以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。
[パチンコ機の全体構造について]
図1は、実施形態に係るパチンコ機1の外枠2に対して本体枠3を閉塞し、本体枠3に対して扉枠5を開放した状態を示す斜視図であり、図2は、パチンコ機1の正面から見た斜視図であり、図3は、パチンコ機1の正面図であり、図4は、パチンコ機1の背面図であり、図5は、パチンコ機1の平面図である。
図1及び図2において、本実施形態に係るパチンコ機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支され且つ前記遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域20を遊技者が視認し得る透明板ユニットとしてのガラスユニット190と該ガラスユニット190の下方に配置され且つ遊技の結果発生した賞球を受け入れて発射レール38の発射位置に供給する皿ユニット300とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。
外枠2には、その下方前方に表面が装飾カバー板6aによって被覆されている下部装飾板6が固着されており、また、詳細に図示しないが、外枠2は、上下の木製の上枠板及び下枠板と左右の軽合金(アルミニュウム)製の側枠板とを、それぞれの端部を連結するための連結部材で連結することによって方形状に組み付けられるものである。なお、外枠2の上部に設けられる上支持金具7と下部装飾板6の一側上面に設けられる下支持金具8に、本体枠3の上下に固定される上軸支金具47及び下軸支金具48とを係合することにより、本体枠3が外枠2に対して開閉自在に軸支されている。
また、本体枠3には、上記したように遊技盤4が着脱自在に装着し得る他に、図4に示すように、その裏面に賞球を払い出すための賞球タンク50、タンクレール部材51、球通路ユニット52、及び球払出装置(球払出ユニット)53が取り付けられ、その裏面下部に発射装置57と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板395(図41参照)等が一纏めに設けられている基板ユニット54が取り付けられ、更に、本体枠3の後面開口70(図8参照)を覆うカバー体58が着脱自在に設けられている。
更に、扉枠5には、上記した皿ユニット300に、ハンドルユニット318が設けられている。そして、扉枠5に設けられる皿ユニット300が1つであり、しかも、従来は本体枠3に設けられていたハンドルユニット318が扉枠5側である皿ユニット300に設けられ、また、扉枠5と本体枠3とが正面から見てほぼ同じ方形の大きさであるため、正面から本体枠3が視認できなくなっている。
[本体枠について]
まず、遊技盤4が前面側から着脱自在に装着し得ると共に、発射装置57と、賞球を払い出すための賞球タンク50とタンクレール部材51と球通路ユニット52と球払出装置53と、外枠2に対する本体枠3の施錠及び本体枠3に対する扉枠5の施錠を行う施錠装置60と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット54と、後面開口70を覆うカバー体58等の各種の部品が装着される本体枠3について、主として図4〜図6を参照して説明する。図4及び図5は、前述した通りであり、図6は、本体枠3の正面図である。
遊技盤4が取り付けられる本体枠3の構成について説明すると、本体枠3は、合成樹脂によって一体的に成形されるものであり、本体枠3の一側上下には、本体枠3を外枠2に開閉軸支するための上軸支金具47及び下軸支金具48が取り付けられている。この軸支金具47,48を外枠2に取り付けられる上支持金具7及び下支持金具8にそれぞれ係合することにより、本体枠3を外枠2に対して開閉自在に軸支することができる。
ところで、本体枠3は、正面から見た場合に、図6に示すように、長方形状に形成され、その上部の約3/4が遊技盤4を設置するための遊技盤設置凹部30となっており、その遊技盤設置凹部30の下方のやや奥まった領域が板部32となっている。遊技盤設置凹部30の後方には、遊技盤設置凹部30の空間を形成するために後述する側面壁290〜293が後方に向って突設され、この側面壁290〜293によって囲まれる空間に、遊技盤4及び該遊技盤4に設けられる演出表示装置等の各種部品の後方突出部分が収納されるようになっている。
また、遊技盤設置凹部30を囲む前面側の前面上辺部、前面右側辺部、及び前面左側辺部には、上記した構成以外に開放側である前面右側辺部の上部、中間部、下部に本体枠3の開放側裏面に取り付けられる後述する施錠装置60に設けられる扉枠フック部61を貫通させて前方に飛び出させるためのフック用開口36が開設されており、また、軸支側である前面左側辺部の内側面に遊技盤4に形成される位置決め凹部466と係合するための盤位置決め突起37が設けられている。
次に、本体枠3の前面側の構成であって遊技盤設置凹部30の下方に位置する板部32に設けられる構成について説明すると、図6に示すように、板部32の前面の中央部から開放側の端部に向かって発射レール38がビス止め固定されている。この発射レール38の先端位置に対応する板部32の前面には、レール接続部材44が突設され、遊技盤設置凹部30に遊技盤4が設置されたときに、遊技盤4の外レール472の下流端である接続通路部477と隣接するようになっている。レール接続部材44の側方位置(発射レール38と反対側の位置)には、遊技盤4の下部を固定するための楕円形状の遊技盤固定具46が回動自在に取り付けられている。この遊技盤固定具46は、前記遊技盤設置凹部30に遊技盤4が載置された状態で時計方向に回動して遊技盤固定具46を遊技盤4の前面に押圧して遊技盤4を固定するものである。一方、遊技盤4を取り外す場合には、遊技盤固定具46を反時計方向に回すことにより、遊技盤4の下部の固定の解除を簡単に行うことができる。更に、遊技盤固定具46の軸支側の側方に賞球払出ストッパー機構39が設けられている。この賞球払出ストッパー機構39は、球払出装置53から払出された賞球を扉枠5側の皿ユニット300に払い出す賞球通路の途中に設けられるもので、扉枠5を開放したときに、自動的に賞球通路を閉塞して賞球通路から外部に球がこぼれ落ちないようにする一方、扉枠5を閉じたときに自動的に賞球通路を連通させて球払出装置53から払出された賞球を皿ユニット300に払い出すものである。なお、発射レール38の発射位置の上方の板部32には、遊技盤4に形成される締結部469と図示しない締結具で締結するための締結穴41が形成されている。
また、板部32の開放側下部は、手前側に膨出状に突設された(裏面から見れば凹状となっている)直方体状の発射装置取付部40が形成されており、この発射装置取付部40に本体枠3の裏面から発射装置57が固定されている。また、発射装置取付部40の前面壁部分には、扉枠5の裏面側に取り付けられるスライドユニット230のスライド係脱片231(図1参照)が挿入されるハンドル連結窓40aが形成され、扉枠5を閉じたときに後述するスライド係脱片231がハンドル連結窓40aに挿入されて扉枠5の下部前面に設けられるハンドルユニット318と発射装置57とが連携されて、ハンドルユニット318の回動操作量に応じた強さで発射装置57の弾発力を調節することができるようになっており、それによって発射レール38の発射位置にある球を弾発して遊技領域20の所望の位置に打ち出すことができる。
本体枠3の前面構造は、概ね上記した通りであるが、次に、主として図4を参照して本体枠3の裏面構造について説明する。図4に示すように、本体枠3の裏面上部には、賞球又は貸球として払い出すための球を貯留する賞球タンク50が着脱自在に装着され、その賞球タンク50の下方に該賞球タンク50からの球を横傾斜状に誘導するタンクレール部材51が配置され、さらにタンクレール部材51の流下端から下方に向けて球通路ユニット52及び球払出装置53が設けられている。タンクレール部材51は、賞球タンク50からの球を前後方向に2列に整列させながら下流側に誘導するものであり、そのタンクレール部材51の下流端から球通路ユニット52に球が移動する際に1列となって球通路ユニット52内を落下する。そして、球通路ユニット52から球払出装置53に導かれた球は、次に説明する払出制御基板ボックス55に収納される払出制御基板720(図41参照)によって実行される払出制御プログラムに応じて所定個数の賞球や貸球を払出し、その払出した球を扉枠5の前面側に設けられる皿ユニット300に排出するようになっている。なお、球払出装置53には、詳細に図示しないが払出モータと該払出モータによって回転駆動されて球を1個単位で払い出す回転払出部材が設けられている。
更に、本体枠3の裏面には、その下部に基板ユニット54が取り付けられている。この基板ユニット54には、払出制御基板ボックス55、外部端子板56、電源基板ボックス(図示しないが払出制御基板ボックス55及び外部端子板56の奥側に固定されている。)等の遊技盤4に設けられない基板ボックスが集約して設けられている。つまり、遊技盤4が交換されても交換する必要のない制御基板を収納する基板ボックスが集約して設けられるものである。そして、遊技盤4を遊技盤設置凹部30に収納設置した際に、遊技盤4側に設けられる主制御基板と基板ユニット54に設けられる基板であって主制御基板と接続する必要のある基板との電気的な接続が自動的に行われるようになっている。上記した基板ユニット54の下方であって前記発射装置取付部40には、ユニット化された発射装置57が取り付けられている。さらに、本体枠3の前述した側面壁290〜293の後端に沿って形成される後面開口70には、カバー体58が開閉自在に設けられている。このカバー体58は、遊技盤4の後方部の全域を覆うものであり、このカバー体58を取り付けて閉じた状態では、図5に示すように、パチンコ機1の最も後方へ突出している前記タンクレール部材51の後端部とほぼ同一垂直面となるように形成されている。
また、本体枠3の開放側裏面には、施錠装置60が固定されている。この施錠装置60は、本体枠3の外枠2に対する施錠、及び扉枠5の本体枠3に対する施錠の両方の施錠を行う、所謂W錠といわれるものであり、この施錠装置60から本体枠3の前方に向けて複数(本実施形態においては3個)の扉枠フック部61とシリンダー錠62(共に図1参照)とが突出するように設けられている。
次に、遊技盤設置凹部30の構成について説明する。図7は、部品を取り付ける前の本体枠3の側面図であり、図8は、部品を取り付けた本体枠3の前方から見た斜視図である。遊技盤設置凹部30は、正確には、図7及び図8に示すように、上辺部と開放側の一部に遊技盤4を収納しない前向きの鍔面部分があり、上辺部の鍔面部分には特に何も形成されていないが、開放側の鍔面部分には、施錠装置60の扉枠フック部61が貫通するフック用開口36が上中下の3箇所開設されている。つまり、開放側の鍔面部分の裏面に施錠装置60が固定されている(図4参照)。
しかして、遊技盤設置凹部30は、軸支側の内側面及び上記した上辺部及び開放側の鍔面部から後方へ周設される第一側面壁290と、該第一側面壁290から後方に周設される第二側面壁291と、該第二側面壁291から後方に周設される第三側面壁292と、該第三側面壁292から後方に周設される第四側面壁293、とにより、本体枠3の左右側辺及び上辺の後方部分が囲まれた凹状に形成されているものである。なお、第一側面壁290〜第四側面壁293は、背面から見て上辺及び右辺(軸支側の辺)が段差をもって後方に真っ直ぐに延長されるように形成されるのに対し、左辺(開放側の辺)が第一側面壁290から第四側面壁293に向かうにしたがって内側に傾斜する段差状(図5参照)に形成される。これは、左辺(開放側の辺)の第一側面壁290から第四側面壁293までを後方に真っ直ぐ形成したときに、本体枠3を開放する際に、第四側面壁293の最後端部が外枠2の側枠板の内面と当接してスムーズに開放できない場合があるため、開放側の第一側面壁290から第四側面壁293までが内側傾斜状とすることによりスムーズに開放することができるようにしたものである。それと同時に開放側の第一側面壁290に沿って施錠装置60が取り付けられるが、その取付けを第一側面壁290の後端辺に設けられる錠取付穴(図示外)を利用して行うため、その錠取付穴(図示外)を形成するためにも開放側の第一側面壁290から第四側面壁293を傾斜段差状に形成したものである。更に、第一側面壁290〜第四側面壁293の段差の寸法も、第一側面壁290と第二側面壁291との段差は、遊技盤4の裏面の周辺と当接する必要があるため、ある程度大きな段差をもって形成されるが、それ以外の段差は、極めて小さな段差となっている。
そして、上記した側面壁290〜293は、図7に示すように、それぞれ奥行き幅寸法d1,d2,d3,d4を有するように形成され、本実施形態の場合、d1+d2+d3+d4=約90mmとなっている。特に、第一側面壁290の幅寸法d1は、遊技盤4の厚みに相当し、残りの第二側面壁291と第三側面壁292と第四側面壁293とによって形成される空間に遊技盤4に設けられる各種の遊技装置の後方突出部分が収納されるようになっている。特に、本実施形態の場合には、次に説明するように、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁291と第三側面壁292と第四側面壁293とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を占めるような演出表示装置115等が取り付けられている場合においても、そのような各種部品による後方突出部分を楽に収納することができるものである。
また、第四側面壁293の後端辺からは背面から見てその左辺、上辺及び右辺に、左後面壁294、上後面壁295及び右後面壁296がそれぞれ内側に向かって突設されている。右後面壁296は、その前面が平板状となっており、その後面に球通路ユニット52と球払出装置53とが着脱自在に取り付けられるようになっている。したがって、右後面壁296の内側への突出幅は、球通路ユニット52と球払出装置53とを取り付ける幅があれば充分である。また、上後面壁295は、その前面が平板状となっており、その後面にタンクレール部材51が取り付けられるため、その下端辺が傾斜状に形成されている。したがって、上後面壁295の内側への突出幅は、傾斜状に取り付けられるタンクレール部材51の高さ幅寸法があれば充分である。更に、右後面壁296には、その前面が平板状となっており、その後面にカバー体58を軸支するカバー体支持筒部280が形成されている。したがって、右後面壁296の内側への突出幅は、カバー体支持筒部280を形成する幅寸法があれば充分である。
上述したように、第四側面壁293の後端辺から内側に向かって突設される左後面壁294、上後面壁295及び右後面壁296の前面が平板状に形成され、この平板状部分が遊技盤4の周辺部に対応するものであるため、上記したように、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁291と第三側面壁292と第四側面壁293とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を占めるような演出表示装置115等が取り付けられている場合においても、そのような各種部品による後方突出部分を楽に収納することができるものである。なお、左後面壁294、上後面壁295及び右後面壁296の内側は、後面開口70となっており、この後面開口70がカバー体58(図4参照)によって開閉自在に閉塞されるようになっている。
[扉枠について]
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図9〜図11を参照して説明する。図9は、扉枠5の背面図であり、図10は、扉枠5の正面から見た分解斜視図であり、図11は、扉枠5の背面から見た分解斜視図である。
図9〜図11に示すように、扉枠5は、方形状に形成される扉枠本体100の上部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、該遊技窓101の前面周囲に扉レンズユニット120が取り付けられ、また、遊技窓101の下方の板状部の前面に扉枠本体100に皿ユニット300が設けられ、その皿ユニット300の一側(開放側)にハンドルユニット318が突設固定されている。また、扉枠本体100の裏面には、遊技窓101の周囲に補強板金160が固定され、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット190が取り付けられると共に、前記遊技窓101の下方の板状部の裏面に、前記ハンドルユニット318に対応するスライドユニット230、装着台220、及び枠装飾中継端子板240がそれぞれ取り付けられている。なお、ガラスユニット190の裏面下部には、防犯機能を有する防犯カバー210も装着されている。
扉枠本体100は、合成樹脂によって額縁状に形成され、前述したように上方部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、その遊技窓101の下方が板状部となっている。遊技窓101の上部左右には、スピーカ144a,144bを貫通させる円形状のスピーカ用開口102が形成され、そのスピーカ用開口102の下方にガラスユニット190の止め片194を係止するための止めレバー108が回動自在に設けられている。
一方、遊技窓101の下方の板状部には、軸支側上部に皿ユニット300の賞球連絡樋431(図16及び図17参照)が貫通する賞球通過口103が開設され、その斜め中央寄りに側面開口蓋383(図16及び図17参照)を脱着するための蓋用開口105が開設され、その蓋用開口105の開放側の隣接する位置に球送りユニット226を装着するための球送り開口104が開設され、さらに球送り開口104のさらに開放側寄りに前記シリンダー錠62が貫通するための錠穴106が開設されている。また、球送り開口104の下方の板状部の裏面側にスライドユニット230を取り付けるためのスライドユニット装着凹部107が形成されている。同じく、下方の板状部の裏面側の遊技窓101の下部左右に、ガラスユニット190の掛止突片195を掛け止めるための係合受片(図示外)が形成され、その係合受片の側方に防犯カバー210の装着弾性片213が装着される装着開口部110が形成されている。また、板状部の前面中央には、前方に向って皿ユニット300の案内穴436(図17参照)に挿入される係合突起111が形成されている。更に、扉枠本体100の下辺は、後方に突出した扉枠突片112となっており、この扉枠突片112と本体枠3に形成される係合溝42,43(図1参照)とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
(扉レンズユニット)
次に、上記した扉枠本体100の前面側の上部に取り付けられる扉レンズユニット120の構成について主として図12〜図14を参照して説明する。図12は、扉枠5の前面側に取り付けられる扉レンズユニット120の正面から見た分解斜視図であり、図13は、扉レンズユニット120のレンズカバー140と皿ユニット300に設けられるレンズカバー309との関係を示すパチンコ機1の正面斜視図であり、図14は、スピーカカバー146a,146b及び装飾部材149a,149bを構成する部材のうち、LEDに照射される部材を取り除いた場合の扉枠5の正面図である。
図12〜図14に示すように、扉レンズユニット120は、前面側を反射面とするリフレクタ122,130a,130bと、該リフレクタ122,130a,130bの前面及び内側に取り付けられる冷陰極管132,134a,134b及びLED基板137,138a,138bと、前記リフレクタ122,130a,130bの前方を覆う光透過性のあるレンズカバー140と、該レンズカバー140に取り付けられるスピーカ144a,144bと、前記レンズカバー140のベースとなるレンズベース体121と、から構成されている。
レンズベース体121は、平面視で前方が円弧で後方が直線の後面が開放した内部中空の三角形状に合成樹脂によって形成され、その中空内部に冷陰極管132,134a,134bに高電圧の電流を供給するインバータ基板136が収納固定されている。また、レンズベース体121の前面及び底面に当接するように断面L字状の上リフレクタ122が取り付けられている。この上リフレクタ122は、白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されており、この白色着色樹脂によって反射率を高めた表面を有するものとしている。つまり、上リフレクタ122の表面は、上冷陰極管132及びLED137aから発せられた光を反射する反射面となっている。次に説明する側方リフレクタ130a,130bも同様に白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されている。ところで、上リフレクタ122の両端部に、上冷陰極管132の両端を支持するための電極支持部125が形成され、さらに上リフレクタ122の前面に適宜間隔を置いて上冷陰極管132を支持するために先端部がU字状に形成された陰極管支持片123が突設されている。これは、上冷陰極管132の中央が屈曲された「く」字状に屈曲して形成されているので、中央の屈曲部に応力がかかって破損しやすいため、両端の電極支持部125だけではなく適宜間隔を置いて陰極管支持片123で支持し、しかも、上冷陰極管132を陰極管支持片123に支持する際には、耐熱性ゴムパッキン(図示外)に挟んで上冷陰極管132が動かないように支持することにより、より破損し難い支持構造とすることができる。また、両端の電極支持部125は、上方が開放されていると共に、内側に向いている周壁に上冷陰極管132の端部を受け入れるように一辺が開口した電極挿入孔(図示外)が形成されており、この電極挿入孔に上冷陰極管132の配線が接続された端部に取り付けられた弾性変形し得るゴム製スリーブ133を開口部分の対面方向である上方から挿入し、その後、電極支持部125の上方から電極蓋127を嵌め込むことにより、上冷陰極管132を上リフレクタ122の前面に装着することができる。このように上リフレクタ122の両端部にゴム製スリーブ133を装着し、そのゴム製スリーブ133部分を電極支持部125の電極挿入孔(図示外)に遊嵌状態で支持させることにより、上冷陰極管132が衝撃等により振動しても、ゴム製スリーブ133がその振動を吸収する際に、上冷陰極管132の端部が電極支持部125の部分で揺動あるいは摺動して破壊応力が弱められるので、電極支持部125部分及び上冷陰極管132の屈曲部での上冷陰極管132の破損を防止することができる。なお、上リフレクタ122の左右端には、スピーカ144a,144bを貫通させるスピーカ貫通穴128a,128bが形成されている。
上記の上リフレクタ122の両端に側方リフレクタ130a,130bが垂下するように連結されている。この側方リフレクタ130a,130bも上リフレクタ122と同様に白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されており、この白色着色樹脂によって反射率を高めた表面を有するものとしている。つまり、側方リフレクタ130a,130bの表面は、側方冷陰極管134a,134b及びLED138cから発せられた光を反射する反射面となっている。側方リフレクタ130a,130bの前方に取り付けられる側方冷陰極管134a,134bは、直線状のものであるため、その側方冷陰極管134a,134bを支持する電極支持部131a,131bが、側方リフレクタ130a,130bの上下端部の2箇所に形成されている。もちろん、電極支持部131a,131bに側方冷陰極管134a,134bが支持される際には、上冷陰極管132と電極支持部125との関係を同じように、側方冷陰極管134a,134bの端部にゴム製スリーブ135a,135bが装着され、そのゴム製スリーブ135a,135bが電極支持部131a,131bに当接して支持されるようになっている。これにより、側方冷陰極管134a,134bが振動しても破損し難い支持構造とすることができる。
上記した上リフレクタ122及び側方リフレクタ130a,130bの内側(遊技窓101を縁取る位置)には、多数のLEDが実装されたLED基板137,138a,138bが取り付けられている。このLED基板137,138a,138bに実装されるLED137a,138c(LED基板138a,138bに実装されるLEDを同じ符号の138cと表示する。)によって次に説明するレンズカバー140の内周面が装飾される。
上記したレンズベース体121と上冷陰極管132及び側方冷陰極管134a,134bが装着された上リフレクタ122及び側方リフレクタ130a,130bとは、レンズカバー140の裏面側に固定される。レンズカバー140は、前記レンズベース体121と上冷陰極管132が装着された上リフレクタ122に対応する上レンズカバー部141と、前記側方冷陰極管134a,134bが装着された側方リフレクタ130a,130bに対応する側方レンズカバー部142a,142bとが透過性の樹脂によって形成されている。より詳細に説明すると、上レンズカバー部141及び側方レンズカバー部142a,142bは、共に白色レンズ部として断面楔状の前方膨出部が合成樹脂で成形され、その白色レンズ部141,142a,142bの下部後端の遊技窓101を縁取る内側に着色の異なる合成樹脂で成形された赤色レンズ部(図示外)を連結して構成されるものである。そして、この赤色レンズ部(図示外)を前記上LED基板137及び側方LED基板138a,138bに直線状に実装される複数のLED137a,138cによって照明するものである。
ところで、上レンズカバー部141は、内部が空洞で後方が開放した断面楔状に形成されると共に平面視においてブーメラン形状に構成されるものであり、前述した「く」字状に形成される上冷陰極管132とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。そして、上レンズカバー部141の楔状先端部外側には、銀色に着色された先頭レンズ部141cが接着されており、上レンズカバー部141のほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面を上冷陰極管132で照明している。また、側方レンズカバー部142a,142bは、内部が空洞で後方が開放して断面楔状に形成される点で上レンズカバー部141と同様であるが、側方視において楔状の突出量が上レンズカバー部141に比べて少なく、また全体としてなだらかな曲線を有するブーメラン形状に構成されるものであり、前述した直線状に形成される側方冷陰極管134a,134bとその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。そして、側方レンズカバー部142a,142bの楔状先端部外側には、銀色に着色された先頭レンズ部142cが接着されており、側方レンズカバー部142a,142bのほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面を側方冷陰極管134a,134bで照明している。
上記した実施形態においては、リフレクタ122,130a,130bによって区画される空間に配置される発光源として、冷陰極管132,134a,134bとLED137a,138cとし、それぞれに対応するレンズカバー141,142a,142bとして色彩の異なる合成樹脂で成形して連結しているので、レンズカバー141,142a,142bを冷陰極管132,134a,134bとLED137a,138cとによって好適に照射される構造及び色彩で成形することができるものである。もちろん、種類の異なる発光源として、冷陰極管132,134a,134bとLED137a,138cの組み合わせに限らず、両者ともLEDとして構成してもよい。
また、レンズカバー140の上レンズカバー部141と側方レンズカバー部142a,142bとの連結部分には、スピーカ144a,144bを取り付けるためのスピーカ取付穴143a,143bが穿設されている。スピーカ144a,144bは、スピーカコーン145aが前面に設けられるものであり、そのスピーカコーン145aを支持するコーン支持体を取付部材(図示しない)によってスピーカ取付穴143a,143bの裏面から取り付けるようになっている。また、スピーカ取付穴143a,143bの前面は、網目状カバー147a,147bがその前面に取り付けられたスピーカカバー146a,146bによって覆われている。このようにスピーカ144a,144bの前面は、網目状カバー147a,147b(パンチングメタル)を有するスピーカカバー146a,146bによって覆われている。
更に、レンズカバー140の側方レンズカバー部142a,142bの下方に装飾部材取付領域148a,148bが形成され、その装飾部材取付領域148a,148bに装飾部材149a,149bが取り付けられている。この装飾部材149a,149bは、上記したスピーカカバー146a,146bと類似した形状にして、レンズカバー140を扉枠本体100の表面に取り付けたときに、レンズカバー140の上部左右と下部左右とがバランスのとれた印象を与えるために取り付けられるものである。
ところで、上記したスピーカカバー146a,146b及び装飾部材149a,149bは、上記したように単にスピーカ144a,144bの前方を覆ったり、あるいはレンズカバー140の下部を装飾したりするだけではなく、その周囲がLEDで光装飾される構造となっている。この構造について説明する。まず、スピーカカバー146a,146bについて説明する。スピーカカバー146a,146bは、合成樹脂で平板状に成形されたカバーベース板151の裏面にLED基板152を密着させる一方、カバーベース板151の前方にスピーカ枠154を内蔵した状態で図示外のインナーレンズや前面レンズで覆い、前面を網目状カバー147a,147bで閉塞する構成となっている。
次に、装飾部材149a,149bについて説明する。装飾部材149a,149bは、合成樹脂で平板状に成形された装飾ベース板155の裏面にLED基板156を密着させる一方、装飾ベース板155の前方に装飾枠158を内蔵した状態で図示外のインナーレンズや装飾レンズで覆い、前面を装飾板159a,159bで閉塞する構成となっている。
以上、詳述したように、本実施形態に係るスピーカカバー146a,146b及び装飾部材149a,149bは、扉枠5の遊技窓101を囲む領域において、前述した冷陰極管132,134a,134b及びLED基板137,138a,138b(図41の枠装飾ランプ842に相当)による光装飾とは別に四隅を重点的に光装飾するように構成されているので、遊技窓101の下辺を除く全周が漫然と光によって装飾されるのではなく、強弱のある光装飾とすることができる。特に、扉枠5の左右上部における光装飾は、従来、スピーカだけが配置される傾向が強く、そのスピーカ周りの光装飾が行われないため遊技窓101の外周周りの光装飾に斑がある印象を与えていたが、本実施形態のように構成することにより、遊技窓101の下辺を除く全周を効果的に光装飾を行うことができるものである。
(補強板金)
次に、扉枠本体100の裏面側に取り付けられる補強板金160について、図10及び図11を参照して説明する。補強板金160は、図10及び図11に示すように、扉枠本体100の上辺部裏面に沿って取り付けられる上側補強板金161と、扉枠本体100の軸支側辺部裏面に沿って取り付けられる軸支側補強板金162と、扉枠本体100の開放側辺部裏面に沿って取り付けられる開放側補強板金163と、扉枠本体100の遊技窓101の下辺裏面に沿って取り付けられる下側補強板金164と、が相互にビス等で締着されて方形状に構成されるものである。
上側補強板金161は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁が後方に向って折曲した上折曲突片165、下折曲突片166となっている。この上折曲突片165及び下折曲突片166は、本体枠3の上部防犯二重溝33(図6参照)に嵌合されるものである。軸支側補強板金162も、所定幅を有して扉枠本体100の縦長寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁が後方に向って折曲されているが、内側の軸支側短折曲突片172は極めて短く、外側の折曲突片が折曲部から先がL字状に形成された軸支側L字状折曲突片167となっている。この軸支側L字状折曲突片167は、そのL字状に曲がった先端部が前述した本体枠3の軸支側の延設された軸支辺部49の内側に当接するようになっている。開放側補強板金163は、所定幅を有して扉枠本体100の縦長寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁が後方に向って折曲した開放側外折曲突片173、開放側内折曲突片174となっている。開放側外折曲突片173は、前述した本体枠3の側部防犯溝34(図6参照)に挿入されるものであり、開放側内折曲突片174は、本体枠3の防犯凹部35(図6参照)に挿入されるものである。また、開放側補強板金163の上部、中間部、下部に施錠装置60の扉枠フック部61が侵入しえるように係合開口175が形成され、その係合開口175の裏面側を覆うように扉枠フック部61が係合するフックカバー176が固定されている。下側補強板金164は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁のうち下方長辺端縁が後方に向って折曲した下折曲突片178となっており、上方長辺端縁の両側部が後方に向って折曲した上折曲突片179となっているものの、その両側部の上折曲突片179に挟まれる部分が垂直方向に延設される垂直折曲突片180となっている。この垂直折曲突片180は、その上端縁形状が後述するガラスユニット190のユニット枠191の下端形状に合致するように凹状に形成され、ガラスユニット190を扉枠5の裏面側に固定したときに、垂直折曲突片180の上端片がガラスユニット190のユニット枠191の幅方向のほぼ中央の外周に沿って形成される係合溝200に係合するようになっている。なお、下側補強板金164には、扉枠本体100に形成される賞球通過口103の底面を除く外周を保護する賞球通過口被覆部177が形成されている。
(ガラスユニット)
次に、扉枠5の裏面に取り付けられる透明板ユニットとしてのガラスユニット190について、図10及び図11を参照して説明する。ガラスユニット190は、図10及び図11に示すように、遊技窓101よりも大きな開口を有する合成樹脂で成型した環状の縦長八角形状のユニット枠191と、該ユニット枠191の開口の外周前後面に2枚の透明板としてのガラス板201(ガラス板でなくても透明な合成樹脂板でもよい。)を接着することにより構成されるものである。ユニット枠191の斜め上部左右には、止め片194が環状の外側に向かって突設形成され、下部左右には、掛止突片195が環状の外側に向かって突設形成されている。この止め片194と掛止突片195とは、前述したように、ガラスユニット190を扉枠5の裏面に取り付けるためのものである。また、本実施形態におけるガラスユニット190は、ユニット枠191の後端面の前記止め片194の上部であってスピーカ144a,144bの側方位置と、軸支側の中間位置に外側に向って突設される防犯用突出板部199をユニット枠191と一体的に形成している。
(防犯カバー)
次に、上記したガラスユニット190の下部裏面を被覆して遊技盤4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与された防犯カバー210について、図10及び図11を参照して説明する。防犯カバー210は、図10及び図11に示すように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金162,163の間のガラスユニット190の下方部を覆うような平板状に形成され、その上辺部が遊技盤4の内レール462の下方円弧面に沿った円弧状の当接凹部211として形成されていると共に、その当接凹部211に沿って後方に向って防犯後突片214が突設されている。また、防犯カバー210を取り付けた状態で軸支側裏面には、防犯後端部突片215が斜め状に突設形成されている。一方、防犯カバー210の前面には、防犯カバー210を取り付けた状態で前記ガラスユニット190のユニット枠191の下方形状に沿った防犯前突片212が突設されると共に、下部両端にU字状に形成される装着弾性片213が前方に向けて突設形成されている。
(装着台)
装着台220は、図10及び図11に示すように、扉枠本体100の板部裏面の上半分を覆うように取り付けられるものであり、防犯カバー210と同様に透明な合成樹脂によって前方が開放した横長直方体状に形成されるものである。この装着台220は、発射レール38から発射された球をスムーズに遊技盤4に導くために、扉枠5を閉めたときに装着台220の後面と板部32とによって発射レール38を挟持するように形成されるものであり、このため、装着台220の後面に球飛送誘導面227が形成されている。ところで、本実施形態に係る装着台220には、その軸支側上部に下側補強板金164に形成される賞球通過口被覆部の後方突出部を貫通させる賞球通過口用開口221が形成され、その開放側下部に球送りユニット226を取り付ける球送りユニット取付凹部222が形成されている。この球送りユニット取付凹部222から斜め方向の領域が前記球飛送誘導面227となっている。また、球送りユニット取付凹部222に取り付けられる球送りユニット226は、発射装置57の打球杆の往復動差に対応して揺動する球送り部材が設けられ、この球送り部材の揺動動作によって皿ユニット300の誘導通路部362の流下端にある球を発射レール38の発射位置に1個ずつ供給するものである。また、装着台220の中程下部に後述する側面開口蓋383を取り外す際に指を入れることができる蓋用開口223が形成されている。更に、装着台220の上辺の一部に垂直に立設される立壁224が形成されている。この立壁224は、前記防犯カバー210を取り付けたときに、該防犯カバー210の前面と当接して防犯カバー210の下部が前方に移動しないように規制するためのものである。
(枠装飾中継端子板)
上記した装着台220の下部の軸支側には、図10及び図11に示すように、枠装飾中継端子板240が取り付けられ、その枠装飾中継端子板240の後面を覆う中継基板カバー241が取り付けられている。この枠装飾中継端子板240は、扉枠5に設けられる電飾部品や電気部品(冷陰極管132,134a,134b、LED基板137,138a,138b、スピーカ144a,144b,341a,341b、ハンドルユニット318内に設けられるスイッチ、貸球ユニット324、操作ボタンユニット326等)からの配線が集約して接続され、その枠装飾中継端子板240からの配線が本体枠3の裏面に取り付けられる基板ユニット54に組み込まれる中継基板等を介して払出制御基板ボックス55の払出制御基板や遊技盤4に取り付けられる主制御基板ボックス25の主制御基板に接続されている。
(波送受装置)
図2、図3および図14に示すように、扉枠5の正面側には、遊技窓101の左右両側面における上部における両傾斜部(スピーカカバー146a,146bに隣接する部分)に、各々波送受装置188a,188bが設けられている。
これらの波送受装置188a,188bは、各々周囲に配置されている他のパチンコ機が出力した当選波(例えば、指向性のある超音波などの当選波)を検出する機能を有する。具体的には、これら波送受装置188a,188bとしては、音センサの一例としてのいわゆるダイナミック型(導電型)マイクロホンを採用している。このダイナミック型マイクロホンは、磁石とコイルを用いたものを採用し、コイルが振動することによって発生した逆起電力によって上記当選波を検出する方式を採用している。また、このダイナミック型マイクロホンとしては、コンデンサを用いたものを採用してもよく、このマイクロホンは振動による容量変化から当選波を検出する方式を採用してもよい。
なお、本実施形態で用いる「右」とは、パチンコ機1に遊技者から向かって右方向を示しており、また「左」とは、パチンコ機1に遊技者から向かって左方向を示している。従って、この波送受装置188aは、例えば左側に波を出力したり左側に配列するパチンコ機が出力した波を検出する。一方、波送受装置188bが、例えば右側に波を出力したり右側に配列するパチンコ機が出力した波を検出する。このようにして波送受装置188a,188bは、各々波の出力源の方向を特定することができるようになっている。本実施形態では、波送受装置188aが左から当選波を検出した場合、「OFF(0)」であった当選波左検出フラグを「ON(1)」と設定する一方、波送受装置188bが右から当選波を検出した場合、「OFF(0)」であった当選波右検出フラグを「ON(1)」と設定するが、詳細は後述する。
(皿ユニット)
次に、図15〜図17を参照して皿ユニット300の構成について説明する。図15は、扉枠5の前面に設けられる皿ユニット300の正面図であり、図16は、皿ユニット300の正面から見た分解斜視図であり、図17は、皿ユニット300の背面から見た分解斜視図である。
図16及び図17に示すように、皿ユニット300は、大きく分けて外観を構成するユニット枠301と、該ユニット枠301の内部に取り付けられる下部スピーカユニット330と、該下部スピーカユニット330の上部に配置され且つ前記ユニット枠301の上面に臨むように設けられる皿体360と、該皿体360に設けられる第二球抜弁375の球抜き動作をするための第二球抜リンクユニット400と、ユニット枠301の後面を閉塞する皿蓋体430と、から構成されている。そこで、まずユニット枠301について説明する。
図15〜図17に示すように、ユニット枠301は、上面が手前側に向って緩やかに傾斜する平面視半楕円形状の上面カバー部302と、該上面カバー部302の手前側から連続して前面と底面とを構成する前面カバー部303と、が合成樹脂によって一体的に成形されている。上面カバー部302の奥側には、扉枠本体100の前面側に当接する垂直カバー部302aも一体的に形成されている。この垂直カバー部302aには、その中央に貸球ボタンユニット用開口323が開設され、この貸球ボタンユニット用開口323に貸球ユニット324が裏面側から装着し得るようになっている。貸球ユニット324は、パチンコ機1に隣接して球貸し機が設けられている場合に、貸出指令を導出するスイッチや貸出残表示器等が設けられるものである。
また、上面カバー部302の垂直カバー部302aの立ち上がり部から前方に皿体上面開口部305が開設され、その前方中央に操作ボタンユニット用凹空間部306が形成され、該操作ボタンユニット用凹空間部306から左右の上面カバー部302の前端部に沿ってLED装飾空間部307が穿設され、さらに皿体上面開口部305の側方に第一球抜ボタン313を取り付けるための第一球抜ボタン用開口313aが設けられている。上記した皿体上面開口部305には、皿体360の貯留部361及びこれに連通する誘導通路部362の上面開口と同一形状に形成され、ユニット枠301に皿体360を取り付けたときに、皿体上面開口部305に皿体360の貯留部361及び誘導通路部362が臨むようになっている。
上記した操作ボタンユニット用凹空間部306には、空間部形成部材310が取り付けられ、該空間部形成部材310に操作ボタンユニット326が装着されるようになっている。空間部形成部材310には、操作ボタンユニット326の係合突片(図示外)を係合するための係合穴312と、操作ボタンユニット326の固定ネジ穴(図示外)を止着するためのネジ止め部311と、さらに操作ボタンユニット326を空間部形成部材310内に差し込んだときに操作ボタンユニット326の底面に設けられるコネクタ(図示外)と接続される配線のコネクタ310aを収納する配線収納開口310bが形成されている。なお、操作ボタンユニット326は、複数(図示の場合は3個)の操作ボタン327を有して構成されているが、この複数の操作ボタン327は、遊技盤4に設けられる演出表示装置115等で行われる遊技内容に遊技者が参加する際に操作されるものである。
更に、第一球抜ボタン313は、上面カバー部302の第一球抜ボタン用開口313aに装着された摺動支持部材314を介して上面カバー部302に取り付けられるものであり、その摺動支持部材314内を上下方向に摺動するようになっている。そして、第一球抜ボタン313が遊技者によって押圧操作されると、該第一球抜ボタン313の下方に位置する回動部材366が回動軸367を中心にして時計回転方向に回動し、その回動部材366の下端に連携されるスライド弁365が移動する。スライド弁365は、常にはバネ369により付勢されて皿体360の誘導通路部362の下流端部を閉塞した位置にあるが、上記のように第1球抜ボタン313の操作により移動したときには、誘導通路部362から退避し、誘導通路部362と該誘導通路部362の下流側に連続する第一球抜通路部364とを連通させる。これにより皿体360の貯留部361及び誘導通路部362に貯留されていた球を皿体360から球抜きすることができる。この構造については、皿体360の説明の際にさらに詳述する。
次に、ユニット枠301の前面カバー部303の構成について説明する。前面カバー部303は、上記したように上面カバー部302の手前側から連続して前面と底面とを構成するように構成されているため、前面カバー部303の前面部分は、中央部分が最も前方に突出し左右に離れるほど奥側に傾斜している。しかして、前面カバー部303の前面部分の中央突出部の左右には、スピーカ用開口315a,315bが開設され、そのスピーカ用開口315a,315bが網目状のスピーカカバー316a,316b(パンチングメタル)によって被覆されている。そして、スピーカカバー316a,316bの後方には、下部スピーカユニット330に収納固定される2つのスピーカ341a,341bが位置することになる。なお、スピーカ用開口315a,315bは、前面カバー部303の前面中央の突出部から奥側に向って傾斜する傾斜状面に形成されるものであるから、正面から見た場合に、パチンコ機1の中心縦ラインから外側に向って開放していることになる。そして、前面カバー部303の前面中央の突出部からスピーカ用開口315a,315bの上部及び下部の開口縁までを縁取るように前面装飾板304が取り付けられている。
