JP2009211987A - 弾道電子放出源、真空管デバイス、表示デバイス、テラヘルツ放出源、電磁波放出デバイス及びx線源 - Google Patents

弾道電子放出源、真空管デバイス、表示デバイス、テラヘルツ放出源、電磁波放出デバイス及びx線源 Download PDF

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Abstract

【課題】集束電極を設けることなく、電子の集束発散を制御するとともに、電子の放出角度を制御でき、効率良く固体中から電子を放出できるようにすることを目的とする。
【解決手段】ナノ結晶粒401と、ナノ結晶粒401を覆う絶縁物402とからなる電子ドリフト層104を挟んで、カソード電極106とアノード電極107とが形成される弾道電子放出源において、カソード電極106及びアノード電極107のうち少なくとも一方を複数配置することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、弾道電子放出源、真空管デバイス、表示デバイス、テラヘルツ放出源、電磁波放出デバイス及びX線源に関し、特に、集束電極を必要としない弾道電子放出源、真空管デバイス、表示デバイス、テラヘルツ放出源、電磁波放出デバイス及びX線源に関する。
電界放出型電子素子は、以下の2種類に大別することができる。
素子が形成された基板面に対して垂直な方向に電子を放出させることにより動作させる縦型素子と、素子が形成された基板面に対して平行な方向に電子を放出させることにより動作させる平面型素子とである。
通常、電界放出型電子素子の電子放出部は、電子放出電極と電子引き出し電極とにより構成されている。
縦型素子は、電子放出部の両電極間の容量を小さくすることが困難な構造であるため、高速動作に適さない。
一方、電子放出部の両電極間の容量を小さくすることが容易な構造の平面型素子は、高速動作が可能で、高速素子等への応用が期待されている。
特許文献1には、弾道電子を放出する弾道電子放出源として、半導体基板と電極の間に量子サイズ効果を有する微粒子を積層して、半導体基板と電極の間を伝導する電子の平均自由行程を大きくした電子銃が開示されている。
弾道電子放出現象は、電子が弾道的に移動していくことで固体中で加速され、エネルギーをもって電子が放出される現象であり、電子は放出時の運動量の方向へ放出されるので、進行方向の揃った電子を放出することが可能である。
電子放出源を利用したデバイスの応用として、微小真空管や薄型表示素子等の電界放出型電子素子や、電磁波放出デバイスなどがある。
特許文献2は、電界放出電子源を微小真空管に応用した例である。
特許文献3は、表示デバイスなどにおいて電子を集束させるための集束電極とは別に遮蔽電極を設けて収束特性の優れた電子線源を得ようとするものである。しかし、収束電極にさらに遮蔽電極を設けており、構造は複雑である。
特許文献4は、電界放出電子源を電磁波放出デバイスに応用した例である。
特許文献5は、ドライプロセスのみでシリコンナノ結晶構造体を作製する方法が開示されている。
特開2001−332168号公報 特開平06−310022号公報 特開平08−106848号公報 特表2003−500862号公報 特開2006−176859号公報
従来の弾道電子放出源は半導体基板と電極の間に電圧を印加することによって基板に垂直方向に弾道電子を放出する構成で、電子を収束したり発散したり、放出角度を制御することはできなかった。また、放出方向を制御することもできなかった。
微小真空管に応用した場合、エミッタから放出された電子がアノード電極に捕集される際に、到達する箇所によって到達時間に差を生じてしまうことがある。
アノード電極を工夫することで、到達時間のばらつきを小さくしようと試みはあるが、電子の発散によりカソードからの放出電子が拡がることは解決されていない。
したがって、微小真空管の動作周波数が制限され、高速応答性及び高周波特性に優れた電界放出型電子を実現することが困難であった。
表示デバイスや電磁波放出デバイスでは、集束(発散)電極を用いて照射面積を放出部分に調整する必要があったり、複数の静電レンズを設けて電子を収束させたり発散させたりする必要があり構成が複雑であった。
そこで、本発明は、集束電極を設けることなく、電子の集束発散を制御するとともに、電子の放出角度を制御でき、効率良く固体中から電子を放出できるようにすることを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、ナノ結晶粒と、該ナノ結晶粒を覆う絶縁物とからなる電子ドリフト層を挟んで、カソード電極とアノード電極とが形成される弾道電子放出源において、前記カソード電極及び前記アノード電極のうち少なくとも一方を複数配置することを特徴とする。
本発明によれば、電子の放出角度を電極によって設定でき、集束電極を設けることなく、効率良く固体中から収束した電子を放出できるようになる。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態としての弾道電子放出源の構成を示す概略断面図である。図2は、図1のA−A線において切断した平面図である。図16は、本発明の一実施形態としての弾道電子放出源の構成を示す斜視図である。また、図1は、図2(a)のB−B線において切断したときの断面図に相当する。
図1に示すように、基板101と、第1の絶縁層102と、第2の絶縁層103と、電子ドリフト層104と、第3の絶縁層105と、カソード電極群106と、アノード電極群としての電子取り出し電極群107とがある。
本実施の形態では、基板101はn型シリコン基板である。
シリコン基板の代わりに、シリコン以外の半導体基板、絶縁性基板又は金属基板を用いることができる。
具体的には、半導体基板としては、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイド、ガリウム砒素、ガリウムリン、ガリウムナイトライドなどが使用可能である。絶縁性基板としては、ポリイミドが使用可能である。金属基板としては、アルミニウム、ステンレスなどが使用可能である。
