JP2009228058A - 電子デバイス用基板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】配向した窒化タンタル膜が配された電子デバイス用基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】被成膜面1aが(111)配向したシリコンからなる基材1と、Taからなるターゲットと、Ar及びN2からなるプロセスガスとを用いて反応性スパッタリングを行うと、基材1の前記被成膜面1a上に、少なくとも(100)配向した窒化タンタル膜が形成される。前記のことから(100)配向した窒化タンタル膜から構成された電子デバイス用の(111)配向した基板10を提案する。
【選択図】図1

Description

本発明は電子デバイス用基板に係り、より詳しくは(111)配向したシリコンからなる基板の被成膜面に窒化タンタル膜を備えた電子デバイス用基板及びその製造方法に関する。
TaN膜は、きわめて安定で電気抵抗値の経時変化が少なく、また高融点であるなどの優れた性質をもっている。さらに、作製条件を変えることにより電気抵抗値を金属から絶縁物まで変化させることができることから、LSIにおける低抵抗のバリアメタルから高抵抗の薄膜抵抗器まで幅広く用いられている。
バリアメタルとは、近年のLSIの配線材料に用いられているCu配線中のCuがSiまたはSiOなどの絶縁物に拡散するのを防止するために、層間絶縁膜とCu配線との間にTaN、WN、TiNなどを成膜し配線の信頼性を向上するものである。
このようなバリアメタルに求められる条件として、抵抗値が低いこと、エレクトロ・ストレスマイグレーションなどが起きにくいこと、緻密な膜形成が可能で、配線材料とSi基板との反応に対するバリア効果を有することなどが挙げられる。
近年、LSI基板として低温プロセスで製作できる安価な多結晶Siが注目され、それらの面方位依存性が調べられている。
従来では、(111)配向したシリコン基板上に窒化タンタル膜を成膜することは困難であった。
特開平10−72289号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、被成膜面が(111)配向したシリコン基板上に窒化タンタル膜が配された電子デバイス用基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の電子デバイス用基板は、被成膜面が(111)配向したシリコンからなる基材と、前記被成膜面上に配された窒化タンタル膜とから構成されることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の電子デバイス用基板は、請求項1において、前記窒化タンタル膜は、(100)配向に起因したX線回折ピークを有することを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の電子デバイス用基板は、請求項2において、前記窒化タンタル膜は、さらに(200)配向に起因したX線回折ピークを有することを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、Taからなるターゲットと、Ar及びNからなるプロセスガスとを用いて反応性スパッタリングを行い、被成膜面が(111)配向したシリコンからなる基材の前記被成膜面に、少なくとも(100)配向した窒化タンタル膜を形成することを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、請求項4において、前記窒化タンタル膜を形成する際に、前記被成膜面と平行をなす方向から前記プロセスガスを導入することを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、請求項5において、前記Arからなるプロセスガスの流量を10sccmとした場合、前記Nからなるプロセスガスの流量を3sccm以上4sccm以下とすることを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、請求項5において、前記Arからなるプロセスガスの流量と、前記Nからなるプロセスガスの流量との合計を10sccmとした場合、前記Nからなるプロセスガスの流量比を25%以上40%以下とすることを特徴とする。
