JP2009206819A - 音声信号処理装置、音声信号処理方法、音声信号処理プログラム、記録媒体、表示装置、並びに、表示装置用ラック - Google Patents

音声信号処理装置、音声信号処理方法、音声信号処理プログラム、記録媒体、表示装置、並びに、表示装置用ラック Download PDF

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Abstract

【課題】装置規模や装置コストの大幅な増大を招来することなく、複数のステレオ音声間のクロストークを効率良く低下させる。
【解決手段】第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1及び中域成分R1,2、並びに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1及び中域成分L2,2の各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタ141〜144によって変調した後、位相変調された低域成分R1,1´及び中域成分R1,2´を低域成分L2,1及び中域成分L2,2に合成し、位相変調された低域成分L2,1´及び中域成分L2,2´を低域成分R1,1及び中域成分R1,2に合成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のステレオ音声信号を処理する音声信号処理装置、音声信号処理方法、および、音声信号処理プログラムに関する。また、そのような音声信号処理プログラムが記録された記録媒体に関する。さらに、そのような音声信号処理装置を備えた表示装置、および、表示装置用ラックに関する。
表示パネルの大型化に伴い、多画面表示機能を備えたテレビジョン受像機(以下、「テレビ」と略記する)が普及している。多画面表示とは、表示パネル上に複数の表示領域を設け、各表示領域に異なる映像を表示する表示態様を指す。例えば、2画面表示とは、表示パネルの左半分に第1の映像を、また、表示パネルの右半分に第2の映像を表示する表示態様を指す。
このような多画面表示機能をテレビに実装する場合、複数の映像の各々に付随する音声を、どのように出力するかが問題となる。
例えば、2画面表示時に、第1の映像に付随する第1の音声と第2の映像に付随する第2の音声とを同時にスピーカから出力すると、第1の映像を見ている第1の視聴者にとっては、第2の音声がノイズとなって第1の音声を聞き取ることが困難になり、また、第2の映像を見ている第2の視聴者にとっては、第1の音声がノイズとなって第2の音声を聞き取ることが困難になるという問題を生じる。第1の音声をスピーカから出力し、第2の音声をヘッドフォン端子から出力することも可能であるが、この場合、第2の映像を見ている視聴者にヘッドフォンの装着を強いることになるという問題を生じる。
このような問題を解決するために、スピーカから放射される音波に指向性を持たせる技術を利用することが考えられる。例えば、第1の映像を見る第1の視聴者には、該第1の映像に付随した第1の音声のみ聴取可能となるように、かつ、第2の映像を見る第2の視聴者には、該第2の映像に付随した第2の音声のみ聴取可能となるように、スピーカから放射される音波に指向性をもたせればよい。
スピーカから放射される音波に指向性を持たせる技術としては、特許文献1〜3に記載のものなどが知られている。特許文献1には、直線状に配置されたスピーカ群に入力されるオーディオ信号の各々に対してデジタル信号処理を施すことによって、放射される音波に指向性をもたせる技術が開示されている。また、特許文献2、3には、第1のスピーカユニットから放射される音波を、該第1のスピーカの近傍に配置された第2のスピーカユニットから放射される音波で打ち消すことによって、放射される音波に指向性をもたせる技術が開示されている。
特開平 6−205496号公報(1994年 7月22日公開) 特開平11−239400号公報(1999年 8月31日公開) 特開2001−95082号公報(2001年 4月 6日公開)
特許文献1に記載の技術をテレビに適用するためには、テレビに多数のスピーカやアンプを搭載する必要がある。したがって、装置規模や装置コストが大幅に増大するという問題を生じる。
一方、特許文献2、3に記載の技術は、このような装置規模や装置コストの大幅な増大を招来することなく、テレビに適用することが可能である。しかしながら、特許文献2、3に記載の技術は、複数のステレオ音声間のクロストークを低下させることを想定したものではなく、多画面表示機能を有するテレビに適用したとしても、各視聴者が見たい映像に付随する音声のみを他の映像に付随する音声に阻害されることなく聞き取れる程度にクロストークを低下させることはできない。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、装置規模や装置コストの大幅な増大を招来することなく、効率良くステレオ音声間のクロストークを低下させることができる音声信号処理装置を実現することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る音声信号処理装置は、N系統(N≧2)のステレオ音声信号を処理する音声信号処理装置において、第i系統(1≦i≦N−1)の右チャンネル音声信号Ri、及び、第i+1系統の左チャンネル音声信号Li+1の各々を、帯域の異なるM(M≧2)個の音声信号に分離する分離手段と、第i系統の右チャンネル音声信号Riから分離された上記M個の音声信号Ri,1、Ri,2、…、Ri,M、及び、第i+1系統の左チャンネル音声信号Li+1から分離された上記M個の音声信号Li+1,1、Li+1,2、…、Li+1,Mの各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調する位相変調手段と、第i+1系統の左チャンネルの音声信号Li+1からj番目(1≦j≦M)の音声信号Li+1,jとして分離され、上記位相変調手段によって位相を変調された音声信号Li+1,j´を、第i系統の右チャンネル音声信号Riから分離されたj番目の音声信号Ri,jに合成するとともに、第i系統の右チャンネル音声信号Riからj番目の音声信号Ri,jとして分離され、上記位相変調手段によって位相を変調された音声信号Ri,j´を、第i+1系統の左チャンネルから分離されたj番目の音声信号Li+1,jに合成する合成手段と、を備えている、ことを特徴としている。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る音声信号処理方法は、N系統(N≧2)のステレオ音声信号を処理する音声信号処理方法であって、第i系統(1≦i≦N−1)の右チャンネル音声信号Ri、及び、第i+1系統の左チャンネル音声信号Li+1の各々を、帯域の異なるM(M≧2)個の音声信号に分離する分離工程と、第i系統の右チャンネル音声信号Riから分離された上記M個の音声信号Ri,1、Ri,2、…、Ri,M、及び、第i+1系統の左チャンネル音声信号Li+1から分離された上記M個の音声信号Li+1,1、Li+1,2、…、Li+1,Mの各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調する位相変調工程と、第i+1系統の左チャンネルの音声信号Li+1からj番目(1≦j≦M)の音声信号Li+1,jとして分離され、上記位相変調工程において位相を変調された音声信号Li+1,j´を、第i系統の右チャンネル音声信号Riから分離されたj番目の音声信号Ri,jに合成するとともに、第i系統の右チャンネル音声信号Riからj番目の音声信号Ri,jとして分離され、上記位相変調工程において位相を変調された音声信号Ri,j´を、第i+1系統の左チャンネルから分離されたj番目の音声信号Li+1,jに合成する合成工程と、を含んでいる、ことを特徴としている。
上記の構成によれば、第i系統の右チャンネル音声信号Riから分離された上記M個の音声信号Ri,1、Ri,2、…、Ri,M、及び、第i+1系統の左チャンネル音声信号Li+1から分離された上記M個の音声信号Li+1,1、Li+1,2、…、Li+1,Mの各々の位相は、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調される。そして、第i系統の右チャンネル音声信号Riから分離されたM個の音声信号Ri,1、Ri,2、…、Ri,Mの各々に、第i+1系統の左チャンネルの音声信号Li+1から分離され、上記オールパスフィルタによって位相を変調されたM個の音声信号Li+1,1´、Li+1,2´、…、Li+1,M´の各々が合成され、また、第i+1系統の左チャンネルの音声信号Li+1から分離されたM個の音声信号Li+1,1、Li+1,2、…、Li+1,Mの各々に、上記オールパスフィルタによって位相を変調されたM個の音声信号Ri,1´、Ri,2´、…、Ri,M´の各々が合成される。
したがって、第i系統の右チャンネル音声信号Riから分離されたj番目の音声信号Ri,jに基づいてスピーカから放射される音波を、第i系統の右チャンネル音声信号Riからj番目の音声信号Ri,jとして分離され、上記位相変調手段によって位相を変調された音声信号Ri,j´に基づいてスピーカから放射される音波によって効果的に打ち消すことができる。また、第i+1系統の左チャンネルから分離されたj番目の音声信号Li+1,jに基づいてスピーカから放射される音波を、第i+1系統の左チャンネルの音声信号Li+1からj番目(1≦j≦M)の音声信号Li+1,jとして分離され、上記位相変調手段によって位相を変調された音声信号Li+1,j´に基づいてスピーカから放射される音波によって効率的に打ち消すことができる。
このため、多画面表示機能を有するテレビに適用した場合、装置規模や装置コストの大幅な増大を招来することなく、異なる映像に付随するステレオ音声間のクロストークを十分に低下させるという効果を奏する。
なお、本発明に係る音声信号処理装置は、第1系統の左チャンネル音声信号L1、および、第N系統の右チャンネル音声信号RNを減衰する減衰手段と、第1系統の右チャンネル音声信号R1、および、第N系統の左チャンネル音声信号LNを遅延する遅延手段と、を更に備えている、ことが好ましい。
また、本発明に係る音声信号処理装置は、第i+1系統のステレオ音声信号の音量が予め定められた閾値よりも小さいときに、第i系統のステレオ音声信号の音量を低下させるとともに、第i系統のステレオ音声信号の音量が上記閾値よりも小さいときに、第i+系統のステレオ音声信号の音量を低下させる音量低下手段を更に備えている、ことが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明に係る音声信号処理装置は、2系統のステレオ音声信号を処理する音声信号処理装置において、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1、及び、第1系統の右チャンネル音声信号の中域成分R1,2と第2系統の左チャンネル音声信号の中域成分L2,2との和信号の各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調する位相変調手段と、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1に、上記位相変調手段によって位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´を合成するとともに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1に、上記位相変調手段によって位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´を合成する合成手段と、を備えている、ことを特徴としている。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る音声信号処理方法は、2系統のステレオ音声信号を処理する音声信号処理方法であって、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1、及び、第1系統の右チャンネル音声信号の中域成分R1,2と第2系統の左チャンネル音声信号の中域成分L2,2との和信号の各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調する位相変調工程と、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1に、上記位相変調工程において位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´を合成するとともに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1に、上記位相変調工程において位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´を合成する合成工程と、を含んでいる、ことを特徴としている。
