JP2009218661A - 画像歪み補正機能を有する撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型・薄型の撮像光学系においても、撮影シーンに応じてパースペクティブ効果の補正を行うことが可能な画像歪み補正機能を有する撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮像装置は、被写体からの光学的信号を集光する撮像光学系101と、前記光学的信号を画像信号に変換する撮像素子102と、前記被写体までの複数の距離情報を出力する距離情報取得部103、104、106と、自装置の姿勢情報を出力する姿勢情報検出部105と、前記距離情報と前記姿勢情報とを用いて前記画像信号のパースペクティブ効果を補正する画像処理部107と、を有する、ことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は画像歪み補正の技術分野に属し、パースペクティブ効果による画像の遠近感強調を補正して良好な画像を得ることができる画像歪み補正機能を有する撮像装置に関する。
近年、デジタルスチルカメラ等の撮像装置の発展は著しく、小型・軽量であり、かつ高画素数の機種が急速に普及している。そして、デジタルスチルカメラの撮像光学系もそれに対応し、小型・薄型のレンズが要求され、開発されている。中でも、手軽に持ち運べ、広角側から望遠側まで1つの撮像光学系で撮影できるデジタルスチルカメラの要求が高まっている。
このように撮像光学系の小型化・薄型化が進んでくると、各種の収差特性や解像力特性といった基本的な光学性能を十分維持していくことが困難となり、特に広角側において発生する歪曲収差の影響が光学性能を維持する上で大きな問題となってきた。そこで、撮影画像を圧縮・伸張させることにより歪曲収差を取り除く補正技術が開発され、実用化されている。このため、比較的小型・薄型の撮像光学系を用いても、広角側で歪曲収差の少ない撮影画像を得ることが可能となってきた。
一方、撮像光学系の収差特性とは別に、特に広角側において構造物の撮影における被写体の遠近感強調、すなわちパースペクティブ効果が知られている。撮影画像の圧縮・伸張による歪曲収差の補正技術により、広角側において歪曲収差の補正が進むと、広角側において発生していたパースペクティブ効果が相対的に問題となってくる。特に広角側においては、撮像光学系の樽型収差を補正するため、パースペクティブ効果が助長される場合がある。
これまでも、比較的大型の撮像光学系では広角側においても歪曲収差が非常に少ないため、パースペクティブ効果による遠近感強調の問題が顕在していた。そのため、高層ビルの撮影等、パースペクティブ効果による違和感を生じやすい被写体には、あおりレンズといった専用のレンズを用いて撮影を行うことで、パースペクティブ効果の影響を緩和し、自然な撮影画像を得ることを可能にしている。
小型・薄型の撮像光学系を用いて高層ビルの撮影等を行う場合は、パースペクティブ効果の補正機能を有していないため、パースペクティブ効果による遠近感強調が起こり、目視と異なる撮影画像が得られることにより違和感が生じる。
この問題を解決するために、車両の外界認識装置の技術分野における特許文献1には、乗員数の増減など車両の定常的なピッチ角変動による俯角を、相互に平行と仮定される2本の走行路区分線を検出し、その平行度を判定することで補正する技術が開示されている。
特開平10−40499号公報
しかしながら、車両の外界認識装置に使用されるカメラにおいては、道路上の2本の走行路区分線を検出して画像処理を行うため、走行路区分線等あらかじめ平行であることがわかっている目標物が存在するとは限らない一般被写体の場合に適用することは困難である。
一方、あおりレンズを用いて撮影を行うカメラは、専用のあおりレンズが必要となり、かつ目視であおり量を設定しなければならないため、調整が難しい等の課題を有している。
本発明は、上記課題を解決するためになされ、その目的とするところは、専用のあおりレンズを用いることなく、小型・薄型の撮像光学系においても、撮影シーンに応じてパースペクティブ効果の補正を行うことが可能な画像歪み補正機能を有する撮像装置を提供することにある。
