JP2009226486A - ホットスカーフ溶削量測定方法及び測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、鋼片の溶削前に上下面の表面高さ分布を測定するとともに、溶削しない側面の特定部位の上下方向の位置を記憶し、鋼片の溶削後に再度上下面の表面高さ分布を測定するとともに、前記特定部位の上下方向の位置を記憶し、前記特定部位の位置について溶削前後の上下方向の移動量及び傾き量を求め、当該上下方向の移動量及び傾き量により前記特定部位の位置を溶削前の状態に修正することにより、前記溶削後の鋼片の上下面の表面高さ分布を溶削前の位置に修正し、当該修正した鋼片の上下面の表面高さ分布と前記溶削前の上下面の表面高さ分布との比較から鋼片の上下面の溶削量の分布を求めることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
図5は溶削前後の鋼片の状況を示した図である。図5(a)が溶削前の鋼片の状態であり、図5(b)が溶削後の鋼片の状態を示す。図5(a)に示す鋼片101が搬送用のロール上を水平方向に水平状態で搬送されるとき、鋼片101の基準線、例えば中心線102はロール上面位置を示す基準面Mから上方にLの距離にある。
また、図5(a)に示す如くロールの基準面Mの上方と下方にそれぞれ設けたレーザ距離計103から鋼片101までの上下方向の距離を上下面それぞれh、h‘とする。鋼片101の上下面をそれぞれ厚さδ、δ‘だけ溶削した場合は図5(b)の様に、下面の溶削量δ’分だけ鋼片の中心線102’が下方に下がる。従って、上面のレーザ距離計103の指示値はδにδ’の分が加算されることになり、一方下面のレーザ指示値の変化量は0となる。このように溶削前後の鋼片101のプロフィールを測定するだけでは、鋼片101の単なる厚み変化を測定しているにすぎず、鋼片上下面それぞれの溶削量を測定することはできない問題がある。
更には、鋼片上下面のそれぞれのホットスカーフの溶削量に応じて、例えば上下面それぞれのホットスカーフ装置の最適な溶削ガスの圧力などを修正することができるので、過溶削による歩留まりの低下、あるいは、溶削不足による品質の悪化を防止することができる。
本発明で用いるホットスカーフ装置の主要機器は、図1に示す如くホットスカーフ装置2、鋼片の寸法を測定するためのレーザ距離計(計測装置)3、鋼片1の特定部位の上下方向の移動量を検知するための画像処理装置4であり、必要があれば、平面的に鋼片を検知する画像処理装置5を設けても良い。更に、レーザ距離計3と画像処理装置4と画像処理装置5とに接続されてこれらの装置からのデータを処理する演算装置7を設けることが好ましい。これらの各装置が鋼片1を水平方向に搬送するために設置されている複数の搬送ロール6の途中位置またはその周囲に設けられている。
前記ホットスカーフ装置2よりも図1に示す右側の任意の位置の搬送ロール6、6の間の位置に、鋼片1の搬送経路の上方と下方に位置するようにレーザ距離計(計測装置)3、3が設けられ、搬送ロール6…の上面に沿って搬送されながらレーザ距離計3、3の間を通過する鋼片1の上面と下面の上下方向の位置をそれぞれ検知できるように構成されている。
また、前記レーザ距離計3の側方側にカメラを備えた画像処理装置4が設けられ、搬送ロール6上に沿って搬送経路を通過する鋼片1の側面側あるいは前面側にマーキングされている鋼片認識番号などの位置マークの上下位置を検知できるように構成され、更に前記ホットスカーフ装置2とレーザ距離計3との間の鋼片搬送経路の上方にカメラを備えた画像処理装置5が設けられ、鋼片1の特定の部位の平面位置と前記画像処理装置4との距離を計測できるように構成されている。また、画像処理装置4と画像処理装置5に接続されてこれらの装置からの計測値が入力される演算装置7が設けられている。なお、前記の画像処理装置4、5とレーザ距離計3はいずれも演算装置7に接続されてそれらの装置の計測結果の情報が伝達され、演算装置7に内蔵されているメモリ等の記憶装置に記憶されるように構成され、各画像処理装置4、5とレーザ距離計3からの計測結果を後述する如く演算処理できるように構成されている。