上記の構成によれば、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1、及び、第1系統の右チャンネル音声信号の中域成分R1,2と第2系統の左チャンネル音声信号の中域成分L2,2との和信号の各々の位相は、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調される。そして、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1には、位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´が合成され、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1には、位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´が合成される。
したがって、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1に基づいてスピーカから放射される音波を、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1とともにスピーカから放射される音波であって、位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´に基づいてスピーカから放射される音波によって効果的に打ち消すことができる。同様に、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1に基づいてスピーカから放射される音波を、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1とともにスピーカから放射される音波であって、位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´に基づいてスピーカから放射される音波によって効果的に打ち消すことができる。
上記課題を解決するために、本発明に係る音声信号処理装置は、2系統のステレオ音声信号を処理する音声信号処理装置において、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1及び中域成分R1,2、並びに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1及び中域成分L2,2の各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調する位相変調手段と、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1に、上記位相変調手段によって位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´を合成するとともに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1に、上記位相変調手段によって位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´を合成する合成手段と、を備えている、ことを特徴としている。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る音声信号処理方法は、2系統のステレオ音声信号を処理する音声信号処理方法であって、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1及び中域成分R1,2、並びに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1及び中域成分L2,2の各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調する位相変調工程と、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1に、上記位相変調工程において位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´を合成するとともに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1に、上記位相変調工程において位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´を合成する合成工程と、を含んでいる、ことを特徴としている。
上記の構成によれば、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1及び中域成分R1,2、並びに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1及び中域成分L2,2の各々の位相は、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調される。そして、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1には、位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´が合成され、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1には、位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´が合成される。
したがって、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1に基づいてスピーカから放射される音波を、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1とともにスピーカから放射される音波であって、位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´に基づいてスピーカから放射される音波によって効果的に打ち消すことができる。同様に、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1に基づいてスピーカから放射される音波を、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1とともにスピーカから放射される音波であって、位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´に基づいてスピーカから放射される音波によって効果的に打ち消すことができる。
なお、上記音声信号処理装置を備えた表示装置、および、表示装置用ラックも本発明の範疇に含まれる。
すなわち、本発明に係る表示装置は、複数の映像を同時に表示可能な表示装置であって、上記音声信号処理装置と、上記音声信号処理装置が上記複数の映像の各々に付随するステレオ音声信号を処理することによって得られた、複数の音声信号を出力する出力手段と、を備えている、ことを特徴としている。
なお、上記出力手段は、上記複数の音声信号により表される音波を放射する複数のスピーカであってもよいし、上記複数の音声信号をスピーカ等の外部装置に出力する複数の出力端子等であってもよい。
また、本発明に係る表示装置用ラックは、複数の映像を同時に表示可能な表示装置を載置するための表示装置用ラックであって、上記音声信号処理装置と、上記音声信号処理装置が上記複数の映像の各々に付随するステレオ音声信号を処理することによって得られた、複数の音声信号を出力する出力手段と、を備えている、ことを特徴としている。
なお、上記出力手段は、上記複数の音声信号により表される音波を放射する複数のスピーカであってもよいし、上記複数の音声信号をスピーカ等の外部装置に出力する複数の出力端子等であってもよい。
なお、上記音声信号処理装置は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:digital signal processor)等のコンピュータとして実現されていてもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として機能させることにより、そのコンピュータを上記音声信号処理装置として動作させる音声信号処理プログラム、および、そのプログラムを記録した記録媒体も、本発明の範疇に含まれる。
本発明に係る音声信号処理装置は、第i系統の右チャンネル音声信号Riから分離された上記M個の音声信号Ri,1、Ri,2、…、Ri,M、及び、第i+1系統の左チャンネル音声信号Li+1から分離された上記M個の音声信号Li+1,1、Li+1,2、…、Li+1,Mの各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調する。そして、第i系統の右チャンネル音声信号Riから分離されたM個の音声信号Ri,1、Ri,2、…、Ri,Mの各々に、第i+1系統の左チャンネルの音声信号Li+1から分離され、上記オールパスフィルタによって位相を変調されたM個の音声信号Li+1,1´、Li+1,2´、…、Li+1,M´の各々を合成し、第i+1系統の左チャンネルの音声信号Li+1から分離されたM個の音声信号Li+1,1、Li+1,2、…、Li+1,Mの各々に、上記オールパスフィルタによって位相を変調されたM個の音声信号Ri,1´、Ri,2´、…、Ri,M´の各々を合成する。
したがって、多画面表示機能を有するテレビに適用した場合に、装置規模や装置コストの大幅な増大を招来することなく、異なる映像に付随するステレオ音声間のクロストークを十分に低下させることができる。
〔実施形態1〕
本発明に係る音声信号処理装置の一実施形態について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施形態に係る音声信号処理装置は、テレビ、あるいは、テレビを載置するためのラックシステムなどのAV機器に内蔵可能な回路として実現されているので、以下、これを「音声信号処理回路」と呼称し、参照符号100を付す。
(音声信号処理回路100)
まず、音声信号処理回路100の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、音声信号処理回路100の構成を示したブロック図である。音声信号処理回路100は、総体的にいうと、外部から入力された2系統のステレオ音声信号を処理する回路である。なお、音声信号処理回路100が処理するステレオ音声信号は、アナログ信号であってもよいが、以下では、デジタル信号、特に、PCM(Pulse Code Modulation)信号を想定する。
図1に示したように、音声信号処理回路100は、概略的にいえば、入力部110と、遅延部120と、分離部130と、位相変調部140と、合成部150と、ローパスフィルタ(以下、「LPF」と略記する)161および162と、出力部170と、ボリューム123および124とを備えている。
