JP2009226709A - ラインヘッドおよび画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】一の結像光学系に対して複数の発光素子が配された構成においても、良好な潜像形成を実行可能とする技術を提供する。
【解決手段】複数の発光素子を有する基板と、複数の発光素子に対して配されて発光素子からの光を結像する結像光学系とを備え、複数の発光素子は、2個以上の発光素子を第1方向の互いに異なる位置に配した発光素子行を構成するようにして設けられており、発光素子行では、少なくとも2個の発光素子が第1方向に直交もしくは略直交する第2方向において互いに異なる位置に配されている。
【選択図】図18
【解決手段】複数の発光素子を有する基板と、複数の発光素子に対して配されて発光素子からの光を結像する結像光学系とを備え、複数の発光素子は、2個以上の発光素子を第1方向の互いに異なる位置に配した発光素子行を構成するようにして設けられており、発光素子行では、少なくとも2個の発光素子が第1方向に直交もしくは略直交する第2方向において互いに異なる位置に配されている。
【選択図】図18
Description
この発明は、複数の発光素子からの光を結像するラインヘッドおよび該ラインヘッドを用いた画像形成装置に関するものである。
このようなラインヘッドとしては、例えば特許文献1に記載されているように、複数の光学レンズ系(結像光学系)を並べて配置したものが知られている。各光学レンズ系に対しては、複数の発光ドット(発光素子)がグループ化されて対向配置されている。これら複数の発光ドットは所定方向(第1方向)に並べて配置されており、各発光ドットから射出された光ビームが光学レンズ系により結像されると、所定方向(第1方向)に並んで複数のスポットが形成される。そして、このスポットにより露光された部分に潜像が形成される。
ところで、上述のラインヘッドでは、複数の発光素子が第1方向に並んだ、いわば発光素子行が一の結像光学系に対して配されており、発光素子行を構成する各発光素子の間で結像光学系との位置関係が異なっている。したがって、結像光学系に歪曲収差が存在すると、本来第1方向に並んで形成されるべき複数のスポットが、第1方向に並んで形成されず、各スポットの位置が第2方向にばらついてしまう場合があった。ここで、第2方向は、第1方向に直交もしくは略直交する方向である。この結果、良好な潜像形成が実行できない場合があった。
また、上述のラインヘッドでは、複数の発光素子行を第2方向に並べて用いることができる。しかしながら、この場合、上記問題以外に、次のような問題が発生する場合があった。つまり、発光素子は駆動発光されることで発熱する。したがって、2つの発光素子行で挟まれた領域には熱が溜まりやすく、発光素子の熱劣化が加速してしまう傾向があった。特に、かかる傾向は、発光素子行の端よりも中央で顕著となる。よって、各発光素子間で熱劣化の程度に差が生じてしまい、良好な潜像形成が実行できない場合があった。
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、一の結像光学系に対して複数の発光素子が配された構成においても、良好な潜像形成を実行可能とする技術の提供を目的とする。
この発明にかかるラインヘッドは、上記目的を達成するために、複数の発光素子を有する基板と、複数の発光素子に対して配されて発光素子からの光を結像する結像光学系とを備え、複数の発光素子は、2個以上の発光素子を第1方向の互いに異なる位置に配した発光素子行を構成するようにして設けられており、発光素子行では、少なくとも2個の発光素子が第1方向に直交もしくは略直交する第2方向において互いに異なる位置に配されていることを特徴としている。
また、この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、複数の発光素子を有する基板と、複数の発光素子に対して配されて発光素子からの光を結像する結像光学系とを有するラインヘッドと、潜像担持体とを備え、ラインヘッドは、発光素子からの光を結像光学系により結像して、潜像担持体の表面を露光し、複数の発光素子は、2個以上の発光素子を第1方向の互いに異なる位置に配した発光素子行を構成するようにして設けられており、発光素子行では、少なくとも2個の発光素子が第1方向に直交もしくは略直交する第2方向において互いに異なる位置に配されていることを特徴としている。
このように構成された発明(ラインヘッド、画像形成装置)の発光素子行では、少なくとも2個の発光素子が第1方向に直交もしくは略直交する第2方向において互いに異なる位置に配されている。したがって、上述した結像光学系の歪曲収差に起因する問題や、発光素子の発熱に起因する問題の影響を軽減することができ、良好な潜像形成が実行可能となっている。
また、結像光学系は歪曲収差を有しており、少なくとも2個の発光素子は、歪曲収差に応じて第2方向において互いに異なる位置に配されているように構成しても良い。このように構成することで、結像光学系の歪曲収差に起因する問題を効率的に抑制することができ、良好な潜像形成が実行可能となる。
つまり、結像光学系は、当該結像光学系の光軸から第1方向に離れた発光素子の光ほど、第2方向に関して大きな絶対値の光学倍率で結像する第1収差を歪曲収差として有しており、少なくとも2個の発光素子では、光軸から第1方向に離れた発光素子ほど、光軸を通り第1方向に平行である第1直線に対する第2方向における距離が短いように構成しても良い。あるいは、結像光学系は、当該結像光学系の光軸から第1方向に離れた発光素子の光ほど、第2方向に関して小さな絶対値の光学倍率で結像する第2収差を歪曲収差として有しており、少なくとも2個の発光素子では、光軸から第1方向に離れた発光素子ほど、光軸を通り第1方向に平行である第1直線に対する第2方向における距離が長いように構成しても良い。このように構成することで、結像光学系は歪曲収差に起因する問題を効率的に抑制して、良好な潜像形成が実行可能となる。
また、複数の発光素子は、第2方向に複数の発光素子行が配されるようにして設けられており、複数の発光素子行は、第1方向に平行で結像光学系の光軸を通る第1直線を挟んで第2方向に振り分けられており、各発光素子行は、第2方向に平行で光軸を通る第2直線をまたいで配されており、発行素子行の少なくとも2個の発光素子では、光軸から第1方向に離れた発光素子ほど、第1直線に対する第2方向における距離が短いように構成しても良い。このように構成することで、後述するように、発光素子の発熱に起因した問題を効率的に抑制することが可能となり、良好な潜像形成が実行可能となる。
また、発光素子は、有機EL素子であってもよい。つまり、このように有機EL素子で発光素子を構成する場合は、発光素子が設けられた基板に有機EL材料を塗布する必要がある。この際、各発光素子の発光特性を均一にするためには、有機EL材料の塗りむらが小さいことが望ましい。これに対して、本発明は、少なくとも2個の発光素子が第1方向に直交もしくは略直交する第2方向において互いに異なる位置に配されるように発光素子行を構成しており、塗りむらが小さい状態で有機EL材料を塗布するのに有利な構成を有している。
以下では、まず、本発明を適用可能なラインヘッド、および該ラインヘッドを装備した画像形成装置の基本構成について説明する。そして、基本構成の説明に続いて、本発明の実施形態について説明することとする。
基本構成
図1は本発明を適用可能であるラインヘッドを装備した画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示す図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。なお図1は、カラーモード実行時に対応する図面である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCはエンジンコントローラECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラHCに与える。また、このヘッドコントローラHCは、メインコントローラMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部EGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