上記従来の課題を解決するために、本発明の撮像装置は、被写体からの光学的信号を集光する撮像光学系と、前記光学的信号を画像信号に変換する撮像素子と、前記被写体までの複数の距離情報を出力する距離情報取得部と、自装置の姿勢情報を出力する姿勢情報検出部と、前記距離情報と前記姿勢情報とを用いて前記画像信号のパースペクティブ効果を補正する画像処理部と、を有する、ことを特徴とする。自装置の姿勢情報および被写体までの距離情報を用いて画像信号のパースペクティブ効果の補正を行うので、小型・薄型の撮像光学系を有する撮像装置においても、撮影シーンに応じてパースペクティブ効果の補正を行うことができるという効果を奏する。
本発明の撮像装置は、前記撮像光学系が、前記光学的信号を前記撮像素子に合焦させるためのフォーカスレンズ、を有し、前記距離情報取得部は、前記光学的信号が前記撮像素子に合焦したときの前記フォーカスレンズの位置情報に対応する前記被写体までの距離情報を出力する、ことを特徴としてもよい。コントラスト方式のオートフォーカス機能を有する撮像装置に容易に適用することができる。
本発明の撮像装置は、前記撮像光学系が、前記光学的信号を前記撮像素子に合焦させるためのフォーカスレンズと、前記撮像光学系の光軸と垂直な平面内を移動できる移動レンズとを有し、前記距離情報取得部は、前記光学的信号が前記撮像素子に合焦したときの前記移動レンズの移動量に対応する前記被写体までの距離情報を出力する、ことを特徴としてもよい。レンズシフト方式の手ぶれ補正機能を有する撮像装置に容易に適用することができる。
本発明の撮像装置は、前記撮像光学系が、前記光学的信号を前記撮像素子に合焦させるためのフォーカスレンズ、を有し、前記撮像素子は、前記撮像光学系の光軸と垂直な平面内を移動でき、前記距離情報取得部は、前記光学的信号が前記撮像素子に合焦したときの前記撮像素子の移動量に対応する前記被写体までの距離情報を出力する、ことを特徴としてもよい。CCDシフト方式の手ぶれ補正機能を有する撮像装置に容易に適用することができる。
本発明の撮像装置は、前記画像処理部が、前記被写体が略鉛直であるときは前記画像信号のパースペクティブ効果を補正し、前記被写体が略鉛直でないときは前記画像信号のパースペクティブ効果を補正しない、ことを特徴としてもよい。パースペクティブ効果の補正を行うことが不適切な被写体に対しては、パースペクティブ効果の補正を行わないことで、被写体に関わらず常に良好な画像を得ることができるという効果を奏する。
本発明の撮像装置は、前記姿勢情報が、自装置の仰角または俯角である、ことを特徴としてもよい。被写体を見上げる場合でも、被写体を見下ろす場合でも、常に良好な画像を得ることができるという効果を奏する。
本発明の撮像装置は、前記被写体までの複数の距離情報が、前記画像信号の縦方向に整列した複数の領域に対応する、ことを特徴としてもよい。
以上のように、本発明は、パースペクティブ効果による遠近感強調を緩和する画像歪み補正を行う際、自装置の姿勢情報および被写体までの距離情報を用いて補正情報を演算する構成により、小型・薄型の撮像光学系においても、撮影シーンに応じてパースペクティブ効果の補正を行うことが可能な画像歪み補正機能を有する撮像装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
(1.構成)
図1は、本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明のデジタルスチルカメラ100は、撮像光学系101、撮像素子102、撮像光学系制御部103、合焦位置判定処理部104、姿勢情報検出部105、距離情報格納部106、画像処理部107、メモリ記憶部108を具備している。撮像光学系101は、ズームレンズ101a、フォーカスレンズ101b、手ぶれ補正レンズ101cを具備している。画像処理部107は、前処理部107a、補正情報演算部107b、歪補正処理部107c、画像変換処理部107dを具備している。
撮像光学系101は、複数のレンズ(群)を具備しており、被写体の光学的信号を撮像素子102に集光する。ズームレンズ101aは、光軸O−O’方向に移動することで光学系101の焦点距離を変える。フォーカスレンズ101bは、光軸O−O’方向に移動することで、被写体の光学的信号を撮像素子102に合焦させる。手ぶれ補正レンズ101cは、光軸O−O’と垂直な面内を移動することで撮影者の手ぶれを補正する。撮像素子102は、撮像光学系101によって集光された被写体の光学的信号を画像信号に変換する素子であって、CCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサー等を使用することができる。