入力部110は、2系統のステレオ音声信号の入力を受け付けるための手段であり、例えば、図1に示したように、4つの入力端子111〜114により構成することができる。ここで、入力端子111は、第1系統の左チャンネル音声信号L1を入力するための端子であり、入力端子112は、第1系統の右チャンネル音声信号R1を入力するための端子である。また、入力端子113は、第2系統の左チャンネル音声信号L2を入力するための端子であり、入力端子114は、第2系統の右チャンネル音声信号R2を入力するための端子である。
遅延部120は、入力端子112から入力された第1系統の右チャンネル音声信号R1、および、入力端子113から入力された第2系統の左チャンネル音声信号L2を遅延するための手段であり、例えば、図1に示したように、2つの遅延器121〜122により構成することができる。
ここで、遅延器121は、第1系統の右チャンネル音声信号R1を1ms(ミリ秒)遅延する遅延器であり、遅延器122は、第2系統の左チャンネル音声信号L2を1ms(ミリ秒)遅延する遅延器である。なお、この遅延部120は、ボリューム123および124とともに、遅延による音像移動効果を得るための構成であるが、この遅延による音像移動効果については、参照する図面を代えて後で説明する。
分離部130は、第1系統の右チャンネル音声信号R1、および、第2系統の左チャンネル音声信号L2の各々を、帯域の異なる2つの音声信号に分離するための手段であり、例えば、図1に示したように、2つのLPF131〜132と2つのバンドパスフィルタ(以下、「BPF」と略記する)133〜134とにより構成することができる。
ここで、LPF131は、遅延部120により遅延された第1系統の右チャンネル音声信号R1のうち、fc=1kHz以下の低域成分R1,1を選択的に通過させるローパスフィルタであり、BPF133は、同右チャンネル音声信号R1のうち、1kHz以上4kHz以下の中域成分R1,2を選択的に通過させるバンドパスフィルタである。また、LPF133は、遅延部120により遅延された第2系統の左チャンネル音声信号L2のうち、fc=1kHz以下の低域成分L2,1を選択的に通過させるローパスフィルタであり、BPF134は、同左チャンネル音声信号L2のうち、1kHz以上4kHz以下の中域成分L2,2を選択的に通過させるバンドパスフィルタである。
位相変調部140は、第1系統の右チャンネル音声信号R1から分離された低域成分R1,1、および中域成分R1,2、ならびに、第2系統の左チャンネル音声信号L2から分離された低域成分L2,1、および中域成分L2,2の各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調するための手段であり、例えば、図1に示したように、4つのオールパスフィルタ(以下、「APF」と略記する)141〜144により構成することができる。
ここで、APF141は、LPF131を通過した低域成分R1,1の位相を変調するオールパスフィルタであり、APF143は、BPF133を通過した中域成分R1,2の位相を変調するオールパスフィルタである。また、APF142は、LPF132を通過した低域成分L2,1の位相を変調するオールパスフィルタであり、APF144は、BPF134を通過した中域成分L2,2の位相を変調するオールパスフィルタである。これらのAPF141〜144のフィルタ特性については、参照する図面を代えて後で説明する。
合成部150は、第2系統の左チャンネル音声信号L2から低域成分L2,1として分離され、位相変調部140によって位相を変調された低域成分L2,1´を、第1系統の右チャンネル音声信号R1から分離された低域成分R1,1に合成し、また、第2系統の左チャンネル音声信号L2から中域成分L2,2として分離され、位相変調部140によって位相を変調された中域成分L2,2´を、第1系統の右チャンネル音声信号R1から分離された中域成分R1,2に合成するための手段である。
同時に、第1系統の右チャンネル音声信号R1から低域成分R1,1として分離され、位相変調部140によって位相を変調された低域成分R1,1´を、第2系統の左チャンネル音声信号L2から分離された低域成分L2,1に合成し、また、第1系統の右チャンネル音声信号R1から中域成分R1,2として分離され、位相変調部140によって位相を変調された中域成分R1,2´を、第2系統の左チャンネル音声信号L2から分離された中域成分L2,2に合成するための手段でもある。
合成部150は、図1に示したように、例えば4つの加算器151〜154により構成することができる。ここで、加算器151は、低域成分L2,1´を低域成分R1,1に加算する加算器であり、加算器153は、中域成分L2,2´を中域成分R1,2に加算する加算器である。また、加算器152は、低域成分R1,1´を低域成分L2,1に加算する加算器であり、加算器154は、中域成分R1,2´を中域成分L2,2に加算する加算器である。
出力部170は、処理済の音声信号を外部に出力するための手段であり、例えば、図1に示したように、6つの出力端子171〜176によって構成することができる。
ここで、出力端子171からは、入力部111から入力された第1系統の左チャンネル音声信号L1のうち、fc=4kHzのローパスフィルタであるLPF171を通過した中低域成分Lout1が出力される。また、出力端子172からは、合成部150にて得られた低域成分Rout1,1=R1,1+L2,1´が出力され、出力端子173からは、合成部150にて得られた中域成分Rout1,2=R1,2+L2,2´が出力される。
また、出力端子174からは、入力部114より入力された第2系統の右チャンネル音声信号R2のうち、fc=4kHzのローパスフィルタであるLPF172を通過した中低域成分Rout2が出力される。また、出力端子175からは、合成部150にて得られた低域成分Lout2,1=L2,1+R1,1´が出力され、出力端子176からは、合成部150にて得られた中域成分Lout2,2=L2,2+R1,2´が出力される。
音声信号処理回路100により処理された音声信号は、例えば、図1に示したように、音声信号処理回路100の後段に設けられたデジタルアナログ変換器(以下、「DAC」と略記する)180によってアナログ音声信号に変換され、更に、DAC180の後段に設けられたアンプ190によって増幅された後、スピーカシステム200に供給される。
なお、図1においては、第1系統の右チャンネル音声信号R1、および、第2系統の左チャンネル音声信号L2の各々を帯域の異なる2つの音声信号に分離し、分離された各音声信号の位相をオールパスフィルタによって変調するようにしているが、これに限らず、帯域の異なる3個以上の音声信号に分離し、分離された各音声信号をオールパスフィルタによって変調するようにしてもよい。
(スピーカシステム200)
音声信号処理回路100により処理された音声信号の出力先となるスピーカシステム200としては、テレビ、あるいは、テレビを載置するためのラックシステムなどのAV機器に内蔵された、6つのスピーカ201〜206を含むスピーカシステムが想定される。このスピーカシステム200について、図2を参照してもう少し詳しく説明する。
図2は、スピーカシステム200におけるスピーカ201〜206の配置を示すスピーカ配置図である。図2(a)は、スピーカシステム200がテレビ500に内蔵されている場合の配置を示し、図2(b)は、スピーカシステム200がラックシステム600に内蔵されている場合の配置を示す。
図2(a)に示したように、テレビ500は、2画面表示機能を有しており、表示パネル510の左半分に映像Aを、また、表示パネルの右半分に映像Bを表示することができるようになっている。図1に示した音声信号L1およびR1は、この映像Aに付随する音声Aを表すステレオ音声信号であり、また、図1に示した音声信号L2およびR2は、この映像Bに付随する音声Bを表すステレオ音声信号である。
このテレビ500において、スピーカ201、および、スピーカ204は、表示パネル510の左端部下方、および、右端部下方に配置されている。また、スピーカ202、スピーカ203、スピーカ205、および、スピーカ206は、表示パネル510の中央部下方に配置され、センタースピーカユニット210を構成している。センタースピーカユニット210において、スピーカ203とスピーカ206との中心間距離は0.05m、スピーカ202とスピーカ205との中心間距離は0.20mに設定されている。スピーカ201とスピーカ204との中心間距離は、表示パネル510の横幅に応じて定めればよく、例えば、65インチ型であれば1.4m程度に設定される。
一方、図2(b)に示したように、ラックシステム600は、2画面表示機能を有するテレビを載置するためのラックシステムであり、テレビの左半分に表示する映像Aに付随するステレオ音声信号と、テレビの右半分に表示する映像Bに付随するステレオ音声信号とを、テレビより入力することができるようになっている。
このラックシステム600において、スピーカ201、および、スピーカ204は、ラックシステム600の左端部、および、右端部に配置されている。また、スピーカ202、スピーカ203、スピーカ205、および、スピーカ206は、ラックシステム600の中央部に配置され、センタースピーカユニット210を構成している。ラックシステム600においても同様に、スピーカ203とスピーカ206との中心間距離は0.05m、スピーカ202とスピーカ205との中心間距離は0.20mに設定されている。スピーカ201とスピーカ204との中心間距離は、ラックシステム600の横幅に応じて定めればよく、例えば、52〜65インチ型のテレビを載置するものであれば、1.4m程度に設定される。
図2(a)に示したように、スピーカシステム200がテレビ500に内蔵されている場合も、図2(b)に示したように、スピーカシステム200がラックシステム600に内蔵されている場合も、スピーカ201からは、映像Aに付随する左チャンネル音声信号L1の中低域成分が出力され、また、スピーカ202、および、スピーカ203からは、映像Aに付随する右チャンネル音声の低域成分R1,1、および、中域成分R1,2が出力される。これにより、センタースピーカユニット210の正面より1m左側に位置する視聴者Aには、映像Aに付随する音声Aが主に提示される。
同様に、スピーカ204からは、映像Bに付随する右チャンネル音声信号R1の中低域成分が出力され、また、スピーカ205、および、スピーカ206からは、映像Bに付随する左チャンネル音声信号の低域成分L2,1、および、中域成分L2,2が出力される。これにより、センタースピーカユニット210の正面より1m右側に位置する視聴者Bには、映像Bに付随する音声Bが主に提示される。
ここで、スピーカ205、および、スピーカ206から出力された、映像Bに付随する左チャンネル音声信号の低域成分L2,1、および、中域成分L2,2は、視聴者Aにも漏れ聞こえ得る。しかし、音声信号処理回路100により位相を変調された低域成分L2,1´、および、中域成分L2,2´がスピーカ202、および、スピーカ203から出力されるので、スピーカ205、および、スピーカ206から出力された、映像Bに付随する左チャンネル音声信号の低域成分L2,1、および、中域成分L2,2は打ち消され、視聴者Aに漏れ聞こえ難くなる。
同様に、スピーカ202、および、スピーカ203から出力された、映像Aに付随する右チャンネル音声信号の低域成分R1,1、および、中域成分R1,2は、視聴者Bにも漏れ聞こえ得る。しかし、音声信号処理回路100により位相を変調された低域成分R1,1´、および、中域成分R1,2´がスピーカ205、および、スピーカ206から出力されるので、スピーカ202、および、スピーカ203から出力された、映像Aに付随する右チャンネル音声信号の低域成分R1,1、および、中域成分R1,2は打ち消され、視聴者Bに漏れ聞こえ難くなる。
(位相変調部140)
