JP2009225670A - 水蒸気団生成装置及び人工降雨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽光のエネルギーを利用して低コストで雨を降らすことができる水蒸気団生成装置及び人工降雨方法を提供することを目的とする。
【解決手段】海洋Sに物体1を浮遊させる。物体1の表面に装着されたシート1bは、毛細管作用により海洋Sの海水を水面よりも上方の部位に吸い上げる。吸い上げられた海水により、水面上のシート1bに薄水膜が生成される。薄水膜に太陽光が照射されると、薄水膜中の水は容易に水蒸気となって上空へ上昇し(矢印N1)、上空に湿度の高い水蒸気団Cが生成される。水蒸気団Cは気流によって陸地Lの上空へ移動し(矢印N2)、上空の低温雰囲気中において冷却されて雨滴となり、陸上に雨が降る(矢印N4)。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽光を利用した水蒸気団生成装置及び人工降雨方法に関するものである。
雨量や地下水等の淡水が不足している地域では、農業や生活に必要な水不足のために、人間が継続的な活動ができないので、当然食糧事情も悪く経済的に見捨てられた地域となる傾向がある。このため、かつてロシアでは潅漑用の水を確保するため、潅漑用に膨大な用水路を構築して川の流れを変更する計画が立てられたり、中国では揚子江の水を利用するために潅漑用に長大な用水路を計画している。
また、世界には、多くの砂漠を持つ国々があるが、これらの砂漠化した地域や国は赤道付近に集中している。特にアフリカでは人口爆発による食糧難が大きな問題となっており、今後益々水不足が深刻化すると予想されている。そこで、人工的な降雨を大略でも計画的に定量的に実行できれば、広範囲な砂漠の緑地化や農地耕作が可能になり、食糧難の解決が期待できる。
また、近年低開発国での工業による空気汚染が問題になっている。空気汚染は、汚染の源を絶つことが望ましいが、多くの場合一朝一夕に絶つことは困難である。しかし、汚染の空気が多くの場所に流れていく前に、人工降雨を汚染源の近辺で発生させて酸性雨として流して処理すれば、汚染を拡散させないことが可能であろう。
ところで自然界では、海洋や湖沼、河川等の水が蒸発し、上空の低温大気まで運ばれて結露して雲粒となり、これが雨滴に成長して雨になる。従って、結露した雲粒が存在しないと、雨滴ができず雨は降らない。従来の人工降雨は、雲粒が存在する場合に、ドライアイスを飛行機で散布して雲粒を雨滴にしたり、大音響の振動で雲粒を雨滴にしていた。
人工降雨のための水の水蒸気化を行うには、多くの困難な問題がある。水を水蒸気化するには、エネルギー(熱)が必要である。水の場合は、水と同一温度の水蒸気に1kgの水を蒸発させるには2266kジュール(0.63kW時)を必要とする。つまり、概略600ワットの電熱器を用いて約1時間かけると水1kgが水蒸気になる。また太陽光のエネルギーは、日本では1平方メートル当たり最大約1kWであり、これは約1.5kgの水を1時間で水蒸気化できるエネルギーである。
一方、雨の水量は多い。例えば、10km×10kmの地域に10mmの雨が降ると、水量は1000000立方メートル(100万トン)である。このような大量の水を水蒸気にするためには大規模な水蒸気化装置が必要となり、これを定常的に運用するには高度な技術が必要である。
人工降雨の発生方法として、海水や湖沼、河川の淡水(以下、海水と淡水を「水」という)を蒸発させて水蒸気団(雲)を生成し、これを上空へ上昇させて雨滴化し、雨として降らせることが考えられるが、これには次のような多くの課題がある。
(1)1万トンを越える水を一度に短時間内で水蒸気化する装置は、大規模装置を用いて必要エネルギーも大きくなり、危険が無いように装置化する必要がある。また、場所も広範囲に分散することが考えられるが、稼働のリスクを低くするために、一カ所の故障や事故は他の大部分に影響せず、稼働できるような構成にする必要がある。