まず、溶削前に鋼片1の鋼材の上下方向の寸法、即ち厚み寸法をレーザ距離計3で計測する。計測を行うには、複数の搬送ロール6に沿って移動されてきた鋼片1が搬送経路の上下に設けられたレーザ距離計3、3の間を通過する際に、測定中は鋼片1を停止させて計測するものとする。併せて鋼片1の特定部位、例えば溶削をしない鋳造方向の面(鋼片1の側面あるいは前面)などの特徴部分、例えば鋼片にマーキングされた鋼片認識番号でも良いので、これを目印として画像処理装置4で認識し、画像処理装置4に内蔵された記憶装置に記憶しておく。望ましくは、それと同時にそのときの鋼片1と画像処理装置4の相対位置関係を検知し、この情報も記憶しておく。この位置関係は、鋼辺1の上方から画像処理装置5で検知しても良いし、レーザ距離計3により得られた厚み寸法の分布により鋼片1の位置を特定しても良い。これらの各情報は画像処理装置4,5に内蔵されている記憶装置に情報記録しても良いし、演算装置7に別途これらの情報を総合管理しておいても良い。
なお、この形態の構造とは別に、ホットスカーフ装置2の反対側に、もう一式レーザ距離計と画像処理装置を配置しておいて直列的に鋼片1を搬送しても良い。即ち、図1に示す形態では、レーザ距離計3で鋼片1の厚み寸法を計測後、ホットスカーフ装置2まで鋼片1を搬送し、溶削した後、元の位置に戻るタイプの装置を示しているが、ホットスカーフ装置2の反対側に、もう一式レーザ距離計と画像処理装置を配置しておき、ホットスカーフ装置2で溶削後に搬送路6に沿ってホットスカーフ装置2の反対側に設けたレーザ距離計と画像処理装置により溶削後の鋼片1の厚みを後述の如く測定しても良い。
これらのことにより鋼片1の相対位置関係のズレ量、上下方向のズレ量を補正した後において、溶削前後の寸法の変化を正確に把握することができる。
しかし、この形態の装置によれば鋼片1の特定部位を溶削前後で画像処理することによって鋼片自体がどの程度傾斜したかを把握できるので、先の溶削前後の鋼片1の上下移動量と併せ考えて、まず鋼片下面の傾斜を求めることにより下面の溶削量分布がわかり、残りの傾斜量が鋼片1の上面の溶削量の不均一さによる傾斜ということがわかる。したがって、鋼片1の上下面それぞれの正確な溶削量の分布を求めることができる。
図4(b)は鋼片1Bを鋼片1B’の如く上面側のみ傾きθ1を有する如く溶削し、下面側は均一な厚さで溶削された場合を示し、図4(c)は鋼片1Cを鋼片1C’の如く下面側のみ傾きθ2を有する如く溶削し、上面側は均一な厚さで溶削された場合を示し、図4(d)は鋼片1Dを鋼片1D’の如く上面を傾きθ1を有する如く傾斜させ、下面を傾きθ2を有する如く傾斜させて溶削した場合(傾きθ1とθ2により鋼片1Dの右側が薄くなる場合。)を示し、図4(e)は鋼片1Eを鋼片1E’の如く上面を傾きθ1を有する如く傾斜させ、下面を傾きθ2を有する如く傾斜させて溶削した場合(傾きθ1と傾きθ2が互い違いの方向に向く場合)を示す。
なお、従来技術では搬送中にプロフィール測定を実施する方案が採用されているが、搬送中は鋼片が大きく振動する為、精度良い測定は不可能である。測定は原則として鋼片が搬送ロール6上で停止している時に実施し、鋼片全長を計測する場合は、レーザ距離計3、3を鋼片1の搬送方向に沿って走査する方法を採用すればよい。