また、前面カバー部303の開放側端部下方にハンドルユニット318を取り付けるためのハンドル取付穴317が開設されている。ハンドルユニット318は、周知のように、打球の弾発力を調節するためのものであり、このため遊技者が操作し得る回動操作部材318aが設けられ、その回動操作部材318aを回動操作することにより、回動軸の後端に固定される係合カム319が回動する。そして、前述したように、係合カム319の回動運動をスライドユニット230のスライド係脱片231のスライド移動運動に変換することにより発射装置57の弾発力の強弱を調節することができるようになっている。
ここで、第二球抜リンクユニット400は、第二球抜ボタン401と、該第二球抜ボタン401が係止されて揺動する押圧揺動部材(図示外)と、該押圧揺動部材(図示外)の押圧動作を前記第二球抜弁375の球抜き揺動動作として伝達するためにリンク部材取付板(図示外)に取り付けられる第一リンク414及び第二リンク419と、から構成されている。
そして、前面カバー部303の中央下部には、第二球抜リンクユニット400の一部を構成する第二球抜ボタン401を臨ませるための第二球抜ボタン用開口320が開設されている。また、前面カバー部303の底面中央には、前記第一球抜ボタン313及び第二球抜ボタン401を操作したときに球抜きされた球を皿ユニット300の外部に排出するための球排出口322が形成され、その球排出口322の斜め前方に前記操作ボタンユニット326を取り付けるための締具挿入穴325が形成されている。なお、本実施形態において、第一球抜ボタン313と第二球抜ボタン401の2つの球抜ボタン313,401を設けたのは、第一球抜ボタン313の操作によって、皿体360の貯留部361及び誘導通路部362に貯留されているすべての球を球抜きすることができるものの、その球抜動作は、誘導通路部362で一列状に整列された球を球抜するために多少時間がかかるのに対し、第二球抜ボタン401の操作によって、皿体360の貯留部361から上流側の球を径の大きな第二球抜開口388から素早く球抜することができるため、球抜時間を短くすることができる。このため、遊技者が球抜きにかける時間の長短を選択することができるものである。また、遊技中に大当たりとなった場合に皿ユニット300に大量の球が払出されることになり、これを放置して遊技を継続すると皿ユニット300の上流側に設けられる受皿満タンスイッチ730が機能して払出動作が停止されたり弾発動作が停止されて大当たり中であるにも拘らず遊技が継続できなくなるおそれがあり、このような場合に、第二球抜ボタン401の操作を行うことにより、皿ユニット300に貯留されつつある球を球抜すると同時に発射位置への球の供給を維持して大当たり中の遊技を継続することができるようになっている。
次に、皿ユニット300のユニット枠301の裏面を閉塞する皿蓋体430の構成について説明する。皿蓋体430は、ユニット枠301の裏面のほぼ全域を閉塞するように長方形状の平板として合成樹脂によって成形され、その前面側のほぼ中央に球抜通路後樋433が一体的に突設形成されている。球抜通路後樋433には、上下に球を前方に誘導する湾曲状の上誘導樋434と下誘導樋435とが形成され、皿蓋体430をユニット枠301の裏面に取り付けた状態において、下部スピーカユニット330のスピーカボックス本体331に形成される球抜通路前樋337と対面して皿内球抜通路を構成しているものである。このとき、球抜通路前樋337に形成される誘導樋338が球抜通路後樋433の上誘導樋434と下誘導樋435との間に位置するようになっているので、皿内球抜通路は蛇行状に形成されることとなり、球抜きされた球が勢いを弱めながら球排出口322から外部に排出されるようになっている。
また、皿蓋体430には、上記した球抜通路後樋433の上部側方に開口蓋取付窓432が開設され、また、一端側(軸支側)上部裏面に四角筒状の賞球連絡樋431が突設されている。賞球連絡樋431は、皿ユニット300を扉枠本体100の表面に取り付けたときに、扉枠本体100の軸支側下部に形成された賞球通過口103を貫通して扉枠本体100の裏面側にまで貫通するものであり、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態で本体枠3に形成される賞球通路の末端と重合状に対面するものである。また、開口蓋取付窓432は、皿体360の第2球抜通路部(図示外)の側壁開口(図示外)を閉塞する側面開口蓋383を着脱自在に取り付けるための開口であり、扉枠本体100に形成される蓋用開口105(図11及び図12参照)に対応する位置に設けられるものである。
[遊技盤の構成について]
図18〜図22に基づき説明する。図18は遊技領域を有する遊技盤と、その遊技盤に装着された複数のユニットとを組付けたパチンコ主要部の構成を示す拡大正面図であり、図19はパチンコ主要部を左上前方から示す斜視図であり、図20はパチンコ主要部を右上前方から示す斜視図であり、図21は遊技領域を有する遊技盤を右上前方から示す斜視図であり、図22はパチンコ主要部を分解して斜め前方から示す分解斜視図である。
図21及び図22に示すように、遊技盤4は、略円形の開口260を有する前構成部材261と、前面側に前構成部材261が取り付けられると共に前構成部材261と同様の形状の開口(図示しない)を有する遊技盤ベース262と、前構成部材261及び遊技盤ベース262の間に挟まれ、前構成部材261の開口260及び遊技盤ベース262の開口を閉鎖する透明の遊技領域板81とを具備して構成されている。そして、遊技領域板81の表面には、開口260内に遊技球を案内する外レール472及び内レール462からなる案内レール78、主入賞口ユニット264、及び通過ゲート612等が取付けられ、遊技領域板81に形成された開口部98には主役物263の主要部である額縁状のセンター役物247が取付けられている。つまり、開口260で囲まれた遊技領域板81の表面に遊技領域20が区画形成されており、この遊技領域20内には、多数の障害釘(図示しない)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に、上述の主役物263、風車219、通過ゲート612、及び主入賞口ユニット264等が配置されている。なお、遊技領域20内の中央最下部には、入賞口等に入賞しなかった遊技球を遊技領域20内から排出するアウト口471が設けられている。なお、通過ゲート612には、通過ゲート612に遊技球が通過したことを検出するゲートセンサ760(図41参照)が設けられている。
遊技領域板81は、ポリカーボネイト樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂等の樹脂材料に弾性樹脂材料(本実施品はゴム)を所定割合含有させた透明な樹脂を、押出し成形して形成されていると共に、その押出し方向が上下方向に対して交わる方向となるように形成されている。遊技領域板81を構成する樹脂材料に弾性樹脂材料を含有させることにより、障害釘等が遊技領域板81に打設されてもクラックが入ることがなくなると共に、流下する遊技球などによるキズも抑制する事ができ、遊技者の興趣が低下するのを防止することができる。なお、押出し方向を上下方向に対して約45度の方向となるように形成することが望ましい。また、遊技領域板81の厚さは、打設される障害釘などを充分に保持することのできる必要最低限の厚さ(8〜10mm)とされており、遊技盤ベース262の厚さの略半分の厚さとされている。
これにより、遊技領域板81の押出し方向が上下方向に対して交わる方向、つまり、押出し方向が上下方向以外の方向となるように形成されているので、例えば、遊技領域板81の後方に演出表示装置115(図18参照)や透光装飾体パネル242等を配置した場合、遊技領域板81と演出表示装置115や透光装飾体パネル242等のドットマトリックスとが干渉して、モアレが発生するのを可及的に抑制することができ、モアレにより演出表示装置115や透光装飾体パネル242等が見辛くなるのを防止することができる。
また、図22に示すように、遊技盤4の後側には、前面に透光装飾体パネル242が装着された装飾体ユニット80を具備しており、透明な遊技領域板81を透過し、開口260を通して遊技者側から視認可能な透光装飾体パネル242と、装飾体ユニット80に対して後方から装着され装飾体開口部249を通して視認可能な演出表示装置115と、各種基板が装着される基部であり、装飾体ユニット80の後下部に取着されアウト口471に流入した遊技球を受ける部材でもある基板ホルダー96とが組付けられている。
(主役物の構成について)
次に、遊技盤4における主役物263の主要部であるセンター役物247の具体的な構成について、図18〜図25に基づき詳細に説明する。図23はセンター役物247を正面から示す正面図であり、図24はセンター役物247を右上前方から示す斜視図であり、図25はセンター役物247を分解して構成を正面から示す分解斜視図である。
図18に示すように、遊技盤4における主役物263は、額縁状に形成されたセンター役物247と、センター役物247の右上部に取り付けられ光を透過可能な発光文字装飾体271とを備えている。
図20及び図25に示すようにセンター役物247は、大部分が透光性を有する部材からなるが、メッキ仕上げとなっていて光を透過させない鏡面状装飾部材481〜485、ステージ奥部材486、及びステージ前壁部材493(図23参照)が配設されており、部分的に不透明になっている。また、センター役物247の左側の側縁部には、センター役物247の外側に開口したワープ入口234と、センター役物247の内側に開口したワープ出口235とを有し、ワープ入口234及びワープ出口235を連通するワープ球通路(図示しない)が形成されており、センター役物247の外側(左側)の遊技領域20を転動する遊技球が、ワープ入口234に入球した場合には、ワープ球通路を通過してワープ出口235から出てセンター役物247の内側に設けられたステージ391に送られる。
図21に示すように、センター役物247には表示開口部99が設けられており、表示開口部99を通して演出表示装置115の画面を視認可能となっている。また、図25に示すように、センター役物247は、透光性を有する樹脂で形成されたセンター基部487の前側に、透光性を有するセンター透光部材489〜492と、同じく透光性を有するステージ391と、メッキが施された鏡面状の仕上げを有する不透明な部材であるステージ奥部材486と、鏡面状装飾部材481〜485と、ステージ前壁部材493とが装着されている。ステージ奥部材486には4箇所の円形の小開口494が形成されており、透光性を有する樹脂でできた発光部410が装着されている。図23に示すようにセンター役物247は、遊技者側から見た場合には透光性を有する部分の中に鏡面状の部分が点在する外観を呈するため、発光装置から光を受けると透明部分が光るとともに鏡面状の部分が影となったり光を反射してキラキラと輝いたりしてパチンコ機1を視覚的に特徴づける主要な要素の一つとなっている。
図24及び図25に基づき説明する。センター役物247は、略円環状のセンター基部487の遊技者側にセンター枠部材530の各部材が組合わせられて装着されている。即ち、センター基部487の下縁部にはステージ奥部材486が装着され、ステージ奥部材486の遊技者側に透光性を有するステージ391が装着される。ステージ391及びステージ奥部材486の右側にはセンター透光部材492が装着され、左側にはセンター透光部材489が装着される。センター透光部材492及びセンター透光部材489はいずれも、波状にうねった曲面が前面から表示開口部99の内側に向けて連続的に形成されており、ステージ奥部材486の上面に滑らかにつながっている。また、センター透光部材492の上方にはセンター透光部材490が装着され、センター透光部材489の上方にはセンター透光部材491が装着される。
センター透光部材492とセンター透光部材490との間には、鏡面状装飾部材485が装着され、センター基部487、センター透光部材492及びセンター透光部材490の接合部分を遊技者に対して隠蔽する。同様に、センター透光部材489及びセンター透光部材491の間には鏡面状装飾部材482が装着され、センター透光部材490及びセンター透光部材491の間には鏡面状装飾部材484が装着され、接合部分を隠蔽している。また、その他のセンター透光部材とセンター基部487との接合部分には鏡面状装飾部材481及び鏡面状装飾部材483が装着されている。また、ステージ391の前方にはステージ前壁部材493が装着され、センター基部487とステージ391との接合部分を隠蔽しながら、第二棚部393の遊技者側の壁となり第二棚部393上を転動する遊技球を誘導する。
図20及び図23に示すように、センター透光部材489の上部は、演出表示装置115の前方に迫り出した形状の表示被覆部488となっている。表示被覆部488は透光性を有する素材でセンター透光部材489の一部として一体に形成されている。表示被覆部488は、センター役物247を構成する他の部材と同様に波状を呈するうねった曲面が表面に形成されている。表示被覆部488は演出表示装置115の前方に被さる位置まで迫り出しているが、演出表示装置115には接しておらず、表示被覆部488の後端と演出表示装置115の画面との間に所定の間隔をなす空隙部516が設けられている。このため、演出表示装置115に正対して遊技者側から見た場合には、表示被覆部488が演出表示装置115の画面に被さって見えるが、若干右側に視点を移動させて空隙を通してのぞくようにして見ると、演出表示装置115の画面を直接視認することができる。また、表示被覆部488は透光性を有する素材で形成されているので、演出表示装置115の前方に被さって見えている場合でも、表示被覆部488を透過して演出表示装置115の画面がある程度視認可能となっている。
空隙部516は、遊技者が頭部を若干動かして視角を変えることで演出表示装置115の画面を直接に視認可能とするものであるため、右前方30度〜45度程度の範囲に視点を移動させることで表示被覆部488の後方の演出態様を直接に視認可能となるように設けられている。また、視点を上下に動かすには遊技者が身体を屈伸する必要があり、運動量が大きくなるため、表示開口部99の中段に位置するステージ奥部材486の左端の切欠縁517から上の部分が切欠された形状となっており、遊技者は視点を水平方向に移動させるだけで空隙部516を通して演出態様を直接に視認できる。空隙部516について、より詳細に説明すると、演出表示装置115の左上隅部を視認可能とするため、切欠縁517は演出表示装置115の高さ方向のほぼ中央部に設けられており、表示態様の上端とほぼ揃う高さまで開放されている。また、右前方45度程度までの範囲で遊技者が表示被覆部488の後方を視認可能とするため、空隙部516の寸法、即ち画面から表示被覆部488の裏側までの寸法は、表示被覆部488が演出表示装置115の画面の前方に延出した部分の水平方向の寸法と、同等または空隙部516の方が大きくなっている。
切欠縁517は、ワープ入口234よりも若干高所に位置しており、ワープ入口234からステージ391へと流入した遊技球がステージ391上で弾発したとしても、切欠縁517よりも高所まで飛び上がることはない。また、遊技領域20を流下した遊技球は、障害釘等に当接することによって運動エネルギーを失っているため、同様に、切欠縁517を超えて空隙部516に遊技球が飛び込む虞はない。
図24に示すように、センター役物247の外周面515は、遊技領域20に面しており、遊技領域20を転動する遊技球がセンター役物247の中に飛び込むことを防止し、遊技領域20を流下させるように滑らかな面で構成されている。センター役物の枠体が細くなると貧弱な印象を与えがちであるが、本例のパチンコ機1のセンター役物247の外周面515と表示開口部99との間は、表示被覆部488が演出表示装置115の前方まで延出して枠体の太さを保ち、意匠性が損なわれないようになっている。
図23に示すように、センター役物247におけるセンター内側の表示開口部99の右上部に略半円形の窪み状に文字装飾体受容部412が設けられており、文字装飾体受容部412に発光文字装飾体271が嵌合する。発光文字装飾体271は、装飾体ユニット80に装着されており、後述する上発光基板502(図30参照)によって後方から光を照射されて、装飾的な意匠が施された文字の部分が光る。
以下、センター役物247のステージ391及びその周辺の構成について、図18〜図20に基づき説明する。図20に示すように、ステージ奥部材486の上面521は、全体に波打つような曲面で構成されており、緩やかに遊技者側が低くなるように傾斜している。遊技球がステージ391や遊技領域20から弾発してステージ奥部材486の上に飛び込んだ場合にも、遊技球は遊技者側に転動してステージ391へと流入する。ステージ奥部材486の後端はほとんど隙間なく演出表示装置115の画面に接近した位置にあり、ステージ奥部材486の後方に遊技球が入り込んでしまう虞はない。ステージ奥部材486は、左右の端が次第に高くなるように全体が下向きに凸の形状で湾曲した弓状を呈しており、ステージ奥部材486に遊技球が乗った場合には、遊技者側に転動するとともに、中央寄りの方向へと転動し、ステージ391の中央部に向けて遊技球が戻される。ステージ奥部材486の左端は、先述のように、表示開口部99の中段の高さまで延びており、切欠縁517が形成されており、表示開口部99の内周面518(図24参照)が切欠縁517にて途切れた形状を呈している。また、ステージ奥部材486はメッキが施されており、不透明な部材であるので、演出表示装置115の下端付近はステージ奥部材486によって隠蔽されている。
ステージ391は、ワープ出口235から供給される遊技球を左右方向に転動させることのできる第一棚部392と、第一棚部392よりも遊技者側で若干低い位置に設けられ、第一棚部392と同様に遊技球を左右方向に転動させることのできる第二棚部393とを備えている。第一棚部392及び第二棚部393は、いずれも左右の端部が高く、中央部が低くなった弧状を呈しており、第一棚部392と第二棚部393との間には遊技球が通過可能なように遊技者側が部分的に切欠されて形成された段差405があり、段差405の左右両側の若干低くなった箇所に段差403がある。また、第二棚部393の遊技者側の左右方向の中央部には、遊技球が通過可能にステージ前壁部材493が切欠されており、転動面に遊技者側に向かって低くなる傾斜が設けられた流出部406が形成されている。流出部406を通ってステージ391から遊技者側へと流出した遊技球は、直下に位置する上始動口600(後述する)に入球可能となっている(図21参照)。ワープ出口235からステージ391へと進入した遊技球は、まず、仕切壁407及び仕切壁408と後壁409に沿って第一棚部392の上を左右に転動する。段差403の箇所で仕切壁407が切欠された形状となっており、遊技球は第二棚部393へと流入し、ステージ前壁部材493と仕切壁407とに沿って第二棚部393上を左右に転動する。遊技球が転動に伴って運動エネルギーを失い、動きが小さくなって第二棚部393の中央付近に滞留すると、転動面の傾斜に従って流出部406を通過して遊技領域20へと流出する。また、段差405を通過して第一棚部392から第二棚部393へと遊技球が流入した場合には、そのまま遊技者側へと直進して流出部406を通過して遊技領域20へと流出する。この場合には、左右方向への運動がごく小さくなるため、上始動口600に入球しやすくなっている。
(主入賞口ユニットの構成について)
次に、主入賞口ユニット264の構成について、図26に基づいて詳細に説明する。図26は、主入賞口ユニット264を右上前方から示す斜視図である。
まず、主入賞口ユニット264は、センター役物247の下方における遊技領域20の左右方向略中央部分に配置され、主入賞口ユニット264の基部をなし遊技領域板81に接する入賞口装置プレート616から前方に突設されるように、上方に始動口流入口596が開口するポケット形の上始動口600と、上始動口600の左方に配置され、上方に流入口594が開口するポケット形の一般入賞口602と、上始動口600の下方に配置され一対の可動片606で閉鎖又は開放可能な下始動口604と、下始動口604の下方に配置され左右方向に延びる矩形状の大入賞口500a及び大入賞口500aを閉鎖可能とし上辺が前方に回動する開閉扉500bを有した大当たり遊技用開閉装置500の左側に2個、右側に1個配置され、いずれも斜め上方に流入口595が開口する一般入賞口614とを具備している。上始動口600及び下始動口604は、いずれも、遊技球を受け入れるための受入部と、受け入れた遊技球を案内する球通路とから構成されている。一般入賞口614は、遊技者側に突出する部分の先端面が閉鎖されるとともに遊技球を受入可能に斜め上面が流入口595として開放されており、流入口595に入った遊技球を流出させる球通路376が遊技領域板81を貫通して後方に向けて設けられている。一般入賞口602は、流入口594が上方に向けて開口されており、一般入賞口614と同様に球通路347が遊技領域板81を貫通して後方に向けて設けられている。球通路347及び球通路376は、透光性を有する素材で形成され、上方が開放された樋状の形状を呈しており、遊技者側から見たときに目立ちにくくなっている。
また、主入賞口ユニット264は、下始動口604を開閉する一対の可動片606を開閉駆動させる始動口開閉駆動ユニット(図示しない)を更に備えている。この始動口開閉駆動ユニットは、前後方向に進退可能なプランジャを有した始動口ソレノイドと、始動口ソレノイドにおけるプランジャの前後方向の進退に伴って水平方向且つ左右方向(遊技盤面に沿った方向)に延びる軸周りに回動し、一対の可動片606から後側に延在された突出ピンを上下方向に移動可能な伝達部材とを備えている。
また、図41に示すように、主入賞口ユニット264には上始動口センサ780が備えられており、上始動口600に入賞した遊技球が、上始動口センサ780の貫通孔を通過することで上始動口センサ780に検出されると共に、主入賞口ユニット264の下側に形成された排出口から排出されるようになっている。同様に下始動口604に入賞した遊技球は、主入賞口ユニット264に備えられた下始動口センサ784に検出され、排出口から排出される。一般入賞口602に入賞した遊技球は、装飾体ユニット80を構成する発光基板ユニット381(図29参照)に配設された一般入賞口センサ762(図41参照)に検出され、排出口から排出される。
また、大当たり遊技用開閉装置500は、大入賞口500aに入賞した遊技球を検出する開閉装置カウントセンサ776(図41参照)と、大入賞口500aを閉鎖可能な左右方向に延びる矩形状とされ下辺側が軸支されると共に上辺側が直立状態から前方に回動可能とされた開閉扉500bと、前後方向に進退可能なプランジャを有した開閉装置開閉ソレノイド778(図41参照)と、開閉装置開閉ソレノイド778におけるプランジャの前後方向の進退に伴って水平方向且つ左右方向(遊技盤面に沿った方向)に延びる軸周りに回動して開閉扉500bを回動させる伝達部材(図示しない)と、開閉装置カウントセンサ776、開閉扉500b、及び、開閉装置開閉ソレノイド778等を支持すると共に大入賞口500aに入賞した遊技球を大入賞口センサ370で検出されるように誘導する誘導路を有したケーシング(図示しない)とを備えている。
なお、この大当たり遊技用開閉装置500は、大入賞口500aの左右方向の幅が、一対の可動片606が開状態となり下始動口604が開放状態となった時の幅よりも、更に広い幅とされており、遊技球がより入賞し易いようになっている。また、大入賞口500aから進入し開閉装置カウントセンサ776で検出された遊技球は、そのまま主入賞口ユニット264の下方へ排出されるようになっている。
また、主入賞口ユニット264は、その上始動口600が、主役物263のステージ391の流出部406(図21参照)の直下に位置するように遊技盤ベース262及び遊技領域板81に取付固定されており、流出部406から流出した遊技球が、主入賞口ユニット264の上始動口600に入賞する可能性が高くなるように配置されている。
(装飾体ユニットについて)
次に、装飾体ユニットについて図27〜図40に基づき説明する。図27は装飾体ユニット80を示した正面図であり、図28は装飾体ユニット80を右上前方から示した斜視図であり、図29は装飾体ユニット80を分解して構成を示した分解斜視図である。図30は、発光基板ユニット381の構成を示した斜視図である。図31は図18のA−Aにおいて遊技盤4の断面を示した断面図であり、図32は図18のB−Bにおいて遊技盤4の断面を示した断面図である。図33は透光装飾体パネル242の構成を示した正面図であり、図34は透光装飾体パネル242を右上前方から示した斜視図であり、図35は透光装飾体パネル242を分解して構成を示した分解図である。また、図36はバックライトユニット380を右上前方から示した斜視図であり、図37はバックライトユニット380を分解して構成を示した分解斜視図であり、図38はバックライトユニット380の縦断面を示して構成を説明する断面図である。図39は図18のC−Cにおける遊技盤4の断面の一部を拡大して通過ゲート612周辺の構成を説明する断面図であり、図40は図18のD−Dにおける遊技盤4の断面の一部を拡大して図柄表示装置87の周辺の構成を説明する断面図である。なお、図27及び図28においては、本来遊技領域板81の前面に装着される主入賞口ユニット264及び通過ゲート612を合わせて図示している。
まず、図27〜図29に示すように、透光装飾体パネル242が装飾体ベース243に装着され、さらにその後方に前から順に発光基板ユニット381、バックライトユニット380が装飾体ユニット基部89に組みつけられて装飾体ユニット80が構成されている。また、図18〜図20に示すように、遊技領域板81は透光性を有する樹脂で形成されており、遊技領域板81の後方に配設された透光装飾体パネル242が遊技者側から見えるようになっている。
透光装飾体パネル242は、センター役物247と同様に、透光性を有する樹脂製の部品と、銀色のメッキが施された鏡面状の仕上げが施された不透明な部品とからなっており、額縁状の形状を呈する装飾体ベース243に組みつけられている。透光装飾体パネル242は、後方に備えられた発光基板ユニット381及びバックライトユニット380から放射された光によって透光性を有する部分が全体的に発光して見える。透光装飾体パネル242の透光性を有する部分は、樹脂の透明度が若干低くなっており、バックライトユニット380の光を受けたときに遊技者に形状を視認されやすくなっている。さらに、全体的に波紋様を呈するモールドや三次元的な曲面が形成され、遊技者側から見たときには透光装飾体パネル242の後方は歪んで見えるので、透過して後方を視認されにくくなっている。
装飾体ベース243は、枠板部257から枠外壁部258が開口260と略同形(略円形)で遊技者側に突出しており、装飾体枠外壁部258の内側が開口した額縁状の形状を呈している。図19及び図27に示すように、枠板部257の外形は略正方形の板状であり、外縁に沿ってリブが形成されている。透光装飾体パネル242を受容する装飾体枠外壁部258は、組み付けたときに前縁が遊技領域板81に接し、隙間のない外観を呈することで遊技盤4に視覚的な一体感をもたらす。
図30に示すように、発光基板ユニット381は、発光基板ユニット開口266が中央部に開口された額縁状を呈する基板ベース348と、左流下樋344と、右流下樋345とによって構成されており、発光基板502〜506と、図柄表示器基板245とが配設されている。基板ベース348は、大部分が透明度の高いプラスティックで形成されており、縁にはリブ349が前後方向に起伏のある形状で形成されており、強度が保たれている。リブ349は、基板ベース348の下部においては内部に遊技球を通過させる流下通路(図示しない)を備えた流下樋基部343へと一体に繋がって形成されている。流下樋基部343の前面には、いずれも透明度の高いプラスティックで形成された箱状の左流下樋344及び右流下樋345が、主入賞口ユニット受容部342を挟んで左右に配設されている。主入賞口ユニット受容部342は、下向きに開放された凹部であり、主入賞口ユニット264の中央部が組みつけられたときには主入賞口ユニット受容部342を通して後方へと突出する。左流下樋344及び右流下樋345の中の流下通路には、先述のように一般入賞口センサ762が配設されている(図41参照)。
左流下樋344及び右流下樋345の前面には流下樋入口426〜429が開口されており、流下樋入口426〜429には、各々対応する球通路347,376が連通し、一般入賞口602,614に流入した遊技球が左流下樋344または右流下樋345に流入可能となっている(図20参照)。球通路347は、組みつけられた状態で透光装飾体パネル242の前方に位置しており、球通路376よりも遊技者に視認されやすくなっているが、球通路347は全体が透明度の高いプラスティックで形成されており目立ちにくい。また、透光装飾体パネル242を透過して後方から照射される光による発光演出の邪魔になりにくくなっている。球通路347は、透光装飾体パネル242の入賞口孔455,457(図34)を貫通して左流下樋344の流下樋入口426に連通している。透光装飾体パネル242の後方に位置する左流下樋344は、遊技領域板81、透光装飾体パネル242の透光性を有する部分を透過して遊技者側から視認可能であるが、透光装飾体パネル242は前後に起伏のある形状を呈しており、透光装飾体パネル242における光の屈折や反射のために奥側を見通しにくくなっている上、左流下樋344が透明度の高いプラスティックで形成されているために左流下樋344は視認されにくくなっている。また、バックライトユニット380(後述する)によって後方から光を照射され、全体的に発光することによって左流下樋344はさらに視認されにくくなっている。このように、遊技領域板81、透光装飾体パネル242、左流下樋344及び流下樋基部343は、前後方向に層状に並ぶ位置で配設されているが、いずれも透光性を有していることで、遊技球を流下させる通路に相当する機能的な部分が目立ちにくくなっている。また、遊技領域20の透光性を有する部分に一般入賞口602が配設されていても発光演出の邪魔になりにくくなっている。
図33〜図35に示すように、透光装飾体パネル242は、透光性を有する樹脂製の透光装飾体448〜450と、同じく透光性を有する樹脂製の発光文字装飾体271と、メッキが施されて鏡面状の仕上げとなっている鏡面状装飾体451〜453と、球状装飾体272〜275とを具備している。また、右下にはLEDを用いて特別図柄及び普通図柄を表示する図柄表示装置87を備えている。
発光文字装飾体271は、大部分が透光性を有する樹脂で形成されており、遊技者側の目立つ部分に意匠的な文字が示されており、周囲には細かな水泡のように見える多数の小さな窪みが裏側に形成された略球面状を呈しており、透光装飾体パネル242の右上部に装着される。
球状装飾体272〜275は、いずれも透光性を有する樹脂で形成された半球状の立体的な装飾体である。素材の樹脂は透光性を有するが、内部に多数の泡状の小さな気泡状の造形が施されており、遊技者側から球状装飾体272〜275の後方を視認することは困難となっている。また、球状装飾体274は、全体に透光性の低い樹脂で形成されており、乳白色を呈する。球状装飾体272は、発光基板ユニット381の左上装飾体基部282、球状装飾体273は左装飾体基部283、球状装飾体275は右装飾体基部284に夫々着設される。下発光基板503、左上発光基板504、左下発光基板505及び右発光基板506は、いずれも複数のLEDを搭載した基板であり、後方の発光基板ユニット381上に配設され遊技者側に向けて光を発し、夫々に対応する球状装飾体272〜275に光を照射して発光演出を行う。
左透光装飾体450は、全体が透光性を有する樹脂で立体的な波紋様を呈する形状に形成されている。また左透光装飾体450には通過ゲート612が装着されるゲート基部479が左透光装飾体450の前方に向けて突出しており、球状装飾体272が装着される左上球状体受容部495及び球状装飾体273が装着される左下球状体受容部496が、前後方向に貫通した孔を有する球面状の窪みとして形成されている。また、発光文字装飾体271が装着される箇所には文字装飾体受容部499が、発光文字装飾体271の外形に応じた凹面状に形成されている。正面視において、球状装飾体272と左上球状体受容部495とは一部が重なっている。同様に球状装飾体273と左下球状体受容部496とは、正面視において一部が重なっている。
下透光装飾体449は、左透光装飾体450と同様に全体が透光性を有する樹脂で立体的な波紋様を呈する形状に形成されている。球状装飾体274が装着される部分には下球状体受容部498が、球状装飾体274の形状に合わせて切欠したように形成されている。また、一般入賞口602が嵌挿される部分には入賞口孔455が穿設されており、一般入賞口614が嵌挿される部分には入賞口孔457が穿設されており、夫々一般入賞口602、一般入賞口614の球通路347,376が、下透光装飾体449の表側から裏側に貫通して配設可能となっている。
右透光装飾体448も同様に全体が透光性を有する樹脂で立体的な波紋様を呈する形状に形成されている。球状装飾体275が装着される部分には右球状部材受容部497が、前後方向に貫通した孔を有する球面状の窪みとして形成されている。また、右透光装飾体448の左下部には、主入賞口ユニット264が装着される際に嵌合するように切欠された形状でアタッカ取付部459が形成されている。
左透光装飾体450と下透光装飾体449との接合部分には鏡面状装飾体451が装着され、下透光装飾体449と右透光装飾体448との接合部分には鏡面状装飾体453が装着されて接合部分周辺の造作を隠蔽しながら、透光装飾体パネル242に視覚的な変化を与え、意匠的な面白みを与えている。また、鏡面状装飾体453の形状と連続するように鏡面状装飾体452が下透光装飾体449の下方に装着されており、一般入賞口602,614から発光基板ユニット381の左流下樋344及び右流下樋345へと延びて形成された球通路周辺を部分的に隠蔽し、後方の発光基板ユニット381を目立ちにくくするとともに、遊技盤4の美観を向上させている。
図29に示すように、装飾体ユニット基部89には基部開口267が設けられており、後方に配設される演出表示装置115が基部開口267を通して遊技者側から視認可能となっている。装飾体ユニット基部89の遊技者側には、装飾体ユニット基部89に近い側から順にバックライトユニット380、発光基板ユニット381、装飾体ベース243、透光装飾体パネル242が層状に重ねられて装着されているが、いずれも演出表示装置115の前方にあたる部分に開口が設けられている。即ち、バックライトユニット380にはバックライト開口部350が形成されており、発光基板ユニット381には発光基板ユニット開口266が形成されており、装飾体ベース243には装飾体ベース開口265が形成されており、透光装飾体パネル242には装飾体パネル開口249aが設けられている。なお、装飾体パネル開口249aとバックライト開口部350とは略同形であるが、基部開口267は若干大きく、長方形の画面をもつ演出表示装置115に丁度合うように形成されている。また、装飾体ベース開口265及び発光基板ユニット開口266は透光装飾体パネル242の全域に相当する広い開口となっており、演出表示装置115を遊技者側から視認可能とするだけでなく、バックライトユニット380の光が透光装飾体パネル242及び遊技領域板81を透過して遊技者側に向けて放射されるようになっている。また、図31に示すように、装飾体開口部249は、バックライト開口部350と略同形であり、演出表示装置115の画面にごく近い位置関係にあり、透光装飾体パネル242の中央部の窪んだ部分に装飾体開口部249を設け、透光装飾体パネル242の前面と略同一平面上に画面が位置するように演出表示装置115を嵌め込んだかのような外観を呈する。
図31及び図32に示すように、透光装飾体パネル242は遊技盤4の後方に配設されており、透光装飾体パネル242と遊技領域板81との間には隙間が設けられている。また、透光装飾体パネル242の後方にはバックライトユニット380が配設されている。バックライトユニット380は、遊技者側に向かって面状に光を放射し、透光装飾体パネル242と遊技領域板81を透過して遊技領域20を明るく光らせることができる。また、演出表示装置115の前方は大部分が開放されており、演出表示装置115の画面の視認性は確保されている。バックライトユニット380は演出表示装置115の直前に配設されているが、導光体382の後方はバックライト後部カバー387によって覆われており、導光体382の内側の端部には内側遮蔽縁397が形成されているため、導光体382から遊技者側以外の方向への光の漏出は防がれている。これにより、バックライトユニット380の光によって演出表示装置115の表示の視認性が妨げられることがなくなっている。
(バックライトユニットについて)
次に、バックライトユニット380の構成について、図36〜図38に基づいて詳細に説明する。バックライトユニット380は、中央部にバックライト開口部384を有する板状の導光体382の後方にバックライト後部カバー387が装着され、導光体382の上下に上側冷陰極管セット564及び下側冷陰極管セット565が配設され、各冷陰極管セットの前方を覆うように上冷陰極管カバー385及び下冷陰極管カバー386が装着されて構成されている。また、上側冷陰極管セット564の調光を行う第一調光基板423及び下側冷陰極管セット565の調光を行う第二調光基板424がバックライト後部カバー387の後方に装着されている。
図37及び図38に示すように、導光体382は、遊技者側から順番に、第一拡散シート560、第二拡散シート561、導光板562、反射シート563の4つの部材が重ねられた積層板状に構成されている。第一拡散シート560の第一拡散シート開口560a、第二拡散シート561の第二拡散シート開口561a、導光板562の導光板開口562a、反射シート563の反射シート開口563a、及びバックライト後部カバー387の後部カバー開口387aに沿って形成された内側遮蔽縁397(後述する)の外周側はいずれも同形に形成されており、重ね合わせられた時にバックライトユニット380全体を前後方向に貫通する孔であるバックライト開口部384を構成する。バックライト後部カバー387は左右の縁部に外側遮蔽縁396が遊技者側に突設されており、バックライトユニット380の左右両端から光が漏れることを防いでいる。また、同様にバックライト後部カバー387にはバックライト開口部384の縁部に沿って内側遮蔽縁397が突設されており、バックライトユニット380の光がバックライト開口部384よりも内側に漏れることが防止されている。外側遮蔽縁396及び内側遮蔽縁397はバックライト後部カバー387と一体的に形成されており、バックライト後部カバー387は全体として環状の薄い箱形となっており、外側遮蔽縁396、内側遮蔽縁397によって囲まれた環状の凹部に導光体382を受容する。
バックライトユニット380は、上下の両端部に光源として冷陰極管を備えている。即ち、導光体382の上下の各辺に平行する向きで、上端部に上側冷陰極管セット564が配設され、下端部に下側冷陰極管セット565が配設されている。上側冷陰極管セット564及び下側冷陰極管セット565はいずれも平行に配された3本の冷陰極管を備えている。各冷陰極管は夫々赤、青、緑の3色に発光し、各冷陰極管の発光状態を制御することで混色及び全体の輝度を変えることが可能となっている。各冷陰極管の発光状態は、上側冷陰極管セット564は第一調光基板423によって制御され、下側冷陰極管セット565は第二調光基板424によって制御される。第一調光基板423及び第二調光基板424は、周辺基板800(図42参照)からのコマンドを受けて、各々上側冷陰極管セット564と下側冷陰極管セット565とを発光させる。
図38に示すように、上側冷陰極管セット564は、上冷陰極管カバー385と、バックライト後部カバー387の上光源受容部566との間に配設されている。各冷陰極管セットから放射された光の大部分は導光板562に入射する。また、上冷陰極管カバー385及び上光源受容部566は白色の樹脂で形成されており内面はなめらかに仕上げられていて反射率が高いので、導光板562に直接入射しなかった光は上冷陰極管カバー385及び上光源受容部566によって外に漏れないように封じられながら、上冷陰極管カバー385及び上光源受容部566の内面で反射し、導光板562に入射する。
導光体382は、前記のように、遊技者に近い側から順に第一拡散シート560、第二拡散シート561、導光板562、反射シート563が積層板状に重ねられており、角部において接合具で固定されて構成されている。第一拡散シート560及び第二拡散シート561は、透明な薄い樹脂製シートであり、表面加工によって磨ガラス状になっており、入射した光を拡散させる。導光板562は、透明度の高い無色のアクリル製で平板状に形成されている。また、表面はなめらかに仕上げられているが、裏面には内部を通過する光を反射するドットマトリクスが印刷されている。反射シート563は、高い反射率を持つ白色樹脂性の薄いシートである。
上側冷陰極管セット564及び下側冷陰極管セット565から発せられた光が導光板562に入射すると、導光板562の中を光が進行する。導光板562の中を進んで導光板562の裏面に到達した光は印刷されたドットと反射シート563とによって反射され、導光板562の中をさらに進む。導光板562の端部に到達した光は、外側遮蔽縁396または内側遮蔽縁397で反射するため外に漏れずに導光板562の中を進む。導光板562の表面に到達した光は、一部が境界で反射されるが、大部分は導光板562の表面から出て第二拡散シート561、第一拡散シート560と、拡散させられながら順に通過して遊技者側に放射される。導光板562及び反射シート563とによって導光板562全体に行き渡った光は、第一拡散シート560及び第二拡散シート561によって拡散され、さらに均等化された状態で遊技者側に放射されるため、バックライトユニット380の遊技者側に配置されている透光装飾体パネル242を全体的に明るく照明することができる。
(通過ゲート)
また、図27及び図28に示すように、透光装飾体パネル242(左透光装飾体250)に形成されたゲート基部479には、通過ゲート612が遊技領域板81を挟んで装着される(ここでは便宜上遊技領域板81を図示していない)。図39に示すように、通過ゲート612にはゲートセンサ760が装着されており、遊技球の通過ゲート612内の通過を検出している。図41に示すように、ゲートセンサ760の検出結果は、パネル中継端子板750を経由して主制御基板710(基板ユニットに含まれる。図4参照)へと伝達されるため、ゲートセンサ760とパネル中継端子板750との間には電気配線510が接続されている。図39に示すように、電気配線510は、ゲートセンサ760の後部からゲート基部479の中を後方へと延び、透光装飾体パネル242(左透光装飾体450)の後方に入り、バックライトユニット380を迂回して、後方に配設されたパネル中継端子板750に延びる。このため、電気配線510は透光装飾体パネル242とバックライトユニット380との間を横行する必要があり、左透光装飾体450を透過して電気配線510は遊技者側から視認可能となっている。しかし、左透光装飾体450には多数の波紋様が形成されており、バックライトユニット380によって光を照射されたときに波紋様の曲線が浮かび上がるため、電気配線510がその中に紛れやすくなっている。また、左透光装飾体450を含む透光装飾体パネル242は全体的に波紋様が形成された装飾体で構成せれており、各部に明暗の変化や曲線的な影が多数生じているため、ゲートセンサ760から延びる電気配線510を非常に目立たないものとすることができる。また、遊技領域板81から後方に延びた電気配線510は、ゲート基部479の後方では、配線保護部519の配線保護溝520に受容され、リブ349の後方へと誘導される。一般に電気的な接続のための配線等が遊技者に見える箇所で露出していると、意匠的な完成度が低いという印象を与えやすいのに対し、本実施形態によれば、電気配線510は視認可能な位置に配設されているものの遊技者には認識されにくくなっているので、意匠性の低下が抑制されている。また、組み付け時には、配線保護部519、配線保護溝520及びゲート基部479によって電気配線510が断線等の破損から保護されている。
(図柄表示装置)
装飾体ユニット80には、透光装飾体パネル242の表面と略同一面的に構成された図柄表示装置87が備えられており、透光性を有する遊技領域板81を透過して遊技者側から視認可能となっている。図27に示すように、図柄表示装置87は、LEDの発光によって表示を行う特別図柄表示器84及び普通図柄表示器82を備えており、遊技の進行に応じて遊技状態を表示する装置である。図柄表示装置87は銀メッキ仕上げされたイルカの形をした図柄表示器ケース244にLEDを搭載した図柄表示器基板245を装着して構成されている(図40参照)。
特別図柄表示器84及び普通図柄表示器82は、いずれもLEDを複数組合わせて構成されており、LEDの明滅の組合わせによって特別図柄または普通図柄を示す。
詳しくは後述するが、特別図柄表示器84は、上始動口600に遊技球が入賞することで図柄の変動を開始したのち変動が停止されて、内部的な抽選処理にて当選したか否かを示す特別図柄を表示する。
同様に後述するが、通過ゲート612を遊技球が通過したことがゲートセンサ760によって検出されると、可動片606の開閉動作が行われる場合があり、普通図柄表示器82は、可動片606の開閉動作発生の当否を示す普通図柄を表示する。
図柄表示装置87は、遊技領域板81の後方に配設されているため、遊技球の球通路となる部分と重なる位置にも配設可能となっている。図18に示すように、右側球通路236を通過した遊技球が遊技領域20の右下部を通過可能となっている。これにより、遊技領域20の外形を真円に近い形状にでき、すっきりした外観となる。また、遊技球の球通路の妨げが減るので、例えば、遊技球をより高速で転動させる区間を設けることなども可能となる。
また、図柄表示装置87は、透光装飾体パネル242の不透明部分と同様に銀メッキされた外観と、各透光装飾体の形状に通ずる曲線的な形状を呈することにより装飾体ユニット80に対して視覚的な違和感なく配設されているため、遊技者には装飾体ユニット80の一部として認識させることができる。
また、図40に示すように、図柄表示装置87は、図柄表示器ケース244の表面が右透光装飾体448の表面と略同一面状にあるように比較的なめらかにつながる位置にあるが、図柄表示器基板245までの奥行きは小さくなっており、バックライトユニット380の導光体382の前方に配設されている。つまり、後方からバックライトユニット380によって光を照射される位置にある。図34及び図35に示すように、図柄表示装置87に接して右透光装飾体448が配設されており、図柄表示装置87と右透光装飾体448とはいずれもバックライトユニット380によって後方から全面的に光を照射される。右透光装飾体448は図柄表示装置87の周囲に回り込むような複雑な形状を呈しているが、全面的に光を照射することにより、不透明な図柄表示装置87と接する境界部分まで右透光装飾体448を発光させることができる。