本発明の請求項8に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、Taからなるターゲットと、Ar及びNからなるプロセスガスとを用いて反応性スパッタリングを行い、被成膜面が(111)配向したシリコンからなる基材の前記被成膜面に、少なくとも(100)配向と(200)配向した窒化タンタル膜を形成することを特徴とする。
本発明の請求項9に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、請求項8において、前記窒化タンタル膜を形成する際に、前記被成膜面と平行をなす方向から前記プロセスガスを導入することを特徴とする。
本発明の請求項10に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、請求項9において、前記Arからなるプロセスガスの流量を10sccmとした場合、前記Nからなるプロセスガスの流量を1sccm以上2sccm以下とすることを特徴とする。
本発明の請求項11に記載の電子デバイス用基板の製造方法は、請求項9において、前記Arからなるプロセスガスの流量と、前記Nからなるプロセスガスの流量との合計を10sccmとした場合、前記Nからなるプロセスガスの流量比を10%以上20%以下とすることを特徴とする。
本発明によれば、従来では報告のなかった被成膜面が(111)配向したシリコンからなる基板上に窒化タンタル膜を備えた電子デバイス用基板を提供することが可能となる。
以下、本発明を、図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
図1は、本発明の電子デバイス用基板を模式的に示した断面図である。本発明の電子デバイス用基板10は、被成膜面1aが(111)配向したシリコンからなる基材1と、被成膜面1a上に配された窒化タンタル膜2とから概略構成されている。以下、詳細に説明する。
基材1は、p型Si(111)基板であり、その厚さは例えば325μm以上375μm以下である。また、基材1の電気抵抗値は、例えば1000Ω・cm以上6000Ω・cm以下である。
窒化タンタル膜2は、被成膜面1aが(111)配向した基材1上に配された薄膜であり、TaNからなる。窒化タンタル膜の厚さや電気抵抗値は、窒化タンタル膜の成膜条件により調節することができ、その厚さの範囲は0.1μm以上2.0μm以下、電気抵抗値は1.0×10−4Ω・cm以上1.9Ω・cm以下という広範囲な電気抵抗値を有することができる。
以下に、本発明の電子デバイス用基板の製造方法を説明する。
本発明の電子デバイス用基板10の製造方法は、高周波マグネトロンスパッタリング装置を用いた反応性スパッタリングにより、基材1の被成膜面にTaN膜が成膜される。
図2は、本発明の電子デバイス用基板10を作製する際に用いる高周波マグネトロンスパッタリング装置20を模式的に示した図である。
高周波マグネトロンスパッタリング装置20としては、従来公知のものを用いることができ、例えば図2に示すような、真空チャンバ21と、真空チャンバ21内の内部上方側にて基材1を所定の位置に配置する基材保持手段22と、真空チャンバ21の内部下方側にて前記基材保持手段21と対向して配された台座23と、台座23の基材保持手段22と対向する面に設けられたターゲット24と、真空チャンバ21内にプロセスガスを供給するガス供給部25と、真空チャンバ21の一面に配された排気手段26と、高周波電圧を供給する電源27とから概略構成されているものが挙げられる。
本発明においては、ガス供給部25の真空チャンバ21における開口部25bは、基材1の被成膜面1aと平行をなす方向からプロセスガスを導入するように配されていることが好ましい。
本発明に使用する製造装置の各構成部材の形態は、装置の容量等によって適宜選択されるが、図2に示す内径を20cmとし、高さを16cmとした装置において、ターゲット24と基材1との間の距離は、好ましくは30mm以上50mm以下であり、より好ましくは42mmである。
また、真空チャンバ21の一面で開口したガス供給部25の開口部25aから、基材1までの距離は20mm以上30mm以下が好ましい。ターゲット24はタンタルからなり、該タンタルの純度が99.99%以上のものを用いることが好ましい。
スパッタリングを行うプロセスガスとしては、Arの不活性ガスにNの反応性ガスを混合した混合ガスで行う。Arガスとしては、純度が99.999%以上のものを、Nガスとしては、純度が99.9999%以上のものを用いることが好ましい。