図1は本発明を適用可能であるラインヘッドを装備した画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示す図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。なお図1は、カラーモード実行時に対応する図面である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCはエンジンコントローラECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラHCに与える。また、このヘッドコントローラHCは、メインコントローラMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部EGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラMC、エンジンコントローラECおよびヘッドコントローラHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、装置本体1に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット11および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンダ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、主走査方向MDに所定長さの表面を有する円筒形の感光体ドラム21を設けている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれは、対応する色のトナー像を、感光体ドラム21の表面に形成する。感光体ドラムは、軸方向が主走査方向MDに略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
ラインヘッド29は、その長手方向が主走査方向MDに対応するとともに、その幅方向が副走査方向SDに対応するように、感光体ドラム21に対して配置されており、ラインヘッド29の長手方向は主走査方向MDと略平行となっている。ラインヘッド29は、長手方向に並べて配置された複数の発光素子を備えるとともに、感光体ドラム21から離間配置されている。そして、これらの発光素子から、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に対して光が照射されて、該表面に静電潜像が形成される。
現像部25は、その表面にトナーが担持する現像ローラ251を有する。そして、現像ローラ251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ251に印加される現像バイアスによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動してラインヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、後に詳述する転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
また、この実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ82と、図1において駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ83(ブレード対向ローラ)と、これらのローラに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラ85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、後に詳述するように、カラーモード実行時は、図1に示すように全ての1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラ85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラ85のうち、カラー1次転写ローラ85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラ85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラ85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで前記1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラ85Kに1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラ85Kの下流側で且つ駆動ローラ82の上流側に配設された下流ガイドローラ86を備える。また、この下流ガイドローラ86は、モノクロ1次転写ローラ85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラ85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラ121のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラ82と2次転写ローラ121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
2次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラ1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
また、この装置では、ブレード対向ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラ83に当接することで、2次転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。
図3は、本発明を適用可能であるラインヘッドの概略を示す斜視図である。また、図4は、図3に示したラインヘッドのA−A線部分断面図であり、レンズの光軸に平行な断面である。なお、A−A線は、後述する発光素子グループ列295Cやレンズ列LSCと平行もしくは略平行である。上述した通り、その長手方向LGDが主走査方向MDに対応するとともに、その幅方向LTDが副走査方向SDに対応するように、ラインヘッド29は感光体ドラム21に対して配置されている。つまり、長手方向LGDは主走査方向MDに平行もしくは略平行であり、幅方向LTDは副走査方向SDに平行もしくは略平行である。なお、長手方向LGDと幅方向LTDは、互いに直交もしくは略直交している。後述するように、このラインヘッド29では、ヘッド基板293に複数の発光素子が形成されており、各発光素子は感光体ドラム21の表面に向けて光ビームを射出する。そこで、本明細書では、長手方向LGDおよび幅方向LTDに直交する方向であって、発光素子から感光体ドラム表面に向う方向を、光ビームの進行方向Doaとする。この光ビームの進行方向Doaは、後述する光軸OAと平行もしくは略平行である。
ラインヘッド29は、ケース291を備えるとともに、かかるケース291の長手方向LGDの両端には、位置決めピン2911とねじ挿入孔2912が設けられている。そして、かかる位置決めピン2911を、感光体ドラム21を覆うとともに感光体ドラム21に対して位置決めされた感光体カバー(図示省略)に穿設された位置決め孔(図示省略)に嵌め込むことで、ラインヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決めされる。そして更に、ねじ挿入孔2912を介して固定ねじを感光体カバーのねじ孔(図示省略)にねじ込んで固定することで、ラインヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決め固定される。
ケース291の内部には、ヘッド基板293、遮光部材297、および2枚のレンズアレイ299(299A,299B)が配置されている。ヘッド基板293の表面293−hにはケース291の内部が当接する一方、ヘッド基板293の裏面293−tには裏蓋2913が当接している。この裏蓋2913は、固定器具2914によりヘッド基板293を介してケース291内部に押圧されている。つまり、固定器具2914は、裏蓋2913をケース291内部側(図4における上側)に押圧する弾性力を有しており、かかる弾性力により裏蓋が押圧されることで、ケース291の内部が光密に(換言すれば、ケース291内部から光が漏れないように、及び、ケース291の外部から光が侵入しないように)密閉される。なお、固定器具2914は、ケース291の長手方向LGDに複数箇所設けられている。