[本パチンコ機の構造上の特長]
以上、本実施形態に係るパチンコ機1の構造を詳細に説明したが、ここで本例のパチンコ機1の構造上の特長を以下のように総括することができる。
本例のパチンコ機1によれば、バックライトユニット380の導光体382が遊技領域20の後方略全体を覆っているため、簡素な構造ながらも、遊技領域20の広い範囲を発光させ、遊技者の注意を喚起しやすい目立つ外観を生じさせることができる。また、透光装飾体パネル242が前後方向に起伏がある形状であることにより、バックライトユニット380から照射された光を屈折させたり反射させたりして発光演出における外観を複雑化することができる。
また、球通路347,376、左流下樋344、右流下樋345、配線保護部519及びゲート基部479は、遊技領域板81を透過して遊技者に視認可能に配設されているが、いずれも透光性を有する素材で形成されており目立ちにくくなっている。さらに、バックライトユニット380によって奥側から遊技領域20の側に向けて光を照射することで、主入賞口ユニット264及び通過ゲート612の後方に配設されている球通路347,376、左流下樋344、右流下樋345、配線保護部519及びゲート基部479を目立たなくすることができる。これにより、主入賞口ユニット264及び通過ゲート612が、遊技領域20に独立して配設されているかのような外観を呈するようにし、相対的に主入賞口ユニット264及び通過ゲート612を目立たせて意匠性を高めている。
また、バックライトユニット380は、先述のように反射光によって照明するため、球通路347,376、左流下樋344、右流下樋345、配線保護部519及びゲート基部479に対して多方向から反射光を照射し、光が照射される側と陰になる側との境界付近のコントラストを低下させ、鋭い影を生じにくくすることができる。これにより、球通路347,376、左流下樋344、右流下樋345、配線保護部519及びゲート基部479をさらに目立ちにくくすることができる。
従って、発光演出の光源の位置と主入賞口ユニット264及び通過ゲート612の位置とを調整して配設する必要がなく、主入賞口ユニット264及び通過ゲート612の配設位置の自由度を高めることができる。即ち、バックライトユニット380は、遊技領域20を略全面的に照明しており、主入賞口ユニット264及び通過ゲート612が配設される位置を問わず、広い範囲において発光演出を行うことができる。また、主入賞口ユニット264及び通過ゲート612の後方に接続する球通路347,376、左流下樋344、右流下樋345、配線保護部519及びゲート基部479が目立ちにくくなっており、主入賞口ユニット264及び通過ゲート612を相対的に目立たせることができ、意匠に対する興趣を損なう虞を低減させることができる。
さらに、主入賞口ユニット264及び通過ゲート612の配設位置を避けて発光装置を配設する必要がなく、構成を簡素化することができる。つまり、バックライトユニット380は遊技領域20の透光性を有する部分の後方略全体に広がっているので、主入賞口ユニット264及び通過ゲート612の配設位置を問わず、遊技領域20に向けて光を照射し発光演出を行うことが可能である。
また、遊技領域20が設けられた遊技領域板81は、精度の高い平滑性を有する平板状であり、遊技領域20の後方に配設された透光装飾体パネル242は、前後方向に起伏のある形状を呈しレンズ効果をもつ透光性の部材である。遊技領域板81と、レンズ効果を有する透光装飾体パネル242との組み合わせによって、遊技領域20において立体的な形状の透光装飾部材を利用した発光演出が可能である。また、別々に成形された遊技領域板81と透光装飾体パネル242とを組合わせて構成されているため、レンズ効果を有する部材の前面に遊技領域20を設けた場合に、部材の厚みが不均等となることに起因して生じる部材の歪みや破損の問題を防止することができる。
さらに、遊技球が流入する流入口594を備えた一般入賞口602に接続する球通路347と左流下樋344とを目立たなくすることで、遊技者側から見たときに意匠性が損なわれる虞を低減させることができる。また、球通路347及び左流下樋344を、バックライトユニット380の前方に配設しても目立たなくなっていることから、球通路347及び左流下樋344の配設位置の自由度が高められており、配設位置を変更しても発光演出に対する影響を小さくすることができる。同様に、一般入賞口614の球通路376や右流下樋345に関しても配設位置の自由度が高められている。
また、通過ゲート612と配線保護部519とを接続する電気配線510をゲート基部479の配線通過孔511及び内側誘導部512に挿設し、ゲート基部479によって覆うことができる。ゲート基部479は透光性を有する素材で形成されているため、バックライトユニット380から受けた光によって複雑な外観を呈し、内側を通る電気配線510の視認性を低下させ、遊技者が通過ゲート612と配線保護部519とのつながりを意識しにくくすることができる。
また、左流下樋344、右流下樋345、流下樋基部343及び主制御基板710は、透光装飾体パネル242よりも後方に配設されており、これらの流下樋や制御基板等を遊技者側からさらに視認されにくくすることができる。
さらに、ゲート基部479は筒状を呈し、長手方向が略前後方向に向いており、正面投影面積が小さくなっている。また、バックライトユニット380は後方から遊技者側に向けて光を照射するので、ゲート基部479の側面に影を生じにくくすることができる。
また、遊技領域20に配設された通過ゲート612に接続される電気配線510を、ゲート基部479の内側の配線通過孔511及び内側誘導部512を通して誘導することができる。電気配線510が通過ゲート612の後方で露出した状態で配設されていると、遊技領域板81を透過して遊技者側から電気配線510が視認され、意匠的に貧弱であるとして遊技の興趣を損なう虞があるが、本構成によれば、電気配線510を遊技者から視認されにくく配設して遊技の興趣の低下を抑制することができる。また、電気配線510をゲート基部479の内側に収めることで、電気配線510をゲート基部479の内側の内側誘導部512の形状に合わせて配設し保護することができるので、パチンコ機1の組立やメンテナンスのときに電気配線510が破損する虞を低減させることができる。
また、透光性を有する部材として、遊技領域20を前面に有する遊技領域板81と、光を屈折させて発光演出における意匠性を高める透光装飾体パネル242とを前後に重なる位置で備えており、遊技領域20の平滑性と、バックライトユニット380より照射された光を屈折させるレンズ効果をもたらす立体的な造形とを両立できる。遊技領域板81の厚みに変化を設けてレンズ効果をもたらすようにすると、各部の厚みが不均一になるので、成形時に変形したり破損したりする虞があるのに対し、遊技領域板81を板状とし、透光装飾体パネル242をその後方に配設することで各部材を適した形状とすることができる。
さらに、遊技領域板81を透過して遊技者側から透光装飾体パネル242が視認可能である。このとき、遊技領域板81は、透光装飾体パネル242よりも透光性が高いため、遊技領域板81を透過して透光装飾体パネル242が視認容易となっている。また、ゲート基部479及び球通路347,376もまた透光装飾体パネル242よりも透光性が高いので、ゲート基部479及び球通路347,376よりも透光装飾体パネル242が相対的に視認容易となり、目立ちやすくなっている。これにより、透光装飾体パネル242が遊技者からは視認されやすくなり、遊技領域板81及びゲート基部479及び球通路347,376を相対的に目立ちにくくすることができる。
また、バックライトユニット380には上側冷陰極管セット564、下側冷陰極管セット565と、複数の発光器を備えていて導光板562に向けて互いに対向する端部から光を照射するため、発光器が一つの場合と比較して、バックライトユニット380の明るさを全体的により均等化することができる。また、上側冷陰極管セット564または下側冷陰極管セット565が故障した場合にも、直ちに発光演出が不可能となることはなく、遊技機の信頼性を向上させることができる。
さらに、外側遮蔽縁396及び内側遮蔽縁397によって導光体382の側方からの光の漏出が抑制されるため、漏出した光が遊技者側に反射して遊技領域20や演出表示装置115の視認性を悪化させる虞を低下させることができる。また、側方に光が漏れないようにすることでバックライトユニット380の光量の低下を防ぐことができる。
また、バックライトユニット380は、反射シート563によって反射させられた反射光によって遊技領域20を照明するため、発光演出の明るさを損なうことなく、遊技者の目に対する刺激を和らげ、眩しさや目の疲労感を生じさせる虞を低減させることができる。即ち、バックライトユニット380のように反射光を用いる間接照明方式の光源の場合、光源から放射される光が直接的に視認される場合よりも光源の1点から遊技者の網膜に到達する光の光度(単位立体角あたりの放射光の光束)は小さいが、反射部材から反射して多数の方向から網膜へと光が届くため、網膜に届く光束は大きくなる。このようにすることで、局所的に強い光を受けた場合とは異なり、眩しさや疲労感を生じさせにくくすることができる。遊技領域20の周辺における発光演出においては特に遊技者が注視する時間が長いため、遊技者に眩しさや疲労感を感じさせると稼動を低下させる虞が強いが、本構成によれば、遊技者が視覚的な不快感を覚えることによる稼動の低下を防ぐことができる。
さらに、バックライトユニット380は薄板状であって省スペース性に優れているので、筐体内部の限られた空間利用の効率を改善したり、筐体を小型化したりすることが可能である。また、箱状の空間内に配設したときに無駄な空間が生じにくいため、装飾体ユニット基部89の中の空間を合理的に活用することができる。これにより、バックライトユニット380を装飾体ユニット基部89の奥側に配設することにより、バックライトユニット380と遊技領域板81との間に球状装飾体等を配設可能な空間を設けて構成の自由度を高めている。
また、バックライトユニット380が薄板状であり、前後方向に層状に並ぶ構成となっているので、バックライトユニット380、発光基板ユニット381、透光装飾体パネル242、遊技領域板81等を層状にユニット化して遊技機を構成することが可能である。これにより、遊技機の内部の空間利用を合理化することが可能である。また、ユニット化により、遊技機の製造やメンテナンスを容易にすることができる。
また、装飾体ユニット基部89は枠状であり、バックライトユニット380、左流下樋344及び右流下樋345を前面に付設した発光基板ユニット381及び透光装飾体パネル242を前後方向に層状に装飾体ユニット基部89の中に収容することで、各ユニットの間に無駄な空間が生じにくいため、遊技盤設置凹部30の空間利用を合理的にすることができる。また、バックライトユニット380を装飾体ユニット基部89の中の奥側に配設することにより、バックライトユニット380と遊技領域20との間に、遊技領域20の後方の略全体の後方を覆う透光装飾体パネル242及び発光基板ユニット381を配設可能な空間を設けることができ、パチンコ機1の構成の自由度を高めている。また、前後方向に層状に並ぶ各部をユニット化することにより、パチンコ機1の製造やメンテナンスを容易にすることができる。
さらに、遊技盤設置凹部30を内側に有する本体枠3を備えることで、球払出装置53などの機構がパチンコ機1の内部で突出して装飾体ユニット80と干渉することを防ぐことができる。これにより、装飾体ユニット基部89を大形化できるので、バックライトユニット380や発光基板ユニット381等を配設するための装飾体ユニット基部89の内部空間や、装飾体ユニット基部89の前面に配設される透光装飾体パネル242及び装飾体ユニット80の前方に位置する遊技領域20の大形化が可能である。また、本体枠3は、回動可能に軸支されて設置されるため、小さな力で開閉自在とすることができ、パチンコ機1やパチンコ機1周辺のメンテナンス時等の利便性を向上することができる。
さらに、遊技領域20における発光演出に加えて、演出表示装置115を用いた視覚的演出態様による演出を行うことができるので、演出を多様化して興趣を盛り上げることができる。
さらに、球状装飾体272〜275は、透光装飾体パネル242よりも前方に配設されているため、遊技者側から遊技領域板81を透過して視認しやすくなっている。また、透光装飾体パネル242の各装飾体と、球状装飾体との立体的な位置関係を利用して視覚的に奥行感を演出することができる。これにより、発光演出の興趣に空間的な面白みを加味することができる。
さらに、球状装飾体272〜275及び各球状装飾体に対応する発光基板によって局所的に光が遮られるが、遊技領域20のその他の部分を発光させることができるので、球状装飾体272〜275の配設によって発光演出の効果が損なわれる虞を低減させることができる。また、仮に球状装飾体272の配設位置を変えても、遊技領域20を全体的に発光させることが可能であるため、球状装飾体272〜275の配設位置の自由度が高くなっている。
また、発光基板502〜506を備えて遊技者側に向けて発光し、球状装飾体272〜275の前面が暗くなることを防いでいる。また、球状装飾体272〜275の光と、バックライトユニット380の光とが異なる印象を与える光を発することで、発光演出に抑揚をつけることが可能である。
[主基板および周辺基板の制御的な構成について]
次に、パチンコ機1の主基板および周辺基板の制御的な構成について、図41および図42を参照して説明する。図41は、制御構成を概略的に示すブロック図であって、主基板700周辺の構成を主として示した図である。図42は、制御構成を概略的に示すブロック図であって、周辺基板800周辺の構成を主として示した図である。なお、これらの図面において太線の矢印は電源の接続および方向を示し、細線の矢印は信号の接続および方向を示している。
本実施形態のパチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板700のグループ(図41に示す)と、周辺基板800のグループ(図42に示す)とで分担されている。主基板700のグループは遊技動作(入賞検出、乱数取得および当たり判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板800のグループは演出動作(発行装飾や音響出力、液晶表示および装飾体の動作等)を制御している。
図41に示すように、主基板700は、主制御基板710と払出制御基板720とから構成されている。主制御基板710は、中央演算装置としてのCPU711、読み出し専用メモリとしてのROM712および読み書き可能メモリとしてのRAM713を備えている。
CPU711は、ROM712に格納されている遊技制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板800や払出制御基板720に出力するコマンド信号を作成したりする。
RAM713には、主制御基板710で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。また、他の基板(周辺制御基板810や払出制御基板720など)に送信すべきコマンド(入賞コマンドや演出コマンドなど)を格納するコマンドバッファが設けられている。
なお、主基板700は、電源基板395に接続されており、電源基板395から作動用電力が供給されるようになっている。具体的には、電源基板395から払出制御基板720に作動用電力が供給され、当該払出制御基板720を介して主制御基板710に作動用電力が供給される。
この主制御基板710の入力インタフェースには、パネル中継端子板750を介して、上始動口600への入賞状態を検出する上始動口センサ780、通過ゲート612を遊技球が通過したことを検出するゲートセンサ760および一般入賞口614に遊技球が入賞したことを検出する一般入賞口センサ762が接続されている。
さらに、主制御基板710の入力インタフェースには、パネル中継端子板750に接続された開閉装置中継端子板754を介して開閉装置カウントセンサ776が接続されている。
上記各センサからの検出信号は主制御基板710に入力されるようになっている。
一方、パネル中継端子板750の出力インタフェースには図柄制限抵抗基板766を介して普通図柄・特別図柄表示基板768が接続されている。これにより、主制御基板710は、普通図柄表示器82、特別図柄表示器84への駆動信号を出力することが可能となっている。
また、開閉装置中継端子板754の出力インタフェースには普通電動役物ソレノイド774と開閉装置開閉ソレノイド778とが接続されており、主制御基板710から、普通電動役物ソレノイド774および開閉装置開閉ソレノイド778に向けて駆動信号が出力される。なお、普通電動役物ソレノイド774は下始動口604の上方に設けられた一対の可動片606を駆動するものであり、開閉装置開閉ソレノイド778は大当たり遊技用開閉装置500(より具体的には開閉扉500b)を駆動するものである。
一方、払出制御基板720は、中央演算装置としてのCPU722、読み出し専用メモリとしてのROM724および読み書き可能メモリとしてのRAM726を備えている。
そして、払出制御基板720は、主制御基板710から送信されたコマンド信号を処理し、球払出装置53や、発射ハンドルおよび発射モータ等から構成される発射装置57に対して、駆動信号を出力する。これにより、球払出装置53は、駆動信号に従って遊技球を払い出し、発射装置57は駆動信号に従って遊技球を発射させることが可能になる。
また、払出制御基板720の入力インタフェースには、本体枠3の前枠体(図示しない)の開放状態を検出する内枠開放スイッチ736および扉枠5の開放状態を検出する扉開放スイッチ738も接続されている。
なお、主制御基板710と払出制御基板720との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、たとえば主制御基板710が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板720から主制御基板710にACK信号が返される。
また、払出制御基板720には、皿体360に貯えられる遊技球が満タンになったことを検出する受皿満タンスイッチ730も接続されており、この検出に基づいて、「遊技球を皿体360から取り出して下さい」旨の報知がなされる。
また、主制御基板710および払出制御基板720には外部端子板56が接続されている。上始動口600および下始動口604への入賞状態、普通図柄・特別図柄の変動状態および抽選結果に基づく遊技状態等の各種情報は、この外部端子板56を介して、遊技施設に設けられたホールコンピュータ等へ出力される。
一方、周辺基板800は、図42に示すように、周辺制御基板810と表示装置制御基板816とから構成されている。なお、上記の主制御基板710と周辺制御基板810との間では、それぞれの出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われている。即ち、主制御基板710から周辺制御基板810へのコマンド送信はあっても、周辺制御基板810から主制御基板710へのコマンド送信は行われない。また、周辺基板800に供給される作動用電力は、主制御基板710を介して供給される。
周辺制御基板810もまた、CPU811、ROM812およびRAM813等の電子部品を有しており、これらの電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することが可能となっている。
また、周辺制御基板810には、効果音や楽曲等演出音の基となる音源を記憶したROM819と、このROM819に記憶された音源を基に演出内容等に応じた効果音や楽曲等の演出音を出力する音源IC818と、が設けられている。
また、周辺制御基板810のRAM813には、主制御基板710が送信した入賞コマンドや演出コマンドなどのコマンドを格納しておく受信バッファが設けられている。また、後述するように、当選波を左方向から送出するにあたり当選波出力指示コマンドを格納することで出力予約をする当選波左送出バッファ、および、当選波を右方向から送出するにあたり当選波出力指示コマンドを格納することで出力予約をする当選波右送出バッファ、が含まれている。
なお、周辺制御基板810と表示装置制御基板816との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。
一方、表示装置制御基板816には、演出表示装置115としての液晶表示器(LCD)が接続されている。この表示装置制御基板816は、周辺制御基板810から送信されたコマンド信号を処理し、演出表示装置115に対して駆動信号を出力する。なお、表示装置制御基板816には、CPU832、RAM834、ROM836、VDP838および画像ROM839が備えられている。
CPU832は、周辺制御基板810から送られてきたコマンド信号を入出力インタフェースを介して受信するとともに、そのコマンドを基に演算処理を行って、VDP838の制御を行う。
RAM834は、CPU832の作業領域を提供すると共に、表示コマンドに含まれる情報を一時的に記憶する。また、ROM836は、CPU832用(表示制御用)のプログラムを保持する。なお、後述する変動パターンテーブルは、このROM836に記憶される。即ち、ROM836は、変動パターンを記憶する記憶手段として機能する。
VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)838は、演出表示装置115に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する描画回路である。VDP838の内部には、レジスタが設けられており、VDP838の動作モードや各種表示機能の設定情報等を保持しておくことが可能となっている。そして、このレジスタに保持される各種情報をCPU832が書き換えることにより、演出表示装置115における表示態様を種々変化させることが可能となる。
画像ROM839は、各種の画像データを記憶する不揮発性メモリであり、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データおよび背景画像用のJPEG形式画像データ等が記憶されている。
また、周辺制御基板810には、ランプ駆動基板850、枠装飾中継端子板240、第一調光基板423、第二調光基板424および波形制御基板425が接続されている。
ランプ駆動基板850の出力インタフェースには、パネル装飾ランプ852およびセンター装飾ランプ853が接続されている。これにより、ランプ駆動基板850は、これらの各ランプの点灯状態を切り替えることが可能となっている。さらに、ランプ駆動基板850の入力インタフェースには、遊技盤4の後方側に排出された遊技球(即ちアウト球)を検出する排出口検出センサ854が接続されている。
また、周辺制御基板810に接続された枠装飾中継端子板240には、扉枠5に接続されたスピーカ144,341、操作ボタン327および枠装飾ランプ842等が接続されており、周辺制御基板810には、操作ボタン327の操作状態に基づいて演出表示装置115に出力される演出態様を切り替えると共に、スピーカ144,341や枠装飾ランプ842に対して駆動信号を出力する。
また、先述したように、周辺制御基板810に接続された第一調光基板423および第二調光基板424には、上側冷陰極管セット564および下側冷陰極管セット565がそれぞれ接続されて、各冷陰極管セットの調光を行なう。
さらに、周辺制御基板810に接続された波形制御基板425は、音響出力としての可聴波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成・送受信する処理を実行する。例えば、周辺制御基板810から音響出力コマンドが波形制御基板425に送信されると、これを受けて波形制御基板425は、枠装飾中継端子板240を介して上記のスピーカ144,341を駆動する処理を行う。
また、この波形制御基板425には、当選波出力用左ポートおよび当選波出力用右ポートが設けられており、これら当選波出力用左ポートおよび当選波出力用右ポートを介して各々波送受装置188a,188bが接続されている。これら波送受装置188a,188bは、波形制御基板425の制御によって、各々当選波出力用左ポートおよび当選波出力用右ポートから指示を与えることで波を出力したり、周囲のパチンコ機が出力した波を検出したりするようになっている。
[主制御基板および周辺制御基板の機能的な構成について]
次に、図43を参照して、パチンコ機1の主基板700を構成する主制御基板710および周辺基板800を構成する周辺制御基板810の機能的な構成について説明する。図43は、主制御基板710および周辺制御基板810の機能的な構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図43に示すように、主制御基板710は、遊技状態制御手段934と、特別図柄抽選手段900と、特別図柄表示制御手段702と、特別図柄保留表示制御手段930と、大当たり遊技実行手段715と、開閉動作制御手段938と、普通図柄抽選手段920と、普通図柄表示制御手段716と、普通図柄保留表示制御手段718と、可動片開閉制御手段928と、コマンド送信手段946と、を備えている。これらの各手段は、主制御基板710のCPU711がROM712に記憶される各種プログラム(遊技制御プログラム)を実行することにより具現化される。
また、主制御基板710は、特別図柄保留カウンタ903と、保留順記憶手段940と、当否判定用乱数記憶領域5131と、処理領域5132と、普通図柄保留カウンタ923と、を備えており、これらは主制御基板710のRAM713における記憶領域として具現化される。
また、主制御基板710は、通常特図判定テーブル906、確変特図判定テーブル908は、通常普図判定テーブル926および普通図柄開放延長時当たり判定用テーブル927を備えており、これらのテーブルはいずれもROM712(図41参照)に記憶されている。
遊技状態制御手段934は、パチンコ機1の遊技状態がいずれの遊技状態であるかを判断し、当該判断した遊技状態に基づいて遊技状態を制御する。本実施形態では、パチンコ機1の遊技状態として、パチンコ機1の外観から遊技の状態を把握可能な遊技状態として、通常遊技状態およびこの通常遊技状態よりも遊技者に有利となる有利遊技状態のいずれかの遊技状態に制御される。
通常遊技状態は、後述の開放延長機能が作動しない遊技状態であって、一対の可動片606が後述の促進態様に制御されない遊技状態である。即ち、後述するが、一対の可動片606は、普通図柄抽選手段920による抽選処理において当選したことを契機として開閉動作するものであり、これによって下始動口604への遊技球の入賞確率を高めるものであるが、可動片606が動作するときの動作態様としては、第1の動作態様と、該第1の動作態様よりも遊技者に有利な第2の動作態様(促進態様)とが用意されている。そしてこのうち、通常遊技状態では、可動片606が動作するときの動作態様として第1の動作態様が採用されることとなる。なお、この第1の動作態様とは、下始動口604への遊技球の入賞が促進され難い態様のことであり、例えば、下始動口604が閉状態に維持される態様、または、下始動口604が閉状態に維持される場合と比べて遊技球の入賞に影響を与えない程度に一対の可動片606が開放動作する態様(即ち、可動片606が開閉動作したとしても下始動口604への入賞頻度が閉状態に維持される場合とほぼ同等である態様)である。「遊技球の入賞に影響を与えない程度に」とは、一対の可動片606が開閉動作したとしても下始動口604への入賞頻度が閉状態に維持される場合と殆ど同等であること、即ち、一対の可動片606が開放動作したとしても下始動口604への遊技球の入賞が大きくは促進されないことを意味する。
一方、有利遊技状態は、後述の開放延長機能が作動する遊技状態であって、一対の可動片606が動作するときの動作態様として上記第2の動作態様(促進態様)が採用される遊技状態である。ここで、「促進態様」とは、下始動口604への遊技球の入賞が促進される態様であって、例えば一対の可動片606の開放時間としてより長い時間が採用される態様のことである。即ち、「促進態様」とは、普通図柄抽選手段920による抽選における当選確率のアップ、普通図柄抽選手段920による抽選時間の短縮(普通図柄の変動時間の短縮)および一対の可動片606の開放時間アップ等が相当する。ただし、これら三つの態様のうち、いずれか一つまたは二つのみを行うことによって促進態様としても良く、三つ全てを行うことによって促進態様としても良い。
また、パチンコ機1の遊技状態は、外観から把握することが困難な内部的に制御される遊技状態もある。本実施形態では、後述の確変機能(所謂確率変動機能)が作動する遊技状態と当該確変機能が作動しない遊技状態とがそれに相当する。
確変機能が作動しない場合、特別図柄抽選手段900によって、大当たりに当選する確率が所定の低確率(第1の確率)で抽選処理が行われる。一方、確変機能が作動する場合、特別図柄抽選手段900によって、大当たりに当選する確率が第1の確率よりも少なくとも2倍以上の確率(本実施形態では第1の確率(当選確率A)に対して10倍とされた第2の確率(当選確率B))で抽選処理が行われる。このように、確変機能が作動する場合に、確変機能が作動しない場合と比べて大当たりへの当選確率を少なくとも2倍以上とするのは、確変機能が作動したときに、確変機能が作動しない場合と比べて特別図柄の変動回数が少ない段階で大当たりに当選しうるようにすることで、興趣の低下の抑制を図るためである。
本実施形態では、開放延長機能および確変機能の両方とも作動しない遊技状態を「通常遊技状態」と称し、開放延長機能は作動するけれども確変機能が作動しない遊技状態を「有利遊技状態」と称し、開放延長機能および確変機能の両方とも作動する遊技状態を「特別遊技状態」と称する。この3つの遊技状態(通常遊技状態、有利遊技状態、特別遊技状態)のうち、遊技者にとって最も有利な遊技状態は特別遊技状態であり、遊技者にとっても最も不利な遊技状態は通常遊技状態である。
なお、通常遊技状態または有利遊技状態から特別遊技状態への変更は、条件装置が作動した場合にのみ行われる。即ち、通常遊技状態または有利遊技状態であるときは、後述する特別図柄当否判定手段904によって条件装置の作動を伴う当たりとしての大当たりに当選しない限り、当該通常遊技状態または当該有利遊技状態から特別遊技状態への変更が行われない。また、特別遊技状態から通常遊技状態または有利遊技状態への変更も、条件装置が作動した場合にのみ行われる。即ち、特別遊技状態に制御されているときに、特別図柄当否判定手段904によって条件装置の作動を伴う当たりとしての大当たりに当選しない限り、当該特別遊技状態から通常遊技状態または有利遊技状態への変更が行われない。
特別図柄抽選手段900は、遊技球が上始動口600への入賞に基づいて上始動口センサ780により検出されると、0〜1236の乱数幅で発生する当否判定用乱数のうち一つの乱数を、特別図柄当否判定用乱数取得手段902により取得する。この取得した乱数は当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されると共に、当該取得した乱数の数は、特別図柄保留カウンタ903によって所定数(例えば4個)まで保留される。そして、特別図柄保留カウンタ903による保留が解除されると、取得された順に当否判定用乱数記憶領域5131に記憶される乱数が処理領域5132に移され、特別図柄当否判定手段904によって大当たりに当選したか否かが判定される。
特別図柄当否判定手段904による当否判定は、通常遊技状態または有利遊技状態であれば、特別図柄当否判定用乱数取得手段902によって取得された乱数値と通常特図判定テーブル906とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。本実施形態では、特別図柄当否判定用乱数取得手段902により取得した乱数値が大当たり乱数であるか否かが判定され、大当たり乱数であれば大当たり遊技実行手段715によって大当たり遊技が実行される。
一方、特別遊技状態であれば、特別図柄当否判定手段904による当否判定は、特別図柄当否判定用乱数取得手段902によって取得された乱数値と確変特図判定テーブル908とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。本実施形態では、上記と同様に、特別図柄当否判定用乱数取得手段902により取得した乱数値が大当たり乱数であるか否かが判定され、大当たり乱数であれば大当たり遊技実行手段715によって大当たり遊技が実行される。ただし、特別遊技状態のとき、即ち確変特図判定テーブル908は、通常特図判定テーブル906と比較して大当たり乱数の数が10倍に増えている。
なお、大当たり遊技が実行されているとき、たとえ上始動口600に遊技球が入賞しても当否判定は行われずに、取得した当否判定用乱数が当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されると共に特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値がカウントアップされる。
ところで、特別図柄当否判定手段904による当否判定の結果が大当たりと判定されると、図示しない図柄乱数取得手段によって、0〜240の乱数幅で発生する図柄乱数のうち一つの乱数が取得される。そして、この取得された乱数値が、0〜119であれば確変大当たりと判定され、120〜240であれば通常大当たりと判定され、大当たり遊技実行手段715によって、大当たりに当選した旨を示す演出画像が演出表示装置115の表示面に表示される状況のもとで大当たり遊技用開閉装置500を開閉動作させる長開放大当たり(遊技者に対する定量の遊技球の払い出しが促される大当たり遊技)が実行される。即ち、大当たりについての抽選処理は、特別図柄当否判定手段904による当否判定と、図柄乱数に応じた当選種判定とによって行われる。
なお、特別図柄抽選手段900による当否判定は、上述のとおり、特別図柄保留カウンタ903による保留の解除条件が成立したことに基づいて行われる。本実施形態における当該解除条件は、特別図柄の変動開始であるが、これに限られない。例えば、特別図柄当否判定用の乱数を取得した際に当否判定を行い、当該当否判定結果を、特別図柄の変動が開始されるまで記憶するようにしても良い。
特別図柄当否判定手段904による判定結果は、特別図柄表示制御手段702によって、特別図柄表示器84に表示される。ただし、当該表示は、複数のLEDの点灯パターンによって表示されるため、特別図柄当否判定手段904による判定結果を、遊技者が把握することは困難である。
また、特別図柄保留カウンタ903による保留数は、特別図柄保留表示制御手段930によって、特別図柄保留表示器88に表示される。
大当たり遊技実行手段715は、特別図柄当否判定手段904による判定結果に基づいて、大当たり遊技を実行する。ここで、大当たり遊技は条件装置の作動を伴う遊技である。
条件装置は、特別図柄当否判定手段904による判定結果が大当たりである場合にのみ作動するものであって、一の遊技状態から当該一の遊技状態よりも遊技者に有利な遊技状態への変更(移行)は、条件装置が作動した場合にのみ可能となる。例えば、通常遊技状態から特別遊技状態への変更(移行)などは条件装置が作動することが条件である。
なお、本実施形態のパチンコ機1においては、遊技状態変更抽選(一の遊技状態から当該一の遊技状態よりも遊技者により不利な遊技状態に変更するか否かの抽選)によって不利な遊技状態に移行することはないが、条件装置が作動すること、または、特別図柄の変動が一定回数行われること、の条件が成立した場合に不利な遊技状態への変更が行われることがある。
大当たり遊技実行手段715は、特別図柄当否判定手段904により判定された抽選結果が確変大当たりまたは通常大当たりであれば、開閉動作制御手段938によって開閉装置開閉ソレノイド778を作動させて大当たり遊技用開閉装置500を開閉させる動作を行い、大当たり遊技を実行する。
ここで、大当たり遊技は、大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作を、開閉動作制御手段938によって15ラウンド行う遊技である。大当たり遊技用開閉装置500に遊技球が入賞すると、開閉装置カウントセンサ776によって入賞球数がカウントされる。そして、賞球としての所定数(例えば15球)の遊技球が、払出制御基板720によって球払出装置53から受け皿に払い出される。
なお、大当たり遊技は、これに限定されるものではなく、大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間がほぼ同じ(例えば30秒)であるが、最大開放回数が相対的に多い大当たり(例えば15ラウンド)と、最大開放回数が相対的に少ない大当たり(例えば2ラウンド)等の複数通りの賞球払出数の大当たりを備え、抽選によっていずれかの大当たりが選択されるものであっても良い。また、最大開放回数がほぼ同じ(例えば15ラウンド)であるが、大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間が相対的に長い当たり(例えば30sec)と、大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間が相対的に短い当たり(例えば0.3sec)とであっても良い。
ここで、「ラウンド」とは大当たり遊技時における大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作単位であって、大当たり遊技用開閉装置500が開放したのち、当該開放状態から閉鎖条件が成立して大当たり遊技用開閉装置500が閉鎖するまでが1ラウンドである。当該閉鎖条件は、大当たり遊技用開閉装置500が開放してから所定時間経過すること、または、大当たり遊技用開閉装置500に最大入賞数の遊技球が入賞すること、である。このいずれかの条件を満たしたときに、大当たり遊技用開閉装置500が閉鎖する。
なお、大当たり遊技用開閉装置500の閉鎖条件はこれらに限られるものではない。ただし、大当たり遊技時においては、大当たり遊技用開閉装置500が開放してから所定時間経過するまでに最大入賞数の遊技球が大当たり遊技用開閉装置500に入賞可能である程度となるように、閉鎖条件が設定されることが好ましい。
次に、普通図柄抽選手段920による抽選について説明する。
普通図柄抽選手段920は、遊技球が通過ゲート612を通過してゲートセンサ760により検出されると、0〜250の乱数幅で発生する普通図柄当否判定用乱数のうち一つの乱数を、普通図柄当否判定用乱数取得手段922により取得する。この取得した乱数は、当該取得した乱数を記憶する記憶領域および当該取得した乱数の数をカウンタ値として記憶する普通図柄保留カウンタ923によって所定の上限値(例えば4個)まで保留される。そして、普通図柄保留カウンタ923による保留が解除されると、取得された順に普通図柄当否判定手段924によって当否が判定される。
普通図柄当否判定手段924による当否判定は、通常遊技状態であれば、普通図柄当否判定用乱数取得手段922によって取得された乱数値と通常普図判定テーブル926とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。本実施形態では246〜250が当たり乱数なので、普通図柄当否判定用乱数取得手段922により取得した乱数値がこれらの当たり乱数であるか否かが判定され、当たり乱数であれば、可動片開閉制御手段928によって一対の可動片606の開閉動作が実行される。なお、このとき、普通図柄の変動時間は4000msecであり、一対の可動片606は、開放時間180msの開閉動作を1回実行する(第1の動作態様)。
一方、有利遊技状態または特別遊技状態であれば、普通図柄当否判定手段924による当否判定は、普通図柄当否判定用乱数取得手段922によって取得された乱数値と普通図柄開放延長時当たり判定用テーブル927とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。本実施形態では1〜250が当たり乱数なので、普通図柄当否判定用乱数取得手段922により取得した乱数値がこれらの当たり乱数であるか否かが判定され、当たり乱数であれば、可動片開閉制御手段928によって一対の可動片606の開閉動作が実行される。なお、このとき、普通図柄の変動時間は1024msecであり、一対の可動片606は、開放時間1300msecの開閉動作を3回および開放時間856msecの開閉動作を2回実行する。
このように、有利遊技状態または特別遊技状態であるとき、通常遊技状態の場合と比べて、下始動口604への遊技球の入賞頻度が飛躍的に向上する。従って、有利遊技状態または特別遊技状態であると特別図柄の抽選機会が飛躍的に増加し、大当たり遊技が実行される期待感が高まり、興趣の低下を抑制できる。
なお、本実施形態において、普通図柄当否判定手段924による当否判定は、外通常遊技状態であっても当たりであると判定されて一対の可動片606の開閉動作が実行されうるが、これに代えて、通常遊技状態であるときは当たり確率がゼロとなるようにしても良い。即ち、一対の可動片606の開閉動作が行われるのは、有利遊技状態または特別遊技状態であるときのみとしても良い。
普通図柄当否判定手段924による判定結果は、普通図柄表示制御手段716によって普通図柄表示器82に表示される。また、普通図柄保留カウンタ923による保留数は、普通図柄保留表示制御手段718によって普通図柄保留表示器92に表示される。
可動片開閉制御手段928は、普通図柄当否判定手段924によって判定された抽選結果が当たりであるときに、普通電動役物ソレノイド774を作動させて一対の可動片606を開閉動作させる。ただし、上述したとおり、有利遊技状態または特別遊技状態である場合と、通常遊技状態である場合とでは、一対の可動片606の開閉動作態様は異なっている(有利遊技状態または特別遊技状態である場合、下始動口604への遊技球の入賞が、通常遊技状態である場合よりも容易化される)。
なお、本実施形態では、一対の可動片606が閉鎖されているとき、下始動口604への遊技球の入賞が不可能となっており、一対の可動片606が開閉動作することに伴って、下始動口604への遊技球の入賞が、上始動口600への遊技球の入賞よりも容易となる。ただし、一対の可動片606が閉鎖されているとき、下始動口604への遊技球の入賞が不可能である態様に限られず、下始動口604への遊技球の入賞が上始動口600への遊技球への入賞よりも困難であれば良い。
コマンド送信手段946は、特別図柄当否判定手段904による抽選結果およびこの抽選結果に拘わる情報を周辺基板800に送信する。「抽選結果に拘わる情報」とは、演出表示装置115にて行われる装飾図柄の変動時間等が相当する。
なお、特別図柄当否判定手段904および普通図柄当否判定手段924による当否判定結果には、必ずしもハズレが含まれている必要はない。
一方、周辺制御基板810は、図43に示すように、コマンド受信手段950と、演出抽選手段960と、演出制御手段962と、を備えている。これらの各手段は、周辺制御基板810のCPU811がROM812に記憶される各種プログラム(演出制御プログラム)を実行することにより具現化される。
コマンド受信手段950は、主制御基板710から送信された特別図柄当否判定手段904による判定結果および当該判定結果に拘わる情報を受信する。
演出抽選手段960は、演出表示装置115に表示される演出態様を決定し、これに伴って、スピーカ144,341から出力される効果音や楽曲等の演出音および各ランプ842,852,853における表示が決定される。演出制御手段962は、演出抽選手段960により決定された演出態様や表示に基づいて制御を行う。具体的には、演出抽選手段960により決定された演出態様が演出表示装置115に表示されるように表示装置制御基板816に情報送信すると共に、これに伴って決定された演出音等および表示がスピーカ144,341および枠装飾ランプ842から出力および表示されるように枠装飾中継端子板240を介して制御する。さらには、ランプ駆動基板850を介してパネル装飾ランプ852やセンター装飾ランプ853における表示も制御する。
なお、演出抽選手段960は、自機の抽選結果が当たりであるときに当選波を出力するか否かを所定の確率で決定し(当選波放出決定手段)、当該当選波を出力すると決定された場合には、後述するように「連動期待演出」の実行範囲や演出進行方向、および、当選波の送信タイミングを決定する。また、演出制御手段962は、後述する「予告演出」としての連動演出報知ランプ(例えば、枠装飾ランプ842)の発光制御を行なったり、「連動期待演出」として特殊連動画像(例えば、魚群演出)の表示制御を行なったりする機能も有している。なお、自機における「連動期待演出」の演出開始タイミングを決定するのも、この演出制御手段962である。
[主制御基板および周辺制御基板における演出制御について]
ここで、図41〜図44を参照して、上記の主制御基板710および周辺制御基板810で実行される各種制御のうち、パチンコ機1で実行される各種演出に関連する制御動作について説明する。図44は、変動パターンテーブルの内容の一例を示す図である。
図41および図43に示す主制御基板710では、CPU711がROM712に格納されている遊技制御プログラムを実行することによって、パチンコ機1で行われる各種遊技が制御される。この遊技制御プログラムは、始動入賞を契機として内部的な抽選処理(大当たり抽選)の判定を実行し、この大当たり抽選において当選している場合には、当選フラグに「1(ON)」を設定し、当選していない場合には当選フラグに「0(OFF)」を設定する。つまり、この当選フラグ(大当たりフラグ)は、大当たり抽選において当選したか否かを表すフラグである。
主制御基板710においては、例えば4msごとに実行される割込み処理においてコマンド送信処理が実行されている。このコマンド送信処理では、コマンドバッファに送信すべきコマンドが格納されていると、この格納されているコマンドを周辺制御基板810や払出制御基板720に対して送信する。つまり、このコマンド処理では、コマンドバッファに送信予約されているコマンドが存在している場合、この送信予約されているコマンドを送信する。本実施形態では、遊技制御プログラムは、この当選フラグに関する情報(以下「当選情報」と呼称する)および変動時間などを含む演出コマンドを、コマンド送信処理において周辺制御基板810に対して送信している。