撮像光学系制御部103は、ズームレンズ101aを光軸O−O’方向に移動させて光学系101の焦点距離を変え、フォーカスレンズ101bを光軸O−O’方向に移動させて被写体の光学的信号を撮像素子102に合焦させるとともに、被写体の状況に応じて、撮像光学系101に具備されるシャッターユニット、アイリスユニット(いずれも図示せず)を制御して撮像素子102に適正な露光量を与える。撮像光学系制御部103は、同時に撮像光学系101の焦点距離とフォーカスレンズ101bの位置情報を合焦位置判定処理部104に送る。
合焦位置判定処理部104は、撮像素子102によって変換された画像信号から被写体の光学的信号が撮像素子102に合焦したかどうかを判定する。被写体の光学的信号が撮像素子102に合焦したかどうかの判定は、撮像光学系制御部103に制御信号を送り、フォーカスレンズ101bを光軸O−O’方向に微小距離ずつ移動させながら、撮像素子102によって変換された画像信号の有するコントラストが最大になったかどうかで行う。
図2は、撮像素子102を光軸O−O’方向から見た図である。被写体の光学的信号が撮像素子102に合焦したかどうかの判定は、図2に示す撮像素子102上の三つの領域A・B・Cについて行う。すなわち、撮像光学系制御部103に制御信号を送り、フォーカスレンズ101bを光軸O−O’方向に微小距離ずつ移動させながら、領域A・B・Cのそれぞれについて、撮像素子102によって変換された画像信号の有するコントラストが最大になるフォーカスレンズ101bの位置情報を取得する。
合焦位置判定処理部104は、距離情報格納部106から、領域A・B・Cのそれぞれについて、撮像光学系101の焦点距離と撮像素子102によって変換された画像信号の有するコントラストが最大になるフォーカスレンズ101bの位置情報に対応する被写体までの距離情報を取得する。距離情報格納部106には、撮像光学系101の焦点距離とフォーカスレンズ101bの位置情報に対応した被写体までの距離情報が格納されている。合焦位置判定処理部104は、撮像素子102によって変換された画像信号を前処理部107aに送るとともに、距離情報格納部106から取得した領域A・B・Cのそれぞれについての被写体までの距離情報を補正情報演算部107bに送る。
前処理部107aは、合焦位置判定処理部104から送られた画像信号に対して、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、キズ補正等の前処理を行い、前処理後の画像信号を歪補正処理部107cに送る。
姿勢情報検出部105は、本発明のデジタルスチルカメラ100の姿勢情報(仰角)を検出し、補正情報演算部107bに送る。姿勢情報検出部105には、加速度センサー等を使用することができる。近年のデジタルスチルカメラには、撮影者の手ぶれを補正するために加速度センサー等が搭載されている場合が多い。加速度センサーは、本発明のデジタルスチルカメラ100が静止していると重力の加速度を検出する。本発明のデジタルスチルカメラ100に仰角が与えられると重力の加速度が変化するので、姿勢情報(仰角)を得ることができる。また、姿勢情報検出部105は、手ぶれ補正レンズ101cの自重情報を利用する構成としてもよい。使用者の手ぶれを補正するとき以外は手ぶれ補正レンズ101cの中心が光軸O−O’上に位置するように制御している。このときの駆動力から手ぶれ補正レンズ101cの自重情報を得ることができる。本発明のデジタルスチルカメラ100に仰角が与えられると手ぶれ補正レンズ101cの自重情報が変化するので、姿勢情報(仰角)を得ることができる。また、機械式傾斜計を内蔵する構成でも構わない。
補正情報演算部107bは、合焦位置判定処理部104から送られた領域A・B・Cのそれぞれについての被写体までの距離情報と姿勢情報検出部105から送られた本発明のデジタルスチルカメラ100の姿勢情報(仰角)から、前処理部107aによって前処理を行われた画像信号に対して、パースペクティブ効果の補正を行うために必要な補正情報を演算し、歪補正処理部107cに送る。
歪補正処理部107cは、前処理部107aから送られた画像信号に対して、補正情報演算部107bから送られた補正情報を用いてパースペクティブ効果の補正を行い、補正後の画像信号を画像変換処理部107dに送る。