n型シリコン基板101の上に、各電極を絶縁するための第1の絶縁層102が形成されている。
第1の絶縁層102は、基板101上に形成された集積回路(不図示)との絶縁のために設けられており、基板上に集積回路を形成しない場合や基板としてガラス基板などの絶縁物を用いた場合、設けないことも可能である。
第2の絶縁層103は、電子ドリフト層104を基板101から絶縁するために設けられており、その厚さは材質にも関係するが、基板101と電子ドリフト層104が導通しないように絶縁破壊しない程度の厚さであれば良い。たとえば、基板101がシリコンであれば、10nm〜1μmが好ましい。ガラスなどの絶縁性基板に形成する場合には設けない構成とすることもできる。
集積回路とカソード電極106や電子取り出し電極群107への接続は第1の絶縁層102に設けた貫通孔であるビアを通して不図示の配線で接続されている。
第1の絶縁層102は絶縁耐性や機械的強度、加工性を満たせばよく、一般的に半導体装置で用いられる絶縁材、たとえば、SiN、SiOなどの絶縁層を用いることができる。
また、図1において、108はカソード電極群106から放出された電子が電子取り出し電極群107に至り、電子放出源から飛び出す際の電子の軌跡を示している。以降、この軌跡を電子軌跡108と呼ぶことにする。
また、図2において、202は電子取り出し電極群107又はその一部とカソード電極106との間に印加された電圧により生じる電界の電気力線を示している。以降これを電気力線202と呼ぶ。
第2の絶縁層103の厚さを調節すると、電子軌跡108が基板101上に形成された回路(不図示)や電極(不図示)の上面からどれくらい離れた高さに位置するかを決めることができる。
また、第2の絶縁層103は、絶縁耐性や機械的強度、加工性を満たせばよく、一般的に半導体で用いられる絶縁材、たとえば、SiN、SiOなどの絶縁層を用いることができる。
また、界面での電子の散乱を低減するために第2の絶縁層103と電子ドリフト層104との界面が平坦に形成されていることが望ましく、化学的研磨などの方法によって第2の絶縁層103を平坦化することが好ましい。
図4は、電子ドリフト層104を拡大した様子を示す平面図である。
図4に示すように、電子ドリフト層104は、ナノ結晶粒401とナノ結晶粒401を覆う絶縁物402とで形成されている。
ナノ結晶粒401は、シリコン、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイド、ガリウム砒素、ガリウムリン、ガリウムナイトライドなどの半導体材料からなる。
ナノ結晶粒401の粒径が電子の平均自由行程よりも小さいとナノ結晶粒401の中では電子は無散乱で加速されるので、弾道電子となることができる。たとえば、シリコンであれば、50nm以下であることが好ましい。下限のサイズはナノ結晶粒401として半導体の性質を有するサイズであれば良く、たとえばシリコンであれば1nm以上であれば良い。
ナノ結晶粒401を覆う絶縁層402は、後記するように電子がトンネリングすることによって電子を加速する働きをしており、この部分の絶縁耐性は重要になる。
したがって、ナノ結晶粒401を絶縁破壊することなく完全に覆うことができる厚さであることが望ましい。
一方、後記するように低い印加電圧で電子がトンネリングするためには、絶縁層402は薄く形成されている必要がある。したがって、たとえば、シリコンであれば1nmから3nmが好ましい。また、その材質は良好な絶縁耐性を維持できる材料で、たとえば、SiO、SiN、AlNなどの絶縁物を用いることができる。
電子ドリフト層104に電圧を印加すると印加電圧のほとんどはナノ結晶粒401を覆う絶縁層402にかかっており、強電界領域を形成している。
電子はナノ結晶粒401を覆う絶縁層402をトンネルして隣接しているナノ結晶粒401に入り、絶縁層402を通過するごとに加速される。これが、電子取り出し電極群107方向に向かって進みながら、繰り返し起こる。
そのため、電子取り出し電極群107付近に到達した電子は、熱平衡状態よりかなり高い運動エネルギーを持つことになる。その結果、電子取り出し電極群107の仕事関数よりも大きなエネルギーをもつ電子はトンネリングして真空中に放出される。
このとき、放出された電子は電子ドリフト層中104で加速された運動量が保存された状態で真空中に放出されることとなるので、固体中での電気力線に添って加速され、その速度方向を維持したまま電子が真空中に放出される。
電子ドリフト層104の厚さは電子放出の面積を勘案して決めればよい。
電子ドリフト層104の幅、すなわち、カソード電極106と電子取り出し電極群107の間隔は、以下の三つの要件によって決定される。すなわち、絶縁破壊電圧と、カソード電極106及び電子取り出し電極群107に印加する電圧の上限と、所望の取り出し電流密度とである。ナノ結晶粒401とナノ結晶粒401を覆う絶縁層402の材質の組み合わせによって異なってくる。
たとえば、シリコンとシリコン酸化膜の組み合わせであれば、50nm〜5μmの幅が好ましい。
本実施形態において、電子ドリフト層104は、上記のように絶縁層402の内部にナノ結晶粒401が分散した構成を示したが、ナノ結晶粒401の表面に絶縁層が形成された粒子の集合体も適用できる。
図1において、第3の絶縁層105は電子ドリフト層104を覆うように形成されており、電子ドリフト層104からの不要な電子の放出を防ぐために形成されている。このような現象に配慮しない場合は設けない構成とすることもできる。
また、界面での電子の散乱を低減するために第3の絶縁層105と電子ドリフト層104との界面が平坦に形成されていることが望ましく、化学的研磨などの方法によって電子ドリフト層104を平坦化することが好ましい。
カソード電極106は電子ドリフト層104の一方の端面の一部に形成されている。カソード電極106の材料としてはAu、Pt、Al、Wなど半導体材料で一般的に用いられる材料とすることができる。
そして、不要な方向への電子の放出を防ぐ目的で、図1に示すようにカソード電極106は、第2の絶縁層103と第3の絶縁層105に接するように形成されていることがより好ましい。