ここで、「変動時間」とは、特別図柄表示器84に表示される特別図柄の変動時間(具体的には、特別図柄表示器84に表示される特別図柄の変動表示が開始されてから停止表示されるまでの時間)であって、演出表示装置115に表示されるリーチ演出など(後述する単期待演出)を実行すべき時間(具体的には、演出表示装置115における装飾図柄が変動開始してから停止するまでの時間)に相当している。そして、後述するように、当選パチンコ機1においては、この変動時間の範囲内で、後述する連動期待演出(例えば、魚群演出)が複数のパチンコ機が連動するような態様で行われる。
ところで、変動時間は、開放延長機能が作動しているか否かで異なっている。具体的には、開放延長機能が作動している有利遊技状態または特別遊技状態では、開放延長機能が作動していない通常遊技状態よりも変動時間が短くなっている。これにより、有利遊技状態または特別遊技状態では、通常遊技状態よりも遊技の進行が促進される。変動時間は、さらに、特別図柄保留カウンタ903に記憶される乱数の数(所謂保留数)に応じても異なっている。例えば、変動開始直後の特別図柄保留カウンタ903による保留数が0の場合の変動時間を基準時間としたとき、当該保留数が2または3である場合の変動時間は基準時間よりも短くなる。これにより、保留数が多いときは遊技の進行が促進される一方で、保留数が少ないときは変動されなくなることによる興趣の低下が抑制される。なお、図44に示される変動時間は、開放延長機能が作動しておらず、且つ、変動開始直後の特別図柄保留カウンタ903による保留数が0の場合を示している。
次に、特別図柄保留カウンタ903による保留数に応じて変動時間がどのように異なるかについて、通常遊技状態における通常変動(図44に示される変動番号1の通常変動)を例に説明する。なお、通常変動は、特別図柄当否判定手段904による判定結果が所謂リーチ演出を伴わない外れ変動である。この通常変動の変動時間は、変動開始直後の特別図柄保留カウンタ903による保留数(当該変動を含まない保留数)が2以上であれば最も短い変動時間(例えば3000msec)が設定され、当該保留数が0であれば通常変動では最も長い変動時間(例えば11000msec)が設定される(リーチ演出を伴う変動時間は図44に示すようにさらに長い)。また、当該保留数が1であれば、当該保留数が2以上の場合よりも長く且つ当該保留数が0の場合よりも短い変動時間(例えば7000msec)が設定される。より具体的には、演出表示装置115に表示される装飾図柄の数は三つ(上図柄、中図柄および下図柄の三つ)であり、装飾図柄の変動が開始されてからこの三つの装飾図柄のうち二つの装飾図柄(上図柄および下図柄)が停止表示されるまでの時間が、特別図柄保留カウンタ903による保留数に応じて異なっている。一方、三つの装飾図柄のうち二つの装飾図柄(上図柄および下図柄)が停止してから三つ目の装飾図柄(中図柄)が停止表示されるまでの時間は、保留数に拘らず一定である。ただし、これに限られず、三つの装飾図柄のうち二つの装飾図柄(上図柄および下図柄)が停止してから三つ目の装飾図柄(中図柄)が停止表示されるまでの時間についても、保留数に応じて異なるようにしてもよい。
また、特別図柄当否判定手段904による判定結果が所謂リーチ演出を伴うリーチ変動(図44に示される変動番号2〜32)の場合においても、特別図柄保留カウンタ903による保留数に応じて変動時間が異なっている。具体的には、演出表示装置115に表示される装飾図柄の数は三つ(上図柄、中図柄および下図柄の三つ)であり、装飾図柄の変動が開始されてからこの三つの装飾図柄のうち二つの装飾図柄が停止表示されるまで(リーチ表示されるまで)の時間が、特別図柄保留カウンタ903による保留数に応じて異なっている。言い換えると、リーチ表示されてから抽選処理の結果が表示されるまで(全ての装飾図柄が停止表示されるまで)の時間は、特別図柄保留カウンタ903による保留数に拘らず一定である。
なお、特別図柄当否判定手段904による判定結果が所謂リーチ演出を伴うリーチ変動(図44に示される変動番号2〜32)の場合、特別図柄保留カウンタ903による保留数に拘らず変動時間を一定としても良い。
図42および図43に示す周辺制御基板810では、CPU811がROM812に格納されている演出制御プログラムを実行することによって、パチンコ機1で行われる各種演出が制御される。即ち、この演出制御プログラムが、RAM813を作業領域として遊技の進行に伴う演出動作を制御するなど、次のような期待演出を制御する。この「期待演出」は、例えば変動後の停止図柄が所定の表示態様(例えば同一の図柄が1列に揃った表示態様)になるかもしれないことを暗示する演出動作の一種である。つまり、この期待演出は、大当たり抽選において当選するかもしれないとの期待感を遊技者に与える演出動作である。ここで、周辺制御基板810は、例えば2msごとに周期的に実行される割込み処理に含まれるコマンド受信処理において受信バッファを参照し、この受信バッファにコマンドなどが格納されているか否かを判断する。
そして、この演出制御プログラムは、受信した演出コマンドなどを解析し、当該演出コマンドに応じた期待演出を制御する。具体的には、演出制御プログラムは、図44に示す変動パターンテーブルを参照して、上記の演出コマンドに含まれる当選情報および変動時間に基づいて、この演出コマンドに対応する実行コマンドを得る。この実行コマンドには、先述の当選情報および変動時間のほか、変動内容、魚群演出開始ポイント(詳細は後述)、魚群演出開始時間(詳細は後述)の情報が含まれており、演出制御プログラムはこの実行コマンドに基づいて期待演出を実行する。
この「期待演出」では、表示装置制御基板816を介して演出表示装置115に各種演出画像が表示されるととともに、その他各基板を介して各種ランプ852,853,842や冷却極管セット564,565が点灯されたり、スピーカ144,341から音声出力されたり、その他の各種役物や装飾体が駆動されたりする。そして、この「期待演出」は、自己のパチンコ機1で単独に行なわれる演出態様である「単期待演出」と、複数のパチンコ機1(遊技機列)で連動して行なわれる演出態様である「連動期待演出」と、から構成される。
例えば、演出制御プログラムが実行コマンド「03H」に基づいて期待演出を行なう場合、パチンコ機1では「単期待演出」として、装飾図柄の変動表示とともに「ノーマルリーチ当たり」に相当する演出が「20160ms」の期間行われたのちに、当該装飾図柄が停止表示されて抽選結果として「当選」が導出されることとなる。また、実行コマンド「03H」は当選情報が「当たり」であるため、上記の「ノーマルリーチ当たり」演出とともに、「連動期待演出」として魚群演出開始ポイント「B」および魚群演出開始時間「a」とする特殊な演出映像(魚群演出)が実行されるが、詳細は後述する。
なお、表示装置制御基板816の画像ROM839には、通常遊技状態において用いられる演出映像に係るキャラクタデータ以外にも、例えばリーチ演出や大当たり中において用いられる演出映像に係るキャラクタデータが格納されている。さらに、この画像ROM839には、例えば右から左に演出媒体(例えば、魚群など)が進行する演出映像(第1演出映像)に係るキャラクタデータが格納されているとともに、例えば左から右に演出媒体(例えば、魚群など)が進行する演出映像(第2演出映像)に係るキャラクタデータも格納されている。そして、VDP838は、CPU832の制御によって、画像ROM839からキャラクタデータを取得し、このキャラクタデータに基づいて各種演出画像を演出表示装置115に表示する。
本実施形態では、通常遊技状態やリーチ演出(単期待演出)あるいは大当たり中において用いられる演出映像に係るキャラクタデータに基づく演出画像のように、遊技の進行に応じてパチンコ機1において単独で実行される演出画像を「遊技演出画像」とよぶ。また、大当たり抽選において当選している或いは当選しているかのように暗示する場合に、複数のパチンコ機1において連動して表示される演出画像(第1演出映像および第2演出映像)を、連動期待演出時に表示される「特殊連動画像」とよぶ。また、第1演出映像の表示に必要なキャラクタデータを第1演出映像データと呼称し、第2演出映像の表示に必要なキャラクタデータを第2演出映像データと呼称する。
[周辺制御基板および波形制御基板における連動期待演出制御について]
ここで、上記の周辺制御基板810および波形制御基板425で実行される演出制御のうち、複数のパチンコ機1において連動して実行される連動期待演出に関する制御について説明する。
先述したように、当選パチンコ機1では、周辺制御基板810が受信した演出コマンドに大当たりへの当選を示す当選情報が含まれていた場合、当選波(当たり情報または特定情報とも称する)を出力するか否かを決定し、当選波を出力すると決定されると、演出制御プログラムは波形制御基板425を介して波送受装置188a,188bから当選波を出力させ、この当選波を受信した他のパチンコ機1と連動して連動期待演出を実行する。
なお、この当選波としては、例えば人間の感覚によって知得することができない不可聴波を採用するのが望ましいが、人間の感覚によって知得することができる波を一部に採用してもよい。このような人間の感覚によって知得することができない波としては、超音波などの音波を挙げることができる。つまり、この波送受装置188a,188bは、各々複数のパチンコ機間で交換可能な情報を含めて波を出力するなど、この情報を含めた波を検出するようになっている。
(当選波を送信するパチンコ機における制御動作)
図45および図46を参照して、当選波を送信するパチンコ機1(当選パチンコ機1)における制御動作を説明する。図45は、演出進行方向選択テーブルの内容の一例を示す図である。図46は、出力方向振分テーブルの内容の一例を示す図である。なお、パチンコ機1から出力される当選波は、特定の対象物に向けて出力されるような信号とは異なり、機外に放出される波である。なお、本明細書では、当選波を「出力する」または「送信する」といった表現を用いているが、これらはいずれも「放出する」の方が概念的に近い。また、本明細書では、当選波を「受信する」といった表現も用いているが、前述のとおり、当選波は特定の対象物に向けて出力されるような信号とは異なるので、放出された当選波を「収拾する」の方が概念的に近い。
まず、当選波を出力すると決定されたパチンコ機1では、演出制御プログラムが図45に示す演出進行方向選択テーブルを参照して、ランダムに取得される乱数値に基づいて、複数のパチンコ機において連動して行なわれる連動期待演出が進行する方向を決定する。演出進行方向選択テーブルは、このランダムに取得される乱数値に応じて、連動期待演出を実行するか否か、および、連動期待演出を実行する場合には何れの方向に向けて実行するか、を決定するための演出進行方向情報を管理している。
そして、演出制御プログラムは、図46に示す出力方向振分テーブルを参照して、ランダムに取得される乱数値に基づいて、自己のパチンコ機1を基準として左右方向(遊技機列の配列方向)に連動期待演出が連動して行なわれるパチンコ機の台数を決定し、当選波の出力方向を振り分ける。出力方向振分テーブルは、このランダムに取得される乱数値に応じて、当選波を遊技機列の配列方向に沿った一方向および他方向のいずれに対して、当選パチンコ機1からみて何台先まで出力すべきであるかを決定するための出力振分情報を管理している。言い換えると、この出力方向振分テーブルは、遊技機列を構成する複数のパチンコ機のうちで連動期待演出の実行対象となるパチンコ機の範囲を決定するためのものである。なお、図46では、最大6台のパチンコ機で連動期待演出が行われることになるが、装飾図柄の変動時間(即ち特別図柄の変動時間)が経過するまでに連動期待演出が終了するのであれば、これに限られない。
このように、演出制御プログラムは、大当たり抽選に当選している場合、遊技機列において連動期待演出が進行する方向を選択する機能と、当選波を出力すべき方向として、遊技機列の配列方向に沿った一方向および他方向のうち少なくとも一方を選択する機能と、を有している。なお、大当たり抽選に当選した遊技機の正面から見た右側を一方向とすると、大当たり抽選に当選した遊技機の正面から見た左側が他方向となる。
そして、波形制御基板425は、演出制御プログラムの指示に従って、波送受装置188a,188bが各々出力する当選波の振幅を変更自在に出力すべく制御している。即ち、この波形制御基板425は、大当たり抽選において当選している場合(当選フラグ=ONの場合)、これら波送受装置188a,188bが各々出力する当選波を、遊技機列において連動して連動期待演出を実行すべきパチンコ機のうち最も端に位置すべきパチンコ機(以下、最端パチンコ機と呼称する)までの距離に応じて決定した振幅として出力させている。このとき波形制御基板425は、演出制御プログラムの指示に従って、この当選波に、出力した際の振幅の大きさに関する強度情報を含めて、当選波を波送受装置188a,188bに各々独立して出力させることが可能である。本実施形態において、波形制御基板425がこの強度情報を含めて当選波を出力しているのは、この当選波を受け取った他のパチンコ機が、受信した当選波の振幅の減衰量を取得する際の基準とするためである。
また、波形制御基板425は、演出制御プログラムの指示に従って、これら波送受装置188a,188bを制御し、出力方向振分テーブルに基づいて決定された当選波の出力方向に、上述のように決定された振幅で当選波を出力させる。具体的には、演出制御プログラムは、上述のように選択された出力方向が遊技機列の配列方向に沿った一方向である場合、波形制御基板425に対して指示を与えて波送受装置188a,188bのいずれか一方を制御し、その一方向に当選波を出力させる。また、演出制御プログラムは、上述のように選択された出力方向が遊技機列の配列方向に沿った他方向である場合、波形制御基板425に対して指示を与えて波送受装置188a,188bのいずれか他方を制御し、その他方向に当選波を出力させる。これにより、当選波を出力する当選パチンコ機1を起点として、連動期待演出の実行対象となるパチンコ機の範囲に亘って、一方向または他方向に当選波を出力することができる。
さらに、波形制御基板425は、演出制御プログラムの指示に従って、波送受装置188a,188bが各々出力する当選波の周波数(周期)を変更自在に出力すべく制御している。そして、波形制御基板425は、当選パチンコ機1からみて演出進行方向の上流側(即ち、連動期待演出の起点となる最端パチンコが位置する方向)と、当選パチンコ機1からみて演出進行方向の下流側とに、それぞれ異なる周波数(周期)の当選波を出力する。例えば、当選パチンコ機1からみて演出進行方向の上流側が一方向であるとき、当該一方向に第1の周波数(例えば、20kHz)の第1当選波が出力され、演出進行方向の下流側である他方向に第2の周波数(例えば、40kHz)の第2当選波が出力される。このように、波形制御基板425が出力方向に応じて異なる周波数(周期)の当選波を出力しているのは、この当選波を受け取ったパチンコ機が、それぞれ当選パチンコ機1からみて演出進行方向の上流側にあるか下流側にあるかを特定するためである。
以上により、大当たりに当選したパチンコ機1からは、この当選パチンコ機1を起点として連動期待演出の実行対象となる周囲のパチンコ機に当選波が出力される。そして、この連動期待演出の実行対象となる複数のパチンコ機では、後述するように、最端パチンコ機から演出進行方向に沿って連動期待演出が実行される。
ところで、本実施形態では、連動期待演出の実行対象となる複数のパチンコ機では、当選波を受信すると後述するように予告演出として連動演出報知ランプ(例えば、枠装飾ランプ842)が点灯するが、これらのパチンコ機のうちで実際に連動期待演出としての魚群演出が実行されるのは、連動期待演出の起点となる最端パチンコ機から当選パチンコ機1までである。従って、当選波を受け取ったパチンコ機が当選パチンコ機1よりも演出進行方向の下流側に位置する場合、このパチンコ機では連動期待演出としての魚群演出は実行されないが、この点も後述する。
また、連動期待演出の実行対象となる複数のパチンコ機では、演出表示装置115に表示される画像表示に応じるかたちで電気的な補助演出が行われる。具体的には、補助演出として、枠装飾ランプ842が点灯したり点滅したりするような電気的な発光演出が行われることにより、演出表示装置115に表示される画像表示が盛り上げられる。
即ち、枠装飾ランプ842は、演出表示装置115に当たりの可能性が高いことを示唆するリーチ演出画像(言い換えると、遊技者の興味を惹起するような特定の惹起画像)が表示される場合には、先述の補助演出として電気的な特定演出を行う機能を有している。この特定演出は、演出表示装置115に表示されるリーチ演出画像を盛り上げる態様で行われるものであり、枠装飾ランプ842が通常の補助演出よりも盛り上がるように華美な態様で発光する。例えば、特定演出時の枠装飾ランプ842は、補助演出時よりも高い輝度で発光したり、補助演出時よりも鮮やかな色(例えば、通常の補助演出よりも色調が明るくなるような態様)で発光したり、補助演出時よりも速い点滅速度で発光したりする。
なお、本実施形態では、枠装飾ランプ842を演出表示装置115に表示される画像に応じるかたちで発光制御するために、周辺制御基板810(演出制御プログラム)は、主制御基板710から送信される抽選処理の当落にかかるコマンド信号(特定情報あるいは当たり情報とも称する。)に基づいて、枠装飾ランプ842の発光制御を行なっている。例えば、主制御基板710から送信されるコマンド信号がハズレを示す場合は枠装飾ランプ842にて通常の補助演出を行なう一方、主制御基板710から送信されるコマンド信号が当たりを示す場合は枠装飾ランプ842により特定演出を行なうなどである。
また、本実施形態では、枠装飾ランプ842による電気的な特定演出の態様として、リーチ演出画像を盛り上げる高揚特定演出と、高揚特定演出よりも盛り上げ度合いが抑制された抑制特定演出と、有している。そして、周辺制御基板810の演出制御プログラムが、これらの高揚特定演出または抑制特定演出を選択的に実行している。例えば、演出制御プログラムは、パチンコホール内の電飾を煌びやかにした場合には高揚特定演出を行うようにし、消費電力を抑制したい場合には抑制特定演出を行うといった発光制御を行なうなどである。
さらに、本実施形態の枠装飾ランプ842は、上記のようなパチンコ機単体に係る発光演出とは異なり、波形制御基板425および波送受装置188a,188bにより当選波を放出または収拾すると、複数のパチンコ機と併せた態様の発光演出(即ち、予告演出)を実行する期待演出報知ランプとしての機能を有している。そのため、自機の演出表示装置115にリーチ演出画像が表示される状態でなくとも、枠装飾ランプ842の発光制御(期待演出報知ランプとしての発光演出)が、当選波を放出した他機とあわせたかたちで(即ち、当選波を放出した他機と同じか類似する態様で)行なわれる。
ここで、「予告演出」として行なわれる枠装飾ランプ842の発光態様は、演出表示装置115にリーチ演出画像が表示されるときの発光態様(つまり、先述した電気的な特定演出)と同様である。そのため、外部から当選波が収拾されると、自機の抽選結果がハズレであったとしても、枠装飾ランプ842の発光態様はハズレ時に実行される補助演出ではなく当たり時に実行される特定演出となる。なお、特定情報を放出または収拾したパチンコ機では、いずれのパチンコ機においても枠装飾ランプ842の発光態様は同一または類似となり、また演出画像の盛り上げ度合いが抑制された発光態様(つまり、抑制特定演出)であるが、詳細は後述する。
以上、枠装飾ランプ842の発光演出について説明したが、枠装飾ランプ842における発光演出を高輝度や高頻度で実行すると必然的に消費電力が多くなる。パチンコホール内では、従来から1台の変圧器(トランス)に対して2〜4台のパチンコ機が割り当てられ設置されているが、各パチンコ機における消費電力が多くなるとトランスにかかる負荷が大きくなり電気的な不具合が発生する要因となる。この点、本実施形態における枠装飾ランプ842の発光制御によれば、かかる不具合を解消することができるようになっているが、これについての詳細も後述する。
(連動期待演出の開始タイミングについて)
ここで、当選パチンコ機1が当選波を出力する場合における、連動期待演出(ここでは、魚群演出)を開始するタイミングの決定について、図47を参照して具体的に説明する。図47は、(1)が連動期待演出の開始ポイント(魚群演出開始ポイント)を示す魚群演出開始ポイントテーブルであり、(2)が連動期待演出の開始時間(魚群演出開始時間)を示す魚群演出開始時間テーブルである。
当選波の出力元となる当選パチンコ機1では、演出制御プログラムが、図47に示す魚群演出開始ポイントテーブルおよび魚群演出開始時間テーブルを参照して、周辺制御基板810が受信した演出コマンドに対応する実行コマンド(図44参照)に対応する連動期待演出の開始ポイント(図47(1)を参照)および連動期待演出を開始する時間(図47(2)を参照)を制御することができる。つまり、演出コマンド(具体的には、実行コマンドにおける変動時間)に応じて、最適な魚群演出開始ポイントと魚群演出開始時間とを決定することができる。
なお、連動期待演出の開始ポイント(魚群演出開始ポイント)とは、当選パチンコ機1において装飾図柄の変動表示およびリーチ演出(先述の単期待演出)がどのような状態に移行したときに、最端パチンコ機から連動期待演出としての魚群演出が開始されるかを示す。また、連動期待演出の開始時間(魚群演出開始時間)は、この魚群演出開始ポイントが当選パチンコ機における図柄変動開始から何秒後に相当するかを示す。例えば、魚群演出開始ポイントが「変動開始時」であれば常に魚群演出開始時間は「0秒」であるため、当選パチンコ機において図柄変動が開始されると同時に(つまり、当選パチンコ機における図柄変動から起算して0秒後に)、最端パチンコ機から連動期待演出が開始される。
演出制御プログラムは、魚群演出開始ポイントが決定すると当該開始ポイントに基づいて、変動開始から変動終了までのどのポイントから魚群演出を開始するかを抽選により決定する。例えば、実行コマンド「03H」である場合は、魚群演出開始ポイントは図46(1)のテーブル中の「B」に該当するから、連動期待演出としての魚群演出を行うポイントが変動開始時である確率は40%、上図柄停止時は30%、リーチ表示時は30%、下図柄停止時、前半終了直前、後半開始時、後半終了直前は0%であると予め設定されている。0%となっているポイントが選択されることはない。
本実施態様において、下図柄停止時、前半終了直前、後半開始時、後半終了直前での魚群演出開始を0%にしているのは、変動時間の範囲内で魚群演出を終了させることを目的としているからである。上記のポイントに魚群演出の可能性があるとなると、例えば、実行コマンドに基づいて長い演出時間の魚群演出が決定された場合に、変動時間内に魚群演出を終了することができない魚群演出開始ポイントから魚群演出が開始されるという事態が生じる。そうすると、結果的に当選パチンコ機1において、変動は終了している(大当たりが決定している)にも拘らず、魚群がまだやって来ないなどの違和感のある演出が存在する虞があり、このような状態に遭遇すると、遊技者にとっては大当たりの感動が逆に興ざめしてしまう可能性があるからである。
さらに、演出制御プログラムは、上記のように連動期待演出としての魚群演出を行うポイントが決定されると、実行コマンドに基づいて決定された魚群演出開始時間に基づいて、当該ポイントに応じて当該魚群演出の開始時間を具体的に決定する。例えば実行コマンドが「03H」であった場合、魚群演出開始時間は図47(1)のテーブル中の「a」に該当するから、先述のように「変動開始時」に魚群演出が開始されるということが抽選により決定されると(図47(1)参照)、魚群演出開始時間テーブル中「a」において「変動開始時」の時間情報(0ms)が必然的に選択される(図47(2)参照)。「変動開始時」の時間情報が「0ms」とは、変動開始から0ms後に魚群演出が行われることを示す。
図47(1)のテーブルにおいて、魚群演出の開始ポイントの確率を「変動開始時」に一番多く割り当てているのは、変動時間内のより早い段階から「連動期待演出」としての魚群演出を行うことにより、魚群の出現時間は必然的に長くなるからである。これにより、できるだけ多くの遊技者に、大当たりへの期待感を与えることができる。
ここで、「魚群演出が行われる」とは、大当たり抽選に当選していたパチンコ機1の演出表示装置115に特殊な演出映像である特殊連動画像(魚群の画像)を表示させるだけでなく、当選パチンコ機1から出力された当選波を受けた隣接遊技機列内の各パチンコ機を含めて連動して、各パチンコ機の演出表示装置にも所定の方向から魚群を順に表示させる一連の演出動作をも含むものである。
このように、魚群演出が行われる予定の当選パチンコ機1において、上記方法により魚群演出の開始ポイントと開始時間を決定することにより、大当たり抽選に当選しているパチンコ機であっても、変動開始から変動終了まで間、どのポイントから魚群演出を開始するかが毎回異なる。そうすると、当選パチンコ機1の遊技者は、連動演出報知ランプ(例えば、枠装飾ランプ842)が点滅してから各パチンコ機における魚群演出が終了するまでの間、自分の台が大当たりかもしれないという期待感を抱き続ける。同様に、大当たり抽選に当選していないパチンコ機であっても、連動演出報知ランプが点滅した時点から魚群演出が終了するまで(連動演出報知ランプの点滅が終了するまで)、その遊技者は内部的な抽選において当選しているかもしれないとの期待感を抱き続ける。即ち、たとえランプの点灯時にリーチ演出などが特に行われていない場合、いわゆる通常の変動状態であっても、連動演出報知ランプが点滅することにより、大当たりへの期待感を高めることができる。
本実施例において、図47(1)に示す魚群演出開始ポイントテーブル中「D」には、変動開始時から後半終了直前までのすべてのポイント(下図柄停止時を除く)に、魚群演出開始の確率を割り振っている。「後半終了直前」とは、例えば3枚ある図柄のうち、上図柄が停止、下図柄が停止、そして中央の図柄が停止する直前といった態様、または変動の途中で行われたリーチ演出の終了直前といった態様等が挙げられる。「後半終了直前」に魚群演出が開始するということは、変動開始から後半終了直前(魚群演出の開始ポイントの前)まで、通常の状態と同様の変動状態や、「いかにもハズレの変動状態」であってよい。
「いかにもハズレの変動状態」とは、例えば、一方の図柄(例えば上図柄)が「3」で停止した状態でもう一方の図柄(例えば下図柄)が「4」で停止し、最後に中央の図柄が未だ変動中ではあるが、中央の図柄がどの数字で停止しようともハズレに間違いないように思える変動状態である。このような状態は、遊技者が当たりを期待することはないどころか、ストレスを与え、興趣の低下を招く。
しかしながら、本実施例においては、前記に示すような「いかにもハズレの変動状態」であっても、魚群演出を開始させることができる。このようにすると、前記のように上図柄が「3」で停止した状態で下図柄が「4」で停止した場合においても、あえて中央の変動を長くするといった変動挙動を行わせることができる。
さらに、本実施形態では、図44には示されていないが、通常変動から当たりとなる変動パターン(通常変動当たり)も用意されている。この「通常変動当たり」は、上図柄、下図柄、中図柄の順に停止するに際して、変動開始から上図柄が停止するまでの時間、変動開始から下図柄が停止するまでの時間、変動開始から中図柄が停止するまでの時間、が変動番号1の通常変動と同じかほぼ同じである。さらに、上図柄および下図柄が停止したときにリーチとならず、全ての図柄が停止したときにハズレを示す態様が表示される点においても通常変動と同じである。ただし、「通常変動当たり」では、全ての図柄が停止したときに表示されるハズレを示す態様は仮に表示されるだけである。即ち、通常変動当たりでは、特別図柄当否判定手段904による判定の結果が大当たりであるにも拘らず、ハズレを示す態様が表示されるのである。そして、この通常変動当たりにてハズレを示す態様が仮表示されたのち、遊技者に大当たりとなる期待感を与える演出を経て、ハズレを示す態様から当たりを示す態様に表示が切り替わり、特別図柄当否判定手段904による判定の結果が大当たりである旨を示す態様が表示される。この通常変動当たりの変動時間は、遊技者に大当たりとなる期待感を与える演出を経ることから、変動番号1の通常変動よりも長い時間(例えば変動番号3、11等の変動パターンとほぼ同じ時間)が設定される。なお、ハズレを示す態様から当たりを示す態様への表示の切り替わりは、キャラクタによる装飾図柄の差し替え、ハズレを示す態様から再変動して当たりを示す態様への変更等が例示されるが、これらに限られるものではない。また、通常変動当たりにてハズレを示す態様が表示されたとき、装飾図柄が完全に停止したように見える態様であってもよいし、装飾図柄が例えば揺れを伴うことで完全に停止していないように見える態様であってもよい。
なお、変動パターンとして通常変動当たりが表示される場合、連動期待演出の開始ポイント(魚群演出開始ポイント)は、変動開始時が例えば80%と、図47に示される開始ポイントのなかでは最も高い割合で選択されるように設定される。これにより、連動期待演出をより長い時間にわたって行うことができ、ひいては、より多くの遊技機において連動期待演出を行うことが可能となる。また、変動パターンとして通常変動当たりが表示される場合、連動期待演出の開始ポイント(魚群演出開始ポイント)は、下図柄が停止した以降に選択されるようにしてもよい。なぜなら、通常変動当たりではリーチ演出が行われず、また、ハズレが仮表示されることから、下図柄が停止した以降に連動期待演出が開始されたとしても、当選台を特定することが困難だからである。ただし、より長い時間にわたって連動期待演出を行うといった観点からいえば、連動期待演出の開始ポイント(魚群演出開始ポイント)は変動開始時であることが好ましい。
また、変動パターンとして通常変動当たりが表示される場合、連動期待演出を行うパチンコ機1の台数は、当選台において単期待演出が終了するまでに連動期待演出が終了するように決定される必要がある。例えば、装飾図柄の変動開始時に当たり信号を放出し、当該当たり信号が放出されたタイミングで予告演出が行われるものとし、通常変動当たりの変動時間を例えば22000msec、予告演出が行われてから連動期待演出(魚群演出)が表示されるまでの時間を例えば1000msec、1台当たりに連動期待演出が表示される時間を1800msecとすると、最大で11台のパチンコ機において連動期待演出を行うことが可能となるので、連動期待演出を行うパチンコ機の台数は、11台以下の台数で決定される。
こののように、当選台における単期待演出として通常変動当たりが表示される場合、内部抽選の結果が大当たりであるにも拘らず、リーチ演出が行われないので、遊技者は、内部抽選の結果が大当たりであると気付きにくい。よって、当選台における単期待演出として通常変動当たりが表示されると共に、複数の遊技機で連動期待演出が行われると、当該連動期待演出が行われている複数の遊技機のいずれにおいても、装飾図柄の変動表示(ひいては特別図柄の変動表示)が行われている限り、大当たりとなる可能性がある。なお、当選台における単期待演出として通常変動当たりが表示される場合、内部抽選の結果が大当たりであるにも拘らず、リーチ演出が行われないだけでなく、ハズレを示す態様が仮表示されるようにすると、より長い間連動期待演出を行うことが可能となるので、好ましい。
この点、内部抽選の結果が大当たりであるときは常にリーチ演出を経て当たり表示が行われるとすると、せっかく複数の遊技機にて連動期待演出が行われたとしても、リーチ演出が行われない遊技機は、その時点で当たりでないことが確定してしまい、連動期待演出自体が面白みのないものとなってしまう。これに対し、内部抽選の結果が大当たりであるにも拘らずリーチ演出が行われないようにすると共に、複数の遊技機にて連動期待演出を行うことで、装飾図柄の変動表示(ひいては特別図柄の変動表示)が行われている限り、連動期待演出が行われている遊技機で遊技を行っている遊技者に対して、「自分の台が当たりかもしれない」といった期待感を与えることが可能となる。さらに、連動演出報知ランプが点灯した段階においては、点灯した遊技機列中の各パチンコ機の遊技者全員が、「自分の台が当たりかもしれない」という期待感を抱くことができる。
ところで、通常変動では、三つの装飾図柄の変動が開始されてからこの三つの装飾図柄のうち二つの装飾図柄(上図柄および下図柄)が停止表示されるまでの時間が、特別図柄保留カウンタ903による保留数に応じて異なっているが、通常変動当たりでも同様に、三つの装飾図柄の変動が開始されてからこの三つの装飾図柄のうち二つの装飾図柄(上図柄および下図柄)が停止表示されるまでの時間が、特別図柄保留カウンタ903による保留数に応じて異なっている。したがって、より多くの遊技機で連動期待演出を行うことによってより多くの遊技者に大当たりの期待感を与えることができるよう、保留数に応じて当選波を出力すると決定される確率が異なる方が好ましい。即ち、保留数が多い場合(例えば保留数N=4)において当選波を出力すると決定される確率よりも、保留数が少ない場合(例えば保留数N=1)において当選波を出力すると決定される確率の方が高い方が好ましい。例えば、保留数N=4の場合は10分の1の確率で当選波を出力すると決定され、保留数N=1の場合は10分の5の確率で当選波を出力すると決定される。また、保留数が少ないほど当選波を出力すると決定される確率が高い方が好ましいので、保留数N=2の場合は10分の3または10分の4といった確率で当選波を出力すると決定されるとよい。
なお、連動期待演出が行われる場合に、当該連動期待演出が行われる遊技機で遊技を行っている遊技者に期待感を与えることができるように、当選台では、単期待演出として通常変動当たりが高い頻度で選択されるようにしてもよい。ただし、連動期待演出が行われる場合であったとしても、当選台における単期待演出として通常変動当たりが表示される可能性がある限り、当選台における単期待演出としてリーチ演出が表示されたとしても、連動期待演出が行われていれば、大当たりへの期待感が削がれることがない。
さらに、下記の態様とすることで、連動期待演出が行われる場合に、当該連動期待演出が行われる遊技機で遊技を行っている遊技者に期待感を与えることができる。例えば、主制御基板710から送信されたコマンド信号に基づいて内部抽選の結果が大当たりであると判断される場合には、当該コマンド信号に基づく変動パターンが通常変動当たりでなかったとしても、当該コマンド信号に基づく変動パターンに代えて通常変動当たりが表示されるようにしてもよい。この場合、変動開始から上図柄が停止するまでの時間、変動開始から下図柄が停止するまでの時間、変動開始から中図柄が停止するまでの時間、が変動番号1の通常変動と同じかほぼ同じであることが好ましい。ただし、コマンド信号に基づく変動パターンに相当する変動時間にわたって演出を行う必要があるので、当該変動時間が経過するまで、遊技者に大当たりとなる期待感を与える演出を行うとよい。
このように本実施形態では、演出制御プログラムは、図47に示すテーブル(魚群演出開始ポイントテーブルおよび魚群演出開始時間テーブル)を参照して、自己のパチンコ機1において演出態様(図柄変動態様)がどのような状態になったときに連動期待演出を実行するか(即ち、魚群演出の開始ポイント)を決定している。言い換えると、当選パチンコ機1における図柄変動開始から何秒後に連動期待演出を実行するか(即ち、魚群演出の開始時間)を決定している。そして、演出制御プログラムは、上記のように決定された魚群演出の開始ポイント(魚群演出の開始時間)を当選波の出力タイミングとして、自己のパチンコ機1において当該出力タイミングに至ると波形制御基板425を制御して当選波が出力される。
(当選波を受信するパチンコ機における制御動作)
一方、波形制御基板425は、これら波送受装置188a,188bが各々検出する当選波を解析し、この当選波の振幅を取得する機能を有している。以下、図48を参照して、当選波を受信するパチンコ機1(受信パチンコ機1)における制御動作を説明する。図48は、減衰量判定テーブルの一例を示す図である。
ここで、送信された当選波を受信したパチンコ機1では、演出制御プログラムが、当選パチンコ機が出力した当選波が自己のパチンコ機1に受信されるまでにその出力距離に応じて減衰する性質を利用して、波形制御基板425によって検出された当選波の振幅の減衰量に基づいて、上記強度情報を基準振幅値として考慮し、その減衰量から連動期待演出の実行タイミングを決定する機能を有する。なお、当選波に含まれる強度情報に代えて、各受信パチンコ機1が予め記憶している強度情報を基準振幅値として考慮して、その減衰量から連動期待演出の実行タイミングを決定してもよい。
このとき、演出制御プログラムは、波形制御基板425が検出した当選波の減衰量を演算するにあたり、上記の強度情報(基準振幅値)に基づいて、検出した当選波が元々どの程度の振幅(出力時振幅)で出力されていたのかを把握し、上記検出した当選波の振幅がこの出力時振幅に比べてどの程度減衰しているのかを演算する。より具体的には、受信パチンコ機1の演出制御プログラムは、波形制御基板425によって検出された当選波の振幅の減衰量に基づいて、図48に示すような減衰量判定テーブルを参照して、その減衰量から連動期待演出の実行タイミングを決定する。つまり、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの各パチンコ機の配列順に従って、各パチンコ機が連動期待演出を順次実行するにあたり、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの間における自己のパチンコ機1の位置に対応するように、当選波の減衰量から自機が連動期待演出を実行すべき演出タイミングを取得する。
ここで、当選波の振幅の減衰量と、当選パチンコ機からの距離との関係について、図48を参照して説明する。なお、図48は、当選パチンコ機から最端パチンコ機までの計7台で連動期待演出を実行する場合の、当選パチンコ機からみた配列台数(距離)を例示している。
例えば、図48に示すような減衰量判定テーブルによれば、受信パチンコ機1では、当選波の減衰量が上記の強度情報(基準振幅値)を参照して10%未満であれば、当該パチンコ機1は当選パチンコ機から1台目(即ち、隣り位置)に位置しており、当選パチンコ機からの距離は20cmであるから、連動期待演出が行なわれるパチンコ機(当選パチンコ機を除く)で最も遅い7500ms後が開始タイミングとして決定される。当選パチンコ機からの距離は20cmとなるのは、例えば、当選パチンコ機から波送受装置188aから当選波が出力されると、1台目の他のパチンコ機(隣接パチンコ機)の波送受装置188bにてこの当選波が受信されるところ、当選パチンコ機の波送受装置188aと隣接パチンコ機の波送受装置188bとの距離は、図示しない台間サンドの横幅よりも若干大きい程度(ここでは、20cm)となるからである。
また、2台目以降の遊技機においても、当選パチンコ機の波送受装置188aから出力された当選波が各パチンコ機の波送受装置188bで受信されるが、例えば、2台目のパチンコ機の波送受装置188bは、1台目のパチンコ機の波送受装置188bから各波送受装置188bまでの距離分(つまり、パチンコ機1の横幅と台間サンドの横幅の合算値に相当にする60cm)だけ減衰した当選波を受信することとなり、当選パチンコ機からの距離は80cmである。そして、連動期待演出が行なわれるパチンコ機(当選パチンコ機を除く)で、1台目の次に遅い6400ms後が開始タイミングとして決定される。
3台目以降も同様にして、各波送受装置188bの距離分だけ減衰した当選波が、各パチンコ機において受信され、その減衰量から当選パチンコ機からの距離に応じた連動期待演出の開始タイミングが決定される。そして、最端パチンコ機(つまり、当選パチンコ機からみて6台目のパチンコ機)では、当選パチンコ機からの距離が320cmであることになり、連動期待演出が行なわれるパチンコ機(当選パチンコ機を除く)のうちで最も早い2000ms後が開始タイミングとして決定される。
なお、本実施形態では、当選パチンコ機では、自機が出力した当選波を受信しない(あるいは、受信しても無効化する)が、受信パチンコ機と同様に連動期待演出の実行対象であると判断される。そこで、当選パチンコ機1の演出制御プログラムは、当選パチンコ機を含む連動期待演出が行なわれる全てのパチンコ機のうちで最も遅くなるような開始タイミングを決定する。具体的には、この演出制御プログラムは、当選波の振幅の減衰量ではなく、先述のように自機が決定した魚群演出の開始タイミング(当選波の送信タイミング)と、自機が決定した連動期待演出の実行範囲とに基づいて、自機にて連動期待演出を実行すべき演出タイミングを取得する。例えば、魚群演出の開始ポイント(魚群演出の開始時間)が「変動開始時」(0秒後)であって、連動期待演出の実行範囲が一方向に6台(当選パチンコ機を含めて7台)であるときは、1台目のパチンコ機の開始タイミング(例えば、7500ms後)よりも1台分遅い開始タイミングとして8600ms後が決定されることになる。
そして、受信パチンコ機1の演出制御プログラムは、波形制御基板425によって当選波が検出されると、自機が連動期待演出の実行対象であると判断して、連動演出報知ランプ(例えば、枠装飾ランプ842など)を点滅させる。また、当選パチンコ機1の演出制御プログラムも、波形制御基板425によって当選波が送信されると、自機が連動期待演出の実行対象であるから、連動演出報知ランプを点滅させる。その後、連動期待演出の実行対象となっている各パチンコ機(即ち、当選パチンコ機と受信パチンコ機)では、各パチンコ機で各々決定された開始タイミングに基づいて、それぞれ連動期待演出としての魚群演出を順次実行することとなる。
ところで、先述のように、本実施形態では、連動期待演出の実行対象となっている各パチンコ機(即ち、連動演出報知ランプを点滅されるパチンコ機)のうちで、実際に連動期待演出としての魚群演出が行なわれるのは、魚群演出の演出進行方向の最上流側に位置する最端パチンコ機から当選パチンコ機までである。つまり、この魚群演出が行なわれるのは当選パチンコ機からみて演出進行方向の上流側に位置するパチンコ機であってから、当選パチンコ機からみて演出進行方向の下流側に位置するパチンコ機では、連動演出報知ランプを点滅されても当該魚群演出は行なわれない。
そこで、受信パチンコ機1の演出制御プログラムは、当選パチンコ機が出力方向に応じて異なる周波数(周期)の当選波を出力しているため、波形制御基板425によって検出された当選波の周波数に基づいて、自機が連動期待演出としての魚群演出を実行するか否かを決定する。即ち、波形制御基板425によって検出された当選波の周波数が第1の周波数(周期)であれば、当該当選波は当選パチンコ機から演出進行方向の上流側に送信される第1当選波であるから、後述する期待演出実行フラグがONにセットされる。一方、波形制御基板425によって検出された当選波の周波数が第2の周波数(周期)であれば、当該当選波は当選パチンコ機から演出進行方向の下流側に送信される第2当選波であるから、後述する期待演出実行フラグがOFFにセットされる。そして、連動期待演出の実行対象となるパチンコ機のうちで、期待演出実行フラグがONにセットされたパチンコ機では演出制御プログラムが先述の演出タイミングに基づいて魚群演出を各々実行する。
以上のように、当選波を受信するパチンコ機1(および、当選波を送信する当選パチンコ機1)では、自己のパチンコ機が連動期待演出の実行対象であれば連動演出報知ランプが点滅される。さらに、連動演出報知ランプが点滅されたパチンコ機のうちで、魚群演出の演出進行方向の最上流側に位置する最端パチンコ機から当選パチンコ機までに亘って、各々の演出タイミングに基づいて順に魚群演出が実行される。これにより、複数のパチンコ機が連動するように、連動期待演出としての魚群演出が所定の演出進行方向に沿って一体に実現される。
(自己位置に対応する演出タイミングについて)
ここで、より詳細に、各パチンコ機が当選波を受信した場合における(特に受信パチンコ機1における)、連動期待演出を実行すべき演出タイミングを取得する機能について、図49および図50を参照して説明する。図49は、第1当選波の波形および検出された第1当選波の波形の一例を示す図である。図50は、第2当選波の波形および検出された第2当選波の波形の一例を示す図である。
まず、図49および図50に示すように、受信パチンコ機1では波形制御基板425により当選波が検出されると、演出制御プログラムは、当該当選波の検出時の振幅W1〜W5などを、予め定められた当選波の基準振幅値W0(強度情報)と比較することで、その減衰量をチェックする。具体的には、図49に示すように第1当選波が検出されると、当該第1当選波の第1検出波形9900bの振幅W1、第2検出波形990cの振幅W2、第3検出波形990dの振幅W3などと、当該第1当選波の出力波形990aの既定の基準振幅値W0(即ち、強度情報)とを比較することで、その減衰量をチェックする。同様に、図50に示すように第2当選波が検出されると、当該第2当選波の第1検出波形990hの振幅W1、第2検出波形990iの振幅W2、第3検出波形990dの振幅W3などと、当該第2当選波の出力波形990gの既定の基準振幅値W0(即ち、強度情報)とを比較することで、その減衰量をチェックする。
本実施形態では、図49および図50に示すように、当選波の種別(第1当選波および第2当選波)に拘らず、その出力波形990a,990gの出力時振幅は同じ(図では「W0」)である。一方、第1当選波と第2当選波はそれぞれ周波数(周期)が異なっており、本実施形態では、第2当選波の周波数(例えば、40Kh)は第1の周波数(例えば、20Kh)の倍となっている。これにより、演出制御プログラムでは、当選波の種別に拘らずその減衰量を特定することができるとともに、当選波の種別が第1当選波および第2当選波のいずれであるかを判別することができる。
そして、先述したように、当選波を送信または受信したパチンコ機1では、自機が連動期待演出の実行対象であると判断して、連動演出報知ランプ(例えば、枠装飾ランプ842など)が点滅される。そして、この連動期待演出の実行対象のパチンコ機(即ち、受信パチンコ機1および当選パチンコ機1)では、以下のようにして演出タイミングの決定が行なわれる。