画像変換処理部107dは、歪補正処理部107cから送られた画像信号にJPEG等の画像信号圧縮を行い、または、画像信号圧縮を行わない(いわゆるRAW画像信号)でメモリ記憶部108に記憶させる。メモリ記憶部108は、SDカード(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の不揮発性メモリを使用した半導体記憶装置やハードディスク等を使用することができる。
なお、補正情報演算部107bと歪補正処理部107cの動作の詳細については、後述する。撮像光学系制御部103と合焦位置判定処理部104と距離情報格納部106は、本発明の距離情報取得部を構成する。
(2.動作)
次に本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラ100の動作を説明する。図3、図4、図5は、本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラ100の動作を示す図である。図3のように地上から高層ビルの撮影を行なった場合、高層ビルの最上部まで画角に入るように高層ビルを見上げて撮影を行うと、目視での見え方が図4(a)のようになるのに対し、撮影画像では周辺にいく程、パースペクティブ効果による遠近感強調が起こり、図4(b)のような撮影画像がメモリ記憶部108に記憶されてしまう。
本発明のデジタルスチルカメラ100では、図5に示すように、合焦位置判定処理部104が、撮像光学系制御部103から送られた撮像光学系101の焦点距離とフォーカスレンズ101bの位置情報に基づいて、領域A・B・Cのそれぞれについての被写体までの距離情報l・m・nを距離情報格納部106から取得し、補正情報演算部107bに送る。また、姿勢情報検出部105が、本発明のデジタルスチルカメラ100の姿勢情報(仰角θ)を検出し、補正情報演算部107bに送る。
補正情報演算部107bは、合焦位置判定処理部104から送られた領域A・B・Cのそれぞれについての被写体までの距離情報l・m・nと姿勢情報検出部105から送られた本発明のデジタルスチルカメラ100の姿勢情報(仰角θ)から、被写体が高層ビル等の垂直に立てられた構造物であるかを判断する。
図6に、被写体が高層ビル等の垂直に建てられた構造物であるかの判断方法の一例を示す。図6(a)は被写体が高層ビル等の垂直に建てられた構造物である場合を示す図であり、図6(b)は被写体が山の斜面等である場合を示す図である。角度αは、領域Aの中心と領域Bの中心および領域Bの中心と領域Cの中心のなす角度であり、撮像光学系101の焦点距離に対応した既知の角度である。領域A・B・Cのそれぞれについての被写体までの距離情報l・m・nと本発明のデジタルスチルカメラ100の姿勢情報(仰角θ)も既知である。
したがって、被写体が高層ビル等の垂直に建てられた構造物である場合の図6(a)では、本発明のデジタルスチルカメラ100から被写体である高層ビルまでの水平距離をXとすると、式(1)の関係が成立する。
X=lcos(θ+α)=mcosθ=ncos(θ−α) 式(1)
また、このとき、式(2)の関係も同時に成立する。
l>m>n 式(2)
一方、被写体が山の斜面等である場合の図6(b)では、式(2)の関係は成立するが、式(1)の関係は成立しない。図6(b)の場合、式(1)は式(1)’となる。
lcos(θ+α)>mcosθ>ncos(θ−α)>X 式(1)’
そこで、式(1)、式(2)の関係がともに成立するときに、被写体が高層ビル等の垂直に建てられた構造物であることが判断できる。
補正情報演算部107bは、被写体が高層ビル等の垂直に建てられた構造物であると判断すると、領域A・B・Cのそれぞれについての被写体までの距離情報l・m・nと本発明のデジタルスチルカメラ100の姿勢情報(仰角θ)から、前処理部107aによって前処理を行われた画像信号に対して、パースペクティブ効果の補正を行うために必要な補正情報を演算し、歪補正処理部107cに送る。
ここで、補正情報の演算について図7を用いて説明する。図7は、補正情報の演算の一例を示す図である。補正情報演算部107bでは、前処理部107aによって前処理を行われた画像信号の各位置における拡大・縮小率を演算する。
撮影された高さHの画像を本発明のデジタルスチルカメラ100の光軸O−O’に垂直な平面内で高さLの画像に補正する場合について説明する。撮影時の本発明のデジタルスチルカメラ100の姿勢情報(仰角θ)と半画角βから、高さHと補正後の高さLには式(3)の関係が成立する。
L=Hcosθ−Hsinθtanβ 式(3)