(2)大規模なシステムとなり、しかも広い場所や大きなエネルギーを必要とするので、既存の他の工業等に悪影響を与えない場所やエネルギー利用による運用が必要となる。
(3)望ましい雨量については、季節や地域によって必要とする降雨時期・場所・量等が相違するため、人工降雨システムによって降雨させる時期・場所・量等をある程度制御可能にする必要がある。
(4)大量の水を海中や湖沼中、河川中で暖めるには、膨大なエネルギーがいる。更に、大量の水は、少量のカロリーで暖めても対流などでいつまでも蒸発温度まで暖まらない。このため、少量の水のみを常時暖めるために、水蒸気化する水を海や湖沼、河川の中の水から分離しかつ水蒸気化する場所に一定時間の間保持して、水蒸気化のために加えるエネルギーが対流や熱伝導によってエネルギー損失しないようにする必要がある。
(5)少量の水を暖めて常時蒸気化させるためには、水蒸気化する水を少量づつ連続的に人手を介さず自動的に蒸気化する装置に補給する必要がある。
(6)雨を降らせる場所が変更される場合には、その場所に降らせるのに適切な場所に水蒸気化装置を容易に移動させる必要がある。
(7)雨を降らせる量が変更された場合に、その量に対応して降らせるのに適切な水蒸気を発生させるように水蒸気化装置を一定の範囲で容易に制御できる必要がある。
ところで、海洋や湖沼、河川等の水源は水深が深く、しかも波浪等により表層の水は波動し、水は上下に入れ替っている。したがって水が太陽光のエネルギーを受けても、表層の水は蒸発温度まで上昇しにくい。
しかしながら、海洋や湖沼、河川等の水源の水を薄水膜として取り出し、これを太陽光に曝せば、薄水膜は熱効率よく昇温して蒸発する。原理的には、薄水膜は厚さが薄い程太陽光のエネルギーにより温度上昇し、水蒸気に気化する。このようにして大量の水を蒸発させれば、上空に湿度の高い水蒸気団(雲)を生成することができる。そしてこの水蒸気団が海風、偏西風などの気流により陸地の上空、特に砂漠の上空へ移動すれば、上空の気温、殊に午後遅くや日没後の気温はきわめて低いので、水蒸気は容易に雨滴化、氷滴化し、雨や雪となる。
そこで本発明は、太陽光のエネルギーを利用して低コストで雨を降らすことができる水蒸気団生成装置及び人工降雨方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の水蒸気団生成装置は、毛細管作用により水源の水を吸収して太陽光に曝される薄水膜を生成する物体を複数個設け、この薄水膜中の水を太陽光のエネルギーにより蒸発させて上空に水蒸気団を生成する。
請求項2記載の水蒸気団生成装置は、望ましくは前記物体が水源の水面に浮遊する物体であって、水面下の水を毛細管作用により物体に吸収して、水面上の物体の部位に前記薄水膜を生成するものである。
請求項3記載の水蒸気団生成装置は、望ましくは前記物体の表面に毛細管作用を有するシートを装着し、このシートの毛細管作用により水面下の水を吸収して前記薄水膜を生成するものである。
請求項4記載の水蒸気団生成装置は、望ましくは前記物体が毛細管作用を有する物質により中空に形成されており、前記物体が毛細管作用により水面下の水を吸収して前記薄水膜を生成するものである。
請求項5記載の水蒸気団生成装置は、陸上に配設される不透水性シートと、この不透水性シート上に敷設される毛細管作用を有するシートと、このシートに水源から汲み上げた水を供給し、供給された水を毛細管作用によりこのシートに含浸させて太陽光に曝される薄水膜を生成する水供給手段とから成るものである。