次に、図2に示した装置による電子デバイス用基板10の製造方法を説明する。
まず、基材保持手段22に、被成膜面1aが下方側を向くように基材1を設置する。
次に、真空チャンバ21内を所定の真空状態下とした後、ターゲット24と基材1との間にArガスとNガスとが所定の割合で混合されたプロセスガスを供給して、周波数が13.56MHzの高周波電圧を電源27によりターゲット24と基材1との間に印加する。すると、グロー放電によりプロセスガスがイオン化されてターゲット24の周辺にプラズマ放電が発生し、該プラズマ放電領域内に存在する陽イオンが静電場によりターゲット24の表面24aに衝突する。この際、ターゲット24の表面24aから離脱した原子又は分子が対向側の基材1に配された被成膜面1a上に蒸着されることによって、窒化タンタル膜2が形成される。この場合の高周波出力は、200W、300Wが実用的に好ましい。
なお、成膜に際して、真空チャンバ21の到達圧力は6×10−7Torr、動作圧力は2×10−2Torr、プリスパッタリングは5分以上15分以下、スパッタリングは20分以上40分以下で行うことが好ましい。
<(100)配向に起因したX線回折ピークを有した窒化タンタル膜>
上記の製造方法において、Arガスの流量を例えば10sccmと一定にし、Nガスの流量を3sccm以上5sccm以下とすることで(100)配向に起因したX線回折ピークを有した窒化タンタル膜2を基材1の被成膜面1aに作製することができる。
この製造方法で得られた電子デバイス用基板において、窒化タンタル膜2の厚さは0.6μm以上1.1μm以下である。また抵抗値は5.2×10−3Ω・cm以上1.5Ω・cm以下と広範囲な抵抗値を有した窒化タンタル膜2を備えた電子デバイス用基板を得ることができる。
また、NガスとArガスの流量を合計10sccmとし、高周波出力200Wで印加した際、Nガスの流量比N/(Ar+N)が25%以上40%以下とすることで、(100)配向に起因したX線回折ピークを有した窒化タンタル膜を基材1の被成膜面1aに作製することができる。Nガスの流量比を25%以上35%以下とすることで、結晶性にも優れた窒化タンタル膜を得ることができる。
この製造方法で得られた電子デバイス用基板において、窒化タンタル膜2の厚さは0.5μm以上1.1μm以下である。また抵抗値は1.1×10−2Ω・cm以上1.2×10−2Ω・cm以下と比較的均一なものが作製できるため、ばらつきの少ない抵抗値を有した窒化タンタル膜2を備えた電子デバイス用基板を得ることができる。
また、NガスとArガスの流量を合計10sccmとし、高周波出力300Wで印加した際、Nガスの流量比N/(Ar+N)が25%以上30%以下とすることで、(100)配向に起因したX線回折ピークを有した窒化タンタル膜を基材1の被成膜面1aに作製することができる。
この製造方法で得られた電子デバイス用基板において、窒化タンタル膜2の厚さは1.3μm以上1.4μm以下であり、比較的均一な膜厚の窒化タンタル膜2を備えた電子デバイス用基板を得ることができる。また抵抗値は1.0×10−2Ω・cm以上1.2×10−2Ω・cm以下と比較的均一なものが作製できるため、ばらつきの少ない抵抗値を有した窒化タンタル膜2を備えた電子デバイス用基板を得ることができる。
<(100)配向と(200)配向とに起因したX線回折ピークを有した窒化タンタル膜>
上記の製造方法において、Arガスの流量を10sccmと一定にし、Nガスの流量を1.5sccm以上2.5sccm以下とすることで(100)配向に起因したX線回折ピークと(200)配向に起因したX線回折ピークとを有した窒化タンタル膜を基材1の被成膜面1aに作製することができる。
この製造方法で得られた電子デバイス用基板において、窒化タンタル膜2の厚さは1.2μm以上1.4μm以下である。また抵抗値は0.8×10−3Ω・cm以上1.5×10−3Ω・cm以下と抵抗値の低い窒化タンタル膜2を備えた電子デバイス用基板を得ることができる。
また、NガスとArガスの流量を合計10sccmとし、高周波出力200Wで印加した際、Nガスの流量比N/(Ar+N)が10%以上20%以下とすることで、(100)配向に起因したX線回折ピークと(200)配向に起因したX線回折ピークとを有した窒化タンタル膜を基材1の被成膜面1aに作製することができる。
この製造方法で得られた電子デバイス用基板において、窒化タンタル膜2の厚さは1.1μm以上1.4μm以下である。また抵抗値は1.8×10−4Ω・cm以上1.0×10−3Ω・cm以下と抵抗値の低い窒化タンタル膜2を備えた電子デバイス用基板を得ることができる。