ここで、tanβは、本発明のデジタルスチルカメラ100の撮像素子102の対角寸法と撮影時の撮像光学系101の焦点距離から、式(4)のように求められる。
tanβ=(撮像素子の対角寸法)÷(撮影時の焦点距離) 式(4)
したがって、式(3)と式(4)から補正後の高さLを求めることができる。
しかし、このようにして補正後の高さLを求めると、パースペクティブ効果が完全に補正されてしまい、かえって違和感のある画像となる場合がある。例えば、撮影時の本発明のデジタルスチルカメラ100の焦点距離が35mm換算で28mmであり、姿勢情報(仰角θ)が約29°の場合には、補正後の高さLは、高さHの1/2程度となる。そこで、姿勢情報(仰角θ)に一定の係数(例えば、0.8程度)をかけると適度にパースペクティブが補正された画像を得ることができる。この係数は、撮影時の本発明のデジタルスチルカメラ100の焦点距離や姿勢情報(仰角θ)よって異なる値としてもよい。
なお、本発明のデジタルスチルカメラ100の光軸O−O’に垂直な平面は、領域A・B・Cのそれぞれについての被写体までの距離情報l・m・nのうち、最も近いものを基準とすることで、補正後の画像の切れを防止することができる。
以上、画像の上下方向に関する補正情報の演算について説明したが、画像の左右方向に関する補正情報の演算についても、同様である。ただし、画像の左右方向に関する補正情報の演算においては、画像の左右方向の中心を基準として、左右対称に演算することが望ましい。これにより、画像の左右方向においても、補正後の画像の切れを防止することができる。
上記演算を繰り返すことにより、画像の上下方向および左右方向の各位置における補正情報を演算し、歪補正処理部107cに送る。
歪補正処理部107cは、前処理部107aから送られた画像信号に対して、補正情報演算部107bから送られた補正情報を用いてパースペクティブ効果の補正を行い、補正後の画像信号を画像変換処理部107dに送る。図8は、パースペクティブ効果の補正を示す図である。図8(a)は前処理部107aから送られた画像信号を示す図であり、図8(b)は歪補正処理部107cによって画面位置に応じた伸張補正が行われパースペクティブ効果が緩和された画像信号を示す図である。具体的には、図8(a)の中心より左側の画素を左斜めうえ方向に、中心より右側の画素を右斜め上方向に電子的に移動させる。これによって画素の不足が生じるが、周辺画素の情報を用いて電子的に補間する。なお、図8(a)、(b)の破線は、遠近感の強調度合いを示すために記載したものであり、実際の画像信号には含まれない。
次に、補正情報演算部107bが、被写体が高層ビル等の垂直に建てられた構造物であると判断できない場合について説明する。図9は、被写体が高層ビル等の垂直に建てられた構造物であると判断できない場合を示す図である。図9は、壁に掛けられ俯角のついた額を見上げながら撮影する場合を示している。この場合は、式(1)、式(2)の関係がともに成立しないため、被写体が高層ビル等の垂直に建てられた構造物であると判断できない。図9の場合、式(1)は式(1)’’となり、式(2)は式(2)’となる。
lcos(θ+α)<mcosθ<ncos(θ−α)<X 式(1)’’
l≒n>m 式(2)’
したがって、補正情報演算部107bは補正情報を歪補正処理部107cに送らず、歪補正処理部107cは前処理部107aから送られた画像信号に対して、パースペクティブ効果の補正を行わない。
図10は、被写体が高層ビル等の垂直に建てられた構造物であると判断できないもう1つの場合を示す図である。図10は、高層ビル等の垂直に建てられた構造物の前に人物が立っている場合を示している。この場合は、式(1)、式(2)の関係がともに成立しないため、被写体が高層ビル等の垂直に建てられた構造物であると判断できない。図10の場合、式(1)は式(1)’’’となり、式(2)は式(2)’’となる。
X=lcos(θ+α)>>mcosθ≒ncos(θ−α) 式(1)’’’
l>>m≒n 式(2)’’
したがって、補正情報演算部107bは補正情報を歪補正処理部107cに送らず、歪補正処理部107cは前処理部107aから送られた画像信号に対して、パースペクティブ効果の補正を行わない。
なお、本発明の第1の実施例では、上下方向についてパースペクティブ効果の補正を行ったが、左右方向についても同様の方法でパースペクティブ効果の補正を行うことが可能である。その場合は、被写体までの距離情報を取得する領域を左右方向に設ける必要がある。