ヘッド基板293の裏面293−tには、複数の発光素子をグループ化した発光素子グループ295が設けられている。ヘッド基板293はガラス等の光透過性部材で形成されており、発光素子グループ295の各発光素子が射出した光ビームは、ヘッド基板293の裏面293−tから表面293−hへと透過可能である。この発光素子はボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子であり、封止部材294により覆われている。
図5は、発光素子の構造を示す図であり、発光素子の縦構造を示す部分断面図(図5の上段「断面図」)と、発光素子の平面構造を示す平面図(図5の下段「平面図」)とが併記されている。同図に示すように、ヘッド基板293の裏面には、配線層261が形成されている。図示は省略するが、配線層261は、導電層と絶縁層とが積層した構成を有している。導電層は、発光素子2951の光量を制御する能動素子(トランジスタ)や各種の信号を伝送する配線などを有する層である。絶縁層は、各導電層を電気的に絶縁するようにして積層されている。配線層の表面には、第1電極262が形成されている。この第1電極262は、ITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性の導電材料によって形成され、発光素子2951の陽極として機能する。
配線層261および第1電極262に対して積層するようにして、絶縁層263が形成されている。絶縁層263は絶縁性の膜体である。この絶縁層263には、光の進行方向Doaから見て第1電極262と重なる領域に開口部264が設けられている。この開口部264は、絶縁層263を厚さ方向に貫通する孔として、第1電極262毎に形成されている。第1電極262および絶縁層263は、有機EL材料からなる発光層265に覆われている。発光層265は、スピンコート法などの成膜技術によって、複数の発光素子2951にわたって連続して形成される。なお、発光層265は複数の発光素子2951に連続して形成されるものの、第1電極262は発光素子2951毎に独立して形成される。したがって、発光素子2951の光量は、第1電極262から供給される電流に応じて、発光素子2951毎に個別に制御される。もっとも、例えば液滴吐出法(インクジェット法)などの印刷技術によって、発光素子2951毎に発光層265を形成しても良い。
発光層265に積層するようにして、第2電極267が形成されている。第2電極267は光反射性の導電膜であり、複数の発光素子2951にわたって連続して形成される。このように、発光層265は、第1電極262と第2電極267とで縦方向に挟まれており、第1電極262から第2電極267に流れる駆動電流に応じた強度で発光する。発光層265から第1電極262側へ射出される射出光と、第2電極267の表面で反射された反射光とは、図5の白抜の矢印で示すように、第1電極263とヘッド基板293とを透過して後述する結像光学系へと射出される。第1電極262と第2電極267との間であって絶縁層263が介在する領域には電流は流れないため、発光層265のうち絶縁層263と重なり合う部分は発光しない。すなわち、図5に示すように、第1電極262、発光層265および第2電極267から成る積層構造のうち、開口部264の内側に位置する部分が発光素子2951として機能する。したがって、光の進行方向Doaから平面視したときの発光素子2951の位置や形態(サイズ、形状)は開口部264の位置や形態に応じて決まる(同図の「平面図」の欄を参照)。よって、本明細書の図では、光の進行方向Doaから平面視した場合の発光素子2951は、開口部264で代表して表されている。また、本明細書では、必要に応じて発光素子2951の位置との表現を用いるが、発光素子2951の位置Teとは、平面視したときの発光素子2951(の開口部264)の重心とする。
このようにしてヘッド基板293に形成された各発光素子2951は、互いに等しい波長の光ビームを射出する。この発光素子2951はいわゆる完全拡散面光源であり、発光面から射出される光ビームはランバートの余弦則に従う。
図6はヘッド基板の裏面の構成を示す平面図であり、ヘッド基板の表面側から裏面を見た場合に相当する。なお、同図では、レンズLSが二点差線で示されているが、これは発光素子グループ295とレンズLSとの対応関係を示すためのものであり、ヘッド基板裏面293−tにレンズLSが形成されていることを示すものではない。同図に示すように、15個の発光素子2951をグループ化して1つの発光素子グループ295が構成されており、ヘッド基板293の裏面293−tには、複数の発光素子グループ295が配置されている。同図に示すように、ヘッド基板293において、複数の発光素子グループ295は2次元的に配置されている。詳細は次の通りである。
幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に3個の発光素子グループ295を配置して発光素子グループ列295Cが構成されている。各発光素子グループ列295Cでは、3個の発光素子グループ295が長手方向LGDに発光素子グループピッチPegだけ互いにずらして配置されている。そして、複数の発光素子グループ列295Cが発光素子グループ列ピッチ(=Peg×3)で長手方向LGDに並んでいる。こうして、各発光素子グループ295は長手方向LGDに発光素子グループピッチPegで設けられており、各発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置Tegは互いに異なっている。
別の見方をすると、発光素子グループ295は次のように配置されているとも言える。つまり、ヘッド基板293の裏面293−tでは、長手方向LGDに複数の発光素子グループ295を並べて発光素子グループ行295Rが構成されるとともに、3個の発光素子グループ行295Rが幅方向LTDの互いに異なる位置に設けられている。これら3個の発光素子グループ行295Rは幅方向LTDに発光素子グループ行ピッチPegrで並んでいる。しかも、各発光素子グループ行295Rは長手方向LGDに発光素子グループピッチPegだけ相互にずれている。したがって、複数の発光素子グループ295が長手方向LGDに発光素子グループピッチPegで設けられることとなり、各発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置Tegは互いに異なっている。
ここで、発光素子グループ295の位置は、光の進行方向Doaから見た場合における発光素子グループ295の重心として求めることができる。発光素子グループ295の重心は、光の進行方向Doaから発光素子グループ295を構成する複数の発光素子2951を見た場合における、当該複数の発光素子2951の重心として求めることができる。また、長手方向LGDにおける位置Tegが隣り合う2つの発光素子グループ295(例えば、発光素子グループ295_1、295_2)の長手方向LGDにおける各位置Tegの間隔として、発光素子グループピッチPegは求めることができる。なお、図6において、発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置Tegは、発光素子グループ295の位置から長手方向軸LGDに下ろした垂線の足で表されている。
図3、図4に戻って説明を続ける。ヘッド基板293の表面293−hには、遮光部材297が当接配置されている。遮光部材297には、複数の発光素子グループ295毎に導光孔2971が設けられている(換言すれば、複数の発光素子グループ295に対して一対一で複数の導光孔2971が設けられている)。各導光孔2971は、光ビームの進行方向Doaに貫通する孔として、遮光部材297に形成されている。また、遮光部材297の上側(ヘッド基板293の反対側)には、2枚のレンズアレイ299が光ビームの進行方向Doaに並べて配置されている。
このように、光ビームの進行方向Doaにおいて、発光素子グループ295とレンズアレイ299との間には、発光素子グループ295毎に導光孔2971を設けた遮光部材297が配置されている。したがって、発光素子グループ295から出た光ビームは、該発光素子グループ295に対応する導光孔2971を通過してレンズアレイ299へと向う。逆に言うと、発光素子グループ295から射出された光ビームのうち、該発光素子グループ295に対応する導光孔2971以外に向う光ビームは、遮光部材297により遮光されることとなる。こうして、1つの発光素子グループ295から出た光は全て同一の導光孔2971を介してレンズアレイ299へ向うとともに、異なる発光素子グループ295から出た光ビーム同士の干渉が遮光部材297により防止されている。
図7は、レンズアレイの構成を示す平面図であり、像面側(光ビームの進行方向Doa側)からレンズアレイを見た場合に相当する。なお、同図における各レンズLSはレンズアレイ基板2991の裏面2991−tに形成されており、同図はこのレンズアレイ基板裏面2991−tの構成を示している。図6等にも示したとおり、レンズアレイ299では、発光素子グループ295毎にレンズLSが設けられている。つまり、各レンズアレイ299において、複数のレンズLSは2次元的に配置されている。詳細は次の通りである。
幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に3個のレンズLSを配置してレンズ列LSCが構成されている。各レンズ列LSCでは、3個のレンズLSが長手方向LGDにレンズピッチPlsだけ互いにずらして配置されている。そして、複数のレンズ列LSCがレンズ列ピッチ(=Pls×3)で長手方向LGDに並んでいる。こうして、各レンズLSは長手方向LGDにレンズピッチPlsで設けられており、各レンズLSの長手方向LGDにおける位置Tlsは互いに異なっている。
別の見方をすると、レンズLSは次のように配置されているとも言える。つまり、長手方向LGDに複数のレンズLSを並べてレンズ行LSRが構成されるとともに、3個のレンズ行LSRが幅方向LTDの互いに異なる位置に設けられている。これら3個のレンズ行LSRは幅方向LTDにレンズ行ピッチPlsrで並んでいる。しかも、各レンズ行LSRは長手方向LGDにレンズピッチPlsだけ相互にずれている。したがって、複数のレンズLSが長手方向LGDにレンズピッチPlsで設けられることとなり、各レンズLSの長手方向LGDにおける位置Tlsは互いに異なっている。
なお、同図においては、レンズLSの位置は、レンズLSの頂点(つまり、サグが最大となる点)で代表されており、レンズLSの長手方向LGDにおける位置Tlsは、レンズLSの頂点から長手方向軸LGDに下ろした垂線の足で表されている。
図8は、レンズアレイおよびヘッド基板等の長手方向の断面図であり、レンズアレイに形成されたレンズLSの光軸を含む長手方向断面を示している。レンズアレイ299は長手方向LGDに長尺であって光透過性のレンズアレイ基板2991を有している。このレンズアレイ基板2991は、線膨張係数の比較的小さいガラスにより形成されている。レンズアレイ基板2991の表面2991−hおよび裏面2991−tのうち、レンズアレイ基板2991の裏面2991−tにレンズLSが形成されている。レンズLSは例えば光硬化性樹脂により形成することができる。
このラインヘッド29では、光学設計の自由度向上を図るべく、このような構成を有するレンズアレイ299が2枚(299A,299B)光ビームの進行方向Doaに並べて配置されている。これら2枚のレンズアレイ299A,299Bは台座296を挟んで対向しており(図3、図4)、この台座296はレンズアレイ299A,299Bの間隔を規定する機能を果たしている。こうして、光ビームの進行方向Doaに並ぶ2枚のレンズLS1,LS2が各発光素子グループ295毎に配置されることとなる(図3、図4、図8)。ここで、光ビームの進行方向Doaの上流側のレンズアレイ299AのレンズLSが第1レンズLS1であり、光ビームの進行方向Doaの下流側のレンズアレイ299BのレンズLSが第2レンズLS2である。
発光素子グループ295から射出された光ビームLBは、当該発光素子グループ295に対向配置された2枚のレンズLS1、LS2により結像されて、感光体ドラム表面(潜像形成面)にスポットSPが形成される。つまり、2枚のレンズLS1、LS2により結像光学系が構成されており、各発光素子グループ295毎にこの結像光学系が対向配置されている。結像光学系の光軸OAは光の進行方向Doaと平行であり、発光素子グループ295の重心位置を通る。この結像光学系はいわゆる反転拡大の光学特性を有している。すなわち、結像光学系は倒立像を結像し、結像光学系の光学倍率の絶対値は1より大きい。
図9は、発光素子グループの構成、および当該発光素子グループによるスポット形成動作を示す平面図である。まず、同図の「発光素子グループ」の欄を参照しつつ、発光素子グループの構成について説明する。なお、同欄において、第1直線AL_mdは、光軸OAを通り主走査方向MDに平行な直線であり、第2直線AL_sdは、光軸OAを通り副走査方向SDに平行な直線である。これら第1直線AL_mdおよび第2直線AL_sdは、発光素子2951が形成されたヘッド基板裏面293−t上にあるものとする。
発光素子グループ295では、15個の発光素子2951が長手方向LGDにおいて互いに異なる位置に発光素子ピッチPelで配置されている。発光素子ピッチPelは、主方向位置Te1が隣り合う2つの発光素子2951(例えば、発光素子EL_1、EL_2)間の長手方向LGD(主走査方向MD)におけるピッチ(例えば、主方向位置Te1_1、Te1_2間距離が当該ピッチに相当する)である。また、同図において、主方向位置Te1は、注目する発光素子2951の位置Teから長手方向軸LGD(主走査方向軸MD)に下ろした垂線の足で表されている。なお、本明細書では、発光素子EL_1、EL_2のように、主方向位置Te1が隣り合う関係にあって長手方向LGDに発光素子ピッチPelで並ぶ2つの発光素子2951を「隣接発光素子対」と称する。
この発光素子グループ295は、発光素子行2951Rを構成するように配置されている。この発光素子行2951Rは、2個以上の発光素子2951を長手方向LGDの互いに異なる位置に配置して構成されている。詳述すると、長手方向LGDに8個の発光素子2951を発光素子ピッチPelの2倍のピッチで並べて発光素子行2951R_1が構成されるとともに、長手方向LGDに7個の発光素子2951を発光素子ピッチPelの2倍のピッチで並べて発光素子行2951R_2が構成されている。
各発光素子行2951Rでは、複数の発光素子2951は直線的に並んでいる。同欄では、このような発光素子2951の配列態様を示すために、配列線LN(仮想線)が併記されている。換言すれば、各発光素子行2951Rでは、複数の発光素子2951は、幅方向LTDにおいて互いに同じ位置に配置されている。したがって、発光素子行2951R_1を用いて例示するように、幅方向LTDにおける発光素子2951と第1直線AL_mdとの距離ΔEL(副方向素子光軸間距離ΔEL)は、各発光素子2951の間で等しい。なお、副方向素子光軸間距離ΔELは、発光素子2951の位置Teと第1直線AL_mdとの幅方向LTDにおける距離として求めることができる。
これら発光素子行2951R_1、2951R_2は、幅方向LTDに発光素子行ピッチPelrで配置されており、いわば幅方向LTDの互いに異なる位置に並べて配置されている。しかも、各発光素子行2951R_1、2951R_2は、長手方向LGDに発光素子ピッチPelだけ互いにずらして配置されている。こうして、発光素子グループ295では、15個の発光素子2951が2次元的に配置されている。また、各発光素子2951は長手方向LGDにおいて互いに異なる位置に発光素子ピッチPelで配置されている。しかも、長手方向LGDに発光素子ピッチPelで配置された2つの発光素子2951は、幅方向LTDに発光素子行ピッチPelrだけ互いにずれている。
このように構成された発光素子グループ295は、発光素子グループ幅Weg=(15−1)×Pelを有することとなる。ここで、発光素子グループ幅Wegは、長手方向LGDにおいて発光素子グループ295の両端にある発光素子2951の各位置Teの間の距離である。そして、発光素子グループ295は、第2直線AL_sdに対して対称となるように配置されている。
次に、図9の「スポットグループ」の欄を参照しつつ、発光素子グループによるスポット形成動作について説明する。同欄において、第1投影直線PJ(AL_md)は、第1直線AL_mdを光の進行方向Doaから感光体ドラム表面に投影した直線であり、第2投影直線PJ(AL_sd)は、第2直線AL_sdを光の進行方向Doaから感光体ドラム表面に投影した直線である。
発光素子行2951R_1の各発光素子2951が発光した光は、結像光学系により反転結像されて、スポット行SPR_1が形成される。このスポット行SPR_1は、主走査方向MDに8個のスポットSPをスポットピッチPspの2倍のピッチで並べたものである。また、発光素子行2951R_2の各発光素子2951が発光した光は、結像光学系により反転結像されて、スポット行SPR_2が形成される。このスポット行SPR_2は、主走査方向MDに7個のスポットSPをスポットピッチPspの2倍のピッチで並べたものである。このように、各発光素子行2951Rは、複数の発光素子2951を同時に発光させて、主走査方向MDに複数のスポットSPが並ぶスポット行SPRを形成可能である。