また、NガスとArガスの流量を合計10sccmとし、高周波出力300Wで印加した際、Nガスの流量比N/(Ar+N)が15%以上20%以下とすることで、(100)配向に起因したX線回折ピークと(200)配向に起因したX線回折ピークとを有した窒化タンタル膜を基材1の被成膜面1aに作製することができる。
この製造方法で得られた電子デバイス用基板において、窒化タンタル膜2の厚さは1.9μm以上2.0μm以下であり、薄い膜厚の窒化タンタル膜2を備えた電子デバイス用基板を得ることができる。また抵抗値は3.7×10−4Ω・cm以上2.0×10−3Ω・cm以下と抵抗値の低い窒化タンタル膜2を備えた電子デバイス用基板を得ることができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法によれば、(100)配向に起因したX線回折ピークを有した窒化タンタル膜2あるいは(100)配向に起因したX線回折ピークと(200)配向に起因したX線回折ピークを基材1上に作り分けられることに加え、成膜条件を様々に変化させることで1.0×10−3Ω・cmから1.5Ω・cmの広範囲で電気抵抗値を調節することが可能となる。したがって、適用する電子デバイスに応じて所望の電気抵抗値を有した窒化タンタル膜を成膜することが可能となる。
<実施例1>
図2に示したような高周波マグネトロンスパッタリング装置を用いて、厚さ350±25μm、抵抗率1000〜6000Ω・cmのp型Si(111)基板上にArおよびN雰囲気中で反応性スパッタリング法によりTaN薄膜を作製した。
この際、Arガスの純度は99.999%、Nガスの純度は99.9999%、Ta金属ターゲットの純度は99.99%のものを用いた。高周波装置としては、ターゲット24と基材1との間の距離を42mm、周波数は13.56MHzとした。プリスパッタリング時間を10分、スパッタリング時間を30分、到達圧力を6×10−7Torr、動作圧力を2×10−2Torrとして、NガスとArガスの流量において、Arガスの流量を10sccmと一定にし、Nガス流量を2sccmから5sccmまで変化させて成膜し、これを実施例1の電子デバイス用基板とした。
実施例1の電子デバイス用基板を、触針式表面形状測定器(Dektak)を用いて膜厚を測定し、X線回折分析法(XRD)を用いて結晶評価を行った。また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて実施例1の電子デバイス用基板の表面状態の観察を行い、四端子測定法(van der pauw法)によりTaN膜の電気抵抗値をそれぞれ測定して、Nガス依存による結晶構造の変化および膜厚、電気抵抗値を調べた。図3〜図4に、その結果を示す。
図3は、実施例1の電子デバイス用基板における窒化タンタル膜のXRDスペクトルである。なお、Nガス流量をNガス流量比で表すと、2sccmは16.7%、3sccmは23.1%、4sccmは28.6%、5sccmは33.3%である。Nガス流量が2sccm(16.7%)から5sccm(33.3%)の場合、どの条件下でもTaN(100)のピークが観察されるが、3sccm(23.1%)の時が最もピークが強く観察され、その後はNガスの流量が増加していくにつれてピーク強度が次第に小さくなっていくことが観察された。また、Nガスの流量が2sccm(16.7%)においてのみTaN(200)のピークが観測された。また、Nガスの流量が3sccm(23.1%)以上ではTaN(200)のピークはなくなってTaN(100)のピークのみとなった。さらにNガス流量を増加させていくと、TaN(100)のピークがブロードとなっていき、結晶性が悪くなっていった。ゆえに、反応性スパッタリング法での成膜は、Nガス流量が増加するにつれて、Si基板上でのTaとNの反応性が悪くなっていくと考えられる。したがって、TaN(100)とTaN(200)とが共存するためには、Arガス流量を10sccmとした場合、Nガス流量は、1.5〜2.5sccmとすることが好ましい。
次に、実施例1における電子デバイス用基板において、窒化タンタル膜の膜厚と抵抗値との関係を図4に示す。
図4から、Nガス流量を増加させていくと膜厚が減少していき、逆に抵抗値は増加していく結果が得られた。図4における膜厚と抵抗値とを表1に示す。
Figure 2009228058