請求項6記載の水蒸気団生成装置は、陸上に配設される貯水体と、この貯水体に配設されて毛細管作用によりこの貯水体内の水を吸い上げ太陽光に曝される薄水膜を生成する物体と、水源から汲み上げた水をこの貯水体に供給する水供給手段とから成るものである。
請求項7記載の人工降雨方法は、請求項1乃至6のいずれかに記載の水蒸気団生成装置により水蒸気団を生成し、この水蒸気団を気流により陸地の上空へ上昇させてこの水蒸気団中の水蒸気を雨滴化し、陸上に雨を降らせるものである。
請求項8記載の人工降雨方法は、海面や湖面などの水面上に、太陽光に曝されて太陽光のエネルギーによって昇温して蒸発する薄水膜を毛細管作用によって生成し、薄水膜から蒸発して生成された水蒸気団を上空へ上昇させ、水蒸気団を冷却させて降雨を発生させるものである。
本発明によれば、物体の表面の薄水膜に太陽光が照射されることにより、薄水膜は熱効率よく蒸発温度まで上昇して蒸発し、上空へ上昇して湿度の高い水蒸気団(雲)となる。この水蒸気団が例えば砂漠等の陸地の上空へ移動し、殊に太陽光のエネルギーが小さくなる午後遅くの温度低下や、日没後の夜間温度の低下により冷却されて雨滴化、氷滴化し、雨となって地上に降る。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における水蒸気団生成装置の全体側面図、図2、図3は同水蒸気団生成装置の平面図、図4は同水蒸気団生成装置に用いられる物体の斜視図、図5は同水蒸気団生成装置に用いられる物体の断面図である。
図1において、陸地Lの側方は水源としての海Sである。海面には物体1が浮遊している。図1及び図2において、物体1は多数個設けられている。多数個の物体1は、枠体2の内部に配設されており、この内部を浮遊している。枠体2は発砲スチロール、空気袋、材木等の浮遊物から成っており、図1に示すように、アンカー3により海底に固定するなどして、海流に流されて漂流しないようにしている。すなわち、枠体2とアンカー3は、物体1が海流や風などにより漂流して失われるのを防止する漂流防止手段となっている。アンカー3を取りはずせば、枠体2を船で曳航して、水蒸気団生成装置を別の位置へ移動させることができる。
枠体2の横寸法L1及び縦寸法L2は、地理的条件や気候的条件等によって任意に決定される。横寸法L1と縦寸法L2は限定されるものではないが、少なくとも1km、出来れば10km以上あることが望ましい。図2に示す水蒸気団生成装置A1は単一で設置してもよいが、図3に示すように一般の船のや保守管理用の船が航行ができるように、少なくとも数10m以上の間隔Tをおいて複数個配設してもよい。このように水蒸気団生成装置A1をより多く配設すれば、その設置平面積をより広くして、より大量の水蒸気をより広範囲に発生させることができる。この水蒸気団生成装置A1は、砂漠や少雨地域の風上に位置する海洋や湖沼、大河川等の水源に設置される。水蒸気団生成装置A1の大きくは、船で曳航可能な大きさであることが望ましい。枠体の平面形状は、長枠形や環形でもよく、その形状は任意に決定できる。
図4、図5において、物体1は柱体1aの表面に毛細管作用を有する布や多孔性合成樹脂シートなどのシート1bを装着して成っている。物体1は、海面や淡水面(以下、両者を水面という)に浮遊するものであり、発砲スチロールや空気袋などの水よりも比重の小さい物質から成っている。物体1の断面形状は、波や風によりその軸心線N.Aを中心に容易に回転できるように(図5の矢印aを参照)、円形若しくは8角形などの円形に近い形状が望ましい。柱体1aは中空の円筒体でもよい。物体1の寸法は位置に決定できるが、例えば直径は50cm、長さは10mである。
図5に示すように、物体1の下部は水面下に浸漬しており、シート1bはその毛細管作用により水中の水を吸収して吸い上げ、吸い上げられた水は水面上に位置して大気に露出する部位のシート1bに毛細管作用により浸潤する(矢印bを参照)。このようにして、水面上の部位のシート1bは水を含浸し、大気中に露出して太陽光に曝される薄水膜が生成される。