また、同欄は、結像光学系は歪曲収差が無い場合に相当しており、各スポット行SPRでは、複数のスポットSPは、副走査方向SDにおいて互いに同じ位置に配置されている。したがって、スポット行SPR_1を用いて例示するように、副走査方向SDにおけるスポットSPと第1投影直線PJ(AL_md)との距離ΔSP(副方向スポット光軸間距離ΔSP)は、各発光素子2951の間で等しい。なお、副方向スポット光軸間距離ΔSPは、スポットSPの重心と第1投影直線PJ(AL_md)との副走査方向SDにおける距離として求めることができる。
そして、これらスポット行SPR_1、SPR_2は副走査方向SDの互いに異なる位置に並べて形成されている。しかも、各スポット行SPR_1、SPR_2は、長手方向LGDにスポットピッチPspだけ互いにずらして形成されている。こうして、15個のスポットSPが2次元的に配置されたスポットグループSGが形成されるとともに、同スポットグループSGにおいて各スポットSPは主走査方向MDの互いに異なる位置に、スポットピッチPspで形成される。つまり、例えば、隣接発光素子対を構成する発光素子EL1、EL2により、主走査方向MDにおいてスポットピッチPspで並ぶスポットSP_1、SP_2が形成される。なお、スポットピッチPspは、主方向位置Ts1が隣り合う2つのスポット(例えば、スポットSP_1、SP_2)間の主走査方向MDにおけるピッチ(例えば、主方向位置Ts1_1、Ts1_2間距離が当該ピッチに相当する)である。また、同図において、主方向位置Ts1は、注目するスポットの重心から主走査方向軸MDに下ろした垂線の足で表されている。
ところで上述した通り、ラインヘッド29では、複数の発光素子グループ295が2次元的に配置されている。そこで、ラインヘッド29による潜像形成動作は、各発光素子グループ295の発光を以下のように制御して実行される。図10は、ラインヘッドによるスポット潜像形成動作を示す図である。以下に、図6、図9、図10を参照しつつラインヘッドによるスポット潜像形成動作を説明する。概略としては、各発光素子グループ295は、互いに異なる露光領域ERにスポットを形成して潜像形成を実行する。かかる潜像形成動作では、感光体ドラム21の表面を副走査方向SDに搬送しながら、ヘッド制御モジュール54により各発光素子2951を所定のタイミングで発光させることで、主走査方向MDに複数のスポットSPを並べて形成する。以下に、詳細について説明する。
まず最初に、幅方向LTDに最上流の発光素子グループ行295R_Aに属する発光素子グループ295(295_1、295_4等)の発光素子行2951R_2が発光すると、スポット行SPRが形成される。こうして、各スポットSPが形成された領域が露光されて、図10の「1回目」のハッチングパターンで示す7個のスポット潜像が形成される。なお、図10において、白抜きの丸印は未だ形成されておらず今後形成される予定のスポット潜像を表す。また、同図において、符号295_1,295_2,295_3でラベルされたスポットは、それぞれに付された符号に対応する発光素子グループ295により形成されるスポット潜像であることを示す。
発光素子行2951R_2に続いて発光素子行2951R_1が発光して、図10の「2回目」のハッチングパターンで示す8個のスポット潜像が形成される。このように、長手方向LGDに発光素子ピッチPelで配置された2つの発光素子2951は、主走査方向MDに並んで隣接する2つのスポット潜像(例えば、スポット潜像Lsp1、Lsp2)を形成することができる。ここで、幅方向LTDの下流側の発光素子行2951Rから順番に発光したのは、結像光学系が倒立特性を有することに対応するためである。
次に、幅方向LTDにおいて発光素子グループ行295R_Aの下流側の発光素子グループ行295R_Bに属する発光素子グループ295(295_2等)が、上述の発光素子グループ行295R_Aと同様の発光動作を行なって、図10の「3回目」〜「4回目」のハッチングパターンで示すスポット潜像が形成される。また、幅方向LTDにおいて発光素子グループ行295R_Bの下流側の発光素子グループ行295R_Cに属する発光素子グループ295(295_3等)が、上述の発光素子グループ行295R_Aと同様の発光動作を行なって、図10の「5回目」〜「6回目」のハッチングパターンで示すスポット潜像が形成される。このように、1〜6回目までの発光動作が実行されることで、主走査方向MDに複数のスポット潜像が並べて形成される。
第1実施形態
ところで、上記基本構成は、結像光学系に歪曲収差が無いことを前提とした。しかしながら、実際には、歪曲収差が無い結像光学系を作成することは困難であり、結像光学系には一定の歪曲収差が存在する。
ところで、上記基本構成は、結像光学系に歪曲収差が無いことを前提とした。しかしながら、実際には、歪曲収差が無い結像光学系を作成することは困難であり、結像光学系には一定の歪曲収差が存在する。
図11は、第1実施形態における結像光学系の主走査方向断面を示す断面図である。図12は、第1実施形態における結像光学系の副走査方向断面を示す断面図である。図13は、第1実施形態における結像光学系のレンズデータを表として示す図である。図14は、第1実施形態における結像光学系の光学系諸元を表として示す図である。図11〜図13から判るように、第1レンズLS1および第2レンズLS2は何れも非球面レンズである。また、物体面S1と非球面S2(第1レンズLS1)との間には絞り2982が配置されている。
図11において、物点OJm0は光軸OA上に位置しており、物点OJm0から射出される光は光軸OA上に像IMm0として結像される。光軸OA上に無い物点OJm1、OJm2から射出される光は、それぞれ像IMm1、IMm2として反転結像される。また、図12に示すように、光軸OA上に無い物点OJs1、OJs2から射出される光は、それぞれ像IMs1、IMs2として反転結像される。なお、図11、図12に示す光路をシミュレーションにより求めるにあたり、光の波長は685.5[nm]とした(図14)。
図15は、第1実施形態における結像光学系が有する歪曲収差を示す図であり、同図の横軸は発光素子主方向位置[mm]を示し、同図の縦軸は副方向局所倍率[倍]を表す。ここで、発光素子主方向位置は、発光素子2951と光軸OAとの主走査方向MD(長手方向LGD)における距離である。副方向局所倍率は、縦軸に示された位置から射出された光ビームを結像する際における、副走査方向SDに関する結像倍率である。なお、横軸と縦軸とが交わる原点を光軸OAは通る。
同図が示すように、発光素子主方向位置が大きくなるほど(つまり、発光素子2951の位置が光軸OAから離れるほど)、幅方向局所倍率の絶対値は大きくなっている。つまり、第1実施形態の結像光学系は、光軸OAから主走査方向MD(長手方向LGD)に離れた発光素子2951の光ほど、副走査方向SDに関して大きな絶対値の光学倍率で結像する「第1収差」を歪曲収差として有している。したがって、基本構成で示したように、各発光素子行2951Rで、幅方向LTD(副走査方向SD)において複数の発光素子2951を互いに同じ位置に配置した場合、換言すると、各発光素子2951を副方向素子光軸間距離ΔELが互いに等しくなるように配置した場合、次のような問題が発生する場合があった。
図16は、結像光学系が第1収差を有する場合に発生しうる問題を示す図である。同図の横軸は発光素子主方向位置[mm]を示す。同図の縦軸は、副方向素子光軸間距離ΔEL(同図+印)および副方向スポット光軸間距離ΔSP(同図○印)を示す。また、図17は、結像光学系が第1収差を有する場合に発生しうる問題を示す平面図であり、感光体ドラム表面に形成されるスポットグループSGを示している。
図16に示すように、発光素子行2951Rにおいて、各発光素子2951の副方向素子光軸間距離ΔELは約0.042[mm]で互いに等しい。これに対して、結像光学系は図15に示した第1収差を有する。したがって、図16に示すように、光軸OAから離れるに連れて副方向スポット光軸間距離ΔSPが長くなるようなスポット行SPRが形成されてしまっている。例えば、図17では、光軸OAから比較的遠いスポットSPの副方向スポット光軸間距離ΔSP_2が、光軸OAから比較的近いスポットSPの副方向スポット光軸間距離ΔSP_6よりも長くなっており(ΔSP_2>ΔSP_6)、形成されるスポット行SPRが湾曲してしまっている。
このような問題に対応する1つの方法としては、例えば、発光素子行2951Rの各発光素子2951の発光タイミングを異ならせて、スポット行SPRが直線状に形成されるように構成することも考えられる。しかしながら、かかる方法では、発光タイミング制御が複雑になってしまい、画像信号処理にかかる時間の長期化や、コントローラの構成の複雑化が引き起こされてしまう。そこで、第1実施形態では、かかる問題に対応すべく次のように発光素子グループ295が構成されている。
