JP2009228058A - 電子デバイス用基板及びその製造方法 - Google Patents
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【解決手段】被成膜面1aが(111)配向したシリコンからなる基材1と、Taからなるターゲットと、Ar及びN2からなるプロセスガスとを用いて反応性スパッタリングを行うと、基材1の前記被成膜面1a上に、少なくとも(100)配向した窒化タンタル膜が形成される。前記のことから(100)配向した窒化タンタル膜から構成された電子デバイス用の(111)配向した基板10を提案する。
【選択図】図1
Description
このようなバリアメタルに求められる条件として、抵抗値が低いこと、エレクトロ・ストレスマイグレーションなどが起きにくいこと、緻密な膜形成が可能で、配線材料とSi基板との反応に対するバリア効果を有することなどが挙げられる。
従来では、(111)配向したシリコン基板上に窒化タンタル膜を成膜することは困難であった。
本発明の請求項2に記載の電子デバイス用基板は、請求項1において、前記窒化タンタル膜は、(100)配向に起因したX線回折ピークを有することを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の電子デバイス用基板は、請求項2において、前記窒化タンタル膜は、さらに(200)配向に起因したX線回折ピークを有することを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、請求項4において、前記窒化タンタル膜を形成する際に、前記被成膜面と平行をなす方向から前記プロセスガスを導入することを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、請求項5において、前記Arからなるプロセスガスの流量を10sccmとした場合、前記N2からなるプロセスガスの流量を3sccm以上4sccm以下とすることを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、請求項5において、前記Arからなるプロセスガスの流量と、前記N2からなるプロセスガスの流量との合計を10sccmとした場合、前記N2からなるプロセスガスの流量比を25%以上40%以下とすることを特徴とする。
本発明の請求項9に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、請求項8において、前記窒化タンタル膜を形成する際に、前記被成膜面と平行をなす方向から前記プロセスガスを導入することを特徴とする。
本発明の請求項10に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、請求項9において、前記Arからなるプロセスガスの流量を10sccmとした場合、前記N2からなるプロセスガスの流量を1sccm以上2sccm以下とすることを特徴とする。
本発明の請求項11に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、請求項9において、前記Arからなるプロセスガスの流量と、前記N2からなるプロセスガスの流量との合計を10sccmとした場合、前記N2からなるプロセスガスの流量比を10%以上20%以下とすることを特徴とする。
図1は、本発明の電子デバイス用基板を模式的に示した断面図である。本発明の電子デバイス用基板10は、被成膜面1aが(111)配向したシリコンからなる基材1と、被成膜面1a上に配された窒化タンタル膜2とから概略構成されている。以下、詳細に説明する。
本発明の電子デバイス用基板10の製造方法は、高周波マグネトロンスパッタリング装置を用いた反応性スパッタリングにより、基材1の被成膜面にTaN膜が成膜される。
図2は、本発明の電子デバイス用基板10を作製する際に用いる高周波マグネトロンスパッタリング装置20を模式的に示した図である。
高周波マグネトロンスパッタリング装置20としては、従来公知のものを用いることができ、例えば図2に示すような、真空チャンバ21と、真空チャンバ21内の内部上方側にて基材1を所定の位置に配置する基材保持手段22と、真空チャンバ21の内部下方側にて前記基材保持手段21と対向して配された台座23と、台座23の基材保持手段22と対向する面に設けられたターゲット24と、真空チャンバ21内にプロセスガスを供給するガス供給部25と、真空チャンバ21の一面に配された排気手段26と、高周波電圧を供給する電源27とから概略構成されているものが挙げられる。
本発明においては、ガス供給部25の真空チャンバ21における開口部25bは、基材1の被成膜面1aと平行をなす方向からプロセスガスを導入するように配されていることが好ましい。
また、真空チャンバ21の一面で開口したガス供給部25の開口部25aから、基材1までの距離は20mm以上30mm以下が好ましい。ターゲット24はタンタルからなり、該タンタルの純度が99.99%以上のものを用いることが好ましい。
まず、基材保持手段22に、被成膜面1aが下方側を向くように基材1を設置する。
次に、真空チャンバ21内を所定の真空状態下とした後、ターゲット24と基材1との間にArガスとN2ガスとが所定の割合で混合されたプロセスガスを供給して、周波数が13.56MHzの高周波電圧を電源27によりターゲット24と基材1との間に印加する。すると、グロー放電によりプロセスガスがイオン化されてターゲット24の周辺にプラズマ放電が発生し、該プラズマ放電領域内に存在する陽イオンが静電場によりターゲット24の表面24aに衝突する。この際、ターゲット24の表面24aから離脱した原子又は分子が対向側の基材1に配された被成膜面1a上に蒸着されることによって、窒化タンタル膜2が形成される。この場合の高周波出力は、200W、300Wが実用的に好ましい。