電子取り出し電極群107は、電子ドリフト層104のカソード電極106に対向する他方の端面の一部に形成されている。
電子取り出し電極群107の材料は薄くても導電性が高く化学的に安定な金属が良く、また、仕事関数の小さな材料が望ましく、Au、Pt、Lu、Ag、Cuなどが望ましい。
また、その厚さは、電極中での散乱を減少させ、導電性を持たせることから、5〜50nmが望ましい。
そして、図1に示すように電子取り出し電極群107は、第2の絶縁層103と第3の絶縁層105に接するように形成されていることがより好ましい。
カソード電極106と電子取り出し電極群107との間には電子取り出し電極群107が正になる電圧を印加する回路(不図示)が設けられている。
カソード電極106と電子取り出し電極群107とに、電子取り出し電極群107が正となる電圧を数十V程度かけることにより、電子取り出し電極群107表面から電子が放出する。
図2に示すように、カソード電極106と電子取り出し電極群107との少なくとも一方を一つの電子放出源に対して複数配置する構成とすることが好ましい。
図2の例では、カソード電極106を一つ配置し、カソード電極106よりも小さな電子取り出し電極群107を複数配置している。
図2(a)の例では、中央の一つの電子取り出し電極201を選択し、カソード電極106の電位に対し、選択された電子取り出し電極201が正になるように電圧を印加することによって電子が放出される。
このとき、カソード電極106から注入された電子は電子ドリフト層104中で電気力線202に沿って加速され、選択された電子取り出し電極201に集まるように走行する。そして、選択された電子取り出し電極201を透過した弾道電子が真空中に放出される。
真空中に放出された弾道電子はその運動量が保存されているため、真空中に放出されたときの速度方向に飛行し、概略、カソード電極106と選択された電子取り出し電極107の端部を結んだ位置に集束する。
このとき、取り出し電極群107が配列している方向の、電圧が印加されている取り出し電極群107の幅は、カソード電極群106に隣接する領域の、電子がドリフトする方向の電子ドリフト層104の幅よりも、小さいことが好ましい。
言い換えれば、弾道電子放出源として使用する二つの電極の好ましい構成は、取り出し電極群107の幅がカソード電極群106の幅より小さいという構成である。小さければ、電子ドリフト層104中で電気力線202に沿って加速され、選択された取り出し電極201に集まるように走行し取り出し電極へ集束する効果がより得られる。
逆に、電子ドリフト層104の幅よりも取り出し電極107の幅が十分大きい状態では、概略カソード電極106の電子ドリフト層104と接する面に垂直に電子が放出されるようにみなせるため、電子を集束させる効果が小さい。
カソード電極106と取り出し電極群107を互いに交差する構成にすると、一方向には、電子軌跡108が発散し、一方向には集束する構成となることがある。そのため、電子ビームの形状を変えることはできるが、電子ビームを収束することができないので、カソード電極106と取り出し電極群107を互いに交差しないように配置することが好ましい。
また、図1及び図2では、カソード電極と取り出し電極を基板に対して略垂直に配置したが、基板に平行に配置しても良い。その場合は、基板に平行な幅広の集束された電子ビームを得ることができる。幅広の集束された電子ビームは広い領域を照射して効率を高めることのできる露光装置などに好適に利用できる。
選択された電子取り出し電極107の位置によっては、電子のカソード電極からの走行距離が異なることがあるので、より収束位置を修正するために夫々の電極に印加する電圧を変えることがより好ましい。
上記のように、本実施の形態の弾道電子放出源は、集束電極を設けないため取り出せる電流が大きく、効率良く固体中から集束した電子を放出できる。
次に、図3を用いて、本実施形態の弾道電子放出源素子の製造方法について説明する。
図3(a)から(d)、(f)、(h)、(j)、(l)、(n)は、本発明の一実施形態としての弾道電子放出源の製造方法における各工程を示す断面図である。
図3(e)、(g)、(i)、(k)、(m)、(o)は本発明の一実施形態としての弾道電子放出源の製造方法における各工程の上面図を示している。
図3(a)において、基板101上に第1の絶縁層102、第2の絶縁層103を順次堆積する。絶縁層は、熱酸化法、プラズマCVD法及びスパッタ法など半導体を製造する際に一般的に用いられる方法により堆積する。
次に、図3(b)において、第2の絶縁層103上に電子ドリフト層104を堆積する。電子ドリフト層104はたとえば、特許文献5に記載の方法で形成することができる。
すなわち、基板を500〜600℃に加熱し、シランガスの熱分解反応により10nm以下のシリコン結晶粒を形成し、その後、酸素ガスによりシリコンナノ結晶粒の表面を酸化する。
所望の厚さとなるまで以上の工程を繰り返し行う。
図3(c)において、電子ドリフト層104上に第3の絶縁層105を堆積する。絶縁層の堆積法はプラズマCVD法、スパッタ法など半導体製造で一般的に用いられる方法により堆積する。
続いて、図3(d)において、第3の絶縁層105上にレジスト301を前面に塗布し所定の位置にリソグラフィー技術によって、レジストを除去しエッチングする。こうすることによって、第2の絶縁層103、電子ドリフト層104、第3の絶縁層105を除去し、電子源を所定の幅で形成する。
エッチングは、半導体の製造の際に一般的に使用されるドライエッチング法やウエットエッチング法で行う。
図3(e)は、第2の絶縁層103、電子ドリフト層104及び第3の絶縁層105が所定の幅で除去されていることを示す上面図である。
図3(f)において、ウェーハ前面にレジスト302を塗布する。
図3(g)はレジスト302が電子源を覆うように塗布されていることを示す上面図である。
図3(h)において、第2の絶縁層103、電子ドリフト層104及び第3の絶縁層105からなる電子源の側面が含まれるようリソグラフィー技術により、レジストに開口部303を設ける。