図18は、第1実施形態における発光素子グループの構成を示す平面図である。また、図19は、第1実施形態における発光素子グループの構成および当該発光素子グループが奏する効果を示す図である。図19の横軸は発光素子主方向位置[mm]を示す。図19の縦軸は、副方向素子光軸間距離ΔEL(同図+印)および副方向スポット光軸間距離ΔSP(同図○印)を示す。
図18、図19に示すように、第1実施形態では、発光素子行2951Rが予め湾曲されている。つまり、光軸OAから主走査方向MD(長手方向LGD)に離れた発光素子2951ほど、副方向素子光軸間距離ΔELが短くなるように構成されている。例えば、図18では、光軸OAから比較的遠い発光素子2951の副方向素子光軸間距離ΔEL_2が、光軸OAから比較的近い発光素子2951の副方向素子光軸間距離ΔEL_6よりも短くなっている(ΔEL_2<ΔEL_6)。つまり、第1実施形態では、結像光学系が有する第1収差を打ち消すように、発光素子行2951Rの各発光素子2951は配置されている。したがって、図19に示すように、スポット行SPRにおいて、各スポットSPの副方向スポット光軸間距離ΔSPは約0.065[mm]と略等しい。
このように第1実施形態の発光素子行2951Rでは、少なくとも2個の発光素子2951は、歪曲収差に応じて幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配されている。したがって、結像光学系の歪曲収差に起因する問題を効率的に抑制することができ、良好な潜像形成が実行可能となっている。
つまり、発光素子行2951Rの少なくとも2個の発光素子2951では、光軸OAから長手方向LGDに離れた発光素子2951ほど、第1直線AL_mdに対する幅方向LTDにおける距離ΔELが短いように構成されている。したがって、結像光学系295が有する第1収差を打ち消して、発光素子行2951Rは、複数のスポットSPを主走査方向MDに直線状に並べて形成することができ、良好な潜像形成が実行可能となっている。
第2実施形態
図20は、第2実施形態における結像光学系の主走査方向断面を示す断面図である。図21は、第2実施形態における結像光学系の副走査方向断面を示す断面図である。図22は、第2実施形態における結像光学系のレンズデータを表として示す図である。図23は、第2実施形態における結像光学系の光学系諸元を表として示す図である。以下では、既に上述した構成と第2実施形態の構成との差異部分について主に説明することとし、共通する部分については、相当符号を付して適宜説明を省略する。
図20は、第2実施形態における結像光学系の主走査方向断面を示す断面図である。図21は、第2実施形態における結像光学系の副走査方向断面を示す断面図である。図22は、第2実施形態における結像光学系のレンズデータを表として示す図である。図23は、第2実施形態における結像光学系の光学系諸元を表として示す図である。以下では、既に上述した構成と第2実施形態の構成との差異部分について主に説明することとし、共通する部分については、相当符号を付して適宜説明を省略する。
図20〜図22から判るように、第1レンズLS1および第2レンズLS2は何れも非球面レンズである。また、面S3と非球面S5(第2レンズLS2)との間には絞り2982が配置されている。図20において、物点OJm0は光軸OA上に位置しており、物点OJm0から射出される光は光軸OA上に像IMm0として結像される。光軸OA上に無い物点OJm1、OJm2から射出される光は、それぞれ像IMm1、IMm2として反転結像される。また、図21に示すように、光軸OA上に無い物点OJs1、OJs2から射出される光は、それぞれ像IMs1、IMs2として反転結像される。なお、図20、図21に示す光路をシミュレーションにより求めるにあたり、光の波長は685.5[nm]とした(図23)。
図24は、第2実施形態における結像光学系が有する歪曲収差を示す図であり、同図の横軸は発光素子主方向位置[mm]を示し、同図の縦軸は副方向局所倍率[倍]を表す。同図が示すように、発光素子主方向位置が大きくなるほど(つまり、発光素子2951の位置が光軸OAから離れるほど)、幅方向局所倍率の絶対値は小さくなっている。つまり、第2実施形態の結像光学系は、光軸OAから主走査方向MD(長手方向LGD)に離れた発光素子2951の光ほど、副走査方向SDに関して小さな絶対値の光学倍率で結像する「第2収差」を歪曲収差として有している。したがって、基本構成で示したように、各発光素子行2951Rで、幅方向LTD(副走査方向SD)において複数の発光素子2951を互いに同じ位置に配置した場合、換言すると、各発光素子2951を副方向素子光軸間距離ΔELが互いに等しくなるように配置した場合、次のような問題が発生する場合があった。
図25は、結像光学系が第2収差を有する場合に発生しうる問題を示す図である。同図の横軸は発光素子主方向位置[mm]を示す。同図の縦軸は、副方向素子光軸間距離ΔEL(同図+印)および副方向スポット光軸間距離ΔSP(同図○印)を示す。また、図26は、結像光学系が第2収差を有する場合に発生しうる問題を示す平面図であり、感光体ドラム表面に形成されるスポットグループSGを示している。
図25に示すように、発光素子行2951Rにおいて、各発光素子2951の副方向素子光軸間距離ΔELは約0.042[mm]で互いに等しい。これに対して、結像光学系は図24に示した第2収差を有する。したがって、図25に示すように、光軸OAから離れるに連れて副方向スポット光軸間距離ΔSPが短くなるようなスポット行SPRが形成されてしまっている。例えば、図26では、光軸OAから比較的遠いスポットSPの副方向スポット光軸間距離ΔSP_2が、光軸OAから比較的近いスポットSPの副方向スポット光軸間距離ΔSP_6よりも短くなっており(ΔSP_2<ΔSP_6)、形成されるスポット行SPRが湾曲してしまっている。そこで、第2実施形態では、かかる問題に対応すべく次のように発光素子グループ295が構成されている。
図27は、第2実施形態における発光素子グループの構成を示す平面図である。また、図28は、第2実施形態における発光素子グループの構成および当該発光素子グループが奏する効果を示す図である。図28の横軸は発光素子主方向位置[mm]を示す。図28の縦軸は、副方向素子光軸間距離ΔEL(同図+印)および副方向スポット光軸間距離ΔSP(同図○印)を示す。
図27、図28に示すように、第2実施形態では、発光素子行2951Rが予め湾曲されている。つまり、光軸OAから主走査方向MD(長手方向LGD)に離れた発光素子2951ほど、副方向素子光軸間距離ΔELが長くなるように構成されている。例えば、図27では、光軸OAから比較的遠い発光素子2951の副方向素子光軸間距離ΔEL_2が、光軸OAから比較的近い発光素子2951の副方向素子光軸間距離ΔEL_6よりも長くなっている(ΔEL_2>ΔEL_6)。つまり、第2実施形態では、結像光学系295が有する第2収差を打ち消すように、発光素子行2951Rの各発光素子2951は配置されている。したがって、図28に示すように、スポット行SPRにおいて、各スポットSPの副方向スポット光軸間距離ΔSPは約0.062[mm]と略等しい。
このように第2実施形態の発光素子行2951Rでは、少なくとも2個の発光素子2951は、歪曲収差に応じて幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配されている。したがって、結像光学系の歪曲収差に起因する問題を効率的に抑制することができ、良好な潜像形成が実行可能となっている。
つまり、発光素子行2951Rの少なくとも2個の発光素子2951では、光軸OAから長手方向LGDに離れた発光素子2951ほど、第1直線AL_mdに対する幅方向LTDにおける距離ΔELが長いように構成されている。したがって、結像光学系295が有する第2収差を打ち消して、発光素子行2951Rは、複数のスポットSPを主走査方向MDに直線状に並べて形成することができ、良好な潜像形成が実行可能となっている。
第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、第1・第2実施形態とは異なる問題を解決することを目的としている。つまり、上述した基本構成では、複数の発光素子行2951Rを幅方向LTDに並べて用いている。しかしながら、発光素子2951は駆動発光されることで発熱する。したがって、2つの発光素子行で挟まれた領域には熱が溜まりやすく、発光素子の熱劣化が加速してしまう傾向にあった。特に、かかる傾向は、発光素子行の端よりも中央で顕著となる。よって、各発光素子間で熱劣化の程度に差が生じてしまい、良好な潜像形成が実行できない場合があった。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、第1・第2実施形態とは異なる問題を解決することを目的としている。つまり、上述した基本構成では、複数の発光素子行2951Rを幅方向LTDに並べて用いている。しかしながら、発光素子2951は駆動発光されることで発熱する。したがって、2つの発光素子行で挟まれた領域には熱が溜まりやすく、発光素子の熱劣化が加速してしまう傾向にあった。特に、かかる傾向は、発光素子行の端よりも中央で顕著となる。よって、各発光素子間で熱劣化の程度に差が生じてしまい、良好な潜像形成が実行できない場合があった。