なお、成膜に際して、真空チャンバ21の到達圧力は6×10−7Torr、動作圧力は2×10−2Torr、プリスパッタリングは5分以上15分以下、スパッタリングは20分以上40分以下で行うことが好ましい。
上記の製造方法において、Arガスの流量を例えば10sccmと一定にし、N2ガスの流量を3sccm以上5sccm以下とすることで(100)配向に起因したX線回折ピークを有した窒化タンタル膜2を基材1の被成膜面1aに作製することができる。
上記の製造方法において、Arガスの流量を10sccmと一定にし、N2ガスの流量を1.5sccm以上2.5sccm以下とすることで(100)配向に起因したX線回折ピークと(200)配向に起因したX線回折ピークとを有した窒化タンタル膜を基材1の被成膜面1aに作製することができる。
図2に示したような高周波マグネトロンスパッタリング装置を用いて、厚さ350±25μm、抵抗率1000〜6000Ω・cmのp型Si(111)基板上にArおよびN2雰囲気中で反応性スパッタリング法によりTaN薄膜を作製した。
この際、Arガスの純度は99.999%、N2ガスの純度は99.9999%、Ta金属ターゲットの純度は99.99%のものを用いた。高周波装置としては、ターゲット24と基材1との間の距離を42mm、周波数は13.56MHzとした。プリスパッタリング時間を10分、スパッタリング時間を30分、到達圧力を6×10−7Torr、動作圧力を2×10−2Torrとして、N2ガスとArガスの流量において、Arガスの流量を10sccmと一定にし、N2ガス流量を2sccmから5sccmまで変化させて成膜し、これを実施例1の電子デバイス用基板とした。
図4から、N2ガス流量を増加させていくと膜厚が減少していき、逆に抵抗値は増加していく結果が得られた。図4における膜厚と抵抗値とを表1に示す。
これらの原因は、N2ガス流量が増加するにつれて、TaN膜中でのN2の割合が多くなっていくためTaN膜の抵抗値が増加するからである。膜厚の低下は、合計ガス流量が増加したために気体分子が増え、TaとN2との反応を妨げるからと考えられる。そのために、N2ガスの流量を増やすだけではTaN膜を成膜するのに適さず、Arガスの流量を増やしてTaの量を増やす必要があることが示唆された。
実施例1の電子デバイス用基板において、N2ガスとArガスの流量を合計10sccmとし、N2ガス流量比N2/(Ar+N2)を10%から35%にそれぞれ変えて高周波出力200Wで成膜を行ったこと以外は実施例1と同様に作製し、これを実施例2の電子デバイス用基板とした。
図5より、N2ガス流量比が10%から40%まではTaN膜が成膜されていることが確認できる。しかし、N2ガス流量比が40%ではTaN膜のピークは観測されるが、ピーク強度は小さく、ブロードなスペクトルであり結晶性が悪くなっている。N2ガス流量比が10%から20%においてピーク強度が小さくなっているのは、TaN薄膜の表面状態が悪いためである。また、N2ガス流量比が10%から40%において、TaN(100)のピーク位置が左にシフトしていき、引っ張り歪が強くなっている。一方、TaN(200)のピーク位置は右にシフトしていき圧縮歪が強くなっていることが観測され、N2ガス流量比を増加させていくと内部歪が大きくなることが確認できた。
また、図3と図5の結果を比較すると、N2ガス流量比の近い値において同じようなピークスペクトルが得られていることから、N2ガス流量比に依存してピークが観測されることが明らかになった。
また図5において、ミラー指数の構造が異なるTaN(100)とTaN(200)の二つのピークは顕著に観測されたが、他のミラー指数のピークは非常に小さかった。さらに、XRDスペクトルの形状はSi(100)上に成長したものとは異なっていた。他の報告(Deok-Kim,et.al., Electrical and mechanical properties of tantalum nitride thin films deposited by reactive sputtering, Journal of crystal growth, 283(2005)404-408やS.M.kang,et.al., Control of electrical resistivity of TaN thin fils by reactive sputtering for embedded passive resistor, Thin Solid Films 6(2006)113-114(online published))では、N2ガス流量比を増加させていくとTa3N5膜が成膜されるが、本発明においてはTaNのみのピークしか得られていない。
図6より、N2ガス流量比が20%と30%のものでは、膜のラフネス値はそれぞれ5.925nmと3.069nmであった。このように、ラフネス値が大きいこと、およびXRDの観測結果からも、TaN膜が成膜されていることがわかる。
一方、N2ガス流量比が40%の際は、ラフネス値が0.617nmと非常に小さくなっておりSi基板の表面状態に近づいているため、TaN膜は成膜されにくいことが分かった。またN2ガス流量比が小さい方が、粒径サイズが大きいことが観測された。
実施例2の電子デバイス用基板において、N2ガス流量比を50%以上とした以外は実施例2の電子デバイス用基板と同様に作製し、これを比較例の電子デバイス用基板とした。表3に高周波出力200Wで成膜した際の成膜条件を示す。