次に、音声信号処理回路100が備えている位相変調部140について、図3〜図4を参照して、もう少し詳しく説明する。位相変調部140は、図1に示したように、4つのAPF141〜144により構成することができる。
図3は、各々のAPF141〜144の構成を示したブロック図である。図3に示したように、各々のAPF141〜144は、3つの乗算器140a、140b、および140cと、2つの加算器140d、および140eと、1つの遅延器140fとにより構成することができる。
図3に示したオールパスフィルタの構成において、乗算器140aは、時刻n−1における入力値x(n−1)に係数−1を乗じ、乗算器140bは、乗算器140aにより得られた積−x(n−1)に係数−aを乗じ、乗算器140cは、時刻n−1における出力値y(n−1)に係数aを乗じる。加算器140dは、乗算器140aにより得られた積−x(n−1)と乗算器140cにより得られた積ay(n−1)とを加算する。遅延器140fは、加算器140dにより得られた和−x(n−1)+ay(n−1)を1サンプルだけ遅延する。時刻nにおいて、加算器140eは、遅延器140fにより遅延された和−x(n−1)+ay(n−1)と、乗算器140aにより係数−1を乗ぜられ、かつ、乗算器140cにより係数−aが乗ぜられた入力値ax(n)とを加算する。図3に示したオールパスフィルタは、以上のような構成により、時刻nにおける出力値y(n)=ax(n)−x(n−1)+ay(n−1)を得る。
位相変調部140においては、図1に示したように、音声信号R1,1、R1,2、L2,1、およびL2,2の各々に対してAPF141〜144が設けられているので、帯域毎にAPF141〜144のフィルタ特性を異ならせることによって、より具体的には、低域成分に作用するAPF141および142における係数aを中域成分に作用するAPF143および144における係数aより大きく設定することによって、映像Aに付随する音声Aが視聴者Bに漏れ聞こえる(あるいは、映像Bに付随する音声Bが視聴者Aに漏れ聞こえる)クロストークを効果的に低減することができる。
スピーカシステム200が図2に示したように構成されている場合、APF141〜144のうち、中域成分に作用するAPF143およびAPF144においては、乗算器140bおよび140cの係数の絶対値を0.7に設定することが好ましい。また、低域成分に作用するAPF141およびAPF142においては、乗算器140bおよび140cの係数の絶対値を0.9に設定することが好ましい。
図4(a)は、乗算器140bおよび140cの係数の絶対値が0.7に設定された、APF143およびAPF144のフィルタ特性を示し、図4(b)は、乗算器140bおよび140cの係数の絶対値が0.9に設定された、APF141およびAPF142のフィルタ特性を示す。
(シミュレーション結果)
図5に、APF141〜144のフィルタ特性を図4に示したように設定した場合、映像Aに付随する音声信号L1およびR1のみを音声信号処理回路100に入力したときに得られる、0.05m離間して配置されたスピーカ203および206から放射された音波の音圧レベルのシミュレーション結果を示す。
図5(a)は、上記音圧レベルの周波数特性を視聴位置毎にプロットしたグラフである。ここで、グラフ51は、視聴者Aの位置(センタースピーカユニット210の正面から左に1mの位置)における音圧レベルの周波数特性を示し、グラフ52は、センタースピーカユニット210正面における音圧レベルの周波数特性を示し、グラフ53は、視聴者Bの位置(センタースピーカユニット210の正面から右に1mの位置)における音圧レベルの周波数特性を示している。また、図5(b)は、上記音圧レベルの位置依存性を周波数毎に示したグラフである。
図6に、同じくAPF141〜144のフィルタ特性を図4に示したように設定した場合、映像Aに付随する音声信号L1およびR1のみを音声信号処理回路100に入力したときに得られる、0.2m離間して配置されたスピーカ202および205から放射された音波の音圧レベルのシミュレーション結果を示す。
図6(a)は、上記音圧レベルの周波数特性を視聴位置毎にプロットしたグラフである。ここで、グラフ61は、視聴者Aの位置における音圧レベルの周波数特性を示し、グラフ62は、センタースピーカユニット210正面における音圧レベルの周波数特性を示し、グラフ63は、視聴者Bの位置における音圧レベルの周波数特性を示している。また、図6(b)は、上記音圧レベルの位置依存性を周波数毎に示したグラフである。
図5および図6から分かるように、視聴者Bの位置では、視聴者Aの位置と比べて、映像Aに付随する音声Aの音圧レベルを全帯域に渡って15dB程度低下させることができる。
(実測結果)
図7に、APF141〜144のフィルタ特性を図4に示したように設定した場合、映像Aに付随する音声信号L1およびR1のみを音声信号処理回路100に入力したときに得られる、0.05m離間して配置されたスピーカ203および206から放射された音波の音圧レベルの実測(マイクを用いた測定)結果を示す。
図7(a)は、上記音圧レベルの実測値の周波数特性を視聴位置毎にプロットしたグラフである。同図において、グラフ71は、視聴者Aの位置において測定した音圧レベルの周波数特性を示し、グラフ72は、センタースピーカユニット210正面において測定した音圧レベルの周波数特性を示し、グラフ73は、視聴者Bの位置において測定した音圧レベルの周波数特性を示している。なお、同図には、図5(a)に示したシミュレーション結果も比較のために示している。また、図7(b)は、視聴者Aの位置において測定した音圧レベルと、視聴者Bの位置において測定した音圧レベルの差分を示している。
図8に、APF141〜144のフィルタ特性を図4に示したように設定した場合、映像Aに付随する音声信号L1およびR1のみを音声信号処理回路100に入力したときに得られる、0.20m離間して配置されたスピーカ202および205から放射された音波の音圧レベルの実測(マイクを用いた測定)結果を示す。
図8(a)は、上記音圧レベルの実測値の周波数特性を視聴位置毎にプロットしたグラフである。同図において、グラフ81は、視聴者Aの位置にて測定した音圧レベルの周波数特性を示し、グラフ82は、センタースピーカユニット210正面において測定した音圧レベルの周波数特性を示し、グラフ83は、視聴者Bの位置において測定した音圧レベルの周波数特性を示している。なお、同図には、図6(a)に示したシミュレーション結果も比較のために示している。また、図8(b)は、視聴者Aの位置にて測定した音圧レベルと、視聴者Bの位置にて測定した音圧レベルの差分を示している。
図7および図8から分かるように、視聴者Bの位置では、実際、視聴者Aの位置と比べて、映像Aに付随する音声の音圧レベルを全帯域に渡って10dB程度低下させることができる。なお、シミュレーション結果との相違は、実験室の特性や、実験に使用したスピーカの特性の影響による。
(遅延による音像移動効果)
以上では、映像Aに付随する音声Aの右チャンネル(センタースピーカ202および203から出力される)が視聴者Bに漏れ聞こえてしまうクロストーク、および、映像Bに付随する音声Bの左チャンネル(センタースピーカ205および206から出力される)が視聴者Aに漏れ聞こえてしまうクロストークの低減について説明したが、本実施形態に係る音声信号処理回路100は、音声Aの左チャンネル(サイドスピーカ201から出力される)が視聴者Bに漏れ聞こえてしまうクロストーク、および、音声Bの右チャンネル(サイドスピーカ204から出力される)が視聴者Aに漏れ聞こえてしまうクロストークに対する対策も施されている(図2参照)。
すなわち、図1に示したように、音声信号処理装置100は、第1系統の左チャンネル音声信号L1の信号経路上に設けられた、当該音声信号L1を減衰するためのボリューム123と、第2系統の右チャンネル音声信号R2の信号経路上に設けられた、当該音声信号R2を減衰するためのボリューム124とを備えている。すなわち、視聴者Bに漏れ聞こえる音声Aの左チャンネルの音量、および、視聴者Aに漏れ聞こえてしまう音声Bの右チャンネルの音量を低下させることによって、後者のクロストークを低減している。
しかしながら、第1系統の左チャンネル音声信号L1、および、第2系統の右チャンネル音声信号を単に減衰するだけでは、音像の偏りが生じてしまう虞がある。図9(a)は、両耳間レベル差と視聴者が知覚する音像方向(正面を0°とした方位角)の相関を示すグラフであり、図9(b)両耳間時間差と視聴者が知覚する音像方向の相関を示すグラフである(何れも、イェンス・ブラウエルト著、森本政之、後藤敏幸訳、「空間音響」、鹿児島出版会の図4.2に基づく)。図9(a)から、例えば、視聴者の両耳における音圧レベルに30dB程度の差が与えられると、音像が正面から約30°左右に偏って知覚されることが分かる。
このような音声信号L1およびR2を減衰に伴う音像の偏りは、音声信号R1およびL2の出力開始時間を遅らせることによって解消することができる。図10は、音像を偏らせることなく中央に定位させる、両耳間時間差と両耳間レベル差との関係を示したグラフである(イェンス・ブラウエルト著、森本政之、後藤敏幸訳、「空間音響」、鹿児島出版会の図4.5に基づく)。図10を参照すると、例えば、音声信号L1およびR2を6dB程度減衰させる場合、音声信号R1およびL2を1ms程度遅延させればよいことが分かる。
そこで、音声信号処理回路100においては、図1に示したように、遅延部120を用いて音声信号R1およびL2を遅延することによって、音像を偏らせることなく音声信号L1およびR2を減衰することを可能ならしめている。なお、音声信号R1およびL2を遅延する遅延時間は、図10を参照して音声信号L1およびR2を減衰する減衰量に適合した値に設定すればよい。
なお、図1においては、ボリューム123および124をLPF161および162の前段に配置する構成を示したが、ボリューム123および124をLPF161および162の後段に配置するようにしてもよい。また、ボリューム123および124が担っている音声信号L1および音声信号R2の減衰機能を、AGC300、あるいは、アンプ190に担わせてもよい。すなわち、AGC300、および、アンプ190における音声信号L1およびR2のゲインに、ボリューム123および124の減衰率に相当するオフセットを与えることにより、ボリューム123および124を省略してもよい。
(自動利得制御)
音声信号処理回路100は、DAC180や増幅器190がクリップすることを防止するよう、また、反射音によるクロストークを低減するよう、前段に自動利得制御部(以下、AGCと略記する)300を備えていることが好ましい。
ここで、反射音によるクロストークとは、図11(a)に示したように、映像Bに付随する音声Bが、壁に反射して視聴者Aに到達したり、映像Aに付随する音声Aが、壁に反射して視聴者Bに到達したりすることによって生じるクロストークのことである。音声A、および、音声Bが両方とも無音でなければ、反射音が直接音にマスクされてしまうため、反射音によるクロストークの影響を考慮する必要はない。しかし、図11(b)に示したように、映像Aに付随する音声Aが無音のとき、または、無音に近いときには、この反射音によるクロストークの問題を無視することはできない。映像Bに付随する音声Bが無音のとき、または、無音に近いときも同様である。
特許文献3においては、図11(a)に実線により示した音声Aと音声Bとのレベルが同一になるように利得を制御し、音声Aおよび音声Bの何れかが無音のとき、または、無音に近いときに音量の制御を停止するのに対し、本実施形態に係る音声信号処理回路100においては、音声Aおよび音声Bの何れかが無音のとき、または、無音に近いとき、図11(b)に点線により示したように音声Bのレベルを自動的に低下させることによって、反射音によるクロストークを低減する。
図12は、上記AGC300の構成を示したブロック図である。図12に示したように、AGC300は、映像Aに付随する音声信号L1およびR1、ならびに、映像Bに付随する音声信号L2およびR2の音量を制御する、第1音量制御部310、および、第2音量制御部320を備えている。