図29は、複数の発光素子行を有する構成において発生しうる問題を示す図である。同図の「発光素子グループ内温度分布」の欄は、第1直線AL_md上の温度を示しており、縦軸は主方向位置を表し、横軸は温度を表している。なお、同欄における主方向位置は、第1直線AL_md上の主走査方向MD(長手方向LGD)における位置であり、光軸OAを原点とする。また、同図の「発光素子グループ」の欄は、平面視における発光素子グループ295の構成を示している。
「発光素子グループ」の欄に示すように、発光素子グループ295において、2つの発光素子行2951Rは、第1直線AL_mdを挟んで幅方向LTDに振り分けられて配置されている。つまり、2つの発光素子行2951Rは、幅方向LTDから第1直線AL_mdを挟むようにして配置されている。また、各発光素子行2951Rは、第2直線AL_sdをまたいで配置されており、当該第2直線AL_sdに対して対称である。
また、各発光素子行2951Rでは、複数の発光素子2951は、幅方向LTDにおいて互いに同じ位置に配置されている。したがって、幅方向LTDにおける発光素子2951と第1直線AL_mdとの距離ΔEL(副方向素子光軸間距離ΔEL)は、各発光素子2951の間で等しい。つまり、発光素子行2951Rにおいて、各発光素子2951は長手方向LGDに直線状に並んでいる。
図29では、このように直線状に複数の発光素子2951を並べた発光素子行2951Rが幅方向LTDに互いに対向して配置されている。その結果、「発光素子グループ内温度分布」の欄に示すような温度分布が、発光素子グループ295内に発生してしまっている。同欄に示すように、主走査方向MD(長手方向LGD)において、発光素子グループ295の中央部(つまり、光軸OA付近)では温度が高く、両端部では温度が低くなっており、光軸OA付近と端部との間で温度差ΔT1が発生している。その結果、光軸OA付近の発光素子2951の熱劣化が進んで、各発光素子2951間で熱劣化の程度に差が生じてしまう場合があった。そこで、第3実施形態は、次のように発光素子グループ295を構成している。
図30は、第3実施形態における発光素子グループの構成を示す図である。同図の「発光素子グループ内温度分布」の欄は、第1直線AL_md上の温度を示しており、縦軸は主方向位置を表し、横軸は温度を表している。また、同図の「発光素子グループ」の欄は、平面視における発光素子グループ295の構成を示している。図30の「発光素子グループ」の欄に示すように、第3実施形態では、発光素子行2951Rが湾曲している。つまり、光軸OAから主走査方向MD(長手方向LGD)に離れた発光素子2951ほど、副方向素子光軸間距離ΔELが短くなるように、発光素子行2951Rは湾曲している(例えば、ΔEL_2<ΔEL_6)。
したがって、第1直線AL_mdを挟んで対向する2つの発行素子行2951R、2951Rの幅方向LTDにおける間隔が、光軸OA付近で広くなっている。その結果、発光素子グループ295内の光軸OA付近の放熱が効率的に促進されており、「発光素子グループ内温度分布」の欄に示すように、発光素子グループ295内の温度分布が平準化されている。具体的には、図30に示す温度差ΔT2は、図29に示した温度差ΔT1より小さくなっている。したがって、各発光素子2951間で熱劣化の程度も略同様となり、良好な潜像形成動作が実行可能となっている。
第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態について説明する。この第4実施形態は、第3実施形態と同様に、発光素子2951の熱劣化に起因する問題を解決することを目的としている。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。この第4実施形態は、第3実施形態と同様に、発光素子2951の熱劣化に起因する問題を解決することを目的としている。
図31は、複数の発光素子行を有する構成において発生しうる問題を示す図である。同図の「発光素子グループ内温度分布」の欄は、第1直線AL_md上の温度を示しており、縦軸は主方向位置を表し、横軸は温度を表している。なお、同欄における主方向位置は、第1直線AL_md上の主走査方向MD(長手方向LGD)における位置であり、光軸OAを原点とする。また、同図の「発光素子グループ」の欄は、平面視における発光素子グループ295の構成を示している。
「発光素子グループ」の欄に示すように、発光素子グループ295において、4つの発光素子行2951Rは、第1直線AL_mdを挟んで2つずつ幅方向LTDに振り分けられて配置されている。つまり、同図上側の2つの発光素子行2951R、2951Rと、同図下側の2つの発光素子行2951R、2951Rとは、幅方向LTDから第1直線AL_mdを挟むようにして配置されている。また、各発光素子行2951Rは、第2直線AL_sdをまたいで配置されている。
各発光素子行2951Rでは、複数の発光素子2951は、幅方向LTDにおいて互いに同じ位置に配置されている。したがって、一の発光素子行2951Rにおいて、幅方向LTDにおける発光素子2951と第1直線AL_mdとの距離ΔEL(副方向素子光軸間距離ΔEL)は、各発光素子2951の間で等しい。つまり、発光素子行2951Rにおいて、各発光素子2951は長手方向LGDに直線状に並んでいる。
図31では、このように直線状に複数の発光素子2951を並べた発光素子行2951Rが幅方向LTDに互いに対向して配置されている。その結果、「発光素子グループ内温度分布」の欄に示すような温度分布が、発光素子グループ295内に発生してしまっている。同欄に示すように、主走査方向MD(長手方向LGD)において、発光素子グループ295の中央部(つまり、光軸OA付近)では温度が高く、両端部では温度が低くなっており、光軸OA付近と端部との間で温度差ΔT3が発生している。そこで、第4実施形態は、次のように発光素子グループ295を構成している。
図32は、第4実施形態における発光素子グループの構成を示す図である。同図の「発光素子グループ内温度分布」の欄は、第1直線AL_md上の温度を示しており、縦軸は主方向位置を表し、横軸は温度を表している。また、同図の「発光素子グループ」の欄は、平面視における発光素子グループ295の構成を示している。図32の「発光素子グループ」の欄に示すように、第4実施形態では、発光素子行2951Rが湾曲している。つまり、光軸OAから主走査方向MD(長手方向LGD)に離れた発光素子2951ほど、副方向素子光軸間距離ΔELが短くなるように、発光素子行2951Rは湾曲している(例えば、ΔEL_4<ΔEL_12)。
したがって、第1直線AL_mdを挟んで対向する2つの発行素子行2951R、2951Rの幅方向LTDにおける間隔が、光軸OA付近で広くなっている。その結果、発光素子グループ295内の光軸OA付近の放熱が効率的に促進されており、「発光素子グループ内温度分布」の欄に示すように、発光素子グループ295内の温度分布が平準化されている。具体的には、図32に示す温度差ΔT4は、図31に示した温度差ΔT3より小さくなっている。したがって、各発光素子2951間で熱劣化の程度も略同様となり、良好な潜像形成動作が実行可能となっている。
その他
このように上記実施形態では、長手方向LGDおよび主走査方向MDが本発明の「第1方向」に相当し、幅方向LTDおよび副走査方向SDが本発明の「第2方向」に相当する。また、レンズLS1、LS2が本発明の「結像光学系」として機能している。また、発光素子グループ295が本発明の「複数の発光素子」に相当する。また、ヘッド基板293が本発明の「基板」に相当している。また、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当している。