図7より、N2ガス流量比が50%以上になるとSiのピークのみが観測され、TaN膜のピークは全く観測されなかった。そのために、TaN膜はほとんど成膜されていないと考えられる。N2ガス流量比が50%以上の条件では、成膜された膜に干渉縞が観察された。このように干渉縞が現れた場合では、TaN薄膜が成膜されにくいことがわかった。
N2ガス流量比が10%と15%の条件ではTaN膜の抵抗値が高くなっているが、N2ガス流量比が20%の条件ではTaN膜の密着性が良く、該TaN膜の抵抗値は低くなった。N2ガス流量比が25%以上の条件ではTaN膜中での構造の変化やN2の割合が増加するために抵抗値は高くなった。
また、膜厚が薄くなる理由は、Arの質量がN2より大きいために、Arガスの方がスパッタリングをするエネルギーが大きく、N2ガスよりTa原子を多く飛ばすことが出来るためである。そのため、Arガス流量が少なくなっていくとTa原子の量も減少して、N2との反応性が悪くなったと考えられる。
ゆえに、N2ガス流量比を増加させるほどTaN膜の抵抗値は上がり、成膜もされにくくなった。結果として、Ar流量を一定にした際と同様な結果が得られたので、反応性スパッタリング法によりスパッタリングを行う際は、Arの流量を増やすことで抵抗値を低くすることや、膜厚を厚くすることができる。
以上より、200WにおけるTaN膜の成膜条件ではN2ガス流量比を変化させることで、様々な抵抗値を持つTaN膜が成膜できることが明らかとなった。
実施例2の電子デバイス用基板において、高周波出力を300Wとし、N2ガス流量比を15%から30%とした以外は実施例2と同様に作製し、これを実施例3の電子デバイス用基板とした。表3に、高周波出力300Wにおける成膜条件を示す。また、図9にXRDスペクトルを示す。
N2ガス流量比が25%と30%の時ではTaN(100)の半値幅の狭い鋭いピークが検出され、結晶性の良いTaN(100)を成膜できたことが確認できた。高周波出力200Wから本実施例の高周波出力300Wに上げることで、N2ガス流量比が25%から30%の範囲でもTaN膜が厚く成膜された。
N2ガス流量比が20%以下でもTaN膜は厚くなるが、表面状態やTaN(100)とTaN(200)とのピーク強度は実施例2の200Wで成膜した際と大きな変化が無いことから反応性は良くならず、高周波出力に依存していないことが明らかとなった。
図10より、本実施例においても、実施例2の高周波出力200Wで成膜した際と同様の傾向を示し、膜厚が厚くなると抵抗値は減少したが、200Wで成膜した際と比べると、抵抗値は低くなった。これは、高周波出力を大きくすることでTaN薄膜の膜厚が厚くなり、抵抗値が低くなることを示唆している。
Claims (11)
- 被成膜面が(111)配向したシリコンからなる基材と、前記被成膜面上に配された窒化タンタル膜とから構成されることを特徴とする電子デバイス用基板。
- 前記窒化タンタル膜は、(100)配向に起因したX線回折ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス用基板。
- 前記窒化タンタル膜は、さらに(200)配向に起因したX線回折ピークを有することを特徴とする請求項2に記載の電子デバイス用基板。
- Taからなるターゲットと、Ar及びN2からなるプロセスガスとを用いて反応性スパッタリングを行い、被成膜面が(111)配向したシリコンからなる基材の前記被成膜面に、少なくとも(100)配向した窒化タンタル膜を形成することを特徴とする電子デバイス用基板の製造方法。
- 前記窒化タンタル膜を形成する際に、前記被成膜面と平行をなす方向から前記プロセスガスを導入することを特徴とする請求項4に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
- 前記Arからなるプロセスガスの流量を10sccmとした場合、前記N2からなるプロセスガスの流量を3sccm以上4sccm以下とすることを特徴とする請求項5に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
- 前記Arからなるプロセスガスの流量と、前記N2からなるプロセスガスの流量との合計を10sccmとした場合、前記N2からなるプロセスガスの流量比を25%以上40%以下とすることを特徴とする請求項5に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
- Taからなるターゲットと、Ar及びN2からなるプロセスガスとを用いて反応性スパッタリングを行い、被成膜面が(111)配向したシリコンからなる基材の前記被成膜面に、少なくとも(100)配向と(200)配向した窒化タンタル膜を形成することを特徴とする電子デバイス用基板の製造方法。
- 前記窒化タンタル膜を形成する際に、前記被成膜面と平行をなす方向から前記プロセスガスを導入することを特徴とする請求項8に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
- 前記Arからなるプロセスガスの流量を10sccmとした場合、前記N2からなるプロセスガスの流量を1sccm以上2sccm以下とすることを特徴とする請求項9に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
- 前記Arからなるプロセスガスの流量と、前記N2からなるプロセスガスの流量との合計を10sccmとした場合、前記N2からなるプロセスガスの流量比を10%以上20%以下とすることを特徴とする請求項9に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
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