第1音量制御部310は、音声Aが所定の音量より大きいときには、音声Aの音量を低下させ、音声Bが所定の音量より大きいときには、音声Bの音量を低下させることによって、クリップの発生を防止する。また、音声Aが所定の音量より小さいときには、音声Aの音量を上昇させ、また、音声Bが所定の音量より小さいときには、音声Bの音量を上昇させることによって、音声Aおよび音声Bの音量を一定の範囲内に保つ。
このような第1音量制御部310は、例えば、図12に示したように、音声信号L1およびR1を増幅または減衰するボリューム311と、音声信号L2およびR2を増幅または減衰するボリューム312と、音声信号L1およびR1に基づいてボリューム311を制御する音量判定部313と、音声信号L2およびR2に基づいてボリューム312を制御する音量判定部314とにより構成することができる。
一方、第2音量制御部320は、音声Aが所定の音量より小さいとき、または、音声Bが所定の音量より小さいときには、音声Aおよび音声Bの音量を低下させることによって、反射音によるクロストークを低減する。また、音声Aが所定の音量より大きく、かつ、音声Bが所定の音量より大きいときには、音声Aおよび音声Bの音量を上昇させることによって、音声Aおよび音声Bの音量を一定の範囲内に保つ。
このような第2音量制御部320は、例えば、図12に示したように、音声信号L1およびR1を増幅または減衰するボリューム321と、音声信号L2およびR2を増幅または減衰するボリューム322と、音声信号L1およびR1、ならびに、音声信号L2およびR2の音量に基づいてボリューム321および322の利得を制御する音量判定部323とにより構成することができる。
図13は、第1音量制御部310による音量制御の流れを示したフローチャートである。第1音量制御部310は、このフローチャートに示した一連の工程を単位時間毎に繰り返し実行することにより、上記各音声信号の音量を段階的に制御する。なお、以下では、ボリューム311と音量判定部313とによる、音声信号L1およびR1に対する音量制御について説明するが、ボリューム312と音量判定部314とによる、音声信号L2およびR2に対する音量制御についても同様である。この音量制御方法を構成する各ステップについて説明すれば、以下のとおりである。
ステップS1(図示省略):音量判定部313は、音声信号L1の絶対値、および、音声信号R1の絶対値を算出し、算出された2つの絶対値のうち大きい方の値を求めることにより、映像Aに付随する音声Aの音量x=Max{|L|、|R|}を決定する。
ステップS2:次に、音量判定部313は、ステップS1にて決定された音量xと予め定められた閾値Thとを大小比較する。音量xが閾値Thより大きかった場合(S2:Yes)、音量判定部313は、以下のステップS3〜S5によって、ボリューム311の利得を低下させる。一方、音量xが閾値Th以下であった場合(S2:No)、音量判定部313は、以下のステップS6〜S8によって、ボリューム311の利得を上昇させる。
ステップS3:ステップS2にて音量xが閾値Thより大きいと判定された場合(S2:Yes)、音量判定部313は、現在の利得Gと、予め設定された下限利得Gminとを大小比較する。
ステップS4:ステップS3にて現在の利得Gが下限利得Gminより大きいと判定された場合(S3:Yes)、音量判定部313は、ボリューム311における利得Gを、現在の利得GよりGmax/Tattackだけ小さい値G−Gmax/Tattackに設定する。ここで、Gmaxは、予め設定された上限利得であり、Tattackは、予め設定されたアタックタイムである。
ステップS5:ステップS3にて現在の利得Gが下限利得Gmin以下であると判定された場合(S3:No)、音量判定部313は、ボリューム311における利得Gを、下限利得Gminに設定し、利得低下を完了する。
ステップS6:ステップS2にて音量xが閾値Th以下であると判定された場合(S2:No)、音量判定部313は、現在の利得Gと、予め設定された上限利得Gmaxとを大小比較する。
ステップS7:ステップS6にて現在の利得Gが上限利得Gmaxより小さいと判定された場合(S6:Yes)、音量判定部313は、ボリューム311における利得Gを、現在の利得GよりGmax/Treleaseだけ大きい値G+Gmax/Treleaseに設定する。ここで、Treleaseは、予め設定されたリリースタイムである。
ステップS8:ステップS6にて現在の利得Gが上限利得Gmax以上であると判定された場合(S6:No)、音量判定部313は、ボリューム311における利得Gを、上限利得Gmaxに設定し、利得上昇を完了する。
なお、図13に示したフローチャートは、Gmax>0の場合(ボリューム311が正の利得をもつ増幅器である場合)を想定したものであるが、Gmax≦0の場合(ボリューム311が負の利得をもつ減衰器である場合)には、ステップS4において、利得Gを|Gmin|/Tattack、または(Gmax−Gmin)/Tattackだけ減少させ、ステップS7において、利得Gを|Gmin|/Trelease、または(Gmax−Gmin)/Treleaseだけ増加させるようにしてもよい。あるいは、利得をデシベル単位ではなく、比率(=10(利得/20))に換算して扱い、常にGmax>0となるようにしてもよい。
図14は、音声Aの音量xの時間変化を示すグラフである。図14に示したグラフにおいて、横軸は時刻を表し、縦軸は音声Aの音量xを表す。
図14に示したように、音声Aの音量xが時刻t1において閾値Thに達すると、音量判定部313は、時刻t1から時刻t2までの間、ボリューム311における利得Gを徐々に低下させる。より具体的に言うと、図13に示した一連の処理を1回実行する毎に、ボリューム311における利得GをGmax/Tattackずつ減少させる。ここで、利得Gの減少が終了する時刻t2は、ボリューム311における利得Gが下限利得Gminに達する時刻である。そして、音量判定部313は、時刻t2から時刻t3までの間、ボリューム311における利得Gを、下限利得Gminに保つ。ここで、時刻t3は、音量xが閾値Thに達する時刻である。そして、音量判定部313は、時刻t3から時刻tまでの間、ボリューム311における利得Gを徐々に上昇させる。より具体的に言うと、図13に示した一連の処理を1回実行する毎に、ボリューム311における利得GをGmax/Treleaseずつ上昇させる。ここで、時刻t4は、ボリューム311における利得Gが上限利得Gmaxに達する時刻である。以後、再び音量xが再び閾値Thに達するまで、ボリューム311における利得Gは、上限利得Gmaxに保たれる。
図15は、第2音量制御部320による音量制御の流れを示したフローチャートである。第2音量制御部320は、このフローチャートに示した一連の工程を単位時間毎に繰り返し実行することにより、上記各音声信号の音量を段階的に制御する。この音量制御方法を構成する各ステップについて説明すれば、以下のとおりである。
ステップS11(図示省略):音量判定部323は、第1音量制御部310により増幅または減衰された音声信号L1、および、音声信号R1に基づいて、映像Aに付随する音声Aの音量LAを算出する。音量判定部323は、例えば、音声信号L1、および、音声信号R1を平滑化することによって各音声信号の信号レベルを算出する。平滑化の方法としては、移動平均を算出する方法や、時定数を算出する方法などを用いることができる。また、音量判定部323は、同様の方法により、第1音量制御部310により増幅または減衰された音声信号L2、および、音声信号R2に基づいて、映像Bに付随する音声Bの音量LBを算出する。
ステップS12a〜S12b:ステップS12aにおいて、音量判定部323は、ステップS11にて決定された音量LAと予め定められた閾値Thsilentとを大小比較する。また、ステップS12bにおいて、音量判定部323は、ステップS11にて決定された音量LBと予め定められた閾値Thsilentとを大小比較する。
ステップS12a〜S12bにおいて、音量LAおよび音量LBの少なくとも何れかが閾値Thsilentより小さいと判定された場合には、以下のステップS13〜S15によって、ボリューム321およびボリューム322における利得Gを低下させる。それ以外の場合には、以下のステップS16〜S18によって、ボリューム321およびボリューム322における利得Gを上昇させる。
ステップS13:現在の利得Gと、予め設定された下限利得Gminとが大小比較される。
ステップS4:ステップS13にて現在の利得Gが下限利得Gminより大きいと判定された場合(S13:Yes)、ボリューム321およびボリューム322における利得Gが、現在の利得GよりGmax/Tattackだけ小さい値G−Gmax/Tattackに設定される。ここで、Gmaxは、予め設定された上限利得であり、Tattackは、予め設定されたアタックタイムである。
ステップS15:ステップS13にて現在の利得Gが下限利得Gmin以下であると判定された場合(S13:No)、ボリューム321およびボリューム322における利得Gが、下限利得Gminに設定され、利得低下が完了する。
ステップS16:現在の利得Gと、予め設定された上限利得Gmaxとが大小比較される。
ステップS17:ステップS16にて現在の利得Gが上限利得Gmaxより小さいと判定された場合(S16:Yes)、ボリューム321およびボリューム322における利得Gが、現在の利得GよりGmax/Treleaseだけ大きい値G+Gmax/Treleaseに設定される。ここで、Treleaseは、予め設定されたリリースタイムである。
ステップS18:ステップS16にて現在の利得Gが上限利得Gmax以上であると判定された場合(S16:No)、ボリューム321およびボリューム322における利得Gが、上限利得Gmaxに設定され、利得上昇が完了する。
なお、ステップS14において、利得Gを|Gmin|/Tattack、または(Gmax−Gmin)/Tattackだけ減少させ、ステップS17において、利得Gを|Gmin|/Trelease、または(Gmax−Gmin)/Treleaseだけ増加させるようにしてもよい点は、第1音量制御部310と同様である。
なお、AGC300の構成は、図12に示したものに限定されない。すなわち、図12においては、音声Aのレベルを2つのボリューム311および321により制御しているが、例えば、これら2つのボリュームを1つに集約してもよい(音声Bについても同様)。図21は、AGC300のそのような構成例を示したブロック図である。図21に示したAGC300は、第1音量制御部310と、その前段に設けられた閾値制御部330とにより構成されている。図21に示した第1音量制御部310は、図12に示した第1音量制御部310と同様のものである。ただし、第1音量制御部310に含まれている音量判定部313および314は閾値可変に構成されており、これらの閾値の値は閾値制御部330により制御されている。
図12に示した構成においては、信号のダイナミックレンジを圧縮した後に無音か否かを判定する。したがって、判定の安定性が高まるというメリットがある。しかしながら、ボリューム311の利得制御とボリューム321の利得制御とが独立に行われるため、一方のボリュームにおいて増幅が行われ、他方のボリュームで減衰が行われることがあり、効率が悪い(ボリューム312の利得制御とボリューム322の利得制御とについても同様)。翻って図21に示した構成においては、各系統の利得制御が単一のボリュームによって行われるため効率が良い。
図22は、図21に示した閾値制御部330による閾値制御の方法を示したフローチャートである。閾値制御部330は、このフローチャートに示した一連の工程を単位時間毎に繰り返し実行することにより、音量判定部313および314の閾値を制御する。なお、図22には、入力音声が無音の場合と有音の場合とで閾値を2段階制御する構成を例示しているが、3段階以上の制御も可能である。また、判定に用いる各音声信号のレベルを平滑化することにより、2段階制御であっても安定な制御が可能である。