このように上記実施形態では、長手方向LGDおよび主走査方向MDが本発明の「第1方向」に相当し、幅方向LTDおよび副走査方向SDが本発明の「第2方向」に相当する。また、レンズLS1、LS2が本発明の「結像光学系」として機能している。また、発光素子グループ295が本発明の「複数の発光素子」に相当する。また、ヘッド基板293が本発明の「基板」に相当している。また、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。つまり、第1、第2実施形態では、結像光学系の歪曲収差に起因する問題を改善するために、発光素子行2951Rでは、少なくとも2個の発光素子2951が幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配されている。また、第3、第4実施形態では、発光素子2951の発熱に起因する問題の影響を軽減するために、発光素子行2951Rでは、少なくとも2個の発光素子2951が幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配されている。しかしながら、これら以外の問題を改善するために、発光素子行2951Rでは、少なくとも2個の発光素子2951が幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配されても良い。
また、上記第1・第2実施形態では、結像光学系295が有する第1・第2収差を打ち消して、複数のスポットSPが主走査方向MDに直線状に並べられており、言わば、スポット行SPRは直線状に形成されている。しかしながら、要求される画質等から判断してスポット行SPRの湾曲がある程度許容できる場合は、かかる許容レベルまでにスポット行SPRの湾曲が緩和されるように構成すれば良い。
つまり、直線的に配された発光素子行2951R(例えば、図9で示した発光素子行2951R)からの光ビームを歪曲収差を有する結像光学系で結像してできるスポット行SPR(例えば、図17で示したスポット行SPR)の湾曲程度と比較して、本発明を適用した発光素子行2951Rからの光ビームを当該結像光学系で結像してできるスポット行SPRの湾曲程度が緩和されていれば、本発明の効果が奏されていると判断できる。
さらに、このように、発光素子行2951Rでは、少なくとも2個の発光素子2951が幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配置された構成は、上記の作用効果以外に、次のような作用効果を奏する。つまり、上記実施形態のように、有機EL素子で発光素子2951を構成する場合は、発光素子2951が設けられたヘッド基板293に有機EL材料を塗布する必要がある。この際、各発光素子2951の発光特性を均一にするためには、有機EL材料の塗りむらが小さいことが望ましい。これに対して、上述のように発光素子を配置した構成は、塗りむらが小さい状態で有機EL材料を塗布するのに有利である。
また、上記実施形態では、発光素子2951は円形であったが、発光素子の形状はこれに限られず、長方形であっても良いし、楕円形であってもよい。また、何れの形状においても、発光素子2951の位置は、平面視における発光素子2951の重心として求めることができる。
また、発光素子グループ295における発光素子2951の個数、あるいは、発光素子行2951Rの個数等も適宜変更可能である。また、発光素子行2951Rを構成する発光素子2951の個数についても適宜変更可能である。
また、発光素子グループ行295Rあるいはレンズ行LSRの個数も適宜変更可能である。
また、上記実施形態では、2枚のレンズアレイ299が用いられているが、レンズアレイ299の枚数はこれに限られない。
また、上記実施形態では、発光素子2951としてボトムエミッション型の有機EL素子が用いられている。しかしながら、トップエミッション型の有機EL素子を発光素子2951として用いても良く、あるいは、LED(Light Emitting Diode)を発光素子2951として用いても良い。
また、上記実施形態では、結像光学系として、反転拡大の光学特性を有するものを用いたが、結像光学系はこれに限られず、正転の光学特性を有するものや、縮小の光学特性を有するものを用いることもできる。
21Y、21K…感光体ドラム(潜像担持体)、 29…ラインヘッド、 293…ヘッド基板(基板)、 295…発光素子グループ(複数の発光素子)、 2951…発光素子、 2951R…発光素子行、 299,299A,299B…レンズアレイ、 LS1、LS2…レンズ(結像光学系)、 SP…スポット、 SPR…スポット行、 SG…スポットグループ、 MD…主走査方向(第1方向)、 SD…副走査方向(第2方向)、 LGD…長手方向(第1方向)、 LTD…幅方向(第2方向)、 OA…光軸、 AL_md…第1直線、 AL_sd…第2直線、 Doa…光ビームの進行方向
Claims (7)
- 複数の発光素子を有する基板と、
前記複数の発光素子に対して配されて前記発光素子からの光を結像する結像光学系と
を備え、
前記複数の発光素子は、第1方向の互いに異なる位置に配した発光素子行を構成するようにして設けられており、
前記発光素子行では、少なくとも2個の発光素子が前記第1方向に直交もしくは略直交する第2方向において互いに異なる位置に配されていることを特徴とするラインヘッド。 - 前記少なくとも2個の発光素子は、歪曲収差に応じて前記第2方向において互いに異なる位置に配されている請求項1記載のラインヘッド。
- 前記結像光学系は、当該結像光学系の光軸から前記第1方向に離れた発光素子の光ほど、前記第2方向に関して大きな絶対値の光学倍率で結像する第1収差を前記歪曲収差として有しており、
前記少なくとも2個の発光素子では、前記光軸から前記第1方向に離れた発光素子ほど、前記光軸を通り前記第1方向に平行である第1直線に対する前記第2方向における距離が短い請求項2記載のラインヘッド。 - 前記結像光学系は、当該結像光学系の光軸から前記第1方向に離れた発光素子の光ほど、前記第2方向に関して小さな絶対値の光学倍率で結像する第2収差を前記歪曲収差として有しており、
前記少なくとも2個の発光素子では、前記光軸から前記第1方向に離れた発光素子ほど、前記光軸を通り前記第1方向に平行である第1直線に対する前記第2方向における距離が長い請求項2記載のラインヘッド。 - 前記複数の発光素子は、前記第2方向に複数の前記発光素子行が配されるようにして設けられており、複数の前記発光素子行は、前記第1方向に平行で前記結像光学系の光軸を通る第1直線を挟んで前記第2方向に振り分けられており、前記各発光素子行は、前記第2方向に平行で前記光軸を通る第2直線をまたいで配されており、前記発行素子行の前記少なくとも2個の発光素子では、前記光軸から前記第1方向に離れた発光素子ほど、前記第1直線に対する前記第2方向における距離が短い請求項1記載のラインヘッド。
- 前記発光素子は、有機EL素子である請求項1ないし5のいずれか一項に記載のラインヘッド。
- 複数の発光素子を有する基板と、前記複数の発光素子に対して配されて前記発光素子からの光を結像する結像光学系とを有するラインヘッドと、
潜像担持体と
を備え、
前記ラインヘッドは、前記発光素子からの光を前記結像光学系により結像して、前記潜像担持体の表面を露光し、
前記複数の発光素子は、第1方向の互いに異なる位置に配した発光素子行を構成するようにして設けられており、
前記発光素子行では、少なくとも2個の発光素子が前記第1方向に直交もしくは略直交する第2方向において互いに異なる位置に配されていることを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008074117A JP2009226709A (ja) | 2008-03-21 | 2008-03-21 | ラインヘッドおよび画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008074117A JP2009226709A (ja) | 2008-03-21 | 2008-03-21 | ラインヘッドおよび画像形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009226709A true JP2009226709A (ja) | 2009-10-08 |
Family
ID=41242709
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008074117A Withdrawn JP2009226709A (ja) | 2008-03-21 | 2008-03-21 | ラインヘッドおよび画像形成装置 |
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Country | Link |
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-
2008
- 2008-03-21 JP JP2008074117A patent/JP2009226709A/ja not_active Withdrawn
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