表1より、Nガス流量が2sccm(23.1%)と5sccm(33.3%)とを比較すると、膜厚は1.3μmから0.6μmに変化しており、5sccmの条件では膜厚は半分以下となっている。また、Nガス流量が3sccmから5sccmにかけてTaN膜の抵抗値が5.2×10−3Ω・cmから1.5Ω・cmに増大している。
これらの原因は、Nガス流量が増加するにつれて、TaN膜中でのNの割合が多くなっていくためTaN膜の抵抗値が増加するからである。膜厚の低下は、合計ガス流量が増加したために気体分子が増え、TaとNとの反応を妨げるからと考えられる。そのために、Nガスの流量を増やすだけではTaN膜を成膜するのに適さず、Arガスの流量を増やしてTaの量を増やす必要があることが示唆された。
<実施例2>
実施例1の電子デバイス用基板において、NガスとArガスの流量を合計10sccmとし、Nガス流量比N/(Ar+N)を10%から35%にそれぞれ変えて高周波出力200Wで成膜を行ったこと以外は実施例1と同様に作製し、これを実施例2の電子デバイス用基板とした。
表2に、高周波出力200Wで成膜した際の成膜条件を示す。
Figure 2009228058
高周波出力200Wで成膜を行った際に、XRDの結果からNガス流量比が10%〜40%において、TaN薄膜が成膜されていることが確認できた。
図5に、実施例2におけるNガス流量比を10%から40%までとした際の窒化タンタル膜のXRDスペクトルを示す。
図5より、Nガス流量比が10%から40%まではTaN膜が成膜されていることが確認できる。しかし、Nガス流量比が40%ではTaN膜のピークは観測されるが、ピーク強度は小さく、ブロードなスペクトルであり結晶性が悪くなっている。Nガス流量比が10%から20%においてピーク強度が小さくなっているのは、TaN薄膜の表面状態が悪いためである。また、Nガス流量比が10%から40%において、TaN(100)のピーク位置が左にシフトしていき、引っ張り歪が強くなっている。一方、TaN(200)のピーク位置は右にシフトしていき圧縮歪が強くなっていることが観測され、Nガス流量比を増加させていくと内部歪が大きくなることが確認できた。
また、図3と図5の結果を比較すると、Nガス流量比の近い値において同じようなピークスペクトルが得られていることから、Nガス流量比に依存してピークが観測されることが明らかになった。
また図5において、ミラー指数の構造が異なるTaN(100)とTaN(200)の二つのピークは顕著に観測されたが、他のミラー指数のピークは非常に小さかった。さらに、XRDスペクトルの形状はSi(100)上に成長したものとは異なっていた。他の報告(Deok-Kim,et.al., Electrical and mechanical properties of tantalum nitride thin films deposited by reactive sputtering, Journal of crystal growth, 283(2005)404-408やS.M.kang,et.al., Control of electrical resistivity of TaN thin fils by reactive sputtering for embedded passive resistor, Thin Solid Films 6(2006)113-114(online published))では、Nガス流量比を増加させていくとTa膜が成膜されるが、本発明においてはTaNのみのピークしか得られていない。
図6に、本実施例におけるNガス流量比を20,30,40%として得られた電子デバイス用基板における窒化タンタル膜のAFM像を示す。図6において、(a)はNガス流量比が20%のもの、(b)はNガス流量比が30%のもの、(c)はNガス流量比が40%のものである。
図6より、Nガス流量比が20%と30%のものでは、膜のラフネス値はそれぞれ5.925nmと3.069nmであった。このように、ラフネス値が大きいこと、およびXRDの観測結果からも、TaN膜が成膜されていることがわかる。
一方、Nガス流量比が40%の際は、ラフネス値が0.617nmと非常に小さくなっておりSi基板の表面状態に近づいているため、TaN膜は成膜されにくいことが分かった。またNガス流量比が小さい方が、粒径サイズが大きいことが観測された。
<比較例>
実施例2の電子デバイス用基板において、Nガス流量比を50%以上とした以外は実施例2の電子デバイス用基板と同様に作製し、これを比較例の電子デバイス用基板とした。表3に高周波出力200Wで成膜した際の成膜条件を示す。