図22に例示した閾値制御方法を構成する各ステップについて説明すれば、以下のとおりである。
ステップS31(図示省略):閾値制御部330は、音声信号L1、および、音声信号R1に基づいて、映像Aに付随する音声Aの音量LAを算出する。閾値制御部330は、例えば、音声信号L1、および、音声信号R1を平滑化することによって各音声信号の信号レベルを算出する。平滑化の方法としては、移動平均を算出する方法や、時定数を算出する方法などを用いることができる。また、閾値制御部330は、同様の方法により、音声信号L2、および、音声信号R2に基づいて、映像Bに付随する音声Bの音量LBを算出する。
ステップS32a〜S32b:ステップS32aにおいて、閾値制御部330は、ステップS31にて決定された音量LAと予め定められた閾値Thsilentとを大小比較する。また、ステップS32bにおいて、閾値制御部330は、ステップS31にて決定された音量LBと予め定められた閾値Thsilentとを大小比較する。
ステップS33〜34:ステップS32a〜S32bにおいて、音量LAおよび音量LBの少なくとも何れかが閾値Thsilentより小さいと判定された場合には、ステップS33において、音量判定部313および314における閾値ThをThLOWに設定する。それ以外の場合には、ステップS34において、閾値ThをThHIGH(ThLOW<ThHIGH)に設定する。
なお、ThLOWおよびThHIGHの値は、予め設定された規定の値であってもよいし、視聴者(音声信号処理回路100を備えたテレビの使用者)が設定した値であってもよい。
(3画面表示機能を有するテレビへの適用)
図1に示した音声信号処理回路100は、2画面表示機能を有するテレビに適用することを考慮して、2系統のステレオ音声信号を処理するように構成されたものであるが、3画面表示機能を有するテレビに適用することを考慮して、3系統のステレオ音声信号を処理するように構成してもよく、より一般的には、N画面表示機能(Nは2以上の任意の整数)を有するテレビに適用することを考慮して、N系統のステレオ音声信号を処理するように構成してもよい。100インチを超える大型テレビが実用化され、また、壁一面に広がる超大型テレビの実現も可能になりつつある昨今、このような実施形態も現実的に想定され得る。
図16は、3画面表示機能を有するテレビに本発明を適用する方法の概要を示した図である。図16に示したテレビ500´は、左から順に映像A、映像B、映像Cを同時に表示する。そして、テレビ500´が備えている音声信号処理回路100´は、映像Aに付随する音声Aを表すステレオ音声信号、映像Bに付随する音声Bを表すステレオ音声信号、および、映像Cに付随する音声Cを表すステレオ音声信号を処理する。
音声信号処理回路100´が、映像Aに付随する右チャンネル音声信号R1と、映像Bに付随する左チャンネル音声信号L2とを処理するための構成は、図1に示した音声信号処理回路100が備えているものと同一である。また、音声信号処理回路100´は、映像Bに付随する右チャンネル音声信号R2と、映像Cに付随する左チャンネル音声信号L3とを処理するために、これと同様の構成をさらに備えている。
これにより、映像Bに付随する音声Bが、視聴者Aに漏れ聞こえたり、視聴者Cに漏れ聞こえたりするクロストークを効果的に低減することができる。また、映像Aに付随する音声Aが視聴者Bに漏れ聞こえたり、映像Cに付随する音声Cが視聴者Bに漏れ聞こえたりするクロストークを効果的に低減することができる。
(音声信号処理回路の変形例1)
図1に示した音声信号処理回路100は、6つのスピーカ201、202、203、204、205、および、206からなるスピーカシステム200に音声信号を供給するものであるが、5つのスピーカ201、202、204、205、および、207からなるスピーカシステム200aに音声信号を供給するように構成を簡略化することができる。ここで、スピーカ202とスピーカ205との中間間距離は0.1mに、また、スピーカ202とスピーカ207との中心間距離、および、スピーカ205とスピーカ207との中心間距離はそれぞれ0.05mに設定されている。
図17は、簡略化された音声信号処理回路100aの構成を示すブロック図である。図17に示した簡略化された音声信号処理回路100aと、図1に示した音声信号処理回路100との相違点は以下のとおりである。
(1)簡略化された音声信号処理回路100aが備えている位相変調部140aは、LPF131を通過した低域成分R1,1の位相を変調するAPF141、LPF132を通過した低域成分L2,1の位相を変調するAPF142、および、BPF133を通過した中域成分R1,2とBPF134を通過した中域成分L2,2との和信号の位相を変調するAPF145により構成されている。すなわち、オールパスフィルタの個数を、図1に示した構成と比べて1つ減らしている。
(2)簡略化された音声信号処理回路100aが備えている合成部150aは、LPF132を通過しAPF142によって位相を変調された低域成分L2,1´と、LPF131を通過した低域成分R1,1と、BPF133を通過した中域成分R1,2とを加算する加算器155、および、LPF131を通過し、APF141によって位相を変調された低域成分R1,1´と、LPF132を通過した低域成分L2,1と、BPF134を通過した中域成分L2,2とを加算する加算器156により構成されている。
(3)簡略化された音声信号処理回路100aが備えている出力部170aは、LPF171を通過した中低域成分Lout1を出力する出力端子171、加算器155により得られた中低域成分Rout1=L2,1´+R1,1+R1,2を出力する出力端子177、LPF172を通過した中低域成分Rout2を出力する出力端子174、加算器156により得られた中低域成分Lout2=R1,1´+L2,1+L2,2を出力する出力端子178、および、APF145により位相を変調された、中域成分R1,2と中域成分L2,2との和信号を出力する179により構成されている。すなわち、出力する音声信号の個数を、図1に示した構成と比べて1つ減らし、必要なアンプおよびスピーカの個数をそれぞれ1つずつ減らしている。
精度の低下が許容される場合、以上のように簡略化された構成により、必要なオールパスフィルタ、アンプ、および、スピーカの個数を減らし、装置コストの低下を図ることができる。また、以上のように簡略化された音声信号処理回路100aであれば、より安価なデジタルシグナルプロセッサを用いて実現することが可能である。
(音声信号処理回路の変形例2)
センタースピーカユニット210bを構成する各スピーカが図24(a)または図24(b)に示したように配置されたスピーカシステム200bに好適な音声信号処理回路100の変形例として、図23に示した音声信号処理回路100bが挙げられる。
図24(a)に示したセンタースピーカユニット210bにおいては、スピーカ202とスピーカ203との中心間距離、および、スピーカ205とスピーカ206との中心間距離がそれぞれ0.05mに設定されている。また、スピーカ202とスピーカ205との間の中心間距離が0.2mに設定されている。つまり、図1に示したセンターユニット210の構成と比べて、スピーカ203とスピーカ206との間隔が大きく設定されている。
図24(b)に示したスピーカシステム200bにおいても、これらの中心間距離は図24(a)に示したものと略同様に設定されている。ただし、図24(a)に示した構成においては、センタースピーカユニット210bを構成する各スピーカが同一のバッフル面に取り付けられているのに対し、図24(b)に示した構成においては、スピーカ202および203が取り付けられているバッフル面と、スピーカ205および206が取り付けられているバッフル面とが所定の角度で(エンクロージャの内側の成す角が180°以下になるように)交わっている。
図23は、センタースピーカユニット210bを構成する各スピーカが図24(a)または図24(b)に示したように配置されたスピーカシステム200bに好適な音声信号処理回路100bの構成を示すブロック図である。図23に示した音声信号処理回路100bと、図1に示した音声信号処理回路100との相違点は、合成部150bの構成である。
図23に示した音声信号処理回路100bが備えている合成部150bは、第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1に、位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´を加算する加算器157と、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1に、位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´を加算する加算器158とを備えている。加算器157は、位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´の他に、第1系統の右チャンネル音声信号の中域成分R1,2も第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1に加算する。また、加算器158は、位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´の他に、第2系統の左チャンネル音声信号の中域成分L2,2も第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1に加算する。
図23に示した構成によれば、BPFを通過した中域成分の加算が行われないので、中域成分の干渉が生じず、音声信号の劣化が少ない。また、中域成分は低域成分に比べて指向性が強いので、例えば、図24(b)に示したようにスピーカ203および206を各視聴者の方向に向けておけば、音声Aが視聴者Bに漏れ聞こえてしまったり、音声Bが視聴者Aに漏れ聞こえてしまう虞はない。ただし、図23に示した構成を採用する場合、スピーカシステム200bを構成する各スピーカの特性は揃っていることが望ましい。
〔実施形態2〕
本発明に係る表示装置の一実施形態について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施形態の表示装置は、テレビジョン受像機として実現されているので、以下、これを「テレビ」と呼称し、参照符号500を付す。
本実施形態に係るテレビ500の外観は、図2(a)に示したとおりである。すなわち、テレビ500は、2画面表示機能を有しており、表示パネル510の左半分に映像Aを、また、表示パネルの右半分に第2の映像Bを表示することができるように構成されている。また、テレビ500は、6つのスピーカ201〜206からなるスピーカシステム200を備えている。スピーカ201〜206の配置については既に説明したとおりなので、ここではその説明を繰り返さない。
なお、図2(a)においては、スピーカ201および204を表示パネル510の下方に配置するようにしたが、スピーカ201を表示パネル510の左方に、スピーカ204を表示パネル510の右方に配置するようにしてもよい。つまり、テレビ500は、アンダースピーカ型に限らず、サイドスピーカ型であってもよい。また、図2(a)においては、センタースピーカユニット210を表示パネル510の中央部下方に配置するようにしたが、表示パネル510の中央部上方にセンタースピーカユニット210を配置するようにしてもよい。また、表示パネル510が大型化した場合でも映像に対応した位置に音像を定位させることができるよう、表示パネル510の中央部上方と中央部下方との両方にセンタースピーカ210を配置するようにしてもよい。このような構成により、表示パネルを左上四半分、右上四半分、左下四半分、および、右下四半分の4つの領域に分割し、各領域に4つの映像を同時に表示する4画面表示を行う場合でも、各映像に対応した位置に音像を定位させることも可能になる。
次に、図18を参照して、テレビ500の内部構成について説明する。図18は、テレビ500の内部構成を示すブロック図である。