図3(i)はカソード電極側及び電子取り出し電極側のそれぞれに3ヶ所の開口303を形成したことを示す上面図である。
図3(j)において、カソード電極106を形成する材料を真空蒸着する。
一般的に斜め蒸着と呼ばれる技術で、蒸着している方向と逆に電子源の側面には、蒸着膜が形成されないよう蒸着方向は基板101に対し、20°から50°傾いた方向から蒸着を行う。
図3(k)はカソード電極側に蒸着膜が形成されたことを示す上面図である。
続いて、図3(l)において、電子取り出し電極群107を形成する材料を真空蒸着する。
カソード電極106を形成する材料を蒸着した方向とは逆の方向から蒸着をし、電子源の他方の側面に電子取り出し電極を形成する。
蒸着している方向と逆に電子源の側面には、蒸着膜が形成されないよう蒸着方向は基板101に対し、20°から50°傾いた方向から蒸着を行う。
図3(m)は電子取り出し電極側に蒸着膜が形成されたことを示す上面図である。
最後に、図3(n)において、不要な部分に形成されたカソード電極106を形成する材料や電子取り出し電極群107を形成する材料をリフトオフ技術によって除去する。リフトオフ技術は半導体の製造の際に一般的に使用される方法でよい。
図3(o)はカソード電極側及び電子取り出し電極側のそれぞれに3ヶ所の電極を形成したことを示す上面図である。
以上の工程で、弾道電子放出源が形成される。
上記弾道電子放出源の特性をより詳細に示すために、上記弾道電子放出源の電子放出面側に複数のアノード電極群を設置し、電子放出の状態を調べた結果を説明する。
図5は、夫々の電極に流れた電流からの電子軌跡を示す平面図である。電圧Vcは30Vと一定にし、電圧Vaは100V一定とした。
図5(a)は、電子取り出し電極群107のうち中央の電極を一つ選択した場合の電子軌跡504を示す。
図5(b)は、電子取り出し電極群107のうち中央の電極を三つ選択した場合の電子軌跡504を示す。
図5(c)は、電子取り出し電極群107のうち中央の電極を五つ選択した場合の電子軌跡504を示す。
図5に示すように、電子放出源に放出された電子を集束又は発散する目的で分割された第1のアノード電極群501a〜g、第2のアノード電極群502a〜g、第3のアノード電極群503a〜gを配置している。
電子放出源として、第2の絶縁層103を厚さ200nmのSiOとし、電子ドリフト層104を厚さ500nmとし、第3の絶縁層105を厚さ200nmとしている。
電子ドリフト層104のナノ結晶粒401は平均粒径5nmのシリコンとし、ナノ結晶粒を覆う絶縁層402を平均厚さ1nmのSiOとする。電子ドリフト層104の幅、すなわちカソード電極106と電子取り出し電極107との距離、は1μmとしている。
カソード電極106としては、厚さ200nmのアルミニウムが電子ドリフト層104の一方の端面に形成されている。高さ方向は第2の絶縁層103と電子ドリフト層104と第3の絶縁層105とにかかるように形成されている。その幅は1μmとし、一つ形成する。
電子取り出し電極群107としては、厚さ10nmの金が電子ドリフト層104のカソード電極106が形成される面とは反対の一方の端面に形成されている。高さ方向は第2の絶縁層103と電子ドリフト層104と第3の絶縁層105とにかかるように形成されている。その幅は200nmとし、50nm間隔で配置している。
電子放出源に対向するように配置した第1、第2及び第3のアノード電極群501〜503は、各々a〜gの五つある。個々の電極の幅は200nmである。個々の電極間の間隔は50nmで配置されている。アノード電極群501、502及び503の各々間隔は1μmとしている。また、第1のアノード電極群501と電子取り出し電極107との間隔は500nmとしている。
また、第1のアノード電極群501a〜g、第2のアノード電極群502a〜g、第3のアノード電極群503a〜gと電子取り出し電極107の間にアノード電極群が正になるように電圧Vaを印加した。
電子放出源を真空チャンバ(図示せず)内に収容し、真空チャンバ内の真空度を約5×10−5Paとする。
電子取り出し電極群107とカソード電極106との間に電圧Vcを印加し、それぞれの第1のアノード電極群501a〜g、第2のアノード電極群502a〜g、第3のアノード電極群503a〜gを選択し、流れる電流を観測する。
夫々の電極に流れた電流から電子軌跡を、図5に示している。電圧Vcは30Vと一定にし、電圧Vaは100V一定とした。
図5(a)は取り出し電極群107のうち、中央の電極をひとつ選択した場合の電子軌跡504を示す。図5(b)は取り出し電極群107のうち中央の電極を3つ選択した場合の電子軌跡504を示す。図5(c)は取り出し電極群107のうち、中央の電極を五つ選択した場合の電子軌跡504をそれぞれ示している。
このように、電子取り出し電極群107のうち、電圧を印加する電極を選択することによって、電子軌跡を収束したり発散させたりすることができる。
したがって、電子取り出し電極群107のうちの選択個数を変えることによって、電子軌跡を集束させたり、発散させたりすることができる。
すなわち、本実施形態の弾道電子放出源によって、集束電極を設けることなく電子放出角を制御することができ、集束位置が適宜選択可能となる。
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態としての弾道電子放出源の構成を示す概略平面図である。
本実施形態は図6に示すようにカソード電極群106を複数配置し、カソード電極群106の全体長よりも小さな電子取り出し電極群107を一つ配置している。
複数のカソード電極群106より、一部のカソード電極601を選択し、選択されたカソード電極601と電子取り出し電極107の間に電子取り出し電極107が正になるように電圧を印加することによって、電子が放出される。
このとき、選択されたカソード電極601から注入された電子は電子ドリフト層104中で電気力線602に沿って加速され、電子取り出し電極107に集まるように走行する。そして、選択された電子取り出し電極107を透過した弾道電子が真空中に放出される。
