像データの補正を行なう。この結果、ユーザが印刷指示を行なった対象画像中の顔における口内領域の歯に対応する部分だけが明るくなるように自動的に補正され、歯の明るさが増した見栄えの良好な顔を含む画像が自動的に得られる。
本実施形態では、口領域の画素のうち明るい画素の画像上での連続性を調べ、一定面積以上に連続している明るい画素の集まり(画素群)を歯の部分と認定し、認定した画素群の輝度を上昇させる、というような処理を実行しないため、そのような処理を実行した場合に生じ得る、口内領域MA内で間が離れて存在している上の歯と下の歯との一方のみの輝度が補正されてしまう、といった不都合も生じない。
本実施形態では、補正対象の画素の輝度を上記トーンカーブCを用いて補正する。つまり、補正後の輝度はあくまで補正前の輝度に応じて決まる。そのため、対象画像における歯の部分が補正前の画像の明るさにかかわらず常に真っ白に補正されてしまう、といったことが防止され、観察者にとって違和感の無い画像を得ることができる。また、補正対象の画素の輝度に対する補正量として、口内領域MAの輝度分布から得られるパラメータ(標準偏差σ)を採用することによっても、補正前の口内領域MAの明るさを基準とした適切な上げ幅にて歯の部分を補正することができ、同様に、歯の部分に対する過剰な明るさ補正が抑制され、観察者にとって違和感の無い画像を得ることができる。
また上述したように本実施形態では、顔領域の大きさに対する口内領域MAの大きさの比率がしきい値Th未満である場合には、明るさ補正の対象とする画素(歯に対応する画素)の特定処理自体を行なわず、明るさ補正処理をスキップして印刷処理を行なう。このように、明るさ補正の実行・不実行が分岐されるタイミングが従来技術と比較して早いため、明るさ補正を行わない場合における全体の処理量が従来よりも少なくて済む。
補正実行部25は、S330において画素の明るさを補正する場合に、画素の口内領域MA内における位置に応じて、補正の度合いを変更するとしてもよい。ここで言う口内領域MA内における位置とは、口内領域MAの境界線(内輪郭点IPを補間して生成された曲線。図7に示した口内領域MAを示す2点鎖線。)からの距離である。例えば、補正実行部25は、上記S310で特定された画素を、当該境界線からの近さに応じて複数のグループに分け、グループ毎に適用する補正の度合いを変える。トーンカーブによる補正を行う場合には、境界線から最も遠いグループに属する画素に対しては上記トーンカーブCを適用する。一方、その他のグループに属する画素に対しては上記トーンカーブCよりもカーブの盛り上がり度合いが少ないトーンカーブC1やトーンカーブC2(図10)を適用するものとし、かつ、境界線に近いグループほど、カーブの盛り上がりの度合いが少ないトーンカーブを適用する。このように口内領域MAの境界線からの距離に応じて補正の度合いを変更することで、当該境界周辺における輝度変化を豊かなものとすることができる。
口内領域MAの上記特定された画素の輝度を上記補正量(標準偏差σ)によって補正する場合でも、上記グループに応じて適用する補正量を変更することで、口内領域MAの境界周辺における輝度変化を豊かなものとすることができる。この場合、補正実行部25は、境界線から最も遠いグループに属する画素に対しては上記のように決定した補正量をそのまま適用し、その他のグループに属する画素に対しては上記のように決定した補正量よりも小さい値を適用するものとし、かつ、境界線に近いグループほど、適用する補正量を小さい値とする。
なお上記では、口内領域MAに属する画素のうち輝度分布の形状に基づいて特定した画素のみを明るさ補正の対象としているが、プリンタ10は、より単純に、口内領域MAに属する各画素に対して明るさ補正(例えば、トーンカーブCによる補正)を行うとしてもよい。本実施形態では、プリンタ10による処理を説明したが、上述した画像補正部20による処理(S100,S300の処理)は、PCやデジタルスチルカメラなど、プリンタ以外の各種ハードウェアにおいても行なうことが可能である。
画像処理装置としてのプリンタの概略構成を示すブロック図である。 プリンタが実行する処理を示すフローチャートである。 口内領域検出処理の詳細を示すフローチャートである。 顔検出の様子を示す図である。 顔画像データにおいて口領域を検出する様子を示す図である。 口領域において複数の輪郭検出線を設定した様子を示す図である。 口領域において検出された輪郭点および口内領域を示す図である。 明るさ補正処理の詳細を示すフローチャートである。 輝度分布を示す図である。 トーンカーブを示す図である。
符号の説明
10…プリンタ、11…CPU、12…内部メモリ、14a…画像データ、14b…顔テンプレート、14c…口テンプレート、16…プリンタエンジン、17…カードI/F、20…画像補正部、21…顔領域検出部、22…顔器官検出部、23…補正対象特定部、24…補正量決定部、25…補正実行部、172…カードスロット

Claims (8)

  1. 対象画像における顔の口内領域を検出する検出部と、
    上記検出された口内領域における輝度分布を検出し、当該検出した輝度分布の形状に基づき、口内領域に属する画素のうち補正対象とする画素を特定する補正対象特定部と、
    上記特定された補正対象の画素の明るさの補正を行う明るさ補正部とを備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 上記検出部は、上記顔における口の内側の輪郭の位置に略対応する複数の点を特定するとともに、当該特定した点を曲線にて補間して閉じた領域を生成し、当該生成した領域を上記口内領域とすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 上記補正対象特定部は、上記輝度分布における最大輝度値と当該最大輝度値に最も近い極小点を与える輝度値との間の輝度範囲に属する画素を補正対象として特定することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の画像処理装置。
  4. 上記明るさ補正部は、上記口内領域の輝度の標準偏差を算出し、当該標準偏差に基づいて明るさの補正を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
  5. 上記明るさ補正部は、トーンカーブを取得し、当該トーンカーブを用いて明るさの補正を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
  6. 上記検出部は、上記顔の領域を対象画像から検出し、当該顔の領域の大きさに対する上記口内領域の大きさの比が所定値以上であるか否か判定し、
    上記補正対象特定部は、上記検出部によって上記比が所定値以上であると判定された場合に、補正対象とする画素の特定を行なうことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
  7. 上記明るさ補正部は、各画素に対する補正の度合いを上記口内領域の境界からの距離に応じて変更することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の画像処理装置。
  8. 対象画像における顔の口内領域を検出する検出工程と、
    上記検出された口内領域における輝度分布を検出し、当該検出した輝度分布の形状に基づき、口内領域に属する画素のうち補正対象とする画素を特定する補正対象特定工程と、
    上記特定された補正対象の画素の明るさの補正を行う明るさ補正工程とを備えることを特徴とする画像処理方法。
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