Figure 2009228058
表3に示す条件において、Nガス流量比が50%以上のものでは緑色と赤色の混ざった干渉膜が観測され、膜が薄くなっていることがわかった。さらに、Nガス流量比が100%に近くなるにつれてプラズマの安定性が悪くなっていくことが確認された。以上より、Nガスのみでの反応性スパッタリングではプラズマ状態が安定しないため、成膜プロセスにおいてはArの存在が重要であることが示された。
図7に、比較例における窒化タンタル膜のXRDスペクトルを示す。
図7より、Nガス流量比が50%以上になるとSiのピークのみが観測され、TaN膜のピークは全く観測されなかった。そのために、TaN膜はほとんど成膜されていないと考えられる。Nガス流量比が50%以上の条件では、成膜された膜に干渉縞が観察された。このように干渉縞が現れた場合では、TaN薄膜が成膜されにくいことがわかった。
また実施例1において、Nガス流量を2,3,4,5sccmとしてそれぞれ作製した電子デバイス用基板と、実施例2と比較例とにおいてNガス流量比を20(2sccm),30(3sccm),40(4sccm),50%(5sccm)としてそれぞれ作製した電子デバイス用基板とを比較すると、Nガス流量が同じ条件であっても、XRDスペクトルの違いから反応性スパッタリング法で成膜するにはArガスの流量とNガス流量比が重要であることが明らかとなった。
図8に、実施例2と比較例とにおける膜厚と抵抗値との関係を示す。
ガス流量比が10%と15%の条件ではTaN膜の抵抗値が高くなっているが、Nガス流量比が20%の条件ではTaN膜の密着性が良く、該TaN膜の抵抗値は低くなった。Nガス流量比が25%以上の条件ではTaN膜中での構造の変化やNの割合が増加するために抵抗値は高くなった。
また、膜厚が薄くなる理由は、Arの質量がNより大きいために、Arガスの方がスパッタリングをするエネルギーが大きく、NガスよりTa原子を多く飛ばすことが出来るためである。そのため、Arガス流量が少なくなっていくとTa原子の量も減少して、Nとの反応性が悪くなったと考えられる。
ゆえに、Nガス流量比を増加させるほどTaN膜の抵抗値は上がり、成膜もされにくくなった。結果として、Ar流量を一定にした際と同様な結果が得られたので、反応性スパッタリング法によりスパッタリングを行う際は、Arの流量を増やすことで抵抗値を低くすることや、膜厚を厚くすることができる。
以上より、200WにおけるTaN膜の成膜条件ではNガス流量比を変化させることで、様々な抵抗値を持つTaN膜が成膜できることが明らかとなった。
<実施例3>
実施例2の電子デバイス用基板において、高周波出力を300Wとし、Nガス流量比を15%から30%とした以外は実施例2と同様に作製し、これを実施例3の電子デバイス用基板とした。表3に、高周波出力300Wにおける成膜条件を示す。また、図9にXRDスペクトルを示す。
Figure 2009228058
図9より、高周波出力300Wの際も、実施例2の高周波出力200Wの際と同様に、Nガス流量比が増加するにしたがいTaN(100)のピーク位置が左にシフトしていき、TaN(200)のピーク位置は右にシフトしていくことが観測された。
ガス流量比が25%と30%の時ではTaN(100)の半値幅の狭い鋭いピークが検出され、結晶性の良いTaN(100)を成膜できたことが確認できた。高周波出力200Wから本実施例の高周波出力300Wに上げることで、Nガス流量比が25%から30%の範囲でもTaN膜が厚く成膜された。
ガス流量比が20%以下でもTaN膜は厚くなるが、表面状態やTaN(100)とTaN(200)とのピーク強度は実施例2の200Wで成膜した際と大きな変化が無いことから反応性は良くならず、高周波出力に依存していないことが明らかとなった。
図10に、本実施例における窒化タンタル膜の膜厚と抵抗値との関係を示す。
図10より、本実施例においても、実施例2の高周波出力200Wで成膜した際と同様の傾向を示し、膜厚が厚くなると抵抗値は減少したが、200Wで成膜した際と比べると、抵抗値は低くなった。これは、高周波出力を大きくすることでTaN薄膜の膜厚が厚くなり、抵抗値が低くなることを示唆している。
以上より、窒化タンタル膜の成膜条件を様々に変化させることで、(100)配向に起因したX線回折ピークを有した窒化タンタル膜2あるいは(100)配向に起因したX線回折ピークと(200)配向に起因したX線回折ピークを基材1上に作り分けられることに加え、1.0×10−3Ω・cmから1.9Ω・cmの広範囲で電気抵抗値を調節することが可能となることが確認された。