真空中に放出された弾道電子はその運動量が保存されているため、真空中に放出されたときの速度方向に飛行し、概略、選択されたカソード電極601と電子取り出し電極107の端部を結んだ位置に集束する。
このとき、選択されたカソード電極601と電子取り出し電極107の中心がずれた位置にある場合、電子軌跡108は電子取り出し電極107の中心の真空側への延長線上からずれた位置に焦点を結ぶことになる。このことにより、弾道電子が集束する位置を制御することが可能となる。
すなわち、選択された電子取り出し電極201の中心位置を変えることによって、カソード電極群106から電子取り出し電極群107に向かう電気力線が変化し、放出される電子の軌跡が変化する。
したがって、カソード電極群106のいずれかをどのように選択するかということと、取り出し電極群107のいずれかをどのように選択するかということとによって、弾道電子の軌道を調整できる。すなわち、任意のカソード電極群106と任意の取り出し電極群107を選択することによって、弾道電子を任意に調整できるということである。
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態としての弾道電子放出源の構成を示す概略断面図と概略上面図である。
本実施形態では、複数のカソード電極からなるカソード電極群706を電子ドリフト層704の下部に設け、電子取り出し電極707を上部に設けた縦型構造である。
基板701としてn型シリコン基板を用いているが、それ以外の半導体基板、絶縁性基板、金属基板を用いることができる。具体的には、半導体基板としては、シリコン、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイド、ガリウム砒素、ガリウムリン、ガリウムナイトライドなどを用いることができる。絶縁性基板としては、ガラス、ポリイミドなどを用いることができる。金属基板としては、アルミニウム、ステンレスなどを用いることができる。
n型シリコン基板701の上の各電極を絶縁するために、第1の絶縁層702が形成されている。
第1の絶縁層702は、基板701上に形成された集積回路703と絶縁するために設けられている。
集積回路703と、カソード電極群706又は電子取り出し電極707とは、第1の絶縁層702に設けたビア705を通して配線706及び709で接続されている。
第1の絶縁層702の材料としては、絶縁耐性や機械的強度、加工性を満たすものであればよく、一般的に半導体で用いられる絶縁材、たとえば、SiN、SiOなどを用いることができる。
電子ドリフト層704は、ナノ結晶粒401とナノ結晶粒401を覆う絶縁物402からなる材料で形成され、第1の実施の形態の場合と同様である。
カソード電極群706は、電子ドリフト層704の一方の端面の一部である電子ドリフト層704の下部に形成されている。
電子取り出し電極707は、電子ドリフト層704の対向する他方の端面の一部である電子ドリフト層704の上部に形成されている。
第2の絶縁層708は、電子ドリフト層704を覆うように形成されており、電子ドリフト層104を絶縁するとともに、電子ドリフト層704から不要な電子が放出することを防ぐために形成されている。
カソード電極群706と電子取り出し電極707との間には電子取り出し電極707が正になる電圧を印加する回路(不図示)が設けられている。カソード電極群706と電子取り出し電極707との間に電子取り出し電極707を正とする電圧を5〜20V程度かけると、電子取り出し電極707表面から電子が放出する。
710は電子ドリフト層104中の電気力線を示している。711は電子放出源から飛び出す際の電子の軌跡を示している。
カソード電極群706と電子取り出し電極707のいずれか又は両方を一つの電子放出源に対して複数配置する構成とすることが好ましい。
図7(a)の例では、カソード電極群706を複数マトリックスに配置し、カソード電極群706よりも小さな電子取り出し電極707を一つ配置している。
図8は、本実施の形態の弾道電子放出源の構成を示す概略平面図と概略断面図である。
図8(a)は、本実施形態の弾道電子放出源の動作時の構成を示す概略平面図である。
図8(b)は、図8(a)の動作時に対応するカソード電極の位置を示す上面図である。
図8(c)は、図8(a)及び図8(b)とは異なるカソード電極の組み合わせを用いた本実施形態の弾道電子放出源の動作時の構成を示す概略平面図である。
図8(d)は、図8(c)の動作時に対応するカソード電極の位置を示す上面図である。
図8(a)は図8(b)で示されたカソード電極801を選択した時の動作を表し、図8(c)は異なるカソード電極群を選択したときの動作を表している。
選択されたカソード電極群801と電子取り出し電極群707との間に電子取り出し電極707が正になるように電圧を印加することによって、電子が放出される。
このとき、選択されたカソード電極群801から注入された電子は電子ドリフト層704中で電気力線802に沿って加速され、電子取り出し電極707に集まるように走行する。
電子取り出し電極707を透過した弾道電子が真空中に放出される。
真空中に放出された弾道電子はその運動量が保存されているため、真空中に放出されたときの速度方向に飛行し、概略、選択されたカソード電極群801と電子取り出し電極707の端部を結んだ位置に集束する。
このとき、電子がドリフトする方向の電子ドリフト層704の厚さよりも、電子取り出し電極707のカソード電極群706又は電子取り出し電極707が配列している方向の幅は小さいことが好ましい。
小さければ、電子ドリフト層704中で電気力線802に沿って加速され、電子取り出し電極707に集まるように走行し電子取り出し電極707へより集束しやすくなる。
逆に、電子ドリフト層704の幅よりも電子取り出し電極707の幅が十分大きい状態では、概略基板に垂直に電子が放出されるようにみなせる。
選択されたカソード電極群801の位置によっては、電子のカソード電極群801からの走行距離がばらつくので、より集束位置を修正するために夫々の電極に印加する電圧を変えることがより好ましい。