薄水膜には太陽光が照射し(矢印Eを参照)、薄水膜に含浸された水は水蒸気となって蒸発する(図1の矢印N1を参照)。このように、水面よりも上方に位置する物体1の部位の表面に薄水膜を生成すれば、この薄水膜は太陽光のエネルギーにより熱効率よく容易に蒸発温度まで上昇して蒸発する。薄水膜は、その厚さが薄い程、これに含まれる水は太陽光のエネルギーにより蒸気になり易い。
海水の場合、シート1bに含浸された海水の水分が蒸発すれば、シート1bにはこの蒸発によって生成された塩が残留して固着する。この固着した塩はシート1bの毛細管作用を低下させる。しかしながら、物体1は波や風によりその軸心N.Aを中心に回転し(図5の矢印aを参照)、あるいは波浪によって表面に海水を浴びるので、シート1bに固着した塩は海水中へ溶出する。以上により塩の固着によるシートの毛細管力の低下は相当程度防止でき、したがって水面上において水分が蒸発したシート1bには、シート1bの毛細管作用により次々に継続して連続的に海水が補給される(図5の矢印bを参照)。湖沼や河川などの淡水の場合は、塩は存在しないので、残留固着塩の問題は生じない。
図1、図2において、海洋にはきわめて多数個の物体1が浮遊している。物体1と物体1の間は、物体1がより自由に回転できるように、若干(例えば10cm程度)のすき間tを確保している。勿論、物体同士が衝突してもかまわない。多数の物体1からは、図5を参照して説明したように水蒸気が発生し、水蒸気は上昇(矢印N1)して上空には湿度の高い水蒸気団(雲)Cが生成される。
この水蒸気団Cは、凪時(風がないとき)にはほぼ垂直に上方へ上昇する(矢印N1)。そして気流(風)によって陸地Lの上空へ移動する(矢印N2)。海風Wがある場合には、陸地へ向って斜上方へ上昇する(矢印N3)。気流は様々な原因により生じる。気流の代表として海風Wがある。これは、昼間は陸地Lの温度が上昇して陸地Lの空気は上昇し、これにともない海上の比較的低温の空気が陸地Lへ向って移動するものである。
上空の気温は低い。殊に午後遅くから太陽光のエネルギーが弱くなると上空の気温は次第に低下し、日没後の夜間には更に気温は低下する。したがって上空の水蒸気団Cに含まれる水蒸気は、上空の低温雰囲気中において冷却されて雨滴化や氷滴化し、このようにして生成された雨滴や氷滴は雨や雪となって陸上に降る(図1の矢印N4)。
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2における物体の断面図、図7は同海洋や湖沼、河川に設置された水蒸気団生成装置の平面図である。
物体11は球形であって、発砲スチロールや空気袋等の球体11aの表面に毛細管作用を有するシート11bを装着して成っており、水面に浮遊して波浪により全方向に自由に回転する(矢印cを参照)。図2の場合と同様に、物体11は枠体2の内部に多数個浮遊している。物体11の表面のシート11bは、毛細管作用により水中の水を水面上へ吸い上げる(矢印dを参照)。水面上の部位に位置するシート11bには太陽光(矢印E)に曝される薄水膜が生成され、この薄水膜中の水は、太陽光のエネルギーにより容易に蒸発して上昇する(矢印N1)。枠体2の設置構造は実施の形態1の場合と同様である。また図7に示す水蒸気団生成装置A2は、図3に示す水蒸気団生成装置A1と同じように複数個配設してもよい。また球体11aの内部は中空でもよい。
球体11aは表面積が大きいので、シート11bは水面上に広面積の薄水膜を生成できる。また物体11は波や風により水面上で如何なる方向へも回転できる。したがって水の蒸発によってシート11bに残留固着した塩は、海中に潜って溶出する。物体11がより自由に回転できるように、物体1と物体1の間にすき間tが確保される。実施の形態2の降雨の発生メカニズムは実施の形態1と同じである。