即ち、受信パチンコ機1の演出制御プログラムは、先述した図48に示す減衰量判定テーブルを参照して、当選波の振幅の減衰量に基づいて、当選パチンコ機からみた相対的な自己位置に対応するように、連動期待演出として特殊な演出映像である特殊連動画像(魚群画像)を表示する演出タイミングを設定する。なお、本実施形態では、このような特殊連動画像を、遊技機列を構成する6台のパチンコ機(当選パチンコ機を含めず)によって連動して連動期待演出を実行するものと例示している。
具体的には、受信パチンコ機1の演出制御プログラムは、次のようにして当選波の減衰量に基づいて演出タイミングを決定している。まず、図49および図50に示すように、当選波の減衰量が10%である場合には、当選パチンコ機に極めて近接しており当選パチンコ機からの配列台数が1台目であることから、6番目に特殊連動画像を表示すべく演出タイミングを7500msに設定する。そして、当選波の減衰量が約20%、30%、40%、50%、60%である場合には、各々配列が2台目、3台目、4台目、5台目および6台目であることから、5番目(6400ms後)、4番目(5300ms後)、3番目(4200ms後)、2番目(3100ms後)および1番目(2000ms後)に特殊連動画像を表示すべく演出タイミングを設定する。ここで、例えば2番目に特殊連動画像を表示する場合を例示すると、この「3100ms後」とは、当選パチンコ機が出力した当選波を検出した時点(言い換えると、当選パチンコ機が当選波を出力した直後)を基準として3100ms後であることを意味している。
一方で、当選パチンコ機1の演出制御プログラムは、先述のように、当選波やその減衰量に拘らず、当選パチンコ機自体であることから、最後(7番目)に特殊連動画像を表示すべく演出タイミングを8600msに設定する。
ここで、演出制御プログラムは、このように演出タイミングを決定すると、例えば図示しない演出タイミング管理タイマによって、この演出タイミングを管理している。この演出管理タイミングタイマは、例えば割込み処理において2msごとにカウントアップすることで、例えば演出タイミングが3100ms後である場合を例示すると、演出管理タイミングタイマが1550となるまでカウントアップするようになっている。つまり、本実施形態において、各パチンコ機が連動期待演出を実行する間隔が1100msと設定している。そして、各パチンコ機では、演出管理タイミングタイマが自己の演出タイミングに至ると、演出制御プログラムにより期待連動演出としての魚群演出が開始される。
なお、先述したように、連動期待演出の実行対象となる受信パチンコ機1のうちで、実際に魚群演出が行なわれるのは、第1当選波を受信したパチンコ機(当選パチンコ機から演出進行方向の上流に位置するパチンコ機)である。そのため、第2当選波を受信したパチンコ機(当選パチンコ機よりも演出進行方向の下流に位置するパチンコ機)は、上記の演出タイミングが取得されない、あるいは、演出タイミングを取得しても当該演出タイミングは無視されるため、魚群演出は実行されない。
以上のようにして、受信パチンコ機1および当選パチンコ機1の演出制御プログラムは、当選パチンコ機から最端パチンコ機までの間に配列する遊技機列における自己の位置に対応するように、例えば最端パチンコ機から特殊連動画像(魚群演出)の表示を開始した場合における、自機が特殊連動画像の表示を実行すべき演出タイミングを把握することができるのである。つまり、本発明のパチンコ機1は、このパチンコ機列を構成する当選パチンコ機と最端パチンコ機との相対的な位置関係に応じた演出タイミングを把握することができるのである。
特に、当選パチンコ機1では、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの各パチンコ機の配列順に従って連動期待演出としての魚群演出を順次実行する場合、自機における魚群演出が先述の単期待演出(即ち、装飾図柄の変動態様)とほぼ同タイミングで完結することができる。つまり、自機が魚群演出を実行すべき演出タイミングを正確に取得することができるばかりでなく、その正確な演出タイミングで先述の単期待演出(即ち、装飾図柄の変動態様)を実行することができる。
ところで、本実施形態では、受信パチンコ機1の演出制御プログラムは、期待演出実行フラグが「ON」である場合のみならず「OFF」である場合においても、演出管理タイミングタイマが1000となるまで、つまり最初の2000msにわたり、連動演出報知ランプ(例えば、枠装飾ランプ842など)を点滅させる。つまり、この2000msにわたり、連動期待演出の実行対象となる遊技機列内の各パチンコ機は、連動して連動演出報知ランプの点滅をさせて、遊技機列内の遊技者やホール来場者に、この遊技機列内において当選パチンコ機が存在することを表明しているのである。これにより、この連動演出報知ランプの点滅に接した各遊技者は、遊技機列を構成している周囲のパチンコ機のいずれかにおいて魚群演出によって大当たり抽選に当選したことが導出されることを知得することができる。
(連動期待演出の実行態様について)
上記のように、各パチンコ機1においては、各々の演出タイミングに応じて連動期待演出としての魚群演出が順に実行される。その結果、本実施形態では、最端パチンコ機が連動期待演出の実行を完了すると、次に最端パチンコ機から当選パチンコ機に向かって1台目に配置している次のパチンコ機が連動期待演出を開始することになる。
そして、連動期待演出の演出進行方向の上流側に位置するパチンコ機が連動期待演出を完了すると、当該パチンコ機よりも演出進行方向の下流側に隣接するその次のパチンコ機が連動期待演出を開始するという順序で、これら最端パチンコ機から当選パチンコ機までの各パチンコ機1を含む遊技機列においては、遊技者やホール来場者の視覚に対して、連動期待演出が移動していくように遊技者などの視覚などに訴えている。
ここで、当選パチンコ機は、自己の内部的な抽選において当選している場合、演出制御プログラムの制御によって、先述した自己の演出タイミングにおいて、それまで他のパチンコ機が実行してきた連動期待演出の演出態様とは異なる他の演出態様とした別の連動期待演出を実行している。或いは、この当選パチンコ機は、この演出制御プログラムの制御によって、その自己の演出タイミングにおいて、それまでの連動期待演出を実行しないようにしても良い。つまり本実施形態では、当選パチンコ機の手前までの各パチンコ機と当選パチンコ機とで、異なる演出態様を表すようになっている。一方、最端パチンコ機から当選パチンコ機の手前のパチンコ機までの各パチンコ機においては、演出制御プログラムの制御によって、自己の演出タイミング(隣接するパチンコ機に続くタイミング)にて連動期待演出を実行する。
ここで、この「連動期待演出」としては、先述の特殊な演出映像である特殊連動画像(第1演出映像および第2演出映像)を駆使した視覚的な演出動作を例示することができる。つまり、演出制御プログラムは、表示装置制御基板816を制御して、この連動期待演出として、視覚的な演出動作を実行させることを挙げることができる。本実施形態においては、周辺制御基板810が表示装置制御基板816を制御して、演出表示装置115に特殊連動画像を表示させることを例示している。
なお、このような「連動期待演出」としては、これ以外にも、演出制御プログラムが、枠装飾中継端子板240を制御して枠装飾ランプ842によって光を出力させる、或いはランプ駆動基板850を制御して各種装飾用ランプ852,853によって光を出力させてもよい。また、演出制御プログラムが枠装飾中継端子板240を制御して、スピーカ144,341によって特殊な音声を出力させることを挙げることもできる。
本実施形態においては、周辺制御基板810は、当選波を送信または受信すると、演出制御プログラムの指示に従って、枠装飾中継端子板240を制御して、最初の2000msにわたり連動演出報知ランプ(例えば、枠装飾ランプ842)を点灯、消灯させたり或いは、点滅させる。この連動演出報知ランプの発光制御は、実際に連動期待演出としての魚群演出が開始される前に、当該連動期待演出の実行対象となりうるパチンコ機を報知するという予告演出の役割を有する。このようにすると、遊技機列を構成する各パチンコ機のいずれかにおいて連動期待演出が開始される旨のみならず、連動期待演出の実行対象となりうるパチンコ機を周囲の遊技者やホール来場者に知らせることができる。
なお、予告演出は、波送受装置188a、188bによって当選波が送信または受信されたタイミングで(つまり、当選波が送信または受信されるとすぐに)予告演出が行われる。これにより、遊技機列を構成する複数のパチンコ機のうち当選波を送信または受信した複数の遊技機においてほぼ同時(若干のタイムラグは生じうる)に予告演出が行われうる。これにより、複雑な制御を行うことなく、複数のパチンコ機にて一斉に予告演出を行うことが可能となる。
本実施形態では、このような最初の2000msにわたる予告演出としての連動演出報知ランプの発光制御が行なわれた後に、連動期待演出として表示する特殊連動画像として、例えば魚群のような演出媒体が左から右へと進行する演出映像(第1演出映像)を用意するとともに、この演出媒体が右から左へと進行する演出映像(第2演出映像)を用意している。
上記演出制御プログラムは、例えば当選パチンコ機が右側に位置しており、かつ、最端パチンコ機が左側に位置していると判断した場合、表示すべき特殊連動画像として、演出媒体が左から右に進行する演出映像(第1演出映像)を選択する。その一方、この演出制御プログラムは、例えば当選パチンコ機が左側に位置しており、かつ、最端パチンコ機が右側に位置していると判断した場合、表示すべき演出映像として、演出媒体が右から左に進行する演出映像(第2演出映像)を選択する。
本実施形態では、受信パチンコ機の演出制御プログラムが、第1演出映像および第2演出映像のいずれを選択するかは、先述の第1当選波を左右方向のいずれから受信したかによって判断する。つまり、波送受装置188aから第1当選波を受信した場合は、当該受信パチンコ機は当選パチンコ機の右側にあるから、演出媒体が右から左に進行する第2演出映像を選択する。また、波送受装置188bから第1当選波を受信した場合は、当該受信パチンコ機は当選パチンコ機の左側にあるから、演出媒体が左から右に進行する第1演出映像を選択する。つまり、受信パチンコ機では、第1当選波を受信した方向に向けて演出媒体が進行する演出映像が選択される。
一方、当選パチンコ機の演出制御プログラムが、第1演出映像および第2演出映像のいずれを選択するかは、先述の第1当選波を左右方向のいずれから送信したかによって判断する。つまり、波送受装置188aから第1当選波を送信した場合は、連動期待演出の演出進行方向は右方向であるから、演出媒体が左から右に進行する第1演出映像を選択する。また、波送受装置188bから第1当選波を送信した場合は、連動期待演出の演出進行方向は左方向であるから、演出媒体が右から左に進行する第2演出映像を選択する。つまり、当選パチンコ機では、受信パチンコ機とは異なり、第1当選波を送信した方向から反対方向に向けて演出媒体が進行する演出映像が選択される。
これにより、受信パチンコ機および当選パチンコ機では、第1当選波を受信した方向を特定するだけで、連動期待演出が実行される全てのパチンコ機において演出媒体が同一方向に進行するような最適な演出映像を選択することができ、複数のパチンコ機が一体に連動した外観を呈する演出態様を実現することができる。なお、当選パチンコ機における演出映像では、受信パチンコ機における演出映像とは異なり、自己のパチンコ機において内部的な抽選処理にて当選した旨が導出されるが、詳細は後述する。
なお、本実施形態においては、少なくとも一方向(即ち右から左、若しくは左から右)から特殊連動画像を進行させる実施形態に特化して記載しているが、特殊連動画像の進行は一方向からに限られないよう演出制御することも可能である。また、魚群が複数出現してもよい。本実施形態においては、当選波を受けた遊技機列内の範囲内であって連動期待演出の実行対象となるパチンコ機であって、かつ、当選パチンコ機の演出時間内に行うものであれば、魚群演出の開始方向および魚群の数は、制限されるものではない。
上記のように魚群の出現箇所を複数にすると、ハズレ台に座っている遊技者の期待感が、単数のときよりも高まる。また、最終的には当選したパチンコ機のもとに魚群が集まってくるような演出であるので、遊技機列内の遊技者やホール来場者に対して与えるインパクトは非常に大きいものとなる。
なお、本実施形態では、周辺制御基板810が、演出制御プログラムの制御によって、演出表示装置115に特殊連動画像を1100ms表示させるにあたり、隣接するパチンコ機に続くタイミングで、例えば800msの時間差をおいて特殊連動画像を表示している。つまり、隣り合うパチンコ機においては、一方のパチンコ機が特殊連動画像を800msにわたり表示した時点で、それに続く隣のパチンコ機が特殊連動画像の表示を開始する。これにより、隣り合うパチンコ機では、一のパチンコ機における特殊連動画像の画像表示が終了間近になると、他のパチンコ機における特殊連動画像の画像表示が開始されることとなり、特殊連動画像の一部が重複する態様で連動期待演出が進行する。
つまり、本実施形態では、複数のパチンコ機が同期して連動期待演出としての魚群演出を実行するのではなく、独立した各パチンコ機(当選パチンコ機を除く)が当選波を受信することによりその当選波の情報に基づいて各パチンコ機のタイミングで連動期待演出を表示させている。したがって、遊技機列を一望したときに、結果として連動して魚群演出を行っているように見えるのである。
また、連動期待演出を実行しないように制御する態様の一つとして、遊技が行われていないパチンコ機については、当選波を受信しても魚群演出を行わないように制御していてもよい。このようにすると、遊技島において遊技している遊技者が一人であった場合において、当該遊技者のパチンコ機が大当たりに当選したときに、魚群演出を一人だけで行うこともできる。遊技島において連動期待演出が行われるということは、その遊技島における遊技機のうちの少なくとも1台にり必ず大当たり台が含まれているため、一人しかいない遊技島において、複数台で魚群演出を行うことにより、大当たりは確実に自分であるという実感と興奮を得られる。しかしながら自分が大当たりであることを一旦認識した後は、長時間魚群演出を行なう利点があまりない場合も考えられるからである。
また、当選波を出力したパチンコ機は、内部的な抽選において当選したことを表す当選波を出力するものの、この当選パチンコ機の遊技者のみならず周辺のパチンコ機の遊技者は、この当選波を知得することができないため、即座にこの当選を認識することができない。
また、各パチンコ機での連動演出報知ランプの点灯および点滅については、連動期待演出の実行対象となるパチンコ機であれば、当選パチンコ機と当選波を受信した遊技機列内の各パチンコ機が同じタイミングで一斉に連動演出報知ランプを点灯させてもよく、また、隣接する遊技機列のうち一方の最端に位置するパチンコ機からもう一方の最端に位置するパチンコ機へと連鎖するように順番に点灯させてもよい。また、連動期待演出の実行対象となるパチンコ機であれば、連動演出報知ランプの点灯および点滅をランダムに行ってもよい。
なお、各パチンコ機では連動演出報知ランプが一斉に点灯および点滅することにより、遊技機列内の遊技者やホール来場者の視覚に対して刹那に強い光のインパクトを与える。同時に、連動演出報知ランプが点滅している遊技機列内のどれかが当選パチンコ機であるということを一望することができる。また、これら遊技機列内の各遊技者は、この遊技機列内のどれかが当選パチンコ機であるということを認識するとともに、「もしかしたら自分の台が当選しているかもしれない」という期待を抱く。連動演出報知ランプが点滅した遊技機列のうち必ず1機が大当たりに当選していることが確実であるので、遊技機列内の各パチンコ機の遊技者の期待度が通常のリーチ演出よりもはるかに高いものになることはいうまでもない。
ところで、パチンコは基本的に一人で楽しむものであるため、誰かが自分の隣に座っても、隣のパチンコ機の遊技状態を観察するような行為は喜ばしいことではない。したがって、たとえ隣の台が大当たりになったとしても、その遊技状態をチラッと見ることはあっても、まじまじと覗き込むことはご法度というのが暗黙の了解である。しかしながら、本実施例におけるパチンコ機は、前述のように大当たり抽選に当選したパチンコ機だけでなく、当選波を受信したパチンコ機(つまりハズレのパチンコ機)も一緒に連動期待演出を行う。したがって、連動演出報知ランプが一斉に点灯すると、後述する魚群演出が終了するまで、隣のパチンコ機、さらには連動演出報知ランプが点灯しているすべてのパチンコ機を覗きこんだり、自分のパチンコ機より少し離れたパチンコ機を観察するためにのけぞって見たりなど、堂々と隣接する遊技機列のパチンコ機を見ながら自分の台の当選を期待することになる。
そして、連動演出報知ランプが点灯したすべてのパチンコ機の遊技者およびホール来場者は、連動演出報知ランプが一丸となって一斉に点灯するのと同時に、隣接するパチンコ機に映し出される魚群演出に釘付けとなり、魚群の行く末を目で追いかけることになる。各遊技者は、魚群が自分のもとへ来れば当たりであることがわかるため、自分のもとへ魚群が来ることを切に願いつつ魚群を追いかけるという点で、期待感に一体感が生まれる。
また、自分のパチンコ機が内部的に大当たり抽選に当選している場合には、連動期待演出(魚群演出)中において魚群が自分のパチンコ機に出現したときは、ハズレのパチンコ機とは異なる演出態様を行うため、ハズレのパチンコ機に座っている遊技者は魚群に対して「できれば自分のパチンコ機を通過するのではなく、他の態様を見せて欲しい」という期待を抱く。この期待感を煽るため、各パチンコ機に出現する毎に、遊技者にボタンを押させるなどして魚群演出に遊技者を参加させるようにしてもよい。
通常、単調な遊技状態が長時間にわたって続くと、遊技者は眠気を感じてくることがある。しかしながら、本実施例におけるパチンコ機の連動演出報知ランプが点灯すると、点灯した遊技機列周辺は急に明るくなる。この明るさは、遊技者が仮にうつむき加減で座っていたとしてもその明るさを感じることができる程度の明るさであるので、少々眠気を感じてきていても、その明るさで眠気が消え、さらに眠気により低下していた興趣を回復させることができる。
(予告演出の特徴について)
ここで、上記の予告演出としての連動演出報知ランプ(ここでは、枠装飾ランプ842)の発光制御に関する特徴を、より詳細に説明する。
まず、「予告演出」は、遊技機列を構成する他のパチンコ機の遊技者が少なくとも含まれる第三者に対して、当該予告演出が現に行われていることを訴求しうる態様、即ちアピールしうる態様で行われることで、連動期待演出が実行される可能性を示唆する機能を有する。言い換えると、遊技機列を構成する複数のパチンコ機のうちいずれかのパチンコ機における内部的な抽選処理の結果が当たりであることを、当該遊技機列を構成する他の遊技機の遊技者を少なくとも含む第三者に訴求しうる演出である。
このアピールしうる態様としては、例えば、予告演出が発光手段により行われる場合には、第三者に向けた指向性を有する光が発光する態様が例示される。また、予告演出が発音手段により行われる場合には、第三者に向けた指向性のある効果音(楽音や音声等)が出力される態様が例示される。ただし、このような発光手段や発音手段は、必ずしも指向性を有している必要はなく、光や音が拡散することによって第三者に発光していること等をアピールできればよい。なお、この予告演出は、発光手段による点灯や点滅等の特定の態様に変化することによって、第三者にアピールすることが好適である。これにより、遊技機列を構成する複数のパチンコ機にて連動期待演出が実行されることを、第三者に知らしめることが可能となる。しかも、予告演出は複数のパチンコ機にて行われるので、その効果は大きい。
本実施形態のパチンコ機1では、予告演出を実行する発光手段として枠装飾ランプ842を採用した場合を例示している。ここで、パチンコ機1では、演出表示装置115が遊技領域板81より後方側に設けられる一方、枠装飾ランプ842が扉枠5の前面に設けられている。演出表示装置115に表示される所定の演出画像(装飾図柄やリーチ演出など)は、当該遊技者が見えれば十分であり、第三者に見えるようにする必要はない。これに対し、枠装飾ランプ842により行われる予告演出は、第三者にアピールする必要があることから、特定の態様で発光したことを第三者にアピールしやすい扉枠5の前面に設けることとした。このようにすることで、枠装飾ランプ842は、外枠2、本体枠3、遊技領域20に設けられた種々の部品等によって遮られることがなく、予告演出によって第三者にアピールすることができる。
さらに、演出表示装置115が遊技窓101の内側に設けられているのに対し、枠装飾ランプ842は遊技窓101の外側に設けられている。詳しくは、演出表示装置115がパチンコ機1を正面から見た正面視では遊技領域20と重なるように設けられるのに対し、枠装飾ランプ842はパチンコ機1を正面から見た正面視では遊技領域20と重ならないように設けられる。
これは、演出表示装置115に表示される所定の演出画像は、内部的な抽選処理の結果にかかわるものであるから、当該パチンコ機1の遊技者が、発射された遊技球の視認しつつも所定の演出画像を注視できるように配慮したものである。なお、パチンコ機1を側面から見た側面視では、前述のとおり、遊技領域板81の後方側に設けられる。
一方、枠装飾ランプ842により行われる予告演出は、第三者にアピールする態様で行われるから、所定の演出画像のように注視する必要はなく、むしろ所定の演出画像の表示を遮ることなく予告演出を第三者にアピールするといった上では、遊技窓101の外側に設けられる方が好ましいから。ただし、枠装飾ランプ842の全てが遊技窓101の外側に設けられていることに限られず、所定の演出画像の表示を遮らない程度であれば、遊技窓101の外側から僅かに遊技窓101の内側に跨っていてもよい。
さらに、枠装飾ランプ842は、扉枠5から前方側(つまり遊技者側)に張り出す(突出する)ように配置されている(図2等参照)。これにより、枠装飾ランプ842が発光する態様で予告演出が行われると、より一層、第三者に対して予告演出をアピールできるからである。
ところで、この枠装飾ランプ842は、予告演出のときにのみ発光制御されるものではなく、遊技の進行に応じて適宜発光制御されるものである。即ち、特定条件が成立した場合には、パチンコ機1における内部的な抽選処理の結果にかかわる所定の演出画像に対して遊技者の興味を抱かせうる演出も行われる。この遊技者の興味を抱かせうる演出は、演出表示装置115にて「大当り」を導出する画像が表示される期待感(つまり、当たりであることの期待感)を盛り上げるような演出である。
例えば、演出表示装置115では、当たりへの期待感が段階的に向上する所謂ステップアップ演出が一般的に行われるが、この際に、枠装飾ランプ842での発光演出もステップアップさせることで、演出表示装置115での演出画像と相俟って、内部的な抽選処理の結果が当たりとなる期待感を遊技者に与えうる。ここで、特定条件が成立するのは、例えば、内部抽選に当選した場合や、内部抽選に当選してはいないものの所定の演出画像としてリーチ演出が表示される場合である。
このように、枠装飾ランプ842は、自機の抽選結果に関わる発光演出が行われる一方で、自機が当選波を送信または受信すると、先述の予告演出が行われる。ここで、演出表示装置115にて遊技者に期待感を与えうる演出が行われ、これに伴って枠装飾ランプ842が発光制御されたとしても、抽選結果が必ずしも当たりになるとは限らない(つまり、100%当たりであることを予告するものではなく、当たりになるかもしれないといった所謂ガセを含むものである)。一方、当選波を送信または受信した場合に、これに伴って枠装飾ランプ842が発光制御された場合(つまり、予告演出が行なわれた場合)には、上述のとおり、遊技機列を構成するいずれかのパチンコ機において抽選結果が必ず当たりとなる。
このように、枠装飾ランプ842が、自機の抽選結果に関わる発光演出を行なった場合と、先述の予告演出を行なった場合とでは、その機能的な位置付けが異なっている。そこで、予告演出が行なわれるときは、当該予告演出が行われることを第三者に訴求しうるよう、自機の抽選結果に関わる発光演出とは明らかに異なる態様で行われることが好ましい。例えば、枠装飾ランプ842が、例えばフルカラー発光可能な発光素子を複数有する場合、常には発光素子の一部が赤色で発光する演出が行われ、特定条件が成立した場合には、発光素子の全部が赤色で発光する演出が行われ、さらに、予告演出を行なう場合には、発光素子の全部または一部がフルカラーで発光する演出が行われるといった態様である。
なお、本実施形態では、遊技者に知得され難い不可聴な音波(即ち、当選波)を波送受装置188a,188bから出力しているが、この当選波とは別に、当該パチンコ機の遊技者のみならず第三者も知得可能な周波数の可聴音波を波送受装置188a,188bあるいはスピーカ144,341から出力してもよい。例えば、予告演出が行われるタイミングとほぼ同じタイミングで、当該パチンコ機の遊技者のみならず第三者が知得可能な可聴音波(予告音波)が出力されることで、当該パチンコ機の遊技者や第三者の注意を惹き付けることができ、枠装飾ランプ842における予告演出が見逃される可能性が低くなる。また、内部的な抽選処理の結果(例えば、大当たりへの当選)に応じて、当該パチンコ機の遊技者が知得可能な態様で可聴音波(演出音波)が出力されることで、特別図柄当否判定手段904による判定の結果が大当たりとなった遊技機(当選台)の遊技者を祝福することができる。
(連動期待演出の重複制御について)
ところで、一のパチンコ機1から当選波が出力されたのちに、当該当選波を受信した他のパチンコ機1のうちで連動期待演出としての魚群演出が実行される前に内部抽選で当選すると、当該他のパチンコ機1からも当選波が出力される。そうすると、複数のパチンコ機1から各々出力された当選波を重複して受信するパチンコ機1が生じうる。また、複数のパチンコ機1でほぼ同タイミングで内部抽選に当選した場合も、複数の当選波を重複して受信したパチンコ機1が生じうる。このような場合、複数の当選波を重複受信したパチンコ機1では、魚群演出を重複して表示させるため表示制御が煩雑となったり、複数の魚群演出が混在して見にくくなったりするおそれがある。
さらに、当選波を受信したパチンコ機1において、当該当選波に基づく魚群演出のみを行なう前に内部抽選で当選した場合には、実際には当選しているのみも拘らず魚群演出によって抽選結果としてハズレが導出される不具合が生じうる。
そこで、本実施形態では、このような連動期待演出としての魚群演出の重複発生を回避するために、以下のような制御を行なうことが好適である。
まず、パチンコ機1の演出制御プログラムは、外部から一の当選波を受信したときは、当該当選波に基づく魚群演出が実行される前に他の当選波を受信したときは、あとに受信した当選波を破棄(無効化)する。これにより、パチンコ機1が複数の当選波を同一又は近似したタイミングで受信したときでも魚群演出が重複して発生する事態を防止することができる。
そして、パチンコ機1の演出制御プログラムは、外部から当選波を受信し、且つ、魚群演出の実行前に自機が当選したときは、当選波の出力を行うことなく魚群演出を実行する。つまり、この演出制御プログラムは、波送受装置188a、188bにより当選波が検出された時点から当該当選波に基づく魚群演出を実行するまでは、内部抽選にて当選した場合であっても波送受装置188a、188bからの当選波の出力処理を無効化する。これにより、魚群演出の重複を回避しつつ、当選パチンコ機1にて魚群演出を実行することができる。
また、パチンコ機1の演出制御プログラムは、外部から当選波を受信し、且つ、魚群演出の実行前に自機が当選したときは、当選波は出力しないが、魚群演出の実行時に自機の変動が終了していないことを条件に、自機が当選した魚群演出に切り替える。つまり、この演出制御プログラムは、後述するように、他の遊技機が当選した場合に当該他の遊技機が当選したことを暗示する特殊連動画像(例えば、ハズレ魚群演出)と、自己の遊技機が当選した場合に当該自己の遊技機が当選したことを暗示する当選報知用特殊連動画像(例えば、当たり魚群演出)と、を実行可能である(なお、当選報知用特殊連動画像の詳細は後述する)。そして、波送受装置188a、188bにより当選波が検出されたときは常にはハズレ魚群演出を実行する一方、波送受装置188a、188bにより当選波が検出された場合であっても魚群演出を実行するまでに自己のパチンコ機1が内部抽選にて当選したときは、ハズレ魚群演出に代えて当たり魚群演出を実行する。これにより、パチンコ機1での抽選結果と、魚群演出による抽選結果の導出内容との不一致を回避することができる。
[主制御基板における制御処理について]
次に、パチンコ機1の遊技進行に応じて主基板700(主に主制御基板710)で実行される種々の制御処理について図51〜図60を参照して説明する。
(メインシステム処理]
まず、図51に基づいて説明する。図51は、主基板700の主制御基板710に搭載されるCPU711(いずれも図41参照)が実行するメインシステム処理の一例を示すフローチャートである。
図51に示すように、パチンコ機1へ電源が供給されると、CPU711(図41参照)は、電源投入時処理を実行する(ステップS10)。この電源投入時処理では、まず、RAM713(図41参照)に記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否かを判別する。即ち、この実施の形態のRAM713(データメモリ)は、電力の常時供給によって各種の制御データがバックアップされるバックアップ領域を有している。そして、パチンコ機1は、電力供給の停止に際しては、上記RAM713の処理領域に記憶されている各種の制御データを上記バックアップ領域に一時退避させる処理を行うとともに、電源復帰時にこの一時退避されたデータを当該RAM713の処理領域に読み出すことで、電源遮断時から継続性のある遊技を実行可能としている。
したがって、この電源投入時処理(ステップS10)では、バックアップデータ(バックアップ領域内のデータ)が正常であれば、RAM713に記憶されているバックアップデータに従って電力供給の停止時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行する。一方、バックアップデータが異常であれば、RAM713に記憶されているバックアップデータは消去される。そしてその後、RAM713の処理領域には、例えば現在の遊技状態を示す制御データなど、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる(初期化処理)。また、製品化されてから最初の電源投入時も、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる。
ただし、この電源投入時処理(ステップS10)では、RAM713に記憶されているバックアップデータの消去を指示するRAM消去スイッチがオンであるか否かの判断も行われる。即ち、このRAM消去スイッチがオンであったときも、RAM713に記憶されているバックアップデータは消去される。また併せて、RAM713の処理領域には、例えば現在の遊技状態を示す制御データなど、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる(初期化処理)。
また、電源投入時処理(ステップS10)では、このような初期化処理を実行したときに主制御基板710(図41参照)が起動したことを示す電源投入コマンドを、周辺制御基板810(図41参照)に送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板710が起動したことを周辺制御基板810に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にもRAM713にバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
電源投入時処理(ステップS10)が終了すると、CPU711は、遊技用の各処理を繰り返し実行するループ処理を開始する。このループ処理の開始時には、CPU711は、まず、停電予告信号が検知されているか否かを判断する(ステップS20)。なお、この実施形態では、パチンコ機1にて使用する電源電圧は、電源基板395(図41参照)によって生成される。即ち、パチンコ機1に搭載される複数種類の装置はそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、外部電源からパチンコ機1に供給される電源電圧を電源基板395にて所定の電源電圧に変換した後、各装置に電源を供給している。そして、停電が発生し、外部電源から電源基板395に供給される電源電圧が所定の電源電圧以下となると、電源基板395から主制御基板710に電源電圧の供給が停止することを示す停電予告信号が送信される。そして、ステップS20で主制御基板710に搭載されるCPU711により停電予告信号を検知すると、電源断発生時処理を実行する(ステップS40)。
この電源断発生時処理は、停電後に電源基板395に供給される電源電圧(本実施形態では24V)が復旧(以下「復電」と称する)した場合に、遊技機の動作を停電前の状態から開始するために停電発生時の状態をRAM713のバックアップ領域にデータを一時退避させる処理である。処理内容は後述するが、本実施例においては、図示する通り、電源断発生時処理は、割込処理ではなく、ループの開始直後に停電予告信号の検知有無に応じて実行される分岐処理としてメイン処理(主制御処理)内に組み込まれている。
ステップS20で停電予告信号が検知されていない場合(ステップS20におけるNO)、即ち、外部電源からの電力が正常に供給されている場合には、遊技にて用いられる乱数を更新する非当落乱数更新処理を行う(ステップS30)。なお、非当落乱数更新処理にて更新される乱数については後述する。
(電源断発生処理)
次に、図52に基づいて、電源断発生処理について説明する。図52は、電源断発生時処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、電源断発生時処理(ステップS40)は、メインシステム処理において、停電予告信号が検出された時に(ステップS20におけるYES)実行される処理である。CPU711は、まず、割込処理が実行されないように割込禁止設定を行う(ステップS42)。そして、RAM713の処理領域におけるチェックサムを算出し、この算出結果と各種の遊技データをRAM713のバックアップ領域に記憶する(ステップS44)。このチェックサムは、復電時に停電前のRAM713の内容が適正に保持されているか否かをチェックするために使用される。
次いで、CPU711は、RAM713の所定領域に設けられたバックアップフラグに、電源断発生時処理が行われたことを示す規定値を設定する(ステップS46)。以上の処理を終えると、CPU711は、RAM713へのアクセスを禁止し(ステップS48)、無限ループに入って電力供給の停止に備える。ところで、この処理では、ごく短時間の停電等(以下「瞬停」と称する)により電源電圧が不安定になって電源断発生時処理が開始されてしまうと、実際には電源電圧は停止されないため、無限ループから復帰することができなくなるおそれがある。かかる弊害を回避するため、本実施例のCPU711には、ウォッチドックタイマが設けられており、所定時間、ウォッチドックタイマが更新されないとリセットがかかるように構成されている。ウォッチドックタイマは、正常に処理が行われている間は定期的に更新されるが、電源断発生時処理に入ると、更新が行われなくなる。その結果、瞬停によって電源断発生時処理に入り、図52の無限ループに入った場合でも所定期間経過後にリセットがかかり、電源投入時と同じプロセスでCPU711が起動することになる。
なお、RAM713のバックアップ領域に代えて、書き換え可能な不揮発性メモリ(EEPROMなど)を備えるようにしてもよい。この場合、データをバックアップさせるために常時の電力供給を必要としない、といったメリットがある。
若しくは、上記RAM713の全領域を、電力の常時供給によってデータがバックアップされるバックアップ領域としてもよい。この場合、電源遮断時において、RAM713の特定領域に記憶されているデータをその他の領域に退避させる必要がなくなる。また、電源復帰時にも、退避データを処理領域に読み出す必要がなくなるため、これらの処理に要する負荷が軽減されるようになる。
(タイマ割込処理)
次に、図53に基づいて、タイマ割込処理について説明する。図53は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。本実施の形態においては、メインシステム処理の実行中に主基板700の主制御基板710に搭載されるCPU711により4ms毎にタイマ割込処理が実行される。タイマ割込処理において、CPU711は、レジスタの待機処理を実行した後(ステップS50)、ステップS60からステップS270の処理を実行する。
ステップS60のセンサ監視処理では、上述した各種のセンサ(ゲートセンサ760、上始動口センサ780、下始動口センサ784、開閉装置カウントセンサ776等)の検出信号を監視する処理を実行する。
ステップS70の当落乱数更新処理では、遊技で用いられる乱数を更新する処理を実行する。なお、この実施形態では、当落乱数更新処理にて更新される乱数と、上述した非当落乱数更新処理にて更新される乱数と、は異なる。乱数については後述するが、当落乱数更新処理にて更新される乱数を非当落乱数更新処理でも更新するようにしてもよい。
また、ステップS80の払出制御処理では、センサ監視処理(ステップS60)にて検出された信号に基づいて払出制御基板720に遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを送信する。
ステップS90の普通図柄・普通電動役物制御処理では、センサ監視処理処理(ステップS60)にてゲートセンサ760から検出された信号に基づいて普通図柄表示器82に関わる制御処理を実行するとともに、一対の可動片606の開閉制御を行うための処理を実行する。
ステップS100の特別図柄・特別電動役物制御処理では、特別図柄の変動開始から当たり遊技の開始までの一連の処理を実行するとともに、特別電動役物としての大当たり遊技用開閉装置500の開閉制御を行うための処理を実行する。
ステップS260の出力データ設定処理では、特別図柄・特別電動役物制御処理(ステップS100)等において定まる情報に基づいて、主制御基板710から周辺制御基板810に送信するコマンドを生成する処理を実行する。
ステップS270のコマンド送信処理では、出力データ設定処理(ステップS260)において設定されたコマンドを周辺制御基板810に送信する処理が行われる。ステップS60からステップS270の処理を実行すると、レジスタ復帰処理(ステップS280)を実行して、タイマ割込処理を終了する。
ここで、上述した非当落乱数更新処理(ステップS30)および当落乱数更新処理(ステップS70)においてCPU711により更新される各種乱数について説明する。
本実施形態において、遊技にて用いられる各種乱数として、当否判定用乱数、図柄乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン乱数および普通図柄当否判定用乱数等がある。
当否判定用乱数は、大当たり遊技を発生させるか否かの判定に用いられる当否判定用乱数である。図柄乱数は、大当たり遊技を発生させると判定されたときに、大当たりの種別(確変大当たり、通常大当たり)の判定に用いられる乱数である。リーチ判定用乱数は、当否判定にて大当たりに当選していない(即ちハズレ)と判定されたときに、リーチ変動とするか否かの判定に用いられる乱数である。変動パターン乱数は、特別図柄表示器84に表示する特別図柄の変動パターンを決定するために用いられる乱数である。普通図柄当否判定用乱数は、一対の可動片606を開放状態に制御するか否かの判定に用いられる乱数である。
なお、演出表示装置115にて表示制御される装飾図柄の変動パターンは、変動パターン乱数により決定しても良く、周辺基板800の周辺制御基板810に搭載されるCPU811または表示装置制御基板816に搭載されるCPU832(いずれも図42参照)により決定するようにしてもよい。また、変動パターン乱数は必須ではなく、リーチ判定用乱数を用いて特別図柄の変動パターンを決定するようにしても良い。
これらの乱数のうち、当落乱数更新処理では、大当たり遊技の発生に関わる当否判定用乱数、図柄乱数、および、遊技球を受け入れやすい開放状態に一対の可動片606を制御するか否かに関わる普通図柄当たり判定用乱数の更新を行う。ここで、大当たり遊技の発生および一対の可動片606を開放状態に制御するか否かに関わる判定に用いられる乱数は一定のタイミングとして4ms毎に更新される。このようにすることにより、それぞれの乱数における所定期間における確率(大当たり遊技を発生させると判定される確率、一対の可動片606を開放状態に制御すると判定される確率)を一定にする(即ち狙い打ち等により確率に偏りが発生することを防止する)ことができ、遊技者が不利な状態となることを防止できる。
一方、非当落乱数更新処理では、当たり遊技の発生および普通図柄の表示結果に関わらないリーチ判定用乱数、並びに、変動パターン乱数の更新を行う。なお、主制御基板710で更新される乱数は、上記したものに限られず、非当落乱数更新処理では、当否判定用乱数を更新するカウンタが1周したときに次にカウントを開始させる当否判定用乱数の初期値を決定するための初期値決定乱数等の更新も行う。
(特別図柄・特別電動役物制御処理)
次に、図54に基づいて、特別図柄・特別電動役物制御処理について説明する。図54は、特別図柄・特別電動役物制御処理(ステップS100)の一例を示すフローチャートである。
この特別図柄・特別電動役物制御処理では、まず、始動口入賞処理(ステップS110)を行う。具体的には後述するが、上始動口600または下始動口604に遊技球が受け入れられたか否か判別し、これに基づいて一連の処理を行う。始動口入賞処理(ステップS110)を行うと、次に、処理フラグを確認し(ステップS120〜ステップS230)、処理フラグに対応する処理を行う。
始動口入賞処理(ステップS110)を終えると、先ず、処理フラグが0であるか否かを判断し(ステップS120)、処理フラグが0であれば(ステップS120におけるYES)変動開始処理(ステップS130)を実行する。変動開始処理(ステップS130)では、特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが、大当たり遊技を開始させるか否かの判断を行い、処理フラグを「1」に更新する。一方、ステップS120において処理フラグが0でなければ(ステップS120におけるNO)ステップS140に進む。
ステップS140に進むと、処理フラグが1であるか否かを判断する(ステップS140)。処理フラグが1であれば(ステップS140におけるYES)変動パターン設定処理(ステップS150)を実行する。この変動パターン設定処理では、特別図柄表示器84に表示される特別図柄および演出表示装置115に表示される装飾図柄の変動パターンを決定し、当該変動パターンに対応して設定される変動時間(特別図柄表示器84において特別図柄の変動表示を開始してから停止表示するまでの時間)をタイマにセットし、処理フラグを「2」に更新する。一方、ステップS140において処理フラグが1でなければ(ステップS140におけるNO)、ステップS170に進む。
ステップS170に進むと、処理フラグが2であるか否かを判断する(ステップS170)。処理フラグが2であれば(ステップS170におけるYES)、変動中処理(ステップS180)を実行する。この変動中処理では、変動パターン設定処理(ステップS150)で設定された変動時間をタイマにより監視し、タイムアウトしたことに基づいて特別図柄表示器84における特別図柄の変動表示を停止させる。このとき、変動開始処理(ステップS130)にて大当たりとする判定がなされていれば、処理選択フラグを「3」に更新し、大当たりとする判定がなされていなければ処理選択フラグを「0」に更新する。一方、ステップS170において処理フラグが2でなければ(ステップS170におけるNO)、ステップS190に進む。
ステップS190に進むと、処理フラグが3かどうか判断する(ステップS190)。処理フラグが3であれば(ステップS190におけるYES)、大当たり遊技開始処理(ステップS200)を実行する。この大当たり遊技開始処理では、大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作を制御するためのラウンド回数、開放時間および遊技球の入賞制限個数をセットし、処理フラグを「4」に更新する。一方、ステップS190において処理フラグが3でなければ(ステップS190におけるNO)、ステップS210に進む。
ステップS210に進むと、処理フラグが4かどうか判断する(ステップS210)。処理フラグが4であれば(ステップS210におけるYES)、特別電動役物大当たり制御処理(ステップS220)を実行する。この特別電動役物大当たり制御処理では、大当たり遊技開始処理(ステップS200)においてセットしたラウンド回数、開放時間および遊技球の入賞制限個数に基づいて大当たり遊技用開閉装置500の開閉動作を制御し、大当たり遊技が終了する場合には、確率変動機能を作動させるか否か判断させるとともに処理フラグを「0」に更新する処理を行う。
ステップS130からステップS220の各種処理のいずれかを実行すると特別図柄・特別電動役物制御処理を終了する。
(始動口入賞処理)
次に、図55に基づいて、始動口入賞処理について説明する。図55は、始動口入賞処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS1101において上始動口600または下始動口604に遊技球が入賞したと判断したときには、各種データ(特別図柄当否判定用乱数取得手段902によって取得された当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を取得する。そして、特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限値である4未満であるか否かを判断する(ステップS1102)。