図18に示したように、テレビ500は、上述した表示パネル510、および、スピーカシステム200の他に、チューナ530、外部映像入力端子541、外部音声入力端子542、映像信号処理回路550、音声信号処理回路560、DAC570、アンプ580、および、制御回路590を備えている。
映像信号処理回路550は、1画面表示モードのときには、チューナ530にて受信した受信映像信号、および、外部映像入力端子540から入力された入力映像信号の何れかに基づいて映像Aを表示パネル510全体に表示させ、2画面表示モードのときには、受信映像信号と入力映像信号とに基づいて映像Aと映像Bとを同時に表示パネル510に表示させる。映像信号処理回路550をどちらの表示モードで動作させるかは、制御回路590により制御されている。
また、音声信号処理回路560は、1画面表示モードのときには、チューナ530にて受信した受信音声信号、および、外部音声入力端子542から入力された入力音声信号の何れかに基づいて音声Aをスピーカシステム200から出力し、2画面表示モードのときには、受信音声信号と入力音声信号とに基づいて音声Aと音声Bとをスピーカシステム200から出力する。音声信号処理回路560をどちらの表示モードで動作させるかは、映像信号処理回路550と同様、制御回路590により制御されている。
本実施形態に係るテレビ500の特徴は、音声信号処理回路560にある。そこで、音声信号処理回路560について、図19を参照して説明する。
図19は、音声信号処理回路560の構成を示すブロック図である。音声信号処理回路560は、図1に示した音声信号処理回路100の各構成の他に、2つのセレクタ561〜562、2つのデコーダ563〜564、LPF565、および、BPF566を備えている。なお、同図において参照符号100を付して示した構成は、図1に示した音声信号処理回路100そのものである。
チューナ530にて受信した受信音声信号、および、外部音声入力端子542から入力された入力音声信は、2つのセレクタ561〜562を介して音声信号処理回路560に入力される。セレクタ561は、音声Aを出力するために参照する音声信号を選択し、選択した音声信号(以下、音声信号Aとする)をデコーダ563に供給する。また、セレクタ562は、音声Bを出力するために参照する音声信号を選択し、選択した音声信号(以下、音声信号Bとする)をデコーダ564に供給する。なお、マトリックスデコーダとは、例えば、ドルビープロロジックIIデコーダのような、所望のチャンネル数の音声信号を生成することができるデコーダのことである。
デコーダ563は、3chマトリックスデコーダ563aと、2chマトリックスデコーダ563cとを備えており、1画面表示モードのときには、3chマトリックスデコーダ563aによって音声信号Aをデコードし、左チャンネル音声信号L0、右チャンネル音声信号R0、および、センターチャンネル音声信号C0を得る。一方、2画面表示モードのときには、2chマトリックスデコーダ563bによって音声信号Aをデコードし、左チャンネル音声信号L1、および、右チャンネル音声信号L2を得る。デコーダ564は、2chマトリックスデコーダであり、音声信号Bをデコードすることによって、左チャンネル音声信号L2、および、右チャンネル音声信号R2を得る。
1画面表示モードのときには、3chマトリックスデコーダ563aによって得られた、左チャンネル音声信号L0、右チャンネル音声信号R0、および、センターチャンネル音声信号C0がスピーカシステム200から出力される。より具体的には、左チャンネル音声信号L0がスピーカ201から出力され、右チャンネル音声信号R0がスピーカ204から出力される。また、センターチャンネル音声信号C0のうち、LPF565を通過した低域成分は、スピーカ202およびスピーカ205から出力され、BPF566を通過した中域成分は、スピーカ203およびスピーカ206から出力される。
2画面表示モードのときには、2chマトリックスデコーダ563bによって得られた、左チャンネル音声信号L1、および、右チャンネル音声信R1と、マトリックスデコーダ564によって得られた、左チャンネル音声信号L2、および、右チャンネル音声信号R2とが、音声信号処理回路100を介してスピーカシステム200から出力される。音声信号処理回路100における音声信号L1、R1、L2、および、R2の処理については、図1を参照して既に説明したとおりなので、ここではその説明を繰り返さない。
なお、音声信号処理回路560が1画面表示モードで動作するか、2画面表示モードで動作するかは、制御回路590により制御されている。制御回路590は、リモコン等により受け付けた操作の内容に応じて表示モードを切り替えるのが通常であるが、以下に説明するように、視聴者の人数、および、各視聴者の視線方向を検出して表示モードを切り替えるように構成してもよい。なお、視聴者の視線方向を検出する方法については、例えば、特開平8−322796号公報などを参照されたい。
すなわち、図20に示したように、初期画面として複数の映像を表示した状態で、テレビ500が備えるカメラにより撮像された画像に基づいて、視聴者の人数、および、各視聴者の視線方向を検出する。視聴者が1人である場合、その視聴者の視聴者の視線方向が指す映像を特定し、その映像を1画面表示する。また、視聴者が2人である場合、各視聴者の視線方向が指す映像が同一であれば、その映像を1画面表示し、各視聴者の視線方向が指す映像が異なれば、それらの映像を2画面表示する。また、視聴者が3人以上の場合、各視聴者の視線方向が指す映像のうち、最も多くの視聴者の視線が集中している映像を1画面表示する。このような構成によれば、リモコンによる操作を要することなく、表示モードを切り替えることができる。
なお、本実施形態においては、映像/音声ソースとして、受信映像/音声信号、および、入力映像/音声信号を例示したが、映像/音声ソースはこれに限定されるものではない。すなわち、2つのチューナにより受信した異なる受信映像/音声信号を映像/音声ソースとして用いる構成にしてもよいし、2つの外部映像/音声入力端子から入力された異なる入力映像/音声信号を映像/音声ソースとして用いる構成にしてもよい。また、3つ以上の映像/音声ソースを用いる構成にしてもよい。また、対戦型のゲーム機向けに、第1のプレイヤに提示する映像/音声と、第2のプレイヤに提示する映像/音声とを、映像/音声ソースとして利用してもよい。また、外部映像/音声入力端子としては、各種規格に準拠したものを採用することができ、例えば、HDMI入力端子などのデジタル入力端子を採用してもよいし、各種アナログ入力端子を採用してもよい。
〔付記事項〕
音声信号処理回路100は、デジタルシグナルプロセッサにより実現することができる。すなわち、音声信号処理回路100は、高速積和演算器やALU(arithmetic logical unit)等の演算装置と、その演算装置をイコライザ110L、イコライザ110R、および、フィルタ120として機能させる音声信号処理プログラムを担持したプログラムメモリ等の記憶装置とを備えたデジタルシグナルプロセッサとして構成することができる。より一般的には、デジタルシグナルプロセッサ等のコンピュータにより実現することができる。
そして、本発明の目的は、上記音声信号処理プログラムがデジタルシグナルプロセッサ等のプログラムメモリに固定的に担持されている場合に限らず、上記音声信号処理プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、または、ソースプログラム)を汎用的なデジタルシグナルプロセッサ等に供給し、そのデジタルシグナルプロセッサ等が上記プログラムコードを実行することによっても、あるいは、上記プログラムコードを記録した記録媒体をAV機器に供給し、このAV機器が備えている汎用的なデジタルシグナルプロセッサ等が上記記録媒体に記録されている上記プログラムコードを読み出して実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、デジタルシグナルプロセッサ等(あるいは、デジタルシグナルプロセッサ等を備えたAV機器)を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して、そのデジタルシグナルプロセッサに供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態によっても実現され得る。
音声信号処理回路100a、音声信号処理回路100b、および、音声信号処理回路560についても同様である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、複数の映像を同時に表示する表示装置や、複数の映像に付随する音声信号を処理する各種AV機器において利用することができる。例えば、多画面表示機能を有するテレビや、そのようなテレビを載置するためのラックシステムなどに、特に好適に利用することができる。
本発明の実施形態を示すものであり、音声信号処理回路の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態を示すものであり、図2(a)は、テレビにおけるスピーカの配置を示す図であり、図2(b)は、ラックシステムにおけるスピーカの配置を示す図である。 本発明の実施形態を示すものであり、オールパスフィルタの構成例を示したブロック図である。 本発明の実施形態を示すものであり、図4(a)は、乗算器の係数の絶対値が0.7に設定された、オールパスフィルタのフィルタ特性を示すグラフであり、図4(b)は、乗算器の係数の絶対値が0.9に設定された、オールパスフィルタののフィルタ特性を示すグラフである。 本発明の実施形態を示すものであり、0.05m離間して配置されたスピーカから放射された音波の音圧レベルのシミュレーション結果を示すグラフである。図5(a)は、上記音圧レベルの周波数特性を視聴位置毎にプロットしたグラフであり、図5(b)は、上記音圧レベルの位置依存性を周波数毎に示したグラフである。 本発明の実施形態を示すものであり、0.2m離間して配置されたスピーカから放射された音波の音圧レベルのシミュレーション結果を示すグラフである。図6(a)は、上記音圧レベルの周波数特性を視聴位置毎にプロットしたグラフであり、図6(b)は、上記音圧レベルの位置依存性を周波数毎に示したグラフである。 本発明の実施形態を示すものであり、0.05m離間して配置されたスピーカから放射された音波の音圧レベルの実測結果を示すグラフである。図7(a)は、上記音圧レベルの周波数特性を視聴位置毎にプロットしたグラフであり、図7(b)は、上記音圧レベルの位置依存性を周波数毎に示したグラフである。 本発明の実施形態を示すものであり、0.2m離間して配置されたスピーカから放射された音波の音圧レベルの実測結果を示すグラフである。図8(a)は、上記音圧レベルの周波数特性を視聴位置毎にプロットしたグラフであり、図8(b)は、上記音圧レベルの位置依存性を周波数毎に示したグラフである。 図9(a)は、両耳間レベル差と視聴者が知覚する音像方向(正面を0°とした方位角)の相関を示すグラフであり、図9(b)は、両耳間時間差と視聴者が知覚する音像方向の相関を示すグラフである 図10は、音像を偏らせることなく中央に定位させる、両耳間時間差と両耳間レベル差との関係を示したグラフである。 本発明の実施形態を示すものであり、映像Bに付随する音声Bが、壁に反射して視聴者Aに到達したり、映像Aに付随する音声Aが、壁に反射して視聴者Bに到達したりすることによって生じる、反射音によるクロストークを説明するための図である。図11(a)は、音声A、および、音声Bが両方とも無音でない場合を示し、図11(b)は、音声Aが無音である場合を示す。 本発明の実施形態を示すものであり、自動利得制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態を示すものであり、自動利得制御部による音量制御の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施形態を示すものであり、自動利得制御部によって引き起こされる音量の時間変化を示すグラフである。 本発明の実施形態を示すものであり、自動利得制御部による音量制御の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施形態を示すものであり、3画面表示機能を有するテレビに本発明を適用する方法の概要を示した図である。 本発明の実施形態を示すものであり、簡略化された音声信号処理回路の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態を示すものであり、テレビの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態を示すものであり、テレビが備えている音声信号処理回路の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態を示すものであり、視聴者の視線方向を検出する技術を用いて、表示モードを制御する方法の概要を説明した図である。 本発明の実施形態を示すものであり、自動利得制御部の他の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態を示すものであり、自動利得制御部における閾値制御の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施形態を示すものであり、音声信号処理回路の他の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態を示すものであり、図23に示した音声信号処理回路に適したスピーカのレイアウトを例示する図である。