(実施の形態3)
図8は本発明の実施の形態3における物体の断面図である。物体21は弾性と多孔性を有する合成樹脂から成る中空球体である。部分拡大図Kに示すように、物体21には毛細管作用を有する連通孔22を有している。物体21は実施の形態2の物体11と同様に使用される。物体21は、自身が毛細管作用を有しており、自身で吸水し(矢印e)、太陽光に曝される薄水膜を水面上の部位に生成できるので、上記のようなシート11bを用いる必要はない。物体21の水面上の部位にまで吸収された水は、太陽光Eのエネルギーにより蒸発し、大気中を上昇して(矢印N1)、上述のような水蒸気団Cを生成する。また物体21は風や波浪により自由に回転し(矢印f)、水面上で水が蒸発することにより連通孔22内に残留固着した塩は、水面下に没入することにより海中へ溶出する。降雨のメカニズムは、実施の形態1と同じである。
(実施の形態4)
図9は本発明の実施の形態4における物体の斜視図、図10は同物体の断面図、図11は同水蒸気団生成装置の平面図である。
図9、図10において、物体31は、断面台形の長尺の板体31aの表面に毛細管作用を有するシート31bを装着して成っている。図10に示すように、シート31bの両端部31b’は海中に垂下しており、その毛細管作用により海水を水面上に位置する板体31aの上面上のシート31bまで吸い上げる(矢印g)。物体31は、図11に示すように、図2の場合と同様に海洋に多数個配設される。
板体31aの上面上に位置するシート31bは毛細管作用により海水を吸収して含浸し、太陽光に曝される薄水膜を水面上に生成する。この薄水膜に太陽光が照射されることにより(矢印E)、薄水膜の水は蒸発して上昇し(矢印N1)、上空に図1と同様の水蒸気団(雲)Cを生成する。板体31aの上面上のシート31bに残留固着した塩は、物体31が波浪を被ることにより溶出する。降雨のメカニズムは実施の形態1と同じである。なお、両端部31b’、31b’を結んで、シート31bで板体31aを包んでもよい。
実施の形態1〜4から明らかなように、水蒸気団を生成するための物体の形状、構造、寸法等は自由に設計できるのであって、要するに海面や湖面などの水面上の部位に、太陽光に曝されて太陽光のエネルギーによって昇温して蒸発する薄水膜を毛細管作用によって生成し、かつ蒸発によって物体から失われた水を毛細管作用により海や湖沼、河川等の水源から極力次々に継続的に連続して吸収して補給し、薄水膜の生成を極力継続できればよいものである。そして薄水膜から蒸発して生成された水蒸気団を上空へ上昇させ、水蒸気団を冷却させて降雨を発生させればよいものである。
(実施の形態5)
図12は本発明の実施の形態5における水蒸気団生成装置の側面図、図13は同一部側面図である。実施の形態1〜4の水蒸気団生成装置は海洋、湖沼、河川などの水面に設置するものであるが、実施の形態5、6の水蒸気団生成装置は陸上に設置するものである。
図12、図13において、陸地L上にはビニールシート等の不透水性シート51が敷設される。陸上にはポンプ装置52が設置されており、パイプ53を通して海洋Sや湖沼、河川等の水源の水を汲み上げる。
シート51の上端部には樋54が設けられている。シート51上には毛細管作用を有するシート55が敷設されている。シート51は望ましくは陸地L上に緩やかな下り勾配で配設されている。樋54にはパイプ56を通じてポンプ装置52が給水されて水が貯留されている。図13に示すように、シート55の上端部55aは樋54に貯留された水中に垂下している。シート55は、毛細管作用により樋54内の水を吸い込み、毛細管作用によりシート55の広い範囲に水を含浸する。したがってシート55には、太陽光に曝される薄水膜が生成される。シート51はシート55に含浸された水が地中に吸収されて消失するのを防止する。ポンプ装置52、パイプ53、樋54、パイプ56は、シート55に水を供給する水供給手段を構成している。また水供給手段、シート51、55は水蒸気団生成ユニットB1を構成している。図12に示すように、水蒸気団生成ユニットB1は、陸上に任意個数設置される。