ステップS1101において特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限の4未満であると判断すると(ステップS1102におけるYES)、CPU711は、保留記憶処理を行い(ステップS1103)、その後、ステップS1104に進む。保留記憶処理は、上始動口600又は下始動口604に遊技球が入賞したことによって取得した各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を当否判定用乱数記憶領域5131に記憶すると共に、特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値に1を加算する処理である。なお、当否判定用乱数記憶領域5131は、当否判定用乱数記憶領域、図柄乱数記憶領域および特別図柄種別記憶領域を有しており、上始動口600または下始動口604に遊技球が入賞したことによって取得した各種データは、それぞれの記憶領域に記憶される。
なお、ステップS1102において、上始動口600または下始動口604に遊技球が入賞したときに特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限値であるとき、ステップS1101で取得した各種データを破棄する。
なお、上始動口600または下始動口604に遊技球が入賞したと判断したとき、各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)の取得は、必ずしもステップS1101で行う必要はなく、ステップS1101〜ステップS1103の間で行えばよい。例えば、ステップS1101で各種データを取得せずに、ステップS1102で特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限値未満であることを判定した後に各種データを取得してもよいし、ステップS1103の保留記憶処理で取得するようにしてもよい。
このように、本実施形態では、上始動口600または下始動口604への入賞処理(ステップS1101〜ステップS1103)を実行している。
また、本実施形態では、上始動口600または下始動口604に遊技球が入賞したときは特別図柄抽選手段900によって抽選処理を行っているが、これに限られない。例えば、上始動口600および下始動口604に対応させて特別図柄抽選手段を設けるようにしても良い(即ち、上始動口に対応する第1特別図柄抽選手段、下始動口に対応する第2特別図柄抽選手段を設けるようにしても良い)。この場合、第1特別図柄抽選手段による抽選処理が行われた場合の大当たり当選確率と、第2特別図柄抽選手段による抽選処理が行われた場合の大当たり当選確率と、が異なるようにしても良い。また、第1特別図柄抽選手段による抽選処理にて大当たりに当選した場合と、第2特別図柄抽選手段による抽選処理にて大当たりに当選した場合、とで遊技者に付与される利益に差異があっても良い。例えば、第1特別図柄抽選手段による抽選処理が行われた場合には大当たり遊技が実行される確率が相対的に高く設定される一方で、第2特別図柄抽選手段による抽選処理が行われた場合には大当たり遊技が実行される確率が相対的に低く設定されるような場合が相当する。
(変動開始処理)
次に、図56に基づいて、変動開始処理について説明する。図56は、変動開始処理の一例を示すフローチャートである。
処理選択フラグが「0」のときに実行される変動開始処理(ステップS130)では、CPU711は、先ず、当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されている乱数の数(始動記憶数)が0であるか否かを判断する(ステップS1301)。当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されている始動記憶数が0であることは、特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が0であることを意味する。
始動記憶数が0でなければ(ステップS1301におけるNO)、当否判定用乱数記憶領域5131のシフト処理を行う(ステップS1302)。このシフト処理は、上始動口600または下始動口604への遊技球の入賞に基づいて取得された乱数の当否判定が行われる順序をシフトする処理である。即ち、特別図柄の当否判定は上始動口600または下始動口604に遊技球が入賞した順に行われるため、変動開始に伴って当該順序がシフトする。上始動口600または下始動口604への遊技球の入賞に基づいて取得された乱数のうち最も早く取得された乱数は、処理領域5132に移される。なお、ステップS1301において始動記憶数が0であれば(ステップS1301におけるYES)、変動開始処理を終了する。
ステップS1302においてシフト処理を行ったのち、CPU711は、特別図柄フラグをON状態にする(ステップS1304)と共に、特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値を1減算して(ステップS1305)、ステップS1308に進む。
ステップS1308では、確変機能が作動している遊技状態であるか否かを判断する(ステップS1308)。ここで、確変機能が作動している遊技状態であれば(ステップS1308におけるYES)、確変特図判定テーブル908が選択される(ステップS1309)。一方、ステップS1308において確変機能が未作動であれば(ステップS1308におけるNO)、通常特図判定テーブル906が選択される(ステップS1310)。
そして、ステップS1309またはステップS1310において選択された判定テーブルと、処理領域5132に記憶されている当否判定用乱数と、に基づいて当否判定が行われる(ステップS1311)。なお、ステップS1311における大当たり判定は、特別図柄当否判定手段904によって行われる。
ステップS1311における当否判定にて大当たりであると判定されると(ステップS1311におけるYES)、取得した図柄乱数に基づいて大当たりの種別を判定する(ステップS1312)。その後、大当たりの種別に応じたフラグ(即ち、先述の当選フラグ)をON状態にする(ステップS1313)。具体的には、確変大当たりであれば確変大当たりフラグをON状態にし、通常大当たりであれば通常大当たりフラグをON状態にする。その後、処理フラグを「1」に更新し(ステップS1316)、変動開始処理を終了する。
なお、本実施形態では、ステップS1302においてシフト処理を行ったのち、ステップS1309またはステップS1310において選択された判定テーブルと、処理領域5132に記憶されている当否判定用乱数と、に基づいて当否判定が行われる(ステップS1311)が、これに限られない。例えば、判定テーブルと、当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されている当否判定用乱数のうち最も早く記憶された乱数と、に基づいて当否判定を行い、その後、シフト処理を行っても良い。このとき、当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されている当否判定用乱数を参照できるのは、変動開始時のみである。
(変動パターン設定処理)
次に、図57に基づいて、変動パターン設定処理について説明する。図57は、変動パターン設定処理(ステップS150)の一例を示すフローチャートである。
変動パターン設定処理は、当否判定結果に応じて変動パターンを設定する処理である。この処理では、先ず、複数種類の大当たりのうちいずれかの大当たりフラグがON状態であるか否かを判断する(ステップS1510)。ここで大当たりフラグがON状態であると(ステップS1510におけるYES)、大当たりの種別に対応する変動パターンに設定する(ステップS1520)。具体的には、確変大当たりフラグがON状態であれば確変大当たりに対応する変動パターンに設定し、通常大当たりフラグがON状態であれば通常大当たりに対応する変動パターンに設定する。そして、その後、ステップS1560に進んで変動時間値をタイマにセットし、処理フラグを「2」に更新(ステップS1570)したのち、変動パターン設定処理を終了する。
ステップS1510において、いずれの大当たりフラグもON状態でないとき(ステップS1510におけるNO)、当否判定結果が大当たりに当選していないハズレであると判断し、ハズレに対応する変動パターンに設定し(ステップS1550)、ステップS1560に進み、処理フラグを「2」に更新(ステップS1570)して、変動パターン設定処理を終了する。
なお、この変動パターン設定処理において設定された変動パターンに基づいて、特別図柄表示器84における複数のLEDの点灯パターンによって表示される。
(変動中処理)
次に、図58に基づいて、変動中処理について説明する。図58は、変動中処理の一例を示すフローチャートである。変動中処理では、先ず、特別図柄が変動中であるか否かを判断する(ステップS1801)。ここで、特別図柄表示器84が変動中であれば変動中であると判断される。特別図柄が変動中でなければ(ステップS1801におけるNO)、そのまま、変動中処理を終了する。
ステップS1801において特別図柄が変動中であると判断すると(ステップS1801におけるYES)、ステップS1802に進み、変動時間が終了しているか否かを判断する。具体的には、変動パターン設定処理においてタイマにセットした変動時間が経過したか否かを判断する。ここで、変動時間が経過していなければ、変動時間が経過するまで待機する(ステップS1802におけるNO)。変動時間が経過すると(ステップS1802におけるYES)、特別図柄の変動を停止する(ステップS1803)。即ち、特別図柄表示器84において、特別図柄抽選手段900の抽選結果を導出表示する。
特別図柄の変動を停止すると(ステップS1803)、複数の大当たり種別のうちいずれかの大当たりフラグがON状態であるか否かを判断する(ステップS1804)。即ち、今回の変動が停止して抽選結果が導出された結果、いずれかの大当たり遊技を開始するか否を判断する。いずれかの大当たりフラグがON状態であると(ステップS1804におけるYES)、処理フラグを「3」に更新し(ステップS1805)、変動中処理を終了する。いずれの大当たりフラグもON状態でなければ(ステップS1804におけるNO)、処理フラグを「0」に更新し(ステップS1808)、変動中処理を終了する。
(大当たり遊技開始処理)
次に、図59に基づいて、大当たり遊技開始処理について説明する。図59は、大当たり遊技開始処理の一例を示すフローチャートである。この大当たり遊技開始処理では、先ず、確率変動機能が作動中であるか否かを判断する(ステップS2001)。上述のように、大当たり遊技が実行されているときは確変機能が作動しないため、確変機能が作動している場合には、確変機能の作動を停止して(ステップS2002)、ステップS2003に進む。一方、ステップS2001において確変機能が作動していないと判断すると(ステップS2001におけるNO)、ステップS2002をスキップしてステップS2003に進む。
ステップS2003では、開放延長機能が作動中であるか否かを判断する。上述のとおり、大当たり遊技が実行されているときは開放延長機能が作動しないため、開放延長機能が作動している場合には、開放延長機能の作動を停止して(ステップS2004)、ステップS2005に進む。一方、ステップS2003において開放延長機能が作動していないと判断すると(ステップS2003におけるNO)、ステップS2004をスキップしてステップS2006に進む。
ステップS2006では、大当たり遊技時におけるラウンド回数(例えば15ラウンド)、1ラウンド当たりの大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間(例えば30sec)および最大入賞数(例えば9球)をセットする。そして、その後、ステップS2008に進んで処理フラグを「5」に更新し、大当たり遊技開始処理を終了する。
(特別電動役物大当たり制御処理)
次に、図60に基づいて、特別電動役物大当たり制御処理について説明する。図60は、特別電動役物大当たり制御処理の一例を示すフローチャートである。特別電動役物大当たり制御処理においては、先ず、大当たり遊技用開閉装置500が開放中であるか否かを判断する(ステップS2401)。大当たり遊技用開閉装置500が開放中であれば(ステップS2401におけるYES)、予めセットされた大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間が経過したか否かを判断する(ステップS2402)。具体的には、ステップS2006においてセットされた最大開放時間が経過したか否かを判断する。大当たり遊技用開閉装置500の最大開放時間が経過したと判断すると(ステップS2402におけるYES)、大当たり遊技用開閉装置500を閉鎖して(ステップS2404)、ステップS2405に進む。
ステップS2402において大当たり遊技用開閉装置500の開放時間が経過していなければ(ステップS2402におけるNO)、予めセットされた最大入賞数の遊技球が大当たり遊技用開閉装置500に受け入れられたか否かを判断する(ステップS2403)。具体的には、開閉装置カウントセンサ776によるカウント値が、ステップS2006においてセットされた最大入賞数に達したか否かを判断する。大当たり遊技用開閉装置500に最大入賞数の遊技球が受け入れられたと判断すると(ステップS2403におけるYES)、ステップS2404に進み、大当たり遊技用開閉装置500を閉鎖する。一方、大当たり遊技用開閉装置500に最大入賞数の遊技球が受け入れられていなければ、ステップS2402に戻る。
ステップS2405では、予めセットされたラウンド数に達したか否かを判断する(ステップS2405)。具体的には、ステップS2006においてセットされたラウンド数に達したか否かを判断する。ここで、予めセットされたラウンド数に達していれば(ステップS2405におけるYES)ステップS2407に進み、大当たりフラグをOFFにする。一方、予めセットされたラウンド数に達していなければ(ステップS2405におけるNO)、大当たり遊技用開閉装置500の開放処理を行い(ステップS2406)、ステップS2402に戻る。
なお、ステップS2401において、大当たり遊技用開閉装置500が開放中でないと判断されると(ステップS2401におけるNO)、ステップS2405に進む。
ステップS2407において大当たりフラグをOFFにしたのち、確変機能を作動すべきか否かを判断し(ステップS2408)、確変機能を作動すべきであれば確変機能の作動処理を行い(ステップS2410)、さらに開放延長機能の作動処理を行なったのちに(ステップS2411)、特別電動役物大当たり制御処理を終了する。具体的には、ステップS2407においてOFFにされた大当たりフラグが確変大当たりフラグであれば、確変機能および開放延長機能を作動する。即ち、これまで行われていた大当たり遊技が確変大当たりへの当選に基づく大当たり遊技であれば、確変機能および開放延長機能を作動する。これにより、確変大当たりへの当選にして大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態は、通常状態よりも大当たりに当選しやすい確率変動状態に制御されると共に、次回の大当たりに当選するまで開放延長機能が作動する特別遊技状態となる
一方、ステップS2407においてOFFとされた大当たりフラグが通常大当たりフラグであれば(ステップS2408におけるNO)、確変機能の作動をさせずに、ステップS2413において開放延長機能の作動処理のみを行う。そして、当該開放延長機能の作動回数(例えば100回)を設定したのち(ステップS2414)、処理フラグを「0」に更新して(ステップS2415)、特別役物大当たり制御処理を終了する。これにより、通常大当たりへの当選にして大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態は、確変機能が作動することなく大当たりへの当選確率が通常状態と同じとなるが、所定回数(例えば100回)だけ開放延長機能が作動する有利遊技状態(所謂、時短遊技状態)に制御される。なお、この所定回数の開放延長機能が作動したのちは、遊技状態は開放延長機能および確変機能のいずれも作動しない通常遊技状態となる。
[連動期待演出に関する制御処理について]
次に、図61〜図65を参照して、パチンコ機1の周辺基板800(主に周辺制御基板810)で実行される種々の制御処理のうち、先述の連動期待演出に関する制御処理について説明する。図61は、当選波出力予約処理の手順の一例を示すフローチャートである。図62は、当選波出力実行処理の手順の一例を示すフローチャートである。図63は、当選波検出処理の手順の一例を示すフローチャートである。図64は、演出タイミング決定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図65は、演出映像表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
なお、以下に説明する各処理は、例えば2msごとに周辺制御基板810のCPU811の制御によって演出制御プログラムが実行する、割込み処理に含まれる処理である。
(当選波出力予約処理)
まず、図61を参照して、当選波出力予約処理について説明する。この当選波出力予約処理は、大当たり抽選において当選している場合に、既定の振幅を有する当選波を出力する予約をする処理である。なお、本実施形態では、当選パチンコ機を含め、遊技機列において例えば7台のパチンコ機1が連動して連動期待演出を実行するものとして説明する。
まず、演出制御プログラムは、周辺制御基板810が主制御基板710から受信した演出コマンドに含まれる当選情報が「当選(大当たり)」であるか否かを判断し(ステップS3001)、当選していない場合には当選波出力予約処理を終了する一方、当選している場合には、演出方向を決定する演出方向決定処理を実行する(ステップS3002)。
ステップS3002の演出方向決定処理では、演出制御プログラムが、先述した演出進行方向選択テーブル(図45参照)を参照して、ランダムに取得した乱数値(演出進行方向用乱数値)に基づいて、連動期待演出の演出進行方向を決定する。つまり、この演出制御プログラムは、ランダムに取得した演出進行方向用乱数値に基づいて、連動期待演出として演出表示装置115に表示される特殊連動画像が進行すべき方向を選定しているのである。
具体的には、演出制御プログラムは、例えば演出進行方向用乱数値が0〜39である場合には、演出進行方向フラグを「0」に設定する。なお、演出進行方向フラグが「0」である場合、当選波を出力せず連動期待演出を実行させない(特殊連動画像を表示させない)ことを示している。また演出制御プログラムは、例えば演出進行方向用乱数値が40〜69である場合には、演出進行方向フラグを「1」に設定し、特殊連動画像を左方向から右方向に進行させる。また演出制御プログラムは、例えば演出進行方向用乱数値が70〜99である場合には、演出進行方向フラグを「2」に設定し、特殊連動画像を右方向から左方向に進行させる。
次に、演出制御プログラムは、連動期待演出の実行範囲として、当選波を出力すべき方向の振り分けを決定する(ステップS3003)。S3003の出力方向振分処理では、演出制御プログラムは、例えば2msごとにカウントする出力振分用乱数値(例えば0〜99)を発生しており、例えば当選波を出力すべきタイミングにおいてこの出力振分用乱数値を取得する。これとともに演出制御プログラムは、先述の出力方向振分テーブル(図46参照)を参照し、ランダムに取得した出力振分用乱数値に応じて当選波を出力すべき方向を定めている。この出力方向振分テーブルは、ランダムに取得した出力振分用乱数値(図示の乱数値に相当)ごとに、出力すべき当選波の出力方向を振り分けるための情報を含むテーブルであるとともに、当選波を到達させるべきパチンコ機の台数を定めるための抽選を実行するための情報を含むテーブルである。
具体的には、この演出制御プログラムは、例えば自己のパチンコ機を含めて7台で連動して連動期待演出を実行する場合、出力振分用乱数値が0〜29であったときは、左側3台のパチンコ機と自己のパチンコ機と右側3台のパチンコ機で連動するものと設定する(即ち、連動期待演出の実行対象となるパチンコ機として設定する)。また、出力振分用乱数値が30〜59であったときは、左側4台のパチンコ機と自己のパチンコ機と右側2台のパチンコ機で連動するものと設定する。また、出力振分用乱数値が60〜89であったときは、左側2台のパチンコ機と自己のパチンコ機と右側4台のパチンコ機で連動するものと設定する。また、出力振分用乱数値が90〜93であったときは、左側5台のパチンコ機と自己のパチンコ機と右側1台のパチンコ機で連動するものと設定する。また、出力振分用乱数値が94〜97であったときは、左側1台のパチンコ機と自己のパチンコ機と右側5台のパチンコ機で連動するものと設定する。また、出力振分用乱数値が98であったときは、左側6台のパチンコ機と自己のパチンコ機のみで連動するものと設定する。また、出力振分用乱数値が99であったときは、自己のパチンコ機と右側6台のパチンコ機で連動するものと設定する。
本実施形態では、このように演出制御プログラムが設定した当選波の出力方向および台数に関する情報(出力すべき当選波の振幅に関する情報)を「出力設定情報」と呼称する。この出力設定情報としては、右側に当選波を出力すべきか否かを表す右出力フラグを含んでいるとともに、左側に当選波を出力すべきか否かを表す左出力フラグを含んでいる。
このうち右出力フラグは、自己のパチンコ機の右側において少なくとも1台のパチンコ機が連動して連動期待演出を実行すべき場合には「1」に設定され、この右側に連動期待演出の実行対象となるパチンコ機が存在しない場合には「0」に設定される。また、その一方、この左出力フラグは、自己のパチンコ機の左側において少なくとも1台のパチンコ機が連動して連動期待演出を実行すべき場合には左出力フラグを「1」に設定し、この左側に連動期待演出の実行対象となるパチンコ機が存在しない場合には「0」に設定される。
演出制御プログラムは、右出力フラグが「1」である場合(図61のステップS3004)、当選波右側送出バッファに当選波右出力指示コマンドを格納することで出力予約をする(ステップS3005)。この出力予約した当選波右出力指示コマンドは、当選波を到達させるべきパチンコ機の台数に応じて振幅の大きさ(強度の一例)に関する強度情報を含んでいてもよい。一方、この演出制御プログラムは、左出力フラグが「1」である場合(ステップS3006)、当選波左側送出バッファに当選波左出力指示コマンドを格納することで出力予約をする(ステップS3007)。この出力予約した当選波左出力指示コマンドは、当選波を到達させるべきパチンコ機の台数に応じて振幅(強度の一例)に関する強度情報を含んでいてもよい。
また、演出制御プログラムは、右出力フラグおよび左出力フラグが各々「0」である場合、これら当選波右側送出バッファおよび当選波左側送出バッファに各々当選波右側出力指示コマンドおよび当選波左側出力指示コマンドを格納しない。なお、本実施形態においては、これら当選波右出力指示コマンドおよび当選波左出力指示コマンドを総称して「当選波出力指示コマンド」と呼称する。つまり、この場合、演出制御プログラムは当選波側出力指示コマンドの出力予約をしない。
なお、先述のように、本実施形態では、波送受装置188a、188bにより当選波が検出されると、その検出された時点から当該当選波に基づく魚群演出が実行されるまでは、内部抽選にて当選した場合であっても波送受装置188a、188bからの当選波の出力処理を無効化する。つまり、演出制御プログラムは、当選波が検出された時点から当該当選波に基づく魚群演出が実行されるまでの期間は、ステップS3001にて当選情報が大当たりであると判断されても当選波出力予約処理を終了して(ステップS3001におけるNO)、当選波の出力を行なわないようにする。これにより、各パチンコ機1における連動期待演出としての魚群演出の重複を排除することができる。
(当選波出力実行処理)
次に、図62を参照して、当選波出力実行処理について説明する。この当選波出力実行処理は、上記当選波右側送出バッファに当選波右出力指示コマンドが存在している場合、或いは、上記および当選波左側送出バッファに当選波左出力指示コマンドが存在している場合、実際に当選波の出力を実行する処理である。
まず演出制御プログラムは、当選波右側送出バッファに、当選波を右側から出力すべき旨の当選波右出力指示コマンドが存在しているか否かを判断する(ステップS3020)。当選波右出力指示コマンドが存在していない場合には、演出制御プログラムが当選波出力実行処理を終了する。
ここで、当選波右出力指示コマンドが存在する場合には、演出制御プログラムが、波形制御基板425に対して当選波右出力指示コマンドを出力することで波形制御基板425を制御し、この波形制御基板425が、当選波出力用右側ポートから波送受装置188bに当選波右出力指示コマンドを与え、この波送受装置188bに当選波を出力させる(ステップS3021)。ここで、この当選波の振幅は、自己のパチンコ機からみて右方向に位置するパチンコ機のうち、遊技機列において連動期待演出の実行対象となるパチンコ機の台数(連動期待演出を実行すべき最端遊技機までの距離)に応じて決定された振幅となっている。さらに、この送信元となるパチンコ機の右方向が、当選パチンコ機からみて連動期待演出の上流方向にあたる場合には第1の周波数となる第1当選波を出力し、当選パチンコ機からみて連動期待演出の下流方向にあたる場合には第2の周波数となる第2当選波を出力する。なお、この当選波は、(必要に応じて当選波右出力指示コマンドが有する強度情報を含めて)上記のように決定された振幅および周波数で伝送される。
一方、演出制御プログラムは、当選波左側送出バッファに当選波左出力指示コマンドが存在しているか否かを判断する(ステップS3022)。当選波左出力指示コマンドが存在していない場合には、演出制御プログラムが当選波出力実行処理を終了する。この当選波左出力指示コマンドが存在する場合には、演出制御プログラムが、波形制御基板425に対して当選波左指示コマンドを出力することで波形制御基板425を制御し、この波形制御基板425が当選波出力用左側ポートから波送受装置188aに当選波出力指示コマンドを与え、この波送受装置188aに当選波を出力させる(ステップS3023)。ここで、この当選波の振幅は、自己のパチンコ機からみて左方向に位置するパチンコ機のうち、遊技機列において連動期待演出の実行対象となるパチンコ機の台数(連動期待演出を実行すべき最端遊技機までの距離)に応じて決定された振幅となっている。さらに、この送信元となるパチンコ機の左方向が、当選パチンコ機からみて連動期待演出の上流方向にあたる場合には第1の周波数となる第1当選波を出力し、当選パチンコ機からみて連動期待演出の下流方向にあたる場合には第2の周波数となる第2当選波を出力する。なお、この当選波は、(必要に応じて当選波左出力指示コマンドが有する強度情報を含めて)上記のように決定された振幅および周波数で波形信号を伝送される。
なお、本実施形態では、ステップS3021,S3023における当選波の出力タイミングは、図47に示すテーブルを参照して決定される魚群演出開始ポイントおよび魚群演出開始時間となる。即ち、先述のように、主制御基板710から周辺制御基板810に送信された演出コマンド(の変動時間)に基づいて実行コマンドが決定され、この実行コマンドに含まれる魚群演出開始ポイントおよび魚群演出開始時間に基づいて、図47に示すテーブルを参照して当選波の出力タイミングが決定される。そして、演出制御プログラムは、図示しない演出タイミング管理タイマによって図柄変動開始からの経過時間をカウントし、当該決定された出力タイミングになると波形制御基板425を制御して当選波を出力させる。
(当選波検出処理)
次に、図63を参照して、当選波検出処理について説明する。この当選波検出処理は、例えば2msごとに周辺制御基板810のCPU811の制御によって演出制御プログラムが実行する、割込み処理に含まれる処理である。また、この当選波検出処理は、周囲のパチンコ機が大当たり抽選において当選した場合に出力した当選波を検出する処理である。
まず、周辺制御基板810のCPU811は、演出制御プログラムの動作によって波形制御基板425を制御し、波送受装置188a,188bにそれぞれ対応した当選波左送受ポートおよび当選波右送受ポート(当選波検出用ポート)を参照させる。これら波送受装置188a,188bは、それぞれ対応する当選波左送受ポートおよび当選波右送受ポートを参照する(ステップS3030)。
そして、演出制御プログラムは、これら当選波左送受ポートおよび当選波右送受ポートにおいて、当選波が検出されているか否かを判断する(ステップS3031)。ここで、これら当選波左送受ポートおよび当選波右送受ポートのいずれにも当選波が検出されていないと判断されると、当選波送受処理を終了する。一方、演出制御プログラムは、これら当選波左送受ポートおよび当選波右送受ポートのいずれかに当選波が到着している場合には、連続期待演出を実行すべきか否かを表す期待演出実行フラグをまずOFFに初期化した後(ステップS3032)、この当選波の解析を行う(ステップS3033)。この解析内容としては、検出した当選波の振幅を取得することを挙げることができる。なお、本実施形態では、当選波の振幅を例示しているが、これに限られず、当選波の減衰が確認できればどのような要素を解析しても良い。
次に、演出制御プログラムは、検出された当選波が当選波左送受ポートおよび当選波右送受ポートのうちどちらの当選波送受ポートを経由しているかを判断し(ステップS3034)、当選波右送受ポートを経由している場合には、「OFF(0)」であった当選波右検出フラグを「ON(1)」と設定する一方(ステップS3035)、当選波送受用左ポートを経由している場合には、「OFF(0)」であった当選波左検出フラグを「ON(1)」と設定する(ステップS3036)。これら当選波右検出フラグおよび当選波左検出フラグは、各々検出した当選波の出力源(当選パチンコ機)の方向が右であることおよび左であることをそれぞれ表している。
そして、演出制御プログラムは、波送受装置188a,188bにより検出された当選波の周波数(周期)に基づいて、当該当選波が第1当選波であるか否かを判断する(ステップS3037)。検出された当選波が第1当選波であれば、自己のパチンコ機は当選パチンコ機からみて演出進行方向の上流に位置するから、連動期待演出を実行するため期待演出実行フラグを「ON(1)」と設定する(ステップS3038)。一方、検出された当選波が第2当選波であれば、自己のパチンコ機は当選パチンコ機からみて演出進行方向の下流に位置するから、連動期待演出を実行しないため期待演出実行フラグを「OFF(0)」と設定する(ステップS3039)。
なお、演出制御プログラムは、自己のパチンコ機が当選波の送信元であるときは(即ち、当選パチンコ機であるときは)、検出された当選波の種別に拘らず、連動期待演出を実行するために期待演出実行フラグを「ON(1)」と設定する。
(演出タイミング決定処理)
次に、図64を参照して、演出タイミング決定処理について説明する。この演出タイミング決定処理は、第1当選波を受信した受信パチンコ機および第1当選波を送信した当選パチンコ機が連動期待演出を実行すべき演出タイミングを決定する処理である。ここで、受信パチンコ機および当選パチンコ機では、演出タイミング決定処理の詳細が異なっている。
まず、受信パチンコ機の演出制御プログラムは、波送受装置188a,188bにより検出された第1当選波に含まれる当選波の出力波形の振幅と、先述の既定の基準振幅値(強度情報)とを比較して、第1当選波の減衰量をチェックする(ステップS3040)。そして、上記期待演出実行フラグが「ON」であるか否かを判断する(ステップS3042)。この期待演出実行フラグが「ON」でない場合(「OFF」である場合)、連動期待演出としての魚群演出を実行すべきでないとして演出タイミング決定処理を終了する。一方、演出制御プログラムは、この期待演出実行フラグが「ON」である場合、連動期待演出としての魚群演出を実行すべきであると判断する。そして、ステップS3040で取得した第1当選波の減衰量に基づいて、図48に示す減衰量判定テーブルを参照して、自機における連動期待演出の演出タイミングを決定する(ステップS3043)。
一方、当選パチンコ機の演出制御プログラムは、ステップS3040の第1当選波の減衰量チェックを行なうことなく、また先述のように上記期待演出実行フラグが「ON」であるから(ステップS3042におけるYES)、自機における連動期待演出の演出タイミングを決定する(ステップS3043)。ここで、ステップS3043では、第1当選波の減衰量ではなく、先述のように自機が決定した魚群演出の開始タイミング(当選波の出力タイミング)と、自機が決定した連動期待演出の実行範囲とに基づいて、自機にて連動期待演出を実行すべき演出タイミングを取得する。
なお、本実施形態では、受信パチンコ機および当選パチンコ機の各演出制御プログラムは、自機が連動期待演出の実行対象であると判断すると、以降の処理で実際に魚群演出がなされるか否かに拘らず、期待演出報知ランプ(例えば、枠装飾ランプ842)が点灯制御される。具体的には、演出制御プログラムは、自機が連動期待演出の実行対象であれば、期待演出実行フラグが「ON」である場合のみならず「OFF」である場合においても、演出管理タイミングタイマが1000となるまで、つまり最初の2000msにわたり、連動演出報知ランプを点滅させる。これにより、連動期待演出が実行される前の予告演出として、実際に魚群演出が実行されるか否かに拘らず連動期待演出の実行対象となるパチンコ機が、遊技者やホール来場者に対して告知される。
(演出映像表示処理)
次に、図65〜図73を参照して、演出映像表示処理について説明する。図65は、演出映像表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。図65〜図73は、それぞれ連動期待演出としての魚群演出の一例として表示される特殊な演出映像の一例を示すイメージ図である。この演出映像表示処理は、連動期待演出の実行対象となる各パチンコ機において、先述したように当選パチンコ機において決定された演出タイミングに基づいて、それぞれ魚群演出を実行するための特殊な演出映像を実際に表示させる処理である。
まず、各パチンコ機の演出表示装置115では、周辺制御基板810の演出制御プログラムの演出制御によって、遊技者による遊技の進行に応じて様々な演出表示が実行されており、始動入賞を契機として内部的な抽選が実行されるとその抽選結果(大当たりまたはハズレ)が装飾図柄の変動表示によって導出される。即ち、演出制御プログラムは、主制御基板710から受け取った演出コマンドに基づいて、この演出コマンドに含まれる当選結果および変動時間に応じて実行コマンドの変動パターンおよび停止図柄を決定し、表示装置制御基板816を制御して演出表示装置115に変動パターンおよび停止図柄を表示させている。
また、演出制御プログラムは、自己の演出タイミングとなったかどうか、つまり、演出管理タイミングタイマが自己の演出タイミングに至ったかどうか(例えば、「1550」となっているかどうか)を判断する(ステップS3051)。ここで、演出管理タイミングタイマが自己の演出タイミングに至ると、連動期待演出としての魚群演出の表示制御を行なうが、自機が受信パチンコ機および当選パチンコ機のいずれであるかによって、以下の処理が異なる。
まず、受信パチンコ機の演出制御プログラムは、当選波左検出フラグが「ON(1)」であるかどうか(第1当選波が波送受装置188aによって受信されたものか否か)を判断する(ステップS3052)。つまり、ここでは、波形制御基板425により検出された第1当選波が、自己のパチンコ機からみて左方向の出力源(当選パチンコ機)から到着したものであるかどうかを判断している。
ここで、受信パチンコ機の演出制御プログラムは、第1当選波が左方向から検出された場合には、魚群演出が右から左に向かって流れる特殊な演出映像(第1演出映像)を選択して(ステップS3053)、この選択した第1演出映像に関する表示を指示する(ステップS3055)。一方、当選波右検出フラグが「ON(1)」であれば第1当選波を右方向から検出したことになるから、魚群演出が左から右に向かって流れる特殊な演出映像(第2演出映像)を選択して(ステップS3054)、この選択した第2演出映像に関する表示を指示する(ステップS3055)。
この特殊な演出映像の表示指示としては、例えば演出制御プログラムが表示装置制御基板816に対して表示すべき演出映像を指示する。ここで、表示装置制御基板816では、上述のように、VDP838がCPU832の指示に従って画像ROM839から選択された演出映像データ(第1演出映像データまたは第2演出映像データ)を読み出すとともに、この読み出した演出映像データに基づいて、連動期待演出時に表示される「特殊連動画像」として第1演出映像SP1(例えば、図66〜図69を参照)あるいは第2演出映像SP2(例えば、図70〜図73を参照)を、演出表示装置115に表示させる。
なお、本実施形態では、図66〜図73に示すように、演出表示装置115において、連動期待演出時に表示される「特殊連動画像」(第1演出映像SP1および第2演出映像SP2)は、リーチ演出(単期待演出)のように各パチンコ機で単独で実行される「遊技演出画像」が背景となるように、当該「遊技演出画像」と重ねて表示される。以下では、連動期待演出時の演出表示装置115における表示態様を、より具体的に説明する。
まず、図66〜図69を参照して、演出表示装置115の表示領域に第1演出映像データに基づく第1演出映像SP1が表示される場合の表示態様を説明する。まず、図66に示す表示態様においては、第1演出映像SP1の一例としての魚群の前部が演出表示装置115の表示領域右側に表示されるとともに、時間の経過に従って魚群が右から左に向かって進行し、図67に示す表示態様のように魚群のほぼ全体が演出表示装置115の表示領域全体に現れる。さらに時間が経過すると、図68に示す表示態様のように魚群が左に向かって進行し、この魚群のやや後部が演出表示装置115の表示領域内に表示される。そしてさらに時間が経過すると、図69に示す表示態様のように、この魚群がさらに左に進み、この魚群の最後尾が演出表示装置115の表示領域左側に表示される。
次に、図70〜図73を参照して、演出表示装置115の表示領域に第2演出映像データに基づく第2演出映像SP2が表示される場合の表示態様を説明する。まず、図70に示す表示態様においては、第2演出映像SP2の一例としての魚群の前部が演出表示装置115の表示領域左側に表示されるとともに、時間の経過に従って魚群が左から右に向かって進行し、図71に示す表示態様のように魚群のほぼ全体が演出表示装置115の表示領域全体に現れる。さらに時間が経過すると、図72に示す表示態様のように魚群が右に向かって進行し、この魚群のやや後部が演出表示装置115の表示領域内に表示される。そしてさらに時間が経過すると、図73に示す表示態様のように、この魚群がさらに右に進み、この魚群の最後尾が演出表示装置115の表示領域右側に表示される。
以上説明したように、第1当選波を検出した受信パチンコ機1では、第1演出映像SP1および第2演出映像SP2のいずれを選択するかは、先述の第1当選波を左右方向のいずれから受信したかによって判断する。つまり、波送受装置188aから第1当選波を受信した場合は、当該受信パチンコ機は当選パチンコ機の右側にあるから、演出媒体が右から左に進行する第2演出映像SP2を選択する。また、波送受装置188bから第1当選波を受信した場合は、当該受信パチンコ機は当選パチンコ機の左側にあるから、演出媒体が左から右に進行する第1演出映像SP1を選択する。つまり、受信パチンコ機では、第1当選波を受信した方向に向けて演出媒体としての魚群が進行する演出映像が選択される。
一方、第1当選波を出力した当選パチンコ機1では、上記受信パチンコ機1とは演出映像表示処理が異なっている。即ち、当選パチンコ機1の演出制御プログラムは、演出管理タイミングタイマが自己の演出タイミングに至ると(ステップS3051におけるYES)、ステップS3052において当選波左検出フラグをチェックするのに代えて、自機が第1当選波を出力した方向を判定する。ここで、第1当選波が右方向に出力されていれば、魚群演出が右から左に流れる第1演出映像を選択する(ステップS3053)。一方、第1当選波が左方向に出力されていれば、魚群演出が左から右に流れる第2演出映像を選択する(ステップS3054)。かかる処理により、当選パチンコ機1では、受信パチンコ機とは異なり、第1当選波を送信した方向から反対方向に向けて演出媒体としての魚群が進行する演出映像が選択される。
これにより、受信パチンコ機および当選パチンコ機では、第1当選波を受信または送信した方向を特定するだけで、連動期待演出が実行される全てのパチンコ機において演出媒体が同一方向に進行するような最適な演出映像を選択することができ、複数のパチンコ機が一体に連動した外観を呈する演出態様を実現することができる。
なお、本実施形態においては、これら図66〜図73に示す「特殊連動画像」(第1演出映像SP1または第2演出映像SP2)は、各々のパチンコ機において例えば1800msecの間、表示される。また、一のパチンコ機において「特殊連動画像」(第1演出映像SP1または第2演出映像SP2)の表示が開始されてから例えば1300msec経過後に、当該一のパチンコ機に隣接する下流側(特殊連動画像進行方向の下流側)のパチンコ機において、特殊連動画像(第1演出映像SP1または第2演出映像SP2)の表示が開始される。例えば、一のパチンコ機において特殊連動画像として第1演出映像が表示される場合、前述したとおり、先ずは魚群の前部が演出表示装置115の表示領域右側に表示され、時間の経過に従って魚群が右から左に向かって進行する。そして、当該一のパチンコ機における特殊連動画像の表示が終了する前に、当該一のパチンコ機に隣接する上記下流側のパチンコ機において、特殊連動画像として第1演出映像SP1の表示が開始される。このとき、一のパチンコ機では、上記下流側に隣接するパチンコ機側に魚群が表示される(より詳しくは、魚群の後方部分のみが表示される。また、当該一のパチンコ機に隣接する上記下流側のパチンコ機では、上流側(特殊連動画像進行方向の上流側)に隣接する上記一のパチンコ機側に魚群が表示される(より詳しくは、魚群の前方部分のみが表示される)。
このようにすると、上記一のパチンコ機において1800msecにわたる演出映像の表示が終了間近(本実施形態では特殊連動演出画像の表示開始後1300msec後)になると、引き続き上記下流側に隣接するパチンコ機において演出映像の表示が開始されることとなるから、互いに隣り合うパチンコ機における演出映像が連続的に表示される態様となる。これにより、遊技機島を構成する複数のパチンコ機にわたって実行される連動期待演出の一体感が増し、迫力あるワイド演出が可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
ところで、本実施形態の連動期待演出では、当選パチンコ機においては、当選フラグがONであることを確認した後、自己の演出タイミング(つまり、連動期待演出における最後の演出タイミング)で、他のパチンコ機で表示された演出態様とは異なる演出態様としている。具体的には、演出制御プログラムは、他のパチンコ機において連動期待演出として表示された特殊な演出映像(特殊連動画像)に代えて、自己のパチンコ機では例えば大当たり抽選において当選したことを表す特定の演出映像(当選報知用特殊連動画像)を表示することを挙げることができる。このような内部抽選への当選に基づく演出映像の切り換えは、ステップS3055にて行なわれる。
当選報知用特殊連動画像の具体例としては、時間の経過に従って魚群が右から左または左から右に向かって進行する第1演出映像SP1または第2演出映像SP2とは異なり、魚群が自機のなかに吸い込まれていくような表示態様が相当する。具体的には、複数のパチンコ機にて特殊連動画像が行われると、当該複数のパチンコ機のうち最端のパチンコ機から右または左に向けて、魚群が各パチンコ機を跨って移動するように表示される。このように各パチンコ機を跨って移動表示される魚群が当選波を放出したパチンコ機に至ると、先ずは上記上流側に隣接するパチンコ機側に魚群の前方部分が表示され、時間の経過に従って魚群が上記下流側に向かって進行する。そして、魚群のほぼ全体が演出表示装置115の略中央部に現れたときに、魚群が自機に吸い込まれていくように表示される。これにより、特殊連動画像が表示される遊技機で遊技を行っている遊技者は、上流側に配置されるパチンコ機から順に表示される魚群の挙動に興味が惹かれる。例えば、魚群が自機よりも上流側に表示されているときは魚群が自機に至ることを期待し、魚群が自機に至ったときは当該魚群が自機に吸い込まれることを期待する。なお、当選報知用特殊連動画像は、魚群が自機に吸い込まれることをあっさりと表示するのではなく、自機から下流側に隣接するパチンコ機に魚群が移動する可能性があることを示唆するような、遊技者をじらす態様で表示することが好ましい。
ところで、当選パチンコ機1の演出制御プログラムは、外部から当選波を受信し、且つ、魚群演出の実行前に自機が当選したときは、先述したように当選波は出力しない。即ち、外部から当選波を受信した時点から当該当選波に基づく連動期待演出が実行される前に内部抽選に当選した場合は、内部抽選の結果が当たりであるにも拘らず、外部から当選波を受信したことに基づいて通常の特殊連動画像(ハズレ魚群演出)を行う。言い換えると、連動期待演出として通常の特殊連動画像(ハズレ魚群演出)が行われるにも拘らず、大当たり遊技が発生することになる。このように、一旦は通常の特殊連動画像を行うことで遊技者を落胆させつつもサプライズ的に大当たり遊技が発生するので、興趣の低下を抑制できる。
なお、演出表示装置115に表示される特殊な演出映像である「特殊連動画像」(第1演出映像SP1および第2演出映像SP2)に含まれる演出媒体は、図示のような魚群に限られず、その他の移動体であっても良いことはいうまでもない。
[遊技機列における連動期待演出の具体例]
ここで、図74〜図83を参照して、遊技機列における複数のパチンコ機1において連動して実行される連動期待演出の具体例を説明する。なお、図74〜図83は、例えば複数で遊技機列を構成しているうちの3台における各パチンコ機の正面および各パチンコ機の演出態様の一例を示している。
まず、図74は、同図(a)、(b)、(c)のパチンコ機において、例えば始動口600,604への入賞を契機とする大当たり抽選(内部的な抽選処理)の判定、変動開始〜変動の停止等の一連の動作を行っている状態を示す。そして、図75は、同図(b)のパチンコ機において演出表示装置115中の表示領域にリーチ状態であることが表示されたことを示す。この段階では、同図(b)が当選台であるか否かは遊技者からは判別できない。また、同図(a)、(b)、(c)のいずれのパチンコ機においても、期待演出報知ランプとしての枠装飾ランプ842は点灯していない状態である。