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態としての弾道電子放出源をエミッタとする真空管デバイスを示す断面図である。
図9の例では、弾道電子放出源をエミッタ901として配置している。封止材902によって、エミッタ901は高真空に維持された空間に保持されている。
不図示のゲッター材によって、長期間に渡って高真空に維持されるようにすることが好ましい。
アノード電極903は、エミッタ901から放出された電子を受けるように配置されており、概略垂直な面に形成されるのが好ましい。
不図示制御電極の電位によって、エミッタ901から放出された電子がアノード電極903に到達する量を制御する。
別途、不図示制御電極を用いなくとも、電子取り出し電極107の電圧を制御することによって、エミッタ901から放出された電子がアノード電極903に到達する量を制御することもできる。
特許文献2の図1に示されているように、従来例ではエミッタから放出された電子は、電界放出のために先端に電界が集中するため電子の軌跡が広がり、アノードへの到達時間が異なることになっていた。
図9に示すように、本実施形態のエミッタ901を用いれば、エミッタ901から放出された電子はカソード電極と電子取り出し電極の幅をより小さくなるように調整することによって電子を発散しないようにすることができる。そのため、従来の微小真空管と比較して、電子の経路に応じて陰極から陽極までに要する電子の移動時間の差を無くすことができる。
したがって、電界放出型電子素子の動作周波数を著しく向上させることができ、高速応答性及び高周波特性に優れた電界放出型電子を実現することが可能となる。
(第5の実施形態)
図10は、本発明の第5の実施形態としての弾道電子放出源をエミッタとする表示デバイスを示す断面図である。
本実施の形態では、弾道電子放出源をCRTの電子銃に使用している。レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)に対応して三つの電子源が同一基板1001上に形成されている。
RGBのエミッタ1002、1003、1004が分離され、独立して放出電流を変調できる。これらの端子にはそれぞれ不図示の電源より、適当なDC電位が与えられ、これに変調のための電圧を印加する。また、アノード電極1005には15kVが印加されている。
電子源から放出された電子線1006は偏向マグネット1007の磁界による偏向を受けた後、シャドーマスク1008を通過して蛍光面1009にあたり発光する。
電子源から出た電子線1006は電子取り出し電極の電圧の変調により、放出電流の変調ができる。
本実施の形態の弾道電子放出源はエミッタから放出された電子は、カソード電極の幅と電子取り出し電極の幅を、電子取り出し電極の幅がより小さくなるように調整することによって電子を発散しないようにすることができる。そのため、低エミッタンスの集束された電子線1006を発生する。
したがって、蛍光面で電子線が集束するように調整することができる。
よって、この電子源を、CRTのカソードに適用する場合、従来必要であった発散する電子を集束するための集束レンズを設ける必要がなく、電子銃の構造は従来の電子銃よりも大幅に簡略化できる。
また、収束された電子線1006はその断面積が大きくても集束し易いため、広いカソード面が利用でき、大きな電流値が得られるとともに、スポット径も小さくすることができる。
したがって、本実施形態の弾道電子放出源を表示デバイスに用いることで、集束電極を設けることなく、電子の収束量や位置を制御できる。
そして、集束や発散の量を変えることによって、有効エリア内の照射量を変え、発光輝度を調節することができる。
また、集束する位置を変えることによって、発光色を選択することが可能となるため、装置を簡略化することができる。
(第6の実施形態)
図11は、本発明の第6の実施形態としての弾道電子放出源をエミッタとする表示デバイスの例を示す断面図である。
本実施の形態では、弾道電子放出源をアレイ上に並べた電界放出ディスプレイ型の表示デバイスの例を示している。
レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)に対応して三つの電子源を一画素とし、同一基板1101上に形成されている。
それぞれのエミッタ1102R、1102G、1102Bにはそれぞれ不図示の電源より、適当なDC電位が与えられ、これに変調のための電圧を印加する。また、アノード電極1103には15kVが印加されている。
電子源から蛍光面1104にあたり発光する。電子源から出た電子線1105は引き出し電圧の変調により、放出電流の変調ができる。蛍光面で、電子がエネルギーを失い、蛍光体を励起することによって発光する。
本実施の形態の弾道電子放出源は集束された電子線1105を発生する。
よって、本実施の形態の弾道電子放出源は集束電極を用いることなく、構造は従来の電界放出ディスプレイよりも大幅に簡略化できる。
また、集束された電子線1105はその断面積が大きくても集束しやすいため、広いカソード面が利用でき、大きな電流値が得られるとともに、スポット径も小さくすることができる。
(第7の実施形態)
図12は、本発明の第7の実施形態としての弾道電子放出源をエミッタとするテラヘルツ電子放出源の例を示す断面図である。
本実施の形態では、弾道電子放出源をエミッタとしたスミス・パーセル効果に基づくテラヘルツ放出源が示されている。
ここで、スミス・パーセル効果とは、荷電粒子が金属回折格子上を走行する際、鏡像電荷による双極子が振動するため電磁波が放射される現象をいう。また、テラヘルツ放出源とは、テレヘルツ帯の電磁波を放出する放出源のことをいう。テラヘルツ波は周波数1THz(波長300μm)前後の電磁波のことをいう。光波と電波の中間領域に当たり、非金属や無極性物質を透過し、光学測定系の構築が可能であるという特長を有する。
本実施形態の弾道電子放出源をエミッタ1201とし高い指向性ビーム値を有する小型テラヘルツ放射源を形成することができる。