太陽光(矢印E)のエネルギーや地熱Hによりシート55の薄水膜は緩められ、これに含浸された水は蒸気化温度まで上昇して水蒸気となって上空へ上昇し(矢印N1)、水蒸気団(雲)Cが生成される。降雨のメカニズムは実施の形態1と同じである。
(実施の形態6)
図14は本発明の実施の形態6における水蒸気団生成装置の側面図である。
陸地L上には貯水体としての水槽61が設置されている。水槽61の上端部側に設けられたポンプ装置62は、パイプ63によって海洋Sや湖沼、河川の水を吸い上げ、パイプ64を通して水槽61に供給する。水槽61の水面には実施の形態1〜4と同様の物体、例えば物体1が配設されている。したがって物体1の表面のシート1bに吸い上げられて太陽光に曝された薄水膜の水は、太陽光のエネルギーと地熱Hによって暖められ、水蒸気となって上昇し(矢印N1)、上空に水蒸気団(雲)Cを生成する。水槽61には、実施の形態1〜4の何れの物体を配設してもよい。水槽61、ポンプ装置62、パイプ63、64は水供給手段を構成している。また水供給手段と物体1が配設された水槽61は、水蒸気団生成ユニットB2を構成している。この水蒸気団生成ユニットB2も、任意個数陸上に設置される。降雨のメカニズムは、実施の形態1と同じである。
本発明は実施の形態1〜6に限定されないのであって、様々な設計変更が可能である。例えば実施の形態1〜4において、最外周の物体1、11、21、31にアンカーを取り付けて漂流防止手段としてもよく、そうすれば枠体2は不要である。また実施の形態1、2、4では、毛細管作用を得るために毛細管作用を有するシートを用いていたが、毛細管作用を有する多孔性の合成樹脂をコーティングするなどして物体の表面に毛細管作用を確保してもよい。また実施の形態5では、毛細管作用を有するシートを用いずに、不透性シートに毛細管作用を有する多孔性の合成樹脂をコーティングするなどして物体の表面に毛細管作用を確保してもよい。また保守管理用の船に乗船した作業者が、物体を手回しするなどして、塩が残留固着した物体の部位を水中に没入させて塩を溶出させてもよい。またモータやエンジンなどの動力手段により強制的に物体を海面下に沈めたり、物体を回転させたりしてシートに付着した塩を海中に溶出させてもよい。あるいは、海水や淡水をポンプにより吸い上げ、物体にスプリンクラー等により散水して塩を溶出させてもよい。但し、このようにすると、コストパフォーマンス上不利である。
本発明の装置や方法によれば、常に雨が必ず降るというものではない。雨が降る確率は水蒸気団生成装置の平面積、シートや物体の毛細管力の大きさ、水蒸気団生成装置の設置位置や上昇・移動位置付近の気象条件等のパラメータである。例えば、水蒸気団生成装置の平面積が広い程、降雨が実現する可能性は高くなる。また、タイミングを見計らって、上空に生成された水蒸気団にドライアイスを散布して雨滴の生成を促進してもよく、このように従来の人工降雨方法を併用すれば、より高い確率で降雨が期待できる。また気象状況が強風下であれば、物体から蒸発した水蒸気は大気中に拡散してしまうので、降雨の確率はきわめて低くなるであろう。要は、要求される設備費や保守管理費等のコストパフォーマンスの下で、雨量の少ない地域に望まれる月間降雨量や年間降雨量が得られればよいのである。