レーザ距離計3を走査する場合、下面はレーザ距離計3と鋼片の間に搬送ロール6が入ってしまうが、鋼片1を微搬送し2回に分けて計測するなどすれば、鋼片1の全長の計測が可能である。このように本発明では従来の溶削量測定方法では測定不可能であった鋼片1の上下面それぞれの溶削量測定が可能である。
鋼片幅1600mm、センターに位置しているという結果をもとに、垂直方向画像処理装置4の撮影照準を鋼片識別番号位置に設定し、撮影を行った。また、鋼片1の停止位置を画像処理装置5で測定した。
その結果ホットスカーフ後の幅方向レーザの指示値は約6mm絶対値が増加し、また高さ方向のプロフィールデータについては、大きな傾き等は見られなかった。
そして鋼片識別番号位置が約4mm下方にズレていたことから、溶削量について、上面が2mm、下面が4mmであると検知した。
その後、鋼片1の溶削量を上下面それぞれ実測した結果、上面2mm、下面4mmと本願測定装置の測定値と一致していた。従って本発明方法に基づく計測により、鋼片をホットスカーフ溶削する場合、鋼片の上面側の溶削量と鋼片の下面側の溶削量を個別に計測することができることが判明した。
4…垂直方向画像処理装置、5…水平方向画像処理装置、6…搬送ロール、
7…演算装置、θ1、θ2…傾き。
Claims (5)
- ホットスカーフにより溶削された鋼片表面の溶削量を測定する方法であって、鋼片の溶削前に上下面の表面高さ分布を測定するとともに、溶削しない側面の特定部位の上下方向の位置を記憶し、鋼片の溶削後に再度上下面の表面高さ分布を測定するとともに、前記特定部位の上下方向の位置を記憶し、前記特定部位の位置について溶削前後の上下方向の移動量及び傾き量を求め、当該上下方向の移動量及び傾き量により前記特定部位の位置を溶削前の状態に修正することにより、前記溶削後の鋼片の上下面の表面高さ分布を溶削前の位置に修正し、当該修正した鋼片の上下面の表面高さ分布と前記溶削前の上下面の表面高さ分布との比較から鋼片の上下面の溶削量の分布を求めることを特徴とするホットスカーフ溶削量測定方法。
- 前記鋼片の特定部位の上下方向の移動量及び傾き量を、画像処理によって求めることを特徴とする請求項1記載のホットスカーフ溶削量測定方法。
- 前記溶削前後の鋼片上下面の表面高さ寸法を測定する際の鋼片の停止位置における溶削前後の画像処理装置との相対位置関係のずれ、あるいは、鋼片の停止位置における溶削前後の鋼片の回転に伴うずれを特定し、当該位置のずれ量により前記特定部位の検知位置を補正することを特徴とする請求項2に記載のホットスカーフ溶削量測定方法。
- 鋼片の搬送経路の途中に設けられて前記搬送経路で搬送中の鋼片の表面溶削加工が可能なホットスカーフ装置に伴って設けられ、前記ホットスカーフ装置による溶削前の状態と溶削後の状態の両方の状態において鋼片の上下面の表面高さ分布をそれぞれ計測可能な計測装置と、前記鋼片の特定部位における前記ホットスカーフ装置による溶削以前の状態と溶削後の状態の上下方向の移動量及び傾き量を検知するための画像処理装置と、前記上下方向の移動量及び傾き量により前記特定部位の位置を溶削前の状態に修正することにより、前記溶削後の鋼片の上下面の表面高さ分布を溶削前の位置に修正し、前記鋼片の上下面の表面高さ分布及び特定部位の上下方向の傾き量から鋼片表面の溶削量あるいは溶削量分布を測定する演算装置とを具備したことを特徴とするホットスカーフ溶削量測定装置。
- 前記鋼片の上下面高さ位置を測定する際の鋼片の停止位置における溶削前後の画像処理装置との相対位置関係のずれ、あるいは、鋼片の停止位置における溶削前後の鋼片の回転に伴うずれを特定する位置ずれ特定手段と、当該位置のずれ量により前記特定部位の検知位置を補正する補正手段を具備したことを特徴とする請求項4に記載のホットスカーフ溶削量測定装置。
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