図76は、同図(a)、(b)、(c)のパチンコ機において期待演出報知ランプ(枠装飾ランプ842)が一斉に点灯したことを示している。これは同図(a)、(b)、(c)のパチンコ機が連動期待演出の実行対象であって、これらのパチンコ機のうちどれか一台が確実に大当たり抽選に当選していることを示している。さらに、連動期待演出としての魚群演出の進行方向における最上流側に位置する(c)の最端パチンコ機では、演出表示装置115の表示領域において特殊な演出映像としての「特殊連動画像」(以下、魚群画像1130と記載する。)に基づく演出が開始され始めている。ここで同図(a)、(b)、(c)の各遊技者は、自分の台がリーチであるか否かに拘らず「もしかしたら自分の台が当選しているのかもしれない」という期待感を抱く。特に、同図(b)のパチンコ機におけるリーチ演出はまだ終わっておらず、また同図(a)のパチンコ機がリーチ状態に突入しているため、同図(a)および同図(b)の遊技者の心は翻弄される。魚群画像1130は遊技機列を右から左(もしくは左から右)へと予め制御された演出進行方向に通過するように進んでゆく。魚群画像1130はハズレのパチンコ機については通過するだけであるので、遊技者は魚群が自分のパチンコ機を通過した後でようやく、自分のパチンコ機がハズレ台であることを認識する。ただし、本実施例においてこの魚群画像1130における魚群の遊泳態様は一例であり、演出時間の範囲内であれば一度通過した魚群が引き返してくるように制御することも可能である。したがってどの遊技者にとっても、魚群が自分のパチンコ機を通過した後にまた戻ってくる可能性があるという期待を抱くことができる。
ところで、魚群画像1130が当選波の送信元である当選パチンコ機に到着すると(即ち、当選パチンコ機における連動期待演出の実行タイミングになると)、当選パチンコ機では連動期待演出として他のパチンコ機での演出態様とは異なる演出態様が実行される。即ち、当選パチンコ機の演出表示装置115に表示される特殊連動画像(魚群画像1130)は、他のパチンコ機の演出表示装置115に表示される特殊連動画像(魚群画像1130)とは異なっている。そのため、当選パチンコ機では、遊技者が演出表示装置115に表示される演出態様を視認することにより、自分のパチンコ機が大当たり台であることがわかる。ここで、当選パチンコ機における「他のパチンコ機での演出態様とは異なる演出態様」とは、例えば魚群画像1130において魚群がマスゲームを行うように「大当り」の文字を形成して表示する、他には魚群が方向転換して遊技者の方に向かってくるように泳ぐ、または遊技者に対して背を向けるように泳いで去っていく等が挙げられる。このように、演出表示装置115に表示される特殊連動画像(魚群画像1130)において、魚群が他のパチンコ機での演出態様とは異なる演出態様をすることが大当たりにつながることから、同図(c)のパチンコ機の遊技者は、魚群画像1130が表示されると「魚群が通過するのではなく、自分の台で他の演出態様を見せてほしい」と願い続け、魚群が完全に通過するまで(連動演出報知ランプが消えるまで)期待を持ち続ける。
図77は、同図(a)、(b)、(c)のパチンコ機が連動して連動期待演出としての魚群演出(魚群画像1130の表示制御)を行い、同図(c)のパチンコ機から同図(b)のパチンコ機に魚群が移動するに際して、例えば300msのインターバルを経て同図(b)のパチンコ機に出現しつつあることを示している。また、同図(b)および同図(c)に表示される魚群画像1130をよく見ると、小さな魚が集まって、大きな魚を形作っていることを確認することができる。このいわば「大きな魚」は、パチンコ機より少し距離をとって観察する方が確認しやすく、他の遊技者やホール来場者に、遊技機列が連動して行っているエキシビションとしてアピールすることができる。
図78は、同図(a)、(b)、(c)のパチンコ機が連動して連動期待演出としての魚群演出(魚群画像1130の表示制御)を行い、上記のような同図(c)のパチンコ機から同図(b)のパチンコ機への魚群の動きと同様、同図(b)のパチンコ機から同図(a)のパチンコ機に魚群が移動するのに、例えば300msのインターバルを経て同図(a)のパチンコ機に魚群が出現しつつあることを示している。同図(a)のパチンコ機の台に魚群が出現することにより、同図(a)のパチンコ機の遊技者の心理は大当たりの期待から確信へと変遷する。
図79は、同図(c)のパチンコ機における連動期待演出としての魚群演出(魚群画像1130の表示制御)が終了するとともに、期待演出報知ランプの点滅が終了していることを示している。このように、大当たりでなかったパチンコ機の期待演出報知ランプが、魚群の通過後に順に消灯していくので、最終的に期待演出報知ランプが点灯し続けているパチンコ機が大当たりであるということがわかるようになっている。この期待演出報知ランプの点滅演出は、遊技者やホール来場者に対して、大当たり台に向かってカウントダウンしているかのように見えることで注目を集める。
図80および図81は、同図(c)のパチンコ機と同様にして、同図(b)のパチンコ機における魚群画像1130の表示制御が終了した後(魚群が通過した後)、期待演出報知ランプの点滅が終了していることを示している。また、同図(a)のパチンコ機における魚群画像1130の表示制御が、同図(a)のパチンコ機に到着した魚群が他のパチンコ機では見られなかった演出態様となることを示している。これにより、演出表示装置115に「大当り」という文字がまだ表示されていない状態であっても、他の遊技者やホール来場者は「(a)のパチンコ機が大当たりである。」ということを想到し得る。また、当選パチンコ機の遊技者は、「複数あるパチンコ機の中で、自分だけが大当たりに選ばれた」という優越感を得ることができる。
なお、図80(a)および図81(a)に示すパチンコ機に表示された魚群画像1130は、他のパチンコ機における魚群画像1130とは異なり、演出表示装置115の画面中央まで移動した魚群がさらに奥行き方向に移動して消失する演出がなされているが、これが当選報知用特殊連動画像(当たり魚群演出)に相当する。また、他のパチンコ機における魚群画像1130が、通常の特殊連動画像(ハズレ魚群演出)に相当する。
図82は、同図(a)のパチンコ機における図柄変動が終了し、演出表示装置115に表示される装飾図柄が同一の図柄で揃ったことを示す。さらに、図83は、演出表示装置115において装飾図柄の停止後に「大当り」の文字が表示されたことを示す。このとき、大当たりでなかった隣接するパチンコ機では期待演出報知ランプが点灯していないのに対し、当選パチンコ機では期待演出報知ランプが点灯していることで、まるで当選パチンコ機がスポットライトを浴びているかのように目立たせることができる。
[本パチンコ機における演出態様と消費電力との関係について]
上記説明したように、本実施形態のパチンコ機1では、始動口600,604に遊技球が受け入れられると内部的な抽選処理が行なわれるとともに、主制御基板710(詳細には、コマンド送信手段946)から物理的(電気的)に配線接続された周辺制御基板810(詳細には、コマンド受信手段950)に対して、当該抽選処理の結果および所定の演出画像にかかわる情報が送信される。この場合、一般的には、抽選処理の結果、および、演出表示装置115に表示される所定の演出画像、の両方を把握できる情報が送信されるが、抽選処理の結果にかかわる情報、および、所定の演出画像にかかわる情報、をそれぞれ別に送信してもよい。
なお、「所定の演出画像にかかわる情報」は、演出表示装置115に表示される演出画像の表示態様を示す情報であり、例えば、装飾図柄の変動時間または/および期待演出(例えばリーチ演出)の変動パターンなどを示すコマンド情報が挙げられる。また、「所定の演出画像」は、内部的な抽選処理の結果を示唆しうる演出画像であり、例えば、装飾図柄の変動表示画像やキャラクタ画像による演出画像などがあげられる。
そして、周辺制御基板810の演出制御プログラム(演出制御手段962)は、主制御基板710からの各種情報をコマンド受信手段950により受信すると、演出表示装置115にこの受信情報に応じた所定の演出画像を表示することで、内部的な抽選処理の結果を導出する。ここで、抽選処理の結果が当たりである場合には、所定の演出画像の一態様である特定画像が表示されるので、遊技者は、抽選結果が当たりであることを把握できる。この特定画像は、内部的な抽選処理の結果が当たりであることを示唆しうる惹起画像(即ち、遊技者の興味を惹起させるような画像)であり、本実施形態ではリーチ演出画像が例示される。なお、特定画像が表示されるのは抽選処理の結果が当たりである場合に限られないが、抽選処理の結果が当たりである場合には、内部的な抽選処理の結果が外れである場合に通常表示される演出画像よりも高い頻度で特定画像が表示される。
また、演出制御プログラム(演出制御手段962)は、演出表示装置115における画像表示に応じるかたちで電気的な補助演出を行う。この補助演出は、パチンコ機に一般的に設けられている装飾ランプおよび/またはパチンコ機の近傍に設けられているトップランプ等の目立つ発光体を、所定の演出画像の表示に伴って点灯させたり点滅させるような電気的な演出が例示され、本実施形態では枠装飾ランプ842の点灯・点滅などの発光制御に相当する。
さらに、演出制御プログラム(演出制御手段962)は、特定画像が表示される場合に(即ち、自機における内部的な抽選処理の結果が当たりである場合に)、補助演出として電気的な特定演出を行う。この特定演出は、演出表示装置115に表示される所定の演出画像を盛り上げる態様で行われる。また、「画像表示に応じるかたち」は、遊技者から外観から見て結果的に応じていればよく、制御的に応じていることは必ずしも必要ではない。なお、特定演出は、通常の補助演出よりも演出画像が盛り上がるように、発光する発光体の数が多かったり、発光体の輝度が高かったり、鮮やかな色(例えば通常の補助演出では暗めの色で発光するのに対し、特定演出では明るめの色で発光するような場合)であったりされている。これにより、遊技機島で遊技を行っている遊技者のみでなく、単なる通りがかりの者や、他の遊技機島で遊技を行っている遊技者にもアピールすることができ、当該遊技機島に配列されるパチンコ機の集客効果が高められうる。また、電気的な演出としたのは、例えば演出表示装置115に表示される演出画像よりも輝度が高い点で、遊技者へのアピール度合いが高まるからである。
また、周辺制御基板810においては、波形制御基板425および波送受装置188a,188bが、コマンド受信手段950により抽選結果が当たりであることを示す情報を受信すると、特定情報を機外に放出する(特定情報が機外に流出する)。または、演出表示装置115にて惹起画像が表示される場合に、当該パチンコ機において惹起画像が表示されることを認識可能な当たり情報を、当該パチンコ機から所定範囲内に配置されるパチンコ機にて収拾可能となるように、機外に放出する。このとき、演出表示装置115にて惹起画像が表示される場合に常に当たり情報を機外に放出することに限定されず、例えば、内部的な抽選処理が当たりである場合に限定して当たり情報を機外に放出するようにしてもよい。一方、波形制御基板425および波送受装置188a,188bは、機外からの情報(例えば、複数の遊技機列を構成する他のパチンコ機から放出された当たり情報や特定情報)を検出することが可能となっている。なお、本実施形態では当選波が特定情報または当たり情報に相当する。
波形制御基板425および波送受装置188a,188bにより特定情報(以下、当たり情報も同様)が収拾されると、当該パチンコ機における抽選結果が当たりである場合に表示される所定の演出画像としての特定画像が表示される状態でなくとも、電気的な特定演出として枠装飾ランプ842の発光制御(期待演出報知ランプによる発光演出)が、特定情報を放出した他のパチンコ機とあわせたかたちで(即ち、特定情報を放出した他のパチンコ機と同じか類似する態様で)、他のパチンコ機と伴に行なわれる。即ち、外部から特定情報(または当たり情報)が収拾されると、当該パチンコ機(自機)における内部的な抽選処理の結果がハズレであったとしても、当該抽選処理の結果がハズレである場合に通常行われる補助演出が行われることなく、特定情報を放出した他のパチンコ機と同じか類似する態様で、当該他のパチンコ機と伴に電気的な特定演出が行なわれる。なお、特定情報を放出した他のパチンコ機にて行われる電気的な特定演出は、後述するように、演出画像の盛り上げ度合いが抑制された演出である。
ところで、可動物や発光体等による電気的な特定演出をパチンコ機単体で行うとなると、大当たりへの期待感や大当たり時の至福感を盛り上げるために派手となりがちであり、その結果として、消費電力が高くなってしまう。そこで、当選したパチンコ機のみならず所定範囲の複数のパチンコ機が同調して電気的な特定演出を行うことで、各パチンコ機が派手な演出を行わなくとも、電気的な特定演出がパチンコ機単体で行われる場合よりも広範囲にて迫力ある演出を行うことが可能となる。また、当選したパチンコ機のみならず所定範囲の複数のパチンコ機にて電気的な特定演出が行われる場合には、内部的な抽選処理に当選したパチンコ機単体で特定演出が行われる場合よりも、演出画像の盛り上げ度合いが抑制されるものの、全体として消費される電力が抑制された電気的な特定演出が複数のパチンコ機で行われるようにすることで、消費電力を全体として抑制しつつも迫力ある演出を行うことが可能となる。盛り上げ度が抑制されるとは、各パチンコ機において発光する発光体の数が少ないこと、発光輝度が小さいこと等が例示される。これにより、全体として消費電力を抑制することが可能となる。
例えば、抽選処理の結果が当たりであるにもかかわらず特定情報を機外に放出することなくパチンコ機単体で特定演出を行った場合の消費電力よりも、特定演出を行う複数のパチンコ機全体の消費電力の方が小さくなるような場合である。具体的には、電気的な特定演出がパチンコ機単体で行われる場合の消費電力を100%としたとき、当該100%の消費電力による特定演出を行うことができるにも拘らず各パチンコ機(例えば3台の各パチンコ機)が30%の消費電力で特定演出を行うような場合である。この、全体として10%以上の消費電力を抑制できることとなり、環境保護に貢献できる。加えて、電気的な特定演出がパチンコ機単体で行われる場合であっても、他のパチンコ機では補助演出が行われるため、その分、特定演出を行う複数のパチンコ機全体の消費電力の方が小さくなる。
また、本パチンコ機1では、電気的な特定演出が行われるために必要な消費電力は、パチンコ機単体で見ると低下することから、パチンコ機単体での演出は地味となりがちである。しかしながら、電気的な特定演出が複数のパチンコ機によってワイドに行われる(所謂ワイド演出が行われる)ので、演出表示装置115に表示される演出画像の盛り上げ度が低下する虞が軽減し、遊技者に対するアピール度や迫力感のある演出を行うことが可能となる。さらに、電気的な特定演出が複数のパチンコ機のうち内部的な抽選処理の結果が当たりであるパチンコ機では、演出表示装置115にて特定画像(惹起画像)が表示されるので、当該パチンコ機で遊技を行っている遊技者は優越感に浸ることができる。
また、可動物や発光体等による電気的な特定演出がパチンコ機単体で行われる場合には、当該特定演出が複数のパチンコ機でほぼ同時に行われると、消費電力が一時的に極めて大きくなってしまう。これに対して、当選したパチンコ機のみならず所定範囲の複数のパチンコ機が同調して特定演出を行う場合には、他のパチンコ機から放出された特定情報を収拾したことに基づき特定画像の表示および電気的な特定演出を行っている最中(または準備中)に自機における抽選処理の結果が当たりになったとしても、当該当たりに基づく特定画像の表示や電気的な特定演出が行われないので、消費電力が一時的に大きくなることも回避できる。
また、本パチンコ機1では、特定情報を収拾したとしても、特定画像の表示および/または電気的な特定演出を行うか否かについては、特定情報を収拾したパチンコ機の自主性に委ねられている。即ち、内部的な抽選処理の当選したパチンコ機が特定情報を放出したとしても、それは、他のパチンコ機に対して特定演出を強制するものではない。内部的な抽選処理の当選したパチンコ機から放出された特定情報を、複数のパチンコ機で共有することで、特定演出といった共有演出を行うにすぎない。言い換えると、各パチンコ機は、特定情報を収拾した場合に特定演出を行うか否かを決定する手段を有していてもよい。
また、本パチンコ機1によれば、特定演出は、特定情報が収拾された場合に表示されるものであるから、個々のパチンコ機で行なわれる所定の演出画像や従来の集団演出のように、遊技者に「もしかしたら当選しているかもしれない」という期待感を与えるだけの演出とは異なる。より詳しく言えば、個々のパチンコ機の演出表示装置115にて、いかに遊技者に期待感を与えるような派手な演出が行われたとしても、単に遊技者の期待感を高める演出にすぎない。しかも、遊技者に期待感を与えるような派手な演出が行われる頻度を高めると、実際には当たりではないにも拘らず派手な演出が行われるといった所謂ガセ演出が多くなってしまい、却って興趣が低下してしまう。これに対して、特定演出は、特定情報が収拾された場合に行われるものであるから、特定演出が実行されると、遊技機列を構成する複数のパチンコ機のうちいずれかのパチンコ機が必ず100%当選することを予告するものである。これにより、特定演出が実行された遊技機島にて遊技を行っている複数の遊技者に対して大きな期待感を与えることができる。
さらに、周辺制御基板810の演出制御プログラム(演出制御手段962)は、他のパチンコ機から放出された特定情報が収拾された場合には、特定情報を機外に放出した場合に行う特定演出と同じかまたはほぼ同じ盛り上げ度合いの特定演出を行う。即ち、特定情報を放出した場合に行われる特定演出の演出態様と、特定情報を収拾した場合に行われる特定演出の演出態様と、を同一または類似の演出態様とすることによって盛り上げ度合いが同じとなるように特定演出が行われる。
これにより、特定演出が複数のパチンコ機によって行われる場合、当該複数のパチンコ機にて行われる特定演出の盛り上げ度合いがいずれも同じ程度となる。したがって、消費電力が抑制されつつも、特定演出が行われる複数のパチンコ機において一体感が醸し出される。盛り上げ度合いとは、例えば電気的な特定演出の程度であり、例えば、発光手段(ランプやLED)の発光輝度(発光輝度が高いほど盛り上げ度合いが高い)、発光する発光手段の数(発光する発光手段の数が多いほど盛り上げ度合いが高い)、発光手段の発光態様(例えば、点滅する態様であれば点滅速度が速いほど盛り上げ度合いが高くなる)が例示される。本実施形態では、枠装飾ランプ842の発光輝度が高くなったり、枠装飾ランプ842の点滅速度が速くなったりするほど、特定演出の盛り上げ度合いが高くなる。
ところで、パチンコホール内では、従来から1台の変圧器(トランス)に対して2〜4台のパチンコ機が割り当てられ設置されている。基本的には、パチンコ機の消費電力との関係によって割り当てることとなるが、正しく設置作業が行われる事は少ない。特に、瞬間的に消費電力が高くなる場合等の危惧されていないことが多い。このため、1台のパチンコ機において一時的にでも消費電力が高くなるとトランスにかかる負荷が大きくなり、当該パチンコ機(消費電力が一時的にでも高くなったパチンコ機)と同じトランスが割り当てられている他のパチンコ機において電気的な不具合が生じる虞がある。
これに対し、上記技術思想によると、互いに異なる電源(本実施形態の変圧器に相当する)に接続される複数のパチンコ機に跨って電気的な特定演出が行われるので、一の電源にかかる負荷が軽減される。これにより、同じ電源に接続された他のパチンコ機において電気的な不具合が生じる虞が軽減される。また、ホール設置時に、設置作業者に要求される注意力も軽減されうる。
この点を詳述すると、遊技機列が構成される遊技機島には複数の電源が備えられ、当該複数の電源の各々には2台以上のパチンコ機が接続されており、電気的な特定演出は、複数の電源のうち、一の電源に接続されるパチンコ機と、当該一の電源とは異なる他の電源に接続されるパチンコ機と、に跨って行われることを特徴としている。即ち、遊技機島には、100Vの電源を24Vに変換して出力する変圧器が複数備えられており、当該複数の変圧器の各々には、例えば2〜4台の複数のパチンコ機が割り当てられて接続されている。そして、遊技機島に備えられた複数の変圧器のうち、一の変圧器に接続された1台のパチンコ機から特定情報が放出されると、当該一の変圧器に接続される1台または複数台のパチンコ機と、当該一の変圧器とは異なる他の変圧器に接続される1台または複数台のパチンコ機と、に跨って電気的な特定演出が行われる。これにより、一の電源にかかる負荷が軽減される。即ち、内部的な抽選処理にて当選したパチンコ機(当選台)が単体で電気的な演出を行うのではなく、互いに異なる変圧器に接続された複数のパチンコ機に跨って電気的な特定演出が行われるので、当選台と同じ電源に接続された他のパチンコ機において電気的な不具合が生じる虞が軽減される。
なお、電気的な特定演出の態様としては、惹起画像を盛り上げる高揚特定演出と、高揚特定演出よりも盛り上げ度合いが抑制された抑制特定演出と、があり、演出制御プログラム(演出制御手段962)が高揚特定演出または抑制特定演出を選択的に行うことが好適である。例えば、パチンコホール内の電飾を煌びやかにした場合には高揚特定演出を行うようにし、消費電力を抑制したい場合には抑制特定演出を行うといったように、パチンコホールや遊技者のニーズに合わせたホール運営が可能となる。
[本実施形態による有用性についての言及]
本発明のパチンコ機1が複数配列して構成される遊技機列では、各パチンコ機1が始動入賞を契機として大当たり抽選を実行しており、各々遊技の進行に応じていつしか大当たり抽選に当選する可能性がある。ここで、大当たり抽選において当選したパチンコ機(当選パチンコ機)では、まず、大当たり抽選において当選したことを表す当選波を出力するものの、その遊技者や周囲で遊技している遊技者は、この当選波を知得することができないため、即座にこの当選を認識することができない。ここで、当選パチンコ機は、遊技機列を構成するパチンコ機のうち連動期待演出を実行すべきパチンコ機の距離(台数)や、連動期待演出の進行方向などに応じた当選波を出力している。
一般的に、この当選波のような波が出力されると、この波は空気中を伝送された際に、その伝送距離に応じて振幅などが減衰することが知られている。遊技機列を構成する各パチンコ機1では、当選波を送信または受信すると自機が連動期待演出の実行対象であると判断する。そして、この検出した当選波について振幅の減衰量を把握することで、この減衰量に応じて自らが連動期待演出を実行すべき演出タイミングを決定する。また、この検出した当選波について周波数(周期)を把握することで、自機において連動期待演出としての特殊な映像演出(魚群演出)を実行するか否かを決定する。そして、自機において連動期待演出を実行する場合は、上記の減衰量に応じて決定された演出タイミングに基づいて連動期待演出としての特殊連動画像の表示制御を実行することで魚群演出を行なう。
本発明の具体例として、この減衰量の態様に応じて(具体的には、連動期待演出の実行対象となる複数のパチンコ機のうちで実際に魚群演出が行なわれるパチンコ機の台数に応じて)、当該連動期待演出の態様を異ならせてもよい。上記の通り、一般的には当選波のような波が出力されると、この波は空気中を伝送された際に、その伝送距離に応じて振幅などが減衰するので、出力された当選波の強度に応じて、演出態様を異ならせるのである。例えば、当選波の強度が強い場合(連動期待演出の実行対象となるパチンコ機の台数が多い場合)には大きな魚の群、当選波の強度が小さい場合(連動期待演出の実行対象となるパチンコ機の台数が少ない場合)には小さな魚の群などのバリエーションが考えられる。勿論、魚群以外の態様であってよいことは言うまでもない。
このようにすると、例えばホールの遊技機列においては、最端パチンコ機から当選パチンコ機に向けて、これらの間に位置する各パチンコ機が、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの各パチンコ機の配列順に従って、各演出タイミングにおいて順次連動期待演出を実行する。このため、この遊技機列においては、まず、最端パチンコ機が連動期待演出を実行し、その実行が完了すると、その隣のパチンコ機が連動期待演出を実行し、その実行が完了することを繰り返すようになる。このため、この最端パチンコ機から当選パチンコ機に向けて、各パチンコ機が連続的に順次連動期待演出を実行するようになる。そして本実施形態においては、大当たり抽選において当選している場合、その当選パチンコ機においては、他のパチンコ機とは異なる態様で連動期待演出が実行されるようになっている。
従って、各パチンコ機1の遊技者は、この遊技機列の各パチンコ機1が実行する連動期待演出が近づいてきたことを認識すると、この遊技機列の中に、自機を含め少なくとも1台のパチンコ機が確実に当選していることを認識することができる。従って、各パチンコ機の遊技者は、この遊技機列に当選しているパチンコ機が確実に存在していることから、もしかすると自分のパチンコ機が当選しているのではないかとの都合の良い妄想を膨らませ、当選により利益を享受することが確定したかのような大きな期待感を抱きつつ待ち続けるようになる。
しかも、この遊技者は、1台のパチンコ機が連動期待演出を完了して次のパチンコ機が連動期待演出を開始するたびに、自分のパチンコ機が当選している確率がさらに高くなることから、1台のパチンコ機が連動期待演出を完了するたびに当選への妄想に浸りつつさらに大きな期待を抱き、より遊技意欲を高めることができる。
ところで、当選パチンコ機によって出力される当選波の振幅が仮に予め定まったものとなっていると、当選パチンコ機が内部的な抽選において当選した場合、連動期待演出を最初に実行する最端パチンコ機から当選パチンコ機までの距離(台数)が予め定まってしまうことになる。従って、遊技者やホール来場者などが、連動期待演出を最初に実行する最端パチンコ機がどれであるかをしばらくの間観察しつづけると、そのうち連動期待演出を最初に実行しはじめる最端パチンコ機の位置に基づいてどのパチンコ機が当選パチンコ機であるのかに関して特定することができてしまうことも考えられる。
しかしながら、本実施形態においては、次のようにして遊技機列内において当選パチンコ機を特定することができないようにしている。即ち、当選パチンコ機が、連動期待演出の実行対象となるパチンコ機の範囲(即ち、最短パチンコ機までの配列台数または距離)を適宜変更すべく、当選波の振幅や出力方向を出力の度に変更自在としている。
従って、遊技機列内における当選パチンコ機が仮に前回の当選と今回の当選とで同じであった場合においても、当選パチンコ機とともに連動期待演出を実行する最端パチンコ機の位置が、前回の当選と今回の当選とで異なる可能性が高く、連動期待演出を実行するパチンコ機の台数に毎回規則性がなくなる。このため、周囲の遊技者やホール来場者が、仮に連動期待演出を最初に実行する最端パチンコ機の位置を発見できたとしても、遊技機列内における当選パチンコ機の位置を全く特定することができなくなる。また、連動期待演出が実行されるパチンコ機の台数が毎回変わることになるので、演出範囲のワンパターン化を回避できるのみならず、当選台を特定することも困難となるので、ハズレ台の遊技者にも当選しているかもしれないという期待感を与えることができる。
また、本実施形態では、遊技機列内において当選パチンコ機が発生した場合、当選パチンコ機から最端パチンコ機までの間における各パチンコ機の遊技者は、遊技機列における当選パチンコ機を全く特定することができない状態において、連動期待演出を実行するパチンコ機が徐々に近寄ってくると、自分が当選しているのではないかと錯覚して、あたかも既に大当たりによる利益を享受することが確実であるかのように期待しながら遊技を継続することができるようになる。このため各遊技者は、遊技に対する興趣が尽きず、遊技意欲を高めつつ継続的に遊技を継続するようになる。
ここで、通常、このような遊技機列を構成するいずれか1台のパチンコ機において大当たり抽選に当選する確率は低いかもしれないが、この遊技機列を構成する各パチンコ機のいずれかにおいて当選する確率は比較的高くなる。しかも、この遊技機列を構成するパチンコ機の台数が増えれば増えるほど、これに比例して、この遊技機列を構成するいずれかのパチンコ機において当選する確率は必然的に高くなる。
従って、本実施形態によれば、遊技機列を構成するパチンコ機1の台数が多ければ多いほど、いずれかのパチンコ機において当選する頻度が高くなり、各遊技者が頻繁に期待感を抱く機会が増えるため、各遊技者の遊技意欲を高める機会をより多くするとともに、徐々に迫ってくる連動期待演出に接した遊技者の心を翻弄させ、遊技者に飽きを感じさせず興趣が尽きないようにすることができる。
また、本実施形態によれば、隣接するパチンコ機と物理的に接続する配線など余分なものがなくホール店員の視認性が良いことから、ホール店員が不正行為を見落としにくくすることができるとともに、不正行為そのものを抑止することができる。さらに、配線などの作業が不要であるため、遊技機列内にパチンコ機1などを設置する作業が容易である。
本実施形態では、周辺制御基板810の演出制御プログラム(CPU811)は、パチンコ機1が内部的な抽選に当選している場合、その内部的な抽選に当選していることを表す当選波を出力すべき方向として、遊技機列の配列方向に沿った一方向および他方向のうち少なくとも一方を選択している。波送受装置188a,188bは、各々その決定された出力方向に向けて独立して当選波を出力している。
まず、自己のパチンコ機1が当選パチンコ機である場合においては、出力する当選波の出力方向が固定されていると、複数のパチンコ機が連動して連動期待演出を実行している様子を周囲の遊技者が参照した場合、一見すると、周囲の遊技者が、連動期待演出を実行するパチンコ機の数が毎回変わるものの、この出力方向においてどのパチンコ機が当選パチンコ機であるのかをおおよその範囲で特定することができてしまうおそれがある。
しかしながら、本実施形態においては、自機が当選パチンコ機である場合、遊技機列における各パチンコ機の配列方向に沿って選択された一方向或いは他方向を出力方向として当選波を出力するため、当選波を出力する度に出力方向が不規則になる。このため遊技機列における各遊技者は、この当選波を受けて連動して連動期待演出を実行する各パチンコ機を注意深く観察しても、各連動期待演出の実行状況からどのパチンコ機が当選パチンコ機であるかを特定することができなくなる。
従って、各パチンコ機1の遊技者は、遊技機列を構成するいずれかのパチンコ機が連動期待演出を実行し始めると、どのパチンコ機が当選パチンコ機であるのかについて全く認識することができず、自分のパチンコ機が当選パチンコ機であることの祈りつつ期待を膨らませて遊技を継続しつつ待ち続ける。このため、当選の度に不規則に遊技者の遊技意欲を刺激しつつ各遊技者に遊技を継続させることができる。
また、本実施形態では、演出タイミングの具体的な決定手法として、次のような手法を採用している。つまり、周辺制御基板810の演出制御プログラムが、波送受装置188a,188bによって当選波が検出された場合、この当選波に関する振幅の減衰量に基づいて、当選パチンコ機までの距離(言い換えると、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの間における相対的な自己位置)に対応するように、自機において連動期待演出を実行すべき演出タイミングを決定する。
そして、各パチンコ機1では、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの各パチンコ機の配列順に従って連動期待演出を順次実行する場合、自機が連動期待演出を実行すべき演出タイミングを決定し、このタイミングにおいて連動期待演出としての魚群演出を実行し、当選パチンコ機であれば内部的な抽選において当選している旨をこの連動期待演出により導出する。このため、遊技機列を構成しているパチンコ機1は、連動期待演出を実行すべき演出タイミングを正確に取得することができるばかりでなく、その正確な演出タイミングにおいて連動期待演出を実行することができるようになる。
このように、各パチンコ機1では当選波を検出するだけで、その減衰量から自機が連動期待演出を実行すべき演出タイミングを取得できるので、先述の予告演出がほぼ同時に実行されるのに対して、連動期待演出は各機毎に異なるタイミングで実行される。これにより、複数のパチンコ機によるバリエーションに富んだ演出が可能となり、興趣の低下を抑制できる。さらに、各パチンコ機は、連動期待演出を表示するに際し、当選パチンコ機と受信パチンコ機との間で、演出タイミングに関する情報について相互にやり取りする必要がないので、制御の複雑化を招くことがない。
なお、本パチンコ機1では、当選波が取得されると、この当選波の振幅値と予め記憶された基準振幅値(強度情報)との差が判断される。そして、この差が小さくなるにつれて、当選波が検出されてから連動期待演出が実行されるまでの時間が長くなる。言い換えると、当選波の振幅値と基準振幅値(強度情報)との差が大きくなるにつれて、当選波が検出されてから連動期待演出が実行されるまでの時間が短くなる。ここで、当選パチンコ機が送信する当選波の振幅値は可変であるところ、受信パチンコ機が受信した当選波の振幅値と基準振幅値(強度情報)との差が大きいからといって、必ずしも当選台から遠いとは限らない。つまり、連動期待演出が実行されるパチンコ機の台数が少なければ、最端パチンコ機にて連動期待演出が開始されてから当選パチンコ機にて連動期待演出が表示されるまでの時間が短くなるので、その分、振幅値が小さい当選波を送信することができる。
ところで、当選パチンコ機1においては、先述の魚群演出開始ポイント(魚群演出開始時間)に基づいて当選波を送信するタイミングが都度異ならせている。つまり、当選パチンコ機では、他のパチンコ機に連動期待演出を実行開始させるタイミング(例えば、自機の演出態様(図柄変動態様)がどのような状態になったときに連動期待演出を他機に実行させるか)を決定し、この決定されたタイミングで当選波を出力している。これは、当選パチンコ機は、自機の演出態様(図柄変動態様)に合わせた最適なタイミングで、他のパチンコ機にて連動期待演出を実行開始させるためである。
その結果、当選パチンコ機1から当選波が機外に放出されるタイミングは固定的なものではなく、都度決定される可変的なものとなる。ここで、当選パチンコ機1において当選波の送信タイミングが不変(例えば図柄変動の開始タイミングで一定)であると、遊技機列を構成するいずれかの遊技機において連動期待演出が表示されるのと、ほぼ同じタイミングで図柄変動が開始されたパチンコ機が当選台であると推定できてしまう。
その点、本パチンコ機1によれば、内部抽選にて当選した場合に当選波が出力されるタイミングがその都度異なるため、この当選波を収拾した他のパチンコ機において連動期待演出が開始されるタイミングもその都度異なることになる。そのため、遊技機島を構成するいずれかのパチンコ機において表示された連動期待演出を注視してその実行タイミングを把握したとしても、遊技者等が複数のパチンコ機のなかから当選台を推定することを困難とすることができる。
また、連動期待演出が実行された複数のパチンコ機のうちで、抽選結果がハズレであるパチンコ機の遊技者のみならず、抽選結果が当選であるパチンコ機の遊技者も、自機がハズレ台であるのか当選台であるのかを特定することができない。そのため、連動期待演出が実行された複数のパチンコ機の遊技者に対して、自機が当選台であるかハズレ台であるかに拘らず当選している期待感を与えることができ、興趣の低下を抑制することができる。
また、本実施形態では、波送受手段として、遊技機列の配列方向に沿った一方向に配列する当選パチンコ機が出力した当選波を検出する波送受装置188a、および、パチンコ機列の配列方向に沿ったその一方向とは逆方向に配列する当選パチンコ機が出力した当選波を検出する波送受装置188bを採用しているため、次のような有用性を発揮することができる。
このような構成によれば、波送受装置188aが当選波を検出すると、この当選波が上記一方向から出力されたものと特定することができ、当選パチンコ機が上記一方向に配置しているものと認識することができる。一方、波送受装置188bが当選波を検出すると、この当選波が上記逆方向から出力されたものと特定することができ、当選パチンコ機がその一方向とは逆方向に配置しているものと認識することができる。
このため、当選パチンコ機の配置方向に応じて連動期待演出を実行することができ、各パチンコ機の遊技者に、当選パチンコ機の配置方向を認識させるものの、どのパチンコ機が当選パチンコ機であるのかについて認識させないようにすることができる。このようにすると、遊技機列内における当選パチンコ機が存在しているものの、その当選パチンコ機が自己のパチンコ機を含めてどのパチンコ機であるかを把握できないことから遊技者を翻弄させ、この遊技者の興趣が尽きないようにして遊技意欲を維持することができる。
また、本実施形態では、波送受装置188aは、その一方向(左方向)に向けて当選波を出力する当選波出力部を含む一方、波送受装置188bは、その一方向とは逆方向(右方向)に向けて当選波を出力する当選波出力部を含んでいる。また、表示装置制御基板816の画像ROM839には、視覚的な演出媒体がその一方向(左方向)に進行する第1演出映像を表示させるのに用いる第1演出映像画像データ、および、視覚的な演出媒体が他方向(右方向)に進行する第2演出映像を表示させるのに用いる第2演出映像画像データが予め記憶されている。
そして、周辺制御基板810の演出制御プログラムは、波送受装置188aが他方向(右方向)から当選波を検出した場合、第1演出映像を選択すべく制御する一方、波送受装置188bが一方向(左方向)から当選波を検出した場合、第2演出映像を選択すべく制御している。また、映像表示制御手段としてのVDP838は、演出制御プログラムによって選択された演出映像に応じて、画像ROM839から読み出した第1演出映像データおよび第2演出映像データの一方に基づいて、第1演出映像および第2演出映像の一方を、演出タイミングにおいて予め定められた時間にわたり演出表示装置115に表示させている。
このような構成とすると、遊技機列を構成する最端パチンコ機から当選パチンコ機に向けて、連動期待演出として演出映像(魚群演出)が進行する表示態様となるため、これら最端パチンコ機から当選パチンコ機までの各パチンコ機の遊技者は、具体的にどのパチンコ機が当選しているのかについては認識することができないものの、当選パチンコ機の配置方向については認識することができる。
従って、本実施形態によれば、これら最端パチンコ機から当選パチンコ機までの間に配置する各パチンコ機の遊技者は、連動期待演出として演出映像(魚群演出)が自らに近づいていることを視認すると、当選への期待感を抱くようになるとともに、さらに連動期待演出として演出映像(魚群演出)が自らに近づくに連れてさらに当選への期待が一気に高まる。
このため、遊技者が自ら遊技しているパチンコ機1において実際には当選していない場合においても、遊技機列を構成するいずれかのパチンコ機において大当たり抽選(内部的な抽選)に当選する度に、毎回、沸き上がる期待感を抑制しつつも高鳴る期待を旨に遊技を継続することができる。このような本実施形態によれば、遊技者に心の落ち着きを与えず、日常的に遊技者の心を刺激することができることから、遊技者の興趣が尽きず遊技意欲を高めることができる。
ところで、本実施形態においては、周辺制御基板810は、遊技機列を構成する隣のパチンコ機による演出映像の表示が完了する前に、引き続き自機のパチンコ機において演出映像の表示を開始する。これにより、隣り合うパチンコ機における演出映像の一部が重複表示されるので、各パチンコ機における演出映像に連続性を持たせて連動期待演出の一体感を高めている。一方、各パチンコ機における演出映像の時間調整は、様々な態様が考えられる。
例えば、遊技機列を構成する隣のパチンコ機による演出映像の表示が完了してから、仮に演出媒体の進行速度で隣り合うパチンコ機間の距離(例えば台間サンドの幅のみならず、隣り合う両パチンコ機の演出表示装置115間の距離)を進行したと想定した場合の通過時間にわたり、その演出映像の表示開始を規制した後、この演出映像の表示を開始してもよい。このようにすると、次のような有用性を発揮することができる。
これによれば、この遊技機列においては、隣のパチンコ機による演出映像(上記第1演出映像および第2演出映像のいずれか一方)の表示が完了した後、次は自己のパチンコ機による演出映像の表示が開始されるところ、その隣のパチンコ機による演出映像の表示が完了してから自己のパチンコ機による演出映像の表示が開始されるまでに、待ち時間が存在することになる。
そのため、隣のパチンコ機による演出映像の表示が完了すると、その表示待ち時間において遊技者が、次に自己のパチンコ機において演出映像の表示が開始されるか否かに関して妄想を繰り返すことで心理的に翻弄されながら、演出映像が表示されないことを祈りつつ待ち続けるようになる。この遊技者は、この表示待ち時間にわたり、自己のパチンコ機が内部的な抽選に当選しているのではなかと期待を込めて待ち続けることから、遊技に対する興趣が尽きず、遊技意欲を維持することができる。
また、本実施形態においては、上記当選波が音波であると、次のような有用性を発揮することができる。まず、一般的に音波は、光に比べてそれほど指向性がないことが知られている。仮にこのような光を用いた当選波を利用しようとすると、各パチンコ機1に受光器および発光器を搭載する必要がある。仮にこのようにすると、隣り合うパチンコ機においては、光の指向性を考慮して互いに発光器および受光器の向きを位置合わせる必要があるため、ホールにパチンコ機を設置する際の手間が掛かってしまうことも考えられる。
しかしながら、このパチンコ機1は、そもそも発光器および受光器が不要であることから、ホールにおける各パチンコ機の設置にあたり、この光の発光器および受光器の向きを正確に位置合わせる必要がなくなる。そしてパチンコ機1は、当選波として音波を用いており音波は光と比べて指向性が比較的ないことから、波送受装置188a,188bの向きを厳密に設定する必要がなくなる。従って、当選波として音波を用いるパチンコ機1は、ホールに設置の際の手間を少なくし、作業の手間を少なくして作業を容易にすることができる。また本実施形態では、当選波として音波を利用していることから、隣接する他のパチンコ機と配線などによって物理的に接続されていなくても、隣接する他のパチンコ機との間で通信を行うことができる。
さらに、上記実施形態では、当選パチンコ機1から、予告演出(期待演出報知ランプの発光制御)のみを行なわせるパチンコ機と、予告演出のみならず連動期待演出(魚群演出)を実行させるパチンコ機とに、それぞれ異なる周波数(周期)の当選波を送信するようにしている。具体的には、当選パチンコ機からみて演出進行方向の上流側には、予告演出のみならず連動期待演出を行なわれる第1当選波を送信する一方、当選パチンコ機からみて演出進行方向の下流側には、予告演出のみが行なわれる第2当選波を送信している。
これによれば、当選パチンコ機1は、一回の当選波の送信制御で異なる方向の遊技機に対して、それぞれ異なる演出内容を指示することができ、当選波の送信回数を低減することができる。また、受信パチンコ機においては、一回の当選波の受信制御でそれぞれ異なる演出指示を解釈して、例えば、予告演出のみを行なったり、予告演出のみならず連動期待演出を行なったりすることができる。
ところで、当選波を送信元である当選パチンコ機1は、自機の当選波を受信しない若しくは受信しても無効化するものの、予告演出および連動期待演出が受信パチンコ機と同様に実行されるようにした。これにより、当選パチンコ機1の近傍では予告演出や連動期待演出が行われるにも拘らず、当該当選パチンコ機1では予告演出や連動期待演出の表示が行われないといった不具合を回避できる。そして、当選パチンコ機および複数の受信パチンコ機が、外観上一体となって連動して実行される連動期待演出を実現することができる。
なお、先述のように、本パチンコ機1では、連動期待演出の実行に先立って予告演出を行なうことで、連動期待演出が実行される可能性(つまり、自機が当選台である可能性)を外部に表明するようにしているが、この予告演出は、当選波が送信または受信されたタイミングで実行されることが好ましい。なぜなら、複雑な制御を行うことなく、複数のパチンコ機においてほぼ同時に予告演出を実行することが可能となるからである。
なお、「予告演出」は、例えば、パチンコ機に一般的に設けられている装飾ランプや、パチンコ機の近傍に設けられているトップランプ等の目立つ発光体を、点灯させたり点滅させる態様が好ましい。これにより、連動期待演出が表示されうることを、遊技機島で遊技を行っている遊技者のみでなく、単なる通りがかりの者や、他の遊技機島で遊技を行っている遊技者にも予告することができ、当該遊技機島に配列されるパチンコ機の集客効果が高められうる。
さらに、連動期待演出に先立って予告演出が実行されるように構成することで、遊技機島を構成する複数のパチンコ機のうちで、いずれの遊技機にて連動期待演出が表示されるのかを、事前に遊技者に把握させることが可能となる。そして、遊技者は、自分が遊技を行なっている遊技機にて予告演出が行なわれると、内部的な抽選処理の結果が当たりであることの期待感を持つことができ、興趣の低下を抑制できる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
即ち、上記実施形態では、遊技領域板81は、透光装飾体パネル242とは、接合されていないものを示したが、これに限定されるものではなく、相互に接合されていてもよいし、一体的に成形されているものであってもよい。これにより、さらに省スペース化を果たしたり、組立工程の簡素化を図ることが可能である。
また、透光装飾体パネル242は、透光性を有する樹脂で波紋状の模様を呈する形状に形成されたものを示したが、これに限定されるものではなく、他の形状であってもよい。また、素材の透光性がさらに低く、乳白色等の半透明な外観を呈するものであってもよい。素材が半透明であることによって発光演出において透光装飾体パネル242がさらに目立つようになり、遊技領域板81及びゲート基部479及び球通路347,376をさらに目立ちにくくすることができる。
また、基板ベース348と左流下樋344及び右流下樋345とは、前後方向に層状に配設されるものを示したが、これに限定されるものではない。例えば、前後に配設されず、並列的に配設されたり、一体的に構成されていてもよい。これにより、パチンコ機の構成に応じて適切な流下樋を形成することができる。