本発明によれば、物体の表面の薄水膜に太陽光が照射されることにより、薄水膜は熱効率よく蒸発温度まで上昇して蒸発し、上空へ上昇して湿度の高い水蒸気団となる。この水蒸気団が例えば砂漠等の陸地の上空へ移動し、殊に太陽光のエネルギーが小さくなる午後遅くの温度低下や、日没後の夜間温度の低下により冷却されて雨滴となり、雨となって地上に降る。したがって従来の海水の淡水化装置よりもはるかに大量かつ安価に淡水である降雨を実現できる。したがって砂漠や少雨地域の生活環境や植生環境を著しく向上でき、またこれらの地域での農業、工業、サービス業等の諸産業の振興が可能となる。よって本発明の産業上の利用可能性はきわめて大きい。
本発明の実施の形態1における水蒸気団生成装置の全体側面図 本発明の実施の形態1における水蒸気団生成装置の平面図 本発明の実施の形態1における水蒸気団生成装置の平面図 本発明の実施の形態1における水蒸気団生成装置に用いられる物体の斜視図 本発明の実施の形態1における水蒸気団生成装置に用いられる物体の断面図 本発明の実施の形態2における物体の断面図 本発明の実施の形態2における海洋や湖沼、河川に設置された水蒸気団生成装置の平面図 本発明の実施の形態3における物体の断面図 本発明の実施の形態4における物体の斜視図 本発明の実施の形態4における物体の断面図 本発明の実施の形態4における水蒸気団生成装置の平面図 本発明の実施の形態5における水蒸気団生成装置の側面図 本発明の実施の形態5における水蒸気団生成装置の一部側面図 本発明の実施の形態6における水蒸気団生成装置の側面図
符号の説明
1、11、21、31 物体
1b、11b、31b シート
2 枠体(漂流防止手段)
3 アンカー(漂流防止手段)
51 不透水性シート
52、62 ポンプ装置
53、56、63、64 パイプ
55 シート
61 水槽(貯水体)

Claims (8)

  1. 毛細管作用により水源の水を吸収して太陽光に曝される薄水膜を生成する物体を複数個設け、この薄水膜中の水を太陽光のエネルギーにより蒸発させて上空に水蒸気団を生成することを特徴とする水蒸気団生成装置。
  2. 前記物体が水源の水面に浮遊する物体であって、水面下の水を毛細管作用により物体に吸収して、水面上の物体の部位に前記薄水膜を生成することを特徴とする請求項1記載の水蒸気団生成装置。
  3. 前記物体の表面に毛細管作用を有するシートを装着し、このシートの毛細管作用により水面下の水を吸収して前記薄水膜を生成することを特徴とする請求項2記載の水蒸気団生成装置。
  4. 前記物体が毛細管作用を有する物質により中空に形成されており、前記物体が毛細管作用により水面下の水を吸収して前記薄水膜を生成することを特徴とする請求項2記載の水蒸気団生成装置。
  5. 陸上に配設される不透水性シートと、この不透水性シート上に敷設される毛細管作用を有するシートと、このシートに水源から汲み上げた水を供給し、供給された水を毛細管作用によりこのシートに含浸させて太陽光に曝される薄水膜を生成する水供給手段とから成ることを特徴とする水蒸気団生成装置。
  6. 陸上に配設される貯水体と、この貯水体に配設されて毛細管作用によりこの貯水体内の水を吸い上げ太陽光に曝される薄水膜を生成する物体と、水源から汲み上げた水をこの貯水体に供給する水供給手段とから成ることを特徴とする水蒸気団生成装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の水蒸気団生成装置により水蒸気団を生成し、この水蒸気団を気流により陸地の上空へ上昇させてこの水蒸気団中の水蒸気を雨滴化し、陸上に雨を降らせることを特徴とする人工降雨方法。
  8. 海面や湖面などの水面上に、太陽光に曝されて太陽光のエネルギーによって昇温して蒸発する薄水膜を毛細管作用によって生成し、薄水膜から蒸発して生成された水蒸気団を上空へ上昇させ、水蒸気団を冷却させて降雨を発生させることを特徴とする人工降雨方法。
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