符号の説明
100 音声信号処理回路(音声信号処理装置)
110 入力部
120 遅延部(遅延手段)
130 分離部(分離手段)
140 位相変調部(位相変調手段)
141〜144 オールパスフィルタ
150 合成部(合成手段)
161、162 ローパスフィルタ
170 出力部
200 スピーカシステム
201〜206 スピーカ
500 テレビ(表示装置)
600 ラックシステム(表示装置用ラック)

Claims (12)

  1. N系統(N≧2)のステレオ音声信号を処理する音声信号処理装置において、
    第i系統(1≦i≦N−1)の右チャンネル音声信号Ri、及び、第i+1系統の左チャンネル音声信号Li+1の各々を、帯域の異なるM(M≧2)個の音声信号に分離する分離手段と、
    第i系統の右チャンネル音声信号Riから分離された上記M個の音声信号Ri,1、Ri,2、…、Ri,M、及び、第i+1系統の左チャンネル音声信号Li+1から分離された上記M個の音声信号Li+1,1、Li+1,2、…、Li+1,Mの各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調する位相変調手段と、
    第i+1系統の左チャンネルの音声信号Li+1からj番目(1≦j≦M)の音声信号Li+1,jとして分離され、上記位相変調手段によって位相を変調された音声信号Li+1,j´を、第i系統の右チャンネル音声信号Riから分離されたj番目の音声信号Ri,jに合成するとともに、第i系統の右チャンネル音声信号Riからj番目の音声信号Ri,jとして分離され、上記位相変調手段によって位相を変調された音声信号Ri,j´を、第i+1系統の左チャンネルから分離されたj番目の音声信号Li+1,jに合成する合成手段と、を備えている、
    ことを特徴とする音声信号処理装置。
  2. 第1系統の左チャンネル音声信号L1、および、第N系統の右チャンネル音声信号RNを減衰する減衰手段と、
    第1系統の右チャンネル音声信号R1、および、第N系統の左チャンネル音声信号LNを遅延する遅延手段と、を更に備えている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声信号処理装置。
  3. 第i+1系統のステレオ音声信号の音量が予め定められた閾値よりも小さいときに、第i系統のステレオ音声信号の音量を低下させるとともに、第i系統のステレオ音声信号の音量が上記閾値よりも小さいときに、第i+1系統のステレオ音声信号の音量を低下させる音量低下手段を更に備えている、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の音声信号処理装置。
  4. 2系統のステレオ音声信号を処理する音声信号処理装置において、
    第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1、及び、第1系統の右チャンネル音声信号の中域成分R1,2と第2系統の左チャンネル音声信号の中域成分L2,2との和信号の各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調する位相変調手段と、
    第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1に、上記位相変調手段によって位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´を合成するとともに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1に、上記位相変調手段によって位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´を合成する合成手段と、を備えている、
    ことを特徴とする音声信号処理装置。
  5. 2系統のステレオ音声信号を処理する音声信号処理装置において、
    第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1及び中域成分R1,2、並びに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1及び中域成分L2,2の各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調する位相変調手段と、
    第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1に、上記位相変調手段によって位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´を合成するとともに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1に、上記位相変調手段によって位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´を合成する合成手段と、を備えている、
    ことを特徴とする音声信号処理装置。
  6. N系統(N≧2)のステレオ音声信号を処理する音声信号処理方法であって、
    第i系統(1≦i≦N−1)の右チャンネル音声信号Ri、及び、第i+1系統の左チャンネル音声信号Li+1の各々を、帯域の異なるM(M≧2)個の音声信号に分離する分離工程と、
    第i系統の右チャンネル音声信号Riから分離された上記M個の音声信号Ri,1、Ri,2、…、Ri,M、及び、第i+1系統の左チャンネル音声信号Li+1から分離された上記M個の音声信号Li+1,1、Li+1,2、…、Li+1,Mの各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調する位相変調工程と、
    第i+1系統の左チャンネルの音声信号Li+1からj番目(1≦j≦M)の音声信号Li+1,jとして分離され、上記位相変調工程において位相を変調された音声信号Li+1+j´を、第i系統の右チャンネル音声信号Riから分離されたj番目の音声信号Ri,jに合成するとともに、第i系統の右チャンネル音声信号Riからj番目の音声信号Ri,jとして分離され、上記位相変調工程において位相を変調された音声信号Ri,j´を、第i+1系統の左チャンネルから分離されたj番目の音声信号Li+1,jに合成する合成工程と、を含んでいる、
    ことを特徴とする音声信号処理方法。
  7. 2系統のステレオ音声信号を処理する音声信号処理方法であって、
    第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1、及び、第1系統の右チャンネル音声信号の中域成分R1,2と第2系統の左チャンネル音声信号の中域成分L2,2との和信号の各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調する位相変調工程と、
    第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1に、上記位相変調工程において位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´を合成するとともに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1に、上記位相変調工程において位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´を合成する合成工程と、を含んでいる、
    ことを特徴とする音声信号処理方法。
  8. 2系統のステレオ音声信号を処理する音声信号処理方法であって、
    第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1及び中域成分R1,2、並びに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1及び中域成分L2,2の各々の位相を、各音声信号の帯域に応じたフィルタ特性を有するオールパスフィルタによって変調する位相変調工程と、
    第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1に、上記位相変調工程において位相を変調された第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1´を合成するとともに、第2系統の左チャンネル音声信号の低域成分L2,1に、上記位相変調工程において位相を変調された第1系統の右チャンネル音声信号の低域成分R1,1´を合成する合成工程と、を含んでいる、
    ことを特徴とする音声信号処理方法。
  9. 複数の映像を同時に表示可能な表示装置であって、
    請求項1から5までの何れか1項に記載の音声信号処理装置と、
    上記音声信号処理装置が上記複数の映像の各々に付随するステレオ音声信号を処理することによって得られた複数の音声信号を出力する出力手段と、を備えている、ことを特徴とする表示装置。
  10. 複数の映像を同時に表示可能な表示装置を載置するための表示装置用ラックであって、
    請求項1から5までの何れか1項に記載の音声信号処理装置と、
    上記音声信号処理装置が上記複数の映像の各々に付随するステレオ音声信号を処理することによって得られた複数の音声信号を出力する出力手段と、を備えている、ことを特徴とする表示装置用ラック。
  11. コンピュータを請求項1から5までの何れか1項に記載の音声信号処理装置として動作させるための音声信号処理プログラムであって、
    上記コンピュータを上記音声信号処理装置が備えている各手段として機能させる音声信号処理プログラム。
  12. 請求項11に記載の音声信号処理プログラムが記録されている、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2014192603A1 (ja) * 2013-05-31 2017-02-23 ソニー株式会社 オーディオ信号出力装置および方法、符号化装置および方法、復号装置および方法、並びにプログラム

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