加速電極1202及び周期電極1203を用いることにより、小型化された自由電子レーザを構成することができる。
電子ビームを発散させずに放出することができるので、集束電極を用いることなく、周期電極1203に対して一定の距離を保ったまま走行するように制御することができる。
エミッタ1201から放出された電子が周期電極1203上を高速に通過することによる電磁波1204の放射を行うことができる。
この状況で、約20kVまでの加速電圧と、100〜300μm周期の周期電極1203を用いると、遠赤外線における赤外線放射が100μm〜1mm波長で放射される。
この放射は、電子が周期電極1203の表面を通って飛翔することに応答して振動する鏡像電荷によって生成される。電磁波1204が周期電極1203に沿ってコヒーレントに放射される。電子はアノード電極1204で収集される。
エミッタ1202から出た電子が周期電極1204からなる金属回折格子上を走行する際、鏡像電荷による双極子が振動するため、電磁波が放射される。これはスミス・パーセル効果に基づく放射である。
本実施の形態の弾道電子放出源では、エミッタから放出された電子はカソード電極と電子取り出し電極の幅を電子取り出し電極がより小さくなるように調整することによって電子ビームを発散しないようにすることができる。さらに、従来必要であった発散する電子を集束するための集束レンズを別途も設ける必要がなくなった。その結果、平面に複数集積することが容易であることから、均一な電子の放射が可能な、大面積平面型のテラヘルツ光源が得られる。
(第8の実施形態)
図13は、本発明の第8の実施形態としての弾道電子放出源をエミッタとする電磁波放出デバイスの例を示す図である。
図13の電磁波放出デバイスをアレイ状に配置することで、本実施の形態の弾道電子放出源をエミッタとしたスミス・パーセル効果に基づく可視光表示デバイスが得られる。
レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)に対応して三つの電子源を一画素とし、同一基板1301上に形成されている。
それぞれのエミッタ1302R、1302G、1302Bにはそれぞれ不図示の電源より、適当なDC電位が与えられ、これに変調のための電圧を印加する。また加速電極1303には20kVが印加されている。電子はアノード電極1305で収集される。
エミッタ1302から出た電子が周期電極1304からなる金属回折格子上を走行する際、鏡像電荷による双極子が振動するため、電磁波が放射される。これはスミス・パーセル効果に基づく放射である。
スミス・パーセル効果によって放射される電磁波の波長は、下記数1で表される。
λ:波長 d:周期電極の間隔 n:次数 C:光速 v:電子の速度 θ:放射方向
したがって、周期電極の間隔をRGBで変えれば、カラー表示を行うことができる。
ここで、加速電圧を20keVとすれば、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)のそれぞれの周期電極1304R、1304G、1304Bの間隔を200nm、150nm、120nmとする。
それぞれの波長の光1306R(赤色)、1306G(緑色)、1306B(青色)が放射される。
本実施形態の弾道電子放出源を用いることで、電子ビームを発散させずに放出することができ、集束電極を用いることなく、平面に複数集積することが容易である。そのため、電磁波放出デバイスである大面積平面型の可視光表示デバイスが実現できる。
また、別途集束電極を設けることなく電子を集束できることにより効率良く電子を放出できるため、取り出せる電流が大きくなり、強い発光が得られる。また、印加電圧や収束位置を変化させることにより、発振波長を安定にすることができる。また、電磁波放射デバイスをアレイ状に形成した場合、均一な電子の放射が得られる。また、より小型のデバイスを得ることができる。
(第9の実施形態)
図14は、本発明の第9の実施形態としての弾道電子放出源をエミッタとするX線源の例を示す断面図である。
本実施の形態では、弾道電子放出源をエミッタとした制動放射効果に基づくX線源が示されている。
ここで、制動放射効果とは、電子が加速度運動するとき、速度変化に関連したエネルギーの変化が電磁波エネルギーを放出される電磁波放射のことをいう。
本実施形態の弾道電子放出源をエミッタ1401とし、加速電極1402、ターゲット電極1403とすることによって、小型化されたX線源を構成することができる。
本実施の形態では、電子源は、電子ビームを発散させずに放出することができるので、集束電極を用いることなく、ターゲット電極1403に電子ビームを照射することができる。
約20kVの加速電圧を印加することでX線1404が放射される。この放射は、電子ビームがターゲット電極1403に照射され制動放射に基づく特性X線及び連続X線である。
本実施形態の弾道電子放出源は、電子ビームを発散させずに放出することができ、かつ、集束電極を用いることなく、平面に複数集積することが容易である。そのため、均一な電磁波の放射が可能な、大面積平面型のX線源が得られる。
(第10の実施形態)
図15は、本発明の第10の実施形態としての弾道電子放出源の概略構成を示す平面図である。
本実施形態は、図15に示すようにカソード電極群106を複数配置し、カソード電極群106の全体長よりも小さな取り出し電極群107を複数の配置している。
カソード電極群106と取り出し電極群107から、それぞれ電圧を印加する電極を選択することによって、より、集束する位置を制御することが可能となる。
本発明は、弾道電子放出源を用いる装置に利用可能であり、特に、平面型の表示デバイスに利用可能である。