本発明は、LSIや超LSIに適用することができる。
本発明の電子デバイス用基板を模式的に示した断面図である。 本発明の製造装置を模式的に示した図である。 実施例1における窒化タンタル膜のXRDスペクトルを示した図である。 実施例1におけるNガス流量比と窒化タンタル膜の膜厚と抵抗値との相関を示した図である。 実施例2における窒化タンタル膜のXRDスペクトルを示した図である。 実施例2における窒化タンタル膜のAFM像を示した図である。 比較例における窒化タンタル膜のXRDスペクトルを示した図である。 実施例2と比較例におけるNガス流量比と窒化タンタル膜の膜厚と抵抗値との相関を示した図である。 実施例3における窒化タンタル膜のXRDスペクトルを示した図である。 実施例3におけるNガス流量比と窒化タンタル膜の膜厚と抵抗値との相関を示した図である。
符号の説明
1 基材、1a 基材の被成膜面、2 窒化タンタル膜、10 電子デバイス用基板、20 高周波マグネトロンスパッタリング装置、21 真空チャンバ、22 基材保持手段、23 台座、24 ターゲット、25 ガス供給手段、26 排気手段、27 電源。

Claims (11)

  1. 被成膜面が(111)配向したシリコンからなる基材と、前記被成膜面上に配された窒化タンタル膜とから構成されることを特徴とする電子デバイス用基板。
  2. 前記窒化タンタル膜は、(100)配向に起因したX線回折ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス用基板。
  3. 前記窒化タンタル膜は、さらに(200)配向に起因したX線回折ピークを有することを特徴とする請求項2に記載の電子デバイス用基板。
  4. Taからなるターゲットと、Ar及びNからなるプロセスガスとを用いて反応性スパッタリングを行い、被成膜面が(111)配向したシリコンからなる基材の前記被成膜面に、少なくとも(100)配向した窒化タンタル膜を形成することを特徴とする電子デバイス用基板の製造方法。
  5. 前記窒化タンタル膜を形成する際に、前記被成膜面と平行をなす方向から前記プロセスガスを導入することを特徴とする請求項4に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
  6. 前記Arからなるプロセスガスの流量を10sccmとした場合、前記Nからなるプロセスガスの流量を3sccm以上4sccm以下とすることを特徴とする請求項5に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
  7. 前記Arからなるプロセスガスの流量と、前記Nからなるプロセスガスの流量との合計を10sccmとした場合、前記Nからなるプロセスガスの流量比を25%以上40%以下とすることを特徴とする請求項5に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
  8. Taからなるターゲットと、Ar及びNからなるプロセスガスとを用いて反応性スパッタリングを行い、被成膜面が(111)配向したシリコンからなる基材の前記被成膜面に、少なくとも(100)配向と(200)配向した窒化タンタル膜を形成することを特徴とする電子デバイス用基板の製造方法。
  9. 前記窒化タンタル膜を形成する際に、前記被成膜面と平行をなす方向から前記プロセスガスを導入することを特徴とする請求項8に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
  10. 前記Arからなるプロセスガスの流量を10sccmとした場合、前記Nからなるプロセスガスの流量を1sccm以上2sccm以下とすることを特徴とする請求項9に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
  11. 前記Arからなるプロセスガスの流量と、前記Nからなるプロセスガスの流量との合計を10sccmとした場合、前記Nからなるプロセスガスの流量比を10%以上20%以下とすることを特徴とする請求項9に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
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