また、本発明の第1の実施例では、被写体までの距離情報を取得する領域を領域A・B・Cの3つとしたが、複数の領域から距離情報が取得できればよいため、領域の数を3つに限定するものではない。被写体までの距離情報の取得は、領域A・B・Cのそれぞれについて、撮像素子102によって変換された画像信号の有するコントラストが最大になるフォーカスレンズ101bの位置情報を取得することにより行ったが、これに限定するものではない。位相差検出方式やアクティブ方式で、被写体までの距離情報を取得してもよい。
また、本発明の第1の実施例では、地上から高層ビルを見上げて撮影を行う場合を想定したが、これとは逆に高層ビルの屋上から地上を見下ろして撮影を行うような場合でも、同様の方法でパースペクティブ効果の補正を行うことができる。
(実施の形態2)
(1.構成)
本発明の第1の実施例では、複数の領域のそれぞれについて被写体までの距離情報を取得したが、本発明の第2の実施例では、デジタルスチルカメラが撮影者の手ぶれを補正するために撮像光学系101内に手ぶれ補正レンズ101cを具備している場合、撮影前に手ぶれ補正レンズ101cを移動させることで、単一の領域で被写体までの距離情報を取得することを特徴とする。本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラの構成は、本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラの構成と同じであるため、説明を省略する。手ぶれ補正レンズ101cは、本発明の移動レンズの一例である。
(2.動作)
図11は、手ぶれ補正レンズ101cを移動させることによる効果を示す図である。図11(a)は手ぶれ補正レンズ101cを移動させていない状態を、図11(b)は手ぶれ補正レンズ101cを上向きに移動させた状態を、図11(c)は手ぶれ補正レンズ101cを下向きに移動させた状態をそれぞれ示す。
図11(a)では、手ぶれ補正レンズ101cを移動させていないため、手ぶれ補正レンズ101cの中心は光軸O−O’上にあり、撮像素子102によって変換された画像信号は光軸O−O’を中心にズームレンズ101aの位置によって決定される焦点距離に対応した画角の範囲を捕らえている。
合焦位置判定処理部104は、距離情報格納部106から、領域Bについて、撮像光学系101の焦点距離と撮像素子102によって変換された画像信号の有するコントラストが最大になるフォーカスレンズ101bの位置情報に対応する被写体までの距離情報mを取得する。
図11(b)では、手ぶれ補正レンズ101cを上向きに移動させたため、手ぶれ補正レンズ101cの中心は光軸O−O’よりも上にあり、撮像素子102によって変換された画像信号は光軸O−O’に対して角度αだけ下向きにズームレンズ101aの位置によって決定される焦点距離に対応した画角の範囲を捕らえている。
合焦位置判定処理部104は、距離情報格納部106から、領域Bについて、撮像光学系101の焦点距離と撮像素子102によって変換された画像信号の有するコントラストが最大になるフォーカスレンズ101bの位置情報に対応する被写体までの距離情報nを取得する。
図11(c)では、手ぶれ補正レンズ101cを図10(b)と同じ移動量だけ下向きに移動させたため、手ぶれ補正レンズ101cの中心は光軸O−O’よりも下にあり、撮像素子102によって変換された画像信号は光軸O−O’に対して角度αだけ上向きにズームレンズ101aの位置によって決定される焦点距離に対応した画角の範囲を捕らえている。
合焦位置判定処理部104は、距離情報格納部106から、領域Bについて、撮像光学系101の焦点距離と撮像素子102によって変換された画像信号の有するコントラストが最大になるフォーカスレンズ101bの位置情報に対応する被写体までの距離情報lを取得する。
以上の動作を行う間、ズームレンズ101aの位置は固定する。このようにして、単一の領域Bで被写体までの距離情報l・m・nを取得することができる。
図12は、本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラ100の動作を示す図である。まず、手ぶれ補正レンズ101cの中心を光軸O−O’上に固定し(図11(a)の状態)、領域Bについて被写体までの距離情報mを取得する。次に、手ぶれ補正レンズ101cを上向きに移動させ(図11(b)の上体)、領域Bについて被写体までの距離情報nを取得する。最後に、手ぶれ補正レンズ101cを下向きに移動させ(図11(c)の状態)、領域Bについて被写体までの距離情報lを取得する。