本発明の一実施形態としての弾道電子放出源の構成を示す概略断面図である。 図1のA−A線において切断した平面図である。 本発明の一実施形態としての弾道電子放出源の製造方法における各工程を示す断面図である。 電子ドリフト層104を拡大した様子を示す平面図である。 夫々の電極に流れた電流からの電子軌跡を示す平面図である。 本発明の第2の実施形態としての弾道電子放出源の構成を示す概略平面図である。 本発明の第3の実施形態としての弾道電子放出源の構成を示す概略断面図と概略上面図である。 本発明の第3の実施の形態の弾道電子放出源の構成を示す概略平面図と概略断面図である。 本発明の第4の実施形態としての弾道電子放出源をエミッタとする真空管デバイスを示す断面図である。 本発明の第5の実施形態としての弾道電子放出源をエミッタとする表示デバイスを示す断面図である。 本発明の第6の実施形態としての弾道電子放出源をエミッタとする表示デバイスの例を示す断面図である。 本発明の第7の実施形態としての弾道電子放出源をエミッタとするテラヘルツ電子放出源の例を示す断面図である。 本発明の第8の実施形態としての弾道電子放出源をエミッタとする電磁波放出デバイスの例を示す図である。 本発明の第9の実施形態としての弾道電子放出源をエミッタとするX線源の例を示す断面図である。 本発明の第10の実施形態としての弾道電子放出源の概略構成を示す平面図である。 本発明の一実施形態としての弾道電子放出源の構成を示す斜視図である。
符号の説明
101 基板
102 第1の絶縁層
103 第2の絶縁層
104 電子ドリフト層
105 第3の絶縁層
106 カソード電極
107 電子取り出し電極群
108 電子軌跡
201 選択された電子取り出し電極
202 電気力線
401 ナノ結晶粒
402 ナノ結晶流を覆う絶縁層
501 第1のアノード電極群
502 第2のアノード電極群
503 第3のアノード電極群
601 選択されたカソード電極
703 集積回路
705 配線
706 カソード電極群
707 電子取り出し電極
708 絶縁層
709 配線
801 選択されたカソード電極群
901 エミッタ
902 封止材
903 アノード電極
1002、1003、1004 エミッタ
1005 アノード電極
1007 偏向マグネット
1008 シャドーマスク
1009 蛍光面
1103 アノード電極
1104 蛍光面
1105 電子線
1201 エミッタ
1202 加速電極
1203 周期電極
1204 電磁波
1302 エミッタ
1303 加速電極
1304 周期電極
1305 アノード電極
1306 光
1401 エミッタ
1402 加速電極
1403 ターゲット電極
1404 X線

Claims (13)

  1. ナノ結晶粒と、該ナノ結晶粒を覆う絶縁物とからなる電子ドリフト層を挟んで、カソード電極とアノード電極とが形成される弾道電子放出源において、
    前記カソード電極及び前記アノード電極のうち少なくとも一方を複数配置することを特徴とする弾道電子放出源。
  2. 前記カソード電極と前記アノード電極との間の距離よりも、前記アノード電極の面の方向の幅が小さいことを特徴とする請求項1記載の弾道電子放出源。
  3. 前記カソード電極は、前記電子ドリフト層が形成される基板と略垂直に形成されることを特徴とする請求項1記載の弾道電子放出源。
  4. 前記アノード電極は、前記電子ドリフト層が形成される基板と略垂直に形成されることを特徴とする請求項1記載の弾道電子放出源。
  5. 前記カソード電極又は前記アノード電極が形成される面の、前記カソード電極又は前記アノード電極が形成されていない箇所には絶縁層が形成されることを特徴とする請求項1記載の弾道電子放出源。
  6. 複数の前記アノード電極から任意の前記アノード電極を選択し、該選択されたアノード電極と前記カソード電極との間に電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の弾道電子放出源。
  7. 複数の前記カソード電極から任意の前記カソード電極を選択し、該選択されたカソード電極と前記アノード電極との間に電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の弾道電子放出源。
  8. 複数の前記カソード電極から任意の前記カソード電極を選択し、
    複数の前記アノード電極から任意の前記アノード電極を選択し、
    前記選択されたアノード電極と前記選択されたカソード電極との間に電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の弾道電子放出源。
  9. ナノ結晶粒と、該ナノ結晶粒を覆う絶縁物とからなる電子ドリフト層を挟んで、カソード電極とアノード電極とが形成される弾道電子放出源を有する真空管デバイスにおいて、
    前記カソード電極及び前記アノード電極のうち少なくとも一方を複数配置された弾道電子放出源をエミッタとしていることを特徴とする真空管デバイス。
  10. ナノ結晶粒と、該ナノ結晶粒を覆う絶縁物とからなる電子ドリフト層を挟んで、カソード電極とアノード電極とが形成される弾道電子放出源を有する表示デバイスにおいて、
    前記カソード電極及び前記アノード電極のうち少なくとも一方を複数配置された弾道電子放出源をエミッタとしていることを特徴とする表示デバイス。
  11. ナノ結晶粒と、該ナノ結晶粒を覆う絶縁物とからなる電子ドリフト層を挟んで、カソード電極とアノード電極とが形成される弾道電子放出源を有するテラヘルツ放出源において、
    前記カソード電極及び前記アノード電極のうち少なくとも一方を複数配置された弾道電子放出源をエミッタとしていることを特徴とするテラヘルツ放出源。
  12. ナノ結晶粒と、該ナノ結晶粒を覆う絶縁物とからなる電子ドリフト層を挟んで、カソード電極とアノード電極とが形成される弾道電子放出源を有する電磁波放出デバイスにおいて、
    前記カソード電極及び前記アノード電極のうち少なくとも一方を複数配置された弾道電子放出源をエミッタとしていることを特徴とする電磁波放出デバイス。
  13. ナノ結晶粒と、該ナノ結晶粒を覆う絶縁物とからなる電子ドリフト層を挟んで、カソード電極とアノード電極とが形成される弾道電子放出源を有するX線源において、
    前記カソード電極及び前記アノード電極のうち少なくとも一方を複数配置された弾道電子放出源をエミッタとしていることを特徴とするX線源。
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