また、ゲート基部479は、筒状で内側に電気配線510を通したものを示したが、これに限定されることはなく、例えば、断面略U字状を呈するものであってもよい。ゲート基部479を筒状とすると、電気配線510が全体的に透光性の素材によって覆われ、屈折や反射のために外部から視認することが困難となるので電気配線510を目立ちにくくすることができるゲート基部479を断面略U字状を呈する形状とすると、組立やメンテナンスのときにゲート基部479の内側誘導部512に対する電気配線510の配設を容易にすることができる。
また、上記実施形態では、立体装飾体が半透明な球状を呈するものを示したが、これに限定されるものではなく、異なる形状であってもよいし、透光性を有さないものであってもよい。
また、上記実施形態では、球状装飾体272〜275は、固定された装飾体であったが、これに限定されるものではなく、可動式の役物または可動式の役物の一部であってもよい。これにより、可動式の役物が作動することによって発光演出に変化を与え、さらに興趣を高めることができる。また、役物を遊技領域板81の後方に配設することで、役物の配設における自由度を高めることができる。なお、「可動式の役物」とは、可動部分を有する演出用の装置または可動部分を有する抽選用の装置を示す。例えば、ソレノイド等を動力源として往復運動する部材を備えた装飾体や、遊技球が入賞可能な入賞口が設けられた回転体を備えた抽選用装置などが挙げられる。
上記実施形態では、発光基板502〜506としては、LEDを光源とするものが例として挙げられたが、これらに限定されるものではない。また、上記のような直接光の光源に限定されるものではなく、バックライトユニット380同様に反射光を利用するものであってもよい。
また、上記実施形態では、大型の演出表示装置115において装飾図柄の変動表示などの「単期待演出」と合わせて魚群演出という「連動期待演出」を実行しているが、この「連動期待演出」の実行態様はこれに限定されない。以下、他の構成を有するパチンコ機における連動期待演出の実行態様を、図84および図85を参照して説明する。図84は、他の形態のパチンコ機の正面図である。図85は、他の形態のパチンコ機における連動期待演出の実行態様を説明するための遊技機列を示す図である。なお、以下に示すパチンコ機1000において、パチンコ機1との同一構成には符号を付しておらず、パチンコ機1と異なる点のみを説明する。
例えば、図84に示すように、全面演出表示装置1411が遊技盤のほぼ全域を占めるようなパチンコ機1000が複数連動するように「連動期待演出」を実行しても良い。なお、同図に示す各パチンコ機1000では、透明な遊技板(遊技パネル1409)を採用し、この遊技パネル1409の背後に光透過性の乳白色のセンター役物1410を配置したうえで、このセンター役物1410の後方にセンター役物1410を越える表示領域を有する全面演出表示装置1411を配置している。そして、図85に示すように、各パチンコ機1000の全面演出表示装置1411において、装飾図柄の変動表示や通常のリーチ演出などの「単期待演出」は、正面視でセンター役物1410の開口部内に形成される第1表示領域1411aのみに表示される。一方、複数のパチンコ機1000が連動して行なわれる魚群演出などの「連動期待演出」は、全面演出表示装置1411における第1表示領域1411aのみならず、正面視でセンター役物1410の外側に形成される第2表示領域1411bも利用して実行される。
このように、パチンコ機1000においては、遊技領域の略中央部がセンター役物1410によって区画形成されており、全面演出表示装置1411は遊技領域にて所定の演出画像を表示しうるように配置されている。そして、遊技領域の略中央部に位置するセンター役物1410よりも内側の内側領域(第1表示領域1411a)が、センター役物1410によって囲まれるように区画形成されている。ここで、内部的な抽選処理の結果としての「単期待演出」は、第三者に見せる必要はなく、自機の遊技者に見せることができればよいため、とくに、遊技領域を流下する遊技球の挙動および「単期待演出」の両方を視認できるようにする観点からいえば、「単期待演出」が遊技領域の略中央部に表示されることが好ましい。これに対して、「連動期待演出」は、第三者に見せる必要のない「単期待演出」とは異なり、自機の遊技者のみならず、第三者に見せることを主たる目的としている。そこで、「連動期待演出」は、センター役物1410よりも外側の外側領域(第2表示領域1411b)にも表示されるようにした。即ち、センター役物1410の内外を隔てることなく「連動期待演出」が表示されるようにすることで、内側領域(第1表示領域1411a)よりも広範囲の領域に「連動期待演出」が表示されるようにした。ここで、センター役物1410の内外を隔てることなく表示するとは、当該センター役物1410の内側と外側とで区別することなく表示するような場合である。言い換えると、センター役物1410があるか否かに拘らず、略中央部に表示される「単期待演出」よりも広範囲の領域(即ち、全面演出表示装置1411のほぼ全域)に表示される場合である。
また、パチンコ機1000では、遊技パネル1409の後方側には全面演出表示装置1411が配置されており、遊技パネル1409は後方に配置された全面演出表示装置1411に表示された演出画像を視認できるように透明部材で構成されている。ここで、全面演出表示装置1411は、遊技領域の略全域にて「連動期待演出」を表示しうる程度の大きさである。また、遊技パネル1409は、より広範囲にて「連動期待演出」が表示されうるよう、遊技領域が形成されている部位は全て透明であることが好ましい。ただし、遊技領域が形成された遊技パネル1409が、非透明の樹脂や木材等により形成された枠に嵌め込まれていてもよい。
また、全面演出表示装置1411には、常には、「単期待演出」として所定の演出画像(動的画像)が遊技領域の略中央部に表示されると共に、当該略中央部を除く領域においては、当該略中央部に表示される動的画像の視認表示の妨げとならない画像が表示される。このようにすることで、遊技者は、常には遊技領域の略中央部のみを注視していれば、内部的な抽選処理の結果にかかわる情報を把握できる。ここで、略中央部(第1表示領域1411a)に表示される動的画像は、表示される演出画像の態様を多様に変化させることで、当該パチンコ機1000の遊技者の興趣を抱かせる画像であり、当該略中央部を除く領域(第2表示領域1411b)にて表示される画像は、態様の変化が乏しい画像である。また、動的画像の具体例としては、例えば、複数の装飾図柄による図柄変動が例示される。さらに、略中央部を除く領域に表示される画像の具体例としては、例えば、背景画像が例示される。この背景画像は、略中央部に表示される所定の演出画像としての動的画像の視認表示を遮らないよう、当該所定の演出画像よりも後方側となるようレイヤー表示される。
このようなパチンコ機1000にあって、「連動期待演出」が表示される場合に限り、表示される演出画像の態様を多様に変化させる動的画像が遊技領域の略全域(全面演出表示装置1411のほぼ全域)に表示されるようにした。これにより、第三者に対しての「連動期待演出」の表示を視認させることが可能となり、自機の遊技者のみならず第三者に対しても興趣を抱かせることが可能となる。
なお、このような場合であっても、「連動期待演出」は、略中央部にて「単期待演出」である動的画像の視認表示の妨げにならないように表示されることが好ましい。なぜなら、「単期待演出」は、内部的な抽選処理の結果を、表示態様によって示唆しうるからである。これに対し、「連動期待演出」は、表示されたことをもって遊技機列を構成する複数のパチンコ機のうちいずれかの遊技機が当たりであることを把握できるにすぎない。また、例えば、常には略中央部に動的画像が表示されると共に略中央部を除く領域に背景画像が表示され、「連動期待演出」が表示される場合に限り、当該「連動期待演出」が略全域に表示される場合には、最も奥側の第1のレイヤーに背景画像を表示し、当該第1のレイヤーの前方の第2のレイヤーに「単期待演出」を表示し、最も前方側の第3のレイヤーに「連動期待演出」を表示するようにするとよい。
ところで、上記の例では、パチンコ機1およびパチンコ機1000のいずれにおいても、一の表示装置にて、装飾図柄の変動表示やリーチ演出などと併せて連動期待演出としての魚群演出を行なっているが、かかる実施態様に限定されない。パチンコ機に複数の表示装置を設けて、一の表示装置にて装飾図柄の変動表示やリーチ演出などを行なう一方、他の表示装置にて連動期待演出としての魚群演出を行なうようにしてもよい。この場合、複数の表示装置を異なる位置に配置して、連動期待演出を装飾図柄やリーチ演出などとは関連性が乏しくみえる態様で表示してもよいし、複数の表示装置を重ねて配置することで、連動期待演出を装飾図柄やリーチ演出などと一体となった態様で表示してもよい。
例えば、パチンコ機において、従来の液晶表示器の前面側に、透明なエレクトロルミネセンス表示装置を配置して、遊技者がエレクトロルミネセンス表示装置を通して背後に設けられる液晶表示器を視認可能に構成する。そして、通常時は、液晶表示器にて装飾図柄の変動表示やリーチ演出などを行なうようにする一方、外部から当選波を受信したときは、エレクトロルミネセンス表示装置にて連動期待演出としての魚群演出を行なう。これにより、連動期待演出の実行時には、遊技者からは装飾図柄やリーチ演出などと重複して魚群演出が表示されているように把握されるため、複数のパチンコ機が連動した演出態様をより簡易な制御で実現することができる。
また、上記実施形態では、「連動期待演出」において表示される特殊な演出映像(特殊連動画像)として魚群をモチーフとする移動体が表示される魚群演出を例示したが、他の演出態様であってもよい。例えば、移動体として、犬や猫などの動物群、あるいは、特定の人物を模したキャラクタ群などを採用してもよい。
また、上記実施形態では、当選波としては音波を採用しているが、人体への影響が及ばない程度であれば電磁波を採用してもよい。ここでいう「音波」としては、空気などの媒質を経由して伝達される可聴周波、超低周波、超音波などの音波、振動を採用しても良い。
また、上記実施形態では、当選パチンコ機1から、期待演出報知ランプの発光制御のみを行なわせるパチンコ機と、期待演出報知ランプを発光させるのみならず連動期待演出として魚群演出を実行させるパチンコ機とに、それぞれ異なる周波数(周期)の当選波を送信するようにしているが、本発明の目的を達成することができればかかる態様に限定されない。例えば、当選パチンコ機1から、期待演出報知ランプを発光させるパチンコ機には一次当選波を送信し、さらに連動期待演出として魚群演出を実行させるパチンコ機に二次当選波を送信するようにしてもよい。これによれば、受信パチンコ機において、当選波の受信回数を解析するだけで、期待演出報知ランプの発光制御のみを行なうか、さらに魚群演出を実行すべきかを適切に判断することができる。
さらに、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。
ところで、上述した本実施形態の遊技機からは、以下の技術思想を把握できる。なお、以下の各技術思想は単独で、若しくは、適宜組み合わされて備えられている。また、以下の各技術思想は、本実施形態を技術思想として表現しているため、本実施形態に記載の用語を上位概念化された用語で表現している。
[技術思想1]
技術思想1に記載の遊技機は、
遊技領域に向けて遊技球を発射可能な発射手段と、
前記発射手段により前記遊技領域に向けて発射された遊技球を受入可能な受入口と、
前記受入口への遊技球の受け入れを検出する受入検出手段と、
前記受入検出手段により遊技球の受け入れが検出されたことに基づいて、内部的な抽選処理を行う抽選手段と、
前記内部的な抽選処理の結果が当たりであるときに、遊技者に有利な特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、
前記内部的な抽選処理の結果としての所定の演出画像が表示され、当該抽選処理の結果が少なくとも当たりである場合には、前記所定の演出画像として、当該抽選処理の結果が当たりであることの期待感を遊技者に惹起させうる惹起画像が表示される演出画像表示手段と、
前記演出画像表示手段に表示される前記所定の演出画像の表示に応じるかたちで電気的な補助演出を行い、前記惹起画像が表示される場合に、前記補助演出として特定演出を行う電気的演出手段と、を備え、
複数配列された状態で遊技機列を構成するとともに、少なくとも前記内部的な抽選処理を、当該遊技機列の中で独立した遊技動作として実行する遊技機であって、
前記惹起画像が表示される場合に、当該遊技機において当該惹起画像が表示されることが認識可能な当たり情報を機外の所定範囲に放出する情報放出手段と、
機外からの情報を収拾する情報収拾手段と、を有すると共に、
前記情報収拾手段により前記当たり情報が収拾されると、当該遊技機において前記内部的な抽選処理の結果が当たりである場合に表示される前記惹起画像が表示される状態でなくとも、前記電気的演出手段にて前記補助演出として前記特定演出が行われることにより、他の遊技機において前記惹起画像が表示されることを伴にアピールできるようにした
ことを特徴とする遊技機である。
遊技者の操作に応じて発射手段(発射装置57)により遊技領域(遊技領域20)に向けて発射された遊技球が遊技領域に設けられた受入口(始動口600,604)に受け入れられると、受入検出手段により受入口への遊技球の入賞が検出され、抽選手段(特別図柄抽選手段900)により内部的な抽選処理が行なわれる。この抽選処理の結果が当たりであると、特典遊技実行手段(大当り遊技実行手段715)により遊技者に有利な特典遊技が実行される。この「特典遊技」は、抽選処理の結果が当たりである場合に遊技者に有利な遊技価値が付与される遊技であればよく、大当りに当選したときに遊技者に多量の賞球が付与されうる大当り遊技が例示される。
内部的な抽選処理に応じた所定の演出画像が演出画像表示手段に表示され、内部的な抽選処理の結果が少なくとも当たりである場合には、所定の演出画像として、遊技者の興味を惹起させる惹起画像が表示される。「所定の演出画像」は、内部的な抽選処理の結果を示唆しうる演出画像であり、例えば、装飾図柄の変動表示画像やキャラクタ画像による演出画像などがあげられる。また、内部的な抽選処理の結果が少なくとも当たりである場合には、所定の演出画像の一態様である惹起画像が表示される。この惹起画像は、内部的な抽選処理の結果が当たりではないかといった期待感を遊技者に惹起させる画像であり、リーチ演出画像が例示される。なお、惹起画像が表示されるのは抽選処理の結果が当たりである場合に限られないが、抽選処理の結果が当たりである場合には、内部的な抽選処理の結果が外れである場合に通常表示される演出画像よりも高い頻度で惹起画像が表示される。
また、演出画像表示手段に表示される演出画像を補助する電気的な補助演出が行われうる電気的演出手段(演出制御手段962)を備える。この電気的演出手段では、演出画像表示制御手段による画像表示に応じるかたちで電気的な補助演出が行われ、特定画像が表示される場合に(即ち、自機における内部的な抽選処理の結果が当たりである場合に)、補助演出として電気的な特定演出が行われる。この特定演出は、演出画像表示手段に表示される所定の演出画像を盛り上げる態様で行われる。また、「画像表示に応じるかたち」は、遊技者から外観から見て結果的に応じていればよく、制御的に応じていることは必ずしも必要ではない。この補助演出は、遊技機に一般的に設けられている装飾ランプおよび/または遊技機の近傍に設けられているトップランプ等の目立つ発光体を、所定の演出画像の表示に伴って点灯させたり点滅させるような電気的な演出が例示される。なお、特定演出は、通常の補助演出よりも演出画像が盛り上がるように、発光する発光体の数が多かったり、発光体の輝度が高かったり、鮮やかな色(例えば通常の補助演出では暗めの色で発光するのに対し、特定演出では明るめの色で発光するような場合)であったりされている。これにより、遊技機島で遊技を行っている遊技者のみでなく、単なる通りがかりの者や、他の遊技機島で遊技を行っている遊技者にもアピールすることができ、当該遊技機島に配列される遊技機の集客効果が高められうる。また、電気的な演出としたのは、例えば演出画像表示手段に表示される演出画像よりも輝度が高い点で、遊技者へのアピール度合いが高まるからである。
なお、パチンコホールでは、複数の遊技機が互いに隣接して配列された遊技機列が構成されているのが一般的である。このような遊技機列に配列された各遊技機は、当該遊技機列を構成する他の複数の遊技機から独立した遊技動作が実行されうる。他の複数の遊技機から独立した遊技動作の具体例としては、内部的な抽選処理、演出画像表示手段における演出画像の表示、または/および、電気的演出手段による補助演出等が相当する。
このような遊技機にあって、上記遊技機は、情報を機外に放つ情報放出手段(波形制御基板425および波送受装置188a,188b)と、機外からの情報を収拾する情報収拾手段(波形制御基板425および波送受装置188a,188b)と、を有している。
情報放出手段は、演出表示手段にて惹起画像が表示される場合に、当該遊技機において惹起画像が表示されることを認識可能な当たり情報を、当該遊技機から所定範囲内に配置される遊技機にて収拾可能となるように、機外に放出する。ただし、演出表示手段にて惹起画像が表示される場合に常に当たり情報を機外に放出することに限定されず、例えば、内部的な抽選処理が当たりである場合に限定して当たり情報を機外に放出するようにしてもよい。
また、情報収拾手段は、機外からの情報を収拾しうる。機外からの情報としては、例えば、複数の遊技機列を構成する他の遊技機から放出された当たり情報であり、情報収拾手段は、このような当たり情報の検出が可能となっている。
このようにして、一の遊技機と他の遊技機との間で、先述の主制御手段と他の制御手段との関係とは異なり、物理的(電気的)に配線接続された場合のように制御が複雑化することなく当たり情報のやりとりが可能となっている。また、複数の遊技機間で配線接続されたりネットワーク接続されたりしているわけではないので、遊技者の興趣の低下の抑制と、遊技意欲の減退の防止とを実現しながらも、大規模な設備投資を行う必要がないことから、ホールへの負荷を抑制することが可能となる。また、遊技機を自由に配置(扇状に配列する等)することも可能となるためホール営業の柔軟性も高まる。
ところで、情報放出手段から放出される当たり情報は、特定の遊技機に対して送信されるものではなく、誰もが収拾しうる情報である(即ち、配線接続された遊技機間で送受される場合のように、当たり情報の行き先が決まっているわけではない)。また、情報収拾手段にあっても、自らに向けて送信された情報を受信するのではなく、情報放出手段から放出された行き先が特定されていない情報を受け取ることになる。このように、当たり情報は誰もが受け取りうる情報であるため、情報放出手段からは暗黙のうちに当たり情報が放出され、情報収拾手段においては暗黙のうちに情報を収拾することとなる。
なお、当たり情報は、空気などの媒質を経由して伝達される信号であって、放出源としての情報放出手段からの距離が大きくなるにつれて強度(振幅)が減衰するものが好適である。このような信号としては、音波や光波に例示される波動(波形信号)が相当する。とくに、情報収拾手段によって機外からの情報が遊技者に気付かれないように暗黙のうちに収拾されるためには、このような信号としては、遊技者に知得され難い可聴周波、超低周波、超音波等が好ましい。このように、所定の波形信号を利用することで、電気的に接続するといった煩わしさを解消できるだけでなく、物理的に配線接続された場合のように複雑な制御を行う必要もない。さらに、不正行為としてのぶら下がり基板が接続される心配もない。なお、所定の波形信号としては、人体への影響が及ばない程度であれば電磁波を採用してもよい。
また、情報収拾手段により当たり情報が収拾されると、当該遊技機における抽選結果が当たりである場合に表示される所定の演出画像としての特定画像が表示される状態でなくとも、電気的な特定演出が、当たり情報を放出した他の遊技機とあわせたかたちで(即ち、当たり情報を放出した他の遊技機と同じか類似する態様で)、当該他の遊技機と伴に行なわれる。即ち、外部から当たり情報が収拾されると、当該遊技機(自機)における内部的な抽選処理の結果がハズレであったとしても、当該抽選処理の結果がハズレである場合に通常行われる補助演出が行われることなく、当たり情報を放出した他の遊技機と同じか類似する態様で、当該他の遊技機と伴に電気的な特定演出が行なわれるようにした。なお、当たり情報を放出した他の遊技機にて行われる電気的な特定演出は、後述するように、演出画像の盛り上げ度合いが抑制された演出である。
ところで、可動物や発光体等による電気的な特定演出を遊技機単体で行うとなると、大当たりへの期待感や大当たり時の至福感を盛り上げるために派手となりがちであり、その結果として、消費電力が高くなってしまう。そこで、当選した遊技機のみならず所定範囲の複数の遊技機が同調して電気的な特定演出を行うことで、各遊技機が派手な演出を行わなくとも、電気的な特定演出が遊技機単体で行われる場合よりも広範囲にて迫力ある演出を行うことが可能となる。また、当選した遊技機のみならず所定範囲の複数の遊技機にて電気的な特定演出が行われる場合には、内部的な抽選処理に当選した遊技機単体で特定演出が行われる場合よりも、演出画像の盛り上げ度合いが抑制されるものの、全体として消費される電力が抑制された電気的な特定演出が複数の遊技機で行われるようにすることで、消費電力を全体として抑制しつつも迫力ある演出を行うことが可能となる。盛り上げ度が抑制されるとは、各遊技機において発光する発光体の数が少ないこと、発光輝度が小さいこと等が例示される。これにより、全体として消費電力を抑制することが可能となる。例えば、内部抽選手段の結果が当たりであるにもかかわらず当たり情報を機外に放出することなく遊技機単体で特定演出を行った場合の消費電力よりも、特定演出を行う複数の遊技機全体の消費電力の方が小さくなるような場合である。具体的には、電気的な特定演出が遊技機単体で行われる場合の消費電力を100%としたとき、当該100%の消費電力による特定演出を行うことができるにも拘らず各遊技機(例えば3台の各遊技機)が30%の消費電力で特定演出を行うような場合である。この、全体として10%以上の消費電力を抑制できることとなり、環境保護に貢献できる。加えて、電気的な特定演出が遊技機単体で行われる場合であっても、他の遊技機では補助演出が行われるため、その分、特定演出を行う複数の遊技機全体の消費電力の方が小さくなる。
また、上記遊技機では、電気的な特定演出が行われるために必要な消費電力は、遊技機単体で見ると低下することから、遊技機単体での演出は地味となりがちである。しかしながら、電気的な特定演出が複数の遊技機によってワイドに行われる(所謂ワイド演出が行われる)ので、演出画像表示手段に表示される演出画像の盛り上げ度が低下する虞が軽減し、遊技者に対するアピール度や迫力感のある演出を行うことが可能となる。さらに、電気的な特定演出が複数の遊技機のうち内部的な抽選処理の結果が当たりである遊技機では、演出画像表示手段にて惹起画像が表示されるので、当該遊技機で遊技を行っている遊技者は優越感に浸ることができる。
また、可動物や発光体等による電気的な特定演出が遊技機単体で行われる場合には、当該特定演出が複数の遊技機でほぼ同時に行われると、消費電力が一時的に極めて大きくなってしまう。これに対して、当選した遊技機のみならず所定範囲の複数の遊技機が同調して特定演出を行う場合には、他の遊技機から放出された当たり情報を収拾したことに基づき惹起画像の表示および電気的な特定演出を行っている最中(または準備中)に自機における抽選処理の結果が当たりになったとしても、当該当たりに基づく惹起画像の表示や電気的な特定演出が行われないので、消費電力が一時的に大きくなることも回避できる。
また、上記遊技機では、当たり情報を収拾したとしても、惹起画像の表示および/または電気的な特定演出を行うか否かについては、当たり情報を収拾した遊技機の自主性に委ねられている。即ち、内部的な抽選処理の当選した遊技機が当たり情報を放出したとしても、それは、他の遊技機に対して特定演出を強制するものではない。内部的な抽選処理の当選した遊技機から放出された当たり情報を、複数の遊技機で共有することで、特定演出といった共有演出を行うにすぎない。言い換えると、各遊技機の他の制御手段は、情報収拾手段により当たり情報を収拾したとしても、特定演出を行うか否かを決定する手段を有していてもよい。
また、上記遊技機によれば、特定演出は、当たり情報が収拾された場合に表示されるものであるから、個々の遊技機で行なわれる所定の演出画像や従来の集団演出のように、遊技者に「もしかしたら当選しているかもしれない」という期待感を与えるだけの演出とは異なる。より詳しく言えば、個々の遊技機の演出画像表示手段にて、いかに遊技者に期待感を与えるような派手な演出が行われたとしても、単に遊技者の期待感を高める演出にすぎない。しかも、遊技者に期待感を与えるような派手な演出が行われる頻度を高めると、実際には当たりではないにも拘らず派手な演出が行われるといった所謂ガセ演出が多くなってしまい、却って興趣が低下してしまう。これに対して、特定演出は、当たり情報が収拾された場合に行われるものであるから、特定演出が実行されると、遊技機列を構成する複数の遊技機のうちいずれかの遊技機が必ず100%当選することを予告するものである。これにより、特定演出が実行された遊技機島にて遊技を行っている複数の遊技者に対して大きな期待感を与えることができる。
なお、この特定演出は、情報収拾手段により当たり情報が収拾されたタイミングで実行されることが好ましい。なぜなら、複雑な制御を行うことなく、複数の遊技機においてほぼ同時に電気的な特定演出を実行することが可能となるからである。
[技術思想2]
技術思想2に記載の遊技機は、
複数配列された状態で遊技機列を構成するとともに、当該遊技機列の中で個々の独立した遊技動作を実行する遊技機であって、
遊技領域に向けて遊技球を発射可能な発射手段と、
前記発射手段により前記遊技領域に向けて発射された遊技球を受入可能な受入口と、
所定の演出画像を表示可能な演出画像表示手段と、
前記遊技動作の進行を制御する主制御手段と、
前記主制御手段に配線接続され、前記演出画像表示手段に表示される演出画像を制御する他の制御手段と、を備え、
前記主制御手段は、
前記受入口への遊技球の受け入れを検出する受入検出手段と、
前記受入検出手段により遊技球の受け入れが検出されたことに基づいて、内部的な抽選処理を行う抽選手段と、
前記内部的な抽選処理の結果が当たりであるときに、遊技者に有利な特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、
前記内部的な抽選処理の結果および前記演出画像表示手段に表示される前記所定の演出画像にかかわる情報を、配線接続される前記他の制御手段に対して当該配線を介して送信する情報送信手段と、を有し、
前記他の制御手段は、
前記配線を介して前記主制御手段から送信された前記情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段により受信した前記情報に基づいて、前記内部的な抽選処理の結果としての所定の演出画像を前記演出画像表示手段に表示し、当該抽選処理の結果が当たりである場合には、前記所定の演出画像として惹起画像を表示する演出画像表示制御手段と、
前記演出画像表示制御手段による画像表示に応じるかたちで(電気的)補助演出を行い、前記惹起画像が表示される場合に、前記補助演出として(電気的)特定演出を行う電気的演出手段と、を有しており、
前記他の制御手段は、さらに、
前記惹起画像が表示される場合に、当該遊技機において当該惹起画像が表示されることが認識可能な当たり情報を機外の所定範囲に放つ情報放出手段と、
機外からの情報を収拾する情報収拾手段と、を有すると共に、
前記電気的演出手段は、前記情報収拾手段により前記当たり情報が収拾されると、当該遊技機において前記内部的な抽選処理の結果が当たりである場合に表示される前記所定の演出画像としての前記惹起画像が表示される状態でなくとも、前記補助演出として前記特定演出を行うことにより、他の遊技機において前記惹起画像が表示されることを伴にアピールできるようにした
ことを特徴とする遊技機である。
上記遊技機では、他の遊技機と複数配列された状態で遊技機列を構成しているものの、他の遊技機から独立して個々に遊技動作を実行している。この遊技動作を実行するにあたり、上記遊技機(パチンコ機1)は、遊技動作の進行を制御する主制御手段(主制御基板710)と、この主制御手段から指示を受けて演出にかかる制御を行う他の制御手段(周辺制御基板810)と、を有している。主制御手段と他の制御手段とは物理的(電気的)に配線接続されており、主制御手段から他の制御手段に対してこの配線を介して各種情報が送信される。なお、「独立した遊技動作」は、後述する内部的な抽選処理、演出画像表示手段における演出画像の表示、または/および、電気的演出手段による補助演出等が相当する。
主制御手段は、受入口(始動口600,604)への遊技球の受け入れを検出する受入検出手段(始動口センサ780,784)と、内部的な抽選処理を行う抽選手段(特別図柄抽選手段900)と、遊技者に有利な特典遊技を実行する特典遊技実行手段(大当り遊技実行手段715)と、他の制御手段に各種情報を送信する情報送信手段(コマンド送信手段946)と、を有している。このような構成にあって、例えば遊技者の操作に応じて発射手段(発射装置57)により遊技領域(遊技領域20)に向けて遊技球が発射された場合に、受入検出手段により受入口への遊技球の入賞が検出されると、内部的な抽選処理が行なわれる。この抽選処理にて当選すると、特典遊技実行手段により遊技者に有利な特典遊技が実行される。そして、情報送信手段により、この抽選処理の結果および所定の演出画像にかかわる情報を、上記の配線を介して他の制御手段に送信される。なお、この場合、一般的には、抽選処理の結果、および、演出画像表示手段に表示される所定の演出画像、の両方を把握できる情報が他の制御手段に送信されるが、抽選処理の結果にかかわる情報、および、所定の演出画像にかかわる情報、をそれぞれ別に送信してもよい。
「所定の演出画像にかかわる情報」は、演出画像表示手段(演出表示装置115)に表示される演出画像の表示態様を示す情報であり、例えば、装飾図柄の変動時間または/および期待演出(例えばリーチ演出)の変動パターンなどを示すコマンド情報が挙げられる。また、「所定の演出画像」は、内部的な抽選処理の結果を示唆しうる演出画像であり、例えば、装飾図柄の変動表示画像やキャラクタ画像による演出画像などがあげられる。また、内部的な抽選処理の結果が少なくとも当たりである場合には、所定の演出画像の一態様である惹起画像が表示される。この惹起画像は、内部的な抽選処理の結果が当たりであることを示唆しうる画像であり、リーチ演出画像が例示される。なお、惹起画像が表示されるのは抽選処理の結果が当たりである場合に限られないが、抽選処理の結果が当たりである場合には、内部的な抽選処理の結果が外れである場合に通常表示される演出画像よりも高い頻度で惹起画像が表示される。
また、他の制御手段は、主制御手段から送信される各種情報を受信する情報受信手段(コマンド受信手段950)と、演出画像表示手段に所定の演出画像を表示する演出画像表示制御手段(演出制御手段962)と、補助演出を行う電気的演出手段(演出制御手段962)と、を有している。ここで、主制御手段から送信されて情報受信手段により受信する情報は、内部的な抽選処理の結果にかかわる情報(当落情報)や演出画像にかかわる情報(図柄の変動パターンや図柄の変動時間)である。そして、主制御手段からの各種情報を情報受信手段により受信すると、この受信情報に応じて演出画像表示制御手段により所定の演出画像が表示されて、内部的な抽選処理の結果が導出される。ここで、抽選処理の結果が当たりである場合には、所定の演出画像として惹起画像が表示されることで、遊技者は、抽選結果が当たりであることを把握できる。
また、電気的演出手段では、演出画像表示制御手段による画像表示に応じるかたちで電気的な補助演出が行われ、惹起画像が表示される場合に(即ち、自機における内部的な抽選処理の結果が当たりである場合に)、補助演出として電気的な特定演出が行われる。この特定演出は、演出画像表示手段に表示される所定の演出画像を盛り上げる態様で行われる。また、「画像表示に応じるかたち」は、遊技者から外観から見て結果的に応じていればよく、制御的に応じていることは必ずしも必要ではない。この補助演出は、遊技機に一般的に設けられている装飾ランプおよび/または遊技機の近傍に設けられているトップランプ等の目立つ発光体を、所定の演出画像の表示に伴って点灯させたり点滅させるような電気的な演出が例示される。なお、特定演出は、通常の補助演出よりも演出画像が盛り上がるように、発光する発光体の数が多かったり、発光体の輝度が高かったり、鮮やかな色(例えば通常の補助演出では暗めの色で発光するのに対し、特定演出では明るめの色で発光するような場合)であったりされている。これにより、遊技機島で遊技を行っている遊技者のみでなく、単なる通りがかりの者や、他の遊技機島で遊技を行っている遊技者にもアピールすることができ、当該遊技機島に配列される遊技機の集客効果が高められうる。また、電気的な演出としたのは、例えば演出画像表示手段に表示される演出画像よりも輝度が高い点で、遊技者へのアピール度合いが高まるからである。
さらに、他の制御手段は、情報を機外に放つ情報放出手段(波形制御基板425および波送受装置188a,188b)と、機外からの情報を収拾する情報収拾手段(波形制御基板425および波送受装置188a,188b)と、を有している。
情報放出手段は、情報受信手段により抽選結果が当たりであることを示す情報を受信すると、当たり情報を機外に放出する(当たり情報が機外に流出する)。また、情報収拾手段は、機外からの情報を収拾しうる。機外からの情報としては、例えば、複数の遊技機列を構成する他の遊技機から放出された当たり情報であり、情報収拾手段は、このような当たり情報の検出が可能となっている。
このようにして、一の遊技機と他の遊技機との間で、先述の主制御手段と他の制御手段との関係とは異なり、物理的(電気的)に配線接続された場合のように制御が複雑化することなく当たり情報のやりとりが可能となっている。また、複数の遊技機間で配線接続されたりネットワーク接続されたりしているわけではないので、遊技者の興趣の低下の抑制と、遊技意欲の減退の防止とを実現しながらも、大規模な設備投資を行う必要がないことから、ホールへの負荷を抑制することが可能となる。また、遊技機を自由に配置(扇状に配列する等)することも可能となるためホール営業の柔軟性も高まる。
ところで、情報放出手段から放出される当たり情報は、特定の遊技機に対して送信されるものではなく、誰もが収拾しうる情報である(即ち、配線接続された遊技機間で送受される場合のように、当たり情報の行き先が決まっているわけではない)。また、情報収拾手段にあっても、自らに向けて送信された情報を受信するのではなく、情報放出手段から放出された行き先が特定されていない情報を受け取ることになる。このように、当たり情報は誰もが受け取りうる情報であるため、情報放出手段からは暗黙のうちに当たり情報が放出され、情報収拾手段においては暗黙のうちに情報を収拾することとなる。
なお、当たり情報は、空気などの媒質を経由して伝達される信号であって、放出源としての情報放出手段からの距離が大きくなるにつれて強度(振幅)が減衰するものが好適である。このような信号としては、音波や光波に例示される波動(波形信号)が相当する。とくに、情報収拾手段によって機外からの情報が遊技者に気付かれないように暗黙のうちに収拾されるためには、このような信号としては、遊技者に知得され難い可聴周波、超低周波、超音波等が好ましい。このように、所定の波形信号を利用することで、電気的に接続するといった煩わしさを解消できるだけでなく、物理的に配線接続された場合のように複雑な制御を行う必要もない。さらに、不正行為としてのぶら下がり基板が接続される心配もない。なお、所定の波形信号としては、人体への影響が及ばない程度であれば電磁波を採用してもよい。
また、他の制御手段では、情報収拾手段により当たり情報が収拾されると、当該遊技機における抽選結果が当たりである場合に表示される所定の演出画像としての特定画像が表示される状態でなくとも、電気的な特定演出が、当たり情報を放出した他の遊技機とあわせたかたちで(即ち、当たり情報を放出した他の遊技機と同じか類似する態様で)、当該他の遊技機と伴に行なわれる。即ち、外部から当たり情報が収拾されると、当該遊技機(自機)における内部的な抽選処理の結果がハズレであったとしても、当該抽選処理の結果がハズレである場合に通常行われる補助演出が行われることなく、当たり情報を放出した他の遊技機と同じか類似する態様で、当該他の遊技機と伴に電気的な特定演出が行なわれるようにした。なお、当たり情報を放出した他の遊技機にて行われる電気的な特定演出は、後述するように、演出画像の盛り上げ度合いが抑制された演出である。
ところで、可動物や発光体等による電気的な特定演出を遊技機単体で行うとなると、大当たりへの期待感や大当たり時の至福感を盛り上げるために派手となりがちであり、その結果として、消費電力が高くなってしまう。そこで、当選した遊技機のみならず所定範囲の複数の遊技機が同調して電気的な特定演出を行うことで、各遊技機が派手な演出を行わなくとも、電気的な特定演出が遊技機単体で行われる場合よりも広範囲にて迫力ある演出を行うことが可能となる。また、当選した遊技機のみならず所定範囲の複数の遊技機にて電気的な特定演出が行われる場合には、内部的な抽選処理に当選した遊技機単体で特定演出が行われる場合よりも、演出画像の盛り上げ度合いが抑制されるものの、全体として消費される電力が抑制された電気的な特定演出が複数の遊技機で行われるようにすることで、消費電力を全体として抑制しつつも迫力ある演出を行うことが可能となる。盛り上げ度が抑制されるとは、各遊技機において発光する発光体の数が少ないこと、発光輝度が小さいこと等が例示される。これにより、全体として消費電力を抑制することが可能となる。例えば、内部抽選手段の結果が当たりであるにもかかわらず当たり情報を機外に放出することなく遊技機単体で特定演出を行った場合の消費電力よりも、特定演出を行う複数の遊技機全体の消費電力の方が小さくなるような場合である。具体的には、電気的な特定演出が遊技機単体で行われる場合の消費電力を100%としたとき、当該100%の消費電力による特定演出を行うことができるにも拘らず各遊技機(例えば3台の各遊技機)が30%の消費電力で特定演出を行うような場合である。この、全体として10%以上の消費電力を抑制できることとなり、環境保護に貢献できる。加えて、電気的な特定演出が遊技機単体で行われる場合であっても、他の遊技機では補助演出が行われるため、その分、特定演出を行う複数の遊技機全体の消費電力の方が小さくなる。
また、上記遊技機では、電気的な特定演出が行われるために必要な消費電力は、遊技機単体で見ると低下することから、遊技機単体での演出は地味となりがちである。しかしながら、電気的な特定演出が複数の遊技機によってワイドに行われる(所謂ワイド演出が行われる)ので、演出画像表示手段に表示される演出画像の盛り上げ度が低下する虞が軽減し、遊技者に対するアピール度や迫力感のある演出を行うことが可能となる。さらに、電気的な特定演出が複数の遊技機のうち内部的な抽選処理の結果が当たりである遊技機では、演出画像表示手段にて惹起画像が表示されるので、当該遊技機で遊技を行っている遊技者は優越感に浸ることができる。
また、可動物や発光体等による電気的な特定演出が遊技機単体で行われる場合には、当該特定演出が複数の遊技機でほぼ同時に行われると、消費電力が一時的に極めて大きくなってしまう。これに対して、当選した遊技機のみならず所定範囲の複数の遊技機が同調して特定演出を行う場合には、他の遊技機から放出された当たり情報を収拾したことに基づき惹起画像の表示および電気的な特定演出を行っている最中(または準備中)に自機における抽選処理の結果が当たりになったとしても、当該当たりに基づく惹起画像の表示や電気的な特定演出が行われないので、消費電力が一時的に大きくなることも回避できる。
また、上記遊技機では、当たり情報を収拾したとしても、惹起画像の表示および/または電気的な特定演出を行うか否かについては、当たり情報を収拾した遊技機の自主性に委ねられている。即ち、内部的な抽選処理の当選した遊技機が当たり情報を放出したとしても、それは、他の遊技機に対して特定演出を強制するものではない。内部的な抽選処理の当選した遊技機から放出された当たり情報を、複数の遊技機で共有することで、特定演出といった共有演出を行うにすぎない。言い換えると、各遊技機の他の制御手段は、情報収拾手段により当たり情報を収拾したとしても、特定演出を行うか否かを決定する手段を有していてもよい。
また、上記遊技機によれば、特定演出は、当たり情報が収拾された場合に表示されるものであるから、個々の遊技機で行なわれる所定の演出画像や従来の集団演出のように、遊技者に「もしかしたら当選しているかもしれない」という期待感を与えるだけの演出とは異なる。より詳しく言えば、個々の遊技機の演出画像表示手段にて、いかに遊技者に期待感を与えるような派手な演出が行われたとしても、単に遊技者の期待感を高める演出にすぎない。しかも、遊技者に期待感を与えるような派手な演出が行われる頻度を高めると、実際には当たりではないにも拘らず派手な演出が行われるといった所謂ガセ演出が多くなってしまい、却って興趣が低下してしまう。これに対して、特定演出は、当たり情報が収拾された場合に行われるものであるから、特定演出が実行されると、遊技機列を構成する複数の遊技機のうちいずれかの遊技機が必ず100%当選することを予告するものである。これにより、特定演出が実行された遊技機島にて遊技を行っている複数の遊技者に対して大きな期待感を与えることができる。
なお、この特定演出は、情報収拾手段により当たり情報が収拾されたタイミングで実行されることが好ましい。なぜなら、複雑な制御を行うことなく、複数の遊技機においてほぼ同時に電気的な特定演出を実行することが可能となるからである。
[技術思想3]
技術思想3に記載の遊技機は、
技術思想1または2に記載の遊技機において、
前記当たり情報を放出した場合に行われる特定演出の盛り上げ度合いと、前記当たり情報を収拾した場合に行われる特定演出の盛り上げ度合いと、が同じかまたはほぼ同じとなるように、前記電気的演出手段による前記特定演出が行われる
ことを特徴とする遊技機である。
上記技術思想によると、電気的演出手段による特定演出が複数の遊技機によって行われる場合、当該複数の遊技機にて行われる特定演出の盛り上げ度合いがいずれも同じ程度となる。即ち、当たり情報を放出した場合に行われる特定演出の演出態様と、当たり情報を収拾した場合に行われる特定演出の演出態様と、を同じかまたはほぼ同じ演出態様とすることによって盛り上げ度合いが同じとなるように特定演出が行われる。これにより、特定演出が行われる複数の遊技機において一体感が醸しだされる。盛り上げ度合いとは、電気的演出手段により行われる特定演出の程度であり、例えば、電気的演出手段としての発光手段(ランプやLED)の発光輝度(発光輝度が高いほど盛り上げ度合いが高い)、発光する発光手段の数(発光する発光手段の数が多いほど盛り上げ度合いが高い)、発光手段の発光態様(例えば、点滅する態様であれば点滅速度が速いほど盛り上げ度合いが高くなる)が例示される。
[技術思想4]
技術思想4に記載の遊技機は、
技術思想1〜3のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機列が構成される遊技機島から供給される一の電源に対して2台以上の遊技機が接続されており、
前記電気的な特定演出は、互いに異なる電源に接続される複数の遊技機に跨って行われる
ことを特徴とする遊技機である。
パチンコホール内では、従来から1台の変圧器(トランス)に対して2〜4台の遊技機が割り当てられ設置されている。基本的には、遊技機の消費電力との関係によって割り当てることとなるが、正しく設置作業が行われる事は少ない。特に、瞬間的に消費電力が高くなる場合等の危惧されていないことが多い。このため、1台の遊技機において一時的にでも消費電力が高くなるとトランスにかかる負荷が大きくなり、当該遊技機(消費電力が一時的にでも高くなった遊技機)と同じトランスが割り当てられている他の遊技機において電気的な不具合が生じる虞がある。
これに対し、上記技術思想によると、互いに異なる電源(本実施形態の変圧器に相当する)に接続される複数の遊技機に跨って電気的な特定演出が行われるので、一の電源にかかる負荷が軽減される。これにより、同じ電源に接続された他の遊技機において電気的な不具合が生じる虞が軽減される。また、ホール設置時に、設置作業者に要求される注意力も軽減されうる。
上記構成を詳述すると、遊技機列が構成される遊技機島には複数の電源が備えられ、当該複数の電源の各々には2台以上の遊技機が接続されており、電気的な特定演出は、複数の電源のうち、一の電源に接続される遊技機と、当該一の電源とは異なる他の電源に接続される遊技機と、に跨って行われることを特徴としている。即ち、遊技機島には、100Vの電源を24Vに変換して出力する変圧器が複数備えられており、当該複数の変圧器の各々には、例えば2〜4台の複数の遊技機が割り当てられて接続されている。そして、遊技機島に備えられた複数の変圧器のうち、一の変圧器に接続された1台の遊技機における情報放出手段から当たり情報が放出されると、当該一の変圧器に接続される1台または複数台の遊技機と、当該一の変圧器とは異なる他の変圧器に接続される1台または複数台の遊技機と、に跨って電気的な特定演出が行われる。これにより、一の電源にかかる負荷が軽減される。即ち、内部的な抽選手段に当選した遊技機(当選台)が単体で電気的な演出を行うのではなく、互いに異なる変圧器に接続された複数の遊技機に跨って電気的な特定演出が行われるので、当選台と同じ電源に接続された他の遊技機において電気的な不具合が生じる虞が軽減される。
[技術思想5]
技術思想5に記載の遊技機は、
技術思想1〜4のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記特定演出には、前記惹起画像を盛り上げる高揚特定演出と、当該高揚特定演出よりも盛り上げ度合いが抑制された抑制特定演出と、があり、
前記電気的演出手段は、前記高揚特定演出または前記抑制特定演出を選択的に行いうる
ことを特徴とする遊技機である。
上記技術思想によると、例えば、パチンコホール内の電飾を煌びやかにした場合には高揚特定演出を行うようにし、消費電力を抑制したい場合には抑制特定演出を行うといったように、パチンコホールや遊技者のニーズに合わせたホール運営が可能となる。