上記の被写体までの距離情報l・m・nおよび本発明のデジタルスチルカメラの姿勢情報(仰角θ)より、本発明の第1の実施例と同様にパースペクティブ効果の補正を行うことができる。
なお、手ぶれ補正レンズ101cの上向きおよび下向きの移動量を同じ値の固定値とすれば、角度αも固定値となる。手ぶれ補正レンズ101cの上向きおよび下向きの移動量を異なる値としてもよい。本発明のデジタルスチルカメラの姿勢情報(仰角θ)が比較的小さい場合は、手ぶれ補正レンズ101cの下向きの移動量を上向きの移動量よりも大きくするとよい。このとき、手ぶれ補正レンズ101cの上向きの移動量に対する角度αと下向きの移動量に対する角度βの2つの固定値が必要となる。
また、あらかじめ距離情報格納部106に手ぶれ補正レンズ101cの移動量に対応した角度情報を格納しておき、合焦位置判定処理部104が撮像光学系制御部103から送られた撮影前の手ぶれ補正レンズ101cの移動量に対応する角度情報を距離情報格納部106から取得して補正情報演算部107bに送るようにしてもよい。
高層ビル等の垂直に建てられた構造物が、ズームレンズ101aの位置によって決定される焦点距離に対応した画角の範囲内で比較的下方に存在する場合は、手ぶれ補正レンズ101cを下向きに移動したときに、図12における被写体までの距離情報lが無限大となってしまうことがある。これは、図12における角度(θ+α)が大きいために、高層ビル等の垂直に建てられた構造物の上部までの距離ではなく、その上空を測定してしまうからである。このような場合には、有限の値が測定されるまで、手ぶれ補正レンズ101cの下向きの移動量を減らしていけばよい。
その際、距離情報格納部106に手ぶれ補正レンズ101cの移動量に対応した角度情報を格納しておけば、手ぶれ補正レンズ101cの任意の移動量に対応する角度情報を取得することができる。
また、手ぶれ補正レンズ101cの移動量と角度情報の関係は、撮像光学系101の設計データを用いて光学シミュレーションにより求めることができる。その際、撮像素子102の分光感度比率に応じた結像の重心位置を用いて角度情報を手ぶれ補正レンズ101cの移動量の関数として距離情報格納部106に格納することで、データ量が比較的少なく、汎用性が高くなるため望ましい。
なお、本発明の実施例2では手ぶれ補正レンズ101cを移動させる構成としているが、手ぶれ補正レンズ101cではなく撮像素子102を移動させる構成としても同様の効果が得られる。手ぶれ補正には、大きく、手ぶれ補正レンズを移動させるレンズシフト方式と撮像素子(CCD)を移動させるCCDシフト方式が実用化されているが、いずれの方式でも被写体までの複数の距離情報の取得に利用することができる。
以上のように、本発明の実施例2では被写体の距離情報の取得に際し、デジタルスチルカメラ100の手ぶれ補正機能を利用することで、単一の領域Bで被写体までの複数の距離情報l・m・nを取得することが可能になることから、領域位置のバラツキによる誤差を少なくすることが可能となる。
(その他の実施の形態)
本発明の第1の実施例および第2の実施例では、本発明のデジタルスチルカメラの操作系を限定していない。本発明の画像歪み補正機能は、本発明のデジタルスチルカメラの設定に関わらず自動的に実施されるように構成してもよいし、撮影者が所定の設定を行うことで実施されるように構成してもよい。また、撮影者が所定の設定を行うことで補正の強弱を調整できるように構成してもよい。また、撮影者が所定の設定を行うことで、本発明のデジタルスチルカメラの仰角または俯角が0°または微小な角度であったとしても、画像歪補正が意図的に実施されるように構成してもよい。このように、本発明の画像歪み補正機能は、本発明のデジタルスチルカメラの操作系によって限定を受けるものではない。
本発明の画像歪み補正機能を有する撮像装置は、パースペクティブ効果による画像の遠近感強調を、撮影時に意識することなく補正できるので、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ付携帯電話等の撮像装置に適用して有用である。
本発明の実施例であるデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図 撮像素子を光軸O−O’方向から見た図 本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラの動作を示す図(撮影状況) 本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラの動作を示す図(撮影画像) 本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラの動作を示す図(距離情報) 被写体が高層ビル等の垂直に建てられた構造物であるかの判断方法の一例を示す図 補正情報の演算の一例を示す図 パースペクティブ効果の補正を示す図 被写体が高層ビル等の垂直に建てられた構造物であると判断できない場合を示す図(1) 被写体が高層ビル等の垂直に建てられた構造物であると判断できない場合を示す図(2) 手ぶれ補正レンズを移動させることによる効果を示す図 本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラの動作を示す図
符号の説明
100 デジタルスチルカメラ
101 撮像光学系
101a ズームレンズ
101b フォーカスレンズ
101c 手ぶれ補正レンズ
102 撮像素子
103 撮像光学系制御部
104 合焦位置判定処理部
105 姿勢情報検出部
106 距離情報格納部
107 画像処理部
107a 前処理部
107b 補正情報演算部
107c 歪補正処理部
107d 画像変換処理部
108 メモリ記憶部

Claims (7)

  1. 被写体からの光学的信号を集光する撮像光学系と、
    前記光学的信号を画像信号に変換する撮像素子と、
    前記被写体までの複数の距離情報を出力する距離情報取得部と、
    自装置の姿勢情報を出力する姿勢情報検出部と、
    前記距離情報と前記姿勢情報とを用いて前記画像信号のパースペクティブ効果を補正する画像処理部と、
    を有する、
    ことを特徴とする撮像装置。
  2. 前記撮像光学系は、
    前記光学的信号を前記撮像素子に合焦させるためのフォーカスレンズ、
    を有し、
    前記距離情報取得部は、
    前記光学的信号が前記撮像素子に合焦したときの前記フォーカスレンズの位置情報に対応する前記被写体までの距離情報を出力する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の撮像措置。
  3. 前記撮像光学系は、
    前記光学的信号を前記撮像素子に合焦させるためのフォーカスレンズと、
    前記撮像光学系の光軸と垂直な平面内を移動できる移動レンズと
    を有し、
    前記距離情報取得部は、
    前記光学的信号が前記撮像素子に合焦したときの前記移動レンズの移動量に対応する前記被写体までの距離情報を出力する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  4. 前記撮像光学系は、
    前記光学的信号を前記撮像素子に合焦させるためのフォーカスレンズ、
    を有し、
    前記撮像素子は、
    前記撮像光学系の光軸と垂直な平面内を移動でき、
    前記距離情報取得部は、
    前記光学的信号が前記撮像素子に合焦したときの前記撮像素子の移動量に対応する前記被写体までの距離情報を出力する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  5. 前記画像処理部は、
    前記被写体が略鉛直であるときは前記画像信号のパースペクティブ効果を補正し、
    前記被写体が略鉛直でないときは前記画像信号のパースペクティブ効果を補正しない、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の撮像装置。
  6. 前記姿勢情報は、
    自装置の仰角または俯角である、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の撮像装置。
  7. 前記被写体までの複数の距離情報は、
    前記画像信号の縦方向に整列した複数の領域に対応する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の撮像装置。
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